説明

容器組立用プラスチックシート及び組立容器

【課題】筒状の容器本体部を構成する側板部と、該側板部の上下に折り曲げ可能に連設されてなる蓋部とを備えた容器組立用プラスチックシートにおいて、容器本体部に対する蓋部の嵌め込みがズレ難い容器組立用プラスチックシートを提供する。
【解決手段】少なくとも底面蓋部4の周囲に複数の係合部14を設け、側板部2内には、少なくとも下辺部2bに沿って前記係合部14と係合可能な複数の被係合部6を設けるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器組立用プラスチックシート及びこれを組み立ててなる組立容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品や玩具等の各種商品を保護しつつ見栄えよく展示するため、透明度の高いプラスチックシートからなる組立容器が使用されている。
この種の組立容器は、透明性が良好で剛性もあるアモルファスポリエチレンテレフタレート(A―PET)等のプラスチックシートを、所望の形状に打ち抜き、折り曲げ箇所に罫線を入れて容器組立用プラスチックシートを形成した後、これを自動製函機等によって組み立てて商品を収納するのに供するのが一般的である。
【0003】
従来、この種の容器組立用プラスチックシートに関しては、例えば特許文献1などにおいて、筒状の容器本体部を構成する側板部と、該側板部の上下に、折り曲げ可能に連設されてなる蓋部とを備えた容器組立用プラスチックシートが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−115083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば特許文献1に開示されているような従来の組立容器用プラスチックシートは、側板部から形成された筒状の容器本体部の開口部内に、蓋部を嵌め込んで閉じるだけの構成であったため、運搬中或いは商品展示中に蓋部の嵌め込みがズレて意匠性が低下することがあった。また、底面蓋部が外れて商品が落下する心配もあった。
【0006】
そこで本発明は、筒状の容器本体部を構成する側板部と、該側板部の上下に折り曲げ可能に連設されてなる蓋部とを備えた容器組立用プラスチックシートにおいて、容器本体部に対する蓋部の嵌め込みがズレ難く、運搬中或いは商品展示中に意匠性が低下したり、底面蓋部が外れて商品が落下したりすることのない新たな容器組立用プラスチックシートを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、筒状の容器本体部を形成可能な側板部と、側板部の上下に、折り曲げ可能に連設された天面蓋部及び底面蓋部とを備えた容器組立用プラスチックシートであって、少なくとも底面蓋部の周囲に複数の係合部を設け、側板部内には、少なくとも下辺部に沿って前記係合部と係合可能な複数の被係合部を設けてなる構成を有する容器組立用プラスチックシートを提案する。
【0008】
本発明の容器組立用プラスチックシートは、係合部と被係合部とを係合させつつ底面蓋部を容器本体部に嵌め込む構成であるから、運搬中や商品展示中などに蓋部の嵌め込みがズレて意匠性が低下したり、底面蓋部が外れて商品が落下したりすることがない。よって、本発明の容器組立用プラスチックシートを組み立ててなる組立容器は、商品展示用の組立容器として好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面によって説明する。但し、本発明が下記実施形態に限定されるものではない。
【0010】
図1に示すプラスチックシート1は、図2に示す組立容器50を組み立てることができる容器組立用プラスチックシートである。
【0011】
プラスチックシート1の材質は、特に限定するものではない。例えばアモルファスポリエチレンテレフタレート(A―PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネートおよびポリ乳酸のいずれか、或いはこれらのうちの2種類以上の組合わせからなるポリマーブレンドなど、透明性が良好で且つ剛性も高い合成樹脂を好ましく例示することができる。
【0012】
プラスチックシート1は、図1及び図2に示すように、筒状の容器本体部51を形成可能な側板部2と、側板部2の上下辺部2a、2bに、一定の幅の連接部7、8をもって折り曲げ可能に連設されてなる天面蓋部3及び底面蓋部4とを備えている。
なお、天面蓋部3及び底面蓋部4を連設する位置は、天面蓋部3と底面蓋部4とを設ける位置が同じ位置、すなわち側板部2の一側端部からの距離がともに同じ位置であれば、どの位置に連設してもよい。
【0013】
側板部2は、略長方形状を呈し、一方の短手辺縁部に糊代部5を設け、上下辺部2a、2bのそれぞれに沿って複数の被係合部6を適宜間隔をおいて設け、天面蓋部3及び底面蓋部4との連接部7、8にはそれぞれ折り曲げ罫線を入れ、当該連接部7、8と略同巾分の平坦側面部51aを画成するように、上下辺部2a、2bに渡って折り曲げ罫線9を入れて形成してある。
【0014】
被係合部6は、図3、図6及び図7に示すように、後述する天面蓋部3及び底面蓋部4の係合部14と係合可能であれば特にその形状を限定するものではない。本例では、細長く伸びた凸部状の係合部14と係合可能なように、上下辺部2a、2bと並行な方向に細長く伸びた凹部として形成してある。但し、貫通した穴部として形成してもよい。なお、係合部14が例えば凹部若しくは穴部であれば、被係合部6はこれと係合し得るように例えば凸部状に形成すればよい。
【0015】
天面蓋部3及び底面蓋部4は、図1に示すように、いずれも同形状に形成してあり、容器本体部51の上方開口部52又は下方開口部53に合致した形状、すなわち、上面視した場合に円の一部(すなわち連接部7、8の部分)が直線となった形状に形成してある。そして、図4に示す如く、周縁部に若干幅の周縁平面部10を残してその内側を陥没させ、段部11を介して内側部に平坦な蓋面部12を形成する一方、前記周縁平面部10の外縁から垂下してなる枠縁部13を蓋面部12を囲むように設け、該枠縁部13の外周面には周囲方向に適宜間隔をおいて複数の係合部14を設けて形成してある。
【0016】
係合部14は、図4に示すように、枠縁部13の外周面から突出(例えば0.5〜1mm程度突出)し、周面方向に細長く伸びた凸部状に形成してある。但し、被係合部6と係合可能であれば特にその形状を限定するものではない。
【0017】
蓋面部12内には、図1及び図5に示すように、連接部7(8)の対向側に、蓋面部12から周縁平面部10に至る傾斜面部15を形成してある。
【0018】
プラスチックシート1の製造方法は特に限定するものではない。例えば所望の形状に打ち抜き、折り曲げ箇所に折り曲げ罫線を入れ、真空成形、圧空成形、加熱成形などの成形手段によって凹部や凸部などを形成して製造することができる。
【0019】
プラスチックシート1は、次のようにして組立容器50を組み立てることができる。
【0020】
先ず、側板部2を丸めて(図1の紙面裏側方向に丸めて)、側板部2の一方の短手辺縁部の糊代部5を他方の短手辺縁部に接合し、ホットメルト接着剤その他の接着剤或いは融着などにより接着して略円筒状の容器本体部51を形成する。ただし、円筒状と言っても、図2に示すように、折り曲げ罫線9によって画成された平坦側面部51a、すなわち折り曲げ罫線9から他方の短手辺縁までの間の面は平坦面となる。
【0021】
次に、図6に示すように、底面蓋部4を連接部8に沿って折り曲げ、図7に示すように、側板部2の被係合部6に底面蓋部4の係合部14を係合させつつ容器本体部51の下方開口部53内に底面蓋部4を嵌め込んで閉じる。
次いで、容器本体部51の上方開口部52から容器本体部51内に被収納物(商品)を挿入して設置する。
そして、天面蓋部3を連接部7に沿って折り曲げ、底面蓋部4同様に、側板部2の被係合部6に天面蓋部3の係合部14を係合させつつ容器本体部51の上方開口部52に天面蓋部3を嵌め込んで閉じることにより、被収納物(商品)を収容した状態で組立容器50を組み立てることができる。
必要に応じて天面蓋部3、底面蓋部4の周縁部と容器本体部51の端部とに跨って粘着テープを周着してもよい。
【0022】
図8に示すプラスチックシート21は、上記プラスチックシート1の変形例、すなわちプラスチックシート1における被係合部6及び係合部14を変更した例である。
なお、プラスチックシート21を組み立てた容器は、プラスチックシート1を組み立てた組立容器50と略同様であるため、以後の説明では、組立容器の符号はプラスチックシート1と共通とする。
【0023】
プラスチックシート21は、図8に示すように、側板部22と、側板部22の上下辺部22a、22bに、一定の幅の連接部27、28をもって折り曲げ可能に連設されてなる天面蓋部23及び底面蓋部4とを備えている。
なお、天面蓋部23及び底面蓋部24を連設する位置は、天面蓋部23と底面蓋部24とを設ける位置が同じ位置、すなわち側板部2の一側端部からの距離がともに同じ位置であれば、どの位置に連設してもよい。
【0024】
側板部22は、略長方形状を呈し、一方の短手辺縁部に糊代部25を設け、上下辺部22a、22bのそれぞれに沿って複数の被係合部26を適宜間隔をおいて設け、天面蓋部23及び底面蓋部24の連接部27、28にはそれぞれ折り曲げ罫線を入れ、当該連接部27、28と略同巾分の平坦側面部51aを画成するように、上下辺部22a、22bに渡って折り曲げ罫線29を入れて形成してある。
【0025】
被係合部26は、図9、図12及び図13に示すように、後述する天面蓋部23及び底面蓋部24の係合部35と係合可能であれば特にその形状を限定するものではない。本例では、細長く伸びた凸部状の係合部35と係合可能なように、上下辺部22a、22bと並行な方向に細長く伸びた凹部として形成してある。但し、貫通した穴部として形成してもよい。なお、係合部35が例えば凹部若しくは穴部であれば、被係合部26はこれと係合し得るように例えば凸部状に形成すればよい。
【0026】
天面蓋部23及び底面蓋部24は、図8に示すように、いずれも同形状に形成してあり、容器本体部51の上方開口部52又は下方開口部53に合致した形状、すなわち、上面視した場合に円の一部(すなわち連接部27、28の部分)が直線となった形状に形成してある。そして、図9に示す如く、周縁部に若干幅の周縁平面部30を残してその内側を陥没させ、段部を介して内側部に平坦な蓋面部32を形成する一方、前記周縁平面部30の外周縁部に、周縁方向に適宜間隔をおいて、周縁平面部30から外側に張り出してなる複数の長方形状の張出片部33を折り曲げ可能に連設し、張出片部33のそれぞれに、張出片部33の長手方向に若干細長い凸部状の係合部35を設けて形成してある。
【0027】
蓋面部32内には、図8及び図12に示すように、連接部27(28)の対向側に、蓋面部32から周縁平面部30に至る傾斜面部31を形成してある。
【0028】
プラスチックシート21の製造方法は特に限定するものではない。例えば所望の形状に打ち抜き、折り曲げ箇所に折り曲げ罫線を入れ、真空成形、圧空成形、加熱成形などの成形手段によって凹部や凸部などを形成して製造することができる。
【0029】
プラスチックシート21は、次のようにして組立容器50を組み立てることができる。
【0030】
先ず、側板部22を丸めて(図8の紙面裏側方向に丸めて)、側板部22の一方の短手辺縁部の糊代部25を他方の短手辺縁部に接合し、ホットメルト接着剤その他の接着剤或いは融着などにより接着して略円筒状の容器本体部51を形成する。折り曲げ罫線9によって画成された平坦側面部51aは平坦面となる点は上記と同様である。
【0031】
次に、図11に示すように、底面蓋部24の張出片部33を折り曲げた上で、図12に示すように、底面蓋部24を連接部28に沿って折り曲げ、図13に示すように、側板部22の被係合部26に底面蓋部24の係合部35を係合させつつ容器本体部51の下方開口部53に底面蓋部24を嵌め込んで閉じる。
次いで、容器本体部51の上方開口部52から容器本体部51内に被収納物(商品)を挿入して設置する。
そして、図11に示すように、天面蓋部23の張出片部33を折り曲げた上で、図12に示すように、天面蓋部23を連接部27に沿って折り曲げ、図13に示すように、側板部22の被係合部26に天面蓋部23の係合部35を係合させて容器本体部51の下方開口部53に天面蓋部23を嵌め込んで閉じることにより、被収納物(商品)を収容した状態で組立容器50を組み立てることができる。
必要に応じて天面蓋部23、底面蓋部24の周縁部と容器本体部51の端部とに跨って粘着テープを周着してもよい。
【0032】
プラスチックシート1及びプラスチックシート21のいずれにおいても、図1及び図8に示すように、側板部2(側板部22)の長さ方向中間部付近に、上下辺部2a、2b(22a、22b)間に渡って折り曲げ罫線16(36)を設けてもよい。折り曲げ罫線16(36)で側板部2(側板部22)を2つに折り畳むことができるから、側板部2(22)を2つに折り畳んだ状態で、糊代部5(25)を他方の短手辺縁部に接着し、このように折り畳んだ状態でプラスチックシート1及びプラスチックシート21を出荷することができるから、嵩張ることなく運搬及び保管することができる。
【0033】
また、上記のいずれの実施形態においても、組立容器50を円筒形状として説明したが、組立容器50(容器本体部51)の形状は、多角柱状などその他任意の筒形状に形成することができる。
また、容器本体部51内に商品を固定するための構造を追加することは任意である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施例に係る容器組立用プラスチックシートの展開状態を示した平面図である。
【図2】図1の容器組立用プラスチックシートを組み立てた組立容器を示した斜視図である。
【図3】図1の容器組立用プラスチックシートにおける側板部の要部を示した断面図である。
【図4】図1の容器組立用プラスチックシートにおける天面蓋部及び底面蓋部の要部を示した断面図である。
【図5】図1の容器組立用プラスチックシートにおける天面蓋部及び底面蓋部の要部(傾斜面部)を示した断面図である。
【図6】図1の容器組立用プラスチックシートの組立工程のうちの一例を示す要部の断面図である。
【図7】図1の容器組立用プラスチックシートにおいて、天面蓋部及び底面蓋部の係合部と側板部の被係合部との係合状態を示した要部の断面図である。
【図8】図1に示した容器組立用プラスチックシートの変形例の展開状態を示した平面図である。
【図9】図8の容器組立用プラスチックシートにおける天面蓋部及び底面蓋部の要部を示した断面図である。
【図10】図8の容器組立用プラスチックシートにおける側板部の要部を示した断面図である。
【図11】図8の容器組立用プラスチックシートの組立工程の中間工程の一例を示した要部の断面図である。
【図12】図8の容器組立用プラスチックシートの組立工程の中間工程の一例を示した要部の断面図である。
【図13】図8の容器組立用プラスチックシートにおいて、天面蓋部及び底面蓋部の係合部と側板部の被係合部との係合状態を示した要部断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 プラスチックシート
2 側板部
2a上辺部
2b上辺部
3 天面蓋部
4 底面蓋部
5 糊代部
6 被係合部
7,8 連接部
9 折り曲げ罫線
10 周縁平面部
11 段部
12 蓋面部
13 枠縁部
14 係合部
15 傾斜面部
21 プラスチックシート
22 側板部
22a上辺部
22b上辺部
23 天面蓋部
24 底面蓋部
25 糊代部
26 被係合部
27,28 連接部
29 折り曲げ罫線
30 周縁平面部
31 傾斜面部
33 張出片部
35 係合部
50 組立容器
51 容器本体部
51a 平坦側面部
51b 湾曲面部
52 上方開口部
53 下方開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の容器本体部を形成可能な側板部と、側板部の上下に、折り曲げ可能に連設された天面蓋部及び底面蓋部とを備えた容器組立用プラスチックシートであって、
少なくとも底面蓋部の周囲に複数の係合部を設け、側板部内には、少なくとも下辺部に沿って前記係合部と係合可能な複数の被係合部を設けてなる構成を有する容器組立用プラスチックシート。
【請求項2】
底面蓋部の周縁に沿って枠縁部を設け、この枠縁部の外周面に複数の係合部を設けてなる構成を有する請求項1記載の容器組立用プラスチックシート。
【請求項3】
底面蓋部の周縁部に、周縁方向に間隔をおいて、折り曲げ可能に複数の張出片部を連設し、各張出片部に係合部を設けてなる構成を有する請求項1記載の容器組立用プラスチックシート。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の容器組立用プラスチックシートを組立ててなる組立容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−94459(P2008−94459A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280570(P2006−280570)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】