説明

容器蓋

【課題】上蓋の開封前に密閉性が失われることなく、注出時における上蓋の保持部を別途設けることなく保持できる容器蓋を提供すること。
【解決手段】容器蓋1は、蓋本体2と該蓋本体2に対して連結バンド3で接続される上蓋4とを備えている。蓋本体2の下部には、容器口部7の係止顎部14に係止される分離用バンド15と、該分離用バンド15から突出する分離用スコア12の分離用摘み16とを設けている。上蓋4には分離用摘み16に着脱可能な係合突部37,38を形成し、上蓋4の開栓時に係合突部を分離用摘み16に係止させて上蓋4を保持するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離用スコアを介して蓋本体と連結され、容器口部の係止顎部に係止される分離用バンドと、蓋本体と上蓋とを連結する連結バンドを備えた容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された容器蓋は、円形天面壁、この天面壁の周縁から垂下する円筒状スカート壁、及びスカート壁の外周面に付設された摘み片を具備している。そして、スカート壁の下部には環状のスコア(環状破断手段)が形成されており、容器蓋はスコアよりも上方の上蓋(主部)とスコアよりも下方のタンパーエビデント裾部とに区画されている。このような容器蓋は、タンパーエビデント裾部に設けられている摘み片を掴んで環状のスコアを引き裂くことによって、容器の口頸部にビード状に周方向へ突出する係止顎部とタンパーエビデント裾部との係合状態を解除して、上蓋が口頸部に対して脱離可能になる。このタンバーエビデント裾部は、タンバーエビデント裾部のスコアが引き裂かれていなければ、開封されていないことが保証されるので、いたずら防止としての機能を有する。
この特許文献1の容器蓋のタンバーエビデント裾部は、上述したように、容器の口頸部に形成されたビード状の係止顎部に係止される構造である。したがって、タンバーエビデント裾部の環状のスコアを引き裂くことによって、上蓋が容器の口頸部から脱離できるので、この構造を利用することによって、容器が消耗されたときに容器蓋を口頸部から除去するための分離用としても応用が可能である。
【0003】
特許文献2に開示された容器蓋は、上部に上蓋、上蓋の下部に胴部、胴部の下部にスカート部を設け、上蓋と胴部との間、胴部とスカート部との間には、上蓋とスカート部とを連結するバンド状の蝶番部を残して、切れ目線(スコア)を形成している。上蓋を開封するためには、切れ目を引き裂くことによって開栓が可能であり、開栓状態では、上蓋とスカート部とはバンド状の蝶番部によって連結され、上蓋の紛失が防止される。ところが、上蓋とスカート部とをバンド部材で連結すると、内容液の注出時において、上蓋がフリー状態となってぶらつくことから邪魔になることがあり、特許文献2では、これを防止するため、上蓋の係止部をスカート部に設けている。
すなわち、スカート部の外周部には雌係合片を形成し、上蓋には雄係合片を設け、注出時には上蓋の雄係合片をスカート部の雌係合片に固定させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−226048号公報
【特許文献2】実公昭62−19554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の容器蓋は、上蓋が容器の口頸部に装着され、上蓋よりも下に位置する胴部とスカート壁は、共に口頸部の周囲に装着される。このような構造であると、上蓋の開封前において、次のような密閉性に関する問題がある。
特許文献2では、密閉性をよくするため上蓋を容器の口頸部に強く装着すると、上蓋の口頸部への脱着時において、強い力を要することになる。したがって、胴部やスカート壁と口頸部との間で密閉性をよくさせればよいが、上蓋とスカート壁との間には、胴部を引き裂くための切れ目線を形成している。この切れ目線がある場合に、密閉性をよくするため切れ目線のある部分を強い力を負荷させて口頸部に装着させると、容器蓋の口頸部への打詮時に切れ目線が切断されてしまうので、胴部と口頸部との間は多少緩くする必要がある。よって、密閉性のために構造的な問題が生じる。
また、特許文献2に開示された容器蓋は、上蓋とスカート部とを連結するバンド状の蝶番部を形成しており、注出時において上蓋がフリー状態となってぶらつくことから邪魔になることがあり、これを防止するため、上蓋の係止部をスカート部に設けている。このように、係止部を別途形成すると、蓋部材の設計の自由度が失われたり、材料費も余計にかかってしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、上蓋の開封前に密閉性が失われることなく、注出時における上蓋の保持部を別途設けることなく保持できる容器蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、蓋本体と該蓋本体に対して連結バンドで連結される上蓋とを備え、前記蓋本体は、容器口部に装着される基部と該基部の上側に設けられる注出筒部とを有し、前記基部は、環状上面壁と該環状上面壁の周縁から下方に延びる外側環状壁と該外側環状壁から間隔を開けて該環状上面壁の下面から下方に延びる内側環状壁とからなり、該外側環状壁と該環状上面壁と該内側環状壁とからなる嵌合部に容器口部が嵌合され、外側環状壁の下端には分離用スコアを介して連結され前記容器口部の外周面に係止される分離用バンドと、該分離用バンドから外側へ突出するように形成され、該分離用バンドを引き裂くための分離用摘みとを設け、前記注出筒部は、前記嵌合部の上端部を連結する環状上面壁から若しくは該環状上面壁周辺から上方へ突出し、その上端部で開封用バンドを介して前記上蓋と連結し、前記上蓋は、下部に前記開封用バンドを介して前記注出筒部に連結する封止筒部と、前記封止筒部の上部に配設された天面壁とを設け、前記開封用バンドと封止筒部との間には上開封用スコアを形成し、前記開封用バンドと前記注出筒部との間には下開封用スコアを形成して、前記封止筒部と注出筒部との間から前記開封用バンドの剥脱を可能とし、該開封用バンドの剥脱後は、前記封止筒部を前記注出筒部に嵌合することによって、前記上蓋を蓋本体に対して閉栓するようにした容器蓋において、前記上蓋の天面壁には前記分離用摘みに着脱可能な係合部を形成し、前記上蓋の開栓時に係合部を前記分離用摘みに係止させて上蓋を前記蓋本体に保持するようにした。
上記容器蓋の上開封用スコアは、前記封止筒部の下端外周面と前記開封用バンドの上端内周面との間に設けられ、前記下開封用スコアは、前記開封用バンド下端内周面と前記注出筒部の上端内周面との間に設けられていることが好ましい。
上記容器蓋の上蓋の天面壁には一対の突部を形成し、突部間に形成された凹部によって、前記分離用摘みを挟持することが好ましい。
上記容器蓋の前記突部間の間隔は一端側が狭く他端側を広く形成することが好ましい。
上記容器蓋の前記封止筒部には、周方向外側に突出する一条のビードを形成することが好ましい。
上記容器蓋は、前記連結バンドの前記蓋本体側の取付部を該蓋本体の外周面に設け、該取付部の下方に前記摘みを配置し、さらに開封用摘みを前記連結バンドに隣接させて配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、蓋本体と該蓋本体に対して連結バンドで連結される上蓋とを備えた容器蓋において、前記上蓋の天面壁には前記分離用摘みに着脱可能な係合部を形成し、前記上蓋の開栓時に係合部を前記分離用摘みに係止させて上蓋を前記蓋本体に保持するようにしたので、上蓋が分離用摘みに保持されることによって、内容物の注出時において、上蓋が邪魔になることがない。分離用摘みは、本来からあるものなので、特別に上蓋の保持部を形成する必要がなく、材料費の軽減を図ることができる。上蓋の取り外し時では、係合突部間に分離用摘みを挟持させているだけなので、取り外しも容易である。
また、上蓋のタンパーエビデント性としてサイドスコアを用いたリシール機構が打栓式キャップにおいて、初期密封性を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態による容器蓋の開封前の背面図である。
【図2】図1の容器蓋の平面図である。
【図3】図2のX−X方向における断面図である。
【図4】図1の開封用バンド除去後の上蓋閉栓時における容器蓋の側面図である。
【図5】図1の開封用バンド除去後の閉栓時における断面図である。
【図6】図1の開封用バンド除去後であって上蓋を分離用摘みに保持させた状態の側面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における容器蓋の開封前の平面図である。
【図8】図7の容器蓋のY−Y線方向の断面図である。
【図9】図7の開封用バンド除去後であって上蓋を分離用摘みに保持させた状態の側面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における開封用バンド除去前の平面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態における開封用バンド除去前の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の容器蓋について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態による上蓋の背面図、図2は平面図、図3は断面図、図4は側面図である。なお、本明細書では、図2で示す容器蓋の左側を容器蓋の正面(前)側とし、右側を背面(後)側とする。
図に示すように、合成樹脂によって形成される容器蓋1は、蓋本体2と蓋本体2に対して連結バンド3で接続される上蓋4とを備えている。容器蓋1は全体として射出成形等によって一体に形成され、ペットボトルなどの合成樹脂性容器、或いは、パウチ容器のスパウトに装着される打栓式キャップの全般に用いられる。
【0010】
蓋本体2は、容器口部7に装着される基部8と基部8の上側に設けられる注出筒部9とを有している。
基部8は、環状上面壁11cと該環状上面壁11cの周縁から下方に延びる外側環状壁11bと該外側環状壁11bから間隔を開けて該環状上面壁11cの下面から下方に延びる内側環状壁11aとからなり、該外側環状壁11bと該環状上面壁11cと該内側環状壁11aとからなる嵌合部11に容器口部7が嵌合されている。
外側環状壁11bの下端には、薄肉に形成された環状の分離用スコア12が形成され、環状の分離用バンド15に連結され、後述する分離用摘み16がある部分にて、縦方向破断部18(図1)が形成されている。一方、容器口部7には、口部7の外周面から内側に窪むウエスト部17の上方に係止顎部14が形成され、分離用バンド15の内周面にはウエスト部17内に入り込むようにして係止顎部14に係止される突部が形成されている。
【0011】
分離用バンド15の背面側には、分離用バンド15から突出し、分離用スコア12の引き裂くための分離用摘み16を連結している。分離用摘み16は、分離用バンド15の上下幅と同じ幅を有し、平面視(図2参照)では、環状の分離用バンド15の外周面から半径方向外側へ突出し、先端側の摘み本体16aが分離用バンド15の接線方向と平行に延びるように形成され、全体がL字形状に形成されている。摘み本体16aは、上下面と左右側面とが平行になるように、略直方体形状に形成されている(図1参照)。
分離用バンド15の分離用摘み16に対応する位置(左側端部)には、上述した縦方向破断部18(図1)が形成されており、縦方向破断部18の上端は分離用スコア12まで形成されており、下端は分離用バンド15の下端まで形成されている。
分離用摘み16を外側へ引っ張るようにすると、縦方向破断部18を起点として分離用スコア12が引き裂かれ、分離用バンド15と容器6の係止顎部14との係止状態が解除される。なお、縦方向破断部18の上端には、切欠き部を設けて、縦方向破断部18の破断を容易にすることもできる。
この分離用バンド15は、いわゆるいたずら防止として、分離用バンド15が正しく存在している場合では、閉栓状態が維持されることを保証するものである。
【0012】
蓋本体2の注出筒部9は、嵌合部11の環状上面壁11cの内周縁から上方へ突出している。注出筒部9の上端部には、薄肉部である下開封用スコア21を介して開封用バンド22が連結され、さらに開封用バンド22の上端部には薄肉部である上開封用スコア20を形成している。そして、上開封用スコア20を介して上蓋4が連結されている。上下開封用スコア20,21は注出筒部9及び上蓋4の円周方向に、かつ円形に形成され、上開封用スコア20は、封止筒部27の下端外周面と開封用バンド22の上端内周面との間に設けられ、下開封用スコア21は、開封用バンド22下端内周面と注出筒部9の上端内周面との間に設けられている。すなわち、開封用バンド22を取り除いた後、上蓋の封止筒部27を注出筒部9の内面壁に挿入することにより容器のリシールを行うことが可能となるのである。
開封用バンド22の背面には、開封用摘み23が形成されている。開封用摘み23は、開封用バンド22の外周から半径方向外側へ突出し、その先端から上方へ延び、上蓋4の位置で上蓋4の周方向へ向けて横向きに屈折している。開封用摘み23の上端側には、上蓋4と開封用摘み23とを連結するピン形状のブリッジ25が形成されている。ブリッジ25は開封用摘み23の先端を保持するものであり、指先による僅かな外力によって破断される。
開封用摘み23を外側円周方向へ引っ張ると、ブリッジ25による上蓋4と開封用摘み23との連結が解除されるとともに、上下開封用スコア20,21が引き裂かれ、開封用バンド22及び開封用摘み23は容器蓋1から分離される。なお、開封用バンド22の開封用摘み23との連結部に対応する位置(左側端部)には、上開封用スコア20と下開封用スコア21を連結する薄肉部が形成されている。
【0013】
上蓋4は、下側に封止筒部27を設け、上方側に天面部26を設けている。筒状の封止筒部27は、外側に突出する環状ビード28を形成し、環状ビード28の外径は、注出筒部9の上端側の内周面のリシール部30(図3)の内径よりも僅かに大きく形成されている。封止筒部27の上部には、封止筒部27の上部において周方向外側に突出し、リシール時に注出筒部9の上縁に当接する規制部32を形成している。規制部32は、下方に向くとともに環状形の平坦面を有している。
開封用バンド22が取り残された後は、封止筒部27をリシール部30に嵌合させて、上蓋4を注出筒部9の上端開口(リシール部20)に対して閉栓することができ、上蓋4を取り除くことによって開栓も可能にする(図5及び図6参照)。
【0014】
また、上蓋4の天面部26には、天面壁33を囲繞するようにして該天面壁33の外周から上方へ突出する環状の外周壁35を形成している。外周壁35の外周面には、正面側に上蓋4を開栓するための開栓用摘み29を設け、開栓用摘み29は外周壁35の外周面から庇状に外側に突出するように形成されている。
外周壁35の背面側下部には、蓋本体2と上蓋4とを連結する帯状の連結バンド3の一端を連結し、連結バンド3の他端は注出筒部9の背面側の外周面における上下方向のほぼ中間位置に連結されている。
したがって、図1に示すように、容器蓋1の背面側には、連結バンド3と、開封用バンド22を引き裂くための開封用摘み23と、分離用バンド15を引き裂くための分離用摘み16が配設されている。そして、開封用摘み23のアーム23aが連結バンド3と左右に隣接し、連結バンド3と分離用摘み16が、容器蓋1における同じ周角度の上下関係の位置に配設されている。
【0015】
上蓋の平坦な天面壁33の上面には、係合突部37,38が形成されている。係合突部37,38は天面壁33の上面から上方へ突出し、図2に示すように、容器蓋1の正面から背面を結ぶ中心線よりも一方の(図面中心線の下)側に、換言すれば分離用摘み16がある側に配設されている。詳しくは、係合突部37,38は一方向へ延びる直方体形状であって、係合突部37,38の一端を前記中心線上に配置し、他端を容器蓋1の側方(摘み本体16aがある方)に延びるように形成されている。平行に配置される係合突部37と38間の間隔L1は、分離用摘み16の高さよりも同じか僅かに小さく形成され、上蓋4を開栓したときに、係合突部37,38によって形成された凹部間に分離用摘み16を挟持したり、取り外ししたりするように形成されている。一方の係合突部37の長さは、外周壁35に干渉しないように、他方の係合突部38よりも短く形成されている。係合突部37の高さは、外周壁35と同じ高さか若干低く形成されている。
なお、係合突部37,38の一端を中心線上に合わせて配置したが、分離用摘み16を挟持できる範囲であれば、他端側の位置も併せて制限されることはない。
更に、係合突部37と係合突部38の間の面を上方に行くに従い遠ざかる方向に傾斜して延びていても良い。このようにすることにより係合突部37と係合突部38間に分離用摘み16を固定し易くすることが可能となる。即ち、この場合、分離用摘み16の高さを係合突部37と38との間隔L1内に設定することができるのである。
【0016】
次に、本発明の実施形態による容器蓋の作用について説明する。
本願発明は、容器蓋1を容器6の容器口部7に装着(打栓)する場合に、注出筒部9を含めて注出筒部9よりも上側には、余計な力が負荷することなく、基部8の環状上面壁11cのみに負荷がかかる。よって、開封用バンド22の上下に形成した薄肉部である開栓用スコア20,21が容器蓋1の打栓時において、開栓用スコア20,21よりも大きな部位を乗り越えるようなことがなく、開栓用スコア20,21が破損されることがない。基部8については、従来の容器口部7との連結構造を使用でき、基部8よりも上方部分については、完全に密閉がされるので、容器の密閉性が確保される。
【0017】
容器蓋1を開封するときには、開封用摘み23を摘んで、開封用バンド22を外側へひっくり返すようにして引き裂くようにする。開封用バンド22の上下には開封用スコア20,21が周方向に形成されているので、それらの開封用スコア20,21が破断され、開封用バンド22を外すことができる。開封用摘み23は、連結バンド3に隣接して配置されており、開封用バンド22は開封用摘み23を起点にして、連結バンド3がある側と反対側に向けて破断するので、連結バンド3が破断時において、途中で邪魔になることがない。破断の終了時においては、連結バンド3の内側から開封用バンド22を引き裂くことができ、連結バンド3が開封用バンド22を引き裂くときに邪魔になることがない。
なお、開封用バンド22の開封用摘み23との連結部に対応する位置(左側端部)には、上開封用スコア20と下開封用スコア21を連結する薄肉部が形成されていて、開封用スコア20,21の初期の破断を容易にしている。
【0018】
開封用バンド22が引き裂かれた後は、蓋本体2と上蓋4が分離されるが、連結バンド3を介して連結されることになる。
蓋本体2に上蓋4を閉栓させるときは、図5に示すように、注出筒部9の上端部に開口されたリシール部30に封止筒部27を嵌合させ、規制部32がリシール部30の上端に当接するまで封止筒部27を押し込む。封止筒部27に形成された環状ビード28はリシール部30に密着するので、上蓋4の閉栓時において容器内の密閉性を確保できる。
【0019】
容器6の内容物を注出するときは、上蓋4を蓋本体2の注出部9から取り外して使用するが、上蓋4は連結バンド3を介して蓋本体2に連結されているので、紛失することがない。
内容物の注出時では、上蓋4が連結バンド3のフリー端側に支持されるので、内容物が注がれているときに上蓋4が邪魔になることがある。これを防止する手だてとして、上蓋4に形成した係合突部37,38の間の凹部によって分離用摘み16を挟持させて、図6に示すように、上蓋4を分離用摘み16に保持させる。このように、上蓋4が分離用摘み16に保持されることによって、上蓋4が邪魔になることがない。分離用摘み16は、容器6使用後に容器6から容器蓋1を取り除く時に必要なものであり、特別に上蓋4の保持部を形成する必要がなく、材料費の軽減を図ることができる。上蓋4の取り外し時では、係合突部37,38間に分離用摘み16を挟持させているだけなので、取り外しも容易である。
容器6が空になった後は、廃棄物の分別として容器6と容器蓋1との分離を行うが、この場合は、分離用摘み16を摘んで、分離用バンド15の分離用スコア12を破断する。すると、分離用バンド15と容器6の係止顎部14の係止状態が解除され、容器蓋1を容器口部7から取り除くことができる。
【0020】
このように、本願発明は、上蓋4の開封前に密閉性が失われることなく、注出時における上蓋4の保持部を別途設けることなく保持できる容器蓋1を提供するものである。
また、本実施形態における容器蓋1は、図1〜図3に示すような形態で、成形用金型内で一体成形される。通常の容器蓋では、開封用バンド22がなく、上蓋を水平方向へ開いた状態で一体成形される。そのため、成形用金型では、上蓋の面積と蓋本体側の面積(及び連結部材)を併せた分だけスペースを要するが、本実施形態では一直線上に上蓋4と蓋本体2とが、ほぼ並んでいるので成形金型の面積を要することなく、成形用金型の大きさを小さくできる効果もある。さらに、前者の成形金型(従来)の成形後は上蓋を蓋本体に閉じる作業が必要となるが、本願発明は上蓋4と蓋本体2とが開封用バンド22を介して連結されているので、そのような作業を省略する効果がある。
【0021】
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態では、上記第1の実施形態において、係合突部37,38の位置が異なり、係合突部37,38以外の構造は、上記第1の実施形態と同じであるので、その詳細な説明を省略し、上記実施形態と同じ符号を付す。
図7に示すように、上蓋4の平坦な天面壁33の上面には、係合突部41,42が形成されている。係合突部41,42は天面壁33の上面から上方へ突出している。係合突部41,42は直方体形状であって、容器蓋1の正面から背面を結ぶ中心線に対して、長尺方向が延び且つ互いに平行になるように延びている。一方の係合突部41は、内側の面を前記中心線上に配置し、すなわち、分離用摘み16の中心線側の一端面に一致させ、他方の係合突部42の内側の面を分離用摘み16の他端側の端面に一致させている。
平行に配置される係合突部41と42間の間隔L3は、分離用摘み16の幅L4よりも同じか僅かに小さく形成され、上蓋4を開栓したときに、係合突部41,42によって形成された凹部間に分離用摘み16を挟持したり、取り外しができるように形成されている。
なお、係合突部41,42の位置については、分離用摘み16を挟持できる範囲であれば制限されることはない。
このように、本実施形態における係合突部41,42は、延在方向が上記第1の実施形態とは向きが90度異なるが、このように形成しても上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0022】
次に、本発明の第3の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態では、上記第1の実施形態において、係合突部37,38の位置が異なり、係合突部37,38以外の構造は、上記第1の実施形態と同じであるので、その詳細な説明を省略し、上記実施形態と同じ符号を付す。
図10に示すように、上蓋4の平坦な天面壁33の上面には、係合突部43,44が形成され、係合突部43,44は天面壁33の上面から上方へ突出している。係合突部43,44は断面が四角形のほぼ直方体形状であって、容器蓋1の正面から背面を結ぶ中心線に対して、長尺方向がやや傾斜して延びている。一方の係合突部43は、中心線上に位置するように配置し、他方の係合突部44を分離用摘み16のある側に配置させている。そして、係合突部43,44の間隔は分離用摘み16のある側が狭く、それらの端部間は分離用摘み16の横幅よりも小さく、分離用摘み16のある側と反対側(開栓用摘み29側)は広く、それらの端部間は分離用摘み16の横幅よりも大きく形成されている。
上蓋4を開栓したときには、係合突部43と44間に形成された凹部間に分離用摘み16の横幅間を挟持するようにして、容器蓋1を分離用摘み16に保持させることができる。こうして、係合突部43と44との間に傾斜を設けることによって、分離用摘み16に入れやすく次第にきつくなるようにし、また、上記第1の実施形態の効果をそのまま有するようにしている。
【0023】
次に、本発明の第4の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態では、上記第1の実施形態において、係合突部37,38の位置が異なり、係合突部37,38以外の構造は、上記第1の実施形態と同じであるので、その詳細な説明を省略し、上記実施形態と同じ符号を付す。
図10に示すように、上蓋4の平坦な天面壁33の上面には、係合突部45,46が形成され、係合突部45,46は天面壁33の上面から上方へ突出している。係合突部45,46は断面が四角形のほぼ直方体形状であって、容器蓋1の正面から背面を結ぶ中心線に対して、一方の係合突部45は、長尺方向が直角になるように延び、他方の係合突部46は中心線の直角方向に対してやや長尺方向が傾斜して配置させている。そして、係合突部45,46の間隔は中心線側が広く、それらの端部間は分離用摘み16の縦幅よりも大きく、中心線側と反対側は狭く、それらの端部間は分離用摘み16の縦幅よりも小さく形成されている。
上蓋4を開栓したときには、係合突部45と46間に形成された凹部間に分離用摘み16の縦幅間を挟持するようにして、容器蓋1を分離用摘み16に保持させることができる。こうして、係合突部45と46との間に傾斜を設けることによって、分離用摘み16に入れやすく次第にきつくなるようにしている。また、上記第1の実施形態の効果をそのまま有するようにしている。
【0024】
以上、本発明を実施形態に基づいて添付図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、更に他の変形あるいは変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、分離用摘み16を一対の係合突部によって挟持するようにしたが、本実施形態における上蓋において外周壁35がないような上蓋では、上蓋の天面壁に分離用摘み16を内部に収容する凹(孔)部を形成して、凹部に分離用摘み16を差し込んで上蓋4を保持させるようにしてもよい。
また、上蓋4に引っかけ部を形成し、L字形状の分離用摘み16に該引っかけ部を引っかけるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 容器蓋
2 蓋本体
3 連結バンド
4 上蓋
6 容器
7 容器口部
8 基部
10 注出筒部
11 嵌合部
11a 内側環状壁
11b 外側環状壁
11c 環状上面壁
12 分離用スコア
14 係止顎部
15 分離用バンド
16 分離用摘み
22 開封用バンド
23 開封用摘み
26 天面部
27 封止筒部
29 開栓用摘み
30 リシール部
33 天面壁
37,38,41〜46 係合突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋本体と該蓋本体に対して連結バンドで連結される上蓋とを備え、
前記蓋本体は、容器口部に装着される基部と該基部の上側に設けられる注出筒部とを有し、
前記基部は、環状上面壁と該環状上面壁の周縁から下方に延びる外側環状壁と該外側環状壁から間隔を開けて該環状上面壁の下面から下方に延びる内側環状壁とからなり、該外側環状壁と該環状上面壁と該内側環状壁とからなる嵌合部に容器口部が嵌合され、外側環状壁の下端には分離用スコアを介して連結され前記容器口部の外周面に係止される分離用バンドと、該分離用バンドから外側へ突出するように形成され、該分離用バンドを引き裂くための分離用摘みとを設け、
前記注出筒部は、前記嵌合部の上端部を連結する環状上面壁から若しくは該環状上面壁周辺から上方へ突出し、その上端部で開封用バンドを介して前記上蓋と連結し、
前記上蓋は、下部に前記開封用バンドを介して前記注出筒部に連結する封止筒部と、前記封止筒部の上部に配設された天面壁とを設け、
前記開封用バンドと封止筒部との間には上開封用スコアを形成し、前記開封用バンドと前記注出筒部との間には下開封用スコアを形成して、前記封止筒部と注出筒部との間から前記開封用バンドの剥脱を可能とし、
該開封用バンドの剥脱後は、前記封止筒部を前記注出筒部に嵌合することによって、前記上蓋を蓋本体に対して閉栓するようにした容器蓋において、
前記上蓋の天面壁には前記分離用摘みに着脱可能な係合部を形成し、前記上蓋の開栓時に係合部を前記分離用摘みに係止させて上蓋を前記蓋本体に保持するようにしたことを特徴とする容器蓋。
【請求項2】
前記上開封用スコアは、前記封止筒部の下端外周面と前記開封用バンドの上端内周面との間に設けられ、前記下開封用スコアは、前記開封用バンド下端内周面と前記注出筒部の上端内周面との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の容器蓋。
【請求項3】
前記上蓋の天面壁には一対の突部を形成し、突部間に形成された凹部によって、前記分離用摘みを挟持することを特徴とする請求項1又は2に記載の容器蓋。
【請求項4】
前記突部間の間隔は一端側が狭く他端側を広く形成することを特徴とする請求項1又は3に記載の容器蓋。
【請求項5】
前記連結バンドの前記蓋本体側の取付部を該蓋本体の外周面に設け、該取付部の下方に前記摘みを配置し、さらに開封用摘みを前記連結バンドに隣接させて配置することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−188123(P2012−188123A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50785(P2011−50785)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000228442)日本クラウンコルク株式会社 (382)
【Fターム(参考)】