説明

容器配置装置及びそれを備える薬剤払出システム

【課題】新たな容器配置装置及びそれを備える薬剤払出システムを提供する。
【解決手段】薬剤払出システム100において、容器配置ユニット23は、トレイ1をカート30内に配置する。容器配置ユニット23は、ヘッド4を備える。ヘッド4は、トレイ1をカートの奥行き方向であるx軸方向へ移動させると共に、トレイ1の挿入が開始されてから完了する前までの間における第1位置(例えば“C”)及び第2位置(例えば“E”)において、トレイ1の前記棚に対する傾きを、それぞれ、互いに異ならせ、かつ挿入完了時のトレイ1の傾きと異ならせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を棚に配置する容器配置装置、及びそれを備える薬剤払出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病院などの医療施設では、患者毎の処方箋データに基づいて、薬剤を自動で選択して、容器に払い出すシステムが用いられている。
また、運搬の労力を省くために、薬剤を受け取った容器を、棚に自動的に収納するシステムも提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、以下に述べるバケット搬送装置が記載されている。
バケット搬送装置は搬送部を備え、搬送部は、支持アームと、支持アームの先端に設けられた保持部材と、を備える。保持部材は、一対の開閉アームと、開閉アームの下端に設けられた保持片を有する。バケット搬送装置は、開閉アームを閉じることで、保持片によってバケットを両側から保持する。そして、収納棚のガイド溝の上方側にバケットの鍔部を挿入可能な高さへと、支持アームを移動させる。バケット搬送装置は、支持アームの下方に、その長手方向に沿って往復移動する押出部材を有する。
【0004】
特許文献1のカートは、上下左右に複数の収納棚を備えた枠体形状で、下端部の4隅にはキャスターが設けられる。収納棚は、両側に形成されたガイド溝によって、バケットの縁部を支持できる。ガイド溝を構成する下縁部の両端には、突起がそれぞれ形成されている。また、突起の内側には、逃がし凹部が形成されている。ガイド溝を構成する上縁部の両端には、下縁部のガイド凹部に対応する位置に、突起がそれぞれ形成されている。
【0005】
このバケット搬送装置は、次のように動作する。
搬送部は、収納棚のガイド溝の上方側にバケットの鍔部を挿入可能な高さへと支持アームを移動させる。そして、押出部材を前進させて、ガイド溝を構成する下縁部でバケットの前端側の鍔部を支持すると共に、カート側へと前進させる。これにより、バケットが収納棚に進入し、バケットの前端部が、ガイド溝を構成する下端部における突起のうちの進入側の突起を越えて、位置決めされる。
【0006】
ここで、昇降用モータが駆動され、開閉アームが開放される。開閉アームの開放により、保持片が徐々に離間しながら下降する。その結果、保持片による保持が解除され、その状態で、バケットの前端側の鍔部がガイド溝を構成する下縁部に載置され、バケット自体は斜め下方に向かって傾斜する。このため、押出部材を前進させれば、バケットは、ガイド溝を構成する下縁部の突起に干渉することがない。また、逃がし凹部が形成されているので、バケットは、ガイド溝を構成する上縁部の突起に干渉することもない。収納完了後、搬送部は、押出部材を後退させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4153772号(特開2004-137050号公報(2004年5月13日公開))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の技術では、バケットの前端が収納棚に侵入した状態で、保持片が互いに離間しながら下降することで、バケットが傾斜する。その結果、バケットの前端がガイド溝に当接する。そして、この状態で押出部材が前進することで、バケットは、一定の傾きを保ったまま、収納棚の奥まで侵入する。つまり、バケットが一旦傾いた後は、前進が終わるまで、その傾きが保持される。
【0009】
このように、バケットの傾きが一定に保たれた状態で、バケットの移動が行われることにより、収納棚、特にガイド溝の形状が制限される。棚及び容器の形状は様々であり、新たな容器配置装置が求められている。
【0010】
そこで、本発明は、容器配置装置に関する新たな技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の容器配置装置は、容器を棚内に配置する容器配置装置であって:前記容器を前記棚の奥行き方向に移動させることで、前記棚内に前記容器を挿入する容器挿入部と;前記容器の一部が前記棚に挿入された後かつ前記容器の挿入が完了する前における第1位置及び第2位置において、前記容器の前記棚に対する傾きを、それぞれ第1角度及び前記第1角度とは異なる第2角度とし、前記第1角度及び第2角度を、挿入が完了したときの前記容器の前記棚に対する傾きとは異なる角度とする、傾き変更部と;を備える。
【0012】
また、第1の容器配置装置は、薬剤払出システムに適用可能である。
【発明の効果】
【0013】
第1の容器配置装置によれば、容器の傾きは、棚内の異なる位置、すなわち、第1位置、第2位置、挿入完了時の位置の少なくとも3箇所で、互いに異なる角度となる。
よって、容器を一定の角度に保つよりも、棚に対する制限を緩和させる可能性のある技術を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態の薬剤払出システム100の構成を示す正面図。
【図2】薬剤払出システム100の内部を上から見た図。
【図3】トレイ配置ユニット23の構成を示す図であり、ヘッド4の3つの状態(下から順に、下降時、トレイ挿入時、待機時)を示す図。
【図4】ヘッド4の平面図。
【図5】ヘッド4を図4の視点Aから見た側面図。説明の便宜上、アーム61等の部材は省略されており、本体部71が断面図として描かれている。また、回転装置52が併せて描かれている。
【図6】ヘッド4を図4の視点Bから見た側面図。説明の便宜上、本体部71が断面図として描かれている。
【図7】図5の回転子を拡大した図。
【図8】図6の回転子を拡大した図。
【図9】ヘッド4における回転子72及びトレイ1の移動を示す図。
【図10】トレイ1の挿入時の回転子72の移動を示す図。説明の便宜上、1つの図中に複数の回転子72、アーム61、及びトレイ1等が描かれており、これらは、上から下に向かって、時間の経過を表している。
【図11】トレイ1の斜視図。
【図12】トレイ1のX‐X矢視断面図。
【図13】カート30の概略構成を示す図。
【図14】カート30の一部を表す図であり、図13の左方からカート30を見た図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1実施形態〕
[1.薬剤払出システム100の概要]
本発明の一実施形態に係る薬剤払出システム100について、図1〜図10を参照して説明する。
【0016】
なお、以下、「上」、「下」等の方向を示す文言は、通常の薬剤払出システム100の設置姿勢における方向を指す。つまり、「下」は重力方向を、「上」はその逆方向を指す。以下で参照する図面の中には、x、y、zの方向軸が表記されているものがある。y軸方向は上下方向、x軸、z軸方向は水平方向である。
【0017】
薬剤払出システム100は、患者毎の処方箋データに基づいて、薬剤のセットをトレイ1(容器)に払い出す。
具体的には、薬剤払出システム100は、図1に示すように、システム管理ユニット10と、払出装置20と、を備える。薬剤払出システム100は、薬剤払出システム100中の各装置を互いに接続するLANを、さらに備える。
【0018】
[2.システム管理ユニット10]
システム管理ユニット10は、操作者から電子カルテシステム等による処方箋データの入力を受け付けて、患者毎の処方箋データを電子データとして記憶及び管理する。また、システム管理ユニット10は、LANを介して払出装置20に種々の指示信号を出力する。システム管理ユニット10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びその他の記録媒体を備える。後述されるシステム管理ユニット10の各種機能は、CPUが、RAM等の記録媒体中に記録されたプログラムを読み出して実行することで、実現される。
【0019】
[3.払出装置20]
払出装置20は、トレイ1に薬剤を投入し(すなわち払い出し)、さらに薬剤を収容したトレイ1を、カート30(棚)内に配置する。
【0020】
具体的には、図1及び図2に示すように、払出装置20は、トレイ供給ユニット21、払出ユニット22、トレイ配置ユニット(容器配置装置)23、及び搬送路24を備える。トレイ供給ユニット21、払出ユニット22、及びトレイ配置ユニット23は、この順に並べられている。
【0021】
<3−1.搬送路24>
図1及び図2に示すように、搬送路24は、トレイ1を、トレイ供給ユニット21から払出ユニット22へ、さらに払出ユニット22からトレイ配置ユニット23へと搬送する。言い換えると、搬送路24は、x軸方向にトレイ1を移動させる。
搬送路24は、具体的には、いわゆるベルトコンベアによって構成可能である。すなわち、搬送路24は、ベルトと、ベルトを回転させる駆動装置とを備える。
【0022】
<3−2.トレイ供給ユニット21>
トレイ供給ユニット21は、空のトレイ1を払出ユニット22に送り込む。
具体的には、トレイ供給ユニット21は、上下方向に積まれた複数のトレイ1を収容する。トレイ供給ユニット21は、アームと、このアームを駆動する駆動装置と、を備える(図示せず)。駆動装置は、システム管理ユニット10からの指示に従い装置制御部25から出力された指示信号に基づいて、アームを動かすことで、収容されているトレイ1を1つずつ搬送路24に供給する。
【0023】
<3−3.払出ユニット22>
図1に示すように、払出ユニット22は、薬剤収納部22a及びピックアップ部22bを備える。
【0024】
薬剤収納部22aは、種々の薬剤を、定められた位置に収納する。ピックアップ部22bは、薬剤を掴んだり離したりするピックアップ部材と、薬剤収納部22aに対して、上下左右に延びるガイド機構と、このガイド機構に沿ってピックアップ部材を移動させる移動機構と、を備える。
【0025】
ピックアップ部22bにおいて、移動機構は、システム管理ユニット10からの指示に従い装置制御部25から出力された指示信号に基づいて、ピックアップ部材を目的の薬剤の収納位置まで移動させる。ピックアップ部材が薬剤をピックアップすると、移動機構は、ピックアップ部材をトレイ1上に移動させる。ピックアップ部材はトレイ1上で薬剤を離す。
【0026】
図2に示すように、1つのトレイ1には、1又は複数の薬剤が投入される。例えば、図2では、プラボトル、アンプルバイアル等が順に投入される。プラボトル及びアンプルバイアルが、それぞれ複数投入されることもある。また、薬剤だけでなく、ラベル及び注射箋等が投入されてもよい。
【0027】
払出ユニット22は、複数回動作することで、複数の薬剤(ラベル及び注射箋を含む)を1セットとしてトレイ1中に払い出すことができる。また、払出ユニット22は、複数のピックアップ部22bを備えることで、複数の薬剤を並行してピックアップすることもできる。また、複数の払出ユニット22が、トレイ1の搬送方向において複数並べて設けられてもよい。
【0028】
<3−4.トレイ配置ユニット23>
≪3−4−1.概略構成≫
トレイ配置ユニット23は、容器配置装置の一例であり、トレイ1をカート30内に配置する。
【0029】
トレイ配置ユニット23は、図1及び図3に示すように、ヘッド4、ヘッド移動装置5、カート移動装置231を備える。なお、図3では、説明の便宜上、ヘッド4が3箇所に描かれているが、実際には、1つのトレイ配置ユニット23は1つのヘッド4を備える。
【0030】
ヘッド4は、挿入部及び傾き変更部として機能する。挿入部は、トレイ1をカート30の奥行き方向(図10、図13の右方向)に移動させることで、トレイ1をカート30の各段に挿入する。傾き変更部は、トレイ1のカート30に対する傾きを変更させる。
【0031】
≪3−4−2.ヘッド4≫
ヘッド4は、図4〜図6に示すように、アームユニット6、回転ユニット7、傾き調整部材8等を備える。
【0032】
(i)アームユニット6
図4〜図6に示すように、アームユニット6は、2つのアーム61、アーム用モータ62、2つのリンク63、回転体64を有する。
【0033】
アームユニット6の個々の部材について説明する。2つのアーム61は、一方向に長い形状の部材であり、向かい合うように配置される。アーム61は、その長手方向が後述の本体部71の直線部分に平行になるように、配置される。図6に示すように、アーム61は、その横断面(アーム61の短手方向の断面)において、他方のアーム61に向かって突出する突起61aを有する。個々のアーム61はそれぞれ、リンク63で回転体64に接続される。回転体64は、アーム用モータ62に接続される。
【0034】
アームユニット6の動作について説明する。アーム用モータ62が稼動することで、回転体64が回転する。この回転によって、リンク63が移動する。その結果、アーム61間の距離が狭まる。また、アーム61間の距離は、モータ62の逆回転によって広げられる。
【0035】
(ii)回転ユニット7
回転ユニット7は、本体部71及び回転子72を有する。
(ii−1)本体部71
本体部71(交差方向移動機構の一部、第1方向移動機構)の構成について説明する。本体部71は、2枚の回転ガイド部材711、プーリ712及び713、ベルト714、ベルト用モータ715を備える。図4に示すように、本体部71の外形は、一方向に長い略長方形状であり、長辺に該当する部分は直線であり、短辺に該当する部分が、外側に膨らむ半円形状である。つまり、本体部71は、その外形において、直線部分及びアール部分(半円形状部分)を有する。
【0036】
回転ガイド部材711は、z−x平面における本体部71の外枠を構成する。すなわち、回転ガイド部材711は、直線部分711S及びアール部分711Rを有する。回転ガイド部材711は、1つの部材で構成されてもよいし、複数の部材が組み立てられることで形成されていてもよい。2つの回転ガイド部材711は、プーリ712及び713を挟むように、y軸方向に並べて配置される。
【0037】
回転ガイド部材711は、その対向面に、ガイド溝711aを有する。ガイド溝711aは、z−x平面において、回転ガイド部材711の外縁を一周するように設けられる。つまり、ガイド溝711aは、直線部分とアール部分とを有する。
【0038】
プーリ712及び713は、2つの回転ガイド部材711間に、その回転軸がy軸方向に沿うように配置される。プーリ712は、その外形が、回転ガイド部材711のアール部分711Rのうちの一方に沿うように配置される。プーリ713は、その外形が、他方のアール部分711Rに沿うように配置される。
【0039】
ベルト714は、環形のベルト部材である。ベルト714は、環形の内面がプーリ712及び713に接するように配置される。言い換えると、プーリ712及び713は、ベルト714の環形の内側に配置される。ベルト714は、このように配置されることで、ガイド溝711aよりも回転ガイド部材711のほぼ内周側に、ガイド溝711aの形状に沿うように配置される。なお、ベルト714とガイド溝711aの位置関係は、これに限定されるものではない。
【0040】
ベルト用モータ715は、プーリ712に接続される。ベルト用モータ715の回転によって、プーリ712が図4における反時計回りに回転する。その結果、ベルト714が同方向に回転し、その回転に伴ってプーリ713も回転する。
【0041】
(ii−2)回転子72
回転ユニット7の回転子72について説明する。回転子72は、図4〜図8に示すように、4つのローラ721、垂直方向移動部722(交差方向移動部の一部)、チャックユニット723(第1保持部)、仲介部材726を有する。
【0042】
ローラ721は、2つずつ、上下に並ぶように配置される。上側の2つのローラ721は、上側の回転ガイド部材711のガイド溝711aに嵌り、下側の2つのローラ721は、下側の回転ガイド部材711のガイド溝711aに嵌る。全てのローラ721は、その回転軸がy軸方向に沿うように、配置される。ローラ721は、仲介部材726を介して、回転可能な状態で垂直方向移動部722に接続される。
【0043】
垂直方向移動部722は、枠722a、2本のバネ芯722b、バネ722cを備える。枠722aは、バネ芯722bを保持する部材である。枠722aには、仲介部材726が取り付けられている。バネ芯722bは、円柱形状の部材である。2本のバネ芯722bは、その円柱形状の高さ方向がy軸方向に沿うように並べられ、枠722aに固定される。バネ722cは、バネ芯722bの周囲に巻きつけられている。言い換えると、バネ芯722bは、バネ722cに囲まれるように配置されている。バネ722cの上側の端は枠722aに、下側の端はチャックユニット723に固定される。つまり、バネ722cは、チャックユニット723に、下向きの力を加える。
【0044】
チャックユニット723は、可動部材723a、バネ芯723b、バネ723c(チャック付勢部材)、第1チャック部材723d及び第2チャック部材723e、チャック芯723f等を有する。
【0045】
図7及び図8に示すように、可動部材723aには、垂直方向移動部722のバネ芯722bが貫通している。また、可動部材723aには、垂直方向移動部722のバネ722cの下側の端が固定される。可動部材723aの下部には、ローラ723iが回転可能に取り付けられている。ローラ723iは、その回転軸が水平方向、特に本体部71の長手方向に平行になるように、配置される。
【0046】
バネ芯723bは、円柱形状の部材であり、可動部材723aに固定される。バネ芯723bは、その円柱形状の高さ方向が、y軸方向に沿うように配置される。バネ芯723bは、第1チャック部材723dを貫通する。バネ芯723bは、その上端近傍で可動部材723aに固定される。バネ芯723bの下端は、第2チャック部材723eに固定される。
【0047】
バネ723cは、バネ芯723bの周りに巻きつけられている。バネ723cの上端は可動部材723aに固定され、下側の端は第1チャック部材723dに固定される。つまり、バネ723cは、第1チャック部材723dに、下向きの力を加える。
【0048】
第1チャック部材723dは、第2チャック部材723eと向かい合うように配置される。第1チャック部材723dは第2チャック部材723eの上方、かつ可動部材723aの下方に配置される。第1チャック部材723dは、第2チャック部材723eに向かって、つまり下方に向かって突出する爪723gを有する。また、第2チャック部材723eは、第1チャック部材723dの爪723gと向かい合う位置に、上方向に突出する、つまり爪723gに向かって突出する爪723hを有する。
【0049】
チャック芯723fは、円柱状の部材であり、その円柱形状の高さ方向が、y軸方向に沿うように配置される。チャック芯723fの下端は、第2チャック部材723eに固定される。チャック芯723fは、第1チャック部材723dに設けられた凹部に嵌るように配置される。言い換えると、第1チャック部材723dは、チャック芯723fに沿って、上下に移動可能に設けられている。チャック芯723fの上端は、第1チャック部材723dの上方に位置する。
【0050】
仲介部材726は、上述したように、ローラ721と垂直方向移動部722とを接続する。図8に示すように、ローラ721が溝711aに嵌ることで、仲介部材726は、ベルト714に接するように配置される。
【0051】
(iii)傾き調整部材8
傾き調整部材8(交差方向移動機構の一部)は、図5に示すように、仲介部材81によって、本体部71の直線部分に固定されている。傾き調整部材8は、傾斜部分8a及び8bを有する板状部材である。具体的には、傾き調整部材8の外形は、略等脚台形状であって、平行な2辺のうち、短辺(上辺)が上になるように配置される。すなわち、傾き調整部材8は、台形形状を成し、本体部71の長手方向に沿って延びる水平部分8cと、台形の斜辺に該当する傾斜部分8a及び8bとを有する。傾き調整部材8の台形面は、その平面が、y軸方向に平行になるように配置される。傾斜部分8aと傾斜部分8bとの間の距離の最短値は水平部分8cの長さに該当し、傾斜部分8a及び8bは、下方側ほど互いに離れるように配置されている。
【0052】
≪3−4−3.ヘッド移動装置5≫
図3に記載するように、ヘッド移動装置5は、リフト装置51及び回転装置52を有する。
【0053】
リフト装置51は、ヘッド4を上下方向に移動させる。具体的には、リフト装置51は、昇降部511を有すると共に、ベルト、レール、モータ等を有する。昇降部511は、回転装置52を介して、ヘッド4に取り付けられている。モータの駆動によって、昇降部511が上下することで、ヘッド4が上下に移動する。
回転装置52は、ヘッド4に取り付けられている。回転装置52は、モータ、ギヤ等を有する。モータが動作することで、回転装置52は、ヘッド4を回転させる。
【0054】
≪3−4−4.カート移動装置231≫
カート移動装置231は、図1及び図2に示すように、カート用アーム231aを有する。また、カート移動装置231は、モータ及びギヤ等を有し、カート用アーム231aを水平方向に移動させる。カート30は、底部にボス39を備えている(図13)。カート移動装置231は、カート用アーム231aによって、カート30のボス39を図2の太矢印方向に押すことで、カート30を白矢印方向へ移動させる。
【0055】
≪3−4−5.トレイ配置ユニット23の動作≫
(i)トレイ1の保持
トレイ供給ユニット21からトレイ配置ユニット23に至るまで、トレイ1は、トレイ1の短手方向が搬送方向(x軸方向)と平行である状態で、搬送される。トレイ1がトレイ配置ユニット23に到達すると、以下の動作が行われる。
【0056】
トレイ配置ユニット23のリフト装置51は、ヘッド4を下降させる。このときのヘッド4の向きは、アーム61がトレイ1の長手方向(z軸方向)に平行になる向きである。また、アーム61は開かれた状態である。つまり、アーム61間の距離は、トレイの幅よりも広くなっている。
【0057】
アーム61がトレイ1の横まで降りると、アーム用モータ62によって、上述したように、アーム61が閉じられる。つまり、アーム61間の距離が狭まる。このとき、図6に示すように、トレイ1の肉厚部11の下側にアーム61の突起61aが接触する。
【0058】
こうしてアーム61がトレイ1を掴んだ状態で、リフト装置51は、カート30におけるトレイ1を配置すべき位置まで、ヘッド4を上昇させる。ヘッド4が目的の位置に達すると、リフト装置51によるヘッド4の移動が停止される。そして、ヘッド4がこの位置に保たれた状態で、回転装置52がヘッド4を90度回転させる。その結果、トレイ1の長手方向が、搬送路24における搬送方向(x軸方向)と一致する。
【0059】
(ii)トレイ1の挿入
上記(i)のようにトレイ1が持ち上げられた後、トレイ1の挿入が行われる。具体的には、以下の通りである。以下、図10のA〜Gに沿って説明する。
【0060】
なお、トレイ1の配置についての説明において、「右」、「左」とは、図9及び図10における方向を指す。「右」、「左」は、トレイ1の挿入方向に基づくと、「前」、「後」と言い換えてもよい。すなわち、図9及び図10において、トレイ1は左から右へ移動するので、「前端」は図9及び図10における「右端」であり、「後端」は「左端」である。
【0061】
また、以下の説明において、カート30の上方突起34、下方突起35、窪み36とは、特に言及しない限り、カート30の挿入方向手前側(図10における左側)の上方突起34、下方突起35、及び窪み36を指す。
【0062】
(A)
アーム61がトレイ1を掴んでから、挿入が開始されるまでの間に、チャックユニット723によりトレイ1が保持される。
【0063】
具体的には、ヘッド4が目的の位置に達すると、ベルト用モータ715が稼動する。モータ715の稼働によって、上述したように、ベルト714が図9における反時計回りに回転する。仲介部材726がベルト714に接しているので、ベルト714の回転によって、回転子72は同方向に移動する。つまり、回転子72は、初期位置P1から右方向へ移動する。このとき、ローラ721が回転することで、回転子72と溝711aとの摩擦が低減され、回転子72はスムーズに移動することができる。こうして、回転子72が、本体部71の周囲を公転する。図4において、回転子72は、初期位置P1から右方向に移動する。
【0064】
回転子72の移動により、チャックユニット723がトレイ1の左端に押し付けられる。上述したように、第1チャック部材723dは、上下に移動可能に設けられている。よって、第1チャック部材723dは、トレイ1の左端によって上に押し上げられる。その結果、第1チャック部材723dの爪723gは肉厚部11を越え、第2チャック部材723eの爪723fは肉厚部11を越えて凹部13に嵌る(図12)。こうして、第1チャック部材723dと第2チャック部材723eとによって、トレイ1の左端が挟まれる。
【0065】
回転子72がさらに右方向に移動することで、トレイ1はアーム61上を滑って右方向へ移動する。こうして、トレイ1はカート30へと押し出される。
【0066】
(B)
回転子72が傾き調整部材8に到達すると(図5及び図9の位置P2)、図10に示すように、可動部材723aに取り付けられたローラ723iが、傾斜部8aに接触する。ローラ723iは、傾斜部8aと接触することで、図7及び図10において反時計回りに回転する。その結果、回転子72はスムーズに移動する。
【0067】
回転子72が右方向に移動するにつれて、傾き調整部材8の傾斜部分8aによって、可動部材723aは高く持ち上げられる。その結果、トレイ1の前端がカート30の上方突起34にかかっている状態で、トレイ1の左端が持ち上げられる。
【0068】
(C)〜(D)
回転子72が位置P2〜P5に位置する間、トレイ1は右下がりの状態に保たれる。回転子72が、傾き調整部材8の左端から、水平部分8cの右端に至るまでの間、つまり回転子72が位置P2に到達してから水平部分8cの右端に到達するまでの間に、トレイ1の右端は、カート30の上方突起34及び下方突起35を越える。言い換えると、カート30の上方突起34及び下方突起35を越えるまで、トレイ1は右下がりの状態に保たれる。
【0069】
より具体的には、回転子72が傾斜部分8a(位置P2〜P3)に位置する間に、トレイ1の右端は上方突起34を越える。そして、回転子72が水平部分8c(位置P3〜P4)に位置する間、トレイ1の傾きは最大となり、このように大きく傾いた状態で、トレイ1の右端は、下方突起35を越える。特に、回転子72が位置P4に到達したときに、トレイ1の右端が、ちょうど下方突起35を超えて窪み36に達する(図10のD)。
【0070】
(E)
その後、回転子72が傾斜部分8bを移動する間(位置P4〜P5)、回転子72は徐々に下がる。それに伴って、トレイ1の傾きは低下して、トレイ1の姿勢は水平に近づく。
【0071】
(F)
回転子72が傾き調整部材8を越えたとき(位置P5)、トレイ1はほぼ水平となる。
【0072】
(G)
回転子72が、アール部分711Rに到達すると、トレイ1はチャック部材723d及び723eによるチャッキングから解放される。具体的には、回転子72が位置P6に達すると、回転子72はそれ以上における右方向に進まないのに対して、トレイ1は慣性によって右方向へ進む。さらに、アール部分711Rにおいては、チャック部材723d及び723eとトレイ1との角度は、直線部分にあるときから変化する。その結果、チャック部材723d及び723eがバネ723cの弾性によってトレイ1を保持する力よりも、トレイ1をチャック部材723d及び723eから解放する力の方が大きくなり、チャック部材723d及び723eはトレイ1を離す。
【0073】
その後、トレイ1は、ローラ723jに押されることで、カート30の奥まで挿入される。トレイ1の左端は、最終的には、上方突起34よりもカート30の奥に配置される。トレイ1は、カート30内で、水平方向に保たれた状態で収容される。
【0074】
以上に説明したように、挿入過程において、トレイ1の角度が変更されるので、カート30において、y軸方向において隣り合うガイド部材32間の距離は、トレイ1の鍔17の高さであればよい(図10のF)。「ガイド部材32間の距離」とは、上方突起34と下部水平領域372との、y軸方向における距離である。
【0075】
ガイド部材32間の距離がこのように設定されるのは、図10のFに示されるように、本実施形態において、トレイ1の姿勢は、下方突起35を越えた後、ほぼ水平な状態とされるので、ガイド部材32間の距離は、この状態においてトレイ1が移動できる程度に設定されていれば充分だからである。
【0076】
この状態におけるトレイ1について、詳細に説明すると、以下の通りである。図10のFに示されるように、トレイ1の右端の鍔17の上面は、下部水平領域372に接触し、トレイ1の長手方向に延びる縁の下面は、上方突起34に接触する。チャックユニット723により保持されているトレイ1の左端の高さは、アーム61によってのみ保持されているときの高さと同じである。トレイ1の挿入動作中、アーム61の高さは、トレイ1が載置されるガイド部材32とほぼ同じ高さに保たれる。こうして、トレイ1は、下部水平領域372と上方突起34とに支持された状態で、カート30の奥へ移動する。
【0077】
仮に、トレイ1が、図10のEのように傾いたまま移動する場合、トレイ1がカート30の奥まで移動するには、ガイド部材32間の距離は、本実施形態の距離よりも大きく設定されている必要がある。
【0078】
また、本実施形態の構成によると、回転子72の公転によってトレイ1が挿入されるので、トレイ1の挿入中にアーム61を動かす必要がない。
【0079】
(iii)挿入完了後
回転子72がトレイ1を解放すると、ベルト用モータ715は逆回転する。その結果、回転子72は、本体部71の周囲を図4における時計回りに公転し、初期位置P1に戻る。
【0080】
回転装置52は、ヘッド4を元の向き(アーム61の長手方向がz軸方向となる向き)に戻して、次のトレイ1が搬送されてくるのを待つ。次のトレイ1が搬送されてくると、リフト装置51によりヘッド4が下降されて、上述の動作が繰り返される。
【0081】
なお、トレイ1は、カート30の上の段から下の段に向かって、順次挿入される。つまり、リフト装置51は、前回に挿入した段の1つ下の段まで、ヘッド4を上昇させる。
また、カート30の第1列30Aの全ての段にトレイ1が配置されると、カート移動装置231によって、カート30が図2の白矢印方向に移動される。その結果、第2列30Bがトレイ1を受け取る位置に配置される。こうして、第1列30A、第2列30B、及び第3列30Cの順に、トレイ1が挿入される。
【0082】
[4.トレイ1]
トレイ1は、図11に示すように、角が丸い長方形状の容器である。トレイ1は、例えば合成樹脂等によって作られる。
【0083】
トレイ1において、短辺に該当する壁の1つには、カード入れ10が取り付けられている。カード入れ10には、図示しないカードが入れられる。カードは、患者名等が表記されたものであってもよいし、患者名及び処方箋等が記録された電子カードであってもよい。
【0084】
図11及び図12に示すように、トレイ1は、本体16及び鍔17を有する。鍔17は、本体16と一体に成形されており、本体16から外側に突出する形状である。鍔17は、トレイ1の外周を一周するように設けられる。
【0085】
鍔17に上面(トレイ1の開口側の面)には、段部12が設けられている。段部12によって、鍔17の上面は、外縁が、上側に突出した形状となっている。また、鍔17の下面(トレイ1の底側の面)には、凹部13が設けられている。凹部13は、トレイ1の底側から開口側に向かって窪む形状である。段部12及び凹部13は、鍔17に沿って、トレイ1を一周するように設けられる。段部12及び凹部13が設けられていることで、鍔17の外縁には、周囲よりも肉厚な肉厚部11が形成されている。
【0086】
[5.カート30]
カート30は、図13及び図14に示すように、本体枠31、ガイド部材32、車輪38、及びボス39を備える。以下、「左」及び「右」とは、図13における方向を指す。また、「上」、「下」は、図13における方向であると共に、カートの通常の使用時の姿勢における方向である。
【0087】
本体枠31は、カート30全体の骨組みを構成する。本体枠31は、全体として略直方体形状である。本体枠31の特に左面は、開口となっている。この開口を介して、カート30へのトレイ1の出し入れが可能である。
【0088】
ガイド部材32は、図14に示すように、本体枠31の内部に、水平方向に並んだ2つのガイド部材が1組となるように、並べられている。トレイ1は、1組のガイド部材32の間に挿入される。ガイド部材32は、縦方向の並びを1単位として、横方向にも並べられている。本実施形態では、図2に示すように、横方向に3単位(30A〜30C)のガイド部材が並べられている。
【0089】
ガイド部材32の形状について述べる。ガイド部材32は、製造時の便宜から、左右対称の形状である。図13に示すように、上方突起34、下方突起35、窪み36、上部水平領域371を有する。
【0090】
上方突起34は、ガイド部材32の上側において、左右方向におけるガイド部材32の両端に設けられ、上方に突出する形状である。下方突起35は、ガイド部材32の下側において、左右方向において上方突起よりも内側に配置され、下方に突出する形状である。ガイド部材32は、ガイド部材32の左右端から下方突起34までは、斜めの形状になっている。すなわち、ガイド部材32は、短辺を下に向けた略台形状になっており、上側の2つの角に上方突起34が、下側の2つの角に下方突起35が設けられている。台形状の斜辺(台形の脚)は、上方突起34と下方突起35との間に配置される。
【0091】
窪み36は、ガイド部材32の上側において、下方突起35よりも、左右方向において内側に配置される。つまり、ガイド部材32の2つの窪み36は、その上に配置されたガイド部材32の下方突起35の間に配置される。
【0092】
上述したように、ガイド部材32は左右対称の形状である。よって、1つのガイド部材32において、上方突起34、下方突起35、及び窪み36は、左右方向中央を中心として、左右対称に、2つずつ設けられる。
【0093】
上部水平領域371は、ガイド部材32の上側における直線形状であって、2つの窪み36の間に設けられる。すなわち、ガイド部材32の台形状における長辺は、緩やかな略W字形状であって、中央の山が平らな形状である。この平らな部分が上部水平領域371であり、W字形状における2つの谷部が窪み36である。
【0094】
ガイド部材32の下側において、下方突起35間の形状は、水平な直線形状である。すなわち、ガイド部材32の台形状において、短辺は、下方突起35間において直線形状である。この部分は、下部水平領域と称され、図中で符号“372”が付される。
【0095】
上下方向に並んだ2つのガイド部材32の間の間隙は、ガイド溝33として機能する。すなわち、上述のトレイ1は、上下に並んだ2つのガイド部材32間を移動する。
このようなカート30の構成により、上下方向に並んだガイド部材32の左端部の上方突起34と下方突起35とで、トレイ1の脱落が防止される。
【0096】
車輪38は、本体枠31の底部下面に取り付けられる。車輪38により、カート30は容易に移動することができる。
【0097】
ボス39は、本体枠31の底部下面に取り付けられ、下方向に突出する部材である。上述のカート移動装置231が、カート用アーム231aにより、ボス39を介してカート30を押すことで、カート30が移動される。
なお、カート30の構成、特にガイド部材32の形状は、適宜変更される。
【0098】
〔その他の実施形態〕
[1]
第1実施形態では、ヘッド4、特に回転ユニット7が、トレイ1をカート30の奥行き方向へ移動させる容器挿入部と、トレイ1のカート30に対する傾きを変更させる傾き変更部と、の両方として機能する。ただし、容器挿入部及び傾き変更部の構成は、これに限定されるものではなく、別個の部材で構成されてもよい。
【0099】
[2]
第1実施形態では、棚の一例として、カート30が挙げられている。カート30のガイド部材32は、それぞれx軸方向に沿うように配置され、かつ、2つのガイド部材32がz軸方向において向かい合うように配置されている。つまり、ガイド部材32は、トレイ1を、z−x平面に平行に、つまり水平方向に保持するように配置されている。
ただし、棚の構成はこれに限定されるものではなく、水平以外の方向においてトレイ1を保持するようになっていてもよい。
【0100】
[3]
第1実施形態では、カート30においてトレイ1が水平に保たれるので、ヘッド4は、カート30への挿入において、トレイ1を傾けた後、水平に戻す。
【0101】
さらには、カート部材30の形状(上方突起34及び下方突起35)に合わせて、ヘッド4は、トレイ1の前下がりの角度を徐々に大きくし、その後、角度を徐々に小さくする。
ただし、傾き変更部の構成は、これに限定されるものではなく、棚の形状等に合わせて、傾きの方向及び大きさは変更される。
【0102】
[4]
第1実施形態では、回転子72によるトレイ1の移動と角度の変更とが、並行して行われる。このように、傾き変更部は、容器の移動範囲の少なくとも一部において、容器の移動と並行して、容器の角度を変化させるようになっていてもよい。
ただし、傾き変更部の構成はこれに限定されるものではない。例えば、傾き変更部は、容器挿入部による容器の移動が一旦停止されている間に、容器の傾きを変更してもよい。
【0103】
[5]
第1実施形態では、本体部71、特に、回転ガイド部材711、プーリ712及び713、ベルト714、ベルト用モータ715が、第1方向移動機構として機能する。第1方向移動機構は、第1保持部であるチャックユニット723を移動させ、トレイ1をカート30に向けて押し出す。
ただし、第1方向移動機構の構成はこれに限定されるものではなく、第1保持部を、容器を挿入する方向へ移動させる他の構成に変更可能である。
【0104】
[6]
第1実施形態では、回転ガイド部材711がアール部分711Rを有する。また、チャックユニット723は、第1保持部の一例として、第1チャック部材723d、第2チャック部材723e、バネ723cを備える。第1チャック部材723d及び第2チャック部材723eは、バネ723cの弾性によって、トレイ1を保持する。回転ガイド部材711に沿ってチャックユニット723が振られることで、チャックユニット723からトレイ1が開放される。
【0105】
第1保持部材は、他の構成であってもよい。例えば、バネ723cに代えて、他の弾性部材が用いられてもよい。また、第1チャック部材723dと第2チャック部材723とによるチャッキングは、第1チャック部材723dと第2チャック部材723との間に他の部材を咬ませること等によって、強制的に開かれてもよい。
【0106】
また、第1実施形態では、回転子722は、回転ガイド部材711に沿って、初期位置P1と解放位置P6との間を、同経路を通って往復する。ただし、回転子72が、回転ガイド部材711に沿って本体部71の周囲を一回転することで、解放後に初期位置にもどされるようになっていてもよい。
【0107】
[7]
交差方向移動機構の一例として、第1実施形態では、回転ユニット7の本体部71及び傾き調整部材8が挙げられている。また、交差方向移動部の一例として、垂直方向移動部722が挙げられている。ただし、交差方向移動機構の構成はこれらの限定されるものではない。
【0108】
例えば、交差方向移動部は、垂直方向移動部722において、バネ722cが他の弾性部材に変更されたものであってもよい。また、傾き調整部材8の形状も、略台形状に限定されるものではなく、三角形、アール形状等、容器を配置するために求められる傾きに合わせて、変更される。
【0109】
また、第1実施形態では、トレイ1の後端が、チャックユニット723によって、第1方向(トレイ1の挿入方向、x軸方向)に移動されると共に、垂直方向(y軸方向)に持ち上げられる。このとき、垂直方向は、第1方向が水平方向(x軸方向)であるときの、それに交差する第2方向の一例に過ぎない。すなわち、第2方向は、上方向以外にも、下方向、挿入方向に対して左右方向(z軸方向)等、変更可能である。さらに、第1方向が変更されれば、それに応じて、第2方向も変更される。第2方向は、第1方向と平行でない方向、と表現されてもよい。
【0110】
また、第1実施形態では、トレイ1の後端がチャックユニット723により垂直方向に持ち上げられるとき、トレイ1は、アーム61によって支持される。その結果、アーム61を支点として(より具体的には、アーム61とトレイ1との接点を支点として)、トレイ1が回転する。この回転によって、トレイ1の傾きが変更される。回転角度の大きさは、トレイ1が、カート30に入る程度、つまりであれば充分である。ただし、トレイ1の傾きを変更する機構は、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0111】
また、第1実施形態では、チャックユニット723はトレイ1の後端を保持するが、チャックユニット723は、トレイ1の他の部分(1箇所又は複数箇所)保持する他の部材に置換されてもよい。
【0112】
[8]
例えば、容器配置装置は、以下のように表現されてもよい。
(1)
容器を棚内に配置する容器配置装置であって、
前記容器を前記棚の奥行き方向である第1方向に移動させることで、前記棚内に前記容器を挿入する容器挿入部と、
前記容器挿入部によって前記容器の一部が前記棚に挿入された後、前記容器の挿入が完了する前までの間における第1位置及び第2位置において、前記容器の前記棚に対する傾きを、それぞれ第1角度及び前記第1角度とは異なる第2角度とし、前記第1角度及び第2角度の両方を、挿入が完了したときの前記容器の傾きとは異ならせる、傾き変更部と、
を備える容器配置装置。
【0113】
(2)
前記棚は、前記容器を水平な状態で収容し、
前記傾き変更部は、前記容器を、前記第1方向における前下がりに傾けるようになっており、前記第1方向における前記容器の進行と並行して、前記容器の傾きを徐々に大きくした後、徐々に小さくする
前記(1)に記載の容器配置装置。
【0114】
(3)
前記傾き変更部は、
前記容器の一部を保持する第1保持部と、
前記第1保持部を前記第1方向に交差する第2方向へ移動させることで、前記容器の傾きを変更する交差方向移動機構と、
を備える前記(1)又は(2)に記載の容器配置装置。
【0115】
(4)
前記第1保持部は、
前記第2方向において、前記容器を挟む2つ以上のチャック部材と、
前記チャック部材の距離を狭める方向の力を前記チャック部材の少なくとも1つに加えるチャック付勢部材と、
を備える前記(3)に記載の容器配置装置。
【0116】
(5)
前記容器は、本体と、段差を有する鍔と、を備え、
前記第1保持部は、前記段差において前記鍔を掴むことで、前記容器を保持する
前記(3)又は(4)に記載の容器配置装置。
【0117】
(6)
前記第1保持部は、前記挿入方向における前記容器の後端において、前記容器を保持し、
前記交差方向移動機構は、
傾斜部分を有する傾き調整部材と、
前記第1保持部を前記傾斜部分に沿って移動させる交差方向移動部と、を備える
前記(3)〜(5)のいずれかに記載の容器配置装置。
【0118】
(7)
前記容器挿入部は、前記第1方向に前記第1保持部を移動させる第1方向移動機構を備える
前記(3)〜(6)のいずれか1項に記載の容器配置装置。
【0119】
(8)
前記容器挿入部は、直線部分と、前記直線部分に連続するアール形状部分と、を有する回転ガイド部材を備え、
前記第1方向移動機構は、前記回転ガイド部材に沿って、前記第1保持部を移動させる
前記(7)に記載の容器配置装置。
【0120】
(9)
前記回転ガイド部材は、前記第1保持部が前記アール形状部分を通過することで、前記第1保持部から前記容器が解放されるように形成されている
前記(8)に記載の容器配置装置。
【0121】
(10)
向かい合うように配置された2以上の第2保持部材と、
前記容器の挿入中には、前記第2保持部材を、前記第2保持部材が前記容器を保持した状態で固定する保持駆動部と、
をさらに備え、
前記傾き変更部は、前記第2保持部材を支点として前記容器を回転させることで、前記傾きを変化させる
前記(1)〜(9)のいずれかに記載の容器配置装置。
【0122】
(11)
容器に薬剤を払い出す払出装置と、
前記払出装置によって払い出された薬剤を収容する前記容器を、棚に配置する前記(1)〜(10)のいずれかに記載の容器配置装置と、
を備える薬剤払出システム。
【0123】
なお、第1位置及び第2位置は、具体的な場所に限定されない。例えば、図10のCにおけるトレイ1の位置が第1位置、Eにおける位置が第2位置と見なされてもよい。
なお、前記(1)〜(11)において、第1位置及び第2位置は、具体的な場所に限定されない。例えば、図10のCにおけるトレイ1の位置が第1位置、Eにおける位置が第2位置と見なされてもよい。
【0124】
[9]
以上の形態では、カート30は、トレイ配置ユニット23及び薬剤払出システム100に含まれていない。ただし、カート30などの棚は、容器配置装置及び薬剤払出システムの一部と見なされてもよい。
【0125】
[10]
言うまでもなく、以上に述べた各形態の組み合わせからなる技術も、本発明の技術的範囲に含まれる。また、いずれの形態における容器配置装置も、薬剤払出装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0126】
100 薬剤払出システム
1 トレイ(容器)
16 トレイ1の本体
17 トレイ1の鍔
23 トレイ配置ユニット(容器配置装置)
30 カート(棚)
32 ガイド部材
4 ヘッド(容器挿入部、傾き変更部)
61 アーム(第2保持部)
62 アーム用モータ(保持駆動部)
71 回転ユニット7の本体部(第1方向移動機構、交差方向移動機構の一部)
711 回転ガイド部材
722 垂直方向移動部(交差方向移動部)
723 チャックユニット(第1保持部)
723d 第1チャック部材
723e 第2チャック部材
723c バネ(チャック付勢部材)
8 傾き調整部材(交差方向移動機構の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を棚内に配置する容器配置装置であって、
前記容器を前記棚の奥行き方向である第1方向に移動させることで、前記棚内に前記容器を挿入する容器挿入部と、
前記容器挿入部によって前記容器の一部が前記棚に挿入された後、前記容器の挿入が完了する前までの間における第1位置及び第2位置において、前記容器の前記棚に対する傾きを、それぞれ第1角度及び前記第1角度とは異なる第2角度とし、前記第1角度及び第2角度の両方を、挿入が完了したときの前記容器の傾きとは異ならせる、傾き変更部と、
を備える容器配置装置。
【請求項2】
前記棚は、前記容器を水平な状態で収容し、
前記傾き変更部は、前記容器を、前記第1方向における前下がりに傾けるようになっており、前記第1方向における前記容器の進行と並行して、前記容器の傾きを徐々に大きくした後、徐々に小さくする
請求項1に記載の容器配置装置。
【請求項3】
前記傾き変更部は、
前記容器の一部を保持する第1保持部と、
前記第1保持部を前記第1方向に交差する第2方向へ移動させることで、前記容器の傾きを変更する交差方向移動機構と、
を備える請求項1又は2に記載の容器配置装置。
【請求項4】
前記第1保持部は、
前記第2方向において、前記容器を挟む2つ以上のチャック部材と、
前記チャック部材の距離を狭める方向の力を前記チャック部材の少なくとも1つに加えるチャック付勢部材と、
を備える請求項3に記載の容器配置装置。
【請求項5】
前記容器は、本体と、段差を有する鍔と、を備え、
前記第1保持部は、前記段差において前記鍔を掴むことで、前記容器を保持する
請求項3又は4に記載の容器配置装置。
【請求項6】
前記第1保持部は、前記挿入方向における前記容器の後端において、前記容器を保持し、
前記交差方向移動機構は、
傾斜部分を有する傾き調整部材と、
前記第1保持部を前記傾斜部分に沿って移動させる交差方向移動部と、を備える
請求項3〜5のいずれか1項に記載の容器配置装置。
【請求項7】
前記容器挿入部は、前記第1方向に前記第1保持部を移動させる第1方向移動機構を備える
請求項3〜6のいずれか1項に記載の容器配置装置。
【請求項8】
前記容器挿入部は、直線部分と、前記直線部分に連続するアール形状部分と、を有する回転ガイド部材を備え、
前記第1方向移動機構は、前記回転ガイド部材に沿って、前記第1保持部を移動させる
請求項7に記載の容器配置装置。
【請求項9】
前記回転ガイド部材は、前記第1保持部が前記アール形状部分を通過することで、前記第1保持部から前記容器が解放されるように形成されている
請求項8に記載の容器配置装置。
【請求項10】
向かい合うように配置された2以上の第2保持部材と、
前記容器の挿入中には、前記第2保持部材を、前記第2保持部材が前記容器を保持した状態で固定する保持駆動部と、
をさらに備え、
前記傾き変更部は、前記第2保持部材を支点として前記容器を回転させることで、前記傾きを変化させる
請求項1〜9のいずれか1項に記載の容器配置装置。
【請求項11】
容器に薬剤を払い出す払出装置と、
前記払出装置によって払い出された薬剤を収容する前記容器を、棚に配置する請求項1〜10のいずれか1項に記載の容器配置装置と、
を備える薬剤払出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−32085(P2011−32085A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182873(P2009−182873)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】