説明

容器閉鎖配送システム

【課題】凍結乾燥した注入可能粉末医薬物に適した改良された容器閉鎖配送システムが開示される。
【解決手段】このシステムは貯蔵安定粉末製剤および容器閉鎖組立体を含み、製剤は標準充填完成設備に充填かつ凍結され、製剤および凍結乾燥法は希釈剤との接触により容易に溶解する粉末を生成するのに最適であり、それにより分離した再構成/混合/プライミング工程を必要とすることなく凍結乾燥物の直接的注入を促進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結乾燥した注入可能医薬物に適し、かつ粉末と希釈液との再構成/混合工程を必要とすることなく凍結乾燥物の容易、直接的注入を促進する容器閉鎖配送システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子および細胞工学技術における連続的進歩により、生体内における様々な薬理作用を証明することで既知のタンパク質は医薬用途に対して多大な生産能力を有する。しかしながら、タンパク質医薬の開発において挑戦的課題の一つは、特に水性投与形態における、かかるタンパク質の潜在的物理的かつ化学的不安定性を解決することである。タンパク質調合薬および他の使用可能タンパク質の安定性を理解しかつ最大にするために、多くの研究が、特に過去20年にわたり、実施されてきた。かかる研究は、タンパク質を折り畳みかつ展開する/変性、タンパク質の化学的かつ物理的不安定性のメカニズム、そして水性形態でタンパク質を安定させる種々の手段を含む多くの領域に及んでいる。例えば、Manning 他によるPharm Res., 1989; 903-918、Arakawa他によるAdv Drug Deliv Rev, 2001; 46:307-326、Wang W.によるInt J Pharm.,1999; 129-188、Chen TによるDrug Dev Ind Pharm., 18:1331-1354、およびその中の文献を参照されたい。
【0003】
水性投与形態に関連する不安定性の問題のために、粉末薬剤はその生成物の所望保存寿命にわたり十分な安定性を達成することが一般的に好ましい。乾燥粉末を調製するために医薬および生命工学産業において種々の技術が知られ、具体化され、実行されている。かかる技術は、凍結乾燥、噴霧乾燥、噴霧凍結乾燥、バルク結晶化、真空乾燥、および発泡乾燥を含む。凍結乾燥(lyophilization=freeze-drying)は、しばしば、タンパク質含有乾燥粉末(凍結乾燥剤=lyophilizates)を調製するために使用される好適方法である。凍結乾燥の種々の方法が当分野で周知である。例えば、Pikal MJ.,In:Cleland JL, Langer R.eds.によるFormulation and Delivery of Proteins and Peptides. Washington, DC:American Chemical Society;r1994:120-133、Wang W.によるInt J Pharm.2000;203:1-60、およびその中の引例文献参照。
【0004】
凍結乾燥法は、三段階で構成される。即ち、凍結、一次乾燥、および二次乾燥。タンパク質生成物は、乾燥工程を経て凍結維持されるので、凍結乾燥は他の技術を超える次の利点を有する。即ち、繊細で加熱し易い材料について最小限の損傷と活性損失、補水の速度と完全性、最終生成物容器への精確、清潔投与の可能性により微粒子およびバクテリア汚染を減少し、凍結時よりも高い濃度による生成物再構成を可能にし、かつ周囲温度で生成物の貯蔵を可能にする。後者は、特に、凍結器、特に超冷却フリーザー、へのアクセスが容易でない領域における医療製品に有用である。
【0005】
不運にも、固体投与形態であっても、或るタンパク質は比較的不安定であり、その不安定性は固体投与形態のものを調製するために使用される凍結乾燥法による生成物、かつ/または実際の固体投与製剤それ自身の潜在的不安定性である。例えば、或る事例において、凍結乾燥処理イベントはタンパク質を付勢して大きな化学的かつ物理的変化を与える。かかる処理イベントは塩の濃縮、沈殿、結晶化、化学反応、剪断、pH、凍結乾燥後に残留する残余湿気量等を含む。かかる化学的かつ物理的変化は、例えば、二量体または他の更に高順位の凝集体の形成、および二次構造の展開を含む。不運にも、これらの変化は、タンパク質の活性損失に帰結し、または薬物中の活性材料の相当部分の劣化物への化学的変形、または薬物に対する抑制因子を実際に含むかまたは副作用に悪影響を与える生成物に化学的に変換する結果につながる。タンパク質に起因する不安定性に加えて、凍結乾燥法の潜在的工程による、凍結乾燥による他の欠点は、長期煩瑣処理時間、高エネルギコスト、および高価セットアップ、および凍結乾燥設備の維持を含む。そのために、凍結乾燥の使用は、繊細、高価感熱材料に通常は制限される。更に、凍結乾燥粉末は、典型的には、ケーキ(cake)として形成され、これは流動粉末を形成するために付加的研磨、圧搾、および選択的篩過処理工程を必要とする。凍結乾燥時および凍結乾燥後にタンパク質安定性を理解しかつ最適にするために、多くの研究が行われた。例えば、Gomez G.他によるPharm Res.2001;18:90-97、Strambini GB., Gabellieri E.によるBiophys J., 1996;70:971-976、Chang BS.他によるJ Pharm Sci., 1996;85:1325-1330、Pikal MJ.によるBiopharm, 1990;3:9、Izutsu K.他によるPharm.Res., 1994;11-995、Overcashier DE.によるJ Pharm Sci., 1999;88:688、Schmidt EA.他によるJ Pharm Sci., 1999;88:291、およびその中の引用文献参照。
【0006】
これらの粉末薬の非経口投与を可能にするために、粉末薬はまず液体形態にしなければならない。そのために、粉末薬は、患者に非経口投与もしくは配送(delivery=)する前に希釈剤で混合または再構成される。再構成処理は、滅菌条件で実行されなければならないし、かつ或る再構成処理では滅菌条件の維持が困難である。粉末薬の一再構成法では、粉末薬収容薬バイアルへ希釈液を直接的に注入する。この方法は、希釈剤収納注射器と注射針の組み合わせおよび穿刺可能ゴム栓を含む薬バイアルを使用して実行され得る。その投与法は次の通りである。1)薬バイアルのゴム栓を針で穿刺し、かつ注射器内の液体を薬バイアルへ注入する。2)薬バイアルを振って粉末薬と液体を混合する。3)液体と粉末薬を全体的に混合した後に、測定量の再構成薬を注射器へ引く。4)次に、注射器を薬バイアルから外して薬を患者へ注入する。
【0007】
薬の頻回非経口投与を必要とする人には、注射カートリッジ、予充填注射器、ペン注入器かつ/または自動注入器を含む家庭用キットを自己投与の目的で備えることは普通の習慣である。針付き注入機構を装備した自動注入器は周知でありかつ簡単な皮下注射と比較して幾つかの利点を有すると考えられている。かかる針付き自動注入器は、概ね、本体またはハウジング、針付き注射器または同様装置、および針を主体の組織へ挿入しかつ挿入された針を通して所望投与量の液状薬剤を配送するための一つまたはそれ以上の駆動機構を含む。今日までに、知られた自動注入器は液状製剤に使用されている。また、粉末製剤を配送するために使用される自動注入器用針が存在する。
【0008】
粉末薬の他の投与法は、二室付き注入カートリッジかつ/または予充填注射器システムの使用を含む。二室タイプの注入カートリッジは周知でありかつ広範囲に使用されている。二室タイプの注入カートリッジは、注入準備されているので、また複数注入が続いて投与される場合にカートリッジを保持する作用をする種々のタイプの注入装置と共に使用される。二室タイプの注入カートリッジは、概ね、筒状バレルを含み、筒状バレルは前端がボトルネックのように形成され、かつ開放後端を有する。前端はゴムまたは他の適宜材料による隔壁で閉鎖され、カプセルにより所定位置に固定される。このカプセルは中央開口を有し、隔壁はそこに暴露され、中空針により穿刺されてカートリッジの内部と連通する。例えば、USP5,435,076およびその中の引用文献参照。
【0009】
二室付き予充填注射器システムは周知でありかつ広範囲に市場で使用されている。例えば、USP5,080,649、同5,833,653、同6,419,656、同5,817,056、同5,489,266およびその中の引用文献参照。二室付きタイプの予充填注射器は、概ね、一室内に凍結乾燥された活性成分を含み、他方、注射器の第二室は使用直前に活性物質と混合される溶剤を収容している。かかる装置において、空気圧縮に対する注射器プランジャの移動を促進するために、凍結乾燥物を収容する室は典型的には大きいヘッドスペースを有し、かつ何らかの付加的機構、例えばプランジャの回転、プランジャ内の捩じり、を可能にする機構を必要とする。結果的に、再構成された薬は、注入前に事前に多量の空気を除去することを必要とする。例えば、USP6,817,987参照。このUSPは、溶剤および可溶性構成要素(薬剤)を保持する皮下注射器を開示し、溶剤および可溶性薬剤は使用者が注射器のプランジャを押して解放することにより混合する。完全に混合した後に、使用者は針を取り付けかつ注射器のプランジャを回転させて注入する。
【0010】
種々の形態の幾つかの注射器装置および種々の凍結乾燥方法が開示されている。例えば、USP5,752,940、同5,876,372、同6,149,628、同6,440,101およびその中で引用された文献参照。重要なことは、各事例において、装置は、複数の部品を含み、かつ凍結乾燥粉末薬の配送のために、少なくとも二工程、二方向再構成法を要求する。再構成および粉末薬の配送に使用される他の装置は、例えば、USP4,328,802、同4,410,321、同4,411,662、同4,432,755、同4,458,733、同4,898,209、同4,872,867、同3,826,260、およびそこで引用された文献参照。
【0011】
不運にも、既知方法の全てが注入前に凍結乾燥物の希釈剤との再構成/混合を必要とするので、典型例として、投与前に固形薬を液状製剤に再構成するために、長期処理(10工程を超える)を含む。かかる長期再構成工程は、患者にとって煩雑、困難かつ退屈であり、凍結乾燥物の注入を実現不可能にする。更に、このような複雑な方法は、発泡の危険、汚染の危険、および偶発的針の突き刺しの危険を伴う。従って、改良された配送装置および方法に対するニーズが未だ明らかに存在する。
【0012】
PCT WO2006/073505(PCT/US2005/028035)('035出願)は改良技術を含み、かつ凍結乾燥注入可能医薬物に適し、かつ注入前に粉末と希釈剤の再構成/混合/プライミング工程を必要とすることなく凍結乾燥物の直接注入を可能にする設計の容器閉鎖組立体に関する。開示された容器閉鎖組立体の構成要素は、製造ファンクション(function)およびエンドユーザファンクションで機能するように設計され、かつ凍結乾燥プロセスの完了後に、その組立体は事前準備の必要性を解消するために最小限のヘッドスペースを有する。開示容器閉鎖組立体は、業界基準または既存充填システムに使用または容易に適応するように設計され、従来装置に対してより一層経済的形態を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】USP5,080,649
【特許文献2】USP5,833,653
【特許文献3】USP6,419,656
【特許文献4】USP5,817,056
【特許文献5】USP5,489,266
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、エンドユーザによる粉末と希釈液との再構成/混合/プライミング工程を必要とすることなく凍結乾燥物の容易、直接的注入を促進する改良された容器閉鎖設計を提供する。’035出願に記載の組立体と同様に、開示容器閉鎖組立体は、業界基準または既存充填システムに利用されるかまたは容易に適応する設計であり、それにより従来装置よりも更に経済的な形態を提供する。
【0015】
粉末と希釈液との再構成/混合/プライミング工程を必要としない凍結乾燥物の容易、直接的注入を促進しかつ凍結乾燥した注入可能薬物に適した容器閉鎖配送システムを開示する。本発明は粉末製剤、および凍結乾燥粉末の「迅速」溶解、即ち、希釈液と接触後に粉末が容易かつ即座に溶解する粉末を製造するための最適凍結乾燥法を利用する。
【0016】
本発明の一課題は、凍結乾燥した注入可能薬物に適し、かつ注入前に粉末と希釈液との再構成/混合/プライミング工程を必要としない凍結乾燥物の直接的注入を可能にする設計の新規容器閉鎖組立体を提供することにある。
【0017】
本発明の他の課題は、凍結乾燥粉末物質を収容する容器閉鎖組立体の製造に関する改良された方法を提供することである。
【0018】
本発明のもう一つの課題は、本発明による容器閉鎖システムを使用して凍結乾燥粉末薬物を投与する方法を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明による容器閉鎖組立体は、製造ファンクション(function)およびエンドユーザファンクションにおいて機能するように設計された三つの作用構成要素、即ち、プラグ構成要素、上カップ構成要素、および生成物容器構成要素、で構成される。プラグ構成要素および上カップ構成要素は、相互に対してピタリと係合するように特別設計されて、生成物容器へ挿入され得るプランジャ組立体を形成する。選択的に、プランジャ組立体は、プラグ構成要素および上カップ構成要素の特別の特徴を含むワンピース構成要素であってよい。プランジャ組立体は、寸法および形態が変化してよく、かつ可変製造かつ/またはユーザファンクショナリティを有してよい。生成物容器構成要素は、凍結乾燥される液体を保持できかつプランジャ組立体を保持できるように特別に設計される。生成物容器構成要素は寸法および形態が変化してよく、かつ一端に開口を有しかつ他端に注射ポートを有する。生成物容器構成要素の重要でユニークな設計上の特徴は、下ベースで生成物容器に一体化された螺旋状混合チャンネルを含みかつこのチャンネルが生成物収率の改良に役立つ。
【0020】
重要なことに、本発明の容器閉鎖組立体は、業界基準または既存凍結乾燥システムに利用可能であり、また容易に適応するように設計されている。凍結乾燥完了後に、プランジャ組立体は、粉末医薬物を、生成物容器とプランジャ組立体間の最小限のヘッドスペースで圧縮するように、圧縮され、かつプランジャ組立体は、容器閉鎖組立体への液体の流れを可能にする、即ち、液体と粉末との遭遇を可能にし、プライミングの必要なく迅速に液体と粉末の再構成を可能にする、通路として役立つ。ユニークな組立体設計によって、容器閉鎖組立体は、エンドユーザによる液体と粉末の再構成/混合/プライミング工程を必要とすることなく、凍結乾燥物の容易、直接的注入を促進する。
【0021】
改良された凍結乾燥粉末物質を収容する容器閉鎖組立体の製造法は次の工程を含む。即ち、1)業界基準バイアル製造充填ラインを利用し、生成物容器を通常のバイアルと同様にその設備へ装填し、2)生成物容器に液体活性成分を充填し、3)生成物容器の頂面で『開放位置』へプランジャ組立体を落下して、通常のバイアルへ凍結乾燥ストッパが取り付けられる同様方法で生成物容器と係合させて容器閉鎖組立体を形成し、4)形成された容器閉鎖組立体を凍結乾燥器装置へ設置し、5)凍結乾燥後に、プランジャ組立体と生成物容器との間の開口から蒸気を逃がし、6)凍結乾燥終了後に、最小限ヘッドスペースによる凍結乾燥器棚の垂直方向の圧縮がプランジャ組立体を生成物容器へ封止し、かつ7)封止された容器閉鎖組立体を結合して、活性成分の滅菌性を維持するタンパ抵抗組立体を提供する。
【0022】
容器閉鎖システムを使用して凍結乾燥粉末薬物を投与する改良方法は、一実施形態において、次の工程を含む。即ち、1)凍結乾燥粉末物を収容する封止された容器閉鎖組立体の上端でタブシールに接線方向の力を加えて、希釈剤を収容したルアロック(luer-lock)またはルアスリップ(luer-slip)注射器へ摩擦嵌めにより取り付け、2)容器閉鎖組立体の注射ポートで取外し可能ベースを取外して、標準タイプ針を取り付けるために先端を露出させ、3)標準タイプ針を容器閉鎖組立体の露出した先端に取り付け、4)注入部位へ針を挿入することにより注入を開始し、かつ5)注射器プランジャに力を加えて、注射器内の希釈剤を容器閉鎖組立体へ押し出し、凍結乾燥粉末と遭遇させ、迅速に凍結乾燥粉末を再構成し、液状混合物を注入部位へ送り、注入を完了する。重要なことは、エンドユーザによる粉末と希釈剤との再構成/混合/プライミング工程を必要としないことである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の容器閉鎖組立体に使用するための生成物容器の上ベースから見た斜視図を示す。
【図2】垂直面に沿って示した本発明の容器閉鎖組立体に使用するための生成物容器の斜視図を示す。
【図3】本発明の容器閉鎖組立体に使用するための上カップ構成要素の底面から見た斜視図を示す。
【図4】垂直面に沿って示した本発明の容器閉鎖組立体に使用するための生成物容器の斜視図を示す。
【図5】本発明の容器閉鎖組立体に使用するためのプラグ部の斜視図を示す。
【図6】本発明の容器閉鎖組立体の一実施形態の要素および部品の配置を示す斜視図である。
【図7】本発明の容器閉鎖組立体の実施形態の斜視図を示し、上カップ構成要素およびプラグ構成要素で構成されるプランジャ組立体は、生成物容器を液体活性成分で充填した後であって凍結乾燥装置内に容器閉鎖組立体を設置する前に、即ち、プランジャ組立体は生成物容器内の『開放』位置に設置する前に、生成物容器上に設置される。
【図8】凍結乾燥サイクルの終了後の容器閉鎖組立体の実施形態の斜視図を示し、液体活性成分は乾燥粉末に形成され、かつプランジャ組立体は凍結乾燥器棚により圧縮されて封止された容器閉鎖組立体を形成する。
【図9】本発明の容器閉鎖組立体に使用するための他の形態の生成物容器の斜視図を示し、生成物容器の注射ポートは鼻腔配送用のノズルスプレイチップを含む。
【図10】粉末製剤、凍結乾燥法、および本発明の容器閉鎖組立体を使用して粉末薬の投与に関する「勾配配送」注入プロファイルを示すグラフであり、タンパク質濃度は累積的注入量に対して表示されている。
【図11】注入前に希釈剤で粉末薬の再構成かつ/または混合工程を必要とする従来装置を使用して粉末薬の投与に関する注入プロファイルを示すグラフであり、タンパク質濃度は累積的注入量に対して表示されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
当分野で明らかなように、続く説明は、本発明の好適実施形態を詳細に説明するが、単に例示であり、本発明の範囲を示すものでない。本発明を詳細に説明する前に、理解されるように本発明は特定の特徴および実施形態に制限されることなく変更可能である。同様に、本明細書で使用される用語は特定形態の説明を目的としかつ特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0025】
図面を参照すると、図1および2は容器閉鎖組立体600の生成物容器100を示す。生成物容器100は適宜プラスチック材料により筒状に形成される。生成物容器100の上部110は完全に開放している。生成物容器100は十分な保持量の液体活性成分を生成するために中空円形内側を有し、かつ上カップ構成要素300がプラグ構成要素400と完全に係合するときに形成されるプランジャ組立体を受けるように特別に設計される。下ベース120は同軸中空注射ポート130を含み、そこに内管140が形成され、液体活性成分は内管140を通って注入針へ流れる。注射ポート130の外面領域は、標準タイプのルアスリップ(luer slip)またはルアロック(luer lock)注射器針取り付け部とのポート先端での摩擦嵌めを可能にする十分な半径を有する。係止隆起170は、プランジャ組立体の完全挿入後にプランジャ組立体が取外されないように、生成物容器の側壁に一体化される。螺旋状混合チャンネル190は下ベース120で生成物容器に一体化される。図2に示された生成物容器100は注射ポート130に支持された針160を含む。
【0026】
図3および4は、容器閉鎖組立体600の上カップ構成要素300を示す。上カップ構成要素300は適宜プラスチック材料から形成されることが想定されている。上カップ構成要素300は中空円形内側310を有し、かつ容器閉鎖組立体600のためのプランジャ組立体500を形成するためにプラグ部400を受け入れかつ完全にそれと係合するように構成される。図4において、タブシール(tab seal)330が示され、かつタブシール330のベースには引き裂き点または引っかき点340があり、タブシール330は捩じれるときに引き裂き点340で引き裂かれる。タブシール330の除去後に、流体移送チャンネルが形成され、希釈剤の流れを取り付けられた注射器から組立てたプランジャ組立体500へ促進して生成物容器100内の凍結乾燥粉末に遭遇させる。ルアロックタブ320が示されている。この場合、標準タイプのルアスリップ注射器(希釈剤を収容している)がタブシール330の除去後に摩擦により取り付けられ、注射器プランジャに力が加えられるときに患者に再構成凍結乾燥粉末を投与するための手段を提供する。
【0027】
図5は、容器閉鎖組立体600のプラク構成要素400を示す。このプラク構成要素400は適宜プランジャ材料で形成されかつ滑り嵌めにより上カップ構成要素300と完全に係合してプランジャ組立体500を形成する。プラク構成要素400の基端410は、上カップ構成要素300と完全に係合するときに流体ヘッドスペースが最少になる、即ち、移送希釈剤の最小限ホールドアップ体積となるように設計される。プラク構成要素400の先端420は、プランジャ組立体が生成物容器100と完全に係合するときに、プランジャ組立体が粉末活性成分の上に直接当接して最小限の流体ヘッドスペースになるように設計される。プラグ構成要素400の外側で基端から先端へ軸方向に延在する流体移送チャンネル430はプランジャ組立体500への希釈剤の流れを促進する。
【0028】
図6は、カップ構成要素300、プラグ部400、および本発明の容器閉鎖組立体の一実施形態のための生成物容器(液体活性成分200を収容)の業界基準バイアル/カートリッジ製造充填ラインへの装填前の配置を示す。図6の実施形態において、生成物容器は針覆いとして取外し可能なベース195により被覆されるであろう注射ポートで支持された針160を含む。
【0029】
図7は図6の実施形態の容器閉鎖組立体600の斜視図を示す。プランジャ組立体500(プラグ構成要素と完全に係合する上カップ構成要素で構成される)は生成物容器100に液体活性成分200を充填した後で凍結乾燥装置内に容器閉鎖組立体を設置する前に、即ち、プランジャ組立体500が生成物容器内の『開放』位置に設置されかつ生成物容器100が針覆い/ベース195に当接する前に、生成物容器上に設置される。
【0030】
図8は、凍結乾燥サイクル完了後の図7の実施形態の容器閉鎖組立体600の斜視図を示し、液体活性成分は乾燥粉末に形成され(視認不可)かつプランジャ組立体500は生成物容器100と完全に係合して粉末活性成分を最小限の流体ヘッドスペースにより圧縮する。
【0031】
図9は、本発明の容器閉鎖組立体内に使用される他の生成物容器設計を示し、生成物容器の注射ポートは鼻腔配送用ノズルスプレイチップ198を含む。
【0032】
医薬物の保存安定粉末製剤を本発明の容器閉鎖組立体に使用することが意図されている。重要なことは、本発明の粉末製剤が凍結乾燥粉末の『迅速』溶解に適した粉末を製造するのに最適であることである。即ち、粉末は希釈液と接触すると容易かつ即座に溶解することである。本発明の凍結乾燥粉末は、活性成分、例えばタンパク質、および安定剤を含む。安定剤は活性成分の安定性を向上させるために凍結乾燥製剤に添加される。安定剤、例えば界面活性剤、砂糖、ポリマー、抗酸化剤、アミノ酸、塩が、凍結プロセス中に活性成分に添加されてよく、かつ脱水プロセス時に水の水素結合で置換できる添加物は例えばサッカロース、トレハロース、ラクトース、または他の砂糖であり、その自然構造を維持しながら薬剤を安定させるために添加できる。
【0033】
大きい表面積を維持するために、粉末製剤は、更に、結晶マトリックス(例えばマニトール、グリシン、ポリエチレングリコール等)を形成する増量剤を含む。選択的に、砂糖のようなガラス状増量剤およびポリマー、例えばサッカロース、トレハロース、ラクトース、タンパク質、デキストランおよびその誘導体、シクロデキストラン、カルボキシメチルセルロース、PVA、PVC、スターチおよびその誘導体がその製剤に添加できる。
【0034】
粉末製剤は、更に、界面活性剤および緩衝剤を含んでよい。かかる界面活性剤はポリソルベート80(またはTween(商品名)80)、ポリソルベート20(またはTween(商品名)20)、またはプルロニクス(pluronics)を含む。かかる緩衝剤は、例えばリン酸塩、ヒスチジン、イミダゾール、クエン酸塩、アセテート、コハク酸エステル、グルタミン酸塩、Tris(緩衝液)、およびグリシンを含み、所望pHを保持するために添加できる。
【0035】
注入時に溶解する必要のある塊を最小限にするために、薬剤は活性成分により大部分が構成されてよい。例えば、タンパク質またはペプチド生成物は、最終固体内容が95%のタンパク質またはペプチドと5%の安定剤で凍結乾燥されてよい。
【0036】
使用の意図された医薬物(活性成分)は、小分子、ワクチン、生細胞または衰弱細胞、オリゴヌクレオチド、DNA、ペプチド、抗体、および人間または動物を問わず、予防薬として治療または診断使途に有用な組換えまたは天然発生のタンパク質を含む。活性成分は、天然、合成、半合成またはそれらの誘導体であってよい。更に、本発明の活性成分は知覚可能である。広範囲の活性成分が意図されている。それらは、制限的でなく、種々のホルモン、サイトカイン、造血因子、成長因子、抗肥満因子、栄養因子、抗炎症因子、および酵素を含む。当業者は、本発明の粉末製剤に所望活性成分を容易に適用できるであろう。
【0037】
活性成分は、非制限的に、インスリン、ガストリン、プロラクチン、ヒト成長ホルモン(HGH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、成長ホルモン解放因子(GRF)、ヒト絨毛ゴナドトロピン(HCG)、モチリン、インターフェロン(アルファ、ベーダ、ガンマ)、インターロイキン(IL-1 to IL-12)、インターロイキン−1受容体抑制因子(IL-1ra)、腫瘍壊死因子(TNF)、腫瘍壊死因子結合タンパク質(TNF-bp)、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、幹細胞因子(SCF)、レプチン(OBタンパク質)、脳誘導神経栄養因子(BDNF)、神経膠誘導神経栄養因子(GDNF)、神経栄養因子3(NT3)、線維芽細胞成長因子(FGF)、神経栄養成長因子(NGF)、オステオプロテグリン(OPG)のような骨成長因子、インスリン様成長因子(IGFs)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、巨核球誘導成長因子(MGDF)、ケラチン成長因子(KGF)、トロンボポエチン、血小板誘導成長因子(PGDF)、新規赤血球生成刺激タンパク質(NESP)、骨形態形成タンパク質(BMP)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、組織プラスミノーゲン活性剤(TPA)、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼおよびカレクレイン、ならびに種々のヒト抗体およびヒト化抗体を含む。本明細書で使用されるタンパク質の用語は、ペプチド、プリペプチド、合意分子、類似物、誘導体またはそれらの組合せを含む。
【0038】
本発明の一実施形態において、凍結乾燥製剤は、モデルタンパク質薬物質、組み換えヒト副甲状腺ホルモン(PTH)を、標準賦形剤、マニトールおよびリン酸塩と共に含む。
【0039】
容器閉鎖組立体内に収容される粉末に使用される希釈剤は、最良の安定性および患者承諾のためにカスタマイズされてよい。使用が意図された希釈剤は、注入用市販水(WFI)、注入用静菌性水(BWFI)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、等を含む。カスタム開発希釈剤は更に緩衝剤、例えばアセテート,リン酸塩,ヒスチジン,クエン酸塩,コハク酸エステル,グルタミン酸塩およびグリシン,界面活性剤、安定剤、塩化ナトリウムのような緊張調整剤、金属イオン、リドカインまたはベンジルアルコール等の局所麻酔薬、および制御解放等のためのヒドロゲルを含む。
【0040】
生成物容器、上カップ構成要素、プラグ構成要素かつ/またはプランジャ組立体は、例えば、シクロオレフィンコポリマー、ポリカーボネート、ポリスチレン、テフロン(登録商標)等を含む。かかる材料は当分野で周知であり容易に入手できる。
【0041】
生成物容器は、寸法および形状変化してよいが、典型的には筒状形態であり、かつ一端に開口を有しかつ他端に注射ポートを有する。生成物容器の重要な独自設計の特徴は、下ベースで生成物容器に一体化された螺旋状混合チャンネルである。螺旋状混合チャンネルは、生成物容器内の流体通過により粉末の回収を促進する作用をする。生成物容器は十分な量の液体活性成分を保持するように特別に設計され、かつプランジャ組立体を受ける特別設計である。注射ポート端で、生成物容器は、特に、1)ルアロックまたはルアスリップ標準針のいずれかへの摩擦嵌めによる取り付けを可能にし、2)支持された針(針覆いを具備)を含み、3)鼻腔配送用ノズルスプレイチップを含み、または4)口腔または眼内用途用鈍角チップを有するように設計される。各形態において、生成物容器の注射ポート端は、充填時および凍結乾燥プロセスで生成物容器を保持かつ安定させる作用をする取外し可能ベースを有する。更に、取外し可能ベースは、生成物容器の注射ポート端が支持針を含むときに針覆いとして役立つ。
【0042】
上カップ構成要素は、寸法および形状変化してよく、かつ滑り嵌めによりプラグ構成要素と係合でき、プランジャ組立体を形成して製造かつ/またはエンドユーザ機能を変化させる。上カップ構成要素は取外し可能タブシール(tab seal)を含んでよく、タブシールは捩じられかつ取外されるときに、上カップの摩擦嵌めを介してルアロックまたはルアスリップ注射器のいずれかへの取り付けを可能にする。選択的に、上カップはロックリング(lock-ring)キャップをタブシールの所定場所に含む。上カップは、取り付けた、注射器からプランジャ組立体へ希釈剤を流動させかつ生成物容器内の凍結乾燥粉末に遭遇させる一つまたはそれ以上の流体移送チャンネルを含む特別設計であってよい。
【0043】
プラグ構成要素は、寸法および形状が変化してよく、かつ滑り嵌めにより上カップ構成要素と係合でき、プランジャ組立体を形成して製造かつ/またはエンドユーザファンクションを変化させる。プラグ構成要素は、上カップ構成要素と完全に係合してプランジャ組立体を形成するときに、最小限の流体ヘッドスペースとなるように、即ち、最小限ホールドアップ体積の移送チャンネルが存在するように特別設計され、そのようにしてプランジャ組立体が生成物容器と完全に係合するときにプランジャ組立体は粉末活性成分を圧縮しかつ流体ヘッドスペースを最小限にする。プラグ構成要素は、取り付けた注射器から希釈剤をプランジャ組立体へ流動させかつ生成物容器内の凍結乾燥粉末に遭遇させる一つまたはそれ以上の流体移送チャンネルを含むように特別設計される。
【0044】
更に、プランジャ組立体が生成物容器と完全に係合するときにプランジャ組立体は粉末活性成分を圧縮して最小限の流体ヘッドスペースを形成し、生成物容器により受けられるように特別設計されたワンピースプランジャ組立体が本発明の容器閉鎖組立体に使用される。ワンピースプランジャ組立体は、上端で標準タイプのルアスリップ注射器の摩擦嵌めを可能にするために取外し可能タブシールおよびルアロックタブ取り付けキャビティ、典型的ルアロック注射器を収容できる円形キャビティ、およびプランジャ組立体への流体の流れを促進する所定流体移送チャンネルを含む。
【0045】
理解されるように、本発明の容器閉鎖組立体は寸法変化してよく、かつ標準タイプの予充填注射器および標準タイプの針に容易に適合かつ機能する。かかる注射器および針は当分野で周知でありかつ容易に入手できる。一般的に、容器物理的寸法は、大体25mmx25mmx150未満であり、かつ容器は凍結乾燥される液体医薬物を20mlまで充填できることを条件とする。
【0046】
凍結乾燥粉末物を収容する容器閉鎖組立体の改良された製造方法において、1)空の生成物容器(取外し可能ベースを具有)を業界基準バイアル/注射器/カートリッジ製造充填ラインへ通常のバイアル、注射器、カートリッジと同様に装填し、2)生成物容器を医薬物含有最適液体製剤で充填し、3)プランジャ組立体を生成物容器の上で『開放』位置へ落下し、凍結乾燥ストッパが通常のバイアルに取り付けられる方法で同様に生成物容器と係合させ、4)容器閉鎖組立体を凍結乾燥器へ設置しかつ凍結乾燥処理を行い、5)凍結乾燥時に、蒸気をプランジャ組立体と生成物容器との間の開口から逃がし、6)凍結乾燥完了後に、凍結乾燥器棚の垂直圧縮によりプランジャ組立体を生成物容器へ押し、封止された容器閉鎖組立体を形成し、かつ乾燥粉末を最小限ヘッドスペースへ圧縮し、かつ7)封止された容器閉鎖組立体を活性成分の滅菌性を維持するタンパ(tamper)抵抗組立体を提供するために結合される。重要なことは、この方法において、プランジャ組立体は、薬剤粉末を圧縮して生成物容器とプランジャ組立体間に最小限ヘッドスペースを形成するようにプランジャ組立体を押下げることである。このデザインコンセプトは空気質量を低減し、注入完了時の残余薬物を減少し、かつ希釈剤と粉末との再構成/混合/プライミングのシーケンス工程を必要とすることなく凍結乾燥粉末の直接注入を促進する。
【0047】
組立体を結合かつ封止する方法および技術は当業者に周知であり、かつ例えば、接着、溶接等を含む。結合は、シールの一体化の維持に役立ち、かつ活性成分の滅菌性を維持するタンパ抵抗組立体を提供する。そのようにして、結合封止された本発明による容器閉鎖組立体は、また、医薬粉末物の滅菌を維持できかつ医薬粉末物の保存寿命にわたり室温で安定保存可能である。
【0048】
本発明の容器閉鎖組立体を使用する凍結乾燥医薬物の投与のための改良方法において、1)組立体上の頂面上の取外し可能タブシールは、接線方向の力を付与して除去し、そのようにして希釈剤収容予充填注射器の取り付けのためにプランジャ組立体の頂面を露出させ、2)容器閉鎖組立体の反対側の注射ポート上に設置された取外し可能ベースを取外し、そのようにして針の取り付けのためにルアスリップチップを露出し、3)ルアスリップ針を容器閉鎖組立体の露出したルアスリップチップへ摩擦嵌めにより取り付け、4)次に針を注入部位へ挿入することにより注入を開始し、5)注射器プランジャに力をと加え、その後に注射器内の希釈剤をプランジャ組立体へ付勢し、6)希釈剤を設計された通路へ案内し、生成物容器内の凍結乾燥粉末に遭遇させて迅速に再構成し、かつ7)再構成した液化混合物を注注射ポートを介して容器閉鎖組立体から、取り付けた針へ、そして注入部位へ通過させる。工程2および3の代替方法として、容器閉鎖組立体は注射ポート端に支持針を有し、針は取外し可能ベースが取外されたときに露出される。他の実施形態において、工程2および3の代替方法として、容器閉鎖組立体は、取外し可能ベースが取外されたときに露出されるノズルスプレイチップを注射ポートに含んでよい。更に他の実施形態において、工程2および3の代替方法として、容器閉鎖組立体は、取外し可能ベースが取外されたときに露出される鈍角チップを注射ポートに含んでよい。重要なことに、上記方法は、分離の再構成/混合/プライミング工程を必要とせず、それにより患者およびエンドユーザ使用の一層の利便および容易さを提供する。
【0049】
重要なことに、本発明の改良された配送法は、注入可能医薬物の「勾配配送」(gradient delivery)を提供する。例えば、本発明は希釈剤と接触後に粉末薬の即時再構成を可能にするので、医薬物を高濃度物を注入する方法で患者へ注入される。ここに記載の改良法および容器閉鎖組立体のデザインコンセプトは、再構成/混合工程を必要とすることなく、粉末活性成分の直接的投与を促進する。ここに記載の凍結乾燥製剤、凍結乾燥方法、および閉鎖組立体デザインコンセプトは既存配送装置、例えばペンシステム、自動注入器システム、針無し注入器システム、二室注入カートリッジ、かつ/または予充填注射器システム、に適用でき、勾配配送を可能にしかつ患者およびエンドユーザにユーザフレンドリの粉末薬改良投与法を提供する。
【実施例1】
【0050】
この実施例において、製剤、凍結乾燥法および本発明の容器閉鎖組立体を使用して粉末薬の投与に関する「勾配配送」注入プロファイルを実施するために研究がされた。
【0051】
研究は、モデルタンパク質薬物質、Recombinant Human Parathyroid Hormone (PTH)を標準賦形剤、マントールおよびリン酸塩と共に利用して実施された。研究は、本発明の方法を使用して行われ、典型的凍結乾燥法で乾燥したPTH粉末10mg収容の封止した容器閉鎖組立体を使用して実行された。1mlの希釈剤(水)収容注射器が容器閉鎖組立体のプランジャ組立体に取り付けられ、かつ容器閉鎖組立体のネック端の取外し可能ベースは除去された。水が組立体へ流れるように、注射器プランジャに力を加え、粉末を再構成し、かつ残余溶液を組立体の注射ポートから落下させた。溶液の各滴中のPTH濃度は、紫外線スペクトロメータにより測定された。収集しかつ図10に示されたデータは、薬剤、凍結乾燥法、および本発明による容器閉鎖組立体を使用して粉末投与に関する勾配配送の全体的プロファイルを特徴とする。図10に示されたように、勾配配送について注入量の配送投与量の濃度は一定でなく、多くの活性医薬成分は注入の初期時に配送される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
注入可能粉末医薬物のユニーク勾配配送は、或る治療セッティングにおいて患者に有利である。今日までに、既知従来配送技術および粉末薬の配送に使用される装置は、注入前に希釈剤により粉末薬の再構成かつ/または混合工程を必要とするような、プロファイルを有しかつ従って図11に示されたような注入プロファイルを有する。特別タンパク質が使用されるが、当業者および殆どの標準活性医薬物に予測されるように、賦形剤および同一結果をもたらす他の成分が達成できかつ同一特徴および注入反応を反映する。
【0053】
本発明による改良された凍結乾燥製剤、凍結乾燥法および閉鎖組立体のデザインコンセプトは、凍結乾燥物について当分野の配送システムの現状を超える低価かつ使用容易の代替的装置を患者およびエンドユーザに提供する。
【符号の説明】
【0054】
100 生成物容器
600 容器閉鎖組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末医薬物の投与のための配送装置であって、
一端に注射ポート、希釈剤容器保持室、および前記注射ポートへの希釈剤の流れを促進する作動手段を有する第一構成要素、
最小限のヘッドスペースにより凍結乾燥薬粉末を収容する第二構成要素、を含み、
第二構成要素は一端に注射ポートを有しかつ反対端で第一構成要素と係合でき、
第二構成要素は第一構成要素の作動により第一構成要素から注射された希釈剤を第二構成要素内の粉末に遭遇させ、迅速再構成および第二構成要素の注射ポートへの通過を可能にするプランジャ組立体を含む、配送装置。
【請求項2】
第二構成要素は、プランジャ組立体および生成物容器構成要素を含む容器閉鎖組立体であり、
前記プランジャ組立体は、
標準タイプのルアスリップ注射器の摩擦嵌めを可能にするルアロックタブ取り付けキャビティ、
典型的ルアロック注射器を収容できる円形キャビティ、および
組立てられた前記プランジャ組立体への流体の流れを促進する所定流体移送チャンネルを含み、かつ
前記生成物容器構成要素は、
凍結乾燥される液体活性成分を保持できかつ前記プランジャ組立体を受けることのできる室を有する開放端、
前記生成物容器の側壁に一体化された係止隆起、
同軸中空注射ポートを含む反対側の下ベース、および
前記下ベースに一体化された螺旋状混合チャンネルを含む、請求項1の装置。
【請求項3】
第二構成要素は、プラグ構成要素、上カップ構成要素、および生成物容器構成要素を含む容器閉鎖組立体であり、
前記プラグ構成要素は、
プラグ構成要素の外側で基端から先端へ軸方向に延在し前記プラグ構成要素への流体の流れを可能にする流体移送チャンネルを含み、
前記上カップ構成要素は、
標準タイプのルアスリップ注射器の摩擦嵌めを可能にするルアロックタブ取り付けキャビティ、
典型的ルアロック注射器を収容できる円形キャビティ、
前記プラグ構成要素を受けることができてプランジャ組立体を形成する中空円形内側、および
組立てられた前記プランジャ組立体への流体の流れを促進する所定流体移送チャンネルを含み、かつ
前記生成物容器構成要素は、
凍結乾燥される液体活性成分を保持できかつ前記プランジャ組立体を受けることのできる室を有する開放端、
前記生成物容器の側壁に一体化された係止隆起、
同軸中空注射ポートを含む反対側の下ベース、および
前記下ベースに一体化された螺旋状混合チャンネルを含む、請求項1の装置。
【請求項4】
凍結乾燥医薬物に適した容器閉鎖組立体であって、
プランジャ組立体および生成物容器構成要素を含み、
前記プランジャ組立体は、
標準タイプのルアスリップ注射器の摩擦嵌めを可能にするルアロックタブ取り付けキャビティ、
典型的ルアロック注射器を収容できる円形キャビティ、および
組立てられた前記プランジャ組立体へ流体の流れを促進する所定流体移送チャンネルを含み、かつ
前記生成物容器構成要素は、
凍結乾燥される液体活性成分を保持できかつ前記プランジャ組立体を受けることのできる室を有する開放端、
前記生成物容器の側壁に一体化された係止隆起、
同軸中空注射ポートを含む反対側の下ベース、および
前記下ベースに一体化された螺旋状混合チャンネルを含む、容器閉鎖組立体。
【請求項5】
凍結乾燥医薬物に適した容器閉鎖組立体であって、
プラグ構成要素、上カップ構成要素、および生成物容器構成要素を含み、
前記プラグ構成要素は、
プラグ構成要素の外側で基端から先端へ軸方向に延在し前記プラグ構成要素への流体の流れを可能にする流体移送チャンネルを含み、
前記上カップ構成要素は、
標準タイプのルアスリップ注射器の摩擦嵌めを可能にするルアロックタブ取り付けキャビティ、
典型的ルアロック注射器を収容できる円形キャビティ、
前記プラグ構成要素を受けることができてプランジャ組立体を形成する中空円形内側、および
組立てられた前記プランジャ組立体への流体の流れを促進する所定流体移送チャンネルを含み、かつ
前記生成物容器構成要素は、
凍結乾燥される液体活性成分を保持できかつ前記プランジャ組立体を受けることのできる室を有する開放端、
前記生成物容器の側壁に一体化された係止隆起、
同軸中空注射ポートを含む反対側の下ベース、および
前記下ベースに一体化された螺旋状混合チャンネルを含む、容器閉鎖組立体。
【請求項6】
凍結乾燥医薬粉末物を収容する容器閉鎖組立体の改良された製造法であって、
1)業界基準バイアル製造充填ラインへ空の生成物容器を装填し、
2)前記生成物容器に医薬物含有液体製剤を充填し、
3)前記生成物容器の頂面へプランジャ組立体を落下して容器閉鎖組立体を形成し、
4)前記容器閉鎖組立体を凍結乾燥器装置へ設置し、
5)前記容器閉鎖組立体を凍結乾燥プロセスに付し、
6)凍結乾燥器棚の垂直方向の圧縮により前記プランジャ組立体を前記生成物容器へ封止して、最小限ヘッドスペースにより凍結乾燥医薬粉末物を収容する封止された容器閉鎖組立体を形成して凍結乾燥プロセスを終了し、かつ
7)封止された容器閉鎖組立体を結合する、各工程を含む容器閉鎖組立体の製造法
【請求項7】
凍結乾燥医薬粉末物を投与するための改良された方法であって、
1)第一構成要素および第二構成要素を有する配送装置を用意し、
2)第二構成要素の注射ポートへ標準タイプ針を取り付け、
3)注入部位へ前記針を挿入することにより注入を開始し、
4)第一構成要素を作動させて、希釈剤を第二構成要素内の凍結乾燥粉末に遭遇させ、迅速に再構成し、かつ注入部位へ前記針を挿通する、各工程を含み、
第一構成要素が一端に注射ポート、希釈剤容器保持室、および前記注射ポートへの希釈剤の流れを促進する作動手段を有し、第二構成要素は最小限のヘッドスペースにより凍結乾燥薬粉末を収容しかつ一端で第一構成要素と係合でき、反対端に注射ポートを含み、第二構成要素は第一構成要素の作動により第一構成要素から注射された希釈剤を第二構成要素内の粉末に遭遇させかつ第二構成要素の注射ポートへの通過を可能にするプランジャ組立体を含む、凍結乾燥医薬粉末物投与法。
【請求項8】
凍結乾燥医薬粉末物の勾配配送を提供する方法であって、
1)第一構成要素および第二構成要素を有する配送装置を用意し、
2)第二構成要素の注射ポートへ標準タイプ針を取り付け、
3)注入部位へ前記針を挿入することにより注入を開始し、
4)第一構成要素を作動させて、希釈剤を第二構成要素内の凍結乾燥粉末に遭遇させ、迅速に再構成し、かつ注入部位へ前記針を挿通する、各工程を含み、
第一構成要素が一端に注射ポート、希釈剤容器保持室、および前記注射ポートへの希釈剤の流れを促進する作動手段を有し、第二構成要素は最小限のヘッドスペースにより凍結乾燥薬粉末を収容しかつ一端で第一構成要素と係合でき、反対端に注射ポートを含み、第二構成要素は第一構成要素の作動により第一構成要素から注射された希釈剤を第二構成要素内の粉末に遭遇させかつ第二構成要素の注射ポートへの通過を可能にするプランジャ組立体を含む、凍結乾燥医薬粉末物の勾配配送法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−90994(P2013−90994A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−31955(P2013−31955)
【出願日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【分割の表示】特願2009−552748(P2009−552748)の分割
【原出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(509252117)
【Fターム(参考)】