説明

容器

【課題】重合した容器同志が無理に嵌り込んで圧接嵌合状態となることを確実に阻止できる画期的な容器の提供。
【解決手段】容器本体1の側壁部1aの上端部に隙間形成段部2を設け、一方の前記容器本体1の収容部s内に上方から、この一方の容器本体1とは別の他方の前記容器本体1の底部1bを挿入してこの容器本体1同志を重合した際、前記一方の容器本体1の隙間形成段部2若しくは開口上部に前記他方の容器本体1の隙間形成段部2が上方から突き当たり当接して載置支承され、この重合した容器本体1同志が密着重合せず双方間に所定の隙間が形成されるように前記隙間形成段部2を構成し、この容器本体1の側壁部1aは、底部1b側から開口上部側に向けて一定の拡開率で徐々に拡開する断面テーパ形状とせず、底部1b側から略垂直に立ち上がり形成され開口上部側に向けて拡開率を漸増しながら湾曲状に徐々に拡開する断面R形状に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば豆腐やゼリーなどの凝固食品を収容するプラスチック製の容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
豆腐の製法としては種々あるが、工場等で量産する場合には、一般にプラスチック容器に液相の原料(豆乳に凝固剤を加えたもの)を流入充填し、フィルムシートによってこれを密閉し、容器ごと加熱することによりこの容器内にて前記原料を凝固させる製法が実施されている。また、このようにして製造する豆腐は、充填豆腐とも称される。
【0003】
ところで、このような充填豆腐の製造に用いられる前記容器は、例えば特許文献1に開示されているように、底部側から開口上部側に向けて徐々に拡開した断面テーパ形状に形成しており、この容器の開口上部を下方に向けた逆さ状態に保持することで、内容物たる豆腐を下方に落下吐出して容器から形を崩さずに取り出せるように構成している。
【0004】
また、この種の容器は、例えば特許文献1に開示されているように、図5に図示したような隙間形成段部2を容器本体1の側壁部1aの上端部に設けて、容器本体1同志を上下に重合した際、この容器本体1同志が完全に密着重合せず隙間が形成されるように構成し、それだけ重合した容器本体1同志を簡単に離反できるように構成している。詳述すると、容器本体1同志を上下に重合した際、重合した下側の容器本体1の隙間形成段部2若しくは開口上部に、重合した上側の容器本体1の隙間形成段部2が上方から突き当たり当接して載置支承され、この重合した下側の容器本体1の側壁部1a及び底部1bと、重合した上側の容器本体1の側壁部1a及び底部1bとの間に隙間が形成されるように構成している。
【0005】
これは、上述した充填豆腐の製造時、多段に重合した多数の容器を、いわゆる容器自動供給マシンにセットしてこのマシンにより容器を一体ずつ製造ラインに順次供給する際、多数重合状態の容器からスムーズに一体ずつ離反させ、確実に一体ずつ容器を供給できるようにするためである。
【0006】
しかし一方で、この隙間形成段部2によって形成される前記隙間により、重合した上側の容器本体1が下側の容器本体1に対して傾斜姿勢となり易く、図5に図示したように、この上側の容器本体1の隙間形成段部2が下側の容器本体1内に無理に嵌り込んで双方が圧接嵌合した状態となる場合がある。
【0007】
このように一方の容器本体1の隙間形成段部2が他方の容器本体1内に無理に嵌り込んだ圧接嵌合状態が生ずると、この容器同志が容易に重合状態から離反しない。その為、上述した容器自動供給マシンにより容器を一体ずつ供給する際にも、容器同志が嵌り込んだまま離れずに容器が供給されなかったり、反対に一度に二体の容器を供給してしまうなど種々のトラブルを生じ、そのたびにマシンの停止、いわゆる「チョコ停」を発生する原因となる。
【0008】
このチョコ停の発生は、それだけマシンの稼働効率の低下を招き、ひいては製造コストにまで影響を及ぼす非常に重要な問題である。しかし、このチョコ停の原因となる前記の重合した容器同志の無理な嵌り込みは、例えば容器を多段に重合して一度に多数の容器を手で搬送する際などに、図5に図示したように簡単に所々に生じてしまい、その状態のまま容器自動供給マシンにセットしてしまうことも多々あり、これを完全に阻止することは極めて困難である。
【0009】
尚、例えばこの種の既存の容器の側壁部をより小さいテーパ形状に設計変更することで、重合した容器の互いの側壁部間の隙間を狭め近接状態とすることができ、それだけ容器同志の位置ズレや傾斜姿勢を阻止でき、ひいては容器同志の無理な嵌り込みの阻止が可能である。しかし、この種の容器は予め規定の容量となるように設計されており、従って、この容器の側壁部のテーパを設計変更することで容器の容量(つまり豆腐の内容量)までも変更すると設計上問題がある。
【0010】
この点、容器の高さ寸法や間口形状を設計変更すれば、容器の容量を変更することなくその側壁部をより小さいテーパに設計変更できる。しかしこの種の容器は、その高さ寸法や間口形状も規定の寸法・形状となるように設計されており(豆腐製造用の各装置の仕様に合わせて高さ寸法や間口形状が規定される)、その規定から外れるような設計変更は、やはり設計上問題がある(豆腐製造用の各装置の使用に容器が合わなくなってしまう)。
【0011】
従って、実際に使用されている既存の容器に対し、その容量や高さ寸法,間口形状を何ら設計変更することなく上記の容器同志の無理な嵌り込みを確実に阻止できる画期的な容器の実現が望まれる。
【0012】
【特許文献1】特開2004−217231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、この種の容器における従来までの問題点に鑑みて完成したもので、容器本体の側壁部に設けた隙間形成段部により、重合した容器同志間に隙間を形成せしめこの重合した容器同志を簡単に離反できる構造としたことは勿論、この隙間形成段部によって形成される隙間を利用して上側の容器が下側の容器に対して傾斜姿勢となりつつ下側の容器内に無理に嵌り込んで圧接嵌合状態となるという上記のトラブルも確実に阻止できるなど、これまでにない秀れた作用効果を奏する画期的な構造を、現在使用されている既存の容器に対してその容量や高さ寸法,間口形状を何ら変更せずに実現可能とした画期的な容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0015】
底部1b側から開口上部側に向けて徐々に拡開する形状に容器本体1を形成し、この容器本体1の開口上部を下方に向けた逆さ状態に保持してこの容器本体1の収容部s内から内容物を下方に落下吐出し得るように構成したプラスチック製の容器において、前記容器本体1の側壁部1aの上端部に隙間形成段部2を設け、一方の前記容器本体1の収容部s内に上方から、この一方の容器本体1とは別の他方の前記容器本体1の底部1bを挿入してこの容器本体1同志を重合した際、前記一方の容器本体1の隙間形成段部2若しくは開口上部に前記他方の容器本体1の隙間形成段部2が上方から突き当たり当接して載置支承され前記一方の容器本体1の側壁部1a及び底部1bと、前記他方の容器本体1の側壁部1a及び底部1bとが密着重合せず双方間に所定の隙間が形成されるように前記隙間形成段部2を構成し、この容器本体1の側壁部1aは、底部1b側から開口上部側に向けて一定の拡開率で徐々に拡開する断面テーパ形状とせず、底部1b側から略垂直に立ち上がり形成され開口上部側に向けて拡開率を漸増しながら湾曲状に徐々に拡開する断面R形状に構成したことを特徴とする容器に係るものである。
【0016】
また、前記容器本体1は、前記側壁部1a及び底部1bと共に前記隙間形成段部2を一体成形によりこの側壁部1aの上端部に外方突出状態に設けた構成としたことを特徴とする請求項1記載の容器に係るものである。
【0017】
また、前記容器本体1は、内容物として豆腐,ゼリーなどの凝固食品を未凝固状態のまま収容部s内に流入してこの収容部s内にて凝固させ収容する凝固食品用容器として構成すると共に、この容器本体1の開口上部を下方に向けた逆さ状態に保持してこの容器本体1の収容部s内から内容物としての前記凝固食品を下方に落下吐出し得るように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の容器に係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上述のように構成したから、容器本体の側壁部に設けた隙間形成段部により、これまで同様、容器同志を重合した際互いを密着重合させずに双方間に隙間を形成せしめ、この重合した容器同志を簡単に離反できる構造としただけでなく、しかもこの重合した上側の容器が前記隙間形成段部によって形成される隙間を利用して傾斜姿勢となりつつ下側の容器内に無理に嵌り込んで圧接嵌合状態となる上記のトラブルも確実に阻止できる極めて秀れた構造の画期的な容器となる。
【0019】
詳述すると、容器本体の側壁部を、底部側から開口上部側に向けて一定の拡開率で徐々に拡開する断面テーパ形状とせず、底部側から略垂直に立ち上がり形成され開口上部側に向けて拡開率を漸増しながら湾曲状に徐々に拡開する断面R形状に構成したから、容器同志を重合した際、上側の容器の側壁部の下端側の立ち上がり形成部位と、下側の容器の側壁部の下端側の立ち上がり形成部位とが近接状態となり、これにより、重合した上側の容器が下側の容器との隙間を利用して傾斜姿勢となることが阻止され、この下側の容器内に無理に嵌り込むことが阻止される。また万が一下側の容器内に上側の容器が無理に嵌り込んでも側壁部の下側の立ち上がり形成部位同志が弾圧当接してプラスチックの弾性により自然に脱出復帰し、その結果、容器同志が無理に嵌り込んで圧接嵌合状態を保持することを確実に阻止できる画期的な構造となる。
【0020】
また、例えば本発明を上記充填豆腐用の容器として用いる場合、多数重合した本容器を容器自動供給マシンによって所定の製造ラインに一体ずつ順次供給する容器供給作業が行われる。この際、重合した本容器同志の無理な嵌り込みが阻止されている為、それだけこの容器供給作業時の供給トラブルを排除でき、前記マシンのいわゆる「チョコ停」の発生をそれだけ抑止できる。つまり、この種の容器として本発明品を採用するだけで、製造効率の向上やコスト改善を確実に図ることができる極めて画期的で実用性に秀れた容器となる。
【0021】
また、本発明は、何ら複雑な形状や構造とする必要はなく、単に容器本体の側壁部を断面R形状とするシンプルな形状・構造の為、それだけ簡易に製造・実現可能で、量産性やコスト性にも秀れる。また、このシンプルな形状故、仮に容器本体の収容部に豆腐やゼリーなどの凝固食品を収容した場合に、この内容物を取り出した際の形状が奇抜な形状となり見た目や体裁を損ねるといった心配もない。
【0022】
また、容器の上端部(側壁部の上端部の隙間形成段部)と下端部(側壁部の略垂直な立ち上がり形成部位)との上下に離れた位置にてそれだけ堅固に且つ確実に上記の容器同志の嵌り込みを阻止でき、それだけ隙間形成段部を必要最小限に小さく設定することも可能である。
【0023】
また、容器の下部側、即ち容器本体の側壁部の下端側の略垂直な立ち上がり形成部位を手で安定性良く掴み保持できる為、容器本体を逆さ状態に良好に保持でき、この容器内から内容物を下方に落下吐出する作業も良好に行える。
【0024】
加えて、本発明の断面R形状の容器本体は、常に一定の拡開率で拡開する一般的な断面テーパ形状の既存の容器本体の形状に比して、側壁部の下端側では拡開率が少なく、反対に側壁部の上端側では拡開率が大きく急激に拡開する断面R形状である。即ち、一般的な既存の容器本体に対し、単にそのテーパをより小さく又は大きく設計変更する場合、その容器の容量も変わってしまう。この点、容器の側壁部を断面テーパ形状から断面R形状に設計変更する場合、その容器の容量は変わらないように側断面の形状のみを設計変更できる。
【0025】
従って、本発明の容器は、既存の例えば豆腐製造用の各装置の仕様に対応した形状のまま(つまり規定の容器の高さ寸法や間口形状を変更することなく)、規定の容量も変更することなく、上記の嵌り込み阻止機能などこれまでにない秀れた作用効果を奏する構造に既存の容器の形状設計から改変できる極めて有用性の高いものである。 また、請求項2記載の発明においては、本発明の容器本体を一層簡単に製造・実現可能な構成で、それだけ量産性及び実用性に一層秀れた構造の画期的な容器となる。
【0026】
また、請求項3記載の発明においては、豆腐・ゼリーなどの凝固食品用の容器としての高い実用価値を有し、上述の通りこの種の凝固食品の製造効率の向上やコスト改善などを確実に図り得る極めて有用性の高い画期的な容器となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0028】
本発明は、容器本体1の収容部s内に、例えば豆腐,ゼリーなどの凝固食品や、その他種々の内容物を収容し得るプラスチック製の容器である。
【0029】
一方の容器本体1の収容部s内に上方から、この一方の容器本体1とは別の他方の前記容器本体1の底部1bを挿入してこの容器本体1同志を重合する。
【0030】
この際、例えば図2に図示したように、一方の容器本体1の隙間形成段部2若しくは開口上部に他方の容器本体1の隙間形成段部2が上方から突き当たり当接して載置支承され、前記一方の容器本体1の側壁部1a及び底部1bと、前記他方の容器本体1の側壁部1a及び底部1bとは密着重合せず双方間に所定の隙間が形成されることとなる。
【0031】
即ち、容器本体1同志を重合すると、この容器本体1同志は互いに密着重合するのではなく、所定の隙間をあけた状態で且つ重合下側の前記一方の容器本体1の所定部位に重合上側の前記他方の容器本体1の隙間形成段部2が載置支承された状態となる。
【0032】
従って、上側の容器本体1を単に持ち上げるだけで重合状態の容器本体1同志が簡単に離反する構造となる。
【0033】
また、本発明の容器本体1は、底部1b側から開口上部側に向けて徐々に拡開する形状に形成することで、この容器本体1の開口上部を下方に向けた逆さ状態に保持してこの容器本体1の収容部s内から内容物を下方に落下吐出し得るように構成している。
【0034】
ここで、特に本発明では、容器本体1の側壁部1aは、底部1b側から開口上部側に向けて一定の拡開率で徐々に拡開する(例えば図5に図示した従来例のような)断面テーパ形状とせず、底部1b側から略垂直に立ち上がり形成され開口上部側に向けて拡開率を漸増しながら湾曲状に徐々に拡開する、例えば図2に図示したような断面R形状に構成している。
【0035】
従って、容器本体1同志を重合した際、上記の通り隙間形成段部2によりこの重合した容器の間には隙間が形成されるが、この互いの容器の下部同志は、即ち互いの容器本体1の側壁部1aの下端側の略垂直に立ち上がり形成された部位同志は他の部位に比して互いに近接状態となる。
【0036】
つまり、図2に図示したように、容器本体1同志を重合した際に、容器本体1の側壁部1aの下端側の略垂直に立ち上がり形成された部位では、他の部位に比して隙間が非常に小さく(狭く)なる形状に前記容器本体1の側壁部1aが形成されることとなる。
【0037】
よって、容器本体1の側壁部1aを、例えば図5に図示した従来例のように、単に一定の拡開率で徐々に拡開する断面テーパ形状とした場合、容器本体1同志を重合した際に隙間形成段部2により形成される隙間を利用して上側の容器本体1の隙間形成段部2が下側の容器本体1内に無理に嵌り込んで圧接嵌合した状態になる問題が生ずるが、この点、容器本体1の側壁部1aを、略垂直立ち上がり形成から拡開率を漸増しつつ湾曲状に拡開する断面R形状に形成した本発明によれば、容器本体1同志を重合した際に、隙間形成段部2により隙間が形成されるが、この重合した容器本体1の側壁部1aの下部同志は近接状態に配されその隙間がそれだけ小さい(狭い)構造の為、上側の容器本体1が下側の容器本体1に対して傾斜姿勢を取ろうとしても近接状態にある側壁部1aの下部同志が当接して傾斜が阻止され、ひいては、上側の容器本体1の隙間形成段部2が下側の容器本体1の収納部s内に無理に嵌り込むことも阻止できることとなる。更に、万が一無理に嵌り込みが生じても、互いの側壁部1a同志が弾圧当接し、プラスチックが有する弾性によってこの嵌り込み状態から自然に脱出復帰することとなる。このように、本発明は、これまで問題となっていた容器同志の無理な嵌り込みを確実に阻止できる秀れた構造となる。
【0038】
しかも本発明は、上述のような秀れた嵌り込み阻止構造を、単に容器本体1の側壁部1aを通常の断面テーパ形状とせず上記断面R形状としたシンプルな構造により実現可能としている。
【0039】
それ故、製造が困難となったり製造コスト高となる心配は一切無く、あくまでこれまでの容器と同様の手間とコストで容易に量産製造可能な構造となる。また、内容物として例えば豆腐やゼリーなどの凝固食品を充填し収容する容器として本発明を用いる場合、容器本体1が奇抜な形状となってしまうと、内容物を取り出した際にこの内容物たる凝固食品も奇抜な形状のものとなってしまう心配があるが、本発明は単に側壁部1aを断面R形状としたシンプルな構造故、そのような心配も生じ得ない。また、図4の通り、容器本体1の開口上部を下方に向けた逆さ状態に保持して内容物を下方に落下吐出させる際、容器本体1の側壁部1aの下部(図4の逆さ状態においては上部)の略垂直な立ち上がり部位を手で良好に掴み保持できる(テーパ形状だと手から滑り易い)為、このような作業も良好に行えることとなる。
【0040】
また、これまで、隙間形成段部2の形状やその突出量を大きく形成することで容器同志の嵌り込みの阻止を図る(小さいと余計簡単に嵌り込んでしまう為)場合もあるが、十分な阻止効果が得られないばかりか、仮に充填豆腐などの凝固食品を収容していた場合、取り出した凝固食品が不恰好な形状となり体裁が悪いという問題を有したが、この点、本発明では、容器本体1の側壁部1の上端部(隙間形成段部2)と下端部(略垂直に立ち上がり形成された部位)との上下に離れた位置にて無理な嵌り込みを阻止する構造の為、非常に堅固に確実に前記無理な嵌り込みを阻止でき、またそれだけ隙間形成段部2を最小限に小さく設計できるので、仮に凝固食品を収容する場合、取り出した凝固食品の見た目や体裁も秀れたものとなる。
【実施例】
【0041】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0042】
本実施例は、底部1b側から開口上部側に向けて徐々に拡開する形状に容器本体1を形成し、この容器本体1の開口上部を下方に向けた逆さ状態に保持してこの容器本体1の収容部s内から内容物を下方に落下吐出し得るように構成したプラスチック製の容器において、前記容器本体1の側壁部1aの上端部に隙間形成段部2を設け、一方の前記容器本体1の収容部s内に上方から、この一方の容器本体1とは別の他方の前記容器本体1の底部1bを挿入してこの容器本体1同志を重合した際、前記一方の容器本体1の隙間形成段部2若しくは開口上部に前記他方の容器本体1の隙間形成段部2が上方から突き当たり当接して載置支承され前記一方の容器本体1の側壁部1a及び底部1bと、前記他方の容器本体1の側壁部1a及び底部1bとが密着重合せず双方間に所定の隙間が形成されるように前記隙間形成段部2を構成し、この容器本体1の側壁部1aは、底部1b側から開口上部側に向けて一定の拡開率で徐々に拡開する断面テーパ形状とせず、底部1b側から略垂直に立ち上がり形成され開口上部側に向けて拡開率を漸増しながら湾曲状に徐々に拡開する断面R形状に構成したものである。
【0043】
以下、本実施例を具体的に説明する。
【0044】
本実施例に係る容器は、図3に図示したように、豆腐,ゼリーなどの凝固食品を収容するものとする。また特に、本実施例では、豆腐を凝固する前の液相の原料を容器本体1の収容部s内に流入充填し、フィルムシートによってこれを密閉し、容器ごと加熱することにより前記収容部s内にて前記原料を凝固させて製造する充填豆腐用の容器として用いるものとする。
【0045】
容器本体1は、図1,2に図示したように、方形状の底部1bに側壁部1aを立設し、上部に方形状の開口を有する上部開口型の方形箱形状に形成している。
【0046】
また、図2に図示したように、容器本体1の開口上部にして開口縁には、略水平外方に突出状態にフランジ部を延設している。
【0047】
また、この容器本体1の側壁部1aの四隅の各角部にして上端部に、夫々前記隙間形成段部2を設けている。
【0048】
この隙間形成段部2は、容器本体1同志を重合状態とした際に容器間に隙間を形成する本実施例の隙間形成段部2としての機能を発揮し得る構造であればどのような形状に形成しても良い。図示した本実施例においては、前記側壁部1aの上端部に、外方突出状態に段状部を形成すると共にこの段状部の下部に湾曲突面部を形成した構成とし、図2に図示したように、容器本体1同志を重合した際、上側の容器本体1の隙間形成段部2の段状部が下側の容器本体1の開口上部の前記フランジ部に上方から突き当たり当接して載置支承されると共に、この載置支承された隙間形成段部2の段状部の下部の湾曲突面部が、下側の容器本体1の開口縁部に当接状態若しくは近接状態に配されることで、この重合した容器本体1同志間のガタつき(下側の容器本体1に対して上側の容器本体1が水平方向にガタツキ回動すること)を阻止できるように前記隙間形成段部2を形成している。
【0049】
また、この容器本体1は、側壁部1aの全周を、図2に図示したように、底部1bから連設湾曲部を介して略垂直上方向に立ち上がり形成すると共に拡開率を漸減しつつ湾曲状に外側に拡開する断面R形状に形成している。
【0050】
また、具体的には、本実施例の容器本体1は、例えば図5に図示したように常に一定の拡開率で拡開する一般的な断面テーパ形状の既存の容器の形状を基に、この既存の容器と同じ高さ寸法、及び同じ間口形状(開口部の開口形状)に設定し、且つこの既存の容器と同じ容器容量となるように考慮して、この本実施例の容器本体1の側壁部1aの断面R形状の湾曲度合いを設定した構成としている。
【0051】
従って、本実施例は、例えば図5に図示したような一般的な断面テーパ形状の既存の容器を用いる既存の充填豆腐製造用の各装置にそのまま本実施例の容器を採用することができる。即ち、この種の製造用の装置は、使用する容器の高さ寸法,間口形状が変更すると、それに応じて各装置の仕様を変更しなければならないが、本実施例のものは、一般的な既存の容器に対して、その容器容量は勿論、高さ寸法や間口形状を同一とし、単に側壁部の形状を断面テーパ形状から断面R形状に設計変更しただけの構造である為、従来から有る既存の豆腐製造用の装置に本実施例の容器をそのまま採用できるものである。 以上のように構成した容器本体1同志を重合した際、下側の容器本体1に対して、上側の容器本体1は隙間形成段部2を載置支承した状態となり、図2に図示したように、隙間形成段部2の段状部の段高さのぶんだけ上側の容器本体1の底部1bと下側の容器本体1の底部1bとの間に隙間が生ずると共に、上側の容器本体1の側壁部1aと下側の容器本体1の側壁部1aとの間にも隙間が生ずる。この際、容器本体1の側壁部1aを、図5に図示した従来例のように単に一定の拡開率で徐々に拡開する断面テーパ形状としていた場合には、重合した容器本体1同志の側壁部1a間には上部側から下部側まで略一様な幅に隙間が形成されることとなる。しかしこの点、本実施例においては、容器本体1の側壁部1a全周を断面R形状とし、その下部側は略垂直に立ち上がった形状に形成しているため、図2に図示したように、重合した容器本体1同志の側壁部1a間の下部側が互いに近接状態となり、それだけこの容器本体1同志の側壁部1aの下部側は、その他の部位に比して非常に狭い(小さい)隙間が形成されることとなる。
【0052】
従って、容器本体1同志を重合した際、図2に図示したように、容器本体1同志が密着重合せず双方間に隙間が形成されるから、この重合状態から簡単に双方を離反できる。
【0053】
また、容器本体1の側壁部1aの下部側ではその隙間が非常に狭く、互いに側壁部1aの下部側を近接状態に配しており、容器本体1の側壁部1aの上端部の隙間形成段部2と、側壁部1aの下端側の前記略垂直な立ち上がり形成部位との上下の二点によって容器同志の無理な嵌り込みを阻止する構造である。よって、単に隙間形成段部2の当接のみによって嵌り込みを阻止していた従来例に比して、確実且つ堅固に前記無理な嵌り込みを阻止できる構造である。
【0054】
従来例では、隙間形成段部2のみによりこの無理な嵌り込みの阻止を図る、即ち、それだけこの隙間形成段部2をなるべく大きめに形成する(小さいと余計簡単に下側の容器内に嵌り込む為)ことで無理な嵌り込みの阻止を図っているが、この点、本実施例は、上記の通り隙間形成段部2の側壁部1aの下端側との二点により無理な嵌り込みの阻止を図れるので、それだけこの隙間形成段部2を小さく(容器本体1同志を重合した際に、側壁部1aの下端側同志が上記の嵌り込み阻止効果を発揮し得る近接状態し得る必要最小源の大きさに)設定する。
【0055】
尚、本実施例の容器本体1は、前記側壁部1a,底部1b及び隙間形成段部2をプラスチック射出成形法などにより一体成形してこの側壁部1aの上端部に外方突出状態に隙間形成段部2を設けた構成とする。また、この側壁部1a,底部1b及び隙間形成段部2は、いずれもプラスチック製による略等しい肉厚に形成した構成としている。
【0056】
本実施例は、上述のように構成したから、多数重合した本容器を容器自動供給マシンによって所定の製造ラインに一体ずつ順次供給する容器供給作業を行う際、前記多数重合した容器本体1同志の無理な嵌り込み状態が確実に阻止されている為、それだけこの容器供給作業時の供給トラブルを排除でき、前記マシンのいわゆる「チョコ停」の発生をそれだけ抑止でき、充填豆腐の製造時の製造効率の向上やコスト改善などを確実に図り得る極めて画期的で実用性に秀れた容器となる。
【0057】
また、図4に図示したように、容器本体1の開口上部を下方に向けた逆さ状態に保持して、内容物たる豆腐を下方に落下吐出する際、容器本体1の下部側、即ち容器本体1の側壁部1aの下端側の略垂直な立ち上がり形成部位を手で安定性良く掴み保持できる。よって、容器本体1を逆さ状態に安定性良く保持でき、豆腐の落下吐出作業を良好に行える。
【0058】
また、本実施例の容器本体1の側壁部1aは開口上部に向けて徐々に拡開率を漸増する断面R形状で、開口上部側(図4中では下側)では側壁部1aが大きい拡開率で外方に大きく傾倒した形状となるので、内容物である豆腐をそれだけスムーズに下方に落下吐出させることができる。
【0059】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施例に係る容器の説明斜視図である。
【図2】本実施例に係る容器の容器本体1同志を重合した状態を示す断面図である。
【図3】本実施例に係る容器の使用状態を示す説明斜視図である。
【図4】本実施例に係る容器の使用状態を示す説明断面図である。
【図5】従来例を示す説明断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 容器本体
1a 側壁部
1b 底部
2 隙間形成段部
s 収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部側から開口上部側に向けて徐々に拡開する形状に容器本体を形成し、この容器本体の開口上部を下方に向けた逆さ状態に保持してこの容器本体の収容部内から内容物を下方に落下吐出し得るように構成したプラスチック製の容器において、前記容器本体の側壁部の上端部に隙間形成段部を設け、一方の前記容器本体の収容部内に上方から、この一方の容器本体とは別の他方の前記容器本体の底部を挿入してこの容器本体同志を重合した際、前記一方の容器本体の隙間形成段部若しくは開口上部に前記他方の容器本体の隙間形成段部が上方から突き当たり当接して載置支承され前記一方の容器本体の側壁部及び底部と、前記他方の容器本体の側壁部及び底部とが密着重合せず双方間に所定の隙間が形成されるように前記隙間形成段部を構成し、この容器本体の側壁部は、底部側から開口上部側に向けて一定の拡開率で徐々に拡開する断面テーパ形状とせず、底部側から略垂直に立ち上がり形成され開口上部側に向けて拡開率を漸増しながら湾曲状に徐々に拡開する断面R形状に構成したことを特徴とする容器。
【請求項2】
前記容器本体は、前記側壁部及び底部と共に前記隙間形成段部を一体成形によりこの側壁部の上端部に外方突出状態に設けた構成としたことを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記容器本体は、内容物として豆腐,ゼリーなどの凝固食品を未凝固状態のまま収容部内に流入してこの収容部内にて凝固させ収容する凝固食品用容器として構成すると共に、この容器本体の開口上部を下方に向けた逆さ状態に保持してこの容器本体の収容部内から内容物としての前記凝固食品を下方に落下吐出し得るように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−239162(P2008−239162A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78243(P2007−78243)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000131016)株式会社サンプラスト三笠 (2)
【Fターム(参考)】