説明

容器

【課題】 トリガー式スプレー容器等において、組立状態で、吐出器のノズルを容器本体に対する特定の方向に簡易に位置付けること。
【解決手段】 容器10であって、容器本体11の口部12と吐出器20の嵌着部23のそれぞれの周方向の1カ所に、それらの周方向で係合する位置決め係合部51、52を設け、スクリューリング30が容器本体11の口部12に螺着されたとき、吐出器20の嵌着部23に設けた位置決め係合部52が容器本体11の口部12に設けた位置決め係合部51に周方向で係合し、吐出器20のノズル21を容器本体11に対する特定の方向に位置付けるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリガー式スプレー容器、プッシュポンプ付容器等の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトリガー式スプレー容器として、特許文献1に記載の如く、ノズルを備えるとともに、容器本体の口部に嵌着される嵌着部を備える吐出器と、吐出器の嵌着部の外周に回転自在かつ軸方向には該嵌着部を少なくとも容器本体の口部に押し付ける一方向に係止されて取付けられ、容器本体の口部に螺着されるスクリューリングとを有してなるものがある。
【0003】
従来のプッシュポンプ付容器として、特許文献2に記載の如く、ノズルヘッドに一体に取付けられたピストンを摺動可能に収容するシリンダを容器本体の口部内に挿入し、シリンダのフランジを覆うスクリューキャップを容器本体の口部外周に螺着し、該シリンダを容器本体に押え付けて固定するものがある。このとき、シリンダのフランジの内周キー溝を容器本体の口部の外周キー溝に嵌合している。これにより、使用者がこの容器を購入した使用開始当初に、ノズルヘッド及びピストンをリフトアップさせるために、ノズルヘッドを回転させても、ノズルヘッドと一体のピストンを介してシリンダが容器本体の口部に対し相対回転することがなく、シリンダを押えているスクリューキャップがシリンダと共回りして容器本体の口部から外れてしまう不都合を解消しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4067157
【特許文献2】特開2003-192068
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のトリガー式スプレー容器は、組立状態で、吐出器のノズル(該ノズルの液吐出方向)を容器本体に対する前方等の特定の方向に位置付けるときには、スクリューリングを容器本体の口部に螺着して吐出器の嵌着部を容器本体の口部にある程度締め付けたところで、容器本体に対する吐出器の方向合せを行ない、その後、スクリューリングを更に螺着して吐出器の嵌着部を容器本体の口部に固く締め付ける必要がある。
【0006】
特許文献2に記載のプッシュポンプ付容器は、ノズルヘッドに連結されているシリンダを容器本体の口部に押さえ付けて固定するスクリューキャップが、使用者によるこの容器の使用開始当初に、シリンダと共回りして容器本体の口部から外れるのを防止するものであり、組立状態で、ノズルヘッドを容器本体に対する前方等の特定方向に位置付けようとするところが全くない。
【0007】
本発明の課題は、トリガー式スプレー容器等において、組立状態で、吐出器のノズルを容器本体に対する特定の方向に簡易に位置付けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ノズルを備えるとともに、容器本体の口部に嵌着される嵌着部を備える吐出器と、吐出器の嵌着部の外周に回転自在かつ軸方向には該嵌着部を少なくとも容器本体の口部に押し付ける一方向に係止されて取付けられ、容器本体の口部に螺着されるスクリューリングとを有する容器であって、容器本体の口部と吐出器の嵌着部のそれぞれの周方向の1カ所に、それらの周方向で係合する位置決め係合部を設け、該位置決め係合部は、容器本体の口部の外周であって、おねじ部の直上の外周であり、吐出器の嵌着部が嵌着される口部の開口端寄りの外周に設けられ、容器本体のおねじ部に螺着されるスクリューリングの締め込み回転に連れ回る嵌着部の回転方向に対して概ね直角の立上り壁状をなす本体側位置決め係合部と、吐出器の嵌着部の下向き端面に設けられ、容器本体のおねじ部に螺着されるスクリューリングの締め込み回転に連れ回る嵌着部の回転方向に対して概ね直角の立下り壁状をなす吐出器側位置決め係合部とで構成され、スクリューリングが容器本体の口部に螺着されたとき、吐出器の嵌着部に設けた吐出器側位置決め係合部が容器本体の口部に設けた本体側位置決め係合部に周方向で係合し、吐出器のノズルを容器本体に対する特定の方向に位置付けるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トリガー式スプレー容器等において、スクリューリングを容器本体の口部に螺着し、吐出器の嵌着部を容器本体の口部に締め付ける組立工程の完了と同時に、吐出器のノズルを容器本体に対する特定の方向に簡易に位置付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は容器の組立完了状態を示す断面図である。
【図2】図2は図1のスクリューリングを一部破断して示す斜視図である。
【図3】図3はスクリューリングにより被着された容器本体の口部と吐出器の嵌着部の各位置決め係合部を示す組立過程における拡大図である。
【図4】図4はスクリューリングを取外して容器本体の口部と吐出器の嵌着部の各位置決め係合部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1、図2に示すトリガー式スプレー容器10は、容器本体11の口部12に被着されて螺着されるスクリューリング30により吐出器20を該口部12に固定したものである。容器10は、吐出器20が備えるノズル21を容器本体11に対する前方等の特定の方向に位置付け、このノズル21から糊材、コーティング材等をその特定の方向に向けてスプレー状に吐出する。
【0012】
吐出器20は、その内部に内筒部20Aと外筒部20Bを備え、外筒部20Bの外周には概ねフランジ状をなすように張り出る筒状嵌着部23が設けられ、この嵌着部23は容器本体11の口部12の開口端に軸方向の外方から下向きに嵌着される。内筒部20Aには、ディップチューブ25が嵌合され、ディップチューブ25は容器本体11の容器内空間11Aの底部にまで延在される。
【0013】
スクリューリング30は、環状体31の上端部において内側に向かって張り出す環状突部32を備え、この環状突部32によって吐出器20の嵌着部23に、回転自在に係止される。環状体31の上端部にある環状突部32により吐出器20にスクリューリング30が係止されているので、スクリューリング30がその環状体31により容器本体11に取付けられるとき、軸方向において吐出器20の嵌着部23が容器本体11の口部12に押し付けられることになる。尚、本実施例では、スクリューリング30の環状突部32は、吐出器20の外筒部20Bの周囲で、吐出器20のポンプ室41を形成する側と嵌着部23との間に回転自在に係入され、吐出器20の嵌着部23の外周に軸方向の双方向で係止可能に取付けられている。環状体31の内周に設けためねじ部33は容器本体11の口部12の外周に設けたおねじ部13に螺着される。
【0014】
容器10は、吐出器20にトリガー40を有する。トリガー40はピストン42を圧縮ばね43に抗してポンプ室41に押し込み操作可能にする。トリガー40を押し込み操作すると、ポンプ室41内の液状物はノズル21から容器本体11に対する前方等の特定の方向に向けて吐出される。トリガー40の押し込み操作を解除すると、ピストン42が圧縮ばね43により原位置に戻され、ポンプ室41に吸引圧が作用し、容器内空間11Aの液状物はポンプ室41に吸引される。
【0015】
しかるに、容器10は、吐出器20のノズル21(ノズル21の液吐出方向)を容器本体11に対する前方等の特定の方向に簡易に位置付けて組立可能にするため、以下の構成を具備する。
【0016】
容器10は、図1〜5に示す如く、容器本体11の口部12と吐出器20の嵌着部23のそれぞれの周方向の1カ所に、それらの周方向で係合する本体側位置決め係合部51、吐出器側位置決め係合部52を設ける。
【0017】
本体側位置決め係合部51は容器本体11の口部12の外周であって、おねじ部13の直上の外周であり、吐出器20の嵌着部23が嵌着される口部12の開口端寄りの外周に設けられ、容器本体11のおねじ部13に螺着されるスクリューリング30の締め込み回転に連れ回る嵌着部23の回転方向に対して概ね直角の立上り壁状をなす。容器本体11の口部12の、本体側位置決め係合部51が設けられる外周壁は、立上り壁状の位置決め係合部51の壁上端51Aから嵌着部23の上述の回転方向に沿って滑らかに連続下降する緩傾斜面51Cを経て本体側位置決め係合部51の壁下端51Bにつながり、位置決め係合部51以外の立上り部を設けていない。即ち、緩傾斜面51Cは、壁上端51Aから壁下端51Bにまで、口部12の外周壁を一回りしている。
【0018】
尚、図からも明らかなように、本体側位置決め係合部51はおねじ部13より小さな径であって、口部12の上部において、おねじ部13が形成されている面から陥没する如く設けてある。
【0019】
吐出器側位置決め係合部52は吐出器20の嵌着部23の下向き端面に設けられ、容器本体11のおねじ部13に螺着されるスクリューリング30の締め込み回転に連れ回る嵌着部23の回転方向に対して概ね直角の立下り壁状をなす。吐出器20の嵌着部23の位置決め係合部52が設けられる外周部は、立下り壁状の吐出器側位置決め係合部52の壁上端52Aから嵌着部23の上述の回転方向に沿って滑らかに連続する緩傾斜面52Cを経て位置決め係合部52の壁下端52Bにつながり、位置決め係合部52以外の立下り部を設けていない。即ち、緩傾斜面52Cは、壁上端52Aから壁下端52Bにまで、嵌着部23の外周を一回りしている。
【0020】
そして、容器本体11の側の位置決め係合部51と吐出器20の側の位置決め係合部52は、それらが容器本体11の口部12と吐出器20の嵌着部23の周方向で相衝合して係合するとき、吐出器20のノズル21を容器本体11に対する特定の方向に位置付けるように配置される。
【0021】
これにより、容器10の組立時に、スクリューリング30が図3の組立初期状態から容器本体11のおねじ部13に螺着され、スクリューリング30の締め込み回転に連れ回る吐出器20の嵌着部23に設けた吐出器側位置決め係合部52が、図1、図2、図3(B)に示す如く、容器本体11の口部12に設けた本体側位置決め係合部51に周方向で係合する組立完了状態に至ると、吐出器20のノズル21は容器本体11に対する特定の方向に位置付けられる。
【0022】
即ち、本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
容器10の組立時に、吐出器20の嵌着部23に回転自在に係止されて取付けられているスクリューリング30を容器本体11の口部12に螺着していくと、スクリューリング30に連れ回る吐出器20の嵌着部23に設けてある吐出器側位置決め係合部52が容器本体11の口部12に設けてある本体側位置決め係合部51に相衝合して係合し、吐出器20の嵌着部23が回り止めされる。このとき、各位置決め係合部51、52はそれらの周方向の1カ所にだけ設けられ、2つの位置決め係合部51、52の衝合により、吐出器20の嵌着部23、ひいてはノズル21が容器本体11に対する所定の方向に位置付けられるものになる。即ち、スクリューリング30を螺着していくと、吐出器20の嵌着部23は上述の回り止めされた位置で容器本体11の口部12に固く締め付けられるものになる。これにより、スクリューリング30を容器本体11の口部12に螺着し、吐出器20の嵌着部23を容器本体11の口部12に締め付ける組立工程の完了と同時に、吐出器20のノズル21を容器本体11に対する特定の方向に位置付けることとなり、簡易に方向を合わせることができる。
【0023】
本発明は、上記実施例に限られるものではない。例えば、緩傾斜面を設けずに、吐出器側位置決め係合部52および本体側位置決め係合部51は、各々が水平面から突出する小突起で形成されていても良いし、吐出器側若しくは本体側のいずれか一方のみ実施例の如く緩斜面の上下を結ぶように構成される位置決め係合部とし、他方を水平面に突出する小突起で位置決め係合部を構成しても良い。
【0024】
本発明は、プッシュポンプ付き容器等にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明によれば、トリガー式スプレー容器等において、組立状態で、吐出器のノズルを容器本体に対する特定の方向に簡易に位置付けることができる。
【符号の説明】
【0026】
10 容器
11 容器本体
12 口部
20 吐出器
21 ノズル
23 嵌着部
30 スクリューリング
51、52 位置決め係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを備えるとともに、容器本体の口部に嵌着される嵌着部を備える吐出器と、
吐出器の嵌着部の外周に回転自在かつ軸方向には該嵌着部を少なくとも容器本体の口部に押し付ける一方向に係止されて取付けられ、容器本体の口部に螺着されるスクリューリングとを有してなる容器であって、
容器本体の口部と吐出器の嵌着部のそれぞれの周方向の1カ所に、それらの周方向で係合する位置決め係合部を設け、スクリューリングが容器本体の口部に螺着されたとき、吐出器の嵌着部に設けた位置決め係合部が容器本体の口部に設けた位置決め係合部に周方向で係合し、吐出器のノズルを容器本体に対する特定の方向に位置付ける容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−245447(P2011−245447A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123103(P2010−123103)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】