寛骨臼カップ
寛骨臼カップを寛骨臼内に配置するシステム及び方法が開示されている。システムは、偏心ソケットを備える寛骨臼カップを含んでもよい。寛骨臼カップは、カップ縁部を備え、カップ縁部の一部が除去されてレリーフを画成するように実質的に半球型に構成されてもよい。カップは、同心ライナーを偏位に適合させてもよい。ネジ開口孔がカップの周囲に存在してもよく、ネジ軌道はカップのドームに向かって収束していてもよい。カップは、実質的に偏心しているソケットであるので、カップに対してオフセットした器具に取り付けられている。カップが寛骨臼に固定されるとき、レリーフは実質的に前方に配置され、ソケットはより後方に配置されて、ソケット内における大腿骨のより自然な回転中心を提供する。第1のレリーフは、軟組織に対する寛骨臼カップの衝突を軽減する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願では、参照することによってそれらの全内容が組み入れられるように、以下の利益を主張する。
【0002】
出願人の整理番号ではMDR−2 PROVとなっており、ACETABULAR CUPと題され、かつ2009年4月20日に出願された係属中の米国仮出願第61/170,735号明細書。
【0003】
さらに、出願人の整理番号ではMDR−3 PROVとなっており、ACETABULAR CUPと題され、かつ2009年4月23日に出願された係属中の米国仮出願第61/171,984号明細書。
【0004】
[技術分野]
本発明は、主に、生来の(又は自然の)寛骨臼に埋め込まれる寛骨臼カップに関するものであり、より詳細には、より自然な解剖学的な配置及び機能を提供するために人工大腿骨骨頭とともに使用する寛骨臼カップの内部に設けられた窪み部の偏位及び前縁部(anterior rim)の斜角に関する。
【背景技術】
【0005】
最初に施された全人工股関節置換術が不十分であって、修正的な全人工股関節置換術を伴う外科的治療が必要となる場合、先に埋め込まれた寛骨臼部品が除去され、新しい寛骨臼カップが埋め込まれることとなる。寛骨臼部品の周りでは骨欠損が存在する可能性もあるので、修正用の寛骨臼カップは、先に埋め込まれた初期の寛骨臼カップよりも大きなものとなる。そのため、修正用のカップ(又は大型のカップ)は、寛骨臼の正常な解剖学上のサイズより大きなものとなる。現在、大型の寛骨臼カップは、寛骨臼カップを修正するために、及び先天的股関節異形成等の寛骨臼周辺の骨欠損を有する患者に対して初期の関節形成術を施すために用いられている。大型カップは、骨への固定のために表面積が広く形成されており、セメント固定ではなくセメントレス固定を用いる場合に、より良好な長期的インプラントの安定性が得られることとなる。これらの大型カップによって、股関節の回転中心が、解剖学的な寛骨臼の上方の骨欠損内に配置される小型カップと比較して、より解剖学的な位置に向くように修復されることとなる。現在の大型カップでは、カップのソケット(凹部、socket)の中心が金属シェル内に位置づけられる傾向にあるが、カップは、依然として、股関節の回転中心を理想的な生物力学的位置より高くするような解剖学的寛骨臼よりも大きなものとなっている。
【0006】
現在の大型カップは、自然寛骨臼の解剖学的なサイズよりも大きくなっているので、カップの縁部が頻繁に骨から突出することとなる。このような突出が、腸腰筋の腱等の周囲の軟組織に対して衝突かつ刺激を生じさせて、鼠径部痛が生じる可能性がある。このような軟組織衝突は、自然寛骨臼内に移植された後に、カップの(体の前側に位置する)前部(anterior portion)にて最も頻繁に発生する。しかしながら、軟組織衝突は前部以外にも発生し得る。
【0007】
現在の大型カップは、カップ内の孔を通るように配置されるネジによって骨盤に取り付けられている。通常では複数のネジ孔が設けられており、残りの寛骨臼周辺骨内に様々なネジを配置することが可能となっている。大型カップは、通常、カップの面又はカップの縁部に対して垂直に配置されるカップの周辺部に形成されたネジ孔を有している。しかしながら、カップは正常な寛骨臼よりも大きくなっているので、周辺のネジが残りの寛骨臼周辺骨のストック部分周辺に向けられることがある。
【0008】
寛骨臼へのより強力な固定を可能にし、かつより自然に解剖学的な回転中心を提供することが可能な寛骨臼カップを使用したいという要求が存在している。カップは、複数のカップライナーを使用するか、又は全く使用しないような機能を有するべきである。カップはまた、周囲の軟組織への衝突を軽減するように構成されるべきである。
【0009】
上記技術の説明によれば、寛骨臼カップの既存のシステム及び手順は、望まれているほど有効になっていないと考えられる。
【0010】
本発明の様々な実施形態は、添付図面を参照して以下に論じられる。これらの図面は、本発明の代表的な実施形態のみを表しており、その範囲を限定すると見なされないことが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】骨盤骨と、大腿骨と、人工大腿骨骨頭と、寛骨臼カップとを備えている全股関節アセンブリの前面図(anterior side view)である。
【図2】図1の全股関節アセンブリの拡大前面図である。
【図3】人体構造がない状態における図1の全股関節アセンブリの側面図である。
【図4】カップの一端部における第1のレリーフと、カップの第1の幾何学的中心軸と、挿入器を受けるように構成された開口孔とを備えている図1の寛骨臼カップの側面図である。
【図5】偏心ソケットと、ネジを受けるように構成された開口孔とを備えている図4の寛骨臼カップの底面図である。
【図6】ソケットと、ソケットライナーと、ソケットの第2の幾何学的中心軸とを備えている寛骨臼カップの底面斜視図である。
【図7】ネジを受けるように構成された複数の開口孔と、挿入器開口孔とを備えている図4の寛骨臼カップの上面斜視図である。
【図8】複数の開口孔と、カップの一端における第1のレリーフとを備えている寛骨臼カップの別の側面図である。
【図9】カップライナーがソケットから取り外された状態における図6の寛骨臼カップの底面斜視図である。
【図10】第1のレリーフ及び複数の開口孔を示すとともに、実質的に寛骨臼内にあるような位置に配置された図4の寛骨臼カップにおける別の側面図である。
【図11】複数のネジが複数の開口孔を貫通している状態における図4の寛骨臼カップの側面図である。
【図12】複数のネジが複数の開口孔のいくつかを貫通している状態における図12の寛骨臼カップの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、寛骨臼カップのためのシステム及び方法であって、自然寛骨臼内にカップを固定し、より自然な回転中心、及び自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭とのより自然な解剖学的な適合を提供するシステム及び方法に関する。当業者であれば、以下の記載が、単に本発明の原則的な説明のみに関するものであって、多くの異なる代替的な実施形態を提供するために様々な方法で適用されてもよいということを認識するであろう。本記載は、本発明の一般的な原則を説明する目的で説明されており、添付の特許請求の範囲における発明概念を限定するように意図したものではない。
【0013】
本発明の一実施形態では、寛骨臼カップの第1の端部に第1のレリーフを備えた寛骨臼カップと、カップ内に配置された偏心ソケット(凹部、socket)と、複数のネジを通す複数の開口孔とが設けられている。カップは、第1の幾何学的中心を備えた外壁と、自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭を受けるように構成され、かつ第1の幾何学的中心から離れて配置された第2の幾何学的中心を備えるソケットとをさらに含んでいる。偏心ソケットは、より自然な解剖学的な位置に大腿骨骨頭の回転中心を設けている。カップは、ソケットと外壁との間に配置されたカップ縁部を有しており、かつカップ縁部の周囲に第1のレリーフ及び複数の開口孔を備えている。ソケットは、大腿骨骨頭に接触するために軸受け表面でライナーを受けるように構成されてもよい。ソケットはまた、ライナーを用いることなく大腿骨骨頭と相互作用するように構成された軸受け表面を提供してもよい。カップは、寛骨臼又は宿主骨の内部に配置されており、ソケットは、第1のレリーフによって軟組織に対する寛骨臼カップの衝突を軽減しながら大腿骨骨頭の固定を提供するものである。第1のレリーフは、宿主骨に固定されるカップの接触表面積を減らすことなく、軟組織との衝突を軽減するように構成されている。ライナーソケットの偏心位置を組み合わせるために、第1のレリーフは、カップとライナーとの間又はライナーと大腿骨骨頭との間における接触面積を減少させない構成となっている。
【0014】
以下の定義は、本願に関連して使用されるべきである。「レリーフ」とは、カップの軟組織に対する衝突を軽減するために除去された寛骨臼カップ又は半球カップの部分を意味する。
【0015】
図1及び図2を参照すると、標準的な半球型リーマーを用いた移植を可能にするように実質的に半球型又はドーム型に構成可能な寛骨臼カップ10が、骨盤骨2の寛骨臼4内に配置されている。人工大腿骨骨頭5は、寛骨臼カップ10のソケット14内に位置しており、大腿骨骨頭5は、患者の大腿骨1の内部に配置された人工股関節ステム3から延びている。人工大腿骨骨頭及び股関節ステムは必ずしも必要ではなく、寛骨臼カップ10の内部に位置する自然大腿骨骨頭、又は表面再加工された大腿骨骨頭を備える自然大腿骨が用いられてもよい。大腿骨骨頭5は、寛骨臼カップ10のソケット14の内部に位置している。
【0016】
図3を参照すると、寛骨臼カップ10は外壁22及びカップ縁部26を有している。寛骨臼カップ10の外壁22は、骨の成長を許容又は促進するように多孔性被覆を含んでいてもよい。外壁22は、それぞれ複数の方向に向くように構成された複数の開口孔16,28,30(カップ縁開口孔30は図示せず)を有していてもよい。このことに加えて、外壁22が、複数の開口孔28よりも大きく形成されていてもよく、挿入器開口孔29を含んでいてもよい。挿入器開口孔29は、寛骨臼カップ10を寛骨臼4に挿入するための挿入器(図示せず)をネジの方式で受ける構成であってもよい。開口孔16,28,30の各々は、少なくとも1つのネジ18を受けるように構成されている。開口孔16,28,30のうちの1つ、いくつか、又はすべてが、ネジ、釘、又はその他の固定要素を通すように滑らかになっていてもよい。ネジ18にはネジ溝が設けられていてもよく、ネジ18が、カップ10に嵌合するための嵌合ネジ、骨ネジ、又はモールス/テーパーネジを含んでもよい。ネジ18はまた釘を含んでもよく、又は寛骨臼カップ10を寛骨臼4にさらに固定するために、その他の当技術分野で周知の装置が開口孔16,28,30への挿通のために用いられてもよい。寛骨臼カップ10を寛骨臼4に固定するために、複数のネジ18が用いられてもよい。ネジは骨盤骨に完全に埋め込まれてもよい。
【0017】
寛骨臼カップ10を挿入器に固定するための別の実施形態では、挿入器に接続されるように構成された2つ以上の開口孔が設けられていてもよい。このことに加えて、挿入器開口孔29は滑らかになっていてもよく、寛骨臼カップに挿入器を固定するための別の機構は、スナップ留め、圧入、コレット、又はバイオネット固定を含んでもよい。
【0018】
寛骨臼カップ10を寛骨臼4に固定するための別の実施形態では、寛骨臼4内にカップを圧入することと、寛骨臼4内にカップ10を配置する前にカップ10を加熱した後に寛骨臼内で冷える際にカップ10を膨張させるようにすることとが含まれていてもよい。
【0019】
図4を参照すると、寛骨臼カップ10の外壁22は、カップ縁部26に対して実質的に直交する第1の幾何学的中心軸34と、カップの第1の端部20及びこの第1の端部20の反対側に位置する第2の端部24とを有している。カップ縁部26の一部は、第1の端部20に向かうようにズレて配置された第1のレリーフ12を画成している。
【0020】
図5を参照すると、カップ縁部26は、ソケット14から寛骨臼カップ10の外壁22まで延在している。ソケット14は、大腿骨骨頭5と相互作用するようにカップライナー32をライナー軸受け表面42に適合させる機能を有してもよい。寛骨臼カップ10及びソケット14の形状は、大量の標準カップライナー32の使用を可能にしてもよく、標準カップライナー32には、拘束ライナー、非拘束ライナー、例えば、超高分子量ポリエチレン、その他のポリマー含有材料、金属含有材料、又はセラミック含有材料等(ただし、これらに限定されない)のような様々な材料から作られるライナー等が含まれるが、これらに限定されない。ソケット14は、カップライナー32を用いずに大腿骨骨頭5と相互作用するソケット軸受け表面44も有していてもよい。
【0021】
カップ縁部26は、第1の表面38及び第2の表面40である2つの表面を有していてもよい。カップ縁部の第1の表面は、第1の平面においてソケット14から外壁22まで延在している。第2の表面は、第1の平面に対して非平行な第2の平面においてソケット14から外壁22まで延在している。カップ縁部はまた、ネジ18を受けるように構成された複数の縁開口孔30を有していてもよい。カップ縁開口孔30は、カップ縁部26に対して実質的に直交していてもよい。カップ縁開口孔30は、第1の幾何学的中心軸34に対して平行に、非平行に、又は斜めに延びていてもよい。カップ縁開口孔30は、ネジ18を通すために滑らかであってもよく、又はネジをネジ留め可能に受けるためにネジ溝が設けられていてもよい。人工骨を骨に固定するために、釘又はその他の当技術分野で周知の装置を含む別の固定装置が用いられてもよい。
【0022】
第1のレリーフ12はまた、第1のレリーフ12に対して直交するように構成された第1のレリーフ開口孔16を有していてもよい。第1のレリーフ開口孔16は、実質的に、第1の幾何学的中心軸34に向かって第1の幾何学的中心軸34から離れる方に、又は第1の幾何学的中心軸34から斜めに延びていてもよい。第1のレリーフ開口孔16には、本明細書において上述されたように、ネジ溝が設けられていてもよく、第1のレリーフ開口孔16は滑らかであってもよい。
【0023】
図6を参照すると、ソケットは、第1の幾何学的中心軸34に対して実質的に平行でもよいように構成された第2の幾何学的中心軸36を有している。第2の幾何学的中心軸36は、寛骨臼カップ10の内部で実質的に偏心ソケット14を画成する第1の幾何学的中心軸34からズレて配置されている。偏心ソケット14は、カップ10の第2の端部24に近い側にズレて配置されている上、第1の端部20からさらにズレて配置されている。ソケット14の位置は、寛骨臼カップを寛骨臼4に移植した後、及び大腿骨骨頭5をソケット14内に配置した後に、自然な解剖学的位置に向かう自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭の回転中心を形成することとなる。
【0024】
ソケット14が偏心していた場合でも、ソケット14は、本明細書において先に記載されたように、標準的な偏心カップライナー32を保持してもよい。このことに加えてカップ縁部の一部、すなわち、第1のレリーフ12が除去された場合でも、カップ10とライナー32との間、又はライナー32と大腿骨骨頭5との間の接触面積は減少しないこととなる。特徴部分を組み合わせることによっては、大腿骨骨頭5を完全に解剖学的位置に拘束することができる。しかしながら、寛骨臼カップ10は、モジュール式縁要素(図示せず)を用いて大腿骨骨頭5をさらに拘束できるように構成されていてもよい。
【0025】
図7及び図8を参照すると、複数の開口孔16,28,30は、相互間及びカップ縁部26から様々な距離をとりながら外壁22の周囲でズレて配置されている。開口孔16,28,30はサイズが異なってもよく、ネジ18(図示せず)のサイズが異なってもよい。
【0026】
図9を参照すると、カップライナー32と大腿骨骨頭5のいずれか一方と相互作用してもよいソケット軸受け表面44を示すために、カップライナー26はソケットから取り外されている。複数の開口孔16,28,30は、相互間及びカップ縁部26から様々な距離をとってソケット14内に配置されたソケット開口孔30と共に示されている。ソケット開口孔は、ネジ18による固定の場合にはネジ溝が設けられていてもよく、例えば、釘等のような別の固定形態の場合には滑らかであってもよい。
【0027】
図10を参照すると、図面には、実質的に寛骨臼4の内部にあるような位置に配置された寛骨臼カップ10が描かれている。再び図1及び図2を併せて参照すると、第1のレリーフ12は、実質的に患者の前方及び実質的にカップ10のソケット14の前方に位置している。複数の開口孔16,28,30は、カップ10の寛骨臼4に対する適切な固定を提供するために、第1の幾何学的中心軸34に向かって、又は第1の幾何学的中心軸34から離れる方に向かって第1の幾何学的中心軸34に対して平行な向きを指すことを含むように、様々な方向を向くように配置されている。
【0028】
図11及び図12を参照すると、ネジ18の軌道が様々な方向に示されている。ネジ18のいくつかは第1の幾何学的中心軸34に向かって配向されてもよく、その一方で、他のネジ18は、第1の幾何学的中心軸34に対して平行に配向され、又は第1の幾何学的中心軸34から離れる方に配向されている。
【0029】
寛骨臼カップ10は、チタン、コバルトクロム、ステンレス鋼、セラミック、又はその他の生体適合材料を含む多くの異なる材料によって作られていてもよい。カップ10の外部被覆は、多孔性であってもよく、チタン、コバルトクロム、ポリマー、又はその他の生体適合材料によって作られていてもよい。このことに加えて、カップ10は、異なる生体適合材料の組み合わせとなっていてもよい。例えば、カップ10は、外壁22上にチタン多孔性被覆を備えるコバルトクロムであってもよい。
【0030】
寛骨臼カップ10を寛骨臼4に挿入する方法は、ソケット14内の寛骨臼カップに挿入器(図示せず)を取り付けることを含んでもよい。挿入器は、オフセットした又は偏心したソケット14に取り付けられるので、挿入器は、第1の幾何学的中心軸34からオフセットしている、すなわち、寛骨臼カップ10の外壁22に対してオフセットしている。カップはその後、寛骨臼の股関節空間に挿入されてもよく、ソケット14の中心が自然な解剖学的位置に向かって配置され、寛骨臼カップ10の外壁22の第1の幾何学的中心軸34が第2の幾何学的中心軸36の上側に位置するように配置されてもよい。寛骨臼カップ10はその後、先に記載されたいずれかの方法、又はその他の当該技術分野で周知の方法によって、寛骨臼に固定されてもよい。挿入器はその後、寛骨臼カップ10から取り外されてもよい。
【0031】
修正作業の場合に寛骨臼カップ10を取り外すときには、先に記載されたものと同じ方法が逆順で用いられてもよい。挿入器は、第1の幾何学的中心軸からオフセットした寛骨臼カップ10に取り付けられてもよい。ネジ又はその他の固定機構はその後、寛骨臼カップ10から取り外され、次に寛骨臼カップ10が寛骨臼4から取り外される。
【0032】
寛骨臼カップ10の代替的な実施形態では、実質的に上側に、実質的に下側に、又は実質的に後方に、寛骨臼4の内部に位置しているレリーフ12が設けられていてもよい。さらに、寛骨臼カップは2つ以上のレリーフを有していてもい。このような多重レリーフは、カップ縁部26に沿って交差してもよく、又は各レリーフの間にカップ縁部26の一部を有してもよい。
【0033】
別の代替的な実施形態では、接線が寛骨臼カップの幾何学的中心又はソケットの幾何学的中心の中央から離れる方へ伸びている斜角カップ縁部が設けられていてもよい。カップ縁部は、カップ縁部の一部を本質的に除去した寛骨臼カップの対向する端部上に、対称又は非対称斜角を含んでもよい。カップ縁部はまた、カップライナーに対向するカップの一面上にあってもよいカップの一端部に、単一の斜角を有してもよい。あるいは、カップ縁部は、カップ縁部の上部に追加された斜角を有してもよい。
【0034】
本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、別の具体的形態において実現されてもよい。例えば、上記には、寛骨臼カップの様々な代替例が記載されている。様々な別の組み合わせ又は代替を形成するために、上記例の様々な特徴が混合又は組み合わせ可能であることが理解される。本システムが、単に寛骨臼カップ及び股関節置換術のみに限定されるべきではないことも理解される。本システムはまた、肩関節又はその他の実質的に類似の関節を置換するためにも使用されてよい。このため、記載された実施形態は、あらゆる面において、例示的であって限定的ではないと見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、先の記載によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の同等物の意味及び範囲内に含まれるすべての変更は、その範囲に包含されるべきである。
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願では、参照することによってそれらの全内容が組み入れられるように、以下の利益を主張する。
【0002】
出願人の整理番号ではMDR−2 PROVとなっており、ACETABULAR CUPと題され、かつ2009年4月20日に出願された係属中の米国仮出願第61/170,735号明細書。
【0003】
さらに、出願人の整理番号ではMDR−3 PROVとなっており、ACETABULAR CUPと題され、かつ2009年4月23日に出願された係属中の米国仮出願第61/171,984号明細書。
【0004】
[技術分野]
本発明は、主に、生来の(又は自然の)寛骨臼に埋め込まれる寛骨臼カップに関するものであり、より詳細には、より自然な解剖学的な配置及び機能を提供するために人工大腿骨骨頭とともに使用する寛骨臼カップの内部に設けられた窪み部の偏位及び前縁部(anterior rim)の斜角に関する。
【背景技術】
【0005】
最初に施された全人工股関節置換術が不十分であって、修正的な全人工股関節置換術を伴う外科的治療が必要となる場合、先に埋め込まれた寛骨臼部品が除去され、新しい寛骨臼カップが埋め込まれることとなる。寛骨臼部品の周りでは骨欠損が存在する可能性もあるので、修正用の寛骨臼カップは、先に埋め込まれた初期の寛骨臼カップよりも大きなものとなる。そのため、修正用のカップ(又は大型のカップ)は、寛骨臼の正常な解剖学上のサイズより大きなものとなる。現在、大型の寛骨臼カップは、寛骨臼カップを修正するために、及び先天的股関節異形成等の寛骨臼周辺の骨欠損を有する患者に対して初期の関節形成術を施すために用いられている。大型カップは、骨への固定のために表面積が広く形成されており、セメント固定ではなくセメントレス固定を用いる場合に、より良好な長期的インプラントの安定性が得られることとなる。これらの大型カップによって、股関節の回転中心が、解剖学的な寛骨臼の上方の骨欠損内に配置される小型カップと比較して、より解剖学的な位置に向くように修復されることとなる。現在の大型カップでは、カップのソケット(凹部、socket)の中心が金属シェル内に位置づけられる傾向にあるが、カップは、依然として、股関節の回転中心を理想的な生物力学的位置より高くするような解剖学的寛骨臼よりも大きなものとなっている。
【0006】
現在の大型カップは、自然寛骨臼の解剖学的なサイズよりも大きくなっているので、カップの縁部が頻繁に骨から突出することとなる。このような突出が、腸腰筋の腱等の周囲の軟組織に対して衝突かつ刺激を生じさせて、鼠径部痛が生じる可能性がある。このような軟組織衝突は、自然寛骨臼内に移植された後に、カップの(体の前側に位置する)前部(anterior portion)にて最も頻繁に発生する。しかしながら、軟組織衝突は前部以外にも発生し得る。
【0007】
現在の大型カップは、カップ内の孔を通るように配置されるネジによって骨盤に取り付けられている。通常では複数のネジ孔が設けられており、残りの寛骨臼周辺骨内に様々なネジを配置することが可能となっている。大型カップは、通常、カップの面又はカップの縁部に対して垂直に配置されるカップの周辺部に形成されたネジ孔を有している。しかしながら、カップは正常な寛骨臼よりも大きくなっているので、周辺のネジが残りの寛骨臼周辺骨のストック部分周辺に向けられることがある。
【0008】
寛骨臼へのより強力な固定を可能にし、かつより自然に解剖学的な回転中心を提供することが可能な寛骨臼カップを使用したいという要求が存在している。カップは、複数のカップライナーを使用するか、又は全く使用しないような機能を有するべきである。カップはまた、周囲の軟組織への衝突を軽減するように構成されるべきである。
【0009】
上記技術の説明によれば、寛骨臼カップの既存のシステム及び手順は、望まれているほど有効になっていないと考えられる。
【0010】
本発明の様々な実施形態は、添付図面を参照して以下に論じられる。これらの図面は、本発明の代表的な実施形態のみを表しており、その範囲を限定すると見なされないことが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】骨盤骨と、大腿骨と、人工大腿骨骨頭と、寛骨臼カップとを備えている全股関節アセンブリの前面図(anterior side view)である。
【図2】図1の全股関節アセンブリの拡大前面図である。
【図3】人体構造がない状態における図1の全股関節アセンブリの側面図である。
【図4】カップの一端部における第1のレリーフと、カップの第1の幾何学的中心軸と、挿入器を受けるように構成された開口孔とを備えている図1の寛骨臼カップの側面図である。
【図5】偏心ソケットと、ネジを受けるように構成された開口孔とを備えている図4の寛骨臼カップの底面図である。
【図6】ソケットと、ソケットライナーと、ソケットの第2の幾何学的中心軸とを備えている寛骨臼カップの底面斜視図である。
【図7】ネジを受けるように構成された複数の開口孔と、挿入器開口孔とを備えている図4の寛骨臼カップの上面斜視図である。
【図8】複数の開口孔と、カップの一端における第1のレリーフとを備えている寛骨臼カップの別の側面図である。
【図9】カップライナーがソケットから取り外された状態における図6の寛骨臼カップの底面斜視図である。
【図10】第1のレリーフ及び複数の開口孔を示すとともに、実質的に寛骨臼内にあるような位置に配置された図4の寛骨臼カップにおける別の側面図である。
【図11】複数のネジが複数の開口孔を貫通している状態における図4の寛骨臼カップの側面図である。
【図12】複数のネジが複数の開口孔のいくつかを貫通している状態における図12の寛骨臼カップの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、寛骨臼カップのためのシステム及び方法であって、自然寛骨臼内にカップを固定し、より自然な回転中心、及び自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭とのより自然な解剖学的な適合を提供するシステム及び方法に関する。当業者であれば、以下の記載が、単に本発明の原則的な説明のみに関するものであって、多くの異なる代替的な実施形態を提供するために様々な方法で適用されてもよいということを認識するであろう。本記載は、本発明の一般的な原則を説明する目的で説明されており、添付の特許請求の範囲における発明概念を限定するように意図したものではない。
【0013】
本発明の一実施形態では、寛骨臼カップの第1の端部に第1のレリーフを備えた寛骨臼カップと、カップ内に配置された偏心ソケット(凹部、socket)と、複数のネジを通す複数の開口孔とが設けられている。カップは、第1の幾何学的中心を備えた外壁と、自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭を受けるように構成され、かつ第1の幾何学的中心から離れて配置された第2の幾何学的中心を備えるソケットとをさらに含んでいる。偏心ソケットは、より自然な解剖学的な位置に大腿骨骨頭の回転中心を設けている。カップは、ソケットと外壁との間に配置されたカップ縁部を有しており、かつカップ縁部の周囲に第1のレリーフ及び複数の開口孔を備えている。ソケットは、大腿骨骨頭に接触するために軸受け表面でライナーを受けるように構成されてもよい。ソケットはまた、ライナーを用いることなく大腿骨骨頭と相互作用するように構成された軸受け表面を提供してもよい。カップは、寛骨臼又は宿主骨の内部に配置されており、ソケットは、第1のレリーフによって軟組織に対する寛骨臼カップの衝突を軽減しながら大腿骨骨頭の固定を提供するものである。第1のレリーフは、宿主骨に固定されるカップの接触表面積を減らすことなく、軟組織との衝突を軽減するように構成されている。ライナーソケットの偏心位置を組み合わせるために、第1のレリーフは、カップとライナーとの間又はライナーと大腿骨骨頭との間における接触面積を減少させない構成となっている。
【0014】
以下の定義は、本願に関連して使用されるべきである。「レリーフ」とは、カップの軟組織に対する衝突を軽減するために除去された寛骨臼カップ又は半球カップの部分を意味する。
【0015】
図1及び図2を参照すると、標準的な半球型リーマーを用いた移植を可能にするように実質的に半球型又はドーム型に構成可能な寛骨臼カップ10が、骨盤骨2の寛骨臼4内に配置されている。人工大腿骨骨頭5は、寛骨臼カップ10のソケット14内に位置しており、大腿骨骨頭5は、患者の大腿骨1の内部に配置された人工股関節ステム3から延びている。人工大腿骨骨頭及び股関節ステムは必ずしも必要ではなく、寛骨臼カップ10の内部に位置する自然大腿骨骨頭、又は表面再加工された大腿骨骨頭を備える自然大腿骨が用いられてもよい。大腿骨骨頭5は、寛骨臼カップ10のソケット14の内部に位置している。
【0016】
図3を参照すると、寛骨臼カップ10は外壁22及びカップ縁部26を有している。寛骨臼カップ10の外壁22は、骨の成長を許容又は促進するように多孔性被覆を含んでいてもよい。外壁22は、それぞれ複数の方向に向くように構成された複数の開口孔16,28,30(カップ縁開口孔30は図示せず)を有していてもよい。このことに加えて、外壁22が、複数の開口孔28よりも大きく形成されていてもよく、挿入器開口孔29を含んでいてもよい。挿入器開口孔29は、寛骨臼カップ10を寛骨臼4に挿入するための挿入器(図示せず)をネジの方式で受ける構成であってもよい。開口孔16,28,30の各々は、少なくとも1つのネジ18を受けるように構成されている。開口孔16,28,30のうちの1つ、いくつか、又はすべてが、ネジ、釘、又はその他の固定要素を通すように滑らかになっていてもよい。ネジ18にはネジ溝が設けられていてもよく、ネジ18が、カップ10に嵌合するための嵌合ネジ、骨ネジ、又はモールス/テーパーネジを含んでもよい。ネジ18はまた釘を含んでもよく、又は寛骨臼カップ10を寛骨臼4にさらに固定するために、その他の当技術分野で周知の装置が開口孔16,28,30への挿通のために用いられてもよい。寛骨臼カップ10を寛骨臼4に固定するために、複数のネジ18が用いられてもよい。ネジは骨盤骨に完全に埋め込まれてもよい。
【0017】
寛骨臼カップ10を挿入器に固定するための別の実施形態では、挿入器に接続されるように構成された2つ以上の開口孔が設けられていてもよい。このことに加えて、挿入器開口孔29は滑らかになっていてもよく、寛骨臼カップに挿入器を固定するための別の機構は、スナップ留め、圧入、コレット、又はバイオネット固定を含んでもよい。
【0018】
寛骨臼カップ10を寛骨臼4に固定するための別の実施形態では、寛骨臼4内にカップを圧入することと、寛骨臼4内にカップ10を配置する前にカップ10を加熱した後に寛骨臼内で冷える際にカップ10を膨張させるようにすることとが含まれていてもよい。
【0019】
図4を参照すると、寛骨臼カップ10の外壁22は、カップ縁部26に対して実質的に直交する第1の幾何学的中心軸34と、カップの第1の端部20及びこの第1の端部20の反対側に位置する第2の端部24とを有している。カップ縁部26の一部は、第1の端部20に向かうようにズレて配置された第1のレリーフ12を画成している。
【0020】
図5を参照すると、カップ縁部26は、ソケット14から寛骨臼カップ10の外壁22まで延在している。ソケット14は、大腿骨骨頭5と相互作用するようにカップライナー32をライナー軸受け表面42に適合させる機能を有してもよい。寛骨臼カップ10及びソケット14の形状は、大量の標準カップライナー32の使用を可能にしてもよく、標準カップライナー32には、拘束ライナー、非拘束ライナー、例えば、超高分子量ポリエチレン、その他のポリマー含有材料、金属含有材料、又はセラミック含有材料等(ただし、これらに限定されない)のような様々な材料から作られるライナー等が含まれるが、これらに限定されない。ソケット14は、カップライナー32を用いずに大腿骨骨頭5と相互作用するソケット軸受け表面44も有していてもよい。
【0021】
カップ縁部26は、第1の表面38及び第2の表面40である2つの表面を有していてもよい。カップ縁部の第1の表面は、第1の平面においてソケット14から外壁22まで延在している。第2の表面は、第1の平面に対して非平行な第2の平面においてソケット14から外壁22まで延在している。カップ縁部はまた、ネジ18を受けるように構成された複数の縁開口孔30を有していてもよい。カップ縁開口孔30は、カップ縁部26に対して実質的に直交していてもよい。カップ縁開口孔30は、第1の幾何学的中心軸34に対して平行に、非平行に、又は斜めに延びていてもよい。カップ縁開口孔30は、ネジ18を通すために滑らかであってもよく、又はネジをネジ留め可能に受けるためにネジ溝が設けられていてもよい。人工骨を骨に固定するために、釘又はその他の当技術分野で周知の装置を含む別の固定装置が用いられてもよい。
【0022】
第1のレリーフ12はまた、第1のレリーフ12に対して直交するように構成された第1のレリーフ開口孔16を有していてもよい。第1のレリーフ開口孔16は、実質的に、第1の幾何学的中心軸34に向かって第1の幾何学的中心軸34から離れる方に、又は第1の幾何学的中心軸34から斜めに延びていてもよい。第1のレリーフ開口孔16には、本明細書において上述されたように、ネジ溝が設けられていてもよく、第1のレリーフ開口孔16は滑らかであってもよい。
【0023】
図6を参照すると、ソケットは、第1の幾何学的中心軸34に対して実質的に平行でもよいように構成された第2の幾何学的中心軸36を有している。第2の幾何学的中心軸36は、寛骨臼カップ10の内部で実質的に偏心ソケット14を画成する第1の幾何学的中心軸34からズレて配置されている。偏心ソケット14は、カップ10の第2の端部24に近い側にズレて配置されている上、第1の端部20からさらにズレて配置されている。ソケット14の位置は、寛骨臼カップを寛骨臼4に移植した後、及び大腿骨骨頭5をソケット14内に配置した後に、自然な解剖学的位置に向かう自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭の回転中心を形成することとなる。
【0024】
ソケット14が偏心していた場合でも、ソケット14は、本明細書において先に記載されたように、標準的な偏心カップライナー32を保持してもよい。このことに加えてカップ縁部の一部、すなわち、第1のレリーフ12が除去された場合でも、カップ10とライナー32との間、又はライナー32と大腿骨骨頭5との間の接触面積は減少しないこととなる。特徴部分を組み合わせることによっては、大腿骨骨頭5を完全に解剖学的位置に拘束することができる。しかしながら、寛骨臼カップ10は、モジュール式縁要素(図示せず)を用いて大腿骨骨頭5をさらに拘束できるように構成されていてもよい。
【0025】
図7及び図8を参照すると、複数の開口孔16,28,30は、相互間及びカップ縁部26から様々な距離をとりながら外壁22の周囲でズレて配置されている。開口孔16,28,30はサイズが異なってもよく、ネジ18(図示せず)のサイズが異なってもよい。
【0026】
図9を参照すると、カップライナー32と大腿骨骨頭5のいずれか一方と相互作用してもよいソケット軸受け表面44を示すために、カップライナー26はソケットから取り外されている。複数の開口孔16,28,30は、相互間及びカップ縁部26から様々な距離をとってソケット14内に配置されたソケット開口孔30と共に示されている。ソケット開口孔は、ネジ18による固定の場合にはネジ溝が設けられていてもよく、例えば、釘等のような別の固定形態の場合には滑らかであってもよい。
【0027】
図10を参照すると、図面には、実質的に寛骨臼4の内部にあるような位置に配置された寛骨臼カップ10が描かれている。再び図1及び図2を併せて参照すると、第1のレリーフ12は、実質的に患者の前方及び実質的にカップ10のソケット14の前方に位置している。複数の開口孔16,28,30は、カップ10の寛骨臼4に対する適切な固定を提供するために、第1の幾何学的中心軸34に向かって、又は第1の幾何学的中心軸34から離れる方に向かって第1の幾何学的中心軸34に対して平行な向きを指すことを含むように、様々な方向を向くように配置されている。
【0028】
図11及び図12を参照すると、ネジ18の軌道が様々な方向に示されている。ネジ18のいくつかは第1の幾何学的中心軸34に向かって配向されてもよく、その一方で、他のネジ18は、第1の幾何学的中心軸34に対して平行に配向され、又は第1の幾何学的中心軸34から離れる方に配向されている。
【0029】
寛骨臼カップ10は、チタン、コバルトクロム、ステンレス鋼、セラミック、又はその他の生体適合材料を含む多くの異なる材料によって作られていてもよい。カップ10の外部被覆は、多孔性であってもよく、チタン、コバルトクロム、ポリマー、又はその他の生体適合材料によって作られていてもよい。このことに加えて、カップ10は、異なる生体適合材料の組み合わせとなっていてもよい。例えば、カップ10は、外壁22上にチタン多孔性被覆を備えるコバルトクロムであってもよい。
【0030】
寛骨臼カップ10を寛骨臼4に挿入する方法は、ソケット14内の寛骨臼カップに挿入器(図示せず)を取り付けることを含んでもよい。挿入器は、オフセットした又は偏心したソケット14に取り付けられるので、挿入器は、第1の幾何学的中心軸34からオフセットしている、すなわち、寛骨臼カップ10の外壁22に対してオフセットしている。カップはその後、寛骨臼の股関節空間に挿入されてもよく、ソケット14の中心が自然な解剖学的位置に向かって配置され、寛骨臼カップ10の外壁22の第1の幾何学的中心軸34が第2の幾何学的中心軸36の上側に位置するように配置されてもよい。寛骨臼カップ10はその後、先に記載されたいずれかの方法、又はその他の当該技術分野で周知の方法によって、寛骨臼に固定されてもよい。挿入器はその後、寛骨臼カップ10から取り外されてもよい。
【0031】
修正作業の場合に寛骨臼カップ10を取り外すときには、先に記載されたものと同じ方法が逆順で用いられてもよい。挿入器は、第1の幾何学的中心軸からオフセットした寛骨臼カップ10に取り付けられてもよい。ネジ又はその他の固定機構はその後、寛骨臼カップ10から取り外され、次に寛骨臼カップ10が寛骨臼4から取り外される。
【0032】
寛骨臼カップ10の代替的な実施形態では、実質的に上側に、実質的に下側に、又は実質的に後方に、寛骨臼4の内部に位置しているレリーフ12が設けられていてもよい。さらに、寛骨臼カップは2つ以上のレリーフを有していてもい。このような多重レリーフは、カップ縁部26に沿って交差してもよく、又は各レリーフの間にカップ縁部26の一部を有してもよい。
【0033】
別の代替的な実施形態では、接線が寛骨臼カップの幾何学的中心又はソケットの幾何学的中心の中央から離れる方へ伸びている斜角カップ縁部が設けられていてもよい。カップ縁部は、カップ縁部の一部を本質的に除去した寛骨臼カップの対向する端部上に、対称又は非対称斜角を含んでもよい。カップ縁部はまた、カップライナーに対向するカップの一面上にあってもよいカップの一端部に、単一の斜角を有してもよい。あるいは、カップ縁部は、カップ縁部の上部に追加された斜角を有してもよい。
【0034】
本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、別の具体的形態において実現されてもよい。例えば、上記には、寛骨臼カップの様々な代替例が記載されている。様々な別の組み合わせ又は代替を形成するために、上記例の様々な特徴が混合又は組み合わせ可能であることが理解される。本システムが、単に寛骨臼カップ及び股関節置換術のみに限定されるべきではないことも理解される。本システムはまた、肩関節又はその他の実質的に類似の関節を置換するためにも使用されてよい。このため、記載された実施形態は、あらゆる面において、例示的であって限定的ではないと見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、先の記載によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の同等物の意味及び範囲内に含まれるすべての変更は、その範囲に包含されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工関節を備え、
前記人工関節が、自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭と関節を成すために自然寛骨臼内の移植に適するようにサイズ決めされ、かつ形作られた寛骨臼カップを含み、
前記寛骨臼カップが、
第1の幾何学的中心を定める外壁と、
前記寛骨臼カップを寛骨臼内に移植した後であって前記自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭をソケット内に配置した後に、前記自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭の回転中心を自然な解剖学的位置に向けて配置するように前記第1の幾何学的中心からズレて配置された第2の幾何学的中心を定めるソケットと、
前記外壁と前記ソケットとの間に延在し、かつ第1のレリーフを画成するカップ縁部と
を有している、システム。
【請求項2】
前記第1のレリーフは前記ソケットに隣接している、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ソケットが自然大腿骨骨頭用又は人工大腿骨骨頭用の軸受け表面をさらに含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ソケットが寛骨臼カップライナーをさらに含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のレリーフが平坦な表面を含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記カップ縁部が第2のレリーフをさらに画成している、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2のレリーフが平坦な表面を含んでいる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のレリーフ及び前記第2のレリーフが交差している、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記寛骨臼カップが、複数のネジを受けるようにサイズ決めされかつ形作られた複数の開口孔をさらに含み、
前記開口孔の少なくともいくつかは、前記第1のレリーフ上に位置し、かつ前記外壁の前記幾何学的中心に対して非平行に配向されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
人工関節を備え、
前記人工関節が、自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭と関節を成すために自然寛骨臼内の移植に適するようにサイズ決めされ、かつ形作られた寛骨臼カップを含み、
前記寛骨臼カップが、
幾何学的中心を定める外壁と、
前記寛骨臼カップを自然寛骨臼内に移植した後、股関節の回転中心を自然な解剖学的位置に向けて修復するように配置された第1の幾何学的中心からズレて配置された第2の幾何学的中心を定めるソケットと、
前記外壁と前記ソケットとの間に延在し、かつ第1のネジを受けるように構成された第1の開口孔を含むカップ縁部と
を含み、
前記第1の開口孔が、前記寛骨臼カップの外壁の幾何学的中心に対して非平行に配向されている、システム。
【請求項11】
前記カップ縁部が第1のレリーフをさらに画成している、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の開口孔が前記第1のレリーフと直交している、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記カップ縁部が第2の開口孔をさらに含み、
前記第2の開口孔は、前記カップ縁部に対して非平行であり、かつ前記外壁の幾何学的中心に対して放射状となっている、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記寛骨臼カップが、前記ソケット内に配置された複数の開口孔をさらに含んでいる、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
股関節を置換する方法において、
寛骨臼カップを自然寛骨臼内に挿入するステップであって、前記寛骨臼カップが、外壁とソケットとの間に延在するとともに第1のレリーフを画成するカップ縁部と、第1の幾何学的中心を画成する外壁と、前記第1の幾何学的中心からズレて配置された第2の幾何学的中心を画成するソケットとを有している、ステップと、
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に固定するステップと、
自然な股関節運動に近似させるために自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭を前記第2の幾何学的中心周りで回転可能とするように、前記自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭を前記ソケット内に配置するステップと
を含む方法。
【請求項16】
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に挿入するステップが、前記自然寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に前方に配置するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に挿入するステップが、前記自然寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に後方に配置するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に挿入するステップが、前記自然寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に上側に配置するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に挿入するステップが、前記自然寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に下側に配置するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
複数のネジを受けるサイズ及び形状の複数の開口孔を貫通する前記複数のネジを使用して、前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に固定するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に固定するステップが、前記カップ縁部の第1のレリーフ上に配置された前記複数の開口孔に前記複数のネジを通すステップをさらに含み、
前記第1のレリーフ上の前記開口孔が、前記外壁の前記第1の幾何学的中心に対して非平行に配向されている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
股関節を置換する方法において、
寛骨臼カップを自然寛骨臼内に挿入するステップであって、前記寛骨臼カップが、第1の幾何学的中心を定める外壁と、前記第1の幾何学的中心からズレて配置された第2の幾何学的中心を定めるソケットと、第1のネジを受けるように構成された第1の開口孔を含むカップ縁部とを有しており、前記カップ縁部の少なくとも1つの開口孔が、前記寛骨臼カップの外壁における第1の幾何学的中心に向かって配向されている、ステップと、
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に固定するステップと、
自然な股関節運動に近似させるために自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭を前記第2の幾何学的中心周りで回転可能とするように、前記自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭を前記ソケット内に配置するステップと
を含む方法。
【請求項23】
前記カップ縁部の第1の開口孔を通るように前記第1のネジを前進させるステップをさらに含み、
前記カップ縁部が、少なくとも1つの開口孔に対して非平行な第1のレリーフを画成している、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の開口孔を通るように前記第1のネジを前進させるステップが、前記カップ縁部上に配置された第2の開口孔を通るように第2のネジを前進させるステップをさらに含み、
前記第2の開口孔が、カップ縁部に対して非平行であり、かつ前記外壁の前記幾何学的中心に対して放射状となっている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の開口孔を通るように前記第1のネジを前進させるステップは、前記カップ縁部上に配置された第2の開口孔を通るように第2のネジを前進させるステップをさらに含み、
前記第2の開口孔が、前記外壁の幾何学的中心に対して非平行に配向されている、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ソケット内に配置された複数の開口孔を通るように複数のネジを前進させるステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
股関節を置換する方法において、
ソケットの位置の表示を示すことができる挿入器を、寛骨臼カップに取り付けるステップと、
前記寛骨臼カップを寛骨臼内に挿入するステップであって、前記寛骨臼カップが、第1の幾何学的中心を定める外壁と、前記第1の幾何学的中心からズレて配置された第2の幾何学的中心を定めるソケットと、第1及び第2の表面を含み、前記第1の表面を前記外壁及び前記ソケットから延ばし、かつ前記第2の表面によって第1のレリーフを画成するカップ縁部と、幾何学的中心を定める外壁とを有している、ステップと、
ソケット中心を自然な解剖学的位置に向かって配置するとともに前記第1の幾何学的中心を前記第2の幾何学的中心よりも上側に配置するように、前記寛骨臼カップを配置するステップと、
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に固定するステップと、
挿入器を寛骨臼カップから取り外すステップと
を含む方法。
【請求項28】
前記挿入器を前記寛骨臼カップに取り付けるステップが、前記第1の幾何学的中心から中心をズラして前記挿入器を取り付けるステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記寛骨臼カップを前記寛骨臼内に挿入するステップが、前記寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に前方に配置するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記寛骨臼カップを前記寛骨臼内に挿入するステップが、前記寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に後方に配置するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記寛骨臼カップを前記寛骨臼内に挿入するステップが、前記寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に上側に配置するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記寛骨臼カップを前記寛骨臼内に挿入するステップが、前記寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に下側に配置するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
複数のネジを受けるサイズ及び形状の複数の開口孔を貫通する前記複数のネジを用いて、前記寛骨臼カップを前記寛骨臼内に固定するステップをさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記寛骨臼カップを前記寛骨臼内に固定するステップが、前記カップ縁部の第1のレリーフ上に配置された前記複数の開口孔に前記複数のネジを通すステップをさらに含み、
前記第1のレリーフ上の開口孔が、前記外壁の第1の幾何学的中心に対して非平行に配向されている、請求項33に記載の方法。
【請求項1】
人工関節を備え、
前記人工関節が、自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭と関節を成すために自然寛骨臼内の移植に適するようにサイズ決めされ、かつ形作られた寛骨臼カップを含み、
前記寛骨臼カップが、
第1の幾何学的中心を定める外壁と、
前記寛骨臼カップを寛骨臼内に移植した後であって前記自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭をソケット内に配置した後に、前記自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭の回転中心を自然な解剖学的位置に向けて配置するように前記第1の幾何学的中心からズレて配置された第2の幾何学的中心を定めるソケットと、
前記外壁と前記ソケットとの間に延在し、かつ第1のレリーフを画成するカップ縁部と
を有している、システム。
【請求項2】
前記第1のレリーフは前記ソケットに隣接している、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ソケットが自然大腿骨骨頭用又は人工大腿骨骨頭用の軸受け表面をさらに含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ソケットが寛骨臼カップライナーをさらに含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のレリーフが平坦な表面を含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記カップ縁部が第2のレリーフをさらに画成している、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2のレリーフが平坦な表面を含んでいる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のレリーフ及び前記第2のレリーフが交差している、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記寛骨臼カップが、複数のネジを受けるようにサイズ決めされかつ形作られた複数の開口孔をさらに含み、
前記開口孔の少なくともいくつかは、前記第1のレリーフ上に位置し、かつ前記外壁の前記幾何学的中心に対して非平行に配向されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
人工関節を備え、
前記人工関節が、自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭と関節を成すために自然寛骨臼内の移植に適するようにサイズ決めされ、かつ形作られた寛骨臼カップを含み、
前記寛骨臼カップが、
幾何学的中心を定める外壁と、
前記寛骨臼カップを自然寛骨臼内に移植した後、股関節の回転中心を自然な解剖学的位置に向けて修復するように配置された第1の幾何学的中心からズレて配置された第2の幾何学的中心を定めるソケットと、
前記外壁と前記ソケットとの間に延在し、かつ第1のネジを受けるように構成された第1の開口孔を含むカップ縁部と
を含み、
前記第1の開口孔が、前記寛骨臼カップの外壁の幾何学的中心に対して非平行に配向されている、システム。
【請求項11】
前記カップ縁部が第1のレリーフをさらに画成している、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の開口孔が前記第1のレリーフと直交している、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記カップ縁部が第2の開口孔をさらに含み、
前記第2の開口孔は、前記カップ縁部に対して非平行であり、かつ前記外壁の幾何学的中心に対して放射状となっている、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記寛骨臼カップが、前記ソケット内に配置された複数の開口孔をさらに含んでいる、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
股関節を置換する方法において、
寛骨臼カップを自然寛骨臼内に挿入するステップであって、前記寛骨臼カップが、外壁とソケットとの間に延在するとともに第1のレリーフを画成するカップ縁部と、第1の幾何学的中心を画成する外壁と、前記第1の幾何学的中心からズレて配置された第2の幾何学的中心を画成するソケットとを有している、ステップと、
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に固定するステップと、
自然な股関節運動に近似させるために自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭を前記第2の幾何学的中心周りで回転可能とするように、前記自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭を前記ソケット内に配置するステップと
を含む方法。
【請求項16】
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に挿入するステップが、前記自然寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に前方に配置するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に挿入するステップが、前記自然寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に後方に配置するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に挿入するステップが、前記自然寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に上側に配置するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に挿入するステップが、前記自然寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に下側に配置するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
複数のネジを受けるサイズ及び形状の複数の開口孔を貫通する前記複数のネジを使用して、前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に固定するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に固定するステップが、前記カップ縁部の第1のレリーフ上に配置された前記複数の開口孔に前記複数のネジを通すステップをさらに含み、
前記第1のレリーフ上の前記開口孔が、前記外壁の前記第1の幾何学的中心に対して非平行に配向されている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
股関節を置換する方法において、
寛骨臼カップを自然寛骨臼内に挿入するステップであって、前記寛骨臼カップが、第1の幾何学的中心を定める外壁と、前記第1の幾何学的中心からズレて配置された第2の幾何学的中心を定めるソケットと、第1のネジを受けるように構成された第1の開口孔を含むカップ縁部とを有しており、前記カップ縁部の少なくとも1つの開口孔が、前記寛骨臼カップの外壁における第1の幾何学的中心に向かって配向されている、ステップと、
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に固定するステップと、
自然な股関節運動に近似させるために自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭を前記第2の幾何学的中心周りで回転可能とするように、前記自然大腿骨骨頭又は人工大腿骨骨頭を前記ソケット内に配置するステップと
を含む方法。
【請求項23】
前記カップ縁部の第1の開口孔を通るように前記第1のネジを前進させるステップをさらに含み、
前記カップ縁部が、少なくとも1つの開口孔に対して非平行な第1のレリーフを画成している、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の開口孔を通るように前記第1のネジを前進させるステップが、前記カップ縁部上に配置された第2の開口孔を通るように第2のネジを前進させるステップをさらに含み、
前記第2の開口孔が、カップ縁部に対して非平行であり、かつ前記外壁の前記幾何学的中心に対して放射状となっている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の開口孔を通るように前記第1のネジを前進させるステップは、前記カップ縁部上に配置された第2の開口孔を通るように第2のネジを前進させるステップをさらに含み、
前記第2の開口孔が、前記外壁の幾何学的中心に対して非平行に配向されている、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ソケット内に配置された複数の開口孔を通るように複数のネジを前進させるステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
股関節を置換する方法において、
ソケットの位置の表示を示すことができる挿入器を、寛骨臼カップに取り付けるステップと、
前記寛骨臼カップを寛骨臼内に挿入するステップであって、前記寛骨臼カップが、第1の幾何学的中心を定める外壁と、前記第1の幾何学的中心からズレて配置された第2の幾何学的中心を定めるソケットと、第1及び第2の表面を含み、前記第1の表面を前記外壁及び前記ソケットから延ばし、かつ前記第2の表面によって第1のレリーフを画成するカップ縁部と、幾何学的中心を定める外壁とを有している、ステップと、
ソケット中心を自然な解剖学的位置に向かって配置するとともに前記第1の幾何学的中心を前記第2の幾何学的中心よりも上側に配置するように、前記寛骨臼カップを配置するステップと、
前記寛骨臼カップを前記自然寛骨臼内に固定するステップと、
挿入器を寛骨臼カップから取り外すステップと
を含む方法。
【請求項28】
前記挿入器を前記寛骨臼カップに取り付けるステップが、前記第1の幾何学的中心から中心をズラして前記挿入器を取り付けるステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記寛骨臼カップを前記寛骨臼内に挿入するステップが、前記寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に前方に配置するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記寛骨臼カップを前記寛骨臼内に挿入するステップが、前記寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に後方に配置するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記寛骨臼カップを前記寛骨臼内に挿入するステップが、前記寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に上側に配置するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記寛骨臼カップを前記寛骨臼内に挿入するステップが、前記寛骨臼内に挿入するときに前記第1のレリーフを実質的に下側に配置するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
複数のネジを受けるサイズ及び形状の複数の開口孔を貫通する前記複数のネジを用いて、前記寛骨臼カップを前記寛骨臼内に固定するステップをさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記寛骨臼カップを前記寛骨臼内に固定するステップが、前記カップ縁部の第1のレリーフ上に配置された前記複数の開口孔に前記複数のネジを通すステップをさらに含み、
前記第1のレリーフ上の開口孔が、前記外壁の第1の幾何学的中心に対して非平行に配向されている、請求項33に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−523942(P2012−523942A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507242(P2012−507242)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/030041
【国際公開番号】WO2010/123677
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(511252981)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/030041
【国際公開番号】WO2010/123677
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(511252981)
【Fターム(参考)】
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