説明

寝具。

【課題】睡眠時に長時間にわたり安定して使用できる寝具を提供しようとする。
【解決手段】基床に前後方向に敷いて用いる寝具であって、前方に位置し人の頭部及び顔面部の一部を載置するクッション性を有する枕部と、人の顔面部から股部にかけた部分に前後方向に互いに並行に、かつ互いに密着して設置される束ねられたクッション性を有する複数の円筒体から成る胴体部とを含んでなり、枕部の使用時の高さは胴体部の使用時の高さよりもそれ以下と低くされ、胴体部の前方端部と枕部とが連結されてなる寝具である。複数の円筒体のうち両外側の円筒体の上端部位置より内側円筒体の上端部位置を股部方向に少許下げられ得る。また、枕部に並設した補助枕と、この補助枕から延び、胴体部に所定の間隙を有して並行に位置させた補助円筒体を備え得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、うつぶせ寝、横向き寝に適した寝具に関する。
【背景技術】
【0002】
うつぶせ寝は、聖路加病院の日野原先生等の医師によっても提唱されている(例えば、
非特許文献1参照)ように、健康によいとされている。
医師の説によれば、人間も元来は四つ足の動物と同じく内臓がうつぶせ寝時の向きにあることが安定した状態であり、睡眠時も、この状態をとること、即ち、うつぶせ寝が健康上好ましいとされる。うつぶせ寝を習慣づけることにより、ひとつには舌根沈下が防止される。また、誤嚥が防止される。舌根沈下は無呼吸症候群の原因であり、誤嚥は、糖尿病
などで免疫力の低下した人にとっては誤嚥性肺炎や気管支炎の原因となる。うつぶせ寝により唾液の分泌が促進され、睡眠時に雑菌を唾液とともに口外に排出することができる。また、うつぶせ寝は痰の排出を容易にする。
【0003】
医師の説によれば、楽なうつぶせ寝のポイントは、頭を横向きにし、マットと身体の間に隙間が出来ないようにクッションで埋めることである。
【0004】
従来の寝具においてもうつぶせ寝を目的にしたものがいくつか提案されているが、これらは特殊な用途に用いられるものが多く、一般人が日常的に用いるのに適したものではなかった。とくに、上記のような楽なうつぶせ寝を実現させるものではなかった。
【0005】
うつぶせ寝用寝具としては、上面が開放されている互いに平行な多数の溝が刻まれた、比較的固いクッション材と、この比較的固いクッション材の上面に重ねられた柔らかいクッション材であって、その上面から固いクッション材の溝に至るように、多数の空気孔が
設けられたものからなる寝具が開示されている(例えば、特許文献1参照)が、これは幼児用のものである。また、上記のような楽なうつぶせ寝を実現させるものではない。
【0006】
また、枕本体の中央部に使用者の顔面の輪郭形状にほぼ相応した形状の孔を設け、使用者の顔面周縁部を受ける、少なくとも枕本体の孔の周縁部が弾性材料で構成され、横方向には予定の範囲でほぼ水平に変位できるが縦方向には変位しないように枕本体を支持体に装着したことを特徴とする枕が開示されている(例えば、特許文献2参照)が、これは医療用のまくらであり一般日常の継続使用には不適である。
【0007】
さらに、コの字型の骨格部分とクッション部分とから成り、骨格部分に、空気の出入り
が可能な穴または隙間を有し、額を当てる部分の手前に鼻を挿入するための穴もしくは隙間を有し、後頭部または額・頬部を支えるための凹みを有する枕が開示されている(例えば、特許文献3参照)が、この枕は使用時に寝返りなどで枕が頭部からずれた場合、睡眠状態で元の装着状態に戻すことが難しい。また、楽なうつぶせ寝を実現させるものではない。
【特許文献1】特開2003−61791号公報
【特許文献2】特開平10−277102号公報
【特許文献3】特開平7−275098号公報
【特許文献4】特願2007−052622号
【非特許文献1】「うつぶせ寝健康法」監修:日野原 重明(聖路加国際病院理事長 同名誉院長)、著者:川島 みどり(日本赤十字看護大学教授) 丸山 征四郎(兵庫医科大学教授)、発行:k k ベストセラーズ、発行日:2005年12月8日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1で示した日野原医師の著書「うつぶせ寝健康法」によれば、うつぶせ寝のポイントは、頭部を横向きにし、マットと身体の間に隙間ができないようにクッションで埋めることであるとされ、具体的には、枕やクッションの使い方とそのポジションにあるとされている。
【0009】
著書によれば、うつぶせ寝によって必然的に生じる身体と寝具との隙間を調整するために、小道具として薄い枕、折ったり畳んだりして高さを調整した夏蒲団、おでこや顎をのせる小さな枕などに工夫を凝らしながら、うつぶせ寝を自分の身体に覚えさせる努力を重ねることがうつぶせ寝に成功する秘訣であるとされ、著者はその結果3ヶ月をかけて体得されたとされている。
【0010】
しかし、複数の小道具を身体の最適な位置に配置してうつぶせ寝を実現しても、人は寝返りもし、就眠中でも身体が動く。それに合わせて、小道具類の再配置作業は安眠の妨げになる。安心して朝まで睡眠に専念でき寝具の出現が待たれる。
【0011】
また、うつぶせ寝をすると、頭部及び顔面部を横向きにするので、首に負担がかかり痛んだりする。日野原医師もその著書のなかで、あおむけに寝ていた人がうつぶせ寝に慣れるまでにはちょっと時間がかかるかもしれません。また、首の筋が伸びにくい人は最初うつぶせ寝が苦しいと感じる場合もあるでしょうと著書の中で認めている。
【0012】
このような特別の長期訓練や小道具の配置、首を曲げるなどの苦行をすることもなく、誰もが簡易に安心して使用することができる寝具の出現が待たれる。
【0013】
また、人は寝返りもするし、一夜を通じてうつぶせ寝のみを続けることはできない。そのためには、うつぶせ寝と横向き寝の状態の、その双方からも相互に寝返り等で移動ができる寝具の出現が待たれる。
【0014】
また、特許文献4によれば、基床に前後方向に敷いて用いるうつぶせ寝用の寝具であって、前方に位置し人の頭部及び顔面部の一部を載置するクッション性を有する枕部と、人の顔面部から股部にかけた部分に前後方向に互いに並行に、かつ互いに密着して設置される束ねられたクッション性を有する複数の円筒体から成る胴体部と、枕部から横方向に延出した補助枕と、この補助枕に取り付け、胴体部から所定の間隙を有し、かつ胴体部と略同じ方向に延出した横向き寝用の補助円筒体と、からなり、枕部の使用時の高さは胴体部の使用時の高さと同等又はそれ以上とされ、胴体部の前方端部と枕部とが連結され、胴体部と横向き寝用の補助円筒体とが連結されてなるうつぶせ寝用寝具が特許申請されているが、この寝具の枕部の使用時の高さは、胴体部の使用時の高さと同等又はそれ以上とされている。そのために、胴体部上に位置する身体よりも、枕部上に位置するうつぶせ寝状態の就寝者の頭部が胴体部より高くなりやすく、うつぶせ寝状態の頭部が枕部上で後ろ方向にやや反った形になり、このために後頭部から首周辺での緊張を招く。このため、楽なうつぶせ寝を実現させるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の要旨とするところは、基床に前後方向に敷いて用いる寝具であって、前方に位置し人の頭部及び顔面部の一部を載置するクッション性を有する枕部と、人の顔面部から股部にかけた部分に前後方向に互いに並行に、かつ互いに密着して設置される束ねられたクッション性を有する複数の円筒体から成る胴体部と、前記枕部から横方向に延出した補助枕と、この補助枕に取付け、前記胴体部から所定の間隙を有し、かつ胴体部と略同じ方向に延出した横向き寝用の補助円筒体と、からなり、前記枕部の使用時の高さは前記胴体部の使用時の高さよりもそれ以下と低くされ、前記胴体部の前方端部と前記枕部とが連結され、前記胴体部と横向き寝用の補助円筒体とが連結されてなる、寝具であることにある。
【0016】
前記枕部から延出した延出部を補助枕とし、この補助枕の高さを、枕部の高さより低くしたことを特徴とする。
【0017】
前記複数の円筒体のうち両外側の円筒体の上端部位置より、内側円筒体の上端部位置を股部方向に下げたことを特徴とする。
【0018】
前記枕部と前記胴体部、前記補助枕、前記横向き寝用の補助円筒体を一つの布団カバー内に収納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、枕部の使用時の高さを胴体部の使用時の高さよりもそれ以下と低くするので、うつぶせ寝で就寝するとき、首が後ろに反ったりせず、首に不要な緊張を招かない効果がある。
【0020】
本発明では、就寝者の身体は、枕部、胴体部、補助枕、補助円筒体により支えられ、うつぶせ寝、横向き寝の状態で、基床から適切な高低差で身体の各部が一定の高さに支持される。
【0021】
また、枕部と補助枕とを直接連結して両枕の間の間隙をなくしたので、頭部の移行が可能になり、スムースな寝返りが出来るようになった。その結果、寝返りが中断されることがなくなった。
【0022】
また、枕部の高さよりも補助枕の高さを低くしたことにより、枕部上に載置されたうつぶせ状態の頭部が、寝返りで補助枕へよりスムースに移行できるようになった。
【0023】
また、補助円筒体と補助枕とは着脱自在な連結手段を用い、取り外せるようにしたので、健常者にとっても健康によいとされるうつぶせ寝用の部分のみの寝具を提供できるようになった。
【0024】
また、補助枕と補助円筒体の接合位置、補助円筒体と胴体部との間隙を、それぞれの着脱自在な連結手段で調整することが可能になり、個々に適切な調節が可能になった。
【0025】
うつぶせ寝状態で頭部から股部までが、基床より一定の高さに支持される結果、亀が甲羅から手足を出し休む姿のように、両手、両足はこの寝具から左右に出て、基床上に位置する。身体と寝具の間に間隙は発生せず、腕等への荷重もなく、手足は解放される。
【0026】
この寝具は、胴体部上は蒲鉾形状で高さがあり、しかも狭ので、うつぶせ寝状態の使用者が僅かに左右に重心移動しただけで、身体はすぐに傾斜状態になり、無理に首を横に曲げなくても呼吸をすることができる。
【0027】
また、うつぶせ寝状態で、例えば、左右対称に位置する両手の片方を上下の向きを変えると、身体と顔面は自然に傾斜する。その結果、無理に首を横に曲げなくても呼吸をすることができる。
【0028】
これらにより、もともと基床より高い位置にある鼻孔や口の近傍にさらなる空間が形成され、鼻呼吸、口呼吸の吸排気は円滑になる。平坦な基床上で首を無理に曲げた場合と異なり、首への負担もない。
【0029】
うつぶせ寝により、人はイビキ、睡眠時無呼吸症候群、酸素不足による脳卒中などあお向き寝の弊害等から解放され、またセキが軽くなり、タンが排出され易くなり、血行が改善され、睡眠の質を上げられるなど、健康によいとされる効果が認められている。
【0030】
この寝具では、胴体部と横向き寝用の補助円筒体との間隙が、就寝者の胴部巾に略保たれる。寝返りにより仰向き寝になろうとしても、両肩を含む身体の巾の方が間隙よりも広いので仰向き寝には至らず、横向き寝、斜め横向き寝に誘導される。
【0031】
この寝具では、胴体部と横向き寝用の補助円筒体との間隙が、布団カバーにより覆われ、一見して略U字型の溝のように見える。就寝者は、きつくもなく緩くもないこの略U字型の間隙の中で寝返りをうつこともできる。
【0032】
胴体部と補助円筒体との間隙を一定に保つ役割は、間隙を繋ぐ着脱自在な連結手段により果たされる。この連結手段は布団カバーの内部でカバーの布により守られている。
【0033】
この寝具は、全体が滑らかな一つの布団カバーによって包まれるため、うつぶせ寝状態と横向き寝状態の双方から相互間の移動も寝返りなどでスムースにできる効果がある。
【0034】
また、一つの布団カバーによって、直接寝具を汚すことはなく、清潔を守ることができる。
【0035】
また、一つの布団カバーによって、保管上でも長大で嵩張るこの寝具を丸くまとめる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の寝具の態様について説明する。なお、本明細書においては、各図にわたって記される同じ符号は同一又は同様の部材やものを示す。図1、図2、図3において、本発明の寝具1は、基床Bに前後方向に敷いて用いる寝具であって、前方に位置し人100の頭部101及び顔面部の一部を載置するクッション性を有する枕部3と、人の顔面部から股部103にかけた部分に前後方向に互いに並行に、かつ互いに密着して設置される束ねられたクッション性を有する複数の円筒体4から成る胴体部5と、枕部3から横方向に延出した補助枕6と、この補助枕6に取付け、胴体部5から所定の間隙7を有し、かつ胴体部5と略同じ方向に延出した横向き寝用の補助円筒体8と、からなり、枕部3の使用時の高さは胴体部5の使用時の高さよりもそれ以下と低くされ、胴体部5の前方端部9と枕部3とが連結され、胴体部5と横向き寝用の補助円筒体8とが連結されてなる寝具1である。
【0037】
枕部3の使用時の高さは、胴体部5の使用時の高さよりもそれ以下と低くされる。これは、胴体部5上に位置する身体よりも、枕部3上に位置するうつぶせ寝状態の就寝者の頭部101の位置を低くすることにより、うつぶせ寝で就寝するとき、頭部が後ろに反り、首に不要な緊張などの負担をかけないようにするために、胴体部5よりも枕部3の高さを低くした。
【0038】
枕部3は、人100のおでこや、顔面部の目のあたりを直接支持するため、例えば、柔らかな綿や低反発素材などを材質とするのが好ましい。それらを、膨張をおさえながら、枕部3の型に型崩れしないように高密度に形成し、布等で枕部3に仕立てられる。
【0039】
枕部3の大きさは、例えば、平均的な成人男子用の場合、高さは13cm、前後巾は25cm、左右巾は45cmであることが好ましい。
【0040】
胴体部5の役割を果たすために、身体の顔面部から股部103までが基床Bより一定の高さで保持できること、並びに、胴体部5の左右巾が一定の巾に保持できることが求められる。
【0041】
胴体部5の大きさは、例えば、平均的な成人男子用の場合、高さは16cm、前後の長さは80cm、左右巾は使用する人100の胴部巾と略同じ巾の、例えば、35cmであることが好ましい。胴体部5は枕部3よりやや高くなっている。
【0042】
図1、図2に示すように、胴体部5の前方端部9と、枕部3とは直接接合されてもよいが、可撓性のシート状の中間部材10を介して着脱自在に連結されていることが不使用時の収納が容易となるうえでも好ましい。
【0043】
図2においては、可撓性の中間部材10は長方形の布地からなるが、胴体部5の前方端部9と、枕部3とを連結する可撓性の中間部材10であれば布地に限定されず、紐等の部材からなるものであってもよい。
【0044】
図2においては、胴体部5の前方端部9と布地の後方端部とが面ファスナーにより連結されている。前方端部9には面ファスナーのオス13が、布地の後方端部には面ファスナーのメス14が配される。
【0045】
図2においては、枕部3及び補助枕6の前方下縁15が布地の前端縁16と縫い目を介して縫合により結合している。この結合はファスナーを介するものであってもよい。枕部3と補助枕6と布地との結合は、面ファスナー、ホックあるいはボタン等の着脱自在な結合手段によるものであってもよい。
【0046】
図1、図2、図4、に示すように、複数の円筒体4のうち両外側の円筒体4の上端部位置18より、内側の円筒体4の上端部位置18を股部103方向に少許下げることにより、胴体部5と枕部3とが連結されたとき、両者の間には少許の空隙19を生じさせることができる。
【0047】
また、図2、図4に示すように、胴体部5の内側円筒体4が少許下げられた部分12だけ胴体部が長くなっている。この長くなった部分12が股部103位置にあるので、両足で挟むことができ、胴体部5と人100とが密着する上で好ましい。
【0048】
また、この少許の空隙19は、枕部3と胴体部5とが連結されたとき、鼻孔、口の近傍に空隙19を形成し、呼吸時の給排気を円滑にするための手段である。
【0049】
図1、図2、図4に示すように、胴体部5は、人100の顔面部から股部103にかけた部分に前後方向に互いに並行に、かつ互いに密着して設置される束ねられたクッション性を有する複数の円筒体4から構成されている。
【0050】
複数の円筒体4は前後方向に互いに並行に並べられ、かつ、隣り合う円筒体4の側部20が縫い目を介して縫い合により密着されている。円筒体4の側部20の結合は接着剤によるものでもよい。
【0051】
円筒体4は、例えば、布団綿の膨張を極力圧縮しつつ、幾重にも巻き、高密度の円筒形状に形成し、布等で仕立てて円筒体4としたものである。
【0052】
また、円筒体4は布団綿以外のもの、例えば、じゅうたん、バスマット、毛布などの布体を高密度に筒状に巻き取った巻き体であってもよい。円筒体4の大きさは、平均的な成人男子用の場合、例えば、長さは70cm、直径は、枕部3の高さ13cmよりも高い16cm、であることが好ましい。
【0053】
図5に示すのは、図4に示した、布で束ねられた複数の円筒体4から成る胴体部5を、基床B上で横一線に切断した断面図である。胴体部5は、例えば、略蒲鉾形状をしている。
【0054】
図4に示すように、複数の円筒体4は布で巻かれることで、更に高密度に加工され型崩れしない一体化した胴体部5に仕上げられる。
【0055】
図3は、この寝具1を用いて、うつぶせ寝をしている状態を示す図である。うつぶせ寝をしているときに、枕部3及び胴体部5のようなクッション性のある物体が、人100の頭部101から股部103にわたって敷かれた状態にあることは、睡眠の安定にとって重要である。このことは、前述のように医師によっても提唱されている。
【0056】
図5に示すように、クッション性を保ちながら、型崩れしにくい材質で高密度に形成された複数の円筒体4から成る胴体部5は、高さや左右巾も一定に保持される。所定の高さと左右巾が保たれた胴体部5によって、うつぶせ寝状態での手足は基床B上に解放され、楽な状態となり安定する。
【0057】
また、上記のような胴体部5により、うつぶせ状態での人100が僅かに胴体部5上で体重を左右に重心移動しただけで身体はすぐ傾斜状態にすることができる。また、重心移動をしなくても、左右対称に位置する両手のうちの一方を上下に位置を変えるだけで、顔面を自然に傾斜させられる。
【0058】
以上の結果、この寝具1を用いた場合は、無理に首のみを横に曲げなくてもうつぶせ寝状態で楽に呼吸をすることができる
【0059】
頭部101が枕部3からずれたりはずれたりした場合でも、胴体部5が位置ガイドとなって意識的あるいは半ば無意識的に身体を動かして頭部101の位置をもとにもどすことが容易になる。また、股部103が胴体部5からはずれたりずれたりした場合でも、上記と同様に、身体を動かして股部103の位置をもとにもどすことが容易になる。
【0060】
図6に示す図は、うつぶせ寝用の枕部3と補助枕6との間の間隙をなくし、枕部3と補助枕6とを直接連結して就寝した状態における、枕部3と補助枕6および頭部101とを横一線に切断した断面図である。
【0061】
図6では、枕部3と補助枕6とは高低差があり、枕部3でうつぶせ状態であった頭部101が、寝返りで補助枕6にスムースに移行し、約45度の傾斜で補助枕6上に載置されている。頭部101が傾斜している理由は、補助円筒体8が横向き寝の状態の身体に敷かれて背後部をささえているからである。
【0062】
図7に示すのは、この寝具1を用いて、横向きに就寝している状態を示す斜視図である。胴体部5が抱き枕状態で、補助円筒体8が横向き寝の状態の身体に敷かれて背後部をささえている。
【0063】
図2においては、枕部3から横方向に延出した補助枕6にはホックのメス23が配され、補助円筒体8の前方端部9にはホックのオス22が配される。
【0064】
図2、及び図8に示した補助円筒体8の前方端部にはホックのオス22の数は、例えば、3個と少なく配され、図2に示した補助枕6に配されたホックのメス23の数は、例えば、6個とより多く配され、これらメス23の選択により助円筒体8と補助枕6との結合位置を変ることができる。
【0065】
また、図2、及び図8に示した補助円筒体8の後方端部28側の帯状の布紐24には面ファスナーのオス13が、図2、及び図4に示した胴体部5側の後方端部29側の帯状の布紐24には面ファスナーのメス14が配される。
【0066】
これらにより、補助円筒体8と胴体部5との間隙7又は同意別名でU字型の溝27の大きさを使用する人100のサイズに合わせて調整できる。
【0067】
補助枕6と補助円筒体8との間隙7、補助円筒体8と胴体部5の後方端部28,29間の間隙を連結及び調節する手段は、以上のホックや面ファスナー、帯状の布紐24にこだわらずファスナーや紐その他着脱自在な連結手段、調節手段を介して行われてもよい。
【0068】
補助円筒体8は、身体に長く敷かれる状態が続くので、胴体部5を構成する円筒体4より比較的柔らかいクッション性の部材からなることが好ましい。図8に示すように、補助円筒体8の形状は、肩部に対応する部分の直径はやや大きく、腰部に対応する部分の直径はやや細くされている。
【0069】
補助円筒体8の直径は、例えば、肩部を支える前方端部9では13cm、腰部を支える後方端部28では10cmであることが好ましい。長さは、横向き寝の状態で前方端部9が肩部から、後方端部28が人100の腰の近傍に達するほどの、例えば、平均的な成人男子用の場合、70cmであることが好ましい。
【0070】
図6に示すように、補助枕6の高さは、枕部3の約半分の高さである。前後左右の幅は、枕部より広く平らである。愛用している枕が補助枕6として条件に合えば、寝具1に使用することができる。
【0071】
この寝具1は、図9に示すように、専用の一つの布団カバー25で全てを包込むので、連結手段の緩みも発生しにくく、布団カバー25が、この寝具1を最終的に仕上げ、使用するための実用手段となる。
【0072】
うつぶせ寝による鼻汁、よだれは、直接寝具1を汚す。だが、布団カバー25は洗濯ができ、清潔を守ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
図9は、収納口26のある下方から布団カバー25を見た下面図である。とじ部は、面ファスナー13,14により閉じられる。
【0074】
その他、本発明は、主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の寝具の側面図である。
【図2】同寝具の上面図である。
【図3】同寝具を用いてうつぶせに就寝している状態を示す図である。
【図4】同寝具の胴体部を示す上面図である。
【図5】同寝具の胴体部を横一線に切断した断面図である。
【図6】同寝具に人が用いた状態で、枕部と補助枕部分を横一線に切断した断面図である。
【図7】同寝具に人が横向きに就寝している状態を示す斜視図である。
【図8】同寝具の補助円筒体を示す上面図である。
【図9】同寝具の枕部、胴体部、補助枕、補助円筒体を使用できる状態で布団カバー内に収納し、収納口がある下方から見た専用の布団カバーの下面図である。
【符号の説明】
【0076】
・ 寝具
B:基床
3、枕部
4、円筒体
5、胴体部
6、補助枕
7、間隙
8、補助円筒体
9、前方端部
10、可撓性の中間部材
12、内側円筒体が少許下げられ長くなった部分
13、面ファスナーのオス
14、面ファスナーのメス
15、前方下縁
16、布地の前端縁
18、上端部位置
19、空隙
20、円筒体の側部
22、ホックのオス
23、ホックのメス
24、帯状の布紐
25、専用の布団カバー
26、カバーの収納口
27、U字型の溝
28、補助円筒体の後方端部
29、胴体部の後方端部
100:人
101:頭部
103:股部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基床に前後方向に敷いて用いる寝具であって、前方に位置し人の頭部及び顔面部の一部を載置するクッション性を有する枕部と、人の顔面部から股部にかけた部分に前後方向に互いに並行に、かつ互いに密着して設置される束ねられたクッション性を有する複数の円筒体から成る胴体部と、前記枕部から横方向に延出した補助枕と、この補助枕に取付け、前記胴体部から所定の間隙を有し、かつ胴体部と略同じ方向に延出した横向き寝用の補助円筒体と、からなり、
前記枕部の使用時の高さは前記胴体部の使用時の高さよりもそれ以下と低くされ、
前記胴体部の前方端部と前記枕部とが連結され、前記胴体部と横向き寝用の補助円筒体とが連結されてなる寝具。
【請求項2】
前記枕部から延出した延出部を補助枕とし、この補助枕の高さを、枕部の高さより低くしたことを特徴とする請求項1に記載の寝具。
【請求項3】
前記複数の円筒体のうち両外側の円筒体の上端部位置より、内側円筒体の上端部位置を股部方向に少許下げたことを特徴とする請求項1又は乃至2に記載の寝具。
【請求項4】
前記枕部と前記胴体部、前記補助枕、前記横向き寝用の補助円筒体を一つの布団カバー内に収納することを特徴とする請求項1又は2に記載の寝具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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