寝具昇降装置
【課題】ベッド上のユーザ本人に作用する上掛け寝具の荷重を軽減し又は解消するとともに、跳ね上げた上掛け寝具によって本人等の姿勢、動作、移動又は行動範囲を制約せず又は妨げないようにする。
【解決手段】上掛け寝具(H)の四隅等に係留されて寝具を懸吊する可撓性線材(7,8)と、各線材を巻き上げ又は繰り出す巻き上げ装置と、巻き上げ装置を寝具の上方域に支持する架台(10)又はフレームとを有する。巻き上げ装置は、実質的に水平な回転軸線を中心に回転する回転駆動ローラ(3)と、上掛け寝具の重量が回転駆動ローラに与える負荷を打ち消すように、寝具の重量に相応する荷重を回転駆動ローラに与えて回転駆動ローラの負荷を軽減する荷重付加装置(9,20,70)と、線材の緩み、弛み等を防止する張力付与装置(80)とを有する。
【解決手段】上掛け寝具(H)の四隅等に係留されて寝具を懸吊する可撓性線材(7,8)と、各線材を巻き上げ又は繰り出す巻き上げ装置と、巻き上げ装置を寝具の上方域に支持する架台(10)又はフレームとを有する。巻き上げ装置は、実質的に水平な回転軸線を中心に回転する回転駆動ローラ(3)と、上掛け寝具の重量が回転駆動ローラに与える負荷を打ち消すように、寝具の重量に相応する荷重を回転駆動ローラに与えて回転駆動ローラの負荷を軽減する荷重付加装置(9,20,70)と、線材の緩み、弛み等を防止する張力付与装置(80)とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝具昇降装置に関するものであり、より詳細には、掛け布団、上掛け毛布等の上掛け寝具を昇降させる寝具昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、布団は、綿、羽毛、羊毛等の詰め物を布地(側地又は側生地)の中に詰めた状態のものであり、詰め物の種類や、布団の乾燥程度に応じて、布団の重量はかなり相違する。多くの健康な若年層又は中年層の人は、就寝時に掛け布団の重さを意識したり、それを問題視することはないであろう。しかし、多くの傷病者、手術後の患者、障害者、高齢者等は、掛け布団の重量が負担又は抵抗となって睡眠や自由な姿勢、寝返り等を妨げられたり、掛け布団の重量による傷又は患部の圧迫等を意識して不自由な姿勢を強いられるといったことを経験する。
【0003】
傷病者、高齢者等の比較的非力な人が掛け布団の重量を負担に感じないようにすることを意図した従来の技術として、例えば、特開平10−57427号公報、特開2002−177342号公報には、掛け布団を機械的に跳ね上げ又は人に被せる自動掛け布団装置が記載されている。この装置は、ベッドの側部に配置された支柱と、支柱の上部に取付けられた格子状の布団支持具とから構成され、布団支持具は、支柱頂部の枢動軸線を中心に枢動し、掛け布団をベッド上の人に被せ又は掛け布団を跳ね上げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−57427号公報
【特許文献2】特開2002−177342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成の自動掛け布団装置は、跳ね上げた掛け布団をベッドの片側縁部に傾斜状態に保持するので、跳ね上げられた掛け布団は、ベッドの片側縁部を占有し、人の姿勢、動作、移動及び行動範囲等をかなり制約し又は妨げる。また、医師、看護師又は介護者等は、診察、処置、介護等の際、自動掛け布団装置の反対側からのみベッド上の患者等に接することができるにすぎない。
【0006】
また、上記構成の自動掛け布団装置は、掛け布団を被り又は跳ね上げる人為動作を模擬したにすぎず、ベッド上の人体に作用する掛け布団の重量を軽減した状態でベッド上に掛け布団を保持することはできない。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ベッド上のユーザ本人に作用する上掛け寝具の荷重を軽減し又は解消するとともに、ベッド上の本人や、医師、看護師等の姿勢、動作、移動又は行動範囲が制約され又は妨げられることがないような状態又は位置に上掛け寝具を上昇させることができる寝具昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明は、掛け布団、上掛け毛布等の上掛け寝具を昇降させる寝具昇降装置において、
上掛け寝具の少なくとも四隅に係留し且つ該寝具を懸吊する可撓性線材と、各線材を巻き上げ又は繰り出す巻き上げ装置と、該巻き上げ装置を寝具の上方域に支持する支持手段とを有し、
前記巻き上げ装置は、前記可撓性線材が巻装され、実質的に水平な回転軸線を中心に回転する回転駆動ローラと、前記上掛け寝具の重量が前記回転駆動ローラに与える負荷を打ち消すように、前記寝具の重量に相応する荷重を前記回転駆動ローラに与えて該回転駆動ローラの負荷を軽減する荷重付加装置とを有することを特徴とする寝具昇降装置を提供する。
【0009】
本発明の上記構成によれば、ベッド又は敷布団の上の上掛け寝具は、回転駆動ローラによる可撓性線材の巻き上げ又は繰り出し動作に従って全体的に昇降する。上掛け寝具の上昇により、ベッド又は敷布団上の本人に作用する上掛け寝具の荷重(重量)は軽減し、或いは、解消する。上掛け寝具の上昇により、ベッド又は敷布団の全周が開放するので、ベッド上の本人や、医師、看護師等の姿勢、動作、移動又は行動範囲は制限されず又は阻害されない。また、寝具昇降装置は、上掛け寝具の重量が回転駆動ローラに与える負荷を打ち消すように、寝具の重量に相応する荷重を回転駆動ローラに与えて回転駆動ローラの負荷を軽減する荷重付加装置を有するので、回転駆動ローラの負荷を軽減するとともに、意図せぬ急激な上掛け寝具の降下を防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の寝具昇降装置によれば、ベッド上のユーザ本人に作用する上掛け寝具の荷重を軽減し又は解消するとともに、ベッド上の本人や、医師、看護師等の姿勢、動作、移動又は行動範囲が制約され又は妨げられることがないような状態又は位置に上掛け寝具を上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】寝具昇降装置の平面図である。
【図3】寝具昇降装置の断面図であり、上掛け寝具を最も降下させた状態が示されている。
【図4】寝具昇降装置の断面図であり、上掛け寝具を若干上昇させた状態が示されている。
【図5】寝具昇降装置の断面図であり、図4と同じく、上掛け寝具を若干上昇させた状態が示されている。
【図6】寝具昇降装置の断面図であり、上掛け寝具を更に上昇させた状態が示されている。
【図7】寝具昇降装置の断面図であり、上掛け寝具を最も上昇させた状態が示されている。
【図8】寝具昇降装置の断面図であり、縁部を特殊加工した上掛け寝具を寝具昇降装置で懸吊した状態が示されている。
【図9】寝具昇降装置の断面図であり、図8と同じく、縁部を特殊加工した上掛け寝具を寝具昇降装置で懸吊した状態が示されている。
【図10】寝具昇降装置の正面図であり、図8及び図9に示す上掛け寝具を上昇させた状態が示されている。
【図11】寝具昇降装置の正面図であり、図8及び図9に示す上掛け寝具を最も上昇させた状態が示されている。
【図12】本発明の第2実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す平面図である。
【図13】図12に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図14】図12に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図15】図12〜図14に示す昇降ユニットの構成を示す平面図である。
【図16】図15のI−I線、II−II線及びIII-III線における昇降ユニットの断面図である。
【図17】回転量検出装置の構成を示す平面図、IV-IV線断面図及びV−V線断面図である。
【図18】駆動ローラの回転時に生じる可動部材の移動の形態を例示する断面図である。
【図19】定荷重ばねユニット、駆動ローラ及び可撓性線材の各種配置を示す断面図である。
【図20】本発明の第3実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す平面図である。
【図21】図20に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図22】図20に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図23】図20〜図22に示す昇降ユニットの構成を示す平面図、VI-VI線断面図、VII-VII線断面図及びVIII-VIII線断面図である。
【図24】昇降ユニットに配設される張力付与装置の構成を示す平面図、正面図、右側面図及び左側面図である。
【図25】図24に示す張力付与装置の作動形態を示す正面図である。
【図26】本発明の第4実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す平面図である。
【図27】図26に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図28】図26に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図29】図26〜図28に示す昇降ユニットの構成を示す平面図、IX-IX線断面図、X-X線断面図及びXI-XI線断面図である。
【図30】本発明の第5実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す平面図である。
【図31】図30に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図32】図30に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図33】図31〜図32に示す昇降ユニットの構成を示す平面図、XII-XII線断面図及びXIII-XIII線断面図である。
【図34】昇降ユニットに配設される張力付与装置の構成を示す平面図、正面図、右側面図である。
【図35】図34に示す張力付与装置の作動形態を示す正面図である。
【図36】図34に示す張力付与装置の作動形態を示す正面図である。
【図37】昇降装置の作動形態を示す断面図である。
【図38】掛け布団の懸吊手段を概略的に示す斜視図、平面図及び部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態においては、次の構成が採用される。
(1)遊動ローラが駆動ローラと実質的に平行に並列配置される。上掛け寝具の片側部分を懸吊する可撓性線材は、遊動ローラの外周を経由して垂下する。変形例として、複数の駆動ローラを実質的に平行に並列配置し、各駆動ローラを連動させて各側の可撓性線材を同期制御し、これにより、上掛け寝具を昇降するようにしても良い。
(2)荷重付加装置は、上掛け寝具の重量に相応する重量のウエイト部材(20)と、先端部が該ウエイト部材に接続され且つ駆動ローラによって巻き上げられ又は繰り出される可撓性線材(9)とを有する。鉛直支柱は、方形又は円形断面を有する中空金属管からなり、ウエイト部材は、支柱内に収容され、支柱内の中空部において昇降動作する。
(3)寝具昇降装置は、ウエイト部材の最上端位置及び最下端位置を検出する昇降位置検出手段(22,23)と、検出されたウエイト部材の位置に従って回転駆動ローラの回転を規制する制御装置(U)とを有する。
(4)荷重付加装置(70)は、定荷重ばね(71)と、一端部が定荷重ばねの外端部に連結され且つ他端部が回転駆動ローラに巻き掛けられた荷重付加用の可撓性線材(73)とを有する。定荷重ばねによって実質的に一定の張力が荷重付加用の可撓性線材に与えられる。
(5)寝具昇降装置は、回転駆動ローラの外周面に形成された螺旋溝(62)と、螺旋溝に延入する従動ピン(64)を備えた可動部材(63)と、可動部材の位置を検出する位置検出手段(65)と、位置検出手段の検出結果に基づいて駆動ローラの回転を規制する制御装置(U)とを有する。
(6)張力付与装置(80)は、上掛け寝具の荷重が作用する可撓性線材の垂直部分を引っ張って可撓性線材の垂直部分に張力を付与する揺動部材(90)を有する。
(7)張力付与装置(80)は、揺動部材(90)を上方に付勢し、可撓性線材の垂直部分に作用する荷重の軽減時に揺動部材を上方に回動させる付勢手段(85)と、揺動部材の上方の回動によって寝具の最降下位置を検出する降下位置検出手段(111)とを有する。
(8)張力付与装置(80)は、可撓性線材の垂直部分の下端部(7a,8a)に設けられた係合手段と係合して弾力的に変形又は変位する上昇位置検出具(120-123)と、該検出具の変形又は変位を検出する上昇位置検出手段(125)とを有する。
(9)駆動ローラは、ローラ内部に電動モータ、減速機及び電磁ブレーキを内蔵した構造を有する。
(10)制御装置には、遠隔操作式の手動操作スイッチが接続される。
(11)支持手段として、床面に支持された支柱と、支柱に支持された横架材との組立体からなる架台、或いは、建築物の骨組、スラブ、梁、小屋組、天井構造体等の建築構造材に支持された横架材、枠体、枠組、懸吊部材又はブラケット等の支持部材を好適に使用し得る。
【実施例1】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【0014】
図1、図2、図3及び図4は、本発明の第1実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す斜視図、平面図及び断面図である。
【0015】
寝具昇降装置1の昇降駆動部2が、ベッドBの上方域に配設される。昇降駆動部2は、水平且つ並列に配置された駆動ローラ3及び遊動ローラ4を有する。駆動ローラ3及び遊動ローラ4は、寝具の長手方向に平行に延びる。駆動ローラ3及び遊動ローラ4の端部は、横架材11、12によって支持される。横架材11、12の端部は、左右の梁部材13、14によって支持される。梁部材13、14は、床Fに支持された前後左右の鉛直支柱15、16、17、18によって支持される。本例において、横架材11、12、梁部材13、14及び鉛直支柱15、16、17、18は、適当な塗装仕上げ等を施した角形鋼管からなり、上掛け寝具Hの荷重を支持する架台10を構成する。
【0016】
駆動ローラ3は、ローラ内部に電動モータ、減速機及び電磁ブレーキを内蔵した構造を有する。駆動ローラ3として、ローラーコンベヤのローラを構成する駆動ローラ、例えば、機械部品等の製造工場において製品又は中間製品の搬送ライン(ローラーコンベヤ)に使用される駆動ローラを好ましく使用し得る。比較的容易に市場で入手可能な駆動ローラとして、例えば、製品名「パワーモーラ」(伊東電機株式会社製)、製品名「パルスモータ」(株式会社協和製作所製)等の商品が挙げられる。駆動ローラ3の両端部から突出する支軸部5が、横架材11、12に固定され、駆動ローラ3は、横架材11、12の間に懸架される。
【0017】
駆動ローラ3には、可撓性線材(索条)7、8、9が巻装される。可撓性線材7、8、9として、例えば、繊維製又は合成樹脂製の紐、組紐、バンド等を好ましく使用し得る。可撓性線材7の基端部は、駆動ローラ3の外周面に固定される。可撓性線材7は、駆動ローラ3の外周面に巻回され、その自由端は、駆動ローラ3の外周面から垂下する。可撓性線材7は、図3に示す駆動ローラ3の時計廻り方向(巻き上げ方向)Rの回転により、駆動ローラ3の外周面に巻き付けられ、可撓性線材7の先端部7aは、上昇する。可撓性線材7は、駆動ローラ3の反時計廻り方向(繰り出し方向)の回転により、駆動ローラ3から下方に繰り出される。
【0018】
可撓性線材8の基端部も又、駆動ローラ3の外周面に固定される。可撓性線材8は、可撓性線材7と同方向に駆動ローラ3の外周面に巻回され、駆動ローラ3の外周面から遊動ローラ4に向かって延び、遊動ローラ4の外周面を経由して遊動ローラ4の外周面から垂下する。遊動ローラ4の両端部から突出する支軸部6が、横架材11、12に固定され、遊動ローラ4は、横架材11、12の間に懸架される。可撓性線材8も又、図3に示す駆動ローラ3の時計廻り方向(巻き上げ方向)Rの回転により、駆動ローラ3の外周面に巻き付けられ、可撓性線材8の先端部8aは上昇する。可撓性線材8は、駆動ローラ3の反時計廻り方向(繰り出し方向)の回転により、遊動ローラ4から下方に降下する。
【0019】
可撓性線材9の基端部も又、駆動ローラ3の外周面に固定されるが、可撓性線材9は、可撓性線材7、8と逆方向に駆動ローラ3の外周面に巻回される。可撓性線材9の巻回位置は、支柱15の位置と対応しており、可撓性線材9は、梁部材13又は支柱15の側壁に形成された縦方向スリット19を貫通する。可撓性線材9は、支柱15の内部に配置された案内部材21の外周を経由し、支柱15の中空部に垂下する。可撓性線材9の先端部(下端部)はウエイト20に接続される。ウエイト20は、掛け布団Hと同等の重量を有する直方体輪郭の金属製錘からなり、支柱15の角形断面と相応する横断面を有する。
【0020】
上下一対のリミットスイッチ22、23が、支柱15の所定位置に取付けられる。リミットスイッチ22、23は、ウエイト20の上端位置及び下端位置に配置される。リミットスイッチ22、23は、制御信号線S1、S2を介して制御ユニットUに接続される。制御ユニットUは、AC電源に接続されるとともに、給電線・制御信号線Tを介して駆動ローラ3の駆動部に接続される。制御ユニットUは又、制御信号線Vを介して手動操作式の手元スイッチ25に接続される。
【0021】
可撓性線材7、8の自由端は、概ね水平な格子状の中間枠30を介して掛け布団Hに係留される。中間枠30は、ベッドB及び敷布団Kの長手方向及び幅方向に縦横に配列した線型部材31、32から構成される。線型部材31、32は、天然木材、合成木材、木質系材料、合成樹脂、エラストマー又はグラスファイバ等の素材で製造された断面直径1〜数センチ程度のロッド状又は棒状部材からなる。線型部材31、32は、交点において緊締具等で一体的に連結される。可撓性線材7、8の先端部7a、8aは、リング部材等の係留具33によって部材31又は32に係留される。上掛け布団Hには、布製又は繊維製の紐状又はバンド等の係留部材35が縫製等で連結される。係留部材35は、可撓性線材34によって部材31又は32から懸吊される。
【0022】
図3には、上掛け布団Hを最も降下した状態が示されている。ウエイト20は、上側のリミットスイッチ22の感知位置に位置し、制御ユニットUは、これを検出して駆動ローラ3を停止させている。手元スイッチ25を操作して、駆動ローラ3を作動させると、駆動ローラ3は矢印R方向に回転する。可撓性線材7、8は、駆動ローラ3に巻き掛けられ、中間枠30及び掛け布団Hは上昇し、ウエイト20は降下する。この状態が図4及び図5に示されている。
【0023】
図4は、上掛け寝具を若干上昇させた状態を示す寝具昇降装置の側面図であり、図5は、図4に相応する掛け布団Hの位置を示す正面図である。図4及び図5に示す如く、ベットB上の人体に作用する掛け布団Hの荷重は大幅に低減し、掛け布団Hは、人体を圧迫しない。ベッドB上の人は、極端に非力であっても、掛け布団Hの重量から解放され、自由に寝返り等をすることができる。
【0024】
図6及び図7には、掛け布団Hを更に上昇させた状態が示されている。
【0025】
図6に示すように掛け布団Hを大きく上昇させると、掛け布団Hの下側に大きな空間が形成される。ベットB上の人は、ベッドの左右に自由に移動又は行動できる。医師、看護師、介護者等は、ベッドBの両側から比較的自由にベッドB上の人に接することができる。
【0026】
図7に示すように掛け布団Hを最高位置に上昇させると、この空間は更に拡大する。ウエイト20は、最降下位置に降下する。ウエイト20は、下側のリミットスイッチ23の感知位置に降下し、制御ユニットUは、これを検出して駆動ローラ3を停止させる。
【0027】
なお、制御ユニットUは、手元スイッチ25のマニュアル操作により、可動範囲内の任意位置において駆動ローラ3を作動又は停止させる。従って、ユーザは、最高位置(図7)及び最低位置(図2)の間の任意の位置に掛け布団Hを静止させることができる。
【0028】
図8及び図9は、縁部Haが垂れ下がるように特殊加工した掛け布団Hを寝具昇降装置で懸吊した状態を示す寝具昇降装置1の断面図である。図10及び図11には、このような掛け布団Hを寝具昇降装置1で上昇させた状態が示されている。
【0029】
図8及び図9に示すように、掛け布団Hは、上昇時に掛け布団Hの周囲を閉鎖するように垂れ下がる縁部Haを備える。縁部Haは、掛け布団Hの下側の空間に滞留した暖気が周辺に逃げるのを防止する。従って、掛け布団Hの下側には、保温された空間が形成される。図10及び図11に示すように、掛け布団Hを昇降させると、掛け布団Hは、縁部Haをその周囲から垂下させた形態で上昇する。
【0030】
図38は、このような掛け布団Hの懸吊に適した掛け布団懸吊手段を概略的に示す斜視図、平面図及び部分断面図である。
【0031】
縁部Haを有する掛け布団Hの好ましい懸吊手段が図38(A)及び図38(B)に示されている。格子状の中間枠30は、左右の各線形部材31の両端部分で可撓性線材7、8によって懸吊される。掛け布団Hは、左右の各線形部材31に沿って3箇所(合計6箇所)で懸吊されるとともに、前後の各線形部材32の中央部1箇所(合計2箇所)で懸吊される。
【0032】
図38(C)には、掛け布団Hを貫通するハトメ金具(筒状リベット)36が示されている。ハトメ金具36は、前述の係留部材35を構成する。ハトメ金具36は、天然又は合成皮革等の緩衝材37を介して掛け布団Hを堅固に挟圧する。可撓性線材34は、ハトメ金具36の貫通孔38を貫通する。可撓性線材34の下端部は、結び目、結束、節、抜止め具等の抜止め手段(図示せず)を備える。
【実施例2】
【0033】
図12、図13及び図14は、本発明の第2実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す平面図及び断面図である。図15は、図12〜図14に示す昇降ユニットの構成を示す平面図であり、図16(A)〜図16(C)は、図15のI−I線、II−II線及びIII-III線における断面図である。各図において、第1実施例の各構成要素又は構成部材と実質的に同じ構成要素又は構成部材には、同一の参照符号が付されている。
【0034】
本例の寝具昇降装置1は、ベッドBの上方域に配設された昇降ユニット50を有する。昇降ユニット50は、駆動ローラ3をベッドBの上方域に懸架するための方形フレームを有する。方形フレームは、梁部材13、14に支持された横架材51、52と、横架材51、52に支持された横架材53、54とから構成される。横架材51、52は、梁部材13、14間に架設され、ベッドBの幅方向に延びる。横架材53、54は、横架材51、52間に懸架され、ベッドBの長手方向に延びる。横架材51〜54は、例えば、適当な塗装仕上げ等を施した角形鋼管、型鋼又は金属成形材等からなる。
【0035】
昇降ユニット50は、駆動ローラ3の回転量を検出する回転量検出装置60と、一定の荷重を駆動ローラ3に付加する定荷重付加装置70と、横架材54に取付けられた一対の滑車56とを有する。
【0036】
第1実施例と同様、可撓性線材7、8が駆動ローラ3に巻き掛けられる。可撓性線材7は、図16(B)及び図13に示すように駆動ローラ3の外周面に巻回され、駆動ローラ3の外周面から垂下する。可撓性線材7は、駆動ローラ3の巻き上げ方向Rの回転によって駆動ローラ3の外周面に巻き付けられ、可撓性線材7の先端部7aは上昇する。可撓性線材7は、駆動ローラ3の繰り出し方向の回転により、駆動ローラ3から繰り出され、可撓性線材7の先端部7aは降下する。可撓性線材8は、図16(C)に示すように可撓性線材7と同方向に駆動ローラ3の外周面に巻回される。可撓性線材8は、駆動ローラ3の外周面から滑車56に向かって延び、滑車56の外周面によって下方に転向し、滑車56から垂下する。図16(C)及び図13に示すように、可撓性線材8は、駆動ローラ3の巻き上げ方向Rの回転により、駆動ローラ3の外周面に巻き付けられ、可撓性線材8の先端部8aは上昇する。可撓性線材8は、駆動ローラ3の繰り出し方向の回転により、駆動ローラ3から繰り出され、可撓性線材8の先端部8aは降下する。
【0037】
図17は、回転量検出装置60の構成を示す平面図、IV-IV線断面図及びV−V線断面図である。図17(A)に示すように、回転量検出装置60は、駆動ローラ4の外周面に形成された螺旋形の突条61と、突条61に係合する円形断面の従動ピン64と、従動ピン64を担持する可動部材63と、可動部材63を移動可能に支持するガイド部材67と、ガイド部材67に支持された左右一対のリミットスイッチ65とから構成される。図15に示す如く、ガイド部材67の一端は横架材52に連結され、ガイド部材67の他端はブラケット69を介して横架材53に連結される。図17に示すように、ガイド部材67は駆動ローラ3と平行に延びる角形断面の金属管からなる。可動部材63は、ガイド部材67の軸線方向に移動可能にガイド部材67に支持される。突条61は、駆動ローラ3の外周面に螺旋形に巻回された方形断面の金属線材によって形成される。方形断面の螺旋形カム溝62が突条61によって駆動ローラ3の外周に形成される。従動ピン64は、可動部材63から一体的且つ水平に突出し、カム溝62内に延入する。
【0038】
突条61及び従動ピン64は、駆動ローラ4の回転に相応して駆動ローラ3の軸線方向に相対変位し、可動部材63は、突条61及び従動ピン64の相対変位に相応して矢印M又は矢印N(図17(A))の方向に移動する。左右のリミットスイッチ65は、可動部材63に接触可能な検出子66を夫々有する。図12に示すように、各リミットスイッチ65は、制御信号線S3、S4を介して制御ユニットUに接続される。制御ユニットUは、第1実施例と同じく、AC電源、駆動ローラ3の駆動部及び手元スイッチ25に接続される。
【0039】
図18(A)及び図18(B)は、駆動ローラ3の回転時に生じる可動部材63の移動形態を例示する断面図である。図18(A)に示すように駆動ローラ3が矢印R方向(巻き上げ方向)に回転すると、従動ピン64はカム溝62の回転に従動して矢印M方向に変位し、可動部材63は矢印M方向に移動する。図18(B)に示すように可動部材63が検出子66に接触すると、リミットスイッチ65が作動し、制御ユニットU(図12)は駆動ローラ3の作動を停止する。駆動ローラ3が矢印Rと逆の方向(繰り出し方向)に回転すると、従動ピン64はカム溝62の回転に従動して矢印N方向に変位し、可動部材63は矢印N方向に移動する。可動部材63が反対側のリミットスイッチ65の検出子66に接触すると、リミットスイッチ65が作動し、制御ユニットU(図12)は、駆動ローラ3の作動を停止する。
【0040】
定荷重付加装置70の構成が図16(A)に示されている。定荷重付加装置70は、横架材54に取付けられた定荷重ばねユニット71と、定荷重ばねユニット71の金属ばね外端部に連結された動滑車72と、駆動ローラ3及び動滑車72に掛けられた可撓性線材73と、ブラケット(図示せず)によって横架材53に取付けられた定滑車74とから構成される。可撓性線材73は、駆動ローラ3の回転によって駆動ローラ3に巻回され又は駆動ローラ3から繰り出される。
【0041】
図16(A)に矢印で示す如く可撓性線材73が駆動ローラ3に巻き付けられた状態では、定荷重ばねユニット71は、ドラムから金属ばねを繰り出した状態で静止している。定荷重ばねユニット71は、金属ばねの引き出し量(ストローク)の長短に関係なく常に一定の弾性復元力(弾発力)を発生させるので、駆動ローラ3には、常に一定の荷重Pが作用する。駆動ローラ3には、掛け布団Hの重量が可撓性線材7、8を介して作用し、掛け布団Hの荷重は、荷重Pと反対方向のトルクを駆動ローラ3に与える。荷重Pと掛け布団Hの荷重は互いに打ち消し合う。
【0042】
図16(A)に示すように、可撓性線材73は、駆動ローラ3から動滑車72に延び、動滑車72によって転向して定滑車74に延び、定滑車74によって更に転向して動滑車72の緊締部75に緊締される。定荷重ばねユニット71の弾性復元力は、可撓性線材73の張力として常に滑車72、74及び駆動ローラ3に作用する。可撓性線材73は、掛け布団Hの上下動に相当するストロークで変位するが、可撓性線材73は、滑車72、74を経由して金属ばね外端部(緊締部75)に緊締されるので、金属ばね外端部(緊締部75)の変位量は可撓性線材73の変位量よりも遥かに小さい。従って、定荷重ばねユニット71のばねとして、許容ストロークが小さい定荷重ばねを使用することができる。
【0043】
図19は、定荷重ばねユニット71、駆動ローラ3及び可撓性線材73の各種配置を例示する断面図である。
【0044】
図19(A)に示す定荷重付加装置70は、可撓性線材73の先端部を金属ばね外端部76に直に接続した構成を有する。この構成では、可撓性線材73の変位量と、定荷重ばねユニット71のストロークとは実質的に一致する。このため、定荷重ばねユニット71のばねとして、比較的長い許容ストロークを有する金属ばね(定荷重ばね)を採用しなければならない。
【0045】
図19(B)に示す定荷重付加装置70は、横架材54に取付けられた定荷重ばねユニット71と、定荷重ばねユニット71の金属ばね外端部76に連結された動滑車72と、横架材53に取付けられた連結具77とを有する。可撓性線材73は、動滑車72を経由して連結具77に緊締される。この構成では、可撓性線材73の変位量に対する金属ばね(定荷重ばね)のストロークは半減する。
【0046】
図19(C)に示す定荷重付加装置70は、図12〜図16に示す実施例と同じく、定荷重ばねユニット71、動滑車72及び定滑車74を有する。駆動ローラ3から動滑車72に延びる可撓性線材73は、動滑車72によって転向して定滑車74に延び、定滑車74によって更に転向して動滑車72の緊締部75に緊締される。図19(D)に示す定荷重付加装置70は、横架材54に取付けられた定滑車77を更に有し、緊締具75は、横架材53又は定滑車74に配設される。可撓性線材73は、駆動ローラ3から定滑車77に延び、定滑車77によって転向して定滑車74に延び、定滑車74によって転向して動滑車72に延び、動滑車74によって更に転向して緊締部75に緊締される。図19(E)に示す定荷重付加装置70は、横架材54のブラケット79に取付けられた定滑車78を更に有する。動滑車72によって転向した可撓性線材73は、定滑車78に延び、定滑車78によって更に転向して動滑車72の緊締部75に緊締される。図19(B)〜図19(E)に示された定荷重付加装置70によれば、駆動ローラ3の回転と関連して生じる金属ばね(定荷重ばね)のストロークを低減することができるので、許容ストロークが小さい定荷重ばねを定荷重ばねユニット71のばねとして使用することができる。
【0047】
図12〜図19を参照して本例の寝具昇降装置1の作動について説明する。
【0048】
図12〜図14には、上掛け布団Hを降下した状態が示されている。手元スイッチ25を操作して、駆動ローラ3を上昇側に作動させると、可撓性線材7、8は、図16(B)及び図16(C)に矢印Rで示すように駆動ローラ3に巻き掛けられ、中間枠30及び掛け布団Hは上昇する。同時に、図16(A)に矢印Rで示されるように、可撓性線材73は駆動ローラ3から繰り出され、定荷重ばねユニット71は、その弾性復元力(弾発力)によって金属ばねをドラムに巻き取る。このような作動の間、定荷重ばねユニット71は一定の荷重Pを可撓性線材73に与え続ける。掛け布団Hの重量は荷重Pと相殺されるので、駆動ローラ3の負荷は軽減する。
【0049】
図18に示すように、駆動ローラ3の回転に伴って可動部材63は矢印M方向に移動し、検出子66に接触してリミットスイッチ65を作動させる。リミットスイッチ65が作動すると、制御ユニットU(図12)は駆動ローラ3の作動を停止する。従って、掛け布団Hの最上昇位置(上限)は、リミットスイッチ65及び可動部材63の位置関係によって設定される。
【0050】
手元スイッチ25を操作して、駆動ローラ3を降下側に作動させると、可撓性線材7、8は駆動ローラ3から繰り出され、中間枠30及び掛け布団Hは降下する。同時に、図16(D)に矢印で示されるように、可撓性線材73は駆動ローラ3に巻付けられ、定荷重ばねユニット71の金属ばねは、ドラムから引き出される。このような作動の間、定荷重ばねユニット71は一定の荷重Pを可撓性線材73に与え続けるので、掛け布団Hの重量は荷重Pと相殺される。このため、意図せぬ掛け布団Hの急激な降下を防止することができる。
【0051】
駆動ローラ3の回転に伴って可動部材63は矢印N方向(図18)に移動し、反対側の検出子66に接触してリミットスイッチ65を作動させる。リミットスイッチ65が作動すると、制御ユニットU(図12)は駆動ローラ3の作動を停止する。従って、掛け布団Hの最降下位置(下限)も又、リミットスイッチ65及び可動部材63の位置関係によって設定される。
【実施例3】
【0052】
図20は、本発明の第3実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す平面図であり、図21及び図22は、図20に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。各図において、第1及び第2実施例の各構成要素又は構成部材と実質的に同じ構成要素又は構成部材には、同一の参照符号が付されている。
【0053】
本例の寝具昇降装置1は、第2実施例と同様、ベッドBの上方域に配設された昇降ユニット50を有する。昇降ユニット50は、第2実施例と同じく、駆動ローラ3をベッドBの上方域に懸架するための方形フレームを有するが、方形フレームの横架材51、52は梁部材13、14上に支持され、駆動ローラ3の軸線はベッドBの幅方向に配向される。本例の寝具昇降装置1は、可撓性線材7、8の弛み、緩み等を防止すべく、可撓性線材7、8に張力を付与する張力付与装置80を備える。
【0054】
図23は、図20〜図22に示す昇降ユニット50の構成を示す平面図、VI-VI線断面図、VII-VII線断面図及びVIII-VIII線断面図である。
【0055】
駆動ローラ3の外周面に巻回された可撓性線材7、8は、ベッドBの長手方向に延び、張力付与装置80の滑車100によって下方に転向して垂下する。可撓性線材7、8は、駆動ローラ3の巻き上げ方向Rの回転によって駆動ローラ3の外周面に巻き上げられ、可撓性線材7、8の先端部7a、8a(図21)は上昇する。前述の実施例と同様、定荷重付加装置70によって常に一定の荷重Pが駆動ローラ3に課せられるので、駆動ローラ3の負荷は軽減する。可撓性線材7、8は、駆動ローラ3の繰り出し方向の回転により、駆動ローラ3から繰り出され、可撓性線材7、8の先端部7a、8a(図21)は降下する。
【0056】
図24は、張力付与装置80の構成を示す平面図、正面図、右側面図及び左側面図であり、図25は、張力付与装置80の作動形態を示す正面図である。
【0057】
張力付与装置80は、横架材53、54の上面に固定された支持具81と、支持具81の支軸91によって回動可能に支承された中空の揺動部材90とを有する。揺動部材90は、掛け布団Hの荷重が作用する可撓性線材7、8の鉛直部分を上方に引っ張って可撓性線材7、8の鉛直部分に張力を付与する。
【0058】
スプリング係止具82が支持具81の頂部から突出し、コイルスプリング85の一端が係止具82に係止される。スプリング85の他端は、揺動部材90の上面に突設されたスプリング係止具86に係留される。スプリング85は、揺動部材90を上方に付勢し、可撓性線材7、8の鉛直部分に作用する掛け布団Hの荷重の軽減時に揺動部材90を上方に回動させる付勢手段を構成する。
【0059】
揺動部材90の上昇を規制するねじ型又はボルト型ストッパ83が係止具82に固定される。ストッパ83は、係合具82の下面から斜め下方に突出する。揺動部材90は、ストッパ83の下端部と対向する位置にストッパ衝合板84を有する。衝合板84は、ゴム、エラストマー等のような弾力変形可能な緩衝材からなる。揺動部材90の降下を規制する板状ストッパ88が支持具81の下端部に突設される。ストッパ88の上面には、揺動部材90の下面と対向する揺動部材衝合板87が固定される。衝合板87も又、弾力変形可能なゴム、エラストマー等のような弾力変形可能な緩衝材からなる。
【0060】
揺動部材90は、先端部下面及び先端面に開口部93、98を有する矩形断面の金属管からなる。滑車100の水平支軸92が揺動部材90の先端部に固定される。可撓性線材7、8は、揺動部材90の基端開口95(又は開口部98)から揺動部材90の中空部に延入し、滑車100の周溝を介して下方に転向し、開口部93から垂下する。
【0061】
図25(A)には、揺動部材90の中立位置(水平位置)が示されている。可撓性線材7、8が駆動ローラ3の回転によって駆動ローラ3に巻き掛けられると、可撓性線材7、8は掛け布団Hを上昇させる。図25(B)に破線矢印Eで示すように、掛け布団Hの荷重による張力が可撓性線材7、8に作用する。可撓性線材7、8の張力は揺動部材90を下方に回動させるように働く。揺動部材90はスプリング85の伸長によって下方に回動し、衝合板87に衝合して静止する。この状態が図25(B)に示されている。
【0062】
可撓性線材7、8が駆動ローラ3の回転によって駆動ローラ3から繰り出されると、可撓性線材7、8は掛け布団Hを降下させる。掛け布団Hの荷重による張力が可撓性線材7、8に作用する間は、可撓性線材7、8は緊張状態を維持するが、掛け布団HがベッドBまで降下して掛け布団Hの荷重が軽減すると、可撓性線材7、8の張力は急激に消失する。掛け布団Hの最降下位置は、回転量検出装置60(図23(A)及び図23(D))によって制御されるものの、可撓性線材7、8の急激な張力消失により、可撓性線材7、8の緩み又は弛みが発生する傾向がある。可撓性線材7、8の緩み又は弛みが発生すると、可撓性線材7、8が部材間の隙間等にからまるような事態が生じるので、これは望ましくない。しかしながら、本実施例によれば、可撓性線材7、8の張力から解放された揺動部材90が図25(C)に示すようにスプリング85の弾性復元力によって上方に回動し、揺動部材90から垂下する可撓性線材7、8の部分を上方に引っ張るので、可撓性線材7、8の緩み又は弛みは解消する。
【実施例4】
【0063】
図26は、本発明の第4実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す平面図であり、図27及び図28は、図26に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。また、図29は、図26〜図28に示す昇降ユニット50の構成を示す平面図、IX-IX線断面図、X-X線断面図及びXI-XI線断面図である。各図において、前述の各実施例の各構成要素又は構成部材と実質的に同じ構成要素又は構成部材には、同一の参照符号が付されている。
【0064】
本例の寝具昇降装置1は、前述の各実施例と同様、ベッドBの上方域に配設された昇降ユニット50を有する。昇降ユニット50は、第3実施例と同じく、駆動ローラ3を寝具の幅方向に懸架する方形フレームを有するが、方形フレームは、ブラケットJ(破線で示す)を介して建築物の梁、屋根材又は天井材等の建築構造部材Gに支持される。また、定荷重付加装置70として、オイルダンパー等を組み込んだボックス型の定荷重ばねユニットが横架材54、59上に設置され、定荷重ばねユニットの可撓性線材73が駆動ローラ3に巻き掛けられる。本実施例においては、横架材53、54間の距離は比較的小寸法に設定されており、頭部側の揺動部材90と足元側の揺動部材90とは互いに逆方向に差し向けられている。本例の寝具昇降装置1の他の構成は、前述の第3実施例の構成と実質的に同一である。
【実施例5】
【0065】
図30は、本発明の第5実施例に係る寝具昇降装置1の全体構成を示す平面図であり、図31及び図32は、図30に示す寝具昇降装置1の全体構成を示す断面図である。また、図33は、図31〜図32に示す昇降ユニットの構成を示す平面図、XII-XII線断面図及びXIII-XIII線断面図である。各図において、前述の各実施例の各構成要素又は構成部材と実質的に同じ構成要素又は構成部材には、同一の参照符号が付されている。
【0066】
本例の寝具昇降装置1は、第4実施例と同じく、ブラケットJ(破線で示す)を介して建築物の梁、屋根材又は天井材等の建築構造部材Gに支持される。昇降ユニット50の構成は、第3実施例の昇降ユニットと類似する。しかしながら、昇降ユニット50は回転量検出装置を備えておらず、張力付与装置80の作動によって掛け布団Hの最降下位置及び最上昇位置を検出する構成を有する。
【0067】
図34は、張力付与装置80の構成を示す平面図、正面図、右側面図であり、図35及び図36は、張力付与装置80の作動形態を示す正面図である。図37は、昇降装置50の作動形態を示す断面図である。
【0068】
図34に示すように、張力付与装置80は、揺動部材90の側面から水平に突出する作動杆96を有する。金属製の板ばね110が、作動杆96の下側に配置される。板ばね110の基端部は、昇降ユニット50のフレームに支持された支持ブラケット57に固定される。板ばね110は作動杆96と直交する方向に延びる。
【0069】
リミットスイッチ111の検出子112が板ばね110の自由端の下側に配設される。リミットスイッチ111は、支持ブラケット(図示せず)を介して昇降ユニット50のフレームに支持される。図34に示す揺動部材90の中立位置(水平位置)では、検出子112は板ばね110の下面と僅かに離間している。リミットスイッチ111は、揺動部材90の上方の回動によって掛け布団Hの最降下位置を検出する降下位置検出手段を構成する。
【0070】
可撓性線材7、8は、揺動部材90の先端開口98を通って揺動部材90内に延び、滑車100によって下方に転向される。可撓性線材7、8が貫通する短管120が滑車100の下方に配置される。短管120は平板121に固定され、起立板122が平板121の先端縁から上方に延びる。平板121は板ばね123の自由端に支持される。板ばね123の基端部は、昇降ユニット50のフレームに支持された支持ブラケット58に固定される。短管120、平板121、起立板122及び板ばね123は、可撓性線材7、8の先端部7a、8aに設けられた中間枠30と係合して弾力的に変形又は変位する上昇位置検出具を構成する。
【0071】
起立板122の近傍には、リミットスイッチ125の検出子126が配置される。リミットスイッチ125は、支持ブラケット59を介して昇降ユニット50のフレームに支持される。図34に示す揺動部材90の中立位置(水平位置)では、起立板122は検出子126に接触し、検出子126をON位置に変位させている。リミットスイッチ125は、上昇位置検出具120〜123の変形又は変位を検出する上昇位置検出手段を構成する。
【0072】
リミットスイッチ111、125は、前述の実施例と同様、制御信号線を介して制御ユニットに接続され、制御ユニットは、AC電源、駆動ローラ3の駆動部及び手元スイッチに接続される。制御ユニットは、リミットスイッチ111、125の作動によって昇降ユニットの昇降動作を検出し、駆動ローラ3の作動を制御する。図35には、リミットスイッチ111の作動によって掛け布団Hの最降下位置(下限)を検出する方法が示されており、図36には、リミットスイッチ125の作動によって掛け布団Hの最上昇位置(上限)を検出する方法が示されている。
【0073】
図35(A)及び図37(A)に示す揺動部材90の中立位置(水平位置)では、検出子112は板ばね110の下面と僅かに離間している。掛け布団Hの降下時には、揺動部材90は、図35(B)及び図37(B)に示す如く掛け布団Hの鉛直荷重で下方に回動する。作動杆96は板ばね110を下方に押圧し、板ばね110の下面は、検出子112を下方に変位させる。このため、リミットスイッチ111は、掛け布団Hの降下時にON位置に変位する。
【0074】
掛け布団Hが上昇位置からベッドBまで降下すると、掛け布団Hの鉛直荷重が軽減し、可撓性線材7、8の張力は急激に消失する。可撓性線材7、8の張力から解放された揺動部材90は、図35(C)及び図37(C)に示す如くスプリング85の弾性復元力によって上方に回動するので、板ばね110に対する作動杆96の圧力も解放され、板ばね110も又、その弾性復元力によって検出子112から離間する。この結果、リミットスイッチ111はOFF位置に変位する。制御ユニットは、リミットスイッチ111の信号の変化(OFF作動)によって掛け布団Hの最降下位置(下限)到達を検出する。
【0075】
掛け布団HがベッドBから上昇するとき、掛け布団Hが最上昇位置まで到達すると、図36(B)に示すように中間枠30の線型部材31が短管120に衝合する。線型部材31の上昇圧力によって板ばね123は変形する。この結果、起立板122は検出子124から離間し、検出子124はOFF位置に変位する。制御ユニットは、リミットスイッチ125の信号の変化(OFF作動)によって掛け布団Hの最上昇位置(上限)到達を検出する。
【0076】
このように張力付与装置80の構造及び作動を利用した本実施例の昇降位置検出手段によれば、ウエイト部材及びリミットスイッチを用いた前述の昇降位置検出手段や、螺旋溝及び従動ピン及びリミットスイッチを用いた前述の昇降位置検出手段のようにリミットスイッチの位置及び感度の微妙な調節又は調整や、可撓性線材の微妙な長さ調節等を要しないので、実務的に極めて有利である。なお、本実施例の他の構成は、本例の寝具昇降装置1の他の構成は、前述の第3実施例又は第4実施例の構成と実質的に同じであるので、重複する説明は、省略する。
【0077】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
【0078】
例えば、第1実施例において、電動モータ、減速機及び電磁ブレーキを内蔵した一対の駆動ローラを架台に並列配置することも可能であり、或いは、ブレーキ付き電動モータと、左右のローラを駆動させる動力伝達機構とを架台上に設置することも可能である。
【0079】
また、架台の下部にキャスタ等の可搬手段を設け、或いは、建築物の構造体から架台又はフレーム自体を移動可能に懸吊しても良い。
【0080】
更に、昇降位置検出手段として、非接触型位置検出器や、エンコーダ等を採用しても良く、また、手元スイッチとして無線リモコン式操作器等を採用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、掛け布団、上掛け毛布等の上掛け寝具を昇降させる寝具昇降装置に適用される。本発明の寝具昇降装置によれば、ベッド上のユーザ本人に作用する上掛け寝具の荷重を軽減し又は解消するとともに、ベッド上の本人や、医師、看護師等の姿勢、動作、移動又は行動範囲を制約せず又は妨げないような状態又は位置に上掛け寝具を上昇させることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 寝具昇降装置
2 昇降駆動部
3 駆動ローラ
4 遊動ローラ
7、8、9 可撓性線材
10 架台
20 ウエイト
30 中間枠
50 昇降ユニット
60 回転量検出装置
70 定荷重付加装置
80 張力付与装置
90 揺動部材
100 滑車
B ベッド
H 掛け布団(上掛け寝具)
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝具昇降装置に関するものであり、より詳細には、掛け布団、上掛け毛布等の上掛け寝具を昇降させる寝具昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、布団は、綿、羽毛、羊毛等の詰め物を布地(側地又は側生地)の中に詰めた状態のものであり、詰め物の種類や、布団の乾燥程度に応じて、布団の重量はかなり相違する。多くの健康な若年層又は中年層の人は、就寝時に掛け布団の重さを意識したり、それを問題視することはないであろう。しかし、多くの傷病者、手術後の患者、障害者、高齢者等は、掛け布団の重量が負担又は抵抗となって睡眠や自由な姿勢、寝返り等を妨げられたり、掛け布団の重量による傷又は患部の圧迫等を意識して不自由な姿勢を強いられるといったことを経験する。
【0003】
傷病者、高齢者等の比較的非力な人が掛け布団の重量を負担に感じないようにすることを意図した従来の技術として、例えば、特開平10−57427号公報、特開2002−177342号公報には、掛け布団を機械的に跳ね上げ又は人に被せる自動掛け布団装置が記載されている。この装置は、ベッドの側部に配置された支柱と、支柱の上部に取付けられた格子状の布団支持具とから構成され、布団支持具は、支柱頂部の枢動軸線を中心に枢動し、掛け布団をベッド上の人に被せ又は掛け布団を跳ね上げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−57427号公報
【特許文献2】特開2002−177342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成の自動掛け布団装置は、跳ね上げた掛け布団をベッドの片側縁部に傾斜状態に保持するので、跳ね上げられた掛け布団は、ベッドの片側縁部を占有し、人の姿勢、動作、移動及び行動範囲等をかなり制約し又は妨げる。また、医師、看護師又は介護者等は、診察、処置、介護等の際、自動掛け布団装置の反対側からのみベッド上の患者等に接することができるにすぎない。
【0006】
また、上記構成の自動掛け布団装置は、掛け布団を被り又は跳ね上げる人為動作を模擬したにすぎず、ベッド上の人体に作用する掛け布団の重量を軽減した状態でベッド上に掛け布団を保持することはできない。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ベッド上のユーザ本人に作用する上掛け寝具の荷重を軽減し又は解消するとともに、ベッド上の本人や、医師、看護師等の姿勢、動作、移動又は行動範囲が制約され又は妨げられることがないような状態又は位置に上掛け寝具を上昇させることができる寝具昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明は、掛け布団、上掛け毛布等の上掛け寝具を昇降させる寝具昇降装置において、
上掛け寝具の少なくとも四隅に係留し且つ該寝具を懸吊する可撓性線材と、各線材を巻き上げ又は繰り出す巻き上げ装置と、該巻き上げ装置を寝具の上方域に支持する支持手段とを有し、
前記巻き上げ装置は、前記可撓性線材が巻装され、実質的に水平な回転軸線を中心に回転する回転駆動ローラと、前記上掛け寝具の重量が前記回転駆動ローラに与える負荷を打ち消すように、前記寝具の重量に相応する荷重を前記回転駆動ローラに与えて該回転駆動ローラの負荷を軽減する荷重付加装置とを有することを特徴とする寝具昇降装置を提供する。
【0009】
本発明の上記構成によれば、ベッド又は敷布団の上の上掛け寝具は、回転駆動ローラによる可撓性線材の巻き上げ又は繰り出し動作に従って全体的に昇降する。上掛け寝具の上昇により、ベッド又は敷布団上の本人に作用する上掛け寝具の荷重(重量)は軽減し、或いは、解消する。上掛け寝具の上昇により、ベッド又は敷布団の全周が開放するので、ベッド上の本人や、医師、看護師等の姿勢、動作、移動又は行動範囲は制限されず又は阻害されない。また、寝具昇降装置は、上掛け寝具の重量が回転駆動ローラに与える負荷を打ち消すように、寝具の重量に相応する荷重を回転駆動ローラに与えて回転駆動ローラの負荷を軽減する荷重付加装置を有するので、回転駆動ローラの負荷を軽減するとともに、意図せぬ急激な上掛け寝具の降下を防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の寝具昇降装置によれば、ベッド上のユーザ本人に作用する上掛け寝具の荷重を軽減し又は解消するとともに、ベッド上の本人や、医師、看護師等の姿勢、動作、移動又は行動範囲が制約され又は妨げられることがないような状態又は位置に上掛け寝具を上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】寝具昇降装置の平面図である。
【図3】寝具昇降装置の断面図であり、上掛け寝具を最も降下させた状態が示されている。
【図4】寝具昇降装置の断面図であり、上掛け寝具を若干上昇させた状態が示されている。
【図5】寝具昇降装置の断面図であり、図4と同じく、上掛け寝具を若干上昇させた状態が示されている。
【図6】寝具昇降装置の断面図であり、上掛け寝具を更に上昇させた状態が示されている。
【図7】寝具昇降装置の断面図であり、上掛け寝具を最も上昇させた状態が示されている。
【図8】寝具昇降装置の断面図であり、縁部を特殊加工した上掛け寝具を寝具昇降装置で懸吊した状態が示されている。
【図9】寝具昇降装置の断面図であり、図8と同じく、縁部を特殊加工した上掛け寝具を寝具昇降装置で懸吊した状態が示されている。
【図10】寝具昇降装置の正面図であり、図8及び図9に示す上掛け寝具を上昇させた状態が示されている。
【図11】寝具昇降装置の正面図であり、図8及び図9に示す上掛け寝具を最も上昇させた状態が示されている。
【図12】本発明の第2実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す平面図である。
【図13】図12に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図14】図12に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図15】図12〜図14に示す昇降ユニットの構成を示す平面図である。
【図16】図15のI−I線、II−II線及びIII-III線における昇降ユニットの断面図である。
【図17】回転量検出装置の構成を示す平面図、IV-IV線断面図及びV−V線断面図である。
【図18】駆動ローラの回転時に生じる可動部材の移動の形態を例示する断面図である。
【図19】定荷重ばねユニット、駆動ローラ及び可撓性線材の各種配置を示す断面図である。
【図20】本発明の第3実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す平面図である。
【図21】図20に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図22】図20に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図23】図20〜図22に示す昇降ユニットの構成を示す平面図、VI-VI線断面図、VII-VII線断面図及びVIII-VIII線断面図である。
【図24】昇降ユニットに配設される張力付与装置の構成を示す平面図、正面図、右側面図及び左側面図である。
【図25】図24に示す張力付与装置の作動形態を示す正面図である。
【図26】本発明の第4実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す平面図である。
【図27】図26に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図28】図26に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図29】図26〜図28に示す昇降ユニットの構成を示す平面図、IX-IX線断面図、X-X線断面図及びXI-XI線断面図である。
【図30】本発明の第5実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す平面図である。
【図31】図30に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図32】図30に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。
【図33】図31〜図32に示す昇降ユニットの構成を示す平面図、XII-XII線断面図及びXIII-XIII線断面図である。
【図34】昇降ユニットに配設される張力付与装置の構成を示す平面図、正面図、右側面図である。
【図35】図34に示す張力付与装置の作動形態を示す正面図である。
【図36】図34に示す張力付与装置の作動形態を示す正面図である。
【図37】昇降装置の作動形態を示す断面図である。
【図38】掛け布団の懸吊手段を概略的に示す斜視図、平面図及び部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態においては、次の構成が採用される。
(1)遊動ローラが駆動ローラと実質的に平行に並列配置される。上掛け寝具の片側部分を懸吊する可撓性線材は、遊動ローラの外周を経由して垂下する。変形例として、複数の駆動ローラを実質的に平行に並列配置し、各駆動ローラを連動させて各側の可撓性線材を同期制御し、これにより、上掛け寝具を昇降するようにしても良い。
(2)荷重付加装置は、上掛け寝具の重量に相応する重量のウエイト部材(20)と、先端部が該ウエイト部材に接続され且つ駆動ローラによって巻き上げられ又は繰り出される可撓性線材(9)とを有する。鉛直支柱は、方形又は円形断面を有する中空金属管からなり、ウエイト部材は、支柱内に収容され、支柱内の中空部において昇降動作する。
(3)寝具昇降装置は、ウエイト部材の最上端位置及び最下端位置を検出する昇降位置検出手段(22,23)と、検出されたウエイト部材の位置に従って回転駆動ローラの回転を規制する制御装置(U)とを有する。
(4)荷重付加装置(70)は、定荷重ばね(71)と、一端部が定荷重ばねの外端部に連結され且つ他端部が回転駆動ローラに巻き掛けられた荷重付加用の可撓性線材(73)とを有する。定荷重ばねによって実質的に一定の張力が荷重付加用の可撓性線材に与えられる。
(5)寝具昇降装置は、回転駆動ローラの外周面に形成された螺旋溝(62)と、螺旋溝に延入する従動ピン(64)を備えた可動部材(63)と、可動部材の位置を検出する位置検出手段(65)と、位置検出手段の検出結果に基づいて駆動ローラの回転を規制する制御装置(U)とを有する。
(6)張力付与装置(80)は、上掛け寝具の荷重が作用する可撓性線材の垂直部分を引っ張って可撓性線材の垂直部分に張力を付与する揺動部材(90)を有する。
(7)張力付与装置(80)は、揺動部材(90)を上方に付勢し、可撓性線材の垂直部分に作用する荷重の軽減時に揺動部材を上方に回動させる付勢手段(85)と、揺動部材の上方の回動によって寝具の最降下位置を検出する降下位置検出手段(111)とを有する。
(8)張力付与装置(80)は、可撓性線材の垂直部分の下端部(7a,8a)に設けられた係合手段と係合して弾力的に変形又は変位する上昇位置検出具(120-123)と、該検出具の変形又は変位を検出する上昇位置検出手段(125)とを有する。
(9)駆動ローラは、ローラ内部に電動モータ、減速機及び電磁ブレーキを内蔵した構造を有する。
(10)制御装置には、遠隔操作式の手動操作スイッチが接続される。
(11)支持手段として、床面に支持された支柱と、支柱に支持された横架材との組立体からなる架台、或いは、建築物の骨組、スラブ、梁、小屋組、天井構造体等の建築構造材に支持された横架材、枠体、枠組、懸吊部材又はブラケット等の支持部材を好適に使用し得る。
【実施例1】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【0014】
図1、図2、図3及び図4は、本発明の第1実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す斜視図、平面図及び断面図である。
【0015】
寝具昇降装置1の昇降駆動部2が、ベッドBの上方域に配設される。昇降駆動部2は、水平且つ並列に配置された駆動ローラ3及び遊動ローラ4を有する。駆動ローラ3及び遊動ローラ4は、寝具の長手方向に平行に延びる。駆動ローラ3及び遊動ローラ4の端部は、横架材11、12によって支持される。横架材11、12の端部は、左右の梁部材13、14によって支持される。梁部材13、14は、床Fに支持された前後左右の鉛直支柱15、16、17、18によって支持される。本例において、横架材11、12、梁部材13、14及び鉛直支柱15、16、17、18は、適当な塗装仕上げ等を施した角形鋼管からなり、上掛け寝具Hの荷重を支持する架台10を構成する。
【0016】
駆動ローラ3は、ローラ内部に電動モータ、減速機及び電磁ブレーキを内蔵した構造を有する。駆動ローラ3として、ローラーコンベヤのローラを構成する駆動ローラ、例えば、機械部品等の製造工場において製品又は中間製品の搬送ライン(ローラーコンベヤ)に使用される駆動ローラを好ましく使用し得る。比較的容易に市場で入手可能な駆動ローラとして、例えば、製品名「パワーモーラ」(伊東電機株式会社製)、製品名「パルスモータ」(株式会社協和製作所製)等の商品が挙げられる。駆動ローラ3の両端部から突出する支軸部5が、横架材11、12に固定され、駆動ローラ3は、横架材11、12の間に懸架される。
【0017】
駆動ローラ3には、可撓性線材(索条)7、8、9が巻装される。可撓性線材7、8、9として、例えば、繊維製又は合成樹脂製の紐、組紐、バンド等を好ましく使用し得る。可撓性線材7の基端部は、駆動ローラ3の外周面に固定される。可撓性線材7は、駆動ローラ3の外周面に巻回され、その自由端は、駆動ローラ3の外周面から垂下する。可撓性線材7は、図3に示す駆動ローラ3の時計廻り方向(巻き上げ方向)Rの回転により、駆動ローラ3の外周面に巻き付けられ、可撓性線材7の先端部7aは、上昇する。可撓性線材7は、駆動ローラ3の反時計廻り方向(繰り出し方向)の回転により、駆動ローラ3から下方に繰り出される。
【0018】
可撓性線材8の基端部も又、駆動ローラ3の外周面に固定される。可撓性線材8は、可撓性線材7と同方向に駆動ローラ3の外周面に巻回され、駆動ローラ3の外周面から遊動ローラ4に向かって延び、遊動ローラ4の外周面を経由して遊動ローラ4の外周面から垂下する。遊動ローラ4の両端部から突出する支軸部6が、横架材11、12に固定され、遊動ローラ4は、横架材11、12の間に懸架される。可撓性線材8も又、図3に示す駆動ローラ3の時計廻り方向(巻き上げ方向)Rの回転により、駆動ローラ3の外周面に巻き付けられ、可撓性線材8の先端部8aは上昇する。可撓性線材8は、駆動ローラ3の反時計廻り方向(繰り出し方向)の回転により、遊動ローラ4から下方に降下する。
【0019】
可撓性線材9の基端部も又、駆動ローラ3の外周面に固定されるが、可撓性線材9は、可撓性線材7、8と逆方向に駆動ローラ3の外周面に巻回される。可撓性線材9の巻回位置は、支柱15の位置と対応しており、可撓性線材9は、梁部材13又は支柱15の側壁に形成された縦方向スリット19を貫通する。可撓性線材9は、支柱15の内部に配置された案内部材21の外周を経由し、支柱15の中空部に垂下する。可撓性線材9の先端部(下端部)はウエイト20に接続される。ウエイト20は、掛け布団Hと同等の重量を有する直方体輪郭の金属製錘からなり、支柱15の角形断面と相応する横断面を有する。
【0020】
上下一対のリミットスイッチ22、23が、支柱15の所定位置に取付けられる。リミットスイッチ22、23は、ウエイト20の上端位置及び下端位置に配置される。リミットスイッチ22、23は、制御信号線S1、S2を介して制御ユニットUに接続される。制御ユニットUは、AC電源に接続されるとともに、給電線・制御信号線Tを介して駆動ローラ3の駆動部に接続される。制御ユニットUは又、制御信号線Vを介して手動操作式の手元スイッチ25に接続される。
【0021】
可撓性線材7、8の自由端は、概ね水平な格子状の中間枠30を介して掛け布団Hに係留される。中間枠30は、ベッドB及び敷布団Kの長手方向及び幅方向に縦横に配列した線型部材31、32から構成される。線型部材31、32は、天然木材、合成木材、木質系材料、合成樹脂、エラストマー又はグラスファイバ等の素材で製造された断面直径1〜数センチ程度のロッド状又は棒状部材からなる。線型部材31、32は、交点において緊締具等で一体的に連結される。可撓性線材7、8の先端部7a、8aは、リング部材等の係留具33によって部材31又は32に係留される。上掛け布団Hには、布製又は繊維製の紐状又はバンド等の係留部材35が縫製等で連結される。係留部材35は、可撓性線材34によって部材31又は32から懸吊される。
【0022】
図3には、上掛け布団Hを最も降下した状態が示されている。ウエイト20は、上側のリミットスイッチ22の感知位置に位置し、制御ユニットUは、これを検出して駆動ローラ3を停止させている。手元スイッチ25を操作して、駆動ローラ3を作動させると、駆動ローラ3は矢印R方向に回転する。可撓性線材7、8は、駆動ローラ3に巻き掛けられ、中間枠30及び掛け布団Hは上昇し、ウエイト20は降下する。この状態が図4及び図5に示されている。
【0023】
図4は、上掛け寝具を若干上昇させた状態を示す寝具昇降装置の側面図であり、図5は、図4に相応する掛け布団Hの位置を示す正面図である。図4及び図5に示す如く、ベットB上の人体に作用する掛け布団Hの荷重は大幅に低減し、掛け布団Hは、人体を圧迫しない。ベッドB上の人は、極端に非力であっても、掛け布団Hの重量から解放され、自由に寝返り等をすることができる。
【0024】
図6及び図7には、掛け布団Hを更に上昇させた状態が示されている。
【0025】
図6に示すように掛け布団Hを大きく上昇させると、掛け布団Hの下側に大きな空間が形成される。ベットB上の人は、ベッドの左右に自由に移動又は行動できる。医師、看護師、介護者等は、ベッドBの両側から比較的自由にベッドB上の人に接することができる。
【0026】
図7に示すように掛け布団Hを最高位置に上昇させると、この空間は更に拡大する。ウエイト20は、最降下位置に降下する。ウエイト20は、下側のリミットスイッチ23の感知位置に降下し、制御ユニットUは、これを検出して駆動ローラ3を停止させる。
【0027】
なお、制御ユニットUは、手元スイッチ25のマニュアル操作により、可動範囲内の任意位置において駆動ローラ3を作動又は停止させる。従って、ユーザは、最高位置(図7)及び最低位置(図2)の間の任意の位置に掛け布団Hを静止させることができる。
【0028】
図8及び図9は、縁部Haが垂れ下がるように特殊加工した掛け布団Hを寝具昇降装置で懸吊した状態を示す寝具昇降装置1の断面図である。図10及び図11には、このような掛け布団Hを寝具昇降装置1で上昇させた状態が示されている。
【0029】
図8及び図9に示すように、掛け布団Hは、上昇時に掛け布団Hの周囲を閉鎖するように垂れ下がる縁部Haを備える。縁部Haは、掛け布団Hの下側の空間に滞留した暖気が周辺に逃げるのを防止する。従って、掛け布団Hの下側には、保温された空間が形成される。図10及び図11に示すように、掛け布団Hを昇降させると、掛け布団Hは、縁部Haをその周囲から垂下させた形態で上昇する。
【0030】
図38は、このような掛け布団Hの懸吊に適した掛け布団懸吊手段を概略的に示す斜視図、平面図及び部分断面図である。
【0031】
縁部Haを有する掛け布団Hの好ましい懸吊手段が図38(A)及び図38(B)に示されている。格子状の中間枠30は、左右の各線形部材31の両端部分で可撓性線材7、8によって懸吊される。掛け布団Hは、左右の各線形部材31に沿って3箇所(合計6箇所)で懸吊されるとともに、前後の各線形部材32の中央部1箇所(合計2箇所)で懸吊される。
【0032】
図38(C)には、掛け布団Hを貫通するハトメ金具(筒状リベット)36が示されている。ハトメ金具36は、前述の係留部材35を構成する。ハトメ金具36は、天然又は合成皮革等の緩衝材37を介して掛け布団Hを堅固に挟圧する。可撓性線材34は、ハトメ金具36の貫通孔38を貫通する。可撓性線材34の下端部は、結び目、結束、節、抜止め具等の抜止め手段(図示せず)を備える。
【実施例2】
【0033】
図12、図13及び図14は、本発明の第2実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す平面図及び断面図である。図15は、図12〜図14に示す昇降ユニットの構成を示す平面図であり、図16(A)〜図16(C)は、図15のI−I線、II−II線及びIII-III線における断面図である。各図において、第1実施例の各構成要素又は構成部材と実質的に同じ構成要素又は構成部材には、同一の参照符号が付されている。
【0034】
本例の寝具昇降装置1は、ベッドBの上方域に配設された昇降ユニット50を有する。昇降ユニット50は、駆動ローラ3をベッドBの上方域に懸架するための方形フレームを有する。方形フレームは、梁部材13、14に支持された横架材51、52と、横架材51、52に支持された横架材53、54とから構成される。横架材51、52は、梁部材13、14間に架設され、ベッドBの幅方向に延びる。横架材53、54は、横架材51、52間に懸架され、ベッドBの長手方向に延びる。横架材51〜54は、例えば、適当な塗装仕上げ等を施した角形鋼管、型鋼又は金属成形材等からなる。
【0035】
昇降ユニット50は、駆動ローラ3の回転量を検出する回転量検出装置60と、一定の荷重を駆動ローラ3に付加する定荷重付加装置70と、横架材54に取付けられた一対の滑車56とを有する。
【0036】
第1実施例と同様、可撓性線材7、8が駆動ローラ3に巻き掛けられる。可撓性線材7は、図16(B)及び図13に示すように駆動ローラ3の外周面に巻回され、駆動ローラ3の外周面から垂下する。可撓性線材7は、駆動ローラ3の巻き上げ方向Rの回転によって駆動ローラ3の外周面に巻き付けられ、可撓性線材7の先端部7aは上昇する。可撓性線材7は、駆動ローラ3の繰り出し方向の回転により、駆動ローラ3から繰り出され、可撓性線材7の先端部7aは降下する。可撓性線材8は、図16(C)に示すように可撓性線材7と同方向に駆動ローラ3の外周面に巻回される。可撓性線材8は、駆動ローラ3の外周面から滑車56に向かって延び、滑車56の外周面によって下方に転向し、滑車56から垂下する。図16(C)及び図13に示すように、可撓性線材8は、駆動ローラ3の巻き上げ方向Rの回転により、駆動ローラ3の外周面に巻き付けられ、可撓性線材8の先端部8aは上昇する。可撓性線材8は、駆動ローラ3の繰り出し方向の回転により、駆動ローラ3から繰り出され、可撓性線材8の先端部8aは降下する。
【0037】
図17は、回転量検出装置60の構成を示す平面図、IV-IV線断面図及びV−V線断面図である。図17(A)に示すように、回転量検出装置60は、駆動ローラ4の外周面に形成された螺旋形の突条61と、突条61に係合する円形断面の従動ピン64と、従動ピン64を担持する可動部材63と、可動部材63を移動可能に支持するガイド部材67と、ガイド部材67に支持された左右一対のリミットスイッチ65とから構成される。図15に示す如く、ガイド部材67の一端は横架材52に連結され、ガイド部材67の他端はブラケット69を介して横架材53に連結される。図17に示すように、ガイド部材67は駆動ローラ3と平行に延びる角形断面の金属管からなる。可動部材63は、ガイド部材67の軸線方向に移動可能にガイド部材67に支持される。突条61は、駆動ローラ3の外周面に螺旋形に巻回された方形断面の金属線材によって形成される。方形断面の螺旋形カム溝62が突条61によって駆動ローラ3の外周に形成される。従動ピン64は、可動部材63から一体的且つ水平に突出し、カム溝62内に延入する。
【0038】
突条61及び従動ピン64は、駆動ローラ4の回転に相応して駆動ローラ3の軸線方向に相対変位し、可動部材63は、突条61及び従動ピン64の相対変位に相応して矢印M又は矢印N(図17(A))の方向に移動する。左右のリミットスイッチ65は、可動部材63に接触可能な検出子66を夫々有する。図12に示すように、各リミットスイッチ65は、制御信号線S3、S4を介して制御ユニットUに接続される。制御ユニットUは、第1実施例と同じく、AC電源、駆動ローラ3の駆動部及び手元スイッチ25に接続される。
【0039】
図18(A)及び図18(B)は、駆動ローラ3の回転時に生じる可動部材63の移動形態を例示する断面図である。図18(A)に示すように駆動ローラ3が矢印R方向(巻き上げ方向)に回転すると、従動ピン64はカム溝62の回転に従動して矢印M方向に変位し、可動部材63は矢印M方向に移動する。図18(B)に示すように可動部材63が検出子66に接触すると、リミットスイッチ65が作動し、制御ユニットU(図12)は駆動ローラ3の作動を停止する。駆動ローラ3が矢印Rと逆の方向(繰り出し方向)に回転すると、従動ピン64はカム溝62の回転に従動して矢印N方向に変位し、可動部材63は矢印N方向に移動する。可動部材63が反対側のリミットスイッチ65の検出子66に接触すると、リミットスイッチ65が作動し、制御ユニットU(図12)は、駆動ローラ3の作動を停止する。
【0040】
定荷重付加装置70の構成が図16(A)に示されている。定荷重付加装置70は、横架材54に取付けられた定荷重ばねユニット71と、定荷重ばねユニット71の金属ばね外端部に連結された動滑車72と、駆動ローラ3及び動滑車72に掛けられた可撓性線材73と、ブラケット(図示せず)によって横架材53に取付けられた定滑車74とから構成される。可撓性線材73は、駆動ローラ3の回転によって駆動ローラ3に巻回され又は駆動ローラ3から繰り出される。
【0041】
図16(A)に矢印で示す如く可撓性線材73が駆動ローラ3に巻き付けられた状態では、定荷重ばねユニット71は、ドラムから金属ばねを繰り出した状態で静止している。定荷重ばねユニット71は、金属ばねの引き出し量(ストローク)の長短に関係なく常に一定の弾性復元力(弾発力)を発生させるので、駆動ローラ3には、常に一定の荷重Pが作用する。駆動ローラ3には、掛け布団Hの重量が可撓性線材7、8を介して作用し、掛け布団Hの荷重は、荷重Pと反対方向のトルクを駆動ローラ3に与える。荷重Pと掛け布団Hの荷重は互いに打ち消し合う。
【0042】
図16(A)に示すように、可撓性線材73は、駆動ローラ3から動滑車72に延び、動滑車72によって転向して定滑車74に延び、定滑車74によって更に転向して動滑車72の緊締部75に緊締される。定荷重ばねユニット71の弾性復元力は、可撓性線材73の張力として常に滑車72、74及び駆動ローラ3に作用する。可撓性線材73は、掛け布団Hの上下動に相当するストロークで変位するが、可撓性線材73は、滑車72、74を経由して金属ばね外端部(緊締部75)に緊締されるので、金属ばね外端部(緊締部75)の変位量は可撓性線材73の変位量よりも遥かに小さい。従って、定荷重ばねユニット71のばねとして、許容ストロークが小さい定荷重ばねを使用することができる。
【0043】
図19は、定荷重ばねユニット71、駆動ローラ3及び可撓性線材73の各種配置を例示する断面図である。
【0044】
図19(A)に示す定荷重付加装置70は、可撓性線材73の先端部を金属ばね外端部76に直に接続した構成を有する。この構成では、可撓性線材73の変位量と、定荷重ばねユニット71のストロークとは実質的に一致する。このため、定荷重ばねユニット71のばねとして、比較的長い許容ストロークを有する金属ばね(定荷重ばね)を採用しなければならない。
【0045】
図19(B)に示す定荷重付加装置70は、横架材54に取付けられた定荷重ばねユニット71と、定荷重ばねユニット71の金属ばね外端部76に連結された動滑車72と、横架材53に取付けられた連結具77とを有する。可撓性線材73は、動滑車72を経由して連結具77に緊締される。この構成では、可撓性線材73の変位量に対する金属ばね(定荷重ばね)のストロークは半減する。
【0046】
図19(C)に示す定荷重付加装置70は、図12〜図16に示す実施例と同じく、定荷重ばねユニット71、動滑車72及び定滑車74を有する。駆動ローラ3から動滑車72に延びる可撓性線材73は、動滑車72によって転向して定滑車74に延び、定滑車74によって更に転向して動滑車72の緊締部75に緊締される。図19(D)に示す定荷重付加装置70は、横架材54に取付けられた定滑車77を更に有し、緊締具75は、横架材53又は定滑車74に配設される。可撓性線材73は、駆動ローラ3から定滑車77に延び、定滑車77によって転向して定滑車74に延び、定滑車74によって転向して動滑車72に延び、動滑車74によって更に転向して緊締部75に緊締される。図19(E)に示す定荷重付加装置70は、横架材54のブラケット79に取付けられた定滑車78を更に有する。動滑車72によって転向した可撓性線材73は、定滑車78に延び、定滑車78によって更に転向して動滑車72の緊締部75に緊締される。図19(B)〜図19(E)に示された定荷重付加装置70によれば、駆動ローラ3の回転と関連して生じる金属ばね(定荷重ばね)のストロークを低減することができるので、許容ストロークが小さい定荷重ばねを定荷重ばねユニット71のばねとして使用することができる。
【0047】
図12〜図19を参照して本例の寝具昇降装置1の作動について説明する。
【0048】
図12〜図14には、上掛け布団Hを降下した状態が示されている。手元スイッチ25を操作して、駆動ローラ3を上昇側に作動させると、可撓性線材7、8は、図16(B)及び図16(C)に矢印Rで示すように駆動ローラ3に巻き掛けられ、中間枠30及び掛け布団Hは上昇する。同時に、図16(A)に矢印Rで示されるように、可撓性線材73は駆動ローラ3から繰り出され、定荷重ばねユニット71は、その弾性復元力(弾発力)によって金属ばねをドラムに巻き取る。このような作動の間、定荷重ばねユニット71は一定の荷重Pを可撓性線材73に与え続ける。掛け布団Hの重量は荷重Pと相殺されるので、駆動ローラ3の負荷は軽減する。
【0049】
図18に示すように、駆動ローラ3の回転に伴って可動部材63は矢印M方向に移動し、検出子66に接触してリミットスイッチ65を作動させる。リミットスイッチ65が作動すると、制御ユニットU(図12)は駆動ローラ3の作動を停止する。従って、掛け布団Hの最上昇位置(上限)は、リミットスイッチ65及び可動部材63の位置関係によって設定される。
【0050】
手元スイッチ25を操作して、駆動ローラ3を降下側に作動させると、可撓性線材7、8は駆動ローラ3から繰り出され、中間枠30及び掛け布団Hは降下する。同時に、図16(D)に矢印で示されるように、可撓性線材73は駆動ローラ3に巻付けられ、定荷重ばねユニット71の金属ばねは、ドラムから引き出される。このような作動の間、定荷重ばねユニット71は一定の荷重Pを可撓性線材73に与え続けるので、掛け布団Hの重量は荷重Pと相殺される。このため、意図せぬ掛け布団Hの急激な降下を防止することができる。
【0051】
駆動ローラ3の回転に伴って可動部材63は矢印N方向(図18)に移動し、反対側の検出子66に接触してリミットスイッチ65を作動させる。リミットスイッチ65が作動すると、制御ユニットU(図12)は駆動ローラ3の作動を停止する。従って、掛け布団Hの最降下位置(下限)も又、リミットスイッチ65及び可動部材63の位置関係によって設定される。
【実施例3】
【0052】
図20は、本発明の第3実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す平面図であり、図21及び図22は、図20に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。各図において、第1及び第2実施例の各構成要素又は構成部材と実質的に同じ構成要素又は構成部材には、同一の参照符号が付されている。
【0053】
本例の寝具昇降装置1は、第2実施例と同様、ベッドBの上方域に配設された昇降ユニット50を有する。昇降ユニット50は、第2実施例と同じく、駆動ローラ3をベッドBの上方域に懸架するための方形フレームを有するが、方形フレームの横架材51、52は梁部材13、14上に支持され、駆動ローラ3の軸線はベッドBの幅方向に配向される。本例の寝具昇降装置1は、可撓性線材7、8の弛み、緩み等を防止すべく、可撓性線材7、8に張力を付与する張力付与装置80を備える。
【0054】
図23は、図20〜図22に示す昇降ユニット50の構成を示す平面図、VI-VI線断面図、VII-VII線断面図及びVIII-VIII線断面図である。
【0055】
駆動ローラ3の外周面に巻回された可撓性線材7、8は、ベッドBの長手方向に延び、張力付与装置80の滑車100によって下方に転向して垂下する。可撓性線材7、8は、駆動ローラ3の巻き上げ方向Rの回転によって駆動ローラ3の外周面に巻き上げられ、可撓性線材7、8の先端部7a、8a(図21)は上昇する。前述の実施例と同様、定荷重付加装置70によって常に一定の荷重Pが駆動ローラ3に課せられるので、駆動ローラ3の負荷は軽減する。可撓性線材7、8は、駆動ローラ3の繰り出し方向の回転により、駆動ローラ3から繰り出され、可撓性線材7、8の先端部7a、8a(図21)は降下する。
【0056】
図24は、張力付与装置80の構成を示す平面図、正面図、右側面図及び左側面図であり、図25は、張力付与装置80の作動形態を示す正面図である。
【0057】
張力付与装置80は、横架材53、54の上面に固定された支持具81と、支持具81の支軸91によって回動可能に支承された中空の揺動部材90とを有する。揺動部材90は、掛け布団Hの荷重が作用する可撓性線材7、8の鉛直部分を上方に引っ張って可撓性線材7、8の鉛直部分に張力を付与する。
【0058】
スプリング係止具82が支持具81の頂部から突出し、コイルスプリング85の一端が係止具82に係止される。スプリング85の他端は、揺動部材90の上面に突設されたスプリング係止具86に係留される。スプリング85は、揺動部材90を上方に付勢し、可撓性線材7、8の鉛直部分に作用する掛け布団Hの荷重の軽減時に揺動部材90を上方に回動させる付勢手段を構成する。
【0059】
揺動部材90の上昇を規制するねじ型又はボルト型ストッパ83が係止具82に固定される。ストッパ83は、係合具82の下面から斜め下方に突出する。揺動部材90は、ストッパ83の下端部と対向する位置にストッパ衝合板84を有する。衝合板84は、ゴム、エラストマー等のような弾力変形可能な緩衝材からなる。揺動部材90の降下を規制する板状ストッパ88が支持具81の下端部に突設される。ストッパ88の上面には、揺動部材90の下面と対向する揺動部材衝合板87が固定される。衝合板87も又、弾力変形可能なゴム、エラストマー等のような弾力変形可能な緩衝材からなる。
【0060】
揺動部材90は、先端部下面及び先端面に開口部93、98を有する矩形断面の金属管からなる。滑車100の水平支軸92が揺動部材90の先端部に固定される。可撓性線材7、8は、揺動部材90の基端開口95(又は開口部98)から揺動部材90の中空部に延入し、滑車100の周溝を介して下方に転向し、開口部93から垂下する。
【0061】
図25(A)には、揺動部材90の中立位置(水平位置)が示されている。可撓性線材7、8が駆動ローラ3の回転によって駆動ローラ3に巻き掛けられると、可撓性線材7、8は掛け布団Hを上昇させる。図25(B)に破線矢印Eで示すように、掛け布団Hの荷重による張力が可撓性線材7、8に作用する。可撓性線材7、8の張力は揺動部材90を下方に回動させるように働く。揺動部材90はスプリング85の伸長によって下方に回動し、衝合板87に衝合して静止する。この状態が図25(B)に示されている。
【0062】
可撓性線材7、8が駆動ローラ3の回転によって駆動ローラ3から繰り出されると、可撓性線材7、8は掛け布団Hを降下させる。掛け布団Hの荷重による張力が可撓性線材7、8に作用する間は、可撓性線材7、8は緊張状態を維持するが、掛け布団HがベッドBまで降下して掛け布団Hの荷重が軽減すると、可撓性線材7、8の張力は急激に消失する。掛け布団Hの最降下位置は、回転量検出装置60(図23(A)及び図23(D))によって制御されるものの、可撓性線材7、8の急激な張力消失により、可撓性線材7、8の緩み又は弛みが発生する傾向がある。可撓性線材7、8の緩み又は弛みが発生すると、可撓性線材7、8が部材間の隙間等にからまるような事態が生じるので、これは望ましくない。しかしながら、本実施例によれば、可撓性線材7、8の張力から解放された揺動部材90が図25(C)に示すようにスプリング85の弾性復元力によって上方に回動し、揺動部材90から垂下する可撓性線材7、8の部分を上方に引っ張るので、可撓性線材7、8の緩み又は弛みは解消する。
【実施例4】
【0063】
図26は、本発明の第4実施例に係る寝具昇降装置の全体構成を示す平面図であり、図27及び図28は、図26に示す寝具昇降装置の全体構成を示す断面図である。また、図29は、図26〜図28に示す昇降ユニット50の構成を示す平面図、IX-IX線断面図、X-X線断面図及びXI-XI線断面図である。各図において、前述の各実施例の各構成要素又は構成部材と実質的に同じ構成要素又は構成部材には、同一の参照符号が付されている。
【0064】
本例の寝具昇降装置1は、前述の各実施例と同様、ベッドBの上方域に配設された昇降ユニット50を有する。昇降ユニット50は、第3実施例と同じく、駆動ローラ3を寝具の幅方向に懸架する方形フレームを有するが、方形フレームは、ブラケットJ(破線で示す)を介して建築物の梁、屋根材又は天井材等の建築構造部材Gに支持される。また、定荷重付加装置70として、オイルダンパー等を組み込んだボックス型の定荷重ばねユニットが横架材54、59上に設置され、定荷重ばねユニットの可撓性線材73が駆動ローラ3に巻き掛けられる。本実施例においては、横架材53、54間の距離は比較的小寸法に設定されており、頭部側の揺動部材90と足元側の揺動部材90とは互いに逆方向に差し向けられている。本例の寝具昇降装置1の他の構成は、前述の第3実施例の構成と実質的に同一である。
【実施例5】
【0065】
図30は、本発明の第5実施例に係る寝具昇降装置1の全体構成を示す平面図であり、図31及び図32は、図30に示す寝具昇降装置1の全体構成を示す断面図である。また、図33は、図31〜図32に示す昇降ユニットの構成を示す平面図、XII-XII線断面図及びXIII-XIII線断面図である。各図において、前述の各実施例の各構成要素又は構成部材と実質的に同じ構成要素又は構成部材には、同一の参照符号が付されている。
【0066】
本例の寝具昇降装置1は、第4実施例と同じく、ブラケットJ(破線で示す)を介して建築物の梁、屋根材又は天井材等の建築構造部材Gに支持される。昇降ユニット50の構成は、第3実施例の昇降ユニットと類似する。しかしながら、昇降ユニット50は回転量検出装置を備えておらず、張力付与装置80の作動によって掛け布団Hの最降下位置及び最上昇位置を検出する構成を有する。
【0067】
図34は、張力付与装置80の構成を示す平面図、正面図、右側面図であり、図35及び図36は、張力付与装置80の作動形態を示す正面図である。図37は、昇降装置50の作動形態を示す断面図である。
【0068】
図34に示すように、張力付与装置80は、揺動部材90の側面から水平に突出する作動杆96を有する。金属製の板ばね110が、作動杆96の下側に配置される。板ばね110の基端部は、昇降ユニット50のフレームに支持された支持ブラケット57に固定される。板ばね110は作動杆96と直交する方向に延びる。
【0069】
リミットスイッチ111の検出子112が板ばね110の自由端の下側に配設される。リミットスイッチ111は、支持ブラケット(図示せず)を介して昇降ユニット50のフレームに支持される。図34に示す揺動部材90の中立位置(水平位置)では、検出子112は板ばね110の下面と僅かに離間している。リミットスイッチ111は、揺動部材90の上方の回動によって掛け布団Hの最降下位置を検出する降下位置検出手段を構成する。
【0070】
可撓性線材7、8は、揺動部材90の先端開口98を通って揺動部材90内に延び、滑車100によって下方に転向される。可撓性線材7、8が貫通する短管120が滑車100の下方に配置される。短管120は平板121に固定され、起立板122が平板121の先端縁から上方に延びる。平板121は板ばね123の自由端に支持される。板ばね123の基端部は、昇降ユニット50のフレームに支持された支持ブラケット58に固定される。短管120、平板121、起立板122及び板ばね123は、可撓性線材7、8の先端部7a、8aに設けられた中間枠30と係合して弾力的に変形又は変位する上昇位置検出具を構成する。
【0071】
起立板122の近傍には、リミットスイッチ125の検出子126が配置される。リミットスイッチ125は、支持ブラケット59を介して昇降ユニット50のフレームに支持される。図34に示す揺動部材90の中立位置(水平位置)では、起立板122は検出子126に接触し、検出子126をON位置に変位させている。リミットスイッチ125は、上昇位置検出具120〜123の変形又は変位を検出する上昇位置検出手段を構成する。
【0072】
リミットスイッチ111、125は、前述の実施例と同様、制御信号線を介して制御ユニットに接続され、制御ユニットは、AC電源、駆動ローラ3の駆動部及び手元スイッチに接続される。制御ユニットは、リミットスイッチ111、125の作動によって昇降ユニットの昇降動作を検出し、駆動ローラ3の作動を制御する。図35には、リミットスイッチ111の作動によって掛け布団Hの最降下位置(下限)を検出する方法が示されており、図36には、リミットスイッチ125の作動によって掛け布団Hの最上昇位置(上限)を検出する方法が示されている。
【0073】
図35(A)及び図37(A)に示す揺動部材90の中立位置(水平位置)では、検出子112は板ばね110の下面と僅かに離間している。掛け布団Hの降下時には、揺動部材90は、図35(B)及び図37(B)に示す如く掛け布団Hの鉛直荷重で下方に回動する。作動杆96は板ばね110を下方に押圧し、板ばね110の下面は、検出子112を下方に変位させる。このため、リミットスイッチ111は、掛け布団Hの降下時にON位置に変位する。
【0074】
掛け布団Hが上昇位置からベッドBまで降下すると、掛け布団Hの鉛直荷重が軽減し、可撓性線材7、8の張力は急激に消失する。可撓性線材7、8の張力から解放された揺動部材90は、図35(C)及び図37(C)に示す如くスプリング85の弾性復元力によって上方に回動するので、板ばね110に対する作動杆96の圧力も解放され、板ばね110も又、その弾性復元力によって検出子112から離間する。この結果、リミットスイッチ111はOFF位置に変位する。制御ユニットは、リミットスイッチ111の信号の変化(OFF作動)によって掛け布団Hの最降下位置(下限)到達を検出する。
【0075】
掛け布団HがベッドBから上昇するとき、掛け布団Hが最上昇位置まで到達すると、図36(B)に示すように中間枠30の線型部材31が短管120に衝合する。線型部材31の上昇圧力によって板ばね123は変形する。この結果、起立板122は検出子124から離間し、検出子124はOFF位置に変位する。制御ユニットは、リミットスイッチ125の信号の変化(OFF作動)によって掛け布団Hの最上昇位置(上限)到達を検出する。
【0076】
このように張力付与装置80の構造及び作動を利用した本実施例の昇降位置検出手段によれば、ウエイト部材及びリミットスイッチを用いた前述の昇降位置検出手段や、螺旋溝及び従動ピン及びリミットスイッチを用いた前述の昇降位置検出手段のようにリミットスイッチの位置及び感度の微妙な調節又は調整や、可撓性線材の微妙な長さ調節等を要しないので、実務的に極めて有利である。なお、本実施例の他の構成は、本例の寝具昇降装置1の他の構成は、前述の第3実施例又は第4実施例の構成と実質的に同じであるので、重複する説明は、省略する。
【0077】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
【0078】
例えば、第1実施例において、電動モータ、減速機及び電磁ブレーキを内蔵した一対の駆動ローラを架台に並列配置することも可能であり、或いは、ブレーキ付き電動モータと、左右のローラを駆動させる動力伝達機構とを架台上に設置することも可能である。
【0079】
また、架台の下部にキャスタ等の可搬手段を設け、或いは、建築物の構造体から架台又はフレーム自体を移動可能に懸吊しても良い。
【0080】
更に、昇降位置検出手段として、非接触型位置検出器や、エンコーダ等を採用しても良く、また、手元スイッチとして無線リモコン式操作器等を採用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、掛け布団、上掛け毛布等の上掛け寝具を昇降させる寝具昇降装置に適用される。本発明の寝具昇降装置によれば、ベッド上のユーザ本人に作用する上掛け寝具の荷重を軽減し又は解消するとともに、ベッド上の本人や、医師、看護師等の姿勢、動作、移動又は行動範囲を制約せず又は妨げないような状態又は位置に上掛け寝具を上昇させることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 寝具昇降装置
2 昇降駆動部
3 駆動ローラ
4 遊動ローラ
7、8、9 可撓性線材
10 架台
20 ウエイト
30 中間枠
50 昇降ユニット
60 回転量検出装置
70 定荷重付加装置
80 張力付与装置
90 揺動部材
100 滑車
B ベッド
H 掛け布団(上掛け寝具)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掛け布団、上掛け毛布等の上掛け寝具を昇降させる寝具昇降装置において、
上掛け寝具の少なくとも四隅に係留し且つ該寝具を懸吊する可撓性線材と、各線材を巻き上げ又は繰り出す巻き上げ装置と、該巻き上げ装置を寝具の上方域に支持する支持手段とを有し、
前記巻き上げ装置は、前記可撓性線材が巻装され、実質的に水平な回転軸線を中心に回転する回転駆動ローラと、前記上掛け寝具の重量が前記回転駆動ローラに与える負荷を打ち消すように、前記寝具の重量に相応する荷重を前記回転駆動ローラに与えて該回転駆動ローラの負荷を軽減する荷重付加装置とを有することを特徴とする寝具昇降装置。
【請求項2】
前記荷重付加装置は、前記上掛け寝具の重量に相応する重量のウエイト部材(20)と、先端部が該ウエイト部材に接続され且つ前記回転駆動ローラによって巻き上げられ又は繰り出される可撓性線材(9)とを有することを特徴とする請求項1に記載の寝具昇降装置。
【請求項3】
前記ウエイト部材(20)の最上端位置及び最下端位置を検出する昇降位置検出手段(22,23)と、検出された前記ウエイト部材の位置に従って前記回転駆動ローラの回転を規制する制御装置(U)とを有することを特徴とする請求項2に記載された寝具昇降装置。
【請求項4】
前記荷重付加装置(70)は、定荷重ばね(71)と、一端部が前記定荷重ばねの外端部に連結され且つ他端部が前記駆動ローラに巻き掛けられた荷重付加用の可撓性線材(73)とを有し、前記定荷重ばねは、実質的に一定の張力を荷重付加用の前記可撓性線材に常に与えることを特徴とする請求項1に記載の寝具昇降装置。
【請求項5】
前記駆動ローラの外周面に形成された螺旋溝(62)と、該螺旋溝に延入する従動ピン(64)を備えた可動部材(63)と、該可動部材の位置を検出する位置検出手段(65)と、該位置検出手段の検出結果に基づいて前記回転駆動ローラの回転を規制する制御装置(U)とを有することを特徴とする請求項4に記載の寝具昇降装置。
【請求項6】
前記可撓性線材の緩み又は弛みを防止するように該可撓性線材に張力を付与する張力付与装置(80)を備えることを特徴とする請求項1乃至5に記載の寝具昇降装置。
【請求項7】
前記張力付与装置(80)は、上掛け寝具の荷重が作用する前記可撓性線材の垂直部分を引っ張って該垂直部分に張力を付与する揺動部材(90)を有することを特徴とする請求項6に記載の寝具昇降装置。
【請求項8】
前記揺動部材(90)を上方に付勢し、前記可撓性線材の垂直部分に作用する前記荷重の軽減時に前記揺動部材を上方に回動させる付勢手段(85)と、該揺動部材の上方の回動によって前記上掛け寝具の最降下位置を検出する降下位置検出手段(111)とを有することを特徴とする請求項7に記載の寝具昇降装置。
【請求項9】
前記可撓性線材の垂直部分の下端部(7a,8a)に設けられた係合手段と係合して弾力的に変形又は変位する上昇位置検出具(120-123)と、該検出具の変形又は変位を検出する上昇位置検出手段(125)とを有することを特徴とする請求項6又は7に記載の寝具昇降装置。
【請求項10】
前記駆動ローラは、ローラ内部にモータ、減速機及び電磁ブレーキを内蔵した構造を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載された寝具昇降装置。
【請求項1】
掛け布団、上掛け毛布等の上掛け寝具を昇降させる寝具昇降装置において、
上掛け寝具の少なくとも四隅に係留し且つ該寝具を懸吊する可撓性線材と、各線材を巻き上げ又は繰り出す巻き上げ装置と、該巻き上げ装置を寝具の上方域に支持する支持手段とを有し、
前記巻き上げ装置は、前記可撓性線材が巻装され、実質的に水平な回転軸線を中心に回転する回転駆動ローラと、前記上掛け寝具の重量が前記回転駆動ローラに与える負荷を打ち消すように、前記寝具の重量に相応する荷重を前記回転駆動ローラに与えて該回転駆動ローラの負荷を軽減する荷重付加装置とを有することを特徴とする寝具昇降装置。
【請求項2】
前記荷重付加装置は、前記上掛け寝具の重量に相応する重量のウエイト部材(20)と、先端部が該ウエイト部材に接続され且つ前記回転駆動ローラによって巻き上げられ又は繰り出される可撓性線材(9)とを有することを特徴とする請求項1に記載の寝具昇降装置。
【請求項3】
前記ウエイト部材(20)の最上端位置及び最下端位置を検出する昇降位置検出手段(22,23)と、検出された前記ウエイト部材の位置に従って前記回転駆動ローラの回転を規制する制御装置(U)とを有することを特徴とする請求項2に記載された寝具昇降装置。
【請求項4】
前記荷重付加装置(70)は、定荷重ばね(71)と、一端部が前記定荷重ばねの外端部に連結され且つ他端部が前記駆動ローラに巻き掛けられた荷重付加用の可撓性線材(73)とを有し、前記定荷重ばねは、実質的に一定の張力を荷重付加用の前記可撓性線材に常に与えることを特徴とする請求項1に記載の寝具昇降装置。
【請求項5】
前記駆動ローラの外周面に形成された螺旋溝(62)と、該螺旋溝に延入する従動ピン(64)を備えた可動部材(63)と、該可動部材の位置を検出する位置検出手段(65)と、該位置検出手段の検出結果に基づいて前記回転駆動ローラの回転を規制する制御装置(U)とを有することを特徴とする請求項4に記載の寝具昇降装置。
【請求項6】
前記可撓性線材の緩み又は弛みを防止するように該可撓性線材に張力を付与する張力付与装置(80)を備えることを特徴とする請求項1乃至5に記載の寝具昇降装置。
【請求項7】
前記張力付与装置(80)は、上掛け寝具の荷重が作用する前記可撓性線材の垂直部分を引っ張って該垂直部分に張力を付与する揺動部材(90)を有することを特徴とする請求項6に記載の寝具昇降装置。
【請求項8】
前記揺動部材(90)を上方に付勢し、前記可撓性線材の垂直部分に作用する前記荷重の軽減時に前記揺動部材を上方に回動させる付勢手段(85)と、該揺動部材の上方の回動によって前記上掛け寝具の最降下位置を検出する降下位置検出手段(111)とを有することを特徴とする請求項7に記載の寝具昇降装置。
【請求項9】
前記可撓性線材の垂直部分の下端部(7a,8a)に設けられた係合手段と係合して弾力的に変形又は変位する上昇位置検出具(120-123)と、該検出具の変形又は変位を検出する上昇位置検出手段(125)とを有することを特徴とする請求項6又は7に記載の寝具昇降装置。
【請求項10】
前記駆動ローラは、ローラ内部にモータ、減速機及び電磁ブレーキを内蔵した構造を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載された寝具昇降装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
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【図38】
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【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2010−339(P2010−339A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60270(P2009−60270)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(503135812)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(503135812)
【Fターム(参考)】
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