説明

対応する調整気相トレイにおいて生鮮果物、野菜、及び花を包装するための溝付きの蓋

本発明は、生鮮果物、野菜、及び切り花の調整気相包装に対するトレイ蓋及びトレイ基部の新しい設計に係る。より特には、本発明は、調整気相環境において生鮮果物、野菜、及び切り花を包含する積み重ねられた蓋及びトレイのコンビネーションを通って単一又は複数の方向において冷却空気が循環され得るようにする、見映えのよい蓋及び対応するトレイ基部の新しい設計に係る。気体透過性調整気相包装は、ポリマで構成される蓋、及び基部を有する。該蓋は、その上部表面上で、各側部の中央領域において複数の隆起負荷支持体、及び中間溝を備える。基部は、波形クラフト紙で構成される中空の内部を有し、上部エッジにおいて蓋の内側輪郭に適合する構造を備える。溝は、1つの包装コンビネーションが他の包装コンビネーション上に積み重ねられるときに蓋の上方において空気が循環され得るようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生鮮果物、野菜、及び切り花の調整気相包装(modified atmosphere packaging、青果物鮮度保持包装)に対するトレイ蓋及びトレイ基部の新しい設計に係る。より特には、本発明は、調整気相環境において生鮮果物、野菜、及び切り花を包含する積み重ねられた蓋及びトレイのコンビネーション(lid and tray combinations)を通って単一又は複数の方向において冷却空気が循環され得るようにする、見映えのよい蓋及び対応するトレイ基部の新しい設計に係る。
【背景技術】
【0002】
生鮮果物、野菜、及び切り花の品質特性は、消費者受諾性を確保するよう可能な限り長い間可能な限り多く維持されなければならない。生鮮果物、野菜、及び花等である植物(園芸)農産物(horticulturual produce)の品質劣化は、呼吸、熟成、及び老熟を含む固有の植物組織酵素反応を介して生じる。劣化はまた、組織からの水分損失及び微生物増殖を介して発生する。劣化性の酵素反応、並びに生鮮農産物における細菌、カビ、及び酵母の成長を抑制する方法は、1℃乃至12℃への農産物温度の低下、農産物の周囲において低O/高COの調整気相(MA)を作ることを有する。他の品質低下要因は、果物及び野菜における水が低い相対湿度状態下において容易に損失され得、それによって果物、野菜、及び花の新鮮さ及び堅さにおける低下、しおれ、及び表皮のしわ、及び脱水を引き起こす、ということである。かかる生鮮農産物からの水分損失率は、低透湿性を有する壁で構成する閉じられた包装システムにおいて農産物を格納することによって制限され得る。
【0003】
波形板紙ボックス(corrugated paperboard boxes)及びカートンは、生鮮植物商品の格納及び輸送に対して商業的に使用される。波形板紙ボックス及びカートンの利点は、単位体積あたり比較的低コストであり、低熱エネルギ伝導率、商品の傷みを防ぐ衝撃吸収、及び輸送ルートの受領側での容易な廃棄を有する。世界的に使用される波形板紙ボックスの1つの種類は、ユーロトレイ(Eurotray)として既知である。該トレイは、幅40cm及び長さ60cmの標準的な水平方向寸法を備え、ISO適合容器においてパレット上での積み重ねの格納に適合する。
【0004】
従来の波形板紙は、大変高い気体及び湿度透過率を備えるため、植物農産物の調整気相包装には不適切である。生鮮農産物産業は、市場までの運搬に対して多様な生鮮果物及び野菜を収容するよう、多種の寸法及び形状の積み重ね可能な波形ファイバーボードカートン又はリターナブルのプラスチッククレートの使用を取り入れている。一般的に、農産物産業において使用される積み重ね可能なファイバーボードカートンには広義に2つのカテゴリがある。該2つのカテゴリとは即ち、手持ち部分等である開口及び冷蔵空気循環に対する凹面を組み込む開放型カートン、及び、開口及び凹面は有さないが密封されたカートンの内側の上部にできた空間(ヘッドスペース)と周囲大気との間における気体交換を制限するよう選択的な気体透過性膜を組み込む閉鎖型カートンである。
【0005】
開放型カートンは、カートンにおける収穫された農産物を冷蔵及び市場への輸送前に直接畑で包装することを可能にするため、有利である。農産物の単純な包装及び冷却は、時間、労働力、及びコストの大幅な節約となる。この種類の包装の主な不利点は、収穫された農産物の周囲における酸素の自由な動きが農産物の呼吸速度を維持し、そのため農産物が品質劣化を有することなく格納及び/又は運搬され得る時間を低減させる、ことである。かかる悪影響をいくらか相殺するよう、農産物は従来、まだ未熟である成長期に早めに収穫される。これは、最善の栄養価及び所望される味が農産物において育成される前であるため、市場まで運ばれる農産物の品質を低減させる。開放型包装の他の不利点は、市場までの運搬中にしばしば遭遇する周囲温度の変動に対して与えられる最低限の保護である。
【0006】
調整気相包装(MAP)としても既知である閉鎖型カートンは、農産物が完熟時に収穫され得るため利点を有する。かかる果物、野菜、及び花の包装は:
1.完全にすぐに食べられる熟成時に農産物を収穫すること;
2.消毒、等級付け、事前冷却を含む、農産物の事前包装処置;
3.制御された気体透過性包装システムにおいて農産物をパッキングすること;
4.包装システムの上部にできた空間への気体混合を包含する所定のCO及びOの導入、又は、包装システムの上部にできた空間において既存する空気の保有;
5.調整気相(MA)包装システムの閉鎖及び密封;及び、
6.包装された農産物を運搬温度まで再度冷却すること、
を伴う。
【0007】
格納中、果物、野菜、及び花は、呼吸し、上部にできた空間からのOをCOに変換し、その結果として、上部にできた空間におけるO含有量が低減する一方、CO含有量が増大する。呼吸する果物、野菜、又は花は、冷蔵を弱める熱を生成する。生鮮農産物のMAPに対する効果的な包装システムの設計における目的は、包装へのOの流入及び包装の上部にできた空間からのCOの流出を調節することである。このようにして、新鮮な品質特性の最善の維持に対して、並びに果物、野菜、及び花が供給元から輸送先まで運ばれている間の微生物増殖の低減に対して、格納された農産物の周囲の上部にできた空間において所望される低O高COの調整平衡大気を達成及び維持することは、可能である。
【0008】
植物商品の周囲における上部にできた空間での低レベルO及び高レベルCOは、商品の呼吸及び完熟速度、並びに腐敗有機体(spoilogens)の成長を低減させる。包装システムにおける生鮮農産物の周囲の不適切な調整大気は、農産物において、生理学的損傷をもたらし得、外傷治癒を妨げ、老熟を強め、腐臭構成要素の形成を引き起こす。1%vol.より少ない酸素レベルは、無気呼吸及び腐臭進行をもたらすが、約10%vol.又はそれより高いCOレベルは、微生物増殖を妨げる。長期間にわたる20%vol.より高いCOレベルは、COレベルに反応しやすい生鮮農産物に対して組織損傷を引き起こし得る。
【0009】
MAPに対する包装システムは、以下の要件を満たすよう特別な包装材料を有して設計及び構成されなければならない:
1.包装システムの上部にできた空間において最も確実で有益な均衡レベルのCO及びOを維持すること;
2.包装システム内における気体圧力上昇を未然に防ぐこと;
3.MA包装において包含される生鮮農産物からの湿り損失を最小限にすること;
4.生鮮農産物の圧壊及び傷みを防ぐこと;
5.包装内部から包装システムの壁への水分移動を妨げ、それによって壁の構造強度を保有すること;及び、
6.生鮮農産物呼吸熱を包装システムから離すよう動かすこと。
【0010】
MA包装システムの包装構成要素の気体及び湿度透過率は、重要なパラメータである。プラスチックポリマフィルムの技術は、特定の気体透過率要件が通気ピンホールを有するかあるいは有さない単一プラスチックフィルム又は複数層フィルムコンビネーションを有して満たされ得るほどまで発展してきている。
【0011】
1960年、Eaves(J.Hort.Sci.37:110,1960)は、
生鮮商品の寿命を延ばすための包装システムとして気体透過性の可撓性ポリメリックバリアフィルムの効果を報告した。Tomkins(J.Appl.Bacteriol.25:2990,1962)は、林檎の周囲に均衡MAを確立することの効果を確定するよう、包装システムとしてポリメリックフィルムで覆われたトレイを使用した。格納される果物及び野菜の格納寿命の延長に対してポリメリックプラスチック、ポリエチレン及びポリ塩化ビニル等である気体透過性フィルムから作られた袋を使用する従来技術は、Badranによる米国特許第3,450,542号明細書(特許文献1)、Badran外による米国特許第3,450,544号明細書(特許文献2)、及びCumminによる米国特許第3,798,333号明細書(特許文献3)によって例示されている。より複雑な包装システムは、Rumberger(米国特許第3,630,759号明細書(特許文献4))によって説明されており、農産物を包含する内側プラスチックポーチは、15%より低いOを有する大気を包含する外側ポーチによって封入される。両ポーチは、気体透過性フィルムから構成されるべきである。
【0012】
Wu外による1996年11月19日発行の米国特許第5,575,418号明細書(特許文献5)は、生鮮果物、野菜、及び切り花の冷蔵される調整気相包装に対する新しい包装システムに係る。より特には、該文献は、閉鎖された包装システムの上部にできた空間における調整気相下において、気体透過性波形板紙包装システムの設計、構成、閉鎖、密封、及び使用を開示する。波形気体透過性板紙は、(a)クラフト紙の第1の層;(b)所定のレベルにおいてポリメリックフィルムを介して気体が伝達されるようにするガス透過性を備えるポリマの層;(c)クラフト紙の第2の層;(d)波形縦溝;及び(e)波形縦溝に付けられるクラフト紙の第3の層を有する。前出のクラフト紙の第1及び第2の層は、それらの間にポリマを挟む。
【0013】
Wu外による1997年3月11日発行の米国特許第5,609,293号明細書(特許文献6)は、閉鎖された包装システムの上部にできた空間における調整気相(MA)下で生鮮果物及び野菜の格納寿命を延ばすための裏打ちされたかあるいはコーティングされた波形板紙包装システム(ボックス、カートン等)の設計、構成、及び使用に係る。プラスチック−板紙構造は、ポリメリックフィルムの第1の層、第1の層に近接するクラフト紙の第2の層、第2の層に近接するクラフト紙波形縦溝の第3の層、及び縦溝に近接するクラフト紙の第4の層を有する。
【0014】
Clough外による2000年4月18日発行の米国特許第6,050,412号明細書(特許文献7)は、切り花を含む植物農産物を包装及び輸送するための新しい方法及び装置に係る。特には、該文献は、輸送先までの包装された花の輸送における格納寿命を延ばすよう調整気相包装において切り花を包装し、輸送先では、包装を開封し、水を花の茎に吸収させることによって包装における切り花に水分補給をする、新しい方法及び装置を開示する。
【0015】
2006年8月25日付PCT出願番号PCT/CA2006/001404(特許文献8)は、生鮮果物、野菜、及び切り花の冷蔵された調整気相包装に対する新しいユーロトレイ準拠包装システムを開示する。より特には、該出願は、閉鎖された包装システムの上部にできた空間における調整気相下で生鮮果物、野菜、及び切り花の格納寿命を延ばすための気体透過性板紙包装システム及び輸送トレイの設計、構成、閉鎖、密封、及び使用に係る。気体透過性板紙は、(a)クラフト紙の第1の層;(b)所定のレベルにおいてポリメリックフィルムを介して気体が伝達されるようにする気体透過性を備えるポリマの層;(c)クラフト紙の第2の層を有する。前出のクラフト紙の第1及び第2の層は、それらの間にポリマを挟む。
【0016】
前出の引用文献はいずれも、調整気相技術を組み入れるか、積み重ねられた並びに/あるいはパレットに載せられた包装の単一又は2つの角度方向の冷却又は換気を可能にするか、あるいは密封された包装を開封することなく包装の内容物の目視検査を容易にするような、積み重ね可能な蓋及びトレイのシステムを開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第3,450,542号明細書
【特許文献2】米国特許第3,450,544号明細書
【特許文献3】米国特許第3,798,333号明細書
【特許文献4】米国特許第3,630,759号明細書
【特許文献5】米国特許第5,575,418号明細書
【特許文献6】米国特許第5,609,293号明細書
【特許文献7】米国特許第6,050,412号明細書
【特許文献8】PCT/CA2006/001404
【特許文献9】US6,880,748,B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
調整気相技術を組み込んだ閉鎖型の積み重ね可能な蓋及びトレイの包装システムが必要とされており、該システムは、現場又は集中設備のいずれかにおいて農産物を収穫及び包装することを可能にし、農産物の呼吸を弱めるよう積み重ねられた及び/又はパレットに載せられた包装の冷却及び換気の単一又は2つの方向を可能にし、包装のいかなる時点においても包装された農産物の目視検査を可能にし、運送中に生鮮農産物を冷蔵する性能を与えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
MachadoによるUS6,880,748,B2(特許文献9)は、現場又は集中設備が生鮮農産物を包装するようにし、且つ冷たい空気がパレットに搭載されたカートンの積み重ねにわたって循環するようにする、調整気相包装システム及び方法を開示する。包装は、4つの角部において隆起した積み重ね支持体を有する透明な蓋を有する。蓋は、気体透過性膜を有する波形ファイバーボードカートンに対して密閉的に取り付けられる。透明な蓋は、確立された調整気相に損害を与えることなくそこに包含される生ものである農産物の検査を可能にする。このシステムが有する問題は、カートンが互いに積み重ねられるときに、上方のカートンが下方のカートン上にきっちりと載せられていることを確実なものとするよう注意を払わない限り、上方のカートンの下方の角部が角部支持体を逃して下方のカートン上の蓋における溝へと落下してしまい得る、という点である。他の欠点は、カートンの4つの角部における隆起支持体の全表面積が大きくなく、荷重負担能力が最小限にされる、という点である。
【0020】
関連技術の前述された例及びそれに関連付けられる限定は、排他的なものではなく例証的であるよう意図される。関連技術の他の限定は、明細書及び図面を読めば当業者には明らかである。
【0021】
以下の実施例及びその態様は、範囲を限定するものではなく典型的な例証であるよう意図されるシステム、ツール、及び方法と併せて説明及び図示される。多種の実施例においては、1つ又はそれより多くの上述された問題が減少又は排除されており、他の実施例は他の向上を対象とする。
【0022】
本発明は、気体透過性調整気相包装コンビネーション(gas−permiable modified atmosphere package combination)を対象とし、ポリマを有して構成される蓋及び基部を有する。該蓋は、その上部表面上において、各側部の中央領域に複数の隆起負荷支持体、及びその間に溝(中間溝、in between grooves)を備える。基部は、波形のクラフト紙ポリマ(corrugated kraft paper polymer)で構成される中空の内部を有し、また上部エッジにおいて蓋の内部輪郭に適合する構造を備える。前出の溝は、1つの包装コンビネーションが他の包装コンビネーション上に積み重ねられるときに蓋の上方において空気が循環され得るようにする。
【0023】
蓋の上部表面は、その周囲において、各端部の中央領域に少なくとも1つの隆起負荷支持体(ロードサポート)、各側部の中央領域に少なくとも1つの隆起負荷支持体、及び隆起端部負荷支持体と隆起側部負荷支持体との間におけるくぼみ範囲、を備え得る。蓋の上部表面は、その周囲において、各端部の中央領域に少なくとも2つの隆起負荷支持体、蓋の2つの側部の各々の中央領域に少なくとも3つの隆起負荷支持体、及び隆起端部負荷支持体と隆起側部負荷支持体との間におけるくぼみ範囲、を備え得る。蓋の上部表面は、その周囲において、各端部の中央領域に少なくとも2つの隆起負荷支持体、蓋の2つの側部の各々の中央領域に少なくとも4つの隆起負荷支持体、及び、隆起端部負荷支持体と隆起側部負荷支持体との間におけるくぼみ範囲、を備え得る。
【0024】
蓋の上部表面の角部は、そこに対角溝を備える。蓋の側部における溝は横方向に配置され得、蓋の端部における溝は長手方向に配置され得る。蓋の表面の溝は、「X」型パターンを備え得る。蓋及び基部は、長さ60cm及び幅40cmである。
【0025】
基部は、クラフト紙の第1の外側層、波形クラフト紙の第1の中間層、ポリマの第2の中間層、及びクラフト紙の第2の外側層、を有し得る。基部におけるポリマは、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチルブチルアセテート(EBA)、架橋アイオノマー樹脂、キャストポリエステル(PET)、ポリアミド、及びポリカーボネート(PC)を有する群から選択され得る。ポリマは、低密度ポリエチレン又は高密度ポリエチレン、あるいは、低密度ポリエチレンとエチレンブチルアセテートとのコポリマである。
【0026】
基部のポリマの気体透過率は、1気圧24時間50乃至100,000cc/mであり得る。
【0027】
本発明はまた、気体透過性調整気相包装に対する蓋を対象とし、当該蓋は、矩形又は四角形であり得る上部表面を有する。該表面は、周囲において配置される複数の隆起負荷支持体及び中間溝を有し、該溝は、1つの包装が他の包装上に積み重ねられるときに蓋の上方において空気が循環され得るようにする。
【0028】
蓋の各端部は、その中央領域において少なくとも1つの隆起負荷支持体を備え得、蓋の各側部は、その中央領域において少なくとも1つの隆起負荷支持体を有し得、くぼみ範囲は、隆起端部負荷支持体と隆起側部の負荷支持体との間において存在し得る。蓋の各端部は、その中央領域において少なくとも2つの隆起負荷支持体を備え得、蓋の各側部は、その中央領域において少なくとも3つの隆起負荷支持体を備え得る。蓋の各端部は、その中央領域において少なくとも3つの隆起負荷支持体を備え得、蓋の各側部は、その中央領域において少なくとも4つの隆起負荷支持体を備え得る。
【0029】
蓋の側部における溝は横方向に配置され得、蓋の端部における溝は長手方向に配置され得る。蓋の上部表面は、蓋の4つの角部の各々において対角線状に配置される溝を備え得る。蓋は、透明なポリマを有して形成され得る。
【0030】
蓋は、平面的な上部表面を備え得、透明な材料を有して形成され得る。蓋の上部表面は、四角形又は矩形等である四辺形であり得、透明な材料は、透明なポリマであり得る。蓋は、板紙で構成される中空の基部上に展開され得る。
【0031】
蓋は、透明なポリマを有して形成され得、その周囲において位置付けられる複数の隆起負荷支持体及び中間溝、並びに四角形の構造を有する上部表面を備え得る。隆起支持体は、中央領域又は蓋の上部側部の角部において位置決めされ得る。
【0032】
上述された典型的な態様及び実施例に加えて、更なる態様及び実施例は、図面を参照し且つ以下の詳細な説明を読むことによって明らかとなる。
【0033】
典型的な実施例は、図面を参照して説明される。本願において開示される実施例及び図面は、制限的なものではなく例証的なものであると考えられるべきである、ことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施例に従った、果物及び野菜を包装するよう蓋の周囲において複数の隆起支持体及び中間溝を有する蓋の等角図である。
【図2】図1中の蓋に対する対応するトレイ基部の等角図である。
【図3】本発明の第2の実施例に従った、切り花を包装するよう周囲において複数の隆起支持体を有する蓋の等角図である。
【図4】図3中の蓋に対する対応するトレイ基部を図示する。
【図5】本発明の更なる一実施例に従った、「X」溝付きの蓋の等角図である。
【図6】図5中の蓋に対するトレイ基部の等角図である。
【図7】図1中の蓋の平面図である。
【図8】図7中の蓋の側面図である。
【図9】図7中の蓋の端面図である。
【図10】図7中の線10−10に沿って取られた断面図である。
【図11】図2中のトレイ基部に対するブランクの平面図である。
【図12】本発明の図1、2及び7乃至11中の実施例に従った積み重ねられた蓋及びトレイ基部容器を荷積みされたパレットの群を有する標準ISO容器の平面図である。
【図13】図3中の蓋の平面図である。
【図14】図13中の蓋の側面図である。
【図15】図13中の蓋の端面図である。
【図16】図4中のトレイ基部に対するブランクの平面図である。
【図17】本発明の図3、4及び13乃至16中の実施例に従った積み重ねられた蓋及びトレイ基部容器を荷積みされたパレットの群を有する標準ISO容器の平面図である。
【図18】図5中の「X」溝付きの蓋の平面図である。
【図19】図18中の蓋の側面図である。
【図20】図18中の蓋の端面図である。
【図21】図18中の線21−21に沿って取られた蓋の断面図である。
【図22】図6中のトレイ基部に対するブランクの平面図である。
【図23】本発明の図5、6及び18乃至22中の実施例に従った積み重ねられた蓋及びトレイ基部容器を荷積みされたパレットの群を有する標準ISO容器の平面図である。
【図24】埋め込まれた側部及び端部を有する調整ユーロボックスの等角図である。
【図25】透明な蓋を有するMAPボックスの等角図である。
【図26】透明な蓋を有する複数のMAP包装を保持する調整ユーロボックスの等角図である。
【図27】蓋の周囲において複数の隆起支持体を有するMAPボックスの他の一実施例の等角図である。
【図28】角部において隆起支持体を有するMAPボックスの更に他の一実施例の等角図である。
【図29】MAPボックス基部上に取り付けられる隆起支持体を有するMAPボックスの更に他の一実施例の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の明細書を通して、特定の詳細は、当業者に対してより完全な理解を与えるよう示される。しかしながら、周知の要素は、不必要に開示を不明瞭にすることを防ぐよう詳細に図示又は説明されてはいないことがあり得る。したがって、明細書及び図面は、制限的ではなく例証的な意味で認識されるべきである。
【0036】
MAP保存果物、野菜、及び花の大陸内及び海外輸送に対して求められる長い距離及び時間に対処するよう、出願人は、蓋の周囲において一連の隆起荷重負担範囲を有する不均等な上部表面を備える蓋、及び、隆起範囲と中央くぼみ範囲との間における溝の独自の一群を発明した。一態様において、本発明は、対応するものである調和するトレイ基部設計の一群を有する。蓋及びトレイ基部は共に、葡萄、桃、ネクタリン等である生鮮果物、スウィートペッパー、ほうれん草、レタス、トマト等である野菜、及び切り花の調整気相環境における輸送に対して使用され得る。
【0037】
蓋及びトレイ基部の望ましい一実施例において、蓋及びトレイ基部は、標準ユーロトレイに適合するよう60cmかける40cmを有し得る。調整ユーロトレイ(modified Eurotray)は、本発明によれば、周囲における複数の隆起支持体及び複数の中間溝を組み込む上部蓋表面を備える。溝は、ユーロトレイがパレットに積み重ねられて冷蔵庫において格納されるか、あるいはISO適合容器において輸送されるときに、ユーロトレイ間において冷却空気を循環させ得る。積み重ねられたユーロトレイを通って循環される冷却空気は、ユーロトレイにおいて包装された呼吸する野菜、果物、又は花によって生成される熱を相殺する支援をする。隆起範囲の上部表面は、積み重ねられるときにトレイ間においてグリップを強めるよう、上方に摩擦発生パターンを備え得るか、あるいは粗くされ得る。
【0038】
包装された果物、野菜、及び花の消費者からの一般的な要求は、包装を開封することなく包装された農産物を見ることができること、である。本発明の蓋は、望ましくは透明なポリマを有して形成される。
【0039】
包装された農産物が冷蔵され、包装された果物、野菜、又は花の呼吸から包装の内側において湿度が存在するため、蓋の内側は、典型的には凝縮(蒸気)を集める。所望に応じて、隆起支持体及び溝付きの蓋は、曇り防止剤を含有するポリマから成形され得る。あるいは、耐湿剤は、蓋の内側表面に対して与えられ得る。
【0040】
従来の調整気相包装された果物、野菜、又は花に関する一般的な問題は、それらが熱を保持する断熱を本質的に与える波形板紙容器において包装される、ことである。包装における果物又は野菜農産物が温かい場合、許容可能な調整気相冷蔵レベルまで包装された果物、野菜、又は切り花を冷却するよう時間が必要とされる。透明な蓋は、適度に熱伝導性であり、包装された農産物から大気へと呼吸熱を伝達するため有用である一方、従来の波形ライナーボード包装は、熱伝達を妨げる。蓋の溝付きの表面は、積み重ねられたトレイを介して冷却空気が循環され、それによって農産物を冷蔵温度まで迅速に冷却し、その後冷却状態において農産物を保持する、ことを可能にする。
【0041】
本発明の特定の実施例は、これより図面に関連付けて説明される。図1は、本発明に従った、果物及び野菜を包装するよう蓋の周囲において複数の隆起支持体及び中間溝を有する蓋の等角図である。図1を参照すると、蓋2は、望ましくはポリエチレン又はアクリル等である透明な成形されたポリマで構成され、端部において2つの群の2つの隆起ウェッジ形状端部支持体4、及び側部において2つの群の3つの隆起側部支持体6を備える。かかる隆起支持体4及び6は、蓋2の周囲において分布され、それらの間において複数の中間溝、及び蓋2の上部における中心低部又はくぼみ8を定義付ける。蓋2はまた、2つの下方向に延在する端部パネル10及び2つの下方向に延在する側部パネル12を有する。かかる端部及び側部パネル10及び12は、図2に示される通り、基部14の上部外側の上方において適合する。蓋2は、複数の従来の技術によって実施され得るが、真空成形又はドローイング(drawing)が特に適切である。通常、蓋2は、気体不透過性の透明なポリマを有して構成されるが、所望に応じて適切な気体透過性の透明又は不透明なポリマを有して構成されてもよい。一態様においては、蓋は、標準ユーロトレイに適合するよう幅40cm及び長さ60cmであり得る。端部支持体及び側部支持体4及び6の上部表面は、トレイが他のトレイの上に積み重ねられるときに摩擦グリップを高めるよう粗くされ得る。
【0042】
図2は、図1中の蓋に対して対応するトレイ基部の等角図を示す。特には、図2は、図1中の蓋の端部及び側部支持体の内側輪郭に適合するよう2つの側壁及び2つの端部壁上に平らではない上部エッジを有するトレイ基部を示す。図2を参照すると、一個構成のトレイ基部13は、図1中の蓋2の2つの端部支持体4及び2つの側部支持体6の内側の構造に夫々適合するよう、上方エッジ22を有する2つの端部パネル16、及び上方エッジ24を有する2つの側部パネル18を有して構成される。トレイ基部14は、米国特許第5,575,418号、第5,609,293号、及び第6,050,412号に開示される種類の構造のように、間に気体透過性ポリマフィルムを有する従来の複数層の波形クラフト紙、あるいは2つ又はそれより多くのクラフト紙の層を有して形成され得る。2つの端部支持体16及び2つの側部支持体18は、それらの間において底部パネル20を形成する。トレイ基部の上部エッジは高さにおいて(in elevation)平らであり得る、ことが理解される。しかしながら、上部エッジは、蓋及びトレイ基部のコンビネーションに対して強度を加えるため、平らではなくあり得る、ことが望ましい。
【0043】
図3は、本発明の第2の実施例に従って、切り花を包装するよう周囲において複数の隆起支持体を有する蓋の等角図である。図3を参照すると、蓋26は、望ましくは透明である、ポリエチレン又はアクリル等である成形ポリマを有して構成され、一組のウェッジ形状の隆起端部支持体28、及び各側部において2つの群の4つの側部支持体30を備える。かかる端部支持体28及び側部支持体30は、隆起され、それらの間における複数の溝、及び蓋26の上部上に中心低部又はくぼみ36を定義付ける。蓋26はまた、2つの下方向に延在する端部パネル32、及び2つの下方向に延在する側部パネル34を有する。かかる端部及び側部パネル32及び34は、図4に示される通り、トレイ基部38の外側の上方に適合する。
【0044】
図4は、図3中に示される蓋に対して対応するトレイ基部を示す。特には、図4は、図3に示される蓋の内側輪郭に適合するよう、2つの側壁及び2つの端部壁上に平らではない上部エッジを有するトレイ基部を示す。図4に示される通り、一個構成基部38は、上方隆起エッジ46を有する2つの端部パネル40、及び隆起上方エッジ48を有する2つの側部パネル42を有して構成される。2つの端部パネル40及び2つの側部パネル42は、それらの間にトレイ基部44を定義付ける。2つの群の端部パネル46及び4つの群の側部エッジ48の上部エッジの高さは、図3において示される通り、蓋26の端部支持体28及び側部支持体30の内側構成に適合する。
【0045】
図5は、本発明の更なる一実施例に従った透明な「X」溝付きの蓋の等角図である。図5に示される通り、蓋52は、望ましくは透明である、ポリエチレン又はアクリル等である成形ポリマを有して構成され、2つの広い面積の三角形隆起端部支持体54、及び2つの広い面積の三角形隆起側部支持体56を備える。かかる支持体54及び56は、それらの間において、蓋52の上部表面上に「X」形状の低部又はくぼみ57を定義付ける。蓋52はまた、2つの下方向に延在する端部パネル58、及び2つの下方向に延在する側部パネル60を有する。かかる端部及び側部パネル58及び60は、図2に示される通り、トレイ基部62の上方に合う。蓋52は、複数の従来の技術によって実施され得るが、真空成形又はドローイングが特に適切である。一態様においては、蓋52は、標準ユーロトレイに適合するよう幅40cm及び長さ60cmであり得る。
【0046】
図6は、図5に示される蓋52の内側輪郭に適合するよう2つの側壁及び2つの端部壁上に平らではない上部エッジを有するトレイ基部の等角図を示す。具体的には、図6に示される通り、一個構成のトレイ基部62は、図5に示される蓋52の2つの端部支持体54及び2つの側部支持体56の内側に夫々適合する、2つの高さの上部エッジ64を有する2つの端部パネル63、及び2つの高さの上部エッジ66を有する2つの側部パネル65を有して構成される。基部62は、米国特許第5,575,418号;第5,609,293号;及び第6,050,412号に開示される種類の構造のように、間に気体透過性ポリマフィルムを有する従来の複数層の波形クラフト紙、あるいは2つ又はそれより多くのクラフト紙の層を有して形成され得る。基部の平らではない上部エッジが示される一方、本発明は直線的な上部エッジを有する基部を含む、ことが理解される。蓋の輪郭に適合する平らではない上部エッジは、積み重ねの目的に対して蓋及びトレイ基部のコンビネーションに強度を加えるため、望ましい。
【0047】
図7は、図1中の蓋の平面図である。図7に示される通り、蓋8は、各端部における一組の端部支持体4、及び各側部における3つの支持体6を備える。かかる隆起支持体は、それらの間における溝を備え、蓋の上方において冷却空気が循環され得るようにする。端部及び側部支持体4及び6の上部表面は粗くされ、トレイが積み重ねられるときグリップ性を高め、ずれを阻止する。
【0048】
図8は、図7中の蓋の側部正面図を示す。図8は、隆起端部支持体4、隆起側部支持体6、及び側部パネル12を示す。
【0049】
図9は、図7中の蓋の端面図である。図9は、端部パネル10、隆起端部支持体4、及び隆起側部支持体6を示す。
【0050】
図10は、図7中の断面10−10に沿ってとられた断面図であり、特には中心くぼみ範囲8及び一組の隆起側部支持体6を示す。
【0051】
図11は、図2に示される通り、トレイ基部に対するブランク(blank)の平面図である。特には、図11は、一組の側部パネル18及び一組の端部パネル16を有する板紙ブランクを示す。破線に沿って折り畳まれるとき、組み立てられる板紙ブランクは、図2に示される通り基部20を有するトレイ基部14を形成する。ブランクは典型的には、波形板紙を有して形成される。図11中の矢印27は、板紙ブランクの内側における波形縦溝の方向を示す。矢印27は、トレイが形成される板紙の波形縦溝の方向を示す。縦溝は、長手方向よりも横方向に延在する。この縦溝の向きは、基部に対して強度を与える。縦溝が長手方向に延在する場合、基部14は、長手方向に屈曲する傾向がある。
【0052】
図12は、本発明の図1,2及び7乃至11に示される実施例に従った、積み重ねられた蓋及びトレイ基部容器を荷積みされたパレットの群を有する標準ISO容器の平面図である。矢印25は、容器内の典型的な気流の方向を示す。
【0053】
図13は、図3に示される蓋の平面図である。具体的には、図13は、本発明に従った切り花を輸送するために使用される蓋36の平面図である。図13中の蓋は、各端部において一組の隆起ウェッジ形状端部支持体28、及び蓋36の各側部上の2つの群の4つの隆起側部支持体30を備える。端部支持体28及び側部支持体30の上部表面は、グリップ性を高めるよう粗くされ、蓋を有するトレイが積み重ねられるときにずれを阻止する。
【0054】
図14は、側部パネル34、並びに隆起端部支持体28及び隆起端部支持体30を有する、図13中の蓋の側部正面図を示す。支持体30の間の溝は、明確に示される。
【0055】
図15は、隆起端部支持体28、隆起側部支持体30、及び端部パネル32を有する、図13中の蓋の端面図である。
【0056】
図16は、図4に示されるトレイ基部に対するブランクの平面図である。具体的には、図16は、トレイ底部44、一組の端部パネル40、及び一組の側部パネル42を有する、切り花を包装及び輸送するよう適切である板紙ブランクを示す。隆起端部エッジ46及び隆起側部エッジ48も図示される。矢印47は、図16中のブランクを作るよう使用される板紙における波形縦溝の方向を示す。破線は、折目線を示し、ブランクが折り目線に沿って折り畳まれるとき、組み立てられたブランクは、図4に示されるトレイ基部を形成する。矢印47は、トレイが形成される板紙の波形縦溝の方向を示す。縦溝は、長手方向より横方向に延在する。この縦溝の向きは、基部に対して強度を与える。縦溝が長手方向に延在する場合、基部38は、長手方向に屈曲する傾向にある。
【0057】
図17は、本発明の図3,4及び13乃至16に示される実施例に従った、積み重ねられた蓋及びトレイ基部容器を荷積みされたパレットの一群を有する、標準ISO容器の平面図である。矢印45は、トレイのパレットが格納される容器における典型的な気流の方向を示す。
【0058】
図18は、2つの隆起した広い面積の三角形端部支持体54及び2つの隆起した広い面積の三角形側部支持体56を有する図5中の「X」対角線状溝付き蓋52の平面図を示す。該支持体は共に、蓋52の上部において「X」字型流路、低部、又はくぼみ57を形成する。蓋52は、生鮮果物、野菜、及び切り花の輸送及び積み重ねに対して強い調整気相包装を与えるよう、図6の調整基部62の上部にわたって適合され得る。2つの端部支持体54と側部支持体56との間において形成される流路は、積み重ねられたユーロトレイ間において空気を循環させ得る。4つの三角形に形成された支持体54及び56の広い面積は、広い荷重負担場所を与えるため、適切な数のトレイは、積み重ねにおける下部のトレイを破損又は圧壊することなく互いに積み重ねられ得る。支持体54及び56の広い面積は耐性も与えるため、トレイは、密接した配置で積み重ねられ得なくても依然として互いを支持する。支持体54及び56の上部表面は、グリップ性を高めるよう粗くされ得る。支持体54及び56の上部表面は、蓋の上部の上方における空気循環を高めるようそこに溝を有し得る。
【0059】
図19は、隆起側部支持体56及び隆起端部支持体54、及び側部60を有する、ユーロトレイの蓋52の側部正面図である。
【0060】
図20は、隆起端部支持体54、隆起側部支持体56、及び端部パネル58を有する、蓋52の端面図である。
【0061】
図21は、図18中の線21−21に沿って取られた断面図であり、2つの側部支持体56及び中央溝57を図示する。
【0062】
図22は、図6中のトレイ基部62を形成する波形板紙ブランクの平面図である。ブランクは、気体透過性フィルムの中間層(図示せず)を有し得る。ブランクは、図6に示される通り、基部62を形成するよう折り畳まれて組み立てられ得る。端部パネル64及び側部パネル66の上方エッジは可視である。矢印27は、トレイが形成される板紙の波形縦溝の方向を示す。縦溝は、長手方向ではなく横方向に延在する。この縦溝の向きは、基部に対して強度を与える。縦溝が長手方向に延在する場合、基部62は、長手方向において屈曲する傾向がある。
【0063】
図23は、本発明の更なる一実施例に従った容器を積み重ねて荷積みされたパレットの密接な一群を有する標準的なISO容器の平面図を示す。図23に見られる通り、太い線で示される各パレットは、並列関係に配置された3つの「X」ユーロトレイ包装及び、及び端部と端部とが接する関係において配置される2つの「X」ユーロトレイ包装を有する。蓋の上部における「X」字型の流路又は溝は、冷却空気を積み重ねられた蓋及び基部包装を介して循環させ得る。また、2つの端部支持体及び2つの側部支持体の三角形形状は、積み重ねられたトレイに対して大きな荷重負担面積を与え、圧壊を最小限に抑える。
【0064】
図24は、凹状の側部及び端部を有する調整ユーロボックスの等角図である。図24に示される通り、調整ユーロトレイ50は、標準的な輸送容器仕様、即ち40cm×60cmに寸法を定められ、下方向に凹状の側部53及び下方向に凹状の端部55を備える。図24に示される実施例において、トレイ50はまた、強化された角部57を備え、トレイが積み重ねられるようにし得る。凹状の側部53及び端部55は、冷却された空気が積み重ねられたユーロトレイ50の側部及び端部の両方を介して循環し得るようにする。トレイ50の深さは、複数層のボックスが梱包され得るよう2倍又はそれ以上に増大され得る。図24に示されるトレイは、2006年7月20日出願、米国特許出願番号第11/458,951において開示される。
【0065】
図25は、本発明のMAPボックスの等角図である。MAPボックス61は、波形板紙基部63及び透明な蓋65を備え、該蓋は、上部にわたって並びに基部63の側部を部分的に下方向にぴったりと適合する下方向に延在する側部67を有する。透明な蓋65は、ボックス61を開封することなくMAPボックス61の内容物を見られるようにする。側部67は、ボックス61内部におけるMA環境に対する密封を与えるよう、基部63に対してテープで貼られ得る。
【0066】
図26は、複数のMAP包装を保持する調整ユーロボックスの等角図である。図26に示される通り、調整ユーロトレイ50は、補強された角部、凹状の側部53及び端部55を有し、MAボックス61の列で満たされる。MAボックス61は、場合によっては生鮮果物、野菜、又は花を積載される。図26では3列×4、合計12のMA容器61が示されるが、容器の寸法は変更され得るため、1つのユーロトレイに対して6又は8個のMA包装等である更なるMA容器が調整ユーロトレイ50を満たし得る、ことは理解される。また、トレイ50の深さは、2層又はそれより多くの層のボックス61を保持するよう増大され得る。
【0067】
図27は、蓋の周囲において複数の隆起支持体を有するMAPボックスの他の一実施例の等角図である。図27に示される通り、MAPボックスの蓋70は、その周縁において複数の隆起支持体72を備える。かかる支持体72は、MAPボックスが積み重ねられるようにし、空気を蓋の間における溝を介して循環させる。
【0068】
図28は、角部において隆起支持体を有するMAPボックスの更に他の一実施例の等角図である。図28に示される通り、MAP蓋74の他の設計は、4つの角部において位置付けられた隆起支持体76を備える。かかる支持体76は、MAPボックスが積み重ねられるようにし、空気を蓋の間における溝を介して循環させる。
【0069】
図29は、MAPボックス基部上に取り付けられる隆起支持体を有するMAPボックスの更に他の一実施例の等角図である。図29に示される通り、図27に示されるMAP蓋70は、MAPボックス基部78上に載せられる。隆起支持体72は、MAPボックスが積み重ねられるようにし、空気を蓋の間における溝を介して循環させる。
【0070】
調整蓋及びトレイは望ましくは、標準化された輸送容器仕様(ISO仕様)、即ち幅40cm×長さ60cmに寸法取りされる。図1中の蓋2及び図3中の蓋26の溝、及び図5中の蓋52の「X」構造の対角線状溝は、積み重ねられるときに冷たい空気を蓋及び基部コンビネーションの側部及び端部を介して循環させ、調整気相包装された農産物を最善の状態に維持することができる。
【0071】
生鮮果物及び野菜の格納寿命は、格納温度、農産物の周囲の気体組成、及び、傷み、傷、切断に繋がる物理的な衝撃(乱暴)の度合いに依存する。格納寿命をのばし、物理的衝撃を低減し、農産物の水分損失率を弱める等の特徴を与える適切な包装システムにおいて農産物を包装することによって、果物及び野菜の格納及び運搬は促進される。
【0072】
波形板紙ボックス及びカートンは、以下の理由によって生鮮果物及び野菜の格納及び運搬に対して商業的に使用される:
1.単位体積あたりの比較的低いコスト;
2.低い熱伝導率;
3.農産物の傷みを防止するための衝撃吸収性能;
4.受領側での容易な廃棄;及び、
5.適度な積み重ね強度。
【0073】
波形板紙は大変高いO及びCO透過率を備えるため、この材料自体は、一般的にはMAPボックスの更に他包装システムの構造に対しては不適切である。しかしながら、本発明に従ったMAP蓋及び基部包装において、基部は、米国特許第5,574,418号及び第5,609,293号において開示される通り、中間気体透過性フィルムを有する板紙構造で形成され得る。板紙構造において気体透過性ポリマを利用することによって、蓋は、気体遮断、あるいは特定気体又は湿度透過性を与えるよう製造され得る。
【0074】
場合によっては、気体透過性ポリマを有して形成される蓋を有することが望ましいこともあり得る。気体透過性ポリマの蓋は、所望される酸素(O)及び二酸化炭素(CO)透過性を作るよう選択されるキャリパ、及び、特定の構築を有する共押出し層又は単層として作られるコポリマ又はホモポリマから形成され得る。ポリマは通常、ポリオレフィン系(ポリオレフィンファミリー)から選択され、典型的には低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度及び高密度ポリエチレン(MDPE及びHDPE)、ポリプロピレン(PP)から選択される。
【0075】
本発明の更なる独特な実施例は、上部にできた可変の気体組成下で内部均衡を維持するための基部及び蓋の性能である。基部及び蓋の気体透過性は、包装された農産物が二酸化炭素を吸収し始める場合に、従来のMAPシステムにおいて発生し得る真空状態進行を防ぐ。かかる状態が透過性基部及び蓋において進行した場合、基部における気体透過性ポリマを介する気体の制御された流入は、蓋及び基部の内部における上部にできた空間において有害な真空を進行させない。
【0076】
特定の農産物の用途に対して、基部及び蓋コンビネーション内における気体交換率は、気体透過性中間ポリマフィルム層の制御されたフィルム気孔率によって達成され得る。気孔率はまた、波形押し(corrugating)段階、ダイカット工程、ボックス形成段階、又は完成されたボックスのうちいずれかにおいて、ポリマ含有内側ライナーを介する所定の穴を開けることによって達成される。単数又は複数の穴の寸法は、所望される気体交換率に依存して変わり得るが、典型的な穴の直径は、0.25乃至2.00mmの範囲にある。基部又は蓋における穴の位置は、基部及び蓋コンビネーション内における気体流力学及び各包装された農産物に対する最善の場所において変わり得る。農産物が基部及び蓋コンビネーションにおいて包装され次第、所望に応じて、蓋は、テープ又は他のなんらかの密封機構によって基部に対して密封され得る。
【0077】
本発明の蓋及び基部を介する酸素(O)及び二酸化炭素(CO)の気体交換率は、望ましくは1気圧24時間50−100,000cc/mの範囲内であるべきである。
【0078】
また、以下の追加的な要因は、均一なポリマ特徴が達成される場合に非常に制御されなければならない、ことが判明している:
・工程条件: 押出し比(extrusion rate)、溶融温度、溶融圧、ニップ圧、チルロール温度、波形押し工程条件、ボードダイカット条件。
・ポリマ特徴: メルトフローインデックス、添加剤(処理補助(processing aids)。
・紙特徴: 線維長、バージンパルプ又は古紙パルプ、潤滑な側部又は粗い側部、光沢工程を有するかあるいは有さない。
【0079】
望ましくはユーロトレイの寸法を有する基部は、三層複合体を形成するためのクラフト紙の2つのシートの間に挟まれるプラスチックフィルム膜、又はクラフト紙の複数の層を有して構成され得る。フィルム膜は、気体透過性プラスチックフィルム又はクラフト紙のシートの1つに対して与えられるプラスチックコーティングであり得、2つの近接するシート間において密封され得る。膜は、プラスチックが半溶融状態にあり2つの紙シートが共にプレスされるときに両方のクラフト紙のシートに対して接着され得る。
【0080】
25g/mの低密度ポリエチレンが使用され、40g/mの及び125g/mのMGクラフト上に押出しラミネートされたとき、O及びCO透過率は、夫々1気圧24時間1300及び2200cc/mであった。17%のEBA及びLDPEの35g/mコーティングが押出しラミネートされたとき、O及びCO透過率は、夫々1気圧24時間2300及び4700cc/mであった。
【0081】
研究は、波形板紙ボックスにおける密封されたポリメリックプラスチックフィルム袋において包装された果物及び野菜において実行されている(1989年Prince)。しかしながら、袋が入ったボックスを使用することの複数の不利点は以下の通り明らかである:
1.農産物組織における呼吸CO溶解によって作られる負圧下において袋の縮みと共に農産物の周囲における上部にできた空間の損失。
2.2つの包装、即ち袋とボックスの余分な取扱い。
3.袋フィルムの厚さは、取扱中の袋の耐用性を確保するよう少なくとも6ミルでなければならず、袋の高い包装コスト及び低い気体透過性が避けられない。
4.薄いプラスチックフィルムは、農産物から放出される水分凝縮に対して冷たい表面として作用する。
【0082】
密閉密封されたMAボックスへの気体の注入による益は、漏れ検出方法として典型的にはヘリウム又は硫黄六フッ化物である微量気体を有することが可能である、という点である。もしもMAボックスが気孔率ではなく気体透過性に依存するなら、クラック、所望されないピンホール、又は欠陥の接着剤密封を介して気体の抜けを検知することは可能である。
【0083】
入口開口への気体ノズルの挿入時、並びに包装システムの上部にできた空間を介する加圧気体混合物の流れにおいて、通気用ピンホールを有するプラグ又は発泡スチレンプラグは、高い呼吸速度を有する農作物に対して使用され得、気体不透過性プラスチックプラグは、低い呼吸速度の農作物に対して使用され得る。
【0084】
複数の典型的な態様及び実施例が上述されてきたが、当業者は、それらの特定の修正、置換、追加、及びサブコンビネーションを認識する。したがって、添付の請求項は、かかる修正、置換、追加、及びサブコンビネーションを有し、真の趣旨及び範囲内である、ことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体透過性調整気相包装コンビネーションであって、
(a) ポリマを有して構成される蓋と、
(b) 基部と、
を有し、
前記蓋は、その上部表面上において、各側部の中央領域に複数の隆起負荷支持体と、中間溝とを備え、
前記基部は、波形クラフト紙ポリマで構成される中空の内部を有し、また上部エッジにおいて前記蓋の内部輪郭に適合する構造を備え、
前記溝は、1つの包装コンビネーションが他の包装コンビネーション上に積み重ねられるときに前記蓋の上方において空気が循環され得るようにする、
コンビネーション。
【請求項2】
前記蓋の前記上部表面は、その周囲において、各端部の前記中央領域に少なくとも1つの隆起負荷支持体と、各側部の前記中央領域に少なくとも1つの隆起負荷支持体と、前記隆起端部負荷支持体と前記隆起側部負荷支持体との間におけるくぼみ範囲と、を備える、
請求項1記載のコンビネーション。
【請求項3】
前記蓋の前記上部表面は、その周囲において、各端部の前記中央領域に少なくとも2つの隆起負荷支持体と、前記蓋の2つの側部の各々の前記中央領域に少なくとも3つの隆起負荷支持体と、前記隆起端部負荷支持体と前記隆起側部負荷支持体との間におけるくぼみ範囲と、を備える、
請求項1記載のコンビネーション。
【請求項4】
前記蓋の前記上部表面は、その周囲において、各端部の前記中央領域に少なくとも2つの隆起負荷支持体と、前記蓋の2つの側部の各々の前記中央領域に少なくとも4つの隆起負荷支持体と、前記隆起端部負荷支持体と前記隆起側部負荷支持体との間におけるくぼみ範囲と、を備える、
請求項1記載のコンビネーション。
【請求項5】
前記蓋の前記上部表面の角部は、対角溝を備える、
請求項1記載のコンビネーション。
【請求項6】
前記蓋の前記側部における前記溝は横方向に配置され、前記蓋の前記端部における前記溝は長手方向に配置される、
請求項1記載のコンビネーション。
【請求項7】
前記蓋の前記表面の前記溝は、「X」型パターンを備える、
請求項1記載のコンビネーション。
【請求項8】
前記蓋及び前記基部は、長さ60cm及び幅40cmである、
請求項1記載のコンビネーション。
【請求項9】
前記基部は、クラフト紙の第1の外側層と、波形クラフト紙の第1の中間層と、ポリマの第2の中間層と、クラフト紙の第2の外側層と、を有する、
請求項1記載のコンビネーション。
【請求項10】
前記基部における前記ポリマは、エチレン酢酸ビニル(EVA)と、エチルブチルアセテート(EBA)と、架橋アイオノマー樹脂と、キャストポリエステル(PET)と、ポリアミドと、ポリカーボネート(PC)と、を有する群から選択される、
請求項1記載のコンビネーション。
【請求項11】
前記ポリマは、低密度ポリエチレンである、
請求項1記載のコンビネーション。
【請求項12】
前記ポリマは、高密度ポリエチレンである、
請求項1記載のコンビネーション。
【請求項13】
前記ポリマは、低密度ポリエチレンとエチレンブチルアセテートとのコポリマである、
請求項1記載のコンビネーション。
【請求項14】
前記基部の前記ポリマの気体透過率は、1気圧24時間50乃至100,000cc/mである、
請求項1記載のコンビネーション。
【請求項15】
気体透過性調整気相包装に対する蓋であって、
周囲において配置される複数の隆起負荷支持体及び中間溝を有する上部表面を有し、
前記溝は、1つの包装が他の包装上に積み重ねられるときに前記蓋の上方において空気が循環され得るようにする、
蓋。
【請求項16】
当該蓋の各端部は、その中央領域において少なくとも1つの隆起負荷支持体を備え、当該蓋の各側部は、その中央領域において少なくとも1つの隆起負荷支持体を備え、くぼみ範囲は、前記隆起端部負荷支持体と前記隆起側部負荷支持体との間において存在する、
請求項15記載の蓋。
【請求項17】
当該蓋の各端部は、前記中央領域において少なくとも2つの隆起負荷支持体を備え、当該蓋の各側部は、前記中央領域において少なくとも3つの隆起負荷支持体を備える、
請求項15記載の蓋。
【請求項18】
当該蓋の各端部は、前記中央領域において少なくとも3つの隆起負荷支持体を備え、当該蓋の各側部は、前記中央領域において少なくとも4つの隆起負荷支持体を備える、
請求項15記載の蓋。
【請求項19】
当該蓋の前記側部における前記溝は横方向に配置され、当該蓋の前記端部における前記溝は長手方向に配置される、
請求項15記載の蓋。
【請求項20】
当該蓋の前記上部表面は、当該蓋の4つの角部の各々において対角線上に配置される溝を備える、
請求項15記載の蓋。
【請求項21】
当該蓋の前記表面の前記溝は、「X」型パターンを備える、
請求項15記載の蓋。
【請求項22】
当該蓋は、長さ60cm及び幅40cmである、
請求項15記載の蓋。
【請求項23】
当該蓋は、透明なポリマを有して形成される、
請求項15記載の蓋。
【請求項24】
前記ポリマは、低密度ポリエチレンである、
請求項15記載の蓋。
【請求項25】
前記ポリマは、高密度ポリエチレンである、
請求項15記載の蓋。
【請求項26】
当該蓋は、平面的な上部表面を備え、透明な材料を有して形成される、
請求項15記載の蓋。
【請求項27】
当該蓋の前記上部表面は、四角形又は矩形であり、前記透明な材料は、透明なポリマである、
請求項26記載の蓋。
【請求項28】
当該蓋は、板紙で構成される中空の基部上に展開される、
請求項26記載の蓋。
【請求項29】
調整気相ボックス基部に対する蓋であって、
当該蓋は、透明なポリマを有して形成され、四角形の構造を有する上部表面、周囲において位置付けられる複数の隆起負荷支持体及び中間溝を備える、
蓋。
【請求項30】
前記隆起支持体は、当該蓋の上部側部の中央領域において位置決めされる、
請求項29記載の蓋。
【請求項31】
前記隆起支持体は、当該蓋の前記上部側部の角部において位置決めされる、
請求項29記載の蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公表番号】特表2010−530337(P2010−530337A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511452(P2010−511452)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001056
【国際公開番号】WO2008/151404
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(509341570)フレッシュエクステンド テクノロジーズ コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】