説明

対戦式ゲーム装置

【課題】ゲームの高揚感を演出するために、各競技者の点数、勝敗、点差など、相手方競技者との関係から、ゲームの相対的な戦況を反映した音声の出力を可能とする対戦式ゲーム装置を提供することを課題とする。
【解決手段】各競技者の点数データを生成する点数データ生成手段と、生成された点数データと対戦相手の点数データとを比較して優劣を判定する判定手段と、判定された結果に対応する各種音声データを保存する保存手段とを有し、上記判定結果に対応する音声データを読み出して、この音声データに基づき音声信号を合成する音声信号生成手段と、生成された音声信号を音声として出力する音声出力手段とを有する対戦式ゲーム装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の競技者が点数を競って勝敗を決定する対戦式ゲーム装置、特に、ゲームの進行に応じた音声出力機能を有する対戦式ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゲーム装置、特に対戦式ゲーム装置では、ゲームの進行状況に応じて音声を出力することにより、ゲームの興趣を高める演出がなされるようになってきている。たとえば、従来、自動車や飛行機などの移動体画像から構成される音源オブジェクトの画像形成と音源制御を画像表示の同一フレーム周期において行なうことにより、オブジェクトの画像表示と発声とが同期するゲーム装置が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−211358(請求項1の記載)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、対戦式ゲームの場合は、ゲーム進行途上の勝敗の如何に応じた音声の出力が競技者にとって最高のモチベーション高揚につながる。
【0004】
しかし、上記従来技術では、画像のオブジェクトに対応する音声を出力するものであるため、ゲームの臨場感は演出できるものの、競技者の勝敗に直結するモチベーションの高揚に資する音声を出力することはできなかった。
【0005】
この高揚感は、たとえば、単に、各競技者の勝敗、点数を音声で出力しただけでは、不十分である。また、たとえば、数値上同じ点数であっても、相手方競技者の点数や点差、ゲームの前半、後半といった状況に応じて点数の相対的価値が異なる場合もある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、上記高揚感を演出するために、各競技者の点数、勝敗、点差など、相手方競技者との関係から、ゲームの相対的な戦況を反映した音声の出力を可能とする対戦式ゲーム装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明にかかる 対戦式ゲーム装置は、2以上の競技者が点数を競って勝敗を決定する対戦式ゲーム装置であって、各競技者の点数データを生成する点数データ生成手段と、生成された点数データと対戦相手の点数データとを比較して優劣を判定する判定手段と、判定された結果に対応する各種音声データを保存する保存手段とを有し、上記判定結果に対応する音声データを読み出して、この音声データに基づき音声信号を合成する音声信号生成手段と、生成された音声信号を音声として出力する音声出力手段とを有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、各競技者の点数データを比較して優劣を判定したうえで、この判定結果に対応する音声を生成、出力することができる。
【0009】
上記判定手段は、判定する時点の各競技者の勝敗、点数、点差のうち、1以上から優劣を決定する。各競技者の勝敗、点数、点差を判定要素として優劣を決定するため、1の競技者の点数が同じ点数であっても、相手方競技者との関係で異なる判定結果を得ることができる。
【0010】
上記判定する時点は、ゲームのルールに従い、ゲームが一時的に中断する時点である。ゲームが一時的に中断する場合とは、たとえば、攻撃する競技者が交代する場合、複数ラウンドの対戦結果で勝敗を決定するゲームで、各ラウンドが終了した場合などである。
【0011】
なお、上記点差は、判定する時点で、少なくとも、対戦相手との点差の増減の有無及び点差の増減の大小を判断するようにしてもよい。また、上記点差は、判定する時点で、相手方競技者(相手方競技者は複数であってもよい)に対して逆転したか否かを判断するようにしてもよい。
【0012】
上記判定手段は、ゲームの前半と後半とを区別して優劣を決定するようにしてもよい。これは、相手方競技者との関係を直接示す判定要素ではないが、ゲームの前半と後半とでは、数値上同じ点数、点差であっても、勝敗への影響度が異なるため、この影響度に対応して異なる音声を出力させるためである。
【0013】
上記保存手段は、上記判定結果に応じて異なる音量情報によって構成された音声データを保存している。すなわち、判定結果の違いを音量の大小の違いで出力するものである。
【0014】
また、上記保存手段は、上記音量情報に加えて、または、上記音量情報に代えて、上記判定結果に応じて異なるイントネーション情報によって構成された音声データを保存するようにしてもよい。すなわち、判定結果に違いに応じて、音声のイントネーションを上下させ、または水平なイントネーションにするものである。
【0015】
上記音量の大小とイントネーションとの組み合わせにより、たとえば、音量を6段階にし、イントネーションを3つのバリエーションに設定すれば、上記音声データは、18種類のバリエーションを形成することができる。
【0016】
2以上の上記対戦式ゲーム装置をインターネット網等の通信ネットワーク網で接続し、これらの対戦式ゲーム装置を介して上記2以上の競技者が対戦する場合には、各対戦式ゲーム装置の上記点数データ生成手段と判定手段と保存手段と音声信号生成手段と音声出力手段とが、この対戦に対応して機能するように構成してもよい。このような構成にすることにより、遠隔地間であっても、複数の競技者が同一ゲームで対戦し、その戦況に応じて音声を出力することができる。
【0017】
上記対戦式ゲーム装置が、少なくとも、所定の高さ寸法を有する筐体と、複数の得点領域に区画されたターゲットと、所定画像を表示する表示手段とから構成され、所定位置から上記競技者がターゲットに向かってダーツを投擲し、投擲したダーツがターゲットのいずれかの得点領域に衝突すると、対応してターゲットの裏側に設けられた合成樹脂シート上のいずれかのスイッチが圧迫されて回路が作動し、筐体に内蔵したマイコンによってダーツが衝突した得点領域が特定され、電子的に自動で得点をつけて表示手段に表示するダーツマシーンであってもよい。
【0018】
このダーツマシーンの場合、音量情報は、最小音量と最大音量の差が7デシベル(dB)から10デシベル(dB)の範囲内で、1デシベル(dB)から1.5デシベル(dB)の間隔で設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる対戦式ゲーム装置は、相手方競技者との関係を各競技者の点数、勝敗、点差などの判断要素に従って判定し、この判定結果に応じてゲームの相対的な戦況を反映した音声、すなわち、競技者の勝敗に直結するモチベーションの高揚に資する音声の出力が可能になり、当該ゲーム装置の利用者の興趣を高めるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1を参照して、1は、本発明にかかるダーツマシーンである。本実施の形態では、対戦式ゲーム装置として、以下、ダーツマシーン1を例に説明するが、特許請求の範囲記載の発明から逸脱しない限り、ダーツマシーン1に限定されるものではない。
【0021】
ダーツマシーン1は、所定の高さ寸法を有する筐体に、複数の得点領域に区画されたターゲット部11と、ダーツマシーン1の動作の制御部12と、所定事項を表示するFPDなどの表示部13と、スピーカにより音声を出力する音声出力部14とを有する。
【0022】
このダーツマシーン1は、複数の種類のゲーム(たとえば、一般に「01ゲーム」「クリケット」など)を上記制御部12のセレクトボタンによって選択することができる。いずれのゲームも、基本的には、所定位置から競技者が矢(ダーツ)を投擲し、投擲したダーツがターゲット部11のいずれかの得点領域に衝突すると、衝撃感知したセンサが作動し、筐体Bに内蔵したマイコンによってダーツが衝突した得点領域として特定され、電子的に自動で得点をつけて表示部13で表示される。
【0023】
図2は、ダーツマシーン1の機能ブロック図を示したものである。図2で示した各機能は、本発明の機能を説明するために直接必要な機能のみを記載したものであり、ここに記載した機能以外の機能を備えていてもよい。
【0024】
ダーツマシーン1は、たとえば、2人の競技者が対戦する場合、上記の通り、一方の競技者がダーツを投擲し、ターゲット111のいずれかの得点領域に衝突すると、衝撃感知するセンサ112が作動する。このセンサ112は、ターゲット111の裏側に設けられた合成樹脂シート上のスイッチ(図示せず)のうち、上記衝突した得点領域に対応したスイッチが圧迫されて回路(図示せず)が作動するように構成されている。
【0025】
ところで、ダーツマシーン1は、上記の通り、マイコンで制御されている。従って、後述する得点データの処理、画像処理、音声処理などは、CPU121によって実行される。このときCPU121が上記各処理を行なうために受け取るデータを読み書きし、読み込んだデータを一時的に保管する場所としてメモリ122が設けられている。
【0026】
ダーツマシーン1は、上記の通り、通常、1台で複数の種類のゲームをプレイすることができる。従って、これら各種ゲームプログラムを予め格納するゲームプログラム格納部123を設け、上記セレクトボタンで所定のゲームが選択されると、CPU121は、このゲームプログラム格納部123から、選択されたゲームプログラムをメモリ122上で読み出して、選択されたゲームがプレイ可能な状態になる。
【0027】
ゲームが開始され、上記の通り、センサ112によって衝撃感知され、上記回路が作動すると、得点データ生成部124は、ダーツが衝突した得点領域の電子信号を得点データとして生成する。
【0028】
生成された得点データは、CPU121から画像処理、音声処理の命令を出すために、メモリ122に読み込んで保管される。判定部125では、保管された得点データに対応する画像データを画像データ保存部131から画像生成部132上に読み出し、また、保管された得点データに対応する音声データを音声データ保存部141から音声生成部142上に読み出すように命令する。画像データ保存部131及び音声データ保存部141は、各種ゲームで想定しえる得点データに対応する画像データ、音声データを予め保存している。
【0029】
画像生成部132では、公知のテクスチャマッピングなどの画像処理を行い、モニター133で画像を表示する。
【0030】
音声信号生成部142では、上記読み出された音声データを公知のエフェクト処理、ミキシング処理等の音声処理を実行し、D/Aコンバータでアナログ信号に変換し、スピーカ143で音声を出力する。
【0031】
図2では、ダーツマシーン1単体でゲームが行なわれる場合を説明したが、2以上のダーツマシーン1をインターネット網等の通信ネットワーク網で接続し、これらのダーツマシーン1を介して2以上の競技者が対戦するようにしてもよい。この場合、たとえば、各ダーツマシーン1は上記通信ネットワーク網を介して接続されている制御サーバ(図示せず)によって制御され、図2で示した各機能は、これらの複数のダーツマシーン1間の対戦に対応して画像データを表示し、音声データを出力するようにしてもよい。このような態様により、遠隔地間でも本発明にかかるダーツマシーン1のゲームをプレイすることが可能になる。
【0032】
図3は、図2で説明した音声データ保存部141の音声データテーブルの例を示したものである。
【0033】
本実施の形態で示しているダーツマシーンを使用した大会では、決勝戦などで、ターゲットから離れた観客にも得点がわかるように、得点の読み上げを担当する係(「コーラー」という)がいる。コーラーは、競技者の対戦結果、戦況などを勘案し、音量、イントネーションなどにバリエーションをつけて得点を読み上げる。たとえば、数値的に同じ得点であっても、対戦相手との関係など、競技の状況に応じて異なるバリエーションを付加し、ゲームを盛り上げる。
【0034】
そこで、本発明では、このコーラーの音声のバリエーションを自動的に生成するため、詳細に戦況に応じた音声データテーブルを設けたものである。本実施の形態では、「得点」、「対戦相手の結果」、「(自己の)3本目の結果」、「勝敗」、「ゲームの前半後半」、「点差」を上記バリエーションを設けるための要素としているが、これに限定される趣旨ではなく、これらの要素以外の要素を付加してもよく、また、これらの要素の一部だけにしてもよい。
【0035】
「得点」は、1点から180点まで1点刻みに音声データが設定されている。図3では、1点と120点の部分だけ、音声データの例を記載した。「対戦相手の結果」は、本実施の形態では、低、中、高の3区分とした。具体的には、たとえば、得点を低:0〜60、中:61〜100、高:101〜180のように区分すればよい。
【0036】
「3本目の結果」とは、1ラウンドごとの結果をいう。すなわち、ダーツゲームの場合、例えば、ラウンドリミットを10ラウンドとする、というように複数ラウンドを交互に投擲して、勝敗を決めるが、通常、1ラウンド当たり3回投擲し、コーラーは、1投ごとに得点を読み上げると同時に、各ラウンドごとの得点も読み上げる。そこで、本実施の形態では、3本目の結果の音声データを「普(普通)」と「良(良好)」とに分けて区分した。具体的には、たとえば、得点を普:0〜49、良:50〜60のように区分すればよい。
【0037】
「勝敗」は、各ラウンドが終了した時点で、相手方競技者との関係で、勝っているのか、負けているのか、で区分したものである。
【0038】
「ゲームの前半後半」は、数値的に同じ点数でも、ゲームの後半の方が、最終的な勝敗への影響が大きいため、区分したものである。ゲームの前半と後半の区分は、たとえば、「01ゲーム」の場合、いずれか一方の競技者の残点数が、180点以下になった場合に後半戦と判断すればよい。
【0039】
最後に、それぞれ相手方競技者との「点差」の違いによって細かく区分している。本実施の形態では、各ラウンドごとに、相手方競技者との点差が、広がった場合を「差大」、縮まった場合を「差小」、点差が変らない場合を「同じ」とし、さらに、負けている場合に、ゲーム前半で逆転した場合は「逆転」の区分を設けた。なお、同じく、負けている場合でも、ゲーム後半で逆転した場合は、「逆転アレンジ」として、前半の単なる「逆転」とは区別している。一方、勝っている場合は、ゲーム前半では、「差小」「差大」「同じ」のみとなるが、ゲーム後半では、「差小」「差大」「同じ」のほかに、「ナイスアレンジ」を設けた。
【0040】
ここで、「アレンジ」とは、たとえば、「01ゲーム」において、最終の投擲をするために、持ち点の残りをうまく調整するためのスローのことをいう。すなわち、ダブルアウトの時には、残りを「50」または「40以下の偶数」にすることである。
【0041】
各要素について、音声データは「1D」「2L」「3U」などの表示になっている。数字は、音量の大小を示し、1〜6までの段階がある。アルファベットは、イントネーションを示し、「U」はトーンを「上げる」を意味し、「L」はトーンが「普通」(イントネーションの「上げる」「さげる」をつけないこと)を意味し、「D」はトーンを「下げる」を意味する。従って、6つの音量レベルと、3つのイントネーションレベルの組み合わせにより、18個の音声データのバリエーションを設けることができる。
【0042】
上記音量の各段階のレンジは、ダーツマシーン1の設置する場所、環境によって調整できるようにすればよい。
【0043】
たとえば、ダーツマシーンを設置するごく平均的な店舗として、天井高2.6m、ダーツマシーン1から左右の壁まで5m、ダーツマシン1までの距離2.5mの位置で、通常時の音量を76デシベル(dB)で設定し、音量を少しずつ、上げていったところ、ゲーム装置の音声としては、86〜87デシベル(dB)を超えるところで、かなりのストレスを感じることがわかっている。また、1デシベル(dB)以下の音量差では、違いを聴別することが困難な場合がある。
【0044】
そこで、ダーツマシーン1について、音量の違いが聴別できるレンジは、最小音量と最大音量の差が7デシベル(dB)から10デシベル(dB)の範囲内で、1デシベル(dB)から1.5デシベル(dB)の間隔で設定することが好ましい。
【0045】
なお、ゲームの開始と終了時は、戦況に関係なく、一定の音声データであればよい。従って、本実施の形態では、スタートの音声データを一律「3U」とし、フィニッシュの音声データを一律「2D」として別テーブルを設けた。
【0046】
図4から図7は、ダーツマシーン1の音声処理フローを示したものである。本実施の形態では、2人の競技者による「01ゲーム」を例に、図3の音声データテーブルに基づいて、処理フローを例示した。競技者のいずれか一方の残点数が180点以下になったところで、ゲームを後半戦とし、ラウンドリミットは10として設定した。なお、処理フロー中、「P」は、得点(ポイント)を意味し、「R」は、ラウンドを意味する。
【0047】
図4は、ダーツマシーン1の音声処理の全体動作を示すフローである。ダーツマシーン1が、起動し、ゲーム種(本実施の形態の場合は、「01ゲーム」)が選択され、ゲームが開始されると、まず、先攻の競技者1、後攻の競技者2(以下、それぞれ「競技者1」「競技者2」という)の双方の残点数が180点より大きいかどうか(P>180)を判断する(S1)。
【0048】
P>180であれば、音声データテーブルの前半テーブルを選択する(S2)。次に、ラウンドが、第1ラウンドか否か(R=1)を判断する(S3)。R=1ならば、R=1の音声処理を実行し(S4)、R≠1ならば、第2ラウンド以降と判断し、P>180の音声処理を実行する(S5)。
【0049】
一方、競技者1、2のいずれか一方がP>180となった場合(すなわち、競技者1、2のいずれか一方の残点数が180点以下となった場合)、後半テーブルを選択する(S6)。
【0050】
ゲームの後半戦では、競技者1,2のいずれか一方の残点数が0にならないか(P≠0)、又はラウンド数が9以下であるか(R≧9)を判断する(S7)。P≠0又はR≧9である限り、P≠0又はR≧9の音声処理をし(S8)、競技者1,2のいずれか一方がP=0となるか、R=10となった時点でフィニッシュ音声の出力処理をし(S9)、ゲームが終了する。
【0051】
図5は、図4のR=1の音声処理のサブルーチンを示すフローである。最初に、スタート音声が出力され(S401)、競技者1の第1ラウンドが開始される。競技者1の第1ラウンドが終了するまで、すなわち、3投目が投擲されるまで、第1ラウンドが続行される(S402)。第1ラウンドが終了すると、競技者2にチェンジする(S403)。
【0052】
競技者2にチェンジすると、図3で説明したように、競技者1の得点を低、中、高の3区分で評価し、この評価に基づく競技者2のテーブルが選択される(S404)。競技者2のスタート音声が出力され(S405)、競技者2が3投目を投擲するまで第1ラウンドが続行する(S406)。
【0053】
競技者2の第1ラウンドが終了すると、競技者2の得点により、得点テーブルが特定され(S407)、競技者2の得点と競技者1の得点とを比較して、競技者2が競技者1に勝っているかを判断する(S408)。
【0054】
競技者2が勝っている場合は、図3で説明した「勝っている」のテーブルが選択される(S409)。次に、同じく図3で説明したように、競技者2の得点が良好か普通かを判断し(S410)、良好であれば「良」のテーブルが選択される(S411)。ここでは、第1ラウンドであるから、点差の増減について比較の対象(即ち、前ラウンドの得点)がないため、点差のテーブルでは、「同じ」のテーブルが選択される(S412)。以上の処理により、競技者2が勝っている場合の音声データが特定され、この音声データに基づいて図2で説明した音声信号生成部142で音声処理が実行され、スピーカ143で音声が出力される(S413)。競技者2の得点が普通であれば「普」のテーブルが選択され(S414)、S412同様、点差のテーブルは「同じ」が選択され(S415)、特定された音声データに基づき音声が出力される(S416)。
【0055】
一方、競技者2が負けている場合は、「負けている」のテーブルが選択される(S417)。その後のS418からS424までの処理は、上記S410からS416と同じである。
【0056】
図6a及び図6bは、図4のP>180の音声処理のサブルーチンを示すフローである。すなわち、同一ラウンドにおける競技者1の処理フロー(図6a)と競技者2の処理フロー(図6b)であり、P>180という条件下で、図6aから図6bの処理フローが繰り返される。
【0057】
図6aを参照して、まず、上記条件下で競技者1の所定のラウンドが終了すると(S501)、競技者1の得点テーブルが選択される(S502)。次に、競技者2の前ラウンドまでの得点に基づく競技者1のテーブルが選択される(S503)。
【0058】
競技者1が競技者2に勝っているか、負けているかを判断し(S504)、勝っている場合には、「勝っている」のテーブルが選択される(S505)。次に、競技者1の得点が良好か普通かを判断し(S506)、良好であれば「良」のテーブルが選択される(S507)。
【0059】
前ラウンドと比較して、点差が同じかどうかを判断し(S508)、同じであれば点差のテーブルは「同じ」が選択され、「同じ」の音声データが読み出され(S509)、この音声データに基づいて音声が出力される(S510)。
【0060】
点差が異なる場合は、点差が大きくなったかどうかを判断する(S511)。点差が大きくなった場合は、点差のテーブルは「差大」が選択され、「差大」の音声データが読み出され(S512)、この音声データに基づいて音声が出力される(S513)。点差が小さくなった場合は、点差のテーブルは「差小」が選択され、「差小」の音声データが読み出され(S514)、この音声データに基づいて音声が出力される(S515)。
【0061】
上記S506で競技者1の得点が普通と判断された場合は、「普」のテーブルが選択される(S516)。その後のS517からS524までの処理は、上記S508からS515と同じである。
【0062】
上記S504において、競技者1が競技者2に負けていると判断したい場合は、「負けている」のテーブルが選択される(S525)。その後のS526からS547までの処理は、上記S506からS524と同じである。ただし、「良」のテーブルが選択され(S527)、前ラウンドと比較して、点差が異なると判断した場合(S528)、上記S511のように点差の大小を判断する前に、逆転したかどうかの判断が追加される(S531)。逆転した場合は、点差のテーブル「逆転」が選択され、「逆転」の音声データが読み出され(S532)、この音声データに基づき音声が出力される(S533)。逆転していない場合のS534からS538までの処理は、上記S511からS515と同じである。
【0063】
競技者1の上記所定ラウンドが終了すると、競技者2にチェンジする(S548)。以後、競技者2についてS549からS595までの処理は、上記S501からS547までの処理と同じである(図6b)。
【0064】
図7a及び図7bは、図4のP≠0又はR≧9の音声処理のサブルーチンを示すフローである。すなわち、同一ラウンドにおける競技者1の処理フロー(図7a)と競技者2の処理フロー(図7b)であり、P≠0又はR≧9という条件下で、図7aから図7bの処理フローが繰り返される。
【0065】
図7aは、上記条件下における競技者1の所定のラウンドの処理フローであり、この所定のラウンドが終了するか否かの判断から始まり(S8001)、競技者1が競技者2に勝っているか否かの判断をし(S8004)、「勝っている」テーブルと「負けている」テーブルの各々について(S8005、S8028)、競技者1の得点が良好か否かを判断し(S8006、S8029)、「良」のテーブルと「普」のテーブル各々について(S8007、S8019、S8030、S8042)、点差のテーブルの「差大」「差小」及び「同じ」に応じて音声を出力する処理は図6aとほぼ同じである。すなわち、図6aのS501からS547までの処理と図7aのS8001からS8050までの処理は、ほぼ同じである。
【0066】
ただし、図7の処理は、ゲームが後半にかかっているため、次のラウンドで勝敗が決するように残得点の調整をした投擲の場合、図3で説明したとおり「ナイスアレンジ」となる。そこで、「勝っている」テーブルが選択され(S8005)、競技者1の得点が良好と判断し(S8006)、「良」のテーブルが選択され(S8007)、前ラウンドと比較して点差が同じではないと判断した場合に(S8008)、点差の大小を判断する前に、「ナイスアレンジ」か否かを判断し(S8011)、「ナイスアレンジ」に該当すれば、「ナイスアレンジ」の音声データが読出され(S8012)、この音声データに基づき音声が出力される(S8013)。
【0067】
一方、「ナイスアレンジ」にならなかった場合は、図6a同様、点差の大小が判断される(S8014)。
【0068】
次に、「負けている」テーブルが選択された場合(S8028)、図6aでは、逆転したかどうかが判断されるが(S531)、図7aでは、ゲーム後半であるから、この判断は、図3で説明したとおり「逆転アレンジ」か否かが判断される(S8034)。従って、「逆転アレンジ」である場合は、「逆転アレンジ」の音声データが読出され(S8035)、この音声データに基づき音声が出力される(S8036)。
【0069】
以上のようにして競技者1の所定のラウンドの処理が終了すると、競技者2にチェンジされる(S8051)。以後、競技者2についてS8052からS8101までの処理は、上記S8001からS8050までの処理と同じである(図6b)。
【0070】
以上の通り、ダーツマシーン1の競技の戦況に応じて細かな音声データを出力するため、競技者の勝敗に直結するモチベーションの高揚に資する音声の出力が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係るダーツマシーン外観概略図
【図2】機能ブロック図
【図3】音声データテーブル図
【図4】音声処理の全体動作を示すフロー図
【図5】R=1の音声処理フロー図
【図6a】競技者1のP>180の音声処理フロー図
【図6b】競技者2のP>180の音声処理フロー図
【図7a】競技者1のP≠0又はR≧9の音声処理フロー図
【図7b】競技者2のP≠0又はR≧9の音声処理フロー図
【符号の説明】
【0072】
1 ダーツマシーン
11 ターゲット部
12 制御部
13 表示部
14 音声出力部
111 ターゲット
112 センサ
121 CPU
122 メモリ
123 ゲームプログラム格納部
124 得点データ生成部
125 判定部
131 画像データ保存部
132 画像生成部
133 モニター
141 音声データ保存部
142 音声信号生成部
143 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の競技者が点数を競って勝敗を決定する対戦式ゲーム装置であって、各競技者の点数データを生成する点数データ生成手段と、生成された点数データと対戦相手の点数データとを比較して優劣を判定する判定手段と、判定された結果に対応する各種音声データを保存する保存手段とを有し、上記判定結果に対応する音声データを読み出して、この音声データに基づき音声信号を合成する音声信号生成手段と、生成された音声信号を音声として出力する音声出力手段とを有することを特徴とする対戦式ゲーム装置。
【請求項2】
上記判定手段は、判定する時点の各競技者の勝敗、点数、点差のうち、1以上から優劣を決定することを特徴とする請求項1記載の対戦式ゲーム装置。
【請求項3】
上記判定する時点は、ゲームのルールに従い、ゲームが一時的に中断する時点であることを特徴とする請求項2記載の対戦式ゲーム装置。
【請求項4】
上記点差は、判定する時点で、少なくとも、対戦相手との点差の増減の有無及び点差の増減の大小を判断することを特徴とする請求項2または請求項3記載の対戦式ゲーム装置。
【請求項5】
上記点差は、判定する時点で、相手方競技者に対して逆転したか否かを判断することを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれかに記載の対戦式ゲーム装置。
【請求項6】
上記判定手段は、ゲームの前半と後半とを区別して優劣を決定することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の対戦式ゲーム装置。
【請求項7】
上記保存手段は、上記判定結果に応じて異なる音量情報によって構成された音声データを保存していることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の対戦式ゲーム装置。
【請求項8】
上記保存手段は、上記音量情報に加えて、または、上記音量情報に代えて、上記判定結果に応じて異なるイントネーション情報によって構成された音声データを保存していることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の対戦式ゲーム装置。
【請求項9】
2以上の上記対戦式ゲーム装置をインターネット網等の通信ネットワーク網で接続し、これらの対戦式ゲーム装置を介して上記2以上の競技者が対戦する場合に、各対戦式ゲーム装置の上記点数データ生成手段と判定手段と保存手段と音声信号生成手段と音声出力手段とが、この対戦に対応して機能するように構成されたことを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載の対戦式ゲーム装置。
【請求項10】
上記対戦式ゲーム装置が、少なくとも、所定の高さ寸法を有する筐体と、複数の得点領域に区画されたターゲットと、所定画像を表示する表示手段とから構成され、所定位置から上記競技者がターゲットに向かってダーツを投擲し、投擲したダーツがターゲットのいずれかの得点領域に衝突すると、対応してターゲットの裏側に設けられた合成樹脂シート上のいずれかのスイッチが圧迫されて回路が作動し、筐体に内蔵したマイコンによってダーツが衝突した得点領域が特定され、電子的に自動で得点をつけて上記表示手段に表示するダーツマシーンであることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の対戦式ゲーム装置。
【請求項11】
上記ダーツマシーンの音量情報は、最小音量と最大音量の差が7デシベル(dB)から10デシベル(dB)の範囲内で、1デシベル(dB)から1.5デシベル(dB)の間隔で設定することを特徴とする請求項10記載の対戦式ゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【公開番号】特開2007−296198(P2007−296198A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127874(P2006−127874)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(504143902)エムジェイ・スポート株式会社 (5)
【Fターム(参考)】