説明

対物ガラス上の組織標本の着色に関する処理作業の実行のための装置

【課題】顕微鏡用スライド上の組織標本の染色に関する異なる処理作業の自動実行のための装置を提供する。
【解決手段】装置(1)は、組織標本を備えた顕微鏡用スライド(7)のためのローディングステーション(2)と、供給された顕微鏡用スライド上の組織標本の染色のための多数の試薬ステーション(3)と、染色プログラムにしたがうステーション(3)間の顕微鏡用スライド(7)の搬送のためのコンベヤー(5)と、処理された顕微鏡用スライドのためのアンローディングステーション(10)と、データプログラムにしたがって処理作業を制御するための制御ユニット(19)とを備えている。装置は、供給された顕微鏡用スライド(7)上の最終の処理された組織標本の背景光源で自動撮影ためのデジタルカメラ(26)を備えた撮影ステーション(25)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡用スライド上の組織標本の染色に関する異なる処理作業の自動実行のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置は、組織標本を備えた顕微鏡用スライドのためのローディングステーションと、供給された顕微鏡用スライド上の組織標本の染色のための多数の試薬ステーションと、染色プログラムにしたがうステーション間の顕微鏡用スライドの搬送のためのコンベヤーと、処理された顕微鏡用スライドのためのアンローディングステーションと、データプログラムにしたがって処理作業を制御するための制御ユニットとを備えている。
【0003】
前述のタイプの装置は、ノルウェー特許出願第2004 5622号に示され記載されている。そのような装置では、選択したプログラムされた運転プロセスにしたがって、顕微鏡用スライド上の組織標本に投じられたパラフィンの最初の固定、顕微鏡用スライド上の組織標本の染色、染色された組織標本顕微鏡用スライド上へのカバーガラスの載置、接着剤の塗布とカバーガラスの載置の後の染色された組織標本顕微鏡用スライドの乾燥など、様々な処理作業を実行することができる。
【特許文献1】ノルウェー特許出願第2004 5622号明細書
【発明の開示】
【0004】
前述のタイプの現在の処理作業が実行された後、顕微鏡用スライドは今日の通常の実行によりマニュアルマイクロスコーピングに供される。この処理は、結果解析(いわゆる「検査」)の目的で組織標本の画像を撮るための撮影設備のマニュアルローディングを有している。マニュアルマイクロスコーピングによって、標本がもはや多量の溶解力のある気体を遊離しないように、カバーガラスの付与後に24時間に待たれなければならない。さらに、マニュアルハンドリングが時間を比較的消費することはまた、たとえば誤ったレジストレーションによりヒューマン・エラーにさらされるかもしれないし、または患者データを混合されるかもしれない。
【0005】
本発明の主目的は、現在のタイプの装置を提供することであり、それは、任意の誤差源のない各標本に関する情報をすべて格納することができ、標本結果の100%の品質保証が得られる。
【0006】
本発明の付加的な目的は装置を提供することであり、それは、標本をマニュアルマイクロスコーピングよりも本質的に速く研究できることを可能にし、それはユーザーにとって本質的な省力化を意味する。
【0007】
前述の目的は、前置き部で述べたタイプの装置によって達成され、それは、本発明によれば、装置は、供給された顕微鏡用スライド上の最終の処理された組織標本の背景光源で撮影するためのデジタルカメラを備えた撮影ステーションを備えており、カメラは、装置の制御ユニットに連結されており、制御ユニットは、結果解析のための場所への情報の自動送信のために、個々の組織標本のおのおのの画像と、適切な顕微鏡用スライド上に配置された情報と、好ましくは染色プログラムと試薬ステーションにおける試薬の状態に関する情報をも格納するように設けられていることを特徴とする。
【0008】
望ましい実施形態は従属請求項で述べられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
いま図面を参照しながら代表的な実施形態によって本発明を説明する。
【0010】
図1には、本発明による撮影ステーションが付加的に設けられた前述のノルウェー特許出願第2004 5622号に示され説明された装置に対応する装置が示されている。以下、装置の構造の簡単な説明を与える。装置とその動作の手法のさらなる説明は、前述の特許出願に言及されている。
【0011】
図面に示された装置1は3つレベルI,II,IIを有し、適切な処理作業の実行のためのユニットを有している。
【0012】
第一のレベルIは、顕微鏡用スライドのためのローディングおよび予備加熱ステーション2と、顕微鏡用スライド上の組織標本の染色のための試薬を備えたベッセル4からなる多数の試薬ステーション3と、選択された染色/データプログラムにしたがってベッセルからベッセルへの、顕微鏡用スライド7を備えたキャリヤ/保持デバイス6(図2を参照)の搬送のためのコンベヤー5とを有している。
【0013】
第二のレベルIIは、染色された顕微鏡用スライド上へのカバーガラス(図示しない)の付与のためのステーション8と、次の乾燥ステーション9と、処理準備の整った顕微鏡用スライドのための格納/アンローディングステーション10とを有している。図示の実施形態では、第二のレベルIIは第1のレベルの上方に配置されており、ホイストまたはリフト手段の11が、第一のレベルから第二のレベル上のカバーガラス付与ステーション8への、染色された顕微鏡用スライドを備えたキャリヤ6の搬送のために設けられている。水平搬送手段12が、カバーガラス付与ステーション8と乾燥ステーション9を通ってアンローディングステーション10への、顕微鏡用スライド7を備えたキャリヤ6の搬送のために設けられている。
【0014】
第三のレベルIIIは、第一のレベル1の下方に配置され、適切な試薬液体のための多数の貯蔵タンク14のアセンブリ13を有し、タンクは、ベッセルへの液体の供給のためのポンプ15が設けられた(図示しない)連結ラインを介して試薬ステーション3にある従属のベッセル4に連結され、さらに、液体のろ過のためのフィルター16を有している。
【0015】
装置はまた、装置の通風のためのフィルター/送風ユニット17を有しているように示されている。このユニットは、装置の上部の通気入口18と連絡しており、装置を通る空気の搬送と噴出を提供する。このように、全体の装置は通気されており、その結果、試薬ステーションからの危険なガスが不在中に正当な手法により除去される。
【0016】
装置はまた、ブロック19として象徴的に示された電子制御ユニットを有し、それは、データプログラムにしたがって装置の処理作業を制御することを受け持つ。さらに、装置は、装置の作業および運転のための(図示しない)制御パネルを備えている。このパネルは、多数のタッチまたは接触のキー(制御キーおよび運転キー)と、また作業中の装置の状態などに関する情報を与えるディスプレイとを有している。
【0017】
キャリヤの把持および搬送のための手段11は、図1に単に概略的に示され、専用搬送領域20内のキャリヤの第二のレベルIIへの引き上げのためのホイストから成る。そのようなリフト手段の代わりとして、移動手段が第二のレベルに設けられ、領域20から第二のレベルにキャリヤ6を取って来るように設けられてもよい。
【0018】
染色された顕微鏡用スライド上へのカバーガラスの付与のためのステーション8もまた図1に単に概略的に示されている。このステーションは、多数の素子、より明確には、染色された組織標本を備えた供給された顕微鏡用スライド上にカバーガラスを載置するためのディスペンサー機能、接着剤ポンプ、接着剤ディスペンサーおよびユニットを備えたカバーガラスマガジンを有している。さらに、ステーションは、異なる供給されたキャリヤ中のステーションに到着する顕微鏡用スライドの検出のための検出装置を有している。カバーガラスマガジンは好都合なことに、マガジンの底部からカバーガラスを横に引き渡すように構築されうる。そのようなステーションのさらなる説明は、たとえば、国際特許出願番号PCT/NO99/00396(WO 00/37986)言及されうる。
【0019】
キャリアデバイス/キャリヤ6のさらなる説明は、前述のノルウェー特許出願第2004 5622号に言及されている。
【0020】
本発明にしたがって、上記装置は、供給された顕微鏡用スライド7上の最終の処理・密封された組織標本の背景光源での自動撮影のためのデジタルカメラが設けられた撮影ステーション25を備えている。カメラは、公知の手法によって装置の制御ユニット19に連結されており、また、制御ユニットは、結果解析のための場所への情報の自動送信のために、個々の組織標本のおのおのの画像と、適切な顕微鏡用スライド上に配置された情報と、多分に現在の染色プログラムと試薬ステーション3における試薬の状態とについての情報をも格納するように設けられている。
【0021】
図示のように、撮影ステーション25は、顕微鏡用スライド上の組織標本上のへカバーガラスの付与のためのステーション8の後段に設けられており、付与ステーションは、図2に示されるように共通の平面に並んで配置された多数の顕微鏡用スライドを保持している連続のキャリヤ6を受け取るために設けられている
図示のように、図2中のキャリヤ6は、10枚の顕微鏡用スライドを保持する寸法に作られている。
【0022】
デジタルカメラ26は、もし組織標本、拡大撮影をするための顕微鏡に多分に搭載されてよく、あるいは、カメラは、この目的に特にふさわしい、タイプのものであってよい。
【0023】
カメラと、顕微鏡用スライド7を備えたキャリヤ6は、連続の顕微鏡用スライドの上方または顕微鏡用スライドの連続の部分上方のカメラの場所に対して相互移動を行なうように設けられている。したがって、必要な枚数の画像を撮るためにカメラユニットが顕微鏡用スライドの上方に移動されてよく、あるいは、必要な枚数の画像を撮るために顕微鏡用スライドがカメラユニットの下方に移動されてよく、あるいは、カメラユニットと現在の顕微鏡用スライドの移動が組み合わされてもよい。一般に、カメラは段階的可動ユニットに搭載される。
【0024】
好適な実施形態では、可動ユニットは、y方向だけに横に移動されるように設けられてよい。さらなる実施形態では、装置は、搬送ベルト上に(y方向に)並んで配置されている顕微鏡用スライドのグループのx方向の段階的移動のための搬送ベルトを備えている。この実施形態では各顕微鏡用スライドの四枚の画像が必要であるという仮定では、まず、現在のグループ中の顕微鏡用スライドの識別分野が撮影され、その後に搬送ベルトが顕微鏡用スライドの長さの約1/4を移動され、カメラユニットは、顕微鏡用スライドの全体と顕微鏡用スライドのグループのすべてとが撮影されるまで、同じ動作を実行するために後方に移動される。次に、装置のソフトウェアは、各顕微鏡用スライド組織標本の四枚の画像と識別または情報フィールドを一緒におく。
【0025】
顕微鏡用スライド上の組織標本の画像と、顕微鏡用スライド上の属するラベルについてのすべての情報と、この顕微鏡用スライドが通過した染色プログラムと試薬の状態とに関する情報をも、装置の制御ユニット内に、または多分に接続サーバー内に含まれているマイクロプロセッサーに自動的に格納することができる。したがって、この情報は、結果解析(検査)が実施される場所に不必要な時間遅れなしで自動的にロードすることができる。したがって、病理学者は標本をディスプレイ上で分析することができる。病理学者は、別のビルディングまたは世界の別の場所にたとえば局地化されていてよく、画像情報はたとえばインターネットを介して送ることができる。読むことなどについて可能な問題によって、地方の病理学者が、いずれにせよ、顕微鏡下の通常の検査のための組織標本スライドを受け取りうる。今日、組織標本中の「問題領域」を局地化することによって病理学者を支援し、予備的診断を示すソフトウェアも存在する。このテクノロジーは、今後、相当に良好かつ迅速でありそうである。
【0026】
前述のタイプの撮影ステーションは、画像が撮れるように、カバーガラスまたはフィルムが組織標本スライド上に配置される従来の染色マシンおよびいわゆる免疫染色マシンで使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による装置の概略側面図を示している。
【図2】図1に示された装置で使用される顕微鏡用スライドのためのキャリアデバイスの平面図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡用スライド上の組織標本の染色に関する異なる処理作業の自動実行のための装置であり、組織標本を備えた顕微鏡用スライド(7)のためのローディングステーション(2)と、供給された顕微鏡用スライド上の組織標本の染色のための多数の試薬ステーション(3)と、染色プログラムにしたがうステーション(3)間の顕微鏡用スライド(7)の搬送のためのコンベヤー(5)と、処理された顕微鏡用スライドのためのアンローディングステーション(10)と、データプログラムにしたがって処理作業を制御するための制御ユニット(19)とを備えている装置(1)において、装置が、供給された顕微鏡用スライド(7)上の最終の処理された組織標本の背景光源で自動撮影ためのデジタルカメラ(26)を備えた撮影ステーション(25)を備えており、カメラが、装置の制御ユニット(19)に連結されており、制御ユニットが、結果解析のための場所への情報の自動送信のために、個々の組織標本のおのおのの画像と、適切な顕微鏡用スライド(7)上に配置された情報と、好ましくは染色プログラムと試薬ステーション(3)における試薬の状態に関する情報をも格納するように設けられていることを特徴とする装置。
【請求項2】
撮影ステーション(25)は、顕微鏡用スライド(7)上の染色された組織標本上へのカバーガラスの付与のためのステーション(8)の後段に設けられており、付与ステーションは、並んで配置された多数の横たわる顕微鏡用スライド(7)を備えた連続のキャリヤ(6)を受け取るように設けられ、カメラ(26)と顕微鏡用スライド(7)が、連続の顕微鏡用スライドの上方のカメラ(26)の場所に対して相互移動を行なうように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
カメラ(26)が、組織標本の拡大画像を撮るために顕微鏡に搭載されている請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
カメラ(26)は、連続の顕微鏡用スライド(7)の上方への、または顕微鏡用スライドの連続部分の上方へのカメラの位置決めのための段階的可動ユニット(27)に搭載されていることを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
可動ユニット(27)が、y方向だけに横に移動されるように設けられていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
装置(1)は、搬送ベルト(12)上に並んで配置されている顕微鏡用スライド(7)のグループのx方向の段階的移動のための搬送ベルト(12)を備えていることを特徴とする請求項4または5に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−525482(P2009−525482A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553194(P2008−553194)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【国際出願番号】PCT/NO2007/000031
【国際公開番号】WO2007/089155
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(508234062)
【氏名又は名称原語表記】LJUNGMANN,Oystein
【住所又は居所原語表記】Elgfaret 15,N−1404 Ski,Norway
【出願人】(508234073)
【氏名又は名称原語表記】LJUNGMANN,Torstein
【住所又は居所原語表記】Lise Maries vei 25,N−1450 Nesoddtangen,Norway
【Fターム(参考)】