説明

対立遺伝子タイピングの方法

本発明は、ヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子同定における多義性を低下させる方法に関する。特に、本方法は、可能性のあるHLA対立遺伝子の第一のセットを決定するために、配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)技術を使用することを含む。本方法はさらに、可能性のあるHLA対立遺伝子の第二のセットを入手するために、配列型タイピング(SBT)を使用することを含む。次いで、可能性のあるHLA対立遺伝子の二つのセットを組み合わせて、SSOアッセイおよびSBTアッセイの両方において同定された少なくとも一つの共通の対立遺伝子を決定し、現在のHLAタイピング手法に関連した多義性を低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、試料中のヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子の同定における多義性を低下させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
組織タイピングおよび疾患関連の主要な焦点は、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子およびこれらの遺伝子によりコードされた対立遺伝子に集中している。HLA抗原複合体は、クラスI、クラスII、およびクラスIIIのHLA遺伝子として同定された三つの別々の領域に分割可能であり、第6染色体の短腕上のおよそ350万塩基対に及んでいる。HLA遺伝子は、ヒトゲノム内の最も多様な抗原性系を包含し、いくつかの別個のサブグループまたはサブファミリーに分かれる実に数百の対立遺伝子をコードしている。
【0003】
例えば、クラスI領域内には、HLA-A、HLA-B、およびHLA-Cと名付られた、よく特徴決定されたクラスI MHC分子をコードする遺伝子が存在する。さらに、限定はされないが、HLA-E、HLA-F、HLA-G、HLA-H、HLA-J、およびHLAXを含む非古典的なクラスI遺伝子が存在する。HLA-AおよびHLA-Cは、8つのエキソンおよび7つのイントロンを含み、HLA-Bは、7つのエキソンおよび6つのイントロンを含む。HLA-A、-B、および-CのDNA配列は、概して述べると、高度に保存されている。しかしながら、分子の機能性ドメインをコードし、イントロン1、2、および3に隣接しているエキソン2および3に、主に、対立遺伝子の変動が存在する。クラスII分子はHLA-D領域にコードされており、この領域は、いくつかのクラスII遺伝子を含み、三つの主な小領域:HLA-DR、-DO、および-DPを含む。
【0004】
従って、HLAタイピングは、多義の組み合わせを必然的にもたらす、高度に多型性の遺伝子の領域の配列決定を含んでいる。対立遺伝子特異的な配列決定が含まれなければ、どの対立遺伝子がどの遺伝子に属するのかを識別することは不可能である。配列特異的オリゴヌクレオチド(sequence-specific oligonucleotide)(SSO)は、HLA対立遺伝子型の同定において利用される一つの方法である。しかしながら、SSOアッセイは、単一のHLA対立遺伝子を同定するのには必ずしも信頼性がない。最近、研究者らは、クラスIおよびクラスIIの両方のHLA遺伝子の遺伝子座および対立遺伝子を同定するため、配列型タイピング(sequence based typing)(SBT)も使用し始めた。残念ながら、HLA遺伝子座内および遺伝子座間のHLA対立遺伝子は両方ともしばしば密接に関係しているため、SSO法と同様に、当技術分野において現在利用可能なSBT法は、HLA-Bのような特定の遺伝子座における全てのHLA対立遺伝子の完全な解明を可能にしない。さらに、対立遺伝子同定のために使用されるSBT技術は、異なる反応条件を必要とし、しばしば初期段階において適切な陰性および陽性の対照を提供し得ないため、時間を浪費するものとなり得る。
【0005】
全米骨髄バンク(National Marrow Donor Program)(NMDP)による多義性解明の要件も、全ての遺伝子座に関する非多義性の対立遺伝子タイピングを望む歴史的傾向も、対立遺伝子多義性を解明するための迅速で信頼性のある方法が、長年にわたり必要とされてきたことを示している。さらに、遺伝子型の頻度および解明の要件が試験場によって異なるため、理想的な多義性解明戦略とは、普遍的に適用され得るものであろう。現在多くの技術が多義性の解明のために使用されているが、そのような技術は全て、付加的な増幅反応を必要とし、そのことが、一次タイピング技術のコストを増加させる。
【0006】
従って、対立遺伝子多義性における多義性を効率的に低下させる方法が、当技術分野において必要とされている。対立遺伝子多義性を低下させる方法は、理想的には、対費用効果が高く、比較的迅速であり、かつ試験場に関わらず普遍的に利用され得るものであるべきである。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、ヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子同定における多義性を低下させる方法に関する。特に、方法は、可能性のあるHLA対立遺伝子の第一のセットを決定するために配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)技術を使用することを含む。方法は、可能性のあるHLA対立遺伝子の第二のセットを入手するため、SSOアッセイの間に生成したアンプリコンに対して配列型タイピング(SBT)を使用することをさらに含む。SSOアッセイおよびSBTアッセイの両方において同定された少なくとも一つのHLA対立遺伝子対を決定し、従って、現在のHLAタイピング法に関連した多義性を低下させるために、次いで、可能性のあるHLA対立遺伝子の二つのセットが組み合わせられる。それらのデータセットは相補的な情報を含有しており、相乗的な分析を可能にするため、生成した二つのデータセットの比較は、いずれか単独より大きな程度の識別および精度を可能にする。
【0008】
本明細書において使用されるように、「配列特異的な」とは、特異的な配列に対する優先的な結合を示すことを意味するものと理解される。ハイブリダイゼーション条件に依っては、オリゴヌクレオチド結合は、絶対的な相補性を必要とすることなく、標的特異的であり得、従って、配列特異的なオリゴヌクレオチドが、標的配列と完璧にマッチするものに限定されないことを、当業者は認識するであろう。
【0009】
従って、本発明は、以下の工程を含む、核酸を含有している試料において遺伝学的対立遺伝子を同定する方法を提供する:
a.少なくとも一つのアンプリコンを作出するため、核酸を含有している試料を増幅反応に供する工程;
b.少なくとも一つのアンプリコンを変性させ、一つ以上の配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)にハイブリダイズさせる工程;
c.アンプリコンの鎖のSSOとのハイブリダイゼーションを検出する工程;
d.可能性のある対立遺伝子のSSOサブセットを同定する工程(ここで、可能性のある対立遺伝子のSSOサブセットは、アンプリコンの特異的SSOとの検出されたハイブリダイゼーションに基づく);
e.アンプリコンのポリヌクレオチド配列を決定するため、アンプリコンを少なくとも一つの配列決定アッセイに供する工程;
f.可能性のある対立遺伝子の少なくとも一つの配列決定サブセットを同定する工程(ここで、可能性のある対立遺伝子の少なくとも一つの配列決定サブセットは、アンプリコンのポリヌクレオチド配列に基づく);および
g.対立遺伝子の全てのサブセットにおいて同定された対立遺伝子を決定するため、可能性のある対立遺伝子のSSOサブセットの、可能性のある対立遺伝子の少なくとも一つの配列決定サブセットとの少なくとも一つの比較を行う工程(ここで、試料中の対立遺伝子の同一性は、可能性のある対立遺伝子の全てのサブセットに共通の対立遺伝子である)。
【0010】
好ましくは、核酸はDNAであり、または核酸はRNAである。好ましい態様において、同定される遺伝学的対立遺伝子は、多型性の対立遺伝子、より好ましくはHLA対立遺伝子である。
【0011】
一つの局面において、試料は個体に由来する。または、それは、多数の個体に由来するプールされた遺伝材料を表す。
【0012】
好ましくは、増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくもの、鎖置換増幅(SDA)に基づくもの、ローリングサークル増幅(RCA)に基づくもの、および多置換増幅(MDA)に基づくものからなる群より選択される。最も好ましくは、それは、PCRに基づく反応である。それは、多重反応であってもよいし、または多重反応でなくてもよい。
【0013】
好ましい態様において、増幅工程において使用された試薬の結果として、またはその他の任意の適当な方法により、アンプリコンは、少なくとも一つの検出可能標識を含む。好ましくは、標識は、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジン、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、およびフルオロフォアからなる群より選択される。
【0014】
好ましい局面において、方法において使用される一つ以上のSSOは、固体基質上に固定化される。基質は、ナイロン膜のような任意の適当な材料のものであり得る。好ましい態様において、一つ以上のSSOはアレイ上に固定化される。または、一つ以上のSSOはビーズ上に固定化される。
【0015】
好ましくは、一つ以上のSSOは、群特異的配列プライマー(GSSP)であり、より好ましくは、それらはMHCクラスI GSSPプライマーである。
【0016】
一つの態様において、方法は、対象におけるただ一つのHLA対立遺伝子対を同定する、SSOサブセットと一つの配列決定サブセットとの比較を含む。または、SSOサブセットと一つの配列決定サブセットとの比較は、試料中の複数の可能性のあるHLA対立遺伝子対を同定する。さらに別の態様において、アンプリコンは、可能性のある対立遺伝子の複数の配列決定サブセットを生成させるため、複数の配列決定アッセイに供される。好ましくは、複数の配列決定反応は、群特異的配列プライマー(GSSP)の使用を含み、最も好ましくは、これらのGSSPはMHC(HLA)クラスI GSSPである。
【0017】
一つの好ましい態様において、可能性のある対立遺伝子のSSOサブセットと複数の配列決定サブセットとの比較は、対象におけるただ一つのHLA対立遺伝子の対を同定する。
【0018】
本発明のさらなる局面において、上記の少なくとも一つの比較は、可能性のある対立遺伝子のSSOサブセットを可能性のある対立遺伝子の配列決定サブセットと組み合わせるために構成された機械で実行可能な指示を含む処理装置において行われる。本発明は、そのような指示を符号化するコンピュータプログラム、およびそのような指示を実行するようプログラムされたプログラム可能な装置も提供する。
【0019】
さらなる局面において、本発明は、以下の工程を含む、対象におけるHLA対立遺伝子の同一性の多義性を低下させる方法を提供する。
a.対象から採取されたDNA試料に対して実施された配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)アッセイからの結果を入手する工程;
b.少なくとも一つの配列型タイピング(SBT)アッセイからの結果を入手する工程;および
c.該SSO結果を少なくとも1セットのSBT結果と組み合わせる工程(ここで、組み合わせは対象における一つのHLA対立遺伝子対を同定する)。
【0020】
好ましくは、少なくとも一つの配列型タイピング(SBT)アッセイは、SSO反応に由来するアンプリコンに対して実施される。または、新たに生成したアンプリコンは、SSOタイピングにおいて使用されない。好ましくは、複数セットのSBT結果は、対立遺伝子同一性を決定するために組み合わせられる。
【0021】
本発明は、対象における同一性HLA対立遺伝子の多義性を低下させるために、SSOアッセイおよびSBTアッセイからのHLAタイピング結果を比較する、コンピュータにより実行される方法にも関する。
【0022】
一つの局面において、SSO結果とSBT結果との該組み合わせは、SSO結果とSBT結果とを組み合わせるために構成された機械で実行可能な指示を有する処理処置において行われる。本発明は、以下のものを含む、核酸試料の対立遺伝子同一性を決定するためのプログラム指示を含有しているコンピュータで読み取り可能な媒体をさらに提供する。
a.核酸試料に対して実施された配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)アッセイから入手された結果をメモリへ保存するための指示;
b.SSOアッセイの間に生成したアンプリコンに対して実施された少なくとも一つの配列型タイピング(SBT)アッセイから入手された結果をメモリへ保存するための指示;
および
c.対立遺伝子同一性を決定するための指示(ここで、対立遺伝子同一性を決定するための指示は、対立遺伝子同一性を決定するため、SSO結果とSBT結果とを組み合わせることを含む)。
【0023】
好ましくは、対立遺伝子同一性を決定するための指示は、複数セットのSBT結果をSSO結果と組み合わせることをさらに含む。
【0024】
以下のものを含む、核酸試料の対立遺伝子同一性を決定するためのコンピュータプログラムも提供される。
a.核酸試料に対して実施された配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)アッセイから入手された結果をメモリへ保存するための指示;
b.SSOアッセイの間に生成したアンプリコンに対して実施された少なくとも一つの配列型タイピング(SBT)アッセイから入手された結果をメモリへ保存するための指示;および
c.対立遺伝子同一性を決定するための指示(ここで、対立遺伝子同一性を決定するための指示は、対立遺伝子同一性を決定するために、SSO結果とSBT結果とを組み合わせることを含む)。
【0025】
好ましくは、対立遺伝子同一性を決定するための指示は、複数セットのSBT結果をSSO結果と組み合わせることをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】可能性のある共通の同定された対立遺伝子を決定するためにSSOアッセイおよびSBTアッセイからの多義性を組み合わせた図を示す。
【図2】群特異的配列プライマー(GSSP)を使用した配列決定クロマトグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、対象または対象の群に由来する試料における単一の対立遺伝子または対立遺伝子対、特に多型性対立遺伝子の同一性の多義性を低下させる方法に関する。方法は、限定はされないが、動物MHC複合体のような、その他の高度に多型性の遺伝子の同一性を決定するためにも使用され得る。特に、方法は、ほんの少数を挙げれば、非ヒト霊長類、ネズミ(ラットおよびマウスの両方)、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、およびイヌの動物においてMHC対立遺伝子同一性を同定するために使用され得る。その他の高度に多型性の対立遺伝子系には、限定はされないが、キラー免疫グロブリン様受容体(「KIR」)系ならびにmycAおよびmycBの系が含まれる。
【0028】
特に、方法は、二倍体生物において各HLA対立遺伝子の遺伝子型を同定するのに有用である。方法は、少なくとも一つのアンプリコンを作出するため、DNAまたはRNAの試料を増幅反応に供することを含む。生成したアンプリコンが、可能性のあるHLA対立遺伝子のサブセットを同定するために配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)を使用して分析される。次いで、同アンプリコンが、アンプリコンのポリヌクレオチド配列を決定するために配列決定され、それが、可能性のあるHLA対立遺伝子の第二のセットを同定する。対象における一つのHLA対立遺伝子対を決定するために、可能性のある対立遺伝子のSSOサブセットと、可能性のあるHLA対立遺伝子の配列決定サブセットとが、相互に比較される。
【0029】
本発明の方法は、対象から採取された核酸を含有している試料を分析することを含む。本明細書において使用されるように、試料は、DNAまたはRNAのような核酸を含有していると推測される任意の環境であり得る。従って、試料には、限定はされないが、溶液、細胞、体液、組織またはその一部、および器官またはその一部が含まれる。動物細胞の例には、限定はされないが、昆虫、トリ、ならびに、例えば、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ヒト、および非ヒト霊長類のような哺乳類が含まれる。本発明の範囲は、アッセイされる試料型または細胞型により限定されるべきでない。アッセイされる生物学的液体の例には、限定はされないが、血液、血漿、血清、尿、唾液、乳、精漿、滑液、間質液、脳脊髄液、リンパ液、胆汁、および羊水が含まれる。本発明の方法の範囲は、アッセイされる体液の型により限定され得ない。実際、増幅される核酸が由来する試料には、血液、骨髄、スポットカード(spot card)、RNA安定化チューブ(stabilization tube)、法医学的試料、またはHLA対立遺伝子が増幅され得るその他の生物学的試料が包含され得る。一つの態様において、試料は血液試料である。もう一つの態様において、試料は、毛髪もしくは毛包、頬拭き取り検体、バフィーコート、または羊膜細胞である。「対象」および「患者」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、動物、特に哺乳類、特にヒトまたは非ヒト霊長類を意味するために使用される。
【0030】
試料は、それらの天然の環境から除去されていてもよいし、または除去されていなくてもよい。従って、アッセイされる試料の部分は、試料の残りから、または試料を含有しているかもしれない対象から、分離または除去されている必要はない。当然、試料は、その天然の環境から除去されていてもよい。例えば、試料は、その中に存在する任意のDNAまたはRNAを抽出するために使用され操作され得る組織切片であり得る。実際、試料はアッセイされる前に処理され得る。例えば、試料は希釈または濃縮されてもよく;試料は精製されてもよく、かつ/または内部標準のような少なくとも一つの化合物が試料に添加されてもよい。試料は、本発明の方法の前に、または方法と共に、物理的改変(例えば、遠心分離、アフィニティ分離)、または化学的改変(例えば、酸、塩基、または緩衝液の添加、加熱)を受けることもできる。処理には、限定はされないが、アッセイの前に試料を凍結および/または保存することも含まれる。
【0031】
分析される核酸は、当技術分野において公知の任意の技術を使用して、試料から単離され得る。いくつかの態様において、試料はゲノムDNAを含むであろう。その他の態様において、試料はRNAを含むであろう。さらに他の態様において、試料はcDNAを含むであろう。多くの態様において、核酸は、増幅反応前に試料から単離されないであろう。その他の態様において、核酸は、増幅反応前に試料から単離されるであろう。
【0032】
核酸は増幅反応に供される。プライマーを使用した増幅は、多様な増幅技術を使用して実施され得、その多くが周知である。適当な増幅技術には、限定はされないが、直線的または指数関数的な増幅反応を使用する技術が含まれる。そのような技術には、限定はされないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づく増幅、転写に基づく増幅、鎖置換増幅(SDA)に基づく増幅、ローリングサークル増幅(RCA)に基づく増幅、および多置換増幅(MDA)に基づく増幅が含まれる。例えば、試料は、発現分析のためにHLA mRNAの逆転写酵素PCR(RT-PCR)に供され得る。増幅の間、プライマーが試料中の標的核酸にハイブリダイズし、それを増幅することができる限り、プライマーおよびプライマーセットにより増幅される核酸の型(例えば、RNA、DNA、および/またはcDNA)は、特に限定的ではない。cDNAが増幅反応の間に増幅されるのであれば、cDNAはその後の配列決定反応の間に配列決定されるであろうことを、当業者は理解するであろう。いくつかの態様において、RNAを逆転写し、得られたeDNAを増幅するため、RT-PCRが使用されるであろう。このRT-PCR法は当技術分野において周知であり、いくつかの商業的なキットが存在する。一つの態様において、RNAが分析される核酸である。
【0033】
任意の適当なプライマーまたはプライマーのセットが、アンプリコンを生成させるために使用され得る。プライマーの例には、限定はされないが、Invitrogen Corp.(Carlsbad, California, USA)より入手可能なDynal RELI(商標)SSO配列決定プライマーが含まれる。さらなるプライマーは、参照により組み入れられる米国成立前特許公開(United States Pre-Grant Publication)第2006/0078930号に記載されている。
【0034】
当業者が認識するように、多重増幅には、時間および効率に関して、非多重増幅と比べて有意な利点があるかもしれない。これを認識して、本発明のもう一つの局面は、一つ以上のHLA遺伝子座から複数の対立遺伝子を同時に増幅することができる、プライマー対またはプライマーセットの使用に基づく、ヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子の多重増幅の方法を提供する。多重増幅を包含する態様において、プライマーの対およびセットは、多重増幅アプローチを使用して、ゲノム試料中に存在する任意のHLA対立遺伝子を増幅するために選択され得る。特定の多重増幅のための適当なプライマー対またはプライマーセットの選択は、増幅される対立遺伝子および遺伝子座に依るであろう。適当なプライマー対またはプライマーセットは、同一の(または極めて類似した)増幅の条件およびプロトコルの下で、選択された遺伝子座から複数の対立遺伝子を増幅することができるよう選択されるべきである。多くの異なるプライマーの組み合わせが、多重適用において使用するために適しているかもしれない。いくつかの態様において、多重反応において使用されるプライマーは、非相同配列を有する5'部分を有するであろう。
【0035】
本発明のいくつかの態様において、多重増幅は、単一のHLA遺伝子座の複数の部分を増幅するために使用される。一般に、単一のHLA対立遺伝子の複数の部分が増幅される場合、プライマーの対またはセットは、望ましくは、HLA遺伝子座の複数の非対立遺伝子特異的領域にハイブリダイズする複数のプライマーを含む。この非対立遺伝子特異的領域とのハイブリダイゼーションは、全ての異なるHLA対立遺伝子が成功裡に増幅されることを可能にする。多くの場合、複数のプライマーを使用した多重増幅(amplication)の後、作製された複数のアンプリコンは、オーバーラップする配列をカバーするであろう。
【0036】
本発明の他の態様において、多重増幅は二つ以上のHLA遺伝子座から複数のHLA対立遺伝子を増幅するために使用される。これには、二つ以上のHLA遺伝子座の全てのHLA対立遺伝子を増幅するために多重増幅が使用される態様が含まれる。各HLA遺伝子座は物理的に別個であり、いくつかは大きな距離により隔離されているが、いくつかの態様は、臨床的に有意な遺伝子座の全てまたは選択されたサブグループを増幅する単一の多重反応において、全ての遺伝子座が増幅されることを提供する。例えば、いくつかの例示的な態様において、二つ以上のHLA遺伝子座の全ての対立遺伝子が、本明細書に提供されるような適当なプライマーセットを使用することにより、単一の容器において同時に増幅され得る。複数の遺伝子座から対立遺伝子が増幅される場合、プライマーセットは、望ましくは、増幅される各遺伝子座に特異的なプライマー対を含む。いくつかの態様において、個々の遺伝子座の増幅から作製される産物サイズはサイズが異なっており、従って、例えば、電気泳動またはクロマトグラフィにより分離され得るため、異なるHLA遺伝子座からの対立遺伝子の多重増幅は、個々の遺伝子座の特異性を維持しつつ達成される。
【0037】
異なる増幅戦略が、異なるHLA遺伝子座の対立遺伝子を増幅するために利用され得る。例えば、比較的容易に解明される対立遺伝子の増幅には、非多重増幅アプローチが十分であるかもしれない。従って、HLA-A遺伝子座の対立遺伝子が増幅される場合、プライマーがエキソン2、3、および4を含む単一のアンプリコンを提供するよう選択されている非多重増幅が利用され得る。さらに他の態様において、本発明の方法は、HLA遺伝子座の特定のクラスの、複数の対立遺伝子、いくつかの場合には全ての対立遺伝子を増幅するために使用され得る。例えば、本発明の方法は、クラスI HLA遺伝子座の複数の対立遺伝子を増幅するために利用され得る。同様に、本発明の方法は、クラスII HLA遺伝子座の複数の対立遺伝子を増幅するために利用され得る。
【0038】
他方、所定の遺伝子座の対立遺伝子の解明が困難である場合には、多重増幅がより望ましいかもしれない。HLA-B遺伝子座のHLA対立遺伝子およびHLA-DR遺伝子座のHLA対立遺伝子にそのようなことが当てはまるかもしれない。従って、HLA-B遺伝子座の対立遺伝子が増幅される場合には、プライマーセット内の異なるプライマー対が、エキソン2、3、および4をカバーする二重アンプリコンを作製するために同時に使用され得る。B遺伝子座の単一増幅における二つのプライマー対の使用は、可能性のあるヘテロ接合性の組み合わせの数を低下させるという利点を有する。これは、単純化された配列分析、および結果として生じる多義性の数のさらなる低下をもたらす。これらの利点は、例えば、一つの増幅混合物において、二つの別々の産物として、エキソン1からイントロン3まで、およびイントロン3からエキソン5までの領域を、二つ以上の別個の群として同時増幅し、単一産物の非多重増幅よりもはるかに強力な増幅をもたらすことにより達成され得る。さらに、単一産物はしばしば弱く、そのため、アガロース電気泳動のような検出法を使用して識別することが困難であるため、二つの別々の産物としてHLA-B遺伝子座を増幅することは、単一産物増幅より有利である。修飾されたヌクレオチドが必要とされる場合、この問題は特に顕著である。当業者は、多重増幅において複数のプライマーを使用する場合、各プライマー対におけるある種のプライマーが共通であってもよいことを理解するであろう。例えば、多重増幅において、二つ(またはそれ以上の)順方向プライマーが単一の逆方向プライマーと共に使用され得る。等しい数の個々の順方向および逆方向のプライマーが各多重増幅において使用されるという要件は存在しない。
【0039】
多重増幅は、HLA-DR遺伝子座の対立遺伝子の増幅においても使用され得る。従って、本発明の一つの態様は、エキソン2内の対立遺伝子DRB1、DRB3、DRB4、およびDRB5の解明を達成する、11の群特異的増幅を可能にするプライマーセットを使用したHLA-DR遺伝子座の対立遺伝子の多重増幅を提供する。多重増幅は、単一産物およびHLA対照のみの増幅からなる可能性もあるが、これらの反応は、類似または同一の反応条件を必要とするため、同時に増幅され得る。DR組織マッチングのためのエキソン2の解明は、移植コミュニティーにおける標準的な慣習として現在特別な意味を有しているが、方法は、DR遺伝子座エキソン2の外部の領域を解明することも包含する。
【0040】
本発明のもう一つの局面は、HLA対立遺伝子増幅における対照プライマー対の使用を提供する。これらの対照プライマー対は、増幅の成功および精度を確証するために、増幅(非多重および多重)に含まれ得る。対照プライマー対を使用した増幅により作製されたアンプリコンも、ある種の対立遺伝子を特異的に同定するために使用され得る、即ち、対照プライマー対により作製されたアンプリコンは、配列決定され得る。一般に、これらの対照プライマーは、対照アンプリコン、即ち、一つ以上のHLA対立遺伝子が試料中に存在する場合は常にHLA対立遺伝子の増幅から作製される産物を作製することにより機能する。HLA対立遺伝子を増幅する対照プライマーの使用は、DNAが増幅反応に実際に添加されたことを確実にするためのメカニズムを提供するため、有利である。さらに、対照プライマーは、任意のHLA対立遺伝子増幅の効率の指標を提供することができ、偽陽性結果を同定することができる。例えば、増幅の結果が、アンプリコンを提供するが、対照アンプリコンを欠く場合には、そのアンプリコンは偽陽性である可能性が高い。対照的に、アンプリコンおよび対照アンプリコンが存在する場合には、その増幅は陽性の結果を生じた。
【0041】
いくつかの態様において、対照プライマーは、試料中の遍在性の遺伝子を増幅する。これらの特定の態様において、適切な反応対照として機能することができる任意の遺伝子に対するプライマーが使用され得る。非限定的な例には、GAPDHハウスキーピング遺伝子を増幅するプライマーが含まれる。しかしながら、好ましい態様において、対照プライマーは、標的HLA対立遺伝子を鋳型として使用する。効果的な対照を提供するため、対照プライマー対により増幅されるHLA対立遺伝子の部分は、望ましくは、試験されている全てのHLA対立遺伝子に共通であるか、または全てと実質的に類似している。従って、関心対象の対立遺伝子のうちのいずれかが存在すれば、対照アンプリコンが作製されるであろう。複数のHLA遺伝子座が本発明のプライマーセットにより増幅される場合、特定の遺伝子座のHLA対立遺伝子の全てまたは実質的に全てに共通の対照プライマー対が、望ましくは、各遺伝子座について含まれる。対照プライマー対が一次増幅に干渉しない限り、対照プライマー対は、多型性の位置を含む、または含まない領域に及ぶことができる。従って、対照プライマー対により増幅されるHLA対立遺伝子の部分は、挿入または欠失と同様に塩基多型も有することができる。本明細書において使用されるように、対照プライマーが対立遺伝子に結合し、アンプリコンを作製することができる場合、HLA対立遺伝子の部分は実質的に類似している。
【0042】
付加的な態様において、特に、標的HLA遺伝子座がHLA-A、HLA-B、またはHLA-Cである場合、対照プライマー対により増幅されるHLA対立遺伝子の部分は、エキソン4の全ておよびエキソン4以降を含む。その他の態様において、対照プライマー対は、HLA対立遺伝子のエキソン4の全ておよびエキソン5の全てを増幅する。さらなる態様において、対照プライマー対は、エキソン4、エキソン5、エキソン6、エキソン7、およびエキソン8の全てを増幅する。これらの態様において、HLA対立遺伝子を増幅し、かつ対照も提供するためのプライマーセットが、増幅反応において使用され得る。従って、増幅反応における対照アンプリコンの存在または欠如は、試料中のHLA対立遺伝子の存在または欠如を確認するために使用され得る。
【0043】
対照アンプリコンの分子量は予め決定されていてもよい。即ち、対照反応からの産物の予想サイズが反応前に知られるであろう。対照アンプリコンの分子量を予め知ることは、使用者が、増幅反応の成功を決定するために、電気泳動、例えばゲル電気泳動を使用して、HLA対照アンプリコンを迅速にチェックすることを可能にする。対照アンプリコンのサイズは、特に限定的でなく、限定はされないが、500未満、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、900〜1000、または1000もしくは2000超の塩基対長を含む、増幅および検出が可能な任意のサイズであり得る。
【0044】
試料中のHLA対立遺伝子の増幅に続いて、可能性のある対立遺伝子が検出され得る。一つの態様において、試料中の対立遺伝子の検出は、配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)アレイを使用して実施され得る。そのようなアレイにおいては、SSOおよび/またはSSOセットが、支持体上の別個の明確な位置に含有され得る。熟練した当業者は、SSOが増幅および/または配列決定プライマーであり得ることを理解する。ガラスまたはプラスチックのような任意の適当な支持体が、本発明のアレイのため使用され得、それらはいずれも、SSOとの結合を補助するか、またはSSOの接着を防止するために、処理されていてもよいし、または処理されていなくてもよい。いくつかの態様において、SSOが支持体に結合する必要がなく、溶液中に遊離状態でいられるよう、支持体はマルチウェルプレートであろう。そのようなアレイは、標的核酸配列のための自動化されたアッセイまたは高容積アッセイのために使用され得る。
【0045】
いくつかの態様において、SSOは明確な位置において支持体に付着させられるであろう。SSOは、支持体のウェル内に含有されていてもよい。アレイの明確な別個の各エリアは、典型的には、複数の同一SSOを有するであろう。本明細書において使用されるように、「ウェル」という用語は、便宜のためにのみ使用され、限定的なものではない。例えば、ウェルには、固体支持体上の明確な別個のエリアに核酸SSOを保持するよう機能する任意の構造が含まれ得る。ウェルの非限定的な例には、限定はされないが、くぼみ、溝、壁で囲まれた環境等が含まれる。アレイのいくつかにおいて、異なる位置のSSOが、同一のプロービング領域を有するか、または同一の分子からなっていてもよい。この態様は、多様な起源に由来する核酸が同一の標的配列を含有しているか否かを試験する場合に、有用である。多くの態様において、固体支持体は、当技術分野において公知のビーズを含むであろう。アレイは、アレイ内の異なる位置に一つまたは複数の異なるSSO領域を有するSSOを有していてもよい。これらのアレイにおいて、個々のSSOは、例えば、異なるハプロタイプのような、同一の位置からの異なる配列の組み合わせを有する異なる対立遺伝子を認識することができる。この態様は、単一の起源に由来する核酸が多様な標的配列に関してアッセイされる場合に、有用であり得る。ある種の態様において、明確な位置におけるSSOのいくつかが、同一のSSO領域を含有し、その他の明確な位置が、個々の標的に特異的なSSO領域を有するSSOを含有しているような、これらのアレイ構成の組み合わせが提供される。
【0046】
アンプリコンの存在または欠如は、電気泳動、クロマトグラフィ(HPLCおよび変性HPLCを含む)等を含む標準的な分離技術によっても決定され得る。検出可能モエティにより標識されたプライマーは、いくつかの検出スキームにおいて使用され得る。検出可能標識の適当な例には、蛍光性分子、ビーズ、ポリマービーズ、蛍光性ポリマービーズ、および分子量マーカーが含まれる。ポリマービーズは、ラテックスまたはポリスチレンを含む任意の適当なポリマーからなり得る。当業者は、検出可能標識が、本発明のプライマー、プライマーセット、または方法に干渉しない限り、当技術分野において公知の任意の検出可能標識が、プライマーおよびプライマーセットと共に使用され得ることを理解する。
【0047】
一つの態様において、アンプリコンは、アレイを使用して検出される。アレイアッセイにおいては、一般に、一本鎖核酸が形成されるようアンプリコンが変性させられ、アンプリコン鎖のうちの一つがアレイ上の固定化されたSSOにハイブリダイズさせられるであろう。従って、アドレスされた(addressed)SSOアレイとの標的鎖(stand)のハイブリダイゼーション事象の検出は、可能性のある対立遺伝子の第一のサブセットの同一性を決定するであろう。いくつかの態様において、アンプリコン核酸は、検出可能標識により標識される。より具体的な態様において、検出可能標識は、増幅の間にアンプリコンに挿入される。さらに具体的な態様において、アンプリコンを生成させるために使用されるプライマーが、標識される。
【0048】
本明細書において使用されるように、標識とは、検出可能なシグナルを保有しているか、または保有するようになるか、または生成させることができる化学的化合物またはイオンを意味するものとする。標識の例には、限定はされないが、放射線計数装置により測定され得る、例えば3Hおよび32Pのような放射標識;視覚的に観察され得るか、または分光光度計により測定され得る顔料、色素、またはその他の色素原、ならびに色素により吸収される光による励起により可視化され得るか、または標準的な蛍光光度計もしくは画像化系により測定され得る、適当な分子付加物の励起により出力シグナルが生成する蛍光標識(フルオロフォア)が含まれる。さらなる標識の例には、限定はされないが、リン光色素、タンデム色素、および粒子が含まれる。標識は、シグナル化合物の化学的修飾により出力シグナルが生成する化学発光物質;金属含有物質;または無色基質からの有色生成物の形成のような酵素依存的な二次性のシグナルの生成が起こる酵素であってもよい。標識という用語には、複合分子が、基質と共に続いて添加された場合に、検出可能なシグナルを生成させるために使用されるような、複合分子と選択的に結合することができる「タグ」またはハプテンも含まれる。例えば、標識としてビオチンを使用し、続いて、ビオチン標識に結合させるために西洋ワサビペルオキシダーゼ(peroxidate)(HRP)のアビジンまたはストレプトアビジンとのコンジュゲートを使用し、次いで、HRPの存在を検出するために比色定量基質(例えば、テトラメチルベンジジン(TMB))またはAmplex Red試薬(Molecular Probes, Inc.)のような蛍光発生基質を使用することが可能である。多数の標識が当業者に公知であり、それらには、限定はされないが、粒子、フルオロフォア、ハプテン、酵素、ならびにそれらの比色定量基質、蛍光発生基質、および化学発光基質、ならびに参照により本明細書に組み入れられるRICHARD P. HAUGLAND, MOLECULAR PROBES HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH PRODUCTS(第9版、CD-ROM(2002年9月)に記載されたその他の標識が含まれる。
【0049】
具体的な態様において、本発明のフルオロフォアには、キサンテン(ロドール(rhodol)、ローダミン、フルオレセイン、およびそれらの誘導体)クマリン、シアニン、ピレン、オキサジン、およびボラポリアザインダセン(borapolyazaindacene)が含まれる。より具体的な態様には、スルホン化キサンテン、フッ素化キサンテン、スルホン化クマリン、フッ素化クマリン、およびスルホン化シアニンが含まれる。標識試薬に付着させられるフルオロフォアの選択は、標識試薬および免疫標識された複合体の吸収および蛍光放射の特性を決定するであろう。フルオロフォア標識の物理的特性には、スペクトル特徴(吸収、放射、およびストークスシフト)、蛍光強度、寿命、偏光、および光退色速度が含まれ、これらの全てが、フルオロフォアを区別するために使用され得る。
【0050】
特定の態様において、標識は、合成の間または合成の後にヌクレオチド三リン酸またはオリゴヌクレオチドにカップリングされ得る任意の着色剤により行われてもよい。着色剤の例には、限定はされないが、Cy3またはCy5のようなCy着色剤(Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)、テキサスレッド、フルオレセイン、ローダミンのようなアレクサ着色剤(Molecular Probes, Eugene, Oregon, USA)、またはサマリウム、イッテルビウム、およびユーロピウムのようなランタニド(EG&G Wallac, Freiburg, Germany)が含まれる。一つの特定の態様において、プライマーは蛍光標識されたプライマーである。さらなる特定の態様において、標識はCy着色剤である。配列決定法および/またはアレイ法のために有用な色素の例は、米国特許第5,847,162号;第5,863,727号;第5,945,526号;第6,335,440号;第6,849,745号、および米国成立前特許公開第2005/0069912号(これらは全て参照により組み入れられる)に開示されている。
【0051】
さらなる態様において、ハイブリダイゼーションの検出は、ある種の溶解度積を有する付加物の結果として沈殿生成物を与える方法を含む。沈殿生成物は、有色生成物であってもよいが、そうである必要はない。例えば、より溶解度の低い生成物への基質の変換を触媒する酵素が、この標識反応において使用され得る。そのような反応の例は、それぞれ、ペルオキシダーゼ、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)によるテトラメチルベンジジン(TMB)含有沈殿試薬のような発色基質の変換、およびホスファターゼによるBCIP/NBT混合物の変換である。より溶解度の低い生成物が形成される高感度の検出法の例は、チラミドシグナル増幅系(Tyramide Signal Amplification System)(TSA)およびThe Molecular Probes, Handbook of Fluorescent Probes and Research Products, 9. Auflage, 152-166に記載された酵素標識フルオレセンス(Enzyme-Labeled Fluorescence)(ELF)シグナル増幅である。
【0052】
アドレスされたアレイにおけるハイブリダイゼーション検出は、核酸試料中の可能性のあるHLA対立遺伝子の第一のサブセットを明らかにするはずである。アレイ上の各位置の配列/対立遺伝子の同一性を知ることにより、特定の位置における陽性シグナルは、試料中の対立遺伝子の同一性の可能性を示すであろう。このようにして、SSOアッセイは、可能性のあるHLA対立遺伝子のサブセットを生成させるであろう。本明細書において使用されるように、「SSOサブセット」または「対立遺伝子のSSOサブセット」または「可能性のある対立遺伝子のSSOサブセット」という語句は、メンバーがSSO技術を使用して同定される、対象における可能性のある対立遺伝子のサブセットを意味するものとする。SSOサブセットは、複数セットの可能性のある対立遺伝子を有するかもしれない。
【0053】
対立遺伝子のSSOサブセット内の対立遺伝子の同一性における多義性を低下させるため。次いで、アンプリコンの少なくとも一部のポリヌクレオチド配列を生成させるため、アンプリコンが、配列型タイピング(SBT)アッセイにおいて配列決定される。アンプリコンの少なくとも一部を配列決定するために設計された任意のSBT技術が十分であり、アンプリコン全体が配列決定される必要はない。SBT技術の例には、限定はされないが、化学的配列決定、チェーンターミネーション法、ダイターミネーション(dye termination)法、ピロシーケンス(pyrosequencing)法が含まれ、さらにはナノポア配列決定法が含まれる。一つの態様において、アンプリコンは、当技術分野において周知であるジデオキシターミネーション法を使用して配列決定される。アンプリコンのSBT分析のために使用され得る配列決定法の一例は、例えば、AmershamのET法およびキットにおいて例示される、エネルギー転移(ET)を利用したジデオキシターミネーション法である。
【0054】
本発明の一つの態様において、アンプリコンの配列決定は、群特異的配列決定プライマー(GSSP)の使用を含む。本明細書において使用されるように、GSSPとは、HLA遺伝子配列の高度に多型性の領域の外部にのみアニールするように設計されたプライマーである。GSSPプライマーは、標的HLA対立遺伝子のエキソンの一部またはHLA対立遺伝子のイントロンの一部にアニールすることができる。
【0055】
もう一つの態様において、特定のGSSPは、対立遺伝子のSSOサブセットのメンバーに基づき選出される。GSSPが対立遺伝子のSSOサブセットのメンバーに基づき選出される場合、SBTアッセイにおいて使用するGSSPの決定は、コンピュータまたは機械によって実行され得る。一つの特定の態様において、SBTアッセイにおいて使用するために選出されるGSSPは、MHCクラスIプライマーである。もう一つの特定の態様において、GSSPはMHCクラスIIである。さらにもう一つの特定の態様において、GSSPはMHCクラスIIIである。
【0056】
SBTアッセイは、SBTアッセイにおいて生成したポリヌクレオチド配列から、可能性のあるHLA対立遺伝子のサブセットを生成させる。本明細書において使用されるように、「配列決定サブセット」または「対立遺伝子の配列決定サブセット」または「可能性のある対立遺伝子の配列決定サブセット」という語句は、メンバーがSBT技術を使用して同定される、対象における可能性のあるHLA対立遺伝子のサブセットを意味するものとする。対立遺伝子の配列決定サブセットは、複数セットの可能性のある対立遺伝子を有するかもしれない。
【0057】
対立遺伝子のSSOサブセットおよび対立遺伝子の少なくとも一つの配列決定サブセットが同定された後は、対立遺伝子のSSOサブセットおよび配列決定サブセットに共通の対立遺伝子を決定するために、サブセットが相互に組み合わせられるか、または比較される。同定された対立遺伝子の全てのサブセットに共通であるか、または共通であろう対立遺伝子対が、対象における各HLA対立遺伝子の同一性であろう。一つの態様において、対立遺伝子の一つのSSOサブセットと対立遺伝子の一つの配列決定サブセットとの比較は、両方のサブセットに共通のただ一つの可能性のある対立遺伝子対を与える。従って、この態様においては、一つのSBTアッセイのみが実施される必要がある。
【0058】
もう一つの態様において、対立遺伝子の一つのSSOサブセットと対立遺伝子の一つの配列決定サブセットとの比較は、両方のサブセットに共通の複数の可能性のある対立遺伝子対を与える。一つのSSOサブセットと一つの配列決定サブセットとの比較が複数の可能性のあるHLA対立遺伝子を与える場合には、二次SBTアッセイが、アンプリコンの異なる部分に対して実施され得る。実際、SSOアッセイにおいて生成した同一のアンプリコンが、全てのSBTアッセイにおいて使用され得る。二次SBTアッセイが実施される場合、付加的なSBTアッセイは、可能性のある対立遺伝子の二次配列決定サブセットを生成させるために使用され得る、アンプリコンの一つ以上の付加的なポリヌクレオチド配列を生成させるであろう。SSOサブセットとSBTサブセットとの第一の比較の結果に依って、対象における対立遺伝子対を陽性に同定するために、複数の二次ポリヌクレオチド配列を生成させることが必要であるかもしれないし、または必要ではないかもしれない。一つの態様において、対象におけるHLA対立遺伝子を陽性に同定するために、ただ一つの二次ポリヌクレオチド配列が、二次SBTアッセイにおいて生成させられる。もう一つの態様において、対象におけるHLA対立遺伝子を陽性に同定するために、複数のポリヌクレオチド配列が、二次SBTアッセイにおいて生成させられる。従って、本発明には、方法が、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上の対立遺伝子の配列決定サブセットを生成させ利用し得るよう、任意の数の二次SBTアッセイが実施され得る態様が包含される。
【0059】
対立遺伝子のサブセットの比較は、全てのアッセイにより同定された共通の対立遺伝子の同定を可能にする任意の様式において実施され得る。従って、その比較は、全てのサブセットに共通の対立遺伝子のメンバーを同定することができる補助アルゴリズム、例えばコンピュータプログラムを用いて行われてもよいし、または用いずに行われてもよい。
【0060】
従って、本発明の開示は、データの様々なサブセットを分析するために構成されたソフトウェアにより、対立遺伝子同一性の決定が支援または実施され得ることを、当業者に明らかにする。従って、本発明は、対象におけるHLA対立遺伝子対を陽性に同定するために、可能性のある対立遺伝子の様々なサブセットを分析し比較することができるプログラミングソフトウェアも提供する。
【0061】
一つの特定の態様において、コンピュータ読み取り可能な媒体は、(a)核酸試料に対して実施された配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)アッセイから入手された結果をメモリへ保存するための指示;(b)SSOアッセイの間に生成したアンプリコンに対して実施された少なくとも一つの配列型タイピング(SBT)アッセイから入手された結果をメモリへ保存するための指示;および(c)対立遺伝子同一性を決定するための指示(ここで、対立遺伝子同一性を決定するための指示は、対立遺伝子同一性を決定するためにSSO結果とSBT結果とを組み合わせることを含む)を含む。コンピュータ読み取り可能な媒体は、例えば、コンピュータスクリーンのようなグラフィカルユーザーインターフェイスを通して、サブセット比較の結果を使用者にディスプレイするための指示をさらに含み得る。
【0062】
そのようなソフトウェアの部分には、市販されているソフトウェアツールが含まれ得る。例えば、Invitrogen Corp.より入手可能なuTYPE(商標)HLA配列決定ソフトウェアのようなソフトウェアパッケージ。データ分析およびデータ比較を実施するためには、任意の数のプログラミング言語を使用することにより、本明細書に記載されるような計算および方法論を実施することが可能である。例えば、C++、ビジュアルベーシック、フォートラン(FORTRAN)等で記述されたスタンドアロンプログラムが、例えば、SSOデータセットおよびSBTデータセットを組み合わせ分析するために使用され得る。または、データサブセット比較を実施するために構成された専門のスクリプトが、もう一つの市販されているデータ分析ソフトウェアパッケージと共に使用するために記述され得る。当業者には明白であるように、対立遺伝子同一性をディスプレイするためには、任意のソフトウェアツールまたはプログラムが使用され得る。
【0063】
このソフトウェアは、適用に依って、コンピュータ、遺伝学的配列決定系、マイクロアレイリーダ、携帯端末等へと統合され得る。例えば、臨床的な状況において、ソフトウェアは、研究室のコンピュータワークステーションまたはコンピュータサーバーをホストとし得る。もう一つの臨床的な状況において、ソフトウェアは、クライアントのコンピュータ上または携帯端末上に存在するかもしれない。または、対立遺伝子の配列決定サブセットを収集し、最終的な対立遺伝子同一性をディスプレイするために、単一の単位が使用され得るよう、ソフトウェアは配列決定系自体の内部で実行されてもよい。ソフトウェアは、また、SSOサブセットを分析し、SBTアッセイにおいて使用され得る特定の配列決定プライマーをディスプレイするかもしれない。ソフトウェアは、また、対立遺伝子の二次の、または付加的な配列決定サブセットを生成させるための任意の二次SBTアッセイにおいて使用され得る特定の配列決定プライマーをディスプレイするため、SSOサブセットと一次SBTサブセットとを組み合わせるかもしれない。
【0064】
以下の実施例は、本発明の選択された態様を例示するためのものであり、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0065】
実施例
実施例1-可能性のあるHLA対立遺伝子を同定するための配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)アッセイ
ゲノムDNAを試料対象から収集し、製造業者により提案されたプロトコルに従い、Invitrogen Corporation(Carlsbad, California, USA)より入手可能なRELI(商標)HLAタイピングキットを使用して、ゲノム中に存在するクラスI HLA対立遺伝子を分析した。簡単に説明すると、ゲノムDNAを単離し、少なくとも約1.7ODの光学濃度にまで精製し、続いて制限酵素により消化した。次いで、RELI(商標)キットに含有されていたビオチン化増幅プライマーを使用したPCR増幅に、断片を供した。
【0066】
アンプリコンを精製し、SSOアッセイを使用して分析した。テストストリップへのアニーリングの後、ハイブリダイズしていない核酸を洗浄し、ストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ・コンジュゲート溶液を使用して発色させた。次いで、発色パターンを分析した。その分析に基づき、可能性のある対立遺伝子のSSOサブセットは、A*0101+A*24;A*0102+A*2402;A*0106+A*24;A*0110+A*24;A*0112+A*24;A*0112+A*2423;A*0112+0618.071.0001であることが決定された
【0067】
実施例2-実施例1からのアンプリコンに対する配列型タイピング(SBT)アッセイ
実施例1からのアンプリコンを、Invitrogen Corporationより入手可能なSECORE(商標)GSSP配列決定キットを使用して配列決定した。簡単に説明すると、SSO反応において使用しなかった残りのアンプリコンを精製し、SECORE(商標)GSSPキット中に含有されていた配列決定プライマーを使用したジデオキシチェーンターミネーション配列決定に供した。SECORE(商標)GSSPキットのプライマーは、群特異的配列決定プライマーである。即ち、試料中の最大数の可能性のある対立遺伝子が、最少限の配列決定プライマーにより増幅され得るよう、HLA対立遺伝子の高度に多型性のエリア、即ち、HLA対立遺伝子の群を配列決定するために、プライマーが選択されている。
【0068】
Invitrogen Corporationより入手可能なuTYPE(商標)を使用して配列を生成させた。SBTアッセイから生成した配列情報に基づき、uTYPE(商標)ソフトウェアは、可能性のある対立遺伝子の配列決定サブセットを生成させ、それは、A*0114+A*2410;A*24G1+A*3604;A*010101/0104N+A*240301/2433、およびA*2446+A*3601であることが決定された。
【0069】
実施例3-共通に同定された対立遺伝子を決定するためのSSOアッセイおよびSBTアッセイからの結果の比較
図1および2を参照すると、図1は、SSO対立遺伝子の単一のサブセット(右円)、および配列決定対立遺伝子の単一のサブセット(左円)の比較または組み合わせを示す。その比較は、両方のサブセットに共通の二つの対立遺伝子対を同定し、それの第一の対は、A*010101/0104N+A*240301/2433として同定され(円内の上のボックス)、第二の対はA*2466+A*3601として同定された(円内の下のボックス)。従って、SSO結果の1セットのSBT結果との組み合わせは、可能性のある対立遺伝子対を劇的に二つにまで減らした。
【0070】
次いで、アンプリコンを、一次SBTアッセイ後の二次SBTアッセイに供した。二次SBTアッセイにおいては、A*24対立遺伝子群を標的としたGSSPを、A*240301の対立遺伝子同一性を生成させるために利用した(図2)。この時点で、第二の可能性のある対立遺伝子対がA*240301対立遺伝子を含有していなかったため、研究者は第二の可能性(図1中の下のボックス)を排除することができた。従って、A*240301対立遺伝子が可能性のある対立遺伝子の全てのサブセットに共通であったため、HLA対立遺伝子の同一性が、A*010101/0104N+A*240301/2433として陽性に同定された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸を含有する試料において遺伝学的対立遺伝子を同定する方法であって、以下の工程を含む方法:
a.少なくとも一つのアンプリコンを作出するため、核酸を含有する試料を増幅反応に供する工程;
b.少なくとも一つのアンプリコンを変性させ、一つ以上の配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)にハイブリダイズさせる工程;
c.アンプリコンの鎖の、SSOに対するハイブリダイゼーションを検出する工程;
d.可能性のある対立遺伝子のSSOサブセットを同定する工程であって、ここで、可能性のある対立遺伝子のSSOサブセットは、アンプリコンの特異的SSOに対して検出されたハイブリダイゼーションに基づく、工程;
e.アンプリコンのポリヌクレオチド配列を決定するため、アンプリコンを少なくとも一つの配列決定アッセイに供する工程;
f.可能性のある対立遺伝子の少なくとも一つの配列決定サブセットを同定する工程であって、ここで、可能性のある対立遺伝子の少なくとも一つの配列決定サブセットは、アンプリコンのポリヌクレオチド配列に基づく、工程;および
g.対立遺伝子の全てのサブセットにおいて同定された対立遺伝子を決定するため、可能性のある対立遺伝子のSSOサブセットの、可能性のある対立遺伝子の少なくとも一つの配列決定サブセットとの少なくとも一つの比較を行う工程であって、ここで、試料中の対立遺伝子の同一性は、可能性のある対立遺伝子の全てのサブセットに共通の対立遺伝子である、工程。
【請求項2】
核酸がDNAである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
核酸がRNAである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
遺伝学的対立遺伝子が多型性の対立遺伝子である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
多型性の対立遺伝子がHLA対立遺伝子である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
試料が個体に由来する、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
試料が複数の個体に由来するプールされた試料である、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
増幅反応が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくもの、鎖置換増幅(SDA)に基づくもの、ローリングサークル増幅(RCA)に基づくもの、および多置換増幅(MDA)に基づくものからなる群より選択される、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
増幅反応が多重反応である、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
増幅反応が多重反応でない、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
増幅反応がPCRに基づくものである、請求項8〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
アンプリコンが少なくとも一つの検出可能な標識を含む、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
標識が、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジン、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、およびフルオロフォアからなる群より選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
SSOが固体基質上に固定化される、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
一つ以上のSSOがアレイ上に固定化される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
一つ以上のSSOが少なくとも1個のビーズ上に固定化される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
一つ以上のSSOが群特異的配列プライマー(GSSP)である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
GSSPがクラスI GSSPプライマーである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
SSOサブセットと一つの配列決定サブセットとの比較が、対象におけるただ一つのHLA対立遺伝子対を同定する、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
SSOサブセットと一つの配列決定サブセットとの比較が、対象における可能性のある複数のHLA対立遺伝子対を同定する、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
アンプリコンが、可能性のある対立遺伝子の複数の配列決定サブセットを生成させるため、複数の配列決定アッセイに供される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
複数の配列決定反応が群特異的配列プライマー(GSSP)の使用を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
GSSPがMHCクラスI GSSPである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
可能性のある対立遺伝子のSSOサブセットと複数の配列決定サブセットとの比較が、対象におけるただ一つのHLA対立遺伝子対を同定する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
少なくとも一つの比較が、可能性のある対立遺伝子のSSOサブセットを可能性のある対立遺伝子の配列決定サブセットと組み合わせるために構成された機械で実行可能な指示を含む処理装置において行われる、請求項1〜24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
対象におけるHLA対立遺伝子の同一性の多義性を低下させる方法であって、以下の工程を含む方法:
a.対象から採取されたDNA試料に対して実施された配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)アッセイから結果を入手する工程;
b.少なくとも一つの配列型タイピング(sequence-based typing, SBT)アッセイから結果を入手する工程;および
c.該SSO結果と少なくとも1セットのSBT結果とを組み合わせる工程であって、ここで、該組み合わせが対象における一つのHLA対立遺伝子対を同定する、工程。
【請求項27】
少なくとも一つの配列型タイピング(SBT)アッセイが、SSO反応に由来するアンプリコンに対して実施される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
対立遺伝子同一性を決定するために複数セットのSBT結果が組み合わせられる、請求項26または27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
組み合わせが、SSO結果とSBT結果とを組み合わせるために構成された機械で実行可能な指示を有する処理装置において行われる、請求項26〜28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
核酸試料の対立遺伝子同一性を決定するためのプログラム指示を含有するコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
a.核酸試料に対して実施された配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)アッセイから入手された結果をメモリへ保存するための指示;
b.SSOアッセイの間に生成されたアンプリコンに対して実施された少なくとも一つの配列型タイピング(SBT)アッセイから入手された結果をメモリへ保存するための指示;および
c.対立遺伝子同一性を決定するためにSSO結果とSBT結果とを組み合わせることを含む、対立遺伝子同一性を決定するための指示
を含む、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項31】
対立遺伝子同一性を決定するための指示が、複数セットのSBT結果をSSO結果と組み合わせることをさらに含む、請求項29記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項32】
核酸試料の対立遺伝子同一性を決定するためのコンピュータプログラムであって、
a.核酸試料に対して実施された配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)アッセイから入手された結果をメモリへ保存するための指示;
b.SSOアッセイの間に生成されたアンプリコンに対して実施された少なくとも一つの配列型タイピング(SBT)アッセイから入手された結果をメモリへ保存するための指示;および
c.対立遺伝子同一性を決定するためにSSO結果とSBT結果とを組み合わせることを含む、対立遺伝子同一性を決定するための指示
を含む、コンピュータプログラム。
【請求項33】
対立遺伝子同一性を決定するための指示が、複数セットのSBT結果をSSO結果と組み合わせることをさらに含む、請求項32記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−506595(P2010−506595A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533510(P2009−533510)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/081675
【国際公開番号】WO2008/049021
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(502221282)ライフ テクノロジーズ コーポレーション (113)
【出願人】(509110954)
【出願人】(509110976)
【出願人】(509110367)
【Fターム(参考)】