説明

対象物位置対応制御装置および対象物位置対応制御プログラム

【課題】低コストかつ高精度に顧客の位置を特定して、特定した対象物の位置に応じて適切な自動制御を行うこと。
【解決手段】推定範囲内に無線タグ12が位置していることを推定するための推定情報に含まれるアクセスポイントIDと、推定情報が無線タグ12にて受信された際の信号強度とに基づいて、推定範囲内における無線タグ12の位置を推定する推定処理部130aと、受信された特定情報に基づいて、無線タグ12が特定範囲に含まれるか否かを判定し、特定範囲に含まれることを条件として、推定された無線タグ12の位置と、特定情報に含まれるタグライタIDとに基づいて、無線タグ12の位置を特定する特定処理部130bと、特定された無線タグ12の位置に対応する制御内容関連情報に基づいた制御を行う位置対応制御部130dとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の位置に対応した制御を行う対象物位置対応制御装置および対象物位置対応制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、小売店における商品のレイアウトや陳列方法、あるいは商品の品揃え等を顧客のニーズに合わせて最適化し、商品の売上を向上させるため、店舗内における顧客の購買行動を把握することの重要性が認識されている。特に、顧客と商品との接触時間を長くすることが売上拡大要因の一つであると考えられることから、顧客と各商品との接触時間を把握することの必要性が高まっている。顧客と各商品との接触時間を把握することにより、陳列方法の変更、展示補助物、POP広告の追加等の改善施策が売上の向上にどの程度貢献しているのかを、客観的に判断することが可能となる。
【0003】
このため、従来は、調査員が顧客の行動を直接観察する観察法や、店舗内の各売場に設置されたビデオカメラによって当該各売場の集客状況を記録する方法、あるいは、所定のセンサを売場の出入口等に設置し、通過人数を計測する方法等によって、顧客の購買行動の把握が図られていた。
【0004】
また、上記のようなサンプリング的な調査方法によらずに顧客の行動を把握するものとして、無線タグを用いた顧客情報収集システムが提案されている。この顧客情報収集システムにおいては、顧客が保持している無線タグに記憶されている顧客識別情報を、店舗の入出口及び売場毎に設置されている読み取り手段によって読取ることで、店舗内での顧客の移動経路や立ち寄った売場での滞在時間を取得することができる。さらに、立寄った売場や当該売場での滞在時間についての情報に基づいて、各顧客が興味を示す商品を推定することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
さらに、所定の領域内にある位置特定対象物の位置を特定するため方法として、固定された所定の基地局から出力された無線信号を位置特定対象物にて受信し、受信した信号の信号強度(RSSI:Receieved Signal Strength Indication)に基づいて当該位置特定対象物の位置を推定する方法も用いられている。近年は、公衆無線LAN(Local Area Network)、企業、あるいは家庭内において、IEEE802.11bに準拠した無線信号が一般的に利用されていることから、当該無線信号を利用した各種の位置特定システムが提案されている。具体的には、複数の基地局について位置特定対象物から送信されたRSSIと、事前に所定の地点において測定したRSSIサンプルデータとを付き合わせることで、位置特定対象物の位置を確率的に推定する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2006−185293号公報
【特許文献2】特許第3899356号明細書
【特許文献3】特開2004−336194号公報
【特許文献4】特開2004−364061号公報
【特許文献5】特開2003−209884号公報
【特許文献6】特開2003−052077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、調査員やビデオカメラ、あるいは所定のセンサ等によってサンプリング的に調査を行う方法は、全顧客の行動を把握可能な方法ではないため、得られる情報の信頼性には限界があった。また、異なる曜日や時間帯での傾向を把握するには、調査の手間やコストが大幅に増大してしまうため、より効果的な改善施策を行うための詳細な情報を得ることが困難であった。
【0008】
また、上述した従来の顧客情報収集システムは、無線タグの顧客識別情報を読み取り手段が読み取った場合に、当該無線タグを保持している顧客が当該読み取り手段の近傍にいるものと推定している。従って、店舗内における顧客の位置を高精度に把握するためには、多数の読み取り手段を店舗内の全域に亘って配置する必要があり、設置コストの上昇を招いていた。
【0009】
また、無線LANに用いられている無線信号を利用した位置特定システムについては、推定した対象物の位置に対して、1〜5m程度の誤差が生じる可能性があった。このため、隣接した異なる通路のいずれに顧客が位置しているか等、店舗内における顧客の動線を特定するには精度が不十分であった。
【0010】
このように、従来の技術では顧客の位置を特定することが現実的には困難であり、位置が特定できることを前提とした各種のサービスについても具体的なものが提示されていない。例えば、大型ショッピングモールでは、来店客数が地域密着型の個人商店等に比べると格段に多いため、個々の顧客の動向を把握して接客を行いたいとの要望が存在するものの、従来の技術ではこのような要望を満たすことが困難であった。
【0011】
あるいは、個々の顧客が保持する携帯電話に起因する各種の弊害を防止したいとの要望も存在し、携帯電話のモードを強制的に切替える等の技術も提案されているが、従来は各顧客の位置を特定できなかったので、顧客の位置に応じて携帯電話を詳細に制御することが現実的に困難であった。
【0012】
例えば、上記特許文献3の技術では、予め利用者の行動スケジュールが把握できていなければ制御を行うことができず、特定範囲内を任意の動き回る利用者の携帯電話の制御には適用できない。また、特許文献4や特許文献5の技術では、GPSを利用して利用者の位置を特定しているので、衛星電波を受信できない屋内には適用できない。さらに、特許文献6の技術では、マナーモードを制御するための特殊な信号を発生させる装置や、この信号を受信する特別な受信機構が携帯電話側に必要になるため、やはり実用的ではない。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、低コストかつ高精度に顧客の位置を特定した上で、この特定した対象物の位置に応じて適切な対応を取ることができる、対象物位置対応制御装置および対象物位置対応制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1および8に記載の本発明によれば、推定情報送信手段から送信された第1識別情報と、対象物にて受信された推定情報の信号強度とに基づいて、対象物の概略的な位置について推定することができる。また、対象物が特定範囲内に位置していた場合には、当該特定範囲に対応する特定情報送信手段についての第2識別情報に基づいて対象物の推定位置を補正し、より正確な位置を特定することができる。従って、詳細に位置特定を行う必要のある領域にのみ特定情報送信手段を配置することで、当該特定情報送信手段に対応する特定範囲内に位置する対象物の位置を正確に特定することができる。また、概略的に位置が把握できればよい領域については、特定情報送信手段を配置することなく、対象物の位置を推定することができるので、対象物の位置を一律に詳細に特定する場合と比較して、必要なコストを低減することができる。特に、高精度に特定された対象物の位置に対応する制御内容関連情報に基づいた制御を行うので、対象物の位置に応じて適切な対応を行うことができる。
【0015】
また、請求項2に記載の本発明によれば、特定された対象物の位置と、対象物を保有する顧客が購買意思を示している購買エリアを特定する購買エリア特定情報とに基づいて、特定の購買エリアに位置する対象物の中で、当該特定の購買エリアでの購買意思を示している顧客にて保有されている対象物の位置を、レイアウト情報の上に関連付けて所定の出力手段に出力するので、自店舗の購買エリアでの購買意思を有している顧客の現在の位置を把握することができる。このため、自店舗の購買エリアでの購買意思を有している顧客の購入心理段階を把握することができ、購買意思を示している顧客に対して現在の位置に応じた適切な販売対応を取ることができる。
【0016】
また、請求項3に記載の本発明によれば、対象物の移動経路を示す情報を出力手段に出力することで、自店舗の購買エリアでの購買意思を有している顧客の嗜好や買い回り経路を確認して、購買意思を示している顧客に対して移動経路に応じた適切な販売対応を取ることができる。
【0017】
また、請求項4に記載の本発明によれば、特定の購買エリアでの購買意思を示している顧客にて保有されている対象物の位置が、当該特定の購買エリアと競合関係にある他の購買エリアに対して所定距離以内に位置する場合には、当該対象物の位置及び当該対象物の位置が当該所定距離以内に位置する旨を出力手段に出力するので、他店舗(競合店舗)のチラシや割引券を持参している顧客のように、他店舗(競合店舗)での購買意思を有している顧客が、自店舗の購買エリア内に居る場合には、当該顧客に対して自店舗の商品を勧める等の適切な対応を取ることができる。
【0018】
また、請求項5に記載の本発明によれば、特定された対象物の位置に対応する制御を、対象領域の各位置において前記対象物に対して行うべき制御を特定し、当該特定した制御を前記対象物に対して実行するための制御信号を当該対象物に対して送信するので、対象物の位置に応じた適切な対応や制御を対象物に対して行うことができる。
【0019】
また、請求項6に記載の本発明によれば、対象物は、アクセスポイントを介して当該対象物位置対応制御装置との間における無線通信を行うと共に、タグライタからの無線信号を受信する携帯電話であるため、この携帯電話に対して、その位置に応じた適切な対応や制御を行うことができる。
【0020】
また、請求項7に記載の本発明によれば、推定範囲において対象物に対して設定すべき第1のモードを特定し、特定した第1のモードを対象物に対して設定するための制御信号を当該対象物に対して送信し、さらに、前記対象物の位置が特定された場合には、当該特定された前記対象物の位置に対応する、各特定範囲において対象物に対して設定すべき第2のモードを特定し、当該特定した第2のモードを対象物に対して設定するための制御信号を当該対象物に対して送信することで、2つのモードを有する対象物に対し、その位置に応じて適切なモードに対象物自体で切り替えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る位置対応制御装置及び位置対応制御プログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
まず、〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について順次説明し、最後に、〔III〕各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態に係る位置対応制御装置及び位置対応制御プログラムは、対象領域内における対象物の位置を特定し、特定した位置に対応する制御内容を実行することで、対象物の位置に応じた適切な対応を取ることを目的とするものである。
【0024】
各実施の形態に係る位置対応制御装置及び位置対応制御プログラムの適用対象は任意であり、例えば、ショッピングモールおよびショッピングモール内の小売店舗や、スーパー等の小売店舗における顧客位置、オフィスビル内における従業員の位置、工場における所定製品の位置等の特定のために適用することが可能である。実施の形態1では、ショッピングモールに適用した場合、実施の形態2では、シネマコンプレックス(複合映画館)に適用した場合について、それぞれ説明する。
【0025】
各実施の形態では、概略的に、対象領域内における一定の範囲である推定範囲内に対象物が位置していることを推定するとともに、推定範囲よりも狭い特定範囲内に対象物が位置しているか否かを判定し、特定範囲内に対象物が含まれていることを条件として、推定された位置及び特定範囲に基づいて対象物の位置を特定し、この特定された位置に基づいて予め定められた制御内容を実行する点にある。これにより、対象物の概略的な位置について推定することができるとともに、詳細な位置を特定する必要がある場合には選択的に対象物の位置を特定することができる。従って、対象物の位置を一律に詳細に特定する場合と比較して、必要なコストを低減することができる。また、対象物の位置を特定可能な特定範囲を、対象物の位置を推定可能な推定範囲よりも狭くしているので、高精度に対象物の位置を特定することができる。
【0026】
特に、各実施の形態にかかる位置対応制御装置及び位置対応制御プログラムの特徴の一つは、特定された対象物の位置に対応する制御内容関連情報に基づいた制御を行う点である。これにより、例えば、ショッピングモール内における各店舗の店員は、自店舗の購買エリアでの購買意思を有している顧客の購入心理段階を把握することができ、購買意思を示している顧客に対して現在の位置に応じた適切な販売対応を取ることができる。あるいは、シネマコンプレックスにおいて、顧客の位置に応じて、当該顧客が保有している携帯電話を制御し、通話モードを切替えることができる。
【0027】
〔II〕各実施の形態の具体的内容
次に、各実施の形態の具体的内容について説明する。
【0028】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この形態は、特定の購買エリアでの購買意思を示している顧客にて保有されている対象物の位置を、レイアウト情報の上に関連付けて所定の出力手段に出力する形態である。
【0029】
(位置対応制御システムの構成)
まず、本実施の形態に係る位置対応制御装置を含む位置対応制御システムの構成を説明する。図1はショッピングモールに適用した場合の位置対応制御システムの概念図、図2は位置対応制御システムの電気的構成を機能概念的に示したシステムブロック図である。図1及び図2に示すように、位置対応制御システム1は、アクセスポイント10、タグライタ11、無線タグ12、位置対応制御装置13、及び、ショッピングモール2内の各店舗に配置されて位置対応制御装置13とインターネット等のネットワークで接続された店舗端末14(図2にのみ図示)とを備えている。
【0030】
(位置対応制御システムの構成−無線タグ)
無線タグ12は、後述する推定情報や特定情報をアクセスポイント10やタグライタ11との間で送受信するためのものである。この無線タグ12は、例えば、ショッピングモール2に入場する際に顧客に配布され、当該顧客がショッピングモール2を退場する際に回収される。
【0031】
図2に示すように、無線タグ12は、受信部120、信号強度計測部121、送信部122、記憶部123、及び、制御部124を備えている。受信部120は、アクセスポイント10から推定情報を受信し、タグライタ11から特定情報を受信するためのものである。信号強度計測部121は、受信部120にて受信された推定情報の信号強度を計測するものである。送信部122は、受信部120にて受信した推定情報や特定情報、あるいは、記憶部123に記憶されている情報を、アクセスポイント10に送信するためのものである。記憶部123は、当該無線タグ12を識別するための無線タグID、受信部120にて受信された推定情報や特定情報、及び、信号強度計測部121にて計測された推定情報の信号強度を記憶するためのものである。制御部124は、受信部120、信号強度計測部121、送信部122、及び記憶部123の動作の制御を行うためのものである。
【0032】
なお、無線タグ12の具体的な構成は任意であり、例えば、WiFi(Wireless Fidelity)タグや、パッシブ型またはアクティブ型のRFID(Radio Frequency Identification)タグを用いることができる。また、制御部124の具体的構成も任意であるが、例えば、OS(Operating System)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定した組み込みプログラム、所要データを格納するための内部メモリ、及び、これらのプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)を備えて構成される(後述する制御部111、130において同じ)。
【0033】
(位置対応制御システムの構成−アクセスポイント)
アクセスポイント10は、無線タグ12の位置を特定するための推定情報を無線タグ12に対して送信すると共に、無線タグ12から送信された推定情報、特定情報、及び、推定情報の信号強度を受信するためのものであり、特許請求の範囲における推定情報送信手段に対応していると共に、受信手段にも対応している。
【0034】
アクセスポイント10は、送信部100、受信部101、及び、記憶部102を備え、位置対応制御装置13と相互に通信可能に接続されている。送信部100は、推定情報を無線タグ12に送信するためのものである。受信部101は、無線タグ12から送信された推定情報、特定情報、及び、推定情報の信号強度を受信し、位置対応制御装置13に出力する。記憶部102は、送信部100にて送信すべき推定情報を記憶するためのものである。
【0035】
推定情報の具体的な内容は任意であるが、少なくとも、アクセスポイントIDを含んでいる。アクセスポイントIDは、アクセスポイント10を特定するためにアクセスポイント10毎に割り当てられたID番号である。このアクセスポイントIDは、無線タグ12によってアクセスポイント10から受信された推定情報に含まれているものであり、特許請求の範囲における第1識別情報に対応している。
【0036】
このように構成されるアクセスポイント10は、ショッピングモール2において顧客が移動し得る全ての領域を通信エリアとするような位置及び数で配置されることが好ましく、例えば、ショッピングモール2における出入り口や主要通路の近傍にそれぞれ配置される。なお、本実施の形態においては、受信部101をアクセスポイント10の一部としているが、受信部101は、アクセスポイント10から独立させた構成としてもよく、あるいは、位置対応制御装置13の一部としてもよい。
【0037】
(位置対応制御システムの構成−タグライタ)
タグライタ11は、無線タグ12が特定範囲内に位置していることを特定するための特定情報を送信するためのものであり、特許請求の範囲における特定情報送信手段に対応している。タグライタ11は、送信部110、制御部111、及び記憶部112を備えている。
【0038】
送信部110は、特定情報を当該タグライタ11を含む特定範囲内に送信する。特定範囲は、送信部110の出力に応じて特定情報が到達可能な範囲であり、後述する推定処理において無線タグ12の位置を推定可能な推定範囲よりも小さくなるように設定することができる。特定範囲の具体的な設定方法は任意であるが、例えば、送信部110の出力を制限することにより、所望の特定範囲を設定することができる。送信部110から送信される特定情報は、特定範囲内でのみ受信可能であるため、当該特定範囲内に無線タグ12が存在している場合にのみ、当該無線タグ12によって特定情報が受信される。
【0039】
制御部111は、送信部110の動作を制御するためのものである。記憶部112は、送信部110によって送信させる特定情報を記憶するものである。
【0040】
特定情報の具体的な内容は任意であるが、少なくとも、タグライタ11を一意に特定するためにタグライタ11ごとに割り当てられたタグライタIDを含んでいる。このタグライタIDは、無線タグ12によってタグライタ11から受信された特定情報に含まれているものであり、特許請求の範囲における第2識別情報に対応している。
【0041】
このように構成されるタグライタ11は、顧客の詳細位置を特定したい領域を通信エリアとするような位置及び数で配置されることが好ましく、例えば、各店舗のショッピングモール2における各店舗の出入り口や店内にそれぞれ配置される。
【0042】
(位置対応制御システムの構成−位置対応制御装置)
位置対応制御装置13は、特許請求の範囲における対象物位置対応制御装置に対応するもので、アクセスポイント10から送信された推定情報や、タグライタ11から送信された特定情報に基づき、無線タグ12の位置を特定した上で、当該特定した無線タグ12の位置を示すアイコンをショッピングモールのレイアウト画像に重畳させて店舗端末14に送信したり、店舗端末14からの操作入力を受信する。この位置対応制御装置13は、制御部130及び記憶部131をバスにて通信可能に接続して構成されている。
【0043】
(位置対応制御装置の構成−制御部)
制御部130は、推定処理部130a、特定処理部130b、通信処理部130c、及び位置対応制御部130dを備えている。
【0044】
推定処理部130aは、アクセスポイント10から送信された推定情報や、当該推定情報が無線タグ12にて受信された際の信号強度に基づいて、無線タグ12の位置を推定する推定処理を実行する処理手段であり、特許請求の範囲における推定手段に対応している。
【0045】
特定処理部130bは、アクセスポイント10の受信部101にて受信された特定情報に基づいて、無線タグ12の位置を特定する特定処理を実行する処理手段であり、特許請求の範囲における特定手段に対応している。
【0046】
通信処理部130cは、アクセスポイント10や店舗端末14等の外部機器との間の通信を制御するものであり、例えばネットワークボードとして構成される。
【0047】
位置対応制御部130dは、ショッピングモールや各店舗のレイアウト画像において、特定処理部130bによって特定された無線タグ12の位置をアイコンで示して店舗端末14に送信したり、店舗端末14から受信した操作入力に従って、後述する無線タグ12の移動経路を送信する等の位置対応制御処理を行うものであり、特許請求の範囲における対象物位置対応制御手段に対応している。
【0048】
(位置対応制御装置の構成−記憶部)
記憶部131は、位置対応制御装置13における各処理を実行するために必要なデータを記憶するための記憶手段である。この記憶部131には、信号強度データベース(以下「DB」)131a、信号強度実測DB131b、タグライタ配置テーブル131c、位置特定結果テーブル131d、及び、購買エリア特定テーブル131e、レイアウトDB131f、店舗タグID対応テーブル131g、移動経路データ131h、競合関係テーブル131iが格納されている。この記憶部131の具体的な構成は任意であるが、例えば、HD(Hard Disk)の如き不揮発的な記憶装置により構成されている。
【0049】
(記憶部−データの構造)
次に、記憶部131に格納されているデータの構造について説明する。ただし、これらデータはあくまで例示であり、以下に示す情報以外の情報を含むことができ、あるいは、以下に示す情報の一部を除外することもできる。
【0050】
(記憶部−データの構造−信号強度DB)
図3は、信号強度DB131aに格納されているデータ構造を示す表である。信号強度DB131aは、無線タグ12がアクセスポイント10から推定情報を受信した際の信号強度に関する情報を格納するためのものである。具体的には、図3に例示するように、データ項目として、「タグID」、「アクセスポイントID」、「信号強度」、「タイムスタンプ」、及び、「タグライタID」を含んで構成されている。これらの項目に対応するデータは、後述する受信処理において、アクセスポイント10の受信部101によって無線タグ12から受信され、当該受信部101から通信処理部130cを介して当該信号強度DB131aに格納される。
【0051】
データ項目「タグID」に対応するデータとしては、無線タグ12毎に割り当てられているID番号(図3においては、「001」)が格納されている。
【0052】
データ項目「アクセスポイントID」に対応するデータとしては、アクセスポイントID(図3においては、「AP1」、「AP2」、「AP3」等)が格納されている。
【0053】
データ項目「信号強度」に対応するデータとしては、無線タグ12にて計測された推定情報の信号強度を特定する信号強度情報(図3においては、「−40dbm」、「−50dbm」等)が格納されている。
【0054】
データ項目「タイムスタンプ」に対応するデータとしては、無線タグ12から送信された情報をアクセスポイント10の受信部101が受信した日時(図3においては、「2007−10−20 10:21:05」等)が格納されている。
【0055】
データ項目「タグライタID」に対応するデータとしては、タグライタID(図3においては、「10」、「11」、「12」、「23」等)が格納されている。
【0056】
(記憶部−データの構造−信号強度実測DB)
図4は、信号強度実測DB131bに格納されているデータ構造を示す表である。信号強度実測DB131bは、対象領域内において予め測定された信号強度を格納するためのものである。具体的には、図4に示すように、「実測位置」、「アクセスポイントID」、及び、「信号強度」をデータ項目として含んでいる。これらの項目に対応するデータは、キーボード等の入力手段やネットワークを介して当該信号強度実測DB131bに格納され、更新される。
【0057】
データ項目「実測位置」に対応するデータとしては、対象領域内において信号強度の測定を実施した位置を特定するための測定位置情報(図4においては、「(0,0)」、「(10,0)」等)が格納されている。
【0058】
データ項目「アクセスポイントID」に対応するデータとしては、各実測位置において信号強度が測定された信号の発信元であるアクセスポイント10のID番号(図4においては、「AP1」、「AP2」、「AP3」等)が格納されている。
【0059】
データ項目「信号強度」に対応するデータとしては、上述の各実測位置において測定された信号強度を特定するための信号強度実測情報(図4においては、「−30dbm」、「−40dbm」等)が格納されている。
【0060】
(記憶部−データの構造−タグライタ配置テーブル)
図5は、タグライタ配置テーブル131cに格納されているデータ構造を示す表である。タグライタ配置テーブル131cは、タグライタ11の配置位置、及び、当該配置位置に関する情報を格納するものである。具体的には、タグライタ配置テーブル131cは、図5に示すように、「タグライタID」、「補正種別」、「設置座標」、及び、「補正範囲」を項目として含んでいる。これらの項目に対応するデータは、キーボード等の入力手段やネットワークを介して当該タグライタ配置テーブル131cに格納され、更新される。
【0061】
項目「タグライタID」に対応するデータとしては、位置対応制御システム1にて用いられる全てのタグライタIDが格納されている。
【0062】
項目「補正種別」に対応するデータとしては、タグライタ11の配置位置を示す複数の座標のうち、無線タグ12の位置を特定する際に参照すべき座標を選択するための補正種別を特定する、補正種別情報が格納されている。
【0063】
項目「設置座標」に対応するデータとしては、タグライタ11の配置位置を特定するための配置位置情報が、対象領域内における座標(図5においては、「(8,2)」、「(8,5)」等)として格納されている。
【0064】
項目「補正範囲」に対応するデータとしては、特定処理において、タグライタ11の配置位置に基づいて無線タグ12の位置を特定するか否かの判断基準となる補正範囲を特定するための補正範囲情報が格納されている。補正範囲の大きさは任意であるが、例えば、上述の特定範囲よりも小さくなるように設定することができる。また、補正範囲の規定の方法は任意であるが、例えば、当該補正範囲の端部の座標(図5においては、「(7,1)」、「(9,3)」等)を用いて規定してもよい。
【0065】
(記憶部−データの構造−位置特定結果テーブル)
図6は、位置特定結果テーブル131dに格納されているデータ構造を示す表である。位置特定結果テーブル131dは、推定処理または特定処理によって推定または特定された無線タグ12の位置に関する情報を格納するためのものである。具体的には、位置特定結果テーブル131dは、図6に示すように「タグID」、「タイムスタンプ」、「座標」、及び、「補正後座標」を項目として含んでいる。
【0066】
項目「タグID」に対応するデータとしては、位置が推定または特定された無線タグ12のID番号が格納されている。
【0067】
項目「タイムスタンプ」に対応するデータとしては、無線タグ12の位置を特定する際に用いた推定情報や特定情報がアクセスポイント10の受信部101にて受信された日時が格納されている。
【0068】
項目「座標」に対応するデータとしては、推定処理にて推定された無線タグ12の位置を特定するための推定位置情報が、対象領域内における座標として格納されている。
【0069】
項目「補正後座標」に対応するデータとしては、特定処理にて特定された無線タグ12の位置を特定するための特定位置情報が、対象領域内における座標として格納されている。
【0070】
(記憶部−データの構造−購買エリア特定テーブル)
図7は、購買エリア特定テーブル131eのデータ構造を示す表である。購買エリア特定テーブル131eは、無線タグ12の位置に応じて行うべき制御内容を示すテーブルの一つである。具体的には、購買エリア特定テーブル131eは、図7に示すように「店舗」、「位置」、「座標」、及び、「レイアウト画像」を項目として含んでいる。
【0071】
項目「店舗」に対応するデータとしては、ショッピングモール2の各店舗を特定するための情報として、各店舗の名称が格納されている。この名称に代えて、各店舗のID番号を格納してもよい。
【0072】
項目「座標」に対応するデータとしては、ショッピングモール2の各店舗の位置を特定するための情報として、各店舗の座標が格納されている。
【0073】
項目「レイアウト画像」に対応するデータとしては、ショッピングモール2の各店舗のレイアウト(平面図)の画像を特定するための情報として、各店舗のレイアウトの画像データに対応するファイル名(あるいは当該画像データに至るパス情報)が格納されている。
【0074】
(記憶部−データの構造−レイアウトDB)
レイアウトDB131fには、各店舗のレイアウトの画像データが格納されている。この画像データは、任意の形式(本実施の形態ではJPEG形式)の画像データであり、このレイアウトDB131fには、各店舗のレイアウトの画像データの他、ショッピングモール2全体のレイアウトの画像データも格納されている。これら各画像データのファイル名は、購買エリア特定テーブル131eに格納されたファイル名に一致する。
【0075】
(記憶部−データの構造−店舗タグID対応テーブル)
図8は、店舗タグID対応テーブル131gのデータ構造を示す表である。店舗タグID対応テーブル131gは、無線タグ12の位置に応じて行うべき制御内容を示すテーブルの一つである。具体的には、店舗タグID対応テーブル131gは、図8に示すように「店舗」、「品目」及び、「タグID」を項目として含んでいる。この店舗タグID対応テーブルは、予めシステム管理者が生成して店舗タグID対応テーブル131gに格納する。
【0076】
項目「店舗」に対応するデータとしては、購買エリア特定テーブル131eの項目「店舗」に対応するデータと共通するデータの全部又は一部が格納される。
【0077】
項目「品目」に対応するデータとしては、ショッピングモール2の各店舗において販売されている各商品の品目が格納されている。
【0078】
項目「タグID」に対応するデータとしては、ショッピングモール2の各店舗において販売されている各商品に対応する無線タグ12のタグIDが格納されている。
【0079】
ここでは、同一の顧客が複数の店舗で購買する可能性があることや、購買店舗や購買商品を決定していない顧客に対して無線タグ12を配布することも想定されるため、必ずしもタグIDを店舗や品目に一対一で関連付ける必要はない。例えば、複数の店舗で購買することを決定している顧客に対応するタグIDは、当該複数の店舗の全てに関連付けて格納する。図8の例では、タグID=002に対応する顧客は、相互に品目が異なる店舗(青札堂とブランドX)での購買を決定しており、タグID=005、006に対応する顧客は、相互に品目の一部が共通する店舗(ブランドXとブランドY)での購買を決定している。あるいは、店舗を決定していない顧客に対応するタグIDには、当該決定していない旨を示す情報を関連付けて格納してもよい。図8の例では、店舗を決定していない顧客に対応するタグID=012、013、014には「店舗非特定フラグ1」を関連付けて格納している。このような情報を設定することで、店舗側から識別できる顧客の購買可能性に幅を持たせることができる。
【0080】
(記憶部−データの構造−移動経路データ)
図9は、移動経路データ131hの一例を示す説明図である。移動経路データ131hは、各顧客の移動経路(立ち寄り経路)を特定するための情報を格納するものである。具体的には、移動経路データ131hは、図9に示すように「タグID」、「立ち寄り店舗」、及び、「滞在時間」を項目として含んでいる。
【0081】
項目「タグID」に対応するデータは、移動経路が記録されている各顧客に配布された無線タグ12のタグIDが格納されている。
【0082】
項目「立ち寄り店舗」に対応するデータは、顧客が立ち寄った店舗を特定するための情報であり、購買エリア特定テーブル131eの項目「店舗」に対応するデータと共通するデータの全部又は一部が格納される。
【0083】
項目「滞在時間」に対応するデータは、顧客が立ち寄った各店舗における滞在時間を特定するための情報である。
【0084】
(記憶部−データの構造−競合関係データ)
図10は、競合関係データ131iの一例を示す説明図である。競合関係データ131iには、ショッピングモール2の複数の店舗における相互の競合関係を特定するための情報が格納されている。具体的には、競合関係データ131iは、図10に示すように複数のレコードを含んでおり、各レコードには、相互に競合関係のある店舗を特定するための情報として、各店舗の名称が格納されている。この名称に代えて、各店舗のID番号を格納してもよい。例えば、図10における最初のレコードは、店舗「XXコーヒー」と店舗「YY珈琲」が互いに競合関係にあることを示している。
【0085】
(位置対応制御装置の処理動作−全体的な流れ)
次に、位置対応制御装置13の処理動作について説明する。まず、位置対応制御装置13が実行する処理の全体的な流れについて、図11を参照して説明する。図11は、位置対応制御装置13が実行する処理の全体的な流れを示すフローチャートである。位置対応制御装置13が処理を実行する際の前提として、ショッピングモール2を訪れた顧客に対して、当該顧客が購買意思のある商品に関連付けられた無線タグ12が配布されている必要がある。例えば、ショッピングモール2を顧客が訪れた際に、当該ショッピングモール2の入口において、係員が口頭で顧客に対して購入の意思を固めている店舗や商品の有無を確認し、当該店舗や商品が有る場合には、当該店舗や商品に対応する無線タグ12(図8において、当該店舗や当該商品に対応する品目にタグIDが関連付けられた無線タグ12)を当該顧客に配布する。また、購入の意思を固めている店舗や商品が特にない顧客に対しては、図8の店舗非特定フラグ1や品目非特定フラグ1にタグIDが関連付けられた無線タグ12を当該顧客に配布する。あるいは、無線タグ12を配布した後に、係員が、当該無線タグ12のタグIDと、購入の意思を固めている店舗や品目に関する情報とを関連付けて、店舗タグID対応テーブル131gに入力するようにしてもよい。
【0086】
無線タグ12の配布形態は任意であり、例えば無線タグ12を単体で配布してもよいが、買い物カゴに装着した状態で顧客に配布してもよい。あるいは、ショッピングモール2の入口付近に無線タグ12の自動配布装置を設置し、この自動配布装置に顧客が購入予定の商品等を特定する情報を自ら入力することで、当該商品に対応する無線タグ12を自動配布装置から当該顧客に自動的に配布するようにしてもよい。顧客による無線タグ12の携行率を向上させるためには、顧客が商品を購入する際に当該購入店舗において無線タグ12を提示することで、商品代金を割り引いたり、粗品を進呈する等の対策を施してもよい。なお、このように配布された無線タグ12は、顧客が商品を購入した際に当該購入店舗において回収したり、ショッピングモール2の出口において回収する。
【0087】
ショッピングモール2の店内全域にはアクセスポイント10から推定情報が送信されており、顧客に配布された無線タグ12にて当該推定情報が受信される。無線タグ12は、アクセスポイント10から推定情報を受信すると、当該受信した推定情報の内容を記憶部123に記憶する。また、受信した推定情報の信号強度を信号強度計測部121が計測し、当該計測した信号強度を特定する信号強度情報を記憶部123に記憶する。
【0088】
さらに、タグライタ11が設置されている店舗に顧客が接近し、当該タグライタ11に対応する特定範囲内に顧客が進入すると、無線タグ12はタグライタ11から特定情報を受信し、当該受信した特定情報の内容を記憶部123に記憶する。記憶部123に記憶されているこれらの情報は、所定のタイミング(例えば、無線タグ12に搭載されたモーションセンサによって当該無線タグ12の動きが検出されたタイミングや、タイマーによって計時されたタイミング等)において、当該無線タグ12の送信部122から送信され、アクセスポイント10を介して位置対応制御装置13によって受信および処理される。
【0089】
位置対応制御装置13の通信処理部130cは、アクセスポイント10の受信部101からタグID、推定情報、特定情報、及び、信号強度情報が入力されると、当該入力された情報を、受信部101がこれらの情報を受信した時刻を示すタイムスタンプと共に、信号強度DB131aに格納する(ステップSA−1)。
【0090】
次いで、推定処理部130aは、信号強度DB131aや信号強度実測DB131bを参照し、当該信号強度DB131a等に格納されている情報に基づいて無線タグ12の位置を推定する推定処理を実行する(ステップSA−2)。続いて、特定処理部130bは、推定処理部130aによって推定された無線タグ12の位置や、信号強度DB131aに格納された特定情報に基づいて、無線タグ12の位置を特定する特定処理を実行する(ステップSA−3)。無線タグ12の位置が特定されると、当該特定された無線タグ12の位置に基づいて、位置対応制御部130dが位置対応制御処理を実行し、無線タグ12の位置を示すアイコンをショッピングモール2のレイアウト画像に重畳させた画像を店舗端末14に送信する(ステップSA−4)。店舗端末14では、この画像を受信してディスプレイ画面等に表示することにより、自店舗の商品に対応する無線タグ12を所有している顧客の行動を把握することが可能となる。
【0091】
(位置対応制御装置の処理動作−推定処理)
次に、上述の推定処理の流れについて、図12を参照して説明する。図12は、位置対応制御装置13が実行する推定処理の流れを示すフローチャートである。推定処理部130aは、相互に関連付けて格納されているタグID、信号強度情報、アクセスポイントID、及びタイムスタンプを信号強度DB131aから取得する(ステップSB−1)。
【0092】
続いて、取得した信号強度情報及びアクセスポイントIDと、信号強度実測DB131bに格納されている測定位置情報、アクセスポイントID、及び信号強度実測情報とに基づいて、タグIDにて特定される各無線タグ12についてタイムスタンプ毎の位置を推定する(ステップSB−2)。ここで、無線タグ12の位置を推定する方法としては既知の方法を利用することができる。例えば、信号強度DB131aから取得した信号強度情報を、信号強度実測DB131bに格納されている測定位置情報や信号強度実測情報と照らし合わせ、確率的に無線タグ12の位置を推定させてもよい。
【0093】
続いて、推定処理部130aは、推定した位置を特定する推定位置情報を、当該推定した位置に対応するタグID及びタイムスタンプと共に、特定処理部130bに出力する(ステップSB−3)。
【0094】
(位置対応制御装置の処理動作−特定処理)
次に、上述の特定処理の流れについて、図13を参照して説明する。図13は、位置対応制御装置13が実行する特定処理の流れを示すフローチャートである。特定処理部130bは、上述のステップSB−3において、無線タグ12の推定位置情報、当該推定された位置に対応するタグID、及びタイムスタンプが推定処理部130aから入力されると、これらの情報を相互に対応付けて位置特定結果テーブル131dに格納する(ステップSC−1)。
【0095】
次に、特定処理部130bは、信号強度DB131aを参照し、ステップSB−3において入力されたタグID及びタイムスタンプに対応付けてタグライタIDが格納されているか否かを判定する(ステップSC−2)。タグライタIDが格納されていない場合(ステップSC−2、No)、無線タグ12の位置についてこれ以上の詳細な特定ができないため、位置特定結果テーブル131dの内容を維持する。
【0096】
例えば、図3に示す信号強度DB131aにおいて、上から1行目に格納されているデータ(タグID「001」、タイムスタンプ「2007−10−20 10:21:05」)には、タグライタIDが格納されていない。従って、図6に示すように、当該データに基づいて推定処理部130aによって推定された無線タグ12の位置を示す座標(8,0)のみが、タグID及びタイムスタンプに対応付けて位置特定結果テーブル131dに格納されている。
【0097】
一方、図13に戻り、タグライタIDが格納されている場合(ステップSC−2、Yes)、特定処理部130bは、当該タグライタIDに対応付けて格納されている補正種別情報、配置位置情報、及び補正範囲情報をタグライタ配置テーブル131cから取得する(ステップSC−3)。そして、ステップSB−3において推定処理部130aから入力された無線タグ12の推定位置情報にて特定される推定位置が、ステップSC−3において取得した補正範囲情報にて特定される補正範囲に含まれているか否かを判定する(ステップSC−4)。
【0098】
無線タグ12の推定位置が補正範囲に含まれていない場合(ステップSC−4、No)、特定処理部130bは、無線タグ12の位置として当該無線タグ12の推定位置を優先すべきと判断し、上述のステップSC−1において推定位置情報が格納された位置特定結果テーブル131dの状態を維持する。
【0099】
例えば、図3に示す信号強度DB131aにおいて、上から3行目に格納されているデータ(タグID「001」、タイムスタンプ「2007−10−20 10:21:20」)には、タグライタIDとして「10」が格納されている。図5に示すタグライタ配置テーブル131cによれば、タグライタID「10」に対応する補正範囲は(7,1)から(9,3)となっている。一方、図6に示すように、当該データに基づいて推定処理部130aによって推定された無線タグ12の位置は(8,4)であることから、タグライタID「10」に対応する補正範囲には含まれていない。従って、推定処理部130aによって推定された位置(8,4)のみが位置特定結果テーブル131dに格納されている。
【0100】
一方、無線タグ12の推定位置が補正範囲に含まれている場合(ステップSC−4、Yes)、特定処理部130bは、ステップSC−3において取得した補正種別情報にて特定される補正種別に応じた座標を、同じくステップSC−3において取得した配置位置情報の中から選択し、当該選択した座標を無線タグ12の推定位置情報における座標に代入することで、特定位置情報を算出する(ステップSC−5)。続いて、当該算出した特定位置情報を、補正後座標として当該位置特定結果テーブル131dに格納する(ステップSC−6)。このように、無線タグ12が任意のタグライタ11の特定範囲内に位置し、さらに当該無線タグ12の推定位置が補正範囲に含まれていた場合には、タグライタ11の配置位置情報を用いて無線タグ12の推定位置が補正される。従って、無線タグ12がタグライタ11の近傍に位置していた場合には、より正確に当該無線タグ12の位置を特定することができる。
【0101】
例えば、図3に示す信号強度DB131aにおいて、上から4行目に格納されているデータ(タグID「001」、タイムスタンプ「2007−10−20 10:21:22」)には、タグライタIDとして「11」が格納されている。図5に示すタグライタ配置テーブル131cによれば、タグライタID「11」に対応する補正種別は「Y座標」、設置座標は「(8,5)」、補正範囲は(7,4)から(9,6)である。一方、図6に示すように、当該データに基づいて推定処理部130aによって推定された無線タグ12の位置は(7,6)であることから、タグライタID「10」に対応する補正範囲に含まれている。従って、補正種別「Y座標」に基づき、設置座標(8,5)におけるY座標である「5」を無線タグ12の推定位置(7,6)のY座標に代入した座標(7,5)が、図6に示す位置特定結果テーブル131dの補正後座標に対応するデータとして格納されている。
【0102】
(位置対応制御装置の処理動作−位置対応制御処理)
次に、位置対応制御処理の流れについて、図14および図15を参照して説明する。図14および図15は、位置対応制御装置13が実行する位置対応制御処理の流れを示すフローチャートである。以下では、表示要求を店舗端末14から受信する毎に、位置対応制御処理を行うものとして説明するが、表示要求の受信の有無に関わらず、常時自動的に位置対応制御処理を繰り返すことで、リアルタイム処理を行うようにしてもよい。
【0103】
まず、通信処理部130cが店舗端末14から表示要求を受信すると(ステップSE−1)、位置対応制御部130dは、レイアウトDB131fからショッピングモール2の全体のレイアウト画像を取得する(ステップSE−2)。そして、位置対応制御部130dは、店舗タグID対応テーブル131gに登録されているすべてのタグIDを取得し(ステップSE−3)、取得した全てのタグIDの無線タグ12の特定位置を位置特定結果テーブル131dから取得する(ステップSE−4)。
【0104】
次に、位置対応制御部130dは、表示要求元の店舗の商品として登録された無線タグ12のタグIDを特定する(ステップSE−5)。この特定は、例えば、表示要求を受信する際に当該表示要求元の店舗の名称を送信させ、当該名称に基づいて店舗タグID対応テーブル131gを参照することで行う。この際、店舗タグID対応テーブル131gに店舗非特定フラグ1が格納されている場合には、当該店舗非特定フラグ1に関連付けられたタグIDについても、情報を表示すべきタグIDとする。あるいは、当該表示要求元の店舗の品目に、当該店舗非特定フラグ1に関連付けられた品目が含まれる場合にのみ、当該店舗非特定フラグ1に関連付けられたタグIDを含めるようにしてもよい。また、位置対応制御部130dは、表示要求を受信する際に送信させた当該表示要求元の店舗の名称に基づいて競合関係テーブル131iを参照することで、当該表示要求元の店舗と競合関係にある店舗の名称を特定する。そして、位置対応制御部130dは、当該競合関係にある店舗の名称に基づいて購買エリア特定テーブル131eを参照することで、当該競合関係にある店舗の位置(購買エリア)を取得する(ステップSE−6)。
【0105】
次に、位置対応制御部130dは、無線タグ12の特定位置が、競合関係にある店舗の購買エリア内および購買エリアから所定距離(例えば5m)の範囲内にあるか否かを調べる(ステップSE−7)。そして、無線タグ12の特定位置が、競合関係にある店舗の購買エリアから所定距離の範囲内にある場合には(ステップSE−7、Yes)、当該表示要求元の店舗端末14に対して報知する旨の信号を送信する(ステップSE−8)。この報知する旨の信号を受信した店舗端末14は、自店舗の商品の無線タグ12を所有する顧客が競合関係にある店舗の購買エリアから所定距離の範囲内にいる旨の告知音声を、スピーカやディスプレイ画面などの出力手段に出力する。従って、当該表示要求元の店舗端末14の店員は、他店舗(競合店舗)での商品購入を予定していた顧客が自店舗の購買エリア内に居ることを察知でき、当該顧客に対して自店舗の商品を勧める等の適切な対応を取ることができる。一方、ステップSE−7において、無線タグ12の特定位置が、競合関係にある店舗の購買エリア内および購買エリアから所定距離の範囲内にない場合には(ステップSE−7、No)、かかる処理は行われない。
【0106】
次に、位置対応制御部130dは、全てのタグIDのアイコンを、ショッピングモール全体のレイアウト画像上の位置であって、当該タグIDの特定位置に対応する位置に重畳表示した上で、このレイアウト画像を、通信処理部130cを介して当該表示要求元の店舗端末14に送信する(ステップSE−9)。ここで、全ての無線タグ12のうち当該表示要求元の店舗の商品に対応する無線タグ12の位置については、他の店舗の無線タグ12と異なる表示形態のアイコンを配置することが好ましい。
【0107】
当該表示要求元の店舗端末14では、アイコンが配置されたレイアウト画像をディスプレイ画面等の出力手段に表示することにより、店員は、自店舗の商品に対応する無線タグ12の位置を視覚的に把握することができる。図16は、無線タグ12の位置をアイコンで示したショッピングモール全体のレイアウト画像の一例を示す模式図である。図16において、アイコン12aが当該表示要求元の店舗の商品に対応する無線タグ12の位置を示し、アイコン12b等その他のアイコンが当該店舗以外の店舗の商品に対応する無線タグ12の位置を示している。
【0108】
その後、当該表示要求元の店舗の店員は、自店舗の店舗端末14で表示されたショッピングモールのレイアウト画像において自店舗を指定すること等により、自店舗の拡大表示を要求することができる。例えば、店舗端末14には図示しない入力手段が設けられており、この入力手段を介してレイアウト画像における自店舗を指定するための所定操作を行うことで、拡大表示の指示が通信処理部130cに送信される。
【0109】
通信処理部130cが店舗端末14から拡大表示の指示を受信した場合(ステップSE−10)、位置対応制御部130dは、拡大表示の指示と共に送信させた当該拡大指示元の店舗の名称に基づいて購買エリア特定テーブル131eを参照することで、当該拡大指示元の店舗の位置を取得すると共に、当該拡大指示元の店舗のレイアウト画像のファイル名を取得し、さらにこのファイル名に基づいてレイアウトDB131fを参照することで、当該拡大指示元の店舗のレイアウト画像を取得する(ステップSE−11)。そして、位置対応制御部130dは、位置特定結果テーブル131dの各無線タグ12の特定位置と、当該取得した当該拡大指示元の店舗の位置とに基づいて、当該拡大指示元の店舗の中にある無線タグ12を特定し、当該特定した無線タグ12の位置を当該取得した当該拡大指示元の店舗のレイアウト画像における対応位置に重畳表示した上で、このレイアウト画像を店舗端末14に送信する(ステップSE−12)。このときも、当該拡大指示元の店舗の商品に対応する無線タグ12の位置については、他の店舗の商品に対応する無線タグ12とは異なる表示形態のアイコンを配置することが好ましい。
【0110】
当該拡大指示元の店舗における店舗端末14では、アイコンが配置された店舗のレイアウト画像をディスプレイ画面等の出力手段に表示することにより、自店舗内における無線タグ12の位置であって、自店舗の商品に対応する無線タグ12の位置を視覚的に把握することができる。図17は、無線タグ12の位置をアイコンで示した店舗のレイアウト画像の一例を示す模式図である。図17において、アイコン12aが自店舗の商品に対応する無線タグ12の位置を示し、アイコン12b等その他のアイコンが自店舗以外の店舗の商品に対応する無線タグ12の位置を示している。従って、当該拡大指示元の店舗端末14の店員は、自店舗での商品購入を予定していた顧客の位置を詳細に特定でき、この顧客に対して直接的に接客対応を行うことで、商品販売の成功率を高めることができる。
【0111】
その後、当該拡大指示元の店舗の店員は、さらに、店舗端末14から、自店舗の商品に対応する無線タグ12のアイコンのタグIDを指定すること等により、当該無線タグ12を所有する顧客のショッピングモール2内での移動経路の表示を要求することができる。例えば、店舗端末14には図示しない入力手段が設けられており、この入力手段を介して、拡大レイアウト画像に表示された自店舗における無線タグ12のいずれかを指定するための所定操作を行うことで、移動経路表示の要求が通信処理部130cに送信される。
【0112】
通信処理部130cが店舗端末14から移動経路表示の要求を受信した場合(ステップSE−13、Yes)、位置対応制御部130dは、記憶部131から、指定されたタグIDについての移動経路データを取得し(ステップSE−14)、当該取得した移動経路データを当該要求元の店舗端末14に送信する(ステップSE−15)。これにより、店舗端末14では、図9に示した表示形態で、移動経路を表示することが可能となる。従って、当該要求元の店舗端末14の店員は、自店舗に来店した顧客の直近の動向を詳細に把握でき、この動向を考慮した上で当該顧客に対して接客することで、商品販売の成功率を高めることができる。
【0113】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、アクセスポイント10から送信されたアクセスポイントIDと、無線タグ12にて受信された推定情報の信号強度とに基づいて、無線タグ12の概略的な位置について推定することができる。また、無線タグ12が特定範囲内に位置していた場合には、当該特定範囲に対応するタグライタ11についてのタグライタIDに基づいて無線タグ12の推定位置を補正し、より正確な位置を特定することができる。従って、詳細に位置特定を行う必要のある領域にのみタグライタ11を配置することで、当該タグライタ11に対応する特定範囲内に位置する無線タグ12の位置を正確に特定することができる。また、概略的に位置が把握できればよい領域については、タグライタ11を配置することなく、無線タグ12の位置を推定することができるので、対象物の位置を一律に詳細に特定する場合と比較して、必要なコストを低減することができる。
【0114】
特に、位置対応制御部130dは、特定された無線タグ12を保有する顧客が購買意思を示している購買エリアでの購買意思を示している顧客にて保有されている無線タグ12の位置を、レイアウト画像の上に関連付けて店舗端末14に出力するので、各店舗の店員は、自店舗の購買エリアでの購買意思を有している顧客の現在の位置をより視認により把握することができる。このため、自店舗の購買エリアでの購買意思を有している顧客の購入心理段階を把握することができ、購買意思を示している顧客に対して現在の位置に応じた適切な販売対応を取ることができる。
【0115】
また、位置対応制御部130dは、特定の購買エリアでの購買意思を示している顧客にて保有されている無線タグ12の位置が、特定の購買エリアと競合関係にある他の購買エリアに対して所定距離以内に位置する場合には、無線タグ12の位置及び無線タグ12の位置が所定距離以内に位置する旨の警報を店舗端末14に出力するので、各店舗の店員は、自店舗の購買エリアでの購買意思を有している顧客に対して競合相手を考慮した適切な販売対応を取ることができる。
【0116】
また、位置対応制御部130dは、特定の購買エリアでの購買意思を示している顧客の位置を、当該購買エリアの拡大レイアウト画像の上に表示するので、各店舗の店員は、自店舗での商品購入を予定していた顧客の位置を詳細に特定でき、この顧客に対して直接的に接客対応を行うことで、商品販売の成功率を高めることができる。
【0117】
また、位置対応制御部130dは、無線タグ12を所有している顧客のショッピングモール内での移動経路を店舗端末14に出力するので、各店舗の店員は、自店舗の購買エリアでの購買意思を有している顧客の嗜好や買い回り経路を確認して、購買意思を示している顧客に対して移動経路に応じた適切な販売対応を取ることができる。
【0118】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、シネマコンプレックスの観客が所有する携帯電話を対象物として、この携帯電話の位置をアクセスポイントおよびタグライタで特定し、位置対応制御装置が携帯電話の位置に基づいて、携帯電話のモードを切り替える制御信号を携帯電話に送信し、携帯電話自体で自動的にモード切替を行う形態である。
【0119】
(位置対応制御システムの構成)
図18は、複数の映画館が収用されたシネマコンプレックス4に適用した場合の位置対応制御システムの概念図、図19は実施の形態2の位置対応制御システムの電気的構成を機能概念的に示したシステムブロック図である。
【0120】
図18及び図19に示すように、位置対応制御システム3は、携帯電話20、アクセスポイント10、タグライタ11、位置対応制御装置30を備えている。ここで、図18に示すように、アクセスポイント10は、シネマコンプレックス4の通路、各映画館の内部にそれぞれ設けられており、タグライタ11は、各映画館の入り口に設置されている。また、シネマコンプレックス4の内部のうちロビーや通路などの映画館の外側の領域は、携帯電話をマナーモードにしなければならない「マナーエリア」となっている。また、各映画館の内部は、携帯電話の電源を遮断しなければならない厳格モードが適用される「厳格エリア」となっている。
【0121】
ここで、アクセスポイント10、タグライタ11の機能については実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0122】
携帯電話20は、シネマコンプレックス4を訪れた観客が所有しており、受信部201と、信号強度計測部202と、送信部203と、制御部204と、記憶部205とを主に備えている。受信部201は、位置対応制御装置30からの各種情報を、アクセスポイント10を経由した電波で受信したり、タグライタ11から無線信号としてのタグIDを受信する。信号強度計測部202は、受信部201にて受信された推定情報の信号強度を計測する。送信部203は、アクセスポイント10を経由して、後述するマナーエリア判別情報を送信する。制御部204は、マナーエリア判別情報を生成したり、モードの切替え制御を行うものである。記憶部205は、受信部201にて受信したタグIDを保存するメモリ等の記憶媒体である。
【0123】
ここで、タグライタ11は、マナーエリアの中の厳格モードが適用させるべき映画館の入り口に設置されている。このため、厳格モードで有る映画館内部に入館した観客の携帯電話20には、その記憶部205にタグライタ11によりタグIDが記録される。このため、本実施の形態では、このタグIDを後述するマナーエリア判別情報に含めて、厳格モードが適用されるべき領域であるか否かを位置対応制御装置30で判断している。
【0124】
図20は、マナーエリア判別情報のデータ構造を示す図である。マナーエリア判別情報は、携帯電話20のMACアドレスと、電波(ビーコン電波)を受信した先のアクセスポイント10を一意に識別するためのアクセスポイントID(SSID:Service Set ID)と、受信した電波(ビーコン電波)の電波強度とを少なくとも対応づけている。
【0125】
アクセスポイントIDは、携帯電話会社間で予め定められた値であり、マナーエリアの場合には、先頭の数文字を統一した値に定めることができる。
【0126】
具体的には、制御部204は、アクセスポイント10から同時に3波の電波を受信し、そのうち最大信号強度のアクセスポイント10から受信した推定情報だけを用いて後述する推定処理を行う。これは、マナーエリアが隣接する場合を考慮したものである。
【0127】
また、制御部204は、記憶部205にタグIDが書き込まれている場合には、そのタグIDもマナーエリア判別情報に含める。このマナーエリア判別情報は、位置対応制御装置30に送信される。
【0128】
位置対応制御装置30は、アクセスポイント10から送信された推定情報や、タグライタ11から送信された特定情報に基づき、携帯電話20の位置を特定し、携帯電話20に対するモード切替えの制御を行うものである。位置対応制御装置30は、制御部301及び記憶部302をバスにて通信可能に接続して構成されている。
【0129】
(位置対応制御装置の構成−制御部)
位置対応制御装置30の制御部301は、推定処理部301a、特定処理部301b、通信処理部130c、及び位置対応制御部301dを備えている。
【0130】
推定処理部301aは、アクセスポイント10から送信された推定情報や、当該推定情報が携帯電話20にて受信された際の信号強度に基づいて、携帯電話20の位置を推定する推定処理を実行する処理手段であり、特許請求の範囲における推定手段に対応している。具体的な処理については実施の形態1と同様である。
【0131】
特定処理部301bは、タグライタ11から携帯電話20に書き込まれた特定情報に基づいて、携帯電話20の位置を特定する特定処理を実行する処理手段であり、特許請求の範囲における特定手段に対応している。具体的な処理についてはタグIDを用いる他は実施の形態1と同様である。
【0132】
通信処理部130cは、アクセスポイント10との間の通信を制御するものであり、例えばネットワークボードとして構成される。
【0133】
位置対応制御部301dは、特定処理部130bによって特定された携帯電話20の位置がマナーエリアであるか否か、マナーエリアの中で厳格モードを適用すべきエリアであるか否かを判断し、必要に応じて、携帯電話20に送信するモード変更情報を生成する。このモード変更情報は、携帯電話20に対しモード切替えを指示するための情報である。位置対応制御処理およびモード変更情報の詳細については後述する。
【0134】
(位置対応制御装置の構成−記憶部)
記憶部302は、位置対応制御装置30における各処理を実行するために必要なデータを記憶するための記憶手段である。この記憶部302には、信号強度DB131a、信号強度実測DB131b、タグライタ配置テーブル131c、制御内容関連情報としてのモード制御テーブル302b、及びアクセスポイントテーブル302gが格納されている。信号強度DB131a、信号強度実測DB131b、タグライタ配置テーブル131cの構造は実施の形態1と同様である。記憶部302の具体的な構成は任意であるが、例えば、HDの如き不揮発的な記憶装置により構成されている。
【0135】
図21は、モード制御テーブル302bのデータ構造を示す表である。モード制御テーブル302bは、設定モード変更座標と、設定モードの設定内容と、厳格モード変更座標と、厳格モードの設定内容と、設定モードや厳格モードの持続時間とを対応づけて構成されている。設定モード変更座標は、携帯電話20のモードを設定モードに変更すべき位置範囲を示す。例えば、図21の1行目のレコードは、携帯電話20がFrom=(4、5)からTo=(12、14)のエリアに位置する場合に、当該携帯電話20のモードを設定モード=マナーモードに60分間だけ設定することを示す。厳格モード変更座標は、携帯電話20のモードを厳格モードに変更すべき位置範囲を示す。ここでは、設定モード変更座標に含まれるように厳格モード変更座標が設定されている。例えば、図21の1行目のレコードは、携帯電話20がFrom=(8、8)からTo=(10、12)のエリアに位置する場合に、当該携帯電話20のモードを設定モードから厳格モード=電源OFFに60分間だけ設定することを示す。このように複数段階のモードを重複する位置範囲において設定することで、特定のエリアに携帯電話20が持ち込まれた時には設定モードに変更し、さらに当該エリアの内部における特定のエリアに携帯電話20が持ち込まれた時には設定モードよりも厳格な厳格モードに変更することができ、携帯電話20のモード変更を多段的に行うことができる。実際には、このように構成されたモード制御テーブル302bを、位置対応制御システムによってカバーされるシネマコンプレックス4の数に応じて複数保有し、これら複数のモード制御テーブル302bの中から、携帯電話20の現在位置に合致するモード制御テーブル302bを一つ選択して利用するが、図19及び図21にはモード制御テーブル302bを一つのみ示す。
【0136】
図22は、アクセスポイントテーブル302gのデータ構造を示す表である。アクセスポイントテーブル302gには、各アクセスポイント10を一意に識別するためのアクセスポイントIDと、各アクセスポイント10が担当するエリアを示す位置座標とを対応づけて構成されている。例えば、図22の1行目のレコードは、アクセスポイントID=AP001であるアクセスポイント10は、From=(0、0)からTo=(19、19)のエリアを担当することを示す。
【0137】
図23は、位置対応制御部301dにて生成されるモード変更情報のデータ構造を示す図である。モード変更情報は、携帯電話20に対してモード変更を指示するための制御データであり、携帯電話20のMACアドレス、モード種別、持続時間から構成される。
【0138】
(位置対応制御システムの処理動作)
次に、位置対応制御システム3の処理動作について説明する。図24は、位置対応制御システム3を構成する携帯電話20と位置対応制御装置301の間の通信および処理の流れを示すシーケンス図である。
【0139】
シネマコンプレックス4の全域には、アクセスポイント10から、当該アクセスポイント10のアクセスポイントIDを含む推定情報が送信されており、当該推定情報が観客の保有する携帯電話20にて受信される。携帯電話20は、受信部201によって推定情報を受信すると(ステップSF−1)、当該受信した推定情報の内容を記憶部205に記憶する。また、受信した推定情報の信号強度を信号強度計測部202が計測し、当該計測した信号強度を特定する信号強度情報を記憶部205に記憶する。
【0140】
さらに、タグライタ11が設置されているエリアに観客が接近し、当該タグライタ11に対応する特定範囲内に観客が進入すると、携帯電話20はタグライタ11から、当該タグライタ11のタグライタIDを含む特定情報を受信し、当該受信した特定情報の内容を記憶部205に記憶する。この携帯電話20の制御部204は、当該携帯電話20のMACアドレス、推定情報に含まれるアクセスポイントID、当該推定情報の信号強度、及び特定情報に含まれるタグIDを含む図20の如きマナーエリア判別情報を生成し(ステップSF−2)、このマナーエリア判別情報を送信部203を介してアクセスポイント10に送信する(ステップSF−3)。
【0141】
このマナーエリア判別情報は、アクセスポイント10の受信部101から位置対応制御装置30の通信処理部130cに入力される。この通信処理部130cは、マナーエリア判別情報が入力されると、当該マナーエリア判別情報を、受信部101がこれらの情報を受信した時刻を示すタイムスタンプと共に、信号強度DB131aに格納する(ステップSF−4)。
【0142】
次いで、推定処理部301aは、信号強度DB131aや信号強度実測DB131bを参照し、当該信号強度DB131a等に格納されている情報に基づいて図12と同様の推定処理を実行することで、携帯電話20の位置を推定する(ステップSF−5)。続いて、特定処理部301bは、推定処理部301aによって推定された携帯電話20の位置や、信号強度DB131aに格納されたタグIDに基づいて図13と同様の特定処理を実行することで、携帯電話20の位置を特定する(ステップSF−6)。携帯電話20の位置が特定されると、当該特定された携帯電話20の位置に基づいてモード制御テーブル302bを参照し、当該携帯電話20の位置が設定モード変更座標や厳格モード変更座標に含まれるか否かを判断する。この時、記憶部302に格納されている複数のモード制御テーブル302bの中から、特定された携帯電話20の位置座標を包含するモード制御テーブル302bを一つ選択して利用する。そして、携帯電話20の位置が含まれると判断した場合には、位置対応制御部301dは、モード制御テーブル302bにおいて設定モード変更座標に関連付けて格納されている設定モード及び持続時間、あるいは、厳格モード変更座標に関連付けて格納されている厳格モード及び持続時間を取得し、これらを用いて図23の如きモード変更情報を生成する(ステップSF−7)。
【0143】
そして、位置対応制御部301dは、特定処理にて特定された携帯電話20の位置に基づいてアクセスポイントテーブル302gを参照することにより、当該携帯電話20の位置を担当するアクセスポイント10のアクセスポイントIDを取得する。そして、このアクセスポイント10に対して、先に生成したモード変更情報を通信処理部130cを介して送信すると、このアクセスポイント10を介してモード変更情報が携帯電話20に送信される(ステップSF−8)。
【0144】
アクセスポイント10からモード変更情報を受信した携帯電話20では、制御部204により、モード変更情報に従ってモード変更または電源OFFの動作を行う(ステップSF−9)。具体的には、携帯電話20の制御部204は、アクセスポイント10からの電波に基づく位置検出およびマナーエリア判別情報の生成処理の動作を、モード変更情報で設定された持続時間だけ停止する。そして、制御部は、携帯電話20に設定されているモードを確認し、モード変更情報で指定されたモード種別と同一か否かを判断する。同一であれば、モード変更を行わない。現在のモードがモード変更情報で指定されたモード種別と同一でなく、モード変更情報で指定されたモード種別が電源OFFの場合には、制御部204は自動電源OFF機能を動作させ、電源OFFを実行する。モード変更情報で指定されたモード種別が電源OFFでない場合には、指定されたモード(マナーモード等)に変更する。なお、モードの変更や電源OFFの制御は、携帯電話20に予め搭載された端末制御機能を用いる。
【0145】
このような処理において、本実施の形態では、図18に示すように、シネマコンプレックス4に観客が入場した場合には、当該観客の保有する携帯電話20が少なくとも設定モードに自動的に切替えられる。特に、各映画館の入り口にタグライタ11が設置されているので、各映画館に入場する際には、このタグライタ11から受信したタグIDによって携帯電話20が設定モードに切替えられ、さらには厳格モードに切替えられる。例えば、厳格モードによって携帯電話20の電源を自動的にOFFにする場合、この厳格モードにおける持続時間を映画の上映時間に対応させておくことで、携帯電話20が映画の上映中には電源OFFとなり、上映終了後には自動的に電源ONに復帰する等、映画館側のニーズや観客の利便性を反映した自動制御を行うことが可能になる。
【0146】
なお、図18は例示に過ぎず、例えば、同一の映画館の内部においても、映画館中央の客席近傍に配置したタグライタ11によって、当該中央の客席の観客の携帯電話20については電源をOFFとし、映画館内部における出入り口付近のの客席近傍に配置したタグライタ11によって、当該出入り口付近の客席の観客の携帯電話20についてはメールのみを許容する等、観客の位置に応じた詳細な切替制御を行うことが可能となる。また、モード制御テーブル302bを複数設ける事により、シネマコンプレックス4のみでなく、電車内や病院内などの様々な施設や場所においても、各場所毎のニーズに応じた携帯電話20のモード制御が可能となる。例えば、複数のモード制御テーブル302bにおけるモードの設定例として、電車内においては、全領域でマナーモードに設定すると共にシルバーシート付近の領域で電源をOFFにし、病院内においては、ロビーや喫茶コーナでマナーモードに設定すると共にそれ以外の領域で電源をOFFにし、さらにイベントホール内においては、ホール内でマナーモードに設定すると共に会議室内でミーティングモードにすることができる。
【0147】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2では、タグライタ11とアクセスポイント10により特定された位置に応じた適切な対応や制御を携帯電話自体に行わせることができる。特に、本実施の形態では、携帯電話の位置によりマナーエリアか、さらには厳格エリアか否かを判断して、モード切替え指示や電源OFFの指示を含むモード変更情報を、位置対応制御装置301から携帯電話20に対して送信しているので、マナーエリアにおける、携帯電話のマナーモードへの人為的な切替え忘れ、マナー意識の欠如等を回避して、携帯電話の使用の際のマナーの向上を図ることができる。
【0148】
〔III〕各実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0149】
(変形例−解決しようとする課題や発明の効果について)
発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0150】
(変形例−分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】ショッピングモールに適用した場合の実施の形態1の位置対応制御システムの概念図である。
【図2】実施の形態1の位置対応制御システムの電気的構成を機能概念的に示したシステムブロック図である。
【図3】信号強度DBに格納されているデータ構造を示す表である。
【図4】信号強度実測DBに格納されているデータ構造を示す表である。
【図5】タグライタ配置テーブルに格納されているデータ構造を示す表である。
【図6】位置特定結果テーブルに格納されているデータ構造を示す表である。
【図7】購買エリア特定テーブルのデータ構造を示す表である。
【図8】店舗タグID対応テーブルのデータ構造を示す表である。
【図9】移動経路データの一例を示す説明図である。
【図10】競合関係データの一例を示す説明図である。
【図11】位置対応制御装置が実行する処理の全体的な流れを示すフローチャートである。
【図12】位置対応制御装置が実行する推定処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】位置対応制御装置が実行する特定処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】位置対応制御装置が実行する位置対応制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】図14に続く、位置対応制御装置が実行する位置対応制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】無線タグの位置をアイコンで示したショッピングモール全体のレイアウト画像の一例を示す模式図である。
【図17】無線タグの位置をアイコンで示した店舗のレイアウト画像の一例を示す模式図である。
【図18】複数の映画館が収用されたシネマコンプレックスに適用した場合の実施の形態2の位置対応制御システムの概念図である。
【図19】実施の形態2の位置対応制御システムの電気的構成を機能概念的に示したシステムブロック図である。
【図20】マナーエリア判別情報のデータ構造を示す図である。
【図21】モード制御テーブルのデータ構造を示す表である。
【図22】アクセスポイントテーブルのデータ構造を示す表である。
【図23】モード変更情報のデータ構造を示す図である。
【図24】実施の形態2の位置対応制御システムを構成する携帯電話と位置対応制御装置の間の通信と処理の流れを示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0152】
1、3 位置対応制御システム
2 ショッピングモール
4 シネマコンプレックス
10 アクセスポイント
11 タグライタ
12 無線タグ
13、30 位置対応制御装置
14 店舗端末
100、110、122、203 送信部
101、120、201 受信部
102、112、123、131、205、302 記憶部
111、124、130、204、301 制御部
121、202 信号強度計測部
130a、301a 推定処理部
130b、301b 特定処理部
130c 通信処理部
130d、301d 位置対応制御部
131a 信号強度DB
131b 信号強度実測DB
131c タグライタ配置テーブル
131d 位置特定結果テーブル
131e 購買エリア特定テーブル
131f レイアウトDB
131g 店舗タグID対応テーブル
131h 移動経路データ
131i 競合関係テーブル
302b モード制御テーブル
302g アクセスポイントテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域内における対象物の位置に対応した制御を行う対象物位置対応制御装置であって、
前記対象物の位置に応じて行うべき制御内容に関連する制御内容関連情報を格納する制御内容関連情報格納手段と、
推定範囲内に前記対象物が位置していることを推定するための情報であって当該情報を送信する推定情報送信手段を特定するための第1識別情報を含む推定情報と、前記推定範囲よりも小さい特定範囲内に前記対象物が位置していることを特定するための情報であって当該情報を送信する特定情報送信手段の配置位置に関する第2識別情報を含む特定情報と、を受信する受信手段と、
前記受信手段にて受信された前記推定情報に含まれる前記第1識別情報と、当該推定情報が前記対象物にて受信された際の信号強度であって前記受信手段にて当該対象物から受信された信号強度を特定するための信号強度情報とに基づいて、前記推定範囲内における前記対象物の位置を推定する推定手段と、
前記受信手段において受信された前記特定情報に基づいて、前記対象物が前記特定範囲に含まれるか否かを判定し、当該対象物が前記特定範囲に含まれることを条件として、前記推定手段にて推定された対象物の位置と、前記受信手段にて受信された前記特定情報に含まれる前記第2識別情報とに基づいて、当該対象物の位置を特定する特定手段と、
前記特定手段にて特定された前記対象物の位置に対応する前記制御内容関連情報を前記制御内容関連情報格納手段から取得し、当該取得した制御内容関連情報に基づいた制御を行う対象物位置対応制御手段と、
を備えることを特徴とする対象物位置対応制御装置。
【請求項2】
前記対象領域のレイアウト情報を格納するレイアウト情報格納手段を備え、
前記制御内容関連情報格納手段には、前記制御内容関連情報として、前記対象領域に設けられた複数の購買エリアの少なくとも一つの購買エリアを前記レイアウト情報に関連付けて特定するための情報であって、前記対象物を保有する顧客が購買意思を示している購買エリアを特定するための購買エリア特定情報が格納され、
前記対象物位置対応制御手段は、前記特定手段にて特定された前記対象物の位置と、前記制御内容関連情報格納手段に格納された前記購買エリア特定情報とに基づいて、特定の購買エリアに位置する対象物の中で、当該特定の購買エリアでの購買意思を示している顧客にて保有されている対象物の位置を、前記レイアウト情報格納手段にて格納されたレイアウト情報の上に関連付けて所定の出力手段に出力すること、
を特徴とする請求項1に記載の対象物位置対応制御装置。
【請求項3】
前記対象物の移動経路を特定するための移動経路情報を格納する移動経路情報格納手段を備え、
前記特定手段は、当該特定手段が特定した対象物の位置に基づいて前記移動経路情報を前記移動経路情報格納手段に格納し、
前記対象物位置対応制御手段は、前記移動経路情報格納手段にて格納された前記移動経路情報にて特定される前記対象物の移動経路を示す情報を、前記出力手段に出力すること、
を特徴とする請求項2に記載の対象物位置対応制御装置。
【請求項4】
前記複数の購買エリアの相互の競合関係を特定する競合関係情報を格納する競合関係情報格納手段を備え、
前記対象物位置対応制御手段は、前記特定手段にて特定された前記対象物の位置と、前記競合関係情報格納手段に格納された競合関係情報とに基づいて、前記特定の購買エリアでの購買意思を示している顧客にて保有されている対象物の位置が、当該特定の購買エリアと競合関係にある他の購買エリアに対して所定距離以内に位置する場合には、当該対象物の位置及び当該対象物の位置が当該所定距離以内に位置する旨を前記出力手段に出力すること、
を特徴とする請求項2又は3に記載の対象物位置対応制御装置。
【請求項5】
前記制御内容関連情報格納手段には、前記制御内容関連情報として、前記対象領域の各位置において前記対象物に対して行うべき制御を特定するための情報が格納され、
前記対象物位置対応制御手段は、前記特定手段にて特定された前記対象物の位置に対応する制御を前記制御内容関連情報格納手段を参照して特定し、当該特定した制御を前記対象物に対して実行するための制御信号を当該対象物に対して送信すること、
を特徴とする請求項1に記載の対象物位置対応制御装置。
【請求項6】
前記対象物は、アクセスポイントを介して当該対象物位置対応制御装置との間における無線通信を行うと共に、タグライタからの無線信号を受信する携帯電話であり、
前記推定情報は、前記アクセスポイントを一意に識別するために当該アクセスポイントから送信される情報であって、前記携帯電話にて受信された後、当該携帯電話から前記アクセスポイントを介して当該対象物位置対応制御装置に送信されたアクセスポイントIDを含み、
前記特定情報は、前記タグライタを一意に識別するために当該タグライタから送信される情報であって、前記携帯電話にて受信された後、当該携帯電話から前記アクセスポイントを介して当該対象物位置対応制御装置に送信されたタグライタIDを含むこと、
を特徴とする請求項5に記載の対象物位置対応制御装置。
【請求項7】
前記制御内容関連情報格納手段には、前記制御内容関連情報として、各推定範囲において前記対象物に対して設定すべき第1のモードを特定する情報と、各特定範囲において前記対象物に対して設定すべき第2のモードを特定する情報とが格納され、
前記対象物位置対応制御手段は、前記推定手段にて推定された前記対象物の位置に対応する第1のモードを前記制御内容関連情報格納手段を参照して特定し、当該特定した第1のモードを前記対象物に対して設定するための制御信号を当該対象物に対して送信し、さらに、前記特定手段にて前記対象物の位置が特定された場合には、当該特定された前記対象物の位置に対応する第2のモードを前記制御内容関連情報格納手段を参照して特定し、当該特定した第2のモードを前記対象物に対して設定するための制御信号を当該対象物に対して送信すること、
を特徴とする請求項5に記載の対象物位置対応制御装置。
【請求項8】
対象領域内における対象物の位置に対応した制御を対象物位置対応制御装置に実行させるための対象物位置対応制御プログラムであって、
前記対象物位置対応制御装置は、
前記対象物の位置に応じて行うべき制御内容に関連する制御内容関連情報を格納する制御内容関連情報格納手段を備え、
前記対象物位置対応制御装置には、
推定範囲内に前記対象物が位置していることを推定するための情報であって当該情報を送信する推定情報送信手段を特定するための第1識別情報を含む推定情報と、前記推定範囲よりも小さい特定範囲内に前記対象物が位置していることを特定するための情報であって当該情報を送信する特定情報送信手段の配置位置に関する第2識別情報を含む特定情報と、を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにおいて受信された前記推定情報に含まれる前記第1識別情報と、当該推定情報が前記対象物にて受信された際の信号強度であって前記受信ステップにおいて当該対象物から受信された信号強度を特定するための信号強度情報とに基づいて、前記推定範囲内における前記対象物の位置を推定する推定ステップと、
前記受信ステップにおいて受信された前記特定情報に基づいて、前記対象物が前記特定範囲に含まれるか否かを判定し、当該対象物が前記特定範囲に含まれることを条件として、前記推定ステップにおいて推定された対象物の位置と、前記受信ステップにおいて受信された前記特定情報に含まれる前記第2識別情報とに基づいて、当該対象物の位置を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにおいて特定された前記対象物の位置に対応する前記制御内容関連情報を前記制御内容関連情報格納手段から取得し、当該取得した制御内容関連情報に基づいた制御を行う対象物位置対応制御ステップと、
を実行させることを特徴とする対象物位置対応制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−237924(P2009−237924A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83576(P2008−83576)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【特許番号】特許第4167716号(P4167716)
【特許公報発行日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000131201)株式会社CSKホールディングス (53)
【出願人】(508022218)株式会社CSKシステムズ中部 (6)
【Fターム(参考)】