説明

対象者の眼の注目点の矢状面における水平方向の位置を計測する方法

本発明は、一般に、対象者に関する幾何学的且つ形態学的な計測値を取得することに関する。更に詳しくは、本発明は、対象者の眼の注目点の位置を計測する方法に関する。本方法は、例えば、対象者の異なる相対的姿勢(APIV1、APIV2、(O1、X1、Y1、Z1)、(O2、X2、Y2、Z2))における画像をキャプチャする段階と、眼の基準点((RCG1、RCD1)、(RCG2、RCD2))を識別する段階と、キャプチャされた画像によって注目点(CROD、CROG)を算出する段階と、を含む。姿勢パラメータ(APIV)の値は、対象者の頭部に配置された少なくとも1つの既知の幾何学的特徴を具備する位置識別要素(60、70、80、700、800)によって得られる。それぞれのキャプチャされた画像は、前述の位置識別要素(60、70、80、700、800)の表現を含む。従って、姿勢パラメータは、これらの画像及び既知の幾何学的特徴によって算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、対象者の幾何学的且つ形態学的計測値の取得に関する。更に詳しくは、本発明は、対象者の眼の注目点の位置を計測する方法に関する。本発明の1つの特定の、但し、非排他的な用途は、将来の装着者によって選択されたフレーム内に取り付けられる矯正眼科レンズの光学設計をパーソナライズするための眼鏡の将来の装着者に関する幾何学的且つ形態学的な計測値の取得にある。
【背景技術】
【0002】
最近、矯正眼科レンズを光学的に設計する際に、装着者及び選択されたフレームと関連する個々の幾何学的且つ形態学的なパラメータを十分に考慮することが試みられており、これを「パーソナライズ」された光学設計と呼んでいる。これらのパラメータは、具体的には、装着状態にある装着者の頭部との関係におけるレンズの三次元構成を有する。この三次元構成は、i)装着者の対応する眼との関係におけるレンズの向きにより、且つ、ii)レンズと装着者の対応する眼の間の距離により、決定される。
【0003】
この三次元構成を判定するべく、検眼師は、装着者の鼻上に一対のプレゼンテーションレンズを配置する。これらのプレゼンテーションレンズは、装着者によって選択されたフレームと、このフレームのリム内に取り付けられた非矯正レンズと、を有する。
【0004】
それぞれのレンズと装着者の対応する眼の間の距離が手作業で計測される。検眼師は、側面から装着者を観察し、且つ、小さな定規を利用して、角膜とプレゼンテーションレンズの背面の間の距離の計測値を推定する。
【0005】
レンズと眼の間の距離を判定するべく、側面から装着者を撮影し、且つ、このようにして取得した画像を処理することにより、この計測を自動化するための提案が行われている。しかしながら、この画像の処理操作は、フレームのリム及びテンプルが眼を覆う可能性があるという点において、且つ、眼に対向しているレンズの背面上の点を認識することが困難であると考えられるという点において、信頼性が低いことが判明した。更には、装着者の側面画像の取得は、瞳孔距離及び眼の高さ、フレームの曲率、装着された際のそれぞれのレンズの広角度(即ち、レンズの全般面(general plane)と垂直線の間に形成される角度)、或いは、実際には装着者の視覚的な振る舞い(具体的には、視野を細かく観察する際に大きな又は小さな程度で眼又は頭部を動かす装着者の傾向)の計測などの装着者のその他の幾何学的且つ形態学的な計測値の取得とは別個のものである。残念ながら、これらのその他の計測のすべて又はいくつかは、正面から装着者の1つ又は複数の画像を取得することによって実行可能である。従って、本出願人は、本発明において、側面からのものではなく、略正面からの画像に基づいて、眼とレンズの間の距離の計測を可能にする方法を提案するべく試みた。
【0006】
又、瞳孔とレンズの背面間の距離は、フレームに装着される矯正レンズの光線追跡によってパーソナライズされた光学設計を算出する際に、最も適切なものではない。眼の運動は、一般に、眼の回転の中心(CRO)と呼ばれる特定の点を中心とした回転の組合せであると見なすことができる。計算を適切に実行するべく、レンズの設計者が知ることを所望するのは、この点の位置である。現時点においては、CROの位置は、実際には、通常は約15ミリメートル(mm)という値である目の半径の平均値を仮定することにより、角膜の位置から近似的に推定している。しかしながら、眼の半径は、個人間において大きく異なり、従って、この近似は、パーソナライズされた光学設計計算の適切性を大幅に損なう大きな誤差に結び付くことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前述の欠点のすべて又は一部を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明は、対象者の頭部と関連付けられた基準フレーム内における対象者の眼の注目点の矢状面における水平方向の位置を計測する方法を提供し、本方法は、S1)対象者の顔に対向した状態で配置された画像キャプチャ装置の入射瞳孔との関係における第1相対姿勢において対象者の頭部を配置する段階と、S2)第1相対姿勢において、画像キャプチャ装置によって眼の第1面画像をキャプチャする段階と、S3)第1画像において、眼の第1既定基準点の画像を識別する段階と、S4)画像キャプチャ装置の入射瞳孔との関係における第2相対姿勢において対象者の頭部を配置する段階であって、第2相対姿勢は、第1相対姿勢とは別個である、段階と、S5)第2相対姿勢において、画像キャプチャ装置によって眼の第2面画像をキャプチャする段階と、S6)第2画像において、眼の第2既定基準点の画像を識別する段階と、S9)眼の第1及び第2基準点の画像と、第1及び第2相対姿勢とそれぞれ関連する姿勢パラメータの第1及び第2値と、によって眼の注目点の位置を算出する段階と、を有することを特徴とし、姿勢パラメータの値は、対象者の頭部に位置識別要素を配置する段階であって、この要素は、少なくとも1つの既知の幾何学的特徴を具備する、段階と、画像キャプチャ装置によってそれぞれの相対姿勢においてキャプチャされた面位置識別要素の面画像を含む第1及び第2面画像それぞれについて上記画像を処理し、位置識別要素の既知の幾何学的特徴に応じて幾何学的特徴を計測する段階と、位置識別要素のキャプチャされた画像の計測された幾何学的特徴と、位置識別要素の既知の幾何学的特徴と、によって異なる姿勢の姿勢パラメータの異なる値を算出する段階と、を使用して算出される。
【0009】
眼の第1及び第2基準点の画像間の比較は、第1及び第2相対姿勢に対応する2つの異なる視点から始まる眼の見掛け上の角度運動を表している。この結果、姿勢パラメータの第1及び第2値から構成された2つの視点に関する情報が付与された際に、視差計算により、探索対象の位置を見出すことができる。
【0010】
更には、本発明の方法は、単一の画像キャプチャ装置を利用して実装可能である。
【0011】
最後に、対象者のそれぞれの姿勢に対応した姿勢パラメータは、その他の計測の実行を伴うことなし、異なる姿勢において正面からキャプチャされた面画像にのみ基づいて算出される。
【0012】
有利には、探索対象の位置を具備する注目点は、対象者の眼の回転の中心である。
【0013】
第1及び第2画像をキャプチャする際に、眼が、互いとの関係において既知である位置を具備した第1及び第2照準点をそれぞれ見るようにすることが可能であり、対象者と関連付けられた基準フレームにおける対象者の眼の回転の中心の位置を照準点の相対的な位置によって算出するようにすることが可能であり、且つ、第1及び第2画像をキャプチャする際に眼の注視の対応する方向が対象者の頭部と関連する基準フレーム内において別個のものになるように、第1及び第2姿勢及び第1及び第2照準点を選択するようにすることが可能である。
【0014】
画像キャプチャ装置の瞳孔との関係における第1及び第2照準点の位置は、別個であってよく、或いは、逆に、これらが一致することも可能である。
【0015】
本発明の別の有利な特徴によれば、段階S9)において、眼の注目点の位置を算出するべく、眼の第1基準点の画像から、並びに、姿勢パラメータの第1値から、画像キャプチャ装置の瞳孔と眼の第1基準点を接続する第1観察直線の対象者の頭部の基準フレーム内における座標を推定するサブ段階と、眼の第2基準点の画像から、並びに、姿勢パラメータの第2値から、画像キャプチャ装置の瞳孔と眼の第2基準点を接続する第2観察直線の対象者の頭部の基準フレーム内における座標を推定するサブ段階と、第1及び第2観察直線の座標によって、対象者の頭部と関連する基準フレーム内における対象者の眼の注目点の位置を算出するサブ段階と、が実行される。
【0016】
この結果、有利には、探索対象の位置の注目点は、対象者の眼の回転の中心であり、且つ、この点の位置は、2つの観察直線の交差点、或いは、これらの直線が正確に交差しない場合には、これらの観察直線が互いに最も近接する点の位置として算出される。
【0017】
一例として、姿勢パラメータは、画像キャプチャ装置と対象者の頭部の間における水平角度(即ち、水平面内における角度)と、画像キャプチャ装置と対象者の頭部の間における垂直角度(即ち、垂直面内における角度)と、画像キャプチャ装置と対象者の頭部の間の距離と、というパラメータの中の1つ又は複数を有することができる。
【0018】
一例として、眼の第1及び第2基準点は、瞳孔又は虹彩の中心と、眼角又は瞼の上端又は下端に隣接した強膜の点と、という眼の点の中の1つを有する眼の共通点において一致可能である。
【0019】
又、眼の第1及び第2基準点は、互いに別個である眼の点であってもよい。
【0020】
探索対象の位置の注目点は、例えば、瞳孔又は虹彩の中心と、眼角又は瞼の上端又は下端に隣接した強膜の点と、という眼の点の中の1つを有することができる。
【0021】
この結果、有利には、眼の第1及び第2基準点を、探索対象の位置を具備した眼の注目点と一致させるようにすることができる。
【0022】
本発明の更に別の有利な特徴によれば、段階S1)及び段階S4)において、対象者の頭部は、対象者の頭部の回転の垂直軸との関係における画像キャプチャ装置の瞳孔の位置が、画像キャプチャ装置の光軸に対して垂直の方向において、200mm超の横断方向運動だけ、第1及び第2姿勢の間において変更されないように、且つ、互いとの関係において既知である異なる位置を具備した第1及び第2照準点をそれぞれ注視するべく、対象者が回転の垂直軸を中心として少なくとも5度、且つ、60度未満だけ、第1及び第2姿勢の間において頭部を旋回させるように、第1及び第2相対姿勢において画像キャプチャ装置の入射瞳孔との関係において配置される。
【0023】
この特徴の組合せは、画像キャプチャ装置の入射瞳孔との関係における対象者の2つの異なる相対的な姿勢の取得に関する前述の更なる技術的な問題を解決する。
【0024】
画像キャプチャ装置の入射瞳孔との関係における対象者の頭部の2つの異なる姿勢の配置を確保するには、様々な方法が可能である。
【0025】
画像キャプチャ装置が移動可能である場合には、対象者の頭部の改善の垂直軸が静止状態に留まっている状態で、第1画像のキャプチャと第2画像のキャプチャの間において画像キャプチャ装置を移動可能である。対象者の頭部は、画像キャプチャ装置が移動された後に、対象者の眼が画像キャプチャ装置の瞳孔を注視するように、この回転の垂直軸を中心として旋回する。このような状況においては、検眼師は、画像キャプチャ装置によってキャプチャされる画像内において、装着者の顔の全体が可視状態にあり、且つ、装着者の頭部と画像キャプチャ装置の間の相対的な高さ及び傾斜の調節が実際に実行されていることを確認する必要がある。これら動作は、画像をキャプチャ可能である速度を制限し、且つ、画像の精度を制限する。
【0026】
画像キャプチャ装置が、第1及び第2画像の両方をキャプチャしつつ、同一の位置を提示する場合には、検眼師は、画像キャプチャ装置の入射瞳孔を注視しつつ運動するように対象者に対して要求可能である。検眼師によって対象者に付与されるこの位置決めに関するアドバイスにより、装着者の顔は、画像キャプチャ装置によってキャプチャされるそれぞれの画像内において可視である状態に確実に留まることになる。しかしながら、この対象者と検眼師の間における複雑且つ時間を要するやり取りは、第1及び第2画像をチャプチャ可能である速度を制限する。
【0027】
第1及び第2画像がキャプチャされる際に、対象者の頭部の回転の垂直軸との関係における画像キャプチャ装置の瞳孔の位置が実質的に同一に留まる場合には、画像キャプチャ装置の照準点の第1及び第2位置を注視しつつ、対象者の頭部のみが回転の垂直軸を中心として旋回する状態において、画像キャプチャ装置の瞳孔との関係において対象者の頭部の2つの姿勢を相対的に単純且つ高速の方式によって入手可能である。
【0028】
この結果、対象者に対して検眼師から付与された位置決めに関するアドバイスと、更に一般的には、検眼師と対象者の間におけるやり取りと、が限定される。更には、キャプチャされた画像内に対象者の頭部が可視状態に留まるように、2つの画像のキャプチャの間において、対象者と画像キャプチャ装置の間の相対的な高さ又は傾斜に対する、或いは、更に一般的には、ピクチャフレーミングに対する連続的な調節を実施する必要性が存在しないため、検眼師は、相対的に良好な精度で画像をキャプチャ可能である。
【0029】
非限定的な例として付与される添付図面を参照した以下の説明から、本発明の内容と、その実施方法が明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】将来の装着者の眼の前面に配置された一対のプレゼンテーション眼鏡レンズの斜視図である。
【図2】一対のプレゼンテーション眼鏡レンズに装着される位置識別システムの斜視図である。
【図3】正面から見たプレゼンテーション眼鏡レンズの及び位置識別システムの画像の概略図である。
【図4】プロセッサ及び計算システムと通信する画像キャプチャ手段と共に、一対のプレゼンテーション眼鏡レンズ上に固定された図2の位置識別システムを示す斜視図である。
【図5】起立性の構成におけるプレゼンテーション眼鏡レンズが装着された装着者の頭部の側面図である。
【図6】頭部が画像キャプチャ装置との関係において特定の角度だけ旋回された姿勢におけるプレゼンテーション眼鏡レンズが装着された装着者の平面図である。
【図7】プレゼンテーションレンズが装着されたフレームの平面図である。
【図8】位置識別システム及び画像キャプチャ手段を示す上方から観察した概略平面図である。
【図9】第1姿勢における位置識別システム及び画像キャプチャ手段を示す上方からの別の概略平面図である。
【図10】図9に類似した、第2姿勢における図である。
【図11】図10に類似した、第3姿勢における図であり、追加の可視光源が装着者用の既知の照準点を形成している図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明においては、検眼師は、装着者の頭部と関連付けられた基準フレーム内において、且つ、装着構成において、眼鏡フレーム10内に取り付けられるそれぞれの矯正眼科レンズ(図示されてはいない)の基準構成を決定する。この構成を使用し、装着者の基準フレームとの関係におけるレンズの基準フレームによって、レンズの光学的に有用な面の中の1つ及び/又はもう1つの形状を算出すると共に/又はレンズの屈折率の傾きを算出することにより、矯正眼科レンズのパーソナライズされた光学設計を実装する。
【0032】
装着者は、装着者の頭部が真っ直ぐになる、即ち、装着者の頭部と関連するFrankfort面(PF)が実質的に水平になるような着座又は起立構成にある。図5に示されているように、Frankfort面PFは、装着者の底部眼窩点ORと耳点POを含む面として定義され、ここで、耳点は、頭蓋内における耳道の最も高い点であり、これは、耳のトラギオンに対応する。装着者の注視軸は、主注視軸であり、即ち、装着者は、真っ直ぐ前方の水平線を見ている。又、装着者は、最小限の努力しか必要としない位置である「起立性」の位置をとっているとも表現される。
【0033】
矢状面PSAGは、2つの眼OG及びODの間の直角二等分線AOを含む垂直面として定義される。眼の間の直角二等分線AOは、2つの眼の回転の中心CROG、CRODによって定義されると共にFrankfort面PFに対して平行であるセグメントの中央を通過する軸である。又、眼の垂直面PVOは、眼の中心CROG及びCRODを通過する垂直面であると定義される。
【0034】
それぞれの矯正レンズの基準フレームにとって望ましい構成は、装着者の頭部との関係においてフレーム上に取り付けられるそれぞれの矯正レンズの向きと、矢状面PSAGの水平方向(以下において定義される軸Zの方向)に沿ったレンズと装着者の対応する眼の間の装着構成における距離と、によって判定される。
【0035】
それぞれの矯正レンズの基準フレームは、この例においては、販売及び計測値取得のためにフレームに装着されると共に装着者及びフレームに関係する幾何学的且つ形態学的なパラメータを判定する際に設計対象である矯正レンズの場所を占める非矯正プレゼンテーションレンズ100、101それぞれの基準フレームの構成を判定することにより、得られる。
【0036】
一対のプレゼンテーション眼鏡レンズは、装着者によって選択されたフレーム10と、右及び左プレゼンテーションレンズ100及び101(非矯正レンズ)と、を有する。図示の例においては、一対の眼鏡レンズは、リムを有するタイプであり、即ち、レンズは、フレーム10のリム11及び12内に取り付けられている。一変形においては、一対のプレゼンテーション眼鏡レンズは、穿孔されたタイプであってもよく、即ち、これらのレンズは、穿孔され、且つ、それぞれのレンズは、レンズと関連する鼻ブリッジの一端と、テンプルの端部の1つと、によって保持されており、これらのブリッジ及びテンプルは、穿孔された孔と共に協働する。
【0037】
(装置)
図2〜図4は、一対のプレゼンテーション眼鏡レンズを装着している装着者の個々の幾何学的且つ形態学的なパラメータを判定する装置を示す。これらのパラメータは、後述する屈折率の傾きの分布に関するその他の幾何学的且つ形態学的パラメータと共に、装着者の頭部との関係において設計されるそれぞれの矯正レンズの基準フレームの構成を含む。
【0038】
装置は、フレーム10上に取り付けられる位置識別システム20と、装着位置においてフレーム10上に取り付けられた位置識別システム20の画像をキャプチャするべく画像キャプチャフェース面PCI内において機能する画像キャプチャ手段90と、を含む。画像キャプチャ手段90は、キャプチャされた画像に作用するプロセッサ及び計算システム93に接続されている。
【0039】
位置識別システム20は、実質的に直線的であると共に実質的に同一平面上にある2つのスティック23及び24を具備したヒンジ結合されたリンケージを含み、これらのスティックは、装着構成において実質的に垂直であるヒンジ軸A1を有するヒンジ29によって1つに接続されている。
【0040】
それぞれのスティック23、24には、固定手段が提供されており、ここでは、一対のクリップ25、26、27、及び28の形態である。これらのクリップは、それぞれのスティック23、24を固定するべく機能し、フレームのリム11、12(図3)の、或いは、穿孔されたタイプの眼鏡の場合には、プレゼンテーションレンズの実質的に水平な上部部分上において旋回する能力を有する。
【0041】
それぞれのスティック23、24上には、特定の厚さの三角形プレートの形態である水平位置識別要素70、80が載置されており、これらは、前述の画像キャプチャフェース面PCI上に投影された際に、幾何学的パターン71、81の幾何学的構成が前述の水平位置識別要素70、80の向きの水平成分を表すように設計された幾何学的パターン71、81を有する端面を有する。要素の向きの水平成分は、Frankfort面PF上への投影における眼の垂直面PVOとの関係において前述の要素の長手方向との間に生成された角度によって定義される。同様に、要素の向きの垂直成分は、矢状面PSAG上への投影における眼の垂直面PVOとの関係において前述の要素の長手方向によって生成された角度として定義される。
【0042】
この例においては、幾何学的パターンは、十分なコントラストを得るべく、交互に変化する黒い帯と白い部分によって構築される既知の間隔で反復されたモチーフを有する。幾何学的パターンのモチーフ71、81は、水平位置識別要素70、80の対応する端面の長手方向に延長する。従って、それぞれの黒い帯は、装着構成においては、実質的に垂直である。
【0043】
それぞれの水平位置識別要素70、80は、第1に、幾何学的パターン71、81を有する端面が正面から見て可視状態となり、且つ、第2に、前述の幾何学的パターンの長手方向(即ち、対応する端面の長手方向)が、スティック23、24の長手方向(即ち、固定クリップを通過する直線)との関係において、水平面又はFrankfort面PF内において、約30度の角度TETA[シータ]を形成するように、対応するスティック23、24に固定されている。
【0044】
又、2つの水平位置識別要素70、80は、フレームの対称面PS(それ自体が、装着者の矢状面PSAGと実質的に一致している)と実質的に一致するこれら2つの要素70及び80の対称垂直中間面との関係において固定された位置に常に留まるべく、2つの水平位置識別要素70及び80と機械的に関連付けられた中央位置識別要素190によって相互接続されている。この中央位置識別要素は、詳しく後述するように、画像キャプチャ手段90が画像キャプチャ面PCI上の投影において観察した際に、画像を提示する既知の幾何学的パターンを有しており、この画像により、位置識別要素70及び80の画像との組合せにおいて、位置識別システム20の向き及び位置を三次元で識別可能である。
【0045】
具体的には、この中央位置識別要素は、対称面PSに対して、且つ、従って、矢状面PSAGに対して実質的に垂直である長手方向を具備したホルダーバー190によって構成されている。バーの長手方向に沿って延長するホルダバー190内には、2つの細長いスロット191及び192が形成されている。スロット191及び192は、位置識別要素70及び80の上面に装着された2つのガイドスタッド195及び196を受け入れる。従って、位置識別手段70及び80は、スタッド195及び196がスロットに沿って位置識別手段70及び80の運動を案内する状態において、バーの長手方向に沿ってホルダバー190との関係において摺動可能である。
【0046】
ホルダバー190との関係において摺動運動する位置識別手段70及び80のこの自由度は、旋回軸A1を中心として旋回運動するその自由度との組み合わせにおいて、フレーム10のリム11及び12の向きの長手方向成分に自由に追随するように、スティック23及び24により、リム11及び12上における応力を伴うことなしに、水平位置識別要素70及び80を固定することを可能にしている。
【0047】
又、ホルダバー190は、画像キャプチャ手段90に対向するその端面上に、既知の距離だけ互いに離隔した黒い帯によって構成された幾何学的なパターン193をも含む。後述するように、これらの黒い帯は、位置識別システム20と画像キャプチャ手段90の間の距離を算出するべく、且つ、従って、キャプチャされた画像の縮尺係数を判定するべく、使用可能である。
【0048】
又、鼻ブリッジ15が軸A1上においてセンタリングされるように、位置識別システム20をフレームの対称面PS上においてセンタリングさせることができるセンタリング手段も提供されている。
【0049】
又、位置識別システム20は、同様に、レンズ100及び101と関連する2つの水平位置識別要素70及び80の平均面に対して実質的に垂直である面内において延長する所与の厚さの三角形のプレートから構成された垂直位置識別要素60をも含む。この位置識別要素60も、画像キャプチャ手段90に向かって対向するその端面の1つの上に、前述のものと同様に、既知の距離だけ互いに離隔した黒い帯である共に位置識別要素60の対応する端面の長手方向において延長する幾何学的なモチーフによって構築された幾何学的パターン61を有する。この結果、装着構成においては、それぞれの黒い帯は、実質的に水平に配設され、且つ、幾何学的パターン61の長手方向は、実質的に垂直である。
【0050】
垂直位置識別要素60は、ホルダバー190の上面にその中心において固定される。幾何学的パターン61を有する要素60の端面は、眼の回転の中心CROG及びCRODと結合するラインに対して実質的に平行であると共にホルダバー190の上面の面に対する垂線N90との関係において矢状面PSAG内において30度の一定の角度GAMMAを形成する面内に位置する(図2)。
【0051】
互いに平行であると共にスティック23及び24に対して垂直である2つの直立部材21及び22が、スティック23及び24の自由端に近接して提供されている。装着構成においては、直立部材21及び22は、実質的に垂直である。位置識別システム20がフレーム上に固定された際に、直立部材21及び22は、フレーム10のテンプル13及び14に近接し、装着者の右及び左こめかみの隣に位置する(図3を参照されたい)。
【0052】
2つの水平ロッド37及び38が、直立部材21及び22に沿って摺動するべく取り付けられている。それぞれのロッドは、もう1つのロッドに向かって延長するその端部にベアリングビーズ30、40を具備する。位置識別システム20の構造は、装着者の鼻上に配置されたフレーム10上に位置識別システム20が取り付けられた際に、重力により、ベアリングビーズ30及び40がプレゼンテーションレンズ100及び101を押圧するように設計されている。この重力による押圧は、その重心が前方に、即ち、幾何学的パターンの隣に位置するように、位置識別システムを設計することによって得られる。三角形のプレート70、80の前面にバラストを付与することも可能である。一変形においては、ビーズ30及び40をそれぞれのレンズに押し付けるべく、ロッド37及び38又は直立部材21及び22を後方に押圧する弾性復帰手段を提供可能である。ビーズ30及び40を対応するプレゼンテーションレンズ100及び101に押し付けることは、レンズそれぞれに対応する全般面を実現するべく機能する。
【0053】
通常、画像キャプチャ手段90は、携帯型であるか又は支持部又はスタンド上に取り付けられたデジタルカメラを有する。
【0054】
画像キャプチャ手段90は、好ましくは、第1に、キャプチャされた画像内において容易に識別される角膜反射を取得すると共に、第2に、既知の位置にあるLEDに向かって装着者の注視を引き付けるべく機能する発光ダイオード(LED)92を含む。これにより、キャプチャされた画像の処理が容易になる。
【0055】
この例においては、取得された画像に作用するプロセッサ及び計算システム93は、取得された画像を処理するソフトウェアがインストールされたマイクロコンピュータを有する。一変形においては、プロセッサ及び計算システムを、第1に、得られた結果を伝達する表示画面と、第2に、結果をその他の装置に伝達できるようにする接続と、を含む独立したシステムとすることが好ましい。又、任意選択により、独立したプロセッサシステムにより、このシステムを画像キャプチャ手段90内に内蔵するようにすることも可能である。
【0056】
(方法)
前述の判定装置は、装着者の基準フレームとの関係において眼鏡フレーム内に取り付けられるそれぞれの矯正レンズの基準フレームの構成を判定する以下の方法を実装するべく機能する。
【0057】
図4に示されているように、検眼師は、装着者の鼻上に、位置識別システム20が取り付けられた一対のプレゼンテーション眼鏡レンズを配置する。装着者は、着座した又は起立した構成にあり、且つ、装着者の頭部は、真っ直ぐになっており、即ち、Frankfort面PFは、実質的に水平である。
【0058】
図3に示されているように、スティック23の2つの固定クリップ25及び26は、フレーム10の右リム11の上部部分に適用される。同様に、スティック24の2つの固定クリップ27及び28は、フレーム10の左リム12の上部部分に適用される。それぞれの一対の固定クリップ25及び26と27及び28は、好ましくは、対応するスティック23又は24が、自身が固定されたリム11、12の向きの水平成分に追随するように、相互に離れるように可能な限り離隔している。それぞれのリムの水平成分の向きは、全体的に、Frankfort面上への投影において矢状面との関係における関連するプレゼンテーションレンズの傾斜に対応している。
【0059】
ホルダバー190は、2つの水平位置識別要素70及び80が実質的に同一平面上に留まることを保証するべく機能する。この結果、垂直位置識別要素60は、位置識別システム20がフレーム10上に取り付けられた際に(図3及び図5を参照されたい)、フレームの対称面PS内に(且つ、従って、矢状面PSAG内に)実際に延長している。
【0060】
その高さ調節可能ロッド37、38によって保持されるそれぞれのベアリングビーズ30、40は、眼の対応する瞳孔PG、PDと実質的に水平な状態において、検眼師によって配置される。位置識別システム20は、重力により、ビーズ30、40がプレゼンテーションレンズ100、101の前面を押圧するように設計されている。重力により、対応するプレゼンテーションレンズ100、101を押圧するビーズ30、40は、2つの瞳孔の中心を通過する軸に対して実質的に平行である(且つ、従って、矢状面PSAGに対して実質的に垂直であり、且つ、後程定義される軸Xに対しても平行である)傾斜軸を中心として傾斜するスティック23、24に支持されている。従って、固定クリップは、位置識別システムが傾斜軸を中心として傾斜することを可能にするヒンジとして機能する。
【0061】
この結果、ホルダバー190の上面の面に対する垂線N90は、眼の垂直面PVOとの関係においてフレームのリムの平均面の矢状面PSAG内における傾斜の角度に略対応する面10の向きの垂直成分に追随する(図5)。
【0062】
固定クリップ25、26がリム11を押圧する2つの点、フレーム10、及びプレゼンテーションレンズ100上のビーズ30の押圧点(即ち、取付クロスが配置される点)は、装着構成における矯正レンズの平均面と関連するプレゼンテーションレンズ100の平均面PLDを定義する(図1及び図3)。プレゼンテーションレンズ101の平均面PLGも、同様に、リム12上における固定クリップ27、28の2つの押圧点、フレーム10、及びプレゼンテーションレンズ101に対するベアリングビーズ40の押圧点を通過するものと定義される。
【0063】
図1に示されているように、フレーム(並びに、従って、間接的に装着者の頭部)と関連付けられる基準フレームは、軸の直交系(O、X、Y、Z)を具備するものと定義され、且つ、これは、位置識別システム20によって実現される。この基準フレームの中心Oは、固定クリップ26及び27を相互接続するセグメントの中央である。軸Xは、水平であり、且つ、クリップ26及び27を通過する。軸Yは、Frankfort面に対して垂直であり、且つ、従って、この例においては、垂直である。従って、面OYZは、垂直であり、且つ、矢状面PSAGと、更には、対称面PSと、に対応している。軸OZは、眼の直角二等分線AOに対して平行である。面OXZは、Frankforta面PFに対して平行であり、且つ、従って、この例においては、水平である。面OXYは、フレーム垂直面PVMと呼ばれ、且つ、画像キャプチャフェース面PCIに対して実質的に平行である。
【0064】
(装着者の対応する眼との関係におけるそれぞれのレンズの向きの判定)
それぞれのレンズの向きは、取付クロスCMG、CMDの点においてレンズに正接する面に対して垂直であるベクトルの基準フレーム(O、X、Y、Z)における成分によって付与される。この取付クロスは、レンズが、その設計の対象である光学矯正機能を正確に実行するように、装着者の眼の瞳孔に対向した状態において配置されるべきレンズの点に対応している。レンズの向きの垂直成分は、矢状面上への投影においてフェース面との関係においてレンズの面に対して垂直である軸又はベクトルによって形成された角度に対応している。又、レンズの向きの水平成分も、定義され、且つ、これは、Frankfort面上への投影においてフェース面との関係においてレンズの面に対して垂直である軸又はベクトルによって形成された角度に対応している。
【0065】
装着者の基準フレームとの関係において生成されるそれぞれの矯正レンズの向きを判定するべく、面PLG及びPLDの向きを判定することが望ましい。このために、プレゼンテーションレンズ100及び101上におけるビーズ30及び40の押圧点を通過すると共に面PLG及びPLDに対して垂直である軸XLG及びXLDの向きが判定される。
【0066】
図7に示されているように、軸XLGH及びXLDHは、軸XLG及びXLDの水平面上への又はFrankfort面上への投影として定義される。同様に、軸XLVは、矢状面上への軸XLG及びXLDの投影として定義される(図5)。この例においては、軸XLG及びXLDの矢状面上への投影は、いずれも、同一の投影軸XLVをもたらすと考えられる。一変形においては、矢状面上への軸XLG及びXLDの2つの投影を弁別可能である。
【0067】
従って、それぞれのレンズ100又は101の向きの水平の成分は、装着者の頭部の矢状面PSAGとの間において軸XLGH又はXLDHによって形成された角度AXLGH又はAXLDHに対応している。同様に、それぞれのレンズ100又は101の向きの垂直成分は、Frankfort面との間において軸XLVによって形成された角度AXVに対応している。この結果、装着者との関係においてそれぞれのレンズの向きを判定するためには、角度AXLGH、AXLDH、及びAXVを判定する必要がある。
【0068】
軸XLDHと矢状面PSAG上へのその投影の間に形成された角度AXLDHは、水平面、即ち、Frankfort面PF内において、第1には、それぞれ、右テンプル13及び鼻ブリッジ15に近接した状態において右リム11上に位置する固定クリップ25及び26を通過する直線D1と、第2には、フレームの垂直面PVMとの間に形成された角度AMDに実質的に対応している。同様に、角度AXLGHは、第1には、鼻ブリッジ15及び左テンプル14に近接した状態において左リム12上に位置する固定クリップ27及び28を通過する直線D2と、第2には、フレームの垂直面PVMの間に形成された角度AMGに実質的に対応している。従って、角度AXLGH及びAXLDHそれぞれを判定するには、角度AMG及びAMDを判定することで十分である。
【0069】
図5に示されているように、角度AXVは、矢状面PSAG上への投影内において、第1には、眼の垂直面PVOと、第2には、2つのレンズ100及び101の平均面PMC(又は、実際には、フレーム10の2つのリム11及び12)の間に形成された角度AMVに実質的に等しい。従って、角度AXVを判定するには、角度AMVを判定することで十分である。
【0070】
検眼師は、装着者の頭部に対向する状態に携帯型画像キャプチャ装置90を配置し、且つ、画像キャプチャプ面PCI内において、位置識別システム20を保持する一対のプレゼンテーションレンズを装着した装着者の頭部の画像をキャプチャする。得られる画像は、図3の画像に対応している。画像のキャプチャは、通常、50cm〜120cmの範囲内である装着者からの距離において画像キャプチャ面PCI内において実行される。この画像キャプチャ面PCIは、正面から見たものであり、即ち、面PVO及びPVMに対して実質的に平行である(図4及び図5)。
【0071】
図2に示されているように、角度ARHDは、水平面又はFrankfort面PF内において、第1には、垂直面PVMと、第2には、幾何学的パターン71の長手方向と、の間に形成された角度として定義される。この角度ARHDが変化した際には、黒い帯の間の間隔も、画像キャプチャ面PCI内の投影内において変化する。この角度ARHDは、角度AMDと、30度の一定の角度TETAの合計に等しい。従って、角度ARHDは、角度AMDと同様に変化する。同様の内容が、角度ARHGが、角度AMGと、30度の一定の角度TETAの合計であると定義される水平位置識別要素80についても適用される。
【0072】
プロセッサ及び計算システム93は、自身が装着構成においてキャプチャした画像内において水平位置識別要素70の幾何学的パターン71の黒い帯の間の差を計測する。キャプチャされた画像のピクセルに起因したキャプチャ画像上における計測誤差を制限するべく、プロセッサ及び計算システム93は、複数ペアの帯の間の間隔を計測し、且つ、これらの間隔の平均値を取得する。次いで、プロセッサ及び計算システム93は、角度ARHD及び帯の間の間隔が既知である幾何学的パターン71の基準構成と比較することにより、装着構成と基準構成の間の帯の間隔の変動を判定する。この後に、プロセッサ及び計算システム93は、この間隔変動によって角度ARHDを判定する。次いで、角度AMDが、角度ARHDに基づいて判定される。
【0073】
帯の間の間隔の有効な比較を実施するべく、プロセッサ及び計算システムは、キャプチャされた画像の縮尺係数を考慮する必要がある。帯の間隔を比較できるようにするべく、縮尺係数に関する知識により、キャプチャ画像上において計測された帯の間隔値と基準の帯の間隔値を共通の縮尺に低減可能である。この縮尺係数は、位置識別システムと画像キャプチャ手段90の間の距離から判定される。
【0074】
Dとして示された離隔距離は、後述する計算法によって取得可能である。
【0075】
図8に概略的に示されているように、ホルダバー190の幾何学的パターン193の長手方向は、判定装置を上方から観察した際に、光軸AOPに対する垂線NAOPとの間に角度ALPHA0を形成する。同様に、対応する位置識別要素70、80のそれぞれの幾何学的パターン71、81の長手方向は、ホルダバー190の幾何学的パターン193の長手方向との間に角度BETA0を形成する。又、幾何学的パターン71及び81は、それぞれ、同一の既知の長さHを有し、且つ、幾何学的パターン193も、同様に既知の長さLを有すると仮定されている。
【0076】
黒い帯の間の間隔を計測することにより、対物レンズ94の焦点面PFOC内においてホルダバー190の幾何学的パターン193の見掛けの長さTを計測する。次の関係が適用される。
【0077】
L*cos(ALPHA0)*F/D=T
【0078】
ここで、Fは、対物レンズ94の焦点距離であり、且つ、Dは、画像キャプチャ装置90と、位置識別システム20と関連する基準フレームの原点Oの間の距離である。
【0079】
焦点面PFOC内において、幾何学的パターン71、81の見掛けの長さT1及びT2を計測する。次の関係が使用される。
【0080】
H*cos(BETA0−ALPHA0)*F/D=T1、及び
H*cos(BETA0+ALPHA0)*F/D=T2
【0081】
次いで、2つの見掛けの距離T1及びT2を合計することにより、
【0082】
T1+T2=2*cosBETA0*cosALPHA0*H*F/D
【0083】
BETA0が近似的に算出され、且つ、cosALPHA0が1に近接していると見なすことにより、次式が得られる。
【0084】
T1+T2=2*cosBETA0*H*T/L
【0085】
これは、BETA0の近似値を付与する。
【0086】
この後に、H*F/Dを除去するべく、これら2つの長さの間の比率Kを算出する。
【0087】
K=(cosBETA0cosALPHA0+sinBETA0sinALPHA0)/(cosBETA0cosALPH0−sinBETA0sinALPHA0)
【0088】
K及びBATA0の値は既知であるため、ALPHA0は、次の関係を使用して算出される。
【0089】
tan(ALPHA0)=((K−1)*cosBETA0)/((K+1)*sinBETA0)
【0090】
距離Dは、F及びLの値が既知である場合には、Tの計測値を使用し、次のように推定される。
【0091】
D=L*cos(ALPHA0)*F/T
【0092】
レーザーダイオードテレメータを使用し、この離隔距離を直接的に判定することも可能である。
【0093】
又、プロセッサ及び計算システム93は、自身が装着構成においてキャプチャした画像内において水平識別要素80の幾何学的パターン81の黒い帯の間の間隔をも計測する。前述のように、キャプチャ画像のピクセルに起因したキャプチャ画像上における計測誤差を制限するべく、プロセッサ及び計算システム93は、複数の帯のペアの間の差を計測し、且つ、これらの差の平均値を算出する。この後に、プロセッサ及び計算システム93は、角度ARHG及び帯の間の間隔が既知である幾何学的パターン81の基準構成と比較することにより、装着構成と基準構成の間の帯の間隔の変動を判定する。帯の間隔は、キャプチャ画像の縮尺係数を考慮しつつ、比較される。この後に、プロセッサ及び計算システム93は、この間隔変動によって角度ARHGを判定する。次いで、角度AMGが角度ARHGから判定される。
【0094】
図2に示されているように、角度ARVは、矢状面PSAG上への投影内において、第1には、フレーム垂直面PVMと、第2には、幾何学的パターン61の長手方向の間に形成された角度として定義される。この角度ARVが変化した際には、画像キャプチャ面PCI上への投影内において、黒い帯の間の間隔も変化する。この角度ARVは、角度AMVと、幾何学的パターン61と垂線N90の間に形成された30度の一定の角度GAMMAの合計に等しい。従って、角度ARVは、角度AMVと同様に変化する。
【0095】
従って、プロセッサ及び計算システム93は、自身がキャプチャした画像内において、幾何学的パターン61の帯の間の間隔を計測する。前述のように、角度ARV及び帯の間の間隔によって構成されたデータペアが既知である幾何学的パターン61の基準構成が提供される。キャプチャされた画像上において計測された帯の間隔値を基準の帯の間隔値と比較することにより、プロセッサ及び計算システム93は、間隔の変動を推定する。以前と同様に、帯の間隔は、キャプチャされた画像の縮尺を考慮しつつ、比較される。この後に、プロセッサ及び計算システムは、この間隔変動によって角度ARVを判定する。次いで、角度AMVが角度ARVから判定される。
【0096】
従って、プロセッサ及び計算システムは、それぞれ、Frankfort面及び矢状面PSAGとの関係において左及び右レンズの軸XLG及びXLDの向きを判定する。この結果、左及び右プレゼンテーションレンズと関連する面の向きが、装着者の基準フレーム内において判明する。従って、対応する眼との関係においてフレーム内において取り付けられるそれぞれの矯正レンズの向きも判明する。
【0097】
装着者が画像キャプチャ装置90に対向して真っ直ぐ前を見ている、即ち、矢状面PSAGが画像キャプチャ面PCIに対して垂直である装着構成においては、角度AMGは、角度AMDと等しくなければならない。
【0098】
角度AMG及びAMDの値に差がある際には、装着者の頭部が、後程定義される姿勢角APIVだけ旋回されたと推定可能である。
【0099】
図6に示されているように、姿勢角APIVは、水平面又はFrankfort面内において、矢状面PSAGと、画像キャプチャ装置90の瞳孔95の中心96及び頭部の垂直回転軸ARTを含む観察面POIの間に形成された角度である。
【0100】
値AMGと角度AMDの間の値の差は、姿勢角APIVの値に比例する。従って、プロセッサ及び計算システム93は、角度AMG及びAMDの間の計測された値差によって姿勢角APIVの値を算出する。この姿勢角APIVの値は、角度AMG及びAMDの値を補正するべく機能する。
【0101】
更には、それぞれのレンズの光学設計のパーソナライゼーションを改善するべく、レンズを設計する際に屈折率の傾きの分布の改善を可能にする幾何学的且つ形態学的パラメータも判定される。従って、プロセッサ及び計算システム93は、縮尺係数を考慮しつつ、画像認識を使用し、プレゼンテーションレンズを取り囲むリム11、12それぞれの幅B及び長さAを認識する。
【0102】
又、プロセッサ及び計算システム93は、画像認識を使用し、眼OG、ODそれぞれの高さHG、HDをも判定するが、この動作は、キャプチャされた画像内において、且つ、縮尺係数を考慮しつつ、それぞれの瞳孔PG、PDの中心上に配置された分離ラインと、対応するレンズの最低点として採取された基準点の間の距離の計測に対応している。
【0103】
瞳孔距離PDSを計測するべく、プロセッサ及び計算システム93は、それぞれの眼について画像認識を使用し、瞳孔(又は、虹彩)の中心を判定する。このようにして得られた2つの瞳孔PG及びPDの中心によって定義されたセグメントは、瞳孔距離PDSを提供する。鼻ブリッジ15の中心との関係においてそれぞれの瞳孔PG、PDの中心の水平位置を計測することにより、瞳孔半値距離PDSD及びPDSGを計測することも可能である。
【0104】
この例においては、瞳孔距離PDS又は瞳孔半値距離PDSD及びPDSGは、基準収束構成について計測される。この基準収束構成においては、装着者の眼が、装着者が注視する画像キャプチャ手段上の光、例えば、LED92上に固定されるようにしている。次いで、プロセッサ及び計算システムは、キャプチャ取得距離及び瞳孔距離PDS(又は、半値距離)の対応する計測値によって、無限大の視力におけるこの瞳孔距離の値を判定する。
【0105】
当然のことながら、画像上において実行されるすべての計測には、縮尺係数が考慮される。
【0106】
又、これらの算出された値を、以前に算出された角度AMD及びAMG、並びに、実際には、姿勢角APIV、或いは、眼OD、OGと対応するレンズ100、101の間の距離差によって補正することにより、瞳孔距離、瞳孔半値距離、及び幅寸法Aについて値が算出される精度を改善することも可能である。同様に、角度AMVの値を考慮することにより、高さ寸法B及びそれぞれの眼の高さHG、HDの計測も改善可能である。
【0107】
スティック23及び24の長手方向との関係における幾何学的パターン71及び81の長手方向の傾斜を使用し、角度AMG及びAMDが変化した際の帯の間隔変動の値を増大させる。この結果、既知の基準構成との関係における角度AMG及びAMDの変動の結果としてもたらされる2つの帯の間の間隔を更に容易に識別可能である。従って、間隔の比較は、フレームのリム11、12それぞれの、従って、レンズそれぞれの向きの水平成分を表しており、これにより、計測誤差が制限される。
【0108】
同様の内容は、垂線N90との関係における幾何学的パターン61の長手方向の傾斜にも適用される。この傾斜の角度は、角度AVMが変化した際の帯の間の間隔変動値を増大させる。
【0109】
(レンズと装着者の対応する眼の中心の間の距離の判定)
次いで、レンズ100と右眼ODの中心CRODの間における矢状面PSAGの水平方向の、即ち、軸Zに沿った距離と、更には、レンズ101と左眼OGの中心CROGの間における同一方向に沿った距離をも判定することが望ましい。これは、本発明の方法を適用して、装着者の頭部と関連する基準フレーム(O、X、Y、Z)内における眼の注目点を構成すると共に位置識別システム20によって実現された回転の中心CROG又はCRODのZ軸に沿った位置を判定することにより、実行される。この後に、いまや既知である基準フレーム(O、X、Y、Z)内における対象のレンズの構成を考慮しつつ、眼の回転の中心とレンズの間の探索対象の距離を推定する。
【0110】
第1段階S1において、装着者の頭部が画像キャプチャ装置90の入射瞳孔95との関係において第1姿勢を提示するように、画像キャプチャ装置90を装着者の顔に対向する状態で配置する。
【0111】
この第1相対姿勢は、画像キャプチャ装置が、側面からではなく、略正面から装着者を観察するようになっている。正面から取得された画像から眼の位置を計測する方式は、側面から取得された画像と比較して、いくつかの利点を提供する。実際に、画像の処理動作は、フレームのリム及びテンプルが眼を隠すというリスクを冒さないという点において、且つ、後述する計算方法が、眼に対向するレンズの背面の点の認識を必要としてはいないという点において(この動作は危険である)、相対的に信頼性が高い。更には、装着者の1つ又は複数の正面画像によれば、瞳孔距離及び眼の高さ、フレームの曲率、前述のように、装着された際のそれぞれのレンズの広角度(即ち、レンズの全般面と垂直線の間の角度)、或いは、実際には、装着者の視覚的な振る舞い(特に、視野を詳細に調査する際に装着者が大きな又は小さな程度に眼又は頭部を動かす傾向)などの装着者のその他の幾何学的且つ形態学的パラメータをも計測可能である。
【0112】
以下、この第1姿勢に対応した直線、面、及び角度などの様々な定義された幾何学的要素の発生には、インデックス1を付与する。これは、具体的には、この第1の発生においては、POI1と表記される観察面POIと、この第1発生においては、PSAG1と表記される矢状面PSAGと、この第1発生においては、APIV1と表記される姿勢角APIVと、この第1発生においては、(O1、X1、Y1、Z1)と表記される基準フレーム(O、X、Y、Z)と、に適用される。
【0113】
第2段階S2において、この正面からの第1相対姿勢において、画像キャプチャ装置90により、且つ、前述のように、装着者の頭部の第1面画像をキャプチャする。
【0114】
第3段階S3において、プロセッサ及び計算システム93は、この第1画像内においては、それぞれの眼の第1既定基準点の画像を識別する。
【0115】
図9及び図10に示されている例においては、眼のこの第1基準点は、それぞれ、左眼OG及び右眼ODの角膜上において反射されたLED92によって構成された可視光源の反射RCG1、RCD1である。
【0116】
又、プロセッサ及び計算システム93は、第1姿勢における位置識別システム20の第1キャプチャ画像から、装着者の頭部と関連する基準フレーム(O、X、Y、Z)の第1発生(O1、X1、Y1、Z1)における画像キャプチャ装置90の構成を算出する。具体的には、プロセッサ及び計算システム93は、姿勢角APIVの第1値APIV1及び画像キャプチャ装置90の入射瞳孔95の中心96の位置を算出する。通常、前述のように、プロセッサ及び計算システム93は、この第1姿勢における角度AMG及びAMDの計測値AMG1及びAMD1の間の差によって姿勢角APIVの第1値APIV1を算出し、基準フレームの原点O1と瞳孔95の中心96の間の距離は、既知のリアルサイズの位置識別システム20の幾何学的パターンの見掛けの大きさから推定された縮尺計算によって得られる。
【0117】
第4段階S4において、ピクチャ取得角度を変更する。画像キャプチャ装置90は、装着者の頭部が画像キャプチャ装置90の入射瞳孔95との関係において第2姿勢を提示すように、装着者の顔に対向する状態で配置され、この第2姿勢は、第1のものとは異なる。この結果、画像キャプチャ装置との関係における装着者の頭部の相対的な位置は、例えば、その回転の垂直軸ARTを中心として頭部を旋回するように装着者に対して要求するか又はこのようにさせることによって装着者の頭部の絶対位置を移動させることにより、或いは、装着者との関係において画像キャプチャ装置90を移動させることにより、或いは、実際には、この2つの運動を組み合わせることにより、変更される。
【0118】
具体的には、画像キャプチャ装置の瞳孔の相対的な位置と装着者の頭部の回転の垂直軸ARTは、装着者の頭部を前述の回転の垂直軸ARTを中心に旋回させる照準点を形成する可視光源に装着者が追随する状態において、2回の画像キャプチャにわたって同一に留まる。
【0119】
一例として、対象者の頭部が、画像キャプチャ装置の光軸に対して垂直の方向において、前述の第1及び第2姿勢の間において、画像キャプチャ装置の瞳孔と第1姿勢における回転の垂直軸ARTの間に存在する距離の20パーセントを上回るだけ、横断方向に移動しなければ、画像キャプチャ装置の瞳孔の相対的な位置と装着者の頭部の回転の垂直軸ARTは、第1及び第2姿勢にわたって同一であると考えられる。
【0120】
例えば、画像キャプチャ装置の瞳孔と第1姿勢における回転の垂直軸ARTの間の距離が1メートル(m)である場合には、前述の距離の20パーセントの横断方向の変位は、画像キャプチャ装置の光軸に対して垂直方向における前述の光軸の一側又は他側への20センチメートル(cm)の横断方向の変位に対応する。
【0121】
対象者は、好ましくは、頭部をまっすぐに維持しつつ、即ち、水平なFrankfort面を維持しつつ、回転の垂直軸ARTを中心として頭部を単に旋回させる。この回転の垂直軸ARTを中心とした対象者の頭部の旋回は、好ましくは、5度〜60度の範囲の振幅を有する。
【0122】
この結果、姿勢角APIVが変化する。
【0123】
第1相対姿勢と同様に、この第2姿勢も、画像キャプチャ装置が、側面からではなく、略正面から装着者を観察するというものである。
【0124】
以下、この第2姿勢に対応する直線、面、及び角度などの様々な定義された幾何学的要素の発生には、インデックス2が付与される。これは、具体的には、この第2発生においては、POI2と表記される観察面POIと、この第2発生においては、PSAG2と表記される矢状面PSAGと、この第2発生においては、APIV2と表記される姿勢角APIVと、この第2発生においては、(O2、X2、Y2、Z2)と表記される基準フレーム(O、X、Y、Z)と、に適用される。
【0125】
第5段階S5において、この第2相対姿勢において、それぞれの眼の第2面画像を画像キャプチャ装置90によってキャプチャする。
【0126】
第6段階S6において、プロセッサ及び計算システム93は、この第2画像内において、それぞれの眼の第2既定基準点の画像を識別する。図9及び図10に示されている例においては、このそれぞれの眼の第2基準点は、それぞれ、左眼OG及び右眼ODの角膜上において反射されたダイオード92の反射RCG2、RCD2である。従って、この例におけるそれぞれの眼の第1及び第2基準点は、対象の眼について、角膜又は虹彩の略中心である単一の点において一致する。
【0127】
前述のように、プロセッサ及び計算システム93は、位置識別システム20の第2キャプチャ画像に基づいて、装着者の頭部と関連する基準フレーム(O、X、Y、Z)のこの発生(O2、X2、Y2、Z2)における画像キャプチャ装置90の構成を算出する。具体的には、プロセッサ及び計算システム93は、姿勢角APIVの第2値APIV2と、画像キャプチャ装置90の入射瞳孔95の中心96の位置を算出する。
【0128】
第7段階S7において、プロセッサ及び計算システム93は、第1相対姿勢において、且つ、個々にそれぞれの眼OD、OGについて、画像キャプチャ装置90の瞳孔の中心96と眼の第1基準点RCG1、RCD1を接続する第1観察直線DOD1、DOG1と、第2相対姿勢において、画像キャプチャ装置90の瞳孔の中心96と眼の第2基準点RCG2、RCD2を接続する第2観察直線DOD2、DOG2と、を算出する。
【0129】
第8段階S8において、プロセッサ及び計算システム93は、第1観察直線DOG1、DOD1が、装着者の頭部との関係において、第2観察直線DOG2、DOD2とは実質的に別個である個々の構成を提示するかどうかを検証するべく計算を実行する。別個の構成を提示しない場合には、プロセッサ及び計算システム93は、エラーメッセージを発行するか、或いは、段階S1〜段階S3又は段階S4〜段階S6を再度実行する。別個の構成を提示している場合には、プロセッサ及び計算システム93は、後続の段階S9に進む。
【0130】
更には、前述のように、第2画像の正面画像特性を以下のように定量化可能である。第1相対姿勢は、これらの第1観察直線DOD1、DOG1それぞれが装着者の矢状面PSAG1上への及びFrankfort面PF上へのその投影との間に45度未満の個々の角度を形成するようになっている。同様に、第2相対姿勢は、これらの第2観察直線DOD2、DOG2それぞれが、矢状面PSAG2上への及びFrankfort面PF上へのその投影との間にそれぞれ45度未満の角度を形成するようになっている。
【0131】
プロセッサ及び計算システム93は、この基準に対する準拠状況を検証する。基準が満足されていない場合には、プロセッサ及び計算システム93は、エラーメッセージを発行し、且つ、新しい第1画像のキャプチャの前に、第1相対姿勢及び/又は第2相対姿勢を変更する。基準が満足されている場合には、本方法は、後続の段階に進む。
【0132】
第9段階S9において、プロセッサ及び計算システム93は、対象の眼の第1及び第2基準点の画像と、姿勢角APIVの第1及び第2値APIV1、APIV2と、によってそれぞれの眼OG、ODの回転の中心DROG、CRODの位置を算出する。
【0133】
この後に、プロセッサ及び計算システム93は、それぞれの眼の第1及び第2基準点の画像を比較し、その結果から、第1及び第2相対姿勢に対応する2つの異なる視点の間において観察される眼の見掛けの角度運動を推定する。姿勢角APIVの第1及び第2値APIV1及びAPIV2によって構成された2つの視点に関する情報が付与された場合に、視差計算により、軸Zに沿った眼の中心CROG、CRODの探索対象の位置を得ることが可能である。
【0134】
それぞれの眼の回転の中心CROG、CRODの位置を算出するべく、プロセッサ及び計算システム93は、対象の眼の第1基準点の画像及び姿勢角の第1値APIV1を使用し、画像キャプチャ装置90の入射瞳孔95の中心96とそれぞれの眼OD、OGの第1基準点を接続する第1観察直線DOD1、DOG1の、前述の装着者の頭部の基準フレーム(O、X、Y、Z)における座標を算出する。同様に、プロセッサ及び計算システム93は、眼の第2基準点の画像及び姿勢角の第2値APIV2を使用し、画像キャプチャ装置の瞳孔の中心とそれぞれの第2基準点を接続する第2観察直線DOD2、DOG2の、前述の装着者の頭部の基準フレーム(O、X、Y、Z)における座標を算出する。
【0135】
次いで、プロセッサ及び計算システム93は、第1及び第2観察直線DOG1、DOD1、DOG2、GOD2の座標によって、基準フレーム(O、X、Y、Z)におけるそれぞれの眼の回転の中心CROG、CRODの位置を算出する。左眼の回転の中心CROGの位置は、これらの直線の交差点の位置として、或いは、これらが正確に交差しない場合には、これらの観察直線DOG1、DOG2が互いに最も近接する点の位置として、算出される。同様に、右眼の回転の中心CRODの位置は、直線の間の交差点として、或いは、これらが正確に交差しない場合には、2つの観察直線DOD1及びDOD2が互いに最も近接する位置として、算出される。
【0136】
装着者の観察方向が考慮される。
【0137】
第1及び第2画像がキャプチャされている際に、眼は、装着者の注視を引き付けるLED92を見ている。第1及び第2相対姿勢それぞれにおいて、ダイオード92の中心は、それぞれ、第1及び第2照準点に対応している。従って、これらの照準点の位置は、画像キャプチャ装置90の基準フレームにおいて既知である。具体的には、これらの照準点は、画像キャプチャ装置の瞳孔に近接した観察面POI内に位置している。
【0138】
この結果、眼の回転の中心CROD及びCROGの位置も、これらの2つの位置においてダイオード92によって実現された照準点によって算出される。
【0139】
第1相対姿勢においては、それぞれ、基準点RCD1及びRCG1を照準点に、即ち、第1姿勢におけるLED92に接続する2つの照準直線DVD1及びDVG1が定義される。同様に、第2相対姿勢においては、それぞれ、基準点RCD2及びRCG2を照準点、即ち、第2姿勢におけるLED92に接続する2つの第1照準直線DVD2及びDVG2が定義される。
【0140】
図9及び図10に示されている例においては、LED92は、画像キャプチャ装置90の入射瞳孔95に近接した状態で位置しているため、基準フレーム(O、X、Y、Z)における中心CROG及びCRODの位置を算出するべく、両方の眼OD及びOGは、第1及び第2姿勢それぞれにおいて、実質的に画像キャプチャ装置90の入射瞳孔の方を見ていると仮定可能である。この結果、第3姿勢においては、照準直線DVG1及びDVD1は、それぞれ、観察直線DOG1及びDOD1と一致し、且つ、同様に、第2姿勢においては、観察直線DVG2及びDVD2は、それぞれ、観察直線DOG2及びDOD2と一致する。この近似は、この例においては、第1及び第2相対姿勢それぞれにおける照準点の位置を考慮するべく機能する。
【0141】
次いで、左及び右観察直線DOG及びDODと、観察面POI上へのこれらの個々の投影の間にそれぞれ形成されるものとして、左及び右水平観察角度AHOG及びAHODが定義される。それぞれ、AHOG1、AHOD1、AHOG2、及びAHOD2と表記される第1及び第2姿勢におけるこれらの角度の発生が、プロセッサ及び計算システム93によって算出される。このために、プロセッサ及び計算システム93は、それぞれの姿勢について、位置識別システム20の対応する第1及び第2キャプチャ画像によって観察面POIの位置を算出するべく機能し、且つ、プロセッサ及び計算システム93は、第1及び第2相対姿勢において、基準点、即ち、具体的には、画像キャプチャ装置90の角膜反射RCG1、RCD1、RCG2、及びRCD2が観察された見掛けの角度を判定する。通常はそうであるように、観察面POIが画像キャプチャ装置90の光軸AOPと略一致する場合には、探索対象の角度AHOG及びAHODは、観察された見掛けの角度に等しい。さもなければ、適切な補正を見掛けの角度に適用し、それから、探索対象の角度AHOG及びAHODを推定する。
【0142】
このように算出されたこれらの角度の値に基づいて、プロセッサ及び計算システム93は、それぞれの姿勢について、フレーム垂直面PVM上における観察直線DOG及びDODの個々のトレースTOG及びTODを算出するべく機能する。これらのトレースは、当然のことながら、第1姿勢については、TOG1及びTOD1として、そして、第2姿勢については、TOG2及びTOD2として表記される点である。
【0143】
又、フレーム垂直面PVM上における照準直線DVG及びDVDについても、個々のトレースTVG及びTVDが定義される。装着者は、具体的には、画像キャプチャ装置の瞳孔の方を見ているため、これらの点TVG及びTVDは、第1及び第2姿勢の両方において、点TOG及びTODと略一致する。更に正確には、プロセッサ及び計算システム93は、基準フレーム(O、X、Y、Z)の第1発生(O1、X1、Y1、Z1)において、X軸との関係において点TOG1及びTOD1の個々の横座標X(TOG1)及びX(TOD1)と、基準フレーム(O、X、Y、Z)の第2発生(O2、X2、Y2、Z2)において、点TOG2及びTOD2の個々の横座標X(TOG2)及びX(TOD2)を算出する。次いで、プロセッサ及び計算システム93は、これらから、フレーム垂直面PVMと左及び右眼の回転の中心CROG及びCRODの間の探索対象の距離を推定可能であり、これらの距離は、中心CROG及びCRODについて、それぞれ、Z(CROG)及びZ(CROD)と表記された軸Zに沿った横座標の加法に関する逆数に対応している。次の式を適用可能である。
【0144】
Z(CROD)=−Abs(((X(TOD1)−X(TOD2))/((tan(AHOD1+APIV1)−tan(AHOD2+APIV2)))
Z(CROG)=−Abs(((X(TOG1)−X(TOG2))/((tan(AHOG1+APIV1)−tan(AHOG2+APIV2)))
【0145】
ここで、「Abs」は、絶対値関数であり、且つ、「tan」は、正接関数である。
【0146】
図11は、本発明の一変形実装を示しており、この実装は、正確さを得るべく、或いは、遠見及び近見視力に対応する観察方向の画像をキャプチャするべく、或いは、実際には、眼の半径の算出を改善するべく、有利であろう。
【0147】
この例においては、本装置は、装着者の注視を引き付ける照準点を構成する中心116を具備したLEDなどの第2可視光源115を含む。本方法は、基本的に、前述のすべての段階を再現する。以下の説明は、先程詳述した実装との比較において関係する追加又は変更にのみ関するものである。
【0148】
第10段階S10において、画像キャプチャ装置90の入射瞳孔95との関係において、対象者の頭部の第3相対姿勢(O3、X3、Y3、Z3)を提供する。この第3姿勢は、第1及び第2相対姿勢と同一であるか、或いは、これとは別個である。
【0149】
図11は、第1相対姿勢又は第2相対姿勢の位置を占めるか又はこれを置き換える第3相対姿勢を示しており、且つ、この姿勢において、装着者の顔及び位置識別システム20の第3画像がキャプチャされる。
【0150】
図9及び図10に示されている第1及び第2姿勢においては、視差を計算するべく考慮された基準点は、画像キャプチャ装置90の入射瞳孔に近接して配置されたLED92の角膜反射である。図11に示されている第3姿勢においては、装着者は、既知であると共にプロセッサ及び計算システム93のメモリにパラメータとして入力された画像キャプチャ装置90の瞳孔95との関係における位置に存在するLED115の方を見るようになっている。対象者の頭部と関連する基準フレーム(O、X、Y、Z)との関係において、LED115の位置は、LED92の位置とは異なる。
【0151】
第11段階S11において、画像キャプチャ装置90は、この第3相対位置にある際に、正面から、位置識別システム20及び眼と共に、対象者の頭部の第3面画像をキャプチャする。
【0152】
位置識別システム93は、この第3キャプチャ画像から姿勢角の第3値APIV3を算出する。
【0153】
第12段階S12において、プロセッサ及び計算システム93は、この第3画像内において、それぞれの眼の第3既定基準点の画像を識別する。この例においては、この基準点は、左眼及び右眼の角膜によってそれぞれ反射されたLED115の反射RCG3、RCD3である。これは、両方の眼がLED115を見ているためである。
【0154】
次いで、第13段階S13において、プロセッサ及び計算システム93は、それぞれの眼の半径ROG、RODを、第1画像の角膜反射RCG1、RCD1及び/又は第2画像の角膜反射RCG2、RCD2の画像、及び第3画像の角膜反射RCG3、RCD3の画像と、姿勢パラメータAPIVの第1及び/又は第2値APIV1、APIV2及び第3値APIV3と、画像キャプチャ装置90の瞳孔95との関係における照準点92及び116の既知の位置と、によって算出する。
【0155】
段階S10、S11、S12のグループは、具体的には、段階S1、S2、S3のグループとは、別個であり、且つ、段階S4、S5、S6のグループとも、別個である。一変形においては、段階S10、S11、S12が、段階S1、S2、S3及び段階S4、S5、S6の1つ又は他方と一致するようにすることも可能であろう。従って、正面からキャプチャされた2つの画像のみを使用し、レンズとの関係におけるそれぞれの眼の位置とそれぞれの眼の半径の両方が、組合せとして算出される。
【0156】
次いで、プロセッサ及び計算システム93は、対象の眼の第3基準点RCG3、RCD3(LED115の角膜反射)の画像及び姿勢角の第3値APIV3に対して作用し、画像キャプチャ装置90の入射瞳孔95の中心96と眼OD、OGの第3基準点RCG3、RCD3(LED115の角膜反射)を接続する第3観察直線DOD3、DOG3の、装着者の頭部の基準フレーム(O、X、Y、Z)における座標を算出する。
【0157】
装着者の観察方向が考慮される。
【0158】
第1及び第2画像をキャプチャする際には、それぞれの眼は、LED92を見ている。しかしながら、図11に示されている第3構成においては、それぞれの眼は、画像キャプチャ装置から、ある距離に存在するLED115を見ている。ダイオード115の中心116は、画像キャプチャ装置90の基準フレーム内において既知である位置の第3照準点を構成している。この結果、更には、眼の回転の中心CROD、CROGの位置が、両方の姿勢においてLED92によって実現された照準点の位置によって算出される。
【0159】
次いで、照準点、即ち、LED115の中心116の角膜反射RCD3及びRCG3によって構成された第3基準点をそれぞれ接続する2つの第3照準直線DVD3及びDVG3が、第3相対姿勢において定義される。
【0160】
LED115は、画像キャプチャ装置90の入射瞳孔95から、ある距離に位置するため、第3照準直線DVG3及びDVD3は、第3観察直線DOG3及びDOD3とは明らかに別個である。従って、眼の回転の中心の位置を算出する際には、具体的には、LED115によって構成された第3照準点の位置を考慮する必要がある。
【0161】
第1及び第2姿勢において前述したように、第3姿勢における(先程定義された)角度AHOG及びAHODの第3発生AHOG3及びAHOD3をプロセッサ及び計算システム93によって算出する。
【0162】
これらの角度の値から、プロセッサ及び計算システム93は、フレーム垂直面PVM3の第3発生における観察直線DOG3及びDOD3の第3発生の個々のトレースTOG3及びTOD3と、更には、フレーム垂直面PVM3の第3発生における照準直線DVG3及びDVD3の第3発生における個々のトレースTVG3及びTVD3を算出する。更に正確には、プロセッサ及び計算システム93は、基準フレーム(O、X、Y、Z)の第3発生(O3、X3、Y3、Z3)内におけるX軸に沿った点TOG3及びTOD3の個々の横座標X(TOG3)及びX(TOD3)と、更には、基準フレーム(O、X、Y、Z)の第3発生(O3、X3、Y3、Z3)における点TVG3及びTVD3の個々の横座標X(TVG3)及びX(TVD3)をも算出する。次いで、プロセッサ及び計算システム93は、フレーム垂直面PVMと左及び右眼の回転の中心CROG及びCRODそれぞれの間の探索対象の距離を推定し、この距離は、中心CROG及びCRODのZ軸に沿った横座標の加法に関する逆数に対応しており、且つ、個々にZ(CROG)及びZ(CROD)と表記される。
【0163】
又、プロセッサ及び計算システム93は、第3姿勢と第1及び第2姿勢の間において、その回転の中心CROG、CRODを中心としたそれぞれの眼の角度位置が、画像キャプチャ装置90の入射瞳孔95との関係において変化しているという事実を活用することにより、眼の半径をも算出する。
【0164】
プロセッサ及び計算システム93は、それぞれの眼OD、OGの半径を、基準フレーム(O、X、Y、Z)の第3発生(O3、X3、Y3、Z3)における点TVG3、TVD3、TOG3、TOD3の個々の横座標X(TVG3)、X(TVD3)、X(TOG3)、X(TOD3)、基準フレーム(O、X、Y、Z)の第1発生(O1、X1、Y1、Z1)における点TOG1、TOD1の個々の横座標X(TOG1)、X(TOD1)(点TVG1、TVD1は、それぞれ、点TOG1、TOD1と一致する)、及び/又は基準フレーム(O、X、Y、Z)の第2発生(O2、X2、Y2、Z2)における点TOG2、TOD2の個々の横座標X(TOG2)、X(TOD2)から、算出する。
【0165】
従って、例えば、姿勢角APIV2及びAPIV3に対応する第2及び第3発生が等しく、且つ、画像キャプチャ装置90と装着者の頭部と関連する基準フレーム(O、X、Y、Z)の原点Oの間の距離Dの第2及び第3発生D2及びD3が等しいか又は略等しい状態において、3つの画像が第1、第2、及び第3姿勢においてそれぞれキャプチャされた場合には、第2及び第3キャプチャ画像を使用し、それぞれの眼の半径の簡単且つ正確な計算を実行可能である。左及び右眼の半径をそれぞれROG及びRODと表記した場合に、プロセッサ及び計算システム93は、次式を実行可能である。
【0166】
ROG=Abs((X(RCG2)−X(RCG3))/OMEGA)
ROD=Abs((X(RCD2)−X(RCD3))/OMEGA)
OMEGA=arctan((d(ART,PVO).sin(APIV2))/(d(ART,PVO).(1−cos(APIV2))+D2)))+arctan((Abs(X96−X116)−d(ART,PVO).sin(APIV2))/(d(ART,PVO)+D2−d(ART,PVO).cons(APIV2)))
【0167】
ここで、X(RCG2)、X(RCD2)は、それぞれ、第2姿勢における左及び右角膜反射RCG及びRCDの基準フレーム(O、X、Y、Z)のX軸に沿った横座標であり、X(RCG3)、X(RCD3)は、それぞれ、第3姿勢における左及び右角膜反射RCG及びRCDの基準フレーム(O、X、Y、Z)のX軸に沿った横座標であり、X96及びX116は、それぞれ、照準点96及び116のX軸に沿った横座標であり、且つ、d(ART、PVO)は、頭部の回転の垂直軸ARTとフレーム垂直面PVOの間の距離である。
【0168】
最後に、プロセッサ及び計算システム93は、それぞれのレンズ100、101と、対応する眼OD、OGの間の距離から、並びに、それぞれのレンズの向きから、生成対象である矯正レンズの基準フレームの装着者の眼との関係における構成を推定する。
【0169】
(その他の変形)
本発明は、決して、説明及び図示された実施例にのみ限定されるものではなく、且つ、当業者であれば、本発明の精神の範囲内において、任意の変形を適用可能である。
【0170】
例えば、装着者の注視用の照準点を形成する可視光源に近接した又はこれと一致する赤外線光源を使用し、装着者の眼の回転の中心CROの位置を計測することも考えられる。赤外線における計測値の取得は、キャプチャ画像内における眼の瞳孔と角膜反射のコントラストを増大させるべく機能し、これにより、更に良好な計測精度が保証される。
【0171】
又、複数のキャプチャ画像内における装着者の眼のCROの位置の計測値を平均することにより、装着者の眼のCROの平均位置を算出することも考えられる。この場合に、最小二乗法などの既知の数学的方法の使用は、この位置の計測における誤差を極小化するべく機能する。
【0172】
特に、前述のものに類似した方法を使用し、例えば、瞳孔又は虹彩の中心や眼角(瞼の角)又は瞼の上端又は下端に隣接する強膜上の点などの前述の眼の回転の中心以外のそれぞれの眼の注目点の位置を計測可能である。
【0173】
更には、図9及び図10に示されている例においては、(第1及び第2姿勢における)第1及び第2照準点は、第1及び第2姿勢が別個であるため、別個である。しかしながら、観察者が、第1及び第2姿勢において、例えば、壁の上に固定された、又はテーブル又はスタンドの上に安着した任意選択によって発光ターゲットの中心などである単一の照準点を観察する状態において、第1及び第2観察点が一致するようにすることも可能であろう。
【0174】
又、有利には、少なくとも2つの姿勢及び照準点を、姿勢の中の1つにおいて画像をキャプチャする際には、眼の注視方向が遠見視力に対応し、且つ、別の姿勢において画像をキャプチャする際には、眼の注視方向が近見視力に対応するようにすることも可能であろう。従って、このようにしてキャプチャされた画像に基づいて、遠見視力及び近見視力における瞳孔距離及び眼の高さなどの追加データを入手可能であり、即ち、実際には、(例えば、遠見視力から近見視力に、又はこの逆に、移行する際に眼又は頭部を大きな又は小さな程度に動かす傾向などの)装着者の振る舞いに関する情報を入手可能である。
【0175】
又、画像キャプチャ装置との関係における装着者の頭部の様々な姿勢を既定するようにすることも可能である。この結果、画像キャプチャ装置の位置は、静止状態であるか、或いは、少なくとも、それぞれの画像キャプチャについて予め定義されており、且つ、装着者に、それぞれの画像キャプチャごとに、位置決めの支援を提供する適切なアクセサリの支援により、所望の又は予め定義された姿勢において頭部を配置させる。一例として、このようなアクセサリは、フレーム又は位置識別システムに装着されると共に装着者が注視することを要求される既知の位置のターゲットと関連付けられたレーザーポインタ又はエイマー、或いは、実際には、予め定義された姿勢において静止状態に装着者の頭部を保持するヘッドレスト装置から構成可能である。このような状況においては、姿勢パラメータの様々な値(角度APIVなど)の取得は、計測目的に使用される様々な姿勢が、すべての装着者にとって共通であり、且つ、従って、対応する姿勢パラメータが、それぞれの計測について再度取得されないグローバルパラメータ(又は、コンピュータ言語においては、「グローバル変数」)であるという意味においてグローバルである。
【0176】
又、地面の基準フレームの水平面PHに対して平行ではないFrankfort面の向きについて動作するべく本装置及び方法を設計するようにすることも可能である。又、垂直方向が、地面の基準フレームとの関係においてではなく、装着者との関係において定義されると仮定し、前述の方法を実装することも可能である。換言すれば、この場合には、垂直方向は、装着者の主注視軸に対して垂直であると共に矢状面PSAG内に含まれる方向であると定義される。そして、水平面、即ち、垂直方向に対して垂直である面は、Frankfort面と一致すると定義される。
【0177】
又、穿孔されたタイプの一対の眼鏡レンズに本方法を適用することも可能である。このような状況においては、それぞれのスティックは、対応するプレゼンテーションレンズ上に直接固定される。次いで、前述の説明におけるリム(形状、向き)と関係して実行された計算又は計測は、穿孔されたタイプのフレーム上に取り付けられたプレゼンテーションレンズとの関係において実行される。
【0178】
一変形においては、リムを有するタイプのフレームの場合には、プレゼンテーションレンズを具備しないリムを有するフレームと共に本方法を実装するようにすることができる。このような状況においては、ベアリングビーズを保持するロッド自身が、フレームのリムを押圧する。次いで、全体的に、それぞれのリムについて、取付クロスの位置を含むその平均面を定義可能である。次いで、前述の方法を実行し、その面の向きを見出す。
【0179】
更には、リムを有するタイプのフレームの場合には、もう1つのレンズの基準フレームの構成が、フレームの対称面との関係における対称性によって得られると仮定し、左又は右プレゼンテーションレンズのみを提供可能である。このような状況においては、存在する場合に旋回角度を判定するべく、2つの眼と関連付けられた両方の位置識別要素を保持可能である。又、頭部が実際に真っ直ぐであり、且つ、フレームの対称面が実際に矢状面と一致すると仮定することにより、2つの眼の中の1つのみと関連付けられた1つの位置識別要素のみを提供することも可能である。
【0180】
又、装着者が第1及び第2相対姿勢の両方において、頭部を真っ直ぐに維持しないと考えることも可能である。次いで、装着者は、矢状面PSAGに対して垂直の軸を中心として頭部を旋回させる。この場合には、判定を必要とする姿勢パラメータは、垂直面内における画像キャプチャ装置と対象者の頭部の間の角度に対応する前述の水平軸を中心とした回転の角度を含む。
【0181】
最後に、各段階が実行される順序は、限定されてはおらず、且つ、当業者は、本方法の全体的な統一性を維持しつつ、順序を自由に変更する方法を理解している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の頭部と関連付けられた基準フレーム(O、X、Y、Z)内における前記対象者の眼(OD、OG)の注目点(CROD、CROG)の、矢状面(PSAG)の水平方向における、位置を計測する方法であって、
S1)前記対象者の顔に対向する状態で配置された画像キャプチャ装置(90)の入射瞳孔(95)との関係における第1相対姿勢(O1、X1、Y1、Z1)において前記対象者の頭部を配置する段階と、
S2)前記第1相対姿勢において、前記画像キャプチャ装置(90)によって前記眼の第1面画像をキャプチャする段階と、
S3)前記第1画像内において、前記眼の第1既定基準点(RCG1、RCD1)の画像を識別する段階と、
S4)前記画像キャプチャ装置(90)の前記入射瞳孔(95)との関係における第2相対姿勢(O2、X2、Y2、Z2)において前記対象者の頭部を配置する段階であって、前記第2相対姿勢は、前記第1相対姿勢(O1、X1、Y1、Z1)とは別個である、段階と、
S5)前記第2相対姿勢において、前記画像キャプチャ装置(90)によって前記眼の第2面画像をキャプチャする段階と、
S6)前記眼の第2既定基準点(RCG2、RCD2)の画像を識別する段階と、
S9)前記眼の前記第1及び第2基準点(RCG1、RCD1、RCG2、RCD2)の前記画像と、前記第1及び第2相対姿勢とそれぞれ関連する姿勢パラメータ(APIV)の第1及び第2値(APIV1、APIV2)と、によって前記眼の前記注目点(CROD、CROG)の位置を算出する段階と、
を有し、
前記姿勢パラメータ(APIV)の前記値は、
前記対象者の前記頭部に位置識別要素(60、70、80、700、800)を配置する段階であって、前記要素は、少なくとも1つの幾何学的特徴を具備する、段階と、
前記位置識別要素(60、70、80、700、800)の面画像を含む、前記画像キャプチャ装置によってそれぞれの相対的な姿勢においてキャプチャされた第1及び第2面画像それぞれについて、前記画像を処理し、前記位置識別要素の前記既知の幾何学的特徴に応じて幾何学的特徴を計測する段階と、
前記位置識別要素の前記キャプチャ画像の前記計測された幾何学的特徴と、前記位置識別要素の前記既知の幾何学的特徴と、によって前記異なる姿勢の前記姿勢パラメータ(APIV)の異なる値を算出する段階と、
を使用して算出されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記画像キャプチャ装置(90)の前記瞳孔(95)と前記眼の前記第1基準点(RCG1、RCD1)を接続する第1観察直線(DOG1、DOD1)が前記第1相対姿勢において定義され、且つ、前記画像キャプチャ装置(90)の前記瞳孔(95)と前記眼の前記第2基準点(RCG2、RCD2)を接続する第2観察直線(DOG2、DOD2)が前記第2相対姿勢において定義され、前記第1及び第2相対姿勢は、これらの第1及び第2観察直線が、前記対象者の前記矢状面(PSAG)上への、並びに、前記Frankfort面(PF)上へのそれらの投影との関係において、それぞれ45度未満の角度を形成するようになっている請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記画像キャプチャ装置(90)の前記瞳孔(95)と前記眼の前記第1基準点(RCG1、RCD1)を接続する第1観察直線(DOG1、DOD1)が前記第1相対姿勢において定義され、且つ、前記画像キャプチャ装置(90)の前記瞳孔(95)と前記眼の前記第2基準点(DOG2、DOD2)を接続する第2観察直線(DOG2、DOD2)が前記第2相対姿勢において定義され、前記第1及び第2相対姿勢は、これらの第1及び第2観察直線が、前記対象者の頭部との関係において、相互に別個の構成を提示するようになっている請求項2に記載の方法。
【請求項4】
S7)前記第1相対姿勢(O1、X1、Y1、Z1)において、前記画像キャプチャ装置(90)の前記瞳孔(95)と前記眼の前記第1基準点(RCG1、RCD1)を接続する第1観察直線(DOG1、DOD1)を、そして、前記第2基準姿勢において、前記画像キャプチャ装置(90)の前記瞳孔(95)と前記眼の前記第2基準点(RCG2、RCD2)を接続する第2観察直線(DOG2、DOD2)を算出する段階と、
S8)前記第1及び第2観察直線(DOG1、DOD1、DOG2、DOD2)が、前記対象者の頭部との関係において、互いに実質的に別個である構成を提示するかどうかを検証し、且つ、互いに別個である構成を提示しない場合には、段階S1〜S3又は段階S4〜S6を再度実行する段階と、
を更に含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
探索対象である位置の前記注目点は、前記対象者の眼の回転の中心(CROD、DROG)である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び第2画像をキャプチャする際に、眼は、相互の関係において既知である位置を具備した第1及び第2照準点(92、92、92、116)をそれぞれ見ており、前記対象者と関連付けられた前記基準フレーム内における前記対象者の眼の前記回転の中心(CROD、CROG)の位置は、前記照準点(92、92、92、16)の相対的な位置によっても算出され、且つ、前記第1及び第2姿勢及び前記第1及び第2照準点は、前記第1及び第2画像をキャプチャする際に、前記眼の注視の対応する方向が前記対象者の頭部と関連付けられた前記基準フレーム(O、X、Y、Z)内において別個であるようになっている請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つの姿勢及び2つの照準点は、前記画像が前記姿勢の中の1つにおいてキャプチャされている際には、前記眼の前記注視方向が遠見視力に対応し、且つ、前記画像が別の姿勢においてキャプチャされている際には、前記眼の前記注視方向が近見視力に対応するようになっている請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも、前記第1及び第2画像をキャプチャする際に、前記眼は、前記画像キャプチャ装置(90)の前記瞳孔との関係において既知の位置を具備する第1又は第2照準点(92)をそれぞれ見ており、且つ、
S10)前記画像キャプチャ装置(90)の前記入射瞳孔(95)との関係における第3相対姿勢(O3、X3、Y3、Z3)において前記対象者の頭部を配置する段階であって、前記第3相対姿勢は、前記第1及び第2相対姿勢と同一であるか又は別個であり、前記第3相対姿勢における前記眼は、前記画像キャプチャ装置(90)の前記瞳孔(95)との関係において既知であると共に前記対象者の頭部と関連付けられた前記基準フレーム(O、X、Y、Z)との関係において前記第1又は第2照準点(92)の位置とは別個である位置を具備する第3照準点(116)を見ている、段階と、
S11)前記第3相対姿勢(O3、X3、Y3、Z3)において、前記画像キャプチャ装置(90)によって前記眼の第3面画像をキャプチャする段階と、
S12)前記第3画像内において、前記眼の第3既定基準点(RCG2、RCD3)の画像を識別する段階と、
S13)前記眼の半径(ROG、ROD)を、前記眼の前記第1及び第2基準点(RCG1、RCD1、RCG2、RCD2)及び前記第3基準点(RCG3、RCD3)の前記画像と、前記姿勢パラメータの前記第1及び第2値(APIV1、APIV2)及び前記第3姿勢と関連する前記姿勢パラメータ(APIV)の第3値(APIV3)と、前記画像キャプチャ装置(90)の前記瞳孔(95)との関係における前記照準点(92、116)の前記既知の位置と、によって算出する段階と、
が実行され、
前記段階S10)、S11)、S12)の群は、前記段階の群S1)、S2)、S3)又は前記段階の群S4)、S5)、S6)の両方と別個であるか、或いは、前記段階の群の中の1つと一致する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記画像キャプチャ装置(90)の前記瞳孔(95)との関係における前記第1及び第2照準点(92、116)の前記位置は、別個である請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記画像キャプチャ装置(90)の前記瞳孔(95)との関係における前記第1及び第2照準点(92)の前記位置は、一致する請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記眼の前記第1基準点(RCG1、RCD1)は、前記眼の角膜上における第1光源(92)の反射であり、前記第1光源は、前記画像キャプチャ装置(90)の前記入射瞳孔(95)との関係において既知である第1位置を具備し、
前記眼の前記第2基準点(RCG2、RCD2)は、前記眼の前記角膜上における第2光源(116)の反射であり、前記第2光源は、前記第1光源とは別個であるか又はこれと一致し、且つ、前記画像キャプチャ装置(90)の前記入射瞳孔(95)との関係において既知である位置を具備し、且つ、
前記眼の前記注目点(CROD、CROG)の前記位置は、前記第1及び第2光源(92、116)の前記位置によっても算出される請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1及び第2画像をキャプチャする際に、前記眼は、前記第1及び第2光源(92、116)をそれぞれ見ており、これにより、前記第1及び第2照準点を構成する請求項6及び11に記載の方法。
【請求項13】
段階S9)において、前記眼の前記注目点(CROD、CROG)の前記位置を算出するべく、
前記眼の前記第1基準点(RCG1、RCD1)の前記画像から、並びに、前記姿勢パラメータの前記第1値(PASG1)から、前記画像キャプチャ装置(90)の前記瞳孔(95)と前記眼の前記第1基準点(RCG1、RCD1)を接続する第1観察直線(DOG1、DOD1)の、前記対象者の頭部の前記基準フレーム(O、X、Y、Z)内における、座標を推定するサブ段階と、
前記眼の前記第2基準点(RCG2、RCD2)の前記画像から、並びに、前記姿勢パラメータの前記第2値(PSAG2)から、前記画像キャプチャ装置の前記瞳孔(95)と前記眼の前記第2基準点(RCG2、RCD2)を接続する第2観察直線(DOD2、DOG2)の、前記対象者の頭部の前記基準フレーム内における、座標を推定するサブ段階と、
前記第1及び第2観察直線(DOG1、DOD1、DOD2、DOG2)の前記座標によって、前記対象者の頭部と関連付けられた前記基準フレーム内における前記対象者の眼の前記注目点の前記位置を算出するサブ段階と、
が実行される請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
探索対象である位置の前記注目点は、前記対象者の眼の前記回転の中心(CROG、CROD)であり、且つ、前記点の前記位置は、2つの観察直線(DOG1、DOD1、DOD2、DOG2)の交差点の位置として、或いは、前記直線が正確に交差しない場合には、前記観察直線が互いに最も近接する点として、算出される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの姿勢パラメータは、
前記画像キャプチャ装置と前記対象者の頭部の間の水平角度と、
前記画像キャプチャ装置と前記対象者の頭部の間の垂直角度と、
前記画像キャプチャ装置と前記対象者の頭部の間の距離と、
のパラメータの中の1つ又は複数を含む請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記眼の前記第1及び第2基準点は、
瞳孔又は虹彩の中心と、
眼角又は瞼の上端又は下端に隣接する強膜の点と、
の前記眼の点の中の1つによって構成された前記眼の単一の点において一致する請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記眼の前記第1及び第2基準点は、互いに別個である前記眼の点である請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
探索対象である位置の前記注目点は、
瞳孔又は虹彩の中心と、
眼角又は瞼の上端又は下端に隣接する強膜の点と、
の前記眼の点の中の1つを有する請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記眼の前記第1及び第2基準点は、探索対象である位置の前記眼の前記注目点と一致する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記画像の中の少なくとも1つをキャプチャする際に、前記対象者には、前記位置識別要素(60、70、80、700、800)がその上部に取り付けられた眼鏡フレームが装着され、且つ、前記位置識別要素の前記キャプチャ画像の前記計測された幾何学的特徴と、前記位置識別要素の前記既知の幾何学的特徴と、によって前記フレーム上に取り付けられたレンズの向きの少なくとも1つの成分が算出される請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
段階S1)及び段階S4)において、前記対象者の頭部は、前記対象者の頭部の回転の垂直軸(ART)との関係において前記画像キャプチャ装置(90)の前記瞳孔(95)の前記位置が、前記第1及び第2姿勢の間において、前記画像キャプチャ装置の光軸に対して垂直の方向において200mmを上回る横断方向の運動だけ、変更されないように、且つ、互いの関係において既知である異なる位置を具備する前記第1及び第2照準点をそれぞれ注視するべく、前記対象者は、少なくとも5度だけ、且つ、60度を上回らないように、前記第1及び第2姿勢の間において、前記回転の垂直軸を中心として、前記頭部を旋回させるように、前記第1及び第2相対姿勢において、前記画像キャプチャ装置(90)の前記入射瞳孔との関係において配置される請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−524011(P2010−524011A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500318(P2010−500318)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000412
【国際公開番号】WO2008/132356
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(504268065)エシロル アンテルナショナル(コンパーニュ ジェネラル ドプテーク) (16)
【Fターム(参考)】