説明

封入されたガラスケア活性塩を含む自動食器洗い洗剤組成物

自動食器洗い洗剤組成物は、(a)封入されたガラスケア活性塩と;(b)少なくとも1つの洗剤成分と;(c)任意に少なくとも1つの補助剤材料と;(d)残部の水とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗いの分野であり、特にガラス製品を洗浄及び保護するのに好適な食器洗い及び自動食器洗い製品、補助剤、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動食器洗い洗剤は、一般に認識される区別可能な分類の洗剤組成物を構成し、それら組成物の目的には、食品汚れを破壊及び除去すること;発泡性を抑制すること;視覚的に観測可能な染み付き及び被膜形成を最小限又は排除するために洗浄物品の濡れを促進すること;コーヒー及び紅茶のような飲料又はカロチノイド汚れのような野菜の汚れによって生じ得るような染みを除去すること;洗浄品表面への汚れ被膜の蓄積を抑制すること;並びに実質的にエッチング又は腐食することなく、ないしは別の方法でガラス類又は食器の表面を損傷することなく、皿類の曇りを低減又は排除することが含まれる。
【0003】
自動食器洗い器具の洗浄サイクル中でのガラス製品の腐食の問題は、長い間知られている。現在の見解では、ガラス製品の腐食の問題は2つの別々の現象によるものであるとされている。一方において、腐食は、明らかに、ケイ酸塩網状組織の加水分解に付随して起こるガラス組成物からの鉱物によるものである。他方では、ケイ酸塩物質がガラスから放出される。自動食器洗い器具における数回の洗浄の後、両方の現象によって、曇り、傷、及び筋のようなガラス製品への損傷が生じ得る。
【0004】
ガラス製品のケイ酸塩網状組織の溶解性は、9.5未満のpH値では非常に低いことが知られており、pHが上昇するにつれて増大する。施設及び家庭の自動食器洗い組成物では、強いアルカリ性溶液が生成され、食器、ガラス製品、及びその他の調理及び飲食器具を洗浄するのに使用される。通常の水道水は、こうした強いアルカリ性洗浄溶液を調製する際、また洗浄工程の後に洗浄物品をすすぐために使用され得る。しかし、欧州及び北米の一部(すなわち、軟水化装置のユーザー)の用途では、この水道水は、カルシウム及びマグネシウムのような硬いイオンを除去するために処理(軟化)されることが多く、結果として洗浄品上の硬水残留物が少なくなる。
【0005】
施設及び家庭の自動食器洗い組成物の性能における残念な欠点は、リン酸化される組成物(すなわち、無機リン酸塩のビルダー塩を含有する)及びリン酸化されない組成物の両方において、それらが特にガラス類及び皿類を攻撃する傾向にあることである。さらに、高いアルカリ性及び高濃度のビルダーが、ガラス製品の腐食作用を増大させる。そのため、ガラス製品の腐食の問題をさらに低減する上述の効果を与える代替の自動食器洗い組成物を開発することが必要とされ続けている。
【0006】
ガラス製品の腐食を低減する手法の1つは、ケイ酸塩を含む自動食器洗い組成物を提供することである。1つの手法では、二ケイ酸塩及びメタケイ酸塩の混合物を含む自動食器洗い組成物を提供することである。別の手法では、アルカリ金属二ケイ酸塩及びアルカリ金属シリコネート(siliconate)の縮合重合によって得られる有機鉱物シリコネート(organomineral siliconate)のコポリマーのような添加剤を自動食器洗い組成物に提供することである。別の手法では、対イオンとして、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム又はセリウムで部分的に置換されたアルカリ金属ケイ酸塩を含む自動食器洗い組成物を提供することである。しかし、食器洗い腐食を避けるために、特定のケイ酸塩又は変性ケイ酸塩を含む自動食器洗い組成物には、これらの溶液を適用可能な配合物の種類が限られている。特に、ガラス製品の腐食は、ケイ酸塩の低い安定性のためにその使用が制限されるような、低アルカリ性の組成物ではかなり激しいことがある。
【0007】
最近の別の手法では、金属塩、特にアルミニウムを使用することであり、ここで金属塩は、隔離されて金属塩隔離剤錯体、例えばアルミニウム(III)隔離剤錯体を形成する。1つの例では、遅い溶解性アルミニウム塩が隔離されて、アルミニウム(III)隔離剤錯体を形成し、それがケイ酸塩の非存在下で自動洗剤組成物にプレミックスとして添加される。こうした特定の塩は特定の速度で溶解するので、有用なアルミニウム(III)種の選択がかなり制限される。こうした手法の別の例は、アルミニウム/隔離剤プレミックスを形成するために特定pKa及びpHの選択を必要とする。しかし、こうしたアルミニウム/隔離剤プレミックスの配合物の実用性は制限される。別の例では、アルミニウム/隔離剤プレミックスは、洗剤組成物を形成するプロセスに追加の工程として加えられなければならないので、その商業用途での費用が増すことになる。別の手法では、速い溶解性アルミニウム塩が使用されるが、腐食は特にケイ酸塩を含まないアルカリ性自動食器洗い組成物にて生じるので、腐食を回避するためには、高アルカリ性製品にて約10重量%を超えるケイ酸塩と組み合わせなければならない。しかし、隔離プロセスは、複数のプロセス工程で構成され、pHの正確な調整を必要とするので複雑であり、アルミニウム/隔離剤錯体は、組成物の1%水溶液のpHが9である洗剤組成物に制限される。
【0008】
ガラス製品の腐食を低減するのにコスト的に有効で、簡便な手法は、ガラスケア活性塩、例えば硫酸アルミニウムのようなアルミニウム塩を自動食器洗い組成物に提供することである。しかし、この手法にはいくつかの欠点がある。例えば、ゲル洗剤において可溶性(又はわずかに可溶性)のガラスケア活性塩は、ゲル製品の凝集を生じ、それがまた特定の洗剤においては相分離を引き起こすこともある。これらの塩はまた、洗浄サイクルの間に漂白剤の邪魔をすることによって、茶、染みに関する洗浄性能を低減することがある。
【0009】
上記で開示された欠点を克服するための1つの方法は、封入によるものである。種々の材料及び方法が、粒子をコーティングするために使用できる。しかし、大部分の封入の試みは、漂白剤及び酵素封入を対象としてきた。特に漂白剤及び酵素粒子は、脂肪酸、ポリビニルアルコール又はポリエチレングリコールで単一コーティングされ得るか、又は40℃〜94℃の融点を有するパラフィン若しくは微晶性ワックスの内部コーティングと炭酸ナトリウムのような材料の第2のコーティングとを用いて二重コーティングされ得る。あるいは、二重コーティングされた封入漂白剤及び酵素粒子は、脂肪酸又はワックスの内部コーティング及び水溶性セルロースエーテルの外部コーティングを有していてもよい。漂白剤及び酵素粒子のための他の封入コーティングとしては、ポリマーラテックス;ポリカルボキシレート材料;50℃〜65℃の融点を有するポリエチレンワックス;及び種々のその他のワックスが挙げられる。漂白剤及び酵素粒子はまた、エチレンビニルアセテート、脂肪酸、天然ワックス、合成樹脂又は無機コーティングでコーティングされてもよい。例えば、漂白剤及び酵素粒子は、シリコーンオイル、ワセリン(石油ゼリー)又はアルコールワックスでコーティングされてもよい。洗浄組成物に使用される一部の前駆体粒子も、流動パラフィンワックス及びポリビニルアルコールで封入されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
驚くべきことに、特定のガラスケア活性塩を洗剤組成物中での溶解(又はそれらとの反応)から保護することによって、自動食器洗い器具の洗浄サイクル及び/又はすすぎサイクルの間に、良好なガラス製品腐食保護が達成できることを見出した。ゲルの凝集のような欠点を避けることができ、ガラスケア活性塩と洗剤成分との相互作用が、封入されたガラスケア活性塩を使用することによって液体、粉末及び錠剤にて、最小限にできる。封入されたガラスケア活性塩の放出は、使用される封入コーティングの種類によって遅延したり、順序付けることができる。故に、洗剤組成物においてガラスケア活性塩の放出を封入により順序付け及び/又は遅延させることによって、酸素漂白剤のような漂白剤は、ガラスケア活性塩が染みと反応する前に茶染みを除去するのに使用されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(a)組成物の約0.01重量%〜約70重量%のガラスケア活性塩と;(b)少なくとも1つの洗剤成分と;(c)任意に少なくとも1つの補助剤材料と;(d)残部の水とを含む自動食器洗い洗剤組成物が開示される。ガラスケア活性塩は、ガラスケア活性塩に少なくとも1つの封入コーティングを与える少なくとも1つの封入剤によって封入される。自動食器洗い洗剤組成物は、いずれの形態であってもよく、その形態としては、液体、液体ゲル、ゲル、ペースト、クリーム、顆粒状固体、粉末、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ガラス製品を腐食及び退色から保護する。自動食器洗い洗剤組成物と方法及びキットとの組み合わせも本明細書で開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(ガラスケア活性塩)
本明細書では、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ランタン、スズ、ガリウム、ストロンチウム、チタン、又はこれらの混合物のうち少なくとも1つを含む封入されたガラスケア活性塩(以降、「EGAS組成物」)を含む自動食器洗い洗剤組成物が開示される。本明細書では、都合の良い水溶性又は非水溶性ガラスケア活性塩が使用できる。ガラスケア活性塩は、コア粒子、コア粒子の集合体、プリル、粒塊、又はこれらの組み合わせの形態であってもよい。これらの形態は、処理の間に、そして消費者によって使用されるときに、取り扱いに関して非破砕性であってもよい。それらはまた、水溶性若しくは水分散性であってもよく、又は約40℃〜約50℃の温度範囲で、溶解、分散若しくは融解してもよい。
【0013】
ガラスケア活性塩は、一般に、いずれかの好適な量でEGAS組成物に導入されてもよい。一部の実施形態では、EGAS組成物は、洗浄液及び/又はすすぎ液に約0.1mM〜約10mM、約0.5mM〜約5mM、又は約1mM〜2mMのガラスケア活性塩又は錯体を送達してもよい。一部の実施形態では、ガラス製品の保護効果を達成するガラスケア活性塩の濃度は、組成物の約0.01重量%〜約70重量%の量であってもよい。
【0014】
1つの非限定実施形態では、EGAS組成物は、水溶性アルミニウム塩、非水溶性アルミニウム塩、わずかに水溶性のアルミニウム塩、又はこれらの混合物を含む封入されたアルミニウム塩を含んでもよい。
水溶性アルミニウム塩としては、アルミニウムアセテート、硫酸アンモニウムアルミニウム、塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化アルミニウム水和物、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジホーメート、アルミニウムホルムアセテート(formoacetate)、アルミニウムモノステアレート、アルミニウムラクテート、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムステアレート、アルミニウムタータラート、アルミニウムトルホーメート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。非水溶性又はわずかに水溶性のアルミニウム塩としては、アルミニウムアセチルアセトネート、臭化アルミニウム、アルミニウム−n−ブトキシド、フッ化アルミニウム、フッ化ケイ酸アルミニウム、アルミニウムオキシレート、酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムサリチラート、及びこれらの混合物が挙げられる。「遅い溶解性」アルミニウム塩という用語は、42℃で1分あたり0.56mM未満のアルミニウム(III)を生成する速度で溶解するアルミニウム塩のことを指す。遅い溶解性アルミニウム塩としては、アルミニウムステアレート、アルミニウムタータラート、アルミニウムアセテート、アルミニウムアセトターターラート、アルミニウムサリチラート、アルミニウムビス(アセチルサリチラート)、アルミニウムホーメート、アルミニウムオクトエート(octoate)、アルミニウムボレート、アルミニウムオレエート、アルミニウムパルミテート、アルミニウムアセチルアセトネート、リン酸アルミニウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
別の非限定実施形態では、EGAS組成物は、水溶性亜鉛塩、非水溶性亜鉛塩、わずかに水溶性の亜鉛塩、又はこれらの混合物を含む封入された亜鉛塩を含んでもよい。
水溶性亜鉛塩としては、臭素酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛クロロイオダイド(chloroiodide)、亜鉛ホーメート、亜鉛グルコネート、亜鉛ヒドロサルファイト、ヨウ化亜鉛、リンゴ酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硫酸亜鉛一水和物、スルファミン酸亜鉛、亜鉛チオシアネート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。より水溶性でない亜鉛塩としては、亜鉛バシトラシン、ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛(近似的にZn2(OH)2CO3)、フッ化亜鉛、亜鉛フルオロシリケート、水酸化亜鉛、亜鉛ラウレート、亜鉛モノホスフェート(Zn3(PO4)2)、亜鉛オキザラート、酸化亜鉛、過ホウ酸亜鉛、過酸化亜鉛、リン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛(Zn2(P2O7))、亜鉛レジネート、ケイ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫化亜鉛、ケイ酸ジルコニウム亜鉛、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
別の非限定実施形態では、EGAS組成物は、水溶性マグネシウム塩、非水溶性マグネシウム塩、わずかに水溶性のマグネシウム塩、又はこれらの混合物を含む封入されたマグネシウム塩を含んでもよい。
水溶性マグネシウム塩としては、マグネシウムアセテート、マグネシウムアセチルアセトネート、リン酸アンモニウムマグネシウム、マグネシウムベンゾエート、マグネシウムビホスフェート(biophosphate)、マグネシウムボレート、マグネシウムボロシトレート、臭素酸マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化カルシウムマグネシウム、塩素酸マグネシウム、塩化マグネシウム、マグネシウムシトレート、マグネシウムジクロメート、フッ化ケイ酸マグネシウム、マグネシウムホーメート、マグネシウムグルコネート、グリセロリン酸マグネシウム、マグネシウムラウリルサルフェート、硝酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、過マンガン酸マグネシウム、マグネシウムサリチラート、スズ酸マグネシウム、スズ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。より水溶性でないマグネシウム塩としては、炭酸マグネシウム、マグネシウムクロメート、フッ化マグネシウム、マグネシウムオレエート、マグネシウムパルミテート、過ホウ酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、マグネシウムピロホスフェート、マグネシウムシリケート、マグネシウムステアレート、硫化マグネシウム、マグネシウムトリシリケート、タングステン酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウムマグネシウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
別の非限定実施形態では、EGAS組成物は、水溶性カルシウム塩、非水溶性カルシウム塩、わずかに水溶性のカルシウム塩、又はこれらの混合物を含む封入されたカルシウム塩を含んでもよい。
水溶性カルシウム塩としては、カルシウムアセテート、カルシウムアセチルサリチレート、カルシウムアクリレート、カルシウムアスコルベート、カルシウムボレート、臭素酸カルシウム、臭化カルシウム、塩素酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウムシクラメート、カルシウムデヒドロアセテート、カルシウムジクロメート、エデト酸カルシウムニナトリウム、カルシウムエチルヘキソエート、カルシウムホーメート、カルシウムグルコネート、ヨウ素酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、過ホウ酸カルシウム、過塩素酸カルシウム、過マンガン酸カルシウム、カルシウムプロピオネート、カルシウムタータラート(tartate)、及びカルシウムチオシアネート(thiocynnate)、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。より水溶性でないカルシウム塩としては、カルシウムアルギネート、カルシウムビホスフェート(biophosphate)、炭酸カルシウム、カルシウムクロメート、カルシウムシトレート、フッ化カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、カルシウムヨードベヘネート(iodobehenate)、カルシウムヨードベヘネート、メタケイ酸カルシウム、カルシウムオレエート、カルシウムオキザラート、カルシウムパルミテート、リン酸カルシウム、カルシウムホスファイト、フィチン酸カルシウム、カルシウムピロホスフェート、カルシウムレジネート、カルシウムシリケート、カルシウムソルベート、カルシウムステアレート、カルシウムステアリラクチレート(steary lactyalate)、硫酸カルシウム、硫化カルシウム、チオグリコール酸カルシウム、タングステン酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウムカルシウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
あるいは、ランタン、スズ、ガリウム、ストロンチウム、チタン、及びこれらの組み合わせを含む水溶性又は非水溶性塩を使用してもよい。
【0018】
(封入剤)
本明細書に開示される封入剤は、ガラスケア活性塩のコア粒子、コア粒子の集合体、プリル、粒塊、及びこれらの混合物に、いずれかの好適な厚さで少なくとも1つの封入コーティングを与えることができる。少なくとも1つの封入コーティングは、いずれかの好適な厚さで、単一コーティング、複コーティング、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。封入剤としては、脂肪酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ビルダー、水溶性セルロース及び/又はセルロースエーテル、ポリマー、ポリマーラテックス;ポリカルボキシレート材料、エチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、融点50℃〜65℃のポリエチレンワックス、天然ワックス、40℃〜94℃の融点を有するパラフィン又は微晶性ワックス、流動パラフィンワックス、アルコールワックス、合成樹脂、シリコーンオイル、ワセリン(石油ゼリー)、無機コーティング、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
1つの非限定実施形態では、少なくとも1つの封入剤は、ポリマー、ポリマーラテックス、ポリカルボキシレート材料、エチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、又はこれらの混合物を含んでもよい。他の非限定実施形態では、EGAS組成物が顆粒状の固体、粉末、又はこれらの混合物の形態である場合、少なくとも1つの封入コーティングは、低臨界溶液温度ポリマーを実質的に含まない。例えば、低臨界溶液温度ポリマーとしては、アルキル化及び/又はヒドロキシアルキル化多糖類、セルロースエーテル、ポリイソプロピルアクリルアミド(polyisoproplylacrylamine)、ポリイソプロピルアクリルアミドのコポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。
【0020】
アルカリ性又は高度にアルカリ性の環境では、封入が、その放出前にガラスケア活性塩の化学的分解を低減する。封入されたガラスケア活性塩はまた、緩衝剤、漂白剤及びポリマーのような他の洗剤成分とガラスケア活性塩との相互作用を阻害することによって洗剤組成物に製品安定性を与える。例えば、ガラスケア活性塩は、洗剤組成物中の増粘剤(すなわち、ポリアクリレート)及び漂白剤と負の相互作用を行う。封入剤は、ガラスケア活性塩を囲む放出可能なコーティングを与えるように設計されるので、封入剤も放出機構も、EGAS組成物の種類又は形態について同じにする必要がない。それにもかかわらず、少なくとも1つの封入コーティングを含む封入されたガラスケア活性塩は、与えられる製品マトリックス(すなわち、液体、ゲル、及び/又は粉末)中で安定であるはずであり、さらに特定の活性物質放出機構によって誘引される際に少なくとも1つの封入コーティングの溶解及び/又は崩壊によってガラスケア活性塩の放出が可能になるように設計されるはずである。
【0021】
次の参照文献は、種々広範の封入方法及び材料を開示する;米国特許第5,824,630号;米国特許第5,783,541号;米国特許第5,776,874号;米国特許第5,747,438号;米国特許第6,462,012号;米国特許第6,440,918号;米国特許第6,432,902号;PCT国際公開特許WO02060998A2;PCT国際公開特許WO02060980A2;PCT国際公開特許WO02060758A1;PCT国際公開特許WO0242408A2;PCT国際公開特許WO0208373A1;PCT国際公開特許WO0188076A1;PCT国際公開特許WO0187360A3;PCT国際公開特許WO0183668A1;米国特許第6,207,632号;PCT国際公開特許WO0102529A1;PCT国際公開特許WO0063342A1;PCT国際公開特許WO0063341A1;PCT国際公開特許WO0063335A1;PCT国際公開特許WO0055288A1;PCT国際公開特許WO0050552A1;PCT国際公開特許WO0041522A3;米国特許第6,083,892号;PCT国際公開特許WO0034429A1;PCT国際公開特許WO0014298A1;PCT国際公開特許WO0006687A1;PCT国際公開特許WO9914303A1;PCT国際公開特許WO9903512A2;PCT国際公開特許WO9813451A1;PCT国際公開特許WO9813449A1;PCT国際公開特許WO9811190A1;PCT国際公開特許WO9811186A1。
【0022】
(活性物質放出機構)
封入されたガラスケア活性塩は、いかなるときでも、いかなる手段によっても、少なくとも1つの封入コーティングから放出されることができる。例えば、封入されたガラスケア活性塩は、洗浄が始まった後特定の時間に、特定のpHで、特定の洗浄液濃度で、又は特定の相若しくは活性が生じた後に放出されてもよい。ガラスケア活性塩の放出は、ガラスケア活性塩を囲む封入剤又はコーティングの溶解及び/又は崩壊によって達成されてもよい。ガラスケア活性塩の放出の遅延又は順序付けは、これらに限定されないが、時間、温度、硬度、界面張力、pH感応性、機械的作用、イオン強度、希釈、及びこれらの組み合わせを含む多数の放出機構によって誘引されることができる。
【0023】
(A.時間放出)
1つの非限定実施形態では、ガラスケア活性塩の放出機構は、時間放出によるものである。時間放出は、主に時間の関数として崩壊するコーティングに関連する。しかし、時間放出は、様々な主洗浄持続時間又は様々な洗浄温度を考慮しない。第2の外側コーティングを提供することで、ガラスケア活性塩の放出がさらに制御可能となる。
【0024】
(B.温度放出)
別の非限定実施形態では、ガラスケア活性塩は、自動食器洗い操作に共通の特定の温度又は温度範囲によって放出される。温度放出機構は、温かい主洗浄の間は損なわれないままであるが、冷すすぎの間に崩壊するコーティングを含んでもよい。米国特許第4,765,916号は、すすぎサイクルにて放出するように設計された袋の感応性を増大させることによる、複数のフィルム(例えば、PVAフィルムの層及びセルロースエーテルフィルムの層を含む)の使用を開示する。セルロースエーテル(例えば、HPMC、HBMC、及びこれらの混合物)を含むフィルムは、温度が上昇するにつれて水溶性が減少し、温かい主洗浄の間よりもすすぎ水に対してより溶解性になる。低洗浄温度での早期の溶解のために、温められるまでガラスケア活性塩の暴露を妨げる第2の外側コーティングを必要とする場合がある。
【0025】
(C.硬度放出)
別の非限定実施形態では、ガラスケア活性塩は、硬度の存在によって放出される。硬度放出機構は、ビルダー入り主洗浄では放出しないが、カルシウムを豊富に含むすすぎ水には放出するコーティングに関連する。軟水条件での低い崩壊性のために、ビルダーによって硬度が除去されるまでガラスケア活性塩の暴露を妨げる第2の外側コーティングを必要とする場合がある。
【0026】
(D.界面張力放出)
別の非限定実施形態では、ガラスケア活性塩は、界面活性剤の欠如又はより高い界面張力によって放出される。界面張力放出の機構は、より高い界面張力のすすぎの間に界面活性剤の欠如を感知し、溶解するコーティングに関連する。前洗浄サイクルの間の崩壊のために、界面活性剤が溶解し終わるまでガラスケア活性塩の暴露を妨げる第2の外側コーティングを必要とする場合がある。
【0027】
(E.機械的作用の放出)
別の非限定実施形態では、ガラスケア活性塩は、機械的作用によって放出される。機械的作用放出機構は、激しい水噴霧洗浄及び/又はすすぎサイクルの間に剪断するコーティングに関連する。すすぎサイクルの間の放出が所望される場合でも、少なくとも1つの封入コーティングが主洗浄の間に崩壊することがある。そのため、第2の外側コーティングを提供することで、主洗浄の間のガラスケア活性塩の暴露を妨げてもよい。
【0028】
(F.pH感応性放出)
別の非限定実施形態では、ガラスケア活性塩は、より低いpH又はpH変化によって放出される。pH感応性放出機構は、例えばアルカリ性主洗浄中では不溶性のままであるが、より低いpHのすすぎサイクルの間に崩壊し得るコーティングに関連する。2つの種類のpH感応性放出機構は、アミンプロトン化及びPVAホウ酸フィルムである。
【0029】
(1)アミンプロトン化によるpH感応性放出
1つの非限定実施形態では、ガラスケア活性塩は、アミンプロトン化を行うpH感応性材料を含む封入コーティングの溶解及び/又は崩壊によって放出されることができる。この分類のすすぎ感応性材料の背景にある共通の趣旨は、pH10で脱プロトン化するが、pH9ではプロトン化する(故に可溶性である)、特定pKaのアミン基を有する適切な化合物の選択である。
【0030】
【化1】

【0031】
(a)ペンダントアミン基を有するポリマーによるpH感応性放出
1つの非限定実施形態では、封入されたガラスケア活性塩は、ペンダントアミン基を有するポリマーを含むpH感応性材料を含む封入コーティングの溶解及び/又は崩壊によって放出されることができる。ペンダントアミン基を有する大抵のポリマーは、PVA又はポリカルボキシレート誘導体であり、エタノール溶液に適用される。日本特許番号49098403及び同50077406には、ペンダントアミン基を有するポリマーは、カルボン酸を含有するコーティングにおいて開示される。後の日本特許番号60141705、同61028440、同61028441、同61028598、同61028597、及び同61028596には、同様のポリマーが、カルボン酸の非存在下で使用された。
【0032】
市販のポリマーの例としては、ユドラギット(Eudragit)E(登録商標)及びAEAサンキョー(AEA Sankyo)(登録商標)が挙げられる。ユドラギット(Eudragit)E(登録商標)は、ローム・ファーマ社(Roehm Pharma GmbH)(ドイツ、ダムスタッド(Darmstadt))からの非生分解性ポリメタクリレートポリマーである。AEAサンキョー(AEA Sankyo)(登録商標)は、サンキョー(Sankyo Company Limited,)(日本、東京)からのトリアジン誘導体を含有する合成ポリマーである。ペンダントアミン基を有するこれらのポリマーは、水に崩壊又は溶解するように配合される。
【0033】
天然材料、キトサンも同様の特性を有することも開示された。
【0034】
【化2】

【0035】
(b)置換ポリアミン及びシッフ塩基材料
別の非限定実施形態では、封入されたガラスケア活性塩は、置換ポリアミン及びシッフ塩基材料を含むpH感応性材料を含む封入コーティングの溶解及び/又は崩壊によって放出される。
【0036】
最近の特許出願であるPCT国際公開特許WO0017311には、pH感応性フィルム中の放出活性物質として、N1−ヒドロキシエチル−N1,N2−ジメチル−N3−ドデシル−ジエチレントリアミンのようなポリアミン又はトリアミンの使用が開示されている。ドデシル基の存在は、材料の被膜形成特性を向上させることが開示されている。
【0037】
【化3】

同様の結果は、pH感応性基としてイミン官能性を利用して得られる。PCT国際公開特許WO0017311には、芳香族アミン及び脂肪族アルデヒドから得られるシッフ塩基材料が特に好適であることが開示されている。
【0038】
【化4】

【0039】
(2)pH及びボレート感応性−PVA/ホウ酸フィルム
別の非限定実施形態では、封入されたガラスケア活性塩は、PVA/ホウ酸フィルムを含むpH感応性材料及びボレート感応性材料を含む封入コーティングの溶解及び/又は崩壊によって放出される。ボレートとPVAとの錯体は、高pH及び高ボレート濃度で最も安定であり、すなわち(パーボレート又はその他のボレート源が存在する配合物において)前洗浄又は主洗浄とすすぎサイクルとを識別する2つの特性に感応性である。
【0040】
ホウ酸は、洗浄開始時における安定性を確実にするためにフィルムに導入されることができる。
【0041】
【化5】

PVA/ホウ酸フィルムは、米国特許第4,082,678号;及び同第4,801,636号及び同第4,972,017号に開示されている。
【0042】
(G.イオン強度感応性放出)
別の非限定実施形態では、ガラスケア活性塩は、イオン強度又はイオン強度における変化によって放出される。イオン強度放出機構は、特定のイオンよりむしろ、溶液中の電解質の全体濃度に感応性であるコーティングに関連する。第2の外側コーティングは、洗浄開始時に早期の溶解を妨げるために提供されてもよい。
【0043】
(1)イオン強度感応性ポリマー
(a)カリウムイオン感応性(κ−カラギーナンバイオポリマー(bipolymer))
別の非限定実施形態では、封入されたガラスケア活性塩は、κ−カラギーナンバイオポリマー(bipolymer)のようなイオン強度感応性ポリマーを含むイオン強度感応性材料を含む封入コーティングの溶解及び/又は崩壊によって放出される。バイオポリマーκ−カラギーナンは、カリウムイオンと安定な錯体を形成し、それによってこのイオン源を含有する配合物中ですすぎ感応性フィルムの一部として使用できる。例えば、PCT国際公開特許WO00/06683は、ポリマー−カリウム錯体の安定性が高温で改善され、少なくとも1つの封入コーティングが温かい主洗浄中で損なわれないことを確実にするのを助けることが開示されている。
【0044】
【化6】

【0045】
(2)一般的なイオン強度感応性(希釈)放出機構
別の非限定実施形態では、ガラスケア活性塩は、希釈によって放出される。希釈放出機構は、少なくとも1つの封入コーティングの一般的なイオン強度感応性に基づくコーティングの溶解に関連する。英国特許番号GB1390503は、濃縮された電解質溶液にて安定であるが、希釈時にイオン強度が低下すると可溶性になるコーティング材料を開示する。記述した出願は、洗剤組成物の保存の間は損なわれないままであるが、製品を使用するときに放出される漂白剤粒子コーティングに関するものである。開示されるコーティングポリマーは、一般に特定イオン又は電解質に感応性の材料を含む。例えば、コーティングポリマーとしては、種々の天然ゴム、ペクチン、セルロースエーテル、PVA、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
(洗剤成分)
EGAS組成物は、従来の洗剤成分を含むことができる。EGAS組成物は、一般にビルダー入りであるが、それらはビルダーなしであってもよく、アルカリ性源、ビルダー、界面活性剤、泡抑制剤、酵素、増粘剤、漂白系(すなわち、漂白剤及び触媒)、溶媒、湿潤剤、又はこれらの混合物を含んでもよい1つ以上の洗剤成分を含むことができる。
1つの非限定実施形態では、EGAS組成物は、アルカリ性源、ビルダー、界面活性剤、泡抑制剤、酵素、増粘剤、漂白系、補助剤材料、又はこれらの混合物のうち少なくとも1つを含む洗剤成分と封入されたガラスケア活性塩とを含むことができる。
【0047】
(アルカリ性源)
アルカリ性pHを与えるために、EGAS組成物は、いずれかの好適な量で、いずれかの好適なアルカリ性源を含有していてもよい。pHを、いずれかの好適なレベルに上昇してもよい。特定の実施形態では、アルカリ性源は、EGAS組成物のpHを1重量%水溶液中で少なくとも10.0まで、又は約10.5〜14の範囲に上昇してもよい。こうしたpHは、化学物質が使用される場合の汚れ除去及び沈殿物の破壊に十分であり、汚れの迅速な分散をさらに促進する。アルカリ性源の一般的特性は、相当量の水溶解性を有する化学組成物のみに限定される。アルカリ性源としては、アルカリ金属のケイ酸塩、水酸化物、リン酸塩、炭酸塩、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。アルカリ性源には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、及びこれらの組み合わせを含むアルカリ金属水酸化物を挙げることができる。
【0048】
これらの水酸化物種の混合物もまた用いることができる。アルカリ金属のケイ酸塩も、アルカリ性源として作用し得る。有用なアルカリ金属ケイ酸塩は、一般式(M2O:SiO2)に相当し、その際M2Oの各モルについて1モル未満のSiO2が存在する。SiO2の各モルについて、約0.2〜約100モルのM2Oであることができ、その際Mはナトリウム及び/又はカリウムを含む。他のアルカリ性源としては、アルカリ金属のオルトケイ酸塩、アルカリ金属のメタケイ酸塩、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0049】
1つの非限定実施形態では、アルカリ性源は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウム及び/若しくはカリウムの重炭酸塩、又はセスキ炭酸塩、ケイ酸塩、並びにこれらの混合物を含むことができるアルカリ金属炭酸塩であってもよい。別の非限定実施形態では、アルカリ性源は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及びこれらの混合物を含むことができる炭酸塩であってもよい。アルカリ性源は、EGAS組成物において、約0重量%〜約70重量%、又は約5重量%〜約40重量%、又は約10重量%〜約30重量%の濃度で使用されることができる。
【0050】
(ビルダー)
EGAS組成物に、いずれかの好適な量で、いずれかの好適なビルダーを提供してもよい。EGAS組成物に使用するのに好適なビルダーは、組成物の約1重量%〜約80重量%、又は約10重量%〜約70重量%、又は約20重量%〜約60重量%の濃度で存在してもよい。
【0051】
例えば、使用に好適なビルダーは以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:非晶質ケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸塩、マグネシオアルミノケイ酸塩(magnesioaluminosiliates)、アルカリ金属、リン酸塩、ポリリン酸塩(トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、及びガラス状のメタリン酸塩ポリマーで例示される)のアンモニウム塩及びアルカノールアンモニウム塩、ホスホン酸塩、フィチン酸、ケイ酸塩、炭酸塩(重炭酸塩、及びセスキ炭酸塩を含む)、硫酸塩、クエン酸塩、ゼオライト及び/又は層状ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属炭酸塩、ポリカルボン酸塩化合物、エーテルヒドロキシポリカルボン酸塩、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸の様々なアルカリ金属、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩、並びにメリト酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸のようなポリカルボン酸塩、及びそれらの可溶性塩、並びにクエン酸及びそれらの可溶性塩(特にナトリウム塩)のようなクエン酸ビルダー。
【0052】
1つの非限定実施形態では、ビルダーは、リン酸塩、リン酸塩オリゴマー又はポリマー及びそれらの塩、ケイ酸塩、ケイ酸塩オリゴマー又はポリマー及びそれらの塩、アルミノケイ酸塩、マグネシオアルミノケイ酸塩(magnesioaluminosiliates)、クエン酸塩、並びにこれらの混合物を含んでもよい。
【0053】
(酵素)
EGAS組成物に、いずれかの好適な量で、いずれかの好適な酵素を提供してもよい。使用に好適な酵素としては、加水分解酵素、例えばプロテアーゼ、アミラーゼ及びリパーゼが挙げられるが、これらに限定されない。改善された漂白剤適合性を有するアミラーゼ及び/又はプロテアーゼは、市販されている。
【0054】
EGAS組成物は、1つ以上の酵素を含んでもよい。一般には、本明細書に組み込まれる酵素には、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、及びこれらの混合物が挙げられ得る。ただ1つの酵素を使用する場合、それはデンプン分解酵素、タンパク質分解酵素及びデンプン分解酵素の混合物、並びにこれらの組み合わせであってもよい。他の種類の酵素も含まれてもよい。酵素は、植物、動物、細菌、真菌及び酵母起源のようないかなる好適な起源であってもよい。しかしながら、それらの選択は、pH活性及び/又は安定性の最適条件、熱安定性、活性洗剤に対する安定性などのようないくつかの要因によって決定される。細菌性アミラーゼ及びプロテアーゼ、並びに真菌性セルラーゼのような、細菌性又は真菌性の酵素も使用されてもよい。
【0055】
酵素は、「洗浄−有効量」を提供するのに十分な濃度で本発明の洗剤組成物中に組み込まれてもよい。「洗浄−有効量」という用語は、ガラス製品などのような基材に、洗浄、染みの除去、又は汚れの除去の効果を生み出すことができるいずれかの量を指す。酵素は触媒作用の物質であるため、こうした量は非常に少なくてもよい。
【0056】
現在市販の製剤の実際面では、典型的な量は、組成物のグラムあたりの酵素有効分は、重量で、約5mgまでであり、より典型的には約0.01mg〜約3mgである。プロテアーゼ酵素は、通常は組成物のグラムあたり0.005〜0.1アンソン単位(AU)の活性を提供するのに十分な濃度で、又は市販の酵素製剤の0.01重量%〜1重量%の濃度で、こうした市販製剤中に存在する。
【0057】
1つの非限定実施形態では、EGAS組成物は、組成物のグラムあたり重量で約5mgまでの酵素有効分を含み、ここで、酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、及びこれらの混合物を、組成物のグラムあたり0.005〜0.1アンソン単位(AU)の活性を提供するのに十分な濃度で、又は市販の酵素製剤の0.01重量%〜1重量%の濃度で含んでもよい。
【0058】
酵素含有EGAS組成物、特に液体ゲル及びゲル組成物は、約0.0001重量%〜約10重量%、又は約0.005重量%〜約8重量%、又は約0.01重量%〜約6重量%の酵素安定化系を含んでもよい。酵素安定化系は、洗浄性酵素と適合性があれば、いかなる安定化系であってもよい。こうした安定化系は、カルシウムイオン、ホウ酸、プロピレングリコール、短鎖カルボン酸、ボロン酸、及びこれらの混合物を含むことができる。
【0059】
自動食器洗いのために、送達される非触媒的活性物質の総量を最小にし、それにより染み付き/被膜形成の結果を改善するために、市販製剤の酵素有効分の含量を高めることが望ましい場合がある。
別の非限定実施形態では、EGAS組成物は、全組成物の約0.0001重量%〜約10重量%の酵素安定化系を含む。
【0060】
(界面活性剤)
EGAS組成物に、いずれかの好適な量で、いずれかの好適な界面活性剤を提供してもよい。自動食器洗いに用いるEGAS組成物及び方法において、洗剤界面活性剤は、それ自体でも又はその他の成分(すなわち泡抑制剤)との組み合わせにおいても、低発泡性界面活性剤であってもよい。食器洗いの前に汚れたガラス製品を洗浄するのに用いる本発明の組成物及び方法において、洗剤界面活性剤は、直接適用では発泡性界面活性剤であるが、自動食器洗いでの使用では低発泡性であってもよい。
【0061】
使用に好適な界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、例えばアルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルグリセリルスルホネート、アルキル及びアルケニルスルホネート、アルキルエトキシカルボキシレート、N−アシルサルコシネート、N−アシルタウレート及びアルキルサクシネート及びスルホサクシネート(ここで、前記アルキル、アルケニル若しくはアシル部分は、C5〜C20、又はC10〜C18直鎖若しくは分枝鎖である);カチオン性界面活性剤、例えば塩素エステル(米国特許第A−4228042号、米国特許第A−4239660号及び米国特許第A−4260529)及びモノC6〜C16N−アルキル又はアルケニルアンモニウム界面活性剤(ここで、前記残存N部分は、メチル、ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピル基で置換される);低及び高曇点非イオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物、例えば非イオン性アルコキシル化界面活性剤(特に、C6〜C18一級アルコールから得られるエトキシレート)、エトキシ化−プロポキシル化アルコール(例えば、オリン社(Olin Corporation)のポリタージェント(Poly-Tergent)(登録商標)SLF18)、エポキシ末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、オリン社(Olin Corporation)のポリタージェント(Poly-Tergent)(登録商標)SLF18B−PCT国際公開特許WOA−94/22800を参照)、エーテル末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤及びブロックポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリマー化合物、例えばBASF−ワイアンドット(BASF-Wyandotte Corp.)(ミシガン州ワイアンドット(Wyandotte))による、プルロニック(PLURONIC)(登録商標)、リバースド・プルッロニック(REVERSED PLURONIC)(登録商標)、及びテトロニック(TETRONIC)(登録商標);両性界面活性剤、例えばC12〜C20アルキルアミンオキシド(例えば、使用に好適なアミンオキシドとしては、ラウリルジメチルアミンオキシド及びヘキサデシルジメチルアミンオキシドが挙げられるが、これらに限定されない)、及びアルキルアンホカルボン酸界面活性剤、例えばミラノール(Miranol)(商標)C2M;及び双極性界面活性剤、例えばベタイン及びスルタイン;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。使用に好適な界面活性剤は、例えば米国特許第A−3,929,678号、米国特許第A−4,259,217号、EP特許番号A−0414 549、PCT国際公開特許WOA−93/08876及びPCT国際公開特許WOA−93/08874に開示されている。
【0062】
界面活性剤は、いずれかの濃度で存在してもよい。一部の実施形態では、界面活性剤は、組成物の約0重量%〜約50重量%、又は約0.5重量%〜約10重量%、又は約1重量%〜約5重量%で存在する。1つの非限定実施形態では、EGAS組成物は、約0重量%〜約30重量%の界面活性剤を含む。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両極性界面活性剤、双極性界面活性剤、及びこれらの混合物を含んでもよい。別の非限定実施形態では、界面活性剤は、約0.2重量%〜約30重量%の濃度で少なくとも1つのアニオン性及び非イオン性界面活性剤を含む。
【0063】
(泡抑制剤)
EGAS組成物に、いずれかの好適な量で、いずれかの好適な泡抑制剤を提供してもよい。使用に好適な泡抑制剤は低発泡性とすることができ、低曇点非イオン性界面活性剤及びより高発泡性界面活性剤と低曇点非イオン性界面活性剤(この場合、泡抑制剤として働く)との混合物が含まれる(PCT国際公開特許WO93/08876及びEP特許番号A−0705324を参照のこと)。
【0064】
泡抑制剤として作用する典型的な低曇点非イオン性界面活性剤には、非イオン性アルコキシル化界面活性剤、特に一級アルコールから得られるエトキシレート、及びポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(PO/EO/PO)リバースブロックポリマーが挙げられる。また、このような低曇点の非イオン性界面活性剤には、例えば、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、オリン社(Olin Corporation)のポリ−タージェント(POLY-TERGENT)(登録商標)SLF18)及びエポキシ末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、米国特許第A−5,576,281号に記述されているようなオリン社(Olin Corporation)のポリ−タージェント(POLY-TERGENT)(登録商標)SLF18Bシリーズの非イオン性物質)が挙げられる。
【0065】
使用に好適な低曇点界面活性剤は、次式を有するエーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)泡抑制剤であり:
【0066】
【化7】

式中、R1は平均約7〜約12個の炭素原子を有する直鎖アルキル炭化水素であり、R2は約1〜約4個の炭素原子の直鎖アルキル炭化水素であり、R3は約1〜約4個の炭素原子の直鎖アルキル炭化水素であり、xは約1〜約6の整数であり、yは約4〜約15の整数であり、zは約4〜約25の整数である。
【0067】
その他の低曇点非イオン性界面活性剤は、次式を有するエーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)であり:
IO(RIIO)nCH(CH3)ORIII
式中、RIは、約7〜約12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和、置換型又は非置換型、脂肪族又は芳香族の炭化水素ラジカルから成る群から選択され;RIIは同じものでも異なるものでもよく、いずれかの所与の分子における分枝鎖又は直鎖C2〜C7アルキレンから成る群から独立して選択され;nは1〜約30の数であり;RIIIは以下のものから成る群から選択される:
(i)1〜3個のヘテロ原子を含有する4〜8員の置換型又は非置換型複素環;及び
(ii)約1〜約30個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和、置換型又は非置換型、環式又は非環式の脂肪族又は芳香族の炭化水素ラジカル;
ただし、R2が(ii)である場合:(A)R1の少なくとも1つがC2〜C3アルキレン以外のものであるか;又は(B)R2が6〜30個の炭素原子を有することのどちらかであることを条件とし、さらにR2が8〜18個の炭素原子を有する場合、RがC1〜C5アルキル以外のものであることを条件とする。
【0068】
泡抑制剤は、いずれかの濃度で存在してもよい。一部の実施形態では、泡抑制剤は、組成物の約0重量%〜約30重量%、又は約0.2重量%〜約30重量%、又は約0.5重量%〜約10重量%、又は約1重量%〜約5重量%で存在する。1つの非限定実施形態では、EGAS組成物は、組成物の約0.2重量%〜約30重量%の低起泡性泡抑制剤を含む。
【0069】
(漂白系)
EGAS組成物に、いずれかの好適な量で、いずれかの好適な漂白剤又は漂白系を提供してもよい。使用に好適な漂白剤としては、塩素及び酸素漂白剤が挙げられるが、これらに限定されない。漂白剤としては、無機過水和物塩(例えば、過ホウ酸ナトリウム一水和物及び四水和物、並びに過炭酸ナトリウム、英国特許GB−A−1466799に開示されるように、サルフェート/カーボネートコーティングに制御された放出速度を提供するために任意にコーティングされていてもよい)、予備形成された有機過オキソ酸、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。漂白系は、塩素漂白剤、酸素漂白剤、有機過酸漂白剤前駆体、遷移金属含有漂白触媒(例えば、マンガン又はコバルトなど)、漂白活性化剤、及びこれらの混合物を含んでもよい。1つの非限定実施形態では、漂白系は、塩素漂白剤、酸素漂白剤、及びこれらの混合物を含む漂白剤;有機過酸漂白剤前駆体;遷移金属含有漂白触媒;漂白活性化剤;又はこれらの組み合わせを含む。
【0070】
過酸素漂白化合物は、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過ホウ酸ナトリウム四水和物、ピロリン酸ナトリウムペルオキシ水和物(peroxyhydrate)、尿素ペルオキシ水和物、過炭酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、及びこれらの混合物を含むいずれかの過酸化物源であることができる。別の非限定実施形態では、過酸素漂白化合物は、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過ホウ酸ナトリウム四水和物、過炭酸ナトリウム、及びこれらの混合物を含んでもよい。
【0071】
漂白剤又は漂白系は、いずれかの濃度で存在してもよい。一部の実施形態では、漂白剤又は漂白系は、組成物の約0重量%〜約30重量%、又は約1重量%〜約15重量%、又は約1重量%〜約10重量%、又は約2重量%〜約6重量%で存在する。別の非限定実施形態では、漂白剤又は漂白系は、組成物の約0重量%〜約15重量%の量で存在する。
【0072】
使用に好適な漂白触媒としては、0重量%〜約10重量%、又は0.1重量%〜1.0重量の濃度での、マンガントリアザシクロノナン及び関連錯体(米国特許第A−4246612号、米国特許第A−5227084号);Co、Cu、Mn及びFeビスピリジルアミン並びに関連錯体(米国特許第A−5114611号);並びにペンタアミンアセテートコバルト(III)及び関連錯体(米国特許第A−4810410号)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
使用に好適な典型的な漂白活性化剤としては、約0重量%〜約10重量%;又は0.1重量%〜1.0重量%の濃度での、過オキソ酸漂白剤前駆体、過安息香酸及び置換過安息香酸の前駆体;カチオン性過オキソ酸前駆体;過酢酸前駆体、例えばTAED、アセトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム及びペンタアセチルグルコース;過ノナン酸前駆体、例えば3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(イソ−NOBS)及びノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(NOBS);アミド置換されたアルキル過オキソ酸前駆体(EP−A−0170386);並びにベンゾオキサジン過オキソ酸前駆体(EP−A−0332294及びEP−A−0482807)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
その他の漂白活性化剤は、置換ベンゾイルカプロラクタム漂白活性化剤、並びに漂白系及び洗剤におけるそれらの使用を含む。置換ベンゾイルカプロラクタムは次式を有する:
【0075】
【化8】

式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は、1〜12個の炭素原子、又は1〜6個の炭素原子を含有し、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルコキシアリール、アルカリール、アルカリールオキシ、及び次の構造を有するものから成る群から選択される:
【0076】
【化9】

式中、R6は、H、アルキル、アルカリール、アルコキシ、アルコキシアリール、アルカリールオキシ、及びアミノアルキルから成る群から選択され;XはO、NH、又はNR7であり、その際、R7はH、又はC1〜C4アルキル基であり;R8は3〜11個の炭素原子を含有するアルキル、シクロアルキル、又はアリール基である;ただし、少なくとも1つのR置換基はHでないことを条件とする。
【0077】
非限定的な実施形態では、R1、R2、R3、及びR4はHであり、R5はメチル、メトキシ、エチル、エトキシ、プロピル、プロポキシ、イソプロピル、イソプロポキシ、ブチル、t−ブチル、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチル、ペントキシ、ヘキシル、ヘキソキシ、Cl、及びNO3から成る群から選択される。別の非限定実施形態では、R1、R2、R3はHであり、R4及びR5はメチル、メトキシ、及びClから成る群から選択される。
【0078】
1つの非限定的な実施形態では、漂白系はa)水溶液中に過酸化水素を生成することができる約0重量%〜約15重量%、又は約2重量%〜約6重量%の過酸素漂白化合物;b)約0重量%〜約1.0重量%の、次式を有する1以上の置換ベンゾイルカプロラクタム漂白活性化剤を含み:
【0079】
【化10】

式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は上記で定義した通りである。
【0080】
別の非限定実施形態では、漂白系は、漂白剤、漂白触媒、漂白活性化剤、及びこれらの混合物を含む。さらに別の非限定実施形態では、EGAS組成物は、組成物全体の約0重量%〜約15重量%、又は約1重量%〜約10重量%、又は約2重量%〜約6重量%の量で漂白系を含む。
【0081】
(添加物質)
EGAS組成物に、いずれかの好適な量で、いずれかの好適な補助剤材料を提供してもよい。1つの非限定実施形態では、EGAS組成物は、ナトリウム系抗腐食剤(例えば、ケイ酸ナトリウム)、向水性物質(ヒドロトロープ)(例えば、ナトリウムクメンサルフェート)、崩壊剤、着色剤(すなわち、染料、カラースペックル(color speckles)、及び顔料)、再付着防止剤、フリーラジカル阻害物質、ポリマー、汚れ放出剤、被膜形成防止剤、抗染み付き剤(anti-spotting agents)、向水性物質(ヒドロトロープ)、殺菌剤、殺真菌剤、漂白剤スカベンジャー、一般的な食器ケア剤、及びこれらの混合物を含む1つ以上の補助剤材料を含むことができる。
【0082】
(製品形態)
EGAS組成物は、種々の製品形態で使用されてもよく、その形態としては、液体、顆粒状固体、粉末、液体ゲル、ゲル、ペースト、クリーム、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。1つの非限定実施形態では、EGAS組成物は、ゲル凝集することなく、洗浄に有効量の封入されたガラスケア活性塩を送達するために、ゲルとして配合されてもよい。別の非限定実施形態では、封入されたガラスケア活性塩を含むEGAS組成物は、すすぎサイクルまでガラスケア活性塩の放出を遅延するように設計されることができる。
【0083】
いずれかの物理的形態、例えば、粉末、液体、ペースト、クリーム、ゲル、液体ゲル、及びこれらの組み合わせのEGAS組成物は、水溶性又は水分散性袋、及びこれらの組み合わせに包装されて、ガラスケア活性塩を送達してもよい。EGAS組成物は、単回用量の形態であることができ、それが、自動食器洗い器具の洗浄サイクル及び/又はすすぎサイクルの間に、ガラスケア活性塩の制御された放出(例えば、遅延された、継続させた、誘引された、又は持続放出)を可能にする。
【0084】
単一及び複数区画の水溶性袋は、使用に好適な場合がある。追加及び複数区画の製品の場合、EGAS組成物は、同じ物理形態である必要はない。別の非限定実施形態では、EGAS組成物は、非封入されたガラスケア活性塩/漂白剤相互作用を有する洗剤組成物に共通の関連する染み除去の欠点を持たずに、漂白系を使用するために複数区画の袋にて配合されてもよい。
【0085】
さらに別の実施形態では、使用に好適なEGAS組成物は、好適ないかなる装置、例えば、ボトル(ポンプ付きボトル、スクイーズボトル)、ペーストディスペンサー、カプセル、複数区画のボトル、複数区画のカプセル、並びに単一及び複数区画の水溶性袋、並びにこれらの組み合わせからも分配することができる。
別の非限定実施形態では、EGAS組成物は、単回用量の形態であることができ、それが、自動食器洗い器具の洗浄サイクル及び/又はすすぎサイクルの間に、ガラスケア活性塩の制御された放出(例えば、遅延された、継続させた、誘引された、又は持続放出)を可能にする。単回用量形態では、EGAS組成物は、顆粒状固体、粉末、液体、液体−ゲル、ゲル、ペースト、クリーム、又はこれらの組み合わせであってもよく、錠剤として提供されてもよく、単一又は複数区画の水溶性袋又はこれらの組み合わせに含有されてもよい。
【0086】
(使用方法)
1つの実施形態では、汚れたガラス製品を洗浄する方法は、(a)アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ランタン、スズ、ガリウム、ストロンチウム、チタン、又はこれらの混合物のうち少なくとも1つを含む封入されたガラスケア活性塩;(b)アルカリ性源、ビルダー、界面活性剤、泡抑制剤、酵素、増粘剤、漂白系、溶媒、湿潤剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの洗剤成分;(c)任意の補助剤材料;並びに(d)残部の水を含むEGAS組成物を用いて自動食器洗い機でガラス製品を洗浄することを含んでもよい。自動食器洗い洗剤組成物は、いずれの形態で存在してもよく、その形態としては、液体、液体ゲル、ゲル、ペースト、クリーム、顆粒状固体、粉末、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。EGAS組成物は、洗浄サイクル及び/又はすすぎサイクルに約0.1mM〜約10mM、約0.5mM〜約5mM、又は約1mM〜2mMのガラスケア活性塩又は錯体を送達してもよい。ガラスケア活性塩は、コア粒子、コア粒子の集合体、プリル、粒塊、若しくはこれらの組み合わせの形態であってもよく、非破砕性、水溶性若しくは水分散性であり、又は約40〜約50℃の温度範囲で溶解、分散、若しくは溶融する。
【0087】
(キット)
1つの実施形態では、キットは、(a)包装と、(b)使用説明書と、(c)(i)アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ランタン、スズ、ガリウム、ストロンチウム、チタン、又はこれらの混合物のうち少なくとも1つを含む封入されたガラスケア活性塩;(ii)アルカリ性源、ビルダー、界面活性剤、酵素、増粘剤、漂白系、溶媒、湿潤剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの洗剤成分;(iii)任意の補助剤材料;並びに(iv)残部の水を含む、自動食器洗いに使用するのに好適なEGAS組成物とを含んでもよい。EGAS組成物は、洗浄サイクル及び/又はすすぎサイクルに約0.1mM〜約10mM、約0.5mM〜約5mM、又は約1mM〜2mMのガラスケア活性塩錯体を送達してもよい。ガラスケア活性塩は、コア粒子、コア粒子の集合体、プリル、粒塊、若しくはこれらの組み合わせの形態であってもよく、非破砕性、水溶性若しくは水分散性であり、又は約40℃〜約50℃の温度範囲で溶解、分散、若しくは溶融する。EGAS組成物は、顆粒状粉末、液体、液体−ゲル、及び/又はゲルであってもよく、錠剤として提供されてもよく、単一又は複数区画の水溶性袋又はこれらの組み合わせに含有されてもよい。
【0088】
当業者が本発明を作製及び使用できるように、また特定の用途及びその要件との関連において、上述の説明を提供することができる。実施形態の種々の改良は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義された一般的原則は、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく他の実施形態及び用途に適用され得る。本発明の可能な実施形態は、示される実施形態に限定されることを意図しない。故に、以下に続く特定の実施形態は、本発明の作用を例示することのみを意図し、制限することを意図しないので、本発明は、本明細書に開示される原則、特徴、及び教示と一致する最も広い範囲と一致する。
【0089】
本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それよりも低いあらゆる数値限定も本明細書に明確に記載されたものとして含まれることを理解されたい。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定も、本明細書に明確に記載されたものとして包含する。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる数値範囲は、より広い数値範囲内にあるあらゆるより狭い数値範囲も、すべて本明細書に明確に記載されたものとして包含する。
関連部分において引用されたすべての文書は、本明細書に参考として組み込まれるものの、いずれの文書の引用も、本発明に関する先行技術となり得ると認めるものとして解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動食器洗い洗剤組成物であって:
a)前記組成物の0.01重量%〜70重量%のガラスケア活性塩と;
b)少なくとも1つの洗剤成分と;
c)任意に少なくとも1つの補助剤材料と;
d)残部の水と;
を含むことを特徴とし、ここで前記組成物が、液体、液体ゲル、ゲル、ペースト、クリーム、又はこれらの混合物の形態であり;ここで前記ガラスケア活性塩が、少なくとも1つの封入コーティングを前記ガラスケア活性塩に与える少なくとも1つの封入剤を介して封入される組成物。
【請求項2】
前記ガラスケア活性塩が、コア粒子、コア粒子の集合体、プリル、粒塊、及びこれらの混合物の形態であり、非破砕性、水溶性若しくは水分散性であり、又は40℃〜50℃の温度範囲で溶解、分散、若しくは融解する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ガラスケア活性塩の洗浄液及び/又はすすぎ液への放出が、前記少なくとも1つの封入コーティングの溶解又は崩壊によって誘引される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記液体組成物が、0.1mM〜10mMの前記ガラスケア活性塩又は錯体を、前記洗浄液及び/又はすすぎ液に送達する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ガラスケア活性塩が、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ランタン、スズ、ガリウム、ストロンチウム、チタン、又はこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ガラスケア活性塩が、水溶性アルミニウム塩、非水溶性アルミニウム塩、わずかに水溶性のアルミニウム塩、水溶性亜鉛塩、非水溶性亜鉛、わずかに水溶性の亜鉛塩、水溶性マグネシウム塩、非水溶性マグネシウム塩、わずかに水溶性のマグネシウム塩、水溶性カルシウム塩、非水溶性カルシウム塩、わすかに水溶性のカルシウム塩、又はこれらの混合物のうち少なくとも1つを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの洗剤成分が、アルカリ性源、ビルダー、界面活性剤、泡抑制剤、酵素、増粘剤、漂白系、補助剤材料、又はこれらの混合物のうち少なくとも1つを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記漂白系が、塩素漂白剤、酸素漂白剤、及びこれらの混合物のうち少なくとも1つを含む漂白剤、有機過酸漂白剤前駆体、遷移金属含有漂白触媒、漂白活性化剤、又はこれらの混合物のうち少なくとも1つを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの封入コーティングの溶解又は崩壊が、時間、温度、硬度、界面張力、pH感応性、機械的作用、イオン強度、希釈、又はこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを介して誘引される放出機構によって生じる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つの封入剤が、脂肪酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ビルダー、水溶性セルロース及び/又はセルロースエーテル、ポリマー、ポリマーラテックス;ポリカルボキシレート材料、エチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、融点50℃〜65℃のポリエチレンワックス、天然ワックス、40℃〜94℃の融点を有するパラフィン又は微晶性ワックス、流動パラフィンワックス、アルコールワックス、合成樹脂、シリコーンオイル、ワセリン(石油ゼリー)、無機コーティング、又はこれらの混合物のうち少なくとも1つを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つの封入剤が、ポリマー、ポリマーラテックス、ポリカルボキシレート材料、エチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、又はこれらの混合物のうち少なくとも1つを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリマーが、天然ゴム、ペクチン、セルロースエーテル、PVA、又はこれらの混合物のうち少なくとも1つを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記封入コーティングが、低臨界溶液温度ポリマーを実質的に含まず、前記少なくとも1つの封入剤が、非低臨界溶液ポリマー、ポリマーラテックス、ポリカルボキシレート材料、エチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、及びこれらの混合物のうち少なくとも1つを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記封入コーティングが、アルキル化及び/又はヒドロキシアルキル化多糖類、セルロースエーテル、ポリイソプロピルアクリルアミン(polyisoproplylacrylamine)、ポリイソプロピルアクリルアミドのコポリマー、及びこれらの混合物を実質的に含まない非低臨界溶液ポリマーである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、前記自動食器洗い器具の洗浄サイクル及び/又はすすぎサイクルの間に、前記封入されたガラスケア活性塩の制御された放出を可能にする単回用量の形態であり;ここで前記単回用量が、単一又は複数区画の水溶性袋として提供される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
ガラス製品を洗浄及び保護する方法であって、自動食器洗い機において前記ガラス製品を、請求項1〜15のいずれか1項に記載の自動食器洗い洗剤組成物を用いて洗浄する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
汚れたガラス製品を洗浄する方法であって:
(a)アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ランタン、スズ、ガリウム、ストロンチウム、チタン、及びこれらの組み合わせを含む封入されたガラスケア活性塩と;
(b)アルカリ性源、ビルダー、界面活性剤、泡抑制剤、酵素、増粘剤、漂白系、溶媒、湿潤剤、及びこれらの混合物を含む少なくとも1つの洗剤成分と;
(c)ナトリウム系抗腐食剤、向水性物質(ヒドロトロープ)、崩壊剤、着色剤、再付着防止剤、フリーラジカル阻害物質、ポリマー、汚れ放出剤、被膜形成防止剤、染み付き防止剤(anti-spotting agents)、向水性物質(ヒドロトロープ)、殺菌剤、殺真菌剤、漂白スカベンジャー、一般的な食器ケア剤、及びこれらの混合物を含む補助剤材料と;
(d)残部の水と
を含む自動食器洗い洗剤組成物を用いて、自動食器洗い機にて前記ガラス製品を洗浄する工程を含むことを特徴とし;前記組成物が、液体、液体ゲル、ゲル、ペースト、クリーム、及びこれらの混合物の形態である方法。
【請求項18】
ガラス製品を洗浄及び保護する方法であって:
(a)アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ランタン、スズ、ガリウム、ストロンチウム、チタン、及びこれらの組み合わせを含む封入されたガラスケア活性塩と;
(b)アルカリ性源、ビルダー、界面活性剤、泡抑制剤、酵素、増粘剤、漂白系、溶媒、湿潤剤、及びこれらの混合物を含む少なくとも1つの洗剤成分と;
(c)ナトリウム系抗腐食剤、向水性物質(ヒドロトロープ)、崩壊剤、着色剤、再付着防止剤、フリーラジカル阻害物質、ポリマー、汚れ放出剤、被膜形成防止剤、染み付き防止剤、向水性物質(ヒドロトロープ)、殺菌剤、殺真菌剤、漂白スカベンジャー、一般的な食器ケア剤、及びこれらの混合物を含む補助剤材料と;
(d)残部の水と
を含む自動食器洗い洗剤組成物を用いて、自動食器洗い機にて前記ガラス製品を洗浄する工程を含むことを特徴とし;ここで前記組成物が、顆粒状固体、粉末、及びこれらの混合物の形態であり;ここで前記ガラスケア活性塩が、少なくとも1つの封入コーティングを前記ガラスケア活性塩に与える少なくとも1つの封入剤によって封入され;ここで前記封入コーティングが、低臨界溶液温度ポリマーを実質的に含まない方法。
【請求項19】
(a)包装と;
(b)使用説明書と;
(c)(i)アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ランタン、スズ、ガリウム、ストロンチウム、チタン、及びこれらの組み合わせを含む封入されたガラスケア活性塩;
(ii)アルカリ性源、ビルダー、界面活性剤、酵素、増粘剤、漂白系、溶媒、湿潤剤、及びこれらの混合物を含む少なくとも1つの洗剤成分;
(iii)任意に補助剤材料;並びに
(iv)残部の水と
を含む自動食器洗い洗剤組成物と
を含むことを特徴とするキットであって、ここで前記組成物が、洗浄サイクル及び/又はすすぎサイクルに0.1mM〜10mMの前記ガラスケア活性塩又は錯体を送達し;ここで前記組成物が、顆粒状固体、粉末、液体、液体ゲル、ゲル、及びこれらの混合物であり;ここで前記組成物が任意に、錠剤として提供されるか又は単一若しくは複数区画の水溶性袋に含有され;ここで前記組成物が顆粒状固体又は粉末である場合、前記固体組成物が、低臨界溶液温度ポリマーを実質的に含まないキット。

【公表番号】特表2006−505682(P2006−505682A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553766(P2004−553766)
【出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/036586
【国際公開番号】WO2004/046299
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】