説明

封入球式遊技機

【課題】遊技球に付着しているごみなどを効率よく除去することが可能な封入球式遊技機を提供する。
【解決手段】封入球式遊技機100は、回収された遊技球を上方へ揚送する揚送装置220と、揚送装置220により揚送される遊技球を磨く球磨き装置250と、揚送装置220により揚送される遊技球の静電気を除去する静電気除去部材272と、を備え、静電気除去部材272は、揚送装置220により揚送が開始された遊技球が球磨き装置250で磨かれる前に当該遊技球の静電気を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射装置から発射された遊技球を回収し、該回収した遊技球を再び該発射装置に供給することで遊技球を循環使用する封入球式遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機内に所定数の遊技球を封入し、発射位置(発射装置)から遊技領域に遊技球を発射し、遊技領域を流下した遊技球を回収して再び発射位置に導いて遊技球を循環使用する封入球式遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−204882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の封入球式遊技機においては、一つの遊技球を繰り返して遊技に使用するため、遊技球が汚れたりごみ等が付着したりする可能性が高く、その汚れやごみ等が循環経路内での球詰まりや発射する遊技球のむら飛び等の原因となっている。
本発明の目的は、遊技球に付着しているごみなどを効率よく除去することが可能な封入球式遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、発射装置から遊技領域に発射された遊技球を回収し、該回収した遊技球を再び該発射装置に供給することで遊技球を循環使用する封入球式遊技機において、
前記回収された遊技球を上方へ揚送する揚送装置と、
前記揚送装置により揚送される遊技球を磨く球磨き装置と、
前記揚送装置により揚送される遊技球の静電気を除去する静電気除去部材と、を備え、
前記静電気除去部材は、前記揚送装置により揚送が開始された遊技球が前記球磨き装置で磨かれる前に当該遊技球の静電気を除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、遊技球に付着しているごみなどを効率よく除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明を適用した一実施の形態の構成を示す封入球式遊技機のクリア部材保持枠、発射操作ユニットを取り外した状態の正面図である。
【図2】封入球式遊技機の裏面図であって、制御装置の一部を取り外した状態を示す図である。
【図3】封入球式遊技機の裏面図である。
【図4】封入球循環装置の裏面図である。
【図5】封入球循環装置の裏面側から見た斜視図である。
【図6】封入球循環装置の前面側から見た斜視図である。
【図7】封入球循環装置の裏面側から見た分解斜視図である。
【図8】流路ユニットと静電気除去手段の裏面側から見た斜視図である。
【図9】流路ユニットの前面側から見た斜視図である。
【図10】流路ユニットと静電気除去手段の裏面側から見た分解斜視図である。
【図11】流路ユニットと静電気除去手段の前面側から見た分解斜視図である。
【図12】流路ユニットと静電気除去手段の前面側から見た分解斜視図である。
【図13】静電気除去手段の前面側から見た斜視図である。
【図14】揚送装置の裏面図である。
【図15】揚送装置の裏面図であって、下部誘導部、揚送部、上部誘導部を図示したものである。
【図16】揚送装置の裏面側から見た斜視図である。
【図17】動力伝達装置を示す図である。
【図18】動力制御手段を説明するための図であって、(a)係合部の傾斜部と被係合部が当接した状態を示す図、(b)係合部が被係合部の上側に位置する状態を示す図、(c)係合部の係合段部と被係合部が係合した状態を示す図である。
【図19】球磨き装置の裏面図である。
【図20】球磨き装置の正面図である。
【図21】球磨き装置の前面側から見た分解斜視図である。
【図22】撓み防止手段の前面側から見た斜視図である。
【図23】撓み防止手段、押圧手段、巻き取り手段の側面から見た図であって、遊技機の使用時の状態を示す図である。
【図24】撓み防止手段、押圧手段、巻き取り手段の側面から見た図であって、球磨き部材の巻き取り時の状態を示す図である。
【図25】巻き取りリールの分解斜視図である。
【図26】巻き取りリールと係合部の側面図であって、球磨き装置の使用時における状態を示す図である。
【図27】巻き取りリールと係合部の側面図であって、球磨き装置の使用時とは逆向きにした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の遊技機は、本発明をパチンコ遊技機としての封入球式遊技機に応用したものであり、例えば、遊技内容等は、従来のパチンコ遊技機と同様とすることが可能となっていると共に、外形等のサイズも同様となっており、パチンコ遊技店の現状の島設備に設置可能となっているが、島設備の球供給機構や球排出機構を用いることがないものとなっている。すなわち、封入球式遊技機は、予め封入された遊技球を用いる。また、封入球式遊技機は、例えば、台間機(球貸機)等への現金の投入等により発生する遊技価値情報(例えば、金額情報)を入力され、遊技価値情報を遊技に使用可能な遊技球数(遊技媒体数)である持球数のデータに変換し、このデータに対応して封入された遊技球を遊技領域に発射可能とし、遊技球を発射すると発射された遊技球数に対応して持球数のデータを減算するようになっている。また、発射された遊技球が各種入賞口や変動入賞装置等の入賞具に入賞して賞球(遊技球)が発生した場合は、実際の遊技球を払い出すことなく、前記持球数のデータに賞球数が加算されるようになっている。また、持球数のデータが0となると、遊技球の発射ができない状態となる。この状態で遊技価値情報としての金額情報や貯球された遊技媒体数の情報等を遊技媒体数のデータに変換すると、持球数のデータに変換された遊技媒体数のデータが加算され、再び遊技球の発射が可能となる。
【0009】
すなわち、封入球式遊技機は、遊技者の保有する持球数により遊技可能になり、前記発射により持球数から減算処理し、遊技球の入賞により持球数に加算処理するものである。また、発射された遊技球は、遊技領域に至って一部は、入賞領域に入賞して遊技盤の裏面側に導かれてセーフ球として回収されると共に、残りの入賞しなかった遊技球はアウト球として回収され、これら回収された遊技球が循環流路を通って再び発射可能な状態となるようになっており、遊技球は封入球式遊技機内で循環するようになっている。また、ファールとなった遊技球も循環流路に回収されると共に、ファールとなった遊技球は遊技に係わることなく(入賞の機会を得ることなく)、回収されて再び発射可能とされるので、ファール球の発生に基づき、遊技価値情報の持球数のデータにファール球数が加算される。
【0010】
よって、封入球式遊技機では、出球数、入球数、差球数、持球数等は、実際の遊技球の個数ではなく、データ上の数値となる。すなわち、実際に使用される遊技球は、循環使用される限られた所定数(例えば、35個)しかなく、例えば、遊技領域に発射される遊技球を検知してカウントした発射球数、発射されたが戻ってしまった遊技球を検知してカウントしたファール球数、遊技領域に発射されて回収された遊技球を検知してカウントした回収球数、入賞した場合の賞球数、遊技店から借りた球貸数等の数値から入球数、出球数、差球数、持球数が得られる。
【0011】
なお、遊技領域を覆うクリア部材保持枠を開放して遊技球が外に出てしまう等のトラブルがない限り、発射球数=ファール球数+回収球数(回収球数がファール球数を含まない場合)となる。そして、入球数=回収球数=発射球数−ファール球数となり、出球数=賞球数=入球数−球貸数(再プレイ球数)+持球数となり、持球数=球貸数(もしくは再プレイ球数)+出球数−入球数、入球数−出球数=差球数、持球数=球貸数(もしくは再プレイ球数)−差球数となる。以上のように封入球式遊技機による遊技は、完全にデータ上の数値として行われることになり、遊技球をこぼしたり、遊技球を下皿や上皿に残したりすることによる誤差が生じることがなく、整数単位で確実に管理可能となる。
【0012】
図1から3に示すように、本実施形態の封入球式遊技機100は、矩形枠状に構成された本体枠110と、該本体枠110に回動可能に軸支された矩形状の前面枠120を備える。この矩形枠状の本体枠110は、前面側から見た左側の一辺が金属製とされ、その他の辺は木製となっている。これによって、前面側から見て左側の一辺においては、強度を保ったまま厚みを薄くできるようになっている。また、本体枠における前面側から見た左側の部分には、前面枠120を回動可能に軸支し、扉状に開閉自在とする金属製のヒンジ部111,111が設けられている。なお、本体枠110の金属製の部分とヒンジ部111,111は電気的に接続するようになっている。
【0013】
前面枠120は、当該前面枠120に備えられる各種部材等の取付用のベースとなる前面枠本体130と、当該前面枠本体130に対して、その前面側に回動可能に軸支されたクリア部材保持枠(図示略)と、前面枠本体130の前面のクリア部材保持枠の下側に取り付けられた発射操作ユニット(図示略)とを有する。
【0014】
前面枠本体130は、矩形枠状の本体枠110の前面側をちょうど覆うような概略矩形板状に構成されるとともに、その中央から上端部にわたる部分に、遊技盤1を嵌め込んで収容するための方形状の開口部133が形成されている。そして、前面枠本体130に収容された遊技盤1の前面が前面枠本体130の開口部133から前側に臨むようになっている。すなわち遊技盤1は、前面枠本体130に嵌め込まれることで前面枠120に取り付けられている。
【0015】
また、前面枠本体130の遊技盤1が嵌め込まれた開口部133、すなわち、前面枠本体130の中央より少し下側から上端部に渡る部分を覆うようにクリア部材保持枠(図示略)が配置されている。そして、遊技盤1の前面と前記クリア部材保持枠に嵌め込まれたガラス板の裏面との間であって、遊技盤1の前面に設けられた遊技領域区画壁2に囲まれた部分が、遊技球が発射されて流下する遊技領域1aとされている。また、前面枠本体130の前面側であって、クリア部材保持枠の下側には、遊技者が発射操作を行うための操作部などを備えた発射操作パネル(図示略)が配置されている。
【0016】
前面枠本体130の一方の側部(前面側から見た左側部)には、本体枠110に設けられたヒンジ部111,111に軸支される金属製のヒンジ受部131,131が設けられている。このヒンジ受部131,131はヒンジ部111,111と電気的に接続するようになっている。また、前面枠本体130の一方の側部(前面側から見た左側部)には、クリア部材保持枠、発射操作パネルの一方の側部(前面側から見た左側部)を回動可能に軸支し、扉状に開閉自在とする金属製の前面枠ヒンジ部132,132,132が設けられている。この前面枠ヒンジ部132,132,132のうち、発射操作パネルを軸支する部分を構成する下部ヒンジ部本体134は、一部が前面枠本体130の裏面に露出するとともに、本体枠110のヒンジ部111,111に軸支されるヒンジ受部131と電気的に接続するようになっている。また、前面枠本体130及びクリア部材保持枠はそれぞれ周知のパチンコ遊技機等の弾球遊技機と同様に鍵穴159にキーを差して回転させることで閉じた状態にロック可能となっている。
【0017】
また、本体枠110の前面であって、前面枠120の下方に位置する部分には、各種情報の表示や入力を行う操作ユニット112が設けられている。この操作ユニット112は、表示装置としてのLCDパネル113を有するもので、基本的な機能として、持球数の情報、金額情報(カード等の記憶媒体に記憶された残額等)、貯球情報(景品と交換せずに遊技店側に貯蓄した遊技球数等)等の遊技情報を表示し、実際の遊技球の払い出しがなくても、いつでも、持球数を確認できるようにすると共に、遊技者や遊技店の店員等に対してエラーの発生を含む各種情報を表示可能となっている。また、操作ユニット112は複数の入力ボタン114,114,…を備え、表示の切替や、その他の表示内容に対応した入力操作が可能となっている。
【0018】
また、前面枠本体130における遊技盤1を取り付ける開口部133の下側には、各種装置を取り付ける金属製の取付盤135が設けられている。この金属製の取付盤135は、発射操作パネルを軸支する部分を構成する金属製の下部ヒンジ部本体134と電気的に接続するようになっている。この取付盤135の前面側には、発射装置60が設けられている。発射装置60は、発射位置へ遊技球を供給する前方供給流路61と、遊技球を打撃して発射させる発射杵63と、発射される遊技球を誘導する発射レール62等を備え、該発射レール62が遊技領域1aの真下に位置するように配されている。そして、発射杵63を発射モータ(ステッピングモータ)により回転駆動することにより、発射レール62上の遊技球を打撃して遊技領域1aへ発射するようになっている。また、この他に取付盤135の前面側には、音声を出力するスピーカ136や持球数などを表示する表示器137、遊技者が操作可能な操作ボタン138,138などが設けられている。
【0019】
また、図2に示すように、前面枠本体130下部の取付盤135の裏面側には、発射装置60の制御を行う発射制御装置(図示略)、発射装置60により遊技領域1aに発射された遊技球を回収して再び発射装置60に供給する封入球循環装置200が取り付けられている。この封入球循環装置200の詳細な構成については後述する。また、遊技盤1に取り付けられた装置を除く、前面枠120の例えば、封入球循環装置200、外部とのデータの通信装置等を制御する第1枠制御装置80が設けられている。さらに、図3に示すように、第1枠制御装置80、封入球循環装置200の裏面側には、封入球式遊技機100内の各装置に電力を供給する電源供給装置70や、持球数(遊技球数)の演算、操作ユニットからの入力信号の処理等を行う第2枠制御装置90が取り付けられている。
【0020】
図1に示すように、開口部133に嵌め込まれた遊技盤1は、各種部材の取付ベースとなる平板状の遊技盤本体1b(木製もしくは合成樹脂製)を備え、該遊技盤本体1bの前面に、遊技領域区画壁2で囲まれた遊技領域1aを有している。また、遊技盤本体1bの前面であって遊技領域区画壁2の外側には、前面構成部材3,3,…が取り付けられている。そして、この遊技領域区画壁2で囲まれた遊技領域1a内に発射装置60から遊技球(打球;遊技媒体)を発射して遊技を行うようになっている。
【0021】
遊技領域1a内には、普図始動ゲート4と、普図変動表示ゲームの未処理回数を表示する普図記憶表示器、普図の変動表示ゲームを表示する普図表示器が設けられている。また、遊技領域1a内には、第1始動入賞口13(入賞装置)と、第2始動入賞口をなす普通変動入賞装置7(入賞装置)と、補助遊技としての特図変動表示ゲームの未処理回数を点灯表示する特図記憶表示器、特図変動表示ゲームを表示する特図表示器9が設けられている。なお、普図記憶表示器、普図表示器、特図記憶表示器、特図表示器9は、遊技状態を表す遊技状態表示LEDと併せて、セグメントLED8として一体に設けられている。
【0022】
さらに遊技領域1aには、上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉10aを有し、補助遊技としての特図変動表示ゲームの結果如何によって大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態)に変換する特別変動入賞装置10、入賞口などに入賞しなかった遊技球を回収するアウト穴11が設けられている。この他、遊技領域1aには、一般入賞口12,12,…、打球方向変換部材としての風車14、多数の障害釘(図示略)などが配設されている。
【0023】
普図始動ゲート4内には、該普図始動ゲート4を通過した遊技球を検出するためのゲートセンサが設けられている。そして、遊技領域1a内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート4内を通過すると、普図変動表示ゲームが行われる。また、普図変動表示ゲームを開始できない状態、例えば、既に普図変動表示ゲームが行われ、その普図変動表示ゲームが終了していない状態や、普図変動表示ゲームが当って普通変動入賞装置7が開状態に変換されている場合に、普図始動ゲート4を遊技球が通過すると、普図始動記憶数の上限数未満でならば、普図始動記憶数が1加算されて普図始動記憶が1つ記憶されることとなる。なお、普図変動表示ゲームの始動記憶は、セグメントLED8に設けられた普図記憶表示器にて表示されるようになっている。
【0024】
普図(普通図柄)変動表示ゲームは、セグメントLED8に設けられた普図表示器で実行されるようになっている。なお、変動表示装置23の表示領域の一部で普図変動表示ゲームを表示するようにしても良く、この場合は識別図柄として、例えば、数字、記号、キャラクタ図柄などを用い、これを所定時間変動表示させた後、停止表示させることにより行うようにする。この普図変動表示ゲームの停止表示が特別の結果態様となれば、普図の当りとなって、普通変動入賞装置7の開閉部材7a,7aが所定時間(例えば、0.5秒
間)開放される。これにより、普通変動入賞装置7に遊技球が入賞しやすくなり、特図の変動表示ゲームの始動が容易となる。
【0025】
普通変動入賞装置7は左右一対の開閉部材7a,7aを具備し、第1始動入賞口13の下部に配設され、この開閉部材7a,7aは、常時は遊技球の直径程度の間隔をおいた閉じた状態(遊技者にとって不利な状態)を保持しているが、普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合には、駆動装置としてのソレノイドによって、逆「ハ」の字状に開いて普通変動入賞装置7に遊技球が流入し易い状態(遊技者にとって有利な状態)に変化させられるようになっている。
【0026】
この普通変動入賞装置7と第1始動入賞口13は、特図変動表示ゲームの始動入賞口も兼ねている。すなわち、普通変動入賞装置7と第1始動入賞口13の内部(入賞領域)に備えられた始動口センサによって遊技球を検出することに基づき、補助遊技としての特図変動表示ゲームを開始する始動権利が発生するようになっている。
【0027】
この特図変動表示ゲームを開始する始動権利は、所定の上限数(例えば4)の範囲内で始動記憶(特図始動記憶)として記憶される。従って、特図変動表示ゲームが開始可能な状態で、且つ、始動記憶数が0の状態で、普通変動入賞装置7もしくは第1始動入賞口13に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って始動記憶が記憶されて、始動記憶数が1加算されるととともに、直ちに始動記憶に基づいて、特図変動表示ゲームが開始され、この際に始動記憶数が1減算される。
【0028】
一方、特図変動表示ゲームが直ちに開始できない状態、例えば、既に特図変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、普通変動入賞装置7もしくは第1始動入賞口13に遊技球が入賞すると、始動記憶数が上限数未満ならば、始動記憶数が1加算されて始動記憶が1つ記憶されることになる。そして、始動記憶数が1以上となった状態で、特図変動表示ゲームが開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了もしくは特別遊技状態の終了)となると、始動記憶数が1減算されるとともに、記憶された始動記憶に基づいて特図変動表示ゲームが開始される。なお、特図変動表示ゲームの始動記憶は、セグメントLED8に設けられた特図記憶表示器にて表示されるようになっている。
【0029】
補助遊技としての特図(特別図柄、識別情報)変動表示ゲームは、セグメントLED8に設けられた特図表示器9で実行されるようになっており、複数の識別情報を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、変動表示装置23にて複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。そして、この特図変動表示ゲームの結果として、特図表示器9の表示態様が特別結果態様(たとえば「7」)となった場合には、大当たりとなって特別遊技状態(いわゆる、大当たり状態)となる。また、これに対応して変動表示装置23の表示態様も特別結果態様(例えば、「7,7,7」等のゾロ目数字の何れか)となる。なお、遊技機に特図表示器9を備えずに、変動表示装置23のみで特図変動表示ゲームを実行するようにしても良い。
【0030】
また、遊技領域1aの略中央には、特図変動表示ゲームの表示領域となる表示用窓部21を形成するセンターケース20が取り付けられている。このセンターケース20に形成された表示用窓部21の後方には、変動表示装置23が配されるようになっている。この変動表示装置23は、液晶表示パネルを備え、表示内容が変化可能な画像表示面24がセンターケース20の表示用窓部21を介して遊技盤1の前面側から視認可能となるように配されている。なお、変動表示装置23は、液晶表示パネルを備えるものに限らず、EL等のディスプレイを備えるものであっても良い。
【0031】
変動入賞装置としての特別変動入賞装置10は、上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉10aによって開閉される大入賞口を備えていて、特別遊技状態中は、大入賞口を閉じた状態から開いた状態に変換することにより大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせる。なお、開閉扉10aは、例えば、駆動装置としてのソレノイドにより駆動される。また、大入賞口の内部(入賞領域)には、該大入賞口に入った遊技球を検出するカウントセンサが配設されている。
【0032】
また、遊技領域1aに設けられた各一般入賞口12には、一般入賞口12に入った遊技球を検出するための入賞口センサが配設されている。そして、遊技を開始することにより遊技領域1a内に打ち込まれた遊技球が、一般入賞口12,12,…、普通変動入賞装置7、第1始動入賞口13、特別変動入賞装置10等の入賞口の何れかに入賞すると、それぞれの入賞口に対応した所定数の賞球が持球数に加算されるようになっている。
【0033】
また、図2に示すように、遊技盤1の裏面側には、遊技内容に係わる制御を統括的に行う遊技制御装置30及びその制御下で遊技の演出に係わる制御を行う演出制御装置50が設けられている。なお、その他複数の機種で共通使用可能な制御装置は前面枠本体130に取り付けられており、遊技盤1を交換することにより、機種に依存する装置(基板)のみが交換され、封入球式遊技機100の遊技内容を変更することが可能である。
【0034】
そして、図2,3に示すように、封入球式遊技機100の裏面側に設けられた各種制御装置によって、遊技の制御がなされるようになっている。遊技盤1の裏面に設けられた遊技制御装置30は、CPU、RAM、ROM等を有するアミューズチップを備え、特図や普図の変動表示ゲームに関連する各種乱数値などを生成している。各種乱数値には、特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値、普図変動表示ゲームの当たり判定用乱数値などが含まれ、この乱数値に基づいて遊技制御装置30は、特図や普図の変動表示ゲームの当たり、外れ等のゲームの結果を決定している。
【0035】
また、遊技制御装置30には、入出力インターフェースを介して、普通変動入賞装置7と第1始動入賞口13の内部に設けられた始動口センサ、特別変動入賞装置10に設けられたカウントセンサ、一般入賞口12,12,…に設けられた入賞口センサ、普図始動ゲート4に設けられたゲートセンサが接続され、これらセンサからの遊技球の検出信号が入力されるようになっている。そして、入賞口センサ、始動口センサ、カウントセンサ等の各種入賞口、入賞装置に設けられたセンサからの入力に基づき賞球を発生する。ここで、封入球式遊技機100においては、封入球式以外のパチンコ遊技機において、賞球としての遊技球の払い出しを制御する排出制御装置に代えて、賞球に関する情報が遊技制御装置30から第1枠制御装置80を介して第2枠制御装置90に出力されるようになっており、第2枠制御装置90においては、賞球に関する情報に基づいて、持球数に賞球数を加算する演算処理が行われるようになっている。
【0036】
また、遊技制御装置30においては、各センサから入力される信号に基づいて、特図及び普図の変動表示ゲームの進行の制御が行われる。また、遊技制御装置30は、入出力インターフェースを介してソレノイドなどの駆動源を制御し、特図や普図の変動表示ゲームの結果に基づいて、特別変動入賞装置10や普通変動入賞装置7の開閉を行う。また、遊技制御装置30は、入出力インターフェースを介して第1枠制御装置80及び演出制御装置50などに遊技に関する各種データを遊技機情報として送信している。
【0037】
演出制御装置50は、CPU、ROM、RAM等を備えるとともに、ビデオ制御用の各種ICを備え、パチンコ遊技機において周知のものであり、遊技制御装置30における特図の変動表示ゲームの進行の制御に基づいて、変動表示装置23における特図の変動表示ゲームの表示制御や、それに伴う遊技盤1等に設けられたランプ、LED等の発光による演出制御等を行う。
【0038】
第1枠制御装置80は、CPU、RAM、ROM等と、音データを記憶したROMや、音信号を生成する音LSI、音信号を増幅してスピーカに出力するアンプ、入出力インターフェース等により構成されている。この第1枠制御装置80においては、封入球循環装置200の制御や、クリア部材保持枠に設けられたランプ・LED等の電気的発光源の点灯・消灯・発光色の変更等の制御、演出用の音楽、効果音等の制御などを行う。
【0039】
また、第1枠制御装置80は、I/Oを介して、封入球循環装置200に設けられた各センサ(例えば、供給球検出センサ、球量センサ215d、回収球センサ214d)からの信号が入力されるようになっている。そして、第1枠制御装置80は、これら各センサからの入力信号や、遊技制御装置30から入力された賞球に関する情報、貸球操作に関する情報などを含む持球制御情報を第2枠制御装置90に中継する。また、第1枠制御装置80は、第2枠制御装置90で管理される発射可能球数が1以上の場合に発射球の発射を許可し、発射可能球数が0の場合に発射を禁止する制御信号を発射制御装置に出力する。また、第1枠制御装置80は、I/Oを介して封入球循環装置200に設けられた揚送部材230を駆動するモータ233の制御を行う。
【0040】
第2枠制御装置90は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を備え、第1枠制御装置80を介して入力される持球制御情報に基づき、持球数を算出する演算処理を行うようになっている。これにより、第2枠制御装置90においては、入球数、出球数(賞球数)、差球数、持球数を算出することが可能となる。また、操作ユニット112からの入力信号を処理すると共に、操作ユニット112のLCDパネル113への画像表示を制御する。なお、LCDパネル113には、持球数、金額情報、変動表示ゲームの実行回数、非確変大当り回数、確変大当り回数等のデータが表示される。また、操作ボタン138,138からの入力信号の処理や、表示器137の表示の制御を行う。
【0041】
発射制御装置は、CPU、発射モータのドライバ回路、入出力インターフェースを備えており、入出力インターフェースには、発射操作部、球送り装置が接続され、ドライバ回路には発射モータが接続されている。そして、発射制御装置は、枠制御装置80からの発射許可の制御信号を受信した状態で、発射操作部の操作に基づく信号レベルにより、発射装置60における遊技球の発射勢を制御する。また、発射操作部に設けられたタッチセンサにおいて遊技者の手が検出された場合に、発射モータを制御して所定の時間間隔毎に遊技球を順次発射する制御を行う。さらに、発射装置60による遊技球の発射のタイミングに合わせて、球送り装置の球送りレバー64を作動させて、前方供給流路61から発射レール62に一つずつ遊技球を供給する制御を行う。また、前方供給流路61には、該前方供給流路61を流下する遊技球を検出する供給球検出センサが設けられている。なお、供給球検出センサに検出された遊技球は、検出直後に発射装置60に供給されて発射されるので、供給球検出センサは、発射装置60の手前側であるが、遊技球の発射を検出する発射球センサも兼ねるものとなっている。
【0042】
封入球循環装置200は、所定数の遊技球が封入されており、発射装置60によって遊技領域1aに発射された遊技球を回収、循環し、再び発射装置60に供給するものである。この封入球循環装置200は、図2に示すように、封入球式遊技機100の裏面側となる前面枠本体130の裏面側に取り付けられている。図4から7に示すように、この封入球循環装置200は、遊技球の流路を構成する流路構成部材をなす流路ユニット210と、遊技球を揚送する揚送部材を有する揚送装置220と、該揚送装置220により揚送される遊技球を磨く球磨き部材261を備える球磨き装置250とを備える。そして、流路ユニット210が前面枠本体130の開口部133の下側に形成された取付盤135の裏面に配されるようになっており、その裏面に揚送装置220が配され、さらに揚送装置220の裏面に球磨き装置250が配されている。また、揚送装置220の揚送部材230や流路ユニット210内の流路を流下する遊技球の静電気を除去する静電気除去手段270を備える。
【0043】
図4から12に示すように、流路ユニット210は、前側を形成する前壁部材211と、後側を形成する後壁部材212とから概略箱状に形成されており、上端部に各種の入賞口(特別変動入賞装置10、一般入賞口12、普通変動入賞装置7、第1始動入賞口13)に入賞することなく流下したアウト球および各種の入賞口に入賞し、セーフ球排出経路を流下したセーフ球としての遊技球を回収する回収部213が形成されている。また、図11に示すように、この回収部213に連通するように、封入球循環装置200の内部には回収された遊技球が流下する回収流路214が形成されている。この回収流路214の下流側端部は、流路ユニット210の裏面側に配される後述する揚送装置220に形成された揚送路221の流入口222aに連通している。また、図10に示すように、流路ユニット210には、揚送装置220に形成された揚送路221の流出口224aに連通するように、発射装置60へ遊技球を供給する供給流路215が形成されている。すなわち、流路ユニット210の回収流路214及び供給流路215と、揚送装置220の揚送路221とにより、発射装置60によって遊技領域1aに発射された遊技球を回収、循環し、再び発射装置60に供給する循環経路が形成される。
【0044】
図10から12に示すように、循環経路の一部をなす回収流路214、供給流路215は、流路ユニット210の前壁部材211、後壁部材212と、前壁部材211の後面もしくは後壁部材212の前面に垂直に形成された板状の流路形成壁216によって形成された筒状の流路で、遊技球の直径よりも若干大きい内径を有し、遊技球が一列に延在方向に沿って重なり流下するようになっている。
【0045】
図11,12に示すように、回収流路214は、上流側端部をなす流入口214aが封入球循環装置200の上端部に開口する回収部213に連通し、ここから下方へ左右に蛇行して上下に折り重なるように形成されており、下流側端部をなす流出口214bは流路ユニット210の下面に開口し、揚送路221に接続するようになっている。また、回収流路214の途中にはセンサ取付部214cが形成され、ここに流下する遊技球を検出可能な回収球センサ214dが取り付けられている。この回収球センサ214dからの遊技球の検出信号に基づき、第1枠制御装置80において回収した遊技球の数を計数できるようになっている。
【0046】
図10に示すように、供給流路215は、流路ユニット210の裏面に揚送装置220の揚送路221と接続する流入口215aを備え、ここから中央方向へ向かって下るように形成され、流路ユニット210の前面に流出口215bを備える。この流出口215bには、前面枠本体130に配された発射装置60に設けられた前方供給流路61が接続するようになっている。また、供給流路215の途中にはセンサ取付部215cが形成され、ここに流下する遊技球を検出可能な球量センサ215dが取り付けられている。この球量センサ215dからの検出信号により、供給流路215内に待機する遊技球の不足を検出するようになっている。なお、供給流路215および前方供給流路61には、封入球式遊技機100の遊技中(遊技球を順次発射し、遊技領域に数個以上の遊技球が流下している状態)及び非遊技中(遊技球を発射していない状態)に係わらず遊技球が待機した状態とされ、遊技球の発射毎に待機していた遊技球が順次遊技球の直径となる距離だけ下方に移動するようになっている。
【0047】
また、供給流路215と前方供給流路61をあわせた長さは、封入球式遊技機100内で循環する遊技球の全てを貯留可能な長さとされており、遊技球の発射を止めた状態で、供給流路215および前方供給流路61内に循環使用される遊技球をすべて収容した状態となる。また、循環使用される遊技球の個数は、遊技球を順次発射した際に、遊技球の回収が間に合わずに、遊技の発射ができない状態となることがない個数(例えば、35個)とされている。
【0048】
また、前壁部材211の下部には、揚送装置220の下部を保持する保持部217が形成されている。この保持部217における揚送装置220と対向する裏面側には、揚送装置220の前部に形成された係合部233aが係合可能な被係合部217aが形成されている。また、裏面側から見て被係合部217aの左側部には、揚送装置220に形成されたファール球受入部225を挿通可能な切欠部217bが形成されている。
【0049】
また、前壁部材211の裏面には、ねじ止め部を有する被接合部281が形成され、この被接合部281に対応して後壁部材212には、前後に貫通するねじ孔を有する接合部282が形成されており、ねじによって前壁部材211と後壁部材212を接合できるようになっている。また、後壁部材212の裏面には、揚送装置220を取り付けるための被固定部219が形成されている。被固定部219はねじ止め部を有し、揚送装置220に形成された固定部239に対応する位置に形成されており、ねじによって揚送装置220を固定できるようになっている。
【0050】
また、後壁部材212の裏面には、静電気除去手段270を取り付けるための被固定部280が形成されている。被固定部280はねじ止め部を有し、静電気除去手段270の導電性プレート271に形成された固定部271hに対応する位置に形成されており、ねじによって静電気除去手段270を固定できるようになっている。また、後壁部材212には、流路ユニット210を前面枠本体130の取付盤135に固定するためのユニット固定部283が形成され、前壁部材211には、ユニット固定部283と対応する位置に貫通孔284が形成されている。ユニット固定部283は、前後に貫通するねじ孔を備えており、このねじ孔に挿通したねじを、貫通孔284を通して取付盤135に形成されたねじ止め部(図示略)に螺合することで、流路ユニット210を取付盤135に固定できるようになっている。
【0051】
図14から18に示すように、揚送装置220は、揚送路221と、遊技球を上方へ揚送するための揚送部材230、該揚送部材230を駆動する駆動源としてのモータ233を備え、回収流路214を流下した遊技球を供給流路215に揚送するものである。また、揚送装置220は、裏面側に配された球磨き装置250とともに、揚送する遊技球を磨くようになっている。
【0052】
揚送路221は、回収流路214と接続する下部誘導部222と、揚送部材230が配された揚送部223と、供給流路と接続する上部誘導部224とを備える。図15,16に示すように、下部誘導部222は、流路ユニット210の下方に開口した回収流路214の流出口214bに接続するように上方に開口した流入口222aを有している。そして、この流入口222aから流入した遊技球を、流路ユニット210の裏面へ誘導するように流路ユニット210の裏面側へ(後方へ)下るとともに、裏面側から見て右側へ下るように形成されている。この下部誘導部222により、流入口222aから流入した遊技球が揚送部223の下端部に形成された球導入口223aへ誘導される。
【0053】
また、図15に示すように、この下部誘導部222における球導入口223aから上流側の所定範囲である導入部222bの下り傾斜は、この導入部222bよりも上流側の部分の下り傾斜よりも急な傾斜とされている。これにより、下部誘導部222に待機する遊技球の数が少なく、遊技球の自重による傾斜方向への圧力(球圧)が低い場合でも、揚送部223に導入された遊技球が回転する揚送部材230に接触して下部誘導部222に逆戻りすることを防止できる。すなわち、揚送部材230(螺旋部材)での遊技球の取り込みがよりスムーズに行え、封入球の循環を効率よく行うことが可能となる。なお、遊技球が揚送部223から下部誘導部222に逆戻りしないような構成であればよく、例えば段差を設けるようにしてもよい。すなわち、球導入口223aへ向けて下るように形成され、該球導入口223aへ遊技球を誘導する導入経路(下部誘導部222)を備え、該導入経路は、球導入口223aから上流側の所定範囲の傾斜が、該所定範囲よりも上流側の部分の傾斜よりも急であることとなる。
【0054】
また、下部誘導部222には、図16に示すように、回収されたファール球としての遊技球を受け入れ、下部誘導部222に誘導するように傾斜したファール球受入部225が接続している。このファール球受入部225は、揚送装置220の前方へ延出するように形成され、流路ユニット210の保持部217に形成された切欠部217bを通って、前端部が流路ユニット210の前面側に位置するようになっている。発射装置60には、遊技領域1aへ向けて発射したにもかかわらず発射装置60へ戻ってきたファール球としての遊技球を回収するファール球回収部が形成され、ここで回収されたファール球は、ファール球流路を通って前面枠本体130の裏面側へ誘導されるようになっている。そして、このファール球流路の下流側端部とファール球受入部225の前端は、対向して連通するようになっており、ファール球として回収された遊技球が下部誘導部222に誘導されるようになっている。なお、ファール球流路には、流下する遊技球を検出可能なファール球センサが設けられており、このファール球センサからの遊技球の検出信号に基づき、ファール球として回収した遊技球の数を計数できるようになっている。
【0055】
また、図15、16に示すように、上部誘導部224は、揚送部223の上端に接続し、上方へ揚送された遊技球を裏面側から見て右側へ誘導するように下る流路とされている。この上部誘導部224の下流側端部は、流路ユニット210の裏面に開口した供給流路215の流入口215aに接続するようになっている。
【0056】
揚送部223は裏面側から見て右斜め上方に向かって延在するように形成されており、左下部に下部誘導部222の下流側端部が接続し、右上部に上部誘導部224の上流側端部が接続している。この揚送部223が形成される揚送部形成部226は前後に貫通する空間で、前側部分が揚送部223内の遊技球を揚送する揚送部材230が配される揚送部材配設部227とされ、後側部分が、遊技球が通過する揚送部223となっている。
【0057】
揚送部材配設部227に配設される揚送部材230は、硬い合成樹脂(アラミド樹脂)やセラミックからなり、円柱状の揚送部材本体231の周面にらせん状に溝232が形成されたスクリュー状の部材(スパイラル歯車状の部材、螺旋部材)である。この揚送部材230は、円柱状の揚送部材本体231の中心軸が揚送部材配設部227の延在方向に沿うように配され、ちょうど揚送部223の前側部分に収容されるようになっている。また、らせん状に溝232が形成された周面における中心軸に沿った方向の長さは、揚送部223と等しい長さとなっている。すなわち、揚送部223の前側の側面全体にわたって揚送部材230が配されるようになっている。
【0058】
また、図17に示すように、揚送部材230の上端面からは、円柱状の揚送部材本体231の中心軸に沿った回転軸231aが突出している。この回転軸231aの上端部には第一ギア231bが取り付けられており、揚送部形成部226の上方に形成された上部ギアボックス228内に配されるようになっている。また、回転軸231aの上端は、上部ギアボックスに形成された軸受部228aに回動可能に軸支されるようになっている。この回転軸に取り付けられた第一ギア231bは、上部ギアボックス228内に配される動力伝達装置240の入力軸246に取り付けられた第二ギア246aと噛み合うようになっており、後述する巻き取り手段260を駆動できるようになっている。
【0059】
揚送部材230の下端部は、揚送部形成部226の下側に形成された駆動源取付部229に取り付けられた駆動源としてのモータ233の駆動軸と接続されており、モータ233を駆動することで揚送部材230を回転駆動できるようになっている。なお、モータ233は、駆動軸が揚送部材230の回転軸231aと同一軸上に位置するような向きで取り付けられている。また、モータ233の前面には、流路ユニット210の前壁部材211に形成された保持部217の被係合部217aに係合可能な係合部233aが形成されている。
【0060】
揚送部材230の周面に形成されたらせん状の溝232は、右ねじと同じ向きに形成されており、下側から見て反時計回り方向に回転することで、揚送部223の前側の側面において溝232が上方へ移動するようになる。これによって、溝232に嵌った遊技球が上方へ揚送される。また、このときのモータ233の駆動方向が正方向となる。なお、揚送部材230に形成されたらせん状の溝232における断面の曲率は、遊技球の曲率と略等しくされて確実に遊技球を保持できるようになっており、後述するように球磨き部材261が遊技球に押し付けられた状態でも遊技球を移送できるようになっている。また、ピッチは遊技球の直径よりも広くされており、遊技球を所定の間隔をおいて揚送できるようになっている。
【0061】
また、揚送部材230は導電性を有する材質からなり、揚送部形成部226の前側の貫通部から揚送装置220の前側に露出している。この前側に露出した部分には、揚送装置220の前側に配される導電性プレート271に設けられ、揚送部材230の静電気を除去する揚送部材静電気除去部材272が接触するようになっている。
【0062】
図15に示すように、揚送部形成部226における揚送部223を形成する後方部分のうち、揚送部223の下端部となる部分であって、裏面側から見て左側の側面には、下部誘導部222からの遊技球を受け入れる球導入口223aが形成されている。そして、この球導入口223aと対向する右側の側面には、下部誘導部222を通って揚送部223に流入した遊技球を斜め上方へ誘導するように湾曲した下部湾曲部223cが形成されている。さらに、図14に示すように、この下部誘導部222と揚送部223との接続部分における、揚送部形成部226の後方の開口を閉鎖するように下部誘導板234が取り付けられている。この下部誘導板234の前面における揚送部223に臨む部分と、揚送部材230の周面に形成された遊技球が載るらせん状の溝232までの間隔は、遊技球の直径よりやや広い程度とされている。これにより、揚送部223に導入された遊技球が確実に溝232に嵌るようになっている。
【0063】
なお、図15に示すように、下部誘導部222から球導入口223aを経て揚送部223の下端へ至る流路は下り傾斜とされており、遊技球はこの傾斜に沿って流下し、その後、揚送部材230によって上方へ揚送されることとなる。すなわち、揚送部223の下端は、下部誘導部222とこれに続く揚送部223において最も低くなった部分であり、球導入口223aは揚送部223の下端よりも上方に位置している。また、球導入口223aは、揚送部材230の下端よりも上方に位置するようになっており、球導入口223aから導入された遊技球が確実に揚送部材230により揚送されるようになっている。
【0064】
また、揚送部形成部226における揚送部223を形成する後方部分のうち、揚送部223の上端部となる部分であって、裏面側から見て右側の側面には、揚送部223から上部誘導部224へ遊技球を導出する球導出口223bが形成されている。そして、この球導出口223bと対向する左側の側面には、揚送部223により斜め上方へ誘導された遊技球を右側方へ誘導するように湾曲した上部湾曲部223dが形成されている。さらに、図14に示すように、この上部誘導部224と揚送部223との接続部分における、揚送部形成部226の後方の開口を閉鎖するように上部誘導板235が取り付けられている。
【0065】
そして、揚送部形成部226における揚送部223を形成する後方部分のうち、下部誘導板234と上部誘導板235の間の中央部分は、揚送部223が後方に開口する後方開口237とされ、この後方開口237から揚送部223内の遊技球が露出するようになっている。この後方開口237には、該後方開口237を閉鎖するように、揚送装置220の後方に配される球磨き装置250に設けられた押圧部材291が配されるようになっている。これにより後方開口237から露出する遊技球に、押圧部材291の前面に配された球磨き部材261が当接し、揚送される遊技球が磨かれることとなる。
【0066】
ここで、図2に示すように、封入球循環装置200が封入球式遊技機100の裏面側となる前面枠本体130の裏面側に取り付けられた状態では、図15に示すように、揚送部223は遊技盤1の面方向に沿う平面上に位置し、遊技球を導入する球導入口223aが形成された一側部が上向きとなるように鉛直方向に対して所定角度傾斜している。そして、揚送部223の裏面側から見て左側の側面に形成された球導入口223aにおける揚送部223への遊技球の導入方向は、揚送部223が位置する平面上に沿って右斜め下方へ下る方向となっている。すなわち、球導入口223aへの導入方向は、揚送部223の揚送方向に沿う平面に沿うとともに球導入口223aを通る鉛直な軸を挟んで揚送部223が位置する側と対向する側から球導入口223aに向かって下る方向となっている。
【0067】
また、揚送部223の裏面側から見て右側の側面に形成された球導出口223bにおける揚送部223からの遊技球の導出方向は、揚送部223が位置する平面上に沿って右斜め下方へ下る方向となっている。すなわち、球導出口223bからの導出方向は、揚送部223の揚送方向に沿う平面に沿うとともに球導出口223bを通る鉛直な軸を挟んで揚送部223が位置する側と対向する側へ向かって下る方向となっている。
【0068】
このように、遊技盤1の面方向に沿うように揚送部223が所定角度傾斜して配されることで、揚送部材230での遊技球の取り込みがスムーズに行え、封入球の循環を効率よく行うことが可能となる。また、球磨きを行うのに十分な揚送部223の長さを確保したうえで揚送部材230を垂直に配する場合に比べて上下幅を狭くでき、設置スペースを小さくすることができる。また、揚送部223への導入方向、導出方向が遊技盤1の面方向に沿うようにされていることで、十分な長さの揚送部223を備えた封入球循環装置200を封入球式遊技機100の裏面に効率よく配設することが可能となる。また、球導出口223bからの導出方向および球導入口223aへの導入方向が上述のようになっていることで、揚送部223への導入方向および導出方向が、揚送方向に対して折り返すことなく一方向(揚送部223が傾斜する左右の一方向)へ向かうこととなるので、遊技球の導入および導出がよりスムーズに行え、封入球の循環を効率よく行うことができる。
【0069】
なお、揚送部223における揚送部材230での遊技球の取り込みを容易にするために、揚送部材230の溝232に突起部や凹部を形成し、遊技球が揺動するようにして一ヶ所に停留しないようにしてもよい。また、揚送部材230の螺旋の旋回方向を逆にして、下側から見て時計回り方向に回転することで遊技球を上方へ揚送可能とし、遊技球の導入方向および導出方向を揚送部材230の回転方向に合わせて、導入、導出をスムーズにするようにしてもよい。また、揚送部材230の螺旋の旋回方向は変えずに、下側から見て反時計回り方向に回転することで遊技球を上方へ揚送可能とし、揚送部223を揚送部材230の前方に形成することにより、遊技球の導入方向および導出方向を揚送部材230の回転方向に合わせて、導入、導出をスムーズにするようにしてもよい。
【0070】
すなわち、発射装置60から発射された遊技球を回収し、該回収した遊技球を再び該発射装置60に供給することで遊技球を循環使用する封入球式遊技機100において、回収した遊技球を発射装置60に供給するために上方へ揚送する螺旋部材(揚送部材230)を有する揚送装置220と、揚送装置220により揚送される遊技球が通過する揚送経路(揚送部223)と、揚送経路の遊技球を磨く球磨き装置250と、を備え、揚送経路は、遊技球を導入する球導入口223aを一側部に備え、球導入口223aが上向きとなるように鉛直方向に対して所定角度傾斜していることとなる。
【0071】
また、揚送装置220および球磨き装置250を含む封入球循環装置200を、揚送経路(揚送部223)が遊技盤1の面方向と平行な平面に沿うように、当該封入球式遊技機100の本体枠110の裏面であって遊技領域1aが形成される遊技盤1の下部に配設し、揚送経路は、遊技球を導出する球導出口223bを一側部と対向する他側部に備え、該球導出口223bからの導出方向を、遊技盤1の面方向と平行な平面に沿うとともに球導出口223bを通る鉛直な軸を挟んで揚送経路が位置する側と対向する側へ向かって下る方向とし、球導入口223aへの導入方向を、遊技盤1の面方向と平行な平面に沿うとともに球導入口223aを通る鉛直な軸を挟んで揚送経路が位置する側と対向する側から球導入口223aに向かって下る方向としたこととなる。
【0072】
また、後方開口237の周縁には、球磨き装置250が取り付けられているかを検出する球磨き装置検出スイッチ236が設けられている。この球磨き装置検出スイッチ236は、揚送部材230と平行な軸を中心として後方開口237の周縁に近い一端が前後に動作可能とされた可動片236aを有し、可動片236aが前方へ移動した状態ではONとなり、可動片236aが後方へ移動した状態ではOFFとなるようになっている。また、可動片236aは、図示しない付勢部材によって、球磨き装置250が配される側である後方へ付勢された状態となっており、外部から力が加わっていない状態では後方へ移動した状態となって球磨き装置検出スイッチ236がOFFとなるようになっている。そして、揚送装置220に球磨き装置250を取り付けることで、球磨き装置250の球磨き部291aの前面に配設される球磨き部材261が可動片236aを前方へ押圧し、球磨き装置検出スイッチ236がONとなるようになっている。すなわち、球磨き装置250が所定の位置に取り付けられ、かつ、球磨き部291aの前面に球磨き部材261が配設されている場合に球磨き装置検出スイッチ236がONとなるようになっている。これにより、球磨き装置250が所定の位置に取り付けられていない場合や、球磨き部材261が球磨き部291aの前面に配設されていない場合のような異常な状態を検出することができる。
【0073】
また、図14,15に示すように、揚送部223に隣接する位置には、モータ233の動力を、球磨き装置250に設けられた使用済みの球磨き部材261を巻き取るための巻き取り手段260に伝達する動力伝達装置240が設けられている。図17に示すように、この動力伝達装置240は、揚送部223に沿って配される伝達軸を備え、該伝達軸は、略中央に設けられた動力制御手段241を境に、入力軸246と出力軸248に別れている。なお、入力軸246は上部配設部242内に配設され、出力軸248は下部配設部243内に配設されている。
【0074】
入力軸246は、上端部が上部ギアボックス228に形成された軸受部228bに回動可能に軸支されるとともに、下端部の近傍が動力制御手段241内で回動可能に軸支されている。また、入力軸246は、その上端部に第二ギア246aが取り付けられており、この上端部が上部ギアボックス228内に配され、同じく上部ギアボックス228内に配される揚送部材230の回転軸に取り付けられた第一ギア231bと噛み合うようになっている。これにより、モータ233が揚送部材230を回転駆動するのに伴い、入力軸246も回転するようになっている。また、入力軸246の下端部には、動力制御手段241の一部をなす動力伝達用回転体247が取り付けられている。この動力伝達用回転体247が取り付けられる入力軸246の下端部は、一側面が平面とされて断面が略D字状に形成されている。そして、動力伝達用回転体247には、このように形成された入力軸246を挿通可能な略D字状の挿通穴が形成されている。よって、動力伝達用回転体247は、入力軸246の軸心方向に移動可能であるとともに入力軸246の回転と共に回転するようになっている。
【0075】
また、出力軸248は、下端部が揚送部形成部226の裏面側から見た左側に形成された下部ギアボックス244に形成された軸受部244aに回動可能に軸支されるとともに、上端部の近傍が動力制御手段241内で回動可能に軸支されている。この出力軸248の上端部には、入力軸246の下端部に設けられた動力伝達用回転体247と対向するように、動力制御手段241の一部をなす動力受用回転体249が取り付けられている。そして後述するように、動力伝達用回転体247により動力受用回転体249が回転されることで出力軸248が回転するようになっている。
【0076】
また、出力軸248の下端部には第三ギア248aが取り付けられている。この第三ギア248aは下部ギアボックス244内に配され、同じく下部ギアボックス244内に配された第四ギア244cと噛み合うようになっている。また、下部ギアボックス244内には第四ギア244cと連結し、同じ軸を中心として共に回転する第五ギア244bが配されており、この第五ギア244bの一部は下部ギアボックス244の裏面から外部に露出している。そして、この第五ギア244bの一部が露出した下部ギアボックス244の裏面には、後述する球磨き装置250のギア収納部255が配されるようになっており、揚送装置220の裏面に球磨き装置250を取り付けることでギア収納部255に配された第六ギア263と噛み合うようになっている。
【0077】
図18に示すように、動力制御手段241は、動力伝達用回転体247と、動力受用回転体249とが対向して配されるとともに、動力伝達用回転体247の自重により動力伝達用回転体247が動力受用回転体249に押し付けられるようになっている。動力伝達用回転体247は、入力軸246の下端部を挿通可能な挿通穴を中心として、挿通穴の延在方向に沿って所定の厚みを有するとともに、挿通穴の延在方向に対して垂直に径方向を有する円盤状の部材である。この動力伝達用回転体247における下向きに配される面である動力受用回転体249と対向する面247aには、係合部247bが中心を挟んで対向するように二ヶ所形成されている。
【0078】
この係合部247bは、動力伝達用回転体247の外周に隣接する位置に周方向に沿って形成されており、モータ233の正方向への駆動時における回転方向側の端部は、係合部247bにおける周方向の中心に向かって突出幅が大きくなるような傾斜面247cとされている。また、逆方向への駆動時における回転方向側の端部は、略垂直に突出する段状の係合段部247dとされている。ここで、モータ233の正方向への駆動とは、揚送部223において遊技球を上方へ揚送するように揚送部材230を駆動する方向である。
【0079】
動力受用回転体249は、出力軸248の上端部を挿通可能な挿通穴を中心として、挿通穴の延在方向に沿って所定の厚みを有するとともに、挿通穴の延在方向に対して垂直に径方向を有する円盤状の部材である。なお、動力受用回転体249の直径は、動力伝達用回転体247の直径と等しくなっている。この動力受用回転体249における上向きに配される面である動力伝達用回転体247と対向する面249aには、被係合部249bが、中心を挟んで対向するように二ヶ所形成されている。
【0080】
被係合部249bは、動力受用回転体249の外周に隣接する位置に形成されていて、面249aに対して垂直に突出する略直方体状をしており、周方向に沿って係合部247bの傾斜面247cと対向する側の端部249cは角部が面取りされて曲面となっている。また、係合部247bの係合段部247dと対向する側の端部249dは、角部が直角となった段状に形成され、係合段部247dと係合可能となっている。なお、入力軸246と出力軸248は一直線上に位置している。また、係合部247bと被係合部249bの回転中心からの距離は等しく、対向して配されることで係合可能となっている。
【0081】
このような構成を有する動力制御手段241は、モータ233を駆動して揚送部材230を回転させることで第一ギア231bを介して第二ギア246aが回転し、入力軸246と動力伝達用回転体247が回転する。このとき、モータ233を揚送部223において遊技球を上方へ揚送するように揚送部材230を駆動する方向である正方向に回転した場合には、動力伝達用回転体247は係合部247bの傾斜面247cとされた端部が回転方向側となるように回転する。そして、このように動力伝達用回転体247が回転することに伴い、動力伝達用回転体247に形成された係合部247bと、対向して配された動力受用回転体249に形成された被係合部249bが動力伝達用回転体の自重により当接する。
【0082】
このとき、係合部247bの被係合部249bと当接する部分が傾斜面247cとなっていることと、係合部247bの傾斜面247cと当接する被係合部249bの端部249cが曲面となっていることから、図18(a)に示すように、動力伝達用回転体247が入力軸246に沿って上方へ案内される。そして、図18(b)に示すように係合部247bが被係合部249bの上側を通過して被係合部249bを乗り越えることとなる。よって、モータ233を正方向に回転した場合には、動力受用回転体249が動力伝達用回転体247と連動して回転しない。すなわち、遊技球を上方へ揚送する通常の遊技状態においては、下部ギアボックス244に動力が伝達されず、巻き取り手段260には動力が伝達されないようになっている。
【0083】
これに対して、モータ233を逆方向に回転した場合には、動力伝達用回転体247は段状の係合段部247dとされた端部が回転方向側となるように回転する。そして、このように動力伝達用回転体247が回転することに伴い、図19(c)に示すように、動力伝達用回転体247に形成された係合部247bと、対向して配された動力受用回転体249に形成された被係合部249bが当接する。このとき、係合部247bの被係合部249bと当接する係合段部247dが段状となっていることと、係合部247bの係合段部247dと当接する被係合部249bの端部249dが直角となった段状となっていることから、係合部247bと被係合部249bが係合する。よって、モータ233を逆方向に回転した場合には、動力受用回転体249の回転に伴い動力伝達用回転体247が同じ方向に回転することとなる。すなわち、動力伝達装置240を介して下部ギアボックス244に動力が伝達され、巻き取り手段260を動作するようになっている。
【0084】
このように、モータ233の回転方向を変えることにより、モータ233の動力を遊技球の揚送と球磨き部材261の交換の両方に利用できるようにしたことで駆動源の数を削減でき、また、1つの駆動源により揚送部材230と球磨き部材261の各々の駆動制御を簡単な機構で確実に行うことが可能となる。なお、動力制御手段241は、上述の機構に限られるものではなく、動力の入力側(入力軸246)が所定の一方向に動作(回転)した場合にのみ出力側(出力軸248)に動力を伝達する、いわゆるワンウェイクラッチであれば良い。
【0085】
すなわち、動力制御手段241は、駆動源(モータ233)の動作に伴って軸心を中心として回転する入力軸246と共に回転する動力伝達用回転体247と、動力伝達用回転体247の下方に対向するように配され、該動力伝達用回転体247により回転駆動されることで、球磨き装置250へ動力を出力する出力軸248を、軸心を中心として回転駆動する動力受用回転体249と、を備え、動力伝達用回転体247を入力軸246の軸心方向に沿って移動可能とし、動力受用回転体249と対向する面247aには、駆動源の正方向への駆動時における回転方向側の端部が傾斜面247cであるとともに逆方向への駆動時における回転方向側の端部が段状の係合段部247dである係合部247bを突設し、動力受用回転体249の動力伝達用回転体247と対向する面249aには、係合部247bの係合段部247dと係合可能な被係合部249bを突設し、駆動源を正方向に駆動した際には、係合部247bの傾斜面247cが被係合部249bに当接して動力伝達用回転体247が上方に誘導され、動力受用回転体249と係合せずに当該動力伝達用回転体247のみが回転し、駆動源を逆方向に駆動した際には、係合部247bの係合段部247dと被係合部249bとが係合し、動力伝達用回転体247により動力受用回転体249が回転駆動されるように構成したこととなる。
【0086】
また、図14に示すように、揚送装置220には、ねじ孔を有する固定部239が形成され、固定部239を流路ユニットに形成された被固定部219に固定することで流路ユニット210の後方に揚送装置220が固定されるようになっている。また、揚送装置220の裏面には、球磨き装置250を取り付けるための支持部238と被固定部245が形成されている。被固定部245はねじ止め部を有し、球磨き装置250に形成された固定部257に対応する位置に形成されており、ねじによって球磨き装置250を固定できるようになっている。また、支持部238は、揚送部223の裏面側から見て右側に形成されており、揚送部223の延在方向に沿って上方へ延出するように形成された所定の長さを有する支持軸238a,238aを備える。
【0087】
図4,5,7,8、10から13に示すように、流路ユニット210と揚送装置220の間には静電気除去手段270が配されている。この静電気除去手段270は、図13に示すように、導電性プレート271と、揚送部材230の静電気を除去する揚送部材静電気除去部材272と、回収流路214に臨んで回収球の静電気を除去する回収球用静電気除去部材273と、供給流路215に臨んで供給球の静電気を除去する供給球用静電気除去部材274とを備える。
【0088】
導電性プレート271は金属板からなり、後壁部材212の裏面と平行に配される平板部271aと、該平板部271aの周囲の所定個所に形成された折り曲げ部271b,271b,…、各静電気除去部材を取り付ける取付部271c,271d,271e、封入球循環装置200の外部に接続する接続部271fとを備える。また、平板部271aには前後に貫通するねじ孔を有する固定部271hが形成されており、後壁部材212の裏面に形成された被固定部280にねじによって静電気除去手段270を固定できるようになっている。また、平板部271aには前後に貫通するねじ操作用開口271iが形成されている。このねじ操作用開口271iは、後壁部材212の裏面に形成されたユニット固定部283の裏面側に位置する部分に形成されている。上述したように、ユニット固定部283は流路ユニット210を取付盤135に固定するためのねじを挿通する部分であり、このねじ操作用開口271iを形成したことで、静電気除去手段270を取り外さなくても流路ユニット210の取り外しが可能となっている。
【0089】
図4,5に示すように、平板部271aは後壁部材212の裏面であって回収部213の下方に固定されるようになっており、流路ユニット210と揚送装置220の間に配されている。この平板部271aの周囲における所定個所には、流路ユニット210と対向する前面側に折り曲げられた折り曲げ部271b,271b,…が形成されている。この折り曲げ部271b,271b,…は、先端部が流路ユニット210の後壁部材212の裏面に当接することで、平板部271aを後壁部材212から所定間隔離して配設するためのものであり、これにより、後壁部材212の裏面に突出した突起部や前壁部材211と後壁部材212とを接合するためのねじの頭などにかかわらず平板部271aを後壁部材212と平行に配設できる。また図13に示すように、平板部271aの周囲における所定個所には、静電気除去部材を取り付ける取付部として、流路ユニット210と対向する前面側へ折り曲げられた回収球用取付部271c、供給球用取付部271d、揚送装置220と対向する裏面側へ折り曲げられた揚送部材用取付部271eが形成されている。
【0090】
流路ユニット210と対向する前面側に折り曲げられた回収球用取付部271c、供給球用取付部271dは、折り曲げ部271b,271b,…よりも前方へ延出するようになっている。また、それぞれの下端部から下方へ延出するように導電性の材質からなる(金属製の)ブラシ状の静電気除去部材が設けられている。このブラシ状の静電気除去部材は、導電性の材質からなる可撓性を有する線状の部材が、上下方向に沿って延在する状態で、回収球用取付部271c、供給球用取付部271dの延出方向に並ぶように複数配されることで構成され、垂直方向に沿った接触面を形成している。このような静電気除去部材のうち、回収球用取付部271cに取り付けられた静電気除去部材が回収球用静電気除去部材273であり、供給球用取付部271dに取り付けられた静電気除去部材が供給球用静電気除去部材274である。この静電気除去部材は、可撓性を有するとともにブラシ状に形成されていることから、後述するように流路に配されても遊技球の流下を妨げることがなく、かつ、動作する部材に対する接触効率を高めることができ、確実に広い接触面積で遊技球と接触可能となっている。
【0091】
図10から12に示すように、後壁部材212には、回収流路214の裏面側であって回収流路214の延在方向が略左右方向となっている位置に、前後に貫通する回収流路貫通孔214eが形成されている。この回収流路貫通孔214eは縦方向に延在するスリット状で、その上端部は回収流路214の上側の壁面より上側に位置し、下端部は回収流路214の上側の壁面より下側に位置するようになっている。すなわち、回収流路貫通孔214eは、上側の壁面の上側から下側へかけて形成されて、回収流路214の上側及び内側に位置するようになっている。また、上側の壁面を形成する流路形成壁216には、回収流路貫通孔214eと連通するように前後に延在するスリット状の開口214fが形成されている。さらに、流路形成壁216が形成された後壁部材212の前面には、回収流路貫通孔214eにおける回収流路214の上側の壁面より上方に位置する部分を囲むように周囲壁214gが形成されている。
【0092】
また、供給流路215の裏面側であって供給流路215の延在方向が略左右方向となっている位置には、前後に貫通する供給流路貫通孔215eが形成されている。この供給流路貫通孔215eも回収流路貫通孔214eと同様に縦方向に延在するスリット状で、その上端部は供給流路215の上側の壁面より上側に位置し、下端部は供給流路215の上側の壁面より下側に位置するようになっている。すなわち、供給流路貫通孔215eは、上側の壁面の上側から下側へかけて形成されて、供給流路215の上側及び内側に位置するようになっている。また、上側の壁面を形成する流路形成壁216には、供給流路貫通孔215eと連通するように前後に延在するスリット状の開口215fが形成されている。さらに、流路形成壁216が形成された後壁部材212の前面には、供給流路貫通孔215eにおける供給流路215の上側の壁面より上方に位置する部分を囲むように周囲壁215gが形成されている。
【0093】
そして、静電気除去手段270における回収球用取付部271cは回収流路貫通孔214eに対応する位置に形成され、供給球用取付部271dは供給流路貫通孔215eに対応する位置に形成されている。よって、平板部271aを所定位置に配設することで、回収球用取付部271cと回収球用静電気除去部材273が回収流路貫通孔214eに挿入され、供給球用取付部271dと供給球用静電気除去部材274が供給流路貫通孔215eに挿入されるようになっている。
【0094】
回収流路貫通孔214eに挿入された回収球用取付部271cと回収球用静電気除去部材273は、回収球用取付部271cが回収流路214の上側に位置し、回収球用静電気除去部材273のみが開口214fから回収流路214内に臨むようになっている。なお、導電性プレート271の一部である回収球用取付部271cは、回収流路貫通孔214e及び周囲壁214gに案内されることで、回収流路214の上側の壁面に前後方向に沿って形成された開口214fの延在方向(前後方向)に沿って配される。これにより、ブラシ状の回収球用静電気除去部材273が開口214fに沿って配されることとなる。開口214fの延在方向は回収流路214における遊技球の流下方向と直交する方向であり、この開口214fに沿って配される回収球用静電気除去部材273は回収流路214を横切るように配されて、複数の線状の部材で構成される接触面が流下方向と直交するように配されるので、流下する遊技球と確実に接触することが可能となる。これにより、回収流路214を流下する遊技球に帯電していた静電気を除去できる。
【0095】
また、回収球用静電気除去部材273が配される位置は、回収流路214の延在方向が略左右方向となっている位置であるので、垂直方向に延在する部分に比べて遊技球の流下速度が遅く、回収球用静電気除去部材273と遊技球との接触時間を長くでき、より効率よく静電気を除去できる。このように回収流路214に回収球用静電気除去部材273を備えることで、球磨き装置250が配された揚送装置220に遊技球が導入される前に静電気を除去でき、静電気により遊技球に付着していたごみなどを効率よく除去できるようになるので、より球磨きの効果を高めることができる。
【0096】
なお、回収球用静電気除去部材273を回収球センサ214dよりも上流側に設け、遊技球が回収球センサ214dを通過する前に静電気を除去するようにすれば、上述の効果に加え、静電気による回収球センサ214dへの影響を防止することができる。また、ファール球を受け入れるファール球受入部225を揚送路221(下部誘導部222)に接続するようにしたが、このファール球受入部225を回収流路214における回収球用静電気除去部材273が設けられた位置よりも上流側に接続するようにし、ファール球の静電気も除去できるようにしても良い。
【0097】
供給流路貫通孔215eに挿入された供給球用取付部271dと供給球用静電気除去部材274は、供給球用取付部271dが供給流路215の上側に位置し、供給球用静電気除去部材274のみが開口215fから供給流路215内に臨むようになっている。なお、導電性プレート271の一部である供給球用取付部271dは、供給流路貫通孔215e及び周囲壁215gに案内されることで、供給流路215の上側の壁面に前後方向に沿って形成された開口215fの延在方向(前後方向)に沿って配される。これにより、ブラシ状の供給球用静電気除去部材274が開口215fに沿って配されることとなる。開口215fの延在方向は供給流路215における遊技球の流下方向と直交する方向であり、この開口215fに沿って配される供給球用静電気除去部材274は供給流路215を横切るように配されて、複数の線状の部材で構成される接触面が流下方向と直交するように配されるので、流下する遊技球と確実に接触することが可能となる。これにより、供給流路215を流下する遊技球に帯電していた静電気を除去できる。
【0098】
また、供給球用静電気除去部材274が配される位置は、供給流路215の延在方向が略左右方向となっている位置であるので、垂直方向に延在する部分に比べて遊技球の流下速度が遅く、供給球用静電気除去部材274と遊技球との接触時間を長くでき、より効率よく静電気を除去できる。このように供給流路215に供給球用静電気除去部材274を備えることで、球磨きにより遊技球に帯電した静電気を除去でき、遊技球へのごみなどの付着を防止できて、より球磨きの効果を高めることができる。なお、供給球用静電気除去部材274を球量センサ215dよりも上流側に設け、遊技球が球量センサ215dを通過する前に静電気を除去するようにすれば、上述の効果に加え、静電気による球量センサ215dへの影響を防止することができる。
【0099】
また、揚送装置220と対向する裏面側へ折り曲げられた揚送部材用取付部271eには、後方の端部から後方へ延出するように導電性の材質からなるブラシ状の揚送部材静電気除去部材272が設けられている。このブラシ状の揚送部材静電気除去部材272は、導電性の材質からなる可撓性を有する線状の部材が、揚送部材用取付部の延出方向(前後方向)に沿って延在する状態で、上下方向に並ぶように複数配されることで構成されており、垂直方向に沿った接触面を形成している。この揚送部材静電気除去部材272は、流路ユニット210の後方に配される揚送装置220における、揚送部形成部226の前側の貫通口から露出した揚送部材230の周面に、複数の線状の部材で構成される接触面が接触するようになっている。なお、この揚送部材静電気除去部材272も、可撓性を有するとともにブラシ状に形成されていることから、揚送部材230の回転を妨げることがなく、かつ、動作する部材に対する接触効率を高めることができ、確実に広い接触面積で揚送部材230と接触可能となっている。この揚送部材静電気除去部材272より、導電性の材質からなる揚送部材230に帯電していた静電気を除去できるとともに、揚送部材230に接触する遊技球に帯電していた静電気も除去でき、より球磨きの効果を高めることができる。
【0100】
すなわち、静電気除去手段270は、揚送部材230に接触する揚送部材静電気除去部材272を備え、該揚送部材静電気除去部材272を導電性の材質からなるブラシで構成したこととなる。
【0101】
また、遊技に供された遊技球を回収する回収流路214と発射装置60に遊技球を供給する供給流路215を有する流路構成部材(流路ユニット210)を備え、揚送装置220は、流路構成部材に隣設されて、回収流路214から導入した遊技球を揚送して供給流路215に導出するように構成され、静電気除去手段270は、流路構成部材と揚送装置220の間に、揚送部材静電気除去部材272を電気的に接続するように備えた導電性プレート271を備え、導電性プレート271に、回収流路214に臨んで回収球の静電気を除去する回収球用静電気除去部材273と、供給流路215に臨んで供給球の静電気を除去する供給球用静電気除去部材274と、を電気的に接続するように備えたこととなる。
【0102】
また、平板部271aの裏面側から見た右側部には、封入球循環装置200の外部に接続する接続部271fが形成されている。この接続部271fは、流路ユニット210と対向する前面側に折り曲げられ、さらに、前端部が平板部271aと平行になるように外側へ折り曲げられている。このように形成された接続部271fは、流路ユニット210の裏面側から見た右側部に形成された凹状の窪みである接続部配設部218に配設されるようになっていて、前端部が前壁部材211の前端と略等しい前後位置に配されるようになっている。
【0103】
また、接続部271fの前端面には、導電性の材質からなる接続部材271gが設けられており、この接続部材271gが、封入球循環装置200を取り付ける前面枠本体130の下部に形成された金属製の取付盤135と電気的に接続するようになっている。この接続部材271gは、略四角柱状の弾性部材としてのウレタンフォームの周囲を被覆部材としての導電性繊維で被覆したもので、一般的にガスケットとして使用されるものである。そして、接続部材271gは、被覆部材で被覆された一側面が、接続部271fの前端に導電性の両面テープによって貼り付けられることで取り付けられている。このように、接続部271fの前端に弾性を有する接続部材271gを取り付けたことで、静電気除去手段270と取付盤135とが確実に電気的に接続される。
【0104】
そして、上述したように、前面枠本体130の取付盤135は前面枠本体130の下部ヒンジ部本体134と電気的に接続し、下部ヒンジ部本体134は本体枠110のヒンジ部111と電気的に接続している。さらに、本体枠110のヒンジ部111は本体枠110の外周を構成する金属製の部分に電気的に接続している。よって、本体枠110の外周を構成する金属製の部分を、島設備に設けられたアースに接続することで、封入球循環装置200の静電気を外部に逃がすことができる。なお、封入球式遊技機100が島設備などの外部のアースと接続されていなくても遊技球の静電気の帯電量を軽減することが可能である。
【0105】
以上のように、静電気除去手段270は、導電性プレート271に複数の静電気除去部材を備えることで、循環経路内の遊技球に対して複数箇所で静電気を除去でき、極めて効率の高い帯電防止対策となる。また、一つの導電性プレート271に揚送部材静電気除去部材272と、回収球用静電気除去部材273と、供給球用静電気除去部材274と、を備えたので、外部のアースと接続する部分を接続部271fの一ヶ所に集約できる。また、導電性プレート271を一定の強度を有するものにすれば、封入球循環装置200全体の強度を高めることができる。また、揚送部223を含む球磨き部に対して循環経路内に配された遊技球を検出する各種センサ等をシールドすることも可能となる。
【0106】
すなわち、発射装置60から発射された遊技球を回収し、該回収した遊技球を再び該発射装置60に供給することで遊技球を循環使用する封入球式遊技機100において、回収した遊技球を発射装置60に供給するために上方に揚送する揚送部材230を有する揚送装置220と、揚送装置220により揚送される遊技球を磨く球磨き装置250と、揚送部材230に電気的に接触して当該揚送部材230の静電気を除去する静電気除去手段270と、を備えたこととなる。
【0107】
揚送装置220の後方に配される球磨き装置250は、図19,20に示すように、各種部材を取り付ける本体部251と、遊技球を磨く球磨き部材261と、使用済みの球磨き部材261を交換、回収する巻き取り手段260と、後方開口237から露出する遊技球に球磨き部材261を押し付ける押圧手段290とを備える。この球磨き装置250は、本体部251の一側部に軸受部253,253が形成され、軸受部253,253が揚送装置220の背面に形成された支持部238の支持軸238a,238aに回動可能に軸支されている。また、本体部251にはねじ孔を有する固定部257が形成され、固定部257を被固定部245に固定することで揚送装置220の後方に固定されるようになっている。
【0108】
本体部251における揚送装置220と対向する前面の中央部には、押圧手段290が配されている。この押圧手段290は、後方開口237から露出する遊技球に球磨き部材261を押し付けるための押圧部材291と、該押圧部材291を保持するとともに本体部251に取り付けるための押圧部材配設部292とを備える。
【0109】
押圧部材291は、後方開口237をちょうど覆うことのできる大きさの矩形状をした球磨き部291aと、該球磨き部291aの側部に形成され、押圧部材配設部292に取り付けるための取付部291b,291b,…が形成されている。このうち球磨き部291aは、球磨き装置250を揚送装置220の裏面に取り付けた際に、ちょうど揚送部223の後方開口237に臨むようになっている。すなわち、球磨き部291aは、その前面が揚送部223の後側の壁面をなす。また、球磨き部291aの前面には、帯状の球磨き部材261が配設される。取付部291b,291b,…は、球磨き部291aの両側部に二つずつ、それぞれ球磨き部291aの側方へ延出するように形成されている。各取付部291bにおける延出方向の端部には、球磨き部291aにおける後方開口237と対向する面に対して垂直に後方へ延出するガイド軸291cが形成されている。
【0110】
押圧部材配設部292はねじ孔を有する固定部292bを備え、該固定部292bを本体部251に形成された押圧手段固定部252にねじにより固定することで、押圧手段290が本体部251に取り付けられるようになっている。また、押圧部材配設部292には、ガイド軸291cの位置に対応して該ガイド軸291cを挿通可能な前後に貫通する挿通孔292aが形成されている。そして、押圧部材291は、ガイド軸291cを押圧部材配設部292に形成された挿通孔292aに前側から挿通し、押圧部材配設部292の後方に貫通したガイド軸291cの後端部に、挿通孔292aの径よりも大きい径を有する抜け止め部材(図示略)を取り付けることで、押圧部材配設部292に対して前後動可能に取り付けられるようになっている。
【0111】
さらに、各ガイド軸291cには付勢部材としての圧縮コイルばね(図示略)が挿通され、この圧縮コイルばねが押圧部材配設部292と取付部291bの間に配されるようになっている。そして、この圧縮コイルばねは、一端が取付部291bの後面に当接するとともに他端が押圧部材配設部292の前面に当接し、押圧部材291を押圧部材配設部292に対して前方へ(押圧部材配設部292と球磨き部291aを離す方向へ)付勢する。これにより、揚送部223内の遊技球が、前側に配された揚送部材230に押し付けられ、揚送部材230による上方への揚送が可能となる。また、球磨き部291aの前面に配設された球磨き部材261が、揚送部223内の遊技球に押し付けられ、揚送される遊技球が磨かれる。なお、圧縮コイルばねの付勢力は、遊技球や揚送部材230に過度の押圧力がかからない程度の付勢力とされている。また、球磨き部291aが前後の移動範囲における前端の位置にある状態においては、揚送部223の前後幅、すなわち、揚送部材230の周面に形成された遊技球が載るらせん状の溝232から球磨き部材261までの間隔が、遊技球の直径より狭くなるようにされている。これにより、揚送部223に導入された遊技球が確実に球磨き部材261に当接するようになっている。
【0112】
球磨き部材261は、球磨き部291aの横幅と略同じ幅を有する帯状に形成されたものであって、球磨き部291aの前面に配設されることで揚送部223の後方開口237から露出する遊技球に押し付けられ、揚送される遊技球の汚れをふき取るようになっている。このように遊技球の汚れをふき取る球磨き部材261としては、例えば、遊技球と接触する表面(摺動面)がナイロンとポリエステルとレーヨンからなり、ベースとなる裏面がポリエチレンとアクリルからなる帯状の布を用いることができる。また、所定期間使用して汚れた球磨き部材261を交換するために、本体部251における押圧部材配設部292の後方には、未使用の球磨き部材261を収納するとともに使用済みの球磨き部材261を収納する収納部256が設けられている。
【0113】
この収納部256は、球磨き装置250を封入球式遊技機100に取り付けた状態で、上側となる部分が未使用の球磨き部材261を保持する保持部256aとされている。また、下側となる部分は球磨き面261aを新たな面に更新するために使用済みの球磨き部材261を巻き取るための巻き取りリール262を備えた巻き取り手段260が収納される巻き取り手段収納部256bとされている。これにより、効率よく球磨きに関する機構を配置することが可能となる。
【0114】
保持部256aには、未使用の球磨き部材261を収容可能な保持部材258が取り付けられるようになっている。この保持部材258は、球磨き部材261を収容可能な後方が開口した収容空間258aを有する箱型に形成されており、該収容空間258aに未使用の球磨き部材261を収容し、本体部251の保持部256aに対して押圧手段290が配される前側から挿入することで後方の開口が閉鎖され、保持部256aに球磨き部材261を保持できるようになっている。また、保持部材258の側面には係合部258bが形成されており、保持部256aの所定位置に挿入することで係合部258bが本体部251に形成された被係合部251aに係合し、保持部材258が本体部251に固定されるようになっている。
【0115】
この保持部256aに保持される未使用の球磨き部材261は、折りたたまれた状態で収容されていて、保持部256aにリールなどを配設した場合よりも、同じ容積でより多くの球磨き部材261を収容できるようになっており、球磨き部材261を補充する回数が少なくなるようにされている。また、保持部材258の前面における一側端側である上部には、球磨き部材261を導出するスリット状の導出口258cが形成されている。そして、保持部材258の前面における他側端側である下部には、導出口258cから導出された球磨き部材261の撓みやよじれを防止する撓み防止手段300を支持するための支持部258dが形成されている。
【0116】
この支持部258dに支持される撓み防止手段300は、図22に示すように、一端側である下端部に支持部258dにより支持される軸部301が形成され、他端側である上端部に球磨き部材261の導出方向を規制する規制部302が形成されている。
【0117】
規制部302には、撓み防止手段300の一側面側(後面側)から他側面側(前面側)へ貫通するスリット状の導出開口部303が形成されており、この導出開口部303に帯状の球磨き部材261が挿通されるようになっている。この導出開口部303の内周は、挿通された球磨き部材261と接触する接触部304をなし、この接触部304の上辺は、中央が球磨き部材261側に向かって(下側に向かって)突出する湾曲形状に形成されている。また、撓み防止手段300の中央には、下端から導出開口部303へかけて切欠き状に切り取られた空隙部305が形成されていて、この空隙部305により接触部304の下辺は中央部で途切れており、下方に突出した上辺に沿って湾曲して配される球磨き部材261と接触しないようにされている。
【0118】
導出開口部303の下方であって、空隙部305を挟んだ両側は軸部形成部306とされ、この軸部形成部306の下端には軸部301が形成されている。すなわち、撓み防止手段300は全体が下方に開口した略コ字状に形成されている。軸部301は、スリット状の導出開口部303の幅方向と平行に外側へ延出するように形成された円柱状の部分で、保持部材258に形成された支持部258dにより回動可能に支持されるようになっている。
【0119】
このような撓み防止手段300は、導出開口部303の位置が保持部材258の導出口258cや押圧部材291の上端よりも低い位置に配され、未使用の球磨き部材261が撓み防止手段300でV字状に折り返すように配される。これにより球磨き部材261の導出方向を規制でき、球磨き部材261のねじれや撓みを防止できて、球磨き部材261が球磨き部291aに整然と設置できないといった事態を防止できる。また、球磨き部材261が折り返されるようになるので、球磨き部材261に一定のテンションが加わり、遊技球の磨き効率を高めることが可能となる。
【0120】
また、導出開口部303に挿通された球磨き部材261は、中央が球磨き部材261側に向かって(下側に向かって)突出する湾曲形状に形成された接触部304の上辺に沿って配されるので、球磨き部材261の捻れを防止できるとともに、導出開口部303の中央に球磨き部材261を配設することができ、球磨き部材261が球磨き部291aに正しく配設される。特に、保持部256aでは未使用の球磨き部材261が折りたたまれるように収容されているので、導出される際に捻れたり撓んだりする可能性があるが、撓み防止部材300を備えることによりこれを防止できる。
【0121】
さらに、撓み防止手段300は軸部301を中心として、図23に示すように略垂直な状態と、図24に示すように前方に傾倒した状態とに回動可能となっている。このように撓み防止手段300が回動可能であることで、撓み防止手段300や球磨き部材261にかかる力の一部を逃がすことができて過度な負担がかかることがなく、効率よくスムーズに球磨き部材261を導出することが可能となる。さらに、導出開口部303の上下には複数の錘307が取り付けられており、この錘307の重量により撓み防止手段300が前方に傾倒する方向へ付勢されるようになっている。
【0122】
図21に示すように巻き取り手段260は、使用済みの球磨き部材261を巻き取るための巻き取りリール262と、巻き取りリール262の回転方向を一方向に規制する規制手段と、巻き取りリール262の回転軸265に接続された第六ギア263とを備える。
【0123】
巻き取りリール262および第六ギア263が取り付けられた回転軸265は、本体部251に形成された軸受部254と、該軸受部254に取り付けられる軸受部材259によって本体部251に対して回転可能に支持されるようになっている。これにより、本体部251の巻き取り手段収納部256bに巻き取り手段260が収納され、本体部251の巻き取り手段収納部256bに隣接して形成されたギア収納部255に第六ギア263が収納されるようになっている。この第六ギア263は球磨き装置250の前方側に露出するように配され、球磨き装置250を揚送装置220に取り付けることで、揚送装置220の下部ギアボックス244に配設された第五ギア244bと噛み合うようになっている。上述したように、この第五ギア244bには、揚送部材230を回転するモータ233から動力伝達装置240を介して動力が伝達されるようになっており、モータ233により巻き取り手段260が駆動できるようになっている。なお、図15に示すように、下部ギアボックス244の側面には、回転軸244dと接続した操作部244eが設けられており、この操作部244eを手で操作することでも巻き取り手段260を駆動できるようになっている。
【0124】
図25に示すように、巻き取りリール262は、回転軸265を軸着する軸着部262aを中心に備え、回転軸265と同心円をなす筒状に形成された巻き取り部266と、巻き取り部266の両端に設けられ、回転軸265と同心円をなすとともに回転軸265に対して垂直な円盤状の鍔部267,268とを備えている。
【0125】
巻き取り部266は一方の鍔部267と一体に形成されており、回転軸265の延在方向に沿った幅が球磨き部材261の幅と略等しい幅とされている。また、巻き取り部266の外周には、複数の凹凸部266aが形成されており、巻き取った球磨き部材261が滑ることを防止して効率よく巻き取ることができるようにされている。さらに、巻き取り部266には、球磨き部材261の端部を挿入可能なスリット266bが回転軸265の延在方向に沿って形成されている。
【0126】
また、巻き取り部266が形成された鍔部267と対になる他方の鍔部268には、巻き取り部266のスリット266bとともに球磨き部材261の端部を挟持する挟持部材268aが形成されている。この挟持部材268aは、鍔部268からの延出幅が巻き取り部266の回転軸265の延在後方に沿った幅と略等しくされており、巻き取り部266の周方向に沿った幅はスリット266bの周方向に沿った幅よりも狭くなっている。また、挟持部材268aの外周面は、巻き取り部266の外周面よりもわずかに中心側に位置するとともに、周方向の端部のうち、球磨き部材261を巻き取る方向とは反対側の端部には、外周面が巻き取り部266の厚みと略等しい幅だけ中心側に位置する段部268bが形成されている。また、挟持部材268aが形成された鍔部268には、巻き取り部266に形成されたねじ止め部266cと対応する位置にねじ269aを挿通可能なねじ孔268cが形成されている。このねじ孔268cは、挟持部材268aが球磨き部材261の端部を挟持する位置に配された状態でねじ止め部266cと一致するような位置に形成されている。また、挟持部材268aが形成された鍔部268の外周には、規制手段としてのラチェット機構の一部をなすラチェット歯車268dが形成されている。
【0127】
このような巻き取りリール262を組み立てる際には、まず、スリット266bに挟持部材268aを挿入するように両方の鍔部267,268が対向するように組み付け、球磨き部材261の端部をスリット266bに挿入する。このとき、挟持部材268aの段部268bが形成された側に球磨き部材261の端部を挿入するようにし、挟持部材268aとスリット266bの端部とで球磨き部材261を挟持する方向へ一方の鍔部268を他方の鍔部267に対して回転させる。これによりねじ孔268cとねじ止め部266cが一致するようになり、この位置でねじ269aにより固定することで、巻き取りリール262が組み立てられるとともに球磨き部材261の端部が巻き取りリール262に固定される。すなわち、ねじ止め部266c、ねじ孔268c、ねじ269aが鍔部268を巻き取り部266に固定する固定手段269をなす。なお、固定手段269は、このようにねじ止め部266cを備えねじ269aにより固定するものの他、係合部と被係合部を備えるものなどなんでも良い。
【0128】
このような巻き取りリール262を備えることで、球磨き部材261を巻き取って容易に球磨き面261aを更新することが可能となり、球磨き部材261が汚れた場合でも直ぐに交換する必要がなくなって作業を軽減できる。また、上述のように巻き取り部266の一方側から鍔部268の挟持部材268aをスリット266bに挿入し、該鍔部268を所定方向に回転させて球磨き部材261の端部を挟持する位置で、固定手段269により当該鍔部268を巻き取り部266に固定することで球磨き部材261が巻き取り部266に取り付けられるので、球磨き部材261の固定作業が簡単であり、球磨き部材261の交換作業が容易になる。また、球磨き部材261を巻き取りリール262に固定する機能を簡単な機構で実現することができる。すなわち、巻き取りリール262と球磨き部材261を固定する機構が一体となっていることから、球磨き装置250の大型化の防止、コスト低減、故障の防止、等の効果が得られる。
【0129】
以上のことから、球磨き装置250は、球磨き面261aを新たな面に更新するために球磨き部材261を巻き取る巻き取りリール262を備え、球磨き部291aの上部に保持部256aを配置するとともに該球磨き部291aの下部に巻き取りリール262を配置するようにしたこととなる。
【0130】
また、発射装置60から発射された遊技球を回収し、該回収した遊技球を再び該発射装置60に供給することで遊技球を循環使用する封入球式遊技機100において、循環経路内の遊技球を摺動させながら磨く帯状の球磨き部材261を有するとともに、遊技球に接する球磨き面261aを新たな面に更新するための機能を有する球磨き装置250を備え、球磨き装置250は、球磨き面261aを新たな面に更新するために球磨き部材261を巻き取る巻き取りリール262を備え、巻き取りリール262は、巻き取り用の回転軸265に軸着されて球磨き部材261を巻き取るための筒状の巻き取り部266と、巻き取り部266の両端に設けられる鍔部267,268と、を備え、巻き取り部266には、球磨き部材261の端部を挿入するためのスリット266bが回転軸265方向に形成され、巻き取り部266の両端部に設けられる鍔部267,268の少なくとも一方を、該巻き取り部266に対して着脱可能に構成するとともに、当該鍔部268にスリット266bに対して挿入されて球磨き部材261の端部を挟持するための挟持部材268aを形成し、巻き取り部266の一方側から鍔部268の挟持部材268aをスリット266bに挿入し、該鍔部268を所定方向に回転させて球磨き部材261の端部を挟持する位置で、当該鍔部268を巻き取り部266に固定する固定手段269を備えたこととなる。また、巻き取り部266に凹凸部266aを形成したこととなる。
【0131】
図21に示すように、本体部251の巻き取り手段収納部256bには、ラチェット歯車268dが形成された鍔部268が位置する部分に、規制手段としてのラチェット機構の一部をなす爪部材264が設けられている。爪部材264は、本体部251および本体部251に取り付けられるカバー部材251bにより回動可能に軸支される軸着部264aと、該軸着部264aを挟んで一端側に形成され、ラチェット歯車268dと係合可能な係合部264bと、他端側に形成された錘をなすウエイト部264cと、を備える。
【0132】
このような爪部材264は、封入球循環装置200を遊技機100に取り付けた状態では、図26に示すように、ウエイト部264cの重さにより係合部264bが軸着部264aを中心として巻き取りリール262側へ付勢されるようになっている。よって、係合部264bがラチェット歯車268dに係合可能となり、巻き取りリール262の回転方向を、球磨き部材261を巻き取る一方向に規制するようになっている。巻き取りリール262は球磨き部291aの下端から導出された使用済みの球磨き部材261を巻き取るものであり、また、揚送路221における遊技球の揚送方向は、球磨き部291aの下端から上端へ向かう方向となっている。よって、遊技球の揚送に伴い、球磨き部材261には巻き取りリール262から使用済みの球磨き部材261を引き出すような方向に力がかかることとなるが、規制手段をなすラチェット機構を備えることで、巻き取りリール262の逆回転を防止できる。また、巻き取りリール262の逆回転が防止されることで、遊技球の揚送に伴って球磨き部291aに配された球磨き部材261には張力が加わることとなるので、球磨き部291aで球磨き部材261が撓むことを防止できる。
【0133】
また、この爪部材264は、球磨き装置250を封入球循環装置200から取り外して上下を逆にすると、図27に示すように、ウエイト部264cの重さにより係合部264bが軸着部264aを中心として巻き取りリール262から離れる方向へ付勢されるようになっている。よって、係合部264bがラチェット歯車268dに係合しない状態となり、巻き取りリール262をいずれの方向へも回転可能な状態となる。これにより、球磨き装置250を逆向きにすれば、巻き取りリール262逆回転の防止機構を解除するも可能となり、例えば、余分に球磨き部材261が巻き取られた際に球磨き部材261を元に戻すことや、使用済みの球磨き部材261を取り出すことが簡単に可能となる。
【0134】
以上のような構成によって、球磨き部材261が後方開口237に臨むように配されるとともに、球磨き部材261の球磨き面261aが汚れた場合には新たな球磨き面261aに更新することが可能となる。保持部256aに保持された未使用の球磨き部材261は、保持部材258の導出口258cから導出され、撓み防止手段300の導出開口部303を通って、押圧部材291の上端へ至る。そして、押圧部材291の上端から下端へかけて球磨き部291aの前面を覆うように配され、揚送経路内の遊技球に当接することで、揚送される遊技球を磨くことが可能となる。さらに、球磨き部291aで使用された使用済みの球磨き部材261は、押圧部材291の下端から押圧部材291に形成された保持用スリット293を通って巻き取り手段260の巻き取りリール262に巻き取られるようになっている。
【0135】
以上のことから、発射装置60から発射された遊技球を回収し、該回収した遊技球を再び該発射装置60に供給することで遊技球を循環使用する封入球式遊技機100において、循環経路内の遊技球を摺動させながら磨く帯状の球磨き部材261を有するとともに、遊技球に接する球磨き面261aを新たな面に更新するための機能を有する球磨き装置250を備え、球磨き装置250は、球磨き部材261を遊技球に対して当接させる球磨き部291aと、新たな球磨き部材261を保持する保持部256aとの間に設けられ、該球磨き部材261の撓みを防止する撓み防止手段300を備え、撓み防止手段300は、保持部256aと球磨き部291aとの間で球磨き部材261が折り返されるように当該球磨き部材261の導出方向を規制する規制部302を備え、該規制部302における該球磨き部材261との接触部304を、球磨き部材261の幅方向に沿って中央が球磨き部材261側に突出した湾曲形状に形成したこととなる。
【0136】
また、撓み防止手段300は、一端側が軸着されて他端部側が回動可能に構成され、該他端側に規制部304としての球磨き部材261を通す導出開口部303を形成したこととなる。
【0137】
また、挟持部材268aを有する鍔部268に、ラチェット歯車268dを形成するとともに、該ラチェット歯車268dに係合する爪部材264を設け、爪部材264は、軸着部264aを挟んで一端側に係合部264bを備えるとともに他端側に錘をなすウエイト部264cを備え、該ウエイト部264cの作用により球磨き装置250の使用時においては係合部264bがラチェット歯車268dに係合する方向に回動し、該球磨き装置250を使用時とは逆向きにした場合には、係合状態が解除する方向に回動するように構成したこととなる。
【0138】
また、発射装置60から発射された遊技球を回収し、該回収した遊技球を再び該発射装置60に供給することで遊技球を循環使用する封入球式遊技機100において、回収した遊技球を発射装置60に供給するために揚送する揚送部材230と、揚送部材230を駆動させるための駆動源(モータ233)と、揚送部材230により揚送される遊技球に接することで当該遊技球を磨く球磨き部材261を有する球磨き装置250と、を備え、球磨き装置250は、動力伝達装置240を介して伝達された駆動源の駆動力により、球磨き部材261の遊技球と接する接触面(球磨き面291a)を変更可能に構成され、動力伝達装置240は、駆動源の駆動方向が、遊技球の揚送が可能となるように揚送部材230を駆動する正方向である場合に、球磨き装置250への動力の伝達を遮断する一方、駆動源の駆動方向が逆方向である場合に、球磨き装置250へ球磨き部材261の接触面を変更するための動力を伝達する動力制御手段241を備えたこととなる。
【0139】
以上のように構成される封入球循環装置200によって、遊技球を循環して使用可能となるとともに、循環される遊技球が発射装置60へ移送される途中で磨かれることとなる。遊技球は、発射装置60から遊技領域1aへ向かって発射された後、封入球循環装置200に回収され、左右に蛇行した回収流路214を流下する。このとき、流下する遊技球が回収球センサ214dに検出されることで、回収された遊技球の数が計数されるようになっている。また、流下する遊技球は回収流路214に臨む回収球用静電気除去部材273に接触し、静電気が除去されるようになっている。そして、回収流路214を流下した遊技球は、流路ユニット210の下端に形成された流出口214bから揚送装置220の揚送路221の下部誘導部222に流入する。
【0140】
下部誘導部222に流入した遊技球は、傾斜に沿って流下して揚送部223の下端部に至り、ここで揚送部材230の溝232に嵌る。このとき、揚送部223の下端部に流入した遊技球は、下部誘導部222と対向するように形成された下部湾曲部223cによって上方向に誘導されるとともに、下部誘導板234により揚送部材230側へ誘導される。これにより、遊技球が確実に揚送部223へ導入され、揚送部材230の溝232に嵌るようになっている。そして、揚送部材230の回転に伴って溝232が上方へ移動することに伴い、遊技球は上方へ揚送される。
【0141】
揚送部材230により下部誘導板234よりも上方へ揚送されると、揚送部223の後方開口237に臨む球磨き部材261が遊技球に当接するようになる。この球磨き部材261は、後方から押圧部材291によって押圧されて揚送部223を揚送される遊技球に押し付けられるようになっている。上述したように揚送部223においては、溝232から球磨き部材261までの間隔が遊技球の直径よりも狭くなるように付勢されており、揚送部223内の遊技球は、球磨き部材261に摺接して磨かれながら上方へ揚送される。また、揚送部材230は導電性の材質からなるとともに、揚送部材静電気除去部材272に接触しており、揚送部材230と遊技球の摩擦や、球磨き部材261と遊技球の摩擦などで発生し、揚送部材230や遊技球に帯電した静電気を除去できるようになっている。
【0142】
このように揚送装置220によって磨かれて揚送部223の上端部に至った遊技球は、上部湾曲部223d、上部誘導板235に誘導されて上部誘導部224に流入する。そして、上部誘導部224の傾斜に沿って前方へ誘導されて揚送装置220の前端に形成された流出口224aから導出され、流路ユニット210の裏面に形成された流入口215aから供給流路215へ流入する。供給流路215を流下した遊技球は、流路ユニット210の前面に形成された流出口215bから発射装置60の前方供給流路61に誘導され、再び発射装置60に送られる。また、供給流路215を流下する遊技球は供給流路215に臨む供給球用静電気除去部材274に接触し、静電気が除去されるようになっている。
【0143】
なお、供給流路215と前方供給流路61には常に遊技球が待機した状態となるように、揚送部材230による遊技球の揚送速度は、発射装置60への遊技球の供給速度よりも若干速くされ、供給流路215で待機する遊技球が不足することがないようにされている。また、常に供給流路215、前方供給流路61に所定量の遊技球が待機した状態とするために、供給流路215の上流側部分には、その位置における遊技球の有無を検出する球量センサ215dが設けられている。このような球量センサ215dを設けることで、供給流路215に遊技球が十分に供給されて球量センサ215dが設けられた位置まで遊技球で満たされ、球量センサ215dで遊技球の存在を検出した場合は、モータ233の駆動を停止する処理がなされて回収流路214からの遊技球の揚送が停止される。また、供給流路215、前方供給流路61の遊技球が発射装置60に供給されて減少し、球量センサ215dで遊技球の存在を検出しなくなった場合は、モータ233を駆動する処理がなされて遊技球が回収流路214から揚送されるようになっている。
【0144】
また、球磨き装置250は、封入球式遊技機100の使用時(遊技球の揚送時)では、揚送部223において遊技球を上方へ揚送する方向へ揚送部材230を回転させるようにモータ233を回転(モータ233を正方向に回転)するので、動力伝達装置240に設けられた動力制御手段241において動力の伝達が遮断され、下部ギアボックス244に動力が伝達されないようになっている。すなわち、遊技球を上方へ揚送する状態においては、巻き取り手段260は動作しないようになっている。また、このときは、規制手段をなすラチェット機構により巻き取りリール262が球磨き部材261を巻き取る方向とは反対の方向へは回転できないように規制されており、巻き取った使用済みの球磨き部材261が緩んだり、逆方向へ引き出されたりすることが防止される。また、撓み防止手段300は、図23に示すように自重により前方へ傾倒した状態となるので、球磨き部材261が導出開口部303の前面で略直角に屈曲するようになり、未使用の球磨き部材261が保持部256aから引き出されることが防止される。さらに、撓み防止手段300が前方へ傾倒することで、球磨き部材261が球磨き部291aの上端から下方へ引っ張られるようになるので、球磨き部291aでの球磨き部材261の撓みが防止される。
【0145】
そして、球磨き部材261を所定期間使用したことで球磨き面261aが汚れた場合は、巻き取り手段260により球磨き部材261を巻き取り、未使用の球磨き部材261が揚送部223に臨むように更新する。この球磨き部材261を更新する所定期間は、例えば、所定数の遊技球が揚送部223を通る期間であって、回収球センサ214dでの遊技球の検出数に基づき揚送部223を通る球数を計測し、所定数の遊技球が通過した場合に球磨き部材261の球磨き面261aを更新するように制御されている。なお、揚送部223を通る球数の計測は、球量センサ215dや供給球検出センサなどでの遊技球の検出数に基づいて行うようにしてもよい。また、所定時間ごとに更新するようにしても良いし、係員の操作に基づき更新するようにしても良い。
【0146】
この球磨き部材261の更新時には、揚送部223において遊技球を上方へ揚送するように揚送部材230を回転させる方向とは逆方向にモータ233を回転(モータ233を逆方向に回転)する。これにより、動力伝達装置240を介して下部ギアボックス244に動力が伝達され、下部ギアボックス244の裏面に露出した第五ギア244bが回転する。そして、第五ギアと噛み合う巻き取り手段260の第六ギア263が連動して回転して、巻き取り手段260が動作し、球磨き部材261が更新されるようになっている。なお、規制手段をなすラチェット機構は、巻き取りリール262が球磨き部材261を巻き取る方向へは回転可能としているので、第六ギア263の回転に伴い巻き取りリール262が回転し、球磨き部材261が巻き取られるようになっている。
【0147】
またこのとき、撓み防止手段300は、球磨き部材261が引っ張られることで、図24に示すような略垂直な状態となり、未使用の球磨き部材261を保持部256aから引き出すことが可能となる。また、導出開口部303の上辺が下方に突出した湾曲形状とされているので、球磨き部材261が捻れることなく引き出される。そして、モータ233を停止することで、図23に示すように撓み防止手段300が再び自重により前方へ傾倒した状態となり、未使用の球磨き部材261が保持部256aから引き出されることが防止されるとともに球磨き部291aでの球磨き部材261の撓みが防止される。
【0148】
なお、球磨き装置250には、未使用の球磨き部材261が無くなったことを検出する検出センサ(図示略)が設けられており、該検出センサによる検出に基づき、所定の報知(例えば、LCDパネル113への表示や遊技機外部の管理装置(ホールコンピュータ)への情報の出力)が行われるようになっている。また、上述したように揚送装置220の球磨き装置検出スイッチ236によっても未使用の球磨き部材261が無くなったことを検出できるようになっている。
【0149】
そして、未使用の球磨き部材261が無くなった場合は、保持部256aに新たな未使用の球磨き部材261を補充するとともに、巻き取り手段260の巻き取りリール262を新しいものに交換することで補充することができる。上述したように球磨き装置250は、一側部に形成された軸受部253,253が支持部238に回動可能に軸支されているので、固定部257の被固定部245への固定を解除することで揚送装置220の後方に扉状に開くことができ、球磨き部材261の補充作業を容易に行うことができる。また、軸受部253,253を軸支する支持部238に形成された支持軸238a,238aは、揚送部223の延在方向に沿って上方へ延出するように形成された所定の長さを有するものであり、軸受部253,253を上方へスライドさせることで、容易に支持軸238a,238aからはずすことができる。よって、未使用の球磨き部材261が無くなった場合には、球磨き装置250自体を交換するようにしても良い。また、取り外した球磨き装置250の上下を逆にすれば、規制手段をなすラチェット機構による巻き取りリール262の回転方向の規制が解除されるので、巻き取られた使用済みの球磨き部材261を容易に取り出すことも可能である。
【0150】
なお、以上の実施形態の封入球式遊技機100においては、揚送部材230は、スパイラル歯車状の部材としたが、ベルトやスプロケット等を備えるものとしても良い。また、球磨き部材261は、遊技球の汚れを拭き取って磨くものであれば、布、紙に限られずなんでもよい。また、押圧部材291を付勢する付勢部材として圧縮コイルばねを用いたがこれに限られるものではなく、他の種類のばねやゴムなどの弾性を有するものであれば良い。また、静電気除去部材272,273,274は、金属製としたが、導電性を有する繊維などでも良い。また、静電気除去部材272,273,274の形状をブラシ状としたが、遊技球の流下や揚送部材230の動作を妨げず、かつ、確実に接触できるような形状であれば良く、紐状、鎖状、シート状など何でも良い。また、静電気除去手段270と取付盤135とを電気的に接続する接続部材271gとしては、例えば、金属製のばね、導電性のゴムやプラスチック、電子機器のEMI(電磁妨害)対策に用いられる導電性のガスケットを用いることができる。
【0151】
また、導出開口部303に挿通された球磨き部材261と接触する接触部304の上辺を、中央が球磨き部材261側に向かって(下側に向かって)突出する湾曲形状に形成されているとしたが、これに限られるものではなく、導出される帯状の球磨き部材261の捻れを防止できる形状であればよい。
また、未使用の球磨き部材261を保持する保持部256aは、単なる空間部の他、リール等の巻き取り装置を設けたものでも良い。
【0152】
以上のような封入球式遊技機100は、発射装置60から発射された遊技球を回収し、該回収した遊技球を再び該発射装置60に供給することで遊技球を循環使用する封入球式遊技機100であって、循環経路内の遊技球を摺動させながら磨く帯状の球磨き部材261を有するとともに、遊技球に接する球磨き面261aを新たな面に更新するための機能を有する球磨き装置250を備え、球磨き装置250は、球磨き部材261を遊技球に対して当接させる球磨き部291aと、新たな球磨き部材261を保持する保持部256aとの間に設けられ、該球磨き部材261の撓みを防止する撓み防止手段300を備え、撓み防止手段300は、保持部256aと球磨き部291aとの間で球磨き部材261が折り返されるように当該球磨き部材261の導出方向を規制する規制部302を備え、該規制部302における該球磨き部材261との接触部304を、球磨き部材261の幅方向に沿って中央が球磨き部材261側に突出した湾曲形状に形成している。
【0153】
したがって、球磨き装置250は、球磨き部材261を遊技球に対して当接させる球磨き部291aと、新たな球磨き部材261を保持する保持部256aとの間に設けられ、該球磨き部材261の撓みを防止する撓み防止手段300を備え、撓み防止手段300は保持部256aと球磨き部291aとの間で球磨き部材261が折り返されるように当該球磨き部材261の導出方向を規制する規制部302を備えるので、球磨き部材261の導出方向を規制でき、球磨き部材261のねじれや撓みを防止できて、球磨き部材261が球磨き部291aに整然と設置できないといった事態を防止できる。また、球磨き部材261が折り返されるようになるので、球磨き部材261に一定のテンションが加わり、遊技球の磨き効率を高めることが可能となる。また、撓み防止手段300は、規制部302における球磨き部材261との接触部304を、球磨き部材261の幅方向に沿って中央が球磨き部材261側に突出した湾曲形状に形成したので、球磨き部材261の捻れを防止でき、球磨き部材261が球磨き部291aに正しく配設される。特に、保持部256aにおいて未使用の球磨き部材261を折りたたむように収容した場合には、導出される際に捻れたり撓んだりする可能性があるが、撓み防止部材300を備えることによりこれを防止できる。
【0154】
また、撓み防止手段300は、一端側が軸着されて他端部側が回動可能に構成され、該他端側に規制部304としての球磨き部材261を通す導出開口部303を形成している。
【0155】
したがって、撓み防止手段300は、一端側が軸着されて他端部側が回動可能に構成され、該他端側に規制部304としての球磨き部材261を通す導出開口部303を形成したので、効率よく球磨き部材261を導出することが可能となる。すなわち、撓み防止手段300が回動可能であることで、撓み防止手段300や球磨き部材261にかかる力の一部を逃がすことができて過度な負担がかかることがなく、効率よくスムーズに球磨き部材261を導出することが可能となる。
【0156】
また、球磨き装置250は、球磨き面261aを新たな面に更新するために球磨き部材261を巻き取る巻き取りリール262を備え、球磨き部291aの上部に保持部256aを配置するとともに該球磨き部291aの下部に巻き取りリール262を配置するようにしている。
【0157】
したがって、球磨き装置250は、球磨き面261aを新たな面に更新するために球磨き部材261を巻き取る巻き取りリール262を備え、球磨き部291aの上部に保持部256aを配置するとともに該球磨き部291aの下部に巻き取りリール262を配置するので、効率よく球磨きに関する機構を配置することが可能となる。
【0158】
なお、本発明の封入球式遊技機100は、遊技機として、前記実施の形態に示されるようなパチンコ遊技機に限られるものではなく、例えば、その他のパチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機などの遊技球を使用する全ての遊技機に適用可能である。
【0159】
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0160】
100 封入球式遊技機
1a 遊技領域
60 発射装置
220 揚送装置
250 球磨き装置
272 揚送部材静電気除去部材(静電気除去部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射装置から遊技領域に発射された遊技球を回収し、該回収した遊技球を再び該発射装置に供給することで遊技球を循環使用する封入球式遊技機において、
前記回収された遊技球を上方へ揚送する揚送装置と、
前記揚送装置により揚送される遊技球を磨く球磨き装置と、
前記揚送装置により揚送される遊技球の静電気を除去する静電気除去部材と、を備え、
前記静電気除去部材は、前記揚送装置により揚送が開始された遊技球が前記球磨き装置で磨かれる前に当該遊技球の静電気を除去することを特徴とする封入球式遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate


【公開番号】特開2013−81826(P2013−81826A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−22841(P2013−22841)
【出願日】平成25年2月8日(2013.2.8)
【分割の表示】特願2011−51139(P2011−51139)の分割
【原出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】