説明

封緘シール

【課題】 低コストで製造でき、かつ不正に剥がされたことが確実に認識できる封緘シールを提供する。
【解決手段】 本発明に係る封緘シールでは、紙または樹脂フィルムからなる上紙層5に、この上紙層を破断可能にする切れ目10が形成されており、当該切れ目が視認可能な任意の文字状または模様状になっているので、不正にシールが剥がされたことが、文字または模様が破壊されて浮き上がることにより確実に認識することができる。また、この上紙層に形成された切れ目が、封緘対象物の封緘後に封緘シールを全面的に剥離しようとした場合に、この封緘シールの少なくとも一部が破断してしまう程度の密度になっていることにより、封緘状態から封緘シールを痕跡なくきれいに剥がすことがほぼ不可能となり、認識できない状態のまま不正行為が行われるのを確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封緘シールに関し、詳細には、開封されたことが認識可能な封緘シールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、封書、文書及び包装等の封じ目に貼って封をするための封緘シールが知られている。また、それらの内容物の取り替え、抜き取り及び差し替え等を防止するために、封緘部の不正な開封が確認できる開封防止シールが提案されている。例えば、特許文献1では、切断による切断面が容易に確認できる開封防止シールが開示されている。この開封防止シールは、図6に示すように、基材層100と、基材層100上に積層された着色層101、透明剥離層102及び透明保護層103を備えており、これらがラミネートされてシール本体110を構成しており、さらに、このシール本体110の基材層100側に接着層105が形成されている。
【0003】
この開封防止シールを例えばカッター等の鋭利な刃物で切断すると、透明剥離層が着色層から剥離した状態となり、切断部分の透明剥離層が浮いた状態となって、切断部分がその他の着色層部分の色と異なって見えることになる。従って、容易にその切断面が視認できるようになっている。
【特許文献1】 特開平6−286769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の開封防止シールでは、構成が複雑なため、製造コストが高くなるという問題があった。また、シールを切断することなく、かつ痕跡を残さぬようきれいに剥離するのが決して不可能な訳ではないため、依然として不正剥離が行われてしまう可能性があるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、低コストで製造でき、かつ不正に剥がされたことが確実に認識できる封緘シールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る封緘シールは、封書、文書及び包装等の封緘対象物の封じ目に貼り付けて封をするためのものであって、紙または樹脂フィルムからなる上紙層と、当該上紙層の一方の面に積層され、前記封緘シールを前記封じ目に貼り付けるための粘着剤層とを備え、前記上紙層には、この上紙層を破断可能にする切れ目が形成されており、当該切れ目が視認可能な任意の文字状または模様状になっていることを特徴とする構成になっている。ここで、前記上紙層の他方の面には、文字等を印刷または手書き可能な印刷層が設けられていることが望ましく、また、前記粘着剤層の前記上紙層とは反対側の面には剥離層が設けられていることが望ましい。さらに、前記上紙層の他方の面に印刷層が設けられない場合には、前記上紙層の他方の面に剥離層を設け、当該剥離層に前記粘着剤層が順次外周側に接するようにロールテープ状に巻き回されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る封緘シールでは、紙または樹脂フィルムからなる上紙層に、この上紙層を破断可能にする切れ目が形成されており、当該切れ目が視認可能な任意の文字状または模様状になっているので、不正にシールが剥がされたことが、文字または模様が破壊されて浮き上がることにより確実に認識することができる。また、上紙層の他方の面に、文字等を印刷または手書き可能な印刷層を設けたことにより、開封した箇所の印刷層が破壊されることになるので、開封部分を際立たせることができる。
【0008】
また、粘着剤層の上紙層とは反対側の面に剥離層が設けられているので、未使用時等に貼り付けたくない箇所もしくはものに誤って貼り付いてしまうことがなく、取り扱いがし易い。ここで、例えば、よりサイズの大きい剥離層に対して上紙層およびこれと同サイズの粘着剤層を多面付けして、シールをシート状にすることもできる。加えて、上紙層の他方の面に剥離層を設け、この剥離層に粘着剤層が順次外周側に接するようにロールテープ状に巻き回しておけば、さらに取り扱いを容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した封緘シールの一実施形態について図を参照して説明する。ここで、図1は封緘シール1の平面図であって、図2は図1におけるA−A線矢視方向断面図である。図1および図2に示すように、封緘シール1は、全体的に横長の略長方形状であり、紙製の上紙層5と、上紙層5の下側に積層された粘着剤層6と、さらにその粘着剤層6の下側に積層された剥離層7とから構成されている。また、図1に示すように、上紙層5には、複数の切り込み10が形成されており、切り込み10は「VOID」(無効という意味)という文字状に形成されている。この切り込み10は、上紙層5を横断するように左右方向に渡って形成されており、上下側縁およびそれに沿う近傍領域には形成されていない。また、切り込み10の形成領域とシールの左右側縁間、および切り込み10の間には切り込み10と平行に延びるミシン目11が形成されている。
【0010】
ここで、本実施形態では、封緘シール1は単体の状態となっているが、剥離層7を上紙層5及び粘着剤層6よりも大きいサイズに成形して、この剥離層7に対して上紙層5及びこれと同サイズの粘着剤層6を多面付けして、単体のシールを得る前段にシールを多面付けしたシート状にしておいてもよい。このようにしておけば、一度に多くのシール片を得ることができ、取り扱いがより容易となる。
【0011】
次に、本発明の封緘シール1の使用方法について説明する。尚、本実施形態では、封緘シール1を封筒に貼り付けて使用する場合を例に挙げて説明する。図3に示すように、封緘シール1を封筒30の封緘用に使用する際は、まず封緘シール1の剥離層7を剥がして粘着剤層4を露出させた後、封筒30の上下方向と封緘シール1の上下方向とが一致するように位置合わせをし、露出された粘着剤層4を介して封緘シール1を封筒30に貼り付ける。
【0012】
そして、図3に示す封緘シール1を貼り付けた状態、即ち封筒30が封緘された状態からこの封筒30を開封する際には、封筒30の本体部分31とそこから延びた蓋部分32とに跨るようにして貼り付けられた封緘シール1を破断させる。このとき、封緘シール1は、その横方向に破断線が入るように破られるため、上紙層5に形成された文字上の切り込み10が分断されることになる。この切り込み10が形成された部分は周りの部分よりも脆くなっているので破りやすい。また、仮にこの脆い部分が破れてしまわないように慎重に全面的に剥がそうとしても、非常に脆くなっている切り込み10の形成部分を破らないように剥がすことはきわめて困難である。
【0013】
封緘シール1を破ると、図4に示すように、文字が破断されて、「VOID」という文字が開封前よりもはっきりと際立った状態となる。従って、開封したことが一目して確認できる。これにより、不正が行われた際には、それをいち早く発見することができると共に、不正行為の防止にも役立つ。
【0014】
また、図5に示すように、上紙層5の上面に、さらにプリンタ等で文字などを印刷可能な印刷層20を設けてもよい。この場合、切り込み部分が着色された状態となるため、開封時にはこの切り込み部分においてより際立って文字等が浮き出ることになる。このような構成とすることによって、印刷層20がないものに比べて不正剥離が行われたことをより確実に認識することができる。また、このように上紙層の上面にプリンタによって印刷可能な印刷層ではなく、例えばペン等で筆記可能なインク受理層を設けてもよい。尚、請求項においては、印刷層を、プリンタ等によって印刷される層、ペン等で筆記が行われる層の何れも含めたものとしている。
【0015】
また、封緘シール1を用途に合わせて所定幅かつ長尺状に成形してロール状に巻き回して、予めロールテープ状にしておいてもよい。本発明の封緘シールをロールテープ状にする場合は、図6に示すように、剥離層7を上紙層5の上側に積層させて、さらにその外周側に巻き回されたシールの粘着剤層6が剥離層7の上面と対向するようにしておく。即ち、上側から上紙層、粘着剤層、剥離層という順番だったものを、剥離層、上紙層、粘着剤層という順に積層された構成とすることにより、外周側に巻き回された部分の粘着剤層が常にその内側の剥離層に接することとなり、容易に剥離させることができる。尚、この場合、切り込み10は上側に位置する剥離層7および上紙層5を貫通して形成されることになる。このような構成にすることにより、封緘シールを所望の長さで切断してシール片を得ることができるので、簡単に希望のサイズとできると共に、取り扱いもより容易にできる。
【0016】
以上説明したように、本実施形態の封緘シールでは、簡単な構成でありながら、開封時にはその開封したことが確実に認識できる。従って、低コストで製造することが可能であると共に、不正が行われた場合もそれをいち早く発見することができ、不正剥離を防止するのに役立つ。
【0017】
尚、本発明は上記実施形態に限られず、各種の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、上紙層を紙としたが、樹脂フィルム製としてもよい。また、上紙層には、本実施形態で例示した文字以外の文字を入れてもよいし、文字以外に模様等を入れてもよい。さらに、各層の材質は適宜変更可能である。加えて、上記実施形態では封筒を封緘する場合を例に挙げたが、この他にも、紙袋、ダンボール箱等の開口部を塞ぐために本発明の封緘シールを使用可能なことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】 封緘シール1の平面図である。
【図2】 図1におけるA−A線矢視方向断面図である。
【図3】 本発明の封緘シールの使用方法を示す平面図である。
【図4】 封筒30の開封状態を示す斜視図である。
【図5】 印刷層を備えた封緘シールの断面図である。
【図6】 ロールテープ状に巻かれた封緘シールの側面図である。
【図7】 従来の開封防止シールの断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 封緘シール
5 上紙層
6 粘着剤層
7 剥離層
10 切り込み
20 印刷層
30 封筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封書、文書及び包装等の封緘対象物の封じ目に貼り付けて封をするための封緘シールであって、
紙または樹脂フィルムからなる上紙層と、当該上紙層の一方の面に積層され、前記封緘シールを前記封じ目に貼り付けるための粘着剤層とを備え、
前記上紙層には、この上紙層を破断可能にする切れ目が形成されており、当該切れ目が視認可能な任意の文字状または模様状になっていることを特徴とする封緘シール。
【請求項2】
前記上紙層の他方の面には、文字等を印刷または手書き可能な印刷層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の封緘シール。
【請求項3】
前記粘着剤層の前記上紙層とは反対側の面には、剥離層が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の封緘シール。
【請求項4】
前記上紙層の他方の面には剥離層が設けられており、当該剥離層に前記粘着剤層が順次外周側に接するようにロールテープ状に巻き回されていることを特徴とする請求項1に記載の封緘シール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−15436(P2008−15436A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210329(P2006−210329)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(501244200)ヒサゴレーベル株式会社 (48)
【Fターム(参考)】