説明

封緘装置

【課題】封筒が粘着剤に密着したまま離れず封筒の位置ずれが生じるのを抑制可能な封緘装置の提供を目的とする。
【解決手段】封緘装置1は、封緘剤塗布部3と、折目形成部4と、封止部5とを備えた封緘装置において、塗布手段36は、封緘剤塗布当接位置Q2と、封緘剤塗布待機位置Q1との間で少なくとも封筒10または封緘剤供給具31を移動させる封緘剤塗布移動手段32を備え、折目形成部3は、折曲げ凸部48を挿通する挿通部37が設けられ、折曲げ凸部待機位置P1と、折曲げ凸部48をフラップ部12の折目形成位置に近接させる折曲げ凸部近接位置P2と、塗布手段36による封筒10への封緘剤の塗布の後、フラップ部12に折目を形成する折目形成位置P3との間で、折曲げ凸部48を移動する折曲げ凸部移動手段46を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は封緘装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
封筒の糊しろ部分であるフラップ部に粘着剤を塗布し、或いは、フラップ部に予め乾燥状態の接着剤が塗布されており、この部分に水分を供給することで湿潤させた後、フラップ部を折り曲げ封筒本体に貼着することで、フラップを自動的に封緘する封緘装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、供給された封筒のフラップに粘着剤を塗布するためのキャリッジと、前記キャリッジの往路又は復路移動時に封筒のフラップをすくい上げる爪部と、該すくい上げられたフラップを折り曲げクセ付けする面を有するクセ付け部と、フラップを接着するプレスローラとを備えた封緘装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−51057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の封緘装置では、キャリッジにより封筒のフラップに粘着剤を塗布した後、キャリッジをフラップから離間させる際、キャリッジの粘着剤にフラップが密着したまま離れず、封筒が浮き上がり位置ずれが生じるという問題がある。
【0006】
本発明は上記した課題を解決するものであり、封筒が粘着剤に密着したまま離れず封筒の位置ずれが生じるのを抑制可能な封緘装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の封緘装置は、未封緘状態の封筒の少なくともフラップ部または封筒本体のフラップ部を貼着する箇所のうちいずれかの封緘剤の塗布位置に、前記封筒を封緘するための封緘剤を供給する封緘剤供給具を当接させ、封緘剤を塗布する塗布手段を設けてなる封緘剤塗布部と、フラップ部に折目を形成する折曲げ凸部を設けてなる折目形成部と、折目形成部において形成された折目を挟持し、封緘剤塗布部において塗布された封緘剤によりフラップ部を封筒本体に貼着して封筒を封止するプレスローラを設けてなる封止部とを備えた封緘装置において、塗布手段は、封筒と封緘剤供給具とが当接する封緘剤塗布当接位置と、封筒と封緘剤供給具とが所定量離間した封緘剤塗布待機位置との間で少なくとも封筒または封緘剤供給具を移動させる封緘剤塗布移動手段を備え、折目形成部は、フラップ部を介在させた状態で折曲げ凸部を挿通し、フラップ部に折目を形成する挿通部が設けられ、折曲げ凸部と挿通部とが所定量離間した折曲げ凸部待機位置と、塗布手段により封筒に封緘剤を塗布する際、折曲げ凸部をフラップ部の折目形成位置に近接させる折曲げ凸部近接位置と、塗布手段による封筒への封緘剤の塗布の後、折曲げ凸部を挿通部に挿通してフラップ部に折目を形成する折目形成位置との間で、折曲げ凸部を移動する折曲げ凸部移動手段を備えたものである。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の封緘装置において、折曲げ凸部が折曲げ凸部近接位置にある状態で、塗布手段により封筒の塗布位置へ封緘剤を塗布した後、封緘剤塗布移動手段により少なくとも封筒または封緘剤供給具を封緘剤塗布当接位置から封緘剤塗布待機位置へ移動させるよう制御する制御部を備えたものである。
【0009】
そして、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の封緘装置において、制御部は、封緘剤の塗布後、封筒または封緘剤供給具を封緘剤塗布移動手段により封緘剤塗布待機位置へ移動させた後、折曲げ凸部を折曲げ凸部近接位置から折目形成位置に移動し、折目を形成するよう制御するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の封緘装置は、塗布手段は、封筒と封緘剤供給具とが当接する封緘剤塗布当接位置と、封筒と封緘剤供給具とが所定量離間した封緘剤塗布待機位置との間で少なくとも封筒または封緘剤供給具を移動させる封緘剤塗布移動手段を備え、折目形成部は、フラップ部を介在させた状態で折曲げ凸部を挿通し、フラップ部に折目を形成する挿通部が設けられ、折曲げ凸部と挿通部とが所定量離間した折曲げ凸部待機位置と、塗布手段により封筒に封緘剤を塗布する際、折曲げ凸部をフラップ部の折目形成位置に近接させる折曲げ凸部近接位置と、塗布手段による封筒への封緘剤の塗布の後、折曲げ凸部を挿通部に挿通してフラップ部に折目を形成する折目形成位置との間で、折曲げ凸部を移動する折曲げ凸部移動手段を備えたので、封緘剤供給具を封筒から離間させる際、封筒が封緘剤供給具に密着したまま移動しようとするのを折曲げ凸部により押さえることで防止でき、封筒の位置ずれを防止することが可能である。
【0011】
また、請求項2に記載の封緘装置によれば、折曲げ凸部が折曲げ凸部近接位置にある状態で、塗布手段により封筒の塗布位置へ封緘剤を塗布した後、封緘剤塗布移動手段により少なくとも封筒または封緘剤供給具を封緘剤塗布当接位置から封緘剤塗布待機位置へ移動させるよう制御する制御部を備えたので、封緘剤供給具を封筒から離間させる際、封筒が封緘剤供給具に密着したまま移動しようとするのを折曲げ凸部により封筒を押さえるよう制御部により制御することができ、封筒の位置ずれを容易に防止することが可能である。
【0012】
そして、請求項3に記載の封緘装置によれば、制御部は、封緘剤の塗布後、封筒または封緘剤供給具を封緘剤塗布移動手段により封緘剤塗布待機位置へ移動させた後、折曲げ凸部を折曲げ凸部近接位置から折目形成位置に移動し、折目を形成するよう制御するので、折曲げ凸部48を待機位置から折目形成位置まで一度に降下する場合に比較して、折目形成直前の折曲げ凸部の移動距離を短くすることができ、折目形成の処理時間を短縮可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る封緘装置の外観斜視図である。
【図2】前記封緘装置の筐体を外した状態の斜視図である。
【図3】前記封緘装置の構成を示す断面図である。
【図4】前記前記封緘装置の封緘剤塗布部及び折目形成部の部分拡大図である。
【図5】前記折目形成部の折曲げ凸部移動手段の構造を示す斜視図である。
【図6】前記封緘装置の使用態様を示す拡大図である。
【図7】前記封緘装置の使用態様を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る封緘装置の一実施形態について以下に説明する。図1は封緘装置の外観斜視図、図2は前記封緘装置の筐体を外した状態の斜視図、図3は前記封緘装置の構成を示す断面図、図4は前記封緘装置の封緘剤塗布部及び折目形成部の部分拡大図である。ここで、説明の都合上、封緘処理を行う対象である封筒10の供給台16の設けられた図1〜4における右側を封緘装置1の前側、封緘剤塗布部3の設けられた同図における左側を後側、後側から見た左側を封緘装置1における左側、右側を封緘装置1における右側として説明する。
【0015】
図1に示すように、封緘装置1によって封緘処理がなされる封筒10は、内容物を収納する封筒本体11の一端側にのりしろ部分であるフラップ部12を有し、このフラップ部12に封緘剤を塗布し、封筒本体11の裏面11aにフラップ部12を貼着して封緘する。
【0016】
図2,3において、封緘装置1は、未封緘状態の封筒10を、裏面11aを上側にして複数積載し。最下位より一通ずつ後方の処理部分に供給する供給部2と、未封緘状態の封筒10のフラップ部12上面に封緘剤を塗布する封緘剤塗布部3と、フラップ部12に折目を形成する折目形成部4と、折目が形成された封筒10を折り畳んでプレスし、フラップ部12を封止する封止部5と、封止済みの封筒10を積載する排出積載部6と、各部の動作を制御する制御部7とを備えている。
【0017】
供給部2は、供給台16、サイド規制板17、供給搬送手段18、捌き部19を備えている。供給台16は、封緘装置1の前側の所定高さ位置に設けられ、該供給台16の前側は高く後側は低くなるよう傾斜配置される。サイド規制板17は、供給台16上に左右の幅方向に摺動自在に設けられ、供給台16における封筒10の載置位置を幅方向略中央部に合わせるものである。
【0018】
供給搬送手段18は、供給台16の封筒載置面に一部が露出して設けられた複数のゴムローラ22と、前記ゴムローラ22の後方に設置される搬送ローラ23からなる。供給搬送手段18は、ギア、プーリ、ベルトからなる伝動機構(図示省略)を介して供給モータ15に連動連結している。
【0019】
捌き部19は、供給台16の後方に配置され、供給台16上の複数の封筒10から最下位の封筒10aを分離し、順次後方へ搬送する。捌き部19は、後端規制板25、捌きローラ24及び従動ローラ26を備えている。後端規制板25は、供給台16の後部に縦設され、複数の封筒10の後端縁が当接し、最下位に位置する封筒10aのみが後方へ搬送されるよう上部の封筒10を規制する。後端規制板25の下方には、供給台16の上面との間に、封筒10を1通ずつ通過させるための開口部27が形成されている。
【0020】
捌きローラ24は、後端規制板25の後方に配置され、封筒10の搬送方向とは逆方向にのみ回転するようになっており、搬送ローラ23との間に0.1mm程度の隙間が形成されている。また、捌きローラ24と該捌きローラ24に対向する搬送ローラ23との間に封筒10が搬送されてきたときに所定圧力で該封筒10を挟持するようバネにより付勢されている。これにより、封筒10の内容物によって厚さの異なる封筒10が順次搬送される場合にも、封筒10の厚さに応じて捌きローラ24が上下動し、適正に各封筒10を分離し、1通ずつ後方へ搬送可能である。
【0021】
従動ローラ26は、捌きローラ24の後方に配置され、該捌きローラ24とは異なり、正逆回転自在であり、下方の搬送ローラ23に所定の圧力で転接するようバネにより付勢されている。
【0022】
封緘剤塗布部3は、封緘剤供給具31と、封緘剤塗布移動手段32、及び幅移動手段33からなる塗布手段36と、塗布板35とを備えている。封緘剤供給具31は、テープの片面に封緘剤を保持する封緘剤保持テープ30、及び図示しないが、封緘剤保持テープ30の供給リール、巻き取りリール、及び、封緘剤保持テープ30に保持された封緘剤をフラップ部12に押し当て転写させる転写ローラを内部に収容している。封緘剤は、所定厚さの粘着剤層が封緘剤保持テープ30に保持されてなる。そして、封緘剤保持テープ30は所定幅を有し、フラップ部12に封緘剤を塗布するたびに、封緘剤保持テープ30が供給リールから所定長さだけ供給され巻き取りリールに巻き取られる。封緘剤供給具31は塗布手段36に対し着脱自在に設けられる。
【0023】
図4に示すように、封緘剤塗布移動手段32は、封緘剤塗布当接位置Q2と、二点鎖線で示す封緘剤塗布待機位置Q1との間で封緘剤供給具31を移動させる移動手段である。封緘剤塗布当接位置Q2は、封筒10と封緘剤供給具31とが当接する位置であり、封緘剤塗布待機位置Q1は封緘剤塗布当接位置Q2から封筒10と封緘剤供給具31とが所定量離間した位置である。封緘剤塗布移動手段32は、封緘剤供給具31を昇降することで封緘剤塗布当接位置Q2と封緘剤塗布待機位置Q1との間を移動させる。封緘剤塗布移動手段32は図2に示す昇降モータ38により駆動される。
【0024】
幅移動手段33は、封緘剤供給具31が封緘剤塗布移動手段32により降下された際、該封緘剤供給具31を左端から右方へ幅方向に移動させ、これにより封緘剤保持テープ30に保持された封緘剤をフラップ部12に転写する。幅移動手段33は、幅移動モータ39により駆動される。
【0025】
塗布板35は、封緘剤供給具31の下方において、左右幅方向に延び、略水平に配設される。塗布板35の材質は特に限定されないが、シリコン樹脂、フッ素樹脂等とすることが好ましい。仮に、該塗布板35に封緘剤が付着した場合にも容易に剥離可能であるからである。
【0026】
図4に拡大して示すように、折目形成部4は、封筒10の搬送方向にほぼ直交する向きに横設された凸部材44及び凹部材45と、折曲げ凸部48を昇降する折曲げ凸部移動手段46とを備えている。凸部材44は、略直角に屈曲して形成され、フラップ部12に折目を形成する折曲げ凸部48を下部に有する。凹部材45は上面に略V字状の凹溝49を有する。折曲げ凸部48が折曲げ凸部移動手段46によりフラップ部12を介在させて挿通部47としての凹溝49に挿通することによって、封筒10の搬送方向と略直交する向きに折目を形成するようになっている。
【0027】
図5は、折曲げ凸部移動手段46の斜視図を示す。折曲げ凸部移動手段46は、折目形成モータ50と、該折目形成モータ50により回転される回転軸88と、折目形成モータ50の回転を回転軸88に伝達する伝達手段89とを備えている。回転軸88の左右両端部にはそれぞれカム90が取り付けられ、該カム90には昇降棒91が接続される。昇降棒91の上端部は昇降台92を支持しており、折目形成モータ50が回転した際、カム90の作用により該昇降台92を昇降するようになっている。
【0028】
昇降台92の左右両端部には凸部材44の左右両端部を下方より支持する支持板93が付設されている。また昇降台92の左右両端部近傍には、該昇降台92を貫通して案内部材94が挿通されており、昇降台92を案内する。
【0029】
折曲げ凸部移動手段46は、折曲げ凸部48と挿通部47とが所定量離間した図4において実線で示す折曲げ凸部待機位置P1と、塗布手段36により封筒10に封緘剤を塗布する際、折曲げ凸部48をフラップ部12の折目形成位置に近接させる図4において二点鎖線で示す折曲げ凸部近接位置P2と、塗布手段36による封筒10への封緘剤の塗布の後、折曲げ凸部48を挿通部47に挿通してフラップ部12に折目を形成する図7に示す折目形成位置P3との間で、折曲げ凸部48を昇降し移動する。
【0030】
また、図5に示すように、凸部材44を折曲げ凸部待機位置P1と、折曲げ凸部近接位置P2とにおいて一時的に停止した状態を補助するための補助部材96が設けられている。補助部材96は、回転軸88に固設され、外周面の二箇所に切欠き97が形成された回転体95と、該切欠き97に係合する係合部材98とを備えている。係合部材98は薄板状の部材が基台99上に立設されてなり、上部にくの字状に湾曲した湾曲部98aを有する。回転体95の外周面に形成された二箇所の切欠き97は、それぞれ折曲げ凸部48が折曲げ凸部待機位置P1及び折曲げ凸部近接位置P2に位置する場合に対応して形成されている。
【0031】
図2に示すように、封緘剤塗布部3及び折目形成部4の後方には、後方搬送手段51が設置されている。後方搬送手段51は、上下一対の搬送ローラ52が前後に複数並設され、未封緘状態の封筒10の封筒本体11を挟持し、搬送ローラ52の正逆回転により封筒10を後方及び前方の両方向へ搬送可能に構成される。
【0032】
封止部5は、前方の供給部2と後方の封緘剤塗布部3との中間に位置し、折目の形成された封筒10のフラップ部12を折り返し、封緘剤塗布部3において塗布された封緘剤により封筒本体11の裏面11aにフラップ部12を圧接して貼着するためのものである。封止部5は、封筒10を後方及び前方の両方向に搬送する正逆回転可能な搬送ローラ55と、バネの付勢により所定の押圧力で搬送ローラ55に転接するプレスローラ56とを備えている。
【0033】
後方搬送手段51と、封止部5の搬送ローラ55とは図示しないベルトにより連結され、ともに後方搬送モータ58により駆動される。
【0034】
更に、封止部5には、前後に2列並設された搬送ローラ55及びプレスローラ56の間に、封筒10の搬送面を跨いで発光素子と受光素子からなるセンサ29を設けている。該センサ29は、供給部2から送られた封筒10のフラップ12の先端縁12aが該センサ29の設置位置を通過したことを検出する。図2に示すように、センサ29は幅方向中央部からの距離が同じ位置に各々1個ずつ設置されている。
【0035】
排出積載部6は、供給部2の下方に設けられる。供給部2の後部に配設された搬送ローラ23と、封止部5の搬送ローラ55とは前後方向に所定長さ離間して配置されている。この両搬送ローラ23、55の間に形成された空間部60から封緘済みの封筒10が下方に排出され排出積載部6に積載される。
【0036】
制御部7は、封緘装置1の全体を制御し、CPU等により構成される。制御部7には、封筒10の大きさを入力し、設定する設定手段65からの信号が供給される。設定手段65は操作パネル等により構成され、封緘処理すべき角2、長3、長4等の封筒の大きさを操作パネルより入力し設定する。そして、この制御部7からの出力で供給モータ15、後方搬送モータ58、昇降モータ38、幅移動モータ39及び折目形成モータの駆動状態が適宜制御される。
【0037】
また、制御部7は、折曲げ凸部が折曲げ凸部近接位置P2にある状態で、塗布手段36により封筒10の塗布位置へ封緘剤を塗布した後、封緘剤塗布移動手段32により封緘剤供給具31を封緘剤塗布当接位置Q2から封緘剤塗布待機位置Q1へ移動させるよう制御する。また、封緘剤の塗布後、封緘剤供給具31を封緘剤塗布移動手段32により封緘剤塗布待機位置Q1へ移動させた後、折曲げ凸部48を折曲げ凸部近接位置P2から折目形成位置P3に移動し、折目を形成するよう制御する。
【0038】
(作用)
封緘装置1により未封緘状態の封筒10を封緘する作業について説明する。まず封緘作業の概略について、図3に示すように、未封緘状態の多数の封筒10は、フラップ部12を前側に、宛先が記載された封筒10の表面を下側にして供給台16上に積載され、捌き部19の作用により最下位の封筒10aから順次1通ずつ後方へ搬送される。供給部2から搬送された封筒10は、未封緘のままで一旦封止部5を通過し、封緘剤塗布部3に至り、封緘剤が塗布された後、折目形成部4において折目が形成され、後方搬送手段51により供給の際とは逆方向となる前方へ搬送され、封止部5においてフラップ部12が封止され、排出積載部6に排出される。以下に詳細に説明する。
【0039】
供給台16上に複数の未封緘状態の封筒10を積載し、供給搬送手段18の駆動により最下位から順次後方に送り出す。供給部2は、最下位の封筒10aから順に供給するので、封緘剤塗布及び折り畳み作業の途中であっても、封筒10を供給台16上に追加補給することができる。
【0040】
この際、後端規制板25に上層の封筒10の後端が当接して、後方への搬送が規制され、開口部27を通過した封筒10のみが後方へ搬送される。そして、捌きローラ24により更に封筒10を分離する。このように、捌き部19は、後端規制板25及び捌きローラ24の双方で封筒10を分離することで、仮に、複数の封筒10が開口部27を通過した場合であっても、捌きローラ24により封筒10を分離でき、1通の封筒10のみを後方の封止部5に送ることが可能である。
【0041】
封止部5においては、未封緘状態のままの封筒10が搬送ローラ55およびプレスローラ56により挟持搬送され、後方の封緘剤塗布部3に供給される。センサ29は、フラップ部12の先端縁12aが該センサ29の設置箇所を通過したことを検出し、制御部7に発信する。
【0042】
封緘剤塗布部3に至った封筒10は、図3に示す後方搬送手段51により封筒本体11が挟持され後方へ搬送される。そして、封筒10のフラップ部12が塗布板35上に位置するところで、後方搬送手段51の駆動を停止する。これは、制御部7が、設定手段65により設定された封筒10の大きさに対応したフラップ部12の長さに基づいて、センサ29によるフラップ部12の先端縁12aの検出後、封筒10を所定量搬送した後、所定位置で後方搬送モータ58を停止することにより行う。
【0043】
そして、封緘剤供給具31が封緘剤塗布移動手段32により降下され、塗布板35上のフラップ部12に接触した後、幅移動手段33により左端から右方へと移動し、転写ローラの回転により封緘剤保持テープ30からフラップ部12に封緘剤が転写される。封緘剤供給具31は、供給リールから封緘剤保持テープ30が供給されるとともに、巻き取りリールに巻き取られる。フラップ部12への封緘剤の塗布終了後、封緘剤供給具31は封緘剤塗布移動手段32により上昇され、幅移動手段33により左端の元の位置に移動される。
【0044】
この封緘剤供給具31を封緘剤塗布移動手段32により上昇する際には、封緘剤の粘着力及び凝集力により、フラップ部12が封緘剤保持テープ30に密着したまま引き上げられ、封筒10の前部が浮き上がってしまう。この結果、封筒10の位置ずれが起こり、後の工程で折目が傾斜して形成されたり、封筒10が搬送方向から斜行したりするといった問題が生じる。
【0045】
また、他の封緘剤の塗布方法として、封緘剤をフラップ部12の先端縁に沿って点線状に塗布することで、封緘剤の使用量を抑制することがある。この場合には、幅移動手段33により封緘剤供給具31を封筒10の幅方向に沿って移動する際に、封緘剤塗布移動手段32による封緘剤供給具31の昇降を複数回行うこととなり、封緘剤供給具31を上昇させる度に封筒10の前部が浮き上がり、更に位置ずれが生じやすくなる。
【0046】
そこで、後方搬送手段51を停止し、封緘剤の塗布を行うため封緘剤塗布移動手段32により封緘剤供給具31を降下する際に、折曲げ凸部移動手段46によって凸部材44を合わせて降下し、図6に示すように、凸部材44は、折曲げ凸部48がフラップ部12の上面の封緘剤の塗布面からの距離が所定量以内となる折曲げ凸部近接位置P2に達した時点で一旦停止し、封緘剤供給具31を幅移動手段33により移動して封緘剤を塗布する。
【0047】
封緘剤の塗布の間および塗布終了後、封緘剤塗布移動手段32により封緘剤供給具31を上昇する際には、フラップ部12の折目形成位置に折曲げ凸部48が近接しているので、フラップ部12が封緘剤保持テープ30に密着したまま上昇し封筒10の前部が浮き上がろうとするのを折曲げ凸部48により押さえることができる。
【0048】
フラップ部12への封緘剤の塗布後、図7に示すように、折曲げ凸部48が折曲げ凸部近接位置P2から折曲げ凸部移動手段46により折目形成位置P3まで降下され、フラップ部12とともに凹溝49内に挿通し、フラップ部12に折目が形成される。
【0049】
このように、封緘剤の塗布後、封緘剤供給具31を封緘剤塗布移動手段32により封緘剤塗布待機位置Q1へ移動させた後、折曲げ凸部48を折曲げ凸部近接位置P2から折目形成位置P3に移動し、折目を形成するよう制御部7により制御するので、折曲げ凸部48を折曲げ凸部待機位置P1から折目形成位置P3まで一度に降下する場合に比較して、折目形成直前の折曲げ凸部48の移動距離を短くすることができ、折目形成のための処理時間を短縮可能である。
【0050】
また、本実施形態では、塗布手段36による封緘剤塗布の後、折曲げ凸部48により折目を形成する。これにより、封筒本体11のみならず、フラップ部12への封緘剤の塗布が可能となるとともに、封筒10の皺の発生や位置ずれが生じるのを抑制できる。仮に、折目を形成した後に封緘剤を塗布することとし、挿通部47にフラップ部12の折目形成箇所を挿通させ折目を挟持し固定したままの状態で、封緘剤を塗布するような場合には、フラップ部12の折目形成箇所の周辺が凹溝49を構成する部材の端辺により傷付き、封筒10に皺を発生させる。更に、フラップ部12が挿通部47に挿通される量だけ封筒10の位置ずれが生じる恐れがあるが、本実施形態ではこれらを抑制することか可能である。
【0051】
折目形成後、折曲げ凸部移動手段46により凸部材44を折曲げ凸部待機位置P1まで上昇する。そして、後方搬送モータ58を、封緘剤塗布及び折目形成前とは逆方向に回転し、後方搬送手段51によって封筒10を前方へ搬送する。封筒10が封止部5に至ると、プレスローラ56と搬送ローラ55との間に折目形成部4において形成された折目を挟持し、フラップ部12を折り畳んで封筒10を前方へ搬送する。封筒10は、封緘剤塗布部3において塗布された封緘剤によりフラップ部12が封筒本体11に貼着され、封止される。封筒10は、空間部60から下方へ向けて飛び出し、排出積載部6に積載される。
【0052】
尚、上記実施形態では、移動手段は、封緘剤供給具31を昇降することで封緘剤塗布当接位置Q2と封緘剤塗布待機位置Q1との間を移動させる封緘剤塗布移動手段32により構成したが、本発明に係る封緘装置は、これに限定されず、封筒を封緘剤供給具に対し移動するよう構成してもよい。
【0053】
また、制御部7は、塗布手段36により封筒10の塗布位置へ封緘剤を塗布した後、折曲げ凸部48が塗布位置周辺の封筒10を押さえた状態で、封緘剤供給具31を封緘剤塗布移動手段32により封緘剤塗布待機位置Q1へ上昇させるよう制御したが、封緘剤供給具に対し封筒を封緘剤塗布待機位置Q1へと移動させるよう制御してもよい。
【0054】
また、封緘剤は、粘着性を有するとともに、封緘剤保持テープ30に粘着剤層が保持されたものにより構成したが、これに限定されず、ノズル先端から液体状の粘着性接着剤を所定のタイミングで供給するといったものであってもよく、ホットメルト系接着剤を加熱溶融し接着してもよい。また、フラップ部に予め接着剤が塗布され、乾燥状態とされた封筒を、封緘処理する場合には、水を封緘剤として用いても構わない。封緘剤としての水を塗布する塗布手段としては、開閉自在なノズル先端から、タンク内に収容した水を供給するといった構造や、水を含んでなるスポンジ等の含水部材をフラップ部12に当接させる構造等が挙げられる。
【0055】
また、封緘剤を塗布する位置は、封筒10のフラップ部12の先端縁12aより内方の所定長さの範囲としたが、これに限定されず、封筒本体のフラップ部を貼着する箇所を封緘剤の塗布位置とし、この塗布位置に合わせて後方搬送手段による搬送量を制御してもよい。また、封筒本体に貼着可能であればフラップ部の他の箇所とすることも可能である。
【0056】
また、設定手段65は、操作パネル等により構成したが、これに替えて、封筒10の大きさを読み取るセンサを給紙部2に設置し、該センサから供給される信号により封筒の大きさを設定しても構わない。
【符号の説明】
【0057】
P1 折曲げ凸部待機位置
P2 折曲げ凸部近接位置
P3 折目形成位置
Q1 封緘剤塗布待機位置
Q2 封緘剤塗布当接位置
1 封緘装置
3 封緘剤塗布部
4 折目形成部
5 封止部
7 制御部
10 封筒
11 封筒本体
12 フラップ部
31 封緘剤供給具
32 封緘剤塗布移動手段
34 移動手段
35 塗布板
36 塗布手段
47 挿通部
48 折曲げ凸部
56 プレスローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未封緘状態の封筒の少なくともフラップ部または封筒本体のフラップ部を貼着する箇所のうちいずれかの封緘剤の塗布位置に、前記封筒を封緘するための封緘剤を供給する封緘剤供給具を当接させ、封緘剤を塗布する塗布手段を設けてなる封緘剤塗布部と、
フラップ部に折目を形成する折曲げ凸部を設けてなる折目形成部と、
折目形成部において形成された折目を挟持し、封緘剤塗布部において塗布された封緘剤によりフラップ部を封筒本体に貼着して封筒を封止するプレスローラを設けてなる封止部とを備えた封緘装置において、
塗布手段は、封筒と封緘剤供給具とが当接する封緘剤塗布当接位置と、封筒と封緘剤供給具とが所定量離間した封緘剤塗布待機位置との間で少なくとも封筒または封緘剤供給具を移動させる封緘剤塗布移動手段を備え、
折目形成部は、フラップ部を介在させた状態で折曲げ凸部を挿通し、フラップ部に折目を形成する挿通部が設けられ、
折曲げ凸部と挿通部とが所定量離間した折曲げ凸部待機位置と、塗布手段により封筒に封緘剤を塗布する際、折曲げ凸部をフラップ部の折目形成位置に近接させる折曲げ凸部近接位置と、塗布手段による封筒への封緘剤の塗布の後、折曲げ凸部を挿通部に挿通してフラップ部に折目を形成する折目形成位置との間で、折曲げ凸部を移動する折曲げ凸部移動手段を備えた封緘装置。
【請求項2】
折曲げ凸部が折曲げ凸部近接位置にある状態で、塗布手段により封筒の塗布位置へ封緘剤を塗布した後、封緘剤塗布移動手段により少なくとも封筒または封緘剤供給具を封緘剤塗布当接位置から封緘剤塗布待機位置へ移動させるよう制御する制御部を備えた請求項1に記載の封緘装置。
【請求項3】
制御部は、封緘剤の塗布後、封筒または封緘剤供給具を封緘剤塗布移動手段により封緘剤塗布待機位置へ移動させた後、折曲げ凸部を折曲げ凸部近接位置から折目形成位置に移動し、折目を形成するよう制御する請求項1または請求項2に記載の封緘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−17112(P2012−17112A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154013(P2010−154013)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】