説明

射出成形して包装容器を製造するための方法及び装置

包装及び充填機械において少なくとも1つの熱可塑性樹脂からなる内側層を有している包装用ラミネートスリーブ(10)によって、該包装用ラミネートスリーブに加えて、該包装用ラミネートスリーブに結合された肩部と該肩部に結合され且つ注ぎ出し口と組み合わせられた首部とを備えている包装容器を製造する方法。該方法は、包装用ラミネートスリーブ(10)を内側成形型と関連付けて配置するステップと、射出成形される包装部分の容積を超える容積のキャビティを成形型間に形成するために前記内側成形型の外側に外側成形型を配置するステップと、前記キャビティ内に少なくとも1つの第一の材料の溶融物を射出させるステップとを含み、前記包装容器の首部を前記内側成形型と外側成形型との間に前記キャビティと接触する状態で配置するステップと、ステント成形型を前記溶融物が前記キャビティ一杯となり且つ前記首部と前記包装用ラミネートスリーブの端部に配置されている熱可塑性樹脂からなる内側層の一部分とを融合させるまで前記成形型を加圧するステップと、前記成形型を開き且つ前記包装容器を更なる処理をするために移すステップとを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品工業においては、包装容器内に液体あるいは部分的に液体の食品を充填することが一般的なやり方であり、該包装容器は、紙又は板紙からなる芯層と例えばプラスチック又はアルミニウム箔(アリフォイル)からなる1以上のバリアー層とからなる包装用積層板によって製造される。
【0003】
包装及び充填機械内で益々一般的なタイプのものが製造されている。該包装及び充填機械内では、上記した包装用積層からなる平らに置かれたチューブ状の包装用ブランク材が立てられ且つ端部に熱可塑性樹脂からなる頂部が直に射出成形され且つ端部が密封される。もう一つ別の代替的な方法は、包装用積層シートがチューブ形状に作られ、次いで上に概説した方法で密封される方法である。包装用積層シートは包装用積層シートのマガジンリールから切り取られる。
【0004】
密封は、包装用ブランク材の一端が以下において内側型と称される内側の成形型に当接するように包装用ブランク材がマンドレルに対して押し付けられることによってなされる。その後に、以下において外側型と称される外側の成形型が内側型の外側に配置され、熱可塑性樹脂が前記外側型と内側型との間に形成されているキャビティ内へ射出される。必要とされる量の熱可塑性樹脂がキャビティ内へ射出されると射出過程が終了し、ニードル弁によって射出ダクトが閉じられる。この段階においては、キャビティは完全に閉じられておらず、その結果、外側型と内側型とは相互に押し付けられ、熱可塑性樹脂はキャビティ全体に亘って一杯になり且つスリーブの端部に押し付けられ、このようにして包装容器の肩部が形成される。
【0005】
上に概説した方法は、本願の出願人による特許出願WO2008/004932に記載されている。成形型同士の相対的な動きを実現するための代替的な方法も可能であるけれども、ここでは更に説明しない。上記の出願による一つの方法においては、外側型は更に完成された包装容器を開閉するために使用されるねじ込みキャップのためのホルダーを備えており、内側型は、キャビティがねじ込みキャップの下方で上方に延びるように付勢する突出部を備えている。上記の方法に名付けられた射出圧縮成形がなされると、熱可塑性樹脂がねじ込みキャップの下方で押し上げられ、ねじ込みキャップの内ねじと協働することによって、首部開口を備えた容器の首部が肩部と一体部品として形成される。この射出圧縮形成においては、ねじ戻しキャップを備えた耐漏洩性の容器を確保するために、熱可塑性樹脂材料の溶融が肩部と包装用ブランク材との間の結合部において生じ、プラスチック材料の濡れがねじ込みキャップと首部との間の結合部において生じる。この高度な接合を実現するために、肩部と包装用ブランク材の上端との間の結合部に加熱装置を設けることができる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、技術的に簡素な方法を実現することを目的としている。本発明による方法は、当該方法によって形成された包装容器のある種の付加的な可能性を付与する。これは、包装及び充填機械内で、熱可塑性樹脂からなる少なくとも1つの内側層を備えた包装用積層スリーブによって包装容器を製造する方法によって実現される。前記包装容器は、前記包装用積層スリーブに加えて、該包装用積層スリーブに結合された肩部と該肩部に結合され且つ注ぎ出し口が組み合わせられた首部とを備えている。該方法は、
−包装用積層スリーブを内側成形型と関連付けて配置するステップと、
−成形型間にキャビティを形成するために、外側成形型を内側成形型の外側に配置するステップと、
―少なくとも1つの第一の材料の溶融物を前記キャビティ内へ射出するステップと、を含み、
―前記内側成形型と外側成形型との間に前記包装容器の首部を前記キャビティに接触した状態で配置するステップであって、前記溶融物が前記キャビティ一杯になり且つ前記首部と前記包装用積層スリーブの端部に配置されている熱可塑性樹脂からなる内側層の一部分とを融着させるようにするステップと、
―前記内側及び外側の成形型を開き且つ包装容器を更に付加的な処理のために移動させるステップと、を特徴としている。
【0007】
本発明の一つ以上の実施例においては、溶融物が射出される前に形成されるキャビティは製造されるべき包装部分の容積を超える容積を有しており、更に、溶融物の射出後に溶融物がキャビティ一杯になり且つ首部と包装用積層スリーブの端部に配置されている熱可塑性樹脂の内側層の一部分とを融着させるまで成形型同士を相互に圧縮するステップを含んでいる。
【0008】
上記の方法における複数のステップは、これらのステップが適切に実施される順序で列挙されていないことは注目すべきであり、例えば、包装容器の首部は、これらの成形型が接合される前に成形型内に配置されるべきであることは自明である。本発明による方法は、無菌状態の用途に適している包装容器の簡単な製造に役立つ。例えば溶融物の温度に関して実質的に同じ前提条件が適用されると仮定すると、首部と肩部との間の融合の際及び肩部と包装用積層スリーブとの間の融合の際の両方において、該方法は制御が比較的簡単であり、関連する結合部において信頼性の高い密封が確保されるであろう。溶融物がキャビティ内に射出された後に成形型を相対的に動かすことによって、溶融材料の迅速な射出及びその優れた分配が補助される。圧力低下を遙かに小さくすることができるという事実により、更に迅速な射出が可能となるであろう。本発明による方法を実施する際に、成形型は相互に接触状態にされる必要はない。なぜならば、外側成形型は、肩部に対する結合部において首部の周囲の一部分に密封することができるからである。このことは、各々の成形型が包装容器材料と接触状態となるだけであることを意味し、これは、成形型同士が相互に接触状態とされる方法と比較して型の摩耗が減じられるということを意味する。従って、成形型の長い寿命が期待できるはずである。本発明による方法はまた、首部が別の射出成型プロセスにおいて製造されるのを可能にし、この別の射出成形プロセスは、それ以前のプロセスと別々であったり、時間が別であったり、空間的に離れていても良い。
【0009】
一つ以上の実施例によれば、首部は、該首部と一体に形成されている注ぎ出し口を覆っている膜を備えている。注ぎ出し口を覆っている膜を使用することによって幾つかの利点が得られる。例えば、膜の使用によって、パッケージ内に無菌状態を確保することを可能にするための十分な耐漏洩性を有する包装容器の形成がより簡単になるという事実を挙げることができる。この可能性が利用されていないときでも、膜はタンパー(悪戯による不正開封)の防止制御をすることができ、これにより、包装容器が開封されていないこと及びその内容物が露呈されていないことが簡易に保証される。この膜は首部と一緒に一体で射出成形される。
【0010】
首部は更に、本発明による方法において採用されるときには密封構造で設けることができる。首部に密封装置例えばねじ込みキャップを設けると、本発明による方法を実施する場合に幾つかの利点が得られる。例えば、首部の外側に存在するねじが首部を取り扱う際に保護される。密封装置はまた、注ぎ出し口を覆っている膜をも保護する。もう一つ別の例として、外側成形型を、ねじの周囲を把持する代わりに密封装置の周囲を把持するように設計できるので、外側成形型の形状が簡素化される。密封装置の外側は、一般的に、結局のところねじが設けられるのに適した首部の外側と比較して比較的滑らかである。このことにより、成形型が比較的低廉となり且つ単一の外側成形型のみを備えることができる可能性が高くなり、この方法を実施する際に、この単一の外側成形型は、単一の方向例えば次の容器の長手方向に動かされるだけで良い。上記の点により、簡素化された製造方法ももたらされる。なぜならば、ねじが設けられている場合に、該ねじは一般的にねじを保護するために注意深く且つ所定の位置を把持しなければならないのに対して、開封器具によって保護されている首部は、それほど注意せずに取り扱うことができ且つ一般的に均一な外周を有しているからである。
【0011】
熱可塑性樹脂によって製造された肩部は、スリーブの外側において包装用積層スリーブの上方端縁を越えて伸長していて、該スリーブの上端が肩部によって3つの側部を包囲されているのが好ましい。このサンドイッチ構造により、包装用積層スリーブの上方外周に沿った材料のビードが実現され、これによって、スリーブと肩部との間の結合強度が改良される。機械的損傷及び湿度に最も敏感な部分と考えられる包装用積層体の端部もまた信頼性高い状態で保護される。この点に関して、包装用積層スリーブの外側が同様に熱可塑性樹脂の層によって覆われる場合が有利である。この場合には、熱可塑性樹脂の層もまた肩部と融合し、結果として高い耐湿性及び機械的強度を有する。
【0012】
一つ以上の実施例においては、内側成形型は首部の位置調整のための突出部を備えており、これは、簡単な方法で首部を配置することを可能にし、内側成形型を覆うように密封装置内に設けられている首部に適用可能な場合に製造方法を簡素化する。
【0013】
本発明はまた、本発明による方法において使用できるようになされた首部にも関連する。この首部は、注ぎ出し口を規定している上方に伸長している実質的に円筒形の開口部と、下方端部に設けられ且つ径方向外方に向かって伸長しているフランジであって、例えば、包装用積層体からなる包装容器上に組み込まれている首部用の既知の設計であるフランジとを備えている。本発明による首部は、フランジが径方向外方に向かってテーパーが付けられていて、上記の方法にとって好適な結果をもたらすことを特徴としている。本発明による首部のフランジは、複数の実施例によれば少なくとも部分的に径方向外方に向かって伸長しており、水平面に関して種々の角度で偏っているスカート形状を形成するために軸線方向に伸長している。水平面に対する角度は加圧ステップにおける力の分布に影響を及ぼし、水平面に対する偏より角度が大きければ大きいほどフランジの面に対して直角に描いた方向の力の成分は小さくなる。
【0014】
一つ以上の実施例においては、射出成形された樹脂に対するフランジの接触面は粗く仕上げられるか、さもなければ露出面を広くするように処理され、これは溶融動作を促進する。同じ理由により、フランジは外周の先端において終端しているのが好適であり、これは射出された樹脂と迅速に融合する傾向がある。
【0015】
首部には、首部と同じ部分として形成され且つ注ぎ出し口を覆っている切り取り膜が設けられていても良く、これは上記した利点と同じ利点を付与する。
【0016】
他の好ましい実施例は、添付の特許請求の範囲における従属項に規定されている。
【0017】
該方法を実施するための装置はWO2008/004939に記載されている装置を連想させる。該装置は、成形型が圧縮後にキャビティを形成し、該キャビティは一端が包装用積層スリーブの上端によって規定されており、他端が首部の下方端部によって規定されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、本発明を添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【図1】図1は、本発明による方法の一実施例を実施するための製造装置の概略図である。
【図2】図2は、本発明による製造方法の一実施例における一つのステップの部分断面図である。
【図3】図3は、本発明の一つの好ましい実施例による首部の部分断面図である。
【図4】図4は、図1に示されている方法によって製造された包装容器の部分断面図である。
【実施例】
【0019】
本発明による方法の一つの実施例を図1及び2を参考にして説明する。図1は本発明による方法を実施する際に使用することができる製造装置2を示している。製造装置2は4つのマンドレル4を備えており、該マンドレルの各々が方法のステップに含まれている。マンドレル4は、内側端部が回転軸6に直接又は間接的に固定されている。各マンドレル4の他端は内側成形型8又は内側型によって構成され、マンドレル4は各方法ステップ間を割り送りされる。すなわち、該方法における各ステップを構成している種々の処理ステーションへと割送りされる。
【0020】
第一のステップにおいては、包装用積層スリーブ10はマンドレル上を通過せしめられ、内側成形型がスリーブから外方へ突出するようにされる。包装用積層スリーブ10は、紙又は板紙からなる芯層を備え且つ2つの外方側面のうちの少なくとも一方上に熱可塑性樹脂の表面コーティングを備えている包装用積層体によって作られている。表面コーティングは、一般的に積層されたポリエチレンフィルム(PEフィルム)からなるが、他の材料例えばアルミニウム箔(アリフォイル(Alifoil))のような他のバリアー材料も可能である。バリアー材料は、湿度、ガス(例えば酸素)及び放射線(例えば紫外線)の移動により仕上げられたパッケージ内へ浸透してその内容物に影響を及ぼすのを防止する。包装用積層体は、続いてシート状に形成され、各シートは曲げられるか折り畳まれ且つ接合されてスリーブ10が形成される。このようにして形成されたスリーブは、包装容器の内側に面する最外層としてのポリマー層12を有している。このスリーブは、スリーブ10とマンドレル4との間の嵌合によってマンドレル4上の定位置に保持される。
【0021】
マンドレル4は、次いで更に次のステップへと割り送りされ、このステップにおいて、密封装置16と組み合わせられた首部14が内側成形型の径方向外方端部に設けられた突出部18上に配置される。現在のところ好ましい実施例によれば、これら2つのステップは逆の順序でなされる。
【0022】
マンドレル4は、次いで更に次のステップへと割り送られ、このステップにおいて製造プロセスの主要な動作がなされる。この第三のステップにおいては、外側型20は内側型8と整合され、外側型20は内側型8を覆うように下方へ動かされて型間にキャビティ22が形成される。ここでは、外側型が首部14に押し付けられることによって密封が実現されることがわかる。従って、密封装置16は、密封機能は一つも果たさずに首部14の定位置に保持されるので、外側型20内の凹部は特定の密封装置16に適合する必要はなく、複数の異なるタイプの密封装置を収容できるようになされている。その後に、ニードル弁(図示せず)が開かれ、測定された量の溶融した熱可塑性樹脂材料24が外側型20内のダクト25を介してキャビティ22内に射出され且つキャビティ22内に広がる。この部分ステップは図2に更に詳細に示されている。この図面は、実際のサイズの相対関係及び寸法を反映することを意図しておらず、単に例示の目的で堤供されている。次いでニードル弁が閉じられ、外側型20が内側型8に押し付けられ、溶融材料24が更に広がって包装容器の肩部26が形成される。溶融材料24は、首部14内で熱可塑性材料と融合し且つ包装用スリーブ10の内側12上に配置されている熱可塑性樹脂材料と融合する。ニードル弁の使用に対する複数の代替例が存在するが、ここでは更に説明する必要はない。しかしながら、一つの例を挙げると、弁を使用することによって全体的に分配させる方法、及び、その代わりに外側型20を介してキャビティ内へつながっているダクトのノズルを冷却する方法がある。その結果、プラスチック材料からなる硬化されたプラグが形成され、このプラグは、加圧を許容するのに十分な硬さであり且つ次の肩部分が射出成形されるときに新しい樹脂の充填射出を許容するのに十分な緩さである。
【0023】
内側型8と外側型20との間に形成されたキャビティ20は、スリーブ10の内側及び外側の両方においてスリーブ10の上方端縁から短い距離だけ下方へ移動する。従って、スリーブ10の上方端縁の領域において、キャビティはスリーブ10の上方端縁を自由な状態のままとし、内側と外側との両方に下方への短い距離を有している。射出された材料24は、3つの側部でスリーブ10の上方端縁を包囲するであろう。内側型8と外側型20との形状は、各々、キャビティ22がスリーブ10の内側および外側へとどの程度下方へ延びているかを示している。図示されている実施例においては、キャビティ22は、スリーブ10の外側上よりも内側上で更に下方まで伸長している。他の実施例においては、キャビティは内側よりも外側で更に下方へ延びており、一方、更に別の実施例においては、キャビティは内側と外側との両方で同じ距離だけ下方へ延びている。従って、幾つかの実施例においては、スリーブ10の上方部分の内側か外側かのどちらか一方に他方の側よりも多くの材料が存在し、一方、他の実施例においては、スリ―ブ10の上方部分の両側に同じ量の材料が存在する。キャビティ22内に射出された溶融材料24は、スリーブ10の内側と外側との両方の上にある熱可塑性樹脂材料と融合する。
【0024】
一般的に、材料の均一な分布及び迅速な射出を得るために複数のダクトが設けられる。更に、溶融した熱可塑性樹脂材料24がキャビティ24内に均一に広がるようにするために、空気抜き弁及び空気抜きキャビティ(図示せず)が設けられている。空気抜きダクトが無い場合にはエアーポケットが形成され、該エアーポケット内では高い圧力によって溶融材料の広がりが阻止され、結果として不利な結果が生じる。空気抜きダクトの代わりに、これらのダクトの補助として、エアーニップルや凹部が内側型及び/又は外側型内に設けられても良い。
【0025】
次の割送り位置においては、形成された包装容器28がマンドレルから取り外され且つ例えば殺菌、充填、及び密封のような付加的な処理のために更に搬送される。
【0026】
図4は、完成した包装容器の部分図である。包装容器の各部品すなわち首部、肩部、スリーブ部分が示されている。射出成形された肩部において、包装用積層スリ−ブの上方端縁(図4の符号27)は、この端部の3つの側部が射出成形された熱可塑性樹脂によって包囲されるように余分に伸びている。包装容器の外側では、肩部は、より長い距離が一般的であり且つ好ましいとしても、機械的な強度に対する明白な効果を生じさせるためには端縁を越えて10マイクロメータ以上伸長してはならない。肩部が端縁を越えて伸長している場合には、熱可塑性樹脂材料が包装容器の外側に配置される場合に、とりわけ以下に説明するような構造を補強する材料のビードが形成される。この場合に、包装用積層体が熱可塑性樹脂の積層体もまた包装容器の外側に配置されるような形態で両側部が熱可塑性樹脂によって覆われている芯紙からなる場合に、肩部が包装用積層体と融合して付加的な機械的強度及び湿度からの保護が得られる。形成されているビードはまた、包装用積層スリーブの端縁のシールとしても機能し且つ露出された芯紙の端縁における湿度のウィッキング(吸い上げ)及び吸引又は層の剥離が防止される。
【0027】
肩部は、若干厚い密封位置から離れた位置が薄くなされるのが好ましく、この厚みは概して約0.6mmであるのが好ましい。比較的大きな厚みは一般的に製造が容易であるが、より大きな厚みは材料のより多量の消費につながる。従って、0.2〜0.5mmのような厚みが想定されている。一般的には、より薄い肩部を製造することは更に複雑であり、これに加えて安定性に対する要件も存在し、この要件はまた厚みの薄い方向に制限を加える。より大きな方向の厚みに対する制限要件は冷却時間がより長くなることであり、これによって、今日の製造において必要とされているこれらのサイクル時間を維持することが難しくなる。
【0028】
マンドレル及び成形型上に構成部品を設けることは、これが部分的に手動であっても良い場合でさえ自動化されるのが好ましいが、本願において更に詳細には説明しない。ここに記載されている情報に基づいて本発明を実施することは、当業者の能力の範囲内に含まれるものと考えられる。更に、図1による装置の細部及び機構は、既に出願されている出願WO2008/004939号に注意深く記載されており、このため、これらは図1に関しては大きく省略した。
【0029】
図3は、本発明の一実施例による首部14を示している。首部14は、断面で示されており且つ明確さを高めるために破断補助線が引かれている。該首部は、実質的に円筒形で上方に向かって伸長している開口部30を備えている。この開口部は注ぎ出し口32を規定しており、注ぎ出し口32には任意に首部14と一体の部品として形成されている膜34が設けられている。開口部の外側には、首部(図3には示されていない)として意図されているねじ込みキャップ16と協働するねじ36が設けられているのが好ましい。首部14はその下方端部に前記開口部から径方向外方に向かって伸長している外周フランジ38を備えており、外周フランジの目的は部分間の一体性を改良することである。首部14のフランジ38はまた、図2〜4における場合のように、軸線方向(すなわち、首部38の回転対称軸の方向)に広がりを有していても良いことがわかるはずである。首部14は、本発明による方法において使用される際に肩部との最適な融合のためにフランジ38が径方向外方に向かってテーパーが付けられていることを特徴としている。図示されている実施例においては、フランジ38は、実質的に平面状の下面と傾斜している上面とを備えている。図2に示されているように、前記の平面状の下面は内側の型8に当接しており、傾斜している上面は溶融された射出材料24によって覆われている。作用を更に増幅するために、内側型は外周隆起部42を備えており、外周隆起部42は溶融材料24をフランジ38の上面上へと押し出す。本発明による方法を実施する際に、下面はこのようにして下方へ押圧され、一方、上面はカバーされている。このことによる一つの結果は、フランジ38の径方向外方端縁が肩部26(図4を参照のこと)にある材料内を上方へ伸長する恐れを伴わないことである。前記の恐れとしては、包装容器28の外観を損ない且つ脆弱化させる恐れがある。上方に向かって突出している材料はまた不十分な密封をもたらし、これは、包装容器内に収容される製品にとって極めて有害である。別の実施例によれば、フランジ38の下面は平面状ではなく、内側成形型8の形状に適合した形状となっている。膜34には、少なくとも1つの弱化ライン40が設けられているのが好ましく、膜34は開封の際にこの弱化ラインに沿って簡単に切り取ることができる。弱化ライン40は種々の方法で形成することができる。ある種の実施例においては、ライン40は、単に注ぎ出し口の内周に沿って配置され(連続線からなる図3における径方向外方の弱化ライン40)、別の態様においては、弱化ラインはらせん状又はその他の形状であっても良い。弱化ライン40の形成により膜34の切り取りは当然に影響を受けるが本発明の範囲内では更に説明しない。
【0030】
更に、首部14の部分44には、径方向外方に向かって伸長している外周ビードが設けられている(図3参照)。部分44は、実質的に軸線方向に伸長しており且つフランジ38と関連付けて配置されている。外周ビード44は外側型20との接触を改良し、それによって射出及び加圧プロセス中の密封を改良する。
【0031】
首部は、射出成形において採用されている材料と同じ特性特に融点を有する材料によって製造されるのが好ましい。材料の例としては、限定的ではないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)及びこれらの混合物が含まれる。密封装置は、例えば、PE又はPP及びこれらの変異体によって作ることができる。
【0032】
首部の開封装置は、ねじ込みキャップに対する代替例として、例えばバヨネット式の開封装置、フリップ式の開封装置又はワンタッチ開封装置によって構成しても良い。これらの代替例は、製造装置を直接的に改造することなく実施することができる。なぜならば、外側型は、開封装置と係合せずに首部と係合するからである。
【0033】
本発明による方法を実施する前に、完成したパッケージ内に含まれる部品を予め加熱することが好ましい。これは、次に行われる殺菌プロセスにおいてガス状の殺菌剤が凝縮するのを避けるために行われる。予め加熱される必要がある部品は一般的に首部とスリーブ部のみである。なぜならば、樹脂を成形して作られた肩部は既に高い温度にあるからである。更に上記した方法は、現状では好ましくないとしても、溶融材料の射出後に加圧することなく実施することができる。
【符号の説明】
【0034】
2 製造装置
4 マンドレル
6 回転軸
10 スリーブ
12 ポリマー層
14 首部
16 密封装置
18 突出部
20 外側成形型
22 キャビティ
24 溶融材料
26 肩部
27 包装用積層スリ−ブの上方端縁
28 包装容器
30 開口部
32 注ぎ出し口
34 膜
36 ねじ
38 外周フランジ
40 弱化ライン
42 外周隆起部
44 外周ビード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装及び充填機械内で少なくとも1つの熱可塑性樹脂の内側層を備えた包装用積層スリーブ(10)によって包装容器を製造する方法であり、前記包装容器は、前記包装用積層スリーブの他に、該包装用積層スリーブに結合された肩部と、該肩部に結合され且つ注ぎ出し口が組み合わせられた首部とを有しており、
−包装用積層スリーブ(10)を、内側成形型と関連付けて配置するステップと、
−前記内側成形型の外側に外側成形型を配置して、これらの成形型間にキャビティを形成するステップと、
−少なくとも一つの第一の材料の溶融物を前記キャビティ内に射出するステップと、を含んでおり、
−前記内側成形型と外側成形型との間に、前記包装容器の首部を前記キャビティと接触した状態で配置し、前記溶融物が前記キャビティ一杯になり、前記首部と前記包装用積層スリーブの端部に配置された前記熱可塑性樹脂の内側層の一部分とを融合させるステップと、
−前記成形型を開き且つ前記包装容器を更に付加的な処理をするために移動させるステップと、を特徴とする方法。
【請求項2】
前記溶融材料の射出前のステップにおいて、前記キャビティの容積が製造される包装部品の容積を超える容積であり、前記溶融した材料の射出後に、
−前記溶融した材料が前記キャビティ一杯になり且つ前記首部と融合するまで、前記包装用積層スリーブの端部に配置されている熱可塑性樹脂の内側層の一部分に対して前記外側及び内側の成形型を加圧するステップを更に含んでいる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記首部が前記注ぎ口を覆う膜を備えており、該膜は前記首部と一体の部品として形成される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記首部が密封装置内に配置されることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一の項に記載の方法。
【請求項5】
前記首部が外ねじを備えており、前記密封装置がねじ込みキャップである、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
熱可塑性樹脂によって作られた前記肩部が、前記包装用積層スリーブの外側において、該包装用積層スリーブの上端縁を越えて伸長していて、前記スリーブの上端の3つの側部が前記肩部によって包囲されるようになされる、ことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一の項に記載の方法。
【請求項7】
前記内側成形型が前記首部の位置を調整するための突出部を備えている、ことを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一の項に記載の方法。
【請求項8】
該方法によって形成される前記肩部が、0.2〜0.6mm更に好ましくは0.3〜0.5mmの材料厚みを有する、ことを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一の項に記載の方法。
【請求項9】
前記首部が、下方端部に配置され且つ径方向外方に向かって伸長している外周フランジを備えており、該外周フランジは径方向外方に向かってテーパーが付けられている、ことを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか一の項に記載の方法。
【請求項10】
前記フランジの上面が、溶融射出材料との改良された接触を得るために粗く仕上げられている、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記首部が、前記フランジの上方の領域に軸線方向に伸長している領域を有しており、該領域には、外側成形型に対する接触を高めるための外方に向かって伸長しているビードが設けられている、ことを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記首部に、バヨネット式開封装置、フリップ式開封装置又はワンタッチ開封装置が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法を実施するための装置であり、
−包装用積層スリーブ(10)を内側成形型(8)と関連付けて配置する手段と、
−前記成形型(8,20)間にキャビティ(22)を形成するために、前記内側成形型(8)の外側に配置できる外側成形型(20)であって、前記キャビティ(22)は射出成形される包装部品の容積を超える容積を有している、前記外側成形型(20)と、
−前記包装容器の首部(14)を前記成形型(8,20)に対して位置調整するための手段と、
−第一の材料の溶融物を前記キャビティ内へ射出するための手段と、を備えており、
該装置は更に、成形型(8,20)を圧縮するための圧縮機構を備えており、前記成形型(8,20)が、圧縮後にキャビティ(22)を形成し、該キャビティは、一端が前記包装用積層スリーブ(10)の上端によって規定され、他端が前記首部(14)の下端によって規定されている、装置。
【請求項14】
前記キャビティ(22)が、前記包装容器の作られた肩部(26)が前記包装用積層スリーブ(10)上端縁を越えて伸長する形状を有している、ことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
単一の内側成形型(8)と単一の外側成形型(20)とを備えている、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記キャビティ(22)は、圧縮後に、第二の端部が前記首部に設けられた径方向外方に向かって伸長している外周フランジ(38)によって規定され、前記外周フランジ(38)はテーパーが付けられている、ことを特徴とする請求項13又は15に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−524828(P2011−524828A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514528(P2011−514528)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/SE2009/000290
【国際公開番号】WO2009/154535
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】