説明

射出成形用金型

【課題】バリが発生せず、効率的にガス抜きを行えるとともに、製造が容易な射出成形用金型を提供する。
【解決手段】キャビティ面15に収容孔23を設け、前記収容孔23には、摺動部材30を出没可能に収容した。前記摺動部材30には、前記収容孔23との接面31に摺動方向に凹条32が形成されており、前記キャビティ面15に臨む端部が塞がれて非凹部34となっている。前記摺動部材30がガス抜き位置にあるときには、前記凹条32が前記キャビティ14内と連通してガス抜き路40が形成される。一方、前記摺動部材30が樹脂100の充填圧力で退避位置に押し出されると、前記非凹部34が前記ガス抜き路40を塞いで前記キャビティ14内からの樹脂100の流出を防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、射出成形用金型に関し、特に、ガス抜き機構に特徴を有する射出成形用金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インジェクション金型におけるガス抜き構造としては、例えば、PL(パーティングライン)面にガスベントを設けることで、このガスベントからガス抜きをするものが知られている。しかしながら、このようなガスベントの開口の大きさは、例えば0.03mm程度の微小なものであるので、このような小さな開口では、樹脂の充填速度の方が上回り、効率良くガスを金型の外部へと排出することができない。
【0003】
また、他のガス抜き構造として、最終充填位置に短冊駒を設定するものも知られている。このようなガス抜き構造によれば、短冊の数だけガスの排出量は増える。しかしながら、例えば10枚重ねの短冊機構を採用したとしても、0.03mm×10枚=0.3mm幅の排出口しか得られない。これでは高温圧縮されたガスをほとんど金型の外部へと排出することができない。
【0004】
このように、ガスを効率良く金型の外部へと排出できない構造では、金型内にガスが残ったまま成形することになるため、製品が白曇りするなどの外観不良率が高まってしまうという問題があった。更には、このようにガス抜きがうまく行えない結果、ガスが金型内部に留まってしまうと、キャビティ面の汚れや摺動部への付着が発生し、メンテナンスコストの増大を招くという問題があった。
【0005】
こうした問題を解決するため、例えば特許文献1に開示されている射出成形金型のガス抜き装置の発明では、射出成形金型のキャビティに開口する開口部を摺動部材で開閉することにより、ガス抜き路を開閉自在とし、排気性能を向上させることとしている。この発明によれば、樹脂が流れ込んでガス抜き路に到達する直前にガス抜き路を閉じることができるので、ガス抜きの開口を大きくとることができ、最終的には開口が閉じられるために樹脂の流出を防止できるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−52578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記した特許文献1記載の発明では、摺動部材が斜面に沿って摺動してガス抜き路を開閉するものであるため、加工精度が必要となるという問題があった。
【0008】
また、上記した特許文献1記載の発明では、摺動部材を戻す動作がスプリングによる付勢のみで行われるため、ガスの付着により容易に作動不良を起こしてしまう可能性もある。
【0009】
そこで、本発明は、バリが発生せず、効率的にガス抜きを行えるとともに、製造が容易な射出成形用金型を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0011】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0012】
すなわち、請求項1に記載の射出成形用金型は、固定型板と可動型板とでキャビティを形成した射出成形用金型であって、キャビティ面に収容孔を設け、前記収容孔には、摺動部材が出没可能に収容され、前記摺動部材は、溶融した樹脂が注入される前の状態においては、前記キャビティ内に突出するガス抜き位置に付勢されるとともに、溶融した樹脂が注入されたときには、流入してきた樹脂の圧力で前記キャビティ内から退避した退避位置に押し出されるものであって、前記摺動部材には、前記収容孔との接面に摺動方向に凹条が形成されており、この凹条は、前記キャビティ面に臨む端部が塞がれて非凹部となっており、前記摺動部材が前記ガス抜き位置にあるときには、前記凹条が前記キャビティ内と連通することでガス抜き路が形成されるとともに、前記摺動部材が前記退避位置にあるときには、前記非凹部が前記ガス抜き路を塞いで前記キャビティ内からの樹脂の流出を防止することを特徴とする。
【0013】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0014】
すなわち、前記退避位置に押し出された前記摺動部材を前記ガス抜き位置に戻すための押し戻し機構を設けたことを特徴とする。
【0015】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0016】
すなわち、前記押し戻し機構は、成形後の製品を前記可動型板から取り外すためのエジェクタ機構と連動して動作するものであって、前記エジェクタ機構が作動したときに、前記可動型板を貫通するように設けられた押出しピンが前記摺動部材を押し戻すものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、キャビティ面に設けられた収容孔を出没可能な摺動部材を備え、この摺動部材が溶融した樹脂の圧力で摺動し、ガス抜き路を開閉するように形成されている。このため、開口部寸法を大きくとることができ、効率的にガス抜きが行えるとともに、樹脂が流れ込む前に開口が閉じられるため、樹脂の流出を防ぐことができる。
【0018】
また、摺動部材の所定面に凹条を形成することでガス抜き路を形成しているため、ガス抜き構造を構成する部材に斜面を形成する必要がなく、ガス抜き構造の製造も容易なものとなっている。
【0019】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記退避位置に押し出された前記摺動部材を前記ガス抜き位置に戻すための押し戻し機構を設けたため、摺動部材の押し戻し動作を行うスプリングにガスが付着するなどした場合でも、確実に摺動部材を押し戻すことができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、前記押し戻し機構は、成形後の製品を前記可動型板から取り外すためのエジェクタ機構と連動して動作するものであって、前記エジェクタ機構が作動したときに、前記可動型板を貫通するように設けられた押出しピンが前記摺動部材を押し戻すものである。このため、既存のエジェクタ機構を利用して摺動部材の押し戻し動作を行うことができるので、従来の金型装置に対する改造を最小限としつつ、従来の操作手順を変更することなく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ガス抜き駒の斜視図であって、(a)摺動部材がガス抜き位置にある状態の図(b)摺動部材が退避位置にある状態の図である。
【図2】摺動部材の斜視図である。
【図3】ガス抜き駒の(a)平面図(b)横断面図である。
【図4】ガス抜き駒を可動型板に取り付けた状態を示す図である。
【図5】射出成形用金型に溶融樹脂を流し込む様子を示す説明図であって、(a)溶融樹脂が摺動部材を退避位置に押し出す前の状態(b)溶融樹脂が摺動部材を退避位置に押し出す途中の状態(c)溶融樹脂が摺動部材を退避位置に押し出した後の状態をそれぞれ示す図である。
【図6】射出成形用金型から成形品を取り出す様子を示す説明図であって、(a)金型を閉じてキャビティを形成した状態(b)金型を開いて成形品を取り出すときの状態をそれぞれ示す図である。
【図7】摺動部材の押し戻し機構を示す説明図であって、(a)エジェクタが作動して押出しピンが摺動部材をガス抜き位置に押し戻した状態(b)エジェクタがリターンした後の状態をそれぞれ示す図である。
【図8】別の実施形態に係る射出成形用金型に溶融樹脂を流し込む様子を示す説明図であって、(a)溶融樹脂が摺動部材を退避位置に押し出す前の状態(b)溶融樹脂が摺動部材を退避位置に押し出した後の状態をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0023】
本実施形態に係る射出成形用金型10は、固定型板11と可動型板12とでキャビティ14を形成し、このキャビティ14に溶融樹脂100を流し込んで成形品101を成形可能としたものである。この射出成形用金型10は、図1に示すようなガス抜き駒20を備えている。
【0024】
このガス抜き駒20は、所定の面がキャビティ面15に臨むように可動型板12に取り付けられるものであり、図1に示すように、駒本体21と、この駒本体21に対して出没可能に内装された摺動部材30と、を備えている。
【0025】
駒本体21は、キャビティ面15に臨む面に段差を形成した金属製のブロックであり、図1に示すように、段差の上段面21aにはこの駒本体21を可動型板12に取り付けるためのボルト孔22が貫通形成されている。また、段差の下段面21bには、摺動部材30を出没可能に収容するための収容孔23が設けられている。この収容孔23には摺動部材30が摺動可能に嵌め込まれている。
【0026】
摺動部材30は、図2に示すように、略直方体状の金属製の部材であり、図1(a)に示すガス抜き位置から図1(b)に示す退避位置までの範囲において摺動可能に収容孔23に嵌め込まれている。この摺動部材30は、収容孔23の開口の大きさとほぼ同じ大きさの外周で形成されているため、収容孔23に収容したときに収容孔23との間に隙間ができないように形成されている。
【0027】
また、この摺動部材30には、収容孔23の形成面との接面31のうちの1つに、図2に示すように、摺動方向に凹条32が形成されている。この凹条32は、キャビティ面15に臨む端部が塞がれて非凹部34となっており、この非凹部34は接面31と連続する平面を形成している。そして、この凹条32及び非凹部34が形成された接面31の裏面には、後述する被係合部25と係合するための係合部35が突出形成されている。
【0028】
この摺動部材30は、所定の露出面30aがキャビティ面15に臨むように収容孔23に収容され、図3(b)に示すように、スプリングなどの付勢部材24によって、収容孔23から突出する方向に付勢されている。このとき、駒本体21に形成された被係合部25に対して摺動部材30の係合部35が係合することで、付勢部材24による付勢が制限され、摺動部材30の突出度合いが規制されている。
【0029】
このように、通常時においては、摺動部材30は、駒本体21の段差の下段面21bに対してやや突出した位置に付勢されるようになっており、これにより、図1(a)に示すように、凹条32の一部が外部に露出して開口33が現れるようになっている。
【0030】
なお、この摺動部材30は、駒本体21の内方へと押し込まれると、図1(b)に示すように、駒本体21の内部へと埋没し、摺動部材30の露出面30aが、駒本体21の段差の下段面21bと連続する平坦面を形成するようになっている。
【0031】
図4は、上記したガス抜き駒20の使用状態を示す図であり、ガス抜き駒20を可動型板12に取り付けた上で、固定型板11と可動型板12とを閉じてキャビティ14を形成した状態の図である。
【0032】
ガス抜き駒20は、溶融樹脂100の流動方向の最下流付近に設けられ、これにより、溶融樹脂100の最終充填位置付近においてガス抜き路40を形成し、効率良くガス抜きができるようになっている。
【0033】
具体的には、ガス抜き駒20は、図4が示すように、駒本体21の段差の上段面21aがPL面13の一部を形成するように配置されるとともに、駒本体21の段差の下段面21bがキャビティ面15の一部を形成するように配置される。このため、キャビティ面15に収容孔23を設けた状態となっており、キャビティ面15に対して摺動部材30が出没可能に形成されている。
【0034】
また、ガス抜き駒20は、駒本体21の段差の段差面が溶融樹脂100の最終充填位置の壁面となるように配置されるとともに、摺動部材30の凹条32が段差面の方向に向くように配置されている。
【0035】
また、凹条32が設けられていることにより、収容孔23の内面と凹条32との間に摺動方向にガス抜き路40が形成されるようになっており、このガス抜き路40の開口33がキャビティ14内に現れているときには、このガス抜き路40を介してキャビティ14の内部と外部とが連通するように形成されている。
【0036】
すなわち、摺動部材30が図4に示すようなガス抜き位置にあるときには、開口33が現れることにより、凹条32がキャビティ14の内部と連通し、キャビティ14内のガスがガス抜き路40を通って外部へと排出可能に形成されている。
【0037】
図5は、この射出成形用金型10に溶融樹脂100を流し込む様子を示す説明図である。次に、この図5を参照しつつ、ガス抜き駒20の動作を説明する。
【0038】
まず、溶融樹脂100が摺動部材30に到達する前の状態においては、図5(a)に示すように、摺動部材30はキャビティ14内に突出するように付勢されてガス抜き位置にあり、キャビティ14内のガスがガス抜き路40を通って外部へと排出可能となっている。
【0039】
そして、溶融樹脂100が摺動部材30に到達すると、図5(b)に示すように、摺動部材30は、流入してきた溶融樹脂100の充填圧力で収容孔23に埋没する方向へと押し込まれる。
【0040】
最終的には、図5(c)に示すように、摺動部材30は、溶融樹脂100の圧力でキャビティ14内から退避した退避位置に押し出される。このとき、非凹部34がガス抜き路40を塞いで開口33が塞がれるので、キャビティ14内が密閉され、キャビティ14内から溶融樹脂100が流出することが防止される。
【0041】
このように、本実施形態に係るガス抜き駒20によれば、溶融樹脂100が最終充填位置付近にくるまでは大経口のガス抜き路40が開口し、溶融樹脂100が最終充填位置にくる直前でガス抜き路40が閉じられるので、効率の良いガス抜き構造を提供できるようになっている。しかも、溶融樹脂100の充填圧で、溶融樹脂100が流れ込む直前に開口33が閉じられるため、溶融樹脂100が流出することもない。
【0042】
また、摺動部材30の接面31に凹条32を形成することでガス抜き路40を形成しているため、比較的加工精度が求められず、容易に製造ができるものとなっている。
【0043】
また、ガス抜き駒20は、PL面13から挿入されたボルトで可動型板12に固定されているため、金型を開いた状態でボルトを外せば容易に取り外しが可能であり、メンテナンス容易となっている。
【0044】
ところで、本実施形態に係る射出成形用金型10は、図5(c)に示す退避位置に押し出された摺動部材30を、元のガス抜き位置に戻すための押し戻し機構を備えており、これにより、付勢部材24が作動不良を起こした場合でも、確実に摺動部材30がガス抜き位置に戻るように形成されている。
【0045】
この押し戻し機構は、成形後の成形品101を可動型板12から取り外すためのエジェクタ機構と連動して動作するものであるため、まずはエジェクタ機構について図6を参照しつつ説明する。
【0046】
図6(a)は、金型を閉じてキャビティ14を形成した状態の図であり、この状態では、固定型板11と可動型板12とがガイドピン49に沿って接合している。この状態で湯口51より溶融樹脂100が流し込まれ、キャビティ14内に溶融樹脂100が充填される。
【0047】
その後、溶融樹脂100が冷却されて固まったら、図6(b)に示すように、金型を開いて成形品101を取り出す。具体的には、固定型板11と可動型板12とが離れて金型が完全に開いた後に、エジェクターロッド(図示せず)を作動させることで、エジェクタピン45が設けられたエジェクタ板44を成型品101の方向に押し出す。エジェクタピン45は可動型板12を貫通した端部がキャビティ14内に臨むように配置されているため、上記のようにエジェクタ板44が押し出されることにより、エジェクタピン45の端部が成形品101を可動型板12から離反する方向へと突き出し、成形品101が取り出されるようになっている。なお、このようにエジェクタピン45で押し出された成形品101が取り出されると、エジェクターロッドによるエジェクタ板44の押し出し動作が解除されるため、リターンスプリング48による付勢力でエジェクタ板44は元に位置(エジェクタピン45を突出させない位置)に戻ることとなる。
【0048】
次に、本実施形態に係る押し戻し機構について説明する。本実施形態に係る押し戻し機構は、図7に示すように、エジェクタ機構が作動したときに、可動型板12を貫通するように設けられた押出しピン42が摺動部材30を押し戻すように形成されている。
【0049】
すなわち、エジェクタ機構が作動してエジェクタ板44が可動型板12の方向に押し出されると(図6(c)の状態)、図7(a)に示すように、押出しピン42が摺動部材30の方向へと摺動する。この押出しピン42の端部は、可動型板12を貫通して摺動部材30の裏面に当接可能となっているため、押出しピン42が摺動することで摺動部材30がガス抜き位置へと押し戻される。
【0050】
その後、エジェクタ板44が元の位置(エジェクタピン45を突出させない位置)に戻ったとしても、図7(b)に示すように、摺動部材30はガス抜き位置を維持するようになっている。
【0051】
このように、本実施形態に係る押し戻し機構によれば、エジェクタ板44がエジェクタストッパーブロック46に当接するまで作動することにより、押出しピン42が摺動部材30をガス抜き位置へと押し戻すように形成されているので、摺動部材30の押し戻し動作を行う付勢部材24にガスが付着するなどした場合でも、確実に摺動部材30を押し戻すことができる。
【0052】
しかも、この押し戻し機構は、成形品101を可動型板12から取り外すためのエジェクタ機構と連動して動作するので、既存のエジェクタ機構を利用して摺動部材30の押し戻し動作を行うことができる。すなわち、従来の金型装置に対する改造を最小限としつつ、従来の操作手順を変更することなく使用することができる。
【0053】
なお、上記した実施形態においては、直方体状のガス抜き駒20を使用したが、これに限らず、キャビティ14の形状に合わせて種々の形状のガス抜き駒20を使用することができる。例えば、図8に示すように、駒本体21の複数面でキャビティ面15を形成するようにしてもよい。このようなガス抜き駒20を使用すれば、立壁部を有する成形品101を成形するための金型にも適用することができる。
【0054】
更には、ガス抜き駒20を設けずに、可動型板12に直接的に摺動部材30を設けることとしてもよい。すなわち、可動型板12に収容孔を設け、この収容孔に摺動部材を出没可能に収容することとしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 射出成形用金型
11 固定型板
12 可動型板
13 PL面
14 キャビティ
15 キャビティ面
20 ガス抜き駒
21 駒本体
21a 上段面
21b 下段面
22 ボルト孔
23 収容孔
24 付勢部材
25 被係合部
30 摺動部材
30a 露出面
31 接面
32 凹条
33 開口
34 非凹部
35 係合部
40 ガス抜き路
42 押出しピン
44 エジェクタ板
45 エジェクタピン
46 エジェクタストッパーブロック
47 リターンピン
48 リターンスプリング
49 ガイドピン
50 固定側取付板
51 湯口
52 可動側取付板
100 溶融樹脂
101 成形品
D 溶融樹脂の流動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定型板と可動型板とでキャビティを形成した射出成形用金型であって、
キャビティ面に収容孔を設け、
前記収容孔には、摺動部材が出没可能に収容され、
前記摺動部材は、溶融した樹脂が注入される前の状態においては、前記キャビティ内に突出するガス抜き位置に付勢されるとともに、溶融した樹脂が注入されたときには、流入してきた樹脂の圧力で前記キャビティ内から退避した退避位置に押し出されるものであって、
前記摺動部材には、前記収容孔との接面に摺動方向に凹条が形成されており、この凹条は、前記キャビティ面に臨む端部が塞がれて非凹部となっており、
前記摺動部材が前記ガス抜き位置にあるときには、前記凹条が前記キャビティ内と連通することでガス抜き路が形成されるとともに、
前記摺動部材が前記退避位置にあるときには、前記非凹部が前記ガス抜き路を塞いで前記キャビティ内からの樹脂の流出を防止することを特徴とする、射出成形用金型。
【請求項2】
前記退避位置に押し出された前記摺動部材を前記ガス抜き位置に戻すための押し戻し機構を設けたことを特徴とする、請求項1記載の射出成形用金型。
【請求項3】
前記押し戻し機構は、成形後の製品を前記可動型板から取り外すためのエジェクタ機構と連動して動作するものであって、前記エジェクタ機構が作動したときに、前記可動型板を貫通するように設けられた押出しピンが前記摺動部材を押し戻すものであることを特徴とする、請求項1又は2記載の射出成形用金型。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−106375(P2012−106375A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255745(P2010−255745)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000225740)南部化成株式会社 (41)
【Fターム(参考)】