説明

導体を流れる電流の感知に使用するセンサ装置および感知方法

【課題】導体を流れる電流の感知に使用するセンサ装置および感知方法を提供する。
【解決手段】センサ装置12は、その中に導体を受けるように構成された開口110を画定する非磁性基体102と、基体の少なくとも一部分の周りに巻き付けた複数のコイルターンからなるコイル104と、基体と複数のコイルターンとの間の第1のシールドと、複数のコイルターンが第1のシールドと第2のシールドとの間に配置されるように複数のコイルターンに近接して第1のシールドとは反対側に配置される第2のシールドと、第1および第2のシールドのうちの少なくとも一方に結合されるフィルタ要素とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、一般にセンサ装置および感知方法に関し、さらに詳細には、導体を流れる電流の感知に関する。
【背景技術】
【0002】
電力源から利用者に供給される電気を測定するために、少なくともいくつかの需給計器が使用されている。利用者に供給されるエネルギーの量を正確に計測できるようにするために、多くの需給計器は、電力源と利用者の間の導体を流れる電流を感知するためのセンサ装置を1つまたは複数含む。需給計器に含まれるセンサ装置は、電圧および/または電流の動作範囲で正確に機能するようになっている。
【0003】
需給計器では、様々なタイプの既知の電流センサ装置が使用される。例えば、少なくとも一部の既知の変圧器センサ装置は、導体を流れる電流を感知するためのマグネットワイヤが巻き付けられた磁心を含む。しかし、変圧器を含む電流センサ装置は、一般に、嵩張り、かつ高価であることが知られている。既知の電流センサ装置の別の例としては、ロゴスキーコイルがある。ロゴスキーコイルは、コイルを含み、一般に変圧器センサ装置よりも小さい。しかし、ロゴスキーコイルは、ある電圧範囲において低電流状態および/または高電流状態になると限られた精度しかもたらさないことが知られている。その結果、このような不正確さの影響を最小限に抑えるために、既知のロゴスキーコイルを備える需給計器に対しては、製造時に複数回の較正プロセスを行うことが多い。このように較正プロセスを繰り返すことによってセンサ装置の不正確さを低減することはできるが、これらのプロセスによって、需給計器の製造に要する時間およびコストも増大する。
【発明の概要】
【0004】
1つの態様では、導体中の電流の検出に使用されるセンサ装置が提供される。このセンサ装置は、その中に導体を受けるように構成された開口を画定する非磁性基体と、該基体の少なくとも一部分の周りに巻き付けた複数のコイルターンからなるコイルと、該基体と該複数のコイルターンとの間の第1のシールドと、該複数のコイルターンが該第1のシールドと第2のシールドとの間に配置されるように該複数のコイルターンに近接して該第1のシールドとは反対側に配置される第2のシールドと、該第1および第2のシールドのうちの少なくとも一方に結合されるフィルタ要素とを備える。
【0005】
別の態様では、電力源から利用者に電気エネルギーを伝送するのに使用される需給計器が提供される。この需給計器は、導体と、少なくとも部分的に該導体の周りに配置されたセンサ装置とを含む。このセンサ装置は、開口を画定する非磁性基体と、該非磁性基体の少なくとも一部分の周りに巻き付けた複数のコイルターンからなるコイルと、該基体と該複数のコイルターンとの間にある第1のシールドと、該複数のコイルターンに近接して該第1のシールドとは反対側にある第2のシールドと、該コイルと該第1および第2のシールドのうちの少なくとも一方との間に結合されるフィルタ要素とを備える。
【0006】
さらに別の態様では、導体中の電流を検出するセンサ装置を作製する方法が提供される。この方法は、開口を画定する非磁性基体と、該非磁性基体の少なくとも一部分の周りの複数のコイルターンからなるコイルと、該基体と該複数のコイルターンとの間に配置される第1のシールドと、該複数のコイルターンに近接して該第1のシールドとは反対側に配置される第2のシールドとを備えるセンサ装置を設けるステップを含む。この方法は、第1のリード線を該第1のシールドおよび該第2のシールドのうちの少なくとも一方に結合するステップと、第2のリード線を該コイルの第1の端部に結合するステップと、第3のリード線を該コイルの第2の端部に結合するステップと、該第1、第2および第3のリード線で撚りリード線セットを形成するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】例示的なセンサ装置を含む例示的な需給計器を示すブロック図である。
【図2】図1に示すセンサ装置を示す部分分解図である。
【図3】図1に示すセンサ装置を示す斜視図である。
【図4】図1に示すセンサ装置を示す平面図である。
【図5】図1に示すセンサ装置とともに使用される例示的な基体およびコイルを示す斜視図である。
【図6】図1に示すセンサ装置とともに使用することができる例示的なボビンを示す断面図である。
【図7】図1に示すセンサ装置とともに使用することができる例示的なコイルおよびシールドを示す回路図である。
【図8】4本のリード線を含む例示的なセンサ装置を示す斜視図である。
【図9】図8に示すセンサ装置とともに使用することができる例示的なコイルおよびシールドを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、例示的な需給計器10を示すブロック図である。この例示的な実施形態では、需給計器10は、センサ装置12、導体14、およびセンサ装置12に結合された計器制御盤17を含む。導体14としては、母線、マルチストランドワイヤ、シングルストランドワイヤ、ケーブル、またはその他の、電力源から電力利用者に電気を伝送する適当な導体などが挙げられる。電力源としては、ガスタービンエンジン、水力発電タービン、風力タービン、ソーラーパネル、ならびに/あるいは別の適当な発電および/または伝送システムなどの、電力網および/または発電システムが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。電力源としては、計器制御盤17と通信するスマートグリッドもある。利用者としては、一般家庭利用者、商用利用者、および/またはその他の任意レベルの任意の電気利用者が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。センサ装置12は、導体14に結合されて、導体14を流れる電流を感知する。センサ装置12は、感知した電流を表す信号を、計器制御盤17に提供する。センサ装置12から受信した信号に基づいて、計器制御盤17は、ある期間にわたって電力源から利用者に導体14を通じて伝送される電気の量を決定する。
【0009】
課金は、電力源から利用者に伝送される電気に対して行われることがあるので、センサ装置12の精度を高くして、電力源の運営業者が当該利用者に伝送した実質的に全ての電気に対して課金されるのではなく、当該利用者が実質的に受け取った電気に対してのみ課金されることが確実になされるようにすることが望ましい。
【0010】
この例示的な実施形態では、需給計器10は、導体15および16と、導体15に結合された別のセンサ装置12とをさらに含む。なお、他の需給計器の実施態様では、任意数の導体および/またはセンサ装置(例えば、1つでも、3つでも、6つでもよい)を使用することができることを理解されたい。さらに、センサ装置12は、需給計器10内の使用のみに限定されず、発電分野、公共事業分野、自動車分野、電化製品分野、電気通信分野など、実質的にどのような適用分野でも、導体を流れる電流を感知するために利用することができることも理解されたい。
【0011】
図2は、例示的なセンサ装置12を示す部分分解図である。この例示的な実施形態では、センサ装置12は、基体102、基体102の周りに巻き付けた複数ターンからなるコイル104、および誘電材料108を含む。コイル104には開口110が画定されており、この開口110は、その中に導体14を受けるように(例えばサイズ、向き、および/または形状などが)構成されている。誘電材料108は、コイル104に近接して、少なくとも一部が開口110内に入るように位置決めされる。さらに詳細には、本実施形態では、誘電材料108は、導体14を開口110に通して位置決めしたときに、少なくとも一部がコイル104と導体14の間に位置決めされる。
【0012】
誘電材料108としては、様々に構成される様々な特徴を有する1つまたは複数の誘電材料が挙げられる。例えば、誘電材料108は、約10〜1000Hzで約3.0以上の誘電率を有することができる。実施形態によっては、誘電率は、約3.5、約4.0、約5.0、約8.0、約12.0、約17.0および/またはその他の任意の適当な値を超えることもある。例示的な1実施形態では、誘電材料108の誘電率は、約3.5に等しくすることができる。別の例示的な実施形態では、誘電材料108の誘電率は、約6.0に等しくすることができる。
【0013】
さらに、誘電材料108は、少なくとも1つの厚さを有するが、複数の厚さを有していてもよい。例示的な本実施形態では、コイル104に近接して少なくとも一部が開口110の中に位置決めされる誘電材料108の厚さは、約3.0ミリメートルである。また、本実施形態では、コイル104に近接するが開口110に対向して位置決めされる誘電材料108の厚さは、約1.2ミリメートルである。誘電材料108は、任意の1つまたは複数の厚さを有することができ、それによってセンサ装置12が本明細書に記載するような機能を発揮することができることを理解されたい。一般に、誘電材料108の厚さは、少なくとも部分的には、誘電材料108の誘電率、コイル104の1つまたは複数の導体14、15および16に対する近さ、および/または所期の環境内におけるセンサ装置の設置に利用できるスペースなどに基づいて選択される。いくつかの例示的な実施形態では、誘電材料108の厚さは、約1.0ミリメートルから約3.0ミリメートルの間とすることができるが、他の実施形態では、それより大きいこともある。
【0014】
例示的な本実施形態では、誘電材料108は、プラスチック材料、熱可塑性材料、熱硬化性材料、セラミック材料、金属材料、木材料、粘土材料、有機材料、これらの任意の混合物、および/または本明細書に記載するように作用するその他の適当な材料など(ただしこれらに限定されない)、いくつかのタイプの材料のうちの1つまたは複数から作製される。図2に示す例示的な実施形態では、誘電材料108は、Valox(登録商標)シリーズの材料として市販されているPBT熱可塑性材料を含む。様々な実施形態において、誘電材料108は、Kapton(登録商標)テープ、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)材料、室温加硫シリコーン(RTV)ポリマー、Valox(登録商標)シリーズの材料として市販されているPBT熱可塑性材料(例えばValox(登録商標)365またはValox(登録商標)V9561など)、Rynite(登録商標)シリーズの材料として市販されているポリエチレンテレフタラート(PET)熱可塑性材料、Prime(登録商標)シリーズの材料として市販されているPPS熱可塑性材料、Zytel(登録商標)、Stanyl(登録商標)またはRTP(登録商標)シリーズの材料として市販されているナイロン熱可塑性材料、LCP熱可塑性材料(例えばSumitomo(登録商標)E5008LまたはE4008L材料など)など(ただしこれらに限定されない)のうちの1つまたは複数を含む。1つまたは複数のタイプの誘電材料108を、その1つまたは複数の材料の誘電率、1つまたは複数の製造技術に対する適合性、寸法安定性、コスト、成形性、加工性、剛性、および/またはその他の特徴に基づいて選択することができる。少なくとも1つの例では、誘電材料108は、少なくとも部分的には、誘電率の温度変動性に基づいて選択される。
【0015】
図3は、導体14が開口110を通して延在している状態のセンサ装置12の組み立てられた状態を示す斜視図である。上述のように、センサ装置12は、導体14を流れる電流を感知する。詳細には、導体14に電流が流れると、コイル104に電流が誘導される。コイル104に誘導された電流の量は、導体14に流れる電流の量を表している。センサ装置12が導体14の周りに位置決めされているとき、コイル104は、導体14からある距離だけ離間している。したがって、コイル104と導体14の間に静電容量が存在する。この静電容量は、様々な動作電圧(例えば約30Vから約277Vの範囲)でセンサ装置12の精度に影響を及ぼす可能性がある。例示的な実施形態では、誘電材料108は、コイル104と導体14の間に画定されたエアギャップ106の少なくとも一部分の中に位置決めされる。その結果、誘電材料108は、コイル104および導体14を近接させたまま、コイル104と導体14の間の静電容量の低下に影響を及ぼし、および/またはそれを促進する。
【0016】
このように静電容量を低下させることにより、センサ装置12は、既知のロゴスキーコイルまたはその他のエアギャップコイルと比較して、より高い精度で導体14を流れる電流を感知することができるようになる。さらに詳細には、コイル104と導体14の間の容量結合を低減することにより、動作電圧に対する感度を低下させる。その結果、高電流および定電流を含む様々な電流範囲にわたって、様々な動作電圧で、一貫した電流検知が行われる。したがって、需給計器10がセンサ装置12を含む場合には、既知のセンサ装置の較正に必要な1つまたは複数のプロセスを省略することができる。具体的には、例示的な本実施形態では、様々な動作電圧にわたって正確に電流を検出するセンサ装置12の一貫性により、既知の需給計器を様々な電圧で使用するためには複数の較正係数が必要であるのに対して、計器制御盤17は、複数の動作電圧に対して較正係数を1つ使用するだけでよい。さらに、コイル104と導体14の間の静電容量が低下することにより、較正プロセスの削減および/または簡略化が容易になるだけでなく、動作電圧/電流範囲にわたって精度を最低でも同等に維持しながら、また多くの場合には向上させながら、製造に要するコスト、資源および/または時間を削減することが容易になる。
【0017】
図3に示すように、例示的な本実施形態では、センサ装置12は、筐体112を含む。筐体112は、様々な材料で、および/または様々な作製プロセスで形成することができる。例示的な本実施形態では、筐体112は、実質的に誘電材料108のみを含むので、誘電材料108は、コイル104の周りに、開口110と対向するように位置決めされる。したがって、センサ装置12は、3相導体14、15および16を有する需給計器10内で使用するときには、導体14の周りに、(図1に示すように)少なくとも1つの別の導体15に近接するように、また場合によっては導体16にも近接するように、位置決めすることができる。コイル104と導体14の間の相互作用と同様に、コイル104と導体15の間にも静電容量が存在し、これがセンサ装置12の精度に悪影響を及ぼし、および/または低下させることがある。誘電材料108は、開口110に対向する位置にあるので、コイル104と近接する導体15の間に位置決めされる。したがって、誘電材料108は、コイル104と導体15の間の静電容量を低下させるためにも設けられている。このようにして、センサ装置12は、複数の導体を有する需給計器10に使用されたとき、および/または1つまたは複数のその他の導体に近接して使用されたときに、既知のエアギャップコイルよりも高い精度を出すことができる。
【0018】
実施形態によっては、筐体112は、誘電材料108の他に、様々な特徴を有する非誘電材料または誘電材料など、さらに1つまたは複数の材料を含むことができる。1実施形態では、筐体112は、誘電材料108と、コイル104に対して1つまたは複数の位置で誘電材料108を支持して誘電材料108が本明細書に記載するような機能を発揮できるようにするために設けられた追加材料とを含む。この追加材料としては、プラスチック材料、熱可塑性材料、熱硬化性材料、セラミック材料、金属材料、木材料、粘土材料、有機材料、これらの任意の混合物、および/またはその他の任意の適当な材料などが挙げられる。この追加材料は、その材料の製造技術、寸法安定性、コスト、成形性、加工性、剛性、および/またはその他の特徴などに基づいて選択することができる。このような実施形態では、誘電材料108が(追加材料と比較して)高コスト材料である場合には、追加材料を含めることによって、センサ装置12全体のコストを削減することができる。さらに、1つまたは複数の追加材料を使用して、誘電材料108を支持する、コイル104を保護および/または絶縁するなど、1つまたは複数の追加機能を実行することもできる。様々な実施形態で、追加材料は、筐体112の一部として使用することができることは明らかであろう。ただし、例示的な本実施形態では、筐体112は実質的に誘電材料108しか含まないので、追加材料を省略する。
【0019】
筐体112は、誘電材料から作製してもよいし、誘電材料108および少なくとも1つの追加材料から一体的に形成してもよいし、あるいは1つまたは複数の別個の誘電材料108および1つまたは複数の追加材料から組み上げてもよい。筐体112および/または誘電材料108は、1つまたは複数の射出成形プロセスおよび/またはその他の適当な作製プロセスを用いて作製することができる。例示的な本実施形態では、筐体112は、1回の射出成形プロセスで、筐体112を形成するように構成された鋳型に誘電材料108を射出することにより、構築される。
【0020】
あるいは、筐体112は、多段階射出成形プロセスで構築することもできる。多段階プロセスでは、追加材料を、初期成形プロセスによって特定の形状に成形する。その後、この成形済みの追加材料を鋳型内に位置決めし、この鋳型の中に誘電材料108を射出する。誘電材料108が鋳型と追加材料の間に画定された空隙に流入して、誘電材料108および追加材料で筐体112が形成される。様々な実施形態では、多段階成形プロセスでは、本明細書に記載する所望の性能が達成されるように比較的コストの高い誘電材料をコイル104に対して特定の位置に配置する一方で、筐体112のその他の部分は1つまたは複数の比較的コストの低い材料で構築することができる。
【0021】
なお、筐体112は、コイル104および/または導体14の全体にわたって、またはこれらに対する所望の位置に誘電材料108を設ける、その他の作成技術で構築することもできることを理解されたい。1つの例では、誘電材料108を追加材料とは別に構築しておき、その後、追加材料によって変形および/または構築して、筐体112を構成する。さらに別の例では、追加材料で形成した開口中に筒状誘電材料を挿入して、筐体112を形成することもできる。
【0022】
例示的な本実施形態では、筐体112は、開口110を画定する取付け台116を含む。導体14が(図3に示すように)開口110内に入ると、取付け台116と導体14の間にエアギャップコイル06が形成される。同時に、取付け台116と導体14の間に摩擦ばめが生じる。取付け台116は、誘電材料108および/または別の材料を含むことができる。取付け台116は、様々なタイプ、形状および/または向きの導体を受け、および/または結合するように設計された様々な形状で構成することができることを理解されたい。少なくとも1つの実施形態では、取付け台116は、方形の母線導体との間に摩擦ばめを生じるような構造の開口を画定する。
【0023】
再度図2を参照すると、筐体112は、第1の部分118および第2の部分120を含む。第1の部分118は、基体102およびコイル104が実質的にその中に封入されるように、脱着可能に第2の部分120に結合される。具体的には、組み立てたとき、図3に示すように、第1の部分118は、少なくとも1箇所の相じゃくり接合によって第2の部分120と結合して、筐体112を形成する。ただし、第1の部分118と第2の部分120とは、1つまたは複数箇所の突き合わせ接合、ねじ接合、ヒンジ接合、タブスロット構成、さねはぎ構成、固定具など(ただしこれらに限定されない)を含む、様々な異なる方法で結合することができることを理解されたい。図3に示すように、筐体112はほぼ環状の形状を画定するが、その他の筐体の実施形態では、基体102、コイル104および/またはシールドを少なくとも部分的に封入するようなサイズを有し、および/またはそのように作用し、また誘電材料108が本明細書に記載するような機能を発揮できるようにする、任意の形状および/またはサイズを有することができることを理解されたい。
【0024】
さらに、例示的な本実施形態では、誘電材料108の厚さは、筐体112の全体にわたって変化する。第1の部分118と第2の部分120の間は相じゃっくり接合なので、第1の部分118と第2の部分120は重なり合っている。詳細には、例示的な本実施形態では、第1の部分118および第2の部分120はそれぞれ、開口110において約1.2ミリメートルの厚さを有する。第1の部分118と第2の部分120を組み立てたとき、第1の部分118と第2の部分120とが、(開口110に沿った)相じゃっくり接合部において少なくとも部分的に重なり合い、全体の厚さが約2.4ミリメートルになる。さらに、例示的な本実施形態では、第1の部分118および第2の部分120は、(開口110と対向する)小さな相じゃっくり接合部における筐体112の外側の周りの全体の厚さが、約1.2ミリメートル未満になるように構成される。筐体112を形成する様々な方法を使用して、筐体112および/または誘電材料108が1つまたは複数の様々な厚さを有するようにすることができることを理解されたい。
【0025】
その他の様々な実施形態では、筐体112および/または誘電材料108の厚さは、約0.5ミリメートルから約3.0センチメートルの間とすることができる。実施形態によっては、筐体112および/または誘電材料108の1つまたは複数の厚さは、約1.0ミリメートルから約6.0ミリメートルの間である。さらに、様々な実施形態で、筐体112および/または誘電材料108の1つまたは複数の厚さは、約1.0ミリメートルから約4.0ミリメートルの間である。他の実施形態では、場合によっては組立て/作製方法、選択した誘電材料の1つまたは複数の特徴、および/または1つまたは複数の所望の性能特性に基づいて、筐体112および/または誘電材料108が様々な厚さを有することができることを理解されたい。さらに、筐体112のその他の形状、サイズおよび/または接合を用いて、本開示の1つまたは複数の態様に従って作用するように誘電材料108をコイル104に対して位置決めしながら、少なくとも部分的にコイル104を封入することができる。
【0026】
例示的な本実施形態では、コイル104は、例示的なロゴスキーコイルを含む。ただし、センサ装置12は、ロゴスキーコイル以外のコイルを含むことができることを理解されたい。さらに、本開示の態様は、本明細書で説明および例示するようにロゴスキーコイルとともに使用する態様のみに限定されるわけではない。
【0027】
図5は、筐体112から分離した基体102およびコイル104を示す斜視図である。例示的な本実施形態では、基体102は、6個のボビン124、126、128、130、132および134(まとめてボビン124〜134と記載する)を含む。各ボビン124〜134は、ほぼ円形の断面を有し、さらに詳細には、両端にコイル104を保持するためのフランジ135を備えた直円柱である。その他の実施形態では、基体102は、異なる数、形状および/またはサイズのボビンを有することができる。例えば、基体102が備えるボビンの数は、5個であっても、8個であっても、10個であっても、30個であっても、あるいはそれ以外の偶数または奇数の数であってもよい。さらに、基体102は、異なる形状を有し、および/または卵形、楕円形または方形の断面などを有するボビンを備えることもできる。さらに別の実施形態では、基体102は、フランジ35に加えて、またはフランジ35の代わりに、コイル104を支持する別の構造を備えることもできる。少なくとも1つの実施形態では、コイル104は、基体102を省略することができるだけの剛性を有している。
【0028】
例示的な本実施形態では、ボビン124〜134は、ヒンジ接合137によって互いに結合される。さらに詳細には、ボビン124と126は、ヒンジで結合されてその間で枢動することができる。様々な実施形態で、ボビン124〜134は、コイル104を効率的に巻くことができるように一直線に整列させ、その後互いに枢動させて、図5に示すようにほぼ円形の形状を形成することができる。
【0029】
基体102の各ボビン124〜134は非磁性構造であり、ボビン124〜134が、例えば熱可塑性材料、セラミック材料、木材料またはその他の1種類または複数種類の適当な材料などを含めて、1つまたは複数の非磁性材料で構成されるようになっている。例示的な本実施形態では、各ボビン124〜134は、誘電材料で作製され、この誘電材料は、おそらく誘電材料108と一致している。非磁性基体102を使用することにより、1つまたは複数の磁心を備える既知のセンサ装置に優るコスト削減が可能になる。さらに、例示的な本実施形態では、基体102は、嵩張る磁心を備える既知のセンサ装置と比較して、需給計器10内および/または計器制御盤17への取付けが改善されるような形状および/またはサイズを有している。さらに、例示的な本実施形態では、ボビン124〜134は、筐体112とは別個に形成される。ただし、その他のセンサ装置の実施形態では、ボビン124〜134は、筐体112と一体的に形成し、および/または筐体112の1つまたは複数の部分を形成していてもよいことを理解されたい。
【0030】
例示的な本実施形態では、コイル104は、各ボビン124〜134に複数のコイルターン巻き付けられる。さらに詳細には、例示的な本実施形態では、コイル104は、1本のマグネットワイヤを備え、これにより、コイル104を、各ボビン124〜134にそれぞれ複数のコイルターン巻き付けながらボビン124から134に順に巻いていき、その後、各ボビン124〜134にさらに巻き付けながらボビン124まで戻すことができる。その他の実施形態では、その他の異なるボビン124〜134への巻き付けパターンを用いることもできることを理解されたい。ボビン124〜134に対する上記の巻き付けパターンに従うと、コイル104の第1の端部および第2の端部は、ボビン124で終端する。図7に示すように、また以下でさらに述べるように、コイル104の第1の端部は、リード線136で終端し、コイル104の第2の端部は、リード線138で終端する。
【0031】
コイル104に加えて、例示的な本実施形態では、1つまたは複数のシールドが基体102に取り付けられる。詳述すると、図6は、ボビン124におけるセンサ装置12を示す部分断面図である。例示的な本実施形態では、ボビン124は、第1のシールド140および第2のシールド142を備える。第1のシールド140は、ボビン124とコイル104の間に位置決めされる。第2のシールド142は、コイル104に近接して第1のシールド140の反対側に位置決めされ、コイル104が第1のシールド140と第2のシールド142の間に位置決めされるようになっている。各ボビン124〜134は、図6に示すように、実質的に同じシールド/コイル/シールドパターンを有する。他の実施形態では、ボビン124〜134は、巻線パターンがボビンごとに変化する巻線パターンなどを含む、その他の巻線パターンを備えることもできる。
【0032】
例示的な本実施形態では、各シールド140および142は、ファラデー遮蔽を実現する。さらに詳細には、例示的な本実施形態では、第1のシールド140および第2のシールド142は、センサ装置12の同相雑音の低減を促進し、および/または高周波雑音フィルタリング用の低域通過フィルタを構成するように、実質的にファラデーケージに従って動作する。その結果、第1および第2のシールド140および142は、電磁干渉(EMI)および/または電磁適合性(EMC)に関する1つまたは複数の業界規格における性能をさらに向上させることになる。
【0033】
作製時には、ボビン124からボビン134に順に、各ボビン124〜134にマグネットワイヤを複数のコイルターン巻き付けて、第1のシールド140を形成する。その後、上述のように、コイル104を、ボビン124から134へと巻き付けていき、その後ボビン124まで戻る。その後、第1のシールド140のマグネットワイヤを、各ボビン124〜134にそれぞれ複数のコイルターン巻き付けながらボビン134からボビン124に戻していって、第2のシールド142を形成する。したがって、例示的な本実施形態では、第1のシールド140と第2のシールド142は、1本のマグネットワイヤで構成されている。この1本のマグネットワイヤは、まとめて終端させてもよい2つの端部を有し、これらの端部が、後述のように、リード線138および/または1本または複数本の追加リード線に結合される。第1のシールド140および第2のシールド142は、銅、アルミニウム、またはその他の非鉄導電性材料など(ただしこれらに限定されない)、任意の適当な材料を含むことができることを理解されたい。さらに一般的には、シールド材は、ボビン124〜134がシールド140および142を備えることを可能にするものであれば、シート状、テープ状、ワイヤ状、スプレー状およびまたはその他の任意の形態となるように形成することができる。したがって、シールド140および/または142の取り付けは、例えば巻き付ける、くるむ、および/または噴霧するなど(ただしこれらに限定されない)の方法で形成することができる。様々な実施形態で、第1のシールド140および第2のシールド142は、コイル104とは別に形成し、その後コイル104に取り付けることができる。
【0034】
再度図5を参照すると、センサ装置12は、そこから延びる3本のリード線136、138および144を備える。図7は、リード線136、138および144の結合を示す回路図である。詳細には、例示的な本実施形態では、第1および第2のシールド140および142は、1本のマグネットワイヤから構成され、それぞれの端部が互いに結合され、さらにリード線144に結合される。さらに、コイル104(1本のマグネットワイヤから構成される)の第1の端部が、リード線136に結合され、コイル104の第2の端部が、リード線138に結合される。図5に示すように、リード線136、138および144は、筐体から延び、1組の撚り線セットを形成している。したがって、リード線144は、低域通過フィルタ要素として機能し、第1のシールド140および/または第2のシールド142からの雑音がセンサ装置12が提供する電流信号のリターンパスに混入することを防止する。撚り線セットは、少なくとも約0.25インチの長さを有する。他の実施形態では、撚り線セットは、少なくとも約1.0インチの長さ、または少なくとも約3.0インチの長さを有することもできる。さらに別の実施形態では、撚り線セットは、少なくとも約6.0インチの長さを有することができる。その他のセンサ装置の実施形態では、場合によってはセンサ装置12から伝送される電流信号への雑音の混入を防止するフィルタとして機能するリード線および/または撚り線セットの性能に基づいて、その他のリード線および/または撚り線セットの長さを用いることもできることを理解されたい。
【0035】
図8〜図9は、別の例示的なセンサ装置200を示す図である。この例示的な実施形態では、センサ装置200は、上述のコイル104とシールド140および142とにほぼ一致する、コイル204と第1および第2のシールド240および242とを備える。ただし、センサ装置200は、4本のリード線236、238、244および245を備える。詳細には、第1のシールド240および第2のシールド242を形成するマグネットワイヤの各端部を、別々のリード線244および245に結合して、フィルタ要素を形成する。さらに、例示的な本実施形態では、2本のリード線236および238がコイル204に結合される。図8に示すように、リード線236、238、244および245は、撚り線セットを形成しており、これは、図5を参照して上述した撚り線セットと実質的に同じように機能する。
【0036】
計器制御盤17に結合されたときに、各リード線244および245は、互いに結合し、リード線238に結合することができる。実施形態によっては、撚ったリード線244および245が、フィルタ要素として機能することもある。これに加えて、あるいは別法として、リード線244および245とリード線238との間に、フィルタ要素を結合することもできる。このようなフィルタ要素としては、RC回路、LC回路、RL回路および/またはRLC回路などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0037】
再度図3および図7を参照すると、さらに別の実施形態では、シールド140および142を形成するマグネットワイヤの各端部を互いに結合し、さらに、別のリード線144ではなく、リード線138(すなわちコイル104の一端)に結合することができる。このような例示的な実施形態では、センサ装置12は、リード線144を省略して、リード線136および138を備えていればよいので、2線式センサ装置12が得られる。この例示的な実施形態では、第1のシールド140および/または第2のシールド142からの雑音が、センサ装置12によって提供される電流信号のリターンパスにいくらか混入する恐れがあるが、所望の動作環境で十分な精度および/または反復性を実現することができる。さらに別の実施形態では、センサ装置の実施形態からリード線を省略して、計器制御盤17などの回路基板への取付けに備えることができる。このような実施形態では、計器制御盤17上のトレースによって、リード線144に関連して上述したような機能を発揮できるだけの長さをフィルタ要素に与えることができる。これに加えて、あるいは別法として、フィルタ要素は、第1のシールド140および/または第2のシールド142からの雑音がセンサ装置12が提供する電流信号のリターンパスに混入することを防止するために、RC回路、LC回路、RL回路および/またはRLC回路を備えることもできる。
【0038】
例示的な本実施形態では、センサ装置12は、約10Hzから約1000Hzの間で動作状態になり、この範囲外の信号の影響は実質的に受けない。さらに詳細には、導体14は、無線周波(RF)信号を受信して、不要な雑音をセンサ装置12に再放射するアンテナとして作用することができる。第1および第2のシールド140および142は、低域通過フィルタとして作用して雑音信号の混入を防止して、信号対雑音比(SNR)の高い出力をもたらす。さらに詳細には、第1および第2のシールド140および142は、導体14を流れる低電流を感知するときに、再放射されたRF信号(および/またはその他の雑音信号)を阻止して、センサ装置12の出力に高いSNRを与える。雑音が電流信号に及ぼす影響を低減することにより、既知のセンサ装置と比較して、適用規格におけるセンサ装置12の有効電流感知範囲が広くなる。例示的な本実施形態では、第1および第2のシールド140および142により、(低電流性能および/または高電流性能のための)1つまたは複数の追加フィルタ要素を省略することが可能になる場合がある。
【0039】
さらに、第1および第2のシールド140および142は、EMIがセンサ装置12の精度に影響を及ぼすことを実質的に防止する。さらに詳細には、第1および第2のシールド140および142は、センサ装置12および/または需給計器10の精度を損なうようになっている近接する電子機器および/または装置など、センサ装置12に近接して位置決めされたEMI源の影響を阻止することを容易にする。さらに、磁心を省略することにより、既知のセンサと比較して、センサ装置12は、精度へのEMIの影響に対する耐性が向上している。したがって、センサ装置12は、1つまたは複数のEMI源が存在する状況にある既知のその他のセンサ装置と比較して、よりロバストおよび/または正確な電流センサ装置となる。
【0040】
センサ装置12の精度は、導体14を流れる電流の実際値の百分率として理解することができる。例示的な本実施形態では、センサ装置12は、約2アンペアから約200アンペアの間の範囲内で実際値の約±0.2%の範囲内で動作する。さらに詳細には、センサ装置12は、Class 0.2の範囲内、すなわち約60Vから約600Vの間の動作電圧で200Aに対して0.4Aの精度の範囲内、さらに詳細には、約240Vで0.2%の精度の範囲内で動作する。本開示の1つまたは複数の態様と整合するセンサ装置12は、場合によっては所期の適用分野および/あるいは当該所期の適用分野に関連する1つまたは複数の精度要件に応じて、様々な動作電流/電圧で1つまたは複数の精度標準に従うことができることを理解されたい。
【0041】
本明細書では、導体を流れる電流を感知するためのセンサ装置を作製する様々な方法について述べる。センサ装置12に関連してこれらの方法について以下に述べるが、これらの方法はセンサ装置12に限定されるわけではなく、これらの方法を利用して、その他の実施形態のセンサ装置を作製することもできることを理解されたい。同様に、センサ装置12およびセンサ装置200は、以下に述べる方法以外の方法で作製することもできる。
【0042】
導体14を流れる電流を感知するセンサ装置12を作製する1つの例示的な方法は、非磁性基体102の周りに複数巻きのコイル104を形成するステップと、コイル104に近接するように誘電材料108を位置決めして、センサ装置12によって画定される開口110内に導体14が配置されたときに誘電材料108が導体14とコイル104の間に位置決めされるようにするステップとを含む。いくつの実施形態では、この例示的な方法は、コイル104および/または基体102を、少なくとも部分的および/または実質的に筐体112内に封入するステップを含むこともある。
【0043】
導体14を流れる電流を感知するセンサ装置12を作製する別の例示的な方法は、ロゴスキーコイル104を設けるステップと、ロゴスキーコイル104が導体14の周りに配置されたときに誘電材料108がロゴスキーコイル104と導体14の間に配置されるように、ロゴスキーコイル104を少なくとも部分的に誘電材料108内に封入するステップとを含む。誘電材料108は、約3.5以上の誘電率を有する。いくつかの実施形態では、この例示的な方法は、筐体の第1の部分と第2の部分とを、ロゴスキーコイルが両者の間に配置されるように組み立てて、ロゴスキーコイルを少なくとも部分的に封入するステップを含むこともある。筐体は、誘電材料を含む。これに加えて、あるいは別法として、この例示的な方法は、複数の熱可塑性ボビンを有する基体上にロゴスキーコイルを形成するステップを含むこともある。さらに、この例示的な方法は、これら複数の熱可塑性ボビンを誘電材料から形成するステップを含むこともある。
【0044】
導体14を流れる電流を感知するセンサ装置12を作製するさらに別の例示的な方法は、基体の複数のボビンそれぞれの周りにマグネットワイヤの第1のシールドを巻き付けるステップと、該基体の該複数のボビンそれぞれの周りにコイルを巻き付けるステップと、該基体の害複数のボビンそれぞれの周りにマグネットワイヤの第2のシールドを巻き付けるステップとを含む。
【0045】
例えば、図3のセンサ装置12を参照すると、この例示的な方法は、マグネットワイヤの第1の端部および第2の端部をセンサ装置12の参照リード144に結合するステップと、コイルの第1の端部をセンサ装置12の第1のリード136に結合するステップと、コイルの第2の端部をセンサ装置12の第2のリード138に結合するステップとを含むことがある。さらに、この例示的な方法は、コイルと、第1および第2のシールドとを、少なくとも部分的に、少なくとも1つの誘電材料を含む筐体内に封入するステップを含むことがある。
【0046】
導体14を流れる電流を感知するセンサ装置12を作製する別の例示的な方法は、開口110を画定する非磁性基体102、非磁性基体102の少なくとも一部分の周りの複数のコイルターンからなるコイル104、各基体102と該複数のコイルターンの間に配置された第1のシールド140、および該複数のコイルターンに近接して第1のシールド140の反対側に配置された第2のシールド142を含むセンサ装置12を設けるステップを含む。また、この例示的な方法は、リード線144を第1のシールド140および第2のシールド142のうちの少なくとも一方に結合するステップと、リード線136をコイル104の第1の端部に結合するステップと、リード線138をコイル104の第2の端部に結合するステップと、リード線136、138および144で1組の撚りリード線セットを形成するステップとを含む。
【0047】
様々な実施形態で、リード線144を第1のシールド140および第2のシールド142のうちの少なくとも一方に結合するステップは、リード線144を、第1のシールド140および第2のシールド142のそれぞれに結合するステップを含む。他の実施形態では、リード線を第1のシールドおよび第2のシールドのうちの少なくとも一方に結合するステップは、リード線244を第1のシールド140に結合するステップと、リード線245を第2のシールド142に結合するステップとを含む。
【0048】
上述した実施形態の1つまたは複数は、精度の高いセンサ装置を提供する。さらに詳細には、本明細書に記載するセンサ装置、需給計器および方法は、既知のコイルセンサより較正要件が緩和されながら動作範囲が拡大された、精度の高いセンサ装置を提供することができる。例えば、開示する誘電材料は、コイルと1つまたは複数の導体との間の静電容量を低下させることにより、ある電流および/または電圧の範囲の精度を向上させることができる。製造中の較正プロセスを少なくして精度を向上させることが実現できるので、製造に要するコストおよび/または時間を削減することができる。別の例では、開示の遮蔽技術により、その他の電子機器および/またはタンパ作用のある装置から生じるEMIの阻止が改善される。
【0049】
本発明の様々な実施形態の具体的な特徴を、図面によって示してある場合と示していない場合とがあるが、これは単に便宜的なものである。本発明の原理によれば、ある図面に示す任意の特徴を、その他の任意の図面に示す任意の特徴と組み合わせて参照および/または特許請求することができる。
【0050】
本明細書では、本発明をその最良の形態も含めて開示するために、また任意の装置またはシステムを作製して使用すること、および組み込まれる任意の方法を実行することを含めて、当業者が本発明を実施できるようにするために、いくつかの例を用いている。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義されるが、当業者が思いつくその他の例を含むこともできる。このようなその他の例は、それらが特許請求の範囲の文字的な原語と差違がない構造的要素を有する場合、または特許請求の範囲の表現と実質的な差違がない等価な構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲内であるものとする。
【符号の説明】
【0051】
10 需給計器
12 センサ装置
14 導体
15 導体
16 導体
17 制御盤
102 基体
104 コイル
106 エアギャップ
108 誘電材料
110 開口
112 筐体
116 取付け台
118 第1の部分
120 第2の部分
124 ボビン
126 ボビン
128 ボビン
130 ボビン
132 ボビン
134 ボビン
135 フランジ
136 リード線
137 ヒンジ接合
138 リード線
140 第1のシールド
142 第2のシールド
144 リード線
200 センサ装置
204 コイル
236 リード線
238 リード線
240 第1のシールド
242 第2のシールド
244 リード線
245 リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体中の電流の検出に使用されるセンサ装置(12)であって、
その中に導体(14)を受けるように構成された開口(110)を画定する非磁性基体(102)と、
前記基体の少なくとも一部分の周りに巻き付けた複数のコイルターンからなるコイル(104)と、
前記基体と前記複数のコイルターンとの間の第1のシールド(140)と、
前記複数のコイルターンが前記第1のシールドと第2のシールドとの間に配置されるように、前記複数のコイルターンに近接して前記第1のシールドとは反対側に配置される第2のシールド(142)と、
前記第1および第2のシールドのうちの少なくとも一方に結合されるフィルタ要素(136、138、140)と、を備えるセンサ装置。
【請求項2】
前記第1のシールド(140)および前記第2のシールド(142)が、第1の端部および第2の端部を有する1本のシールド巻線から構成され、
前記フィルタ要素(136、138、140)が、前記シールド巻線の前記第1および第2の端部のそれぞれに結合された第1のリード線(144)を含む、請求項1記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記コイル(104)が、第1の端部および第2の端部を含むセンサ装置であり、
前記コイルの前記第1の端部に結合された第2のリード線(136)と、前記コイルの前記第2の端部に結合された第3のリード線(138)とをさらに含む、請求項2記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記第1、第2および第3のリード線(136、138、140)が撚り線セットを形成する、請求項3記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記撚り線セットが、少なくとも約1.0インチの長さを画定する、請求項4記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記撚り線セットが、少なくとも約6.0インチの長さを画定する、請求項5記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記フィルタ要素が、前記第1のシールド(240)および前記コイルに結合された第1のリード線(244)と、前記第2のシールド(242)と前記コイルの間に結合された第2のリード線(245)とを含み、前記第1および第2のリード線が撚りセットを形成する、請求項1記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記撚りセットが、少なくとも約3.0インチの長さを画定する、請求項7記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記撚りセットが、少なくとも約6.0インチの長さを画定する、請求項8記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記フィルタ要素が、RC回路、LC回路、RL回路およびRLC回路のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載のセンサ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate