説明

導体異物検知装置

【課題】簡易な装置構成で磁性体だけでなく微小非磁性導体片の検知をも確実に行い得る導体異物検知装置を提供する。
【解決手段】配管1の外周に、流体中の導体片に対応する周波数の変化を検出するための第一LC発振回路10を構成する第一コイル11と、第二LC発振回路20を構成する第二コイル21とを巻き付け、第一LC発振回路10及び第二LC発振回路20に、検出された周波数を重ね合わせたうなり波から両周波数の差分周波数となる矩形波を生成するフィルタ増幅回路30を接続し、フィルタ増幅回路30に、矩形波の周波数をカウントして数値処理し、導体片が第一コイル11及び第二コイル21を通過する流体の流速に基づく判定時間幅毎の周波数の値を解析して検出値とし、検出値が予め設定された閾値を超えた場合に導体片検知信号を出力する演算処理装置40を接続し、導体片検知信号に基づき表示器50から警報を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体異物検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、エンジンや減速器等の各種機器は、軸受や歯車、その他たくさんの摺動部分を有しており、該摺動部分の摩擦抵抗を低減して摩耗を防止するために、潤滑油を供給した状態で運転が行われるようになっているが、特にその使用条件が過酷な場合、摩耗の進行が速く、故障や破損が発生する可能性も高いことから、この種の機器においては、故障や破損につながるような摩耗を早期のうちに確実に検出する必要がある。
【0003】
このため、潤滑油等の流体中に摩耗粉等の導体片が異物として含まれているか否かを検知することが非常に重要となっている。
【0004】
尚、二つの発信回路を利用し、周波数の変化量を検出値として、磁性キャリアを含むトナー等の磁性体或いは導体を検出する磁気的検知装置の一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2579413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に開示されている磁気的検知装置では、検知対象物によるインダクタンスの変化にて生じる周波数変動のみを検出しているが、検知対象物が非磁性導体片の場合、高周波磁界による導体片中に発生する渦電流により磁界が発生し、高周波磁界を打ち消す方向にインダクタンスが変化し、発振周波数を低下させる形となる。
【0007】
しかしながら、前記導体片中に発生する渦電流は、該導体片の大きさの二乗に比例するため、導体片が小さい場合、渦電流量は非常に小さくなり、渦電流によるインダクタンスの変化も微小になってしまうこととなる。
【0008】
即ち、前記特許文献1に開示されている磁気的検知装置のように単にインダクタンスの変化を監視するだけでは、微小非磁性導体片の検知は難しくなってしまうため、前記特許文献1に開示されている磁気的検知装置を、前記潤滑油等の流体中に摩耗粉等の導体片が異物として含まれているか否かを検知するための装置として利用することは困難となっていた。
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、簡易な装置構成で磁性体だけでなく微小非磁性導体片の検知をも確実に行い得る導体異物検知装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、内部を流体が流れる配管と、
該配管内部を流れる流体中の導体片に対応する周波数の変化を検出し得るよう前記配管の外周に第一コイルが巻き付けられた第一LC発振回路と、
前記配管内部を流れる流体中の導体片に対応する周波数の変化を検出し得るよう前記第一コイルより前記流体流通方向下流側における前記配管の外周に第二コイルが巻き付けられた第二LC発振回路と、
前記第一LC発振回路で検出された周波数と前記第二LC発振回路で検出された周波数とを重ね合わせたうなり波から前記両周波数の差分周波数となる矩形波を生成するフィルタ増幅回路と、
該フィルタ増幅回路で生成される矩形波の周波数をカウントして数値処理し、前記導体片が第一コイル及び第二コイルを通過する流体の流速に基づく判定時間幅毎の周波数の値を解析して検出値とし、該検出値が予め設定された閾値を超えた場合に導体片検知信号を出力する演算処理装置と、
該演算処理装置から出力される導体片検知信号に基づき警報を発する表示器と
を備えたことを特徴とする導体異物検知装置にかかるものである。
【0011】
前記導体異物検知装置の演算処理装置においては、前記判定時間中の最大周波数と最小周波数との差を前記検出値とするよう構成することができる。
【0012】
前記導体異物検知装置の演算処理装置においては、前記判定時間中の周波数の値を離散フーリエ級数展開し、前記判定時間から算出される特定周波数帯の振幅値のみを加算した値を検出値とするよう構成しても良い。
【0013】
前記導体異物検知装置の演算処理装置においては、前記判定時間中の周波数の値を離散ウェーブレットにて時間周波数解析し、前記判定時間から算出される特定周波数帯に対応するレベルを予め選定し、該選定したレベルの最大値と最小値との差を検出値とするよう構成することもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の導体異物検知装置によれば、簡易な装置構成で磁性体だけでなく微小非磁性導体片の検知をも確実に行い得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の導体異物検知装置の実施例を示す概要構成図である。
【図2】本発明の導体異物検知装置の実施例を示す制御回路図である。
【図3】本発明の導体異物検知装置の実施例における回路各部から出力される波形の一例を示す線図であって、(a)は第一コイルの部分で検出されるA部波形を示す線図、(b)は第二コイルの部分で検出されるB部波形を示す線図、(c)は第一LC発振回路で検出された周波数と第二LC発振回路で検出された周波数とを重ね合わせたC部波形を示す線図、(d)はダイオードから出力されるD部波形を示す線図、(e)はフィルタ増幅回路の増幅部から演算処理装置へ出力されるE部波形示す線図である。
【図4】本発明の導体異物検知装置の実施例におけるCPUとしての演算処理装置40にてカウントされ数値処理される出力周波数の信号波形の一例を示す線図である。
【図5】図4に示す出力周波数の信号波形から判定時間中の最大周波数と最小周波数との差を検出値とする例を示す説明図である。
【図6】図4に示す出力周波数の信号波形から判定時間中の周波数の値を離散フーリエ級数展開して検出値を算出する例を示す説明図である。
【図7】図4に示す出力周波数の信号波形から判定時間中の周波数の値を離散ウェーブレット展開して検出値を算出する例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0017】
図1〜図5は本発明の導体異物検知装置の実施例であって、内部を潤滑油等の流体が流れる配管1の外周に、該配管1内部を流れる流体中の導体片に対応する周波数の変化を検出するための第一LC発振回路10を構成する第一コイル11を巻き付け、該第一コイル11より前記流体流通方向下流側における前記配管1の外周に、該配管1内部を流れる流体中の導体片に対応する周波数の変化を検出するための第二LC発振回路20を構成する第二コイル21を巻き付け、前記第一LC発振回路10及び第二LC発振回路20に、前記第一LC発振回路10で検出された周波数と前記第二LC発振回路20で検出された周波数とを重ね合わせたうなり波から前記両周波数の差分周波数となる矩形波を生成するフィルタ増幅回路30を接続し、該フィルタ増幅回路30に、該フィルタ増幅回路30で生成される矩形波の周波数をカウントして数値処理し、前記導体片が第一コイル11及び第二コイル21を通過する流体の流速に基づく判定時間幅毎の周波数の値を解析して検出値とし、該検出値が予め設定された閾値を超えた場合に導体片検知信号を出力するCPU(Central Processing Unit)としての演算処理装置40を接続し、該演算処理装置40に、該演算処理装置40から出力される導体片検知信号に基づき警報を発する表示器50を接続するようにしたものである。
【0018】
本実施例の場合、前記第一LC発振回路10は、図2に示す如く、前記第一コイル11と、第一電流制限抵抗12と、第一トランジスタ13と、二つの第一コンデンサ14,15とを備えてなる構成を有し、第一電流制限抵抗16を介してアース接続されている。
【0019】
前記第二LC発振回路20は、図2に示す如く、前記第二コイル21と、第二電流制限抵抗22と、第二トランジスタ23と、二つの第二コンデンサ24,25とを備えてなる構成を有し、第二電流制限抵抗26を介してアース接続されている。
【0020】
前記フィルタ増幅回路30は、図2に示す如く、二つのコンデンサ31,32と抵抗33とからなるフィルタ部30aと、トランジスタ34と二つの抵抗35,36とからなる増幅部30bと、抵抗37と、ダイオード38とを備えてなる構成を有し、前記抵抗35,36,37が電源電圧VDDに接続され、前記コンデンサ31と抵抗33とトランジスタ34とがアース接続され、前記トランジスタ34と抵抗36とが前記演算処理装置40に接続されている。
【0021】
図2に示す回路において、前記第一コイル11の部分で検出されるA部波形は図3(a)に示されるようなものとなり、前記第二コイル21の部分で検出されるB部波形は図3(b)に示されるようなものとなり、前記第一LC発振回路10で検出された周波数と前記第二LC発振回路20で検出された周波数とを重ね合わせたC部波形は図3(c)に示されるようなものとなり、前記ダイオード38から出力されるD部波形は図3(d)に示されるようなものとなり、前記フィルタ増幅回路30の増幅部30bから前記演算処理装置40へ出力されるE部波形は図3(e)に示されるようなものとなる。
【0022】
又、前記演算処理装置40にてカウントされ数値処理される出力周波数の信号波形は、例えば、図4に示されるようなものとなるが、該出力周波数が全体的に緩やかに変化しているのは、素子の温度特性の個体差や温度の不均一等によるものである。
【0023】
尚、前記表示器50においては、流体中に導体片が混入していることが検知された際、警報を画面上に表示し且つスピーカから音を出すようにしているが、画面上への表示、又は音の出力のいずれか一方のみを選択可能であることは勿論である。
【0024】
一方、前記第一LC発振回路10と第二LC発振回路20はそれぞれ、1[MHz]以上の高周波で発振するように各素子の値を決め、又、前記第一LC発振回路10と第二LC発振回路20の周波数の差、つまり、出力周波数が100[kHz]以下になるように各周波数を調整してあり、本実施例の場合、前記第一LC発振回路10の発振周波数が第二LC発振回路20の発振周波数より低くなるように設定してある。因みに、前記第一LC発振回路10の周波数は、第一コンデンサ14,15の静電容量と、第一コイル11のインダクタンス、第一電流制限抵抗12,16の大きさで決定されるが、具体的には、第一コイル11の巻き数によって、大まかな発振周波数を調整し、最終的な微調整は、第一電流制限抵抗16を可変抵抗器とし、その抵抗値を調整することにより、出力周波数を調整している。同様に、前記第二LC発振回路20の周波数は、第二コンデンサ24,25の静電容量と、第二コイル21のインダクタンス、第二電流制限抵抗22,26の大きさで決定されるが、具体的には、第二コイル21の巻き数によって、大まかな発振周波数を調整し、最終的な微調整は、第二電流制限抵抗26を可変抵抗器とし、その抵抗値を調整することにより、出力周波数を調整している。但し、前記第一LC発振回路10と第二LC発振回路20の周波数の調整は、他の部分を調整することによって行うようにすることも原理的には可能である。
【0025】
更に、前記第一LC発振回路10と第二LC発振回路20は、同等の特性を有し、出力波の周波数は、前記第一LC発振回路10と第二LC発振回路20の周波数の差であるため、前記第一コイル11と第二コイル21は、互いに近い位置に(例えば、図1に示す配管1の軸線方向における間隔Lがおよそ50[mm]以下となるように)配置することにより、温度変化や振動等の環境変化による外乱ノイズによる影響を、前記第一LC発振回路10と第二LC発振回路20の双方に同等の周波数変化として与えるようにしてある。尚、前記第一コイル11と第二コイル21の位置は、配管1の径にも依存し、配管1の径が大きくなると、第一コイル11と第二コイル21の巻き数を少なくしても、該第一コイル11と第二コイル21のインダクタンスが大きくなり、発振周波数を高くできなくなるため、発振周波数を確保するためには、前記第一コイル11と第二コイル21の直径はそれぞれ20[mm]程度とし、これに合わせた外径の配管1を選定することが好ましい。
【0026】
又、前記演算処理装置40においては、図5に示す如く、前記導体片が第一コイル11及び第二コイル21を通過する流体の流速に基づく判定時間中の最大周波数と最小周波数との差を前記検出値とするようにしてある。
【0027】
尚、前記演算処理装置40においては、図6に示す如く、前記導体片が第一コイル11及び第二コイル21を通過する流体の流速に基づく判定時間中の周波数の値を離散フーリエ級数展開し、前記判定時間から算出される特定周波数帯の振幅値のみを加算した値を検出値とすることも可能である。この場合、前記特定周波数帯は、実験によって予め決定しておいても良い。因みに、図6に示す例の場合、前記特定周波数帯の振幅値のみを加算した検出値は、
2.5+4+3=9.5
として扱われる。
【0028】
又、前記演算処理装置40においては、図7に示す如く、前記導体片が第一コイル11及び第二コイル21を通過する流体の流速に基づく判定時間中の周波数の値を離散ウェーブレットにて時間周波数解析し、前記判定時間から算出される特定周波数帯に対応するレベルを予め選定し、該選定したレベルの最大値と最小値との差を検出値とすることも可能である。因みに、図7に示す例の場合、四つのレベル−1〜レベル−4のうちレベル−2が選定され、該レベル−2の最大値と最小値との差から検出値は、
10−(−10)=20
として扱われる。
【0029】
次に、上記実施例の作用を説明する。
【0030】
配管1内部を流れる潤滑油等の流体中に導体片が異物として混入していた場合に、該導体片が第一コイル11及び第二コイル21が巻き付けられた箇所を通過すると、周波数の変化が第一LC発振回路10及び第二LC発振回路20によって検出され、該第一LC発振回路10で検出された周波数と第二LC発振回路20で検出された周波数とを重ね合わせたうなり波からフィルタ増幅回路30において前記両周波数の差分周波数となる矩形波が生成され、該フィルタ増幅回路30で生成される矩形波の周波数が演算処理装置40においてカウントされて数値処理される。
【0031】
ここで、前記演算処理装置40においては、例えば、図5に示す如く、前記導体片が第一コイル11及び第二コイル21を通過する流体の流速に基づく判定時間中の最大周波数と最小周波数との差が検出値とされる。或いは、図6に示す如く、前記導体片が第一コイル11及び第二コイル21を通過する流体の流速に基づく判定時間中の周波数の値を離散フーリエ級数展開し、前記判定時間から算出される特定周波数帯の振幅値のみを加算した値が検出値とされる。或いは、図7に示す如く、前記導体片が第一コイル11及び第二コイル21を通過する流体の流速に基づく判定時間中の周波数の値を離散ウェーブレットにて時間周波数解析し、前記判定時間から算出される特定周波数帯に対応するレベルを予め選定し、該選定したレベルの最大値と最小値との差が検出値とされる。
【0032】
そして、前記検出値が予め設定された閾値を超えた場合に演算処理装置40から導体片検知信号が出力され、該演算処理装置40から出力される導体片検知信号に基づき表示器50から警報が発せられる。
【0033】
本実施例の場合、渦電流によるインダクタンスの変化に加えて、渦電流損失が利用される。渦電流を発生させるエネルギーは、第一LC発振回路10と第二LC発振回路20より供給されたものであるので、第一電流制限抵抗12,16や第二電流制限抵抗22,26を設けると共に、増幅能力に制限のある第一トランジスタ13と第二トランジスタ23を設け、第一LC発振回路10と第二LC発振回路20に電流制限を施しておくことにより、渦電流損失によって第一LC発振回路10と第二LC発振回路20中の電力が消費され、発振周波数が低下する。即ち、渦電流によるインダクタンスの変化と渦電流損失による電力消費の両方が、発振周波数を低下させる。よって、より微小な非磁性導体片まで検知可能となる。因みに、特許文献1に開示されている磁気的検知装置では、論理ゲートを使っており、これは、信号がON/OFFの区別だけであるので、増幅率無限大を意味し、本実施例とは全く異なっている。
【0034】
更に、前記第一LC発振回路10と第二LC発振回路20は、同等の特性を有し、出力波の周波数は、前記第一LC発振回路10と第二LC発振回路20の周波数の差であるため、本実施例のように、前記第一コイル11と第二コイル21は、直径をそれぞれ20[mm]程度とし、これに合わせた外径の配管1を選定すると共に、第一コイル11と第二コイル21を互いに近い位置に(例えば、図1に示す配管1の軸線方向における間隔Lがおよそ50[mm]以下となるように)配置すれば、温度変化や振動等の環境変化によって生じる外乱ノイズによる影響は、前記第一LC発振回路10と第二LC発振回路20の双方に同等の周波数変化として与えることが可能となり、前記外乱ノイズによる周波数変動が引き算され、出力周波数に影響を与えないようにすることが可能となる。
【0035】
しかも、本実施例のように、前記第一LC発振回路10の発振周波数が第二LC発振回路20の発振周波数より低くなるように設定した場合、導体片が第一コイル11に近づくと第一LC発振回路10から出力される発振周波数は下がるものの、前記導体片がまだ近づいていない第二コイル21側の第二LC発振回路20から出力される発振周波数は変化せず、続いて、前記導体片が第一コイル11から遠ざかると第一LC発振回路10から出力される発振周波数は元に戻るものの、前記導体片が近づいた第二コイル21側の第二LC発振回路20から出力される発振周波数は下がる形となるため、前記CPUとしての演算処理装置40にてカウントされ数値処理される出力周波数の信号は、図4に示す如く、導体片が第一コイル11を通過する際に上昇して元に戻り、続いて、第二コイル21を通過する際に下降して元に戻る変化を起こす。尚、逆に、前記第一LC発振回路10の発振周波数が第二LC発振回路20の発振周波数より高くなるように設定した場合、出力周波数の信号は、導体片が第一コイル11を通過する際に下降して元に戻り、続いて、第二コイル21を通過する際に上昇して元に戻る変化を起こす形となる。つまり、配管1の軸線方向へ所要間隔をあけて第一コイル11と第二コイル21を配置し、それらの内部を導体片が通過するようにすることにより、出力周波数の変化量を二倍にすることができ、より高感度に検知が行えることとなる。
【0036】
又、特許文献1に開示されている磁気的検知装置のように、周波数信号をF/V変換回路にて電圧信号に変換すると、変換時の誤差が避けられないが、本実施例のように、前記フィルタ増幅回路30で生成される矩形波の周波数を演算処理装置40にてカウントして数値処理すれば、変換誤差を排除し、導体片を高感度に検知することが可能となる。
【0037】
尚、前記導体片が大きいほど周波数変動は大きくなるため、前記閾値を複数設定することにより、導体片の大きさに応じた導体片検知信号を前記演算処理装置40から出力することも可能である。
【0038】
こうして、簡易な装置構成で磁性体だけでなく微小非磁性導体片の検知をも確実に行い得る。因みに、本実施例の導体異物検知装置は、磁性体に対しては更に強く反応するため、導体片が磁性体である場合には、非磁性導体片よりも更に小さい磁性導体片を検出することができる。
【0039】
尚、本発明の導体異物検知装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
1 配管
10 第一LC発振回路
11 第一コイル
12 第一電流制限抵抗
13 第一トランジスタ
14 第一コンデンサ
15 第一コンデンサ
20 第二LC発振回路
21 第二コイル
22 第二電流制限抵抗
23 第二トランジスタ
24 第二コンデンサ
25 第二コンデンサ
30 フィルタ増幅回路
30a フィルタ部
30b 増幅部
31 コンデンサ
32 コンデンサ
33 抵抗
34 トランジスタ
35 抵抗
36 抵抗
40 演算処理装置
50 表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を流体が流れる配管と、
該配管内部を流れる流体中の導体片に対応する周波数の変化を検出し得るよう前記配管の外周に第一コイルが巻き付けられた第一LC発振回路と、
前記配管内部を流れる流体中の導体片に対応する周波数の変化を検出し得るよう前記第一コイルより前記流体流通方向下流側における前記配管の外周に第二コイルが巻き付けられた第二LC発振回路と、
前記第一LC発振回路で検出された周波数と前記第二LC発振回路で検出された周波数とを重ね合わせたうなり波から前記両周波数の差分周波数となる矩形波を生成するフィルタ増幅回路と、
該フィルタ増幅回路で生成される矩形波の周波数をカウントして数値処理し、前記導体片が第一コイル及び第二コイルを通過する流体の流速に基づく判定時間幅毎の周波数の値を解析して検出値とし、該検出値が予め設定された閾値を超えた場合に導体片検知信号を出力する演算処理装置と、
該演算処理装置から出力される導体片検知信号に基づき警報を発する表示器と
を備えたことを特徴とする導体異物検知装置。
【請求項2】
前記演算処理装置において、前記判定時間中の最大周波数と最小周波数との差を前記検出値とするよう構成した請求項1記載の導体異物検知装置。
【請求項3】
前記演算処理装置において、前記判定時間中の周波数の値を離散フーリエ級数展開し、前記判定時間から算出される特定周波数帯の振幅値のみを加算した値を検出値とするよう構成した請求項1記載の導体異物検知装置。
【請求項4】
前記演算処理装置において、前記判定時間中の周波数の値を離散ウェーブレットにて時間周波数解析し、前記判定時間から算出される特定周波数帯に対応するレベルを予め選定し、該選定したレベルの最大値と最小値との差を検出値とするよう構成した請求項1記載の導体異物検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−132887(P2012−132887A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287619(P2010−287619)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(591083406)株式会社ディーゼルユナイテッド (30)
【Fターム(参考)】