説明

導光体

【課題】
導光体に正面側に投射される意匠像の輝度と形状を均一にした導光体を提供する
【解決手段】
底面部12は光源51からの距離に従い底面勾配角度θHが変化し、複数の反射部13Aは入射した光Mを正面側に反射するように配設され、傾斜調整部13Bは反射部13Aの各々に対向する位置に配設され、反射部13Aは、光Mの進行方向に対する角度が略均一であり、傾斜調整部13Bは、光進行方向に対する角度が底面勾配角度θHに応じて変化し、反射部13A部の幅WAと傾斜調整部13Bの幅WBを略均一とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾と照明を兼ねた導光体に係り、導光体の底面に設置された反射部を光輝させて照明を行う導光体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の外観装飾と照明を兼ねた導光体として、特許文献1に開示されるものがある。この導光体は、光源からの光が入射される入射面と、該入射面から入射された光を反射面にて反射し、この反射光による意匠像が導光体の正面側に投射され、所定の表示や装飾を行う導光体である。
しかし、このような導光体は、反射面が入射面から離れているほど、輝度が低下する傾向があり、その対策として特許文献2は、反射面の正面側に対する傾きを入射面からの距離に従い大きくしている。つまり、入射面から離れた光の届きにくい箇所では反射面の面積を大きくし、より多くの光を正面側に反射させることで、導光体の正面側に投射される意匠像の輝度を均一にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−302262号公報
【特許文献2】特開2006−177864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような導光体は、光源から近い反射面と光源から遠い反射面の輝度を均一に保つという点では優れているが、反射面を外観上の模様として視認する場合、反射面の斜面の角度が変化しているため、反射面を一定の外観模様として視認させることが難しいという問題があった。特許文献2の目盛のようなある程度間隔が離れた状態で反射面を配置する場合、反射面の角度の変化があまり目立たないが、ギザ状のローレット加工を施したように狭い間隔で連続した意匠像を表示する場合には、反射面の角度の変化による意匠像の見栄えの変化が目立ってしまい、一定のローレット加工であるかのような外観を提供することが難しくなる。
【0005】
そこで本発明は、前述の問題点に着目し、導光体の正面側に投射される意匠像の輝度と形状を均一にした導光体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するため、請求項1では、光源からの光が入射される入射部と、前記入射部との距離に従い勾配が変化する底面部と、前記底面部に配設され、前記入射部から入射した光を正面側に反射する複数の反射部と、を備える導光体において、前記反射部により反射した光が意匠像として正面側に投射されるものであり、入射部から離れた位置でも、均一の輝度で意匠像が正面側に投射される導光体を提供できる。
【0007】
また、請求項2では、前記反射部の各々に対向する位置に傾斜調整部を設け、
前記反射部は、前記光の進行方向に対する角度が略均一であり、
前記反射部の端部から前記傾斜調整部の端部までの前記光進行方向における幅は、前記傾斜調整部が前記光進行方向に対する角度を前記底面部の勾配に応じて変化させることにより、一定に保たれたものであり、反射面の外観上の見栄えと意匠幅を均一にし、見栄えのよい意匠像が正面側に投射される導光体を提供することができる。
【0008】
また、請求項3では、前記反射部は、前記導光体表面の少なくとも1つの溝部により形成されるものであり、均一性のある見栄えのよい意匠像が正面側に投射される導光体を提供することができる。
【0009】
また、請求項4では、前記反射部は、光源からの光の進行方向と略直交方向に形成されたものであり、導光体内を進行する光を効率よく反射する導光体を提供することができる。
【0010】
また、請求項5では、前記反射部は、一定間隔で配置されているものであり、均一性のある見栄えの意匠像が正面側に投射される導光体を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
導光体の正面側に投射される意匠像の輝度と形状を均一にした導光体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一実施形態における導光体を車両用表示装置に組み込んだ際の分解斜視図
【図2】本発明の第一実施形態における車両用表示装置の断面図
【図3】本発明の第一実施形態における導光体の正面図
【図4】本発明の第一実施形態における導光体の断面図であり、図3のP−P‘断面図
【図5】本発明の第一実施形態における導光体の断面図であり、図3のP−Q断面図
【図6】本発明の第一実施形態における溝部の拡大図であり、図5の拡大図
【図7】本発明の第二実施形態における導光体の断面図であり、図3のP−Q断面図
【図8】本発明の第二実施形態における溝部の拡大図であり、図7の拡大図
【図9】本発明の第三実施形態における導光体の断面図であり、図3のQ−Q’断面図
【図10】本発明の第四実施形態における導光体の正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の導光体を表示装置100の装飾に使用した第一実施形態を図を用いて説明する。
図1は、車両用表示装置100の分解斜視図であり、図2は、車両用計器の断面図である。車両用表示装置100は、導光体10と、車両用ECUから出力される情報に基づき、後述の本体(図示しない)を駆動源として回動し、利用者に車速等の情報を報知する指針20と、前記指針20が指示する目盛や数値等を表示する目盛部31等が印刷などにより形成される文字板30と、文字板30及び導光体10と後述する回路基板50との間に配設され、文字板30及び導光体10に光源51の光を導く光反射部(図示しない)を備えるケース体40と、ケース体40の裏面側に配設され、指針20を駆動する本体と、光源51等を実装し、車両用表示装置100の電気的な制御を行う回路基板50と、を備える。
【0014】
図3は、本発明の第一実施形態における導光体10の正面図であり、図4は、本発明の第一実施形態における導光体10のP−P’断面図である。
導光体10は、アクリル等の透明もしくは透過率の高い樹脂で形成され、光源51の光Mを入射する入射部11と、底面部12と、複数の溝部13と、を備える。
【0015】
底面部12は、光源51からの距離に応じて勾配角度θHで勾配が変化しており、この構成により、光源51から離れた位置で輝度が低下することを抑制される。
【0016】
溝部13は、図5,6に示すように底面部12に配設され、左側光路L(P→Q方向)または右側光路R(P’→Q方向)に進行する光源51の光Mを正面方向Zに反射するように配設された反射部13Aと、この反射部13A各々に対向する位置に配設された傾斜調整部13Bと、により構成される。この溝部13は、光源51の点灯時は、光源51からの光Mが反射し、この光Mが導光体10の正面側に投射されることで、意匠像Tが光輝して視認され、また、光源51の非点灯時は、外光を反射することにより視認される。意匠像Tは、図5に示すようにギザ状のローレット加工を施したように視認される。
【0017】
反射部13Aは、光源51からの距離によらず、正面方向Zに対して所定の角度である反射面角度θAで形成され、正面方向Zから視認した際の反射面幅WAも光源51からの距離によらず一定に形成される。
【0018】
一方、傾斜調整部13Bは、正面方向Zに対して傾斜調整面角度θBで形成され、θBe=45°、θBf=46.5°、θBg=48.2°のように光源51からの距離に応じて徐々に増加し、正面方向Zから視認した際の傾斜調整面幅WBは光源51からの距離によらず一定に形成される。

【0019】
反射面幅WAと傾斜調整面幅WBとは、光源からの距離によらず一定であるので、溝部13の意匠幅Wは光源51からの距離によらず一定になる。
斯かる構成により、溝部13の表示する意匠像Tは、光源51からの距離によらず一定の形状で視認することができる。
【0020】
反射面角度θAの設定方法としては、式1のスネルの法則の臨界角θm以上に設定することが望ましい(nx、nyを絶対屈折率)また、傾斜調整面角度θBは90°−θm以下に設定することが望ましい。
【数1】

【0021】
本実施形態のnxが1(空気)、nyが1.5(アクリル)の場合は、臨界角θmが式2のように、約41.8°になるので、本実施形態では、反射面角度θAは、45°に設定してあり、傾斜調整面角度θBの最小角度は45°に設定してある。また、底面部12の水平面に対する勾配角度θHの最大値は45°−θm(本実施形態においては約3°)に設定することが望ましい。
【数2】

【0022】
斯かる構成により、効率よく意匠像Tを表示することができる。
【0023】
また、反射部13Aは、左側光路Lと右側光路Rに対して略直交になるように設定することが望ましい。
斯かる構成により導光体13内部を進行する光を全反射し、効率よく光を出射することができる。
【0024】
また、溝部13の加工形状により、図7乃至9に示すように意匠像Tの見栄えの印象を変えてもよい。図7,8のように溝部13を凹状に形成してもよい(第二実施形態)。
また、図9のように、溝部13を複数列状に並べてもよい。(第三実施形態)。
【0025】
また、上記実施例において導光体10はコの字状の導光体であったが、図10に示すように、フランジが付加されたような板状の形状であってもよい。(第四実施形態)このような場合、反射部13Aを備える中央の盛り上がった部分が光源からの光Mにより光輝する一方、フランジ部分は反射部13Aを備えていないので、基本的に光源51からの光Mにより光輝しない。反射部13Aは光輝させたい部分に施され、導光体全体に形成する必要はない。
【0026】
これらの構成をまとめると、本発明の導光体10は、光源51からの距離に従い勾配が変化する底面部12を備え、この底面部12には、反射部13Aと傾斜調整部13Bとを備える溝部13が配設されている。反射部13Aの反射面角度θAと反射面幅WAは、光源51からの距離によらず一定であり、傾斜調整部13Bの傾斜調整面角度θBは底面部12の底面勾配角度θHに従い変化し、傾斜調整面幅WBは光源51からの距離によらず一定に形成される。
【0027】
斯かる構成により、導光体の正面側に投射される意匠像Tの輝度と形状を均一にした導光体を提供することができる。


【符号の説明】
【0028】
100 表示装置
10 導光体
11 入射部
12 底面部
13 溝部
13A 反射部
13B 傾斜調整部
20 指針
30 文字板
31 目盛部
40 ケース体
50 回路基板
51 光源
θA 反射面角度
θB 傾斜調整面角度
θH 底面勾配角度
θm 臨界角
M 光
L 左側光路
R 右側光路
T 表示像
W 意匠幅
WA 反射面幅
WB 傾斜調整面幅


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光が入射される入射部と、前記入射部との距離に従い勾配が変化する底面部と、前記底面部に配設され、前記入射部から入射した光を正面側に反射する複数の反射部と、を備える導光体において、前記反射部により反射した光が意匠像として正面側に投射されること、を特徴とする導光体。
【請求項2】
前記反射部の各々に対向する位置に傾斜調整部を設け、
前記反射部は、前記光の進行方向に対する角度が略均一であり、
前記反射部の端部から前記傾斜調整部の端部までの前記光進行方向における幅は、前記傾斜調整部が前記光進行方向に対する角度を前記底面部の勾配に応じて変化させることにより、一定に保たれたこと、を特徴とする請求項1に記載の導光体。
【請求項3】
前記反射部は、前記導光体表面の少なくとも1つの溝部により形成されること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の導光体。
【請求項4】
前記反射部は、光源からの光の進行方向と略直行方向に形成されたこと、を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の導光体。
【請求項5】
前記反射部は、一定間隔で配置されていること、を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の導光体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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