説明

導光板

【課題】成形時のバリや反りによる不良が少なく、微細凹凸の転写が良く、なおかつ、環境試験におけるクラック、後反り等の不具合が低減した導光板に関するものである。
【解決手段】メタクリル酸メチル単量体及びメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成されるメタクリル系樹脂であって、該メタクリル系樹脂がゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が6.5万〜35万である重合体(A)及び重量平均分子量が0.5万〜10万である重合体(B)からなり、該メタクリル系樹脂の重量平均分子量が6万〜30万、分子量分布(Mw/Mn)が2.2〜7.0であり、かつ該メタクリル系樹脂を構成する該重合体(A)及び重合体(B)が規定した関係式を満たすことを特徴とするメタクリル系樹脂からなる導光板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形時のバリやフローマーク、反りによる外観不良が少なく、微細凹凸の転写を向上し、なおかつ、環境試験におけるクラック、後反り等の不具合が低減した表示装置用に好適な導光板に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置用の導光板は、近年パソコンや液晶モニター、液晶テレビの増加に伴いその需要が増加している。図1に、表示装置用導光板の一例を示す。一般に表示装置用の導光板とは、表示部1の裏側に設置されるバックライトユニットの一部品である。導光板2の端面に設置された光源3(光源3には導光板に有効に光を入れるためのリフレクター4が設けられている)より光源が入光され、その光を導光し、裏面に設置された反射板5、光源面以外に設置された反射シート6を利用して、表示装置側に有効的に光を出射する働きがある。より有効的に光を出射させるため表示部1に面している出光面及び/又は反射板5に面している反射面に微細な凹凸形状やレンズ形状が施される場合がある。さらに導光板2と表示部1との間に、拡散シートやプリズムシート、偏光シート等の光学シート7が設けられる場合がある。
【0003】
液晶を含む表示装置としてのパソコンやモニター、液晶テレビは、軽量化が望まれており、液晶を含む部材の薄肉化対策が行われており、導光板も薄肉化の要求が増えている。特に図1の光源1を冷陰極管から、LEDに変更すると、その光源からの出光サイズが小さいために、導光板の入光面を薄くすることが可能となってくる。導光板の厚みが薄くなると、環境によって反りが生じてしまい、液晶に触れて干渉縞が生じるという不具合が発生する。また、そもそも導光板を成形するに際し、特に射出成形で成形する場合、流動性が低いと末端まで樹脂が流動しなかったり、高圧で充填しないといけないという問題が発生する。高圧で充填することで歪が生じ、その後環境により歪が緩和すると反りが発生してしまう。したがって樹脂としてはより流動性の高い樹脂で導光板を成形する必要がある。
【0004】
また、充填の際に充填圧に金型締め力(型締め力)が足りないためにバリが発生してしまう不具合が生じる。バリは導光板を移動したりセットしたりする最中に割れて導光板を傷つけたり、導光板に静電気で張り付き揮点不良となる。さらにバリが引っかかり導光板をセットできない不具合も発生する。また、従来の厚肉の導光板においては、充填時にジェッティング(金型冷却後更にゲート付近に樹脂が動くこと)や、ゲート付近の空気を巻き込んでしまうことによるフローマークの不良が多く発生する。
このような不具合を解消するためにいくつかの材料が知られている。(例えば特許文献1、2、3参照)
しかし、特許文献1、2記載の内容は、メタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体と分子量の関係について記載しているまでで、この設計では、高品質が要求される近年の導光板では、高流動性とするためには分子量を下げるかもしくは耐熱性を低下するしかなく、環境試験での反り、変形を満足する導光板が得られない。
【0005】
特許文献3に記載の多官能モノマーを用いた微架橋による方法は、多官能モノマーの制御が非常に難しく、多すぎると、混合均一性が低下し、成形品の外観が低下する、少なすぎると効果がなくなると言うことで安定な品質を保たせるのが非常に難しい。
導光板では非常に少ないので、さらに広げて光学としての高流動性のメタクリル樹脂で考えた場合いくつかの既存の技術が知られている。(例えば特許文献4、5)
特許文献4、5記載の内容は低分子量のメタクリル系樹脂で流動性を付与し、高分子量で機械強度を付与し、その混合状態で加工性を付与する、高分子量もしくは低分子量のメタクリル樹脂であるが、特許文献4記載の内容は、分子量のみの関係について記載しているまでで、このままでは、高流動性と機械強度とを満足することができないことがわかった。また、特許文献5に記載は低分子量を構成するメタクリル系樹脂に多量のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体を共重合させる技術が記載されているが、これでは流動性が向上させるのに不十分であることが判明した。
【0006】
【特許文献1】特開平9−31134号公報
【特許文献2】特開平10−265530号公報
【特許文献3】特許第3454072号公報
【特許文献4】特公平1−22865号公報
【特許文献5】特開平4−277545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、成形時のバリや反りによる不良が少なく、微細凹凸の転写が良く、なおかつ、環境試験におけるクラック、後反り等の不具合が低減した表示装置用の導光板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、2つの異なる分子量、重合体組成を持つメタクリル系樹脂を用いることで、耐熱性を保持したまま成形時のバリやフローマーク、反りによる外観不良を減少し、微細凹凸の転写を向上し、なおかつ、環境試験におけるクラック、後反り等の不具合が低減した表示装置用の導光板が出来ることを見出した。すなわち、本発明は、
[1] メタクリル酸メチル単量体及びメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成されるメタクリル系樹脂であって、該メタクリル系樹脂がゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が6.5万〜35万である重合体(A)及び重量平均分子量が0.5万〜10万である重合体(B)を含み、該メタクリル系樹脂の重量平均分子量が6万〜30万、分子量分布(Mw/Mn)が2.2〜7.0であり、かつ構成する該重合体(A)及び重合体(B)が下記(1)〜(5)の関係を満たすメタクリル系樹脂を用いることを特徴とする導光板。
重合体(A)及び重合体(B)中のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の量を
重合体(A)中の量・・・AMa wt%
重合体(B)中の量・・・BMa wt%、
また、重合体(A)の量をAM wt%、重合体(B)の量をBM wt%、
重合体(A)の重量平均分子量をMwa、重合体(B)の重量平均分子量をMwbとすると、
Mwb+0.5×10≦Mwa ・・・(1)
0≦BMa<AMa<20 ・・・(2)
2≦AMa×(AM/100)+BMa×(BM/100)≦20・・・(3)
AM:BM=50:50〜95:5 ・・・(4)
5≦(Mwa/Mwb)×(AM/BM)・・・・(5)
[2] 塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法のいずれかもしくは2種の方法による、2段重合で得られるメタクリル系樹脂を用いることを特徴とする[1]に記載の導光板。
[3] 該導光板の少なくとも1面にJIS−B0601に基く10点平均粗さが200μ未満の微細な凹凸もしくはレンズ形状が賦形されていることを特徴とする[1]、[2]のいずれかに記載の導光板。
[4] 該導光板の最大厚みが1.5mm以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の導光板。
[5] 該メタクリル系樹脂中に、平均粒子径0.01μm〜50μmの微粒子が0.5ppm〜5wt%含有していることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の導光板。
[6] 該導光板が射出成形によって得られることを特徴とする[1]〜[5]記載のいずれかに導光板。
[7] 用いられる光源がLEDであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の導光板。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、成形時のバリやフローマーク、反りによる外観不良が少なく、微細凹凸の転写を向上し、なおかつ、環境試験におけるクラック、後反り等の不具合が低減した表示装置用に好適な導光板が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明をさらに詳細に説明する。本発明における導光板に用いるメタクリル系樹脂は、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体からなる。メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体としては、アルキル基の数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル基の炭素数が1〜18のアルキルアクリレートの他、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれらのアルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド等、また、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの:ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート等の2個のアルコールの水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの:トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール誘導体をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの:ジビニルベンゼン等の多官能モノマー等が挙げられ、これらは、単独或いは2種類以上を併用して用いることが出来る。これらの中でも、耐光性、熱安定性、耐熱性、流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく用いられ、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートが特に好ましい。
【0011】
本発明における導光板に用いるメタクリル系樹脂は、重合体(A)および重合体(B)から成り、それぞれのGPCで測定した平均分子量は重合体(A)が6.5万〜35万であり、重合体(B)が0.5万〜10万である。機械強度の点から重合体(A)の平均分子量が6.5万以上である。流動性の点から35万以下である。好ましくは6.8万〜25万である。重合体が液状となり、成形時に発泡状態となることを考慮すると重合体(B)の平均分子量が0.5万以上が必要である。流動性の点から10万以下であることが必要である。好ましくは0.6万〜8万である。
本発明で測定される重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される。あらかじめ、分子量分布が狭く、重量平均分子量が既知で試薬として入手可能な標準メタクリル樹脂を用いて、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成し、その検量線から各試料の重量平均分子量、数平均分子量を測定することが出来る。
【0012】
本発明における重合体(A)及び重合体(B)を製造するための重合開始剤としては、フリーラジカル重合を用いる場合は、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどのパーオキサイド系や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤を用いることができ、これらは単独でもあるいは2種類以上を併用しても良い。これらのラジカル開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として実施しても良い。これらの開始剤は、単量体混合物に対して、0.001〜1wt%の範囲で用いるのが一般的である。
【0013】
本発明における重合体(A)及び重合体(B)の分子量を調整するために、ラジカル重合法で製造する場合には一般的に用いられている連鎖移動剤を使用できる。連鎖移動剤としては、例えばn−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)などのメルカプタン類が好ましく用いられる。単量体混合物に対して、0.001〜1wt%の範囲で用いるのが一般的である。重合体(A)と重合体(B)に用いられる連鎖移動剤は同じでも良いし異なっていても良い。重合体(A)と重合体(B)の連鎖移動剤の量に関しては、低分子量である重合体(B)のほうが多く用いられ、重合体(A)もしくは重合体(B)を単独で重合した重合体の分子量を元に分子量を設定し、それに用いる分子量調整剤の量を決定することができる。
【0014】
本発明におけるメタクリル系樹脂を構成する重合体(A)及び重合体(B)中のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の量を
重合体(A)中の量・・・AMa wt%
重合体(B)中の量・・・BMa wt%、
また、重合体(A)の量をAM wt%、重合体(B)の量をBM wt%、
重合体(A)の重量平均分子量をMwa、重合体(B)の重量平均分子量をMwbとすると、
Mwb+0.5×10≦Mwa ・・・(1)
0≦BMa<AMa<20 ・・・(2)
2≦AMa×(AM/100)+BMa×(BM/100)≦20・・・(3)
AM:BM=50:50〜95:5 ・・・(4)
5≦(Mwa/Mwb)×(AM/BM)・・・・(5)
が成り立つ必要がある。
【0015】
式(1)は重合体(A)と重合体(B)の重量平均分子量の大小関係を示しており、流動性の向上効果の点で、重合体(A)は常に重合体(B)より0.5万以上大きい必要がある。好ましくは1万以上であり、さらに好ましくは2万以上である。
式(2)は重合体(A)及び重合体(B)のメタクリル酸メチルに重合体可能なビニル単量体の各量を表わしており、0≦BMa<AMa<20である。重合体(A)には必ずビニル単量体が共重合されていなければならない。重合体(A)は重合体(B)に比べ高分子量であるため、流動性が悪い。そのため、重合体(A)及び重合体(B)のAMaとBMaとの関係はBMaに比べAMaのほうが大きいほうが流動性が高い。これは、とくにメルトフローレートのような低シェアよりも射出成形時のような高シェアにおいて流動性に効果を特に発揮する。ただし、メタクリル系樹脂の耐熱性の点からAMaが20wt%未満であることが必要である。また、重合体(B)はメタクリル酸メチル単量体単独による重合体であっても良い。重合体(B)は低分子量であるために分子量を調整するために多くの連鎖移動剤を用い、低分子量ほど、末端に連鎖移動剤で結合しているポリマー量が多い。このため、熱分解性としての耐熱性は低分子量のほうが強い。メタクリル系樹脂はジッパー効果と呼ばれるポリマー末端からモノマー分解をするため、熱分解するという意味で耐熱性が低いといわれており、それを防止するために、共重合可能なビニル単量体を共重合することが知られている。しかし、末端が連鎖移動剤と成っているポリマーはポリマー末端の熱分解が生じにくい事が知られている。好ましくは0≦BMa<AMa≦15であり、より好ましくは0≦BMa<AMa≦10である。
【0016】
本発明における式(3)は、重合体(A)と重合体(B)からなるメタクリル系樹脂に存在する平均のメタクリル酸メチル単量体に重合体可能な他のビニル単量体の量(wt%)を表わしており、2≦AMa×(AM/100)+BMa×(BM/100)≦20である。熱分解するという意味での耐熱性と流動性の点から2以上であることが必要である。熱変形するという意味での耐熱性の点で、20以下が必要である。好ましくは2≦AMa×(AM/100)+BMa×(BM/100)≦13であり、より好ましくは2≦AMa×(AM/100)+BMa×(BM/100)≦10である。
本発明におけるメタクリル系樹脂を満たすための式(4)は、メタクリル系樹脂中の重合体(A)と重合体(B)の比率を表わしており、AM:BM=50:50〜95:5である。強度の点から重合体(A)の比率が50wt%以上であることが必要である。流動性の点から95%以下であることが必要である。より好ましくはAM:BM=60:40〜92:8であり、更に好ましくはAM:BM=65:35〜92:8である。
【0017】
また本発明における式(5)は、メタクリル系樹脂を構成する重合体(A)及び重合体(B)の重量平均分子量および存在する量の両方を考慮した関係式である。式(5)が5より小さい場合は、大きく2つの場合が考えられる。1つは、重量平均分子量比が大きく、存在量比が小さい場合である。この場合、機械強度の点から存在量比を増加させ、式(5)を満たす必要がある。2つめは存在量比が大きくてもその重量平均分子量比が小さい場合である。この場合は流動性の効果の点で重量平均分子量比を増加させ式(5)を満たす必要がある。好ましくは式(5)が7以上である。
本発明におかる重合体(A)及び重合体(B)からなるメタクリル系樹脂の重量平均分子量は6万〜30万である。機械強度の点から重量平均分子量は6万以上であることが必要である。流動性と加工性の点から30万以下であることが必要である。好ましくは6.5〜25万であり、より好ましくは6.5〜20万である。また分子量分布については2.2〜7.0であることが好ましい。
【0018】
ここで分子量分布とは、GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(重量平均分子量/数平均分子量)であり、流動性の点からこの比が2.2以上であることが必要である。スウェルが大きくなりすぎて、射出成形において金型充填時にスキン層と呼ばれる金型から冷却されて固化する固化層が早く形成されすぎて、樹脂の流動厚みが確保されなくなり、流動性が悪くなることを防止するために、7.0以下であることが必要である。より好ましくは、2.3〜6である。
本発明で得られる表示装置用の導光板に用いるメタクリル系樹脂は組成の異なる本発明のメタクリル系樹脂組成物を複数種組み合わせても良いし、既存のメタクリル系樹脂と組み合わせても良い。組み合わせ方法としては、ブレンドして用いても良いし、一度押出し機で加熱溶融混合してペレタイズをしても良い。
【0019】
本発明における重合体(A)の単量体の組成及び重量平均分子量範囲内及び重合体(B)の単量体の組成及び重量平均分子量範囲内にある重合体は、それぞれ1つであっても複数であっても良い。複数の場合、例えば、重合体(A)の組成及び重量平均分子量範囲にある共重合体が2つ以上存在する場合、組成は、平均した単量体組成が重合体(A)の組成であり、平均した重量平均分子量が重合体(A)の重量平均分子量である。重合体(B)の場合も同様である。本発明の導光板は上記の樹脂を用いるため、成形が容易となる。
本発明におけるメタクリル系樹脂の組成物の製造方法としては、特に制限は無く、具体的には、
1.あらかじめ重合体(A)もしくは重合体(B)を重合しておき、残りの重合体(B)もしくは重合体(A)を重合するための規定量の単量体にすでに得られた規定量の重合体(B)もしくは重合体(A)を添加混合し、その後重合反応を行うことによって、それぞれの比率、分子量を制御して、製造する方法。
2.あらかじめ重合体(A)もしくは重合体(B)を重合した後、重合体(B)もしくは重合体(A)の原料組成混合物を一度にもしくは逐次追添することによって、製造する方法。
3.あらかじめ重合体(A)及び重合体(B)を個別に重合したものを、ブレンドして製造する方法
が挙げられる。特に好ましくは、2.の方法が共重合体(A)と共重合体(B)のそれぞれの組成を制御しやすく、そのための重合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合法もしくは乳化重合法のいずれかが好ましい。
更に好ましくは、切り替えによる無駄が少ない懸濁重合法もしくは乳化重合法のいずれかが好ましい。
【0020】
本発明における導光板に用いるメタクリル系樹脂には、必要に応じて染料、顔料、ヒンダードフェノール系やリン酸塩等の熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系などの紫外線吸収剤、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系などの可塑剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸のモノ、ジ、またはトリグリセリド系などの離型剤、高級脂肪酸エステル、ポリオレフィン系などの滑剤、ポリエーテル系、ポリエーテルエステル系、ポリエーテルエステルアミド系、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩などの帯電防止剤、リン系、リン/塩素系、リン/臭素系などの難燃剤、反射光のぎらつきを防止するためにメタクリル酸メチル/スチレン重合体ビーズなどの有機系光拡散剤、硫酸バリウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルクなどの無機系光拡散剤、補強剤として多段重合で得られるアクリル系ゴム等を使用しても良い。これらの添加剤を配合するときには、公知の方法で実施しうる。例えば、単量体混合物にあらかじめ添加剤を溶解しておき重合する方法が用いられる。
【0021】
本発明におけるメタクリル系樹脂は、単独又は、さらに他の樹脂と混合して用いても良い。混合する場合には、ブレンドして、押出し機、射出成形機等で、加熱溶融混合しても良いし、押出し機で、加熱溶融混合したペレットを複数種ブレンドして用いても良い。先に挙げた添化剤をこのときにブレンドして混合しても良い。
本発明における導光板には、少なくとも1面に微細な凹凸もしくはレンズ形状が賦形されていることが好ましい。反射面側に光を面で均一に発光させるためのパターン設計されたドット形状を有してもよい。また、反射面もしくは出射光面にプリズムや、レンチキュラーレンズ、ピラミッド型や、ハエの目レンズ等のレンズ形状を施し、表示装置装置に出来る限り法線方向に出光可能とするように配光させるためのレンズ形状を持たせても良い。反射面側にプリズムレンズ、出射光側にドットもしくは梨地模様もしくは微細凹凸が賦形されてても良い。また、そのサイズについては、賦型できる限り小さいほうが好ましい。具体的にはJIS−B0601に基く10点平均粗さが200μm以内の微細な凹凸もしくはレンズ形状であることが好ましい。これらは、市販の接触式や非接触式の表面粗さ計を用いて測定することができる。
【0022】
本発明における導光板は最大厚みが1.5mm以下であることが好ましい。導光板は軽量化から、薄いほうが良い。最大厚みが1.5mmより厚いと重いだけでなく成形時の冷却時間が長くなったり、ヒケの問題が生じるため可能な限り薄いほうが好ましい。
本発明における導光板にはメタクリル系樹脂中に、平均粒子径が0.01μm〜50μmの微粒子が0.5ppm〜5wt%含有していることが好ましい。導光板は、導光板内部に光が繰り返し内部反射しながら導光し、ある確率で反射面もしくは出射光面の微細な凹凸に当たり散乱されて光が出射面より出射する。しかしながら大部分の光が繰り返し内部反射の中で減衰してしまい、出射面より出射する光の量が減少する。これを防止するために、導光板内部に散乱させる微粒子を存在させることで繰り返し内部反射の最中により光を散乱させて導光体出射光面に光を出射させることが可能となる。微粒子の種類は特に限定無く、炭酸カルシウムや酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)アルミナ、シリカ、硫酸バリウム、タルク、マイカ等の無機物でも良いし、アクリル系,MS系,スチレン系のビーズ、有機シリコーン系のビーズ等有機系の微粒子であっても良い。また、これらは単独で使用しても良いし、数種の微粒子を併用しても良い。微粒子の形状は特に規定は無いが好ましくは出来る限り真球状であることが好ましい。微粒子のサイズは平均粒子径が0.01μm〜50μmが好ましい。より好ましくは0.01μm〜30μmであり、更に好ましくは0.01μm〜10μmである。微粒子の粒度分布は特に限定が無いが、粒度分布が大きいと、導光板の面内の色度差が大きくなるため出来る限り粒度分布は小さいほうが良い。これら平均粒子径や粒度分布は、導光板成形品をジクロロメタンやアセトン、THF等メタクリル樹脂は溶解可能だが含有粒子は溶解しない溶媒に溶解し、ろ過、洗浄後、乾燥して、重量を測定する。また、微粒子を再度溶媒に浸漬し、市販のレーザー光源を用いたコールターカウンターを用いて粒径や粒度分布を測定することが出来る。
【0023】
本発明における導光板は射出成形によって得られることが好ましい。射出成形であると、鏡面、微細な凹凸、レンズ等の面の賦形や取り付けのためのリブやボス等を金型の形状を変えることで自由に成形することが出来ため好ましい。射出成形でも射出圧縮成形や、低圧成形(保圧成形、フロー成形とも一般にいわれている方法)を用いたり、金型側としては、超音波で金型を加熱したり、金型に加熱と冷却の2つのラインを設けたり、断熱層を用いた金型等の金型と組み合わせて使用することも好ましい。
本発明における導光板に用いられる光源はLEDであることが好ましい。冷陰極管はその構造から、1mmΦ以下の管径にすることが出来ないため、導光板の入光面の厚さを薄くすることが出来ない。LED光源は点光源であるためにその出光面積は小さく、従って導光板の厚みを薄くすることが可能となる。LEDは基本的に点光源であるため、LEDを数多く並べないとLEDとLEDの間に暗部が生じる。しかし、先の導光板内部に微粒子を含有させることを組み合わせることでLEDから導光された光が直ちに散乱されLED間の暗部を消すことが出来、LEDの個数削減が可能となる。
本発明における導光板は表示装置に好適に用いられる。
【実施例】
【0024】
以下に実施例、比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
1.メタクリル樹脂の重量平均分子量の測定
トーソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC−8120+8020)カラムに東ソー製TSKスーパーHH−M(2本)+スーパーH2500(1本)を直列に並び検出器をRIで行い、測定試料は、0.2gのメタクリル樹脂を20ccのTHF溶媒に溶解し、注入量10ml、展開流量0.3ml/minで溶出時間と、強度を測定した。ジーエルサイエンス製の単分散の11種の重量平均分子量が既知メタクリル樹脂を標準試料とした検量線を元に重量平均分子量を求めた。混合物の重量平均分子量の測定は、どれか単体の重量平均分子量を元に混合物の重量平均分子量から引くことで、混合物の残りの単体の重量平均分子量及び比率を求めることにした。
2.メルトフローレートの測定
東洋精機製メルトインデクサF−B01を用いて、ISO 1133 cond13の条件に従って、230℃、荷重3.8kgの条件下メルトフローレートを測定した。
3.耐熱性の評価(VICAT軟化温度の測定)
30tプレス成形機で厚み4mmの試験片を作成し、ISO 306 B50の条件に従ってVICAT軟化温度を求めた。
【0025】
4.導光板の成形性評価
4−1.薄肉導光板
住友重機械製成形機SG−260を用いてバレル温度280℃において、10inch(4:3)1mm厚、長辺側中央に半分の幅、厚み1mmのファンゲートを設け、コア面に流動方向に平行に頂角100°、ピッチ150μmのリニアプリズムを設け、キャビ面は微細な不定形梨地模様を設け、残りの面を鏡面とした金型を準備し、金型温度80℃、成形速度200cc/sec、保圧50MPaで40secの成形条件で成形した。
4−2.厚肉導光板
東芝機械製IS−550を用いてバレル温度270℃において15inch(4:3)6mm厚、長辺側中央に1/4の幅、厚み4mmのファンゲートを設けて、キャビ面に高さ28μm、60μm角の微細な直方体形状を一面に設け、残りの面を鏡面とした金型を準備し、金型温度85℃、成形速度100cc/sec、保圧50MPaで40secの成形条件で成形した。
【0026】
5.導光板のバリ量測定
4−1.及び4−2で得られた導光板に発生したバリの最大長さを0.01mmまで測定可能なノギスを用いて測定した。
6.導光板の腑形性評価
6−1.薄肉導光板
薄肉導光板の金型及び導光板のプリズムの部分を東京精密製接触式3次元粗さ計サーフコムを用いて、金型のプリズム高さと導光板の高さを測定し、(導光板プリズム高さ)/(金型プリズム高さ)を求め転写率とした。
6−2.厚肉導光板
厚肉導光板の金型及び導光板の微細な直方体形状の部分を6−1と同様にして測定し直方体の28μm高さを保持する頂辺の長さを求め、(導光板長辺長さ)/(金型長辺長さ)を求め転写率とした。
7.導光板の環境試験評価
4−1.及び4−2で得られた導光板のファンゲートをカッターでカットし、ゲートのある面を旭メガロ性プラビューティーで1面研磨した後、この導光板を吊るして75℃、相対湿度90%の恒温恒湿機内に500hr入れて、反り量、クラックの有無を評価した。
反り量は、評価試験後機内で25℃まで同湿度で冷却し、取り出した後、端が上にそるように定盤の上において、端の反り量を0.1mm間隔のすきまゲージを下側に当てて測定した。
【0027】
8.導光板の性能評価
8−1薄肉導光板の評価
4−1.で得られた導光板のファンゲートのある面を7.と同様に処理し、この面から入光するために日亜化学製LEDを1横1列に並べた光源を設置し、プリズムのある面を反射面側とし、反射面側に反射率98%発泡ポリエチレンテレフタレートで作成した反射フィルムを設け、光源のある面以外に同じ発泡ポリエチレンテレフタレートの反射フィルムを貼り付け、導光板のプリズムと直角になるように導光板側に頂角63°50μmピッチの100μmアクリルフィルムにUV硬化型アクリル樹脂で賦形したリニアプリズムフィルムを設けてこの表示装置用のバックライトユニットを点灯させた。点灯後30分後の出射光面の全体の面の平均輝度及び最大暗部と最大明部の輝度比をコニカミノルタ製の輝度計CA−1000で10×10分割で測定した。
8−2.厚肉導光板の性能評価
4−2.で得られた導光板のファンゲートのある面を5.と同様に処理し、この面及び対面から入光するために日亜化学製LEDを3列千鳥状に並べた光源を設置し、直方体の微細な凹凸のある面を反射面側とし、反射面側に反射率98%発泡ポリエチレンテレフタレートで作成した反射フィルムを設け、光源のある面以外に同じ発泡ポリエチレンテレフタレートの反射フィルムを貼り付け、この表示装置用のバックライトユニットを点灯させた。点灯後30分後の出射光面の全体の面の平均輝度及び暗部と明部の輝度比をコニカミノルタ製の輝度計CA−1000で20×20分割で測定した。
【0028】
[メタクリル系樹脂の作成]
[樹脂1]
60Lの反応器にメタクリル酸メチル1956g、ラウリルパーオキサイド17g、2エチルヘキシルチオグリコレート160g(以上が重合体(B)の原料)と、脱イオン水26000g、三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し攪拌混合し、反応器の反応温度を80℃で150分懸濁重合し、重合物を少量を抜き取った。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、重量平均分子量0.68万の重合体(B)であることを確認した。その60分後に重合体(A)の原料であるメタクリル酸メチル18257g及びアクリル酸メチル835g、ラウリルパ−オキサイド48g、n−オクチルメルカプタン54.34gを反応器に投入し、引き続き80℃で90分懸濁重合し、続いて92℃で60分熟成し、重合反応を実質終了し、次に50℃まで冷却して鉱酸を投入し、洗浄脱水乾燥処理し、ビーズ状メタクリル樹脂を得た。このビーズ状ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、表1の結果の通り、先の重合体(B)の重量平均分子量の結果を用いて計算し、重量平均分子量が7.7万で比率が91wt%の重合体(A)と重量平均分子量が0.68万で比率が9wt%の重合体(B)であることを確認した。
このようにして得られたビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。
【0029】
[樹脂2]
重合体(B)の原料としてメタクリル酸メチル6212g、アクリル酸メチル32g、ラウリルパーオキサイド51.2g、2エチルヘキシルチオグリコレート105.6g、重合体(A)の原料としてメタクリル酸メチル13865g及びアクリル酸メチル1001g、ラウリルパ−オキサイド22.4g、n−オクチルメルカプタン41gを用いて樹脂1と同様にして重合、測定を行い、表1にある樹脂2を得た。このようにして得られたビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。
【0030】
[樹脂3]
60Lの反応器に重合体(A)の原料としてメタクリル酸メチル20123g及びアクリル酸メチル1067gと、ラウリルパ−オキサイド53.3g、n−オクチルメルカプタン91.7g、脱イオン水26000g、三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し、反応器の反応温度を80℃で150分懸濁重合し、続いて92℃で60分熟成し、重合反応を実質終了し、次に50℃まで冷却して鉱酸を投入し、洗浄脱水乾燥処理し、ビーズ状メタクリル樹脂を得た。このビーズ状ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、表1にある樹脂3を得た。このようにして得られたビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。
【0031】
[樹脂4]
重合体(A)の原料としてメタクリル酸メチル20108g及びアクリル酸メチル1067gと、ラウリルパ−オキサイド53.3g、n−オクチルメルカプタン106.7gとする以外は樹脂3と同様にしてビーズ状メタクリル樹脂を得た。このビーズ状ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、表1にある樹脂4を得た。このようにして得られたビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。
【0032】
[樹脂5]
重合体(A)の原料としてメタクリル酸メチル17383g及びアクリル酸メチル3840gと、ラウリルパ−オキサイド53.3g、n−オクチルメルカプタン58.7gとする以外は樹脂3と同様にしてビーズ状メタクリル樹脂を得た。このビーズ状ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、表1にある樹脂5を得た。このようにして得られたビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。
【0033】
[樹脂6]
60Lの反応器に重合体(A)の原料としてメタクリル酸メチル20138g及びアクリル酸メチル1067gと、ラウリルパ−オキサイド53.3g、n−オクチルメルカプタン76.8g、脱イオン水26000g、三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し、反応器の反応温度を80℃で150分懸濁重合し、続いて92℃で60分熟成し、重合反応を実質終了し、次に50℃まで冷却して鉱酸を投入し、洗浄脱水乾燥処理し、重合体(A)のビーズ状メタクリル樹脂を得た。次に別の60Lの反応器に重合体(B)の原料としてメタクリル酸メチル21335g及びアクリル酸メチル1067gと、ラウリルパ−オキサイド53.3g、n−オクチルメルカプタン99.2g、脱イオン水26000g、三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し、反応器の反応温度を80℃で150分懸濁重合し、続いて92℃で60分熟成し、重合反応を実質終了し、次に50℃まで冷却して鉱酸を投入し、洗浄脱水乾燥処理し、重合体(B)のビーズ状メタクリル樹脂を得た。
この各ビーズ状ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、表1にある樹脂6の重合体(A)及び重合体(B)の樹脂を得た。
この各ビーズを表1の通り各50wt%を計量し、タンブラーでブレンドした後、2軸押出し機で240℃で混練押出しを行いペレタイズを行った。
【0034】
[樹脂7]
重合体(B)の原料としてメタクリル酸メチル6212g、アクリル酸メチル32g、ラウリルパーオキサイド51.2g、2エチルヘキシルチオグリコレート105.6g、重合体(A)の原料としてメタクリル酸メチル11133g及びアクリル酸メチル3734g、ラウリルパ−オキサイド22.4g、n−オクチルメルカプタン41gを用いて樹脂1と同様にして重合、測定を行い、表1にある樹脂7を得た。このようにして得られたビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。
【0035】
[樹脂8]
重合体(B)の原料としてメタクリル酸メチル5934g、アクリル酸メチル307g、ラウリルパーオキサイド51.2g、2エチルヘキシルチオグリコレート105.6g、重合体(A)の原料としてメタクリル酸メチル14150g及びアクリル酸メチル717g、ラウリルパ−オキサイド22.4g、n−オクチルメルカプタン41gを用いて樹脂1と同様にして重合、測定を行い、表1にある樹脂8を得た。このようにして得られたビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。
【0036】
[樹脂9]
重合体(B)の原料としてメタクリル酸メチル6285g、アクリル酸メチル32g、ラウリルパーオキサイド51.2g、n−オクチルメルカプタン30.8g、重合体(A)の原料としてメタクリル酸メチル13855g及びアクリル酸メチル1001g、ラウリルパ−オキサイド22.4g、n−オクチルメルカプタン52.3gを用いて樹脂1と同様にして重合、測定を行い、表1にある樹脂9を得た。このようにして得られたビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。
【0037】
[樹脂10]
重合体(B)の原料としてメタクリル酸メチル9315g、アクリル酸メチル48g、ラウリルパーオキサイド76.81g、2エチルヘキシルチオグリコレート158.4g、重合体(A)の原料としてメタクリル酸メチル10895g及びアクリル酸メチル786g、ラウリルパ−オキサイド17.6g、n−オクチルメルカプタン32.3gを用いて樹脂1と同様にして重合、測定を行い、表1にある樹脂10を得た。このようにして得られたビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。
【0038】
[樹脂11]
重合体(B)の原料としてメタクリル酸メチル4075g、アクリル酸メチル21g、ラウリルパーオキサイド34.1g、2エチルヘキシルチオグリコレート136.54g、重合体(A)の原料としてメタクリル酸メチル16056g及びアクリル酸メチル939g、ラウリルパ−オキサイド42.7g、n−オクチルメルカプタン30.38gを用いて樹脂1と同様にして重合、測定を行い、表1にある樹脂11を得た。このようにして得られたビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。
【0039】
[樹脂12]
重合体(B)の原料としてメタクリル酸メチル3222g、アクリル酸メチル875g、ラウリルパーオキサイド34.14g、2エチルヘキシルチオグリコレート136.5g、重合体(A)の原料としてメタクリル酸メチル16909g及びアクリル酸メチル85g、ラウリルパ−オキサイド42.7g、n−オクチルメルカプタン30.38gを用いて樹脂1と同様にして重合、測定を行い、表1にある樹脂12を得た。このようにして得られたビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。
【0040】
[樹脂13]
重合体(A)の原料としてメタクリル酸メチル20913g及びアクリル酸メチル277gと、ラウリルパ−オキサイド53.3g、n−オクチルメルカプタン84.3gとする以外は樹脂3と同様にしてビーズ状メタクリル樹脂を得た。このビーズ状ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、表1にある樹脂13を得た。このようにして得られたビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。
【0041】
[実施例1、2、比較例1〜8]
表2の通りの作成した樹脂を用いて、評価を行った。導光板は薄肉導光板での評価を行った。その結果を表3、4に示す。
実施例1、2は共に流動性が良いため成形時に発生するバリの長さが短くほとんどバリが発生していない。また、環境試験後の反り量も小さく、クラックも発生していない。また、プリズムの転写性も8割以上充填、転写されている。
一方、比較例1は流動性が低いため、成形品にバリが長く発生し、成形品に成形歪が生じ、環境試験後に大きなそりが発生してしまって良くない結果となった。比較例2は分子量が低いため流動性は高い結果となり成形歪が押さえられ、環境試験後の反りはほとんど発生していない。しかしながら、流動性が良すぎるためにバリの発生を押さえることができず、また、環境試験後に導光板の周辺に細かなクラックが無数に発生していて良くない結果となった。比較例3は、耐熱性が低くそのため流動性は向上し、比較例2同様バリが発生し、更に、環境試験後にゲート近傍部分が収縮してしまい、U字状の大きな変形が生じ良くない結果となった。また、比較例4は式(5)を満たさず、流動性が低いため、成形品に成形歪が生じ、環境試験後に大きなそりが発生してしまった。比較例5はAMaが20より大きいため式(2)を満たしていない場合であり、この場合耐熱性が低下して環境試験後に形状が変形してしまう結果となった。また、バリの発生量も多かった。比較例6は、式(2)のうちBMaとAMaが等しい場合、MFRは実施例2と比べて差がないが、射出成形を行った場合に流動性が悪く、バリは実施例1,2と比べ悪く、反り量も悪い結果となった。比較例7はMwa/Mwbが小さいため式(5)を満たさない場合である。このとき流動性が低いため成形歪が多く残り、環境試験後の反り量が大きくなる結果となった。また、流動性が悪いため、バリ発生量も多くなった。比較例8は、AM/BMが小さくて式(5)を満たさない場合であり、この場合、流動性は高く、耐熱性も良いので環境試験後の反り量は良い結果となったが、成形品周辺に無数のクラックが発生すると言う悪い結果となった。
また、実施例1、2は共にプリズム形状が8割以上再現できており、その結果、平均輝度が高い結果となった。一方流動性が高かった比較例2、3、5、8はプリズムの転写性、平均輝度、輝度比が良い結果となったが、流動性が悪かった比較例1、4,6,7はプリズム形状の転写性が悪く、平均輝度が低く輝度比も悪い結果となった。
【0042】
[実施例3、4、比較例9,10]
表2の通りの作成した樹脂を用いて、評価を行った。導光板は厚肉導光板での評価を行った。なお、実施例4は、樹脂8をペレタイズを行う際にポリオルガノシロキサンを100ppm添加してペレタイズした後、導光板を作成した。導光板に含有されている粒子の平均粒子径を測定したところ2μmであった。その結果を表3、4に示す。
実施例3,4は共に成形時に発生するバリの長さが短く、ほとんどバリが発生していない結果となった。また、環境試験後の反り量も小さく、クラックも発生していない。
一方比較例9はバリの発生は少なかったが、流動性が低いために環境試験後の反り量が多い結果となった。また、比較例10は成形時に発生するバリの長さが非常に長い結果となった。
また、実施例3,4は共に微細な凹凸形状が7割以上転写できていて、平均輝度が高く、更に実施例4は、輝度比が高くLEDアレイによる明と暗の差が少ない良い結果となった。 一方比較例9は式(2)を満たしておらず、そのため流動性が低く、成形品に成形歪が生じ、環境試験後に大きな反りが発生してしまった。比較例10は式(3)を満たしておらず、樹脂の軟化温度が高いために環境試験での反りは少なかったが、金型との温度差の影響で冷却歪が発生し、環境試験後クラックが発生した。また、転写性が不十分であり、平均輝度や輝度比が悪い結果となった。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を説明するための表示装置の概略図である。
【符号の説明】
【0048】
1.表示部
2.導光板
3.光源
4.リフレクター
5.反射板
6.反射シート
7.光学シート
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、携帯電話、液晶モニター、液晶テレビ等、室内もしくは室外の標識や広告や掲示用の看板、間接照明器具、テールランプや車内照明等車両用光学部品等に用いられ、外観品質を維持しながら、経時変化が少なく、高性能な導光板に関するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクリル酸メチル単量体及びメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成されるメタクリル系樹脂であって、該メタクリル系樹脂がゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が6.5万〜35万である重合体(A)及び重量平均分子量が0.5万〜10万である重合体(B)を含み、該メタクリル系樹脂の重量平均分子量が6万〜30万、分子量分布(Mw/Mn)が2.2〜7.0であり、かつ構成する該重合体(A)及び重合体(B)が下記(1)〜(5)の関係を満たすメタクリル系樹脂を用いることを特徴とする導光板。
重合体(A)及び重合体(B)中のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の量を
重合体(A)中の量・・・AMa wt%
重合体(B)中の量・・・BMa wt%、
また、重合体(A)の量をAM wt%、重合体(B)の量をBM wt%、
重合体(A)の重量平均分子量をMwa、重合体(B)の重量平均分子量をMwbとすると、
Mwb+0.5×10≦Mwa ・・・(1)
0≦BMa<AMa<20 ・・・(2)
2≦AMa×(AM/100)+BMa×(BM/100)≦20・・・(3)
AM:BM=50:50〜95:5 ・・・(4)
5≦(Mwa/Mwb)×(AM/BM)・・・・(5)
【請求項2】
塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法のいずれかもしくは2種の方法による、2段重合で得られるメタクリル系樹脂を用いることを特徴とする請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
該導光板の少なくとも1面にJIS−B0601に基く10点平均粗さが200μ未満の微細な凹凸もしくはレンズ形状が賦形されていることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の導光板。
【請求項4】
該導光板の最大厚みが1.5mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導光板。
【請求項5】
該メタクリル系樹脂中に、平均粒子径0.01μm〜50μmの微粒子が0.5ppm〜5wt%含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導光板。
【請求項6】
該導光板が射出成形によって得られることを特徴とする請求項1〜5記載のいずれかに導光板。
【請求項7】
用いられる光源がLEDであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の導光板。

【図1】
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【公開番号】特開2007−291230(P2007−291230A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−120538(P2006−120538)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】