導光部材、原稿照明装置、画像読取装置および画像形成装置
【課題】光源基板に支持固定するための支持部が形成された導光部材であっても、原稿の照射領域に向かう光の光量分布にムラが生じることを防止することができる導光部材、原稿照明装置、画像読取装置および画像形成装置を提供すること。
【解決手段】複数のLEDが主走査方向に配列されたLED基板に支持され、LEDから出射された光を原稿面の照射領域に導く導光部材70は、LEDの出射方向の前方に配置された導光体71と、導光体71と一体形成され、導光体71をLED基板に支持するよう主走査方向に沿って所定間隔で複数設けられた支持部72bとを備え、導光体71には、支持部72bが形成された支持部形成領域71cと、支持部形成領域71cと主走査方向に隣接して設けられた光透過領域71dとが形成され、支持部形成領域71cと光透過領域71dとは、X方向の幅が同一の幅Wである構成を有する。
【解決手段】複数のLEDが主走査方向に配列されたLED基板に支持され、LEDから出射された光を原稿面の照射領域に導く導光部材70は、LEDの出射方向の前方に配置された導光体71と、導光体71と一体形成され、導光体71をLED基板に支持するよう主走査方向に沿って所定間隔で複数設けられた支持部72bとを備え、導光体71には、支持部72bが形成された支持部形成領域71cと、支持部形成領域71cと主走査方向に隣接して設けられた光透過領域71dとが形成され、支持部形成領域71cと光透過領域71dとは、X方向の幅が同一の幅Wである構成を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光部材、原稿照明装置、画像読取装置および画像形成装置に関し、例えば、光源からの光を原稿の照射領域に導く導光部材、この導光部材を用いて原稿に光を照射する原稿照明装置、この原稿照明装置を備えた複写機、ファクシミリ装置、スキャナ装置等に使用される画像読取装置およびこの画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファクシミリ装置、複写機および複合機等に設けられたスキャナ装置等の画像読取装置では、光源の立ち上がりのスピード、省エネルギー化、長寿命化等の要望があり、光源として点光源であるLED(発光ダイオード)を用いた原稿照明装置が採用されている。
【0003】
ところが、点光源と見なせるほど小さい発光面を備える発光ダイオードだけで照明系を構成すると、光量が低下するほか副走査方向に均一な照度分布形状が得られないことになる。このため、発光ダイオードを光源として用いる原稿照明装置にあっては、発光ダイオードからの光を導く導光部材を採用する場合がある。そして、モノクロ、フルカラー、MFP等のデジタル複写機、汎用スキャナ等の高画質を要求している画像読取装置、アナログ複写機においては、LED等の光源と導光部材の最適化を図り、光を効率よく集め、かつ均一な照度分布を得る必要がある。
【0004】
従来、このような導光部材を採用する原稿照明装置として、主走査方向に配列された複数のLEDと、LEDを支持するLED基板と、LED基板に支持され、LEDからの光を原稿の照射領域に導く導光体とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この原稿照明装置の導光体は、LEDの配列方向、すなわち主走査方向に長尺に形成されている。また、この導光体には、該導光体をLED基板に支持固定するための支持部として係合突起が一体形成されている。この係合突起は、導光体の主走査方向に所定間隔で複数形成されている。したがって、導光体は、係合突起を介してLED基板に支持固定されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の原稿照明装置に用いられる導光体にあっては、係合突起が主走査方向に所定間隔で複数形成されている。このため、係合突起が形成された箇所では、LEDから導光体に入射した光の一部が係合突起内を通過し原稿の照射領域に向かわない一方で、係合突起が形成されていない箇所では、LEDから導光体に入射した光の全てが内部反射(全反射)し原稿の照射領域に向かうこととなる。これにより、係合突起が形成された箇所と係合突起が形成されていない箇所とで、特に導光体から出射される光の光強度が異なることとなる。すなわち、主走査方向に光強度のムラが生ずるおそれがある。したがって、このような従来の導光体においては、導光体から出射され原稿の照射領域に向かう光の光量分布に、主走査方向にムラが生ずるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、光源基板に支持固定するための支持部が形成された導光部材であっても、原稿の照射領域に向かう光の光量分布にムラが生じることを防止することができる導光部材、原稿照明装置、画像読取装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る導光部材は、上記目的を達成するため、複数の点光源が第1の方向に配列された光源基板に支持され、前記点光源から出射された光を原稿の照射領域に導く導光部材であって、前記点光源から出射された光の出射方向の前方に配置された導光体と、前記導光体と一体形成され、前記導光体を前記光源基板に支持するよう前記第1の方向に沿って所定間隔で複数設けられた支持部と、を備え、前記導光体には、前記支持部が形成された支持部形成領域と、前記点光源から前記導光体の内部に入射した光の一部を外部に透過させるよう前記支持部形成領域と前記第1の方向に隣接して設けられた光透過領域とが形成され、前記支持部形成領域と前記光透過領域とは、前記第1の方向と直交する第2の方向の幅が同一である構成を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、光源基板に支持固定されるための支持部が形成された導光部材であっても、原稿の照射領域に向かう光の光量分布にムラが生じることを防止することができる導光部材、原稿照明装置、画像読取装置および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像読取部の概略側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る原稿照明装置が搭載された第1キャリッジの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る原稿照明装置が搭載された第1キャリッジの側面図である。
【図5】(a)は、本発明の実施の形態に係る原稿照明装置が搭載された第1キャリッジの平面図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る原稿照明装置の分解斜視図である。
【図7】(a)は、LEDの光の出射方向正面から見た原稿照明装置の正面図であり、(b)は、(a)におけるB−B断面図である。
【図8】(a)は、LEDの光の出射方向正面から見たLED基板の正面図であり、(b)は、LED基板の側面図である。
【図9】(a)は、LEDの光の出射方向正面から見た導光部材の正面図であり、(b)は、(a)におけるC−C断面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る導光部材の一部拡大平面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る導光部材を下方側から見た側面図である。
【図12】(a)は、導光部材の一部拡大斜視図であり、(b)は、支持部を省略した状態の導光部材の一部拡大側面図である。
【図13】本実施の形態に係る導光体の一部断面図である。
【図14】(a)〜(b)は、本発明の実施の形態に係る導光体の他の形状を示す図である。
【図15】(a)は、光透過領域を有していない場合の図9(a)におけるF−F断面図であり、(b)は、光透過領域を有していない場合の図9(a)におけるG−G断面図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る導光体内の光の反射および透過の様子を示す図であって、図9(a)におけるF−F断面図である。
【図17】(a)は、LEDの光の出射方向正面から見たカバー部材の正面図であり、(b)は、(a)におけるD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る原稿照明装置を備えた画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像形成装置を電子写真方式の複写機1に適用した例を示している。複写機としては、例えば、一般的な静電作像方法を用いて画像を形成するフルカラーの複写機やモノクロ画像を形成する複写機などが挙げられる。また、作像方式としては、電子写真方式以外にも、例えばインクジェット方式等を用いることも可能である。
【0012】
図1に示すように、複写機1は、自動原稿搬送装置(以下、単にADFという)2と、給紙部3と、画像読取装置としての画像読取部4と、画像形成手段としての画像形成部5とを含んで構成されている。
【0013】
ADF2は、原稿載置台としての原稿トレイ11と、各種ローラ等からなる搬送部13とを備えている。ADF2は、搬送部13により原稿トレイ11に載置された原稿をスリットガラス7上に搬送し、スリットガラス7を介して画像読取部4により読み取りが終了した原稿を、スリットガラス7上を通過させた後、排紙トレイ12に排紙するようになっている。また、ADF2は、画像読取部4に対して図示しない開閉機構を介して開閉自在に取り付けられている。
【0014】
給紙部3は、用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット3a、3bと、給紙カセット3a、3bに収納された記録媒体としての記録紙(シート)Pをそれぞれピックアップして給紙する給紙装置21、22と、これら給紙装置21、22から給紙された記録紙Pを画像形成部5の所定の画像形成位置まで搬送する各種ローラからなる搬送手段23とを有している。
【0015】
画像読取部4は、光源およびミラー部材を搭載した第1キャリッジ25と、ミラー部材を搭載した第2キャリッジ26と、結像レンズ27と、読取手段としての撮像部28とを備えている。画像読取部4は、詳しくは後述するが、ADF2により搬送される原稿の画像を読み取る場合には、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26をスリットガラス7の直下の図1中、Hで示す位置に移動し、その位置で停止させる。そして、第1キャリッジ25に搭載された光源によりスリットガラス7上を通過中の原稿に光を照射し、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26に搭載された各ミラー部材により原稿からの反射光を折り返させ、その反射光を結像レンズ27により結像して撮像部28で読み取らせるようになっている。一方で、コンタクトガラス8上に載置された原稿を読み取る場合には、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26を図1中、左右方向(副走査方向)に移動させる。そして、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26を移動させる過程で、光源により原稿に光を照射し、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26に搭載された各ミラー部材により原稿からの反射光を折り返させ、その反射光を結像レンズ27により結像して撮像部28で読み取らせるようになっている。
【0016】
画像形成部5は、露光装置31と、複数の感光体ドラム32と、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックとそれぞれ異なる色のトナーが充填された現像装置33と、転写ベルト34と、定着装置35とを備えている。画像形成部5は、撮像部28に読み取られた読取画像に基づいて、露光装置31により各感光体ドラム32を露光して各感光体ドラム32に潜像を形成し、各現像装置33により各感光体ドラム32にそれぞれ異なる色のトナーを供給して現像するようになっている。そして、画像形成部5は、転写ベルト34により各感光体ドラム32に現像された像を給紙部3から供給された記録紙Pに転写した後、定着装置35により記録紙Pに転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録紙Pにカラー画像を定着するようになっている。これにより、記録紙Pにフルカラー画像が形成される。
【0017】
次に、図2を参照して、画像読取部4の詳細な構成について説明する。
【0018】
図2に示すように、画像読取部4は、上述した通り、第1キャリッジ25と、第2キャリッジ26と、結像レンズ27と、撮像部28とを備えており、これらの各構成部材は画像読取部4の本体フレーム4aの内部にそれぞれ配置されている。また、本体フレーム4aの内部には、図示しない第1レールおよび第2レールが副走査方向(図2中、左右方向)に延在するよう設けられている。第1レールは、副走査方向と直交する主走査方向に所定の間隔をあけて配置された2本のレールからなる。第2レールについても、第1レールと同様、主走査方向に所定の間隔をあけて配置された2本のレールからなる。
【0019】
第1キャリッジ25は、第1レールに摺動自在に取り付けられ、図示しない駆動モータにより図示しない第1キャリッジ用駆動ワイヤを介して副走査方向に図2中、実線で示す位置と破線で示す位置との間で往復移動可能に構成されている。また、第2キャリッジ26は、第2レールに摺動自在に取り付けられ、図示しない駆動モータにより図示しない第2キャリッジ用駆動ワイヤを介して副走査方向に図2中、実線で示す位置と破線で示す位置との間で往復移動可能に構成されている。ここで、これら第1キャリッジ25および第2キャリッジ26は、2:1の速度比で副走査方向に移動するようになっている。このような移動速度の関係により、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26の移動があっても、原稿面から結像レンズ27までの光の光路長が変化しないようになっている。
【0020】
第1キャリッジ25には、後述する原稿照明装置50と、第1ミラー部材25aとが設けられている。また、第2キャリッジ26には、第2ミラー部材26aと、第3ミラー部材26bとが設けられている。
【0021】
結像レンズ27は、各ミラー部材を介して入射された原稿からの反射光を撮像部28に集光結像するようになっている。撮像部28は、CCD等の撮像素子で構成され、結像レンズ27を介して結像された原稿の反射光像を光電変換して読取画像であるアナログ画像信号を出力するようになっている。
【0022】
次に、図3〜図5(a)、(b)を参照して、第1キャリッジ25について説明する。
【0023】
図3および図4に示すように、第1キャリッジ25は、板金からなるベース40と、ベース40の下面に垂下された一対の側板41と、ベース40の上面に締結部材29を介して取り付けられた受け台42とを含んで構成されている。
【0024】
ベース40は、前端部40a(図4中、左側)が上方に折り曲げられたフランジを形成し、この前端部40aの上端部の所定箇所には、ベース40に対して所定の角度で傾斜するよう折り曲げられた傾斜部40bが設けられている。ここで、上記所定箇所は、前端部40aのうち、原稿照明装置50に対向する主走査方向(図3中、Y方向)の所定領域である。また、上記傾斜部40bには、原稿照明装置50から照射された光を反射させて原稿面での照度分布を良好なものにするための対向反射板、いわゆるリフレクタ44が取り付けられている。また、リフレクタ44は、原稿照明装置50から照射された光を反射させることにより、例えば切り貼り原稿を読み取った際に、原稿の凹凸により発生する影を無くすことができる。
【0025】
一対の側板41は、主走査方向に互いに離隔して設けられ、主走査方向に長尺な第1ミラー部材25aを保持するようになっている。
【0026】
受け台42は、板金からなり、ベース40に対する取付面を有する取付部42aと、この取付部42aに対して所定の角度で傾斜するよう上方に折り曲げられた折り曲げ片部42bとを有する。取付部42aは、図5(a)に示すように、受け台42の主走査方向(図中、左右方向)の両端部に形成され、締結部材29によりベース40に取り付けられる。
【0027】
折り曲げ片部42bは、主走査方向に延在するとともに取付部42aと連続的に形成された部分を除いて、図5(b)に示すように、下端部がベース40の下方まで延在している。すなわち、折り曲げ片部42bのうち、原稿照明装置50が取り付けられる領域部分についてのみ、その下端部がベース40の下方まで延在している。なお、図5(b)においては、図中、上下方向が副走査方向であり、図中、左側が上方、図中、右側が下方を示す。また、この折り曲げ片部42bの下方側には、締結ネジ46が螺合する螺合穴42cが形成されている。螺合穴42cは、図示していないが、主走査方向に所定間隔で複数、例えば5つ形成されている。また、折り曲げ片部42bの傾斜角度は、原稿照明装置50が折り曲げ片部42bに取り付けられた際に、後述する導光体71から出射される光の照度分布が良効となるような角度に設定される。
【0028】
この折り曲げ片部42bには、上述した締結ネジ46を介して原稿照明手段としての原稿照明装置50が取り付けられている。
【0029】
図6および図7(a)、(b)に示すように、原稿照明装置50は、LED基板60と、導光部材70と、カバー部材80と含んで構成されている。これらLED基板60、導光部材70およびカバー部材80は、共通の固定部材としての締結ネジ46により一体化され、一のユニットとして構成される。なお、図6中、矢印Lで示す方向は、後述するLED61から出射された光のうち、光強度が最も強い方向(以下、出射方向Lという)を指し、後述する主走査方向を含むLED61の照射面61aに直交する方向である。
【0030】
図8(a)に示すように、LED基板60には、発光素子としてトップビュータイプの発光ダイオード(以下、LEDという)61が第1の方向である主走査方向(図中、左右方向)に沿って直線状に複数個配列されている。また、LED基板60には、各LED61に電力を供給するための図示しない配線パターンや各種回路素子が形成されている。さらに、LED基板60の主走査方向の一方の端部には、図示しない制御部に電気的に接続するための接続端子62が設けられている。本実施の形態におけるLED61は、本発明に係る点光源を構成し、LED基板60は、本発明における光源基板を構成する。
【0031】
図8(b)に示すように、LED61は、LED基板60の駆動によって、LED基板60の実装面と平行な照射面61a(図中、左端面)から図中、左方向(図6に示す出射方向L)、すなわち導光部材70に向けて光を出射するようになっている。
【0032】
また、図8(a)に示すように、LED基板60の下方端部には、主走査方向に沿って略等間隔で第1の固定部64が5つ設けられている。各第1の固定部64は、その一部がLED基板60の下端から下方に突出する突出形状となっている。各第1の固定部64には、締結ネジ46(図6参照)を通すための締結穴64aがそれぞれ形成されている。
【0033】
さらに、LED基板60の主走査方向の両端部には、所定の位置決め穴60a、60bが形成されている。原稿照明装置50の組立時には、この位置決め穴60a、60bを図示しない冶具の凸形状に嵌めることによりLED基板60の位置決めを行うようになっている。
【0034】
図7(b)に示すように、導光部材70は、LED基板60に支持され、LED61から出射された光を原稿面の照射領域E(図4参照)に導くようになっている。
【0035】
具体的には、図9(a)、(b)に示すように、導光部材70は、図9(b)中、左方向(図6に示す出射方向L)の前方に配置された導光体71と、導光体71と一体形成された導光体支持片72とを含んで構成されている。
【0036】
導光体71は、LED61の照射面61a(図7(b)参照)に対向し、LED61から出射された光が入射される入射面71aと、入射面71aから入射された光を原稿面の照射領域E(図4参照)に向けて出射する出射面71bとを有している。また、導光体71は、アクリル等の透過率の高い樹脂等により形成されている。出射面71bには、例えばサンドブラストやエッチング等の表面粗し処理が施され、出射面71bから出射される光が拡散されるようになっている。
【0037】
さらに、図9(b)に示すように、導光体71は、光を導光する出射方向L(図6参照)に沿って鉛直方向に切断したときの切断面が出射方向L(図6参照)に十分な長さを有する台形形状となるよう形成されている。すなわち、導光体71は、入射面71a側から出射面71b側に向かうに従い、厚み(図中、上下幅)が徐々に大きくなるよう多少の角度がつけられた形状である。これにより、入射面71aから入射され、導光体71の厚み方向(図9(b)中、上下方向)の両側面、すなわち上面および下面に到達した光の多くを透過させずに内部反射させることができる。このため、より多くの光を導光体71の内部で全反射させることができ、出射面71bから出射させることができる。したがって、導光体71に入射した光は、内部で全反射しながら進行する間に適正な照度分布の光となる。
【0038】
導光体71の形状は、上述したような断面台形形状に限らず、全反射に適した形状であればいずれの形状であってもよく、例えば主走査方向(図9(a)中、左右方向)に扁平な略直方体として形成してもよい。
【0039】
導光体支持片72は、導光体71と同様、アクリル等の樹脂等で形成され、主走査方向(図9(a)中、左右方向)に沿って所定間隔で複数(本実施の形態では5つ)設けられている。
【0040】
導光体支持片72は、平板状に形成された平板部72aと、平板部72aと導光体71との間に設けられ支持部72bとを含んで構成されている。これら導光体71、平板部72aおよび支持部72bは、一体形成されている。
【0041】
各平板部72aの下方端部には、それぞれ第2の固定部74が設けられている。各第2の固定部74は、その一部が平板部72aの下端から下方に突出する突出形状となっている。各第2の固定部74は、図6に示すように、LED基板60の対応する各第1の固定部64に対して出射方向Lと同一方向に位置するよう、それぞれ配置されている。
【0042】
また、図9(a)に示すように、各第2の固定部74には、締結ネジ46(図6参照)を通すための締結穴74aがそれぞれ形成されている。ここで、図6に示すように、LED基板60の各締結穴64aの中心を通り出射方向Lと平行な線を仮想線Sとすると、各締結穴74aは、その中心が各仮想線S上に位置するよう配置されている。
【0043】
また、図9(a)に示すように、5つの導光体支持片72のうち、主走査方向の両端側に位置する導光体支持片72の平板部72aには、所定の位置決め穴70a、70bが形成されている。原稿照明装置50の組立時には、この位置決め穴70a、70bを図示しない冶具の凸形状に嵌めることにより、先に冶具に装着済みのLED基板60(図6参照)に対して導光部材70が位置決めされるようになっている。当然、導光部材70が冶具により位置決めされたときには、上記各締結穴74aは、LED基板60の対応する各締結穴64a(図6参照)に一致するようになっている。
【0044】
支持部72bは、主走査方向の両端側に位置する導光体支持片72では1つ、それ以外の導光体支持片72では主走査方向に離隔して2つ設けられている。したがって、支持部72bは、主走査方向に沿って所定間隔で複数設けられることとなる。ただし、前述した所定間隔は、同一の導光体支持片72に設けられた一対の支持部72b間の間隔よりも、異なる導光体支持片72に設けられた隣り合う2つの支持部72b間の間隔が大きくとられている。
【0045】
図9(b)に示すように、支持部72bは、平板部72aの上端側で出射方向L(図6参照)にL字状に屈曲し、さらに屈曲した出射方向先端部で導光体71の入射面71aと平行な方向にL字状に屈曲した形状を有している。これにより、導光体71の入射面71aと平板部72aのLED基板側側面(図9(b)中、右側面)との間に所定の隙間Dが形成されるよう、平板部72aと導光体71との間に段差が形成される。このため、図7(b)に示すように、導光部材70とLED基板60とが組付けられた際にも、LED61が上記隙間D(図9(b)参照)内に配置可能となる。また、隙間D(図9(b)参照)は、導光部材70とLED基板60とが組付けられた際、LED61の照射面61aと導光体71の入射面71aとの間に所定のクリアランスを確保できる程度の隙間とされる。このように、LED61の照射面61aと導光体71の入射面71aとを所定のクリアランスを介して離間させることにより、例えばLED61自体のばらつきやLED61の実装時の組付け誤差等によるばらつきからLED61と導光体71とが接触、損傷するのを回避している。
【0046】
また、図9(a)に示すように、各導光体支持片72には、各第2の固定部74に対応して5つの切欠部72cが形成されている。具体的には、主走査方向の両端側に位置する導光体支持片72においては支持部72bの主走査方向の両端側に、またそれ以外の導光体支持片72においては一対の支持部72bの間に、それぞれ切欠部72cが形成されている。この各切欠部72cには、原稿照明装置50(図6参照)の組付時に、後述するカバー部材80の第3の固定部84(図11(a)参照)が嵌合するようになっている。
【0047】
さらに、図9(b)および図10に示すように、導光体71の主走査方向の両端には、一対の側壁72dが形成されている。この側壁72dは、導光体71が導光体支持片72に片持支持されていることで、例えば装置運搬時や第1キャリッジ25(図2参照)の移動時等に図9(b)中、矢印Mで示す方向に導光体71が倒れ込むことを防止するために設けられたものである。この側壁72dがあることで、導光体71の倒れ込みが防止され、LED61の照射面61aと導光体71の入射面71aとの間の位置関係を良好に保つことができる。
【0048】
次に、図11〜図14を参照して、導光体71の光透過領域について説明する。
【0049】
図11に示すように、導光体71の下面には、支持部72bが形成された支持部形成領域71c(図12(b)参照)と、支持部形成領域71cと主走査方向に隣接して設けられた光透過領域71dとが形成されている。
【0050】
具体的には、図12(a)に示すように、光透過領域71dは、主走査方向に隣り合う導光体支持片72の間、および同一の導光体支持片72に設けられた一対の支持部72bの間に形成されている。ただし、図11に示すように、主走査方向の両端側に位置する導光体支持片72においては、1つの支持部72bの主走査方向の両端側、すなわち支持部72bと側壁72d(図10参照)との間に形成されている。
【0051】
また、光透過領域71dは、サンドブラストやエッチング等の表面粗し処理により形成されている。表面粗し処理としては、この他、シボ加工を施して表面に微細な凹凸を形成する方法を用いてもよい。このように、光透過領域71dには、表面粗し処理が施されているので、図14に示すように、LED61から導光体71に入射した光の一部が光透過領域71dから導光体外部に透過しやすくなっている。
【0052】
図12(b)に示すように、支持部形成領域71cと光透過領域71dとは、主走査方向(図中、矢印Yで示す方向)と直交する第2の方向であるX方向の幅が同一の幅Wとなるよう構成されている。ここで、X方向は、主走査方向を含むLED61の照射面61aに直交する出射方向L(図6参照)を、光透過領域71dに投影した際の導光体71の下面(表面)に沿う方向である。すなわち、本実施の形態におけるX方向は、図13に示すように、台形形状により出射方向Lに対して所定の傾斜角度で傾斜した導光体71の下面と平行な方向である。なお、導光体71の形状が直方体形状であれば、図14(a)に示すように、X方向は出射方向Lと平行となり、導光体71の形状が傾斜角度の大きな台形形状であれば、図14(b)に示すように、X方向は導光体71の下面に合わせて下方への傾斜角度が大きくなる。また、導光体71の形状が、入射面71a側に向かうに従い厚み(図中、上下幅)が徐々に小さくなる台形形状であれば、図14(c)に示すように、X方向は導光体71の下面に合わせて上方への傾斜角度が大きくなる。このように、上記X方向は、一義的に定まるものではなく、導光体71の形状に合わせて適宜定まる。
【0053】
また、図12(b)は、支持部72bを導光体71との接続部分で上述のX方向に沿って切断した状態を示す図である。支持部形成領域71cは、図12(b)において、支持部72bを導光体71との接続部分で上述のX方向に沿って切断したとき、支持部72bが形成されていた上記接続部分の断面領域である。
【0054】
また、導光体71の下面において、支持部形成領域71cおよび光透過領域71d以外の領域71e(以下、内部反射領域71eという)は、導光体71の上面と同様、一様に平坦な内部反射面として構成されている。
【0055】
次いで、導光体71に入射したLED61の光の反射および透過の様子について、光透過領域71dが形成されていない場合と形成されている場合とを比較して説明する。
【0056】
図15(a)、(b)に示すように、導光体71の下面に光透過領域71dが形成されていない場合、導光体71の下面は、支持部形成領域71cと内部反射領域71eで構成されることとなる。つまり、導光体71の下面において、支持部形成領域71c以外は、全て内部反射領域71eとなる。
【0057】
この場合、図15(a)に示すように、支持部72bが形成されていない箇所では、LED61から導光体71に入射した光100(以下、入射光100という)は、内部反射領域71eで内部反射(全反射)し、全て導光体71の出射面71bから出射する。このため、支持部72bが形成されていない箇所では、全ての入射光100が原稿面の照射領域E(図4参照)に向かうこととなる。なお、図15(a)は、光透過領域71dが形成されていないとした場合における図9(a)におけるF−F断面を示す。
【0058】
一方で、図15(b)に示すように、支持部72bが形成された箇所では、入射光100は、一部が支持部形成領域71cを通過し、支持部72b内部に入射してしまう。これにより、支持部72b内部に入射した光は、導光体71の出射面71bから出射することがなく、原稿面の照射領域E(図4参照)に向かうこともない。これとは対照的に、内部反射領域71eに到達した残りの光は、内部反射領域71eで全反射して導光体71の出射面71bから出射し、原稿面の照射領域E(図4参照)に向かう。このように、支持部72bが形成された箇所では、入射光100が支持部72b内部に入射する光と出射面71bから出射する光とに分かれる。この結果、支持部72bが形成された箇所では、支持部72bが形成されていない箇所と比べて出射面71bから出射される光(以下、出射光という)の光強度が弱くなる。なお、図15(b)は、光透過領域71dが形成されていないとした場合における図9(a)におけるG−G断面を示す。
【0059】
したがって、導光体71の下面に光透過領域71dが形成されていない場合には、原稿面の照射領域E(図4参照)に向かう出射光の光量分布に、主走査方向にムラが生ずることとなる。
【0060】
これに対して、図16に示すように、本実施の形態に係る導光体71では、支持部72bが形成されていない箇所における導光体71の下面が、光透過領域71dと内部反射領域71eで構成される。なお、図16は、光透過領域71dが形成された本実施の形態に係る導光体71の図9(a)におけるF−F断面を示す。
【0061】
このため、支持部72bが形成されていない箇所では、LED61から入射光100は、一部が光透過領域71dを透過して導光体71外部に抜ける。これにより、光透過領域71dを透過した光は、導光体71の出射面71bから出射することがなく、原稿面の照射領域E(図4参照)に向かうこともない。また、内部反射領域71eに到達した残りの光は、内部反射領域71eで全反射して導光体71の出射面71bから出射し、原稿面の照射領域E(図4参照)に向かう。したがって、本実施の形態では、支持部72bが形成されていない箇所における出射光の光強度を、前述した図15(a)に示す例と比較して弱くすることができる。この結果、支持部72bが形成されていない箇所では、図15(a)に示す支持部72bがある箇所に類似した光強度を有する出射光とすることが可能となる。さらに、本実施の形態では、光透過領域71dが支持部形成領域71cと同様、LED61の照射面61aに近い側に形成しているため、光強度はもとより、出射光の挙動をも支持部72bがある箇所に類似させることができる。
【0062】
一方で、本実施の形態に係る導光体71において、支持部72bが形成された箇所の構成は、上述した図15(b)に示す例と同様である。したがって、支持部72bが形成された箇所において、入射光100は、図15(b)と同様、支持部72b内部に入射する光と出射面71bから出射する光とに分かれる。
【0063】
このように、本実施の形態では、支持部72bが形成された箇所と支持部72bが形成されていない箇所とで、出射光の光強度や挙動を類似させることができる。これにより、原稿面の照射領域E(図4参照)に向かう出射光の光量分布に、主走査方向にムラが生ずることが防止される。
【0064】
図7(b)に示すように、カバー部材80は、LED基板60および導光部材70よりも図中、左方向前方(図6に示す出射方向L)に配置され、これらLED基板60および導光部材70を出射方向L(図6参照)の前方側から覆うようになっている。
【0065】
具体的には、図17(a)、(b)に示すように、カバー部材80は、例えば、黒色のカーボンを含むポリエステルフィルムやPET材質等のように光密度が高く光を透過し難い樹脂等で構成されている。このため、LED61(図7(b)参照)により照射された光が外部に漏出するのを防止することができる。また、カバー部材80は、反射率の比較的低い黒色の表面を有しているため、導光体71(図7(b)参照)から出射され原稿面で反射した光がカバー部材80の表面で反射して再度原稿面の照射領域E(図4参照)に向かう、いわゆるフレア光の進行を抑制することができる。なお、フレア光の進行を抑制するためのカバー部材80の表面処理としては、上記のように黒色とする以外に、例えば表面を粗くしたり反射防止コーティングを施したりする等、光の反射を抑制する加工を行うことも可能である。このように、カバー部材80は、光が外部に漏出するのを防止する遮光部材としての機能と、フレア光の進行を抑制する規制部材としての機能を兼ね備えている。これにより、部品点数を削減することができ、コスト削減や原稿照明装置50(図6参照)の小型化を図ることができる。
【0066】
また、カバー部材80には、図7(b)に示すように、LED基板60、導光部材70およびカバー部材80が一体化された際に導光体71の出射面71bが外部に対して露出可能な開口部81が形成されている。開口部81は、図17(a)に示すように、導光体71(図6参照)の主走査方向の長さに応じた長さだけ、主走査方向(図中、左右方向)に延在している。ただし、図7(b)に示すように、開口部81の開口面積は、導光体71の出射面71bの面積よりも僅かに大きく設定されている。したがって、導光体71と開口部81との間には、所定のクリアランスが形成される。また、これ以外の部分においても、導光体71とカバー部材80との間には、所定のクリアランスが形成されている。好ましくは、導光体71は、カバー部材80に限らず、いずれの部材とも接触しないことが望ましい。これにより、導光体71とカバー部材80等の他の部材とは、非接触とされるので、導光体71の内部で全反射されながら導光される光が導光体71と接触するカバー部材80等の他の部材に吸収されてしまうことを防止することができる。
【0067】
さらに、カバー部材80には、開口部81が形成された前方外面(図7(b)中、左側面)に対して所定の角度で傾斜した斜面部82が形成されている。この斜面部82の傾斜角度は、図4に示すように、原稿照明装置50が第1キャリッジ25に設置された際に斜面部82がコンタクトガラス8に対して平行となる角度とされる。これにより、原稿照明装置50をコンタクトガラス8に近づけた構成であっても、カバー部材80とコンタクトガラス8との接触を回避することができる。
【0068】
図17(a)に示すように、カバー部材80の下方端部、すなわち開口部81の下部には、主走査方向に沿って略等間隔で第3の固定部84が5つ設けられている。各第3の固定部84は、その一部がカバー部材80の下端から下方に突出する突出形状となっている。各第3の固定部84は、図6に示すように、対応する各第1の固定部64および各第2の固定部74に対して出射方向Lと同一方向に位置するよう、それぞれ配置されている。
【0069】
また、図17(b)に示すように、各第3の固定部84は、カバー部材80の前方外面(図17(b)中、左側面)に対して導光部材側(同図中、右側)に凹状に彫り込まれ、かつ導光部材70の各第2の固定部74(図9参照)と面接触するよう平板状に形成されている。この各第3の固定部84は、図7(b)に示すように、原稿照明装置50が組付けられた際には、導光部材70の切欠部72cに嵌合することとなる。これにより、限られたスペース内で各第3の固定部84を各第2の固定部74に突き合わすことができる。
【0070】
さらに、図17(a)に示すように、各第3の固定部84には、締結ネジ46(図6参照)を通すための締結穴84aがそれぞれ形成されている。ここで、図6に示すように、各締結穴84aは、その中心が各仮想線S上に位置するよう配置されている。
【0071】
また、図17(a)に示すように、カバー部材80の主走査方向の両端部には、所定の位置決め穴80a、80bが形成されている。原稿照明装置50の組立時には、この位置決め穴80a、80bを図示しない冶具の凸形状に嵌めることにより、先に冶具に装着済みのLED基板60および導光部材70に対してカバー部材80が位置決めされるようになっている。当然、カバー部材80が冶具により位置決めされたときには、上記各締結穴84aは、対応する各締結穴64aおよび各締結穴74aに一致するようになっている。
【0072】
次に、図6、図7(b)を参照して、原稿照明装置50の組付工程について説明する。
【0073】
図6に示すように、まず、図示しない冶具の2箇所の凸形状にLED基板60の位置決め穴60a、60bをそれぞれ嵌合させ、LED基板60を冶具に位置決め固定する。次いで、LED基板60を冶具に位置決め固定した状態で、位置決め穴60a、60bに嵌合している上記2箇所の凸形状に、導光部材70の位置決め穴70a、70bをそれぞれ嵌合させる。これにより、導光部材70をLED基板60に対して位置決めする。その後、位置決め穴60a、60bおよび位置決め穴70a、70bに嵌合している上記2箇所の凸形状に、カバー部材80の位置決め穴80a、80bをそれぞれ嵌合させる。これにより、LED基板60および導光部材70に対してカバー部材80を位置決めする。以上により、LED基板60、導光部材70およびカバー部材80が互いに位置決めされる。すなわち、導光部材70の導光体支持片72をLED基板60とカバー部材80とにより挟み込んだ状態で位置決めする。
【0074】
そして、この状態で、各第1の固定部64ないし各第3の固定部84に共通の締結ネジ46を取り付ける。具体的には、各締結穴64a、74a、84aに各締結ネジ46をそれぞれ通してLED基板60、導光部材70およびカバー部材80を互いに位置決めし、一体化させる。すなわち、LED基板60、導光部材70およびカバー部材80は、締結ネジ46を介して互いに位置決めされた状態で原稿照明装置50として一体化される。次いで、一体化された原稿照明装置50は、図7(b)に示すように、各締結ネジ46を受け台42の螺合穴42cに螺合することにより、受け台42に締結固定され、原稿照明装置50の組付が完了する。このため、一体化したLED基板60、導光部材70およびカバー部材80を一度の締結作業で受け台42に取り付けることができ、作業効率が向上する。
【0075】
なお、原稿照明装置50を一体化させる他の構成として、例えば、LED基板60の締結穴64aを締結ネジ46が螺合する螺合穴とし、LED基板60、導光部材70およびカバー部材80が冶具に位置決めされた状態で締結穴74a、84aに締結ネジ46を通して締結穴64aに螺合させることによりLED基板60、導光部材70およびカバー部材80を締結固定するようにしてもよい。
【0076】
また、本実施の形態では、冶具を用いてLED基板60、導光部材70およびカバー部材80を位置決めおよび一体化を行う構成としたが、これに限らず、例えば受け台42(図4参照)に位置決め用のピンを形成し、冶具を用いず、このピンに直接、位置決め穴60a、60b、位置決め穴70a、70bおよび位置決め穴80a、80bを嵌合させるよう構成してもよい。これにより、原稿照明装置50を冶具で一体化させた後、受け台42に移動させて組付ける工程と比較して、一体化させた原稿照明装置50を受け台42に移動させる工程を減らすことができ、組立作業が効率化される。
【0077】
次に、複写機1(図1参照)の画像読取動作について説明する。
【0078】
図2、図7(b)に示すように、複写機1(図1参照)は、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26(図2参照)を副走査方向(図中、左右方向)に移動させることにより、LED61から導光体71を透してコンタクトガラス8上の原稿に光を照射する。このとき、図4に示すように、導光体71から出射された光は、図4中、細一点鎖線で示すように直接、原稿面の照射領域Eに照射されるとともに、その光の一部がリフレクタ44によって原稿面の照射領域Eに反射される。この結果、照射領域Eで示す範囲で原稿面に光が照射される。
【0079】
次いで、原稿からの反射光は、図4中、太一点鎖線で示すように第1ミラー部材25aにより第2ミラー部材26a(図2参照)に向かって反射される。第1ミラー部材25aで反射された反射光は、図2に示すように、第2ミラー部材26aおよび第3ミラー部材26bの順に折り返された後、結像レンズ27に入射される。そして、結像レンズ27に入射された反射光は、結像レンズ27により焦点面に置かれた撮像部28に集光結像される。これにより、撮像部28は、結像された原稿の反射光像を光電変換して読取画像であるアナログ画像信号を出力する。そして、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26が図2中、点線で示す位置まで移動したら原稿の画像読取を終了し、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26を図2中、実線で示す位置までリターン移動させる。このリターン移動では、原稿の画像読取速度の影響を受けないので、原稿の読取生産性を上げるため、高速度で移動させるのが好ましい。
【0080】
なお、撮像部28から出力されたアナログ画像信号は、A/D変換器によりデジタル画像信号に変換され、画像処理回路を搭載した回路基板において各々の画像処理(例えば、2値化、多値化、階調処理、変倍処理あるいは編集処理等)が施される。
【0081】
以上のように、本実施の形態に係る導光部材70は、導光体71と支持部72bとを有している。そして、導光体71には、支持部72bが形成された支持部形成領域71cと、支持部形成領域71cと主走査方向に隣接して設けられた光透過領域71dとが形成されている。また、これら支持部形成領域71cと光透過領域71dとは、主走査方向と直交するX方向の幅が同一の幅Wとなるよう構成されている。このため、支持部72bが形成された箇所と支持部72bが形成されていない箇所とで、出射光の光強度を類似させることができる。さらに、本実施の形態においては、光透過領域71dが支持部形成領域71cと同様、LED61の照射面61aに近い側に形成しているため、光強度はもとより、出射光の挙動をも支持部72bがある箇所に類似させることができる。
【0082】
この結果、原稿面の照射領域E(図4参照)に向かう出射光の光量分布に、主走査方向にムラが生ずることが防止される。
【0083】
なお、本実施の形態においては、表面粗し処理により光透過領域71dを形成したが、光の内部反射を抑制する構成であればいずれの構成であってもよく、例えば、光透過領域71dを導光体71の内面すなわち内部反射領域71eよりも反射率の低い色(例えば、黒色)で構成するようにしてもよい。具体的には、LED61の光の波長に対して反射率が内部反射領域71eよりも低い値となるような色の塗料を選択して、これを光透過領域71dに塗布する。
【0084】
また、本実施の形態では、第1ないし第3の固定部64、74、84を主走査方向に略等間隔で5つ設けたが、固定部の数は、5つに限らず、例えば原稿照明装置50の主走査方向の長さや各構成部材の材質等に応じて適宜変更される。また、各固定部間の主走査方向の間隔は、等間隔に限らず、例えば原稿照明装置50の主走査方向の長さや各構成部材の材質等に応じて、主走査方向の中心に向かうに従い間隔を狭めてもよいし、これとは逆に中心に向かうに従い間隔を広げるようにしてもよい。
【0085】
また、LED基板60には、図8における左右方向に直線状にLED61が配列されるものに限らず、図8における上下方向に交互または所定個数ごとにずれて配列されるものでもよく、さらに複数列配列されるものでもよい。さらに、LED61は、トップビュータイプの発光ダイオードに限らず、サイドビュータイプ(側面に照射面を備えるもの)でも構わない。その場合、導光部材70の入射面71aをサイドビュータイプの発光面と対向する形状に変更するとともに導光部材70の出射面71bの向きを適宜変更すれば本発明の構成を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 複写機(画像形成装置)
4 画像読取部(画像読取装置)
5 画像形成部(画像形成手段)
28 撮像部(読取手段)
50 原稿照明装置(原稿照明手段)
60 LED基板(光源基板)
61 LED(点光源)
70 導光部材
71 導光体
71c 支持部形成領域
71d 光透過領域
71e 内部反射領域
72 導光体支持片
72b 支持部
100 入射光
E 照射領域
L 出射方向
W 幅
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開2008−35036号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光部材、原稿照明装置、画像読取装置および画像形成装置に関し、例えば、光源からの光を原稿の照射領域に導く導光部材、この導光部材を用いて原稿に光を照射する原稿照明装置、この原稿照明装置を備えた複写機、ファクシミリ装置、スキャナ装置等に使用される画像読取装置およびこの画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファクシミリ装置、複写機および複合機等に設けられたスキャナ装置等の画像読取装置では、光源の立ち上がりのスピード、省エネルギー化、長寿命化等の要望があり、光源として点光源であるLED(発光ダイオード)を用いた原稿照明装置が採用されている。
【0003】
ところが、点光源と見なせるほど小さい発光面を備える発光ダイオードだけで照明系を構成すると、光量が低下するほか副走査方向に均一な照度分布形状が得られないことになる。このため、発光ダイオードを光源として用いる原稿照明装置にあっては、発光ダイオードからの光を導く導光部材を採用する場合がある。そして、モノクロ、フルカラー、MFP等のデジタル複写機、汎用スキャナ等の高画質を要求している画像読取装置、アナログ複写機においては、LED等の光源と導光部材の最適化を図り、光を効率よく集め、かつ均一な照度分布を得る必要がある。
【0004】
従来、このような導光部材を採用する原稿照明装置として、主走査方向に配列された複数のLEDと、LEDを支持するLED基板と、LED基板に支持され、LEDからの光を原稿の照射領域に導く導光体とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この原稿照明装置の導光体は、LEDの配列方向、すなわち主走査方向に長尺に形成されている。また、この導光体には、該導光体をLED基板に支持固定するための支持部として係合突起が一体形成されている。この係合突起は、導光体の主走査方向に所定間隔で複数形成されている。したがって、導光体は、係合突起を介してLED基板に支持固定されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の原稿照明装置に用いられる導光体にあっては、係合突起が主走査方向に所定間隔で複数形成されている。このため、係合突起が形成された箇所では、LEDから導光体に入射した光の一部が係合突起内を通過し原稿の照射領域に向かわない一方で、係合突起が形成されていない箇所では、LEDから導光体に入射した光の全てが内部反射(全反射)し原稿の照射領域に向かうこととなる。これにより、係合突起が形成された箇所と係合突起が形成されていない箇所とで、特に導光体から出射される光の光強度が異なることとなる。すなわち、主走査方向に光強度のムラが生ずるおそれがある。したがって、このような従来の導光体においては、導光体から出射され原稿の照射領域に向かう光の光量分布に、主走査方向にムラが生ずるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、光源基板に支持固定するための支持部が形成された導光部材であっても、原稿の照射領域に向かう光の光量分布にムラが生じることを防止することができる導光部材、原稿照明装置、画像読取装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る導光部材は、上記目的を達成するため、複数の点光源が第1の方向に配列された光源基板に支持され、前記点光源から出射された光を原稿の照射領域に導く導光部材であって、前記点光源から出射された光の出射方向の前方に配置された導光体と、前記導光体と一体形成され、前記導光体を前記光源基板に支持するよう前記第1の方向に沿って所定間隔で複数設けられた支持部と、を備え、前記導光体には、前記支持部が形成された支持部形成領域と、前記点光源から前記導光体の内部に入射した光の一部を外部に透過させるよう前記支持部形成領域と前記第1の方向に隣接して設けられた光透過領域とが形成され、前記支持部形成領域と前記光透過領域とは、前記第1の方向と直交する第2の方向の幅が同一である構成を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、光源基板に支持固定されるための支持部が形成された導光部材であっても、原稿の照射領域に向かう光の光量分布にムラが生じることを防止することができる導光部材、原稿照明装置、画像読取装置および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像読取部の概略側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る原稿照明装置が搭載された第1キャリッジの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る原稿照明装置が搭載された第1キャリッジの側面図である。
【図5】(a)は、本発明の実施の形態に係る原稿照明装置が搭載された第1キャリッジの平面図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る原稿照明装置の分解斜視図である。
【図7】(a)は、LEDの光の出射方向正面から見た原稿照明装置の正面図であり、(b)は、(a)におけるB−B断面図である。
【図8】(a)は、LEDの光の出射方向正面から見たLED基板の正面図であり、(b)は、LED基板の側面図である。
【図9】(a)は、LEDの光の出射方向正面から見た導光部材の正面図であり、(b)は、(a)におけるC−C断面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る導光部材の一部拡大平面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る導光部材を下方側から見た側面図である。
【図12】(a)は、導光部材の一部拡大斜視図であり、(b)は、支持部を省略した状態の導光部材の一部拡大側面図である。
【図13】本実施の形態に係る導光体の一部断面図である。
【図14】(a)〜(b)は、本発明の実施の形態に係る導光体の他の形状を示す図である。
【図15】(a)は、光透過領域を有していない場合の図9(a)におけるF−F断面図であり、(b)は、光透過領域を有していない場合の図9(a)におけるG−G断面図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る導光体内の光の反射および透過の様子を示す図であって、図9(a)におけるF−F断面図である。
【図17】(a)は、LEDの光の出射方向正面から見たカバー部材の正面図であり、(b)は、(a)におけるD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る原稿照明装置を備えた画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像形成装置を電子写真方式の複写機1に適用した例を示している。複写機としては、例えば、一般的な静電作像方法を用いて画像を形成するフルカラーの複写機やモノクロ画像を形成する複写機などが挙げられる。また、作像方式としては、電子写真方式以外にも、例えばインクジェット方式等を用いることも可能である。
【0012】
図1に示すように、複写機1は、自動原稿搬送装置(以下、単にADFという)2と、給紙部3と、画像読取装置としての画像読取部4と、画像形成手段としての画像形成部5とを含んで構成されている。
【0013】
ADF2は、原稿載置台としての原稿トレイ11と、各種ローラ等からなる搬送部13とを備えている。ADF2は、搬送部13により原稿トレイ11に載置された原稿をスリットガラス7上に搬送し、スリットガラス7を介して画像読取部4により読み取りが終了した原稿を、スリットガラス7上を通過させた後、排紙トレイ12に排紙するようになっている。また、ADF2は、画像読取部4に対して図示しない開閉機構を介して開閉自在に取り付けられている。
【0014】
給紙部3は、用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット3a、3bと、給紙カセット3a、3bに収納された記録媒体としての記録紙(シート)Pをそれぞれピックアップして給紙する給紙装置21、22と、これら給紙装置21、22から給紙された記録紙Pを画像形成部5の所定の画像形成位置まで搬送する各種ローラからなる搬送手段23とを有している。
【0015】
画像読取部4は、光源およびミラー部材を搭載した第1キャリッジ25と、ミラー部材を搭載した第2キャリッジ26と、結像レンズ27と、読取手段としての撮像部28とを備えている。画像読取部4は、詳しくは後述するが、ADF2により搬送される原稿の画像を読み取る場合には、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26をスリットガラス7の直下の図1中、Hで示す位置に移動し、その位置で停止させる。そして、第1キャリッジ25に搭載された光源によりスリットガラス7上を通過中の原稿に光を照射し、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26に搭載された各ミラー部材により原稿からの反射光を折り返させ、その反射光を結像レンズ27により結像して撮像部28で読み取らせるようになっている。一方で、コンタクトガラス8上に載置された原稿を読み取る場合には、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26を図1中、左右方向(副走査方向)に移動させる。そして、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26を移動させる過程で、光源により原稿に光を照射し、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26に搭載された各ミラー部材により原稿からの反射光を折り返させ、その反射光を結像レンズ27により結像して撮像部28で読み取らせるようになっている。
【0016】
画像形成部5は、露光装置31と、複数の感光体ドラム32と、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックとそれぞれ異なる色のトナーが充填された現像装置33と、転写ベルト34と、定着装置35とを備えている。画像形成部5は、撮像部28に読み取られた読取画像に基づいて、露光装置31により各感光体ドラム32を露光して各感光体ドラム32に潜像を形成し、各現像装置33により各感光体ドラム32にそれぞれ異なる色のトナーを供給して現像するようになっている。そして、画像形成部5は、転写ベルト34により各感光体ドラム32に現像された像を給紙部3から供給された記録紙Pに転写した後、定着装置35により記録紙Pに転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録紙Pにカラー画像を定着するようになっている。これにより、記録紙Pにフルカラー画像が形成される。
【0017】
次に、図2を参照して、画像読取部4の詳細な構成について説明する。
【0018】
図2に示すように、画像読取部4は、上述した通り、第1キャリッジ25と、第2キャリッジ26と、結像レンズ27と、撮像部28とを備えており、これらの各構成部材は画像読取部4の本体フレーム4aの内部にそれぞれ配置されている。また、本体フレーム4aの内部には、図示しない第1レールおよび第2レールが副走査方向(図2中、左右方向)に延在するよう設けられている。第1レールは、副走査方向と直交する主走査方向に所定の間隔をあけて配置された2本のレールからなる。第2レールについても、第1レールと同様、主走査方向に所定の間隔をあけて配置された2本のレールからなる。
【0019】
第1キャリッジ25は、第1レールに摺動自在に取り付けられ、図示しない駆動モータにより図示しない第1キャリッジ用駆動ワイヤを介して副走査方向に図2中、実線で示す位置と破線で示す位置との間で往復移動可能に構成されている。また、第2キャリッジ26は、第2レールに摺動自在に取り付けられ、図示しない駆動モータにより図示しない第2キャリッジ用駆動ワイヤを介して副走査方向に図2中、実線で示す位置と破線で示す位置との間で往復移動可能に構成されている。ここで、これら第1キャリッジ25および第2キャリッジ26は、2:1の速度比で副走査方向に移動するようになっている。このような移動速度の関係により、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26の移動があっても、原稿面から結像レンズ27までの光の光路長が変化しないようになっている。
【0020】
第1キャリッジ25には、後述する原稿照明装置50と、第1ミラー部材25aとが設けられている。また、第2キャリッジ26には、第2ミラー部材26aと、第3ミラー部材26bとが設けられている。
【0021】
結像レンズ27は、各ミラー部材を介して入射された原稿からの反射光を撮像部28に集光結像するようになっている。撮像部28は、CCD等の撮像素子で構成され、結像レンズ27を介して結像された原稿の反射光像を光電変換して読取画像であるアナログ画像信号を出力するようになっている。
【0022】
次に、図3〜図5(a)、(b)を参照して、第1キャリッジ25について説明する。
【0023】
図3および図4に示すように、第1キャリッジ25は、板金からなるベース40と、ベース40の下面に垂下された一対の側板41と、ベース40の上面に締結部材29を介して取り付けられた受け台42とを含んで構成されている。
【0024】
ベース40は、前端部40a(図4中、左側)が上方に折り曲げられたフランジを形成し、この前端部40aの上端部の所定箇所には、ベース40に対して所定の角度で傾斜するよう折り曲げられた傾斜部40bが設けられている。ここで、上記所定箇所は、前端部40aのうち、原稿照明装置50に対向する主走査方向(図3中、Y方向)の所定領域である。また、上記傾斜部40bには、原稿照明装置50から照射された光を反射させて原稿面での照度分布を良好なものにするための対向反射板、いわゆるリフレクタ44が取り付けられている。また、リフレクタ44は、原稿照明装置50から照射された光を反射させることにより、例えば切り貼り原稿を読み取った際に、原稿の凹凸により発生する影を無くすことができる。
【0025】
一対の側板41は、主走査方向に互いに離隔して設けられ、主走査方向に長尺な第1ミラー部材25aを保持するようになっている。
【0026】
受け台42は、板金からなり、ベース40に対する取付面を有する取付部42aと、この取付部42aに対して所定の角度で傾斜するよう上方に折り曲げられた折り曲げ片部42bとを有する。取付部42aは、図5(a)に示すように、受け台42の主走査方向(図中、左右方向)の両端部に形成され、締結部材29によりベース40に取り付けられる。
【0027】
折り曲げ片部42bは、主走査方向に延在するとともに取付部42aと連続的に形成された部分を除いて、図5(b)に示すように、下端部がベース40の下方まで延在している。すなわち、折り曲げ片部42bのうち、原稿照明装置50が取り付けられる領域部分についてのみ、その下端部がベース40の下方まで延在している。なお、図5(b)においては、図中、上下方向が副走査方向であり、図中、左側が上方、図中、右側が下方を示す。また、この折り曲げ片部42bの下方側には、締結ネジ46が螺合する螺合穴42cが形成されている。螺合穴42cは、図示していないが、主走査方向に所定間隔で複数、例えば5つ形成されている。また、折り曲げ片部42bの傾斜角度は、原稿照明装置50が折り曲げ片部42bに取り付けられた際に、後述する導光体71から出射される光の照度分布が良効となるような角度に設定される。
【0028】
この折り曲げ片部42bには、上述した締結ネジ46を介して原稿照明手段としての原稿照明装置50が取り付けられている。
【0029】
図6および図7(a)、(b)に示すように、原稿照明装置50は、LED基板60と、導光部材70と、カバー部材80と含んで構成されている。これらLED基板60、導光部材70およびカバー部材80は、共通の固定部材としての締結ネジ46により一体化され、一のユニットとして構成される。なお、図6中、矢印Lで示す方向は、後述するLED61から出射された光のうち、光強度が最も強い方向(以下、出射方向Lという)を指し、後述する主走査方向を含むLED61の照射面61aに直交する方向である。
【0030】
図8(a)に示すように、LED基板60には、発光素子としてトップビュータイプの発光ダイオード(以下、LEDという)61が第1の方向である主走査方向(図中、左右方向)に沿って直線状に複数個配列されている。また、LED基板60には、各LED61に電力を供給するための図示しない配線パターンや各種回路素子が形成されている。さらに、LED基板60の主走査方向の一方の端部には、図示しない制御部に電気的に接続するための接続端子62が設けられている。本実施の形態におけるLED61は、本発明に係る点光源を構成し、LED基板60は、本発明における光源基板を構成する。
【0031】
図8(b)に示すように、LED61は、LED基板60の駆動によって、LED基板60の実装面と平行な照射面61a(図中、左端面)から図中、左方向(図6に示す出射方向L)、すなわち導光部材70に向けて光を出射するようになっている。
【0032】
また、図8(a)に示すように、LED基板60の下方端部には、主走査方向に沿って略等間隔で第1の固定部64が5つ設けられている。各第1の固定部64は、その一部がLED基板60の下端から下方に突出する突出形状となっている。各第1の固定部64には、締結ネジ46(図6参照)を通すための締結穴64aがそれぞれ形成されている。
【0033】
さらに、LED基板60の主走査方向の両端部には、所定の位置決め穴60a、60bが形成されている。原稿照明装置50の組立時には、この位置決め穴60a、60bを図示しない冶具の凸形状に嵌めることによりLED基板60の位置決めを行うようになっている。
【0034】
図7(b)に示すように、導光部材70は、LED基板60に支持され、LED61から出射された光を原稿面の照射領域E(図4参照)に導くようになっている。
【0035】
具体的には、図9(a)、(b)に示すように、導光部材70は、図9(b)中、左方向(図6に示す出射方向L)の前方に配置された導光体71と、導光体71と一体形成された導光体支持片72とを含んで構成されている。
【0036】
導光体71は、LED61の照射面61a(図7(b)参照)に対向し、LED61から出射された光が入射される入射面71aと、入射面71aから入射された光を原稿面の照射領域E(図4参照)に向けて出射する出射面71bとを有している。また、導光体71は、アクリル等の透過率の高い樹脂等により形成されている。出射面71bには、例えばサンドブラストやエッチング等の表面粗し処理が施され、出射面71bから出射される光が拡散されるようになっている。
【0037】
さらに、図9(b)に示すように、導光体71は、光を導光する出射方向L(図6参照)に沿って鉛直方向に切断したときの切断面が出射方向L(図6参照)に十分な長さを有する台形形状となるよう形成されている。すなわち、導光体71は、入射面71a側から出射面71b側に向かうに従い、厚み(図中、上下幅)が徐々に大きくなるよう多少の角度がつけられた形状である。これにより、入射面71aから入射され、導光体71の厚み方向(図9(b)中、上下方向)の両側面、すなわち上面および下面に到達した光の多くを透過させずに内部反射させることができる。このため、より多くの光を導光体71の内部で全反射させることができ、出射面71bから出射させることができる。したがって、導光体71に入射した光は、内部で全反射しながら進行する間に適正な照度分布の光となる。
【0038】
導光体71の形状は、上述したような断面台形形状に限らず、全反射に適した形状であればいずれの形状であってもよく、例えば主走査方向(図9(a)中、左右方向)に扁平な略直方体として形成してもよい。
【0039】
導光体支持片72は、導光体71と同様、アクリル等の樹脂等で形成され、主走査方向(図9(a)中、左右方向)に沿って所定間隔で複数(本実施の形態では5つ)設けられている。
【0040】
導光体支持片72は、平板状に形成された平板部72aと、平板部72aと導光体71との間に設けられ支持部72bとを含んで構成されている。これら導光体71、平板部72aおよび支持部72bは、一体形成されている。
【0041】
各平板部72aの下方端部には、それぞれ第2の固定部74が設けられている。各第2の固定部74は、その一部が平板部72aの下端から下方に突出する突出形状となっている。各第2の固定部74は、図6に示すように、LED基板60の対応する各第1の固定部64に対して出射方向Lと同一方向に位置するよう、それぞれ配置されている。
【0042】
また、図9(a)に示すように、各第2の固定部74には、締結ネジ46(図6参照)を通すための締結穴74aがそれぞれ形成されている。ここで、図6に示すように、LED基板60の各締結穴64aの中心を通り出射方向Lと平行な線を仮想線Sとすると、各締結穴74aは、その中心が各仮想線S上に位置するよう配置されている。
【0043】
また、図9(a)に示すように、5つの導光体支持片72のうち、主走査方向の両端側に位置する導光体支持片72の平板部72aには、所定の位置決め穴70a、70bが形成されている。原稿照明装置50の組立時には、この位置決め穴70a、70bを図示しない冶具の凸形状に嵌めることにより、先に冶具に装着済みのLED基板60(図6参照)に対して導光部材70が位置決めされるようになっている。当然、導光部材70が冶具により位置決めされたときには、上記各締結穴74aは、LED基板60の対応する各締結穴64a(図6参照)に一致するようになっている。
【0044】
支持部72bは、主走査方向の両端側に位置する導光体支持片72では1つ、それ以外の導光体支持片72では主走査方向に離隔して2つ設けられている。したがって、支持部72bは、主走査方向に沿って所定間隔で複数設けられることとなる。ただし、前述した所定間隔は、同一の導光体支持片72に設けられた一対の支持部72b間の間隔よりも、異なる導光体支持片72に設けられた隣り合う2つの支持部72b間の間隔が大きくとられている。
【0045】
図9(b)に示すように、支持部72bは、平板部72aの上端側で出射方向L(図6参照)にL字状に屈曲し、さらに屈曲した出射方向先端部で導光体71の入射面71aと平行な方向にL字状に屈曲した形状を有している。これにより、導光体71の入射面71aと平板部72aのLED基板側側面(図9(b)中、右側面)との間に所定の隙間Dが形成されるよう、平板部72aと導光体71との間に段差が形成される。このため、図7(b)に示すように、導光部材70とLED基板60とが組付けられた際にも、LED61が上記隙間D(図9(b)参照)内に配置可能となる。また、隙間D(図9(b)参照)は、導光部材70とLED基板60とが組付けられた際、LED61の照射面61aと導光体71の入射面71aとの間に所定のクリアランスを確保できる程度の隙間とされる。このように、LED61の照射面61aと導光体71の入射面71aとを所定のクリアランスを介して離間させることにより、例えばLED61自体のばらつきやLED61の実装時の組付け誤差等によるばらつきからLED61と導光体71とが接触、損傷するのを回避している。
【0046】
また、図9(a)に示すように、各導光体支持片72には、各第2の固定部74に対応して5つの切欠部72cが形成されている。具体的には、主走査方向の両端側に位置する導光体支持片72においては支持部72bの主走査方向の両端側に、またそれ以外の導光体支持片72においては一対の支持部72bの間に、それぞれ切欠部72cが形成されている。この各切欠部72cには、原稿照明装置50(図6参照)の組付時に、後述するカバー部材80の第3の固定部84(図11(a)参照)が嵌合するようになっている。
【0047】
さらに、図9(b)および図10に示すように、導光体71の主走査方向の両端には、一対の側壁72dが形成されている。この側壁72dは、導光体71が導光体支持片72に片持支持されていることで、例えば装置運搬時や第1キャリッジ25(図2参照)の移動時等に図9(b)中、矢印Mで示す方向に導光体71が倒れ込むことを防止するために設けられたものである。この側壁72dがあることで、導光体71の倒れ込みが防止され、LED61の照射面61aと導光体71の入射面71aとの間の位置関係を良好に保つことができる。
【0048】
次に、図11〜図14を参照して、導光体71の光透過領域について説明する。
【0049】
図11に示すように、導光体71の下面には、支持部72bが形成された支持部形成領域71c(図12(b)参照)と、支持部形成領域71cと主走査方向に隣接して設けられた光透過領域71dとが形成されている。
【0050】
具体的には、図12(a)に示すように、光透過領域71dは、主走査方向に隣り合う導光体支持片72の間、および同一の導光体支持片72に設けられた一対の支持部72bの間に形成されている。ただし、図11に示すように、主走査方向の両端側に位置する導光体支持片72においては、1つの支持部72bの主走査方向の両端側、すなわち支持部72bと側壁72d(図10参照)との間に形成されている。
【0051】
また、光透過領域71dは、サンドブラストやエッチング等の表面粗し処理により形成されている。表面粗し処理としては、この他、シボ加工を施して表面に微細な凹凸を形成する方法を用いてもよい。このように、光透過領域71dには、表面粗し処理が施されているので、図14に示すように、LED61から導光体71に入射した光の一部が光透過領域71dから導光体外部に透過しやすくなっている。
【0052】
図12(b)に示すように、支持部形成領域71cと光透過領域71dとは、主走査方向(図中、矢印Yで示す方向)と直交する第2の方向であるX方向の幅が同一の幅Wとなるよう構成されている。ここで、X方向は、主走査方向を含むLED61の照射面61aに直交する出射方向L(図6参照)を、光透過領域71dに投影した際の導光体71の下面(表面)に沿う方向である。すなわち、本実施の形態におけるX方向は、図13に示すように、台形形状により出射方向Lに対して所定の傾斜角度で傾斜した導光体71の下面と平行な方向である。なお、導光体71の形状が直方体形状であれば、図14(a)に示すように、X方向は出射方向Lと平行となり、導光体71の形状が傾斜角度の大きな台形形状であれば、図14(b)に示すように、X方向は導光体71の下面に合わせて下方への傾斜角度が大きくなる。また、導光体71の形状が、入射面71a側に向かうに従い厚み(図中、上下幅)が徐々に小さくなる台形形状であれば、図14(c)に示すように、X方向は導光体71の下面に合わせて上方への傾斜角度が大きくなる。このように、上記X方向は、一義的に定まるものではなく、導光体71の形状に合わせて適宜定まる。
【0053】
また、図12(b)は、支持部72bを導光体71との接続部分で上述のX方向に沿って切断した状態を示す図である。支持部形成領域71cは、図12(b)において、支持部72bを導光体71との接続部分で上述のX方向に沿って切断したとき、支持部72bが形成されていた上記接続部分の断面領域である。
【0054】
また、導光体71の下面において、支持部形成領域71cおよび光透過領域71d以外の領域71e(以下、内部反射領域71eという)は、導光体71の上面と同様、一様に平坦な内部反射面として構成されている。
【0055】
次いで、導光体71に入射したLED61の光の反射および透過の様子について、光透過領域71dが形成されていない場合と形成されている場合とを比較して説明する。
【0056】
図15(a)、(b)に示すように、導光体71の下面に光透過領域71dが形成されていない場合、導光体71の下面は、支持部形成領域71cと内部反射領域71eで構成されることとなる。つまり、導光体71の下面において、支持部形成領域71c以外は、全て内部反射領域71eとなる。
【0057】
この場合、図15(a)に示すように、支持部72bが形成されていない箇所では、LED61から導光体71に入射した光100(以下、入射光100という)は、内部反射領域71eで内部反射(全反射)し、全て導光体71の出射面71bから出射する。このため、支持部72bが形成されていない箇所では、全ての入射光100が原稿面の照射領域E(図4参照)に向かうこととなる。なお、図15(a)は、光透過領域71dが形成されていないとした場合における図9(a)におけるF−F断面を示す。
【0058】
一方で、図15(b)に示すように、支持部72bが形成された箇所では、入射光100は、一部が支持部形成領域71cを通過し、支持部72b内部に入射してしまう。これにより、支持部72b内部に入射した光は、導光体71の出射面71bから出射することがなく、原稿面の照射領域E(図4参照)に向かうこともない。これとは対照的に、内部反射領域71eに到達した残りの光は、内部反射領域71eで全反射して導光体71の出射面71bから出射し、原稿面の照射領域E(図4参照)に向かう。このように、支持部72bが形成された箇所では、入射光100が支持部72b内部に入射する光と出射面71bから出射する光とに分かれる。この結果、支持部72bが形成された箇所では、支持部72bが形成されていない箇所と比べて出射面71bから出射される光(以下、出射光という)の光強度が弱くなる。なお、図15(b)は、光透過領域71dが形成されていないとした場合における図9(a)におけるG−G断面を示す。
【0059】
したがって、導光体71の下面に光透過領域71dが形成されていない場合には、原稿面の照射領域E(図4参照)に向かう出射光の光量分布に、主走査方向にムラが生ずることとなる。
【0060】
これに対して、図16に示すように、本実施の形態に係る導光体71では、支持部72bが形成されていない箇所における導光体71の下面が、光透過領域71dと内部反射領域71eで構成される。なお、図16は、光透過領域71dが形成された本実施の形態に係る導光体71の図9(a)におけるF−F断面を示す。
【0061】
このため、支持部72bが形成されていない箇所では、LED61から入射光100は、一部が光透過領域71dを透過して導光体71外部に抜ける。これにより、光透過領域71dを透過した光は、導光体71の出射面71bから出射することがなく、原稿面の照射領域E(図4参照)に向かうこともない。また、内部反射領域71eに到達した残りの光は、内部反射領域71eで全反射して導光体71の出射面71bから出射し、原稿面の照射領域E(図4参照)に向かう。したがって、本実施の形態では、支持部72bが形成されていない箇所における出射光の光強度を、前述した図15(a)に示す例と比較して弱くすることができる。この結果、支持部72bが形成されていない箇所では、図15(a)に示す支持部72bがある箇所に類似した光強度を有する出射光とすることが可能となる。さらに、本実施の形態では、光透過領域71dが支持部形成領域71cと同様、LED61の照射面61aに近い側に形成しているため、光強度はもとより、出射光の挙動をも支持部72bがある箇所に類似させることができる。
【0062】
一方で、本実施の形態に係る導光体71において、支持部72bが形成された箇所の構成は、上述した図15(b)に示す例と同様である。したがって、支持部72bが形成された箇所において、入射光100は、図15(b)と同様、支持部72b内部に入射する光と出射面71bから出射する光とに分かれる。
【0063】
このように、本実施の形態では、支持部72bが形成された箇所と支持部72bが形成されていない箇所とで、出射光の光強度や挙動を類似させることができる。これにより、原稿面の照射領域E(図4参照)に向かう出射光の光量分布に、主走査方向にムラが生ずることが防止される。
【0064】
図7(b)に示すように、カバー部材80は、LED基板60および導光部材70よりも図中、左方向前方(図6に示す出射方向L)に配置され、これらLED基板60および導光部材70を出射方向L(図6参照)の前方側から覆うようになっている。
【0065】
具体的には、図17(a)、(b)に示すように、カバー部材80は、例えば、黒色のカーボンを含むポリエステルフィルムやPET材質等のように光密度が高く光を透過し難い樹脂等で構成されている。このため、LED61(図7(b)参照)により照射された光が外部に漏出するのを防止することができる。また、カバー部材80は、反射率の比較的低い黒色の表面を有しているため、導光体71(図7(b)参照)から出射され原稿面で反射した光がカバー部材80の表面で反射して再度原稿面の照射領域E(図4参照)に向かう、いわゆるフレア光の進行を抑制することができる。なお、フレア光の進行を抑制するためのカバー部材80の表面処理としては、上記のように黒色とする以外に、例えば表面を粗くしたり反射防止コーティングを施したりする等、光の反射を抑制する加工を行うことも可能である。このように、カバー部材80は、光が外部に漏出するのを防止する遮光部材としての機能と、フレア光の進行を抑制する規制部材としての機能を兼ね備えている。これにより、部品点数を削減することができ、コスト削減や原稿照明装置50(図6参照)の小型化を図ることができる。
【0066】
また、カバー部材80には、図7(b)に示すように、LED基板60、導光部材70およびカバー部材80が一体化された際に導光体71の出射面71bが外部に対して露出可能な開口部81が形成されている。開口部81は、図17(a)に示すように、導光体71(図6参照)の主走査方向の長さに応じた長さだけ、主走査方向(図中、左右方向)に延在している。ただし、図7(b)に示すように、開口部81の開口面積は、導光体71の出射面71bの面積よりも僅かに大きく設定されている。したがって、導光体71と開口部81との間には、所定のクリアランスが形成される。また、これ以外の部分においても、導光体71とカバー部材80との間には、所定のクリアランスが形成されている。好ましくは、導光体71は、カバー部材80に限らず、いずれの部材とも接触しないことが望ましい。これにより、導光体71とカバー部材80等の他の部材とは、非接触とされるので、導光体71の内部で全反射されながら導光される光が導光体71と接触するカバー部材80等の他の部材に吸収されてしまうことを防止することができる。
【0067】
さらに、カバー部材80には、開口部81が形成された前方外面(図7(b)中、左側面)に対して所定の角度で傾斜した斜面部82が形成されている。この斜面部82の傾斜角度は、図4に示すように、原稿照明装置50が第1キャリッジ25に設置された際に斜面部82がコンタクトガラス8に対して平行となる角度とされる。これにより、原稿照明装置50をコンタクトガラス8に近づけた構成であっても、カバー部材80とコンタクトガラス8との接触を回避することができる。
【0068】
図17(a)に示すように、カバー部材80の下方端部、すなわち開口部81の下部には、主走査方向に沿って略等間隔で第3の固定部84が5つ設けられている。各第3の固定部84は、その一部がカバー部材80の下端から下方に突出する突出形状となっている。各第3の固定部84は、図6に示すように、対応する各第1の固定部64および各第2の固定部74に対して出射方向Lと同一方向に位置するよう、それぞれ配置されている。
【0069】
また、図17(b)に示すように、各第3の固定部84は、カバー部材80の前方外面(図17(b)中、左側面)に対して導光部材側(同図中、右側)に凹状に彫り込まれ、かつ導光部材70の各第2の固定部74(図9参照)と面接触するよう平板状に形成されている。この各第3の固定部84は、図7(b)に示すように、原稿照明装置50が組付けられた際には、導光部材70の切欠部72cに嵌合することとなる。これにより、限られたスペース内で各第3の固定部84を各第2の固定部74に突き合わすことができる。
【0070】
さらに、図17(a)に示すように、各第3の固定部84には、締結ネジ46(図6参照)を通すための締結穴84aがそれぞれ形成されている。ここで、図6に示すように、各締結穴84aは、その中心が各仮想線S上に位置するよう配置されている。
【0071】
また、図17(a)に示すように、カバー部材80の主走査方向の両端部には、所定の位置決め穴80a、80bが形成されている。原稿照明装置50の組立時には、この位置決め穴80a、80bを図示しない冶具の凸形状に嵌めることにより、先に冶具に装着済みのLED基板60および導光部材70に対してカバー部材80が位置決めされるようになっている。当然、カバー部材80が冶具により位置決めされたときには、上記各締結穴84aは、対応する各締結穴64aおよび各締結穴74aに一致するようになっている。
【0072】
次に、図6、図7(b)を参照して、原稿照明装置50の組付工程について説明する。
【0073】
図6に示すように、まず、図示しない冶具の2箇所の凸形状にLED基板60の位置決め穴60a、60bをそれぞれ嵌合させ、LED基板60を冶具に位置決め固定する。次いで、LED基板60を冶具に位置決め固定した状態で、位置決め穴60a、60bに嵌合している上記2箇所の凸形状に、導光部材70の位置決め穴70a、70bをそれぞれ嵌合させる。これにより、導光部材70をLED基板60に対して位置決めする。その後、位置決め穴60a、60bおよび位置決め穴70a、70bに嵌合している上記2箇所の凸形状に、カバー部材80の位置決め穴80a、80bをそれぞれ嵌合させる。これにより、LED基板60および導光部材70に対してカバー部材80を位置決めする。以上により、LED基板60、導光部材70およびカバー部材80が互いに位置決めされる。すなわち、導光部材70の導光体支持片72をLED基板60とカバー部材80とにより挟み込んだ状態で位置決めする。
【0074】
そして、この状態で、各第1の固定部64ないし各第3の固定部84に共通の締結ネジ46を取り付ける。具体的には、各締結穴64a、74a、84aに各締結ネジ46をそれぞれ通してLED基板60、導光部材70およびカバー部材80を互いに位置決めし、一体化させる。すなわち、LED基板60、導光部材70およびカバー部材80は、締結ネジ46を介して互いに位置決めされた状態で原稿照明装置50として一体化される。次いで、一体化された原稿照明装置50は、図7(b)に示すように、各締結ネジ46を受け台42の螺合穴42cに螺合することにより、受け台42に締結固定され、原稿照明装置50の組付が完了する。このため、一体化したLED基板60、導光部材70およびカバー部材80を一度の締結作業で受け台42に取り付けることができ、作業効率が向上する。
【0075】
なお、原稿照明装置50を一体化させる他の構成として、例えば、LED基板60の締結穴64aを締結ネジ46が螺合する螺合穴とし、LED基板60、導光部材70およびカバー部材80が冶具に位置決めされた状態で締結穴74a、84aに締結ネジ46を通して締結穴64aに螺合させることによりLED基板60、導光部材70およびカバー部材80を締結固定するようにしてもよい。
【0076】
また、本実施の形態では、冶具を用いてLED基板60、導光部材70およびカバー部材80を位置決めおよび一体化を行う構成としたが、これに限らず、例えば受け台42(図4参照)に位置決め用のピンを形成し、冶具を用いず、このピンに直接、位置決め穴60a、60b、位置決め穴70a、70bおよび位置決め穴80a、80bを嵌合させるよう構成してもよい。これにより、原稿照明装置50を冶具で一体化させた後、受け台42に移動させて組付ける工程と比較して、一体化させた原稿照明装置50を受け台42に移動させる工程を減らすことができ、組立作業が効率化される。
【0077】
次に、複写機1(図1参照)の画像読取動作について説明する。
【0078】
図2、図7(b)に示すように、複写機1(図1参照)は、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26(図2参照)を副走査方向(図中、左右方向)に移動させることにより、LED61から導光体71を透してコンタクトガラス8上の原稿に光を照射する。このとき、図4に示すように、導光体71から出射された光は、図4中、細一点鎖線で示すように直接、原稿面の照射領域Eに照射されるとともに、その光の一部がリフレクタ44によって原稿面の照射領域Eに反射される。この結果、照射領域Eで示す範囲で原稿面に光が照射される。
【0079】
次いで、原稿からの反射光は、図4中、太一点鎖線で示すように第1ミラー部材25aにより第2ミラー部材26a(図2参照)に向かって反射される。第1ミラー部材25aで反射された反射光は、図2に示すように、第2ミラー部材26aおよび第3ミラー部材26bの順に折り返された後、結像レンズ27に入射される。そして、結像レンズ27に入射された反射光は、結像レンズ27により焦点面に置かれた撮像部28に集光結像される。これにより、撮像部28は、結像された原稿の反射光像を光電変換して読取画像であるアナログ画像信号を出力する。そして、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26が図2中、点線で示す位置まで移動したら原稿の画像読取を終了し、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26を図2中、実線で示す位置までリターン移動させる。このリターン移動では、原稿の画像読取速度の影響を受けないので、原稿の読取生産性を上げるため、高速度で移動させるのが好ましい。
【0080】
なお、撮像部28から出力されたアナログ画像信号は、A/D変換器によりデジタル画像信号に変換され、画像処理回路を搭載した回路基板において各々の画像処理(例えば、2値化、多値化、階調処理、変倍処理あるいは編集処理等)が施される。
【0081】
以上のように、本実施の形態に係る導光部材70は、導光体71と支持部72bとを有している。そして、導光体71には、支持部72bが形成された支持部形成領域71cと、支持部形成領域71cと主走査方向に隣接して設けられた光透過領域71dとが形成されている。また、これら支持部形成領域71cと光透過領域71dとは、主走査方向と直交するX方向の幅が同一の幅Wとなるよう構成されている。このため、支持部72bが形成された箇所と支持部72bが形成されていない箇所とで、出射光の光強度を類似させることができる。さらに、本実施の形態においては、光透過領域71dが支持部形成領域71cと同様、LED61の照射面61aに近い側に形成しているため、光強度はもとより、出射光の挙動をも支持部72bがある箇所に類似させることができる。
【0082】
この結果、原稿面の照射領域E(図4参照)に向かう出射光の光量分布に、主走査方向にムラが生ずることが防止される。
【0083】
なお、本実施の形態においては、表面粗し処理により光透過領域71dを形成したが、光の内部反射を抑制する構成であればいずれの構成であってもよく、例えば、光透過領域71dを導光体71の内面すなわち内部反射領域71eよりも反射率の低い色(例えば、黒色)で構成するようにしてもよい。具体的には、LED61の光の波長に対して反射率が内部反射領域71eよりも低い値となるような色の塗料を選択して、これを光透過領域71dに塗布する。
【0084】
また、本実施の形態では、第1ないし第3の固定部64、74、84を主走査方向に略等間隔で5つ設けたが、固定部の数は、5つに限らず、例えば原稿照明装置50の主走査方向の長さや各構成部材の材質等に応じて適宜変更される。また、各固定部間の主走査方向の間隔は、等間隔に限らず、例えば原稿照明装置50の主走査方向の長さや各構成部材の材質等に応じて、主走査方向の中心に向かうに従い間隔を狭めてもよいし、これとは逆に中心に向かうに従い間隔を広げるようにしてもよい。
【0085】
また、LED基板60には、図8における左右方向に直線状にLED61が配列されるものに限らず、図8における上下方向に交互または所定個数ごとにずれて配列されるものでもよく、さらに複数列配列されるものでもよい。さらに、LED61は、トップビュータイプの発光ダイオードに限らず、サイドビュータイプ(側面に照射面を備えるもの)でも構わない。その場合、導光部材70の入射面71aをサイドビュータイプの発光面と対向する形状に変更するとともに導光部材70の出射面71bの向きを適宜変更すれば本発明の構成を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 複写機(画像形成装置)
4 画像読取部(画像読取装置)
5 画像形成部(画像形成手段)
28 撮像部(読取手段)
50 原稿照明装置(原稿照明手段)
60 LED基板(光源基板)
61 LED(点光源)
70 導光部材
71 導光体
71c 支持部形成領域
71d 光透過領域
71e 内部反射領域
72 導光体支持片
72b 支持部
100 入射光
E 照射領域
L 出射方向
W 幅
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開2008−35036号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の点光源が第1の方向に配列された光源基板に支持され、前記点光源から出射された光を原稿の照射領域に導く導光部材であって、
前記点光源から出射された光の出射方向の前方に配置された導光体と、
前記導光体と一体形成され、前記導光体を前記光源基板に支持するよう前記第1の方向に沿って所定間隔で複数設けられた支持部と、を備え、
前記導光体には、前記支持部が形成された支持部形成領域と、前記点光源から前記導光体の内部に入射した光の一部を外部に透過させるよう前記支持部形成領域と前記第1の方向に隣接して設けられた光透過領域とが形成され、
前記支持部形成領域と前記光透過領域とは、前記第1の方向と直交する第2の方向の幅が同一であることを特徴とする導光部材。
【請求項2】
前記第2の方向は、前記出射方向を前記光透過領域に投影した際の前記導光体の表面に沿う方向であることを特徴とする請求項1に記載の導光部材。
【請求項3】
前記光透過領域は、表面粗し処理により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の導光部材。
【請求項4】
前記光透過領域は、前記導光体の内面よりも反射率の低い色で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の導光部材。
【請求項5】
前記光源基板と、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の導光部材と、を備えた原稿照明装置。
【請求項6】
原稿の照射領域に光を照射する原稿照明手段と、
前記原稿の照射領域で反射された反射光を受光して原稿の画像情報を読み取る読取手段と、を備え、
前記原稿照明手段として、請求項5に記載の原稿照明装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置により読み取られた画像をシートに形成する画像形成手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
複数の点光源が第1の方向に配列された光源基板に支持され、前記点光源から出射された光を原稿の照射領域に導く導光部材であって、
前記点光源から出射された光の出射方向の前方に配置された導光体と、
前記導光体と一体形成され、前記導光体を前記光源基板に支持するよう前記第1の方向に沿って所定間隔で複数設けられた支持部と、を備え、
前記導光体には、前記支持部が形成された支持部形成領域と、前記点光源から前記導光体の内部に入射した光の一部を外部に透過させるよう前記支持部形成領域と前記第1の方向に隣接して設けられた光透過領域とが形成され、
前記支持部形成領域と前記光透過領域とは、前記第1の方向と直交する第2の方向の幅が同一であることを特徴とする導光部材。
【請求項2】
前記第2の方向は、前記出射方向を前記光透過領域に投影した際の前記導光体の表面に沿う方向であることを特徴とする請求項1に記載の導光部材。
【請求項3】
前記光透過領域は、表面粗し処理により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の導光部材。
【請求項4】
前記光透過領域は、前記導光体の内面よりも反射率の低い色で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の導光部材。
【請求項5】
前記光源基板と、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の導光部材と、を備えた原稿照明装置。
【請求項6】
原稿の照射領域に光を照射する原稿照明手段と、
前記原稿の照射領域で反射された反射光を受光して原稿の画像情報を読み取る読取手段と、を備え、
前記原稿照明手段として、請求項5に記載の原稿照明装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置により読み取られた画像をシートに形成する画像形成手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−249092(P2012−249092A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119418(P2011−119418)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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