説明

導波管、特に誘電体壁加速器における導波管

本発明は、導波管、特に誘電体壁加速器における導波管、並びに導波管を製造する方法に関する。本発明によれば平面的に接触接続された電子デバイス(50)が、導波管に、特に誘電体壁加速器の加速器セル(10)の導波管に組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波管、特に誘電体壁加速器における導波管、並びに導波管を製造する方法に関する。
【0002】
特に誘電体壁加速器における新式の導波管は、もはや平面的に形成されるのではなく、1つの平面から曲げられて複雑に成形された表面を有している。このような導波管のために特に誘電体を準備するには、新たな製造方法及び材料が必要である。特に、例えば半ブリッジ回路又はマルチチップ回路のような電子デバイスを、導波管構造体もしくは導波管に組み込むことが望まれている。
【0003】
US5821705には、高電圧の高速立上がり式のタイムスイッチを備えた汎用の誘電体壁加速器の構造が開示されており、この場合スイッチは1対の電極を有していて、両電極の間には、絶縁された導電体層と絶縁体層とが交互に積み重ねられている。
【0004】
本発明の課題は、誘電体層を備えた導波管構造体、特に1つの平面から成形された複雑な金属製の導波管構造体において、絶縁強度を改善又は安定化させること、及び絶縁減少効果を排除することである。小さな誘電率において100kV/mmまでの電気絶縁の提供が望まれている。また、導波管構造体内への多数の電子素子の組込みが望まれている。特に、誘電体壁加速器(dielectric wall accelerator)の加速器セルを制御するための多数の電子素子を、加速器セルに組み込むことが望まれている。電子素子のためのコンパクトかつ安価な構造技術及び接続技術を提供することが望まれている。さらに、導波管構造体への多数の電子素子の最小の寄生効果及び効果的な高周波接続を提供することが望まれている。
【0005】
上記課題は、請求項1記載の方法並びに請求項15記載の装置によって解決された。
【0006】
上記課題を解決するために第1の発明によれば、誘電体又は真空を第1の導電構造体と第2の導電構造体との間に有する導波管を製造する方法であって、導波管は多数の電子素子を備え、該電子素子には接触接続される複数の上側及び下側のコンタクト面が設けられている、導波管を製造する方法において、下記のステップ:すなわち、
−基板への電子素子の固定、下側のコンタクト面の、該コンタクト面の下に位置していて基板上に位置する導電体への接触接続、導電体から基板を貫いて延びる電気的な貫通接触接続部の形成、
−電気絶縁性のプラスチック材料から成るフォイルの、基板及び該基板の上に配置された電子素子の表面への真空下におけるラミネート加工、その結果フォイルは、基板及び電子素子の表面を、各電子素子及び各上側のコンタクト面を含めて密に接触した状態で被覆し、かつこれらの表面に各電子素子を含めて固着し、
−フォイルにおいてそれぞれ窓を開けることによる、電子素子の表面における接触接続すべき各上側のコンタクト面の露出、
−露出された各上側のコンタクト面と導電性材料から成る第1の層とのそれぞれの面状の接触接続、
−第1の導電構造体への、電子素子を有する基板の固定、導電性材料から成る第1の層と貫通接続部とを用いた上側のコンタクト面の電気的な接触接続、及び貫通接触接続部を用いた第1の導電構造体への下側のコンタクト面の貫通接触接続、
−フォイル、導電性材料から成る第1の層、及び第1の導電構造体の表面への電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層の設置、この際に第2の層に開口が形成され、
−第2の層への第2の導電構造体の固定、この際に第2の層は誘電体を完全に第1の導電構造体と第2の導電構造体との間に形成するか又は、第1の導電構造体と第2の導電構造体との間に真空が生ぜしめられる場合には、第2の層は単に電子素子の領域において第1の導電構造体と第2の導電構造体との間に形成されていて、この際に第2の層における開口によって上側及び下側のコンタクト面は別の貫通接触接続部を用いて、第2の導電構造体に電気的に接触接続される
というステップを有している。
【0007】
上記課題を解決するために第2の発明によれば、誘電体又は真空を第1の導電構造体と第2の導電構造体との間に有する導波管を備えた装置であって、導波管は多数の電子素子を備え、該電子素子には接触接続される複数の上側及び下側のコンタクト面が設けられている形式の装置において、
−電子素子は基板に固定され、下側のコンタクト面を、該コンタクト面の下に位置していて基板上に位置する導電体に電気的に接触接続させていて、該導電体から基板を貫通して、電気的な貫通接続部が形成されており、
−電気絶縁性のプラスチック材料から成るフォイルが、基板及び該基板の上に配置された電子素子の表面に真空下でラミネート加工されていて、その結果フォイルは、基板及び電子素子の表面を、各電子素子及び各上側のコンタクト面を含めて密に接触した状態で被覆し、かつこれらの表面に各電子素子を含めて固着しており、
−電子素子の表面における接触接続すべき各上側のコンタクト面は、フォイルにおいてそれぞれ窓を開けることによって、露出されており、
−露出された各上側のコンタクト面と導電性材料から成る第1の層とが、それぞれ面で接触接続されており、
−電子素子を有する基板は第1の導電構造体に固定されていて、上側のコンタクト面は、導電性材料から成る第1の層と貫通接続部とを用いて電気的に接触接続され、かつ下側のコンタクト面は貫通接触接続部を用いて第1の導電構造体に電気的に接触接続されており、
−電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層が、フォイル、導電性材料から成る第1の層、及び第1の導電構造体の表面に設置されており、
−第2の導電構造体は第2の層に固定されていて、第2の層は誘電体を完全に第1の導電構造体と第2の導電構造体との間において形成しているか又は、第1の導電構造体と第2の導電構造体との間に真空が生ぜしめられる場合には、第2の層は単に電子素子の領域において第1の導電構造体と第2の導電構造体との間に形成されていて、第2の層は開口を有していて、該開口によって上側及び下側のコンタクト面は別の貫通接触接続部を用いて、第2の導電構造体に電気的に接触接続されている。
【0008】
このようにして特に、真空ラミネート加工、モールド、誘電体層と導波管構造体との接続もしくは誘電体層及び導波管構造体の被覆及び、ここでは平面的に接触接続される出力モジュールであってよい電子素子の組込みもしくはインテグレーションといった重要なステップを有する、複数のデバイスを製造するための方法が提供される。1つの導波管への平面的に接触接続されるデバイスのシステムインテグレーションが行われる。導波管内への電子素子のインテグレーションによって、導波管への距離は最小になる。その結果、パラサイト効果は最小になり、かつ効果的な高周波接続が得られる。
【0009】
本発明の別の有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0010】
有利な態様によれば、導波管は、誘電体壁加速器の加速器セルの構成部分であり、導電構造体は1つの平面から成形された面を有しており、上側の導電構造体と真ん中の導電構造体との間に及び該真ん中の導電構造体と下側の導電構造体との間にそれぞれ、誘電体又は真空が配置されている。請求項1記載の方法によって製造された導波管は、これによって誘電体壁加速器の加速器セルに組み込むことができる。これによって導波管の積層体が製造可能である。そして多層の構造体を得ることができ、この場合種々様々な誘電体層又は真空層を使用することができる。
【0011】
別の有利な態様によれば、下側の導電構造体及び上側の導電構造体はアース接続されている。
【0012】
別の有利な態様によれば、電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層は、ポリマフィルムである。高周波に適した部材として、高絶縁性の高温に適したポリマフィルムが準備されていると、誘電体は特に有利である。
【0013】
別の有利な態様によれば、電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層は、電子素子の付近の領域において、電気絶縁性のベース材料から成る複数の層から形成することができる。第2の層の層状構造によって、適宜な厚さを得ることができる。適宜な厚さは、重ねられた複数の層を使用することによって得られる。このようにして、例えば誘電体における欠陥もしくは空隙に基づく絶縁低減効果が排除される。多層の誘電体層構造が絶縁強度に関する冗長性を生ぜしめる。
【0014】
別の有利な態様によれば、電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層は、真空ラミネート加工を用いて1つの平面から曲げられて形成される。適宜な誘電体層を用いたオートクレーブにおける真空ラミネートプロセスが、導波管構造体の幾何学的に複雑な三次元形状を可能にする。絶縁強度を改善及び安定化させるためのエアロックは回避され、特に有利である。真空ラミネート法は複雑な形状付与、ひいては大型の成形品のために適している。
【0015】
別の有利な態様によれば、電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層を貫く開口を通して、及び/又は導電構造体を貫く開口を通して、電子素子を起点として、少なくとも1つの電気的な外部コンタクト接続部が生ぜしめられている。このようになっていると、電子素子は導波管構造体に通じる接続エレメントを有することができる。導波管構造体は直接的な外部接続部によって、極めて低い誘導性をもって電子素子と接続することができる。
【0016】
別の有利な態様によれば、1つの外部コンタクト接続部は1つの導電構造体に通じる接触接続部である。
【0017】
別の有利な態様によれば、1つの外部コンタクト接続部はばねコンタクトを用いて形成されている。
【0018】
別の有利な態様によれば、1つの外部コンタクト接続部はレーザ溶接されたコンタクトを用いて生ぜしめられている。導波管構造体は、直接的な外部接続部、特にレーザ溶接されたコンタクトによって、極めて低い誘導性をもって電子素子と接続することができる。このことは例えば銅のリードフレームを用いて行うことができる。外部コンタクトは例えばレーザ溶接された銅のリードフレームを用いて、直接導波管に対して用意することができる。
【0019】
別の有利な態様によれば、電子素子を有する基板は、該電子素子とは反対の側で、接着フォイルを用いて第1の導電構造体に固定されている。
【0020】
別の有利な態様によれば、電子素子は出力モジュールである。このようになっていると、例えば半ブリッジ回路又はマルチチップ回路のような電子デバイスを、導波管に組み込むことができる。
【0021】
別の有利な態様によれば、誘電体又は電気絶縁性の材料から成る第2の層の材料が機械的に弾性である。フレキシブルな材料は、例えば導波管の熱膨張、誘導変形又は静電変形に起因する機械的な応力を吸収することができる。
【0022】
別の有利な態様によれば、電気的特性を改善するために、導波管は機能めっきによって被覆されている。これは多層構造とも組合せ可能である。導電構造体の材料が銅めっきされた鋼であると、特に有利である。
【0023】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】汎用の誘電体壁加速器の多段のシステムを示す図である。
【図2】汎用の誘電体壁加速器の1つの加速器セルを示す図である。
【図3】導波管構造体におけるスイッチの汎用の接続形式を備えた、汎用の加速器セルの左半部を示す断面図である。
【図4】本発明による装置の第1実施形態を示す図である。
【図5】本発明による装置の第2実施形態を示す図である。
【図6】本発明による装置の第3実施形態を示す図である。
【図7】導波管構造体の汎用の別の構成を示す図である。
【図8】本発明による方法の1実施形態を示すチャート図である。
【0025】
図1には、真空室において使用するための汎用の誘電体壁加速器(dielektrischer Wandbeschleuniger)の線形加速器(Linearbeschleuniger)の多段のシステム40が示されている。ここでは5つの加速器セル10が示されており、これらすべての加速器セル10は、誘電スリーブ28を有する1つの共通の積層体を分け合っている。各加速器セル10は導電構造体14,16,18を有している。積層された誘電体20が導電構造体14,16を切り離している。積層された別の誘電体22は導電構造体14,18を切り離している。真ん中の導電構造体14が高電圧源によって印加されることを可能にするために、スイッチ12が接続されている。個々の加速器セル10の制御によって、軸方向通路内において粒子線eが加速される。
【0026】
図2には、一対の上側の導電構造体16と下側の導電構造体18及び真ん中の導電構造体14を備えた、1つの汎用の加速器セル10が示されている。積層された誘電体20が導電構造体14,16の間において生ぜしめられている。さらに、別の積層された誘電体22が導電構造体14,18の間において生ぜしめられている。符号28は誘電スリーブを示している。この誘電スリーブ28の内部には通路が準備されており、この通路内において粒子線eが加速される。この1つの加速器セル10はスイッチ12を用いて制御される。
【0027】
図3には、汎用の加速器セル10の左半部が横断面図で示されている。エレメントは、先行する図面のエレメントに相当している。図3には、導電構造体14,16,18へのスイッチ12の汎用の接続部が示されている。ここでは溶接結合部30、ねじ結合部32及びろう接結合部34が示されている。このようにしてスイッチ12は導電構造体14,16,18と電気的に接触接続されている。
【0028】
図4には本発明による装置が示されている。図4に示された配置形態は、誘電体壁加速器の加速器セル10であってよい。図4に示された装置は、第1の導電構造体14と第2の導電構造体16との間における誘電体20を示している。この誘電体20及び導電構造体14,16は導波管を生ぜしめる。誘電体20の代わりに真空が生ぜしめられていてもよい。上側の導波管には図4に示すように、多数の電子素子50が組み込まれている。これらの電子素子50には、接触接続される上側及び下側の複数のコンタクト面52が設けられている。電子素子50は基板54に固定されていてよい。電気絶縁性のプラスチック材料から成るフォイル56が、基板54の表面とその上に配置された電子素子50の表面とに、真空下でラミネートされ、その結果フォイル56は、各電子素子50及び各上側のコンタクト面52を含めて密な接触状態で被覆し、これらの表面に各電子素子50を含めて固着する。電子素子50の表面における接触接続される各上側のコンタクト面52は、フォイル56におけるそれぞれの窓の開放によって露出させられている。露出させられた各上側のコンタクト面52はそれぞれ、導電性材料から成る第1の層58と面で接触接続されている。上に電子素子50が固定されている基板54は、電子素子50とは反対の側において第1の導電構造体14に固定されている。この場合、基板54に固定された電子素子50は導波管の端部において導波管に、加速通路が反対側の位置に配置され得るように、組み込まれている。すなわち電子素子50は加速器セル10の導波管の半径方向外側の端部において、導波管に組み込まれている。このようにして導波管構造体の開放した端面は高絶縁作用をもって被覆される。電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層60は、フォイル56の表面と導電性材料から成る第1の層58と第1の導電構造体14とに被着されている。第2の導電構造体16は第2の層60に固定されており、この場合第2の層60は誘電体20を第1の導電構造体14と第2の導電構造体16との間に形成する。図示の実施形態によれば上に述べた導波管は、誘電体壁加速器の加速器セル10の構成部分であってよく、この構成部分では導電構造体14,16,18は1つの平面から曲げられた面を有している。上側の導電構造体16と真ん中の導電構造体14との間及び真ん中の導電構造体14と下側の導電構造体18との間にはそれぞれ、誘電体20,22又は真空が配置されている。誘電体壁加速器の作用形式については、US5821705に記載されており、この米国特許明細書における記載内容はすべて、本件出願に開示されたものと見なされる。
【0029】
図5には、誘導体壁加速器の導波管及び加速器セル10の別の実施形態が示されている。この実施形態では電子素子は、加速器セル10の左側において、図4に示した実施形態におけると同じ特徴を有している。両実施形態の間におけるただ1つの相違は、電子素子50が下側の導波管に組み込まれていることにある。図4に加えて図5では、電子素子50を起点として、電気的な外部コンタクト接続部62が設けられており、これらの外部コンタクト接続部62は電子素子50から、電気絶縁性のプラスチック材料からから成る第2の層60と導電構造体18とを貫いて延びている。電気的な外部コンタクト接続部は符号62で示されている。図5によれば、導電構造体14に通じる外部コンタクト接続部62はばねコンタクト64を用いて生ぜしめられている。
【0030】
図6には、本発明による装置の別の実施形態が示されている。図4とは異なり、電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層60は、電子素子50の付近の領域において、電気絶縁性のプラスチック材料から成る複数の層60a,60b,60cから形成されている。このようにして第1の導電構造体14と第2の導電構造体16との間における中間室が有利に満たされる。電子素子50の付近における中間室は付加的な層60b,60cによって満たされる。電子素子50と第2の導電構造体16との間における中間室を満たすためには、単に層60aしか必要ない。これによって導電構造体14,16の間における間隔は均一に準備されている。
【0031】
図7には、導電構造体14,16,18の堅固な円板の代わりに使用するためのコンパクトな形式が示されており、この場合には単数又は複数の螺旋導電体が準備され、このもしくはこれらの螺旋導電体は導電体リングの間において内径部と外径部とに接続されている。符号16は上側の導電構造体を示し、符号20は誘電体を示している。符号28は誘電スリーブを示している。図7は加速器セル10を上から見た平面図である。
【0032】
図8には、第1の導電構造体14と第2の導電構造体16との間に誘電体20又は真空を有する導波管を製造する本発明による方法のステップを示すものであって、導波管は多数の電子素子50を備えており、これらの電子素子50には、接触接続される各1つの又は複数の上側及び下側のコンタクト面52が設けられている。この方法は下記のステップS1〜S7を有している。すなわち、ステップS1:基板54への電子素子50の固定、下側のコンタクト面52の、該コンタクト面52の下に位置していて基板54上に位置する導電体への接触接続、導電体から基板54を貫いて延びる電気的な貫通接触接続部の形成。ステップS2:電気絶縁性のプラスチック材料から成るフォイル56の、基板54及び該基板54の上に配置された電子素子50の表面への真空下におけるラミネート加工、その結果フォイル56は、各電子素子50及び各上側のコンタクト面52を含めて表面を密に接触した状態で被覆し、かつ各電子素子50を含めてこれらの表面に固着する。ステップS3:フォイル56においてそれぞれ窓を開けることによる、電子素子50の表面における接触接続すべき各上側のコンタクト面52の露出。ステップS4:露出された各上側のコンタクト面52と導電性材料から成る第1の層58とのそれぞれの面状の接触接続。ステップS5:第1の導電構造体14への、電子素子50を有する基板54の固定、導電性材料から成る第1の層58と貫通接続部とを用いた上側のコンタクト面52の電気的な接触接続、及び貫通接触接続部を用いた第1の導電構造体14への下側のコンタクト面52の貫通接触接続。ステップS6:フォイル56、導電性材料から成る第1の層58、及び第1の導電構造体14の表面への電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層60の設置、この際に第2の層60に開口が形成される。ステップS7:第2の層60への第2の導電構造体16の固定、この際に第2の層60は誘電体20を完全に第1の導電構造体14と第2の導電構造体16との間に形成するか又は、第1の導電構造体14と第2の導電構造体16との間に真空が生ぜしめられる場合には、第2の層60は任意の誘電体として電子素子50の領域において第1の導電構造体14と第2の導電構造体16との間に形成されていて、この際に第2の層60における開口によって上側及び下側のコンタクト面52は別の貫通接触接続部を用いて、第2の導電構造体16に電気的に接触接続される。この場合上側のコンタクト面52は導電性材料から成る第1の層58と別の貫通接触接続部とを用いて第2の導電構造体16に電気的に接触接続することができる。下側のコンタクト面52は、導電体を用いて基板54に、かつ別の貫通接触接続部は、電気絶縁性のプラスチック材料から成るフォイル56と電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層60とを貫いて第2の導電構造体16に電気的に接続することができる。もちろん、各コンタクト面52には必要とあれば固有の貫通接触接続部が配属されていてよい。
【符号の説明】
【0033】
10 加速器セル、 12 スイッチ、 14,16,18 導電構造体、 20,22 誘電体、 28 誘電スリーブ、 30 溶接結合部、 32 ねじ結合部、 34 ろう接結合部、 40 システム、 50 電子素子、 52 コンタクト面、 54 基板、 56 フォイル、 58 第1の層、 60 第2の層、 62 外部コンタクト接続部、 64 ばねコンタクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体(20)又は真空を第1の導電構造体(14)と第2の導電構造体(16)との間に有する導波管を製造する方法であって、導波管は多数の電子素子(50)を備え、該電子素子(50)には接触接続される複数の上側及び下側のコンタクト面(52)が設けられている、導波管を製造する方法において、下記のステップ:すなわち、
−基板(54)への電子素子(50)の固定、下側のコンタクト面(52)の、該コンタクト面(52)の下に位置していて基板(54)上に位置する導電体への接触接続、導電体から基板(54)を貫いて延びる電気的な貫通接触接続部の形成、
−電気絶縁性のプラスチック材料から成るフォイル(56)の、基板(54)及び該基板(54)の上に配置された電子素子(50)の表面への真空下におけるラミネート加工、その結果フォイル(56)は、基板(54)及び電子素子(50)の表面を、各電子素子(50)及び各上側のコンタクト面(52)を含めて密に接触した状態で被覆し、かつこれらの表面に各電子素子(50)を含めて固着し、
−フォイル(56)においてそれぞれ窓を開けることによる、電子素子(50)の表面における接触接続すべき各上側のコンタクト面(52)の露出、
−露出された各上側のコンタクト面(52)と導電性材料から成る第1の層(58)とのそれぞれの面状の接触接続、
−第1の導電構造体(14)への、電子素子(50)を有する基板(54)の固定、導電性材料から成る第1の層(58)と貫通接続部とを用いた上側のコンタクト面(52)の電気的な接触接続、及び貫通接触接続部を用いた第1の導電構造体(14)への下側のコンタクト面(52)の貫通接触接続、
−フォイル(56)、導電性材料から成る第1の層(58)、及び第1の導電構造体(14)の表面への電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層(60)の設置、この際に第2の層(60)に開口が形成され、
−第2の層(60)への第2の導電構造体(16)の固定、この際に第2の層(60)は誘電体(20)を完全に第1の導電構造体(14)と第2の導電構造体(16)との間に形成するか又は、第1の導電構造体(14)と第2の導電構造体(16)との間に真空が生ぜしめられる場合には、第2の層(60)は単に電子素子(50)の領域において第1の導電構造体(14)と第2の導電構造体(16)との間に形成されていて、この際に第2の層(60)における開口によって上側及び下側のコンタクト面(52)は別の貫通接触接続部を用いて、第2の導電構造体(16)に電気的に接触接続される
というステップを特徴とする、導波管を製造する方法。
【請求項2】
導波管は、誘電体壁加速器の加速器セル(10)の構成部分であり、導電構造体(14,16,18)は1つの平面から曲げられた面を有しており、上側の導電構造体(16)と真ん中の導電構造体(14)との間に及び該真ん中の導電構造体(14)と下側の導電構造体(18)との間にそれぞれ、誘電体(20)又は真空が生ぜしめられている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
下側の導電構造体(18)及び上側の導電構造体(16)はアース接続されている、請求項2記載の方法。
【請求項4】
電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層(60)としてポリマフィルムが使用される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層(60)は、電子素子(50)の付近の領域において、電気絶縁性のプラスチック材料から成る複数の層(60a,60b,60c)から形成される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層(60)は、真空ラミネート加工を用いて1つの平面から曲げられて形成される、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層(60)を貫く開口を通して、及び/又は導電構造体(14,18)を貫く開口を通して、電子素子(50)を起点として、少なくとも1つの電気的な外部コンタクト接続部(62)が生ぜしめられる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
1つの外部コンタクト接続部(62)は1つの導電構造体(14)に通じる接触接続部である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
1つの外部コンタクト接続部(62)はばねコンタクト(64)を用いて生ぜしめられる、請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
1つの外部コンタクト接続部(62)はレーザ溶接されたコンタクトを用いて生ぜしめられる、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
電子素子(50)を有する基板(54)は、接着フォイルを用いて第1の導電構造体(14)に固定されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
電子素子(50)は出力モジュールである、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
誘電体(20,22)及び/又は第2の層(60)の材料が機械的に弾性である、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
導電構造体(14,16,18)の材料が銅めっきされた鋼である、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
誘電体(20)又は真空を第1の導電構造体(14)と第2の導電構造体(16)との間に有する導波管を備えた装置であって、導波管は多数の電子素子(50)を備え、該電子素子(50)には接触接続される複数の上側及び下側のコンタクト面(52)が設けられている形式の装置において、
−電子素子(50)は基板(54)に固定され、下側のコンタクト面(52)を、該コンタクト面(52)の下に位置していて基板(54)上に位置する導電体に電気的に接触接続させていて、該導電体から基板(54)を貫通して、電気的な貫通接続部が形成されており、
−電気絶縁性のプラスチック材料から成るフォイル(56)が、基板(54)及び該基板(54)の上に配置された電子素子(50)の表面に真空下でラミネート加工されていて、その結果フォイル(56)は、基板(54)及び電子素子(50)の表面を、各電子素子(50)及び各上側のコンタクト面(52)を含めて密に接触した状態で被覆し、かつこれらの表面に各電子素子(50)を含めて固着しており、
−電子素子(50)の表面における接触接続すべき各上側のコンタクト面(52)は、フォイル(56)においてそれぞれ窓を開けることによって、露出されており、
−露出された各上側のコンタクト面(52)と導電性材料から成る第1の層(58)とが、それぞれ面で接触接続されており、
−電子素子(50)を有する基板(54)は第1の導電構造体(14)に固定されていて、上側のコンタクト面(52)は、導電性材料から成る第1の層(58)と貫通接続部とを用いて電気的に接触接続され、かつ下側のコンタクト面(52)は貫通接触接続部を用いて第1の導電構造体(14)に電気的に接触接続されており、
−電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層(60)が、フォイル(56)、導電性材料から成る第1の層(58)、及び第1の導電構造体(14)の表面に設置されており、
−第2の導電構造体(16)は第2の層(60)に固定されていて、第2の層(60)は誘電体(20)を完全に第1の導電構造体(14)と第2の導電構造体(16)との間において形成しているか又は、第1の導電構造体(14)と第2の導電構造体(16)との間に真空が生ぜしめられる場合には、第2の層(60)は単に電子素子(50)の領域において第1の導電構造体(14)と第2の導電構造体(16)との間に形成されていて、第2の層(60)は開口を有していて、該開口によって上側及び下側のコンタクト面(52)は別の貫通接触接続部を用いて、第2の導電構造体(16)に電気的に接触接続されている
ことを特徴とする装置。
【請求項16】
導波管は、誘電体壁加速器の加速器セル(10)の構成部分であり、導電構造体(14,16,18)は1つの平面から曲げられた面を有しており、上側の導電構造体(16)と真ん中の導電構造体(14)との間に及び該真ん中の導電構造体(14)と下側の導電構造体(18)との間にそれぞれ、誘電体(20)又は真空が生ぜしめられている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
下側の導電構造体(18)及び上側の導電構造体(16)はアース接続されている、請求項16記載の装置。
【請求項18】
電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層(60)はポリマフィルムである、請求項15から17までのいずれか1項記載の装置。
【請求項19】
電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層(60)は、電子素子(50)の付近の領域において、電気絶縁性のプラスチック材料から成る複数の層(60a,60b,60c)から形成されている、請求項15から18までのいずれか1項記載の装置。
【請求項20】
電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層(60)は、真空ラミネート加工を用いて1つの平面から曲げられて形成されている、請求項15から19までのいずれか1項記載の装置。
【請求項21】
電気絶縁性のプラスチック材料から成る第2の層(60)を貫く開口を通して、及び/又は導電構造体(14,18)を貫く開口を通して、電子素子(50)を起点として、少なくとも1つの電気的な外部コンタクト接続部(62)が生ぜしめられている、請求項15から20までのいずれか1項記載の装置。
【請求項22】
1つの外部コンタクト接続部(62)は1つの導電構造体(14)に通じる接触接続部である、請求項21記載の装置。
【請求項23】
1つの外部コンタクト接続部(62)はばねコンタクト(64)を用いて生ぜしめられる、請求項21又は22記載の装置。
【請求項24】
1つの外部コンタクト接続部(62)はレーザ溶接されたコンタクトを用いて生ぜしめられる、請求項21から23までのいずれか1項記載の装置。
【請求項25】
電子素子(50)を有する基板(54)は、接着フォイルを用いて第1の導電構造体(14)に固定されている、請求項15から24までのいずれか1項記載の装置。
【請求項26】
電子素子(50)は出力モジュールである、請求項15から25までのいずれか1項記載の装置。
【請求項27】
誘電体(20,22)及び/又は第2の層(60)の材料が機械的に弾性である、請求項15から26までのいずれか1項記載の装置。
【請求項28】
導電構造体(14,16,18)の材料が銅めっきされた鋼である、請求項15から27までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−501328(P2013−501328A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523268(P2012−523268)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060226
【国際公開番号】WO2011/015438
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】