導線の接続方法
【課題】二つの導線の導電体を接続する接続方法に於いて、導線を良好に且つ強固に接続する方法を提供する。
【解決手段】積層された複数の導電性薄板12Aよりなる第一の導電体14Aを有する導線10Aと、積層された複数の導電性薄板12Bよりなる第二の導電体14Bを有する被接続部材10Bとを接続する導線の接続方法。導線は電線であり、被接続部材は端子部材であり、第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板の先端部を互いに離間させ、しかる後複数の導電性薄板を厚さ方向に交互に配列され且つ互いに当接するよう噛み合せ、導線及び被接続部材の延在方向や導電性薄板の重なり代を調整した後、導電性薄板の周りに電気絶縁性のテープ22を巻きつけて導電性薄板の先端部を互いに他に対し押圧することにより両面にて互いに当接する圧着状態に固定する。
【解決手段】積層された複数の導電性薄板12Aよりなる第一の導電体14Aを有する導線10Aと、積層された複数の導電性薄板12Bよりなる第二の導電体14Bを有する被接続部材10Bとを接続する導線の接続方法。導線は電線であり、被接続部材は端子部材であり、第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板の先端部を互いに離間させ、しかる後複数の導電性薄板を厚さ方向に交互に配列され且つ互いに当接するよう噛み合せ、導線及び被接続部材の延在方向や導電性薄板の重なり代を調整した後、導電性薄板の周りに電気絶縁性のテープ22を巻きつけて導電性薄板の先端部を互いに他に対し押圧することにより両面にて互いに当接する圧着状態に固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流を導く導線に係り、更に詳細には導線の接続方法に係る。
【背景技術】
【0002】
導線同士を接続したり導線と端子部材とを接続したりするための導線の接続方法は当技術分野に於いて従来より種々の方法が知られている。一般に導線の導電体は棒状又はより糸状であり、導線同士の接続に於いては、二つの導線の導電体を互いにねじり合わせたり、一方の導線の導電体の周りに他方の導線の導電体を巻き付けたりすることが行われている。また導線と端子部材との接続に於いては、例えば下記の特許文献1に記載されている如く導線の導電体を端子部材の導電体受け部に配置し、導電体受け部を塑性変形させたり、導電体を導電体受け部にハンダ付けしたりすることが行われている。
【特許文献1】特開平8−111247号公報
【発明の開示】
【0003】
従来の導線同士の接続方法に於いては、二つの導線の導電体の接触面積を大きくすることが困難であり、また二つの導線にそれらを引き離す応力が作用すると導電体の接続状態が悪化し易いという問題がある。また従来の導線と端子部材との接続方法に於いては、導電体受け部を塑性変形させるための特殊な工具を必要としたり、導線や端子部材等を廃棄する際にハンダの鉛が環境汚染を惹起すという問題がある。
【0004】
本発明は、従来の導線の接続方法に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、積層された複数の導電性薄板よりなる導電体を採用し、複数の導電性薄板同士が面接触するよう導線を接続することにより、特殊な工具を要することなく、またハンダの鉛による環境汚染を惹起すことなく、導線を良好に且つ強固に接続することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
【0005】
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち積層された複数の導電性薄板よりなる第一の導電体を有する導線と、積層された複数の導電性薄板よりなる第二の導電体を有する被接続部材とを接続する導線の接続方法にして、前記第一の導電体の複数の導電性薄板と前記第二の導電体の複数の導電性薄板とを厚さ方向に交互に配列するよう噛み合せ、前記噛み合された前記第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板を圧着状態に固定することを特徴とする導線の接続方法によって達成される。
【0006】
上記請求項1の構成によれば、第一の導電体の複数の導電性薄板と第二の導電体の複数の導電性薄板とが厚さ方向に交互に配列するよう噛み合され、噛み合された第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板が圧着状態に固定されるので、特殊な工具を要することなく、またハンダの鉛による環境汚染を惹起すことなく、第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板同士が交互に面接触するよう導線を良好に且つ強固に接続することができる。
【0007】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記導線は前記第一の導電体とこれを被包する電気絶縁材とを有する電線であり、前記被接続部材は前記第二の導電体とこれを被包する電気絶縁材とを有する電線であるよう構成される(請求項2の構成)。
【0008】
上記請求項2の構成によれば、導線は第一の導電体とこれを被包する電気絶縁材とを有する電線であり、被接続部材は第二の導電体とこれを被包する電気絶縁材とを有する電線であるので、第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板同士が交互に面接触するよう導線同士を良好に且つ強固に接続することができる。
【0009】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記導線は前記第一の導電体とこれを被包する電気絶縁材とを有する電線であり、前記被接続部材は前記第二の導電体とこれと導電接触する端子とを有する端子部材であるよう構成される(請求項3の構成)。
【0010】
上記請求項3の構成によれば、導線は第一の導電体とこれを被包する電気絶縁材とを有する電線であり、被接続部材は第二の導電体とこれと導電接触する端子とを有する端子部材であるので、第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板同士が交互に面接触するよう導線と端子部材とを良好に且つ強固に接続することができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
【0011】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の何れかの構成に於いて、複数の導電性薄板は互いに直接当接する状態にて積層されているよう構成される(好ましい態様1)。
【0012】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の何れか又は上記好ましい態様1の構成に於いて、複数の導電性薄板は互いに同一の断面形状及び断面寸法を有するよう構成される(好ましい態様2)。
【0013】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の何れか又は上記好ましい態様1又は2の構成に於いて、複数の導電性薄板の端部を互いに離間させ、しかる後第一の導電体の複数の導電性薄板と第二の導電体の複数の導電性薄板とを厚さ方向に交互に配列するよう噛み合せるよう構成される(好ましい態様3)。
【0014】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の何れか又は上記好ましい態様1乃至3の何れかの構成に於いて、第一の導電体の複数の導電性薄板と第二の導電体の複数の導電性薄板とを厚さ方向に交互に配列するよう噛み合せた後、第一の導電体の複数の導電性薄板と第二の導電体の複数の導電性薄板との重なり代を増大させるよう構成される(好ましい態様4)。
【0015】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2又は上記好ましい態様1乃至4の何れかの構成に於いて、噛み合された第一の導電体及び第二の導電体の複数の導電性薄板の周りににそれらを互いに押圧した状態にて電気絶縁材を装着するよう構成される(好ましい態様5)。
【0016】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3又は上記好ましい態様1乃至4の何れかの構成に於いて、端子部材は導電性の端子板と、複数の導電性薄板と、弾性及び電気絶縁性を備えたロックカバーとを有し、ロックカバーは複数の導電性薄板を端子板に対し押圧状態にて固定しているよう構成される(好ましい態様6)。
【0017】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様6の構成に於いて、ロックカバーは端子板及び複数の導電性薄板に対し相対的に移動可能であるよう構成される(好ましい態様7)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施例について詳細に説明する。
[第一の実施例]
【0019】
図1は本発明による導線の接続方法の第一の実施例に使用される導線を示す斜視図である。
【0020】
図1に於いて、符号10は導線を全体的に示しており、導線10は互いに直接当接するよう積層された複数の導電性薄板12よりなる導電体14を有している。導電性薄板12は金、銅、アルミニウム、又はこれらの合金の如き導電性に優れた金属の帯状の薄板であってよい。図示の実施例に於いては、各導電性薄板12は互いに同一の矩形の断面形状及び断面寸法を有している。
【0021】
導電性薄板12は断面矩形の筒状の強化層16により被包され、強化層16は断面矩形の筒状の被覆18により被包されている。強化層16はゴムや樹脂の如く電気絶縁性を有すると共に弾性に優れた材料にて形成され、複数の導電性薄板12に対しその周囲より適度の圧縮応力を付与して複数の導電性薄板12をあたかも一つの導電体の如く保持している。また被覆18は塩化ビニル等の樹脂の如く電気絶縁性を有すると共に変形能、対候性等に優れた材料にて形成され、導電性薄板12及び強化層16を保護している。
【0022】
次に図2乃至図9を参照して上述の如く構成された二つの導線10の接続方法について説明する。尚図2乃至図9に於いては、一方の導線はA付の符号にて示され、他方の導線はB付の符号にて示されている。
【0023】
まず図1に示されている如く、二つの導線10の端部の被覆18を切除すると共に、被覆18の端部よりある長さの強化層16が残存すると共に強化層16の残存長さよりも長く導電性薄板12が強化層16の端部より延在するよう強化層16を切除する(工程A1)。次いで図2に示されている如く、二つの導線10の導電性薄板12の先端部を導電性薄板12の積層方向にしごくことにより、導電性薄板12の先端部を互いに離間させる(工程A2)。
【0024】
次いで図3に示されている如く、導電性薄板12A及び12Bの盤面が互いに平行であり且つ二つの導線10A及び10Bが鋭角をなすよう二つの導線を位置決めし、その状態にて導電性薄板12A及び12Bの先端部を互いに薄板の板面に沿って押し付けることにより、導電性薄板12A及び12Bの先端部が厚さ方向に交互に配列されるよう導電性薄板12A及び12Bの先端部を噛み合わせる(工程A3)。
【0025】
次いで図4に示されている如く、導電性薄板12A及び12Bの先端部が交互に配列された状態を維持しつつ、二つの導線10A及び10Bがなす角度が大きくなって二つの導線の軸線20A及び20Bが互いに平行に延在するようになるまで、導電性薄板12A及び12Bの先端部の周りに薄板の板面に沿って二つの導線10A及び10Bの延在方向を変化させる(工程A4)。図5に示されている如く、この段階に於ける導電性薄板12A及び12Bの重なり代は小さい。
【0026】
次いで図6に示されている如く、互いに平行な軸線20A及び20Bに沿って二つの導線10A及び10Bを互いに近付く方向に押圧し、これにより図7に示されている如く、導電性薄板12A及び12Bの重なり代を大きくする(工程A5)。
【0027】
次いで図8に示されている如く、導電性薄板12A及び12Bの周りに電気絶縁性のテープ22を巻き付けて導電性薄板12A及び12Bに対しその周りより圧縮応力を付与し、これにより図9に示されている如く、導電性薄板12A及び12Bの接触面圧を増大させ導電性薄板12A及び12Bを圧着状態に固定し、二つの導線10A及び10Bの接続を完了する(工程A6)。
【0028】
尚図10に示されている如く、被覆18の長手方向にスリット24が形成された形態をなすカバー26が二つの導線10A及び10Bの接続部に装着されてもよい。またその場合カバー26の装着後に電気絶縁性のテープによってスリット24が塞がれてもよく、またカバー26の両端と二つの導線10A及び10Bと被覆18A及び18Bとの間の隙間が電気絶縁性のテープによって塞がれてもよい。
【0029】
かくして図示の第一の実施例によれば、二つの導線10A及び10Bの複数の導電性薄板12A及び12Bが交互に配列され且つ互いに密に当接する状態にて電気絶縁性のテープ22により一体的に保持されるので、特殊な工具を要することなく、またハンダの鉛による環境汚染を惹起すことなく、導線同士を良好に且つ強固に接続することができる。
【0030】
また図示の第一の実施例によれば、複数の導電性薄板12A及び12Bに巻き付けられているテープ22を部分的に又は完全に除去したり、刃物により軸線20A及び20Bに沿ってテープ22に切り込みを入れた後に、二つの導線10A及び10Bを互いに離れる方向へ引っ張るだけで、二つの導線の接続状態を容易に解除することができる。
[第二の実施例]
【0031】
図11は本発明による導線の接続方法の第二の実施例に使用される端子部材を示す斜視図である。
【0032】
図11に於いて、符号30は端子部材を全体的に示しており、端子部材30は銅板の如き導電性の端子板32と、互いに直接当接するよう積層された複数の導電性薄板34と、弾性及び電気絶縁性を有するゴムや樹脂よりなるロックカバー36とを有している。ロックカバー36は複数の導電性薄板34を互いに当接させると共に端子板32に対し押圧する状態にて複数の導電性薄板34を端子板32に固定し、また導電性薄板34及び端子板32に対しそれらの長手方向に相対変位可能である。
【0033】
次に図12乃至図15を参照して上述の如く構成された導線10及び端子部材30の接続方法について説明する。尚これらの図に於いて、図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0034】
まず上述の第一の実施例の工程A1の場合と同様、導線10の端部の被覆18を切除し、また被覆18の端部よりある長さの強化層16が残存すると共に強化層16の残存長さよりも長く導電性薄板12が強化層16の端部より延在するよう強化層16を切除する(工程B1)。
【0035】
次いで図には示されていないが、上述の第一の実施例の工程A2の場合と同様、導線10の導電性薄板12の先端部を導電性薄板12の積層方向にしごくことにより、導電性薄板12の先端部を互いに離間させ、また端子部材30の導電性薄板34の先端部を導電性薄板34の積層方向にしごくことにより、導電性薄板34の先端部を互いに離間させる(工程B2)。
【0036】
次いで図12に示されている如く、導電性薄板12及び34の板面が互いに平行であり且つ導線10及び端子部材30が鋭角をなすよう、導線10及び端子部材30を位置決めし、その状態にて導電性薄板12及び34の先端部を互いに薄板の板面に沿って押し付けることにより、導電性薄板12及び34の先端部が厚さ方向に交互に配列されるよう導電性薄板12及び34の先端部を噛み合わせる(工程B3)。
【0037】
次いで図13に示されている如く、導電性薄板12及び34の先端部が交互に配列された状態を維持しつつ、導線10及び端子部材30がなす角度が大きくなって導線10の軸線20及び端子部材30の軸線38が互いに平行に延在するようになるまで、導電性薄板12及び34の先端部の周りに薄板の板面に沿って導線10及び端子部材30の延在方向を変化させる(工程B4)。この段階に於ける導電性薄板12及び34の重なり代は小さい。
【0038】
次いで図14に示されている如く、互いに平行な軸線20及び38に沿って導線10及び端子部材30を互いに近付く方向に押圧し、これにより導電性薄板12及び34の重なり代を大きくする(工程B5)。
【0039】
次いで図15に示されている如く、ロックカバー36が導線10に近づくよう導電性薄板34及び端子板32に対し相対的にそれらの長手方向にロックカバー36を移動させ、また導電性薄板12及び34の周りに電気絶縁性のテープ22を巻き付け、これにより導電性薄板12及び34に対しその周りより圧縮応力を付与し、導電性薄板12及び34の接触面圧を増大させ導電性薄板12及び34を圧着状態に固定し、導線10及び端子部材30の接続を完了する(工程B6)。
【0040】
かくして図示の第二の実施例によれば、導線10及び端子部材30の複数の導電性薄板12及び34が厚さ方向に交互に配列され且つ互いに密に当接する状態にてロックカバー36及びテープ22により一体的に保持されるので、特殊な工具を要することなく、またハンダの鉛による環境汚染を惹起すことなく、導線及び端子部材を良好に且つ強固に接続することができる。
【0041】
また図示の二の実施例によれば、複数の導電性薄板12及び34を一体的に保持しているロックカバー36を導線10より離れる方向へ移動させた後に、導線10及び端子部材30を互いに離れる方向へ引っ張るだけで、導線及び端子部材の接続状態を容易に解除することができる。
【0042】
尚上述の第一及び第二の実施例によれば、導電性薄板12、34の先端部を導電性薄板の積層方向にしごくことにより、導電性薄板12、34の先端部が互いに離間せしめられるので、この工程が行われない場合に比して、導電性薄板12A及び12B又は導電性薄板12及び34の先端部が交互に配列されるよう二種類の導電性薄板の先端部を噛み合わせる工程(工程A3又はB3)を容易に行うことができる。
【0043】
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0044】
例えば上述の各実施例に於いては、各導電性薄板12、34は互いに同一の矩形の断面形状及び断面寸法を有し、それらの数は4枚であるが、導電性薄板12、34の断面形状、断面寸法、数は導線10や端子部材30の用途に応じて任意に設定されてよい。また導線10や端子部材30に於ける各導電性薄板12、34の断面形状や断面寸法が相互に異なっていてもよい。
【0045】
また上述の各実施例に於いては、互いに接続される導線又は端子部材の導電性薄板の断面形状及び断面寸法は相互に同一であるが、本発明に従って接続される導線又は端子部材の導電性薄板の断面形状や断面寸法は相互に異なっていてもよい。
【0046】
また上述の第一の実施例に於いては、導線同士が一直線状に接続されるようになっているが、二つの導線の軸線が交差するよう接続されてもよく、また一方の導線の途中に他方の導線の端部が接続されてもよい。
【0047】
また上述の各実施例に於いては、互いに接続される導線又は端子部材の導電性薄板の数は接続部に於いても低減されることはないが、接続される導線又は端子部材の少なくとも一方の導電性薄板の一部が切除され、これにより接続部の導電性薄板全体の厚さが低減されてもよい。
【0048】
また上述の第二の実施例に於いては、ロックカバー36が導電性薄板12、34の互いに重なりあった部分へ向けて移動され、また導電性薄板12、34の互いに重なりあった部分の周りにテープ22が巻き付けられるようになっているが、図16に示されている如く、ロックカバー36が導電性薄板12、34の互いに重なりあった部分まで移動されてもよく、またその場合にはテープ22の巻き付けが省略されてもよい。またこの場合にも導線10又は端子部材30の導電性薄板の一部が必要に応じて切除されてもよい。
【0049】
また上述の各実施例に於いては、導電性薄板12、34の先端はそれらの端面が薄板の延在方向に垂直になるよう切断されているが、導電性薄板12、34の先端はそれらの端面が薄板の板面に沿って見て傾斜して延在するよう、或いは薄板の板面に垂直な方向に見て傾斜して延在するよう、切断されてもよい。
【0050】
更に上述の各実施例に於いては、導電性薄板12、34の先端部を導電性薄板の積層方向にしごくことにより、導電性薄板12、34の先端部を互いに離間させるようになっているが、この工程は省略されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による導線の接続方法の第一の実施例に使用される導線を示す斜視図である。
【図2】第一の実施例に於いて導電性薄板の先端部が互いに離間された状態を示す斜視図である。
【図3】第一の実施例に於いて二つの導線の導電性薄板の先端部が噛み合わされた状態を示す斜視図である。
【図4】第一の実施例に於いて二つの導線が一直線に沿って延在するようになるまで二つの導線の延在方向が変化された状態を示す斜視図である。
【図5】図4の段階に於ける導電性薄板の重なり代を示す断面図である。
【図6】第一の実施例に於いて導電性薄板の重なり代が大きくされた状態を示す斜視図である。
【図7】図6の段階に於ける導電性薄板の重なり代を示す断面図である。
【図8】第一の実施例に於いて導電性薄板の周りに電気絶縁性のテープが巻き付けられて、二つの導線の導電性薄板が圧着状態に固定された状態を示す斜視図である。
【図9】図8の段階に於ける導電性薄板の重なり状態を示す断面図である。
【図10】第一の実施例に於いてカバーが二つの導線の接続部に装着された状態を示す斜視図である。
【図11】本発明による導線の接続方法の第二の実施例に使用される端子部材を示す斜視図である。
【図12】第二の実施例に於いて導線及び端子部材の導電性薄板の先端部が噛み合わされた状態を示す斜視図である。
【図13】第二の実施例に於いて導線及び端子部材が一直線に沿って延在するようになるまで導線及び端子部材の延在方向が変化された状態を示す斜視図である。
【図14】第二の実施例に於いて導電性薄板の重なり代が大きくされた状態を示す斜視図である。
【図15】第二の実施例に於いてロックカバーが導線に近づくよう導電性薄板及び端子板に対し相対的に移動された状態を示す斜視図である。
【図16】第二の実施例の修正例に於いてロックカバーが導線に近づくよう導電性薄板及び端子板に対し相対的に移動された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
10…導線、12…導電性薄板、14…導電体、16…強化層、18…被覆、22…テープ、30…端子部材、32…端子板、34…導電性薄板、36…ロックカバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流を導く導線に係り、更に詳細には導線の接続方法に係る。
【背景技術】
【0002】
導線同士を接続したり導線と端子部材とを接続したりするための導線の接続方法は当技術分野に於いて従来より種々の方法が知られている。一般に導線の導電体は棒状又はより糸状であり、導線同士の接続に於いては、二つの導線の導電体を互いにねじり合わせたり、一方の導線の導電体の周りに他方の導線の導電体を巻き付けたりすることが行われている。また導線と端子部材との接続に於いては、例えば下記の特許文献1に記載されている如く導線の導電体を端子部材の導電体受け部に配置し、導電体受け部を塑性変形させたり、導電体を導電体受け部にハンダ付けしたりすることが行われている。
【特許文献1】特開平8−111247号公報
【発明の開示】
【0003】
従来の導線同士の接続方法に於いては、二つの導線の導電体の接触面積を大きくすることが困難であり、また二つの導線にそれらを引き離す応力が作用すると導電体の接続状態が悪化し易いという問題がある。また従来の導線と端子部材との接続方法に於いては、導電体受け部を塑性変形させるための特殊な工具を必要としたり、導線や端子部材等を廃棄する際にハンダの鉛が環境汚染を惹起すという問題がある。
【0004】
本発明は、従来の導線の接続方法に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、積層された複数の導電性薄板よりなる導電体を採用し、複数の導電性薄板同士が面接触するよう導線を接続することにより、特殊な工具を要することなく、またハンダの鉛による環境汚染を惹起すことなく、導線を良好に且つ強固に接続することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
【0005】
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち積層された複数の導電性薄板よりなる第一の導電体を有する導線と、積層された複数の導電性薄板よりなる第二の導電体を有する被接続部材とを接続する導線の接続方法にして、前記第一の導電体の複数の導電性薄板と前記第二の導電体の複数の導電性薄板とを厚さ方向に交互に配列するよう噛み合せ、前記噛み合された前記第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板を圧着状態に固定することを特徴とする導線の接続方法によって達成される。
【0006】
上記請求項1の構成によれば、第一の導電体の複数の導電性薄板と第二の導電体の複数の導電性薄板とが厚さ方向に交互に配列するよう噛み合され、噛み合された第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板が圧着状態に固定されるので、特殊な工具を要することなく、またハンダの鉛による環境汚染を惹起すことなく、第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板同士が交互に面接触するよう導線を良好に且つ強固に接続することができる。
【0007】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記導線は前記第一の導電体とこれを被包する電気絶縁材とを有する電線であり、前記被接続部材は前記第二の導電体とこれを被包する電気絶縁材とを有する電線であるよう構成される(請求項2の構成)。
【0008】
上記請求項2の構成によれば、導線は第一の導電体とこれを被包する電気絶縁材とを有する電線であり、被接続部材は第二の導電体とこれを被包する電気絶縁材とを有する電線であるので、第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板同士が交互に面接触するよう導線同士を良好に且つ強固に接続することができる。
【0009】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記導線は前記第一の導電体とこれを被包する電気絶縁材とを有する電線であり、前記被接続部材は前記第二の導電体とこれと導電接触する端子とを有する端子部材であるよう構成される(請求項3の構成)。
【0010】
上記請求項3の構成によれば、導線は第一の導電体とこれを被包する電気絶縁材とを有する電線であり、被接続部材は第二の導電体とこれと導電接触する端子とを有する端子部材であるので、第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板同士が交互に面接触するよう導線と端子部材とを良好に且つ強固に接続することができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
【0011】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の何れかの構成に於いて、複数の導電性薄板は互いに直接当接する状態にて積層されているよう構成される(好ましい態様1)。
【0012】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の何れか又は上記好ましい態様1の構成に於いて、複数の導電性薄板は互いに同一の断面形状及び断面寸法を有するよう構成される(好ましい態様2)。
【0013】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の何れか又は上記好ましい態様1又は2の構成に於いて、複数の導電性薄板の端部を互いに離間させ、しかる後第一の導電体の複数の導電性薄板と第二の導電体の複数の導電性薄板とを厚さ方向に交互に配列するよう噛み合せるよう構成される(好ましい態様3)。
【0014】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の何れか又は上記好ましい態様1乃至3の何れかの構成に於いて、第一の導電体の複数の導電性薄板と第二の導電体の複数の導電性薄板とを厚さ方向に交互に配列するよう噛み合せた後、第一の導電体の複数の導電性薄板と第二の導電体の複数の導電性薄板との重なり代を増大させるよう構成される(好ましい態様4)。
【0015】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2又は上記好ましい態様1乃至4の何れかの構成に於いて、噛み合された第一の導電体及び第二の導電体の複数の導電性薄板の周りににそれらを互いに押圧した状態にて電気絶縁材を装着するよう構成される(好ましい態様5)。
【0016】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3又は上記好ましい態様1乃至4の何れかの構成に於いて、端子部材は導電性の端子板と、複数の導電性薄板と、弾性及び電気絶縁性を備えたロックカバーとを有し、ロックカバーは複数の導電性薄板を端子板に対し押圧状態にて固定しているよう構成される(好ましい態様6)。
【0017】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様6の構成に於いて、ロックカバーは端子板及び複数の導電性薄板に対し相対的に移動可能であるよう構成される(好ましい態様7)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施例について詳細に説明する。
[第一の実施例]
【0019】
図1は本発明による導線の接続方法の第一の実施例に使用される導線を示す斜視図である。
【0020】
図1に於いて、符号10は導線を全体的に示しており、導線10は互いに直接当接するよう積層された複数の導電性薄板12よりなる導電体14を有している。導電性薄板12は金、銅、アルミニウム、又はこれらの合金の如き導電性に優れた金属の帯状の薄板であってよい。図示の実施例に於いては、各導電性薄板12は互いに同一の矩形の断面形状及び断面寸法を有している。
【0021】
導電性薄板12は断面矩形の筒状の強化層16により被包され、強化層16は断面矩形の筒状の被覆18により被包されている。強化層16はゴムや樹脂の如く電気絶縁性を有すると共に弾性に優れた材料にて形成され、複数の導電性薄板12に対しその周囲より適度の圧縮応力を付与して複数の導電性薄板12をあたかも一つの導電体の如く保持している。また被覆18は塩化ビニル等の樹脂の如く電気絶縁性を有すると共に変形能、対候性等に優れた材料にて形成され、導電性薄板12及び強化層16を保護している。
【0022】
次に図2乃至図9を参照して上述の如く構成された二つの導線10の接続方法について説明する。尚図2乃至図9に於いては、一方の導線はA付の符号にて示され、他方の導線はB付の符号にて示されている。
【0023】
まず図1に示されている如く、二つの導線10の端部の被覆18を切除すると共に、被覆18の端部よりある長さの強化層16が残存すると共に強化層16の残存長さよりも長く導電性薄板12が強化層16の端部より延在するよう強化層16を切除する(工程A1)。次いで図2に示されている如く、二つの導線10の導電性薄板12の先端部を導電性薄板12の積層方向にしごくことにより、導電性薄板12の先端部を互いに離間させる(工程A2)。
【0024】
次いで図3に示されている如く、導電性薄板12A及び12Bの盤面が互いに平行であり且つ二つの導線10A及び10Bが鋭角をなすよう二つの導線を位置決めし、その状態にて導電性薄板12A及び12Bの先端部を互いに薄板の板面に沿って押し付けることにより、導電性薄板12A及び12Bの先端部が厚さ方向に交互に配列されるよう導電性薄板12A及び12Bの先端部を噛み合わせる(工程A3)。
【0025】
次いで図4に示されている如く、導電性薄板12A及び12Bの先端部が交互に配列された状態を維持しつつ、二つの導線10A及び10Bがなす角度が大きくなって二つの導線の軸線20A及び20Bが互いに平行に延在するようになるまで、導電性薄板12A及び12Bの先端部の周りに薄板の板面に沿って二つの導線10A及び10Bの延在方向を変化させる(工程A4)。図5に示されている如く、この段階に於ける導電性薄板12A及び12Bの重なり代は小さい。
【0026】
次いで図6に示されている如く、互いに平行な軸線20A及び20Bに沿って二つの導線10A及び10Bを互いに近付く方向に押圧し、これにより図7に示されている如く、導電性薄板12A及び12Bの重なり代を大きくする(工程A5)。
【0027】
次いで図8に示されている如く、導電性薄板12A及び12Bの周りに電気絶縁性のテープ22を巻き付けて導電性薄板12A及び12Bに対しその周りより圧縮応力を付与し、これにより図9に示されている如く、導電性薄板12A及び12Bの接触面圧を増大させ導電性薄板12A及び12Bを圧着状態に固定し、二つの導線10A及び10Bの接続を完了する(工程A6)。
【0028】
尚図10に示されている如く、被覆18の長手方向にスリット24が形成された形態をなすカバー26が二つの導線10A及び10Bの接続部に装着されてもよい。またその場合カバー26の装着後に電気絶縁性のテープによってスリット24が塞がれてもよく、またカバー26の両端と二つの導線10A及び10Bと被覆18A及び18Bとの間の隙間が電気絶縁性のテープによって塞がれてもよい。
【0029】
かくして図示の第一の実施例によれば、二つの導線10A及び10Bの複数の導電性薄板12A及び12Bが交互に配列され且つ互いに密に当接する状態にて電気絶縁性のテープ22により一体的に保持されるので、特殊な工具を要することなく、またハンダの鉛による環境汚染を惹起すことなく、導線同士を良好に且つ強固に接続することができる。
【0030】
また図示の第一の実施例によれば、複数の導電性薄板12A及び12Bに巻き付けられているテープ22を部分的に又は完全に除去したり、刃物により軸線20A及び20Bに沿ってテープ22に切り込みを入れた後に、二つの導線10A及び10Bを互いに離れる方向へ引っ張るだけで、二つの導線の接続状態を容易に解除することができる。
[第二の実施例]
【0031】
図11は本発明による導線の接続方法の第二の実施例に使用される端子部材を示す斜視図である。
【0032】
図11に於いて、符号30は端子部材を全体的に示しており、端子部材30は銅板の如き導電性の端子板32と、互いに直接当接するよう積層された複数の導電性薄板34と、弾性及び電気絶縁性を有するゴムや樹脂よりなるロックカバー36とを有している。ロックカバー36は複数の導電性薄板34を互いに当接させると共に端子板32に対し押圧する状態にて複数の導電性薄板34を端子板32に固定し、また導電性薄板34及び端子板32に対しそれらの長手方向に相対変位可能である。
【0033】
次に図12乃至図15を参照して上述の如く構成された導線10及び端子部材30の接続方法について説明する。尚これらの図に於いて、図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0034】
まず上述の第一の実施例の工程A1の場合と同様、導線10の端部の被覆18を切除し、また被覆18の端部よりある長さの強化層16が残存すると共に強化層16の残存長さよりも長く導電性薄板12が強化層16の端部より延在するよう強化層16を切除する(工程B1)。
【0035】
次いで図には示されていないが、上述の第一の実施例の工程A2の場合と同様、導線10の導電性薄板12の先端部を導電性薄板12の積層方向にしごくことにより、導電性薄板12の先端部を互いに離間させ、また端子部材30の導電性薄板34の先端部を導電性薄板34の積層方向にしごくことにより、導電性薄板34の先端部を互いに離間させる(工程B2)。
【0036】
次いで図12に示されている如く、導電性薄板12及び34の板面が互いに平行であり且つ導線10及び端子部材30が鋭角をなすよう、導線10及び端子部材30を位置決めし、その状態にて導電性薄板12及び34の先端部を互いに薄板の板面に沿って押し付けることにより、導電性薄板12及び34の先端部が厚さ方向に交互に配列されるよう導電性薄板12及び34の先端部を噛み合わせる(工程B3)。
【0037】
次いで図13に示されている如く、導電性薄板12及び34の先端部が交互に配列された状態を維持しつつ、導線10及び端子部材30がなす角度が大きくなって導線10の軸線20及び端子部材30の軸線38が互いに平行に延在するようになるまで、導電性薄板12及び34の先端部の周りに薄板の板面に沿って導線10及び端子部材30の延在方向を変化させる(工程B4)。この段階に於ける導電性薄板12及び34の重なり代は小さい。
【0038】
次いで図14に示されている如く、互いに平行な軸線20及び38に沿って導線10及び端子部材30を互いに近付く方向に押圧し、これにより導電性薄板12及び34の重なり代を大きくする(工程B5)。
【0039】
次いで図15に示されている如く、ロックカバー36が導線10に近づくよう導電性薄板34及び端子板32に対し相対的にそれらの長手方向にロックカバー36を移動させ、また導電性薄板12及び34の周りに電気絶縁性のテープ22を巻き付け、これにより導電性薄板12及び34に対しその周りより圧縮応力を付与し、導電性薄板12及び34の接触面圧を増大させ導電性薄板12及び34を圧着状態に固定し、導線10及び端子部材30の接続を完了する(工程B6)。
【0040】
かくして図示の第二の実施例によれば、導線10及び端子部材30の複数の導電性薄板12及び34が厚さ方向に交互に配列され且つ互いに密に当接する状態にてロックカバー36及びテープ22により一体的に保持されるので、特殊な工具を要することなく、またハンダの鉛による環境汚染を惹起すことなく、導線及び端子部材を良好に且つ強固に接続することができる。
【0041】
また図示の二の実施例によれば、複数の導電性薄板12及び34を一体的に保持しているロックカバー36を導線10より離れる方向へ移動させた後に、導線10及び端子部材30を互いに離れる方向へ引っ張るだけで、導線及び端子部材の接続状態を容易に解除することができる。
【0042】
尚上述の第一及び第二の実施例によれば、導電性薄板12、34の先端部を導電性薄板の積層方向にしごくことにより、導電性薄板12、34の先端部が互いに離間せしめられるので、この工程が行われない場合に比して、導電性薄板12A及び12B又は導電性薄板12及び34の先端部が交互に配列されるよう二種類の導電性薄板の先端部を噛み合わせる工程(工程A3又はB3)を容易に行うことができる。
【0043】
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0044】
例えば上述の各実施例に於いては、各導電性薄板12、34は互いに同一の矩形の断面形状及び断面寸法を有し、それらの数は4枚であるが、導電性薄板12、34の断面形状、断面寸法、数は導線10や端子部材30の用途に応じて任意に設定されてよい。また導線10や端子部材30に於ける各導電性薄板12、34の断面形状や断面寸法が相互に異なっていてもよい。
【0045】
また上述の各実施例に於いては、互いに接続される導線又は端子部材の導電性薄板の断面形状及び断面寸法は相互に同一であるが、本発明に従って接続される導線又は端子部材の導電性薄板の断面形状や断面寸法は相互に異なっていてもよい。
【0046】
また上述の第一の実施例に於いては、導線同士が一直線状に接続されるようになっているが、二つの導線の軸線が交差するよう接続されてもよく、また一方の導線の途中に他方の導線の端部が接続されてもよい。
【0047】
また上述の各実施例に於いては、互いに接続される導線又は端子部材の導電性薄板の数は接続部に於いても低減されることはないが、接続される導線又は端子部材の少なくとも一方の導電性薄板の一部が切除され、これにより接続部の導電性薄板全体の厚さが低減されてもよい。
【0048】
また上述の第二の実施例に於いては、ロックカバー36が導電性薄板12、34の互いに重なりあった部分へ向けて移動され、また導電性薄板12、34の互いに重なりあった部分の周りにテープ22が巻き付けられるようになっているが、図16に示されている如く、ロックカバー36が導電性薄板12、34の互いに重なりあった部分まで移動されてもよく、またその場合にはテープ22の巻き付けが省略されてもよい。またこの場合にも導線10又は端子部材30の導電性薄板の一部が必要に応じて切除されてもよい。
【0049】
また上述の各実施例に於いては、導電性薄板12、34の先端はそれらの端面が薄板の延在方向に垂直になるよう切断されているが、導電性薄板12、34の先端はそれらの端面が薄板の板面に沿って見て傾斜して延在するよう、或いは薄板の板面に垂直な方向に見て傾斜して延在するよう、切断されてもよい。
【0050】
更に上述の各実施例に於いては、導電性薄板12、34の先端部を導電性薄板の積層方向にしごくことにより、導電性薄板12、34の先端部を互いに離間させるようになっているが、この工程は省略されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による導線の接続方法の第一の実施例に使用される導線を示す斜視図である。
【図2】第一の実施例に於いて導電性薄板の先端部が互いに離間された状態を示す斜視図である。
【図3】第一の実施例に於いて二つの導線の導電性薄板の先端部が噛み合わされた状態を示す斜視図である。
【図4】第一の実施例に於いて二つの導線が一直線に沿って延在するようになるまで二つの導線の延在方向が変化された状態を示す斜視図である。
【図5】図4の段階に於ける導電性薄板の重なり代を示す断面図である。
【図6】第一の実施例に於いて導電性薄板の重なり代が大きくされた状態を示す斜視図である。
【図7】図6の段階に於ける導電性薄板の重なり代を示す断面図である。
【図8】第一の実施例に於いて導電性薄板の周りに電気絶縁性のテープが巻き付けられて、二つの導線の導電性薄板が圧着状態に固定された状態を示す斜視図である。
【図9】図8の段階に於ける導電性薄板の重なり状態を示す断面図である。
【図10】第一の実施例に於いてカバーが二つの導線の接続部に装着された状態を示す斜視図である。
【図11】本発明による導線の接続方法の第二の実施例に使用される端子部材を示す斜視図である。
【図12】第二の実施例に於いて導線及び端子部材の導電性薄板の先端部が噛み合わされた状態を示す斜視図である。
【図13】第二の実施例に於いて導線及び端子部材が一直線に沿って延在するようになるまで導線及び端子部材の延在方向が変化された状態を示す斜視図である。
【図14】第二の実施例に於いて導電性薄板の重なり代が大きくされた状態を示す斜視図である。
【図15】第二の実施例に於いてロックカバーが導線に近づくよう導電性薄板及び端子板に対し相対的に移動された状態を示す斜視図である。
【図16】第二の実施例の修正例に於いてロックカバーが導線に近づくよう導電性薄板及び端子板に対し相対的に移動された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
10…導線、12…導電性薄板、14…導電体、16…強化層、18…被覆、22…テープ、30…端子部材、32…端子板、34…導電性薄板、36…ロックカバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直接当接する状態にて積層された複数の導電性薄板よりなる第一の導電体を有する導線と、互いに直接当接する状態にて積層された複数の導電性薄板よりなる第二の導電体を有する被接続部材とを接続する導線の接続方法にして、前記導線は前記第一の導電体とこれを被包する電気絶縁材とを有する電線であり、前記被接続部材は前記第二の導電体とこれと導電接触する端子とを有する端子部材であり、前記第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板の先端部を互いに離間させ、しかる後前記第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板の先端部を厚さ方向に交互に配列され且つ互いに当接するよう噛み合せ、前記噛み合された前記第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板の先端部を互いに他に対し押圧することにより両面にて互いに当接する圧着状態に固定することを特徴とする導線の接続方法。
【請求項1】
互いに直接当接する状態にて積層された複数の導電性薄板よりなる第一の導電体を有する導線と、互いに直接当接する状態にて積層された複数の導電性薄板よりなる第二の導電体を有する被接続部材とを接続する導線の接続方法にして、前記導線は前記第一の導電体とこれを被包する電気絶縁材とを有する電線であり、前記被接続部材は前記第二の導電体とこれと導電接触する端子とを有する端子部材であり、前記第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板の先端部を互いに離間させ、しかる後前記第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板の先端部を厚さ方向に交互に配列され且つ互いに当接するよう噛み合せ、前記噛み合された前記第一及び第二の導電体の複数の導電性薄板の先端部を互いに他に対し押圧することにより両面にて互いに当接する圧着状態に固定することを特徴とする導線の接続方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−258574(P2011−258574A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184400(P2011−184400)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2007−138334(P2007−138334)の分割
【原出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2007−138334(P2007−138334)の分割
【原出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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