導電シート及びタッチパネル
【課題】金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができると共に視認性の向上を図ることができ、しかも、検出感度の向上を図ることができる導電シートを提供する。
【解決手段】第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bは共に複数の第1格子22aと、該第1格子22aよりもサイズが大きい複数の第2格子22bとが組み合わされて構成され、第1導電パターン18Aは、第2導電パターン18Bと対向する部分が複数の第2格子22bにて構成され、第2導電パターン18Bは、第1導電パターン18Aと対向する部分が複数の第2格子22bにて構成され、上面から見たとき、第1導電パターン18Aと第2導電パターン18Bとが対向する部分は、複数の第1格子22aが組み合わされた形態を有する。
【解決手段】第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bは共に複数の第1格子22aと、該第1格子22aよりもサイズが大きい複数の第2格子22bとが組み合わされて構成され、第1導電パターン18Aは、第2導電パターン18Bと対向する部分が複数の第2格子22bにて構成され、第2導電パターン18Bは、第1導電パターン18Aと対向する部分が複数の第2格子22bにて構成され、上面から見たとき、第1導電パターン18Aと第2導電パターン18Bとが対向する部分は、複数の第1格子22aが組み合わされた形態を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電シート及びタッチパネルに関し、例えば投影型静電容量方式のタッチパネルに用いて好適な導電シート及びタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
金属細線を用いた透明導電膜については、例えば、特許文献1及び2で開示されているように、研究が継続されている。
近時、タッチパネルが注目されている。タッチパネルは、PDA(携帯情報端末)や携帯電話等の小サイズへの適用が主となっているが、パソコン用ディスプレイ等への適用による大サイズ化が進むと考えられる。
このような将来の動向において、従来の電極は、ITO(酸化インジウムスズ)を用いていることから、抵抗が大きく、適用サイズが大きくなるにつれて、電極間の電流の伝達速度が遅くなり、応答速度(指先を接触してからその位置を検出するまでの時間)が遅くなるという問題がある。
そこで、金属製の細線(金属細線)にて構成した格子を多数並べて電極を構成することで表面抵抗を低下させることが考えられる。金属細線を電極に用いたタッチパネルとしては、例えば、特許文献3〜10が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0229028号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/001461号パンフレット
【特許文献3】特開平5−224818号公報
【特許文献4】米国特許第5113041号明細書
【特許文献5】国際公開第1995/27334号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/0239650号明細書
【特許文献7】米国特許第7202859号明細書
【特許文献8】国際公開第1997/18508号パンフレット
【特許文献9】特開2003−099185号公報
【特許文献10】国際公開第2005/121940号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献3〜10のように、タッチパネルの電極として、金属細線を用いる場合、金属細線が不透明な材料で作製されることから透明性や視認性が問題となる。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、タッチパネルにおいて、金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができると共に視認性の向上を図ることができ、しかも、検出感度の向上を図ることができる導電シート及びタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1] 第1の本発明に係る導電シートは、一方向に配列する複数の導電パターンを有し、前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、前記第2格子で構成された第2格子部が前記一方向に配列され、前記一方向と略直交する方向に配列され、且つ、所定間隔で設けられた、前記第1格子から構成される第1格子部は前記第2格子部と非接続状態で配置されていることを特徴とする。
これにより、導電パターンを、金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とを組み合わせて構成したので、金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができると共に視認性の向上を図ることができる。また、第2格子部を電極の接続部等とし、第1格子をダミーパターン等として用いることが可能となり、様々な用途の導電パターン(例えばタッチパネル用の導電シート等)として使用することができる。
[2] 第1の本発明において、前記第1格子部は、2以上の前記第1格子が前記一方向に配列された構成を有するようにしてもよい。
[3] 第1の本発明において、前記第1格子部は、前記第1格子の頂角を含むL字状のパターンであってもよい。
[4] 第1の本発明において、前記第1格子部は、前記第1格子の頂角を含む十字状のパターンであってもよい。
[5] 第2の本発明に係る導電シートは、一方向に配列する複数の導電パターンを有し、前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、前記第1格子で構成された第1格子部と前記第2格子で構成された第2格子部とが電気的に接続された状態で、交互に前記一方向と略直交する方向に配列され、前記第1格子部の前記一方向に沿った長さと前記第2格子部の前記一方向に沿った長さとが略同じであることを特徴とする。
これにより、導電パターンを、金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とを組み合わせて構成したので、金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができると共に視認性の向上を図ることができる。また、第1格子部を電極とし、第2格子部を接続部として構成することができ、しかも、前記第1格子部の前記一方向に沿った長さと前記第2格子部の前記一方向に沿った長さとを略同じにしたので、導電性が良好となり、検出感度の向上につながる。
[6] 第2の本発明において、前記第1格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL1、前記第2格子部の前記第1格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL2としたとき、L1<L2であってもよい。例えば相互容量方式を採用した場合に、第1格子部を受信電極とすることで、受信感度を高めることが可能となる。
[7] この場合、1.5×L1≦L2≦6×L1であることが好ましい。
[8] 第2の本発明において、前記第1格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL1、前記第2格子部の前記第1格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL2としたとき、L1>L2であってもよい。例えば相互容量方式を採用した場合に、第2格子部を駆動電極とすることで、検出感度を高めることが可能となる。
[9] この場合、1.5×L2≦L1≦6×L2であることが好ましい。
[10] 第3の本発明に係る導電シートは、対向して配置された第1導電部及び第2導電部を有し、前記第1導電部は、一方向に配列する複数の第1導電パターンを有し、前記第2導電部は、前記第1導電パターンの配列方向と直交する方向に配列する複数の第2導電パターンを有し、前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンは共に金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、前記第1導電パターンは、前記第2導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第2導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、前記第2導電パターンは、前記第1導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第1導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、上面から見たとき、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、複数の前記第1格子が組み合わされた形態を有することを特徴とする。
これにより、第1導電パターン及び第2導電パターンが共に複数の第1格子と複数の第2格子とが組み合わされて構成され、第1導電パターンのうち、第2導電パターンと対向する部分が複数の第2格子にて構成され、第2導電パターンと対向しない部分が複数の第1格子にて構成されており、また、第2導電パターンのうち、第1導電パターンと対向する部分が複数の第2格子にて構成され、第1導電パターンと対向しない部分が複数の第1格子にて構成されていることから、上面から見たとき、第1導電パターンと第2導電パターンとが対向する部分が、複数の第1格子が組み合わされた形態を有することとなり、全体として複数の第1格子が配列された状態となる。その結果、第1導電パターンと第2導電パターンとの境界をほとんど見分けることができなくなり、タッチパネルにおいて、金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、視認性の向上を図ることができる。
[11] 第3の本発明において、前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンは共に帯状に形成され、前記第2導電パターンの最大幅は、前記第1導電パターンの最大幅よりも大きいことを特徴とする。これにより、第2導電パターンの金属細線の占有面積を大きくことが可能となり、第2導電パターンの表面抵抗の低抵抗化、電磁波によるノイズの影響を抑制することが可能となる。
[12] この場合、前記第1導電パターンの最大幅をWa、前記第2導電パターンの最大幅をWbとしたとき、前記最大幅Wa及びWbの比(Wb/Wa)は、1<Wb/Wa≦10であることが好ましい。
[13] さらに好ましくは、2≦Wb/Wa≦8である。
[14] 特に好ましくは、3≦Wb/Wa≦5である。
[15] 第3の本発明において、前記第2導電パターンにおける前記金属細線の占有面積が前記第1導電パターンにおける前記金属細線の占有面積よりも大きいことを特徴とする。これにより、第2導電パターンの表面抵抗の低抵抗化、電磁波によるノイズの影響を抑制することが可能となる。
[16] この場合、前記第1導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA1、前記第2導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA2としたとき、1<A2/A1≦20であることが好ましい。
[17] さらに好ましくは、1<A2/A1≦10である。
[18] 特に好ましくは、2≦A2/A1≦10である。
[19] 第3の本発明において、前記第1導電パターンのうち、複数の前記第1格子にて構成された部分が第1電極を構成し、前記第2導電パターンのうち、複数の前記第1格子にて構成された部分が第2電極を構成し、上面から見たとき、前記第1電極、前記第2電極及び前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、均一な格子パターンを構成することを特徴とする。これにより、第1電極と第2電極との境界をほとんど見分けることができなくなり、視認性が向上する。
[20] この場合、前記第1電極における前記金属細線の占有面積をa1、前記第2電極における前記金属細線の占有面積をa2としたとき、1<a2/a1≦20であることが好ましい。
[21] さらに好ましくは、1<a2/a1≦10である。
[22] 特に好ましくは、2≦a2/a1≦10である。
[23] 第3の本発明において、前記第1導電部は、隣接する前記第1導電パターン間に、前記第1導電パターンと非接続とされた第1補助パターンを有し、前記第2導電部は、隣接する前記第2導電パターン間に、前記第2導電パターンと非接続とされた第2補助パターンを有し、上面から見たとき、前記第1補助パターンと前記第2補助パターンとが対向することによる組合せパターンが形成され、該組合せパターンは複数の前記第1格子が組み合わされた形態を有することを特徴とする。これにより、第1電極と第2電極との境界をほとんど見分けることができなくなり、視認性が向上する。
[24] 第1〜第3の本発明において、前記第1格子の一辺の長さが30〜500μmであることが好ましい。
[25] また、前記金属細線の線幅が15μm以下であることが好ましい。これにより、タッチパネルにおいて、金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができると共に視認性の向上を図ることができ、しかも、検出感度の向上を図ることができる。
[26] また、前記第1導電部と第2導電部とが基体を介して対向する場合は、前記基体の厚みが50μm〜350μmであることが好ましい。これにより、検出感度と視認性を向上させることができる。
[27] 第1〜第3の本発明において、前記第2格子の一辺の長さは、前記第1格子の一辺の長さの実数倍の長さを有するようにしてもよい。
[28] この場合、前記第2格子の一辺の長さは、前記第1格子の一辺の長さの2倍の長さを有するようにしてもよい。
[29] 第4の本発明に係るタッチパネルは、表示装置の表示パネル上に配置される導電シートを有するタッチパネルであって、前記導電シートは、一方向に配列する複数の導電パターンを有し、前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、前記第2格子で構成された第2格子部が前記一方向に配列され、前記一方向と略直交する方向に配列され、且つ、所定間隔で設けられた、前記第1格子から構成される第1格子部は前記第2格子部と非接続状態で配置されていることを特徴とする。
[30] 第5の本発明に係るタッチパネルは、表示装置の表示パネル上に配置される導電シートを有するタッチパネルであって、前記導電シートは、一方向に配列する複数の導電パターンを有し、前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、前記第1格子で構成された第1格子部と前記第2格子で構成された第2格子部とが電気的に接続された状態で、交互に前記一方向と略直交する方向に配列され、前記第1格子部の前記一方向に沿った長さと前記第2格子部の前記一方向に沿った長さとが略同じであることを特徴とする。
[31] 第6の本発明に係るタッチパネルは、表示装置の表示パネル上に配置される導電シートを有するタッチパネルであって、前記導電シートは、入力操作側に配置された第1導電部と、前記表示パネル側に配置された第2導電部とを有し、前記第1導電部と前記第2導電部とが対向して配置され、前記第1導電部は、一方向に配列する複数の第1導電パターンを有し、前記第2導電部は、前記第1導電パターンの配列方向と直交する方向に配列する複数の第2導電パターンを有し、前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンは共に金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、前記第1導電パターンは、前記第2導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第2導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、前記第2導電パターンは、前記第1導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第1導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、上面から見たとき、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、複数の前記第1格子が組み合わされた形態を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように、本発明に係る導電シート及びタッチパネルによれば、タッチパネルにおいて、金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができると共に視認性の向上を図ることができ、しかも、検出感度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態に係るタッチパネルの構成を示す分解斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る積層導電シートを一部省略して示す分解斜視図である。
【図3】図3Aは積層導電シートの一例を一部省略して示す断面図であり、図3Bは積層導電シートの他の例を一部省略して示す断面図である。
【図4】第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図である。
【図5】第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図6】第1導電シートと第2導電シートを組み合わせて第1積層導電シートとした例を一部省略して示す平面図である。
【図7】図7Aは第1変形例に係る積層導電シートの第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図であり、図7Bは同じく第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図8】図8Aは第2変形例に係る積層導電シートの第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図であり、図8Bは同じく第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図9】図9Aは第3変形例に係る積層導電シートの第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図であり、図9Bは同じく第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図10】本実施の形態に係る導電シートの製造方法を示すフローチャートである。
【図11】図11Aは作製された感光材料を一部省略して示す断面図であり、図11Bは感光材料に対する両面同時露光を示す説明図である。
【図12】第1感光層に照射された光が第2感光層に到達せず、第2感光層に照射された光が第1感光層に到達しないようにして第1露光処理及び第2露光処理を行っている状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る導電シート及びタッチパネルの実施の形態例を図1〜図12を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0009】
先ず、本実施の形態に係る導電シートが使用されるタッチパネル100について、図1を参照しながら説明する。
タッチパネル100は、センサ本体102と図示しない制御回路(IC回路等で構成)とを有する。センサ本体102は、本実施の形態に係る積層導電シート12と、その上に積層された保護層106とを有する。積層導電シート12及び保護層106は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置108における表示パネル110上に配置されるようになっている。センサ本体102は、上面から見たときに、表示パネル110の表示画面110aに対応した領域に配されたタッチ位置のセンサ部112と、表示パネル110の外周部分に対応する領域に配された端子配線部114(いわゆる額縁)とを有する。
【0010】
積層導電シート12は、図2に示すように、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bとが積層されて構成されている。
第1導電シート10Aは、第1透明基体14A(図3A参照)の一主面上に形成された第1導電部16Aを有する。この第1導電部16Aは、図4にも示すように、それぞれ第1方向(x方向)に延びる複数の帯状の第1導電パターン18Aを有する。これら複数の第1導電パターン18Aは第2方向(第1方向と直交する方向:y方向)に配列されている。
各第1導電パターン18Aは、金属細線20による複数の第1格子22aと、該第1格子22aよりもサイズが大きい金属細線20による複数の第2格子22bとが組み合わされて構成されている。特に、後述するように、この第1導電パターン18Aは、第2導電シート10B上に第1導電シート10Aを積層して第1導電部16Aと第2導電部16Bとを対向させた場合に、第2導電パターン18Bと対向する部分が複数の第2格子22bにて構成され、第2導電パターン18Bと対向しない部分が複数の第1格子22aにて構成されている。この複数の第1格子22aにて構成された部分が第1電極24Aとなり、複数の第2格子22bにて構成された部分が第1接続部25Aとなる。すなわち、第1導電パターン18Aは、複数の第1電極24Aがそれぞれ第1接続部25Aを介して第1方向(x方向)に配列された形態となる。換言すれば、第1電極24Aとそれに隣接する第1接続部25Aとを1つの繰り返しパターンPrとして、複数個の繰り返しパターンPrが第1方向(x方向)に配列された形態となっている。
【0011】
第1格子22a及び第2格子22bはそれぞれひし形(正方形を含む)にて構成され、第1格子22aと第2格子22bは相似形を有し、第2格子22bの一辺の長さは、第1格子22aの一辺の長さのm倍(mは1より大きい実数)の長さを有する。図4の例では、第2格子22bの一辺の長さを、第1格子22aの一辺の長さの2倍に設定した場合を示す。もちろん、第1格子22aの一辺の長さの1.5倍、2.5倍、3倍等、種々の組み合わせに設定することができる。第1格子22aの一辺の長さは30〜500μmであることが好ましく、さらに好ましくは50〜400μmであり、特に好ましくは100〜350μmである。また、第1格子22a及び第2格子22bの頂角は60°〜120°から適宜選択することができる。
【0012】
また、第1導電部16Aは、隣接する第1導電パターン18A間に、第1導電パターン18Aと非接続とされた第1補助パターン26Aを有する。この第1補助パターン26Aは、複数(図4の例では6つ)の第1格子22aが第2方向に配列された形態を有し、特に、両側の第1格子22aの端部(第1導電パターン18Aに対向する部分)は屈曲部が切除された形状とされて第1導電パターン18Aと非接続とされている。すなわち、第2格子22bにて構成された第1接続部25Aが第2方向(y方向)に配列され、所定間隔で設けられた、第1格子22aから構成される第1補助パターン26Aが、第1接続部25Aと非接続状態で配置された形態となっている。
【0013】
金属細線20は例えば金(Au)、銀(Ag)又は銅(Cu)で構成されている。また、金属細線20の線幅は、下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は15μm、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネル100に使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると導電性金属部に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネル100に使用した際に視認性が悪くなったりする。なお、上記範囲にあることで、金属細線20による導電パターンのモアレが改善され、視認性が特によくなる。また、少なくとも第1透明基体14Aの厚みは50μm以上350μm以下が好ましく、さらに好ましくは80μm以上250μmであり、特に好ましくは100μm以上200μm以下となっている。
図2に示すように、各第1導電パターン18Aの一方の端部は、第1結線部40aを介して金属細線20による第1端子配線パターン42aに電気的に接続されている。
【0014】
一方、第2導電シート10Bは、図2、図3A及び図5に示すように、第2透明基体14B(図3A参照)の一主面上に形成された第2導電部16Bを有する。この第2導電部16Bは、図5にも示すように、それぞれ第2方向(y方向)に延びる複数の帯状の第2導電パターン18Bを有する。これら複数の第2導電パターン18Bは第1方向(x方向)に配列されている。
各第2導電パターン18Bは、上述した第1導電パターン18Aと同様に、金属細線20による複数の第1格子22aと複数の第2格子22bとが組み合わされて構成されている。特に、この第2導電パターン18Bは、第1導電部16Aと第2導電部16Bとを対向させた場合に、第1導電パターン18Aと対向する部分が複数の第2格子22bにて構成され、第1導電パターン18Aと対向しない部分が複数の第1格子22aにて構成されている。この複数の第1格子22aにて構成された部分が第2電極24Bとなり、複数の第2格子22aにて構成された部分が第2接続部25Bとなる。すなわち、第2導電パターン18Bは、複数の第2電極24Bがそれぞれ第2接続部25Bを介して第2方向(y方向)に配列された形態となる。換言すれば、第2電極24Bとそれに隣接する第2接続部25Bとを1つの繰り返しパターンPrとして、複数個の繰り返しパターンPrが第2方向(y方向)に配列された形態となっている。
【0015】
また、第1導電部16Aと第2導電部16Bとを対向させた場合、第1導電パターン18Aのうち、複数の第2格子22bで構成された第1接続部25Aと、第2導電パターン18Bのうち、複数の第2格子22bで構成された第2接続部25Bとが対向することになるが、このとき、第2導電パターン18Bにおける第2格子22bの交差部が第1導電パターン18Aにおける第2格子22bの開口部中央に位置するように設定されている。
さらに、第2導電部16Bは、隣接する第2導電パターン18B間に、第2導電パターン18Bと非接続とされた第2補助パターン26Bを有する。この第2補助パターン26Bは、複数のL字状の補助線28が第2方向(y方向)に配列された形態を有する。この補助線28は、第1補助パターン26Aの両側に配された第1格子22aの端部の切除部分を補完するようなL字状とされている。すなわち、第2格子22bにて構成された第2接続部25Bが第1方向(x方向)に配列され、所定間隔で設けられた、第1格子22aから構成される第2補助パターン26Bが、第2接続部25Bと非接続状態で配置された形態となっている。
また、図2に示すように、1つ置き(例えば奇数番目)の各第2導電パターン18Bの一方の端部、並びに偶数番目の各第2導電パターン18Bの他方の端部は、それぞれ第2結線部40bを介して金属細線20による第2端子配線パターン42bに電気的に接続されている。
【0016】
タッチパネル100に適用した第1導電シート10Aは、図2に示すように、センサ部112に対応した部分に、上述した多数の第1導電パターン18Aが配列され、端子配線部114には各第1結線部40aから導出された金属細線20による複数の第1端子配線パターン42aが配列されている。
図1の例では、第1導電シート10Aの外形は、上面から見て長方形状を有し、センサ部112の外形も長方形状を有する。端子配線部114のうち、第1導電シート10Aの一方の長辺側の周縁部には、その長さ方向中央部分に、複数の第1端子116aが前記一方の長辺の長さ方向に配列形成されている。また、センサ部112の一方の長辺(第1導電シート10Aの一方の長辺に最も近い長辺:y方向)に沿って複数の第1結線部40aが直線状に配列されている。各第1結線部40aから導出された第1端子配線パターン42aは、第1導電シート10Aの一方の長辺における略中央部に向かって引き回され、それぞれ対応する第1端子116aに電気的に接続されている。従って、センサ部112における一方の長辺の両側に対応する各第1結線部40aに接続された第1端子配線パターン42aは、略同じ長さにて引き回されることになる。もちろん、第1端子116aを第1導電シート10Aのコーナー部やその近傍に形成してもよいが、複数の第1端子配線パターン42aのうち、最も長い第1端子配線パターン42aと最も短い第1端子配線パターン42aとの間に大きな長さ上の違いが生じ、最も長い第1端子配線パターン42aとその近傍の複数の第1端子配線パターン42aに対応する第1導電パターン18Aへの信号伝達が遅くなるという問題がある。そこで、本実施の形態のように、第1導電シート10Aの一方の長辺の長さ方向中央部分に、第1端子116aを形成することで、局所的な信号伝達の遅延を抑制することができる。これは、応答速度の高速化につながる。
【0017】
一方、タッチパネル100に適用した第2導電シート10Bは、図2に示すように、センサ部112に対応した部分に、多数の第2導電パターン18Bが配列され、端子配線部114には各第2結線部40bから導出された複数の第2端子配線パターン42bが配列されている。
図1に示すように、端子配線部114のうち、第2導電シート10Bの一方の長辺側の周縁部には、その長さ方向中央部分に、複数の第2端子116bが前記一方の長辺の長さ方向に配列形成されている。また、センサ部112の一方の短辺(第2導電シート10Bの一方の短辺に最も近い短辺:x方向)に沿って複数の第2結線部40b(例えば奇数番目の第2結線部40b)が直線状に配列され、センサ部112の他方の短辺(第2導電シート10Bの他方の短辺に最も近い短辺:x方向)に沿って複数の第2結線部40b(例えば偶数番目の第2結線部40b)が直線状に配列されている。
複数の第2導電パターン18Bのうち、例えば奇数番目の第2導電パターン18Bが、それぞれ対応する奇数番目の第2結線部40bに接続され、偶数番目の第2導電パターン18Bが、それぞれ対応する偶数番目の第2結線部40bに接続されている。奇数番目の第2結線部40bから導出された第2端子配線パターン42b並びに偶数番目の第2結線部40bから導出された第2端子配線パターン42bは、第2導電シート10Bの一方の長辺における略中央部に向かって引き回され、それぞれ対応する第2端子116bに電気的に接続されている。従って、例えば第1番目と第2番目の第2端子配線パターン42bは、略同じ長さにて引き回され、以下同様に、第2n−1番目と第2n番目の第2端子配線パターン42bは、それぞれ略同じ長さにて引き回されることになる(n=1、2、3・・・)。
もちろん、第2端子116bを第2導電シート10Bのコーナー部やその近傍に形成してもよいが、上述したように、最も長い第2端子配線パターン42bとその近傍の複数の第2端子配線パターン42bに対応する第2導電パターン18Bへの信号伝達が遅くなるという問題がある。そこで、本実施の形態のように、第2導電シート10Bの一方の長辺の長さ方向中央部分に、第2端子116bを形成することで、局所的な信号伝達の遅延を抑制することができる。これは、応答速度の高速化につながる。
【0018】
なお、第1端子配線パターン42aの導出形態を上述した第2端子配線パターン42bと同様にし、第2端子配線パターン42bの導出形態を上述した第1端子配線パターン42aと同様にしてもよい。
そして、この積層導電シート12をタッチパネル100として使用する場合は、第1導電シート10A上に保護層106を形成し、第1導電シート10Aの多数の第1導電パターン18Aから導出された第1端子配線パターン42aと、第2導電シート10Bの多数の第2導電パターン18Bから導出された第2端子配線パターン42bとを、例えばスキャンをコントロールする制御回路に接続する。
【0019】
タッチ位置の検出方式としては、自己容量方式や相互容量方式を好ましく採用することができる。すなわち、自己容量方式であれば、第1導電パターン18Aに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給し、第2導電パターン18Bに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給する。指先が保護層106の上面に接触又は近接させることで、タッチ位置に対向する第1導電パターン18A及び第2導電パターン18BとGND(グランド)間の容量が増加することから、当該第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bからの伝達信号の波形が他の導電パターンからの伝達信号の波形と異なった波形となる。従って、制御回路では、第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bから供給された伝達信号に基づいてタッチ位置を演算する。一方、相互容量方式の場合は、例えば第1導電パターン18Aに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給し、第2導電パターン18Bに対して順番にセンシング(伝達信号の検出)を行う。指先が保護層106の上面に接触又は近接させることで、タッチ位置に対向する第1導電パターン18Aと第2導電パターン18B間の寄生容量に対して並列に指の浮遊容量が加わることから、当該第2導電パターン18Bからの伝達信号の波形が他の第2導電パターン18Bからの伝達信号の波形と異なった波形となる。従って、制御回路では、電圧信号を供給している第1導電パターン18Aの順番と、供給された第2導電パターン18Bからの伝達信号に基づいてタッチ位置を演算する。このような自己容量方式又は相互容量方式のタッチ位置の検出方法を採用することで、保護層106の上面に同時に2つの指先を接触又は近接させても、各タッチ位置を検出することが可能となる。なお、投影型静電容量方式の検出回路に関する先行技術文献として、米国特許第4,582,955号明細書、米国特許第4,686,332号明細書、米国特許第4,733,222号明細書、米国特許第5,374,787号明細書、米国特許第5,543,588号明細書、米国特許第7,030,860号明細書、米国公開特許2004/0155871号明細書等がある。
【0020】
本実施の形態では、端子配線部114のうち、第1導電シート10Aの一方の長辺側の周縁部における長さ方向中央部分に複数の第1端子116aを形成し、第2導電シート10Bの一方の長辺側の周縁部における長さ方向中央部分に複数の第2端子116bを形成するようにしている。特に、図1の例では、第1端子116aと第2端子116bとが重ならないように、且つ、互いに接近した状態で配列し、さらに、第1端子配線パターン42aと第2端子配線パターン42bとが上下で重ならないようにしている。なお、第1端子116aと例えば奇数番目の第2端子配線パターン42aとが一部上下で重なる形態にしてもよい。
これにより、複数の第1端子116a及び複数の第2端子116bを、2つのコネクタ(第1端子用コネクタ及び第2端子用コネクタ)あるいは1つのコネクタ(第1端子116a及び第2端子116bに接続される複合コネクタ)及びケーブルを介して制御回路に電気的に接続することができる。
また、第1端子配線パターン42aと第2端子配線パターン42bとが上下で重ならないようにしているため、第1端子配線パターン42aと第2端子配線パターン42b間での寄生容量の発生が抑制され、応答速度の低下を抑えることができる。
【0021】
第1結線部40aをセンサ部112の一方の長辺に沿って配列し、第2結線部40bをセンサ部112の両側の短辺に沿って配列するようにしたので、端子配線部114の面積を低減することができる。これは、タッチパネル100を含めた表示パネル110の小型化を促進させることができると共に、表示画面110aを印象的に大きく見せることができる。また、タッチパネル100としての操作性も向上させることができる。
端子配線部114の面積をさらに小さくするには、隣接する第1端子配線パターン42a間の距離、隣接する第2端子配線パターン42b間の距離を狭くすることが考えられるが、この場合、マイグレーションの発生防止を考慮すると、10μm以上50μm以下が好ましい。
【0022】
その他、上面から見たときに、隣接する第1端子配線パターン42a間に第2端子配線パターン42bを配置することによって、端子配線部114の面積を小さくすることが考えられるが、パターンの形成ずれがあると、第1端子配線パターン42aと第2端子配線パターン42bとが上下で重なり、配線間の寄生容量が大きくなるおそれがある。これは応答速度の低下をもたらす。そこで、このような配置構成を採用する場合は、隣接する第1端子配線パターン42a間の距離を50μm以上100μm以下にすることが好ましい。
また、図1に示すように、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bの例えば各コーナー部に、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bの貼り合わせの際に使用する位置決め用の第1アライメントマーク118a及び第2アライメントマーク118bを形成することが好ましい。この第1アライメントマーク118a及び第2アライメントマーク118bは、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bを貼り合わせて積層導電シート12とした場合に、新たな複合アライメントマークとなり、この複合アライメントマークは、該積層導電シート12を表示パネル110に設置する際に使用する位置決め用のアライメントマークとしても機能することになる。
【0023】
そして、第2導電シート10B上に第1導電シート10Aを積層して積層導電シート12としたとき、図6に示すように、第1導電パターン18Aのうち、複数の第2格子22bで構成された部分と、第2導電パターン18Bのうち、複数の第2格子22bで構成された部分とが対向することによる第1組合せパターン90Aが形成される。この場合、第2導電パターン18Bにおける第2格子22bの交差部が第1導電パターン18Aにおける第2格子22bの開口部中央に位置するように設定されているため、第1組合せパターン90Aは、複数の第1格子22aが組み合わされた形態となる。
また、第1導電部16Aと第2導電部16Bとが対向することで、第1補助パターン26Aと第2補助パターン26Bとが対向することによる第2組合せパターン90Bが形成される。このとき、第2補助パターン26Bの補助線28(図5参照)が、第1補助パターン26Aの両側に配された第1格子22aの端部の切除部分を補完する形になるため、第2組合せパターン90Bも複数の第1格子22aが組み合わされた形態となる。
【0024】
その結果、図6に示すように、全体として第1格子22aが敷き詰められた形態となり、複数の第1格子22aにて構成された第1電極24Aと第2電極24Bとの境界をほとんど見分けることができない状態となる。
ここで、例えば第1補助パターン26A及び第2補助パターン26Bを形成しなかった場合は、第2組合せパターン90Bの幅に相当する空白領域が形成され、これにより、第1電極24Aの境界、第2電極24Bの境界が目立ってしまい、視認性が劣化するという問題が生じる。これに対して、本実施の形態では、上述したように、第1補助パターン26Aと第2補助パターン26Bとの重なりにより、第1電極24Aと第2電極24Bとの境界が目立たなくなり、視認性が向上する。
【0025】
ところで、本実施の形態では、第1電極24Aと第2電極24Bとは対向しない位置関係となっているため、第1電極24Aと第2電極24Bとの間には寄生容量がほとんど形成されないが、第1導電パターン18Aの第2格子22aにて構成された部分と第2導電パターン18Bの第2格子22bにて構成された部分とが対向することから、これらの間で、寄生容量が発生することになる。しかし、第1格子22aよりもサイズの大きい第2格子22b同士の各一部が対向することになるため、金属細線20が対向するポイントが少なく、しかも、第1透明基体14Aの厚みを50μm以上350μmとしているため、第1導電パターン18Aと第2導電パターン18Bとの間に形成される寄生容量は非常に小さいものとなる。しかも、第1透明基体14Aの厚みを上述の範囲とすることで、所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
【0026】
また、この積層導電シート12においては、第2導電パターン18Bの最大幅Wb(図5参照)を、第1導電パターン18Aの最大幅Wa(図4参照)よりも大きくし、さらに、第2導電パターン18Bを構成する第1格子22aの数を、第1導電パターン18Aよりも大幅に増やすことで、第2導電パターン18Bにおける金属細線20の占有面積を第1導電パターン18Aにおける金属細線の占有面積よりも大きくなるように設定している。第1導電パターン18Aの最大幅Waと第2導電パターン18Bの最大幅Wbとの比(Wb/Wa)は1<Wb/Wa≦10が好ましく、さらに好ましくは2≦Wb/Wa≦8であり、特に好ましくは3≦Wb/Wa≦5である。図4及び図5では、Wb/Wa=2.5の例を示す。
通常、表示装置108側の第2導電パターン18Bは、電磁波によるノイズの影響を抑制することができる。すなわち、電磁波の電界成分を打ち消す方向に表皮電流が流れ、電磁波の磁界成分を打ち消す方向に渦電流が流れることで、電磁波によるノイズの影響を抑制することができる。この積層導電シート12においては、表示装置108側の第2導電パターン18Bにおける金属細線20の占有面積を第1導電パターン18Aにおける金属細線20の占有面積よりも大きくしたので、第2導電パターン18Bの表面抵抗を70オーム/sq.以下に低くすることができ、例えば表示装置108等からの電磁波によるノイズの影響を抑制する上で有利になる。
【0027】
また、この実施の形態では、第2電極24Bにおける金属細線20の占有面積を第1電極24Aにおける金属細線20の占有面積よりも大きく設定している。そのため、指のタッチ位置の検出方式として、自己容量方式を採用した場合に、指のタッチ位置から距離的に遠い第2電極24Bであっても、第1電極24Aと同等程度の信号電荷を蓄積させることができ、第1電極24Aでの検出感度と第2電極24Bでの検出感度を略同等にすることができ、信号処理の負担を低減することができると共に、検出精度の向上も図ることができる。指のタッチ位置の検出方式として、例えば相互容量方式を採用した場合においても、金属細線20の占有面積の広い第2電極24Aを駆動電極、第1電極24Aを受信電極として使用することで、第1電極24Aでの受信感度を高めることが可能となる。また、第1導電パターン18Aと第2導電パターン18Bとが一部において対向して、寄生容量が形成されたとしても、第1透明基体14Aの厚みを50μm以上350μm以下としたので、寄生容量を低く抑えることができ、検出感度の低下を抑制することができる。
【0028】
さらに、この実施の形態では、第1導電パターン18Aにおいて、第1電極24Aの第2方向(y方向)に沿った長さLa(=Wa)と第1接続部25Aの第2方向に沿った長さLb(=Wa)とを略同じにし、第2導電パターン18Bにおいて、第2電極24Bの第1方向(x方向)に沿った長さLc(=Wb)と第2接続部25Bの第1方向に沿った長さLd(=Wb)とを略同じにしたので、第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bの導電性が良好となり、検出感度の向上につながる。
【0029】
また、第1導電パターン18Aにおいて、第1電極24Aの第1方向(x方向)に沿った長さをL1a、第1接続部25Aの第1方向に沿った長さをL2aとしたとき、L1a<L2aとしている。これにより、例えば相互容量方式を採用した場合に、第1電極24Aを受信電極とすることで、受信感度を高めることが可能となる。この場合、1.5×L1a≦L2a≦6×L1aであることが好ましい。図4では、L2a=4L1aの例を示している。同様に、第2導電パターン18Bにおいて、第2電極24Bの第2方向(y方向)に沿った長さをL1b、第2接続部25Bの第2方向に沿った長さをL2bとしたとき、L1b>L2bとしている。これにより、例えば相互容量方式を採用した場合に、第2電極24Bを駆動電極とすることで、検出感度を高めることが可能となる。1.5×L2b≦L1b≦6×L2bであることが好ましい。図5ではL1b=(3/2)L2bの例を示している。
このように、積層導電シート12においては、金属細線20のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができ、しかも、検出信号のS/N比の向上、検出感度の向上、検出精度の向上を図ることができる。
【0030】
ここで、第1導電パターン18Aにおける金属細線20の占有面積をA1、第2導電パターン18Bにおける金属細線20の占有面積をA2としたとき、1<A2/A1≦20であることが好ましい。さらに好ましくは、1<A2/A1≦10であり、特に好ましくは2≦A2/A1≦10である。
また、第1電極24Aにおける金属細線20の占有面積をa1、第2電極24Bにおける金属細線20の占有面積をa2としたとき、1<a2/a1≦20であることが好ましい。さらに好ましくは、1<a2/a1≦10であり、特に好ましくは、2≦a2/a1≦10である。
【0031】
なお、第1電極24A及び第2電極24Bの大きさは、特に限定されることはなく、人間の指によるタッチ位置あるいはペン入力タイプのペン先のタッチ位置を感知するのに十分な大きさがあればよい。
また、第1格子22a及び第2格子22bの形状をひし形としたが、その他、三角形や多角形状としてもよい。三角形にする場合は、図4及び図5に示すように、例えばひし形の第1格子22a及び第2格子22bの各対角線に沿って直線状の金属細線を橋渡すことで容易に作製することができる。また、第1格子22a及び第2格子22bの一辺の形状を直線状のほか、湾曲形状でもよいし、円弧状にしてもよい。円弧状とする場合は、例えば対向する2辺については、外方に凸の円弧状とし、他の対向する2辺については、内方に凸の円弧状としてもよい。また、各辺の形状を、外方に凸の円弧と内方に凸の円弧が連続した波線形状としてもよい。もちろん、各辺の形状を、サイン曲線にしてもよい。
また、第1格子22aのサイズ(1辺の長さや対角線の長さ等)や、第1電極24Aを構成する第1格子22aの個数、第2電極24Bを構成する第1格子22aの個数も、適用されるタッチパネル100のサイズや分解能(配線数)に応じて適宜設定することができる。
【0032】
次に、積層導電シート12の変形例について、図7A〜図9Bを参照しながら説明する。
先ず、第1変形例に係る積層導電シート12aは、上述した積層導電シート12と略同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
すなわち、図7A及び図7Bに示すように、第1導電パターン18Aの最大幅Waと第2導電パターン18Bの最大幅Wbとの比(Wb/Wa)が3である。また、図7Aに示すように、第1導電パターンにおける第1接続部25Aの第2方向(y方向)に沿った長さLb(=Wa)が第1電極24Aの第2方向に沿った長さLbの1.5倍である。なお、第2導電パターン18Bにおける第2電極24Bの第1方向(x方向)に沿った長さLc(=Wb)と第2接続部25Bの第1方向に沿った長さLd(=Wb)とは略同じである。
また、図7Bに示すように、第2導電パターン18Bにおける第2電極24Bの第2方向(y方向)に沿った長さL1bと、第2接続部25Bの第2方向に沿った長さL2bとの関係がL1b=(7/3)L2bである。なお、第1導電パターン18Aにおける第1電極24Aの第1方向(x方向)に沿った長さL1a、第1接続部25Aの第1方向に沿った長さL2aの関係は、L2a=4L1aである。
【0033】
この第1変形例に係る積層導電シート12aにおいては、第1導電パターン18Aにおける金属細線20の占有面積A1と第2導電パターン18Bにおける金属細線20の占有面積A2の比(A2/A1)を上述した積層導電シート12よりも大きくすることができ、例えば表示装置108等からの電磁波によるノイズの影響を抑制する上でさらに有利になる。
また、第1電極24Aにおける金属細線20の占有面積a1と第2電極24Bにおける金属細線20の占有面積a2の比(a2/a1)を上述した積層導電シート12よりも大きくすることができ、自己容量方式での検出精度の向上、並びに相互容量方式での受信感度の向上を図る上でさらに有利になる。
【0034】
次に、第2変形例に係る積層導電シート12bは、上述した積層導電シート12と略同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
すなわち、図8A及び図8Bに示すように、第1導電パターン18Aの最大幅Waと第2導電パターン18Bの最大幅Wbとの比(Wb/Wa)が4.5である。また、図8Bに示すように、第2導電パターン18Bにおける第2電極24Bの第2方向(y方向)に沿った長さL1bと、第2接続部25Bの第2方向に沿った長さL2bの関係がL1b=4×L2bである。
なお、図8Aに示すように、第1導電パターン18Aにおける第1電極24Aの第2方向(y方向)に沿った長さLa(=Wa)と第1接続部25Bの第2方向に沿った長さLb(=Wa)は略同じであり、第1電極24Aの第1方向(x方向)に沿った長さL1aと、第1接続部25Aの第1方向に沿った長さL2aの関係は、L2a=4L1aである。また、図8Bに示すように、第2導電パターン18Bにおける第2電極24Bの第1方向(x方向)に沿った長さLc(=Wb)と第2接続部25Bの第1方向に沿った長さLd(=Wb)も略同じである。
【0035】
この第2変形例に係る積層導電シート12bにおいては、第1導電パターン18Aにおける金属細線20の占有面積A1と第2導電パターン18Bにおける金属細線20の占有面積A2の比(A2/A1)を上述した積層導電シート12や積層導電シート12aよりも大きくすることができ、例えば表示装置108等からの電磁波によるノイズの影響を抑制する上でさらに有利になる。
また、第1電極24Aにおける金属細線20の占有面積a1と第2電極24Bにおける金属細線20の占有面積a2の比(a2/a1)を上述した積層導電シート12や積層導電シート12aよりも大きくすることができ、自己容量方式での検出精度の向上、並びに相互容量方式での受信感度の向上を図る上でさらに有利になる。
【0036】
次に、第3変形例に係る積層導電シート12cは、上述した積層導電シート12と略同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
すなわち、図9Aに示すように、第1導電パターン18Aは、1つの繰り返しパターンPr内に、複数の第1格子22aで構成された第1電極24Aが2つ存在し、第2格子22bで構成された第1接続部25Aが2つ存在している。そして、1つの繰り返しパターンPrにおける第1電極24Aの第1方向(x方向)に沿った合計長さL1a(=L1a1+L1a2)と、第1接続部25Aの第1方向に沿った合計長さL2a(=2×L2a1)の関係は、L2a=2L1a/3であり、L2a<L1aとなっている。
また、第1補助パターン26Aは、第1格子22aの一部を構成する一対のL字状の補助線28が第2方向に配列された形態を有し、第1導電パターン18Aと非接続とされている。すなわち、この場合も、第2格子22bにて構成された第1接続部25Aが第2方向(y方向)に配列され、所定間隔で設けられた、第1格子22aから構成される第1補助パターン26Aが、第1接続部25Aと非接続状態で配置された形態となっている。
【0037】
一方、第2導電パターン18Bにおいては、第1導電部16Aと第2導電部16Bとを対向させた場合に、第1導電パターン18Aの第1接続部25Aと対向する部分がそれぞれ第2格子22bにて構成され、第1導電パターン18Aと対向しない部分が複数の第1格子22aにて構成されている。この複数の第1格子22aにて構成された部分が第2電極24Bとなり、それぞれ第2格子22aにて構成された部分が第2接続部25Bとなる。すなわち、第2電極24Bとそれに隣接する第2接続部25Bとを1つの繰り返しパターンPrとして、複数個の繰り返しパターンPrが第2方向(y方向)に配列された形態となっている。
また、第2補助パターン26Bは、複数の十字状の補助線29が第2方向(y方向)に配列された形態を有する。この補助線29は、第1補助パターン26Aの両側に配された一対のL字状の補助線28と共に1つの第1格子22aを形作るような十字状とされている。すなわち、この場合も、第2格子22bにて構成された第2接続部25Bが第1方向(x方向)に配列され、所定間隔で設けられた、第1格子22aから構成される第2補助パターン26Bが、第2接続部25Bと非接続状態で配置された形態となっている。
【0038】
なお、図9A及び図9Bに示すように、第1導電パターン18Aの最大幅Waと第2導電パターン18Bの最大幅Wbとの比(Wb/Wa)は4.5である。図9Bに示すように、第2導電パターン18Bにおける第2電極24Bの第2方向(y方向)に沿った長さL1bと、第2接続部25Bの第2方向に沿った長さL2bの関係はL1b=4×L2bである。
また、図9Aに示すように、第1導電パターン18Aにおける第1電極24Aの第2方向(y方向)に沿った長さLa(=Wa)と第1接続部25Aの第2方向に沿った長さLb(=Wa)は略同じであり、図9Bに示すように、第2導電パターン18Bにおける第2電極24Bの第1方向(x方向)に沿った長さLc(=Wb)と第2接続部25Bの第1方向に沿った長さLd(=Wb)も略同じである。
この第3変形例に係る積層導電シート12cにおいては、上述した第2変形例に係る積層導電シート12bと同様の効果を得ることができるほか、1つの繰り返しパターン内に2種類の第1電極を配置した形態となるため、指(あるいは入力ペン)のタッチ位置に応じた信号電荷を蓄積させることができ、検出感度の向上につながる。
【0039】
上述の例では、積層導電シート12(第1変形例〜第3変形を含む)を投影型静電容量方式のタッチパネル100に適用した例を示したが、その他、表面型静電容量方式のタッチパネルや、抵抗膜式のタッチパネルにも適用することができる。以下の説明では、積層導電シート12(第1変形例〜第3変形を含む)を一括して積層導電シート12と記す。
上述の積層導電シート12では、図3Aに示すように、第1透明基体14Aの一主面に第1導電部16Aを形成し、第2透明基体14Bの一主面に第2導電部16Bを形成して、積層するようにしたが、その他、図3Bに示すように、第1透明基体14Aの一主面に第1導電部16Aを形成し、第1透明基体14Aの他主面に第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。この場合、第2透明基体14Bが存在せず、第2導電部16B上に、第1透明基体14Aが積層され、第1透明基体14A上に第1導電部16Aが積層された形態となる。また、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bとはその間に他の層が存在してもよく、第1導電部16Aと第2導電部16Bとが絶縁状態であれば、それらが対向して配置されてもよい。
【0040】
次に、第1導電部16Aや第2導電部16Bを形成する方法としては、例えば第1透明基体14A上及び第2透明基体14B上に感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって、露光部及び未露光部にそれぞれ金属銀部及び光透過性部を形成して第1導電部16A及び第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。なお、さらに金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって金属銀部に導電性金属を担持させるようにしてもよい。
【0041】
一方、図3Bに示すように、第1透明基体14Aの一主面に第1導電部16Aを形成し、第1透明基体14Aの他主面に第2導電部16Bを形成する場合、通常の製法に則って、最初に一主面を露光し、その後に、他主面を露光する方法を採用すると、所望のパターンを有する第1導電部16A及び第2導電部16Bを得ることができない場合がある。特に、図4及び図7等に示すように、第1導電パターン18A間に形成された第1補助パターン26A、第2導電パターン18B間に形成された第2補助パターン26B等を均一に形成することは困難性が伴う。
そこで、以下に示す製造方法を好ましく採用することができる。
すなわち、第1透明基体14Aの両面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層に対して一括露光を行って、第1透明基体14Aの一主面に第1導電部16Aを形成し、第1透明基体14Aの他主面に第2導電部16Bを形成する。
【0042】
この製造方法の具体例を、図10〜図12を参照しながら説明する。
先ず、図10のステップS1において、長尺の感光材料140を作製する。感光材料140は、図11Aに示すように、第1透明基体14Aと、該第1透明基体14Aの一方の主面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層(以下、第1感光層142aという)と、第1透明基体14Aの他方の主面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層(以下、第2感光層142bという)とを有する。
【0043】
図10のステップS2において、感光材料140を露光する。この露光処理では、第1感光層142aに対し、第1透明基体14Aに向かって光を照射して第1感光層142aを第1露光パターンに沿って露光する第1露光処理と、第2感光層142bに対し、第1透明基体14Aに向かって光を照射して第2感光層142bを第2露光パターンに沿って露光する第2露光処理とが行われる(両面同時露光)。図11Bの例では、長尺の感光材料140を一方向に搬送しながら、第1感光層142aに第1光144a(平行光)を第1フォトマスク146aを介して照射すると共に、第2感光層142bに第2光144b(平行光)を第2フォトマスク146bを介して照射する。第1光144aは、第1光源148aから出射された光を途中の第1コリメータレンズ150aにて平行光に変換されることにより得られ、第2光144bは、第2光源148bから出射された光を途中の第2コリメータレンズ150bにて平行光に変換されることにより得られる。図11Bの例では、2つの光源(第1光源148a及び第2光源148b)を使用した場合を示しているが、1つの光源から出射した光を光学系を介して分割して、第1光144a及び第2光144bとして第1感光層142a及び第2感光層142bに照射してもよい。
【0044】
そして、図10のステップS3において、露光後の感光材料140を現像処理することで、例えば図3Bに示すように、積層導電シート12が作製される。積層導電シート12は、第1透明基体14Aと、該第1透明基体14Aの一方の主面に形成された第1露光パターンに沿った第1導電部16Aと、第1透明基体14Aの他方の主面に形成された第2露光パターンに沿った第2導電部16Bとを有する。なお、第1感光層142a及び第2感光層142bの露光時間及び現像時間は、第1光源148a及び第2光源148bの種類や現像液の種類等で様々に変化するため、好ましい数値範囲は一概に決定することができないが、現像率が100%となる露光時間及び現像時間に調整されている。
【0045】
そして、本実施の形態に係る製造方法のうち、第1露光処理は、図12に示すように、第1感光層142a上に第1フォトマスク146aを例えば密着配置し、該第1フォトマスク146aに対向して配置された第1光源148aから第1フォトマスク146aに向かって第1光144aを照射することで、第1感光層142aを露光する。第1フォトマスク146aは、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第1露光パターン152a)とで構成されている。従って、この第1露光処理によって、第1感光層142aのうち、第1フォトマスク146aに形成された第1露光パターン152aに沿った部分が露光される。第1感光層142aと第1フォトマスク146aとの間に2〜10μm程度の隙間を設けてもよい。
【0046】
同様に、第2露光処理は、第2感光層142b上に第2フォトマスク146bを例えば密着配置し、該第2フォトマスク146bに対向して配置された第2光源148bから第2フォトマスク146bに向かって第2光144bを照射することで、第2感光層142bを露光する。第2フォトマスク146bは、第1フォトマスク146aと同様に、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第2露光パターン152b)とで構成されている。従って、この第2露光処理によって、第2感光層142bのうち、第2フォトマスク146bに形成された第2露光パターン152bに沿った部分が露光される。この場合、第2感光層142bと第2フォトマスク146bとの間に2〜10μm程度の隙間を設けてもよい。
【0047】
第1露光処理及び第2露光処理は、第1光源148aからの第1光144aの出射タイミングと、第2光源148bからの第2光144bの出射タイミングを同時にしてもよいし、異ならせてもよい。同時であれば、1度の露光処理で、第1感光層142a及び第2感光層142bを同時に露光することができ、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0048】
ところで、第1感光層142a及び第2感光層142bが共に分光増感されていない場合、感光材料140に対して両側から露光すると、片側からの露光がもう片側(裏側)の画像形成に影響を及ぼすこととなる。
すなわち、第1感光層142aに到達した第1光源148aからの第1光144aは、第1感光層142a中のハロゲン化銀粒子にて散乱し、散乱光として第1透明基体14Aを透過し、その一部が第2感光層142bにまで達する。そうすると、第2感光層142bと第1透明基体14Aとの境界部分が広い範囲にわたって露光され、潜像が形成される。そのため、第2感光層142bでは、第2光源148bからの第2光144bによる露光と第1光源148aからの第1光144aによる露光が行われてしまい、その後の現像処理にて積層導電シート12とした場合に、第2露光パターン152bによる導電パターン(第2導電部16B)に加えて、該導電パターン間に第1光源148aからの第1光144aによる薄い導電層が形成されてしまい、所望のパターン(第2露光パターン152bに沿ったパターン)を得ることができない。これは、第1感光層142aにおいても同様である。
【0049】
これを回避するため、鋭意検討した結果、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚みを特定の範囲に設定したり、第1感光層142a及び第2感光層142bの塗布銀量を規定することで、ハロゲン化銀自身が光を吸収し、裏面へ光透過を制限できることが判明した。本実施の形態では、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚みを1μm以上、4μm以下に設定することができる。上限値は好ましくは2.5μmである。また、第1感光層142a及び第2感光層142bの塗布銀量を5〜20g/m2に規定した。
【0050】
上述した両面密着の露光方式では、フイルム表面に付着した塵埃等で露光阻害による画像欠陥が問題となる。塵埃付着防止として、フイルムに導電性物質を塗布することが知られているが、金属酸化物等は処理後も残存し、最終製品の透明性を損ない、また、導電性高分子は保存性等に問題がある。そこで、鋭意検討した結果、バインダーを減量したハロゲン化銀により帯電防止に必要な導電性が得られることがわかり、第1感光層142a及び第2感光層142bの銀/バインダーの体積比を規定した。すなわち、第1感光層142a及び第2感光層142bの銀/バインダー体積比は1/1以上であり、好ましくは、2/1以上である。
【0051】
上述のように、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚み、塗布銀量、銀/バインダーの体積比を設定、規定することで、図12に示すように、第1感光層142aに到達した第1光源148aからの第1光144aは、第2感光層142bまで達しなくなり、同様に、第2感光層142bに到達した第2光源148bからの第2光144bは、第1感光層142aまで達しなくなり、その結果、その後の現像処理にて積層導電シート12とした場合に、図3Bに示すように、第1透明基体14Aの一方の主面には第1露光パターン152aによる導電パターン(第1導電部16Aを構成するパターン)のみが形成され、第1透明基体14Aの他方の主面には第2露光パターン152bによる導電パターン(第2導電部16Bを構成するパターン)のみが形成されることとなり、所望のパターンを得ることができる。
【0052】
このように、上述の両面一括露光を用いた製造方法においては、導電性と両面露光の適性を両立させた第1感光層142a及び第2感光層142bを得ることができ、また、1つの第1透明基体14Aへの露光処理によって、第1透明基体14Aの両面に同一パターンや異なったパターンを任意に形成することができ、これにより、タッチパネル100の電極を容易に形成することができると共に、タッチパネル100の薄型化(低背化)を図ることができる。
【0053】
上述の例は、感光性ハロゲン化銀乳剤層を用いて第1導電部16A及び第2導電部16Bを形成する製造方法であるが、その他の製造方法としては、以下のような製造方法がある。
すなわち、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に形成された銅箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する銅箔をエッチングすることによって、第1導電部16A及び第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。
あるいは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に金属微粒子を含むペーストを印刷し、ペーストに金属めっきを行うことによって、第1導電部16A及び第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。
あるいは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に、第1導電部16A及び第2導電部16Bをスクリーン印刷版又はグラビア印刷版によって印刷形成するようにしてもよい。
あるいは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に、第1導電部16A及び第2導電部16Bをインクジェットにより形成するようにしてもよい。
【0054】
次に、本実施の形態に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bにおいて、特に好ましい態様であるハロゲン化銀写真感光材料を用いる方法を中心にして述べる。
本実施の形態に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの製造方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
【0055】
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に光透過性導電膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
【0056】
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報、特願2004−244080号、同2004−085655号の各明細書に記載された技術を適用することができる。
【0057】
ここで、本実施の形態に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの各層の構成について、以下に詳細に説明する。
[第1透明基体14A、第2透明基体14B]
第1透明基体14A及び第2透明基体14Bとしては、プラスチックフイルム、プラスチック板、ガラス板等を挙げることができる。
上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ビニル系樹脂;その他、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
第1透明基体14A及び第2透明基体14Bとしては、PET(融点:258℃)、PEN(融点:269℃)、PE(融点:135℃)、PP(融点:163℃)、ポリスチレン(融点:230℃)、ポリ塩化ビニル(融点:180℃)、ポリ塩化ビニリデン(融点:212℃)やTAC(融点:290℃)等の融点が約290℃以下であるプラスチックフイルム、又はプラスチック板が好ましく、特に、光透過性や加工性等の観点から、PETが好ましい。積層導電シート12に使用される第1導電シート10A及び第2導電シート10Bのような導電性フイルムは透明性が要求されるため、第1透明基体14A及び第2透明基体14Bの透明度は高いことが好ましい。
【0058】
[銀塩乳剤層]
第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの導電層(第1導電パターン18A、第1補助パターン26A、第2導電パターン18B、第2補助パターン26B等の導電部)となる銀塩乳剤層は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有する。
本実施の形態に用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本実施の形態においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
銀塩乳剤層の塗布銀量(銀塩の塗布量)は、銀に換算して1〜30g/m2が好ましく、1〜25g/m2がより好ましく、5〜20g/m2がさらに好ましい。この塗布銀量を上記範囲とすることで、積層導電シート12とした場合に所望の表面抵抗を得ることができる。
【0059】
本実施の形態に用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
本実施の形態の銀塩乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。銀塩乳剤層中のバインダーの含有量は、銀/バインダー体積比で1/4以上が好ましく、1/2以上がより好ましい。銀/バインダー体積比は、100/1以下が好ましく、50/1以下がより好ましい。また、銀/バインダー体積比は1/1〜4/1であることがさらに好ましい。1/1〜3/1であることが最も好ましい。銀塩乳剤層中の銀/バインダー体積比をこの範囲にすることで、塗布銀量を調整した場合でも抵抗値のばらつきを抑制し、均一な表面抵抗を有する積層導電シートを得ることができる。なお、銀/バインダー体積比は、原料のハロゲン化銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(重量比)に変換し、さらに、銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(体積比)に変換することで求めることができる。
【0060】
<溶媒>
銀塩乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本実施の形態の銀塩乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、銀塩乳剤層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0061】
<その他の添加剤>
本実施の形態に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、公知のものを好ましく用いることができる。
[その他の層構成]
銀塩乳剤層の上に図示しない保護層を設けてもよい。本実施の形態において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する銀塩乳剤層上に形成される。その厚みは0.5μm以下が好ましい。保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法及び形成方法を適宜選択することができる。また、銀塩乳剤層よりも下に、例えば下塗り層を設けることもできる。
【0062】
次に、第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの作製方法の各工程について説明する。
[露光]
本実施の形態では、第1導電部16A及び第2導電部16Bを印刷方式によって施す場合を含むが、印刷方式以外は、第1導電部16A及び第2導電部16Bを露光と現像等によって形成する。すなわち、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に設けられた銀塩含有層を有する感光材料又はフォトリソグラフィ用フォトポリマーを塗工した感光材料への露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
【0063】
[現像処理]
本実施の形態では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して600ml/m2以下が好ましく、500ml/m2以下がさらに好ましく、300ml/m2以下が特に好ましい。
【0064】
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。上記水洗処理又は安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m2当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
本実施の形態における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透光性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
以上の工程を経て導電シートは得られるが、得られた第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの表面抵抗は0.1〜100オーム/sq.の範囲にあることが好ましい。下限値は、1オーム/sq.以上、3オーム/sq.以上、5オーム/sq.以上、10オーム/sq.以上であることが好ましい。上限値は、70オーム/sq.以下、50オーム/sq.以下であることが好ましい。このような範囲に表面抵抗を調整することで、面積が10cm×10cm以上の大型のタッチパネルでも位置検出を行うことができる。また、現像処理後の第1導電シート10A及び第2導電シート10Bに対しては、さらにカレンダー処理を行ってもよく、カレンダー処理により所望の表面抵抗に調整することができる。
【0065】
[物理現像及びめっき処理]
本実施の形態では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部の導電性を向上させる目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はめっき処理を行ってもよい。本発明では物理現像又はめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよく、物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよい。なお、金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施したものを含めて「導電性金属部」と称する。
本実施の形態における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフイルム、インスタントスライドフイルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
本実施の形態において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、又は無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。本実施の形態における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
【0066】
[酸化処理]
本実施の形態では、現像処理後の金属銀部、並びに、物理現像及び/又はめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性を略100%にすることができる。
【0067】
[導電性金属部]
本実施の形態の導電性金属部(金属細線20)の線幅は、上述したように、下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は15μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネルに使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると導電性金属部に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネルに使用した際に視認性が悪くなったりする。なお、上記範囲にあることで、導電性金属部のモアレが改善され、視認性が特によくなる。第1格子22aの一辺の長さは30μm以上500μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは50μm以上400μm以下、最も好ましくは100μm以上350μm以下である。また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は200μmより広い部分を有していてもよい。
本実施の形態における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、第1導電パターン、第1補助パターン、第2導電パターン、第2補助パターン等の導電部を除いた透光性部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅15μm、ピッチ300μmの正方形の格子状の開口率は、90%である。
【0068】
[光透過性部]
本実施の形態における「光透過性部」とは、第1導電シート10A及び第2導電シート10Bのうち導電性金属部以外の透光性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、第1透明基体14A及び第2透明基体14Bの光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
露光方法に関しては、ガラスマスクを介した方法やレーザー描画によるパターン露光方式が好ましい。
【0069】
[第1導電シート10A及び第2導電シート10B]
本実施の形態に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bにおける第1透明基体14A及び第2透明基体14Bの厚さは、50μm以上350μm以下が好ましく、さらに好ましくは80μm以上250μmであり、特に好ましくは100μm以上200μm以下である。50〜350μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。また、第1導電パターン18A及び第2導電パターン18B間の寄生容量も低減させることができる。
第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に設けられる金属銀部の厚さは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に塗布される銀塩含有層用塗料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属銀部の厚さは、0.001mm〜0.2mmから選択可能であるが、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、金属銀部はパターン状であることが好ましい。金属銀部は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。金属銀部がパターン状であり、且つ、2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。
【0070】
導電性金属部の厚さは、タッチパネルの用途としては、薄いほど表示パネルの視野角が広がるため好ましく、視認性の向上の点でも薄膜化が要求される。このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
本実施の形態では、上述した銀塩含有層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部を形成し、さらに物理現像及び/又はめっき処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する第1導電シート10A及び第2導電シート10Bであっても容易に形成することができる。
なお、本実施の形態に係る第1導電シート10Aや第2導電シート10Bの製造方法では、めっき等の工程は必ずしも行う必要はない。本実施の形態に係る第1導電シート10Aや第2導電シート10Bの製造方法では銀塩乳剤層の塗布銀量、銀/バインダー体積比を調整することで所望の表面抵抗を得ることができるからである。なお、必要に応じてカレンダー処理等を行ってもよい。
【0071】
(現像処理後の硬膜処理)
銀塩乳剤層に対して現像処理を行った後に、硬膜剤に浸漬して硬膜処理を行うことが好ましい。硬膜剤としては、例えば、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びほう酸等の特開平2−141279号に記載のものを挙げることができる。
[積層導電シート]
積層導電シート12には、反射防止層やハードコート層等の機能層を付与してもよい。
【0072】
なお、本発明は、下記表1及び表2に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【実施例】
【0075】
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[第1実施例]
第1実施例は、実施例1〜9に係る積層導電シート12について、第1格子22aの一辺の長さ、金属細線20の線幅、代表的に第2導電パターン18Bの表面抵抗を測定し、モアレ及び視認性を評価した。実施例1〜9の内訳並びに評価結果を表3に示す。
<実施例1〜9>
(ハロゲン化銀感光材料)
水媒体中のAg150gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
また、この乳剤中にはK3Rh2Br9及びK2IrCl6を濃度が10−7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、さらに塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が10g/m2となるように、厚みが150μmの第1透明基体14A及び第2透明基体14B(ここでは、共にポリエチレンテレフタレート(PET))上に塗布した。この際、Ag/ゼラチン体積比は2/1とした。
幅30cmのPET支持体に25cmの幅で20m分塗布を行ない、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
(露光)
露光のパターンは、第1導電シート10Aについては図4に示すパターンで、第2導電シート10Bについては図5に示すパターンで、A4サイズ(210mm×297mm)の第1透明基体14A及び第2透明基体14Bに行った。露光は上記パターンのフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光した。
【0076】
(現像処理)
・現像液1L処方
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
・定着液1L処方
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3−ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
上記処理剤を用いて露光済み感材を、富士フイルム社製自動現像機 FG−710PTSを用いて処理条件:現像35℃ 30秒、定着34℃ 23秒、水洗 流水(5L/分)の20秒処理で行った。
【0077】
(実施例1)
作製した第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの導電部(第1導電パターン18A、第2導電パターン18B)における第1格子22aの一辺の長さを30μm(第2格子22bの一辺の長さを60μm)とし、金属細線20の線幅を1μmとした。
(実施例2)
第1格子22aの一辺の長さを40μm(第2格子22bの一辺の長さを80μm)、金属細線20の線幅を3μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例3)
第1格子22aの一辺の長さを50μm(第2格子22bの一辺の長さを100μm)、金属細線20の線幅を4μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例4)
第1格子22aの一辺の長さを80μm(第2格子22bの一辺の長さを160μm)、金属細線20の線幅を5μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例5)
第1格子22aの一辺の長さを100μm(第2格子22bの一辺の長さを200μm)、金属細線20の線幅を8μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例6)
第1格子22aの一辺の長さを250μm(第2格子22bの一辺の長さを500μm)、金属細線20の線幅を9μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例7)
第1格子22aの一辺の長さを350μm(第2格子22bの一辺の長さを700μm)、金属細線20の線幅を10μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例7に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例8)
第1格子22aの一辺の長さを400μm(第2格子22bの一辺の長さを800μm)、金属細線20の線幅を15μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例9)
第1格子22aの一辺の長さを500μm(第2格子22bの一辺の長さを1000μm)、金属細線20の線幅を15μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例9に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
【0078】
(表面抵抗測定)
検出精度の良否を確認するために、第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの表面抵抗率をダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP(型番MCP−T610)直列4探針プローブ(ASP)にて任意の10箇所測定した値の平均値である。
(透過率の測定)
第1透明基体14Aの透明性の良否を確認するために、第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの透光部の透過率を分光光度計を用いて測定した。
(モアレの評価)
実施例1〜9について、第2導電シート10B上に第1導電シート10Aを積層して積層導電シート12を作製し、その後、表示装置108(液晶ディスプレイ)の表示画面に積層導電シート12を貼り付けてタッチパネル100を構成した。その後、タッチパネル100を回転盤に設置し、表示装置108を駆動して白色を表示させる。その状態で、回転盤をバイアス角−45°〜+45°の間で回転し、モアレの目視観察・評価を行った。
モアレの評価は、表示装置108の表示画面110aから観察距離1.5mで行い、モアレが顕在化しなかった場合を○、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られた場合を△、モアレが顕在化した場合を×とした。
(視認性の評価)
上述のモアレの評価に先立って、タッチパネル100を回転盤に設置し、表示装置108を駆動して白色を表示させた際に、線太りや黒い斑点がないかどうか、また、タッチパネルの第1導電パターン18A及び第2導電パターン18B、第1電極24A及び第2電極24Bの境界が目立つかどうかを肉眼で確認した。
【0079】
【表3】
【0080】
表3から、実施例1〜9のうち、実施例1〜8は、導電性、透過率、モアレ、視認性共に良好であった。実施例9はモアレの評価及び視認性の評価が実施例1〜8よりも劣っているが、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られる程度であり、表示装置108の表示画像が見え難くなるということはなかった。
このことから、第1格子22aの一辺の長さは30〜500μmであることが好ましく、さらに好ましくは50〜400μmであり、特に好ましくは100〜350μmである。また、金属細線20の線幅は、下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は15μm、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましいことがわかる。
【0081】
[第2実施例]
第2実施例は、実施例11〜17並びに参考例11及び12に係る積層導電シート12について、第1透明基体14Aの厚みを変えた場合の検出感度及び視認性を評価した。実施例11〜17、参考例11及び12の内訳並びに評価結果を表4に示す。
(実施例11)
作製した第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの導電部(第1導電パターン18A、第2導電パターン18B)における第1格子22aの一辺の長さを80μm(第2格子22bの一辺の長さを160μm)とし、金属細線20の線幅を5μmとし、第1透明基体14Aの厚みを50μmとした点以外は、上述した実施例1と同様にして、実施例11に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例12)
第1透明基体14Aの厚みを80μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例12に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例13)
第1透明基体14Aの厚みを100μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例13に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例14)
第1透明基体14Aの厚みを150μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例14に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例15)
第1透明基体14Aの厚みを200μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例15に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例16)
第1透明基体14Aの厚みを250μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例16に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例17)
第1透明基体14Aの厚みを350μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例17に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
【0082】
(参考例11)
第1透明基体14Aの厚みを30μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、参考例11に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(参考例12)
第1透明基体14Aの厚みを400μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、参考例12に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(検出感度の評価)
タッチパネル100に対して指を一定方向に移動させることで、検出波形を取得し、取得した検出波形に基づいて検出感度を求めた。検出感度が予め設定したしきい値の110%を超えていれば「◎」、しきい値の90%以上、110%以下であれば「○」、しきい値の90%未満であれば「△」とした。
実施例11〜17、参考例11及び12の結果を表4に示す。
【0083】
【表4】
【0084】
表4から、参考例11は視認性については良好であったが、検出感度が悪かった。これは、第1透明基体14Aの厚みが30μmと薄いため、第1導電パターン18Aと第2導電パターン18Bとの間の寄生容量が大きく、この寄生容量の存在により、検出感度が悪化したものと考えられる。参考例12は検出感度及び視認性共に評価が悪かった。これは、第1透明基体14Aの厚みが400μmと非常に厚いため、自己容量方式の場合においては、第2導電パターン18Bにおいて指のタッチ位置が認識し難くなり、相互容量方式の場合においては、第2電極24B(駆動電極)からの発信信号が第1電極24A(受信電極)にて受信し難くなったものと考えられる。また、視認性の評価が悪くなった原因は、第1透明基体14Aの厚みが400μmと非常に厚いため、透光部での透過率が80%と低く、透明性が低下したことによる。
これに対して、実施例11〜17は共に検出感度及び視認性が良好であった。特に、実施例13〜15は検出感度が非常に良好であった。
このことから、第1導電部16Aと第2導電部16B間に介在する透明基体(ここでは第1透明基体14A)の厚みは、50μm以上350μm以下が好ましく、さらに好ましくは80μm以上250μmであり、特に好ましくは100μm以上200μm以下であることがわかる。
【0085】
[第3実施例]
第3実施例は、実施例21〜29並びに参考例21及び22に係る積層導電シート12について、第1導電パターン18Aにおける金属細線20の占有面積A1と、第2導電パターン18Bにおける金属細線20の占有面積A2との比(A2/A1)、並びに第1電極24Aにおける金属細線20の占有面積a1と、第2電極24Bにおける金属細線20の占有面積a2との比(a2/a1)を変えた場合の第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bの表面抵抗の変化を確認し、併せて検出感度を評価した。実施例21〜29、参考例21及び22の内訳並びに評価結果を表5に示す。
(実施例21)
作製した第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの導電部(第1導電パターン18A、第2導電パターン18B)における第1格子22aの一辺の長さを80μm(第2格子22bの一辺の長さを160μm)とし、金属細線20の線幅を5μmとし、第1透明基体14Aの厚みを150μmとし、占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に2とした点以外は、上述した実施例1と同様にして、実施例21に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例22)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に3とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例22に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例23)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に3.3とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例23に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例24)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に5とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例24に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例25)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に7とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例25に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例26)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に8とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例22に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例27)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に10とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例27に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例28)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に15とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例28に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例29)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に20とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例29に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
【0086】
(参考例21)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に1とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、参考例21に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(参考例22)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に25とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、参考例22に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
【0087】
【表5】
【0088】
表5から、参考例21及び22は検出感度が共に悪かった。参考例21については、第2導電パターン18Bの表面抵抗が75オーム/sq.と高く、電磁波によるノイズの影響を抑制できなかったものと考えられる。参考例22については、第2導電パターン18Bの表面抵抗は大幅に低下したが、第1導電パターン18Aの表面抵抗が反対に150オーム/sq.と大きくなり、第1電極24Aでの検出感度が低下したことが原因であると考えられる。
これに対して、実施例21〜29は共に検出感度が良好であった。特に、実施例23〜26は検出感度が非常に良好であった。
このことから、第1導電パターン18Aにおける金属細線20の占有面積A1と第2導電パターン18Bにおける金属細線20の占有面積A2との比が1<A2/A1≦20であることが好ましく、さらに好ましくは、1<A2/A1≦10であり、特に好ましくは2≦A2/A1≦10であることがわかる。また、第1電極24Aにおける金属細線20の占有面積a1、第2電極24Aにおける金属細線20の占有面積a2との比が1<a2/a1≦20であることが好ましく、さらに好ましくは、1<a2/a1≦10であり、特に好ましくは、2≦a2/a1≦10であることがわかる。
なお、本発明に係る導電シート及びタッチパネルは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0089】
10A…第1導電シート 10B…第2導電シート
12、12a〜12c…積層導電シート 14A…第1透明基体
14B…第2透明基体 16A…第1導電部
16B…第2導電部 18A…第1導電パターン
18B…第2導電パターン 20…金属細線
22a…第1格子 22b…第2格子
24A…第1電極 24B…第2電極
25A…第1接続部 25B…第2接続部
26A…第1補助パターン 26B…第2補助パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電シート及びタッチパネルに関し、例えば投影型静電容量方式のタッチパネルに用いて好適な導電シート及びタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
金属細線を用いた透明導電膜については、例えば、特許文献1及び2で開示されているように、研究が継続されている。
近時、タッチパネルが注目されている。タッチパネルは、PDA(携帯情報端末)や携帯電話等の小サイズへの適用が主となっているが、パソコン用ディスプレイ等への適用による大サイズ化が進むと考えられる。
このような将来の動向において、従来の電極は、ITO(酸化インジウムスズ)を用いていることから、抵抗が大きく、適用サイズが大きくなるにつれて、電極間の電流の伝達速度が遅くなり、応答速度(指先を接触してからその位置を検出するまでの時間)が遅くなるという問題がある。
そこで、金属製の細線(金属細線)にて構成した格子を多数並べて電極を構成することで表面抵抗を低下させることが考えられる。金属細線を電極に用いたタッチパネルとしては、例えば、特許文献3〜10が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0229028号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/001461号パンフレット
【特許文献3】特開平5−224818号公報
【特許文献4】米国特許第5113041号明細書
【特許文献5】国際公開第1995/27334号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/0239650号明細書
【特許文献7】米国特許第7202859号明細書
【特許文献8】国際公開第1997/18508号パンフレット
【特許文献9】特開2003−099185号公報
【特許文献10】国際公開第2005/121940号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献3〜10のように、タッチパネルの電極として、金属細線を用いる場合、金属細線が不透明な材料で作製されることから透明性や視認性が問題となる。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、タッチパネルにおいて、金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができると共に視認性の向上を図ることができ、しかも、検出感度の向上を図ることができる導電シート及びタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1] 第1の本発明に係る導電シートは、一方向に配列する複数の導電パターンを有し、前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、前記第2格子で構成された第2格子部が前記一方向に配列され、前記一方向と略直交する方向に配列され、且つ、所定間隔で設けられた、前記第1格子から構成される第1格子部は前記第2格子部と非接続状態で配置されていることを特徴とする。
これにより、導電パターンを、金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とを組み合わせて構成したので、金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができると共に視認性の向上を図ることができる。また、第2格子部を電極の接続部等とし、第1格子をダミーパターン等として用いることが可能となり、様々な用途の導電パターン(例えばタッチパネル用の導電シート等)として使用することができる。
[2] 第1の本発明において、前記第1格子部は、2以上の前記第1格子が前記一方向に配列された構成を有するようにしてもよい。
[3] 第1の本発明において、前記第1格子部は、前記第1格子の頂角を含むL字状のパターンであってもよい。
[4] 第1の本発明において、前記第1格子部は、前記第1格子の頂角を含む十字状のパターンであってもよい。
[5] 第2の本発明に係る導電シートは、一方向に配列する複数の導電パターンを有し、前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、前記第1格子で構成された第1格子部と前記第2格子で構成された第2格子部とが電気的に接続された状態で、交互に前記一方向と略直交する方向に配列され、前記第1格子部の前記一方向に沿った長さと前記第2格子部の前記一方向に沿った長さとが略同じであることを特徴とする。
これにより、導電パターンを、金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とを組み合わせて構成したので、金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができると共に視認性の向上を図ることができる。また、第1格子部を電極とし、第2格子部を接続部として構成することができ、しかも、前記第1格子部の前記一方向に沿った長さと前記第2格子部の前記一方向に沿った長さとを略同じにしたので、導電性が良好となり、検出感度の向上につながる。
[6] 第2の本発明において、前記第1格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL1、前記第2格子部の前記第1格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL2としたとき、L1<L2であってもよい。例えば相互容量方式を採用した場合に、第1格子部を受信電極とすることで、受信感度を高めることが可能となる。
[7] この場合、1.5×L1≦L2≦6×L1であることが好ましい。
[8] 第2の本発明において、前記第1格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL1、前記第2格子部の前記第1格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL2としたとき、L1>L2であってもよい。例えば相互容量方式を採用した場合に、第2格子部を駆動電極とすることで、検出感度を高めることが可能となる。
[9] この場合、1.5×L2≦L1≦6×L2であることが好ましい。
[10] 第3の本発明に係る導電シートは、対向して配置された第1導電部及び第2導電部を有し、前記第1導電部は、一方向に配列する複数の第1導電パターンを有し、前記第2導電部は、前記第1導電パターンの配列方向と直交する方向に配列する複数の第2導電パターンを有し、前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンは共に金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、前記第1導電パターンは、前記第2導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第2導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、前記第2導電パターンは、前記第1導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第1導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、上面から見たとき、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、複数の前記第1格子が組み合わされた形態を有することを特徴とする。
これにより、第1導電パターン及び第2導電パターンが共に複数の第1格子と複数の第2格子とが組み合わされて構成され、第1導電パターンのうち、第2導電パターンと対向する部分が複数の第2格子にて構成され、第2導電パターンと対向しない部分が複数の第1格子にて構成されており、また、第2導電パターンのうち、第1導電パターンと対向する部分が複数の第2格子にて構成され、第1導電パターンと対向しない部分が複数の第1格子にて構成されていることから、上面から見たとき、第1導電パターンと第2導電パターンとが対向する部分が、複数の第1格子が組み合わされた形態を有することとなり、全体として複数の第1格子が配列された状態となる。その結果、第1導電パターンと第2導電パターンとの境界をほとんど見分けることができなくなり、タッチパネルにおいて、金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、視認性の向上を図ることができる。
[11] 第3の本発明において、前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンは共に帯状に形成され、前記第2導電パターンの最大幅は、前記第1導電パターンの最大幅よりも大きいことを特徴とする。これにより、第2導電パターンの金属細線の占有面積を大きくことが可能となり、第2導電パターンの表面抵抗の低抵抗化、電磁波によるノイズの影響を抑制することが可能となる。
[12] この場合、前記第1導電パターンの最大幅をWa、前記第2導電パターンの最大幅をWbとしたとき、前記最大幅Wa及びWbの比(Wb/Wa)は、1<Wb/Wa≦10であることが好ましい。
[13] さらに好ましくは、2≦Wb/Wa≦8である。
[14] 特に好ましくは、3≦Wb/Wa≦5である。
[15] 第3の本発明において、前記第2導電パターンにおける前記金属細線の占有面積が前記第1導電パターンにおける前記金属細線の占有面積よりも大きいことを特徴とする。これにより、第2導電パターンの表面抵抗の低抵抗化、電磁波によるノイズの影響を抑制することが可能となる。
[16] この場合、前記第1導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA1、前記第2導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA2としたとき、1<A2/A1≦20であることが好ましい。
[17] さらに好ましくは、1<A2/A1≦10である。
[18] 特に好ましくは、2≦A2/A1≦10である。
[19] 第3の本発明において、前記第1導電パターンのうち、複数の前記第1格子にて構成された部分が第1電極を構成し、前記第2導電パターンのうち、複数の前記第1格子にて構成された部分が第2電極を構成し、上面から見たとき、前記第1電極、前記第2電極及び前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、均一な格子パターンを構成することを特徴とする。これにより、第1電極と第2電極との境界をほとんど見分けることができなくなり、視認性が向上する。
[20] この場合、前記第1電極における前記金属細線の占有面積をa1、前記第2電極における前記金属細線の占有面積をa2としたとき、1<a2/a1≦20であることが好ましい。
[21] さらに好ましくは、1<a2/a1≦10である。
[22] 特に好ましくは、2≦a2/a1≦10である。
[23] 第3の本発明において、前記第1導電部は、隣接する前記第1導電パターン間に、前記第1導電パターンと非接続とされた第1補助パターンを有し、前記第2導電部は、隣接する前記第2導電パターン間に、前記第2導電パターンと非接続とされた第2補助パターンを有し、上面から見たとき、前記第1補助パターンと前記第2補助パターンとが対向することによる組合せパターンが形成され、該組合せパターンは複数の前記第1格子が組み合わされた形態を有することを特徴とする。これにより、第1電極と第2電極との境界をほとんど見分けることができなくなり、視認性が向上する。
[24] 第1〜第3の本発明において、前記第1格子の一辺の長さが30〜500μmであることが好ましい。
[25] また、前記金属細線の線幅が15μm以下であることが好ましい。これにより、タッチパネルにおいて、金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができると共に視認性の向上を図ることができ、しかも、検出感度の向上を図ることができる。
[26] また、前記第1導電部と第2導電部とが基体を介して対向する場合は、前記基体の厚みが50μm〜350μmであることが好ましい。これにより、検出感度と視認性を向上させることができる。
[27] 第1〜第3の本発明において、前記第2格子の一辺の長さは、前記第1格子の一辺の長さの実数倍の長さを有するようにしてもよい。
[28] この場合、前記第2格子の一辺の長さは、前記第1格子の一辺の長さの2倍の長さを有するようにしてもよい。
[29] 第4の本発明に係るタッチパネルは、表示装置の表示パネル上に配置される導電シートを有するタッチパネルであって、前記導電シートは、一方向に配列する複数の導電パターンを有し、前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、前記第2格子で構成された第2格子部が前記一方向に配列され、前記一方向と略直交する方向に配列され、且つ、所定間隔で設けられた、前記第1格子から構成される第1格子部は前記第2格子部と非接続状態で配置されていることを特徴とする。
[30] 第5の本発明に係るタッチパネルは、表示装置の表示パネル上に配置される導電シートを有するタッチパネルであって、前記導電シートは、一方向に配列する複数の導電パターンを有し、前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、前記第1格子で構成された第1格子部と前記第2格子で構成された第2格子部とが電気的に接続された状態で、交互に前記一方向と略直交する方向に配列され、前記第1格子部の前記一方向に沿った長さと前記第2格子部の前記一方向に沿った長さとが略同じであることを特徴とする。
[31] 第6の本発明に係るタッチパネルは、表示装置の表示パネル上に配置される導電シートを有するタッチパネルであって、前記導電シートは、入力操作側に配置された第1導電部と、前記表示パネル側に配置された第2導電部とを有し、前記第1導電部と前記第2導電部とが対向して配置され、前記第1導電部は、一方向に配列する複数の第1導電パターンを有し、前記第2導電部は、前記第1導電パターンの配列方向と直交する方向に配列する複数の第2導電パターンを有し、前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンは共に金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、前記第1導電パターンは、前記第2導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第2導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、前記第2導電パターンは、前記第1導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第1導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、上面から見たとき、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、複数の前記第1格子が組み合わされた形態を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように、本発明に係る導電シート及びタッチパネルによれば、タッチパネルにおいて、金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができると共に視認性の向上を図ることができ、しかも、検出感度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態に係るタッチパネルの構成を示す分解斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る積層導電シートを一部省略して示す分解斜視図である。
【図3】図3Aは積層導電シートの一例を一部省略して示す断面図であり、図3Bは積層導電シートの他の例を一部省略して示す断面図である。
【図4】第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図である。
【図5】第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図6】第1導電シートと第2導電シートを組み合わせて第1積層導電シートとした例を一部省略して示す平面図である。
【図7】図7Aは第1変形例に係る積層導電シートの第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図であり、図7Bは同じく第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図8】図8Aは第2変形例に係る積層導電シートの第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図であり、図8Bは同じく第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図9】図9Aは第3変形例に係る積層導電シートの第1導電シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図であり、図9Bは同じく第2導電シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図10】本実施の形態に係る導電シートの製造方法を示すフローチャートである。
【図11】図11Aは作製された感光材料を一部省略して示す断面図であり、図11Bは感光材料に対する両面同時露光を示す説明図である。
【図12】第1感光層に照射された光が第2感光層に到達せず、第2感光層に照射された光が第1感光層に到達しないようにして第1露光処理及び第2露光処理を行っている状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る導電シート及びタッチパネルの実施の形態例を図1〜図12を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0009】
先ず、本実施の形態に係る導電シートが使用されるタッチパネル100について、図1を参照しながら説明する。
タッチパネル100は、センサ本体102と図示しない制御回路(IC回路等で構成)とを有する。センサ本体102は、本実施の形態に係る積層導電シート12と、その上に積層された保護層106とを有する。積層導電シート12及び保護層106は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置108における表示パネル110上に配置されるようになっている。センサ本体102は、上面から見たときに、表示パネル110の表示画面110aに対応した領域に配されたタッチ位置のセンサ部112と、表示パネル110の外周部分に対応する領域に配された端子配線部114(いわゆる額縁)とを有する。
【0010】
積層導電シート12は、図2に示すように、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bとが積層されて構成されている。
第1導電シート10Aは、第1透明基体14A(図3A参照)の一主面上に形成された第1導電部16Aを有する。この第1導電部16Aは、図4にも示すように、それぞれ第1方向(x方向)に延びる複数の帯状の第1導電パターン18Aを有する。これら複数の第1導電パターン18Aは第2方向(第1方向と直交する方向:y方向)に配列されている。
各第1導電パターン18Aは、金属細線20による複数の第1格子22aと、該第1格子22aよりもサイズが大きい金属細線20による複数の第2格子22bとが組み合わされて構成されている。特に、後述するように、この第1導電パターン18Aは、第2導電シート10B上に第1導電シート10Aを積層して第1導電部16Aと第2導電部16Bとを対向させた場合に、第2導電パターン18Bと対向する部分が複数の第2格子22bにて構成され、第2導電パターン18Bと対向しない部分が複数の第1格子22aにて構成されている。この複数の第1格子22aにて構成された部分が第1電極24Aとなり、複数の第2格子22bにて構成された部分が第1接続部25Aとなる。すなわち、第1導電パターン18Aは、複数の第1電極24Aがそれぞれ第1接続部25Aを介して第1方向(x方向)に配列された形態となる。換言すれば、第1電極24Aとそれに隣接する第1接続部25Aとを1つの繰り返しパターンPrとして、複数個の繰り返しパターンPrが第1方向(x方向)に配列された形態となっている。
【0011】
第1格子22a及び第2格子22bはそれぞれひし形(正方形を含む)にて構成され、第1格子22aと第2格子22bは相似形を有し、第2格子22bの一辺の長さは、第1格子22aの一辺の長さのm倍(mは1より大きい実数)の長さを有する。図4の例では、第2格子22bの一辺の長さを、第1格子22aの一辺の長さの2倍に設定した場合を示す。もちろん、第1格子22aの一辺の長さの1.5倍、2.5倍、3倍等、種々の組み合わせに設定することができる。第1格子22aの一辺の長さは30〜500μmであることが好ましく、さらに好ましくは50〜400μmであり、特に好ましくは100〜350μmである。また、第1格子22a及び第2格子22bの頂角は60°〜120°から適宜選択することができる。
【0012】
また、第1導電部16Aは、隣接する第1導電パターン18A間に、第1導電パターン18Aと非接続とされた第1補助パターン26Aを有する。この第1補助パターン26Aは、複数(図4の例では6つ)の第1格子22aが第2方向に配列された形態を有し、特に、両側の第1格子22aの端部(第1導電パターン18Aに対向する部分)は屈曲部が切除された形状とされて第1導電パターン18Aと非接続とされている。すなわち、第2格子22bにて構成された第1接続部25Aが第2方向(y方向)に配列され、所定間隔で設けられた、第1格子22aから構成される第1補助パターン26Aが、第1接続部25Aと非接続状態で配置された形態となっている。
【0013】
金属細線20は例えば金(Au)、銀(Ag)又は銅(Cu)で構成されている。また、金属細線20の線幅は、下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は15μm、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネル100に使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると導電性金属部に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネル100に使用した際に視認性が悪くなったりする。なお、上記範囲にあることで、金属細線20による導電パターンのモアレが改善され、視認性が特によくなる。また、少なくとも第1透明基体14Aの厚みは50μm以上350μm以下が好ましく、さらに好ましくは80μm以上250μmであり、特に好ましくは100μm以上200μm以下となっている。
図2に示すように、各第1導電パターン18Aの一方の端部は、第1結線部40aを介して金属細線20による第1端子配線パターン42aに電気的に接続されている。
【0014】
一方、第2導電シート10Bは、図2、図3A及び図5に示すように、第2透明基体14B(図3A参照)の一主面上に形成された第2導電部16Bを有する。この第2導電部16Bは、図5にも示すように、それぞれ第2方向(y方向)に延びる複数の帯状の第2導電パターン18Bを有する。これら複数の第2導電パターン18Bは第1方向(x方向)に配列されている。
各第2導電パターン18Bは、上述した第1導電パターン18Aと同様に、金属細線20による複数の第1格子22aと複数の第2格子22bとが組み合わされて構成されている。特に、この第2導電パターン18Bは、第1導電部16Aと第2導電部16Bとを対向させた場合に、第1導電パターン18Aと対向する部分が複数の第2格子22bにて構成され、第1導電パターン18Aと対向しない部分が複数の第1格子22aにて構成されている。この複数の第1格子22aにて構成された部分が第2電極24Bとなり、複数の第2格子22aにて構成された部分が第2接続部25Bとなる。すなわち、第2導電パターン18Bは、複数の第2電極24Bがそれぞれ第2接続部25Bを介して第2方向(y方向)に配列された形態となる。換言すれば、第2電極24Bとそれに隣接する第2接続部25Bとを1つの繰り返しパターンPrとして、複数個の繰り返しパターンPrが第2方向(y方向)に配列された形態となっている。
【0015】
また、第1導電部16Aと第2導電部16Bとを対向させた場合、第1導電パターン18Aのうち、複数の第2格子22bで構成された第1接続部25Aと、第2導電パターン18Bのうち、複数の第2格子22bで構成された第2接続部25Bとが対向することになるが、このとき、第2導電パターン18Bにおける第2格子22bの交差部が第1導電パターン18Aにおける第2格子22bの開口部中央に位置するように設定されている。
さらに、第2導電部16Bは、隣接する第2導電パターン18B間に、第2導電パターン18Bと非接続とされた第2補助パターン26Bを有する。この第2補助パターン26Bは、複数のL字状の補助線28が第2方向(y方向)に配列された形態を有する。この補助線28は、第1補助パターン26Aの両側に配された第1格子22aの端部の切除部分を補完するようなL字状とされている。すなわち、第2格子22bにて構成された第2接続部25Bが第1方向(x方向)に配列され、所定間隔で設けられた、第1格子22aから構成される第2補助パターン26Bが、第2接続部25Bと非接続状態で配置された形態となっている。
また、図2に示すように、1つ置き(例えば奇数番目)の各第2導電パターン18Bの一方の端部、並びに偶数番目の各第2導電パターン18Bの他方の端部は、それぞれ第2結線部40bを介して金属細線20による第2端子配線パターン42bに電気的に接続されている。
【0016】
タッチパネル100に適用した第1導電シート10Aは、図2に示すように、センサ部112に対応した部分に、上述した多数の第1導電パターン18Aが配列され、端子配線部114には各第1結線部40aから導出された金属細線20による複数の第1端子配線パターン42aが配列されている。
図1の例では、第1導電シート10Aの外形は、上面から見て長方形状を有し、センサ部112の外形も長方形状を有する。端子配線部114のうち、第1導電シート10Aの一方の長辺側の周縁部には、その長さ方向中央部分に、複数の第1端子116aが前記一方の長辺の長さ方向に配列形成されている。また、センサ部112の一方の長辺(第1導電シート10Aの一方の長辺に最も近い長辺:y方向)に沿って複数の第1結線部40aが直線状に配列されている。各第1結線部40aから導出された第1端子配線パターン42aは、第1導電シート10Aの一方の長辺における略中央部に向かって引き回され、それぞれ対応する第1端子116aに電気的に接続されている。従って、センサ部112における一方の長辺の両側に対応する各第1結線部40aに接続された第1端子配線パターン42aは、略同じ長さにて引き回されることになる。もちろん、第1端子116aを第1導電シート10Aのコーナー部やその近傍に形成してもよいが、複数の第1端子配線パターン42aのうち、最も長い第1端子配線パターン42aと最も短い第1端子配線パターン42aとの間に大きな長さ上の違いが生じ、最も長い第1端子配線パターン42aとその近傍の複数の第1端子配線パターン42aに対応する第1導電パターン18Aへの信号伝達が遅くなるという問題がある。そこで、本実施の形態のように、第1導電シート10Aの一方の長辺の長さ方向中央部分に、第1端子116aを形成することで、局所的な信号伝達の遅延を抑制することができる。これは、応答速度の高速化につながる。
【0017】
一方、タッチパネル100に適用した第2導電シート10Bは、図2に示すように、センサ部112に対応した部分に、多数の第2導電パターン18Bが配列され、端子配線部114には各第2結線部40bから導出された複数の第2端子配線パターン42bが配列されている。
図1に示すように、端子配線部114のうち、第2導電シート10Bの一方の長辺側の周縁部には、その長さ方向中央部分に、複数の第2端子116bが前記一方の長辺の長さ方向に配列形成されている。また、センサ部112の一方の短辺(第2導電シート10Bの一方の短辺に最も近い短辺:x方向)に沿って複数の第2結線部40b(例えば奇数番目の第2結線部40b)が直線状に配列され、センサ部112の他方の短辺(第2導電シート10Bの他方の短辺に最も近い短辺:x方向)に沿って複数の第2結線部40b(例えば偶数番目の第2結線部40b)が直線状に配列されている。
複数の第2導電パターン18Bのうち、例えば奇数番目の第2導電パターン18Bが、それぞれ対応する奇数番目の第2結線部40bに接続され、偶数番目の第2導電パターン18Bが、それぞれ対応する偶数番目の第2結線部40bに接続されている。奇数番目の第2結線部40bから導出された第2端子配線パターン42b並びに偶数番目の第2結線部40bから導出された第2端子配線パターン42bは、第2導電シート10Bの一方の長辺における略中央部に向かって引き回され、それぞれ対応する第2端子116bに電気的に接続されている。従って、例えば第1番目と第2番目の第2端子配線パターン42bは、略同じ長さにて引き回され、以下同様に、第2n−1番目と第2n番目の第2端子配線パターン42bは、それぞれ略同じ長さにて引き回されることになる(n=1、2、3・・・)。
もちろん、第2端子116bを第2導電シート10Bのコーナー部やその近傍に形成してもよいが、上述したように、最も長い第2端子配線パターン42bとその近傍の複数の第2端子配線パターン42bに対応する第2導電パターン18Bへの信号伝達が遅くなるという問題がある。そこで、本実施の形態のように、第2導電シート10Bの一方の長辺の長さ方向中央部分に、第2端子116bを形成することで、局所的な信号伝達の遅延を抑制することができる。これは、応答速度の高速化につながる。
【0018】
なお、第1端子配線パターン42aの導出形態を上述した第2端子配線パターン42bと同様にし、第2端子配線パターン42bの導出形態を上述した第1端子配線パターン42aと同様にしてもよい。
そして、この積層導電シート12をタッチパネル100として使用する場合は、第1導電シート10A上に保護層106を形成し、第1導電シート10Aの多数の第1導電パターン18Aから導出された第1端子配線パターン42aと、第2導電シート10Bの多数の第2導電パターン18Bから導出された第2端子配線パターン42bとを、例えばスキャンをコントロールする制御回路に接続する。
【0019】
タッチ位置の検出方式としては、自己容量方式や相互容量方式を好ましく採用することができる。すなわち、自己容量方式であれば、第1導電パターン18Aに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給し、第2導電パターン18Bに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給する。指先が保護層106の上面に接触又は近接させることで、タッチ位置に対向する第1導電パターン18A及び第2導電パターン18BとGND(グランド)間の容量が増加することから、当該第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bからの伝達信号の波形が他の導電パターンからの伝達信号の波形と異なった波形となる。従って、制御回路では、第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bから供給された伝達信号に基づいてタッチ位置を演算する。一方、相互容量方式の場合は、例えば第1導電パターン18Aに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給し、第2導電パターン18Bに対して順番にセンシング(伝達信号の検出)を行う。指先が保護層106の上面に接触又は近接させることで、タッチ位置に対向する第1導電パターン18Aと第2導電パターン18B間の寄生容量に対して並列に指の浮遊容量が加わることから、当該第2導電パターン18Bからの伝達信号の波形が他の第2導電パターン18Bからの伝達信号の波形と異なった波形となる。従って、制御回路では、電圧信号を供給している第1導電パターン18Aの順番と、供給された第2導電パターン18Bからの伝達信号に基づいてタッチ位置を演算する。このような自己容量方式又は相互容量方式のタッチ位置の検出方法を採用することで、保護層106の上面に同時に2つの指先を接触又は近接させても、各タッチ位置を検出することが可能となる。なお、投影型静電容量方式の検出回路に関する先行技術文献として、米国特許第4,582,955号明細書、米国特許第4,686,332号明細書、米国特許第4,733,222号明細書、米国特許第5,374,787号明細書、米国特許第5,543,588号明細書、米国特許第7,030,860号明細書、米国公開特許2004/0155871号明細書等がある。
【0020】
本実施の形態では、端子配線部114のうち、第1導電シート10Aの一方の長辺側の周縁部における長さ方向中央部分に複数の第1端子116aを形成し、第2導電シート10Bの一方の長辺側の周縁部における長さ方向中央部分に複数の第2端子116bを形成するようにしている。特に、図1の例では、第1端子116aと第2端子116bとが重ならないように、且つ、互いに接近した状態で配列し、さらに、第1端子配線パターン42aと第2端子配線パターン42bとが上下で重ならないようにしている。なお、第1端子116aと例えば奇数番目の第2端子配線パターン42aとが一部上下で重なる形態にしてもよい。
これにより、複数の第1端子116a及び複数の第2端子116bを、2つのコネクタ(第1端子用コネクタ及び第2端子用コネクタ)あるいは1つのコネクタ(第1端子116a及び第2端子116bに接続される複合コネクタ)及びケーブルを介して制御回路に電気的に接続することができる。
また、第1端子配線パターン42aと第2端子配線パターン42bとが上下で重ならないようにしているため、第1端子配線パターン42aと第2端子配線パターン42b間での寄生容量の発生が抑制され、応答速度の低下を抑えることができる。
【0021】
第1結線部40aをセンサ部112の一方の長辺に沿って配列し、第2結線部40bをセンサ部112の両側の短辺に沿って配列するようにしたので、端子配線部114の面積を低減することができる。これは、タッチパネル100を含めた表示パネル110の小型化を促進させることができると共に、表示画面110aを印象的に大きく見せることができる。また、タッチパネル100としての操作性も向上させることができる。
端子配線部114の面積をさらに小さくするには、隣接する第1端子配線パターン42a間の距離、隣接する第2端子配線パターン42b間の距離を狭くすることが考えられるが、この場合、マイグレーションの発生防止を考慮すると、10μm以上50μm以下が好ましい。
【0022】
その他、上面から見たときに、隣接する第1端子配線パターン42a間に第2端子配線パターン42bを配置することによって、端子配線部114の面積を小さくすることが考えられるが、パターンの形成ずれがあると、第1端子配線パターン42aと第2端子配線パターン42bとが上下で重なり、配線間の寄生容量が大きくなるおそれがある。これは応答速度の低下をもたらす。そこで、このような配置構成を採用する場合は、隣接する第1端子配線パターン42a間の距離を50μm以上100μm以下にすることが好ましい。
また、図1に示すように、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bの例えば各コーナー部に、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bの貼り合わせの際に使用する位置決め用の第1アライメントマーク118a及び第2アライメントマーク118bを形成することが好ましい。この第1アライメントマーク118a及び第2アライメントマーク118bは、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bを貼り合わせて積層導電シート12とした場合に、新たな複合アライメントマークとなり、この複合アライメントマークは、該積層導電シート12を表示パネル110に設置する際に使用する位置決め用のアライメントマークとしても機能することになる。
【0023】
そして、第2導電シート10B上に第1導電シート10Aを積層して積層導電シート12としたとき、図6に示すように、第1導電パターン18Aのうち、複数の第2格子22bで構成された部分と、第2導電パターン18Bのうち、複数の第2格子22bで構成された部分とが対向することによる第1組合せパターン90Aが形成される。この場合、第2導電パターン18Bにおける第2格子22bの交差部が第1導電パターン18Aにおける第2格子22bの開口部中央に位置するように設定されているため、第1組合せパターン90Aは、複数の第1格子22aが組み合わされた形態となる。
また、第1導電部16Aと第2導電部16Bとが対向することで、第1補助パターン26Aと第2補助パターン26Bとが対向することによる第2組合せパターン90Bが形成される。このとき、第2補助パターン26Bの補助線28(図5参照)が、第1補助パターン26Aの両側に配された第1格子22aの端部の切除部分を補完する形になるため、第2組合せパターン90Bも複数の第1格子22aが組み合わされた形態となる。
【0024】
その結果、図6に示すように、全体として第1格子22aが敷き詰められた形態となり、複数の第1格子22aにて構成された第1電極24Aと第2電極24Bとの境界をほとんど見分けることができない状態となる。
ここで、例えば第1補助パターン26A及び第2補助パターン26Bを形成しなかった場合は、第2組合せパターン90Bの幅に相当する空白領域が形成され、これにより、第1電極24Aの境界、第2電極24Bの境界が目立ってしまい、視認性が劣化するという問題が生じる。これに対して、本実施の形態では、上述したように、第1補助パターン26Aと第2補助パターン26Bとの重なりにより、第1電極24Aと第2電極24Bとの境界が目立たなくなり、視認性が向上する。
【0025】
ところで、本実施の形態では、第1電極24Aと第2電極24Bとは対向しない位置関係となっているため、第1電極24Aと第2電極24Bとの間には寄生容量がほとんど形成されないが、第1導電パターン18Aの第2格子22aにて構成された部分と第2導電パターン18Bの第2格子22bにて構成された部分とが対向することから、これらの間で、寄生容量が発生することになる。しかし、第1格子22aよりもサイズの大きい第2格子22b同士の各一部が対向することになるため、金属細線20が対向するポイントが少なく、しかも、第1透明基体14Aの厚みを50μm以上350μmとしているため、第1導電パターン18Aと第2導電パターン18Bとの間に形成される寄生容量は非常に小さいものとなる。しかも、第1透明基体14Aの厚みを上述の範囲とすることで、所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
【0026】
また、この積層導電シート12においては、第2導電パターン18Bの最大幅Wb(図5参照)を、第1導電パターン18Aの最大幅Wa(図4参照)よりも大きくし、さらに、第2導電パターン18Bを構成する第1格子22aの数を、第1導電パターン18Aよりも大幅に増やすことで、第2導電パターン18Bにおける金属細線20の占有面積を第1導電パターン18Aにおける金属細線の占有面積よりも大きくなるように設定している。第1導電パターン18Aの最大幅Waと第2導電パターン18Bの最大幅Wbとの比(Wb/Wa)は1<Wb/Wa≦10が好ましく、さらに好ましくは2≦Wb/Wa≦8であり、特に好ましくは3≦Wb/Wa≦5である。図4及び図5では、Wb/Wa=2.5の例を示す。
通常、表示装置108側の第2導電パターン18Bは、電磁波によるノイズの影響を抑制することができる。すなわち、電磁波の電界成分を打ち消す方向に表皮電流が流れ、電磁波の磁界成分を打ち消す方向に渦電流が流れることで、電磁波によるノイズの影響を抑制することができる。この積層導電シート12においては、表示装置108側の第2導電パターン18Bにおける金属細線20の占有面積を第1導電パターン18Aにおける金属細線20の占有面積よりも大きくしたので、第2導電パターン18Bの表面抵抗を70オーム/sq.以下に低くすることができ、例えば表示装置108等からの電磁波によるノイズの影響を抑制する上で有利になる。
【0027】
また、この実施の形態では、第2電極24Bにおける金属細線20の占有面積を第1電極24Aにおける金属細線20の占有面積よりも大きく設定している。そのため、指のタッチ位置の検出方式として、自己容量方式を採用した場合に、指のタッチ位置から距離的に遠い第2電極24Bであっても、第1電極24Aと同等程度の信号電荷を蓄積させることができ、第1電極24Aでの検出感度と第2電極24Bでの検出感度を略同等にすることができ、信号処理の負担を低減することができると共に、検出精度の向上も図ることができる。指のタッチ位置の検出方式として、例えば相互容量方式を採用した場合においても、金属細線20の占有面積の広い第2電極24Aを駆動電極、第1電極24Aを受信電極として使用することで、第1電極24Aでの受信感度を高めることが可能となる。また、第1導電パターン18Aと第2導電パターン18Bとが一部において対向して、寄生容量が形成されたとしても、第1透明基体14Aの厚みを50μm以上350μm以下としたので、寄生容量を低く抑えることができ、検出感度の低下を抑制することができる。
【0028】
さらに、この実施の形態では、第1導電パターン18Aにおいて、第1電極24Aの第2方向(y方向)に沿った長さLa(=Wa)と第1接続部25Aの第2方向に沿った長さLb(=Wa)とを略同じにし、第2導電パターン18Bにおいて、第2電極24Bの第1方向(x方向)に沿った長さLc(=Wb)と第2接続部25Bの第1方向に沿った長さLd(=Wb)とを略同じにしたので、第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bの導電性が良好となり、検出感度の向上につながる。
【0029】
また、第1導電パターン18Aにおいて、第1電極24Aの第1方向(x方向)に沿った長さをL1a、第1接続部25Aの第1方向に沿った長さをL2aとしたとき、L1a<L2aとしている。これにより、例えば相互容量方式を採用した場合に、第1電極24Aを受信電極とすることで、受信感度を高めることが可能となる。この場合、1.5×L1a≦L2a≦6×L1aであることが好ましい。図4では、L2a=4L1aの例を示している。同様に、第2導電パターン18Bにおいて、第2電極24Bの第2方向(y方向)に沿った長さをL1b、第2接続部25Bの第2方向に沿った長さをL2bとしたとき、L1b>L2bとしている。これにより、例えば相互容量方式を採用した場合に、第2電極24Bを駆動電極とすることで、検出感度を高めることが可能となる。1.5×L2b≦L1b≦6×L2bであることが好ましい。図5ではL1b=(3/2)L2bの例を示している。
このように、積層導電シート12においては、金属細線20のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができ、しかも、検出信号のS/N比の向上、検出感度の向上、検出精度の向上を図ることができる。
【0030】
ここで、第1導電パターン18Aにおける金属細線20の占有面積をA1、第2導電パターン18Bにおける金属細線20の占有面積をA2としたとき、1<A2/A1≦20であることが好ましい。さらに好ましくは、1<A2/A1≦10であり、特に好ましくは2≦A2/A1≦10である。
また、第1電極24Aにおける金属細線20の占有面積をa1、第2電極24Bにおける金属細線20の占有面積をa2としたとき、1<a2/a1≦20であることが好ましい。さらに好ましくは、1<a2/a1≦10であり、特に好ましくは、2≦a2/a1≦10である。
【0031】
なお、第1電極24A及び第2電極24Bの大きさは、特に限定されることはなく、人間の指によるタッチ位置あるいはペン入力タイプのペン先のタッチ位置を感知するのに十分な大きさがあればよい。
また、第1格子22a及び第2格子22bの形状をひし形としたが、その他、三角形や多角形状としてもよい。三角形にする場合は、図4及び図5に示すように、例えばひし形の第1格子22a及び第2格子22bの各対角線に沿って直線状の金属細線を橋渡すことで容易に作製することができる。また、第1格子22a及び第2格子22bの一辺の形状を直線状のほか、湾曲形状でもよいし、円弧状にしてもよい。円弧状とする場合は、例えば対向する2辺については、外方に凸の円弧状とし、他の対向する2辺については、内方に凸の円弧状としてもよい。また、各辺の形状を、外方に凸の円弧と内方に凸の円弧が連続した波線形状としてもよい。もちろん、各辺の形状を、サイン曲線にしてもよい。
また、第1格子22aのサイズ(1辺の長さや対角線の長さ等)や、第1電極24Aを構成する第1格子22aの個数、第2電極24Bを構成する第1格子22aの個数も、適用されるタッチパネル100のサイズや分解能(配線数)に応じて適宜設定することができる。
【0032】
次に、積層導電シート12の変形例について、図7A〜図9Bを参照しながら説明する。
先ず、第1変形例に係る積層導電シート12aは、上述した積層導電シート12と略同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
すなわち、図7A及び図7Bに示すように、第1導電パターン18Aの最大幅Waと第2導電パターン18Bの最大幅Wbとの比(Wb/Wa)が3である。また、図7Aに示すように、第1導電パターンにおける第1接続部25Aの第2方向(y方向)に沿った長さLb(=Wa)が第1電極24Aの第2方向に沿った長さLbの1.5倍である。なお、第2導電パターン18Bにおける第2電極24Bの第1方向(x方向)に沿った長さLc(=Wb)と第2接続部25Bの第1方向に沿った長さLd(=Wb)とは略同じである。
また、図7Bに示すように、第2導電パターン18Bにおける第2電極24Bの第2方向(y方向)に沿った長さL1bと、第2接続部25Bの第2方向に沿った長さL2bとの関係がL1b=(7/3)L2bである。なお、第1導電パターン18Aにおける第1電極24Aの第1方向(x方向)に沿った長さL1a、第1接続部25Aの第1方向に沿った長さL2aの関係は、L2a=4L1aである。
【0033】
この第1変形例に係る積層導電シート12aにおいては、第1導電パターン18Aにおける金属細線20の占有面積A1と第2導電パターン18Bにおける金属細線20の占有面積A2の比(A2/A1)を上述した積層導電シート12よりも大きくすることができ、例えば表示装置108等からの電磁波によるノイズの影響を抑制する上でさらに有利になる。
また、第1電極24Aにおける金属細線20の占有面積a1と第2電極24Bにおける金属細線20の占有面積a2の比(a2/a1)を上述した積層導電シート12よりも大きくすることができ、自己容量方式での検出精度の向上、並びに相互容量方式での受信感度の向上を図る上でさらに有利になる。
【0034】
次に、第2変形例に係る積層導電シート12bは、上述した積層導電シート12と略同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
すなわち、図8A及び図8Bに示すように、第1導電パターン18Aの最大幅Waと第2導電パターン18Bの最大幅Wbとの比(Wb/Wa)が4.5である。また、図8Bに示すように、第2導電パターン18Bにおける第2電極24Bの第2方向(y方向)に沿った長さL1bと、第2接続部25Bの第2方向に沿った長さL2bの関係がL1b=4×L2bである。
なお、図8Aに示すように、第1導電パターン18Aにおける第1電極24Aの第2方向(y方向)に沿った長さLa(=Wa)と第1接続部25Bの第2方向に沿った長さLb(=Wa)は略同じであり、第1電極24Aの第1方向(x方向)に沿った長さL1aと、第1接続部25Aの第1方向に沿った長さL2aの関係は、L2a=4L1aである。また、図8Bに示すように、第2導電パターン18Bにおける第2電極24Bの第1方向(x方向)に沿った長さLc(=Wb)と第2接続部25Bの第1方向に沿った長さLd(=Wb)も略同じである。
【0035】
この第2変形例に係る積層導電シート12bにおいては、第1導電パターン18Aにおける金属細線20の占有面積A1と第2導電パターン18Bにおける金属細線20の占有面積A2の比(A2/A1)を上述した積層導電シート12や積層導電シート12aよりも大きくすることができ、例えば表示装置108等からの電磁波によるノイズの影響を抑制する上でさらに有利になる。
また、第1電極24Aにおける金属細線20の占有面積a1と第2電極24Bにおける金属細線20の占有面積a2の比(a2/a1)を上述した積層導電シート12や積層導電シート12aよりも大きくすることができ、自己容量方式での検出精度の向上、並びに相互容量方式での受信感度の向上を図る上でさらに有利になる。
【0036】
次に、第3変形例に係る積層導電シート12cは、上述した積層導電シート12と略同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
すなわち、図9Aに示すように、第1導電パターン18Aは、1つの繰り返しパターンPr内に、複数の第1格子22aで構成された第1電極24Aが2つ存在し、第2格子22bで構成された第1接続部25Aが2つ存在している。そして、1つの繰り返しパターンPrにおける第1電極24Aの第1方向(x方向)に沿った合計長さL1a(=L1a1+L1a2)と、第1接続部25Aの第1方向に沿った合計長さL2a(=2×L2a1)の関係は、L2a=2L1a/3であり、L2a<L1aとなっている。
また、第1補助パターン26Aは、第1格子22aの一部を構成する一対のL字状の補助線28が第2方向に配列された形態を有し、第1導電パターン18Aと非接続とされている。すなわち、この場合も、第2格子22bにて構成された第1接続部25Aが第2方向(y方向)に配列され、所定間隔で設けられた、第1格子22aから構成される第1補助パターン26Aが、第1接続部25Aと非接続状態で配置された形態となっている。
【0037】
一方、第2導電パターン18Bにおいては、第1導電部16Aと第2導電部16Bとを対向させた場合に、第1導電パターン18Aの第1接続部25Aと対向する部分がそれぞれ第2格子22bにて構成され、第1導電パターン18Aと対向しない部分が複数の第1格子22aにて構成されている。この複数の第1格子22aにて構成された部分が第2電極24Bとなり、それぞれ第2格子22aにて構成された部分が第2接続部25Bとなる。すなわち、第2電極24Bとそれに隣接する第2接続部25Bとを1つの繰り返しパターンPrとして、複数個の繰り返しパターンPrが第2方向(y方向)に配列された形態となっている。
また、第2補助パターン26Bは、複数の十字状の補助線29が第2方向(y方向)に配列された形態を有する。この補助線29は、第1補助パターン26Aの両側に配された一対のL字状の補助線28と共に1つの第1格子22aを形作るような十字状とされている。すなわち、この場合も、第2格子22bにて構成された第2接続部25Bが第1方向(x方向)に配列され、所定間隔で設けられた、第1格子22aから構成される第2補助パターン26Bが、第2接続部25Bと非接続状態で配置された形態となっている。
【0038】
なお、図9A及び図9Bに示すように、第1導電パターン18Aの最大幅Waと第2導電パターン18Bの最大幅Wbとの比(Wb/Wa)は4.5である。図9Bに示すように、第2導電パターン18Bにおける第2電極24Bの第2方向(y方向)に沿った長さL1bと、第2接続部25Bの第2方向に沿った長さL2bの関係はL1b=4×L2bである。
また、図9Aに示すように、第1導電パターン18Aにおける第1電極24Aの第2方向(y方向)に沿った長さLa(=Wa)と第1接続部25Aの第2方向に沿った長さLb(=Wa)は略同じであり、図9Bに示すように、第2導電パターン18Bにおける第2電極24Bの第1方向(x方向)に沿った長さLc(=Wb)と第2接続部25Bの第1方向に沿った長さLd(=Wb)も略同じである。
この第3変形例に係る積層導電シート12cにおいては、上述した第2変形例に係る積層導電シート12bと同様の効果を得ることができるほか、1つの繰り返しパターン内に2種類の第1電極を配置した形態となるため、指(あるいは入力ペン)のタッチ位置に応じた信号電荷を蓄積させることができ、検出感度の向上につながる。
【0039】
上述の例では、積層導電シート12(第1変形例〜第3変形を含む)を投影型静電容量方式のタッチパネル100に適用した例を示したが、その他、表面型静電容量方式のタッチパネルや、抵抗膜式のタッチパネルにも適用することができる。以下の説明では、積層導電シート12(第1変形例〜第3変形を含む)を一括して積層導電シート12と記す。
上述の積層導電シート12では、図3Aに示すように、第1透明基体14Aの一主面に第1導電部16Aを形成し、第2透明基体14Bの一主面に第2導電部16Bを形成して、積層するようにしたが、その他、図3Bに示すように、第1透明基体14Aの一主面に第1導電部16Aを形成し、第1透明基体14Aの他主面に第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。この場合、第2透明基体14Bが存在せず、第2導電部16B上に、第1透明基体14Aが積層され、第1透明基体14A上に第1導電部16Aが積層された形態となる。また、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bとはその間に他の層が存在してもよく、第1導電部16Aと第2導電部16Bとが絶縁状態であれば、それらが対向して配置されてもよい。
【0040】
次に、第1導電部16Aや第2導電部16Bを形成する方法としては、例えば第1透明基体14A上及び第2透明基体14B上に感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって、露光部及び未露光部にそれぞれ金属銀部及び光透過性部を形成して第1導電部16A及び第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。なお、さらに金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって金属銀部に導電性金属を担持させるようにしてもよい。
【0041】
一方、図3Bに示すように、第1透明基体14Aの一主面に第1導電部16Aを形成し、第1透明基体14Aの他主面に第2導電部16Bを形成する場合、通常の製法に則って、最初に一主面を露光し、その後に、他主面を露光する方法を採用すると、所望のパターンを有する第1導電部16A及び第2導電部16Bを得ることができない場合がある。特に、図4及び図7等に示すように、第1導電パターン18A間に形成された第1補助パターン26A、第2導電パターン18B間に形成された第2補助パターン26B等を均一に形成することは困難性が伴う。
そこで、以下に示す製造方法を好ましく採用することができる。
すなわち、第1透明基体14Aの両面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層に対して一括露光を行って、第1透明基体14Aの一主面に第1導電部16Aを形成し、第1透明基体14Aの他主面に第2導電部16Bを形成する。
【0042】
この製造方法の具体例を、図10〜図12を参照しながら説明する。
先ず、図10のステップS1において、長尺の感光材料140を作製する。感光材料140は、図11Aに示すように、第1透明基体14Aと、該第1透明基体14Aの一方の主面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層(以下、第1感光層142aという)と、第1透明基体14Aの他方の主面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層(以下、第2感光層142bという)とを有する。
【0043】
図10のステップS2において、感光材料140を露光する。この露光処理では、第1感光層142aに対し、第1透明基体14Aに向かって光を照射して第1感光層142aを第1露光パターンに沿って露光する第1露光処理と、第2感光層142bに対し、第1透明基体14Aに向かって光を照射して第2感光層142bを第2露光パターンに沿って露光する第2露光処理とが行われる(両面同時露光)。図11Bの例では、長尺の感光材料140を一方向に搬送しながら、第1感光層142aに第1光144a(平行光)を第1フォトマスク146aを介して照射すると共に、第2感光層142bに第2光144b(平行光)を第2フォトマスク146bを介して照射する。第1光144aは、第1光源148aから出射された光を途中の第1コリメータレンズ150aにて平行光に変換されることにより得られ、第2光144bは、第2光源148bから出射された光を途中の第2コリメータレンズ150bにて平行光に変換されることにより得られる。図11Bの例では、2つの光源(第1光源148a及び第2光源148b)を使用した場合を示しているが、1つの光源から出射した光を光学系を介して分割して、第1光144a及び第2光144bとして第1感光層142a及び第2感光層142bに照射してもよい。
【0044】
そして、図10のステップS3において、露光後の感光材料140を現像処理することで、例えば図3Bに示すように、積層導電シート12が作製される。積層導電シート12は、第1透明基体14Aと、該第1透明基体14Aの一方の主面に形成された第1露光パターンに沿った第1導電部16Aと、第1透明基体14Aの他方の主面に形成された第2露光パターンに沿った第2導電部16Bとを有する。なお、第1感光層142a及び第2感光層142bの露光時間及び現像時間は、第1光源148a及び第2光源148bの種類や現像液の種類等で様々に変化するため、好ましい数値範囲は一概に決定することができないが、現像率が100%となる露光時間及び現像時間に調整されている。
【0045】
そして、本実施の形態に係る製造方法のうち、第1露光処理は、図12に示すように、第1感光層142a上に第1フォトマスク146aを例えば密着配置し、該第1フォトマスク146aに対向して配置された第1光源148aから第1フォトマスク146aに向かって第1光144aを照射することで、第1感光層142aを露光する。第1フォトマスク146aは、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第1露光パターン152a)とで構成されている。従って、この第1露光処理によって、第1感光層142aのうち、第1フォトマスク146aに形成された第1露光パターン152aに沿った部分が露光される。第1感光層142aと第1フォトマスク146aとの間に2〜10μm程度の隙間を設けてもよい。
【0046】
同様に、第2露光処理は、第2感光層142b上に第2フォトマスク146bを例えば密着配置し、該第2フォトマスク146bに対向して配置された第2光源148bから第2フォトマスク146bに向かって第2光144bを照射することで、第2感光層142bを露光する。第2フォトマスク146bは、第1フォトマスク146aと同様に、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第2露光パターン152b)とで構成されている。従って、この第2露光処理によって、第2感光層142bのうち、第2フォトマスク146bに形成された第2露光パターン152bに沿った部分が露光される。この場合、第2感光層142bと第2フォトマスク146bとの間に2〜10μm程度の隙間を設けてもよい。
【0047】
第1露光処理及び第2露光処理は、第1光源148aからの第1光144aの出射タイミングと、第2光源148bからの第2光144bの出射タイミングを同時にしてもよいし、異ならせてもよい。同時であれば、1度の露光処理で、第1感光層142a及び第2感光層142bを同時に露光することができ、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0048】
ところで、第1感光層142a及び第2感光層142bが共に分光増感されていない場合、感光材料140に対して両側から露光すると、片側からの露光がもう片側(裏側)の画像形成に影響を及ぼすこととなる。
すなわち、第1感光層142aに到達した第1光源148aからの第1光144aは、第1感光層142a中のハロゲン化銀粒子にて散乱し、散乱光として第1透明基体14Aを透過し、その一部が第2感光層142bにまで達する。そうすると、第2感光層142bと第1透明基体14Aとの境界部分が広い範囲にわたって露光され、潜像が形成される。そのため、第2感光層142bでは、第2光源148bからの第2光144bによる露光と第1光源148aからの第1光144aによる露光が行われてしまい、その後の現像処理にて積層導電シート12とした場合に、第2露光パターン152bによる導電パターン(第2導電部16B)に加えて、該導電パターン間に第1光源148aからの第1光144aによる薄い導電層が形成されてしまい、所望のパターン(第2露光パターン152bに沿ったパターン)を得ることができない。これは、第1感光層142aにおいても同様である。
【0049】
これを回避するため、鋭意検討した結果、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚みを特定の範囲に設定したり、第1感光層142a及び第2感光層142bの塗布銀量を規定することで、ハロゲン化銀自身が光を吸収し、裏面へ光透過を制限できることが判明した。本実施の形態では、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚みを1μm以上、4μm以下に設定することができる。上限値は好ましくは2.5μmである。また、第1感光層142a及び第2感光層142bの塗布銀量を5〜20g/m2に規定した。
【0050】
上述した両面密着の露光方式では、フイルム表面に付着した塵埃等で露光阻害による画像欠陥が問題となる。塵埃付着防止として、フイルムに導電性物質を塗布することが知られているが、金属酸化物等は処理後も残存し、最終製品の透明性を損ない、また、導電性高分子は保存性等に問題がある。そこで、鋭意検討した結果、バインダーを減量したハロゲン化銀により帯電防止に必要な導電性が得られることがわかり、第1感光層142a及び第2感光層142bの銀/バインダーの体積比を規定した。すなわち、第1感光層142a及び第2感光層142bの銀/バインダー体積比は1/1以上であり、好ましくは、2/1以上である。
【0051】
上述のように、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚み、塗布銀量、銀/バインダーの体積比を設定、規定することで、図12に示すように、第1感光層142aに到達した第1光源148aからの第1光144aは、第2感光層142bまで達しなくなり、同様に、第2感光層142bに到達した第2光源148bからの第2光144bは、第1感光層142aまで達しなくなり、その結果、その後の現像処理にて積層導電シート12とした場合に、図3Bに示すように、第1透明基体14Aの一方の主面には第1露光パターン152aによる導電パターン(第1導電部16Aを構成するパターン)のみが形成され、第1透明基体14Aの他方の主面には第2露光パターン152bによる導電パターン(第2導電部16Bを構成するパターン)のみが形成されることとなり、所望のパターンを得ることができる。
【0052】
このように、上述の両面一括露光を用いた製造方法においては、導電性と両面露光の適性を両立させた第1感光層142a及び第2感光層142bを得ることができ、また、1つの第1透明基体14Aへの露光処理によって、第1透明基体14Aの両面に同一パターンや異なったパターンを任意に形成することができ、これにより、タッチパネル100の電極を容易に形成することができると共に、タッチパネル100の薄型化(低背化)を図ることができる。
【0053】
上述の例は、感光性ハロゲン化銀乳剤層を用いて第1導電部16A及び第2導電部16Bを形成する製造方法であるが、その他の製造方法としては、以下のような製造方法がある。
すなわち、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に形成された銅箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する銅箔をエッチングすることによって、第1導電部16A及び第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。
あるいは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に金属微粒子を含むペーストを印刷し、ペーストに金属めっきを行うことによって、第1導電部16A及び第2導電部16Bを形成するようにしてもよい。
あるいは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に、第1導電部16A及び第2導電部16Bをスクリーン印刷版又はグラビア印刷版によって印刷形成するようにしてもよい。
あるいは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に、第1導電部16A及び第2導電部16Bをインクジェットにより形成するようにしてもよい。
【0054】
次に、本実施の形態に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bにおいて、特に好ましい態様であるハロゲン化銀写真感光材料を用いる方法を中心にして述べる。
本実施の形態に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの製造方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
【0055】
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に光透過性導電膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
【0056】
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報、特願2004−244080号、同2004−085655号の各明細書に記載された技術を適用することができる。
【0057】
ここで、本実施の形態に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの各層の構成について、以下に詳細に説明する。
[第1透明基体14A、第2透明基体14B]
第1透明基体14A及び第2透明基体14Bとしては、プラスチックフイルム、プラスチック板、ガラス板等を挙げることができる。
上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ビニル系樹脂;その他、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
第1透明基体14A及び第2透明基体14Bとしては、PET(融点:258℃)、PEN(融点:269℃)、PE(融点:135℃)、PP(融点:163℃)、ポリスチレン(融点:230℃)、ポリ塩化ビニル(融点:180℃)、ポリ塩化ビニリデン(融点:212℃)やTAC(融点:290℃)等の融点が約290℃以下であるプラスチックフイルム、又はプラスチック板が好ましく、特に、光透過性や加工性等の観点から、PETが好ましい。積層導電シート12に使用される第1導電シート10A及び第2導電シート10Bのような導電性フイルムは透明性が要求されるため、第1透明基体14A及び第2透明基体14Bの透明度は高いことが好ましい。
【0058】
[銀塩乳剤層]
第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの導電層(第1導電パターン18A、第1補助パターン26A、第2導電パターン18B、第2補助パターン26B等の導電部)となる銀塩乳剤層は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有する。
本実施の形態に用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本実施の形態においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
銀塩乳剤層の塗布銀量(銀塩の塗布量)は、銀に換算して1〜30g/m2が好ましく、1〜25g/m2がより好ましく、5〜20g/m2がさらに好ましい。この塗布銀量を上記範囲とすることで、積層導電シート12とした場合に所望の表面抵抗を得ることができる。
【0059】
本実施の形態に用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
本実施の形態の銀塩乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。銀塩乳剤層中のバインダーの含有量は、銀/バインダー体積比で1/4以上が好ましく、1/2以上がより好ましい。銀/バインダー体積比は、100/1以下が好ましく、50/1以下がより好ましい。また、銀/バインダー体積比は1/1〜4/1であることがさらに好ましい。1/1〜3/1であることが最も好ましい。銀塩乳剤層中の銀/バインダー体積比をこの範囲にすることで、塗布銀量を調整した場合でも抵抗値のばらつきを抑制し、均一な表面抵抗を有する積層導電シートを得ることができる。なお、銀/バインダー体積比は、原料のハロゲン化銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(重量比)に変換し、さらに、銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(体積比)に変換することで求めることができる。
【0060】
<溶媒>
銀塩乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本実施の形態の銀塩乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、銀塩乳剤層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0061】
<その他の添加剤>
本実施の形態に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、公知のものを好ましく用いることができる。
[その他の層構成]
銀塩乳剤層の上に図示しない保護層を設けてもよい。本実施の形態において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する銀塩乳剤層上に形成される。その厚みは0.5μm以下が好ましい。保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法及び形成方法を適宜選択することができる。また、銀塩乳剤層よりも下に、例えば下塗り層を設けることもできる。
【0062】
次に、第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの作製方法の各工程について説明する。
[露光]
本実施の形態では、第1導電部16A及び第2導電部16Bを印刷方式によって施す場合を含むが、印刷方式以外は、第1導電部16A及び第2導電部16Bを露光と現像等によって形成する。すなわち、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に設けられた銀塩含有層を有する感光材料又はフォトリソグラフィ用フォトポリマーを塗工した感光材料への露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
【0063】
[現像処理]
本実施の形態では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して600ml/m2以下が好ましく、500ml/m2以下がさらに好ましく、300ml/m2以下が特に好ましい。
【0064】
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。上記水洗処理又は安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m2当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
本実施の形態における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透光性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
以上の工程を経て導電シートは得られるが、得られた第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの表面抵抗は0.1〜100オーム/sq.の範囲にあることが好ましい。下限値は、1オーム/sq.以上、3オーム/sq.以上、5オーム/sq.以上、10オーム/sq.以上であることが好ましい。上限値は、70オーム/sq.以下、50オーム/sq.以下であることが好ましい。このような範囲に表面抵抗を調整することで、面積が10cm×10cm以上の大型のタッチパネルでも位置検出を行うことができる。また、現像処理後の第1導電シート10A及び第2導電シート10Bに対しては、さらにカレンダー処理を行ってもよく、カレンダー処理により所望の表面抵抗に調整することができる。
【0065】
[物理現像及びめっき処理]
本実施の形態では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部の導電性を向上させる目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はめっき処理を行ってもよい。本発明では物理現像又はめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよく、物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよい。なお、金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施したものを含めて「導電性金属部」と称する。
本実施の形態における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフイルム、インスタントスライドフイルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
本実施の形態において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、又は無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。本実施の形態における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
【0066】
[酸化処理]
本実施の形態では、現像処理後の金属銀部、並びに、物理現像及び/又はめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性を略100%にすることができる。
【0067】
[導電性金属部]
本実施の形態の導電性金属部(金属細線20)の線幅は、上述したように、下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は15μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネルに使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると導電性金属部に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネルに使用した際に視認性が悪くなったりする。なお、上記範囲にあることで、導電性金属部のモアレが改善され、視認性が特によくなる。第1格子22aの一辺の長さは30μm以上500μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは50μm以上400μm以下、最も好ましくは100μm以上350μm以下である。また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は200μmより広い部分を有していてもよい。
本実施の形態における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、第1導電パターン、第1補助パターン、第2導電パターン、第2補助パターン等の導電部を除いた透光性部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅15μm、ピッチ300μmの正方形の格子状の開口率は、90%である。
【0068】
[光透過性部]
本実施の形態における「光透過性部」とは、第1導電シート10A及び第2導電シート10Bのうち導電性金属部以外の透光性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、第1透明基体14A及び第2透明基体14Bの光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
露光方法に関しては、ガラスマスクを介した方法やレーザー描画によるパターン露光方式が好ましい。
【0069】
[第1導電シート10A及び第2導電シート10B]
本実施の形態に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bにおける第1透明基体14A及び第2透明基体14Bの厚さは、50μm以上350μm以下が好ましく、さらに好ましくは80μm以上250μmであり、特に好ましくは100μm以上200μm以下である。50〜350μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。また、第1導電パターン18A及び第2導電パターン18B間の寄生容量も低減させることができる。
第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に設けられる金属銀部の厚さは、第1透明基体14A及び第2透明基体14B上に塗布される銀塩含有層用塗料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属銀部の厚さは、0.001mm〜0.2mmから選択可能であるが、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、金属銀部はパターン状であることが好ましい。金属銀部は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。金属銀部がパターン状であり、且つ、2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。
【0070】
導電性金属部の厚さは、タッチパネルの用途としては、薄いほど表示パネルの視野角が広がるため好ましく、視認性の向上の点でも薄膜化が要求される。このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
本実施の形態では、上述した銀塩含有層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部を形成し、さらに物理現像及び/又はめっき処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する第1導電シート10A及び第2導電シート10Bであっても容易に形成することができる。
なお、本実施の形態に係る第1導電シート10Aや第2導電シート10Bの製造方法では、めっき等の工程は必ずしも行う必要はない。本実施の形態に係る第1導電シート10Aや第2導電シート10Bの製造方法では銀塩乳剤層の塗布銀量、銀/バインダー体積比を調整することで所望の表面抵抗を得ることができるからである。なお、必要に応じてカレンダー処理等を行ってもよい。
【0071】
(現像処理後の硬膜処理)
銀塩乳剤層に対して現像処理を行った後に、硬膜剤に浸漬して硬膜処理を行うことが好ましい。硬膜剤としては、例えば、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びほう酸等の特開平2−141279号に記載のものを挙げることができる。
[積層導電シート]
積層導電シート12には、反射防止層やハードコート層等の機能層を付与してもよい。
【0072】
なお、本発明は、下記表1及び表2に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【実施例】
【0075】
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[第1実施例]
第1実施例は、実施例1〜9に係る積層導電シート12について、第1格子22aの一辺の長さ、金属細線20の線幅、代表的に第2導電パターン18Bの表面抵抗を測定し、モアレ及び視認性を評価した。実施例1〜9の内訳並びに評価結果を表3に示す。
<実施例1〜9>
(ハロゲン化銀感光材料)
水媒体中のAg150gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
また、この乳剤中にはK3Rh2Br9及びK2IrCl6を濃度が10−7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、さらに塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が10g/m2となるように、厚みが150μmの第1透明基体14A及び第2透明基体14B(ここでは、共にポリエチレンテレフタレート(PET))上に塗布した。この際、Ag/ゼラチン体積比は2/1とした。
幅30cmのPET支持体に25cmの幅で20m分塗布を行ない、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
(露光)
露光のパターンは、第1導電シート10Aについては図4に示すパターンで、第2導電シート10Bについては図5に示すパターンで、A4サイズ(210mm×297mm)の第1透明基体14A及び第2透明基体14Bに行った。露光は上記パターンのフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光した。
【0076】
(現像処理)
・現像液1L処方
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
・定着液1L処方
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3−ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
上記処理剤を用いて露光済み感材を、富士フイルム社製自動現像機 FG−710PTSを用いて処理条件:現像35℃ 30秒、定着34℃ 23秒、水洗 流水(5L/分)の20秒処理で行った。
【0077】
(実施例1)
作製した第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの導電部(第1導電パターン18A、第2導電パターン18B)における第1格子22aの一辺の長さを30μm(第2格子22bの一辺の長さを60μm)とし、金属細線20の線幅を1μmとした。
(実施例2)
第1格子22aの一辺の長さを40μm(第2格子22bの一辺の長さを80μm)、金属細線20の線幅を3μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例3)
第1格子22aの一辺の長さを50μm(第2格子22bの一辺の長さを100μm)、金属細線20の線幅を4μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例4)
第1格子22aの一辺の長さを80μm(第2格子22bの一辺の長さを160μm)、金属細線20の線幅を5μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例5)
第1格子22aの一辺の長さを100μm(第2格子22bの一辺の長さを200μm)、金属細線20の線幅を8μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例6)
第1格子22aの一辺の長さを250μm(第2格子22bの一辺の長さを500μm)、金属細線20の線幅を9μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例7)
第1格子22aの一辺の長さを350μm(第2格子22bの一辺の長さを700μm)、金属細線20の線幅を10μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例7に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例8)
第1格子22aの一辺の長さを400μm(第2格子22bの一辺の長さを800μm)、金属細線20の線幅を15μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例9)
第1格子22aの一辺の長さを500μm(第2格子22bの一辺の長さを1000μm)、金属細線20の線幅を15μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例9に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
【0078】
(表面抵抗測定)
検出精度の良否を確認するために、第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの表面抵抗率をダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP(型番MCP−T610)直列4探針プローブ(ASP)にて任意の10箇所測定した値の平均値である。
(透過率の測定)
第1透明基体14Aの透明性の良否を確認するために、第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの透光部の透過率を分光光度計を用いて測定した。
(モアレの評価)
実施例1〜9について、第2導電シート10B上に第1導電シート10Aを積層して積層導電シート12を作製し、その後、表示装置108(液晶ディスプレイ)の表示画面に積層導電シート12を貼り付けてタッチパネル100を構成した。その後、タッチパネル100を回転盤に設置し、表示装置108を駆動して白色を表示させる。その状態で、回転盤をバイアス角−45°〜+45°の間で回転し、モアレの目視観察・評価を行った。
モアレの評価は、表示装置108の表示画面110aから観察距離1.5mで行い、モアレが顕在化しなかった場合を○、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られた場合を△、モアレが顕在化した場合を×とした。
(視認性の評価)
上述のモアレの評価に先立って、タッチパネル100を回転盤に設置し、表示装置108を駆動して白色を表示させた際に、線太りや黒い斑点がないかどうか、また、タッチパネルの第1導電パターン18A及び第2導電パターン18B、第1電極24A及び第2電極24Bの境界が目立つかどうかを肉眼で確認した。
【0079】
【表3】
【0080】
表3から、実施例1〜9のうち、実施例1〜8は、導電性、透過率、モアレ、視認性共に良好であった。実施例9はモアレの評価及び視認性の評価が実施例1〜8よりも劣っているが、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られる程度であり、表示装置108の表示画像が見え難くなるということはなかった。
このことから、第1格子22aの一辺の長さは30〜500μmであることが好ましく、さらに好ましくは50〜400μmであり、特に好ましくは100〜350μmである。また、金属細線20の線幅は、下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は15μm、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましいことがわかる。
【0081】
[第2実施例]
第2実施例は、実施例11〜17並びに参考例11及び12に係る積層導電シート12について、第1透明基体14Aの厚みを変えた場合の検出感度及び視認性を評価した。実施例11〜17、参考例11及び12の内訳並びに評価結果を表4に示す。
(実施例11)
作製した第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの導電部(第1導電パターン18A、第2導電パターン18B)における第1格子22aの一辺の長さを80μm(第2格子22bの一辺の長さを160μm)とし、金属細線20の線幅を5μmとし、第1透明基体14Aの厚みを50μmとした点以外は、上述した実施例1と同様にして、実施例11に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例12)
第1透明基体14Aの厚みを80μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例12に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例13)
第1透明基体14Aの厚みを100μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例13に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例14)
第1透明基体14Aの厚みを150μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例14に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例15)
第1透明基体14Aの厚みを200μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例15に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例16)
第1透明基体14Aの厚みを250μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例16に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例17)
第1透明基体14Aの厚みを350μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例17に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
【0082】
(参考例11)
第1透明基体14Aの厚みを30μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、参考例11に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(参考例12)
第1透明基体14Aの厚みを400μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、参考例12に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(検出感度の評価)
タッチパネル100に対して指を一定方向に移動させることで、検出波形を取得し、取得した検出波形に基づいて検出感度を求めた。検出感度が予め設定したしきい値の110%を超えていれば「◎」、しきい値の90%以上、110%以下であれば「○」、しきい値の90%未満であれば「△」とした。
実施例11〜17、参考例11及び12の結果を表4に示す。
【0083】
【表4】
【0084】
表4から、参考例11は視認性については良好であったが、検出感度が悪かった。これは、第1透明基体14Aの厚みが30μmと薄いため、第1導電パターン18Aと第2導電パターン18Bとの間の寄生容量が大きく、この寄生容量の存在により、検出感度が悪化したものと考えられる。参考例12は検出感度及び視認性共に評価が悪かった。これは、第1透明基体14Aの厚みが400μmと非常に厚いため、自己容量方式の場合においては、第2導電パターン18Bにおいて指のタッチ位置が認識し難くなり、相互容量方式の場合においては、第2電極24B(駆動電極)からの発信信号が第1電極24A(受信電極)にて受信し難くなったものと考えられる。また、視認性の評価が悪くなった原因は、第1透明基体14Aの厚みが400μmと非常に厚いため、透光部での透過率が80%と低く、透明性が低下したことによる。
これに対して、実施例11〜17は共に検出感度及び視認性が良好であった。特に、実施例13〜15は検出感度が非常に良好であった。
このことから、第1導電部16Aと第2導電部16B間に介在する透明基体(ここでは第1透明基体14A)の厚みは、50μm以上350μm以下が好ましく、さらに好ましくは80μm以上250μmであり、特に好ましくは100μm以上200μm以下であることがわかる。
【0085】
[第3実施例]
第3実施例は、実施例21〜29並びに参考例21及び22に係る積層導電シート12について、第1導電パターン18Aにおける金属細線20の占有面積A1と、第2導電パターン18Bにおける金属細線20の占有面積A2との比(A2/A1)、並びに第1電極24Aにおける金属細線20の占有面積a1と、第2電極24Bにおける金属細線20の占有面積a2との比(a2/a1)を変えた場合の第1導電パターン18A及び第2導電パターン18Bの表面抵抗の変化を確認し、併せて検出感度を評価した。実施例21〜29、参考例21及び22の内訳並びに評価結果を表5に示す。
(実施例21)
作製した第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの導電部(第1導電パターン18A、第2導電パターン18B)における第1格子22aの一辺の長さを80μm(第2格子22bの一辺の長さを160μm)とし、金属細線20の線幅を5μmとし、第1透明基体14Aの厚みを150μmとし、占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に2とした点以外は、上述した実施例1と同様にして、実施例21に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例22)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に3とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例22に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例23)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に3.3とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例23に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例24)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に5とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例24に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例25)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に7とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例25に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例26)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に8とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例22に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例27)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に10とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例27に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例28)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に15とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例28に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例29)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に20とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、実施例29に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
【0086】
(参考例21)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に1とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、参考例21に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(参考例22)
占有面積比A2/A1及びa2/a1を共に25とした点以外は、上述した実施例21と同様にして、参考例22に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
【0087】
【表5】
【0088】
表5から、参考例21及び22は検出感度が共に悪かった。参考例21については、第2導電パターン18Bの表面抵抗が75オーム/sq.と高く、電磁波によるノイズの影響を抑制できなかったものと考えられる。参考例22については、第2導電パターン18Bの表面抵抗は大幅に低下したが、第1導電パターン18Aの表面抵抗が反対に150オーム/sq.と大きくなり、第1電極24Aでの検出感度が低下したことが原因であると考えられる。
これに対して、実施例21〜29は共に検出感度が良好であった。特に、実施例23〜26は検出感度が非常に良好であった。
このことから、第1導電パターン18Aにおける金属細線20の占有面積A1と第2導電パターン18Bにおける金属細線20の占有面積A2との比が1<A2/A1≦20であることが好ましく、さらに好ましくは、1<A2/A1≦10であり、特に好ましくは2≦A2/A1≦10であることがわかる。また、第1電極24Aにおける金属細線20の占有面積a1、第2電極24Aにおける金属細線20の占有面積a2との比が1<a2/a1≦20であることが好ましく、さらに好ましくは、1<a2/a1≦10であり、特に好ましくは、2≦a2/a1≦10であることがわかる。
なお、本発明に係る導電シート及びタッチパネルは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0089】
10A…第1導電シート 10B…第2導電シート
12、12a〜12c…積層導電シート 14A…第1透明基体
14B…第2透明基体 16A…第1導電部
16B…第2導電部 18A…第1導電パターン
18B…第2導電パターン 20…金属細線
22a…第1格子 22b…第2格子
24A…第1電極 24B…第2電極
25A…第1接続部 25B…第2接続部
26A…第1補助パターン 26B…第2補助パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に配列された複数の導電パターンを有し、
前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、
前記第2格子で構成された第2格子部が前記一方向に配列され、
前記一方向と略直交する方向に配列され、且つ、所定間隔で設けられた、前記第1格子から構成される第1格子部は、前記第2格子部と非接続状態で配置されていることを特徴とする導電シート。
【請求項2】
請求項1記載の導電シートにおいて、
前記第1格子部は、2以上の前記第1格子が前記一方向に配列された構成を有することを特徴とする導電シート。
【請求項3】
請求項1記載の導電シートにおいて、
前記第1格子部は、前記第1格子の頂角を含むL字状のパターンを含むことを特徴とする導電シート。
【請求項4】
請求項1記載の導電シートにおいて、
前記第1格子部は、前記第1格子の頂角を含む十字状のパターンを含むことを特徴とする導電シート。
【請求項5】
一方向に配列する複数の導電パターンを有し、
前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、
前記第1格子で構成された第1格子部と前記第2格子で構成された第2格子部とが電気的に接続された状態で、交互に前記一方向と略直交する方向に配列され、
前記第1格子部の前記一方向に沿った長さと前記第2格子部の前記一方向に沿った長さとが略同じであることを特徴とする導電シート。
【請求項6】
請求項5記載の導電シートにおいて、
前記第1格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL1、前記第2格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL2としたとき、
L1<L2
であることを特徴とする導電シート。
【請求項7】
請求項6記載の導電シートにおいて、
1.5×L1≦L2≦6×L1
であることを特徴とする導電シート。
【請求項8】
請求項5記載の導電シートにおいて、
前記第1格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL1、前記第2格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL2としたとき、
L1>L2
であることを特徴とする導電シート。
【請求項9】
請求項8記載の導電シートにおいて、
1.5×L2≦L1≦6×L2
であることを特徴とする導電シート。
【請求項10】
対向して配置された第1導電部及び第2導電部を有し、
前記第1導電部は、一方向に配列する複数の第1導電パターンを有し、
前記第2導電部は、前記第1導電パターンの配列方向と直交する方向に配列する複数の第2導電パターンを有し、
前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンは共に金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、
前記第1導電パターンは、前記第2導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第2導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、
前記第2導電パターンは、前記第1導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第1導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、
上面から見たとき、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、複数の前記第1格子が組み合わされた形態を有することを特徴とする導電シート。
【請求項11】
請求項10記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンは共に帯状に形成され、
前記第2導電パターンの最大幅は、前記第1導電パターンの最大幅よりも大きいことを特徴とする導電シート。
【請求項12】
請求項11記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターンの最大幅をWa、前記第2導電パターンの最大幅をWbとしたとき、前記最大幅Wa及びWbの比(Wb/Wa)は、
1<Wb/Wa≦10
であることを特徴とする導電シート。
【請求項13】
請求項11記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターンの最大幅をWa、前記第2導電パターンの最大幅をWbとしたとき、前記最大幅Wa及びWbの比(Wb/Wa)は、
2≦Wb/Wa≦8
であることを特徴とする導電シート。
【請求項14】
請求項11記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターンの最大幅をWa、前記第2導電パターンの最大幅をWbとしたとき、前記最大幅Wa及びWbの比(Wb/Wa)は、
3≦Wb/Wa≦5
であることを特徴とする導電シート。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか1項に記載の導電シートにおいて、
前記第2導電パターンにおける前記金属細線の占有面積が前記第1導電パターンにおける前記金属細線の占有面積よりも大きいことを特徴とする導電シート。
【請求項16】
請求項15記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA1、前記第2導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA2としたとき、
1<A2/A1≦20
であることを特徴とする導電シート。
【請求項17】
請求項15記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA1、前記第2導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA2としたとき、
1<A2/A1≦10
であることを特徴とする導電シート。
【請求項18】
請求項15記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA1、前記第2導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA2としたとき、
2≦A2/A1≦10
であることを特徴とする導電シート。
【請求項19】
請求項10〜18のいずれか1項に記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターンのうち、複数の前記第1格子にて構成された部分が第1電極を構成し、
前記第2導電パターンのうち、複数の前記第1格子にて構成された部分が第2電極を構成し、
上面から見たとき、前記第1電極、前記第2電極及び前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、均一な格子パターンを構成することを特徴とする導電シート。
【請求項20】
請求項19記載の導電シートにおいて、
前記第1電極における前記金属細線の占有面積をa1、前記第2電極における前記金属細線の占有面積をa2としたとき、
1<a2/a1≦20
であることを特徴とする導電シート。
【請求項21】
請求項19記載の導電シートにおいて、
前記第1電極における前記金属細線の占有面積をa1、前記第2電極における前記金属細線の占有面積をa2としたとき、
1<a2/a1≦10
であることを特徴とする導電シート。
【請求項22】
請求項19記載の導電シートにおいて、
前記第1電極における前記金属細線の占有面積をa1、前記第2電極における前記金属細線の占有面積をa2としたとき、
2≦a2/a1≦10
であることを特徴とする導電シート。
【請求項23】
請求項10〜22のいずれか1項に記載の導電シートにおいて、
前記第1導電部は、隣接する前記第1導電パターン間に、前記第1導電パターンと非接続とされた第1補助パターンを有し、
前記第2導電部は、隣接する前記第2導電パターン間に、前記第2導電パターンと非接続とされた第2補助パターンを有し、
上面から見たとき、前記第1補助パターンと前記第2補助パターンとが対向することによる組合せパターンが形成され、該組合せパターンは複数の前記第1格子が組み合わされた形態を有することを特徴とする導電シート。
【請求項24】
請求項1、5又は10記載の導電シートにおいて、
前記第1格子の一辺の長さが30〜500μmであることを特徴とする導電シート。
【請求項25】
請求項1、5又は10記載の導電シートにおいて、
前記金属細線の線幅が15μm以下であることを特徴とする導電シート。
【請求項26】
請求項1、5又は10記載の導電シートにおいて、
前記第1導電部と第2導電部とが基体を介して対向し、
前記基体の厚みが50μm〜350μmであることを特徴とする導電シート。
【請求項27】
請求項1、5又は10記載の導電シートにおいて、
前記第2格子の一辺の長さは、前記第1格子の一辺の長さの実数倍の長さを有することを特徴とする導電シート。
【請求項28】
請求項27記載の導電シートにおいて、
前記第2格子の一辺の長さは、前記第1格子の一辺の長さの2倍の長さを有することを特徴とする導電シート。
【請求項29】
表示装置の表示パネル上に配置される導電シートを有するタッチパネルであって、
前記導電シートは、
一方向に配列する複数の導電パターンを有し、
前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、
前記第2格子で構成された第2格子部が前記一方向に配列され、
前記一方向と略直交する方向に配列され、且つ、所定間隔で設けられた、前記第1格子から構成される第1格子部は前記第2格子部と非接続状態で配置されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項30】
表示装置の表示パネル上に配置される導電シートを有するタッチパネルであって、
前記導電シートは、
一方向に配列する複数の導電パターンを有し、
前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、
前記第1格子で構成された第1格子部と前記第2格子で構成された第2格子部とが電気的に接続された状態で、交互に前記一方向と略直交する方向に配列され、
前記第1格子部の前記一方向に沿った長さと前記第2格子部の前記一方向に沿った長さとが略同じであることを特徴とするタッチパネル。
【請求項31】
表示装置の表示パネル上に配置される導電シートを有するタッチパネルであって、
前記導電シートは、
入力操作側に配置された第1導電部と、前記表示パネル側に配置された第2導電部とを有し、
前記第1導電部と前記第2導電部とが対向して配置され、
前記第1導電部は、一方向に配列する複数の第1導電パターンを有し、
前記第2導電部は、前記第1導電パターンの配列方向と直交する方向に配列する複数の第2導電パターンを有し、
前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンは共に金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、
前記第1導電パターンは、前記第2導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第2導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、
前記第2導電パターンは、前記第1導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第1導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、
上面から見たとき、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、複数の前記第1格子が組み合わされた形態を有することを特徴とするタッチパネル。
【請求項1】
一方向に配列された複数の導電パターンを有し、
前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、
前記第2格子で構成された第2格子部が前記一方向に配列され、
前記一方向と略直交する方向に配列され、且つ、所定間隔で設けられた、前記第1格子から構成される第1格子部は、前記第2格子部と非接続状態で配置されていることを特徴とする導電シート。
【請求項2】
請求項1記載の導電シートにおいて、
前記第1格子部は、2以上の前記第1格子が前記一方向に配列された構成を有することを特徴とする導電シート。
【請求項3】
請求項1記載の導電シートにおいて、
前記第1格子部は、前記第1格子の頂角を含むL字状のパターンを含むことを特徴とする導電シート。
【請求項4】
請求項1記載の導電シートにおいて、
前記第1格子部は、前記第1格子の頂角を含む十字状のパターンを含むことを特徴とする導電シート。
【請求項5】
一方向に配列する複数の導電パターンを有し、
前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、
前記第1格子で構成された第1格子部と前記第2格子で構成された第2格子部とが電気的に接続された状態で、交互に前記一方向と略直交する方向に配列され、
前記第1格子部の前記一方向に沿った長さと前記第2格子部の前記一方向に沿った長さとが略同じであることを特徴とする導電シート。
【請求項6】
請求項5記載の導電シートにおいて、
前記第1格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL1、前記第2格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL2としたとき、
L1<L2
であることを特徴とする導電シート。
【請求項7】
請求項6記載の導電シートにおいて、
1.5×L1≦L2≦6×L1
であることを特徴とする導電シート。
【請求項8】
請求項5記載の導電シートにおいて、
前記第1格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL1、前記第2格子部の前記一方向と略直交する方向に沿った長さをL2としたとき、
L1>L2
であることを特徴とする導電シート。
【請求項9】
請求項8記載の導電シートにおいて、
1.5×L2≦L1≦6×L2
であることを特徴とする導電シート。
【請求項10】
対向して配置された第1導電部及び第2導電部を有し、
前記第1導電部は、一方向に配列する複数の第1導電パターンを有し、
前記第2導電部は、前記第1導電パターンの配列方向と直交する方向に配列する複数の第2導電パターンを有し、
前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンは共に金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、
前記第1導電パターンは、前記第2導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第2導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、
前記第2導電パターンは、前記第1導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第1導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、
上面から見たとき、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、複数の前記第1格子が組み合わされた形態を有することを特徴とする導電シート。
【請求項11】
請求項10記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンは共に帯状に形成され、
前記第2導電パターンの最大幅は、前記第1導電パターンの最大幅よりも大きいことを特徴とする導電シート。
【請求項12】
請求項11記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターンの最大幅をWa、前記第2導電パターンの最大幅をWbとしたとき、前記最大幅Wa及びWbの比(Wb/Wa)は、
1<Wb/Wa≦10
であることを特徴とする導電シート。
【請求項13】
請求項11記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターンの最大幅をWa、前記第2導電パターンの最大幅をWbとしたとき、前記最大幅Wa及びWbの比(Wb/Wa)は、
2≦Wb/Wa≦8
であることを特徴とする導電シート。
【請求項14】
請求項11記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターンの最大幅をWa、前記第2導電パターンの最大幅をWbとしたとき、前記最大幅Wa及びWbの比(Wb/Wa)は、
3≦Wb/Wa≦5
であることを特徴とする導電シート。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか1項に記載の導電シートにおいて、
前記第2導電パターンにおける前記金属細線の占有面積が前記第1導電パターンにおける前記金属細線の占有面積よりも大きいことを特徴とする導電シート。
【請求項16】
請求項15記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA1、前記第2導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA2としたとき、
1<A2/A1≦20
であることを特徴とする導電シート。
【請求項17】
請求項15記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA1、前記第2導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA2としたとき、
1<A2/A1≦10
であることを特徴とする導電シート。
【請求項18】
請求項15記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA1、前記第2導電パターンにおける前記金属細線の占有面積をA2としたとき、
2≦A2/A1≦10
であることを特徴とする導電シート。
【請求項19】
請求項10〜18のいずれか1項に記載の導電シートにおいて、
前記第1導電パターンのうち、複数の前記第1格子にて構成された部分が第1電極を構成し、
前記第2導電パターンのうち、複数の前記第1格子にて構成された部分が第2電極を構成し、
上面から見たとき、前記第1電極、前記第2電極及び前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、均一な格子パターンを構成することを特徴とする導電シート。
【請求項20】
請求項19記載の導電シートにおいて、
前記第1電極における前記金属細線の占有面積をa1、前記第2電極における前記金属細線の占有面積をa2としたとき、
1<a2/a1≦20
であることを特徴とする導電シート。
【請求項21】
請求項19記載の導電シートにおいて、
前記第1電極における前記金属細線の占有面積をa1、前記第2電極における前記金属細線の占有面積をa2としたとき、
1<a2/a1≦10
であることを特徴とする導電シート。
【請求項22】
請求項19記載の導電シートにおいて、
前記第1電極における前記金属細線の占有面積をa1、前記第2電極における前記金属細線の占有面積をa2としたとき、
2≦a2/a1≦10
であることを特徴とする導電シート。
【請求項23】
請求項10〜22のいずれか1項に記載の導電シートにおいて、
前記第1導電部は、隣接する前記第1導電パターン間に、前記第1導電パターンと非接続とされた第1補助パターンを有し、
前記第2導電部は、隣接する前記第2導電パターン間に、前記第2導電パターンと非接続とされた第2補助パターンを有し、
上面から見たとき、前記第1補助パターンと前記第2補助パターンとが対向することによる組合せパターンが形成され、該組合せパターンは複数の前記第1格子が組み合わされた形態を有することを特徴とする導電シート。
【請求項24】
請求項1、5又は10記載の導電シートにおいて、
前記第1格子の一辺の長さが30〜500μmであることを特徴とする導電シート。
【請求項25】
請求項1、5又は10記載の導電シートにおいて、
前記金属細線の線幅が15μm以下であることを特徴とする導電シート。
【請求項26】
請求項1、5又は10記載の導電シートにおいて、
前記第1導電部と第2導電部とが基体を介して対向し、
前記基体の厚みが50μm〜350μmであることを特徴とする導電シート。
【請求項27】
請求項1、5又は10記載の導電シートにおいて、
前記第2格子の一辺の長さは、前記第1格子の一辺の長さの実数倍の長さを有することを特徴とする導電シート。
【請求項28】
請求項27記載の導電シートにおいて、
前記第2格子の一辺の長さは、前記第1格子の一辺の長さの2倍の長さを有することを特徴とする導電シート。
【請求項29】
表示装置の表示パネル上に配置される導電シートを有するタッチパネルであって、
前記導電シートは、
一方向に配列する複数の導電パターンを有し、
前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、
前記第2格子で構成された第2格子部が前記一方向に配列され、
前記一方向と略直交する方向に配列され、且つ、所定間隔で設けられた、前記第1格子から構成される第1格子部は前記第2格子部と非接続状態で配置されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項30】
表示装置の表示パネル上に配置される導電シートを有するタッチパネルであって、
前記導電シートは、
一方向に配列する複数の導電パターンを有し、
前記導電パターンは金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、
前記第1格子で構成された第1格子部と前記第2格子で構成された第2格子部とが電気的に接続された状態で、交互に前記一方向と略直交する方向に配列され、
前記第1格子部の前記一方向に沿った長さと前記第2格子部の前記一方向に沿った長さとが略同じであることを特徴とするタッチパネル。
【請求項31】
表示装置の表示パネル上に配置される導電シートを有するタッチパネルであって、
前記導電シートは、
入力操作側に配置された第1導電部と、前記表示パネル側に配置された第2導電部とを有し、
前記第1導電部と前記第2導電部とが対向して配置され、
前記第1導電部は、一方向に配列する複数の第1導電パターンを有し、
前記第2導電部は、前記第1導電パターンの配列方向と直交する方向に配列する複数の第2導電パターンを有し、
前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンは共に金属細線による複数の第1格子と、該第1格子よりもサイズが大きい金属細線による複数の第2格子とが組み合わされて構成され、
前記第1導電パターンは、前記第2導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第2導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、
前記第2導電パターンは、前記第1導電パターンと対向する部分が複数の前記第2格子にて構成され、前記第1導電パターンと対向しない部分が複数の前記第1格子にて構成され、
上面から見たとき、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、複数の前記第1格子が組み合わされた形態を有することを特徴とするタッチパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−238274(P2012−238274A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108295(P2011−108295)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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