説明

導電性ウェブ

【課題】導電性ウェブを提供する。
【解決手段】導電性の不織ウェブが開示されている。不織ウェブは、導電性繊維と組合せたパルプ繊維を含有する。一実施形態では、ウェブは湿式ティッシュ形成プロセスで形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ウェブに関する。
(関連技術)
【0002】
本出願は、2007年7月31日に出願された米国特許出願番号11/888,334及び2008年5月30日に出願された米国特許出願番号12/130,573の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
おしめ、トレーニングパンツ、失禁用品、女性用生理用品、水泳用アンダーガーメント等の吸収物品は、従来、液浸透性ボディサイドライナ、液不浸透性外側カバー及び吸収コアを有する。この吸収コアは、通常、外側カバー及びライナの間に位置し、着用者による
浸出液(例えば、尿)を取込み保持する。
【0004】
吸収コアは、例えば複数の超吸収性粒子から形成することができる。多くの吸収性粒子、特にキンバリークラークコーポレイションによりHUGGIES(登録商標)の商標名で販売されている吸収性粒子、は、液吸収性能が高すぎて吸収性粒子が体液で汚れているのかどうかが分かりづらいときもある。
【0005】
従って、様々なタイプの湿度すなわち湿り表示器が吸収性物品用に考えられてきた。これらの湿り表示器には、両親又は介護者がおしめが湿った状態にあることを早いうちに識別するのを助けるように設計された警告デバイスが含まれうる。これらのデバイスは、音響信号を発生させうる。
【0006】
従来は、例えば、湿り表示器には、電源及び警告デバイスに取付けられ吸収性物品に組込まれた開回路が含まれていた。尿等の導電性物質が吸収性物品中で検出された場合、この開回路が閉じ警告デバイスを作動させる。この開回路は、例えば、金属のワイヤ又はフォイルで形成することできる2つの導電性部材を有してよい。
【0007】
しかしながら、吸収性物品が製造されるプロセス速度で湿り表示器を吸収性物品に組込むことについて効率及び信頼性に問題が生じていた。このため、吸収性物品に容易に組込むことができる改良された湿りセンサが必要とされている。
【0008】
加えて、非金属素材から形成された湿り表示器で用いられる導電性部材も必要とされている。金属要素を吸収性物品に組込むことにより、例えば様々な問題が生じうる。例えば、いったん吸収性物品が包装されると、通常、吸収性物品は、パッケージ中に偶発的に金属物が封入されていないことを確かめるために金属検知器を通される。しかしながら、湿り表示器を金属から形成すると、金属検知器が誤って検出を表示しかねない。さらに、吸収性物品に金属導電性要素を組込むと、着用者が金属検知器も備えるセキュリティーゲートを通ろうとする際に問題を生じかねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
導電性ウェブを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、数多くの用途で使用可能な導電性の不織ウェブに関する。例えば、一実施形態では、この不織ウェブを吸収性物品に組込まれた湿り検知デバイスの導電性要素を形成するように用いることができる。一実施形態では、この導電性の不織ウェブは、導電性繊維と組合された相当量のパルプ繊維を含有しティッシュ製造プロセスを通して形成される。形成されたウェブは、ティッシュウェブと類似の多くの特性を有することができ、続いて、吸収性物品にその製造時に同物品内に開回路を形成するために容易に組込むことができる。例えば、一実施形態では、導電性の不織ウェブからなる2つのストリップ又は領域が開回路を形成するために吸収性物品内に組込まれる。これら2つのストリップ又は導電性領域の間に導電性物質が延在すると、シグナルデバイスを作動することができ、シグナルデバイスは導電性物質があることを示すシグナルを発する。
【0011】
一実施形態では、例えば、本開示の不織ウェブ素材は、少なくとも約50重量%のパルプ繊維を含有する不織ウェブ基材を有する。この不織ウェブ基材は、少なくとも1重量%の、特に少なくとも3重量%の導電性繊維をさらに含有する。例えば、これら導電性繊維はウェブ基材が少なくとも一方向に、及び少なくとも1の領域で導電性となるのに十分な量で不織ウェブ基材中に含有されることができる。例えば、ウェブ基材内に組込まれる導電性繊維は、カーボン繊維、金属繊維、導電性素材を含有するポリマ繊維、又はそれらの混合物であることができる。
【0012】
一実施形態では、導電性繊維をウェブ基材のある層に組込みかつ集中させることが望ましい。例えば、ウェブ基材は、別々の繊維層を含む単一プライウェブであってよい。例えば、ウェブ基材は、少なくとも第1の層及び第2の層を含んでよい。導電性繊維を、全てこの第2の層内に含有させることができる。
【0013】
詳細な一実施形態では、例えば、単一プライウェブは、第1の層及び第2の層に加えて第3繊維層を含むことができる。導電性繊維を含有する第2の層は、第1の層及び第3の層の間に位置することができる。第1の層及び第3の層は、例えば、パルプ繊維を含有することができ、第2の層は、導電性繊維及びパルプ繊維の混合物を含有することができる。このように、ウェブ基材は、柔らかく肌を傷つけない感触を維持し、ウェブ基材が電気を伝導するのに十分な量の導電性繊維を含有する。
【0014】
上述のように、一実施形態では、導電性繊維はカーボン繊維を含んでよい。例えば、カーボン繊維をポリアクリロニトリルから形成することができる。カーボン繊維は、約1mmから約12mmの長さの、特に約3mmから約6mmの長さの寸断された繊維であってよい。同繊維は、例えば、約3ミクロンから約15ミクロンの径、特に約5ミクロンから約10ミクロンの径を有することができる。
【0015】
一実施形態では、パルプ繊維及び導電性繊維に加えて、ウェブ基材は、さらに熱可塑性素材から形成された合成繊維又はポリマ繊維をさらに含有することができる。熱可塑性繊維をウェブ基材に組込むことにより、ウェブ基材は、より強度を持ち、及び/又は他のウェブ及び材料等の他の構成要素への熱結合を受け易くさせることができる。
【0016】
本開示の導電性不織ウェブを形成する方法は、用途の詳細に応じて変わりうる。一実施形態では、例えば、不織ウェブ基材は、ティッシュ製造プロセスに従って形成された湿式ウェブであってよい。この湿式ウェブは、例えば、クレープがなくスルーエア乾燥されたウェブ等のクレープがないウェブであることができる。
【0017】
別の実施形態では、不織ウェブを、多孔性の形成面に水性懸濁液を堆積させて湿潤したウェブを形成することにより製造することができる。繊維の水性懸濁液は、パルプ繊維及び導電性繊維を含むことができる。例えば、導電性繊維が、水性懸濁液中に、含有される全ての繊維の重量に基づいて少なくとも約2重量%の量で含有することができる。湿潤したウェブを、回転すると共に加熱されたヤンキードライヤの面に載置させ乾燥させることができる。本開示によると、乾燥されたウェブは、ウェブにクレープを生じさせることなくヤンキードライヤドラムから取除くことができる。一実施形態では、例えば、ウェブを容易に取外すために、ドラムの面に離型剤を塗布することができる。
【0018】
さらに他の実施形態では、上述のような湿潤して形成されたウェブを連続した複数の乾燥シリンダに押圧してウェブを乾燥することができる。例えば、この実施形態では、ウェブは少なくとも5つの連続した乾燥シリンダに接触しうる。ウェブは、シリンダに約150°、特に少なくとも180°巻きつくことができる。乾燥シリンダの面に接触する際、ウェブは押圧され、ファブリックによりその面と係合される。複数の乾燥シリンダに押圧する際、ウェブは乾燥しながら密度が増加する。この実施形態では、例えば、形成されたウェブは、約2cc/g未満の、特に約1cc/g未満の、特に約0.5cc/g未満の嵩を持ちうる。
【0019】
上述のような導電性の不織ウェブを所望により様々な積層体内に組込むことができる。例えば、一実施形態では、本開示により形成された導電性の不織ウェブ基材をポリマフィルム、又はスパンボンドウェブあるいはメルトブローンウェブ等の不織ウェブに積層させることができる。
【0020】
一実施形態では、2つの別の繊維層を備えた単一プライウェブ基材を形成することができる。例えば、ウェブ基材は、パルプ繊維を含有する第1の層及び導電性繊維と組合せたパルプ繊維を含有する第2の層を有することができる。一実施形態では、この単一プライウェブを同一のウェブに積層させることができる。例えば、導電性繊維層どうしを積層させることができ、代わりにパルプ繊維層どうしを積層させることができる。
【0021】
上述の不織ウェブは多くの様々な用途を有するが、一実施形態では、この素材を吸収性物品に組込むことができる。吸収性物品は、外側カバー、吸収構造体、及びライナを有するシャシーを備えることができる。吸収構造体は、例えば、外側カバー及びライナの間に位置させることができる。物品に応じて、シャシーは、前方領域及び後方領域の間に位置する股領域を有してよい。前方領域及び後方領域は、それらの間にウェスト領域を画定することができる。
【0022】
本開示によると、吸収性物品は、導電性物質が吸収性物品内で検出された際に作動される湿り検出デバイスをさらに有することができる。この湿り検出デバイスは、シグナルデバイスと連絡する離間した1対の導電性要素等の少なくとも1つの導電性要素を含む。導電性要素は、吸収性物品内で開回路を形成することができ、パルプ繊維及び導電性繊維の混合物である導電性不織ウェブから形成することができる。導電性物質(尿等)が導電性要素と接触した場合、開回路が閉じシグナルデバイスに導電性物質があることを示すシグナルを発させる。
【0023】
湿り検出デバイス内に含まれる第1及び第2の導電性要素は、別個及び別体のストリップ又は構造体であってよく、又は単一の不織ウェブに含まれていてもよい。例えば、一実施形態では、不織ウェブは、第1及び第2の導電性要素を有する複数の導電性領域を含んでいてよい。
【0024】
上述のように、導電性要素は、カーボン繊維と組合されたパルプ繊維を含有する湿式ウェブであってよい。不織ウェブは、この不織ウェブの少なくとも1つの領域が約1500オーム/スクエア(Square)未満、特に約100オーム/スクエア未満、特に約30オーム/スクエア未満、特に約10オーム/スクエア未満の抵抗を有するのに十分な量の導電性繊維を含有することができる。
【0025】
本発明の他の特徴及び態様を、以下でより詳細に説明する。
【0026】
当業者にとってのベストモードを含む本発明の完全かつ可能な開示が、本明細書の以下で添付された図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本開示による多層ウェブを形成するためのプロセスの一実施形態の側面図である。
【図2】本開示によるクレープがなくかつスルーエア乾燥されたウェブを形成するためのプロセスの一実施形態の側面図である。
【図3】本開示により形成された吸収性物品の一実施形態の後方斜視図である。
【図4】図3に示した吸収性物品の前方斜視図である。
【図5】図3に示した吸収性物品であって、物品の着用者と反対の面が示された固定せず折畳まずかつ広げた状態の物品の平面図である。
【図6】図5に類似の平面図であって、吸収性物品の着用時に着用者に面する面が示され、下方の特徴を示すために部分的に切取られた平面図である。
【図7】シグナルデバイスの一実施形態をさらに含んだ図3に示す実施形態の斜視図である。
【図8】導電性が異なる領域を含む本開示により形成された導電性不織ウェブの一実施形態の斜視図である。
【図9】本開示による導電性ウェブを形成するためのプロセスの他の実子形態の側面図である。
【図10】本開示による導電性ウェブを形成するためのプロセスのさらに他の実施形態の側面図である。
【図11】本開示により形成された積層体の一実施形態の斜視図である。
【図12】本開示により形成された積層体の他の実施形態の断面図である。
【図13】本開示により形成された積層体のさらに他の実施形態の断面図である。
【図14】本開示により形成された積層体のさらに他の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書及び図面中で参照符号を繰返し用いるのは、本開示の同一の又は同様の特徴又は要素を表すためである。
【0029】
当業者は、本説明をもっぱら実施形態の例の説明として理解し、本開示の様々な態様を限定する目的はないことを理解されたい。
【0030】
概して、本開示は、一般に導電性繊維を含有する不織ウェブに関する。この導電性繊維を例えばウェブが少なくとも一領域で電気伝導性であるようにウェブに組込むことができる。例えば、不織ウェブを、長さ方向に、幅方向に又は任意の適当な方向に電流を通すことができるように形成することができる。
【0031】
本開示によると、導電性の不織ウェブは、相当量のパルプ繊維を含有でき、ティッシュ製造プロセスを用いて形成することができる。例えば、一実施形態では、導電性繊維をパルプの繊維及び水と組合せて、繊維の水性懸濁液を形成することができ、この液を続いて導電性ティッシュウェブを形成するために多孔質面に堆積させる。特定の導電性繊維を選択し、ウェブ内の特定位置に繊維を位置させ、及び様々な他の要因及び変数を制御することにより、ティッシュウェブの導電性を制御することができる。一実施形態では、例えば、不織のウェブ内に組込まれる導電性繊維には、寸断したカーボン繊維が含まれる。
【0032】
本開示に従って形成された不織ウェブを数多くの異なる用途に用いることができる。例えば、一実施形態では、導電性の不織ウェブ素材を任意の適当な電気デバイスに組込むことができる。例えば、不織ウェブを燃料電池の膜として、バッテリの電極として用いることができ、プリンテッドエレクトロニクスで用いてもよい。例えば、詳細な一実施形態では、導電性繊維は、任意の適当な最終用途のためにウェブ基材内にパターン回路を形成することができる。
【0033】
詳細な一実施形態では、例えば、本開示に従って形成された導電性の不織ウェブを吸収性物品内の湿り検知デバイスを形成するように用いてもよい。この湿り検知デバイスは、例えば、尿又は便等の導電性の物質が吸収性物品内で検知された場合に、音響信号及び/又は可視信号等の信号を発するように構成することができる。一実施形態では、例えば、本開示により形成された1又は複数のウェブを吸収性物品内で導電性要素を形成するように構成し、導電性物質が物品内に存在する場合に閉じるように構成された開回路を作るようにすることができる。
【0034】
吸収性物品は、たとえば、おしめ、トレーニングパンツ、失禁用品、女性用生理用品、医療用衣服、包帯などであってよい。一般に、開回路を含む吸収性物品は、使い捨てであり、使い捨てとは、吸収性物品が再使用するために洗濯又は他の方法で復元される代わりに制限された使用後に捨てられるように設計されていることを意味する。
【0035】
本開示の不織ウェブから形成された吸収性物品内に含まれる開回路は、シグナルデバイスに取付けられるようにされる。このシグナルデバイスは、この開回路に電力を供給するが、他方でさらに体液が出ていることを使用者に知らせる何らかのタイプの音響シグナル及び/又は可視シグナルを有する。吸収性物品それ自身は使い捨てであるが、このシグナルデバイスは、1つの物品から他の物品へと再使用可能であってよい。
【0036】
上述のように、本開示のウェブ基材は、導電性繊維をパルプ繊維と組合せることにより形成され不織ウェブを形成する。一実施形態では、ティッシュ形成プロセスをこのウェブを形成するために用いうる。
【0037】
本開示により用いられうる導電性繊維は、用途の詳細及び所望の効果に応じて様々でありうる。不織ウェブを形成するために用いられうる導電性繊維には、カーボン繊維、金属繊維、導電性ポリマから形成された繊維又は導電性素材を含むポリマ繊維を含む導電性ポリマ繊維、金属コーティング繊維、及びそれらの混合物が含まれる。用いることができる金属繊維には、例えば、銅繊維、アルミニウム繊維等が含まれる。導電性素材を含むポリマ繊維には、導電性素材でコートされた熱可塑性繊維、又は導電性素材に含浸され又はブレンドされた熱可塑性繊維が含まれる。例えば、一実施形態では、銀でコートされた熱可塑性繊維を用いることができる。
【0038】
不織素材中に組込まれる導電性繊維は、任意の適当な長さ及び径を有してよい。一実施形態では、例えば、導電性繊維は、約100:1から約1000:1のアスペクト比を有することができる。
【0039】
不織ウェブ中に含まれる導電性繊維量は、ウェブ中に組込まれる導電性繊維のタイプ及びウェブの最終的な用途等の多くの様々な要因に基づいて変化しうる。導電性繊維を不織ウェブ中に例えば1重量%から90重量%の量でもしくはそれより多い量で組込むことができる。例えば、導電性繊維は、不織ウェブ中に約3重量%から約60重量%で、特に約3重量%から約20重量%で含有されうる。
【0040】
本開示で用いることができるカーボン繊維には、完全にカーボンから形成された繊維又は繊維が電気伝導性となるのに十分な量のカーボンを含有する繊維が含まれる。一実施形態では、例えば、ポリアクリロニトリルポリマから形成されたカーボン繊維を用いることができる。特に、カーボン繊維を、ポリアクリロニトリルポリマ繊維を加熱、酸化、及び炭化することにより形成する。このような繊維は、通常、高い純度を有し、比較的高い分子量の分子を含有している。例えば、この繊維は、約90重量%より多い量の、特に約93重量%より多い量の、特に95重量%より多い量のカーボンを含有しうる。
【0041】
ポリアクリロニトリルポリマ繊維からカーボン繊維を形成するために、まずポリアクリロニトリルを空気等の酸素雰囲気中で加熱する。加熱中に、ポリアクリロニトリルポリマ中のシアノ基(cyano site)がテトラヒドロピリジンの環状の繰返し単位を形成する。加熱を継続するにつれて、ポリマが酸化を開始する。酸化中、水素が放出され炭素が芳香環を形成する。
【0042】
酸化後、続いて繊維は酸素欠乏雰囲気でさらに加熱される。例えば、繊維を約1300度より高い温度に、特に1400度より高い温度に、特に約1300度から約1800度までの温度に加熱することができる。加熱中に、繊維は炭化される。炭化中に、隣接するポリマ鎖が結合しほぼ純粋な炭素からなるラメラ状の平面基礎構造を形成する。
【0043】
ポリアクリロニトリルに基づくカーボン繊維は、数多くの入手先から商業的に入手可能である。例えば、このようなカーボン繊維をテネシー州ロックウッドの東邦テナックスアメリカ社(Toho Tenax America, Inc.)から入手することができる。
【0044】
カーボン繊維を形成するために用いられる他の原料は、レーヨン及び石油ピッチである。
【0045】
特に好都合なのは、形成されたカーボン繊維を任意の適当な長さに寸断することができることである。本開示の一実施形態では、例えば、長さが約1mmから約12mmの、特に長さが約3mmから約6mmの寸断されたカーボン繊維をウェブ基材内に組込むことができる。繊維は、約3ミクロンから約15ミクロンの、特に約5ミクロンから約10ミクロンの径平均を有することができる。一実施形態では、例えば、カーボン繊維は、長さが約3mmで径平均が約7ミクロンであることができる。
【0046】
一実施形態では、不織ウェブ基材内に組込まれるカーボン繊維は、水溶性のサイズ剤を含有する。サイズ剤は、0.1から10重量%でありうる。水溶性のサイズ剤は、ポリアミド化合物、エポキシ樹脂エステル、及びポリ(ビニルピロリドン)でよいが、これらに限定されない。こうして、サイズ剤は、不織ウェブを形成する前に、カーボン繊維を水に混合してカーボン繊維の良好な懸濁液を用意する際に溶解される。
【0047】
本開示により導電性不織ウェブを形成する際に、上述の導電性繊維は、ティッシュ製造プロセスで用いるのに適した他の繊維と組合される。導電性繊維と組合される繊維は、任意の天然の又は合成のセルロース繊維を含んでよく、綿、アバカ、ケナフ、サバイグラス(sabai grass)、亜麻、アフリカハネガヤ、わら、ジュート麻、バガス、トウワタ綿毛の繊維(milkweed floss fibers)、パイナップルの葉の繊維等の非木材繊維、北米及び南米針葉樹クラフト繊維等の針葉樹繊維、ユーカリノキ、カエデ、カバノキ、及びアスペン等の硬材繊維を含む落葉樹及び針葉樹から得られる木質繊維又はパルプ繊維を含みうるがこれらに限定されない。パルプ繊維を高収量又は低収量の形態で準備することができ、クラフト、サルファイト、高収量パルプ化法及び他の既知のパルプ化法を含む任意の既知の方法でパルプ化することができる。1988年12月27日にLaamanenらに付与された米国特許第4,793,898号、1986年6月10日にChangらに付与された米国特許第4,594,130号、及び米国特許第3,585,104号に開示された繊維及び方法を含むオルガノソフパルプ化法も用いることができる。1997年1月21日にGordonらに付与された米国特許第5,595,628号に例示されるアントラキノン蒸解によっても有用な繊維を生成することができる。
【0048】
乾燥重量で50%未満までの又は乾燥重量で約5%から約30%までの繊維の一部は、レーヨン、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、2成分芯鞘繊維、多成分バインダ繊維などのような合成繊維であってよい。ポリエチレン繊維の例は、Hercules社(デラウェア州、ウィルミントン)から入手可能なPulpex(登録商標)である。合成セルロース繊維のタイプには、様々なレーヨン及びビスコース又は化学的に修飾されたセルロースに由来する他の繊維が含まれる。
【0049】
不織ウェブに熱可塑性繊維を組込むと様々な好都合な点や利点が生じうる。例えば、熱可塑性繊維をウェブに組込むとウェブが隣接する構造と熱的に結合することができる。例として、ウェブは、例えばスパンボンドウェブ又はメルトブローンウェブを含みうるおむつのライナのような他の不織素材に熱的に結合されうる。
【0050】
マーセル法で処理されたパルプ、化学的に剛直化又は架橋された繊維、又はスルホン酸化した繊維のような化学的に処理された天然セルロース繊維を用いることもできる。製紙繊維を用いる際の機械的特性が良好であるため、繊維が比較的損傷をうけておらず大半が叩解されない(unrefined)すなわちわずかに叩解されるのみであることは望ましい可能性がある。マーセル法で処理された繊維、再生セルロース繊維、微生物により生成されたセルロース、レーヨン、及び他のセルロース素材又はセルロース誘導体を用いることができる。適当な繊維には、再生繊維、未使用繊維、又はそれらの混合物も含まれうる。複数の実施形態で、繊維は、少なくとも200の、より詳細には少なくとも300の、より詳細にはさらに少なくとも400の、最も詳細には少なくとも500のカナダ標準ろ水度を持ちうる。
【0051】
本開示で用いられうる他の製紙繊維には、ペーパブロークすなわち再生繊維及び高収量繊維が含まれうる。高収量パルプ繊維は、約65%以上の、より詳細には約75%以上の、さらに詳細には約75%から約95%の収量を生むパルプ化過程により生成された製紙繊維である。収量は、最初の木材重量に対する百分率で表された処理された繊維の結果として生じた量である。このようなパルプ化過程には、漂白ケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、圧力/圧力サーモメカニカルパルプ(PTMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、サーモメカニカルケミカルパルプ(TMCP)、高収量亜硫酸パルプ、及び高収量クラフトパルプが含まれ、これらの全ては、リグニンを高いレベルで含有する繊維を生じる。高収量繊維は、乾燥時及び湿潤時の両方で通常の化学的にパルプ化された繊維に比較して剛直であることで良く知られている。
【0052】
一般に、ティッシュウェブを形成することが可能な任意のプロセスを導電性ウェブを形成する際に用いることができる。例えば、本開示の製紙プロセスは、エンボシング、湿式加圧、空気加圧、スルーエアドライング、アンクリープトスルーエアドライング、ハイドロタングリング、エアーレイイング及び当業者に知られた他の工程を用いることができる。ティッシュウェブは、少なくとも50重量%の、特に少なくとも60重量%の、特に少なくとも70重量%の、特に少なくとも80重量%の、特に少なくとも90重量%のパルプ繊維を含有する繊維完成紙料から形成することができる。
【0053】
不織ウェブを次のいずれにも開示されているティッシュシートのようにパターン状に密度を上昇させ又はインプリントしてもよい。すなわち、1985年4月30日にJohnsonらに付与された米国特許第4,514,345号、1985年7月9日にTrakhanに付与された米国特許第4,528,239号、1992年3月24日に付与された米国特許第5,098,522号、1993年11月9日にSmurkoskiらに付与された米国特許第5,260,171号、1994年1月4日にTrokhanに付与された米国特許第5,275,700号、1994年7月12日にRaschらに付与された米国特許5,328,565号、1994年8月2日にTrokhanらに付与された米国特許第5,334,289号、1995年7月11日にRaschらに付与された米国特許第5,431,786号、1996年3月5日にSteltjes, Jr.らに付与された米国特許第5,496,624号、1996年3月19日にTrokhanらに付与された米国特許第5,500,277号、1996年5月7日にTrokhanらに付与された米国特許第5,514,523号、1996年9月10日にTrokhanらに付与された米国特許第5,554,467号、1996年10月22日にTrokhanらに付与された米国特許第5,566,724号、1997年4月29日にTrokhanらに付与された米国特許第5,624,790号、1997年5月13日のAyersらに付与された米国特許第5,628,876号である。これらの明細書の開示は、本明細書と矛盾しない限りにおいて参照することにより本明細書に組込まれる。このようなインプリントされたティッシュシートは、インプリント用ファブリックによりドラムドライヤに押圧された密度の高い領域、及びインプリント用ファブリックにおける反らせ導管(deflection conduit)に対応する比較的密度の低い領域(例えば、ティッシュシートにおける「ドーム」)からなるネットワークを有してよい。この反らせ導管の上方に重ねられたティッシュシートは、反らせ導管の横断圧力差により反らされティッシュシートにおける密度の低いピロー状の領域すなわちドームを形成する。
【0054】
ティッシュウェブは、内部に繊維から繊維への結合強度が実質的にはなくとも形成することができる。このことに関して、ウェブ基材を形成するために用いられる繊維完成紙料を化学的な剥離剤で処理することができる。剥離剤を、パルプ化過程で繊維スラリに加え又はヘッドボックスに直接加えることができる。本開示で用いることができる適当な剥離剤には、脂肪族ジアルキル4級アミン塩、モノ脂肪族アルキル3級アミン塩、1級アミン塩、イミダゾリン4級塩、シリコン4級塩、及び不飽和脂肪族アルキルアミン塩等のカチオン性剥離剤が含まれる。他の適当な剥離剤は、Kaunに付与された米国特許第5,529,665号に開示され、参照することにより本明細書に組込まれる。特に、Kaunは剥離剤としてカチオン性シリコン化合物を用いることを開示している。
【0055】
一実施形態では、本開示のプロセスで用いられる剥離剤は、有機4級塩化アンモニウムであり、特に4級塩化アンモニウムのシリコンベースのアミン塩である。例えば、剥離剤は、Hercules Corporationにより販売されているPROSOFT(登録商標) TQ1003でよい。剥離剤をメートルトン当たり約1Kgからメートルトン当たり約10Kgの繊維がスラリ中に含有される量で繊維スラリに加えることができる。
【0056】
代わりの実施形態では、剥離剤をイミダゾリンベースの剥離剤とすることができる。イミダゾリンベースの剥離剤は、例えばWitco Corporationから入手することができる。イミダゾリンベースの剥離剤をメートルトン当たり2.0kgから約15Kgの間の量で加えることができる。
【0057】
一実施形態では、剥離剤を、1998年12月17日に出願され国際文献番号がWO 99/34057のPCT出願に開示され、又は2000年4月28日に出願され国際文献番号がWO 00/66835のPCT公表出願に開示されたプロセスにより繊維完成紙料にくわえることができる。両出願は、参照することにより本明細書に組込まれる。上記の刊行物では、剥離剤等の化学添加物がセルロースの製紙繊維に高レベルに吸着されるプロセスが開示されている。このプロセスは、繊維スラリを過剰な化学添加物で処理する工程と、吸着が生じるのに十分な滞留時間を与える工程と、スラリを濾過し吸着されない化学添加物を除去する工程と、不織のウェブを形成する前に濾過したパルプを清浄な水に再分散させる工程とを有している。
【0058】
乾燥及び湿潤紙力増強剤も紙基材に塗布又は組込むことができる。本明細書では、「湿潤紙力増強剤」は、湿潤状態における繊維間の結合を固定するために用いられる材料を意味する。通常、紙及びティッシュ製品で繊維が互いに結合するための手段には、水素結合と、時には水素結合及び共有結合及び/又はイオン結合の組合せが関係する。本発明においては、繊維から繊維への結合点を固定し湿潤状態における擾乱に対して抵抗力を持たせるような繊維の結合を可能とする材料を提供することは好都合でありうる。
【0059】
本発明の目的のために、ティッシュ紙又は紙に加えられると幾何学的な湿潤引張り強度の幾何学的な乾燥引張り強度に対する比の平均が約0.1を超える任意の材料を湿潤紙力増強剤と称する。通常これらの材料は、パーマネントタイプの湿潤紙力増強剤又は「一時的タイプの」紙力増強剤と称される。パーマネントタイプの湿潤紙力増強剤を一時的タイプの湿潤紙力増強剤から区別する目的で、パーマネントタイプの湿潤紙力増強剤を、紙又はティッシュ製品に組込まれた際に、紙又はティッシュ製品を少なくとも5分間水にさらした後に最初の湿潤強度の50%超える湿潤強度を維持させる樹脂として定義する。一時的タイプの湿潤紙力増強剤は、5分間水が浸透した後で最初の湿潤強度の約50%以下を示すものである。本発明では湿潤紙力増強剤の種類の両方に用途がある。パルプ繊維に加えられる湿潤紙力増強剤の量は、繊維の乾燥重量に基づいて、少なくとも約0.1乾燥重量%であり、より詳細には約0.2乾燥重量%以上であり、さらにより詳細には約0.1から約3乾燥重量%である。
【0060】
パーマネントタイプの湿潤紙力増強剤により、通常、ティッシュ紙の構造に湿潤に対する長期間の抵抗力が多少なりとも与えられる。対照的に、一時的タイプの湿潤紙力増強剤により、通常、低密度で高い抵抗力のあるティッシュ紙構造が与えられるであろうが、水又は体液にさらされて長期間の抵抗力を持つ構造は与えられないであろう。
【0061】
一時的タイプの湿潤紙力増強剤は、カチオン性、非イオン性、又はアニオン性であってよい。そのような化合物として、Cytec Industries(ニュージャージー州、ウェストパターソン)から入手可能なカチオン性のグリオキシル酸ポリアクリルアミドである、PAREZ(登録商標) 631及びPAREZ(登録商標) 725の一時的タイプの湿潤紙力増強樹脂が含まれる。この樹脂及び類似の樹脂は、1971年1月19日にCosciaらに付与された米国特許第3,556,932号及び1971年1月19日にWilliamsらに付与された米国特許第3,556,933号に記載されている。デラウェア州ウィルミントンに所在するHercules社により製造されたHercobond 1366は、本発明により用いることができる他の商業的に入手可能なカチオン性グリオキシルポリアクリルアミドである。一時的タイプの湿潤紙力増強剤の例として、加えて、National Starch and Chemical Companyから販売されているCobond(登録商標) 1000等の酸化でんぷん、及び2001年5月1日にSchroederらに付与された米国特許第6,224,714号、2001年8月14日にShannonらに付与された米国特許第6,274,667号、2001年9月11日にSchroederらに付与された米国特許第6,287,418号、及び2002年4月2日にShannonらに付与された米国特許第6,365,667号に記載されたもののようなアルデヒド含有ポリマが含まれる。これらの特許の開示は本明細書と矛盾しない限りにおいて参照することにより本明細書に組込まれる。
【0062】
本発明では、カチオン性のオリゴマ又はポリマ樹脂を含むパーマネントタイプの湿潤紙力増強剤を用いることができる。デラウェア州ウィルミントンに所在するHercules社により販売されているKYMENE 557H等のポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリンタイプの樹脂は最も広く用いられているパーマネントタイプの紙力増強剤であり、本発明の用途に適している。このような材料は、次の米国特許に記載されている。すなわち、1972年10月24日にKeimに付与された米国特許第3,700,623号、1973年11月13日にKeimに付与された米国特許第3,772,076号、1974年12月17日にPetrovichらに付与された米国特許第3,855,158号、1975年8月12日にPetrovichらに付与された米国特許第3,899,388号、1978年12月12日にPetrovichらに付与された米国特許第4,129,528号、1979年4月3日にPetrovichらに付与された米国特許第4,147,586号、及び1980年9月16日にvan Eenamに付与された米国特許第4,222,921号である。他のカチオン性樹脂として、ポリエチレンイミン樹脂、及びホルムアルデヒドとメラミン又は尿素との反応により得られるアミノプラスト樹脂が含まれる。ティッシュ製品の製造に当たっては、一時的タイプの湿潤紙力増強樹脂及びパーマネントタイプの湿潤紙力増強樹脂の両方を用いるのが好都合でありうる。
【0063】
乾燥紙力増強剤は、従来技術でよく知られており、加工澱粉、及びカチオン性、両性、及びアニオン性の澱粉、グアー、及びローカストビーンガム、修飾ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、糖類、ポリビニルアルコール、キトサンなどのような他の多糖を含むがこれらに限定されない。このような乾燥紙力増強剤は、通常、ティッシュ紙形成前に繊維スラリに加えられるか、クレーピングパッケージ(creping package)の一部として加えられる。
【0064】
不織ウェブに加えることができる化学物質のタイプを追加すると、通常、低分子量のポリエチレングリコール、及びグリセリン及びプロピレングリコール等のポリヒドロキシ化合物のようなカチオン性、アニオン性又は非イオン性の界面活性剤、保湿剤の形態の吸着補助剤が含まれるがこれらに限定されない。鉱油、アロエ抽出物、ビタミンE、シリコン、ローション一般などの肌の健康に資する材料も完成した製品に組込むことができる。
【0065】
一般に、本開示の製品を、その意図された用途に矛盾しない任意の既知の材料及び化学物質と共に用いることができる。そのような材料の例には、ベビーパウダ、ベーキングソーダ、キレート剤、ゼオライト、香水又は他の臭気マスキング剤、シクロデキストリン化合物、酸化剤などが含まれるがこれらに限定されない。特に好都合なのは、カーボン繊維が導電性繊維として用いられた場合、カーボン繊維も匂い吸着剤として働くことである。超吸収性粒子、合成繊維、又はフィルムも用いることができる。追加的な選択肢には、色素、蛍光増白剤、保湿剤、エモリエント剤などが含まれる。
【0066】
本開示に従って形成される不織ウェブは、単一の均一繊維層、又は層を成したすなわち複数層の構成を含みうる。例えば、不織ウェブプライは、2又は3の繊維層を含みうる。各層は、繊維の組成が異なることができる。例えば、図1を参照して、複数層の層を成したパルプ完成紙料を形成するための装置の一実施形態を示す。図示するように、3層ヘッドボックス10は、一般に上部ヘッドボックス壁12及び下部ヘッドボックス壁14を有する。ヘッドボックス10は、3つの繊維原料層を分割する第1の仕切り16及び第2の仕切り18をさらに有する。
【0067】
繊維層の各々は、繊維の希薄な水性懸濁液である。各層に含まれる個々の繊維は、一般に形成される製品及び所望の結果に依存する。一実施形態では、例えば、中間層20は、導電性繊維と組合せたパルプ繊維を含んでいる。他方、外層22、24は、針葉樹繊維及び/又は広葉樹繊維等のパルプ繊維だけを含んでいる。
【0068】
中間層20内に導電性繊維を位置させると、様々な好都合な点及び利点が得られる。ウェブの中央に導電性繊維を位置させると、例えば、表面が依然として柔らかい感触の導電性材料を生出しうる。ウェブの複数層のうち1つに繊維を集中させると、大量の導電性繊維を追加する必要なく素材の導電性を向上することもできる。一実施形態では、例えば、各層がウェブの約15重量%から約40重量%の割合を占める3層ウェブが形成される。外層は、パルプ繊維だけで形成することもでき、又はパルプ繊維及び熱可塑性繊維の組合せで形成することができる。他方、中間層は、導電性繊維と組合されたパルプ繊維を含んでいてよい。導電性繊維は中間層に約10重量%から約90重量%、特に約30重量%から約70重量%、特に約40重量%から約60重量%で含まれてよい。
【0069】
無限軌道を動くフォーマファブリック26は、ロール28、30により適当に支持及び駆動され、ヘッドボックス10から出た層をなした製紙原料を受取る。一旦、ファブリック26に保持されると、層をなした繊維の懸濁液は矢印32に示すようにこのファブリックを介して水を通過させる。水の除去は、抄紙の構成に応じて、重力、遠心力及び真空吸引により達成される。
【0070】
多層の紙ウェブを形成することは、Farrington,Jr.に付与された米国特許第5,129,988号にも記載され開示されており、この特許は、参照することにより本明細書に組込まれる。
【0071】
一度、水性懸濁液を不織ウェブに形成すると、このウェブは、様々な技術及び方法を用いて処理される。例えば、図2を参照して、クレープがなくかつスルードライ(throughdried)されたティッシュ紙を形成するための方法を示す。一実施形態では、クレープが生じずかつスルーエア乾燥プロセスを用いて不織ウェブを形成することは望ましい。形成中に不織ウェブにクレープを生じさせると、不織ウェブ中の導電性繊維のネットワークを破壊することにより導電性繊維に損傷を生じさせうる。この結果、不織ウェブは、非導電性となる。
【0072】
簡単のため、複数走行するファブリックを画定すべく用いる様々な張力ロールの概略を示すが参照符号を付さない。図2に示す装置及び方法を一般的なプロセスから逸脱することなしに変更することが可能であることが分かるであろう。フォーマロール39に位置するフォーマファブリック38に製紙用繊維の水性懸濁液の流れ36を射出又は堆積する、複数層ヘッドボックス等の製紙用ヘッドボックス34を有するツインワイヤフォーマを示す。フォーマファブリックは、新しく形成された湿潤したウェブをプロセスの下流へと支持し搬送する働きをし、それにつれてこのウェブは約10重量パーセントの濃度になるまで部分的に脱水される。湿潤したウェブがフォーマファブリックにより支持されている間に、真空吸引等により湿潤したウェブの脱水を追加的に行う。
【0073】
続いて、湿潤したウェブは、フォーマファブリックから転送用ファブリック40へと転送される。選択的な一実施形態では、この転送用ファブリックは、ウェブをより伸ばすためにフォーマファブリックよりも遅い速度で走行しうる。このことは通常「ラッシュ(rush)」転送と称される。2つのファブリック間の相対的な速度差は、0から15パーセントでありうる。より具体的には約0から8パーセントでありうる。転送は、フォーマファブリック及び転送用ファブリックがバキュームスロットの先端で一度に集合及び分離を行うようにバキュームシュー42に補助されて行われるのが好ましい。
【0074】
続いて、場合に応じて上述した差が一定の転送を再び用いると共にバキューム転送ロール46又はバキューム転送シューで補助して、ウェブを、転送用ファブリックからスルードライ用ファブリック44に転送する。スルードライ用ファブリックは、転送用ファブリックと比較してほぼ同じ速度又は異なる速度で走行しうる。必要ならば、スルードライ用ファブリックをさらに伸長を促すようにより遅い速度で走行させてもよい。シートが変形しスルードライ用ファブリックに適合するべく真空で補助して転送を行うことができ、この結果必要ならば所望の嵩および外観が与えられる。適当なスルードライ用ファブリックはKai F. Chiuらに付与された米国特許第5,429,686号及びWendtらに付与された米国特許第5,672,248号に記載されており、これらは参照することにより組込まれる。
【0075】
一実施形態では、スルードライ用ファブリックの表面は比較的滑らかである。代わりにこのファブリックは高く長い押圧用ナックル(impression knuckle)を有していてよい。
【0076】
スルードライ用ファブリックに接しているウェブの面は通常不織ウェブの「ファブリック側」と称される。ウェブのファブリック側は、上述のように、ファブリックがスルードライヤで乾燥された後にはスルードライ用ファブリックの面に適合する形状を有し得る。一方、紙ウェブの反対面は、通常「エア側」と称される。通常、ウェブのエア側は、普通のスルードライプロセス中、ファブリック側よりも滑らかである。
【0077】
ウェブ転送のために用いられる真空のレベルは、約3から15水銀柱インチ(75から380水銀柱ミリメータ)であり、好ましくは、約5水銀柱インチ(125水銀柱ミリメータ)である。バキュームシュー(負圧)を、ウェブの反対側から正圧を用いることにより補助し又は置換えることができ、真空で次のファブリックにウェブを吸引することに加えて又はそれに代えて、次のファブリックにウェブを吹付けることができる。さらに、バキュームシューに代えて1又は複数のバキュームロールを用いることができる。
【0078】
スルードライ用ファブリックにより支持されている間、ウェブは最終的にスルードライヤ48により約94パーセント以上の濃度まで乾燥され、その後、搬送用ファブリック50に転送される。乾燥されたベースシート52は、搬送用ファブリック50及び場合に応じて搬送用ファブリック56を用いてリール54に転送される。場合に応じて圧力がかかった回転ロール58を用いて搬送用ファブリック50からファブリック56へのウェブの転送を容易にすることができる。この目的のための適当な搬送用ファブリックは、Albany International 84M又は94M及びAsten 959又は937であり、これら全ては、細かいパターンを有する比較的滑らかなファブリックである。図示しないが、ベースシートの滑らかさ及び柔らかさを向上するためにリールによるカレンダリングを行い又はライン外でカレンダ加工を続いて行うことができる。ウェブをカレンダリングすると、さらに導電性繊維を一定の平面又は一定の方向に配向させることができる。例えば、一実施形態では、導電性繊維の全てを主にX−Y平面内に位置させ、Z方向に向かせないために、ウェブをカレンダリングすることができる。このように、ウェブの導電性を向上することができ、ウェブの柔らかさを向上することができる。
【0079】
一実施形態では、不織ウェブ52は、平坦な状態で乾燥されたウェブである。例えば、このウェブを、ウェブが滑らかなスルードライ用ファブリック上にある間に形成することができる。クレープがないスルードライ用ファブリックを製造するためのプロセスは、例えば、Wendtらに付与された米国特許第5,672,248号、Farringtonらに付与された米国特許第5,656,132号、Lindsay及びBurazinに付与された米国特許第6,120,642号、Hermansらに付与された米国特許6,096,169号、Chenらに付与された米国特許第6,197,154号、及びHadaらに付与された米国特許6,143,135号に開示され、これらの全ては参照することによりその全体が本明細書に組込まれる。
【0080】
図2には、クレープがなくスルーエア乾燥されたウェブを製造するためのプロセスが示されている。しかしながら、導電性の不織ウェブを形成するためには、クレーピングを用いない任意の適当なプロセス又は技術を用いることができることを理解されたい。例えば、図9を参照して、本開示による不織ウェブを形成するために用いることができる他のプロセスを示す。図9に示す実施形態では、新しく形成されたウェブは、プロセス中に湿式加圧される。
【0081】
この実施形態では、ヘッドボックス60が、フォーマファブリック62に繊維の水性懸濁液を出し、このフォーマファブリック62は、複数のガイドロール64により支持及び駆動されている。ヘッドボックス60は、図2に示したヘッドボックス34と同様でよい。加えて、繊維の水性懸濁液は、上述のように導電性繊維を含んでよい。バキュームボックス66がフォーマファブリック62の下方に位置し、繊維完成紙料から水を除去しウェブ形成を補助するようにされている。形成されたウェブ68は、フォーマファブリック62から第2のファブリック70に転送され、第2のファブリックは、ワイヤ又はフェルトであってよい。ファブリック70は、複数のガイドロール72により連続した経路をめぐって動くように支持されている。ウェブ68をファブリック62からファブリック70に容易に転送するように、ピックアップロール74も設けられている。
【0082】
この実施形態では、ウェブ68は、ファブリック70からヤンキードライヤ等の回転可能で加熱されたドライヤドラム76の面に転送される。図示するように、ウェブ68がドライヤ面の回転経路の一部を介して搬送されるにつれて、熱がウェブに与えられウェブに含まれる水分の大半は蒸発する。続いて、ウェブ68はウェブにクレープを生じさせることなくドライヤドラム76から取除かれる。
【0083】
一実施形態では、ウェブ68をドライヤドラム76から取除くために、ドライヤドラムの面又はドライヤドラムと接するウェブの面に離型剤を塗布してもよい。一般に、ウェブにクレープを生じさせる必要なくドラムからウェブを容易に取除かせるべく任意の適当な離型剤を用いることができる。
【0084】
用いることができる離型剤には、例えば、Hercules Chemical CompanyによりREZOSOLの商標名で販売されている離型剤等のポリアミドアミンエピクロルヒドリンポリマが含まれる。本開示で用いることができる離型剤には、特に、Hercules Chemical Companyから入手可能な、Release Agent 247、Rezosol 1095、Crepetrol 874、Rezosol 974、ProSoft TQ-1003、及びBuckman Laboratoriesから入手可能なBusperse 2032、Busperse 2098、Busperse 2091、Buckman 699、及びNalcoから入手可能な640C製品、640D製品、64575製品、DVP4V005製品、DVP4V008製品が含まれる。
【0085】
他の実施形態では、ウェブを圧縮することが望ましい。例えば、圧縮されたウェブは、取扱い及び他の製品への組込みが比較的容易でありうる。ウェブを任意の適当な技術又は方法を用いて圧縮することができる。例えば、一実施形態では、対向するカレンダロールで挟んで供給することによりウェブを圧縮することができる。
【0086】
別の実施形態では、図10に示すように、ウェブを乾燥させるだけではなく圧縮も行う複数の乾燥シリンダにウェブを押圧することができる。例えば、図10を参照して、複数の連続する乾燥シリンダ80を示す。この実施形態では、6の連続する乾燥シリンダが示されている。しかしながら、他の実施形態ではより多くの又はより少ない数の乾燥シリンダを用いることができることを理解されたい。例えば、一実施形態では、8から12の連続する乾燥シリンダをプロセス中に組込むことができる。
【0087】
図示するように、任意の適当なプロセスにより形成された湿潤したウェブ82が第1の乾燥シリンダ80と組合されて押圧されている。例えば、一実施形態では、ファブリック又は適当なコンベアを、ウェブを乾燥シリンダの面に押圧するために用いることができる。ウェブは、第2の乾燥シリンダに組合されて押圧されるまで、乾燥シリンダの周囲に少なくとも約150°、特に約180°巻付いている。乾燥シリンダの各々をプロセス中にウェブを乾燥させるために最適な温度まで加熱することができる。
【0088】
本開示により形成された不織ウェブは、これらのウェブが用いられる用途及び所望の結果に応じて様々な異なる特徴及び特性を持ちうる。例えば、不織ウェブは、約15gsmから約200gsm以上の秤量を持ちうる。例えば、不織ウェブの秤量は、約15gsmから約100gsm、特に約15gsmから約50gsmでありうる。
【0089】
一実施形態では、必要に応じて、不織ウェブを比較的大きな嵩で形成することができる。例えば、嵩は、約2cc/gから約20cc/g、特に約3cc/gから約10cc/gであることができる。しかしながら、他の実施形態では、不織ウェブを比較的小さい嵩で形成することができる。例えば、上述のように、プロセスによっては、ウェブをその形成プロセスで圧縮することができる。例えば、これらのウェブの嵩は、約2cc/g未満であってよく、特に約1cc/g未満、特に0.5cc/g未満であってよい。
【0090】
シートの「嵩」は、ミクロン単位で表した乾燥ティッシュ紙のキャリパ厚さを、平方メートル当たりグラムで表した乾燥秤量で除した商として計算される。結果として求まるシートの嵩は、グラム当たり立方センチメートル単位で表される。より具体的には、キャリパ厚さは、10枚の代表的なシートを重ねたものの全厚みとして測定され、重ねたものの全厚みを10で除して求める。この場合、重ねた各シートは同じ面を上にして置く。キャリパ厚さは、重ねられたシートのための注3を有するTAPPI試験方法T411 om-89「紙、板紙、及び結合厚紙の厚さ(キャリパ)」に従って測定する。T411 om-89を実施するために用いるマイクロメータは、オレゴン州ニューバーグのEmveco社から入手可能なEmveco 200-A Tissue Caliper Testerである。このマイクロメータは、2.00キロパスカル(平方インチ当たり132グラム)の荷重、2500平方ミリメータの加圧部面積、56.42ミリメータの加圧部径、3秒の滞留時間、及び毎秒0.8ミリメータの減少率を持つ。
【0091】
本開示に従って形成された不織ウェブは、取扱いが容易になるように十分な強度を持ちうる。例えば、一実施形態では、流れ方向にインチ当たり約1500グラムを超える強度を有し、特に、流れ方向にインチ当たり約3000グラムを超える強度を有し、特に流れ方向にインチ当たり5000グラムを超える強度を有する。
【0092】
不織ウェブの伝導度も、ウェブに組込まれた導電性繊維のタイプ、ウェブに組込まれた導電性繊維の量、及び導電性繊維のウェブ中での位置、密度、配向に応じて変化しうる。一実施形態では、例えば、不織ウェブは、スクエア当たり約1500オームを下回る抵抗を、特にスクエア当たり約100オームを下回る抵抗を、特にスクエア当たり約10オームを下回る抵抗を有することができる。
【0093】
シートの伝導度は、オーム単位で表したシートの抵抗測定値をシートの長さの幅に対する比で除した商として計算される。結果として求まるシートの抵抗値は、スクエア当たりオームの単位で表される。より具体的には、抵抗値の測定は、ASTM F1896-98「プリント導電素材の電気抵抗率を決定するための試験方法」に従う。ASTM F1896-98を実施するために用いる抵抗値測定装置(すなわちオームメータ)は、ワシントン州エベレットのFluke Corporationから入手可能なFlukeワニクリップ(モデルAC120)を備えたFlukeマルチメータ(モデル189)である。
【0094】
本開示により形成された導電性ウェブだけを、1プライ製品だけとして用いることができ、又は他のウェブ又はフィルムと組合せて複数プライ製品を形成することができる。一実施形態では、導電性の不織ウェブを他の不織ウェブと組合せて2プライ製品又は3プライ製品を形成することができる。他の不織ウェブは、例えば、完全にパルプ繊維から形成することができ、上述のプロセスのうち任意のものに従って形成することができる。
【0095】
別の実施形態では、本開示により形成された導電性の不織ウェブを接着剤その他を用いて他の不織素材又はポリマフィルム素材に積層させることができる。例えば、一実施形態では、導電性の不織ウェブを、プロプロピレン繊維等のポリマ繊維から形成されたメルトブローンウェブ及び/又はスパンボンドウェブに積層させることができる。上述のように、一実施形態では、導電性の不織ウェブは合成繊維を含有することができる。この実施形態では、不織ウェブをメルトブローンウェブ又はスパンボンドウェブ等の合成繊維を含有する対向ウェブに接着することができる。
【0096】
例えば、図11を参照して、本開示により形成された積層体84の一実施形態を示す。この実施形態では、積層体84は、本開示により形成された導電性の不織ウェブ86を有しこのウェブは第2の素材88に接続されている。第2の素材88は、例えば、ポリマフィルム、又はメルトブローンウェブ又はスパンボンドウェブ等の合成繊維から形成された不織ウェブを含んでよい。不織ウェブ86を任意の適当な方法又は技術を用いて第2の素材88に取付けることができる。例えば、上述のように、2つの素材どうしを取付けるために接着剤を用いることができる。代わりに、2つの素材どうしを熱結合させ、又は超音波結合してもよい。
【0097】
図12を参照して、本開示により形成された積層体90の別の実施形態を示す。この実施形態では、積層体90は、第2の不織ウェブ94に取付けられた第1の不織ウェブ92を含んでいる。各不織ウェブ92、94は、カーボン繊維を含有する導電性ウェブを含んでいる。より具体的には、図示するように、各ウェブは、2つの異なる繊維層を含む。一方の繊維層は、パルプ繊維から形成され導電性繊維を多くは含まない。しかしながら、もう一方の異なる繊維層は、導電性繊維のみを含むか、又はパルプ繊維と共に導電性繊維を含有する。この実施形態では、ウェブ92の導電性繊維を含有する層は、ウェブ94の導電性繊維を含有する層に接触させて取付けられている。このように、積層体90内に導電性中央層が形成されている。
【0098】
第1の不織ウェブ92を任意の適当な技術を用いて第2の不織ウェブ94に取付けることができる。例えば、ウェブを、繊維どうしを絡み合せて、クリンピングを介して、熱結合を介して、超音波結合を介して、又は接着剤を用いることにより取付けることができる。一実施形態では、接着剤を用いる際に導電性接着剤を用いて積層体の導電性をさらに向上させることができる。
【0099】
図13を参照して、本開示により形成された積層体90の別の実施形態を示す。同一の参照符号を同様の要素を示すために用いた。この実施形態では、図12と同様に、積層体90は、第2の不織ウェブ94に取付けられた第1の不織ウェブ92を含む。不織ウェブ92、94の両方とも2つの異なる繊維層を含む。しかし、この実施形態では、主にパルプ繊維を含有する非導電性の繊維層どうしが取付けられている。この結果、導電性層は積層体90の外側面を形成している。このように、積層体は、導電性外層を含む。
【0100】
図14を参照して、本開示により形成された積層体90のさらに別の実施形態を示す。この実施形態では、積層体90は、本開示により形成された導電性不織ウェブ92を含み、この導電性不織ウェブは、非導電性の不織ウェブ96に取付けられている。より具体的には、不織ウェブ92は、2つの異なる繊維層を含む。第1の繊維層は、主にパルプ繊維を含有し、もう一方の第2の繊維層は、カーボン繊維等の導電性繊維を含有する。しかしながら、第2の不織ウェブ96は、合成繊維、パルプ繊維、又は合成繊維及びパルプ繊維の混合物かのいずれかから形成されてよい。この実施形態では、不織ウェブ96は、不織ウェブ92内の導電性繊維を含有する方の繊維層に取付けられている。
【0101】
一実施形態では、図14に示す積層体90を2つのフォーマを含むウェブ形成システムで形成することができる。一方のフォーマは不織ウェブ92を形成するために用い、他方のフォーマを不織ウェブ96を形成するために用いることができる。形成された2つのウェブ92、96を乾燥に先立つプロセス中で結合することができる。図14に示す形成された積層体は明確な層構造を有することができる。
【0102】
複数プライ製品に導電性の不織ウェブを組込むと様々な好都合な点や利点が生じうる。例えば、形成された複数プライ製品は、強度がより優れ、より柔軟であり、導電特性がより良好であり、及び/又は液吸収特性がより良好でありうる。
【0103】
一実施形態では、導電性繊維は、伝導率が異なる領域を形成するべく不織ウェブ中に含有されていてよい。例えば、一実施形態では、ヘッドボックスを図1に示すように繊維を鉛直方向に区分するのに代えて又はそれに加えて、繊維を水平方向にも区分するようにヘッドボックスを設計することができる。このように、導電性繊維をウェブの長さ(流れ方向)に沿って複数の領域に含有させることができる。導電性領域を、パルプ繊維等の非導電性素材のみを含有する非導電性領域により区分することができる。
【0104】
別の実施形態では、導電性領域を備えた不織ウェブを多孔率が変化するフォーマファブリックをウェブ形成プロセスに組込むことにより生成することができる。特に、フォーマファブリックは、多孔領域、及び実質的に孔が開いていない別の領域を備えることができる。繊維の水性懸濁液からウェブを形成する際、カーボン繊維は孔の多い領域に集合し導電性領域を形成する。他方、形成ファブリック上の実質的に孔の存在しない領域に渡って位置するウェブ領域にはカーボン繊維が集合しないかほとんど集合しない。こうして、導電性領域を備えた不織ウェブを形成することができる。一実施形態では、形成された導電性繊維からなる領域を、もう一方の不織ウェブを取外し(unwinding)導電性繊維からなる領域にこのウェブを接触させることによりフォーマファブリックから取除くことができる。
【0105】
例えば、図8に示すように、本開示により形成された導電性の不織ウェブ152を示す。この実施形態では、ウェブ内に導電性領域266、268が長さ方向に形成されている。図8に示すように、導電性領域266、268を非導電性領域260、262、264で囲むことができる。
【0106】
上述のように、本開示により形成された不織ウェブ基材を数多くの用途に用いることができる。例えば、電流を通す能力を見込んで不織ウェブ基材を用いることができる。しかしながら、他の実施形態では、カーボン繊維を用いる際、ウェブ基材を悪臭防止特性を見込んで用いることができる。さらに他の実施形態では、導電性繊維は、不織ウェブの表面にあってもよく研磨製品を形成する。
【0107】
詳細な一用途では、例えば、吸収性物品内に体液があることを示すように構成された湿り検知デバイスに導電性の不織ウェブを組込んでよい。例えば、この湿り検知デバイスは、導電性の不織素材から形成された開回路を備えることができる。この開回路は、警告デバイスに接続することができ、この警告デバイスは、電気を通す液体が開回路を閉じた際に音響的、視覚的、又は知覚信号を発するように構成されている。
【0108】
対象とされる電気を通す液体又は体液の詳細は、吸収性物品及び必要とされる用途のタイプの詳細に応じて変わりうる。例えば、一実施形態では、吸収性物品は、おしめ、トレーニングパンツなどを含み、湿り検知デバイスは、尿があることを表示するように構成される。代わりに、湿りシグナルデバイスを、おむつかぶれが生じていることを示す代謝物があることを示すように構成することができる。他方、成人用失禁用品及び女性用生理用品では、湿りシグナルデバイスを、イースト、又は多糖等の尿内の特定の構成物質があることを示すように構成することができる。
【0109】
図3及び図4を参照して、例示する目的で本発明により形成することができる吸収性物品120を示す。この吸収性物品120は、使い捨てであっても使い捨てでなくてもよい。本発明は、本発明の範囲を逸脱することなく、おしめ、トレーニングパンツ、スイムパンツ、女性用生理用品、失禁用品、医療用衣類、サージカルパッド、外科用包帯、その他のパーソナルケア又はヘルスケア用衣類などを含むパーソナルウェアを目的とする他の種々の吸収性物品の使用に適しているがこれらに限定されないことを理解されたい。
【0110】
もっぱら例を示す目的で、本発明の様々な態様のおしめ120等の吸収性物品を構成するための様々な素材及び方法は、A.Fletcherらによる2000年6月29日に刊行されたPCT特許出願WO 00/37009号、1990年7月10日にVan Gompelらに付与された米国特許第4,940,464号、1998年6月16日にBrandonらに付与された米国特許第5,766,389号、及び2003年11月11日にOlsonらに付与された米国特許第6,645,190号に開示され、本明細書と一致する(すなわち、矛盾しない)限りにおいて参照することにより本明細書に組込まれる。
【0111】
おしめ120を部分的に固定された状態で図3に代表的に示す。図3及び図4に示すおしめ120を図5及び図6に開かれ折畳まれていない状態でも示す。具体的には、図5は、おしめ120の外面を示す平面図であり、図6は、おしめ120の内面を示す。図5及び図6に示すように、おしめ120は着用された際の物品の前から物品の後ろに延びる縦方向148を規定する。横方向149は、縦方向148と反対である。
【0112】
おしめ120は、1対の縦方向端部領域を規定し、本明細書では前方領域122及び後方領域124とも称する。また、おしめ120は、前方領域122及び後方領域124の間で縦方向に延び前方領域122及び後方領域124を相互接続する中央領域を規定し本明細書では股領域126とも称する。おしめ120は、使用時に着用者に向かって配置される(例えば、物品120の他の構成要素に対して位置する)内面128、及びこの内面に対向する外面130も規定する。前方及び後方領域122、124は、おしめ120のうち、着用した際、着用者のウェスト又は胴部中央低めを覆い又は取囲む部分である。
股領域126は、おしめ120のうち、一般に着用した際、着用者の脚の間に位置し着用者の胴部下部及び股を覆う部分である。吸収性物品120は、横方向に対向する1対の側端、及びそれぞれ前方ウェスト端138及び後方ウェスト端139と称する縦方向に対向する1対のウェスト端を有する。
【0113】
本実施形態では、図示されたおしめ120は、前方領域122、後方領域124、及び股領域126を含むシャシー132を有する。図3から図6を参照すると、シャシー132は、外側カバー140、及び接着剤、超音波結合、熱結合又は他の従来技術により外側カバー140と重ね合されて結合することができるボディサイドライナ142(図3及び図6)を有する。図6を参照すると、ライナ142は、シャシー132の周囲に沿って外側カバー140に結合され前方ウェストシーム162及び後方ウェストシーム164を形成することができるのが適当である。図6に示すように、ライナ142は、外側カバー140に結合され、前方領域122及び後方領域124で1対のサイドシーム161を形成しうるのが適当である。ライナ142は、一般に、吸収性物品の着用中、着用者の肌に向い合って配置される、すなわち物品120の他の構成要素に対して位置するように構成されうる。シャシー132は、詳細には図6に示され、外側カバー140及びボディサイドライナ142の間に位置し着用者により排出される浸出液を吸収する吸収構造体144をさらに備え、ボディサイドライナ142に固定され浸出液が横方向に流れるのを防ぐ1対の受容フラップ146をさらに備えることができる。
【0114】
図6に示す弾性を持たせた受容フラップ146は、部分的に取付けされていない端部を画定し、この端部はおしめ120の少なくとも股領域126では垂直な構成とし、着用者の身体に対して封止部分を形成することが想定されている。受容フラップ146は、シャシー132の全長に沿って縦方向に延びるか、又は一部分のみでシャシーの長さに沿って延びることができる。受容フラップ146のための適当な構成及び配置は一般に当業者によく知られると共に、1987年11月3日にEnloeに付与された米国特許第4,704,116号に記載され、同特許は本明細書には参照することにより組込まれる。
【0115】
浸出液の受容及び/又は吸収をさらに向上させるために、おしめ120は、当業者に知られるように脚部弾性部材158(図6)も備えることができることが適当である。これら脚部弾性部材158は、外側カバー140及び/又はボディサイドライナ142に結合操作されることができ、吸収性物品120の股領域126に位置しうる。
【0116】
脚部弾性部材158を任意の適当な弾性材料から形成することができる。当業者によく知られるように、適当な弾性材料には、天然ゴム、合成ゴム又は熱可塑性弾性ポリマから形成されたシート、ストランド又はリボンが含まれる。弾性材料を伸ばして基材に接着するか、ギャザーが形成された基材に接着するか、又は基材に接着してから例えば熱を加えて弾性を持たせてあるいは収縮させて、弾性収縮力が基材に与えられるようにする。詳細な一態様では、例えば、脚部弾性部材158は、米国デラウェア州ウィルミントンのInvistaから入手可能でLYCRAの商標名で販売されている複数の乾式紡糸の合着したマルチフィラメントスパンデックス弾性糸を含むことができる。
【0117】
複数の実施形態では、吸収性物品120は、場合に応じて吸収構造体144に隣接して位置し、吸収性構造体144又はボディサイドライナ142等の物品120における様々な構成要素に接着剤を用いる等の従来技術で既知の方法により取付けすることができるサージ管理層(図示せず)をさらに備えていてよい。サージ管理層は、物品の吸収構造体内へと急激に入りうる液体の急上昇又は噴出の勢いを弱め拡散させる役を果たす。吸収構造体の貯蔵又は保持部分へ液体を放つ前にサージ管理層が液体を急速に受取り一時的に保持することができることが望ましい。適当なサージ管理層の例は、米国特許第5,486,166号及び米国特許第5,490,846号に記載されている。他の適当なサージ管理材料は、米国特許第5,820,973号に記載されている。これらの開示全体は、本明細書と一致する(すなわち、矛盾しない)限りにおいて本明細書で参照することにより本明細書に組込まれる。
【0118】
図3から図6に示すように、吸収性物品120は、シャシー132の後方領域に取付けされた1対の対向する弾性サイドパネル134をさらに備える。特に図3及び図4に示すように、サイドパネル134はガーメントを所定位置に固定するために着用者のウェスト及び/又は臀部の周囲で伸ばされうる。図5及び図6に示すように、弾性サイドパネルは、1対の対向する縦方向端部137に沿ってシャシーに取付けされている。サイドパネル134を任意の適当な接着技術を用いてシャシー132に取付け又は接着することができる。例えば、サイドパネル134を接着剤、超音波結合、熱結合、又は他の従来技術によりシャシーに接合することができる。
【0119】
別の実施形態では、弾性サイドパネルをシャシー132と一体に形成することもできる。例えば、サイドパネル134は、ボディサイドライナ142の、外側カバー140の、又はボディサイドライナ142及び外側カバー140の両者の延長部から構成されてよい。
【0120】
複数の図面に示す実施形態において、サイドパネル134は、吸収性物品120の後方領域に接続されると共にこの物品を着用者の所定位置に固定した際にこの物品の前方領域に渡って延びる。しかしながら、サイドパネル134を代わりに物品120の前方領域に接続すると共に同物品を着用した際に後方領域に渡って延びてもよいことを理解されたい。
【0121】
図3及び図4に部分的に示すような吸収性物品120の固定位置では、弾性サイドパネル134を固定システム180により接続して、ウェスト開口部150及び1対の脚部開口部152を持った3次元のおしめの構成を規定することができる。物品120のウェスト開口部150は、着用者のウェストを囲むウェスト端138、139により規定される。
【0122】
図に示す実施形態では、サイドパネルは、前記固定システムにより物品120の前方領域122に解除可能に取付け可能である。しかしながら、他の実施形態ではサイドパネルをシャシー132に各端部で半永久的に結合することができることを理解されたい。例えば、トレーニングパンツ又は吸収性スウィムウェアを形成する際に、サイドパネルどうしを半永久的に結合することができる。
【0123】
弾性サイドパネル134は、各々、縦方向外側端168、おしめ120の縦方向中央に向かって配された脚部端端部170、及び前記吸収性物品の縦方向端に向かって配されたウェスト端端部172を有している。吸収性物品120の脚部端端部170は、横方向149に対して湾曲し及び/又は角度が付けることができ、着用者の脚周りでよりよくフィットすることが適当である。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、後方領域124の脚部端端部のように脚部端端部170のうち一方だけが湾曲し又は角度が付けられることができ、代わりに脚部端端部のいずれも湾曲せず又は角度が付けられないこともできることが理解される。図6に示すように、外側端168は縦方向148にほぼ平行であり、ウェスト端端部172は、横方向軸149にほぼ平行である。しかしながら、他の実施形態では、外側端168及び/又はウェスト端端部172は、所望に応じて傾斜し又は湾曲していてよいことを理解されたい。結論からは、サイドパネル134は、シャシーのウェスト領域190とほぼ整列している。
【0124】
固定システム180は、横方向に対向した第1の固定要素182を有しており、これら固定要素は、対応する第2の固定要素184に繰返し取付け可能に係合するように構成されている。図に示す実施形態では、第1の固定要素182は、弾性サイドパネル134に位置し、第2の固定要素184は、シャシー132の前方領域122に位置する。一態様において、固定要素182、184の各々の前面又は外面は、複数の係合要素を有している。第1の固定要素182の係合要素は、第2の固定要素184の対応する係合要素と繰返し係合し及び取外されるように構成され、物品120をその3次元構造に解除可能に固定する。
【0125】
固定要素182、184は、接着固定具、粘着固定具、機械的固定具などの吸収性物品に適した任意の繰返し取付け可能な固定具であってよい。特別な態様では、固定要素は、性能を向上させるために機械的固定要素を含む。適当な機械的固定要素は、フック、ループ、バルブ、きのこ、やじり、ボールのついたステム、オス及びメスの嵌合い部品、バックル、スナップ等の相互にかみ合う幾何学的形状の材料により形成することができる。
【0126】
図示された態様において、第1の固定要素182はフック留め具を有し、第2の固定要素184は、相補的なループ留め具を有する。代わりに、第1の固定具182がループ留め具を有し、第2の固定具184が相補的なフック留め具を有することができる。他の態様では、固定要素182、184は、相互にかみ合う同様の面固定具、又は接着固定具及び接着受容取付け領域又は素材などのような接着及び粘着固定具であってよい。当業者は、フック及びループの形状、密度及びポリマ組成を選択し固定要素182、184の間で所望のレベルの係合が得られるようにすることができることが分かるであろう。適当な固定システムは、前に組込んだ2000年6月29日に刊行されたA.FletcherによるPCT特許出願WO 00/37009号、及び前に組込んだ2003年11月11日に刊行されたOlsenらによる米国特許第6,645,190号に開示されている。
【0127】
図に示す実施形態では、固定要素182は、端168に沿ってサイドパネル134に取付けされている。この実施形態では、固定要素182は、弾性的すなわち伸縮可能ではない。しかしながら、他の実施形態では、固定要素は、サイドパネル134と一体的であってよい。例えば、固定要素をサイドパネルの面でサイドパネル134に直接取付けすることができる。
【0128】
弾性サイドパネルを設ける可能性があることに加えて、吸収性物品120は、ウェスト開口部周りに弾性を与えるために様々なウェスト弾性部材を有することができる。例えば、図に示すように、吸収性物品120は、前方ウェスト弾性部材154及び/又は後方ウェスト弾性部材156を有することができる。
【0129】
上述のように、本開示は、特に吸収性物品120に湿り検知デバイスのような体液表示システムを組込むことに関する。この点から、図3から図6に示すように、吸収性物品120は、第1の導電性要素200を有し、この部材は、第2の導電性要素202から離間している。この実施形態では、両導電性要素は、吸収性物品の前方領域122から後方領域124まで交差することなく延びている。本開示によると、導電性要素200、202を、上述のような導電性の不織ウェブから形成することができる。図4に示す実施形態では、導電性要素200、202は、別個の異なるストリップあるいはシートを含む。
【0130】
第1の導電性要素200は、第2の導電性要素202と交差せず、例えば導電性の流体が両導電性要素の間に位置した際に閉じられうる開回路を形成する。しかしながら、他の
実施形態では、第1の導電性要素200及び第2の導電性要素202をシャシー内のセンサに接続することができる。センサは、温度変化を検知するように使用することができ、代謝物等の特定の物質が存在することを検知するように使用することができる。
【0131】
図3に示す実施形態では、導電性要素200、202は、吸収性物品120の全長を延びる。しかしながら、他の実施形態では、導電性要素は股領域126までだけ延びることができ、又は体液が検出される対象となる吸収性物品の任意の特定の位置まで延びることができる。
【0132】
導電性要素が吸収性物品120により吸収される体液と接触するように位置している限り、導電性要素200、202は、任意の適当な位置でシャシー132に組込むことができる。この観点から、導電性要素200、202は概して外側カバー140の内側に位置している。実際、一実施形態では、導電性要素200、202を、吸収構造体144に面する外側カバー140の内面に取付け又は積層することができる。しかしながら、代わりに、導電性要素200、202を吸収構造体144に位置させ又はライナ142に位置させることができる。
【0133】
導電性要素200、202をシグナルデバイスに容易に接続するために、第1の導電性要素200は、第1の導電性パッド部材204を備えることができ、第2の導電性要素202は、第2の導電性パッド部材206を備えることができる。パッド部材204、206は、導電性要素により形成される開回路、及び消費者によりシャシーに取付けるべく意図されたシグナルデバイスを確実に接続するために設けられる。
【0134】
吸収性物品120における導電性パッド部材204、206の位置は、どこにシグナルデバイスを取付けするのが望ましいかに応じて変わりうる。例えば、図3、図5及び図6では、導電性パッド部材204、206は、物品のウェスト開口部に沿った前方領域122に位置している。一方、図4では導電性パッド部材204、206は、物品のウェスト開口部に沿った後方領域24に位置している。しかしながら、他の実施形態では、吸収性物品20は、各導電性要素200、202の各端部に位置した導電性パッド部材を備えることができることも理解されたい。このように、使用者は、物品の前方又は後方にシグナルデバイスを取付けるか否かを決定することができる。さらに他の実施形態では、パッド部材を物品の側部に沿って又は物品の股領域に向けて位置させることができることを理解されたい。
【0135】
図7を参照して、例を示す目的で、導電性パッド部材204、206に取付けされたシグナルデバイス210を示す。シグナルデバイス210は、対応する導電性パッド部材に電気的に接続された1対の対向する端子を有する。体液が吸収性物品120に排出されている場合には、導電性要素200、202により形成された開回路が閉じ、続いてシグナルデバイス210を作動させる。
【0136】
シグナルデバイス210は、回路が閉じたことを使用者に示すために任意の適当なシグナルを発生させることができる。
【0137】
図7では、導電性要素200、202は、別個及び別体の材料ストリップである。しかしながら、他の実施形態では、両方の導電性要素は単一の不織シートに含まれうる。例えば、導電性要素は、吸収性物品に組込まれた積層体内に含まれうる。別の実施形態では、導電性要素は、不織ウェブの導電性領域でありうる。例えば、一実施形態では、図8に示す不織素材を図3に示す吸収性物品に組込むことができる。

例1
【0138】
もっぱら例を示すために、以下に本開示により形成されたウェブ基材の導電性を示す。
【0139】
本開示により導電性カーボン繊維を含有する、クレープがなくスルーエア乾燥された湿式ウェブが形成された。用いられたクレープが生じないスルーエア乾燥プロセスは、米国特許第6,887,348号、米国特許第6,736,935号、米国特許第6,953,516号、及び米国特許第5,129,988号に開示されたプロセスと同様であった。これらの特許全ては、参照することにより本明細書に組込まれる。
【0140】
ティッシュ形成プロセスには、湿式ウェブを形成するために用いられた3層ヘッドボックスが含まれていた。より詳細には、3層ウェブは、2つの外層に北米晒し針葉樹クラフト繊維(Terrace Bay Pulp社から販売されているLL19)を含有させ、中央層にカーボン繊維と組合せた同針葉樹材製繊維の混合物を含有させて製造された。用いられたカーボン繊維は、Toho Tenaxから入手した切断長が3mmのTENAX 150繊維であった。中央層を製造するために用いられた繊維完成紙料は、50重量%の針葉樹材製繊維及び50重量%のカーボン繊維を含有していた。ヘッドボックスに供給された原料の濃度は約0.09重量パーセントであった。
【0141】
3層シートは、Lindsay 2164-B及びAsten 867aフォーマファブリックを用いたツインワイヤ、サクションロール型(suction form roll)のフォーマに形成された。新たに形成されたウェブは、フォーマファブリックの下方からの真空吸引を用いて約20%から約27%の濃度まで脱水され、続いて転送ファブリックに約10%のラッシュ転送で転送された。用いられた転送ファブリックは、Appleton Wire T807-1ファブリックであった。ウェブを転送ファブリックに転送するために約6水銀柱インチから約15水銀柱インチの真空で吸引するバキュームシューが用いられた。
【0142】
続いて、ウェブは、スルードライファブリックに転送された。このファブリックもAppleton Wire T807-1ファブリックであった。同ウェブは、約350°F(175℃)の温度で運転するスルードライヤの上方を搬送され、約94から約98%の濃度の最終乾燥度まで乾燥された。
【0143】
続いて生じたウェブは、抵抗を試験された。以下の結果が得られた。
【表1】

例2
【0144】
もっぱら例を示すために、以下に、本開示により形成されたウェブ基材の伝導度を示す。
【0145】
本開示により導電性カーボン繊維を含有する導電性の不織ウェブが形成された。この導電性の不織ウェブは、36インチ長網フォーマに形成された。同フォーマは、ジョージア州、サバンナに所在する一般に利用可能となっているHERTY Advanced Materials Development Centerに設置されている。
【0146】
北米晒し針葉樹クラフト繊維(Terrace Bay Pulp社から販売されているLL19)、南米針葉樹クラフト繊維(Aracruz Celuloseから販売されているユーカリ属繊維(eucalyptus))、及びカーボン繊維の均一なブレンドを含有する単一層ウェブが製造された。用いられたカーボン繊維は、Toho Tenaxから入手した切断長が3mmのTENAX 150繊維であった。ウェブを製造するために用いられた繊維完成紙料は、94重量%の木材パルプ繊維及び6重量%のカーボン繊維を含有していた。木材パルプ繊維ブレンドは、75重量%の針葉樹材及び25重量%の広葉樹材を含有していた。
【0147】
針葉樹材完成紙料は、ファインバータックルを備えた16インチBeloit DDリファイナを用いて365CSFまで叩解された。広葉樹材完成紙料は、12インチSprout Twin Flowリファイナを用いて365CSFまで叩解された。完成紙料に、Hercules(デラウェア州、ウィルミントン)から販売されているKymene 6500が乾燥木材パルプ繊維1メトリックトン当たり10キログラム加えられた。ヘッドボックスに供給されたストックの濃度は、約2.43重量パーセントであった。
【0148】
形成された導電性の不織ウェブは、以下の表に示すように、両側をPenford Products(アイオワ州、シダーラピッド)から販売されている澱粉PG280及びDow Chemical(ミシガン州、ミッドランド)から販売されているラテックスCP620NA(カルボキシル化スチレンブタジエンラテックス)でコートも行った。
【0149】
サンプルを製造する際、湿式ウェブ(wet formed web)は、第1のセットのドライヤカンと接触された。第1のセットのドライヤカンの後で、ウェブはサイズプレスを介して供給され、続いて第2のセットのドライヤカンと接触される。
【0150】
サンプルのプロセス条件は以下の通りである。
【表2】

【0151】
続いて、得られたウェブの抵抗値を試験した。以下の結果が得られた。
【表3】

【0152】
サンプルは、TESTWORKS 3ソフトウェアを備え、ミネソタ州、エデンプレイリーのMTSにより製造された引張試験機を用いて引張強度を試験された。試験機は以下の試験条件で設定された。
ゲージ長=75mm
クロスヘッド速度=300mm/分
試験片幅=1インチ(25.4mm)
破断時のピーク負荷が素材の引張強度として記録された。
【0153】
本発明へのこれら及び他の変更及び変化は、添付されたより詳細に説明される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者により行われうる。加えて、種々の実施形態は、全体的に又は部分的に相互に置換え可能であることを理解されたい。さらに、当業者は、上述の説明はもっぱら例をあげるためであり、添付された請求項に記載された発明を限定する意図ではないことを理解するだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約50重量%のパルプ繊維と、少なくとも約1重量%の導電性繊維とを含有する不織ウェブ基材を具備し、前記導電性繊維は、カーボン繊維、金属繊維、導電性ポリマ繊維、金属コーティング繊維、又はこれら繊維の混合物を含み、前記不織ウェブ基材は、約1500オーム/スクエア未満の抵抗を有する少なくとも1つの導電性領域を有する不織素材。
【請求項2】
前記不織ウェブ基材は、湿式ウェブである請求項1に記載の不織素材。
【請求項3】
前記導電性繊維は、カーボン繊維を含有する請求項1又は2に記載の不織素材。
【請求項4】
前記導電性繊維は、該素材が少なくとも一方向に導電性となるのに十分な量で前記不織ウェブ基材に含有される請求項1、2又は3に記載の不織素材。
【請求項5】
前記ウェブ基材は、異なる複数の繊維層を含む単一プライウェブであり、前記ウェブ基材は、少なくとも第1の層及び第2の層を含み、前記導電性繊維の全てが前記第2の層に含まれる請求項1、2、3又は4に記載の不織素材。
【請求項6】
前記カーボン繊維は、ポリアクリロニトリルから形成される請求項3に記載の不織素材。
【請求項7】
前記カーボン繊維は、平均長さが約1mmから約12mmである請求項3に記載の不織素材。
【請求項8】
前記不織ウェブ基材は、パルプ繊維及び導電性繊維に加えて熱可塑性繊維をさらに含有する請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の不織素材。
【請求項9】
前記導電性繊維は、前記ウェブ基材が複数の導電性領域を有するように前記ウェブ基材中に含まれる前記全ての請求項のうちいずれか1に記載の不織素材。
【請求項10】
複数の前記導電性領域は、非導電性領域により区分されている請求項9に記載の不織素材。
【請求項11】
前記ウェブ基材は、クレープがなくかつスルーエア乾燥されたウェブを含む前記全ての請求項のうちいずれか1に記載の不織素材。
【請求項12】
前記不織ウェブ基材は、約15gsmから約100gsmの秤量を有する前記全ての請求項のうちいずれか1に記載の不織素材。
【請求項13】
前記不織ウェブ基材が、少なくとも1の他の素材層に積層されることにより、前記不織素材は、積層体をなし、素材の他方の層は、織素材、不織素材、又はフィルムを含む前記請求項のいずれか1に記載の不織素材。
【請求項14】
前記湿式ウェブは、加熱され回転されるシリンダ上で乾燥される請求項2に記載の不織素材。
【請求項15】
前記湿式ウェブは、約2cc/g未満の嵩を有する前記全ての請求項のいずれか1に記載の不織素材。
【請求項16】
前記不織ウェブは、繊維が一様に分布する請求項1、2、3、4、6、7又は8に記載の不織素材。
【請求項17】
前記不織ウェブ基材は、合成繊維を約5重量%から約20重量%含有する前記全ての請求項のいずれか1に記載の不織素材。
【請求項18】
パルプ繊維と、カーボン繊維を含む導電性繊維とを含有する、繊維の水性懸濁液を多孔性形成面に堆積させて湿潤したウェブを形成する工程と、
湿潤した前記ウェブを回転すると共に加熱されたヤンキードライヤドラムの面に位置させ、前記ウェブを乾燥させる工程と、
乾燥した前記ウェブを前記ヤンキードライヤドラムの面から前記ウェブにクレープを生じさせないで取除く工程とを具備し、
前記カーボン繊維は、全繊維重量に基づいて少なくとも約2重量%で湿潤した前記ウェブ中に含有される、導電性ペーパーウェブを製造するプロセス。
【請求項19】
パルプ繊維と、カーボン繊維を含む導電性繊維とを含有する、繊維の水性懸濁液を多孔性形成面に堆積させて湿潤したウェブを形成する工程と、
湿潤した前記ウェブを複数の加熱されたシリンダに押圧して前記ウェブを乾燥させると共に前記ウェブの密度を高める工程とを具備し、
前記カーボン繊維は、全繊維重量に基づいて少なくとも約2重量%で湿潤した前記ウェブ中に含有され、
生じた乾燥された前記ウェブは、約2cc/g未満の嵩を有する、導電性ペーパーウェブを製造するプロセス。
【請求項20】
前記ウェブの少なくとも一方の面をバインダでコートする工程をさらに具備する請求項19に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−535293(P2010−535293A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518783(P2010−518783)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052559
【国際公開番号】WO2009/016528
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(309038085)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】