説明

導電性ペースト、前記導電性ペーストを用いて形成された電極を有する電子素子および太陽電池

【課題】導電性ペースト、前記導電性ペーストを用いて形成された電極を有する電子素子および太陽電池を提供する。
【解決手段】導電性粉末、金属ガラスおよび有機ビヒクルを含み、前記金属ガラスは、低い比抵抗を有する元素と、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素と、酸化性の高い元素と、よりなる群から選ばれる少なくとも2種を含む合金であり、前記低い比抵抗を有する元素は100μΩcmより低い比抵抗を有し、前記酸化性の高い元素は酸化物形成のギブスフリーエネルギーの絶対値が100kJ/molより大きいものである導電性ペースト、前記導電性ペーストを用いて形成された電極を有する電子素子および太陽電池に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ペースト、前記導電性ペーストを用いて形成された電極を有する電子素子および太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子であり、無制限・無公害の次世代エネルギー資源として脚光を浴びている。
【0003】
太陽電池は、p型半導体およびn型半導体を含み、光活性層で太陽光エネルギーを吸収すると、半導体の内部で電子−正孔対(electron−hole pair;EHP)が生成され、ここで生成された電子および正孔がn型半導体およびp型半導体にそれぞれ移動し、これらが電極に収集されることにより外部で電気エネルギーとして用いることができる。
【0004】
太陽電池は、太陽エネルギーからできる限り多くの電気エネルギーを出力できるように効率を上げることが重要である。かような太陽電池の効率を上げるためには、半導体の内部でできる限り多くの電子−正孔対を生成することも重要であるが、生成された電荷を失うことなく外部に導き出すことも重要である。
【0005】
一方、太陽電池の電極は蒸着法により形成してもよいが、この場合、工程が複雑であり、高コストおよび長時間がかかる。この理由から、導電性物質を含む導電性ペーストをスクリーン印刷(screen printing)法により形成して工程を単純化させる方案が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、導電性ペーストを用いて電極を形成する場合、導電性ペーストに含まれている粉末ガラス(ガラスフリット)によって電極の導電性が低下する虞がある。
【0007】
そこで、本発明の一実施形態は、電極の導電性を改善することができる導電性ペーストを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の一実施形態は、前記導電性ペーストを用いて形成された電極を有する電子素子を提供することを目的とする。
【0009】
本発明のさらに他の一実施形態は、前記導電性ペーストを用いて形成された電極を有する太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によると、導電性粉末、金属ガラスおよび有機ビヒクルを含む導電性ペーストを提供する。ここで、前記金属ガラスは、低い比抵抗を有する元素と、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素と、酸化性の高い元素と、よりなる群から選ばれる少なくとも2種を含む合金である。
【0011】
前記低い比抵抗を有する元素は約100μΩcmよりも低い比抵抗を有し、前記酸化性の高い元素は酸化物形成のギブスフリーエネルギーの絶対値が約100kJ/molより大きい。
【0012】
前記導電性粉末は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)またはこれらの組合せを含むことができる。
【0013】
前記導電性粉末は、約1nm〜約50μmの大きさを有する。
【0014】
具体的には前記低い比抵抗を有する元素の比抵抗は、約15μΩcmよりも低い。
【0015】
前記低い比抵抗を有する元素は、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、カリウム(K)、リチウム(Li)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルビジウム(Rb)、クロム(Cr)およびストロンチウム(Sr)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
【0016】
前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素は、前記導電性粉末との混合熱(heat of mixing;Hm)が0KJ/molよりも小さい。
【0017】
前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素は、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ルテチウム(Lu)、イットリウム(Y)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、トリウム(Th)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、バリウム(Ba)、イッテルビウム(Yb)、ストロンチウム(Sr)、ユウロピウム(Eu)、ジルコニウム(Zr)、リチウム(Li)、ハフニウム(Hf)、マグネシウム(Mg)、リン(P)、砒素(As)、パラジウム(Pd)、金(Au)、プルトニウム(Pu)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ケイ素(Si)、錫(Sn)、チタニウム(Ti)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ウラニウム(U)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、テクネチウム(Tc)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、タンタル(Ta)、ニオビウム(Nb)、オスミウム(Os)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、レニウム(Re)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、タングステン(W)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、銅(Cu)および水銀(Hg)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
【0018】
前記酸化性の高い元素は、銅(Cu)、チタニウム(Ti)、ルテニウム(Ru)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、ロジウム(Rh)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)、バリウム(Ba)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、鉛(Pb)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、コバルト(Co)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ガリウム(Ga)、鉄(Fe)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、ホウ素(B)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ランタン(La)、ネオジウム(Nd)、ニオビウム(Nb)、バナジウム(V)、イットリウム(Y)、及びスカンジウム(Sc)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
【0019】
前記導電性粉末、前記金属ガラス、および前記有機ビヒクルは、前記導電性ペーストの総含量に対してそれぞれ約30〜99質量%、約0.1〜20質量%、および約0.9〜69.9質量%で含まれることができる。
【0020】
前記金属ガラスは、非晶質であってもよい。
【0021】
前記金属ガラスの過冷却液体区間は、約5〜200℃であり得る。
【0022】
一方、前記金属ガラスは銅(Cu)およびジルコニウム(Zr)を含むことができる。
【0023】
また一方、前記金属ガラスは銅(Cu)およびジルコニウム(Zr)を含み、かつ、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、およびハフニウム(Hf)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
【0024】
この場合、前記アルミニウム(Al)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、およびハフニウム(Hf)よりなる群から選ばれる少なくとも1種は、前記金属ガラスの総含有量に対して約10at%以下で含まれている。
【0025】
本発明の他の一実施形態によると、前記導電性ペーストを用いて形成された電極を含む電子素子を提供する。
【0026】
前記電極は約1kΩcm以下の接触抵抗を有し、約10mΩcm以下の比抵抗を有することができる。
【0027】
さらに本発明の他の一実施形態によると、半導体基板と、前記導電性ペーストを用いて形成され、前記半導体基板と電気的に接続される電極と、を含む太陽電池を提供する。
【0028】
以下で異なる説明を述べない限り、前記電極に対する説明は上述した通りである。
【0029】
前記太陽電池において、前記電極は前記半導体基板と隣接する領域に位置するバッファ層及び前記バッファ層以外の領域に位置して導電性物質を含む電極部を含むことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の実施形態による導電性ペーストを使用することにより、電極の導電性を改善することができると共に、接触抵抗を下げることができる。これにより、電極の導電性を改善することができ、失われる電荷量を低減して太陽電池の効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態による導電性ペーストを半導体基板に適用した場合、導電性粉末および金属ガラスが熱により変形される前の半導体基板と接触する段階の例を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による導電性ペーストを半導体基板に適用した場合、導電性粉末および金属ガラスのうち該金属ガラスが熱により変形されて半導体基板と接触する段階の例を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による導電性ペーストを半導体基板に適用した場合、導電性粉末および金属ガラスが熱により変形されて半導体基板と接触する例を示す概略図である。
【図4A】図3の「A」の部分を拡大して示す概略図である。
【図4B】図3の「A」の部分を拡大して示す概略図である。
【図4C】図3の「A」の部分を拡大して示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態による太陽電池を示す断面図である。
【図6】本発明の他の一実施形態による太陽電池を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できる程度に詳細に説明する。しかしながら、本発明は様々な異なる形態として実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0033】
以下で、「元素」とは、金属および半金属を包括する用語である。
【0034】
まず、本発明の一実施形態による導電性ペーストについて説明する。
【0035】
本発明の一実施形態による導電性ペーストは、導電性粉末と、金属ガラス(metallic glass)および有機ビヒクルを含む。
【0036】
前記導電性粉末は、銀または銀合金などの銀(Ag)含有金属、アルミニウムまたはアルミニウム合金などのアルミニウム(Al)含有金属、銅(Cu)または銅合金などの銅(Cu)含有金属、ニッケル(Ni)またはニッケル合金などのニッケル(Ni)含有金属またはこれらの組合せである。しかしながら、前記導電性粉末はこれらに限定されるものではなく、他の種類の金属であってもよく、前記金属に加えて他の添加物をさらに含んでいてもよい。
【0037】
前記導電性粉末は、約1nm〜約50μmの大きさ(平均粒径)を有することができる。導電性粉末の大きさ(平均粒径)が前記範囲内であれば、導電性ペーストを容易に製造することができ、導電性粉末が効果的に焼結されるようにすることができる。また、導電性粉末の大きさ(平均粒径)は、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)により測定することができる。具体的には前記導電性粉末は、約0.1μm〜約40μmの大きさ(平均粒径)、さらに具体的には約0.5μm〜約40μmの大きさ(平均粒径)、より具体的には約1μm〜約30μmの大きさ(平均粒径)を有することができる。
【0038】
前記金属ガラスは、2種以上の元素がランダムな原子構造を有する非晶質状態の合金であり、非晶質金属(amorphous metal)と呼ばれる。金属ガラスは、シリケート(silicate)などの一般ガラスとは異なり、比抵抗が低いことにより導電性を示す。
【0039】
前記金属ガラスは、低い比抵抗を有する元素と、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素と、酸化性の高い元素と、よりなる群から選ばれる少なくとも2種を含む合金である。この場合、前記低い比抵抗を有する元素は約100μΩcmよりも低い比抵抗を有し、前記酸化性の高い元素の酸化物形成のギブスフリーエネルギーの絶対値は約100kJ/molより大きい。前記酸化性の高い元素の酸化物形成のギブスフリーエネルギーの絶対値が上記範囲を内であれば、前記酸化性の高い元素が容易に酸化することができる。
【0040】
前記低い比抵抗を有する元素は低抵抗性金属であり、金属ガラスの導電性を決定する成分である。好ましくは前記低い比抵抗を有する元素の比抵抗は約15μΩcmよりも低い。
【0041】
このような低い比抵抗を有する元素としては、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、カリウム(K)、リチウム(Li)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルビジウム(Rb)、クロム(Cr)およびストロンチウム(Sr)よりなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0042】
前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素は、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成し得る成分である。
【0043】
前記金属ガラスは、ガラス転移温度(Tg)以上に昇温する場合にガラス(glass)のように軟化して液体挙動を示す。このとき、金属ガラスは、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素を含むことにより、前記導電性粉末が軟化した金属ガラス内に拡散して移動することができる。
【0044】
例えば、半導体基板の上に前記金属ガラスを含む導電性ペーストを適用して太陽電池の電極を形成する場合、熱処理により前記金属ガラスは軟化し、導電性粉末粒子は前記金属ガラスに含まれる導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素と固溶体を形成して軟化した金属ガラス内に拡散して移動することができる。
【0045】
最終的に、前記導電性粉末粒子は半導体基板に拡散し、半導体基板の表面に導電性粉末の結晶性粒子が多量生成される。このように半導体基板の表面に生成された結晶性導電性粉末粒子により太陽光によって生成された電荷を電極に効果的に移動させることができ、その結果、太陽電池の効率が上がる。
【0046】
前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素は、前記導電性粉末との混合熱(heat of mixing;Hm)が0KJ/molよりも小さい元素から選ばれる。導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素が、前記導電性粉末との混合熱が0KJ/molよりも小さい元素から選ばれる場合には、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素と前記導電性粉末が化学的に混合されて熱力学的に安定した固溶体に形成されることができる。かかる理由から、前記導電性粉末との混合熱が−50〜0KJ/molの元素、具体的には−30〜0KJ/molの元素から選ばれるのが望ましい。
【0047】
一例として、導電性粉末が銀(Ag)を含む場合、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素としては、下記表1に示すランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ルテチウム(Lu)、イットリウム(Y)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、トリウム(Th)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、バリウム(Ba)、イッテルビウム(Yb)、ストロンチウム(Sr)、ユウロピウム(Eu)、ジルコニウム(Zr)、リチウム(Li)、ハフニウム(Hf)、マグネシウム(Mg)、リン(P)、砒素(As)、パラジウム(Pd)、金(Au)、プルトニウム(Pu)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ケイ素(Si)、錫(Sn)、チタニウム(Ti)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、白金(Pt)および水銀(Hg)よりなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0048】
【表1】

【0049】
他の一例として、導電性粉末がアルミニウム(Al)を含む場合、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素としては、下記表2に示すパラジウム(Pd)、ジルコニウム(Zr)、白金(Pt)、トリウム(Th)、プロメチウム(Pm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、プルトニウム(Pu)、ロジウム(Rh)、チタニウム(Ti)、イリジウム(Ir)、ウラニウム(U)、ニッケル(Ni)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、カルシウム(Ca)、テクネチウム(Tc)、バリウム(Ba)、イッテルビウム(Yb)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ユウロピウム(Eu)、タンタル(Ta)、ストロンチウム(Sr)、ニオビウム(Nb)、オスミウム(Os)、バナジウム(V)、リン(P)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、レニウム(Re)、砒素(As)、モリブデン(Mo)、リチウム(Li)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、タングステン(W)、および銅(Cu)から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0050】
【表2】

【0051】
また、他の一例として、導電性粉末が銅(Cu)を含む場合、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素としては、下記表3に示すトリウム(Th)、ルテチウム(Lu)、スカンジウム(Sc)、ジルコニウム(Zr)、プロメチウム(Pm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、イットリウム(Y)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ハフニウム(Hf)、パラジウム(Pd)、カルシウム(Ca)、白金(Pt)、イッテルビウム(Yb)、ユウロピウム(Eu)、プルトニウム(Pu)、チタニウム(Ti)、金(Au)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、リン(P)、ウラニウム(U)、リチウム(Li)、砒素(As)、マグネシウム(Mg)、ロジウム(Rh)、ケイ素(Si)、およびアルミニウム(Al)から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0052】
【表3】

【0053】
また、他の一例として、導電性粉末がニッケル(Ni)を含む場合、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素としては、下記表4に示すストロンチウム(Sr)、ロジウム(Rh)、アンチモン(Sb)、鉄(Fe)、イリジウム(Ir)、ユウロピウム(Eu)、タングステン(W)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、 錫(Sn)、 白金(Pt)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、イッテルビウム(Yb)、マンガン(Mn)、ホウ素(B)、 亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、バナジウム(V)、 砒素(As)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、プルトニウム(Pu)、リン(P)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、タンタル(Ta)、ウラニウム(U)、ニオビウム(Nb)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジム(Nd)、イットリウム(Y)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ホルミウム(Ho)、プロメチウム(Pm)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、チタニウム(Ti)、ルテチウム(Lu)、スカンジウム(Sc)、トリウム(Th)、ハフニウム(Hf)、およびジルコニウム(Zr)から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0054】
【表4】

【0055】
前記酸化性の高い元素は、前記金属ガラスの他の成分よりも酸化性の高い元素であり、他の成分よりも優先的に酸化して他の成分の酸化を防ぐ成分である。
【0056】
金属ガラスを含む導電性ペーストは一般に大気中で工程が行われるので、空気中の酸素に露出され易い。このとき、前記低い比抵抗を有する元素が酸化する場合に導電性ペーストの導電性が顕著に低下し、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素が酸化する場合に導電性粉末の固溶度が低下する。
【0057】
このため、前記低い比抵抗を有する元素、および前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素よりも酸化性の高い元素を含むことにより優先的に酸化して金属ガラスの表面に安定した酸化膜を成膜し、その結果、金属ガラスの他の成分の酸化を防ぐことができる。これにより、金属ガラスの他の成分の酸化により導電性ペーストの性能が低下することを防ぐことができる。
【0058】
前記酸化性の高い元素は、前記低い比抵抗を有する元素および前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素よりも酸化物形成のギブスフリーエネルギー(Gibbs Free Energy of oxide formation、Δ)の絶対値が大きい。酸化物形成のギブスフリーエネルギーの絶対値が大きいほど酸化し易い。かかる観点から、前記酸化性の高い元素の酸化物形成のギブスフリーエネルギーの絶対値は、約100kJ/molより大きければよいが、好ましくは約120kJ/mol以上、より具体的には約140kJ/mol以上であるのが望ましい。
【0059】
前記酸化性の高い元素としてとしては、銅(Cu)、チタニウム(Ti)、ルテニウム(Ru)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、ロジウム(Rh)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)、バリウム(Ba)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、鉛(Pb)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、コバルト(Co)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ガリウム(Ga)、鉄(Fe)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、ホウ素(B)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ランタン(La)、ネオジウム(Nd)、ニオビウム(Nb)、バナジウム(V)、イットリウム(Y)、及びスカンジウム(Sc)よりなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0060】
下記表5は、前記酸化性の高い元素としての例示的な元素の酸化物形成のギブスフリーエネルギーの値を羅列したものである。
【0061】
【表5】

【0062】
前記金属ガラスは前記低い比抵抗を有する元素と、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素と、酸化性の高い元素と、よりなる群から選ばれる少なくとも2種が合金形態でなされることができる。したがって、前記低い比抵抗を有する元素、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素、および酸化性の高い元素は多様な組合せによって金属ガラスを形成することができる。
【0063】
具体的には、低い比抵抗を有する元素を「A」、「A1」、「A2」などで表示し、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素を「B」、「B1」、「B2」などで表示し、酸化性の高い元素を「C」、「C1」、「C2」などで表示する場合、前記金属ガラスはA−B、A−C、B−C、A−B−C、A−A1−B−B1、A−A1−B−B1−C、A−A1−B−B1−C−C1などのように、2成分以上、具体的には2成分〜6成分の多様な形態の合金で形成されることができるが、これに限定されるのではない。
【0064】
このとき、導電性の側面から前記低い比抵抗を有する元素が必須に含まれた方が良くて、前記低い比抵抗を有する元素と前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素及び前記酸化性の高い元素から選ばれた少なくとも1つが合金を成すことができる。
【0065】
前記金属ガラスの過冷却液体区間は約5〜200℃であり得る。好ましくは、下記に示す理由などから、約10〜180℃、より具体的には約20〜160℃の範囲が望ましい。
【0066】
ここで、金属ガラスの過冷却液体区間とは、金属ガラスのガラス転移温度(glass transition temperature;Tg)と結晶化温度(crystalline temperature;Tc)との間の領域であり、この領域では、金属ガラスの粘度が低下して液体挙動を示す。
【0067】
過冷却液体区間では、金属ガラスが液体挙動を示し、下部膜に対してぬれ性(wetting)を示す。
【0068】
例えば、半導体基板に前記金属ガラスを含む導電性ペーストを適用して太陽電池の電極を形成する場合、過冷却液体区間が広いほど半導体基板の上に軟化した金属ガラスのぬれ性に優れており、ぬれ性に優れているほど、軟化した金属ガラス内に拡散されている前記導電性粉末の半導体基板側への浸透面積が増大される。これにより、電極と半導体基板との間の接触面積が広くなってこれらの間の接着性が改善されるだけではなく、太陽光による半導体基板での生成電荷の電極への移動通路が広くなって太陽電池の効率も改善される。
【0069】
例えば、銅(Cu)及びジルコニウム(Zr)を基本成分として含む金属ガラス、かつ銅(Cu)とジルコニウム(Zr)に、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、及び/又はハフニウム(Hf)をさらに含む金属ガラスの過冷却液体区間を下記表6に記載する。
【0070】
このとき、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、およびハフニウム(Hf)から選ばれた少なくとも1つは前記金属ガラスの総含量に対して約10at%以下、具体的には約0.1at%以上約10at%以下、より具体的には約1at%以上約8at%以下で含まれることができる。アルミニウム(Al)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、およびハフニウム(Hf)から選ばれた少なくとも1つを前記範囲で含む場合、前記金属ガラスの過冷却液体区間を広く維持しながら、導電性粉末との固溶性を改善し、導電性および耐酸化性も向上させることができる。
【0071】
上述したように、前記過冷却液体区間は、金属ガラスのカラス転移温度(Tg)と結晶化温度(Tc)との間の領域を意味し、金属ガラスの結晶化温度(Tc)から金属ガラスのガラス転移温度(Tg)を引いた値に示すことができる。
【0072】
【表6】

【0073】
前記金属ガラスは、例えば、Cu50Zr50、Cu54Zr22NiTi18、Cu48Zr48Al、Cu45Zr45Ag10、Cu47Zr45AlAg、Cu43Zr43AlAg、Cu30Zr48AlAgNi、Cu22.8Zr61.4Al9.9AgFe4.95、Cu36Zr46AlAgHf、Cu30Ag30Zr30Ti10、Ti50Ni15Cu32Sn、Ti45Ni15Cu25SnBeZr、Ni60Nb30Ta10、Ni61Zr20NbAlTa、Ni57.5Zr35Al7.5、Zr41.2Ti13.8Ni10Cu12.5Be22.5、Mg6510Cu15AgPd、Mn55Al25Ni20、La55Al25Ni10Cu10、Mg65Cu7.5Ni7.5AgZnGd10、Mg65Cu15Ag10Gd、Fe77Nb17、Fe67Mo1317、Ca65Mg15Zn20、Ca66.4Al33.6、Mg65Cu15Ag10Gd10、Mg65Cu15Ag10Gd10、Mg65Cu25Gd10、Mg65Cu20Ag10、Mg65Cu2510、Mg65Cu15Ag1010、Cu46Gd47Al、Ca60Mg25Ni15、Mg65Cu15AgPdGd10、Mg70Ni10Gd20、Cu4642.5Al、Ti55Zr18Be14CuNi、Ti51Zr18Be14CuNi、Ti40Zr28CuNiBe16、Ti40Zr25NiCuBe18、Ti49NbZr18Be14CuNi、Ti50Zr15Be18CuNi、Ti34Zr31Cu10NiBe17、Zr36Ti24Be40、Ti65Be18CuNi、Zr65Al7.5Cu17.5Ni10、Zr65Al7.5Cu12.6Ni10Ag、Cu50Zr40Ti10、Cu30Ag30Zr30Ti10、Ni55Zr12Al1122、Cu40NiAg15Zr30Ti10またはこれらの組合せを含むが、本発明はこれに限定されない。
【0074】
前記有機ビヒクルは、上述した導電性粉末および金属ガラスと混合されて適切な粘度を与えうる有機化合物と、これらを溶解する溶媒と、を含む。
【0075】
前記有機化合物は、例えば、(メタ)アクリレート系樹脂、エチルセルロースなどのセルロース樹脂、フェノール樹脂、アルコール樹脂、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;テフロン(米デュポン社の登録商標))およびこれらの組合せよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、界面活性剤、増粘剤および安定化剤などの添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0076】
前記溶媒は、これらを混合しうるものであれば、特に制限はなく、例えば、テルピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセタート、ペンタンジオール、ジペンチン、リモネン、エチレングリコールアルキルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセタート、ジエチレングリコールアルキルエーテルアセタート、ジエチレングリコールジアルキルエーテルアセタート、トリエチレングリコールアルキルエーテルアセタート、トリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテル、トリプロピレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、トリプロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、ジメチルフタル酸、ジエチルフタル酸、ジブチルフタル酸および脱塩水よりなる群から選ばれる少なくとも1種以上である。
【0077】
前記導電性粉末、前記金属ガラスおよび前記有機ビヒクルは、前記導電性ペーストの総含有量に対してそれぞれ約30〜99質量%、約0.1〜20質量%および約0.9〜69.9質量%で含まれる。好ましくは、前記導電性ペーストの総含有量に対してそれぞれ約40〜98質量%、約1〜20質量%および約1〜59質量%、さらに具体的には約40〜95質量%、約2〜20質量%および約3〜58質量%、より具体的には約50〜90質量%、約4〜20質量%および約6〜46質量%で含まれる。
【0078】
上述した導電性ペーストは、スクリーン印刷などの方法により形成されて電子素子の電極として用いられる。
【0079】
以下、図1乃至図4Cに基づき、上述した導電性ペーストを用いた場合に電極が形成される例を説明する。
【0080】
図1乃至図3は、本発明の一実施形態による導電性ペーストを半導体基板に適用した場合、導電性粉末および金属ガラスが熱によって変形されて半導体基板と接触する例を示す概略図であり、図4A乃至図4Cは、図3の「A」の部分を拡大して示す概略図である。
【0081】
図1を参照すると、半導体基板110の上に導電性粉末120aおよび金属ガラス115aを含む導電性ペーストを適用する。導電性粉末120aおよび金属ガラス115aはそれぞれ粒子(particle)の形で存在する。
【0082】
図2を参照すると、金属ガラス115aのガラス転移温度(Tg)以上に昇温する場合、金属ガラス115aは軟化して液体挙動(liquid−like)の金属ガラス115bに変化し、このような液体挙動の金属ガラス115bは複数の導電性粉末120a間の隙間を埋め込む。
【0083】
このように金属ガラス115aが先に軟化する理由は、金属ガラスのガラス転移温度(Tg)が導電性粉末120aの焼結温度(sintering temperature;Ts)よりも低いためである。
【0084】
図3を参照すると、導電性ペーストの焼結温度以上に昇温する場合、導電性粉末120aは焼結されて隣り合う導電性粉末120aと強固に密着して導電性粉末団塊120bを形成する。
【0085】
図2および図3に示すステップにおいて、液体挙動の金属ガラス115bは過冷却液体状態であり、半導体基板110にぬれ性(wetting)を示す。
【0086】
図4Aを参照すると、液体挙動の金属ガラス115bが過冷却液体状態であるとき、導電性粉末団塊120bの一部の導電性粒子120cは液体挙動の金属ガラス115b内に拡散する。これは、上述したように、液体挙動の金属ガラス115bに導電性粉末120bと固溶体を形成しうる成分が含まれているためである。
【0087】
また、上述したように、金属ガラスの過冷却液体区間が広い場合、粘度の低い液体挙動の金属ガラス115bとして存在する時間が長引いて金属ガラス115bの半導体基板110に対するぬれ性が強化される。これにより、金属ガラス115bと半導体基板110との間の接触面積が広がる。
【0088】
図4Bを参照すると、さらに高い温度まで昇温する場合、液体挙動の金属ガラス115bに拡散される導電性粒子120cが半導体基板110内に浸透する。このとき、上述したように、液体挙動の金属ガラス115bのぬれ性を強化させて金属ガラス115bと半導体基板110との間の接触面積を広げることにより、導電性粒子120cの半導体基板110への浸透面積が広がる。
【0089】
図4Cを参照すると、半導体基板110を冷却する場合、半導体基板110に浸透した導電性粒子120cは再結晶化して半導体基板110の表面に再結晶化した導電性粒子120dを形成する。一方、液体挙動の金属ガラス115bもまた再結晶化して結晶性金属ガラス115cを形成し、金属ガラス内に存在する導電性粒子120cもまた再結晶化する。
【0090】
これにより、導電性粉末団塊120bを含む電極部(electrode portion)120を含む電極170が形成される。
【0091】
前記電極170は結晶性金属ガラス115cを含み、半導体基板110と隣接する領域に位置するバッファ層(buffer‐layer)115、また、前記バッファ層115以外の領域に位置して導電性物質を含む電極部120を含むことができる。
【0092】
図4Cにおいてバッファ層115が存在しているものとして図示しているが、これに限定することではなく、前記バッファ層115は省略されてもよい。また、前記バッファ層115は半導体基板110と隣接する領域の一部分にのみ形成されていてもよい。
【0093】
前記バッファ層115および前記半導体基板110の表面に存在する再結晶化した導電性粒子120dは、太陽光による半導体基板110での生成電荷を電極部120に効果的に移動させると共に、半導体基板110と電極部120との間の接触抵抗を下げて太陽電池の電荷損失を低減させ、これにより、結果として太陽電池の効率が上がる。
【0094】
前記電極は、様々な電子素子に導電性電極として採用可能である。
【0095】
前記電極は約1kΩcm以下の接触抵抗を有することができる。前記電極の接触抵抗が前記範囲内である場合、電極による電力損失を効果的に減らすことができ、電子素子、具体的には太陽電池の効率を効果的に改善することができる。好ましくは、前記電極は約1μΩcm〜10Ωcmの接触抵抗を有することができる。
【0096】
前記電極は10mΩcm以下の比抵抗を有することができる。前記電極の比抵抗が前記範囲内である場合、電極による電力損失を効果的に減らすことができ、電子素子、具体的には太陽電池の効率を効果的に改善することができる。好ましくは、前記電極は約1μΩcm〜100μΩcmの比抵抗を有することができる。
【0097】
前記電子素子の一例は、太陽電池である。
【0098】
以下、図5に基づいて、本発明の一実施形態による太陽電池について説明する。
【0099】
図5は、本発明の一実施形態による太陽電池を示す断面図である。
【0100】
図中、各種の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示す。明細書全般に亘って類似する部分に対しては同じ図面符号を付している。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるとしたとき、これは他の部分の「直上」にある場合だけではなく、その中間に更に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上」にあるとしたときには、中間に他の部分がないことを意味する。
【0101】
以下、説明の便宜上、半導体基板110を中心として上下の位置関係を説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、半導体基板110のうち太陽エネルギーを受ける面を前面(front side)といい、その反対面を背面(rear side)という。
【0102】
図5を参照すると、本発明の一実施形態による太陽電池は、下部半導体層110aおよび上部半導体層110bを有する半導体基板110を備える。
【0103】
半導体基板110は、結晶質ケイ素または化合物半導体から製作される。半導体基板110が結晶質ケイ素から製作された場合、例えば、シリコンウェーハが使用可能である。下部半導体層110aおよび上部半導体層110bのうちの一方はp型不純物のドープされた半導体層であり、他方はn型不純物のドープされた半導体層である。例えば、下部半導体層110aはp型不純物のドープされた半導体層であり、上部半導体層110bはn型不純物のドープされた半導体層である。このとき、p型不純物はホウ素(B)などのIII族化合物であり、n型不純物はリン(P)などのV族化合物である。
【0104】
上部半導体層110bの表面は表面組織化(surface texturing)している。表面組織化した上部半導体層110bは、例えば、ピラミッド形状などの凹凸構造を有するか、或いは、ハニカム(honey comb)形状などの多孔性構造を有する。表面組織化した上部半導体層110bは、光を受光する表面積を広げて光の吸収率を上げると共に反射度を下げて太陽電池の効率を改善することができる。
【0105】
上部半導体層110bの上には複数の前面電極が形成されている。前面電極は、基板の一方向に沿って平行に延びており、光吸収損失(shadowing loss)および面抵抗を考慮して、グリッドパターン(grid pattern)状に設計される。
【0106】
前面電極は、上部半導体層110bと隣接する領域に位置するバッファ層115、また、前記バッファ層115以外の領域に位置して導電性物質を含む前面電極部120を含むことができる。
【0107】
前面電極は導電性ペーストを用いたスクリーン印刷法により形成される。導電性ペーストは、上述した通りである。
【0108】
前面電極部120は導電性物質から形成されることができ、例えば、銀(Ag)などの低抵抗導電性物質から形成されることができる。
【0109】
上部半導体層110bと前面電極部120との間にはバッファ層115が形成されている。バッファ層115は上述した通りであり、金属ガラスを含んでいるため導電性を有する。バッファ層115は、前面電極部120との接触部分と、上部半導体層110bとの接触部分とを有することにより、上部半導体層110bと前面電極部120との間における電荷の移動通路(path)の面積が広がり、その結果、電荷が失われることが抑えられる。
【0110】
バッファ層115に含まれている金属ガラスは前面電極部120の導電性ペーストに含まれている成分であり、工程中に前面電極部120の導電性物質よりも先に溶融されて前面電極部120の下部に位置する。
【0111】
図5においてバッファ層115を図示しているが、これに限定することではなく、前記バッファ層115は省略されてもよい。また、前記バッファ層115は前記半導体層110bと隣接する領域の一部分にのみ形成されていてもよい。
【0112】
前面電極部120の上には前面バスバー(bus bar)電極(図示せず)が形成されている。バスバー電極は、複数の太陽電池セルを組み立てるとき、隣り合う太陽電池セルを連結するためのものである。
【0113】
半導体基板110の下部には誘電膜130が成膜されている。誘電膜130は、電荷の再結合を防ぐと共に電流が漏れることを防いで太陽電池の効率を上げる。誘電膜130は複数の貫通部135を有し、貫通部135を介して半導体基板110と後述する背面電極とが接触する。
【0114】
誘電膜130は、例えば、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸化アルミニウム(Al)またはこれらの組合せから成膜され、約100〜2000Åの膜厚を有する。
【0115】
誘電膜130の下部には背面電極が形成されている。背面電極は導電性物質から形成され、例えば、アルミニウム(Al)などの不透明金属から形成される。背面電極は、前面電極と同様に、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷法により形成されることができる。
【0116】
背面電極は、前面電極と同様に、下部半導体層110aと隣接する領域に位置するバッファ層115、また、前記バッファ層115以外の領域に位置して導電性物質を含む背面電極部140を含むことができる。
【0117】
図5においてバッファ層115を図示しているが、これに限定することではなく、前記バッファ層115は省略されてもよい。また、前記バッファ層115は前記下部半導体層110aと隣接する領域の一部分にのみ形成されていてもよい。
【0118】
以下、図5に基づき、前記太陽電池の製造方法について説明する。
【0119】
まず、シリコンウェーハなどの半導体基板110を準備する。このとき、半導体基板110には、例えば、p型不純物がドープされている。
【0120】
次いで、半導体基板110を表面組織化させる。表面組織化は、例えば、硝酸およびフッ酸などの強酸性溶液または水酸化ナトリウムなどの強塩基性溶液を用いるウェット方法により行ってもよく、プラズマを用いたドライ方法により行ってもよい。
【0121】
次いで、半導体基板110に、例えば、n型不純物をドープする。ここで、n型不純物は、POClまたはHPOなどを高温で拡散させることによりドープする。これにより、半導体基板110は、他の不純物のドープされた下部半導体層110aと上部半導体層110bを有する。
【0122】
次いで、上部半導体層110bの上に前面電極用導電性ペーストを塗布する。前面電極用導電性ペーストは、スクリーン印刷法により形成することができる。スクリーン印刷は、導電性粉末、金属ガラスおよび有機ビヒクルを含む上述した導電性ペーストを電極の形成個所に塗布し且つ乾燥するステップを含む。
【0123】
導電性ペーストは、上述したように、金属ガラスを含み、金属ガラスは、例えば、溶融紡糸法(melt spinning)、吸入鋳造法(infiltration casting)、気体噴霧法(gas atomization)、イオン照射法(ion irradiation)または機械的合金法(mechanical alloying)などの公知の方法により製造される。
【0124】
次いで、前面電極用導電性ペーストを乾燥する。
【0125】
次いで、半導体基板110の背面に、例えば、アルミニウム酸化物(Al)または酸化ケイ素(SiO)をプラズマ化学気相蒸着法により積層して誘電膜130を形成する。
【0126】
次いで、誘電膜130の一部にレーザーを照射して複数の貫通部135を形成する。
【0127】
次いで、誘電膜130の片面に背面電極用導電性ペーストをスクリーン印刷法により塗布し且つ乾燥する。
【0128】
次いで、背面電極用導電性ペーストを乾燥する。
【0129】
次いで、前面電極用導電性ペーストおよび背面電極用導電性ペーストを共焼成(co−firing)する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、前面電極用導電性ペーストと背面電極用導電性ペーストをそれぞれ別々に焼成してもよい。
【0130】
焼成は、焼成炉を用いて、導電性金属の溶融温度よりも高い温度まで昇温することができ、例えば、約400〜1000℃の温度で行うことができる。
【0131】
以下、図6に基づき、本発明の他の実施形態による太陽電池について説明する。
【0132】
図6は、本発明の他の実施形態による太陽電池を示す断面図である。
【0133】
本発明の他の実施形態による太陽電池は、p型またはn型不純物のドープされた半導体基板110を有する。半導体基板110は背面側に形成されており、異なる不純物がドープされた複数の第1のドープ領域111aおよび第2のドープ領域111bを有する。第1のドープ領域111aは、例えば、n型不純物がドープされ、第2のドープ領域111bは、例えば、p型不純物がドープされる。第1のドープ領域111a及び第2のドープ領域111bは、半導体基板110の背面に交互に配置される。
【0134】
半導体基板110の前面は表面組織化しており、表面組織化によって光の吸収率を上げると共に反射度を下げて太陽電池の効率を改善することができる。半導体基板110の上には絶縁膜112が成膜されている。絶縁膜112は、低光吸収性及び絶縁性の物質、例えば、窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化セリウム(CeO)およびこれらの組合せから単一層または複数層に形成される。絶縁膜112は、例えば、約200〜1500Åの膜厚を有する。
【0135】
絶縁膜112は、太陽電池の表面における光の反射率を下げると共に特定の波長領域の選択性を増加させる反射防止膜(anti reflective coating)の役割を果たすと共に、半導体基板110の表面に存在するシリコンとの接触特性を改善して太陽電池の効率を上げる。
【0136】
半導体基板110の背面には、複数の貫通部を有する誘電膜150が成膜されている。
【0137】
半導体基板110の背面には、第1のドープ領域111aに接続される第1電極と、第2のドープ領域111bに接続される第2電極とがそれぞれ形成されている。第1電極は貫通部を介して第1のドープ領域111aと接触され、第2電極は貫通部を介して第2のドープ領域111bと接触される。第1電極と第2電極は交互に配置される。
【0138】
第1電極は、第1のドープ領域111aと隣接した領域に位置するバッファ層115および前記バッファ層115以外の領域に位置する第1電極部121を含み、第2電極は第2のドープ領域111bと隣接した領域に位置するバッファ層115及び前記バッファ層115以外の領域に位置する第2電極部141を含むことができる。
【0139】
第1電極と第2電極は上述した実施形態と同様に、導電性粉末、金属ガラスおよび有機ビヒクルを含む導電性ペーストを用いて形成され、その詳細は上述した通りである。
【0140】
第1のドープ領域111aと第1電極部121との間、および第2のドープ領域111bと第2電極部141との間にはバッファ層115がそれぞれ形成されている。バッファ層115は、上述したように、金属ガラスを含んでいるため導電性を有し、第1電極部121または第2電極部141との接触部分と、第1のドープ領域111aまたは第2のドープ領域111bとの接触部分とを有することにより、第1のドープ領域111aと第1電極部121との間または第2のドープ領域111bと第2電極部141との間における電荷の移動通路の面積を広げて電荷が失われることを抑える。なお、バッファ層115は、第1電極部121または第2電極部141をなす物質が第1または第2のドープ領域111a、111b内に拡散されることを防ぐ。
【0141】
図6においてバッファ層115を図示しているが、これに限定することではなく、前記バッファ層115は省略されてもよい。また、前記バッファ層115は前記第1のドープ領域111aと隣接した領域の一部、第2のドープ領域111bと隣接した領域の一部、またはこれらの組合せにのみ形成されていてもよい。
【0142】
本発明の他の実施形態による太陽電池は、上述した実施形態とは異なり、第1電極および第2電極が両方とも太陽電池の背面に位置することにより、前面面積の中で金属が占める面積を狭めて光吸収損失を減らし、これにより、太陽電池の効率が上がる。
【0143】
以下、図6に基づき、本発明の他の実施形態による太陽電池の製造方法について説明する。
【0144】
まず、例えば、n型不純物のドープされた半導体基板110を準備する。次いで、半導体基板110を表面組織化させた後、半導体基板110の前面および背面に絶縁膜112、誘電膜150を成膜する。絶縁膜112、誘電膜150は、例えば、化学気相蒸着法により成膜する。
【0145】
次いで、半導体基板110の背面側に、例えば、p型不純物およびn型不純物をこの順に高濃度でドープして第1のドープ領域111aおよび第2のドープ領域111bを形成する。
【0146】
次いで、誘電膜150の一部にレーザーを照射して、複数の貫通部を形成する。この貫通部は、第1のドープ領域111aおよび第2のドープ領域111bに対応する領域に形成する。
【0147】
次いで、誘電膜150の片面における第1のドープ領域111aに対応する領域に第1電極用導電性ペーストを塗布し、第2のドープ領域111bに対応する領域に第2電極用導電性ペーストを塗布する。第1電極用導電性ペーストおよび第2電極用導電性ペーストはそれぞれスクリーン印刷法により形成し、これらの導電性ペーストは、それぞれ上述した導電性粉末、金属ガラスおよび有機ビヒクルを含む。
【0148】
次いで、第1電極用導電性ペーストおよび第2電極用導電性ペーストを共焼成するか、または、第1電極用導電性ペーストおよび第2電極用導電性ペーストをそれぞれ別々に焼成するが、このとき、焼成は、焼成炉を用いて、導電性金属の溶融温度よりも高い温度まで昇温させて行ってもよい。
【0149】
以上、上述した導電性ペーストを太陽電池の電極に適用した場合を具体的に例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電極を有するあらゆる電子素子に適用可能である。
【実施例】
【0150】
以下に、本発明を実施例及び比較例を通じてより詳細に説明するが、下記の実施例及び比較例は説明を目的とするもので、本発明を制限するものではない。
【0151】
<導電性ペースト及び電極の製造>
(実施例1)
銀(Ag)粉末及び金属ガラスCu50Zr50をエチルセルロースバインダー及びブチルカルビトール溶媒を含む有機ビヒクルに添加した。この時、銀(Ag)粉末、金属ガラスCu50Zr50、及び有機ビヒクルは、導電性ペーストの総含有量に対してそれぞれ約84質量%、約4質量%、及び約12質量%で混合した。
【0152】
また金属ガラスCu50Zr50の過冷却液体区間は、表6より、49Kである。
【0153】
金属ガラスCu50Zr50において、Cuは、15μΩcmよりも低い比抵抗を有する元素である。
【0154】
また、金属ガラスCu50Zr50において、Zrは、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素Zrであり、導電性粉末が銀(Ag粉末)の場合、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素Zrの導電性粉末(Ag粉末)との混合熱(heat of mixing;Hm)は表1より、−20KJ/molであり、尚且つ酸化性の高い元素でもあり、その酸化物(ZrO)形成のギブスフリーエネルギー△は表5より、−1042.8kJ/molである。
【0155】
次に、3−ロールミルを使用してこねて、導電性ペーストを製造した。
【0156】
シリコンウエハーの上に前記導電性ペーストをスクリーン印刷方法によって塗布した。次に、ベルトファーネス(belt furnace)を使用して約500℃まで急激に加熱した後、約900℃まで徐々に加熱した。この後、冷却して電極を形成した。
【0157】
(実施例2)
金属ガラスとしてCu50Zr50の代わりにCu43Zr43AlAgを使用したことを除いては、実施例1と同様の方法によって導電性ペーストを製造した後、電極を形成した。
【0158】
金属ガラスCu43Zr43AlAgにおいて、Cuは、15μΩcmよりも低い比抵抗を有する元素である。
【0159】
また、金属ガラCu43Zr43AlAgにおいて、Zrは、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素であり、導電性粉末が銀(Ag粉末)の場合、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素の導電性粉末(Ag粉末)との混合熱(heat of mixing;Hm)は表1より、−20KJ/molである。
【0160】
また、金属ガラCu43Zr43AlAgにおいて、Alは、15μΩcmよりも低い比抵抗を有する元素であり、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素であり、導電性粉末が銀(Ag粉末)の場合、前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素の導電性粉末(Ag粉末)との混合熱(heat of mixing;Hm)は表1より、−4KJ/molであり、尚且つ酸化性の高い元素でもあり、その酸化物(Al)形成のギブスフリーエネルギー△は表5より、−1582.3kJ/molである。
【0161】
また、金属ガラCu43Zr43AlAgにおいて、Agは、15μΩcmよりも低い比抵抗を有する元素である。
【0162】
(評価−1)
実施例1及び2によって形成された電極の接触抵抗値及び比抵抗値を測定した。抵抗値はTransfer length method(TLM)で測定した。
【0163】
表7は、実施例1及び2によって形成された電極の接触抵抗値及び比抵抗値を示す。
【0164】
【表7】

【0165】
表7を参照すれば、実施例1及び2による電極は、低い接触抵抗値及び比抵抗値を有することを確認できる。
【0166】
実施例2による電極が実施例1による電極よりも接触抵抗値及び比抵抗値が低いが、これは実施例2の電極に使用された金属ガラスが銀(Ag)を含み、また、銀(Ag)と反応して固溶体(固溶度)をなせるアルミニウム(Al)を含むことによって接触抵抗値及び比抵抗値を低くした結果といえる。
【0167】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、下記の請求の範囲において定義している本発明の基本概念を用いた当業者による様々な変形および改良形態もまた本発明の権利範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0168】
110:半導体基板、
110a:下部半導体層、
110b:上部半導体層、
111a:第1のドープ領域、
111b:第2のドープ領域、
112:絶縁膜、
115:バッファ層、
115a:金属ガラス、
115b:液体挙動の金属ガラス、
115c:結晶性金属ガラス、
120:前面電極部、
120a:導電性粉末、
120b:導電性粉末団塊、
120c:液体挙動の金属ガラスに拡散された導電性粒子、
120d:半導体基板の表面に存在する再結晶化した導電性粒子120d、
120:電極部、
121:第1電極部、
130:誘電膜、
135:貫通部、
140:背面電極部、
141:第2電極部、
150:誘電膜、
170:電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性粉末、金属ガラスおよび有機ビヒクルを含み、
前記金属ガラスは、
低い比抵抗を有する元素と、
前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素と、
酸化性の高い元素と、
よりなる群から選ばれる少なくとも2種を含む合金であり、
前記低い比抵抗を有する元素は、100μΩcmよりも低い比抵抗を有し、
前記酸化性の高い元素は、酸化物形成のギブスフリーエネルギーの絶対値が100kJ/molより大きいことを特徴とする、導電性ペースト。
【請求項2】
前記導電性粉末は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)またはこれらの組合せを含むことを特徴とする、請求項1に記載の導電性ペースト。
【請求項3】
前記導電性粉末は、1nm〜50μmの大きさ(平均粒径)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の導電性ペースト。
【請求項4】
前記低い比抵抗を有する元素の比抵抗は、15μΩcmよりも低いことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
【請求項5】
前記低い比抵抗を有する元素は、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、カリウム(K)、リチウム(Li)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルビジウム(Rb)、クロム(Cr)およびストロンチウム(Sr)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
【請求項6】
前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素は、前記導電性粉末との混合熱(heat of mixing)が0KJ/molよりも小さいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
【請求項7】
前記導電性粉末と反応して固溶体を形成する元素は、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ルテチウム(Lu)、イットリウム(Y)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、トリウム(Th)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、バリウム(Ba)、イッテルビウム(Yb)、ストロンチウム(Sr)、ユウロピウム(Eu)、ジルコニウム(Zr)、リチウム(Li)、ハフニウム(Hf)、マグネシウム(Mg)、リン(P)、砒素(As)、パラジウム(Pd)、金(Au)、プルトニウム(Pu)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ケイ素(Si)、錫(Sn)、チタニウム(Ti)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ウラニウム(U)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、テクネチウム(Tc)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、タンタル(Ta)、ニオビウム(Nb)、オスミウム(Os)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、レニウム(Re)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、タングステン(W)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、 銅(Cu)および水銀(Hg)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項6に記載の導電性ペースト。
【請求項8】
前記酸化性の高い元素は、銅(Cu)、チタニウム(Ti)、ルテニウム(Ru)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、ロジウム(Rh)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)、バリウム(Ba)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、鉛(Pb)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、コバルト(Co)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ガリウム(Ga)、鉄(Fe)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、ホウ素(B)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ランタン(La)、ネオジウム(Nd)、ニオビウム(Nb)、バナジウム(V)、イットリウム(Y)、及びスカンジウム(Sc)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
【請求項9】
前記導電性粉末、前記金属ガラス及び前記有機ビヒクルは、前記導電性ペーストの総含量に対してそれぞれ30〜99質量%、0.1〜20質量%、および約0.9〜69.9質量%で含まれていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
【請求項10】
前記金属ガラスは、非晶質であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
【請求項11】
前記金属ガラスの過冷却液体区間は5〜200℃であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
【請求項12】
前記金属ガラスは、銅(Cu)およびジルコニウム(Zr)を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
【請求項13】
前記金属ガラスは、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、およびハフニウム(Hf)よりなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の導電性ペースト。
【請求項14】
前記アルミニウム(Al)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、およびハフニウム(Hf)よりなる群から選ばれる少なくとも1種は、前記金属ガラスの総含量に対して10at%以下で含まれていることを特徴とする、請求項13に記載の導電性ペースト。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか1項による導電性ペーストを用いて形成された電極を含むことを特徴とする、電子素子。
【請求項16】
前記電極は1kΩcm以下の接触抵抗を有することを特徴とする、請求項15に記載の電子素子。
【請求項17】
前記電極は、10mΩcm以下の比抵抗を有することを特徴とする、請求項15または16に記載の電子素子。
【請求項18】
半導体基板と、
請求項1ないし14のいずれか1項による導電性ペーストを用いて形成され、前記半導体基板と電気的に接続される電極と、
を含むことを特徴とする、太陽電池。
【請求項19】
前記電極は1kΩcm以下の接触抵抗を有することを特徴とする、請求項18に記載の太陽電池。
【請求項20】
前記電極は、10mΩcm以下の比抵抗を有することを特徴とする、請求項18または19に記載の太陽電池。
【請求項21】
前記電極は、前記半導体基板と隣接する領域に位置するバッファ層と、前記バッファ層以外の領域に位置して導電性物質を含む電極部とを含むことを特徴とする、請求項18〜20のいずれか1項に記載の太陽電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−43789(P2012−43789A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175991(P2011−175991)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】