説明

導電性ペースト、半導体装置用電極、半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】半導体装置の特性の低下を抑えて低コストで製造することが可能な導電性ペースト、半導体装置用電極、半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の導電性粒子からなる導電性粉末を含む導電性ペーストであって、導電性粒子は、基材と、基材の外表面の少なくとも一部を被覆する導電層と、を有している、導電性ペースト、それを用いて形成された半導体装置用電極および半導体装置ならびにそれを用いた半導体装置の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ペースト、半導体装置用電極、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギ資源の枯渇の問題や大気中のCO2の増加のような地球環境問題などからクリーンなエネルギの開発が望まれており、半導体装置の中でも特に太陽電池セルを用いた太陽光発電が新しいエネルギ源として開発、実用化され、発展の道を歩んでいる。
【0003】
太陽電池セルは、従来から、たとえば単結晶または多結晶のシリコン基板の受光面にシリコン基板の導電型と反対の導電型となる不純物を拡散することによってpn接合を形成し、シリコン基板の受光面と受光面の反対側の裏面にそれぞれ電極を形成して製造された両面電極型の太陽電池セルが主流となっている(たとえば、特許文献1参照)。また、両面電極型の太陽電池セルにおいては、シリコン基板の裏面にシリコン基板と同じ導電型の不純物を高濃度で拡散することによって、裏面電界効果による高出力化を図ることも一般的となっている。
【0004】
また、シリコン基板の受光面に電極を形成せず、裏面のみに電極を形成した裏面電極型太陽電池セルについても研究開発が進められている(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
以下、図14(a)〜図14(f)の模式的断面図を参照して、特許文献1に記載の太陽電池セルの製造方法について説明する。
【0006】
まず、図14(a)に示すように、p型シリコン基板100を用意し、次に、図14(b)に示すように、p型シリコン基板100の表面全面にn型ドーパントであるリンを拡散させることによって、p型シリコン基板100の表面全面にn型ドーパント拡散層200を形成する。
【0007】
次に、図14(c)に示すように、p型シリコン基板100の表面全面に形成されたn型ドーパント拡散層200をp型シリコン基板100の受光面となる表面のみに残すように、n型ドーパント拡散層200の一部を除去する。ここで、n型ドーパント拡散層200の除去は、n型ドーパント拡散層200の形成後のp型シリコン基板100の受光面をレジストにより保護した後、レジストにより保護されていないn型ドーパント拡散層200をエッチング処理によって除去し、その後、残存するレジストを有機溶剤等を用いて除去することによって行なうことができる。
【0008】
次に、図14(d)に示すように、p型シリコン基板100の表面のn型ドーパント拡散層200上に反射防止膜として機能する窒化シリコン膜300を形成する。ここで、窒化シリコン膜300は、減圧熱CVD法やプラズマCVD法を用いて形成することができる。
【0009】
次に、図14(e)に示すように、p型シリコン基板100の受光面と反対側の裏面上の所望の位置にアルミニウムペースト600および裏面用銀ペースト700をそれぞれスクリーン印刷した後に乾燥させるとともに、窒化シリコン膜300の表面上の所望の位置に受光面用銀ペースト800をスクリーン印刷した後に乾燥させる。
【0010】
その後、p型シリコン基板100をドライエア雰囲気中の近赤外炉中で800℃〜850℃で数分〜十数分間焼成することによって、図14(f)に示すように、p型シリコン基板100の受光面のn型ドーパント拡散層200上に受光面銀電極801を形成するとともに、p型シリコン基板100の裏面上に裏面アルミニウム電極601および裏面銀電極701を形成する。
【0011】
ここで、p型シリコン基板100の受光面側においては、上記の焼成中に受光面用銀ペースト800がファイヤースルーすることによって窒化シリコン膜300を貫通して、上記の焼成後にp型シリコン基板100の表面のn型ドーパント拡散層200に電気的に接触する受光面銀電極801となる。
【0012】
また、p型シリコン基板100の裏面側においては、上記の焼成中にアルミニウムペースト600からp型ドーパントであるアルミニウムがp型シリコン基板100の裏面に拡散することによってp型シリコン基板100の裏面にp型ドーパント拡散層400が形成され、上記の焼成後にアルミニウムペースト600が裏面アルミニウム電極601になるとともに、裏面用銀ペースト700が裏面銀電極701になる。
【0013】
以上により、特許文献1に記載の太陽電池セルを製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−234884号公報
【特許文献2】特開2006−332273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
近年、単結晶または多結晶のシリコン基板を用いた結晶系の太陽電池セルにおいては、優れた特性のものをより低コストで製造することが求められている。
【0016】
ここで、結晶系の太陽電池セルの製造においては、銀電極の形成に用いられる銀ペーストが最も高コストであるため、結晶系の太陽電池セルを低コストで製造するためには銀ペーストの使用量を低減することが最も有効である。その一方で、銀ペーストの使用量を低減した場合には、銀電極の直列抵抗が増加することによって太陽電池セルの特性が低下する。
【0017】
そのため、太陽電池セルの特性の低下を抑えつつ銀ペーストの使用量を低減するための様々な試みが行なわれてきているが、その試みも最近ではすでに限界に達している。
【0018】
この問題は、結晶系の太陽電池セルに限られる問題ではなく、他の半導体装置にも共通する問題である。
【0019】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、半導体装置の特性の低下を抑えて低コストで製造することが可能な導電性ペースト、半導体装置用電極、半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、複数の導電性粒子からなる導電性粉末を含む導電性ペーストであって、導電性粒子は、基材と、基材の外表面の少なくとも一部を被覆する導電層と、を有している、導電性ペーストである。
【0021】
また、本発明の導電性ペーストは、複数の銀粒子からなる銀粉末をさらに含んでいてもよい。
【0022】
また、本発明は、複数の導電性粒子を含む半導体装置用電極であって、導電性粒子は、基材と、基材の外表面の少なくとも一部を被覆する導電層と、を有している、半導体装置用電極である。
【0023】
また、本発明は、半導体基板と、半導体基板の表面上に設置された半導体装置用電極と、を含む半導体装置であって、半導体装置用電極は複数の導電性粒子を含み、導電性粒子は、基材と、基材の外表面の少なくとも一部を被覆する導電層と、を有している、半導体装置である。
【0024】
さらに、本発明は、半導体基板上に複数の導電性粒子からなる導電性粉末を含む導電性ペーストを塗布する工程と、導電性ペーストを焼成する工程と、を含む、半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、半導体装置の特性の低下を抑えて低コストで製造することが可能な導電性ペースト、半導体装置用電極、半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)〜(h)は、実施の形態1の太陽電池セルの製造方法について図解する模式的な断面図である。
【図2】p型シリコン基板の表面上に塗布された導電性ペーストの一例を図解する模式的な断面図である。
【図3】導電性ペーストに含まれる導電性粒子の一例の模式的な断面図である。
【図4】実施の形態1の太陽電池セルの受光面の模式的な平面図である。
【図5】実施の形態1の太陽電池セルの裏面の模式的な平面図である。
【図6】実施の形態1の太陽電池セルを用いて太陽電池モジュールを製造する方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な斜視図である。
【図7】実施の形態1の太陽電池セルを用いて太陽電池モジュールを製造する方法の一例の製造工程の他の一部について図解する模式的な斜視図である。
【図8】実施の形態1の太陽電池セルを用いて太陽電池モジュールを製造する方法の一例の製造工程の他の一部について図解する模式的な斜視図である。
【図9】実施の形態1の太陽電池セルを用いて太陽電池モジュールを製造する方法の一例の製造工程の他の一部について図解する模式的な斜視図である。
【図10】実施の形態1の太陽電池セルを用いた太陽電池モジュールの一例の模式的な断面図である。
【図11】図10に示す太陽電池モジュールにアルミニウム枠などを取り付けた構成の一例の模式的な側面図である。
【図12】(a)〜(h)は、実施の形態2の太陽電池セルの製造方法について図解する模式的な断面図である。
【図13】(a)〜(h)は、実施の形態3の太陽電池セルの製造方法について図解する模式的な断面図である。
【図14】(a)〜(f)は、特許文献1に記載の太陽電池セルの製造方法について図解する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0028】
<実施の形態1>
図1(a)〜図1(h)に、実施の形態1の太陽電池セルの製造方法について図解する模式的な断面図を示す。
【0029】
まず、図1(a)に示すように、単結晶または多結晶のp型のシリコンインゴットをたとえばワイヤソーなどでスライスすることによってp型シリコン基板1を得る。ここで、p型シリコン基板1の表面全面には上記のシリコンインゴットのスライス時に生じたダメージ層1aが形成される。
【0030】
次に、図1(b)に示すように、p型シリコン基板1の表面全面をエッチングすることによって、p型シリコン基板1の表面全面に形成されたダメージ層1aを除去する。ここで、エッチング条件を調整することによって、p型シリコン基板1の表面にたとえばテクスチャ構造などの微小な凹凸を形成することもできる。このように、p型シリコン基板1の表面に微小な凹凸を形成した場合には、p型シリコン基板1の微小な凹凸を有する表面に入射する太陽光の反射を低減することができるため、太陽電池セルの変換効率を高めることができる。
【0031】
次に、図1(c)に示すように、p型シリコン基板1の表面のうち最も大きな面積を有する2つの主面のうち一方の主面(以下、「第1主面」という)にn型ドーパント拡散層2を形成する。ここで、n型ドーパント拡散層2は、たとえばPOCl3などのn型ドーパントであるリンを含むガスを用いた気相拡散またはリンの化合物を含むドーパント液を用いた塗布拡散などの方法により形成することができる。なお、リンの拡散によってp型シリコン基板1の第1主面にリンシリケートガラス層が形成された場合には、リンシリケートガラス層はたとえば酸処理などによって除去される。
【0032】
次に、図1(d)に示すように、p型シリコン基板1の第1主面のn型ドーパント拡散層2上に反射防止膜3を形成する。ここで、反射防止膜3は、たとえば、プラズマCVD法を用いて窒化シリコン膜を形成する方法または常圧CVD法を用いて酸化チタン膜を形成する方法などによって形成することができる。
【0033】
次に、図1(e)に示すように、p型シリコン基板1の第1主面とは反対側の第2主面に導電性ペースト7を塗布し、その後乾燥させる。
【0034】
ここで、導電性ペースト7としては、従来の銀ペーストに代えて、従来の銀ペーストの銀粉末の少なくとも一部を当該銀粉末よりも安価な導電性粉末に置き換えたものが用いられる。
【0035】
図2に、p型シリコン基板1の表面上に塗布された導電性ペースト7の一例を図解する模式的な断面図を示す。ここで、導電性ペースト7は、複数の導電性粒子21からなる導電性粉末と、複数の銀粒子22からなる銀粉末と、その他の成分23とを含んでいる。
【0036】
図3に、導電性ペースト7に含まれる導電性粒子21の一例の模式的な断面図を示す。ここで、導電性粒子21は、基材21aと、基材21aの外表面の少なくとも一部を被覆する電気導電性の導電層21bとから構成されている。
【0037】
基材21aとしては、たとえば、アルミナ(Al23)、シリカ(SiO2)、ケイ酸塩ガラスまたはニッケルなどの銀よりも安価な電気導電性または電気絶縁性の物質を用いることができる。
【0038】
また、導電層21bとしては、たとえば、銀などの電気導電性の物質を用いることができる。なお、基材21aの外表面の少なくとも一部を導電層21bで被覆する方法としては、たとえば無電解めっき法などを用いることができる。
【0039】
また、その他の成分23としては、たとえば、ガラスフリット、樹脂、添加剤および有機溶剤などの従来の銀ペーストに用いられている成分などを用いることができる。
【0040】
以上の構成を有する導電性ペースト7は、たとえば、複数の導電性粒子21からなる導電性粉末と、複数の銀粒子22からなる銀粉末と、その他の成分23とを従来から公知の方法により混合することによって作製することができる。
【0041】
なお、上記においては、導電性ペースト7の一例として、銀粉末の一部を導電性粉末に置き換えた構成ものについて説明したが、導電性ペースト7に銀粉末が全く含まれずに上記の導電性粉末のみが含まれる構成としてもよい。
【0042】
次に、図1(f)に示すように、p型シリコン基板1の第2主面にアルミニウムペースト6を塗布し、その後乾燥させる。ここで、アルミニウムペースト6としては、たとえばアルミニウム粉末、ガラスフリット、樹脂、添加剤および有機溶剤などを含む従来から公知のものを用いることができる。また、アルミニウムペースト6の塗布方法としては、たとえばスクリーン印刷法などを用いることができる。なお、本実施の形態において、アルミニウムペースト6は、p型シリコン基板1の第2主面の周縁部分を露出させるとともに、導電性ペースト7の一部と重なるようにして塗布される。
【0043】
次に、図1(g)に示すように、p型シリコン基板1の第1主面上の反射防止膜3上に銀ペースト8を塗布し、その後乾燥させる。ここで、銀ペースト8としては、たとえば銀粉末、ガラスフリット、樹脂、添加剤および有機溶剤などを含む従来から公知のものを用いることができる。また、銀ペースト8の塗布方法としては、たとえばスクリーン印刷法などを用いることができる。
【0044】
その後、アルミニウムペースト6、導電性ペースト7および銀ペースト8を焼成することによって、図1(h)に示すように、p型シリコン基板1の第2主面上にアルミニウム電極61および裏面電極71を形成するとともに、p型シリコン基板1の第1主面上に受光面銀電極81を形成する。
【0045】
ここで、p型シリコン基板1の第2主面上のアルミニウム電極61はアルミニウムペースト6が焼成されることによって形成され、裏面電極71は導電性ペースト7が焼成されることによって形成される。
【0046】
また、p型シリコン基板1の第1主面上の受光面銀電極81は銀ペースト8が焼成されることによって形成される。
【0047】
なお、上記の焼成の際にアルミニウムペースト6中のアルミニウムがp型シリコン基板1の第2主面に拡散することによって、p型シリコン基板1の第2主面にp型ドーパント拡散層4が形成される。
【0048】
また、上記の焼成の際に銀ペースト8がファイヤースルーすることによって、反射防止膜3を貫通してn型ドーパント拡散層2に電気的に接続する受光面銀電極81が形成される。以上のようにして、実施の形態1の太陽電池セル10を製造することができる。
【0049】
図4に、実施の形態1の太陽電池セル10の受光面の模式的な平面図を示し、図5に、実施の形態1の太陽電池セル10の裏面の模式的な平面図を示す。
【0050】
図4に示すように、実施の形態1の太陽電池セル10の受光面側の受光面銀電極81は格子状に形成されている。また、図5に示すように、実施の形態1の太陽電池セル10の裏面側の裏面電極71は矩形状に形成されており、裏面電極71の一部と重なるようにしてアルミニウム電極61が形成されている。なお、受光面銀電極81の形状は図4に示す形状に限定されるものではなく、アルミニウム電極61および裏面電極71の形状は図5に示す形状に限定されるものでもない。
【0051】
ここで、上記の導電性ペースト7の焼成による裏面電極71の形成工程は、導電性ペースト7中の導電性粒子21(および銀粒子22)の溶融温度未満の温度に導電性ペースト7が加熱されることによって行なわれるため、裏面電極71は、導電性粒子21(および銀粒子22)が溶融せずに凝集して固結した構成となる。
【0052】
したがって、仮に導電性ペースト7中の導電性粒子21の基材21aとして電気絶縁性の材質を用いた場合でも、導電性粒子21の基材21aの外表面の電気導電性の導電層21bを通して電気を導通させることによって裏面電極71の電気電導性を担保することができる。
【0053】
また、導電性ペースト7を焼成して形成された裏面電極71は、従来の銀ペーストを焼成して形成された銀電極とほぼ同等程度の電極特性を有するため、裏面電極71とp型シリコン基板1の第2主面との直列抵抗の上昇も抑えることができる。
【0054】
以上のように、従来の銀ペーストに代えて、従来の銀ペーストの銀粉末の少なくとも一部を当該銀粉末よりも安価な導電性粉末に置き換えた導電性ペースト7を用いることによって、太陽電池セルの特性の低下をなるべく抑えつつ、太陽電池セルの製造コストを低減することが可能となる。
【0055】
また、たとえば以下のようにして、上記の実施の形態1の太陽電池セル10を用いて太陽電池モジュールを製造することができる。
【0056】
まず、図6の模式的斜視図に示すように、実施の形態1の太陽電池セル10の受光面銀電極81上に電気導電性の部材であるインターコネクタ33の一端を接続する。
【0057】
次に、図7の模式的斜視図に示すように、インターコネクタ33が接続された太陽電池セル10を一列に配列し、太陽電池セル10の受光面銀電極81に接続されているインターコネクタ33の他端を、その太陽電池セル10に隣接する他の太陽電池セル10の裏面の裏面電極71に順次接続していくことによって太陽電池ストリング35を作製する。
【0058】
次に、図8の模式的斜視図に示すように、太陽電池ストリング35を並べて、太陽電池ストリング35の両端からそれぞれ突出しているインターコネクタ33と、その太陽電池ストリング35に隣接する他の太陽電池ストリング35の両端から突出しているインターコネクタ33とを導電性部材である配線部材34を用いて接続することによって、隣接する太陽電池ストリング35同士を直列に接続する。
【0059】
その後、図9の模式的斜視図に示すように、ガラス基板などの透明基板36とPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの裏面保護シート38との間に、上記接続後の太陽電池ストリング35をEVA(エチレンビニルアセテート)などの封止材37で封止したものを挟み込む。以上により、実施の形態1の太陽電池セル10を用いた太陽電池モジュールを作製することができる。
【0060】
図10に、上記のようにして作製した実施の形態1の太陽電池セル10を用いた太陽電池モジュールの一例の模式的な断面図を示す。ここで、太陽電池モジュール50においては、透明基板36と裏面保護シート38との間の封止材37中に太陽電池セル10が封止されている。そして、太陽電池セル10の受光面銀電極81にインターコネクタ33の一端が電気的に接続され、太陽電池セル10の裏面の裏面電極71にインターコネクタ33の他端が電気的に接続されている。
【0061】
また、図11の模式的側面図に示すように、図10に示す構成の太陽電池モジュール50の周縁にアルミニウム枠42を取り付けるとともに、太陽電池モジュール50の裏面側にケーブル40を備えた端子ボックス39を取り付けることも可能である。
【0062】
なお、上記においては、太陽電池セルの半導体基板としてp型シリコン基板を用いたが、p型シリコン基板以外の半導体基板を用いてもよい。
【0063】
<実施の形態2>
本実施の形態においては、p型シリコン基板1の第2主面上だけでなく、p型シリコン基板1の第1主面上の反射防止膜3上にも導電性ペースト7を塗布する点に特徴がある。
【0064】
以下、図12(a)〜図12(h)の模式的断面図を参照して、実施の形態2の太陽電池セルの製造方法について説明する。
【0065】
まず、図12(a)に示すように、表面全面にダメージ層1aが形成されたp型シリコン基板1を用意し、次に、図12(b)に示すように、p型シリコン基板1の表面全面をエッチングすることによってダメージ層1aを除去する。
【0066】
次に、図12(c)に示すように、p型シリコン基板1の第1主面にn型ドーパント拡散層2を形成し、図12(d)に示すように、p型シリコン基板1の第1主面のn型ドーパント拡散層2上に反射防止膜3を形成する。
【0067】
次に、図12(e)に示すように、p型シリコン基板1の第2主面に導電性ペースト7を塗布した後に乾燥させるとともに、図12(f)に示すように、p型シリコン基板1の第2主面にアルミニウムペースト6を塗布した後に乾燥させる。ここまでの工程は、実施の形態1と同様である。
【0068】
次に、図12(g)に示すように、p型シリコン基板1の第1主面上の反射防止膜3上にも導電性ペースト7を塗布し、その後乾燥させる。ここで、p型シリコン基板1の第1主面上の反射防止膜3上に塗布される導電性ペースト7としては、たとえば、上記で説明したものと同様の構成のものを用いることができる。
【0069】
その後、アルミニウムペースト6、導電性ペースト7および銀ペースト8を焼成することによって、図12(h)に示すように、p型シリコン基板1の第2主面上にアルミニウム電極61および裏面電極71を形成するとともに、p型シリコン基板1の第2主面にp型ドーパント拡散層4を形成し、さらにはp型シリコン基板1の第1主面上に受光面電極72を形成する。以上のようにして、実施の形態2の太陽電池セル10を製造することができる。
【0070】
ここで、上記の導電性ペースト7の焼成による受光面電極72の形成工程は、導電性ペースト7中の導電性粒子21(および銀粒子22)の溶融温度未満の温度に導電性ペースト7が加熱されることによって行なわれるため、受光面電極72は、導電性粒子21(および銀粒子22)が溶融せずに凝集して固結した構成となる。
【0071】
したがって、仮に導電性ペースト7中の導電性粒子21の基材21aとして電気絶縁性の材質を用いた場合でも、導電性粒子21の基材21aの外表面の電気導電性の導電層21bを通して電気を導通させることによって受光面電極72の電気電導性を担保することができる。
【0072】
また、導電性ペースト7を焼成して形成された受光面電極72は、銀ペーストを焼成して形成された実施の形態1の受光面銀電極81とほぼ同等程度の電極特性を有するため、受光面電極72とp型シリコン基板1の第1主面のn型ドーパント拡散層2との直列抵抗の上昇も抑えることができる。
【0073】
以上のように、実施の形態2においては、p型シリコン基板1の第2主面上だけでなく、p型シリコン基板1の第1主面上の反射防止膜3上にも導電性ペースト7を塗布して太陽電池セル10を作製しているため、実施の形態1よりもさらに太陽電池セルの製造コストを低減することが可能となる。
【0074】
実施の形態2における上記以外の説明は、実施の形態1と同様であるため、その説明については省略する。
【0075】
<実施の形態3>
本実施の形態においては、p型シリコン基板1の第2主面上には導電性ペースト7を塗布せず、p型シリコン基板1の第1主面上の反射防止膜3上のみに導電性ペースト7を塗布する点に特徴がある。
【0076】
以下、図13(a)〜図13(h)の模式的断面図を参照して、実施の形態3の太陽電池セルの製造方法について説明する。
【0077】
まず、図13(a)に示すように、表面全面にダメージ層1aが形成されたp型シリコン基板1を用意し、次に、図13(b)に示すように、p型シリコン基板1の表面全面をエッチングすることによってダメージ層1aを除去する。
【0078】
次に、図13(c)に示すように、p型シリコン基板1の第1主面にn型ドーパント拡散層2を形成し、図13(d)に示すように、p型シリコン基板1の第1主面のn型ドーパント拡散層2上に反射防止膜3を形成する。ここまでの工程は、実施の形態1および実施の形態2と同様である。
【0079】
次に、図13(e)に示すように、p型シリコン基板1の第2主面に銀ペースト8を塗布した後に乾燥させる。ここで、p型シリコン基板1の第2主面に塗布される銀ペースト8としては、たとえば、上記で説明したものと同様の構成のものを用いることができる。
【0080】
次に、図13(f)に示すように、p型シリコン基板1の第2主面にアルミニウムペースト6を塗布した後に乾燥させ、その後、図13(g)に示すように、p型シリコン基板1の第1主面上の反射防止膜3上に導電性ペースト7を塗布した後に乾燥させる。
【0081】
その後、アルミニウムペースト6、導電性ペースト7および銀ペースト8を焼成することによって、図13(h)に示すように、p型シリコン基板1の第2主面上にアルミニウム電極61および裏面銀電極82を形成するとともに、p型シリコン基板1の第2主面にp型ドーパント拡散層4を形成し、さらにはp型シリコン基板1の第1主面上に受光面電極72を形成する。以上のようにして、実施の形態3の太陽電池セル10を製造することができる。
【0082】
以上のように、実施の形態3においては、p型シリコン基板1の第1主面上の反射防止膜3上に導電性ペースト7を塗布して電極面積がより大きい太陽電池セル10の受光面側の電極を形成しているため、実施の形態1よりもさらに太陽電池セルの製造コストを低減することが可能となる。
【0083】
実施の形態3における上記以外の説明は、実施の形態1および実施の形態2と同様であるため、その説明については省略する。
【実施例】
【0084】
<実施例1>
まず、1辺が156mmの正方形状の2つの主面を有し、かつ厚さ200μmのp型多結晶シリコン基板を作製した。ここで、p型多結晶シリコン基板は、p型多結晶シリコンインゴットをワイヤソーでスライスした後にアルカリ溶液でエッチングして表面のダメージ層を除去することによって作製した。
【0085】
次に、p型多結晶シリコン基板の一方の主面にリンシリケートガラス液(PSG液)を塗布した後にp型多結晶シリコン基板を約900℃の温度雰囲気中に設置することによって、p型多結晶シリコン基板の一方の主面にリンの拡散によるn型ドーパント拡散層を形成した。ここで、n型ドーパント拡散層の面抵抗は約50Ω/□であった。
【0086】
次に、p型多結晶シリコン基板の主面のn型ドーパント拡散層上に厚さ80nmの窒化シリコン膜をプラズマCVD法によって形成した。
【0087】
以上のようにして、一方の主面上に窒化シリコン膜が形成されたp型多結晶シリコン基板を複数作製し、これらのp型シリコン基板の窒化シリコン膜の形成側とは反対側の他方の主面の一部にそれぞれ下記の表1に示す配合Aの銀ペーストまたは配合B〜Gの導電性ペーストをスクリーン印刷法により塗布した後に、その一部と重なるようにしてp型シリコン基板の主面のほぼ全面にそれぞれ市販のアルミニウムペーストをスクリーン印刷法により塗布した。その後、p型多結晶シリコン基板の主面に塗布された導電性ペースト、銀ペーストおよびアルミニウムペーストをそれぞれ150℃程度の温度雰囲気で乾燥させた。
【0088】
ここで、配合Aの銀ペーストおよび配合B〜Gの導電性ペーストはそれぞれ、表1に示す成分を表1に示す配合(質量%)に配合してミキサーで混練した後に3本ロールで導電性粉末および/または銀粉末を分散させることによって作製した。なお、配合Aの銀ペーストの粘度および配合B〜Gの導電性ペーストの粘度はそれぞれ約170Pa・s(ブルックフィールド社製の粘度計を用いて回転速度10rpmで測定)とした。
【0089】
なお、実施例1においては、導電性粉末としては矩形の表面を有する板状のアルミナ基材の外表面の全体を銀からなる導電層で被覆した導電性粒子からなるECKA社製の導電性粉末を用いた。また、実施例1で用いられた導電性粉末の導電性粒子は、導電性粒子のメジアン径(D50)が7μmで、個々の導電性粒子の質量に対する銀からなる導電層の質量の割合が30質量%であった。
【0090】
また、ガラスフリットとしてはホウ珪酸鉛ガラスが用いられ、樹脂としてはエチルセルロースが用いられ、溶剤としては酢酸ブチルカルビトールが用いられた。
【0091】
【表1】

【0092】
次に、それぞれのp型多結晶シリコン基板の一方の主面の窒化シリコン膜上に格子状に下記の表2に示す組成の銀ペーストをスクリーン印刷法により印刷した後、p型多結晶シリコン基板の主面の窒化シリコン膜上に塗布された銀ペーストを150℃程度の温度雰囲気で乾燥させた。
【0093】
【表2】

【0094】
その後、p型多結晶シリコン基板の一方の主面上に塗布された銀ペースト、p型多結晶シリコン基板の他方の主面上に塗布されたアルミニウムペーストならびに導電性ペーストまたは銀ペーストを空気中で860℃の温度で焼成した。
【0095】
これにより、p型多結晶シリコン基板の一方の主面上においては、銀ペーストがファイヤースルーすることによって窒化シリコン膜を貫通してn型ドーパント拡散層に電気的に接続した銀ペーストの焼成物である銀電極(受光面電極)が形成された。また、p型多結晶シリコン基板の他方の主面にはアルミニウムペーストからアルミニウムが拡散することによってp型ドーパント拡散層が形成されるとともに、アルミニウムペーストの焼成物であるアルミニウム電極と、導電性ペーストまたは銀ペーストの焼成物である銀電極(裏面電極)とが形成された。
【0096】
以上により、銀電極からなる受光面電極を有するとともに、裏面にアルミニウム電極および銀電極からなる裏面電極を有するサンプル1〜7の太陽電池セルを作製した。ここで、サンプル1の太陽電池セルは配合Aの銀ペーストを用いて裏面電極が形成された太陽電池セルであり、サンプル2〜7の太陽電池セルはそれぞれ配合B〜Gの導電性ペーストを用いて裏面電極が形成された太陽電池セルである。
【0097】
次に、上記のようにして作製したサンプル1〜7の太陽電池セルの裏面電極側の主面を導電性のステージ上に全面吸着させた状態で、受光面電極側の主面にそれぞれ擬似太陽光を照射することによって、サンプル1〜7の太陽電池セルの電流−電圧特性を測定し、その最大出力を算出した。その結果を表3の電気特性の欄に示す。
【0098】
なお、表3の電気特性の欄には、サンプル1の太陽電池セルの最大出力を100としたときのサンプル2〜7の太陽電池セルのそれぞれ最大出力の相対値が示されている。
【0099】
また、表3の配合(裏面電極)の欄には、裏面電極の形成に用いられた銀ペーストおよび導電性ペーストの配合が示されている。
【0100】
また、表3の導電性粉末の占有率(%)の欄には、配合Aの銀ペースト中の銀粉末と導電性粉末との総質量に対する導電性粉末の質量の割合(質量%)および配合B〜Gの導電性ペースト中の銀粉末と導電性粉末との総質量に対する導電性粉末の質量の割合(質量%)がそれぞれ示されている。
【0101】
【表3】

【0102】
表3に示すように、サンプル2〜7の太陽電池セルの電気特性は、サンプル1の太陽電池セルの電気特性と同等程度であった。したがって、銀粉末の少なくとも一部を銀粉末よりも安価な導電性粉末に置き換えた配合B〜Gの導電性ペーストを用いて裏面電極が形成されたサンプル2〜7の太陽電池セルにおいては、従来の配合Aの銀ペーストを用いて裏面電極が形成されたサンプル1の太陽電池セルと同等程度の電気特性の低下を保持しつつ、サンプル1の太陽電池セルよりも低コストで製造することができることが確認された。
【0103】
<実施例2>
上記の表2に示す配合の銀ペーストに代えて、下記の表4に示す配合Hの銀ペーストおよび配合I〜Nの導電性ペースト用いて受光面電極を形成したこと以外は実施例1と同様にしてサンプル8〜14の太陽電池セルをそれぞれ作製した。なお、配合I〜Nの導電性ペースト中の導電性粒子としては実施例1と同様の導電性粒子を用いた。
【0104】
そして、サンプル8〜14の太陽電池セルについて、それぞれ実施例1と同様の方法で電流−電圧特性を測定し、その最大出力を算出した。その結果を表5の電気特性の欄に示す。
【0105】
なお、表5の電気特性の欄には、サンプル8の太陽電池セルの最大出力を100としたときのサンプル9〜14の太陽電池セルのそれぞれ最大出力の相対値が示されている。
【0106】
また、表5の配合(裏面電極)の欄には、裏面電極の形成に用いられた銀ペーストおよび導電性ペーストの配合が示されている。
【0107】
また、表5の配合(受光面電極)の欄には、受光面電極の形成に用いられた銀ペーストおよび導電性ペーストの配合が示されている。
【0108】
また、表5の導電性粉末の占有率(%)の欄には、配合Hの銀ペースト中の銀粉末と導電性粉末との総質量に対する導電性粉末の質量の割合(質量%)および配合I〜Nの導電性ペースト中の銀粉末と導電性粉末との総質量に対する導電性粉末の質量の割合(質量%)がそれぞれ示されている。
【0109】
なお、サンプル8の太陽電池セルは、配合Aの銀ペーストを用いて裏面電極が形成されるとともに配合Hの銀ペーストを用いて受光面電極が形成されたものに対応する。また、サンプル9〜14の太陽電池セルはそれぞれ配合B〜Gの導電性ペーストを用いて裏面電極が形成されるとともに配合I〜Nの導電性ペーストを用いて受光面電極が形成されたものに対応する。
【0110】
【表4】

【0111】
【表5】

【0112】
表5に示すように、サンプル9〜14の太陽電池セルの電気特性は、サンプル8の太陽電池セルの電気特性と同等程度であった。したがって、銀粉末の少なくとも一部を銀粉末よりも安価な導電性粉末に置き換えた配合B〜GおよびI〜Nの導電性ペーストを用いて裏面電極および受光面電極を形成したサンプル9〜14の太陽電池セルにおいては、従来の配合AおよびHの銀ペーストを用いて裏面電極および受光面電極が形成されたサンプル8の太陽電池セルと同等程度の電気特性の低下を保持しつつ、サンプル8の太陽電池セルよりも大幅に低コストで製造することができることが確認された。
【0113】
<実施例3>
上記の表2に示す配合の銀ペーストを用いて裏面電極を形成するとともに、上記の表4に示す配合N、LおよびI、ならびに下記の表6に示す配合O〜Wの導電性ペーストを用いて受光面電極を形成したこと以外は実施例1と同様にしてサンプル15〜26の太陽電池セルを作製した。なお、配合O〜Wの導電性ペースト中の導電性粒子としては下記の表7に示す基材をそれぞれ用い、その基材の外表面全体を銀からなる導電層で被覆した導電性粒子からなるECKA社製の導電性粉末を用いた。また、実施例3で用いられた配合O〜Wの導電性ペースト中の導電性粒子は、導電性粒子のメジアン径(D50)が7μmで、個々の導電性粒子の質量に対する銀からなる導電層の質量の割合が30質量%であった。
【0114】
そして、サンプル15〜26の太陽電池セルについて、それぞれ実施例1と同様の方法で電流−電圧特性を測定し、その最大出力を算出した。その結果を表8および表9の電気特性の欄に示す。
【0115】
なお、表8および表9の電気特性の欄には、サンプル8の太陽電池セルの最大出力を100としたときのサンプル15〜26の太陽電池セルのそれぞれ最大出力の相対値が示されている。
【0116】
また、表8および表9の配合(受光面電極)の欄には、受光面電極の形成に用いられた導電性ペーストの配合が示されている。
【0117】
また、表8および表9の導電性粉末の占有率(%)の欄には、配合N、LおよびI、ならびにO〜Wの導電性ペースト中の銀粉末と導電性粉末との総質量に対する導電性粉末の質量の割合(質量%)が示されている。
【0118】
【表6】

【0119】
【表7】

【0120】
【表8】

【0121】
【表9】

【0122】
表8および表9に示すように、サンプル15〜20および22〜26の太陽電池セルの電気特性は、サンプル8の太陽電池セルの電気特性と同等程度であった。したがって、銀粉末の少なくとも一部を銀粉末よりも安価な導電性粉末に置き換えた配合N、L、I、O〜QおよびS〜Wの導電性ペーストを用いて受光面電極を形成したサンプル15〜20および22〜26の太陽電池セルにおいては、従来の配合AおよびHの銀ペーストを用いて裏面電極および受光面電極が形成されたサンプル8の太陽電池セルと同等程度の電気特性の低下を保持しつつ、サンプル8の太陽電池セルよりも大幅に低コストで製造することができることが確認された。
【0123】
<実施例4>
上記の表2に示す配合の銀ペーストを用いて裏面電極を形成するとともに、上記の表4に示す配合Lの導電性粉末の個々の導電性粒子の質量に対する銀からなる導電層の質量の割合をそれぞれ下記の表10に示すように5質量%および10質量%に変更した配合XおよびYの導電性ペーストを用いて受光面電極を形成したこと以外は実施例1と同様にしてサンプル27および28の太陽電池セルを作製した。
【0124】
そして、サンプル27および28の太陽電池セルについて、それぞれ実施例1と同様の方法で電流−電圧特性を測定し、その最大出力を算出した。その結果を表11の電気特性の欄に示す。
【0125】
なお、表11の電気特性の欄には、サンプル8の太陽電池セルの最大出力を100としたときのサンプル27および28の太陽電池セルのそれぞれ最大出力の相対値が示されている。
【0126】
また、表10のAgコート量(%)の欄には、配合XおよびYの導電性ペースト中の個々の導電性粒子の質量に対する銀からなる導電層の質量の割合(質量%)が示されている。
【0127】
【表10】

【0128】
【表11】

【0129】
表11に示すように、サンプル28の太陽電池セルの電気特性は、サンプル8の太陽電池セルの電気特性と同等程度であった。したがって、銀粉末の少なくとも一部を銀粉末よりも安価な導電性粉末に置き換えたYの導電性ペーストを用いて受光面電極を形成したサンプル28の太陽電池セルにおいては、従来の配合AおよびHの銀ペーストを用いて裏面電極および受光面電極が形成されたサンプル8の太陽電池セルと同等程度の電気特性の低下を保持しつつ、サンプル8の太陽電池セルよりも大幅に低コストで製造することができることが確認された。
【0130】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、導電性ペースト、半導体装置用電極、半導体装置および半導体装置の製造方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0132】
1 p型シリコン基板、1a ダメージ層、2 n型ドーパント拡散層、3 反射防止膜、4 p型ドーパント拡散層、6 アルミニウムペースト、7 導電性ペースト、8 銀ペースト、10 太陽電池セル、21 導電性粒子、21a 基材、21b 導電層、22 銀粒子、23 その他の成分、33 インターコネクタ、34 配線部材、35 太陽電池ストリング、36 透明基板、37 封止材、38 裏面保護シート、39 端子ボックス、40 ケーブル、42 アルミニウム枠、50 太陽電池モジュール、61 アルミニウム電極、71 裏面電極、72 受光面電極、81 受光面銀電極、82 裏面銀電極、100 p型シリコン基板、200 n型ドーパント拡散層、300 窒化シリコン膜、400 p型ドーパント拡散層、600 アルミニウムペースト、601 裏面アルミニウム電極、700 裏面用銀ペースト、701 裏面銀電極、800 受光面用銀ペースト、801 受光面銀電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電性粒子からなる導電性粉末を含む導電性ペーストであって、
前記導電性粒子は、
基材と、
前記基材の外表面の少なくとも一部を被覆する導電層と、
を有している、導電性ペースト。
【請求項2】
複数の銀粒子からなる銀粉末をさらに含む、請求項1に記載の導電性ペースト。
【請求項3】
複数の導電性粒子を含む半導体装置用電極であって、
前記導電性粒子は、
基材と、
前記基材の外表面の少なくとも一部を被覆する導電層と、
を有している、半導体装置用電極。
【請求項4】
半導体基板と、
前記半導体基板の表面上に設置された半導体装置用電極と、を含む半導体装置であって、
前記半導体装置用電極は複数の導電性粒子を含み、
前記導電性粒子は、
基材と、
前記基材の外表面の少なくとも一部を被覆する導電層と、
を有している、半導体装置。
【請求項5】
半導体基板上に複数の導電性粒子からなる導電性粉末を含む導電性ペーストを塗布する工程と、
前記導電性ペーストを焼成する工程と、を含む、半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−54313(P2011−54313A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200189(P2009−200189)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】