説明

導電性ポリマー発泡体、その作製方法、およびその使用

ブローされたポリマー発泡体層であって、第一の表面および反対側の第二の表面と;前記ポリマー発泡体層の前記第一の表面および前記反対側の第二の表面の間にある複数のセルであって、前記第一の表面および前記反対側の第二の表面の間の前記ポリマー発泡体層の厚みが、前記複数のセルの平均高さの1.0〜1.5倍であるセルと;前記ポリマー発泡体層の前記第一の表面と前記反対側の第二の表面との間で本質的に連続的に前記発泡体の橋渡しをする複数のカラムへと整列された複数の導電性粒子とを含む層を含む物品が開示されている。この発泡体は、電磁気シールド用のガスケット、接地パッド、または電池接点用導電性バネ素材等として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の参照〕
この出願は、2007年2月6日に出願された米国出願番号60/888360の内容をすべて援用し、その利益を主張する。
【0002】
〔背景〕
本開示は、導電性ポリマー、その作製方法、およびそのポリマーを含む物品に関する。
【0003】
導電性ポリマー発泡体は、電気接点デバイスとして、センサにおいて、電磁干渉(EMI)/無線周波干渉(RFI)シールドおよび/または静電気散逸を必要とする用途を含めた幅広い用途において使用される。EMI/RFIシールドが可能な現在の材料としては、例えば、ベリリウム−銅フィンガーストック(finger stock)、非導電性発泡体ガスケットのまわりに巻かれた金属箔または金属化繊維、および導電性材料で被覆された非導電性ガスケット、およびシリコーン樹脂の中に投入された金属含有充てんが挙げられる。静電気散逸に適している材料として、シリコーン、ポリウレタン、ポリオレフィンなど様々なポリマーへと取り込まれた導電性充てん剤が挙げられる。他の導電性発泡体としては、例えば、ポリウレタンやポリオレフィンも知られている。今日利用可能な方法と材料が有する1つの欠点は、高導電性を実現するために高いレベルの量の(1種または複数種の)導電性充てん剤の添加が、ポリマーの圧縮性および加工性に影響を及ぼすことである。加えて、このような高い充てん剤レベルを使用すると、ポリマーブレンドのコストが増大する。ユーザは多くの場合、コストと材料の品質との間で妥協を強いられる。
【0004】
適切な導電性を維持しながらも添加する充てん剤の量を最小限に押さえるポリマー発泡体を提供することがさらに有利なはずである。特定の用途に望まれる発泡体の圧縮性、加工性および他の物理的性質が著しく悪影響を受けないことがさらに有利なはずである。
【0005】
したがって、特に、特定の用途に望まれる1つまたは複数の物理的性質への著しい悪影響なく、導電性も圧縮性および加工性も共にそれにより発泡体に提供することができる組成物および方法の当技術分野における必要性が残っている。
【0006】
〔簡単な概要〕
本明細書には、ポリマー発泡体層であって、第一の表面および反対側の第二の表面と;前記ポリマー発泡体層の前記第一の表面および前記反対側の第二の表面の間にある複数のセルであって、前記第一の表面および前記反対側の第二の表面の間の前記ポリマー発泡体層の厚さが、前記複数のセルの平均高さの1.0〜1.5倍であるセルと;前記ポリマー発泡体層の前記第一の表面と前記反対側の第二の表面との間で本質的に連続的に前記層の橋渡しをするカラムへと整列された複数の導電性粒子とを含む層が開示されている。
【0007】
前記ポリマー発泡体層を含む物品も開示されている。
【0008】
他の実施形態において、ポリマー発泡体層を作製する方法であって、第一の表面および反対側の第二の表面を持つ層を形成するステップであって、前記層が、ポリマー発泡体前駆体組成物と複数の導電性粒子を含有するフィラー組成物とを含むステップと;前記発泡体前駆体組成物を発泡させて、前記層中に複数のセルを形成し、前記導電性粒子を、前記前記層の前記第一の表面と前記反対側の第二の表面との間の複数のカラムへと整列させるステップと;前記発泡された層を硬化するステップであって、前記硬化された層の厚さが、前記硬化された層中の前記複数のセルの平均高さの1.0〜1.5倍であるステップとを含む方法である。
【0009】
さらに、発泡体、物品、およびそれらの作製方法が、以下の図面、詳細な記載および実施例に記載されている。
【0010】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本明細書に記載の導電性ポリマー発泡体の一例の概観図である。
【0011】
図2〜4は、本明細書に記載の製造された導電性ポリマー発泡体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0012】
〔詳細な説明〕
本発明者等は、意外にも、ポリマー発泡体において導電性粒子を発泡体内で整列させることでポリマー発泡体に導電性を付与することが可能であることを発見した。驚くべきことに、そのような配列は、磁場をかけなくてもブローされた発泡体において起こる。したがって、このような磁気整列は、固体ポリマーにおいては実証されているが、磁場をかけなくても配列によりセル状ポリマー(cellular polymers)を達成することができることは予期せぬことである。発泡体中のセルの平均直径が発泡体層の厚さの平均に近づいたとき、即ち、発泡体層の厚さが発泡体中のセルの平均高さの1.0〜1.5倍であるときに、導電性の改善が達成されることがわかった。さらなる予期せぬ特徴では、ポリマー発泡体の物理的性質に実質的には悪影響を及ぼすことなく、このような導電性を実現することができる。したがって、一実施形態においては、導電性を有し、またそれらポリマー発泡体の圧縮性、可とう性、耐圧縮永久ひずみ性、セル均一性等のうちの1つまたは複数も実質的に保持するポリマー発泡体が製造される。これらの材料は、EMIおよび/またはRFIから守ることができる物品の形成における使用に特に適している。
【0013】
これらの導電性粒子は、導電性材料を含む。導電性粒子は、さらに任意選択的に、磁性材料を含んでもよく、導電性と磁性の両方を備えた材料で構成されていてもよい。例示的な導電性材料としては、金、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、クロム、コバルト、鉄等、ならびに上記金属のうち少なくとも1つを含む酸化物または合金などの導電性金属が挙げられる。適切な磁性材料としては、強磁性材料および常磁性材料が挙げられる。例示的な磁性材料として、鉄、ニッケルおよびコバルトならびにランタニド系希土類元素等と、上記磁性材料のうちの少なくとも1つの酸化物、セラミックスおよび合金が挙げられる。一実施形態において、導電性材料は、非酸化性材料でもある。
【0014】
粒子は、全体を(1種または複数種の)導電性材料から形成することも、あるいは(1種または複数種の)導電性材料を、非磁性材料、非導電性材料または非非導電性材料と共に、コアまたは被覆として使用することもできる。例えば、導電性材料を使用して、鉄粒子などの磁性材料を含むコアを被覆することも、または磁性で導電性の材料を使用して、ガラスマイクロバルーンを含めたガラスなどの非磁性非導電性材料を被覆として使用することもできる。銀およびニッケル被覆が特に有用である。具体的な磁性導電性粒子として、銀粒子、銀被覆ニッケル粒子、銀被覆鉄粒子、ニッケル粒子、およびニッケル被覆三水酸化アルミニウム(Al(OH)3、「ATH」)、ニッケル被覆ガラス粒子などニッケル被覆粒子が挙げられる。
【0015】
蒸着、無電解めっきなどの被覆技法によって、コア粒子上に導電性材料または磁性導電性材料を堆積させることができる。一実施形態においては、無電解めっきプロセスを使用して、三水酸化アルミニウム上にニッケルを堆積させることができる。別の実施形態においては、ニッケルカルボニルの蒸着を使用してニッケル被覆を得ることができる。複合体を形成するために使用する場合、ポリマーの所望の性質に著しく悪影響を及ぼすことなく粒子が複合体に所望のレベルの導電性を与えるように、磁性導電性粒子上に十分な量の導電性材料を被覆する。粒子をすべて被覆する必要はなく、被覆が各粒子を完全に覆う必要はない。したがって、少なくとも実質的に被覆されている粒子を使用することができる。例えば、所与の粒子群において、粒子の全表面積の少なくとも約60%を被覆し、特別には粒子の全表面積の少なくとも約70%、より特別には少なくとも約80%、さらにより特別には少なくとも約90%を被覆する。被覆厚さは大きく異なることがある。一実施形態においては、被覆の厚さが約0.004〜約0.2ミル(約0.1〜約5マイクロメートル)、特別には約0.02〜約0.1ミル(約0.526〜約3マイクロメートル)である。
【0016】
これらの粒子は、様々な不規則な形状または規則的な形状、例えば球状、フレーク状、板状または棒状を有することができる。異なる形状が組み合わさった粒子を使用することができる。球状または棒状が好ましい。粒径は特に限定されず、例えば、約0.250〜約500マイクロメートルの平均最大直径を有することができる。特別には、粒子の平均最大直径は約1〜約250マイクロメートル、より特別には約5〜約200マイクロメートルでよい。この平均径は、単一の充てん剤を用いて、または様々な平均粒径を有する充てん剤の混合物を用いて実現することができる。したがって、フィラーの粒子サイズ分布は、バイモーダルでも、トリモーダルでも、それ以上でもよい。一実施形態においては、粒子が球状で、約20〜約300マイクロメートル、特別には約50〜約200マイクロメートル、より特別には約75〜約100マイクロメートルの範囲の平均直径を有する。別の実施形態においては、粒子が球状で、バイモーダルの粒子サイズ分布を持ち、例えば、1つのモードが約20〜約150マイクロメートルの範囲の平均直径を有し、2番目のモードが約150〜約300マイクロメートルの範囲の平均直径を有する。
【0017】
所望の導電性を実現するために、他の導電性充てん剤を加えて使用することができ、カーボンブラック;PAN繊維などの炭素繊維;金属被覆ガラス繊維、金属被覆炭素繊維、金属被覆有機繊維、金属被覆セラミック球、金属被覆ガラスビーズなどの金属被覆繊維または球;微粒子状またはフィブリル状のポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなど本質的に導電性のポリマー;酸化スズや酸化インジウムスズなどの導電性金属酸化物;および上記導電性充てん剤の少なくとも1種を含む組み合わせを使用することもできる。
【0018】
導電性ポリマー発泡体の作製において使用する充てん剤組成物の相対量は、ポリマーの種類、粒子の種類、使用目的、所望の導電率、発泡体セル構造、加工特性および類似の因子によって異なることになる。一実施形態においては、導電性ポリマー発泡体の総充てん剤含有量が、それぞれ導電性ポリマー発泡体の総重量に基づき、約10〜約90wt%、特別には約20〜約80wt%、さらにより特別には約30〜約70wt%である。あるいは、充てん剤量は、発泡前の導電性ポリマー発泡体前駆体組成物の体積パーセント(vol%)として記載することもできる。一実施形態においては、この発泡体が、発泡前のポリマー発泡体前駆体組成物の約1〜約30vol%、特別には約2〜約20vo%、より特別には約3〜約15vol%の導電性充てん剤粒子を含む。
【0019】
本明細書中で使用する「発泡体」は、セル状構造を有し、また約5〜約150ポンド/立方フィート(pcf)(80〜2402キログラム/立方メートル(kcm))、特別には約125pcf(2002kcm)以下、より特別には約100pcf(1601kcm)以下、さらにより特別には約10〜約60pcf(160〜961kcm)の密度を有する材料である。このような発泡体の空洞率は、それぞれ発泡体の総体積に基づき、約20〜約99%、特別には約30以上、より特別には約50%以上でもよい。
【0020】
発泡体で使用するためのポリマーは、幅広い熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂のブレンドまたは熱硬化性樹脂から選択することができる。使用することができる熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリアセタール、ポリアクリル酸、スチレンアクリロニトリル、ポリオレフィン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11、ナイロン12などの、これらに限定されないポリアミド類;ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、エチレンプロピレンゴム(EPR)、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化ポリビニリデン、フッ化ポリビニル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン等、または上記熱可塑性樹脂のうち少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0021】
ポリマー発泡体において使用することができる熱可塑性樹脂のブレンドの例として、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン/ナイロン、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン/ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル/ナイロン、ポリスルホン/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート/熱可塑性ウレタン、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート、熱可塑性エラストマーアロイ、ポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレート、スチレン−無水マレイン酸/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリエーテルエーテルケトン/ポリエーテルスルホン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリエチレン/ナイロン、ポリエチレン/ポリアセタール、エチレンプロピレンゴム(EPR)等、または上記ブレンドの少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0022】
ポリマー発泡体において使用することができる熱硬化性樹脂の例として、ポリウレタン類、エポキシ類、フェノール類、ポリエステル類、ポリイミド類、シリコーン類等、または上記熱硬化性樹脂のうち少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。熱硬化性樹脂のブレンド、ならびに熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂のブレンドを使用することができる。
【0023】
発泡体の作製における使用について公知である他の添加剤、例えば、織布(woven web)、シリカ、ガラス粒子、ガラスマイクロバルーンなどの補強充てん剤、温度管理を行うために使用する充てん剤、難燃性充てん剤または添加剤など他の充てん剤が、発泡体組成物中に存在することができる。適切な難燃剤として、例えば、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ホウ素、カルシウム、ニッケル、コバルト、スズ、モリブデン、銅、鉄、チタンまたはこれらの組み合わせを含む金属水酸化物、例えば、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄等;酸化アンチモン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステンなどの金属酸化物;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムなどの金属ホウ酸塩;炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの金属炭酸塩;シアヌル酸メラミン、リン酸メラミン等、カーボンブラック、発泡性黒鉛フレーク(例えば、GRAFGUARDの商品名でGrafTech International,Ltd.から入手可能な発泡性黒鉛フレーク)等、ナノクレー、ならびに臭素化化合物が挙げられる。例示的な難燃性材料は、水酸化マグネシウム、ナノクレーおよび臭素化化合物である。一実施形態においては、ポリマー発泡体の難燃剤が、難燃剤についての一部のUnderwriter’s Laboratories(UL)基準を満たす。例えば、ポリマー発泡体は、UL Standard 94の下でV−0の格付けを有する。
【0024】
存在することができるさらに他の添加剤として、色素、顔料(例えば、二酸化チタンおよび酸化鉄)、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線(UV)安定剤、導電性充てん剤、ポリマーの硬化用の触媒、架橋剤等、ならびに上記添加剤の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0025】
導電性発泡体を製造するための一般的なプロセスにおいては、発泡体を形成するために使用するポリマー組成物を、導電性充てん剤組成物(および他の任意選択の添加物)と混ぜ合わせ、第一の面と反対側の第二の面とを有する層を形成するために使用する。ポリマーに応じて、キャスト前に、キャスト中に、またはキャスト後に発泡を行うことができる。導電性粒子を実質的に配列させるために、層を磁場にさらす必要はない。好ましい実施形態では、粒子は、層の第一の表面から反対側の第二の表面まで延在する独立したカラムへと整列される。
【0026】
図1は、導電性ポリマー発泡体10断面の概略図を示す。導電性ポリマー発泡体10は、第一の表面12aおよび第二の表面12bを有し、導電性粒子14を含むポリマー発泡体12を備える。磁性導電性粒子14は、導電性ポリマー発泡体10のz軸に沿った、すなわち、第一の表面および第二の表面12aおよび12bに対して垂直なカラム16に組織化されている。z軸に沿った発泡体の厚さは、セル18の平均高さの1.0〜1.5倍である。
【0027】
一実施形態においては、ポリマー発泡体の表面は実質的に平坦である。平滑面により、ガスケット用途における封止が改善される。特定の一実施形態においては、発泡体の各表面には、整列した充てん剤粒子の存在から生じる突起またはくぼみ(indentation)が実質的にはない。より具体的には、発泡体のxおよびy表面には、充てん剤粒子の整列から生じ、xおよびy表面を変化させる突起またはくぼみが実質的にはない。
【0028】
有利なことに、発泡体または発泡可能な組成物キャリア支持体上へのキャストによって層を形成することができる。したがって、第一のキャリア支持体が提供され、第一の表面および反対側の第二の表面を有する層が、第一の表面が支持体と接触するように、支持体上に配置される。さらに、層の第二の表面上に第二の(上部)キャリア支持体を配置することが有利である。第二のキャリア支持体の配置前もしくは配置後に、層の発泡を行うことができる。一実施形態においては、第二のキャリア支持体の配置前に層を発泡させる。別の実施形態においては、第二のキャリア支持体の配置後に層を発泡させる。上部キャリアを使用することによって、発泡体の品質が向上する。
【0029】
実際には、複数のキャリアを供給ロールからたぐり出し、硬化した発泡体から分離したら最終的には引取ロールに巻き取ることができる。上部および下部キャリア用の材料の選択は、支持性および可とう性の所望の度合い、硬化した発泡体から剥離性の所望の度合い、コスト、その他考慮事項などの要因に依存することになる。紙、銅やアルミニウムなどの金属の薄板、またはポリエチレンテレフタレート、シリコーン、ポリカーボネート、PTFE、ポリイミドなどのポリマーフィルムを使用することができる。この材料を、剥離塗料で被覆することができる。
【0030】
一実施形態においては、キャリアは、硬化した発泡体の表面に転写する予定の材料、例えば、キャリアから剥離可能であるポリウレタンフィルム、キャリアから剥離可能である圧感接着剤、またはキャリアから剥離可能である導電性接着剤で、キャリアの片方または両方を被覆することができる。繊維ウェブまたは他の充てん剤材料をキャリアの表面上に配置することができ、それにより最終的には硬化した発泡体に組み込まれる。別の実施形態においては、キャリアの一方または両方に対して発泡体が硬化する。したがって、一方または両方のキャリアは、発泡体から分離され引取ロールに巻き取られる代わりに、最終製品の一部を形成することができる。例えば、銅箔などの導電層上へ発泡体のキャストを行うことができる。特定の一実施形態においては、銅箔は、導電性粒子を含むエラストマー層をさらに備える。このエラストマー層上へ発泡体のキャストを行って、導電層と発泡体とを備えそれらの間にエラストマー/粒子層が配置されている物品を提供する。あるいは、コンベヤベルトを下部キャリアとして使用することもできる。
【0031】
キャリアは、平滑面またはテクスチャ加工した、例えば、つや消し面を有することができる。特定の一実施形態においては、(1つまたは複数の)キャリアは平滑面を有する。平滑面を有するキャリアを用いて作製した導電性発泡体層は、平滑キャリアなしで作製した導電性発泡体層よりも実質的に平滑な表面を有することとなる。特別には、共に平滑面を有する上部キャリアおよび下部キャリアを用いて作製した導電性発泡体層は、より平滑な表面を有することができ、より低い密度を有することができ、表面よりも上側には粒子の突起がなく、より優れた封止を有し、最大の導電性のために粒子カラムの乱雑さ(disruption)が最小化されるようにセル単層に近い厚さを有する。
【0032】
図面に言及すると、図2〜4は、ほぼセル1つの厚さを有し、磁場を印加することなく製造された発泡体層のSEM写真である。この発泡体層は、平滑な表面を有するキャリア支持体を用いて製造される。観察されているように、粒子は層の表面から突出していない。したがって、一実施形態においては、硬化されたポリマー発泡体層の厚さは、発泡体中のセルの平均高さの1.0〜1.5倍である。別の実施形態では、硬化されたポリマー発泡体層の厚さは、発泡体中のセルの平均高さの1.0〜1.3倍である。さらに別の実施形態では、硬化されたポリマー発泡体層の厚さは、発泡体中のセルの平均高さの1.0〜1.2倍である。上部キャリアを使用することによって発泡体には非常によい品質が付与されるが、上部キャリアを使用しない場合においても、本明細書に記載された導電性発泡体が得られることを理解することができる。
【0033】
当技術分野で公知のように、発泡前に混合される前駆体組成物からポリマー発泡体を作製する。機械的起泡またはブロー(化学的もしくは物理的発泡剤、または両方)、あるいは機械的起泡およびブロー(化学的もしくは物理的発泡剤、または両方)の組み合わせによって、発泡を行うことができる。機械的起泡のみによって発泡体を製造する場合、発泡体の厚さをセル高さの1〜1.5倍に制限しなくても、十分な導電性を実現することが可能であろう。理論に束縛されないが、キャスト後のさらなる発泡がないと、安定したカラムの形成が可能となると考えられる。ただし、一実施形態においては、本明細書に記載された発泡体は、化学的または物理的にブローされたものである。
【0034】
発泡体の作製に使用するための具体的なポリマーとして、ポリウレタン発泡体およびシリコーン発泡体が挙げられる。ポリウレタン発泡体は、有機ポリイソシアネート成分と、ポリイソシアネート成分と反応する活性水素含有成分と、界面活性剤と、触媒とを含む前駆体組成物から形成される。発泡体を形成するプロセスでは、化学的または物理的発泡剤を使用することも、または発泡体を機械的に起泡することができる。例えば、発泡体を形成する1つの方法は、上述の組成の混合物全体に不活性ガスを混合物の機械的おさ打ち(beating)によって実質的および均一に分散させて、構造的および化学的に実質的に安定しているが、周囲条件で加工可能である熱硬化性発泡体を形成するステップと;発泡体を硬化させて硬化発泡体を形成するステップとを含む。一実施形態においては、物理的発泡剤を発泡体に導入して、架橋プロセス中に発泡体密度をさらに減少させる。別の実施形態においては、機械的起泡を使用することなく物理的または化学的発泡剤のみを用いて、反応性組成物からポリマー発泡体を形成する。
【0035】
適切な有機ポリイソシアネートとして、下記一般式を有するイソシアネートが挙げられる:
Q(NCO)i
式中、iは2以上の整数、Qはi価の有機ラジカルであり、iの平均値は2を超える。Qは、置換または無置換炭化水素基(すなわち、アルキレンまたはアリーレン基)であってよく、または式Q1−Z−Q1の基(Q1は、アルキレンまたはアリーレン基であり、Zは、−O−、−O−Q1−S、−CO−、−S−、−S−Q1−S−、−SO−、−SO2−、アルキレンまたはアリーレン)を含んでもよい。このようなポリイソシアネート類の例として、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−p−メタン、キシリルジイソシアネート、ジイソシアナートシクロヘキサン、フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートおよび粗トリレンジイソシアネートを含めたトリレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナートフェニル)メタン、クロロフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートまたはMDIとしても知られている)およびその付加物、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、イソプロピルベンゼン−アルファ−4−ジイソシアネート、ならびにポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの高分子量イソシアネートが挙げられる。
【0036】
Qは、ケースQ(NCO)iがプレポリマーとして知られている組成物であるi価のポリウレタンラジカルを表すこともできる。このようなプレポリマーは、上記ポリイソシアネートの化学量論的過剰量を活性水素含有成分、とりわけ以下に記載されているポリヒドロキシル含有材料またはポリオールと反応させることによって形成される。一実施形態においては、化学量論的過剰量の割合約30パーセント〜約200パーセントでポリイソシアネートを使用するが、この化学量論は、ポリオール中のヒドロキシル一等量当たりのイソシアネートの等量に基づいている。使用するポリイソシアネートの量は、調製するポリウレタンの性質に応じてわずかに異なることになる。
【0037】
活性水素含有成分は、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールを含むことができる。適切なポリエステルポリオールは、ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体(無水物、エステルおよびハロゲン化物など)とのポリオールの重縮合付加物、ポリオールの存在下ラクトンの開環重合によって得られるポリラクトンポリオール、ポリオールとのカーボネートジエステルの反応によって得られるポリカーボネートポリオール、ならびにひまし油ポリオールを含む。重縮合ポリエステルポリオールの生成に有用である適切なジカルボン酸およびジカルボン酸の誘導体は、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸などの脂肪族または脂環式ジカルボン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが含まれるがこれらに限定されない芳香族カルボン酸、ピロメリト酸など三塩基性、またはより高い官能性のポリカルボン酸、ならびに無水マレイン酸、無水フタル酸、テレフタル酸ジメチルなどが含まれるがこれらに限定されない無水物および第二アルキルエステルである。
【0038】
追加の活性水素含有成分は、環状エステルポリマーである。適切な環状エステルモノマーには、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ゼータ−エナントールラクトン、モノアルキル−バレロラクロン、例えば、モノメチル−、モノエチル−およびモノヘキシル−バレロラクロンが含まれるが、これらに限定されない。適切なポリエステルポリオールとして、カプロラクトンをベースとするポリエステルポリオール、芳香族ポリエステルポリオール、アジピン酸エチレングリコールをベースとするポリオール、および上記ポリエステルポリオールのうちいずれか1種を含む混合物が挙げられる。例示的なポリエステルポリオールは、ε−カプロラクトン、アジピン酸、無水フタル酸、テレフタル酸、またはテレフタル酸のジメチルエステルから作製されるポリエステルポリオールである。
【0039】
ポリエーテルポリオールは、水への、またはエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキシレングリコール、1,10−デカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール、4−メチル−3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール、3−メチレン−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、(2−ヒドロキシエトキシ)−1−プロパノール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ブタノール、5−(2−ヒドロキシプロポキシ)−1−ペンタノール、1−(2−ヒドロキシメトキシ)−2−ヘキサノール、1−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2−オクタノール、3−アリルオキシ−1,5−ペンタンジオール、2−アリルオキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、[4,4−ペンチルオキシ)−メチル]−1,3−プロパンジオール、3−(o−プロペニルフェノキシ)−1,2−プロパンジオール、2,2’−ジイソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)ジエタノール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、3−(2−ヒドロキシエトキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(2−ヒドロキシプロポキシ)−1,2−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−(2−ヒドロキシエトキシ)−メチルペンタンジオール−1,5、1,1,1−トリス[2−ヒドロキシエトキシ)メチル]−エタン、1,1,1−トリス[2−ヒドロキシプロポキシ)メチル]−プロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ラクトース、アルファ−メチルグルコシド、アルファ−ヒドロキシアルキルグルコシド、ノボラッ樹脂、リン酸、ベンゼンホスホン酸、トリポリリン酸やテトラポリリン酸などのポリリン酸、三元縮合生成物などの多価有機化合物への、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、これらの混合物などのアルキレンオキシドの化学付加(chemical addition)によって得られる。ポリオキシアルキレンポリオールを生成する際に使用するアルキレンオキシドは、通常、2〜4個の炭素原子を有する。例示的なアルキレンオキシドは、プロピレンオキシドおよびプロピレンオキシドのエチレンオキシドとの混合物である。上記ポリオール類を、活性水素成分それ自体として使用することができる。
【0040】
適切なポリエーテルポリオール群は、下記式によって一般には表される:
R[(OCn2nzOH]a
式中、Rは水素または多価炭化水素ラジカルで、aはRの価数と等しい整数(すなわち、1または2〜6〜8)で、nはそれぞれ2から4を含めた整数(特別には3)で、zはそれぞれ2〜約200、特別には15〜約100の値の整数である。一実施形態においては、ポリエーテルポリオールが、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等のうちの1種または複数種の混合物、あるいは上記ポリエステルポリオールのうちの少なくとも1種を含む組み合わせを含む。
【0041】
使用することができる他のタイプの活性水素含有材料は、ポリオール中のエチレン性不飽和モノマーを重合させることによって得られるポリマーポリオール組成物である。このような組成物を生成するための適切なモノマーとして、アクリロニトリル、塩化ビニル、スチレン、ブタジエン、塩化ビニリデンおよび他のエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。ポリマーポリオール組成物は、ポリオール中に重合モノマーを約1wt%以上、特別には約5wt%以上、より特別には約10wt%以上含む。ここで、重量パーセントはポリオールの総量に基づいている。一実施形態においては、ポリマーポリオール組成物は、ポリオール中に重合モノマーを約70wt%以下、特別には約50wt%以下、より特別には約40wt%以下含む。このような組成物は、過酸化物、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩、アゾ化合物などの遊離基重合触媒の存在下40℃〜150℃の温度で、選択したポリオール中のモノマーを重合させることによって好都合に調製される。
【0042】
活性水素含有成分は、ヒドロキシル基を末端とするポリヒドロカーボン、ヒドロキシル基を末端とするポリホルマール、脂肪酸トリグリセリド、ヒドロキシル基を末端とするポリエステル、ヒドロキシメチル基を末端とするペルフルオロメチレン、ヒドロキシル基を末端とするポリアルキレンエーテルグリコール、ドロキシル基を末端とするポリアルキレンアリーレンエーテルグリコール、ヒドロキシル基を末端とするポリアルキレンエーテルトリオールなどのポリヒドロキシル含有化合物を含むこともできる。
【0043】
これらのポリオール類は、広い範囲にわたって変化するヒドロキシル価を有することができる。一般に、使用する場合には他の架橋添加剤を含めたポリオールのヒドロキシル価は、約28〜約1000以上、特別には約100〜約800の量で存在する。ヒドロキシル価は、他の架橋添加剤の有無にかかわらずポリオールまたはポリオールの混合物1グラムから調製される完全にアセチル化した誘導体の加水分解生成物の完全な中和に使用する水酸化カリウムのミリグラム数として定義される。ヒドロキシル価は、下記方程式によって定義することもできる:
【0044】
【数1】

【0045】
式中、OHはポリオールのヒドロキシル価、fは平均官能価(average functionality)、すなわちポリオール1分子当たりの平均ヒドロキシル基数、M.W.はポリオールの平均分子量である。
【0046】
使用する場合には、多くの適切な発泡剤または発泡剤混合物、特に水が適切である。水はイソシアネート成分と反応してCO2ガスをもたらし、このCO2ガスにより追加のブローが必要となる。発泡剤として水を使用する一実施形態においては、触媒を選択的に使用することによって硬化反応を制御する。一実施形態においては、分解してガスを遊離させる化合物(例えば、アゾ化合物)を使用することもできる。
【0047】
とりわけ適切な発泡剤は、単独で使用することも、または互いとの混合物もしくは水やアゾ化合物など別のタイプの発泡剤との混合物として使用することもできる水素原子含有成分を含む物理的発泡剤である。これらの発泡剤は、炭化水素、エーテル、エステル、部分的にハロゲン化された炭化水素、エーテルおよびエステル等を含めた幅広い材料から選択することができる。適切な物理的発泡剤は、約−50℃〜約100℃、特別には約−50℃〜約50℃の沸点を有する。使用可能な水素含有発泡剤としては、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロ−エタン、モノクロロジフルオロメタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタンなどのHCFC(ハロクロロフルオロカーボン);1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2,4,4−テトラフルオロブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチルプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,4,4−ペンタフルオロブタン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタンなどのHFC(ハロフルオロカーボン);メチル−1,1,1−トリフルオロエチルエーテル、ジフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロエチルエーテルなどのHFE(ハロフルオロエーテル);およびn−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタンなどの炭化水素がある。
【0048】
使用する場合、水を含む発泡剤は一般に、ポリウレタン液相組成物を1重量パーセント(wt%)以上、とりわけ5wt%以上含む。一実施形態においては、発泡剤は、ポリウレタン液相組成物の30wr%以下、とりわけ20wt%以下の量で存在する。発泡剤が周囲温度またはそれを下回る沸点を有する場合、他の成分と混合されるまでその温度を圧力下で維持する。
【0049】
イソシアネート成分の活性水素含有成分との反応を触媒するために使用する適切な触媒として、ビスマス、鉛、スズ、鉄、アンチモン、ウラン、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガンおよびジルコニウム、ならびにホスフィン類および第三級有機アミン類の有機および無機酸塩、ならびに有機金属誘導体が挙げられる。このような触媒の例は、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、第一スズオクトエート、鉛オクトエート、ナフテン酸コバルト、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、o−およびp−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン、N−ヒドロキシル−アルキル第四級アンモニウムカルボキシレートおよびテトラメチルアンモニウムホルメート、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサノエート等、ならびに上記触媒のうちいずれか1つを含む組成物である。
【0050】
一実施形態においては、触媒が金属アセチルアセトネートを含む。適切な金属アセチルアセトネートとして、アルミニウム、バリウム、カドミウム、カルシウム、セリウム(III)、クロム(III)、コバルト(II)、コバルト(III)、銅(II)、イリジウム、鉄(II)、ランタン、鉛(II)、マンガン(II)、マンガン(III)、ネオジム、ニッケル(II)、パラジウム(II)、カリウム、サマリウム、ナトリウム、テルビウム、チタン、バナジウム、イットリウム、亜鉛、ジルコニウムなどの金属に基づく金属アセチルアセトネートが挙げられる。例示的な触媒は、ビス(2,4−ペンタンジオネート)ニッケル(II)(ニッケルアセチルアセトネートまたはジアセチルアセトネートニッケルとしても知られている)、ならびにジアセトニトリルジアセチルアセトナトニッケル、ジフェニルニトリルジアセチルアセトナトニッケル、ビス(トリフェニルホスフィン)ジアセチルアセチルアセトナトニッケルなどのビス(2,4−ペンタンジオネート)ニッケル(II)の誘導体である。第二鉄アセチルアセトネート(FeAA)も、相対安定度を有し、触媒活性が優れ、毒性がないため適切な触媒である。一実施形態においては、金属アセチルアセトネートを、ジプロピレングリコールや反応に関与し最終生成物の一部となる他のヒドロキシル含有成分など適切な溶媒への事前溶解(predissolution)によって好都合に添加する。
【0051】
ポリウレタン発泡体を製造する1つの方法において、発泡体を製造するための成分、すなわち、イソシアネート成分、活性水素含有成分、界面活性剤、触媒、任意選択の発泡剤、導電性の難燃性充てん剤および他の添加剤をまず互いに混ぜ合わせ、その後空気を用いて機械的起泡を施す。あるいは、機械的起泡プロセス中、液相に順次これらの成分を添加することもできる。発泡体の気相は、その安さおよび入手しやすさから、最も特別には空気である。しかしながら、必要に応じて、周囲条件で気体であり、また実質的には不活性または液相のいずれの成分とも反応しない他の気体を使用することができる。このような他の気体として、例えば、周囲温度で通常気体である水素、二酸化炭素およびフルオロカーボンが挙げられる。不活性気体は、HobartミキサまたはOakesミキサにおいてなど、高せん断装置における液相の機械的おさ打ちによって液相に取り込む。気体は、Oakesミキサの通常の作動においてと同様に圧力下で導入することも、またはHobartミキサにおいてと同様におさ打ちまたはむち打ち作用によって、覆っている(overlying)雰囲気から引き込むこともできる。機械的おさ打ち作業は、特別には7〜14kg/cm2(100〜200ポンド/平方インチ(psi))を超えない圧力で行う。容易に入手可能な混合装置を使用することができ、特別な装置は一般に必要ない。液相へとおさ打ちされる不活性気体の量は、所望の密度の発泡体を製造するために、気体流量計量装置によって制御する。この機械的おさ打ちは、Oakesミキサにおいては数秒間にわたって行い、Hobartミキサにおいては約3〜約30分間にわたって行うが、使用する混合装置において所望の発泡体密度を得るためには長時間かかる。機械的おさ打ち作業から現れる発泡体は実質的には化学的安定性を有し、構造的安定性を有するが、周囲温度、例えば約10℃〜約40℃で容易に加工可能である。
【0052】
起泡後、ホースまたは他の導管を通して反応性混合物を制御した速度で移動させて、第一のキャリア上に堆積させる。便宜上、この第一のキャリアは「下部キャリア」と称することができ、一般に、硬化した発泡体を容易に剥離することができる、または容易には剥離することができない可動支持体である。本明細書では「表面保護層」または「上部キャリア」とも称される第二のキャリアを、発泡体の上に配置することができる。上部キャリアもまた、やはり硬化した発泡体から容易に剥離することができる、または容易には剥離することができない可動支持体である。上部キャリアは、発泡体とほぼ同時に塗布することができる。上部発泡体を適用する前に、ドクターブレード(doctoring blade)または他の適切な広げ装置によって発泡体を所望の厚さの層に広げることができる。あるいは、上部キャリアの設置を使用して発泡体を広げ、発泡層を所望の厚さに調節することもできる。さらに別の実施形態においては、上部キャリアの設置後にコータを使用して、発泡体の高さを調節する。上部キャリアの塗布後、物理的または化学的発泡剤の影響下、起泡後の発泡体をブローさせる。一実施形態においては、キャリアは、発泡体の表面に実質的に平坦な表面を与える。
【0053】
(1つまたは複数の)キャリアと(任意選択のブロー後の)発泡体層との組立体を、発泡体を硬化させるために、加熱ゾーンへと送る。温度は、発泡体材料の組成に応じて、発泡体の硬化に効果的な範囲内で、例えば、約90℃〜約220℃で維持される。発泡体の外面上に一体表皮を形成する目的のために、または発泡体に比較的重い層を添加する目的のために示差温度(Differential temperatures)を確立することができる。
【0054】
発泡体を加熱し硬化した後、冷却ゾーンに移す。冷却ゾーンにおいては、ファンなど任意の適切な冷却装置によって発泡体を冷却する。適切な場合には、キャリアを取り除き、ロールに巻き取ることができる。あるいは、発泡体にさらなる処理、例えば、キャリア層の一方または両方に対する積層(熱および圧力を用いる接着)を施すこともできる。
【0055】
一実施形態においては、導電性ポリマー発泡体が、被覆された難燃性粒子なしの同じポリウレタン発泡体の機械的性質と類似の機械的性質を有する。補助発泡剤を使用する場合、得られた発泡体は、約1pcfと低いかさ密度を有することができる。
【0056】
ポリシロキサンポリマーと、導電性粒子とを含むシリコーン発泡体を使用することもできる。
【0057】
一実施形態においては、シリコーン発泡体は、水素ガスの単体分離という結果を伴うポリシロキサンポリマー前駆体組成物中の水と水素化物基との間の反応の結果として生成される。この反応は、一般に、貴金属、とりわけ白金触媒によって触媒される。一実施形態においては、ポリシロキサンポリマーは25℃で約100〜1,000,000ポイズの粘度を有し、水素化物、メチル、エチル、プロピル、ビニル、フェニルおよびトリフルオロプロピルからなる群から選択されるチェーン置換基(chain substituent)を有する。ポリシロキサンポリマーの末端基は、水素化物、ヒドロキシル、ビニル、ビニルジオルガノシロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アリル、オキシム、アミノキシ、イソプロペノキシ、エポキシ、メルカプト基、または他の公知の反応性末端基でよい。適切なシリコーン発泡体は、組み合わせの粘度が上で指定した値の範囲内にあるのであれば、それぞれ異なる分子量(例えば、二峰性または三峰性の分子量分布)を有する数種のポリシロキサンポリマーを用いることによって製造することもできる。所望の発泡体を製造するために、異なる官能基または反応性基を有する数種のポリシロキサンベースのポリマーを得ることも可能である。一実施形態においては、ポリシロキサンポリマーは、水1モル当たり約0.2モルの水素化物(Si−H)基を含む。
【0058】
使用するポリシロキサンポリマーの化学的性質に応じて、触媒、一般には白金または白金含有触媒を使用して、ブローおよび硬化反応を触媒することができる。不活性キャリア上に、シリカゲル、アルミナ、カーボンブラックなどの触媒を堆積させることができる。一実施形態においては、ヘキサクロロ白金(IV)酸、その六水和物、そのアルカリ金属塩および有機誘導体を有するそのヘキサクロロ白金(IV)酸錯体から選択される、担持されていない触媒を使用する。例示的な触媒は、部分的または完全に塩素原子を取り除くためにアルカリ化剤で処理されるまたはされない、ヘキサクロロ白金(IV)酸の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンなどのビニルポリシロキサンとの反応生成物、ヘキサクロロ白金(IV)酸のアルコール類、エーテル類およびアルデヒド類との反応生成物、ならびにホスフィン類、ホスフィンオキシド類およびエチレン、プロピレン、スチレンなどのオレフィン類との白金キレートおよび二塩化白金錯体である。ポリシロキサンポリマーの化学的性質に応じて、白金をベースとする触媒の代わりにジブチルスズジラウレートなど他の触媒を使用することが望ましいこともある。
【0059】
シリコーン発泡体の気孔率および密度を制御するために、様々な白金触媒抑制剤を使用してブローおよび硬化反応の速度を制御することもできる。このような抑制剤の例として、ポリメチルビニルシロキサン環式化合物およびアセチレンアルコールが挙げられる。これらの抑制剤は、発泡体を破壊するようにして発泡および硬化を妨げるべきではない。
【0060】
物理的または化学的発泡剤は、ポリウレタン向けの上記物理的および化学的発泡剤を含むシリコーン発泡体を製造するために使用することができる。他の化学的発泡剤の具体例としては、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタンジオールおよびシラノールが挙げられる。一実施形態においては、ブロー方法の組み合わせを使用して、望ましい特性を有する発泡体を得る。例えば、クロロフルオロカーボンなどの物理的発泡剤を、二次発泡剤とし反応性混合物に添加することができ、ブローの主な形態は、水とポリシロキサンの水素化物置換基との間の反応の結果として放出される水素である。
【0061】
シリコーン発泡体の製造において、前駆体組成物の反応性成分は、2つのパッケージで貯蔵される。一方は白金触媒を含み、他方は水素化物基を含むポリシロキサンポリマーで、これにより時期尚早の反応が防止される。いずれかのパッケージに導電性粒子を含めることが可能である。別の製造方法においては、導電性粒子と、水と、必要に応じて物理的発泡剤と、他の望ましい添加剤と共に、ポリシロキサンポリマーを押出機に導入する。その後、白金触媒を計量し押出機に入れて、発泡および硬化反応を開始する。水などの化学的発泡剤と併せて液体二酸化炭素や超臨界二酸化炭素などの物理的発泡剤を使用すると、はるかに密度が低い発泡体を生じさせることができる。さらに別の方法においては、液状シリコーン成分を計量し、混合し、鋳型や連続被覆ラインなどの装置に分配する。その後、鋳型内または連続被覆ラインで発泡を行う。
【0062】
導電性シリコーン発泡体は、導電性粒子なしの同じシリコーン発泡体の機械的性質と同じまたは実質的に類似の機械的性質を有することができる。
【0063】
あるいは、1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有するポリシロキサンを含む液状シリコーン組成物と、組成物を硬化させるために有効な量で少なくとも2つのシリコン結合水素原子を有するポリシロキサンと、触媒と、任意選択で約100〜約1000センチポイズ粘度を有する反応性または非反応性ポリシロキサン流体とを含む前駆体組成物の反応によって、軟質導電性シリコーン組成物を形成することができる。適切な反応性シリコーン組成物は、低デュロメータ硬度の1:1液状シリコーンゴム(LSR)または液状射出成形(LIM)組成物である。これらの組成物のインヘレント粘度は低いため、低デュロメータ硬度のLSRまたはLIMを使用すると、より多くの充てん剤量の添加が容易となり、軟質発泡体が形成される。
【0064】
反応性または非反応性ポリシロキサン流体により、より多くの量の充てん剤を硬化シリコーン組成物に取り込むことが可能となり、したがって、得られる体積および表面抵抗率値が下がる。一実施形態においては、ポリシロキサン流体は硬化シリコーン内にとどまり、抽出されることも取り除かれることもない。したがって、反応性シリコーン流体はポリマーマトリックスの一部となり、使用中ガス放出は少しで、表面への移動はほとんどまたはまったくない。一実施形態においては、非反応性シリコーン流体の沸点は、ポリマーマトリックスに分散させた場合硬化中または硬化後に蒸発せず、表面へと移動しないもしくはガス放出しないよう十分高い。
【0065】
一実施形態においては、LSRまたはLIM系を、約1:1の体積比における混合に適切な二液性配合物として提供する。配合物の「A」部分は、2つまたはそれ以上のアルケニル基を有する1種または複数種のポリシロキサンを含み、その押出速度は約500g/分未満である。適切なアルケニル基は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキシニルおよびヘプテニルによって例示されるが、ビニルが特に適切である。このアルケニル基は、分子鎖末端に、分子鎖のペンダント位に、またはその両方に結合することができる。2つまたはそれ以上のアルケニル基を有するポリシロキサンにおける他のシリコン結合有機基は、置換および無置換の一価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのアルキル基、フェニル、トリル、キシリルなどのアリール基、ベンジルやフェネチルなどのアラルキル基、3−クロロプロピルや3,3,3−トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基によって例示される。例示的な置換基は、メチルおよびフェニル基である。
【0066】
アルケニル含有ポリシロキサンは、直鎖、部分的に枝分かれしている直鎖、枝分かれ鎖または網目分子構造を有することができるが、例示した分子構造を有するポリシロキサンからの2種またはそれ以上の選択の混合物であってもよい。このアルケニル含有ポリシロキサンは、トリメチルシロキシで末端ブロックされたジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシで末端ブロックされたメチルビニルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシで末端ブロックされたジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチルビニルシロキシで末端ブロックされたジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシで末端ブロックされたメチルビニルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシで末端ブロックされたメチルビニルフェニルシロキサン、ジメチルビニルシロキシで末端ブロックされたジメチルビニルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体、ジメチルビニルシロキシで末端ブロックされたジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチルビニルシロキシで末端ブロックされたジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体、R3SiO1/2およびSiO4/2単位を含むポリシロキサン、RSiO3/2単位を含むポリシロキサン、R2SiO2/2およびRSiO3/2単位を含むポリシロキサン、R2SiO2/2、RSiO3/2およびSiO4/2単位を含むポリシロキサン、ならびに前述のポリシロキサンのうち2種またはそれ以上の混合物によって例示される。Rは、置換および無置換の一価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのアルキル基、フェニル、トリル、キシリルなどのアリール基、ベンジルやフェネチルなどのアラルキル基、3−クロロプロピルや3,3,3−トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基を表す。ただし、1分子当たりR基の少なくとも2つが、アルケニルである。
【0067】
LSRまたはLIM系の「B」成分は、1分子当たり少なくとも2つのシリコン結合水素原子含有し、1種または複数種のポリシロキサンを含み、その押出速度は約500g/分未満である。この水素は、分子鎖末端に、分子鎖のペンダント位に、またはその両方に結合することができる。他のシリコン結合基は、非アルケニル置換および無置換の一価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのアルキル基、フェニル、トリル、キシリルなどのアリール基、ベンジルやフェネチルなどのアラルキル基、3−クロロプロピルや3,3,3−トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基によって例示される有機基である。例示的な置換基は、メチルおよびフェニル基である。
【0068】
水素含有ポリシロキサン成分は、直鎖、部分的に枝分かれしている直鎖、枝分かれ鎖、環状、網目分子構造を有することができるが、例示した分子構造を有するポリシロキサンからの2種またはそれ以上の選択の混合物であってもよい。この水素含有ポリシロキサンは、トリメチルシロキシで末端ブロックされたメチル水素シロキサン、トリメチルシロキシで末端ブロックされたジメチルシロキサン−メチル水素シロキサン共重合体、トリメチルシロキシで末端ブロックされたメチル水素シロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシで末端ブロックされたジメチルシロキサン−メチル水素シロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチル水素シロキシで末端ブロックされたジメチルポリシロキサン、ジメチル水素シロキシで末端ブロックされたメチル水素ポリシロキサン、ジメチル水素シロキシで末端ブロックされたジメチルシロキサン−メチル水素シロキサン共重合体、ジメチル水素シロキシで末端ブロックされたジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、およびジメチル水素シロキシで末端ブロックされたメチルフェニルシロキサンによって例示される。
【0069】
この水素含有ポリシロキサン成分は、組成物の硬化に十分な量で、具体的には、アルケニル含有ポリシロキサン中のアルケニル基1つ当たり約0.5〜約10個のシリコン結合水素原子の量で添加する。
【0070】
シリコーン組成物は、硬化を促進させるために、一般に成分「A」の一部として、白金などの触媒をさらに含む。ヒドロシリル化反応触媒として知られる白金および白金化合物、例えば、白金黒、アルミナ担持白金(platinum−on−alumina)粉末、シリカ担持白金(platinum−on−silica)粉末、炭素担持白金(platinum−on−carbon)粉末、ヘキサクロロ白金(IV)酸、ヘキサクロロ白金(IV)酸白金−オレフィン錯体のアルコール溶液、白金−アルケニルシロキサン錯体、およびメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリスチレン、シリコーンなどの熱可塑性樹脂中の上述のような白金添加−反応触媒の分散体の微粒子化によって提供される触媒を使用することができる。触媒の混合物を使用することもできる。本組成物の硬化に有効な触媒の量は、一般に、アルケニルと水素成分とを合わせた量に基づき、白金金属の0.1〜1,000ppm(重量で)ある。
【0071】
この組成物は、約1000センチポイズ以下、特別には約750センチポイズ以下、より特別には約600センチポイズ以下、最も特別には約500センチポイズ以下の粘度を有する1種または複数種のポリシロキサン流体を任意選択でさらに含む。ポリシロキサン流体は、約100センチポイズ以上の粘度を有することもできる。ポリシロキサン流体は、組成物の粘度を減少させる目的で添加し、それにより充てん剤の使用量の増大、充てん剤の濡れの改善、および充てん剤の分布の改善のうち少なくとも1つが可能となり、抵抗および抵抗率の値がより小さい硬化組成物が生じる。ポリシロキサン流体成分を使用すると、抵抗値の温度依存性を低減させること、および/または抵抗および抵抗率の値の時間変化を低減させることができる。ポリシロキサン流体成分を使用すると、流体を取り除くための処理中の余分なステップの必要性、ならびに使用時の希釈剤の可能性のあるガス放出および移動がなくなる。ポリシロキサン流体は、組成物の硬化反応、すなわち付加反応を抑制すべきではないが、硬化反応に関与してもしなくてもよい。
【0072】
非反応性ポリシロキサン流体は、約500°F(260℃)を超える沸点を有し、枝分かれしていても、または直鎖状であってもよい。非反応性ポリシロキサン流体は、置換および無置換の一価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのアルキル基;フェニル、トリル、キシリルなどのアリール基;ベンジルやフェネチルなどのアラルキル基;3−クロロプロピルや3,3,3−トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基によって例示されるシリコン結合非アルケニル有機基を含む。例示的な置換基は、メチルおよびフェニル基である。したがって、非反応性ポリシロキサン流体は、R3SiO1/2およびSiO4/2単位、RSiO3/2単位、R2SiO2/2およびRSiO3/2単位、あるいはR2SiO2/2、RSiO3/2およびSiO4/2単位を含むことができ、Rは、アルキル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、アリール、フェニル、トリル、キシリル、アラルキル、ベンジル、フェネチル、ハロゲン化アルキル、3−クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピルからなる群から選択される置換および無置換の一価炭化水素基である。非反応性ポリシロキサンは流体で、かなり高い沸点(約230℃(500°F)を超える)を有するため、より多くの充てん剤の取込みを可能にするが、移動もガス放出もしない。非反応性ポリシロキサン流体の例として、Dow Corning Corporation製のDC200が挙げられる。
【0073】
反応性ポリシロキサン流体は、アルケニル含有ポリシロキサンと共に共硬化し、ポリシロキサンは少なくとも2つのシリコン結合水素原子を有するため、それら自体がアルケニル基またはシリコン結合水素原子を含有することができる。このような化合物は、アルケニル含有ポリシロキサンに関し上述の構造と同じ構造を有することができ、ポリシロキサンは少なくとも2つのシリコン結合水素原子を有するが、加えて、約1000センチポイズ(cps)以下、特別には約750センチポイズ以下、より特別には約600センチポイズ以下、最も特別には約500センチポイズ以下の粘度を有する。一実施形態において、反応性ポリシロキサン流体は、付加硬化反応の硬化温度を超える沸点を有する。
【0074】
ポリシロキサン流体成分は、より多くの導電性充てん剤の添加、取込みおよび濡れを可能にするために有効な量、ならびに/あるいは導電性粒子の取込みを容易にする、例えば、デタングリング(detangling)および/または分散を容易にするために有効な量で存在する。一実施形態においては、1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有するポリシロキサンと、組成物の硬化に有効な量で少なくとも2つのシリコン結合水素原子を有するポリシロキサンと、触媒とを合わせた量の100重量部当たり約5〜約50重量部の量で、ポリシロキサン流体成分を組成物に添加する。ポリシロキサン流体成分の量は、特別には約5重量部以上、より特別には約7.5重量部以上、さらにより特別には約10重量部以上の量である。また、1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有するポリシロキサンと、組成物の硬化に有効な量で少なくとも2つのシリコン結合水素原子を有するポリシロキサンと、触媒とを合わせた量の約50重量部以下、より特別には約25重量部以下、より特別には約20重量部以下のポリシロキサン流体成分が望ましい。
【0075】
シリコーン発泡体は、硬化性シリコーンゲル配合物を任意選択でさらに含むことができる。シリコーンゲルは、軽く架橋した流体または硬化不足の(under−cured)エラストマーである。それらシリコーンゲルは、非常に軟らかく粘着性である状態から、適度に軟らかく触るとわずかに粘り気がある状態までの範囲に及ぶという点で独特である。ゲル配合物を使用すると、組成物の粘度が低下し、それにより充てん剤の使用量の増大、充てん剤の濡れの改善、および/または充てん剤の分布の改善のうち少なくとも1つが可能となり、それにより抵抗および抵抗率の値がより小さく軟らかさが増大した硬化組成物が生じる。適切なゲル配合物は、二液性の硬化性配合物であっても、または一液性の配合物であってもよい。二液性の硬化性ゲル配合物の成分は、LSR系について上で説明した成分(すなわち、1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンおよび1分子当たり少なくとも2つのシリコン結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン)と類似している。主な違いは、充てん剤が存在しないこと、およびアルケニル基に対するシリコン結合水素原子基(Si−H)のモル比が通常1未満で、硬化ゲルのゆるみおよび軟らかさを有する「硬化不足の」ポリマーが生じるように変えることができることにある。具体的には、アルケニル基に対するシリコン結合水素原子の比が約1.0以下、特別には約0.75以下、より特別には約0.6以下、最も特別には約0.1以下である。適切な二液性シリコーンゲル配合物の例は、Dow Corning Corporationから市販されているSYLGARD(登録商標)527ゲルである。
【0076】
シリコーン発泡体は、下部キャリアのみを用いてキャストおよび加工を行うことも、あるいは上述のように下部キャリアも上部キャリアも用いてキャストおよび加工を行うこともできる。
【0077】
整列している導電性粒子が存在すると、より低い濃度の導電性充てん剤を用いて優れた導電性を有するポリマー発泡体の作製が可能となる。より低い濃度の使用により、物理的性質、特に圧縮永久ひずみおよび/または軟らかさが向上した発泡体が生じる。これらの特性により、ガスケット材料、電気接地パッド(electrical grounding pad)、電池接点用導電性バネ素材(battery contact conductive spring elements)など様々な物品として、特に電磁および/またはRFシールドあるいは静電気散逸性が望まれる場合にポリマー発泡体を使用することが可能となる。導電性と共に封止、衝撃吸収性および/またはクッション性が望まれる場合に、これらの材料を使用することができる。導電性充てん剤も熱伝導性を有する場合、または導電性でも熱伝導性でもある充てん剤が存在する場合には、発泡体層を使用して熱伝導性を提供することもできる。一実施形態においては、熱伝導性を有する層を提供するために、(導電性充てん剤の代わりに)熱伝導性充てん剤を使用することができる。
【0078】
導電性発泡体は、導電層(例えば、銅箔)およびパターン化非導電性接着剤の有無にかかわらず使用することもできる。公知のように、非導電性接着剤が、導電性接着剤と比較してはるかに低コストであるため望ましい。上記物品構成により、より安価な接着剤の使用と共に発泡体層と導電層との間の電気的接続が可能となる。別の実施形態においては、硬化ポリマー発泡体の配合物を、ポリマー発泡体に接着性を提供するために公知の手段によって調節する。導電性発泡体接着剤を実現することができる。
【0079】
これらの物品は、携帯電話、携帯情報端末(personal digital assistants)、コンピュータ、医療器具、カセットやDVD(digital versatile disk)プレーヤー等の電気製品、金属シートおよび金属メッシュのみが使用される他の商業製品等の様々な用途に使用可能である。他の用途としては、自動車、船、航空機などが挙げられる。
【0080】
整列している導電性粒子を使用すると、100psiの圧力において約10-3ohm−cm〜約103ohm−cmの体積抵抗率を有する導電性ポリマー発泡体の製造が可能となる。この範囲内であれば、体積抵抗率は、約102以下であっても、より特別には約10以下であっても、最も特別には約1以下であってもよい。
【0081】
一実施形態においては、ポリマー発泡体は、約50デシベル(dB)以上、特別には約70dB以上、さらにより特別には約80dB以上の量で電磁シールドを提供する。電磁シールドを測定する1つの方法は、MIL−G−83528Bに記載されている。
【0082】
特定の一実施形態においては、ポリマー発泡体の体積抵抗率は約1以下で、電磁シールドは約80dB以上である。
【0083】
別の実施形態においては、発泡体は少なくとも以下の特性:約0.007〜約10.5kg/cm2(約0.1〜約150psi)の25%圧縮力たわみ(CFD);約20%以上の破断伸び;約30%以下の圧縮永久ひずみ(50%);および約1〜約125pcfのかさ密度を有する。
【0084】
圧縮力たわみ(CFD)に反映される弾性率を、1ロットまたは1行程当たり2つのスタックを用いて最低0.6センチメートル(0.250インチ)、通常約0.9センチメートル(0.375インチ)まで積層した5×5センチメートルの打ち抜きサンプルと、インストロン試験機の底部に取り付けた9090kg(20,000ポンド)のセルを用いてインストロン試験機で決定する。ASTM D1056に従って、サンプルを元の厚さの25%まで圧縮するために必要となる力をポンド/平方インチ(psi)で算出することによって、CFDを測定した。
【0085】
20キログラム(50ポンド)のロードセルを取り付けたインストロン試験機を用い、また厚さおよび密度に応じて4.5〜9.0キログラムの範囲を用いて引張強さおよび伸びを測定する。破断時のキログラム/平行センチメートル(kg/cm2)で表される力の量をサンプルの厚さで割って2を乗じて引張強度を算出する。伸びをパーセント伸長(percent extension)として報告する。
【0086】
発泡体中のセルの平均直径が発泡体層の厚さに近いとき、即ち、1つのセルが発泡体の第一の表面および反対側の第二の表面の間の距離にまで広がったときに、ブローされた発泡体において導電性の改善が達成されることがわかった。理論に束縛されないが、Z方向におけるセルの直径が発泡体の厚さに近いときに、連通したカラムが容易に達成されるはずである。また、理論に束縛されないが、ブロー中にセル支柱(cell struts)が形成されることによって、粒子がセル間の支柱へ集まって配向し、発泡体に導電性を付与するカラムが形成されるはずである。一実施形態においては、各カラムが、他の粒子チェーンとは互いに孤立している粒子の単一のチェーンからなる。各チェーンが2〜12個、特別には3〜8個の導電性粒子からなる場合に、優れた導電性が実現される。
【0087】
発泡体に優れた機械的性質、特に発泡シートに対する優れた封止性を提供するために、発泡体のセル直径は約20〜約500マイクロメートル、好ましくは約20〜約300マイクロメートルである。したがって、発泡体の最適なセル直径は、発泡シートの所望の厚さと望まれる封止能との間のバランスということになる。
【0088】
例示的なものであって限定的ではない以下の実施例では、本明細書中で説明した電磁シールド性および/または静電気散逸性および/または導電性を有するポリマー発泡体の様々な諸実施形態の一部の組成物および作製方法を説明する。
【0089】
〔実施例〕
以下の試験を使用して導電率を決定した。公知のように、体積抵抗率および静電シールドについての個々の値は、その個々の試験方法および条件に依存することになる。例えば、試験中にサンプルにかかる圧力に伴って体積抵抗率およびシールド効果が変化することがあることが知られている。以下のサンプルの体積抵抗率を測定するために有用な電気器具および試験装置は以下のとおりである。装置は、金板2.5cm×2.5cm(1インチ×1インチ)方形の電気接点を有する特注のプレスである。この装置には、オペレータがサンプルの表面に加わる力を制御し調節することを可能にするデジタルフォースゲージが装備されている。電源は、サンプル表面に0〜2アンペア供給することができる。サンプルを通しての電圧降下およびオームは、HP34420A Nano Volt/Micro Ohmmeterを用いて測定する。装置の電子部品を暖機してもよく、HP34420Aの場合、内部較正チェックを行う。試料を、試験環境の条件まで24時間平衡に保ってもよい。適切な試験環境は、室温23℃(70°F)で相対湿度50%(%RH)である。被検サンプルを、試験装置のプラテン間に設置し、表面に荷重を印加する。印加する荷重は被検サンプルの種類に依存し、軟質発泡体は小さい荷重を用いて試験するが、固形物は約63,279〜約210,930キログラム/平方メートル(90〜300ポンド/平方インチ)の荷重範囲を用いて試験する。荷重を印加したら、サンプルに電流を流し、サンプル厚さを通しての電圧降下を測定する。適切な試験には、0.5、1.0、1.6および2.0アンペアの4つの異なるアンペア設定における測定が含まれる。導電性複合体については、4つのアンペア設定すべてについて結果として得られる計算した体積抵抗率が類似している。体積抵抗率についての計算は、以下のとおりである:
体積抵抗率(ohm−cm)=(E/I)*(A/T)
式中、E=電圧降下(V)、I=電流(アンペア)、A=面積(cm2)、T=厚さ(cm)である。
【0090】
矩形サンプルを切断し、銀塗料で端部を被覆し、塗料を乾燥させ、電圧計を使用して抵抗測定を行うことによって、エラストマーサンプルについて体積抵抗率測定を同様に行う。
【0091】
一連の発泡体は、ダウコーニング製の2つの異なるシリコーン樹脂配合物において、100%ニッケル(「Ni」)およびステンレス鋼被覆ニッケル(「Ni−ss」)球により調製された。試験1〜4では、磁場(750ガウス、1分間)をかけた。試験5では、磁場をかけなかった。条件および特性を表1に示した。
【0092】
【表1】

【0093】
表1の発泡体組成物は、約500〜800μmの層厚で、良好な導電率を示している。驚くべきことに、発泡体層を磁場に曝さなかった試験5においても意味のある導電率が観察された。試験5の体積抵抗率は、磁場に曝された比較される層(試験1および2)の体積抵抗率の約2倍であった。
【0094】
本明細書中で使用する用語「第一」および「第二」などは、順序、量または重要性を示すもののではなく、ある要素を別の要素と区別するために使用する。用語「a」および「an」は量の限定を示すものではなく、参照する品目が少なくとも1つ存在することを示す。量に関連して使用する修飾語句「約」は、表示した値を含み、文脈によって決まる意味を有する(例えば、特定の量の測定に関連する誤差の程度を含む)。本明細書中に開示されるすべての範囲が、表示した終点を含み、独立に組み合わせわせ可能である。すべての引用文献は、参照によりそれら全体が本明細書中に援用される。
【0095】
例示的な実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることができ、また本発明の要素を等価物で置き換えることができることが当業者には理解されよう。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく本発明の教示に特定の状況または材料を適合させるために、多くの改良を加えることができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図された最良の形態として開示されている特定の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本明細書に記載の導電性ポリマー発泡体の一例の概観図である。
【図2】本明細書に記載の製造された導電性ポリマー発泡体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図3】本明細書に記載の製造された導電性ポリマー発泡体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図4】本明細書に記載の製造された導電性ポリマー発泡体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブローされたポリマー発泡体層であって、
第一の表面および反対側の第二の表面と;
前記ポリマー発泡体層の前記第一の表面および前記反対側の第二の表面の間にある複数のセルであって、前記第一の表面および前記反対側の第二の表面の間の前記ポリマー発泡体層の厚みが、前記複数のセルの平均高さの1.0〜1.5倍であるセルと;
前記ポリマー発泡体層の前記第一の表面と前記反対側の第二の表面との間で本質的に連続的に前記発泡体の橋渡しをする複数のカラムへと整列された複数の導電性粒子と
を含む層。
【請求項2】
前記第一の表面および前記反対側の第二の表面の間にある前記ポリマー発泡体層の厚みが、前記複数のセルの平均高さの1.0〜1.4倍である請求項1に記載の層。
【請求項3】
前記導電性粒子が、ニッケル、銀、金、銅、アルミニウム、コバルト、鉄、鉄、ニッケル、またはこれらの金属の少なくともひとつを含む組み合わせである請求項1に記載の層。
【請求項4】
前記粒子が、ニッケル、銀、またはニッケルと銀との組み合わせである請求項1に記載の層。
【請求項5】
前記粒子が、ニッケル被覆鉄粒子、銀被覆ニッケル粒子、またはこれらの粒子の少なくともひとつを含む組み合わせである請求項1に記載の層。
【請求項6】
前記導電性粒子を2〜30体積%含む請求項1に記載の層。
【請求項7】
前記導電性粒子の平均直径が、20〜300μmである請求項1に記載の層。
【請求項8】
各カラムが、2〜12個の導電性粒子の孤立したチェーンで構成されてなる請求項1に記載の層。
【請求項9】
各カラムが、3〜8個の導電性粒子を有する孤立したチェーンで構成されてなる請求項1に記載の層。
【請求項10】
前記粒子が、前記ポリマー発泡体の表面から突出していない請求項1に記載の層。
【請求項11】
前記ポリマー発泡体が、ポリウレタン発泡体、シリコーン発泡体、またはこれらの発泡体の少なくともひとつを含む組み合わせである請求項1に記載の層。
【請求項12】
前記ポリマー発泡体層が、約50dB以上の電磁気シールド能を有する請求項1に記載の層。
【請求項13】
前記ポリマー発泡体層が、圧力689キロパスカルにおいて約10-3ohm−cm〜約103ohm−cmの体積抵抗率を有する請求項1に記載の層。
【請求項14】
前記ポリマー発泡体層が、ASTM1056に従って測定された25%撓みにおいて、約70〜約10500kg/m2の圧縮力撓み値を有する請求項1に記載の層。
【請求項15】
前記発泡体が、化学的にブローされた請求項1に記載の層。
【請求項16】
ポリマー発泡体層を作製する方法であって、
第一の表面および反対側の第二の表面を持つ層を形成するステップであって、前記層が、
ポリマー発泡体前駆体組成物と
複数の導電性粒子を含有するフィラー組成物と
を含むステップと;
前記発泡体前駆体組成物を発泡させて、前記層中に複数のセルを形成し、前記導電性粒子を、前記前記層の前記第一の表面と前記反対側の第二の表面との間の複数のカラムへと整列させるステップと;
前記発泡された層を硬化するステップであって、前記硬化された層の厚みが、前記硬化された層中の前記複数のセルの平均高さの1.0〜1.5倍であるステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記発泡物が、第一のキャリア支持体の上にキャストされる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第一のキャリア支持体の反対側の前記発泡物の上に、第二のキャリア支持体を配置するステップをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第二のキャリア支持体を配置した後に、前記発泡物をブローするステップをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
シリコーン発泡体を作製する方法であって、
ハイドライド置換基を有するポリシロキサンポリマー、発泡剤、白金系触媒、および複数の導電性粒子を含有する充填剤組成物を含有する混合物を押し出すステップと;
前記混合物をブローおよび硬化して、前記導電性粒子を、前記発泡体の第一の表面と反対側の第二の表面との間で本質的に連続的に前記発泡体の橋渡しをする複数のカラムへと整列させるステップであって、前記発泡体の厚みが、前記硬化された層中の前記複数のセルの平均高さの1.0〜1.5倍であるステップと
を含む方法。
【請求項21】
ポリマー発泡体を作製する方法であって、
ハイドライド置換基を有するポリシロキサンポリマー、発泡剤、白金系触媒、および複数の導電性粒子を含有する組成物を、モールドまたは連続被覆ラインに輸送および/またはキャストするステップと;
前記組成物を発泡させて、第一の表面および反対側の第二の表面を有する発泡体を得て、前記導電性粒子を、前記発泡体の前記第一の表面と前記反対側の第二の表面との間で本質的に連続的に前記発泡体の橋渡しをする複数のカラムへと整列させるステップであって、前記発泡体の厚みが、前記硬化された層中の前記複数のセルの平均高さの1.0〜1.5倍であるステップと
を含む方法。
【請求項22】
請求項1に記載の発泡体層を含む物品。
【請求項23】
電磁気シールド用のガスケット、接地パッド(electrical grounding pad)、または電池接点用導電性バネ素材(battery contact conductive spring elements)の形状を有する請求項22に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−518227(P2010−518227A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549093(P2009−549093)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/001563
【国際公開番号】WO2008/097570
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(509037606)ワールド プラパティーズ、 インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】WORLD PROPERTIES, INC.
【Fターム(参考)】