説明

導電性ローラ

【課題】 電気的特性が均一で充分な帯電能力を有し、直流電圧のみを印加し、前露光手段を具備しなくても、感光体を均一に帯電し、ゴースト画像などの画像不良の無く、長期の使用にわたってリークやローラ表面の汚れによる帯電不良の無い、帯電ローラとして好適な導電性ローラの提供。
【解決手段】 芯金とその外周に設けられた少なくとも1層以上からなる弾性体層を有する弾性ローラにおいて、その弾性体層がエチレンオキサイド含有量が60〜90mol%のエピハロヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体ゴムを含む高分子組成物からなり、前記高分子組成物の破断エネルギーが10N・m以下であることを特徴とする導電性ローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置において感光体に当接してして使用される導電性ローラに関するものである。
【0002】
尚、以下、特に導電性ローラの一例として、帯電ローラについてその詳細を記載するが、本発明は、その用途を帯電ローラのみに限定する物ではない。
【背景技術】
【0003】
複写機や光プリンタ等の電子写真装置、静電記録装置等の画像形成装置において、感光体や誘電体等の像担持体面を帯電処理する手段として、近年では接触帯電方式が採用されている。接触帯電方式においては、電圧を印加した帯電する部材(帯電部材とも記載する)を、被帯電体面に近接または接触させて、被帯電体面を帯電処理するもので、一般的には、金属製芯金の軸上に半導電性の弾性体層が形成されたゴムローラ型の帯電ローラが使用される。
【0004】
接触帯電方式で用いられる帯電ローラの弾性体層には、感光体等の被帯電体表面のピンホールや傷などにより生じるリークを防止するために、適度な半導電性が必要である。また、被帯電体を均一に帯電させるためには、帯電部材の電気抵抗値が体積固有抵抗率で1×10〜1×10Ω・cm程度の均一な半導電性であることが重要である。そして、この様な電気特性を実現するために、従来、カーボンブラック等の導電粒子が配合され半導電化された電子導電系の半導電性ゴム組成物を用いて、弾性体層を作製してきた。
【0005】
しかしながら、この様な電子導電系ゴム組成物は原料ゴムに配合するカーボンブラック等の導電粒子の添加量によって、電気抵抗を調整することができるものの、体積固有抵抗率が1×10〜1×10Ω・cmの半導電領域においては、導電粒子の配合量の僅かな変化により、電気抵抗が大きく変化する場合があり、半導電領域において均質な所望の電気抵抗値を示す弾性体層を作製することが困難で、帯電部材内および帯電部材間で電気抵抗のバラツキが生じやすいといった問題がある。
【0006】
電気抵抗が均一なゴム組成物を得る手法としては、エピクロルヒドリンゴムやNBR等のそれ自身が半導電性を有する極性ゴムを使用する、或いは原料ゴムにイオン導電剤を添加して半導電性を付与する等のイオン導電系ゴムにより、弾性体層を構成することが知られている。
【0007】
イオン導電系ゴムを弾性体層に使用したゴムローラの成形方法としては未加硫の半導電性ゴム組成物を押出機によりチューブ状に押出成形し、これを加硫缶等で加硫成形したものに芯金を圧入後、表面を研磨して所望の外径とする方法;未加硫の半導電性ゴム組成物をクロスヘッドを装着した押出機により、芯金を中心に円筒形に共押出し、これを熱風炉等で加硫成形後に表面を研磨して所望の外径とする方法等が挙げられ、芯金上に弾性体層の加硫成形物を形成した後、研磨加工によって所望の外径に成形する事が一般的に行われている。
【0008】
また、従来、ローラ帯電方式においては、所望の被帯電体表面電位Vdに相当する直流電圧(DC電圧)に帯電開始閾値(Vth)の2倍以上のピーク間電圧を持つ交流電圧成分(AC電圧成分)を重畳した電圧を接触帯電部材に印加する、いわゆる「AC/DC帯電方式」が用いられてきた。(例えば、特許文献1参照) これは、AC電圧による電位のならし効果により、被帯電体の電位がAC電圧のピークの中央である電位Vdに収束し、帯電が環境などの外的状況には影響されることのない優れた接触帯電方法である。
【0009】
しかしながら、上記公報に開示された方法では、直流電圧印加時における帯電開始電圧(Vth)の2倍以上のピーク間電圧である高圧の交流電圧を重畳させるため、直流電源とは別に交流電源が必要となり、装置自体のコストアップを招く。さらには、交流電流を多量に消費することにより、帯電ローラおよび電子写真感光体の耐久性が低下するという問題点があった。よって、最近では帯電ローラへの印加電圧を直流電圧のみとして帯電を行うことが行われてきている。
【0010】
さらに、従来は帯電プロセスの上流に、LEDチップアレイ、ヒューズランプ、ハロゲンランプおよび蛍光ランプなどを使用した前露光手段により、像転写後の電子写真感光体表面の残留電荷を除去する前露光手段を設けていた。しかしながら、近年、電子写真装置の小型化や低価格化の要求が大きくなり、この前露光手段を採用せずに画像形成を行うことも求められている。
【0011】
ところが、前述のように帯電ローラに直流電圧のみを印加して被帯電体の帯電処理を行う場合や前露光操作を行わない場合、被帯電体である感光体の表面電位と感光体の帯電1周目、帯電2周目以降の飽和電位(暗部電位VD)との間に、電位差(VD1とVD2の差)が生じ、例えば反転現像方式の場合、文字や黒い図形などを潜像形成した直後に連続してハーフトーン画像を出力すると、このハーフトーン画像上に前記の文字や黒い図形などが微かに残像してしまう現象(ゴースト画像)が顕著に現れるという問題が生じる。
【0012】
ゴースト画像を解決する手段としては帯電ローラの電気抵抗を低くし、帯電能力を上げる事が知られている。電気抵抗が均一なイオン導電系ゴムを用いて低抵抗化を実現する手段としては、エチレンオキサイド含有量が多いヒドリンゴムを用いた単一層からなる導電性ローラが提案されている。(例えば、特許文献2、特許文献3参照)
しかしながら、エチレンオキサイド含有量を多くした場合、ローラ成形時の研磨加工において、弾性体層の研削性が悪化し、ローラ表面の表面粗さが大きくなることが判明した。そして、この表面粗さの大きい帯電ローラを使用した場合、長期の使用中にローラ表面がトナー等により汚れ、帯電不良を起こすといった問題が生じた。
【特許文献1】特開昭63−149668号公報
【特許文献2】特開2003−64251号公報
【特許文献3】特開2000−63656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は電気的特性が均一で充分な帯電能力を有し、直流電圧のみを印加し、前露光手段を具備しなくても、感光体を均一に帯電し、ゴースト画像などの画像不良の無く、長期の使用にわたってリークやローラ表面の汚れによる帯電不良の無い、帯電ローラとして好適な導電性ローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明者は上記課題について鋭意検討した結果、帯電ローラの弾性体層をエチレンオキサイド含有量が60〜90mol%のエピハロヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体ゴムを含む高分子組成物とし、この組成物の破断エネルギーを10N・m以下とすることで、弾性体層の研削性が悪化せずにローラの表面粗さが増大することなく、低電気抵抗の導電性ローラが得られる事を見出した。
【0015】
また、このような導電性ローラの弾性体層としては、加硫剤として硫黄を一定量配合する事や、重質炭酸カルシウムを比較的大量に配合したゴム組成物によって構成することで達成することが出来る。
【0016】
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0017】
(1)芯金とその外周に設けられた少なくとも1層以上からなる弾性体層を有する弾性ローラにおいて、その弾性体層がエチレンオキサイド含有量が60〜90mol%のエピハロヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体ゴムを含む高分子組成物からなり、前記高分子組成物の破断エネルギーが10N・m以下であることを特徴とする導電性ローラである。
【0018】
(2)弾性体層が、原料ゴム成分100質量部に対して、加硫剤として硫黄が0.5〜5質量部配合された未加硫ゴムを加硫したものである上記(1)の導電性ローラである。
【0019】
(3)弾性体層が、原料ゴム成分100質量部に対して、重質炭酸カルシウムを45〜150質量部配合されている上記(1)または(2)の導電性ローラである。
【0020】
(4)芯金上に弾性体層を成形した後、その表面を研磨加工した上記(1)乃至(3)いずれかの導電性ローラである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、芯金とその外周に設けられた少なくとも1層以上からなる弾性体層を有する弾性ローラにおいて、その弾性体層がエチレンオキサイド含有量が60〜90mol%のエピハロヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体ゴムを含む高分子組成物から構成し、前記高分子組成物の破断エネルギーを10N・m以下とすることにより、電気的特性が均一で充分な帯電能力を有し、ゴースト画像などの画像不良の無く、長期の使用にわたってローラ表面の汚れによる帯電不良の無い、帯電ローラとして好適な導電性ローラを提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0023】
図2には、本発明の弾性部材を有する電子写真装置の概略構成を示す。21は被帯電体としての電子写真感光体であり、本例の電子写真感光体は、アルミニウムなどの導電性を有する支持体21bと、支持体21b上に形成した感光層21aを基本構成層とするドラム形状の電子写真感光体である。軸21cを中心に図上時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。
【0024】
1は、電子写真感光体21に接触配置されて電子写真感光体を所定の極性・電位に帯電(一次帯電)する帯電ローラである。帯電ローラ1は、芯金11と、芯金11上に形成した弾性層12と、弾性層12上に形成した表面層13からなり、芯金11の両端部を不図示の押圧手段で電子写真感光体21の回転駆動に伴い従動回転する。
【0025】
電源23で摺擦電源23aにより、芯金11の所定の直流(DC)バイアス、あるいは直流+交流(DC+AC)バイアスが印加されることで電子写真感光体21が所定の極性・電位に接触帯電される。帯電ローラ1で周面が帯電された電子写真感光体21は、次いで露光手段24により目的画像情報の露光(レーザービーム走査露光、原稿画像のスリット露光など)を受けることで、その周面に目的の画像情報に対した静電潜像が形成される。
【0026】
その静電潜像は、次いで、現像部材25により、トナー画像として順次に可視像化されていく。このトナー画像は、次いで、転写手段26により不図示の給紙手段部から電子写真感光体21の回転と同期取りされて適正なタイミングをもって電子写真感光体21と転写手段26との間の転写部へ搬送された転写材27に順次転写されていく。本例の転写手段26は転写ローラであり、転写材27の裏からトナーと逆極性の帯電を行うことで電子写真感光体21側のトナー画像が転写材27に転写されていく。
【0027】
表面にトナー画像の転写を受けた転写材27は、電子写真感光体21から分離されて不図示の定着手段へ搬送されて像定着を受け、画像形成物として出力される。あるいは、裏面にも像形成するものでは、転写部への再搬送手段へ搬送される。
【0028】
像転写後の電子写真感光体21の周面は、前露光手段28による前露光を受けて電子写真感光体ドラム上の残留電荷が除去(除電)される。この前露光手段28には公知の手段を利用することができ、例えばLEDチップアレイ、ヒューズランプ、ハロゲンランプおよび蛍光ランプなどを好適に例示することができる。
【0029】
除電された電子写真感光体21の周面は、クリーニング部材29で転写残りトナーなどの付着汚染物の除去を受けて洗浄面化されて、繰り返して画像形成に供される。
【0030】
帯電ローラ1は面移動駆動される電子写真感光体21に従動駆動させてもよいし、非回転にしてもよいし、電子写真感光体21の面移動方向に順方向または逆方向に所定の周速度をもって積極的に回転駆動させるようにしてもよい。
【0031】
また、露光は、電子写真装置を複写機として使用する場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、原稿を読み取り信号化し、この信号に基づいてレーザービームを走査したり、LEDアレイを駆動したり、または液晶シャッターアレイを駆動したりすることなどにより行われる。
【0032】
本発明の導電性ローラを使用しうる電子写真装置としては、複写機、レーザービームプリンター、LEDプリンター、あるいは、電子写真製版システムなどの電子写真応用装置などが挙げられる。
【0033】
本発明の導電性ローラは、帯電ローラなどの帯電部材以外に、現像部材、転写部材、除電部材や、給紙ローラなどの搬送部材としても使用可能である。
【0034】
本発明の導電性ローラは芯金と、その外周に設けられた弾性体層により構成される。
【0035】
弾性体層は23℃ 50%RH環境下で測定した体積抵抗率が2×10Ω・cm以下であることが好ましい。体積抵抗率が2×10Ω・cmの場合、感光体表面の帯電能力が不充分で、前露光が無い電子写真プロセスにおいては、転写プロセスを通過した後の感光体表面の帯電電位差を帯電プロセスで均一な表面電位にすることが出来ず、ゴースト画像が発生する。
【0036】
弾性層の電気抵抗を1×10Ω以下とする具体的な手段としては、弾性体層を形成する材料をエチレンオキサイド含有量が60〜90mol%のエピハロヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体ゴム共重合体ゴムを含む高分子組成物によって構成する。
【0037】
エチレンオキサイド含有量が60mol%未満では、充分な低抵抗が出来ず、90mol%超では抵抗低減効果が飽和してしまう上に、硬度・電気抵抗の環境依存性が極端に大きくなり、圧縮永久歪みも悪化するという問題がある。
【0038】
弾性体層の圧縮永久歪みが悪化すると、長期間感光体と帯電ローラを圧接した場合にローラが永久変形をおこし、ニップ部からの過剰電流により異常画像が生じる、あるいは変形部分がローラ回転時に感光体に不均一に当接するため帯電ムラを起こし、画像不良を引き起こすなどの問題が発生する。
【0039】
エピハロヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体ゴムとしては、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体ゴム、エピブロモヒドリン−アリルグリシジルエーテル三元共重合体ゴム共重合体ゴム等が挙げられ、中でも、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体ゴム共重合体ゴムが好ましい。
【0040】
第三成分のアリルグリシジルエーテルの含有量は1mol%以上であることが好ましい。アリルグリシジルエーテルの含有量が1mol%未満では加硫より形成される架橋の密度が無充分で弾性体層の破断エネルギーを小さくする事が出来ない。
【0041】
弾性体層の原料ゴムとしては上記のエピハロヒドリン―エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体の他に、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の水素添加物(H−NBR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、ウレタンゴム(U)等のイオン導電系の原料ゴム1種或いは2種以上をブレンドして使用することも可能である。
【0042】
弾性体層は加硫剤として硫黄を配合することが好ましい。硫黄を加硫剤としてヒドリンゴムのアリルグリシジルエーテルの不飽和結合間で架橋反応させる事により、弾性体層の破断エネルギーを小さくし、研削性を向上させることが出来る。硫黄配合量は原料ゴム成分100質量部に対して0.5〜5質量部の範囲であることが好ましい。硫黄配合量が0.5質量部未満では密度が無充分で弾性体層の破断エネルギーを小さくする事が出来ない。また、硫黄配合量が5質量部超では、弾性体層の硬度が著しく上昇し、感光体に導電性ローラを当接した場合に均一なニップを得る事が出来ず帯電不良を引き起こす恐れがある。
【0043】
また、弾性体層には充填剤として重質炭酸カルシウムを、原料ゴム成分100質量部に対して45〜150質量部配合することが好ましい。重質炭酸カルシウムはゴムへの補強性が小さく、比較的多量に配合しても、弾性体層の硬度を低く設定できる。充填剤として重質炭酸カルシウムを多量配合する事で弾性体層の研削性が向上し、ローラの表面粗さを小さく出来る。重質炭酸カルシウムの配合量が45質量部未満では充分な効果が得られず、150質量部超では弾性体層の硬度が高くなりすぎ、好ましくない。
【0044】
弾性体層はゴム材料の電気抵抗と環境依存性を低減する為に、イオン導電剤を含有することが好ましい。イオン導電剤としては、例えば、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウムなどの無機イオン物質や、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルプロピルアンモニウムブロミド、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェートなどの陽イオン性界面活性剤や、ラウリルベタイン、ステアリルべタイン、ジメチルアルキルラウリルベタインなどの両性イオン界面活性剤や、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸トリメチルオクタデシルアンモニウムなどの第四級アンモニウム過塩素酸塩や、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムなどの有機酸リチウム塩などが挙げられる。
【0045】
特に好ましいイオン導電剤としては、以下の化学式(1)で表されるイオン導電剤である。
【0046】
【化1】

(式中、R1、R2、R3のうち1個は炭素数5〜24のアルキル基、他はそれぞれ独立して炭素数が1〜5のアルキル基、n1は1〜15の整数である。)
上記のイオン導電剤は分子内にエチレンオキサイドユニットを有しており、エチレンオキサイド含有量が高いエピハロヒドリンゴムとの相溶性が良好で、イオン導電剤のローラ表面への移行による感光体汚染を防止することが出来る。
【0047】
イオン導電剤の配合量は原料ゴム100質量部に対して0.1〜4質量部の範囲である事が好ましい。イオン導電剤の配合量が0.1質量部未満では電気抵抗の低減効果が得られず、4質量部超の場合、感光体汚染の恐れがある。
【0048】
さらに本発明の弾性層には、発明の効果を著しく損なわない範囲内で必要に応じて、ゴムの配合剤として一般に用いられている充填剤、軟化剤、加工助剤、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、粘着付与剤、分散剤等を添加することができる。
【0049】
これらの原料の混合方法としては、バンバリーミキサーや加圧式ニーダーといった密閉型混合機を使用した混合方法や、オープンロールのような開放型の混合機を使用した混合方法などを例示することができる。
【0050】
本例の帯電ローラにおいては、弾性体層の外周に表面層を設けることも出来る。表面層は1層でも、2層以上の複数層で構成しても構わない。また、表面層は弾性体層より、電気抵抗が高いことが好ましい。2層以上の多層構成とし、表面側の電気抵抗を高くすることによって、感光体表面のピンホールや傷などにより生じるリークを防止することが出来る。
【0051】
表面層の電気抵抗値としては1×10〜1×1010Ω程度が要求され、一般的には、アクリル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、シリコーン等のバインダー高分子に、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、酸化錫等の酸化物;Cu、Ag等の金属、酸化物や金属を粒子表面に被覆して導電化した導電粒子;LiClO、KSCN、NaSCN、LiCFSO等のイオン性電解質等を適宜量分散させることにより、所望の電気抵抗値としたものが用いられる。
【0052】
表面被覆層の形成方法としては、上記の様なバインダー高分子を溶剤に溶解または分散し、これに導電フィラーを分散させた液を、ディッピング、ビーム塗工、ロールコーター、スプレー等の塗工法によって、弾性体層表面にコーティングする方法等を挙げることができる。
【0053】
なお、本発明における帯電ローラには、必要に応じて、弾性体層や表面被覆層以外に、接着層、拡散防止層、下地層、プライマー層等の機能層を設けることもできる。
【0054】
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、これらは、本発明を何ら限定するものではない。なお、以下、特に明記しない限り、「部」は「質量部」を意味している。
【0055】
(実施例1)帯電ローラ1
原料ゴムとして、ヒドリンゴム−A(エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体:エピクロルヒドリン 23mol%;エチレンオキサイド 73mol%;アリルグリシジルエーテル 4mol%)100部、加工助剤としてステアリン酸亜鉛 1部、加硫促進助剤として酸化亜鉛 5部、充填剤として重質炭酸カルシウム 45部、MTカーボンブラック(サーマックスフローフォームN990 Cancarb社製) 5部、セバシン酸ポリエステル可塑剤(分子量 8000) 5部、イオン導電剤としてN−ジオキシエチレン−N,N,N−モノオクタデシルジメチルアンモニウムパークロレート(化学式−2) 1部を加圧式ニーダーにて混合し、A練りゴム組成物を得た。
【0056】
【化2】

このA練りゴム組成物162質量部に対して、架橋剤として硫黄1.5部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS;ノクセラーDM 大内振興化学工業社製) 1部、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM;ノクセラーTS、大内振興化学工業社製) 1部 をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム組成物を得た。
【0057】
得られた未加硫ゴム組成物を厚さ2mmのシート成形金型にて160℃、30分間プレス加硫を行い、その後、金型より取り出して熱風炉にて160℃、2時間の2次加硫を行い、成形シートを得た。この成形シートを用いて体積抵抗率の測定を行った。測定は日本ゴム協会標準規格「ゴムおよびゴム状類似物の体積抵抗率測定方法 SRIS−2304」に準拠して、23℃ 50%RHの環境で、印加電圧100Vにて行った。この結果、このゴム材料の体積抵抗率は3.0×10Ω・cmであった。
【0058】
また、成形シートから試験片を打ち抜き、JIS−K6301(1975)に準拠した引張試験を実施し、破断エネルギーの測定を行った。その結果、破断エネルギーは3.0 N・mであった。
【0059】
得られた未加硫ゴム組成物をベント式ゴム押出機(φ50mmベント押出機 L/D=16 EM技研社製)によってチューブ状に押出し、加硫缶を用いた加圧水蒸気により160℃ 30分の一次加硫を行い、外径15mm、内径5.5mm、長さ250mmのゴムチューブを得た。
【0060】
次に、直径6mm、長さ252mmの円柱形の導電性芯金(鋼製、表面はニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部232mmに導電性ホットメルト接着剤を塗布し、80℃で30分間乾燥したものに、前述のゴムチューブを圧入し、熱風炉にて160℃で2時間の二次加硫と接着処理を行った。この加硫後のローラのゴム両端部を突っ切り、ゴム部分の長さを232mmとした後、ゴム部分を研磨機(LEO−600−F4−BME 水口製作所製)で研磨し、端部直径12.00mm、中央部直径12.10mmのクラウン形状の性弾性体層を有するゴムローラ1を得た。
【0061】
得られたゴムローラ1の十点平均表面粗さ(Rz)を測定した。測定はJISB0601に準拠し、(株)小坂研究所製surfcorder SE−3400を用い、送り速度0.5mm/s、カットオフ0.8mm、測定長2.5mmの条件で測定した。測定は導電性部材の任意の3箇所について長手方向に行い、3つの値の単純平均をRzとした。その結果、Rzは4.9μmであった。
【0062】
上記弾性層の上に、以下に示す表面層を被覆形成した。
【0063】
導電性酸化スズ粉体(商品名:SN−100P、石原産業(株)製)50部に、トリフルオロプロピルトリメトキシシランの1%イソプロピルアルコール溶液を500部と平均粒径0.8mmのガラスビーズ300部を加え、ペイントシェーカーで70時間分散後、分散液を500メッシュの網で濾過し、次に、この溶液をナウターミキサーで攪拌しながら100℃の湯浴で暖めてアルコールを飛ばして乾燥させ、表面にシランカップリング剤を付与し、表面処理導電性酸化スズ粉体を得た。
【0064】
ラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2009、ダイセル化学工業(株)製)200部を、500部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、ポリオール濃度20質量%の溶液とした。このアクリルポリオール溶液200部に対して上記表面処理導電性酸化スズ粉体を60部、シリコーンオイル(商品名:SH−28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)を0.01部配合し、これに直径0.8mmのガラスビーズ200部を加えて、450mlのビンに入れてペイントシェーカーを使い、10時間分散した。
【0065】
この分散液380部に、イソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体(商品名:ベスタナートB1370、デグサ・ヒュルス製)を30.6部と、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(商品名:デュラネートTPA−B80E、旭化成工業製)を19.6部混合し、ボールミルで1時間攪拌し、最後に500メッシュの網で溶液を濾過して表面層の塗料を得た。
【0066】
この表面層の塗料をディッピンク法により上記弾性層を有するゴムローラ1の表面に塗工した。引き上げ速度320mm/minで塗工し、30分間風乾した後、ローラの塗工時の軸方向を反転して、もう一度引き上げ速度320mm/minで塗工し、30分間風乾した後、160℃で60分間乾燥して、帯電ローラ1を得た。
【0067】
この帯電ローラ1を図2に示した電子写真装置(レーザショットLBP−2510 キヤノン製)にて画像評価を行った。画像評価は帯電ローラによる帯電能の差が最も顕著に表れるように、低温低湿環境である温度15℃、湿度10%(L/Lとも記載する)環境下において、画像評価は感光体表面電位が−500Vとなるように、帯電ローラの芯金に直流電圧のみを印加して、図2に示した電子写真プロセスにおける前露光手段を作動させないようにして行った。評価画像はベタ黒印字後にハーフトーン画像を形成させてゴースト画像の評価を行った。ゴースト画像ランク○はゴーストの発生が全く無い、ゴースト画像ランク△はゴーストが僅かに認められる、ゴースト画像ランク×はゴーストがハッキリ認められる、というレベルであり、本例のゴースト画像ランクはランク○であった。また、1%印字で8,000枚印字した後にハーフトーン画像を出力し、初期の画像との比較による耐久画像評価を行った。耐久画像ランク○は初期と同様に良好な画像、耐久画像ランク△は耐久による帯電ローラのトナー汚れによる軽微な画像不良が発生、耐久画像ランク×は耐久による帯電ローラのトナー汚れにより、著しい画像不良が発生、というレベルであり、本例の耐久画像ランクはランク○であった。
【0068】
(実施例2)帯電ローラ2
原料ゴムとして、ヒドリンゴム−A(エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体:エピクロルヒドリン 23mol%;エチレンオキサイド 73mol%;アリルグリシジルエーテル 4mol%)100部、加工助剤としてステアリン酸亜鉛 1部、加硫促進助剤として酸化亜鉛 5部、充填剤として重質炭酸カルシウム 60部、MTカーボンブラック(サーマックスフローフォームN990 Cancarb社製) 5部、セバシン酸ポリエステル可塑剤(分子量 8000) 5部、イオン導電剤としてN−ジオキシエチレン−N,N,N−モノオクタデシルジメチルアンモニウムパークロレート 1部を加圧式ニーダーにて混合し、A練りゴム組成物を得た。
【0069】
このA練りゴム組成物177質量部に対して、架橋剤として硫黄1部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS;ノクセラーDM 大内振興化学工業社製) 1部、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM;ノクセラーTS、大内振興化学工業社製) 1部 をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム組成物を得た。
【0070】
得られた未加硫ゴム組成物について、実施例1と同様にゴムシートを成形し、体積抵抗率と破断エネルギーを測定した。この結果、体積抵抗率は4.0×10Ω・cm、破断エネルギーは3.5N・mであった。
【0071】
次に、上記未加硫ゴム組成物を使用し、実施例1と同様にゴムローラ2を成形し、その表面粗さRzを測定した。その結果、Rzは3.5μmであった。
【0072】
上記ゴムローラ2の弾性層の上に、実施例1と同様に表面層を被覆形成し帯電ローラ2を得た。
【0073】
実施例1と同様に帯電ローラの画像評価を実施した所、ゴースト画像ランクは○、耐久画像ランクは○であった。
【0074】
(実施例3)帯電ローラ3
原料ゴムとして、ヒドリンゴム−A(エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体:エピクロルヒドリン 23mol%;エチレンオキサイド 73mol%;アリルグリシジルエーテル 4mol%)100部、加工助剤としてステアリン酸亜鉛 1部、加硫促進助剤として酸化亜鉛 5部、充填剤として重質炭酸カルシウム 120部、MTカーボンブラック(サーマックスフローフォームN990 Cancarb社製) 5部、セバシン酸ポリエステル可塑剤(分子量 8000) 8部、イオン導電剤としてN−ジオキシエチレン−N,N,N−モノオクタデシルジメチルアンモニウムパークロレート 1部を加圧式ニーダーにて混合し、A練りゴム組成物を得た。
【0075】
このA練りゴム組成物240質量部に対して、架橋剤として硫黄0.5部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS;ノクセラーDM 大内振興化学工業社製) 1部、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM;ノクセラーTS、大内振興化学工業社製) 1部 をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム組成物を得た。
【0076】
得られた未加硫ゴム組成物について、実施例1と同様にゴムシートを成形し、体積抵抗率と破断エネルギーを測定した。この結果、体積抵抗率は4.8×10Ω・cm、破断エネルギーは6.7N・mであった。
【0077】
次に、上記未加硫ゴム組成物を使用し、実施例1と同様にゴムローラ3を成形し、その表面粗さRzを測定した。その結果、Rzは4.3μmであった。
【0078】
上記ゴムローラ3の弾性層の上に、実施例1と同様に表面層を被覆形成し帯電ローラ3を得た。
【0079】
実施例1と同様に帯電ローラの画像評価を実施した所、ゴースト画像ランクは○、耐久画像ランクは○であった。
【0080】
(実施例4)帯電ローラ4
原料ゴムとして、ヒドリンゴム−A(エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体:エピクロルヒドリン 23mol%;エチレンオキサイド 73mol%;アリルグリシジルエーテル 4mol%)100部、加工助剤としてステアリン酸亜鉛 1部、加硫促進助剤として酸化亜鉛 5部、充填剤として重質炭酸カルシウム 60部、MTカーボンブラック(サーマックスフローフォームN990 Cancarb社製) 5部、セバシン酸ポリエステル可塑剤(分子量 8000) 5部、イオン導電剤としてN−ジオキシエチレン−N,N,N−モノオクタデシルジメチルアンモニウムパークロレート 1部、受酸剤として合成ハイドロタルサイト(DHT−4A 協和化学工業社製)3部を加圧式ニーダーにて混合し、A練りゴム組成物を得た。
【0081】
このA練りゴム組成物180質量部に対して、架橋剤としてキノメチオナート(ダイソネットXL21S 保土ヶ谷化学工業社製)1部、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT;ノクセラーTRA、大内振興化学工業社製) 1部 をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム組成物を得た。
【0082】
得られた未加硫ゴム組成物について、実施例1と同様にゴムシートを成形し、体積抵抗率と破断エネルギーを測定した。この結果、体積抵抗率は6.0×10Ω・cm、破断エネルギーは8.6N・mであった。
【0083】
次に、上記未加硫ゴム組成物を使用し、実施例1と同様にゴムローラ4を成形し、その表面粗さRzを測定した。その結果、Rzは5.6μmであった。
【0084】
上記ゴムローラ4の弾性層の上に、実施例1と同様に表面層を被覆形成し帯電ローラ4を得た。
【0085】
実施例1と同様に帯電ローラの画像評価を実施した所、ゴースト画像ランクは○、耐久画像ランクは△であった。
【0086】
(比較例1)帯電ローラ5
原料ゴムとして、ヒドリンゴム−B(エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体:エピクロルヒドリン 48mol%;エチレンオキサイド 48mol%;アリルグリシジルエーテル 4mol%)100部、加工助剤としてステアリン酸亜鉛 1部、加硫促進助剤として酸化亜鉛 5部、充填剤として重質炭酸カルシウム 60部、MTカーボンブラック(サーマックスフローフォームN990 Cancarb社製) 5部、セバシン酸ポリエステル可塑剤(分子量 8000) 5部、イオン導電剤としてN−ジオキシエチレン−N,N,N−モノオクタデシルジメチルアンモニウムパークロレート 1部を加圧式ニーダーにて混合し、A練りゴム組成物を得た。
【0087】
このA練りゴム組成物177質量部に対して、架橋剤として硫黄1部、加硫促進剤としてジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS;ノクセラーDM 大内振興化学工業社製) 1部、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM;ノクセラーTS、大内振興化学工業社製) 1部 をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム組成物を得た。
【0088】
得られた未加硫ゴム組成物について、実施例1と同様にゴムシートを成形し、体積抵抗率と破断エネルギーを測定した。この結果、体積抵抗率は5.0×10Ω・cm、破断エネルギーは4.4N・mであった。
【0089】
次に、上記未加硫ゴム組成物を使用し、実施例1と同様にゴムローラ5を成形し、その表面粗さRzを測定した。その結果、Rzは4.4μmであった。
【0090】
上記ゴムローラ5の弾性層の上に、実施例1と同様に表面層を被覆形成し帯電ローラ5を得た。
【0091】
実施例1と同様に帯電ローラの画像評価を実施した所、ゴースト画像ランクは×、耐久画像ランクは○であった。
【0092】
(比較例2)帯電ローラ6
原料ゴムとして、ヒドリンゴム−C(エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体:エピクロルヒドリン 49mol%;エチレンオキサイド 51mol%)100部、加工助剤としてステアリン酸亜鉛 1部、加硫促進助剤として酸化亜鉛 5部、充填剤として重質炭酸カルシウム 60部、MTカーボンブラック(サーマックスフローフォームN990 Cancarb社製) 5部、セバシン酸ポリエステル可塑剤(分子量 8000) 5部、イオン導電剤としてN−ジオキシエチレン−N,N,N−モノオクタデシルジメチルアンモニウムパークロレート 1部、受酸剤として合成ハイドロタルサイト(DHT−4A 協和化学工業社製)3部を加圧式ニーダーにて混合し、A練りゴム組成物を得た。
【0093】
このA練りゴム組成物180質量部に対して、架橋剤としてエチレンチオウレア(EU;アクセル22S、川口化学工業社製) 1.5部 をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム組成物を得た。
【0094】
得られた未加硫ゴム組成物について、実施例1と同様にゴムシートを成形し、体積抵抗率と破断エネルギーを測定した。この結果、体積抵抗率は2.0×10Ω・cm、破断エネルギーは9.1N・mであった。
【0095】
次に、上記未加硫ゴム組成物を使用し、実施例1と同様にゴムローラ6を成形し、その表面粗さRzを測定した。その結果、Rzは5.8μmであった。
【0096】
上記ゴムローラ6の弾性層の上に、実施例1と同様に表面層を被覆形成し帯電ローラ6を得た。
【0097】
実施例1と同様に帯電ローラの画像評価を実施した所、ゴースト画像ランクは×、耐久画像ランクは△であった。
【0098】
(比較例3)帯電ローラ7
原料ゴムとして、ヒドリンゴム−D(エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体:エピクロルヒドリン 39mol%;エチレンオキサイド 61mol%)100部、加工助剤としてステアリン酸亜鉛 1部、加硫促進助剤として酸化亜鉛 5部、充填剤として重質炭酸カルシウム 60部、MTカーボンブラック(サーマックスフローフォームN990 Cancarb社製) 5部、セバシン酸ポリエステル可塑剤(分子量 8000) 5部、イオン導電剤としてN−ジオキシエチレン−N,N,N−モノオクタデシルジメチルアンモニウムパークロレート 1部、受酸剤として合成ハイドロタルサイト(DHT−4A 協和化学工業社製)3部を加圧式ニーダーにて混合し、A練りゴム組成物を得た。
【0099】
このA練りゴム組成物180質量部に対して、架橋剤としてエチレンチオウレア(EU;アクセル22S、川口化学工業社製) 1.5部 をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム組成物を得た。
【0100】
得られた未加硫ゴム組成物について、実施例1と同様にゴムシートを成形し、体積抵抗率と破断エネルギーを測定した。この結果、体積抵抗率は7.0×10Ω・cm、破断エネルギーは10.2N・mであった。
【0101】
次に、上記未加硫ゴム組成物を使用し、実施例1と同様にゴムローラ7を成形し、その表面粗さRzを測定した。その結果、Rzは7.2μmであった。
【0102】
上記ゴムローラ7の弾性層の上に、実施例1と同様に表面層を被覆形成し帯電ローラ7を得た。
【0103】
実施例1と同様に帯電ローラの画像評価を実施した所、ゴースト画像ランクは△、耐久画像ランクは×であった。
【0104】
(比較例4)帯電ローラ8
原料ゴムとして、ヒドリンゴム−A(エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体:エピクロルヒドリン 23mol%;エチレンオキサイド 73mol%;アリルグリシジルエーテル 4mol%)100部、加工助剤としてステアリン酸亜鉛 1部、加硫促進助剤として酸化亜鉛 5部、充填剤として重質炭酸カルシウム 60部、MTカーボンブラック(サーマックスフローフォームN990 Cancarb社製) 5部、セバシン酸ポリエステル可塑剤(分子量 8000) 5部、イオン導電剤としてN−ジオキシエチレン−N,N,N−モノオクタデシルジメチルアンモニウムパークロレート 1部、受酸剤として合成ハイドロタルサイト(DHT−4A 協和化学工業社製)3部を加圧式ニーダーにて混合し、A練りゴム組成物を得た。
【0105】
このA練りゴム組成物180質量部に対して、架橋剤としてキノメチオナート(ダイソネットXL21S 保土ヶ谷化学工業社製)1部、加硫促進剤として1.8ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール樹脂塩(P−152 サンアプロ社製) 1.0部 をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム組成物を得た。
【0106】
得られた未加硫ゴム組成物について、実施例1と同様にゴムシートを成形し、体積抵抗率と破断エネルギーを測定した。この結果、体積抵抗率は4.5×10Ω・cm、破断エネルギーは13.2N・mであった。
【0107】
次に、上記未加硫ゴム組成物を使用し、実施例1と同様にゴムローラ8を成形し、その表面粗さRzを測定した。その結果、Rzは8.3μmであった。
【0108】
上記ゴムローラ8の弾性層の上に、実施例1と同様に表面層を被覆形成し帯電ローラ8を得た。
【0109】
実施例1と同様に帯電ローラの画像評価を実施した所、ゴースト画像ランクは○、耐久画像ランクは×であった。
【0110】
以上の結果について、弾性体層に使用したヒドリンゴムのモノマー組成を表1に、弾性体層の材料組成を表2に、作成した帯電ローラの評価結果を表3に示す。
【0111】
【表1】

【0112】
【表2】

【0113】
【表3】

比較例1、2については帯電ローラの弾性体層を構成するヒドリンゴムのエチレンオキサイド含有量が60mol%未満であり、体積抵抗率が高く、ゴースト画像が発生した。
【0114】
比較例3については、ヒドリンゴムがアリルグリシジルエーテルを含有しておらず、弾性体層の破断エネルギーが10N・m超で研磨性が悪く、弾性体層表面の粗さが大きい為に、耐久画像評価で帯電ローラのトナー汚れにより、著しい画像不良が発生している。
【0115】
比較例4も比較例3と同様に、破断エネルギーが10N・m超であり、耐久画像評価で著しい画像不良が発生している。
【0116】
表3から明らかなように、本発明の導電性ローラを帯電ローラに使用した場合ついては、弾性層の体積抵抗率が充分に低い為、ゴースト画像ランクが△以上であり、弾性体層の破断エネルギーが10N・m以下で、研磨後の表面粗さが小さく、耐久画像評価での画像ランクも△以上で、著しい画像不良は発生していない。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の弾性部材の一例としての帯電ローラの構成を示す図である。
【図2】本発明における電子写真装置の例を説明するための模式的断面図である。
【符号の説明】
【0118】
1 帯電ローラ
11 芯金
12 弾性体層
13 表面層
21 像担持体
21a 感光層
21b 導電性支持体
21c 支軸
23 電源
23a 摺擦電源
24 露光手段
25 現像手段
26 転写ローラ
27 転写材
28 前露光手段
29 クリーニング手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金とその外周に設けられた少なくとも1層以上からなる弾性体層を有する弾性ローラにおいて、その弾性体層がエチレンオキサイド含有量が60〜90mol%のエピハロヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体ゴムを含む高分子組成物からなり、前記高分子組成物の破断エネルギーが10N・m以下であることを特徴とする導電性ローラ。
【請求項2】
弾性体層が、原料ゴム成分100質量部に対して、加硫剤として硫黄が0.5〜5質量部配合された未加硫ゴムを加硫したものである請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項3】
弾性体層が、原料ゴム成分100質量部に対して、重質炭酸カルシウムを45〜150質量部配合する請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項4】
芯金上に弾性体層を成形した後、その表面を研磨加工した請求項1乃至3の何れかに記載の導電性ローラ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−30766(P2006−30766A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211448(P2004−211448)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】