導電性基板の面への金属イオンの析出
本発明は、金属といった導電基板上及び/又はその中に析出するための金属イオンを調整し、金属間の接触から摩擦を実質的に無くすための組成及び方法を提供する。それは、水溶液の実施例で全ての金属基板に新たな金属面を形成するよう使用される。本工程は、導電基板上及び/又はその中に吸収又は吸収し得る金属及び非金属イオンの安定な水溶液を形成する。水溶液は、元素の周期律表の1族乃至8族による水溶性の金属又は非金属塩と混合した、アンモニウムアルカリ金属リン酸塩、及び/又はアンモニウムアルカリ金属硫酸塩から成る。水溶液により、導電基板上及び/又はその中への金属イオンのナノ析出が可能となる。析出した金属イオンによって形成された表面は、金属の不動態化を与え、炭化水素ベースの潤滑剤を使用せずに金属間の接触での摩擦を実質的に無くす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属をコーティングするための組成及び工程に関し、特に、金属面をコーティングするための含水組成、及びこれらの含水組成を作製するための工程に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄系金属、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、亜鉛及びチタンといった一次産品としての金属に新たな転換面を形成するための多くの方法が開発されている。これらの方法は、電気メッキ、リン酸塩処理(転換面)、化学的蒸着、イオンスパッタリング、及び他の方法を有している。銀に関する初期の電気メッキ法は、1870年に英国で開発された。その後、貴金属、すなわち銅及び金をメッキする方法が開発された。これらの金属は、シアン化物と錯体を形成して基板金属に付着層を作製する必要があった。シアン化物の使用は、基板上に貴金属の第1の付着層を形成する依然として好適な方法である。非常に有毒な物質であるシアン化物は、環境に有害で公衆衛生に危険である。多くの安全処置がシアン化物を使用するために施さなければならず、その場合にも使用者は有毒な蒸気に晒される可能性があった。電気メッキ法は長年にわたって展開されており、亜鉛、カドミウム、ニッケル、及びクロムといった他の元素を電気メッキする方法が開発され、工業的及び装飾目的のために商業界で広く使用された。
【0003】
基板面への電気メッキ析出物は、基板面の金属格子間に入らない。このため、析出物は、基板が降伏点まで「冷間加工される」ときにそれらの整合性を保持するのに十分に強固ではない。亜鉛の電着物は61,000PSIの冷間加工によって、カドミウムは69,000PSIの冷間加工によって破壊される一方、鋼の基板は80,000PSI又はそれ以上の降伏点を有している。これは、電気メッキの産業で常に重要な問題であった。電気メッキ作業者は、所望の仕上がりを実現するための効果的な析出処理装置を作るのに多くの様々なパラメータを扱わなければならなかった。電気メッキは、前処理、前洗浄のための処置を要し、制御されたメッキ浴、及び特別なアノードのすすぎを要する。電気メッキは、一般に、より貴である金属をより卑な金属にメッキし得る電気化学系列の規則に従うが、その逆方向には従わない。これは、周期律表の全ての金属を周期律表の他の金属基板にメッキする能力を制限する。
【0004】
表面改質の別の方法はリン酸塩処理であり、リン酸塩の転換面が鋼又はアルミニウムに形成される。リン酸塩の転換面は、腐食抑制のためにそして塗装のためのベースとして広く用いられている。リン酸塩処理は、商業界で最も広く用いられている方法であり、主用途は自動車工業での腐食抑制のための下塗りとして、及び塗装を保持するため固定部として使用される。
【0005】
化成処理リン酸塩処理法は、メッキ浴を要し、エネルギー集約型であり、時間を費やす。リン酸塩処理法は、商業的に満足のいく付着転換面を得るのに少なくとも10分又は以上を要する。産業界は、長年にわたって転換処理をスピードアップするための多くの反応促進剤を開発している。
【0006】
20世紀の後半において、金属により良好な面を得るための新規且つ特殊な方法が開発された。これらの方法は、真空蒸着、スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、又はイオンプレーティングといった蒸着法による基板上へのコーティングで金属を改良した。これらの方法を使用して、タングステンカーバイドの挿入物、ドリル、歯切り工具等の金属の工具といった金属面を硬化し得る。化学的蒸着が真空チャンバの中で適用され、金属が窒素雰囲気中でイオン化され、基板上に蒸着され、基板の中に拡散する。これらの方法の結果のいくつかの例は、窒化チタン及び窒化ホウ素である。蒸着は一般に目視して確かめながら(line of sight)行うもので、このような工程は、基板金属の形状、大きさ及び配置を制限する。このような工程は高価であり、特別な機器及び高エネルギの使用を要する。蒸着が、温度、ガス組成等の厳格な条件の下で形成される。これらの方法により、多くの市販用の製品として有用で、濃密で、滑らかな、欠陥の無い表面を有する蒸着が得られる。
【0007】
多くの金属は、金属を腐食から保護するのに有用な不活性の酸化物面を形成する。このような金属は、アルミニウム及びステンレス鋼及びチタンである。ステンレス鋼上に形成する酸化膜は、表面を不活性にするナノ分子層である。炭素鋼上に形成する酸化膜は金属にとって有害であり、錆と称される。
【0008】
Hardinらに付与された米国特許第6,755,917号は、金属材料中の表面上の転換コーティングを与えるための溶液を説明している。溶液は過酸化物種を有しており、周期律表の1B、2B、4A、5A、6A及び8族の少なくとも1つの金属に限定される。また特に、Hardinは、本発明に係る転換コーティング溶液の補充のための酸性液の含水濃縮物を提供しており、その濃縮物は、トータルの希土類イオン:一価のアニオンが1:200乃至1:6のモル比の(ここで規定される)希土類イオン及び一価のアニオン及び/又はトータルの希土類イオン:二価のアニオンが1:100乃至1:3のモル比の希土類イオン及び二価のアニオンを含んでおり及び/又は濃縮物は1B、2B、4A、5A、6A及び7族、好適には、Cu,Ag,Au,Cd,Hg,Ni,Pd,Pt,Co,Rh,Ir,Ru,Os,Sn,Pb,Sb,Bi,Se及びTeから成る群及びアニオンから選択される少なくとも1つの金属を含み、この群のこれらの元素の合計とアニオンとのモル比が1:50乃至1:10,000となる。さらに、Hardinの方法は、酸性水溶液に限定される。
【0009】
ステンレス鋼上に存在する薄い分子単層の酸化膜が、金属に優れた表面安定化を与え得ることが知られている。腐食が金属面の薄い分子層によって1日で抑えられることが理論化されている。さらに、顕著な摩擦の減少が、薄くて強固な金属膜で得られることが理論化されている。
【0010】
1996年10月発行のScientific Americanで、Jacqueline Krim,PhDが、「Friction at the Atomic Scale」と題される論文を発表した。その研究成果により、「原子レベルの金属間の接触では摩擦が存在しない」という結論に至った。摩擦は互いに摺動する金属によって発生する熱を減らすための潤滑剤の使用によってのみ軽減し得る状態である、という多くの確信により、この驚くべき研究成果は疑問視された。別の驚くべき結論は、原子レベルでは、「摩擦は、面に近接する原子が対向面の原子の摺動作用によって動き出すときに、原子の格子振動に由来する。これらの振動は実際には音波である。この場合には、ある面から他の面に摺動するのに要する機械的なエネルギのいくつかが、音響エネルギに変換され、最終的には熱に変換される。」ということである。熱が摩擦の原因となる。摺動を保持するために、より多くの機械的なエネルギを加える必要がある。さらに、Krimは、「固体は、特定の個別の周波数のみで振動しているため、機械的なエネルギの総量は実際に励起された周波数に依存している。対向する面の原子が他の面の周波数に反響する場合に摩擦が上昇する。対向する面が他の面自身の周波数に反響しない場合、音波は発生しない。このような態様は、比較的少ない共振周波数を有する十分に小さい固体がほとんど摩擦無しの摺動を呈するという刺激的な可能性を開く。」と仮定している。
【0011】
Krimの研究の別の驚くべき結論は、ドライフィルムの方が液膜よりも滑り易いということである。これは、摩擦に関する全ての現状の考えに対して直観的に反している。他の科学者によるさらなる試験が、原子レベルでの金属間の接触が摩擦を無くし、液体潤滑剤により、「くっつき/スリップ」動作を具えた摩擦の原因となることを立証した。液体は金属の隙間に入り抜け出す。これにより、格子に振動が発生して音波が発生し、熱に変換されて摩擦の原因となる。
【0012】
予測によれば、摩擦の減少により、毎年国民総生産の最大1.6%又は200兆ドル以上を節約し得る。このため、日用の金属の摩擦を事実上無くす工程は新規且つ有用であるが、利用されていない。このような工程は大きな価値を有し、エネルギの自給のための国家が追求する大きな価値及び目的を有し、腐食した地下のパイプライン、貯蔵タンク、橋梁及び陸橋に関するインフラの交換のコストを大いに減らすことが明らかである。
【0013】
リン酸塩転換面は、デシベルレベルを減らすために商業プラントで使用される。高いデシベルレベルは作業現場における継続的な危険要因であり、人体の健康にとって有害になり、早晩聴力が低下してしまう。OSHA及びEPAといった政府規制機関は、工業界に対して製造作業においてより低いデシベルレベルに改良するよう常に求めている。このたように、デシベルレベルを減らす転換面が人体の健康にとって有益であり、作業現場の環境を改善する。
【0014】
Choiらに付与された米国特許第7,087,104号は、金属イオン、錯化剤、アンモニウム塩及び強塩基から成るグループの一部を含む溶液を貯蔵するためのシステム及び方法を記載している。グループ全体を含む無電解析出溶液を形成するために使用される。本発明の一実施例では、金属イオンがコバルトイオンを有しており、錯化剤がクエン酸を有しており、アンモニウム塩が塩化アンモニウムを有しており、強塩基が水酸化テトラメチルアンモニウムを有している。塩基溶液が調整され、その後2日間放置されることで、使用に先立って安定化し得る。別の溶液を調整し、その後、メッキ浴で使用直前に初めの溶液と混合する必要がある。これは、工場のメッキ浴の現場において最終的な調製品を作製するのに、複雑なロジスティック及び熟練した作業者を要する。
【0015】
McCoyらに付与された米国特許第5,310,419号では、金属の電気メッキ用及び他の用途の電解質溶液を調整するための方法が開示されている。外部電源の使用で、周期律表の全ての金属を導電基板上に電着し得ることを発見した。
【0016】
Defalcoらに付与された米国特許第5,340,788号では、内燃機関のパーツに適用されるオイル添加剤を調整するための方法が開示されており潤滑油を搬送流体として用いている。溶液が潤滑油の中に導入するためにポリエチレングリコールと混ぜられる。
【発明の概要】
【0017】
本発明は、金属間の接触による摩擦を実質的になくすために、金属といった導電基板上及び/又はその中に析出するための金属イオンを調整するための組成及び工程を提供する。それは、水溶性の実施例で使用されて全ての基板に新たな金属面を形成する。この工程は、導電基板上及び/又はその中に吸収又は吸収し得る金属及び非金属イオンの安定した水溶液を形成する。水溶液は、周期律表の元素の1族乃至8族から選択される水溶性の金属又は非金属塩と混合した、アンモニウムアルカリ金属リン酸塩、及び/又はアンモニウムアルカリ金属硫酸塩から成っている。水溶液により、導電基板上及び/又はその中に金属イオンをナノ析出し得る。析出した金属イオンで形成される表面は、金属の不動態を与えて炭化水素ベースの潤滑剤を使用せずに金属間の接触による摩擦を実質的になくす。
【0018】
イオン錯体を生成するための本発明の工程は、水溶性の反応媒体で実施され、イオン錯体を金属の対象体に転換面を形成する際の水溶液として使用する。無機のイオン錯体を調整するために、以下の反応を要する:a)周期律表の1乃至8族から選択される少なくとも1の水溶性の非アルカリ金属塩;b)水酸化アルカリ金属;c)鉱酸といった硫黄を含む化合物及び/又はリンを含む化合物;d)水酸化アンモニウム;及びe)水。反応物であるオルトリン酸、水、水酸化アンモニウム及び水酸化アルカリ金属を混ぜると、親溶液Aを生成する。発熱反応が生じ水溶液の温度が約100℃になる。そして、窒化銀、酸化亜鉛といった金属塩、硫酸アルミニウム、モリブデン酸アンモニウムといったアルミニウム塩、タングステン酸アンモニウム又は水溶性の金属塩の一定量の金属塩を、反応容器の中に導入し、攪拌し、金属塩が水媒体に全体的に溶解するまで加熱する。反応物である硫酸、水、水酸化アンモニウム及び水酸化アルカリ金属を混ぜると、親溶液Bを生成し得る。発熱反応が生じ水溶液の温度が約100℃になる。そして、ホウ酸、又は硫酸銅、又はモリブデン酸アンモニウムといった一定量の金属塩を反応容器に導入して溶解し得る。そして、金属イオンが水溶液に溶けるが析出せず安定化する。水酸化アルカリ金属は、基本的に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、周期律表の1A族の金属の水酸化物であるが、水酸化カリウムが好適な反応物である。
【0019】
また、金属の水溶液は金属面に窒素を析出する。摩耗試験が、水溶液の適用によって形成された金属コーティングがオイルベースの潤滑剤と同じぐらい効果的に金属の摩耗を減らす。
【0020】
本発明の利点は、今日の商業用途における現状の無電解の化学的蒸着又は電気メッキ技術の欠点及び制限が無い形態にかかわらず、構造体に溶液を適用し得ることである。
【0021】
別の利点は、ある場所に出荷することができる安定化溶液(ground stable solution)である。
【0022】
別の利点は、金属材料上に変換コーティングを形成するために水溶液を用いた簡単な工程である。
【0023】
別の利点は、全ての金属基板に対する酸化物フリーの転換面の形成である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、ステンレス鋼への銀−リン−カリウムの析出を示す。
【図2】図2は、アルミニウムへのケイ素−リン−カリウムの析出を示す。
【図3】図3は、ステンレス鋼へのケイ素−リン−カリウムの析出を示す。
【図4】図4は、アルミニウムへの亜鉛−リン−カリウムの析出を示す。
【図5】図5は、1010炭素鋼へのアルミニウム−リン−カリウムの析出を示す。
【図6】図6は、1010炭素鋼への銅−リン−カリウムの析出を示す。
【図7】図7は、1010炭素鋼へのモリブデン−リン−カリウムの析出を示す。
【図8】図8は、ステンレス鋼へのモリブデン−リン−カリウムの析出を示す。
【図9】図9は、油相から析出した1010炭素鋼へのケイ素−リン−カリウムの析出を示す。
【図10】図10は、走査型電子顕微鏡像による、アルミニウム上をコーティングするホウ素の厚さを示す。
【図11】図11は、走査型電子顕微鏡像による、アルミニウム上をコーティングするモリブデンの厚さを示す。
【図12】図12は、EDAXチャート1による、1010炭素鋼上の窒素−ケイ素−カリウムの存在を示す。
【図13】図13は、EDAXチャート2による、アルミニウム上の窒素−ケイ素−カリウムの存在を示す。
【図14】図14は、EDAXチャート3による、ステンレス鋼上の窒素−ケイ素−カリウムの存在を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明は、本発明の好適な実施例を詳述するが、本発明は他の実施例で可能であり様々な方法で実施し得るため、本発明は、その適用において、添付図面に図示されたパーツの構造及び配置の詳細に限定されないことに留意されたい。
【0026】
原子レベルでの金属間の摩擦を減らすための安価で効率的な簡単な適用方法を要する。驚くべきことに、本発明にしたがって金属イオンを生成する場合、そのようにして生成したイオンは金属の格子間に拡散する。驚くべきことに、生成したイオンは、電気化学系列の規則に従わない。すなわち、アルミニウムを鉄系金属に析出し得るが、これは従来の文献では予期されていない。驚くべきことに、本発明で生成した銀イオンは、太陽光の存在下で水溶液の中で光学的に安定のままである。光学的に安定な銀イオンは、米国特許第5,985,308号に記載されているようなイオンスパッタリングによる、又はアルコールといった様々な溶媒及び塩素アニオン供与化合物との錯体化を含む米国特許第6,897,349号に記載された方法による、高価な技術を通してのみ実現し得る。銀イオンは多くの研究対象となっている。銀イオンを安定化させる多くの既知の方法があるが、これらのいずれも水溶液を使用しない。短時間の浸漬、ブラッシング、噴霧による金属試片上の接着性の銀の析出面は大いに価値がある。水溶液で安定な銀イオンは、電子工学及び薬学で、例えばその抗菌特性のために傷の治療の包帯で及び医療機器に抗菌面を形成するために、広く適用されるであろう。
【0027】
本発明は、外部から適用される起電力の使用を要しないが、短時間の浸漬、ブラッシング、噴霧によって基板上に薄くて強固な金属膜を形成する。本発明の驚くべき発見は、新たな転換面を作製して基板上及びその中に単分子層を析出し得ることである。大部分のメッキ特性は、1ミル(23乃至24ミクロン)の析出厚さを要する。本発明は、導電基板上に0.05乃至10ミクロンの厚さの永久的な薄膜を提供する。
【0028】
本発明のイオン錯体の生成プロセスは、水溶性の反応媒体で実施され、金属の対象体に転換面を形成する際にイオン錯体を水溶液として使用する。無機のイオン錯体を調整するために、以下の反応を要する:a)周期律表の1乃至8族から選択される少なくとも1の水溶性の非アルカリ金属塩;b)水酸化アルカリ金属;c)鉱酸といった硫黄を含む化合物及び/又はリンを含む化合物;d)水酸化アンモニウム;及びe)水。
【0029】
非アルカリ金属塩反応物は、周期律表の1族乃至8族の非アルカリ金属由来である。適用可能な非アルカリ水溶液金属塩の代表的な非限定的な例は、1B族の銅、銀、金;2A族のベリリウム、マグネシウム;2B族の亜鉛、カドミウム;3A族のアルミニウム、ガリウム、インジウム;4A族のケイ素、スズ、鉛;4B族のチタン、ジルコニウム、ハフニウム;5A族のアンチモン、ビスマス;5B族のバナジウム、ニオブ、タンタル;6A族のセレン、テルル;6B族のクロム、モリブデン、タングステン;7B族のマンガン;及び8族の鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、ロジウム由来のものを有している。
【0030】
4A族の1つであるケイ素は非金属と考えられているが、概して金属元素として規定される一方、ケイ素は本発明の方法では非アルカリ金属として機能する。したがって、「周期律表の1乃至8族の非アルカリ金属」は、ケイ素を含む上記全て及びいくつかの及びそれに相当する金属を包含することを意味する。さらに認識すべきは、「周期律表の1乃至8族の非アルカリ金属」という用語は、1A族のアルカリ金属を含まないことである。アルカリ土類金属、2A族のカルシウム、ストロンチウム、及びバリウムは、同様にこの用語の範囲に含まれない。一方、2A族のベリリウム及びマグネシウムを、本発明の実施に適用例として採用することが可能であり、これらの金属はまた、ここで用いられる「周期律表の1乃至8族の非アルカリ金属」という表現に含まれる。また、非アルカリ金属塩の組み合わせを使用してもよい。
【0031】
反応物であるオルトリン酸、水、水酸化アンモニウム及び水酸化アルカリ金属を混ぜると、親溶液Aを生成し得る。発熱反応が生じ、水溶液の温度が約100℃になる。窒化銀、酸化亜鉛といった金属塩、硫酸アルミニウムといったアルミニウム塩、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム又は水溶性の金属塩の一定量を、反応容器に導入し、攪拌し、水性溶媒中で金属塩が全体的に溶解されるまで加熱し得る。水酸化アルカリ金属は、周期律表の1A族の水酸化物であり、主に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムであるが、好適な反応物は水酸化カリウムである。また、これらの水酸化アルカリ金属の組み合わせを使用してもよい。
【0032】
親溶液Aの調整
反応容器の中に、約0.5乃至1.5リットル、好適には、約1.0リットルの水、及び約0.5乃至1.5リットル、好適には約1.0リットル、容量で約75%乃至85%、好適には約80%のオルトリン酸を加える。そして、約0.5乃至1.5リットル、好適には、約1.0リットル、容量で約15乃至35%、好適には約26%の水酸化アンモニウムを加える。そして、約0.5乃至1.5リットル、好適には、約1.0リットル、容量で約20乃至60%、好適には約49%の水酸化カリウムを加える。
【0033】
反応物の硫酸、水、水酸化アンモニウム及び水酸化アルカリ金属を混合して親溶液Bを生成し得る。発熱反応が生じ、水溶液の温度が約100℃になる。そして、ホウ酸、又は硫酸銅、又はモリブデン酸アンモニウムを、反応容器の中に導入して溶解する。そして、金属イオンが水溶液に可溶となり、析出せずに安定化する。水酸化アルカリ金属は、周期律表の1A族の金属の水酸化物であり、主に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムであるが、水酸化カリウムが好適な反応物である。また、これらの水酸化アルカリ金属の組み合わせを用いてもよい。
【0034】
親溶液Bの調整
反応容器の中に、約1乃至3リットル、好適には、約2リットルの水、及び約0.5乃至1.5リットル、好適には約1リットルの濃硫酸を加える。そして、約0.5乃至1.5リットル、好適には、約1リットル、容量で約15乃至35%、好適には約26%の水酸化アンモニウムを加える。そして、約0.5乃至1.5リットル、好適には、約1リットル、容量で約20乃至60%、好適には約49%の水酸化カリウムを加える。反応は極端な発熱反応であるため注意を要する。
【0035】
窒化銀親溶液Aの実施例
約80乃至120ml、好適には約100mlの親溶液Aについて、リン酸を用いてこの溶液のpHを約7に調整する。約0.1乃至10グラム、好適には1グラムの窒化銀をこの溶液に加える。攪拌して銀塩が溶液に完全に溶解するまで加熱する。1010鋼の試片を窒化銀溶液に1分間浸す。鋼の試片上に薄くて、強固な、光沢のある銀の膜を形成する。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて面を観察する。銀は、シアン化物溶液及び外部から加えられる起電力を用いない場合は鋼上に接着析出を形成することが知られている。銀の析出のこのようなプロセスを、シアン化物及び外部から加えられる起電力の存在なしに実施して、強固な非浸漬析出を生成し得る。窒化銀溶液を、ガラス容器に入れ、数週間太陽光に晒す。銀が感光性でないことは、抗菌作用及び医療機器の表面の保護といった分野で大いに有用な本発明の安価なプロセスによって銀を安定化し得る。Alcoaの2”×2’のアルミニウムフォイルラップのシートを、窒化銀の溶液に接触させ表面に擦り付ける。アルミニウムフォイルの面を、銀の膜でコーティングする。410ステンレス鋼の試片を、1分間窒化銀溶液に浸漬する。薄くて強固な銀の膜が、ステンレス鋼上に形成する。
【0036】
綿のガーゼの包帯を、銀溶液に浸漬し、その後、数日間太陽光に晒す。この包帯が、銀イオンが太陽光に晒されるときに予期されるように黒色に変化しないことは、処理を施した包帯の衛生及び傷の治療のための抗菌包帯としての使用を意味している。ガーゼを施した包帯はプロパントーチの炎に晒すことが可能である。綿は火炎先端と直接接触すると焦げるが、ガーゼは着火せず、これは繊維の難燃剤としての銀溶液の使用を意味している。
【0037】
モリブデン酸アンモニウム親溶液Aの実施例
約80乃至120ml、好適には約100mlの親溶液Aを用いて、約0.1乃至10グラム、好適には約1グラムのモリブデン酸アンモニウムを溶液に加える。攪拌して、モリブデン酸アンモニウムが完全に溶解するまで加熱する。1010鋼の試片を1分間溶液の中に浸す。薄くて強固なモリブデン膜を鋼試片の上に形成する。2”×2”のアルミニウムフォイルの短冊片を、30秒間溶液に浸した。モリブデンの薄い析出がアルミニウム試片上に形成した。「Electroplating」Frederick A Lowenheim,McGraw Hill Book company,ページ141は、「電極電位の観点から、約5のpHの水溶液でタングステン及びモリブデンといった金属を電気メッキし得る。にもかかわらず(文字通り要求にかかわらず)、これらの金属は、水溶液から純金属の形態で析出できない」と記載している。このように、本発明は、鋼及び他の導電基板上にモリブデン表面を形成するための意外な方法を提供する。
【0038】
タングステン酸アンモニウム親溶液Aの実施例
約80乃至120ml、好適には約100mlの親溶液Aを用いて、約0.1乃至10グラム、好適には約1グラムのタングステン酸アンモニウムを溶液に加える。攪拌して、金属塩が完全に溶解するまで加熱する。1010鋼の試片を1分間溶液の中に浸す。薄くて、光沢のある強固なタングステン膜をステンレス試片の上に形成する。モリブデンのケースと同じように、本発明は、鋼上にタングステンを形成するための意外な方法を提供する。
【0039】
硫酸銅親溶液Bの実施例
約80乃至120ml、好適には約100mlの親溶液Bを用いて、約0.1乃至10グラム、好適には約1グラムの硫酸銅を溶液に加える。攪拌して、金属塩が溶液に完全に溶解するまで加熱する。1010鋼のパネルを最大2分間溶液に浸す。接着性の目に見える銅の析出物が鋼試片上に形成する。亜鉛及び鋼といった活性金属上の接着性の銅プレートを析出する現実的な唯一の方法は、シアン化物浴を使用することである。シアン化物を含むメッキ浴で分注する多くの試みにかかわらず、環境的な制約のため、銅のシアン化物浴の実用的な代わりとなるものが開発されていなかった。シアン化物を用いない銅が外部起電力により価値のない浸漬析出を形成することが知られている。接着析出に関する標準的なASTM試験により、プラスチックの接着テープをプレート面に配置し、テープを引く。析出が浸漬析出の場合、銅はテープとともに剥がれる。析出が接着性の場合、銅はプラスチックの接着テープとともに剥がれない。プラスチックの接着テープを、このような実施例で銅の表面に適用した場合、銅の膜はくっついたままであった。
【0040】
硫酸アルミニウム親溶液Bの実施例
約80乃至120ml、好適には約100mlの親溶液Bを用いて、約0.1乃至10グラム、好適には約2グラムの硫酸アルミニウムを溶液に加える。攪拌して、完全に溶解するまで溶液を加熱する。1010鋼の試片を1分間溶液に浸す。薄くて強固な光沢のあるアルミニウムの接着性の膜が鋼の試片上に形成される。
【0041】
ホウ酸親溶液Bの実施例
約80乃至120ml、好適には約100mlの親溶液Bを用いて、約0.1乃至10グラム、好適には約2グラムのホウ酸を溶液に加える。攪拌して、完全に溶解するまで加熱する。1010鋼の試片を1分間溶液に浸す。薄くて強固な光沢のあるホウ素の膜が鋼の試片上に形成される。2”×2”のアルミニウムフォイルの試片を、溶液に浸した。ホウ素の薄膜がアルミニウム上に形成した。ステンレス鋼の試片を溶液に浸し、ホウ素の薄い金属膜がステンレス鋼上に形成した。
【0042】
タングステン酸アンモニウム親溶液Bの実施例
約80乃至120ml、好適には約100mlの親溶液Bを用いて、2ml、容量で12%のタングステン酸アンモニウムを溶液に加える。攪拌して、完全に溶解するまで加熱する。1010鋼の試片を1分間溶液に浸す。薄くて強固な光沢のあるタングステンの金属膜が鋼の試片上に形成される。
【0043】
親溶液A及び親溶液Bの組み合わせの実施例
約160mlの親溶液A及び約40mlの親溶液Bを組み合わせる。約10ml、重量で約49%の水酸化カリウムを加えることによって、水酸化カリウム含んだ組み合わせた溶液のpHを約12に上げる。攪拌して、水酸化カリウムが完全に溶解するまで加熱する。この溶液を、内燃機関の天然ガス又は揮発性のガソリンといった炭化水素流の中に噴霧して、燃料燃焼を促進し得る。溶液を内燃機関の吸気口に噴霧して、燃焼のために利用可能な空気の容量を増やし、燃焼効率を高めてもよい。
【0044】
親溶液A及びタングステン酸アンモニウム親溶液Bを組み合わせた石油誘導体の実施例
約160mlの親溶液A及び約40mlのタングステン酸アンモニウム親溶液Bを混合する。約200mlの高度に精製された鉱物油を用いて、親溶液A及びタングステン酸アンモニウム親溶液Bの約20ml(容量で10%)の混合溶液を鉱物油に混ぜる。100℃を上回る温度に上げることによって、この油剤を脱水し水分を除去して塩を析出させる。油剤が澄んで透明になると、オイルが冷えてオイルを移すことが可能となる。そして、移し替えたものをオイル添加剤又は燃料添加剤として使用し得る。タングステンは触媒特性を有することが知られている。燃料及び潤滑剤添加剤を製造するこのような方法によって、触媒特性を有する白金、鉄等の金属を使用し得る。
【0045】
転換面の実施例
3つの基板金属:ALCOAによって製造されたアルミニウムフォイル、1010炭素鋼、及び400シリーズのステンレス鋼を選択した。これらの基板金属は、世界で最も広く使用される金属の代表例として選択した。本発明によって生成された金属イオンを様々な金属基板上及びその中に析出してこれまで知られていない新たな金属面を得ることができることを示すために、金属イオン溶液を選択した。親溶液Aに従って金属イオン溶液を調整した。試料は、酸化物、土、錆又はオイルを取り除くよう予処理されていないが、それぞれの周囲条件で30秒間浸して、周囲の空気及び紙タオルを用いて乾燥した。そして、Vista Engineering of Birmingham,Alabama,USのEDS(Electron dispersive spectroscopy)で、試料を観察した。結果は図1乃至9の分析チャートに示す通りである。図1は、ステンレス鋼への銀−リン−カリウムの析出を示す。図2は、アルミニウムへのケイ素−リン−カリウムの析出を示す。図3は、ステンレス鋼へのケイ素−リン−カリウムの析出を示す。図4は、アルミニウムへの亜鉛−リン−カリウムの析出を示す。図5は、1010炭素鋼へのアルミニウム−リン−カリウムの析出を示す。図6は、1010炭素鋼への銅−リン−カリウムの析出を示す。図7は、1010炭素鋼へのモリブデン−リン−カリウムの析出を示す。図8は、ステンレス鋼へのモリブデン−リン−カリウムの析出を示す。図9は、油相から析出した1010炭素鋼へのケイ素−リン−カリウムの析出を示す。
【0046】
アルミニウム面に適用された金属コーティングの厚さ測定の実施例
モリブデン酸アンモニウム親溶液A及びホウ酸親溶液Bを、上記のように調整した。各溶液のコーティングをアルミニウム面に適用し、コーティングを乾燥することができた。アルミニウムコーティングの厚さを、NASA Marshall Flight Centerで既知の走査電子顕微鏡技術を用いて測定した。コーティングの厚さを、走査電子顕微鏡像から計算した。ホウ素コーティングの画像を図10に示し、モリブデンコーティングの画像を図11に示す。コーティング10が、バックグラウンド12を背景にアルミニウム金属11の面上に示されている。いくつかの測定が、コーティング10の長さ方向に沿って行われた。コーティングの平均厚さ±標準誤差は、モリブデンについて1.32±0.11ミクロン(n=7)で、ホウ素について1.22±0.25ミクロン(n=4)であった。
【0047】
窒素析出の実施例
現在の技術の下では、窒化物面の高価且つ非常に限定的な形成方法であるCVD(化学的蒸着)によって、窒素のみを金属基板上に蒸着し得る。また、本発明の方法は、析出される金属とともに金属基板に窒素を析出する。SEMの分析能力は、酸素及び周期律表の上述の元素の特定に限定される。酸素の原子量は8で、窒素の原子量は7である。EDAX(electron dispersive analytical x-ray)が、周期律表の6までの元素を特定し得る。ケイ素の水溶液を、上述の親溶液Aにしたがって調整した。様々な金属にコーティングを適用し、テキサス州ヒューストンのCorrmet研究所で試料をEDAXにかけた:結果は以下の通りである。図12は、EDAXチャート1による、1010炭素鋼上の窒素−ケイ素−カリウムの存在を示す。図13は、EDAXチャート2による、アルミニウム上の窒素−ケイ素−カリウムの存在を示す。図14は、EDAXチャート3による、ステンレス鋼上の窒素−ケイ素−カリウムの存在を示す。これらの解析結果は、基板上の窒素/金属面に関する全体的に新しい技術を、本発明の組成及び方法を用いて利用し得ることを示す。
【0048】
摩耗試験
Epsilon Linear Precision Test Machine,Tribology Testing Equipmentで、Engineered Lubricants,Maryland Heights,Moの標準的なオイルベースの潤滑剤と比較した摩耗試験を、本発明の乾燥塗膜コーティングに行った。この機械は、摩耗及び流体及びグリースの極圧特性を予測するよう用いられる。この機械は、試験期間を通して摩耗速度を予測し、トルク、摩擦、摩擦係数、試料の荷重、RPM、試料の温度、流体の温度、試料のサイクル、及び試験期間といった全ての他の指示変数と摩耗とをリアルタイムで比較する性能を有している。最大4000psiの条件下でVバーに対してピンが回転した状態で、ステンレス鋼のピン及びVバーを使用した。試験中にオイルで発生した熱を連続的に取り除く。ステンレス鋼のピン及びVブロックを、標準的な潤滑油で50分間試験した。摩耗を連続的に記録した。1Aステンレス鋼のピン及びVブロックを、本発明に係るケイ素/リン水溶液に1分間浸し、取り出して試験所に送った。摩耗試験を、予コーティングしたピン及びVブロックで50分間行った。試験結果は、オイルベースの潤滑剤及び本発明の乾燥塗膜が、本発明の0.06インチの摩耗具合と一致することを示した。このように、本発明のケイ素/リンの乾燥塗膜は、標準的な潤滑剤を用いた場合に観察されるのと同じ摩耗具合を有している。
【0049】
上述の記載は、本発明の特定の実施例に限定される。しかしながら、その利点のうちのいくつかを実現した状態で、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、開示された本発明の実施例に対してバリエーション及び改良が行われることが当業者にとって明らかである。例えば、本発明は、上述の金属に限定されず高融点金を含む全ての金属を含んでいる。溶液は、過酸化物、希少金属又は促進添加剤の使用を要しない。pHは、pHが転換面に関するイオンの析出にとって最良な溶液であるのに応じて、酸性、又は中性又はアルカリ性となる。さらに、Hardinプロセスで要する予処理及び予洗浄のステップなしに周囲温度で溶液を適用し得る。橋、陸橋及び他の金属構造物といった建造物に本溶液を適用し得る。転換面を形成するためのこれらの適用法は、コストを大幅に減らし、既に建造された金属構造物の不動態化が可能となる。他の金属表面技術は、ピンギング、グラスビーディング、亜鉛メッキを含んでいる。
【0050】
本発明の特性を説明するために上述のように説明及び図示した詳細、材質、及びパーツの配置の様々な変更を、以下の特許請求の範囲で挙げられている本発明の原理及び範囲から逸脱せずに当業者が行ってもよいことに留意されたい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属をコーティングするための組成及び工程に関し、特に、金属面をコーティングするための含水組成、及びこれらの含水組成を作製するための工程に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄系金属、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、亜鉛及びチタンといった一次産品としての金属に新たな転換面を形成するための多くの方法が開発されている。これらの方法は、電気メッキ、リン酸塩処理(転換面)、化学的蒸着、イオンスパッタリング、及び他の方法を有している。銀に関する初期の電気メッキ法は、1870年に英国で開発された。その後、貴金属、すなわち銅及び金をメッキする方法が開発された。これらの金属は、シアン化物と錯体を形成して基板金属に付着層を作製する必要があった。シアン化物の使用は、基板上に貴金属の第1の付着層を形成する依然として好適な方法である。非常に有毒な物質であるシアン化物は、環境に有害で公衆衛生に危険である。多くの安全処置がシアン化物を使用するために施さなければならず、その場合にも使用者は有毒な蒸気に晒される可能性があった。電気メッキ法は長年にわたって展開されており、亜鉛、カドミウム、ニッケル、及びクロムといった他の元素を電気メッキする方法が開発され、工業的及び装飾目的のために商業界で広く使用された。
【0003】
基板面への電気メッキ析出物は、基板面の金属格子間に入らない。このため、析出物は、基板が降伏点まで「冷間加工される」ときにそれらの整合性を保持するのに十分に強固ではない。亜鉛の電着物は61,000PSIの冷間加工によって、カドミウムは69,000PSIの冷間加工によって破壊される一方、鋼の基板は80,000PSI又はそれ以上の降伏点を有している。これは、電気メッキの産業で常に重要な問題であった。電気メッキ作業者は、所望の仕上がりを実現するための効果的な析出処理装置を作るのに多くの様々なパラメータを扱わなければならなかった。電気メッキは、前処理、前洗浄のための処置を要し、制御されたメッキ浴、及び特別なアノードのすすぎを要する。電気メッキは、一般に、より貴である金属をより卑な金属にメッキし得る電気化学系列の規則に従うが、その逆方向には従わない。これは、周期律表の全ての金属を周期律表の他の金属基板にメッキする能力を制限する。
【0004】
表面改質の別の方法はリン酸塩処理であり、リン酸塩の転換面が鋼又はアルミニウムに形成される。リン酸塩の転換面は、腐食抑制のためにそして塗装のためのベースとして広く用いられている。リン酸塩処理は、商業界で最も広く用いられている方法であり、主用途は自動車工業での腐食抑制のための下塗りとして、及び塗装を保持するため固定部として使用される。
【0005】
化成処理リン酸塩処理法は、メッキ浴を要し、エネルギー集約型であり、時間を費やす。リン酸塩処理法は、商業的に満足のいく付着転換面を得るのに少なくとも10分又は以上を要する。産業界は、長年にわたって転換処理をスピードアップするための多くの反応促進剤を開発している。
【0006】
20世紀の後半において、金属により良好な面を得るための新規且つ特殊な方法が開発された。これらの方法は、真空蒸着、スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、又はイオンプレーティングといった蒸着法による基板上へのコーティングで金属を改良した。これらの方法を使用して、タングステンカーバイドの挿入物、ドリル、歯切り工具等の金属の工具といった金属面を硬化し得る。化学的蒸着が真空チャンバの中で適用され、金属が窒素雰囲気中でイオン化され、基板上に蒸着され、基板の中に拡散する。これらの方法の結果のいくつかの例は、窒化チタン及び窒化ホウ素である。蒸着は一般に目視して確かめながら(line of sight)行うもので、このような工程は、基板金属の形状、大きさ及び配置を制限する。このような工程は高価であり、特別な機器及び高エネルギの使用を要する。蒸着が、温度、ガス組成等の厳格な条件の下で形成される。これらの方法により、多くの市販用の製品として有用で、濃密で、滑らかな、欠陥の無い表面を有する蒸着が得られる。
【0007】
多くの金属は、金属を腐食から保護するのに有用な不活性の酸化物面を形成する。このような金属は、アルミニウム及びステンレス鋼及びチタンである。ステンレス鋼上に形成する酸化膜は、表面を不活性にするナノ分子層である。炭素鋼上に形成する酸化膜は金属にとって有害であり、錆と称される。
【0008】
Hardinらに付与された米国特許第6,755,917号は、金属材料中の表面上の転換コーティングを与えるための溶液を説明している。溶液は過酸化物種を有しており、周期律表の1B、2B、4A、5A、6A及び8族の少なくとも1つの金属に限定される。また特に、Hardinは、本発明に係る転換コーティング溶液の補充のための酸性液の含水濃縮物を提供しており、その濃縮物は、トータルの希土類イオン:一価のアニオンが1:200乃至1:6のモル比の(ここで規定される)希土類イオン及び一価のアニオン及び/又はトータルの希土類イオン:二価のアニオンが1:100乃至1:3のモル比の希土類イオン及び二価のアニオンを含んでおり及び/又は濃縮物は1B、2B、4A、5A、6A及び7族、好適には、Cu,Ag,Au,Cd,Hg,Ni,Pd,Pt,Co,Rh,Ir,Ru,Os,Sn,Pb,Sb,Bi,Se及びTeから成る群及びアニオンから選択される少なくとも1つの金属を含み、この群のこれらの元素の合計とアニオンとのモル比が1:50乃至1:10,000となる。さらに、Hardinの方法は、酸性水溶液に限定される。
【0009】
ステンレス鋼上に存在する薄い分子単層の酸化膜が、金属に優れた表面安定化を与え得ることが知られている。腐食が金属面の薄い分子層によって1日で抑えられることが理論化されている。さらに、顕著な摩擦の減少が、薄くて強固な金属膜で得られることが理論化されている。
【0010】
1996年10月発行のScientific Americanで、Jacqueline Krim,PhDが、「Friction at the Atomic Scale」と題される論文を発表した。その研究成果により、「原子レベルの金属間の接触では摩擦が存在しない」という結論に至った。摩擦は互いに摺動する金属によって発生する熱を減らすための潤滑剤の使用によってのみ軽減し得る状態である、という多くの確信により、この驚くべき研究成果は疑問視された。別の驚くべき結論は、原子レベルでは、「摩擦は、面に近接する原子が対向面の原子の摺動作用によって動き出すときに、原子の格子振動に由来する。これらの振動は実際には音波である。この場合には、ある面から他の面に摺動するのに要する機械的なエネルギのいくつかが、音響エネルギに変換され、最終的には熱に変換される。」ということである。熱が摩擦の原因となる。摺動を保持するために、より多くの機械的なエネルギを加える必要がある。さらに、Krimは、「固体は、特定の個別の周波数のみで振動しているため、機械的なエネルギの総量は実際に励起された周波数に依存している。対向する面の原子が他の面の周波数に反響する場合に摩擦が上昇する。対向する面が他の面自身の周波数に反響しない場合、音波は発生しない。このような態様は、比較的少ない共振周波数を有する十分に小さい固体がほとんど摩擦無しの摺動を呈するという刺激的な可能性を開く。」と仮定している。
【0011】
Krimの研究の別の驚くべき結論は、ドライフィルムの方が液膜よりも滑り易いということである。これは、摩擦に関する全ての現状の考えに対して直観的に反している。他の科学者によるさらなる試験が、原子レベルでの金属間の接触が摩擦を無くし、液体潤滑剤により、「くっつき/スリップ」動作を具えた摩擦の原因となることを立証した。液体は金属の隙間に入り抜け出す。これにより、格子に振動が発生して音波が発生し、熱に変換されて摩擦の原因となる。
【0012】
予測によれば、摩擦の減少により、毎年国民総生産の最大1.6%又は200兆ドル以上を節約し得る。このため、日用の金属の摩擦を事実上無くす工程は新規且つ有用であるが、利用されていない。このような工程は大きな価値を有し、エネルギの自給のための国家が追求する大きな価値及び目的を有し、腐食した地下のパイプライン、貯蔵タンク、橋梁及び陸橋に関するインフラの交換のコストを大いに減らすことが明らかである。
【0013】
リン酸塩転換面は、デシベルレベルを減らすために商業プラントで使用される。高いデシベルレベルは作業現場における継続的な危険要因であり、人体の健康にとって有害になり、早晩聴力が低下してしまう。OSHA及びEPAといった政府規制機関は、工業界に対して製造作業においてより低いデシベルレベルに改良するよう常に求めている。このたように、デシベルレベルを減らす転換面が人体の健康にとって有益であり、作業現場の環境を改善する。
【0014】
Choiらに付与された米国特許第7,087,104号は、金属イオン、錯化剤、アンモニウム塩及び強塩基から成るグループの一部を含む溶液を貯蔵するためのシステム及び方法を記載している。グループ全体を含む無電解析出溶液を形成するために使用される。本発明の一実施例では、金属イオンがコバルトイオンを有しており、錯化剤がクエン酸を有しており、アンモニウム塩が塩化アンモニウムを有しており、強塩基が水酸化テトラメチルアンモニウムを有している。塩基溶液が調整され、その後2日間放置されることで、使用に先立って安定化し得る。別の溶液を調整し、その後、メッキ浴で使用直前に初めの溶液と混合する必要がある。これは、工場のメッキ浴の現場において最終的な調製品を作製するのに、複雑なロジスティック及び熟練した作業者を要する。
【0015】
McCoyらに付与された米国特許第5,310,419号では、金属の電気メッキ用及び他の用途の電解質溶液を調整するための方法が開示されている。外部電源の使用で、周期律表の全ての金属を導電基板上に電着し得ることを発見した。
【0016】
Defalcoらに付与された米国特許第5,340,788号では、内燃機関のパーツに適用されるオイル添加剤を調整するための方法が開示されており潤滑油を搬送流体として用いている。溶液が潤滑油の中に導入するためにポリエチレングリコールと混ぜられる。
【発明の概要】
【0017】
本発明は、金属間の接触による摩擦を実質的になくすために、金属といった導電基板上及び/又はその中に析出するための金属イオンを調整するための組成及び工程を提供する。それは、水溶性の実施例で使用されて全ての基板に新たな金属面を形成する。この工程は、導電基板上及び/又はその中に吸収又は吸収し得る金属及び非金属イオンの安定した水溶液を形成する。水溶液は、周期律表の元素の1族乃至8族から選択される水溶性の金属又は非金属塩と混合した、アンモニウムアルカリ金属リン酸塩、及び/又はアンモニウムアルカリ金属硫酸塩から成っている。水溶液により、導電基板上及び/又はその中に金属イオンをナノ析出し得る。析出した金属イオンで形成される表面は、金属の不動態を与えて炭化水素ベースの潤滑剤を使用せずに金属間の接触による摩擦を実質的になくす。
【0018】
イオン錯体を生成するための本発明の工程は、水溶性の反応媒体で実施され、イオン錯体を金属の対象体に転換面を形成する際の水溶液として使用する。無機のイオン錯体を調整するために、以下の反応を要する:a)周期律表の1乃至8族から選択される少なくとも1の水溶性の非アルカリ金属塩;b)水酸化アルカリ金属;c)鉱酸といった硫黄を含む化合物及び/又はリンを含む化合物;d)水酸化アンモニウム;及びe)水。反応物であるオルトリン酸、水、水酸化アンモニウム及び水酸化アルカリ金属を混ぜると、親溶液Aを生成する。発熱反応が生じ水溶液の温度が約100℃になる。そして、窒化銀、酸化亜鉛といった金属塩、硫酸アルミニウム、モリブデン酸アンモニウムといったアルミニウム塩、タングステン酸アンモニウム又は水溶性の金属塩の一定量の金属塩を、反応容器の中に導入し、攪拌し、金属塩が水媒体に全体的に溶解するまで加熱する。反応物である硫酸、水、水酸化アンモニウム及び水酸化アルカリ金属を混ぜると、親溶液Bを生成し得る。発熱反応が生じ水溶液の温度が約100℃になる。そして、ホウ酸、又は硫酸銅、又はモリブデン酸アンモニウムといった一定量の金属塩を反応容器に導入して溶解し得る。そして、金属イオンが水溶液に溶けるが析出せず安定化する。水酸化アルカリ金属は、基本的に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、周期律表の1A族の金属の水酸化物であるが、水酸化カリウムが好適な反応物である。
【0019】
また、金属の水溶液は金属面に窒素を析出する。摩耗試験が、水溶液の適用によって形成された金属コーティングがオイルベースの潤滑剤と同じぐらい効果的に金属の摩耗を減らす。
【0020】
本発明の利点は、今日の商業用途における現状の無電解の化学的蒸着又は電気メッキ技術の欠点及び制限が無い形態にかかわらず、構造体に溶液を適用し得ることである。
【0021】
別の利点は、ある場所に出荷することができる安定化溶液(ground stable solution)である。
【0022】
別の利点は、金属材料上に変換コーティングを形成するために水溶液を用いた簡単な工程である。
【0023】
別の利点は、全ての金属基板に対する酸化物フリーの転換面の形成である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、ステンレス鋼への銀−リン−カリウムの析出を示す。
【図2】図2は、アルミニウムへのケイ素−リン−カリウムの析出を示す。
【図3】図3は、ステンレス鋼へのケイ素−リン−カリウムの析出を示す。
【図4】図4は、アルミニウムへの亜鉛−リン−カリウムの析出を示す。
【図5】図5は、1010炭素鋼へのアルミニウム−リン−カリウムの析出を示す。
【図6】図6は、1010炭素鋼への銅−リン−カリウムの析出を示す。
【図7】図7は、1010炭素鋼へのモリブデン−リン−カリウムの析出を示す。
【図8】図8は、ステンレス鋼へのモリブデン−リン−カリウムの析出を示す。
【図9】図9は、油相から析出した1010炭素鋼へのケイ素−リン−カリウムの析出を示す。
【図10】図10は、走査型電子顕微鏡像による、アルミニウム上をコーティングするホウ素の厚さを示す。
【図11】図11は、走査型電子顕微鏡像による、アルミニウム上をコーティングするモリブデンの厚さを示す。
【図12】図12は、EDAXチャート1による、1010炭素鋼上の窒素−ケイ素−カリウムの存在を示す。
【図13】図13は、EDAXチャート2による、アルミニウム上の窒素−ケイ素−カリウムの存在を示す。
【図14】図14は、EDAXチャート3による、ステンレス鋼上の窒素−ケイ素−カリウムの存在を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明は、本発明の好適な実施例を詳述するが、本発明は他の実施例で可能であり様々な方法で実施し得るため、本発明は、その適用において、添付図面に図示されたパーツの構造及び配置の詳細に限定されないことに留意されたい。
【0026】
原子レベルでの金属間の摩擦を減らすための安価で効率的な簡単な適用方法を要する。驚くべきことに、本発明にしたがって金属イオンを生成する場合、そのようにして生成したイオンは金属の格子間に拡散する。驚くべきことに、生成したイオンは、電気化学系列の規則に従わない。すなわち、アルミニウムを鉄系金属に析出し得るが、これは従来の文献では予期されていない。驚くべきことに、本発明で生成した銀イオンは、太陽光の存在下で水溶液の中で光学的に安定のままである。光学的に安定な銀イオンは、米国特許第5,985,308号に記載されているようなイオンスパッタリングによる、又はアルコールといった様々な溶媒及び塩素アニオン供与化合物との錯体化を含む米国特許第6,897,349号に記載された方法による、高価な技術を通してのみ実現し得る。銀イオンは多くの研究対象となっている。銀イオンを安定化させる多くの既知の方法があるが、これらのいずれも水溶液を使用しない。短時間の浸漬、ブラッシング、噴霧による金属試片上の接着性の銀の析出面は大いに価値がある。水溶液で安定な銀イオンは、電子工学及び薬学で、例えばその抗菌特性のために傷の治療の包帯で及び医療機器に抗菌面を形成するために、広く適用されるであろう。
【0027】
本発明は、外部から適用される起電力の使用を要しないが、短時間の浸漬、ブラッシング、噴霧によって基板上に薄くて強固な金属膜を形成する。本発明の驚くべき発見は、新たな転換面を作製して基板上及びその中に単分子層を析出し得ることである。大部分のメッキ特性は、1ミル(23乃至24ミクロン)の析出厚さを要する。本発明は、導電基板上に0.05乃至10ミクロンの厚さの永久的な薄膜を提供する。
【0028】
本発明のイオン錯体の生成プロセスは、水溶性の反応媒体で実施され、金属の対象体に転換面を形成する際にイオン錯体を水溶液として使用する。無機のイオン錯体を調整するために、以下の反応を要する:a)周期律表の1乃至8族から選択される少なくとも1の水溶性の非アルカリ金属塩;b)水酸化アルカリ金属;c)鉱酸といった硫黄を含む化合物及び/又はリンを含む化合物;d)水酸化アンモニウム;及びe)水。
【0029】
非アルカリ金属塩反応物は、周期律表の1族乃至8族の非アルカリ金属由来である。適用可能な非アルカリ水溶液金属塩の代表的な非限定的な例は、1B族の銅、銀、金;2A族のベリリウム、マグネシウム;2B族の亜鉛、カドミウム;3A族のアルミニウム、ガリウム、インジウム;4A族のケイ素、スズ、鉛;4B族のチタン、ジルコニウム、ハフニウム;5A族のアンチモン、ビスマス;5B族のバナジウム、ニオブ、タンタル;6A族のセレン、テルル;6B族のクロム、モリブデン、タングステン;7B族のマンガン;及び8族の鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、ロジウム由来のものを有している。
【0030】
4A族の1つであるケイ素は非金属と考えられているが、概して金属元素として規定される一方、ケイ素は本発明の方法では非アルカリ金属として機能する。したがって、「周期律表の1乃至8族の非アルカリ金属」は、ケイ素を含む上記全て及びいくつかの及びそれに相当する金属を包含することを意味する。さらに認識すべきは、「周期律表の1乃至8族の非アルカリ金属」という用語は、1A族のアルカリ金属を含まないことである。アルカリ土類金属、2A族のカルシウム、ストロンチウム、及びバリウムは、同様にこの用語の範囲に含まれない。一方、2A族のベリリウム及びマグネシウムを、本発明の実施に適用例として採用することが可能であり、これらの金属はまた、ここで用いられる「周期律表の1乃至8族の非アルカリ金属」という表現に含まれる。また、非アルカリ金属塩の組み合わせを使用してもよい。
【0031】
反応物であるオルトリン酸、水、水酸化アンモニウム及び水酸化アルカリ金属を混ぜると、親溶液Aを生成し得る。発熱反応が生じ、水溶液の温度が約100℃になる。窒化銀、酸化亜鉛といった金属塩、硫酸アルミニウムといったアルミニウム塩、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム又は水溶性の金属塩の一定量を、反応容器に導入し、攪拌し、水性溶媒中で金属塩が全体的に溶解されるまで加熱し得る。水酸化アルカリ金属は、周期律表の1A族の水酸化物であり、主に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムであるが、好適な反応物は水酸化カリウムである。また、これらの水酸化アルカリ金属の組み合わせを使用してもよい。
【0032】
親溶液Aの調整
反応容器の中に、約0.5乃至1.5リットル、好適には、約1.0リットルの水、及び約0.5乃至1.5リットル、好適には約1.0リットル、容量で約75%乃至85%、好適には約80%のオルトリン酸を加える。そして、約0.5乃至1.5リットル、好適には、約1.0リットル、容量で約15乃至35%、好適には約26%の水酸化アンモニウムを加える。そして、約0.5乃至1.5リットル、好適には、約1.0リットル、容量で約20乃至60%、好適には約49%の水酸化カリウムを加える。
【0033】
反応物の硫酸、水、水酸化アンモニウム及び水酸化アルカリ金属を混合して親溶液Bを生成し得る。発熱反応が生じ、水溶液の温度が約100℃になる。そして、ホウ酸、又は硫酸銅、又はモリブデン酸アンモニウムを、反応容器の中に導入して溶解する。そして、金属イオンが水溶液に可溶となり、析出せずに安定化する。水酸化アルカリ金属は、周期律表の1A族の金属の水酸化物であり、主に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムであるが、水酸化カリウムが好適な反応物である。また、これらの水酸化アルカリ金属の組み合わせを用いてもよい。
【0034】
親溶液Bの調整
反応容器の中に、約1乃至3リットル、好適には、約2リットルの水、及び約0.5乃至1.5リットル、好適には約1リットルの濃硫酸を加える。そして、約0.5乃至1.5リットル、好適には、約1リットル、容量で約15乃至35%、好適には約26%の水酸化アンモニウムを加える。そして、約0.5乃至1.5リットル、好適には、約1リットル、容量で約20乃至60%、好適には約49%の水酸化カリウムを加える。反応は極端な発熱反応であるため注意を要する。
【0035】
窒化銀親溶液Aの実施例
約80乃至120ml、好適には約100mlの親溶液Aについて、リン酸を用いてこの溶液のpHを約7に調整する。約0.1乃至10グラム、好適には1グラムの窒化銀をこの溶液に加える。攪拌して銀塩が溶液に完全に溶解するまで加熱する。1010鋼の試片を窒化銀溶液に1分間浸す。鋼の試片上に薄くて、強固な、光沢のある銀の膜を形成する。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて面を観察する。銀は、シアン化物溶液及び外部から加えられる起電力を用いない場合は鋼上に接着析出を形成することが知られている。銀の析出のこのようなプロセスを、シアン化物及び外部から加えられる起電力の存在なしに実施して、強固な非浸漬析出を生成し得る。窒化銀溶液を、ガラス容器に入れ、数週間太陽光に晒す。銀が感光性でないことは、抗菌作用及び医療機器の表面の保護といった分野で大いに有用な本発明の安価なプロセスによって銀を安定化し得る。Alcoaの2”×2’のアルミニウムフォイルラップのシートを、窒化銀の溶液に接触させ表面に擦り付ける。アルミニウムフォイルの面を、銀の膜でコーティングする。410ステンレス鋼の試片を、1分間窒化銀溶液に浸漬する。薄くて強固な銀の膜が、ステンレス鋼上に形成する。
【0036】
綿のガーゼの包帯を、銀溶液に浸漬し、その後、数日間太陽光に晒す。この包帯が、銀イオンが太陽光に晒されるときに予期されるように黒色に変化しないことは、処理を施した包帯の衛生及び傷の治療のための抗菌包帯としての使用を意味している。ガーゼを施した包帯はプロパントーチの炎に晒すことが可能である。綿は火炎先端と直接接触すると焦げるが、ガーゼは着火せず、これは繊維の難燃剤としての銀溶液の使用を意味している。
【0037】
モリブデン酸アンモニウム親溶液Aの実施例
約80乃至120ml、好適には約100mlの親溶液Aを用いて、約0.1乃至10グラム、好適には約1グラムのモリブデン酸アンモニウムを溶液に加える。攪拌して、モリブデン酸アンモニウムが完全に溶解するまで加熱する。1010鋼の試片を1分間溶液の中に浸す。薄くて強固なモリブデン膜を鋼試片の上に形成する。2”×2”のアルミニウムフォイルの短冊片を、30秒間溶液に浸した。モリブデンの薄い析出がアルミニウム試片上に形成した。「Electroplating」Frederick A Lowenheim,McGraw Hill Book company,ページ141は、「電極電位の観点から、約5のpHの水溶液でタングステン及びモリブデンといった金属を電気メッキし得る。にもかかわらず(文字通り要求にかかわらず)、これらの金属は、水溶液から純金属の形態で析出できない」と記載している。このように、本発明は、鋼及び他の導電基板上にモリブデン表面を形成するための意外な方法を提供する。
【0038】
タングステン酸アンモニウム親溶液Aの実施例
約80乃至120ml、好適には約100mlの親溶液Aを用いて、約0.1乃至10グラム、好適には約1グラムのタングステン酸アンモニウムを溶液に加える。攪拌して、金属塩が完全に溶解するまで加熱する。1010鋼の試片を1分間溶液の中に浸す。薄くて、光沢のある強固なタングステン膜をステンレス試片の上に形成する。モリブデンのケースと同じように、本発明は、鋼上にタングステンを形成するための意外な方法を提供する。
【0039】
硫酸銅親溶液Bの実施例
約80乃至120ml、好適には約100mlの親溶液Bを用いて、約0.1乃至10グラム、好適には約1グラムの硫酸銅を溶液に加える。攪拌して、金属塩が溶液に完全に溶解するまで加熱する。1010鋼のパネルを最大2分間溶液に浸す。接着性の目に見える銅の析出物が鋼試片上に形成する。亜鉛及び鋼といった活性金属上の接着性の銅プレートを析出する現実的な唯一の方法は、シアン化物浴を使用することである。シアン化物を含むメッキ浴で分注する多くの試みにかかわらず、環境的な制約のため、銅のシアン化物浴の実用的な代わりとなるものが開発されていなかった。シアン化物を用いない銅が外部起電力により価値のない浸漬析出を形成することが知られている。接着析出に関する標準的なASTM試験により、プラスチックの接着テープをプレート面に配置し、テープを引く。析出が浸漬析出の場合、銅はテープとともに剥がれる。析出が接着性の場合、銅はプラスチックの接着テープとともに剥がれない。プラスチックの接着テープを、このような実施例で銅の表面に適用した場合、銅の膜はくっついたままであった。
【0040】
硫酸アルミニウム親溶液Bの実施例
約80乃至120ml、好適には約100mlの親溶液Bを用いて、約0.1乃至10グラム、好適には約2グラムの硫酸アルミニウムを溶液に加える。攪拌して、完全に溶解するまで溶液を加熱する。1010鋼の試片を1分間溶液に浸す。薄くて強固な光沢のあるアルミニウムの接着性の膜が鋼の試片上に形成される。
【0041】
ホウ酸親溶液Bの実施例
約80乃至120ml、好適には約100mlの親溶液Bを用いて、約0.1乃至10グラム、好適には約2グラムのホウ酸を溶液に加える。攪拌して、完全に溶解するまで加熱する。1010鋼の試片を1分間溶液に浸す。薄くて強固な光沢のあるホウ素の膜が鋼の試片上に形成される。2”×2”のアルミニウムフォイルの試片を、溶液に浸した。ホウ素の薄膜がアルミニウム上に形成した。ステンレス鋼の試片を溶液に浸し、ホウ素の薄い金属膜がステンレス鋼上に形成した。
【0042】
タングステン酸アンモニウム親溶液Bの実施例
約80乃至120ml、好適には約100mlの親溶液Bを用いて、2ml、容量で12%のタングステン酸アンモニウムを溶液に加える。攪拌して、完全に溶解するまで加熱する。1010鋼の試片を1分間溶液に浸す。薄くて強固な光沢のあるタングステンの金属膜が鋼の試片上に形成される。
【0043】
親溶液A及び親溶液Bの組み合わせの実施例
約160mlの親溶液A及び約40mlの親溶液Bを組み合わせる。約10ml、重量で約49%の水酸化カリウムを加えることによって、水酸化カリウム含んだ組み合わせた溶液のpHを約12に上げる。攪拌して、水酸化カリウムが完全に溶解するまで加熱する。この溶液を、内燃機関の天然ガス又は揮発性のガソリンといった炭化水素流の中に噴霧して、燃料燃焼を促進し得る。溶液を内燃機関の吸気口に噴霧して、燃焼のために利用可能な空気の容量を増やし、燃焼効率を高めてもよい。
【0044】
親溶液A及びタングステン酸アンモニウム親溶液Bを組み合わせた石油誘導体の実施例
約160mlの親溶液A及び約40mlのタングステン酸アンモニウム親溶液Bを混合する。約200mlの高度に精製された鉱物油を用いて、親溶液A及びタングステン酸アンモニウム親溶液Bの約20ml(容量で10%)の混合溶液を鉱物油に混ぜる。100℃を上回る温度に上げることによって、この油剤を脱水し水分を除去して塩を析出させる。油剤が澄んで透明になると、オイルが冷えてオイルを移すことが可能となる。そして、移し替えたものをオイル添加剤又は燃料添加剤として使用し得る。タングステンは触媒特性を有することが知られている。燃料及び潤滑剤添加剤を製造するこのような方法によって、触媒特性を有する白金、鉄等の金属を使用し得る。
【0045】
転換面の実施例
3つの基板金属:ALCOAによって製造されたアルミニウムフォイル、1010炭素鋼、及び400シリーズのステンレス鋼を選択した。これらの基板金属は、世界で最も広く使用される金属の代表例として選択した。本発明によって生成された金属イオンを様々な金属基板上及びその中に析出してこれまで知られていない新たな金属面を得ることができることを示すために、金属イオン溶液を選択した。親溶液Aに従って金属イオン溶液を調整した。試料は、酸化物、土、錆又はオイルを取り除くよう予処理されていないが、それぞれの周囲条件で30秒間浸して、周囲の空気及び紙タオルを用いて乾燥した。そして、Vista Engineering of Birmingham,Alabama,USのEDS(Electron dispersive spectroscopy)で、試料を観察した。結果は図1乃至9の分析チャートに示す通りである。図1は、ステンレス鋼への銀−リン−カリウムの析出を示す。図2は、アルミニウムへのケイ素−リン−カリウムの析出を示す。図3は、ステンレス鋼へのケイ素−リン−カリウムの析出を示す。図4は、アルミニウムへの亜鉛−リン−カリウムの析出を示す。図5は、1010炭素鋼へのアルミニウム−リン−カリウムの析出を示す。図6は、1010炭素鋼への銅−リン−カリウムの析出を示す。図7は、1010炭素鋼へのモリブデン−リン−カリウムの析出を示す。図8は、ステンレス鋼へのモリブデン−リン−カリウムの析出を示す。図9は、油相から析出した1010炭素鋼へのケイ素−リン−カリウムの析出を示す。
【0046】
アルミニウム面に適用された金属コーティングの厚さ測定の実施例
モリブデン酸アンモニウム親溶液A及びホウ酸親溶液Bを、上記のように調整した。各溶液のコーティングをアルミニウム面に適用し、コーティングを乾燥することができた。アルミニウムコーティングの厚さを、NASA Marshall Flight Centerで既知の走査電子顕微鏡技術を用いて測定した。コーティングの厚さを、走査電子顕微鏡像から計算した。ホウ素コーティングの画像を図10に示し、モリブデンコーティングの画像を図11に示す。コーティング10が、バックグラウンド12を背景にアルミニウム金属11の面上に示されている。いくつかの測定が、コーティング10の長さ方向に沿って行われた。コーティングの平均厚さ±標準誤差は、モリブデンについて1.32±0.11ミクロン(n=7)で、ホウ素について1.22±0.25ミクロン(n=4)であった。
【0047】
窒素析出の実施例
現在の技術の下では、窒化物面の高価且つ非常に限定的な形成方法であるCVD(化学的蒸着)によって、窒素のみを金属基板上に蒸着し得る。また、本発明の方法は、析出される金属とともに金属基板に窒素を析出する。SEMの分析能力は、酸素及び周期律表の上述の元素の特定に限定される。酸素の原子量は8で、窒素の原子量は7である。EDAX(electron dispersive analytical x-ray)が、周期律表の6までの元素を特定し得る。ケイ素の水溶液を、上述の親溶液Aにしたがって調整した。様々な金属にコーティングを適用し、テキサス州ヒューストンのCorrmet研究所で試料をEDAXにかけた:結果は以下の通りである。図12は、EDAXチャート1による、1010炭素鋼上の窒素−ケイ素−カリウムの存在を示す。図13は、EDAXチャート2による、アルミニウム上の窒素−ケイ素−カリウムの存在を示す。図14は、EDAXチャート3による、ステンレス鋼上の窒素−ケイ素−カリウムの存在を示す。これらの解析結果は、基板上の窒素/金属面に関する全体的に新しい技術を、本発明の組成及び方法を用いて利用し得ることを示す。
【0048】
摩耗試験
Epsilon Linear Precision Test Machine,Tribology Testing Equipmentで、Engineered Lubricants,Maryland Heights,Moの標準的なオイルベースの潤滑剤と比較した摩耗試験を、本発明の乾燥塗膜コーティングに行った。この機械は、摩耗及び流体及びグリースの極圧特性を予測するよう用いられる。この機械は、試験期間を通して摩耗速度を予測し、トルク、摩擦、摩擦係数、試料の荷重、RPM、試料の温度、流体の温度、試料のサイクル、及び試験期間といった全ての他の指示変数と摩耗とをリアルタイムで比較する性能を有している。最大4000psiの条件下でVバーに対してピンが回転した状態で、ステンレス鋼のピン及びVバーを使用した。試験中にオイルで発生した熱を連続的に取り除く。ステンレス鋼のピン及びVブロックを、標準的な潤滑油で50分間試験した。摩耗を連続的に記録した。1Aステンレス鋼のピン及びVブロックを、本発明に係るケイ素/リン水溶液に1分間浸し、取り出して試験所に送った。摩耗試験を、予コーティングしたピン及びVブロックで50分間行った。試験結果は、オイルベースの潤滑剤及び本発明の乾燥塗膜が、本発明の0.06インチの摩耗具合と一致することを示した。このように、本発明のケイ素/リンの乾燥塗膜は、標準的な潤滑剤を用いた場合に観察されるのと同じ摩耗具合を有している。
【0049】
上述の記載は、本発明の特定の実施例に限定される。しかしながら、その利点のうちのいくつかを実現した状態で、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、開示された本発明の実施例に対してバリエーション及び改良が行われることが当業者にとって明らかである。例えば、本発明は、上述の金属に限定されず高融点金を含む全ての金属を含んでいる。溶液は、過酸化物、希少金属又は促進添加剤の使用を要しない。pHは、pHが転換面に関するイオンの析出にとって最良な溶液であるのに応じて、酸性、又は中性又はアルカリ性となる。さらに、Hardinプロセスで要する予処理及び予洗浄のステップなしに周囲温度で溶液を適用し得る。橋、陸橋及び他の金属構造物といった建造物に本溶液を適用し得る。転換面を形成するためのこれらの適用法は、コストを大幅に減らし、既に建造された金属構造物の不動態化が可能となる。他の金属表面技術は、ピンギング、グラスビーディング、亜鉛メッキを含んでいる。
【0050】
本発明の特性を説明するために上述のように説明及び図示した詳細、材質、及びパーツの配置の様々な変更を、以下の特許請求の範囲で挙げられている本発明の原理及び範囲から逸脱せずに当業者が行ってもよいことに留意されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面に析出するための非アルカリ金属の水溶液を生成するための工程であって、
1)オルトリン酸を含む水溶液を形成するステップと;
2)ステップ1の溶液に水酸化アンモニウムを加えるステップと;
3)ステップ1及び2によって生成した溶液に水中の水酸化アルカリ金属を加えるステップと;
4)ステップ1、2及び3によって生成した溶液に非アルカリ金属塩を加えるステップと;
を含むことを特徴とする工程。
【請求項2】
ステップ1が、さらに、水0.5乃至1.5部対75%乃至85%のオルトリン酸0.5乃至1.5部の溶液を形成するステップを含んでおり;
ステップ2が、さらに、ステップ1の溶液に、20乃至30%の水酸化アンモニウム0.5乃至1.5部を加えるステップを含んでおり;
ステップ3が、さらに、ステップ1及び2によって生成した溶液に、40%乃至60%の水中の水酸化アルカリ金属0.5乃至1.5部を加えるステップを含んでおり;
ステップ4が、さらに、ステップ1、2及び3によって生成された各80乃至100mlの溶液に、0.1乃至10グラムの非アルカリ金属塩を加えるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の工程。
【請求項3】
前記非アルカリ金属塩が、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、すず、鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、ビスマス、バナジウム、ニオブ、タンタル、セレニウム、テルル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、又はロジウム、又はそれらの組み合わせの塩であることを特徴とする請求項1に記載の工程。
【請求項4】
前記水酸化アルカリ金属が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の工程。
【請求項5】
面に析出するための非アルカリ金属の水溶液を生成するための工程であって、
1)水0.5乃至1.5部対75%乃至85%のオルトリン酸0.5乃至1.5部の溶液を形成するステップと;
2)ステップ1の溶液に、20乃至30%の水酸化アンモニウム0.5乃至1.5部を加えるステップと;
3)ステップ1及び2によって生成した溶液に、40%乃至60%の水中の水酸化アルカリ金属0.5乃至1.5部を加えるステップと;
4)ステップ1、2及び3によって生成された各80乃至100mlの溶液に、0.1乃至10グラムの非アルカリ金属塩を加えるステップと;
を含むことを特徴とする工程。
【請求項6】
前記非アルカリ金属塩が、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、すず、鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、ビスマス、バナジウム、ニオブ、タンタル、セレニウム、テルル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、又はロジウム、又はそれらの組み合わせの塩であることを特徴とする請求項5に記載の工程。
【請求項7】
前記水酸化アルカリ金属が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項6に記載の工程。
【請求項8】
面に析出するための非アルカリ金属の水溶液を生成するための工程であって、
1)硫酸を含む水溶液を形成するステップと;
2)ステップ1の溶液に水酸化アンモニウムを加えるステップと;
3)ステップ1及び2によって生成した溶液に水中の水酸化アルカリ金属を加えるステップと;
4)ステップ1、2及び3によって生成した溶液に非アルカリ金属塩を加えるステップと;
を含むことを特徴とする工程。
【請求項9】
ステップ1が、さらに、水0.5乃至1.5部対濃硫酸0.5乃至1.5部の溶液を形成するステップを含んでおり;
ステップ2が、さらに、ステップ1の溶液に、20乃至30%の水酸化アンモニウム0.5乃至1.5部を加えるステップを含んでおり;
ステップ3が、さらに、ステップ1及び2によって生成した溶液に、40%乃至60%の水中の水酸化アルカリ金属0.5乃至1.5部を加えるステップを含んでおり;
ステップ4が、さらに、ステップ1、2及び3によって生成された各80乃至100mlの溶液に、0.1乃至10グラムの非アルカリ金属塩を加えるステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の工程。
【請求項10】
前記非アルカリ金属塩が、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、すず、鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、ビスマス、バナジウム、ニオブ、タンタル、セレニウム、テルル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、又はロジウム、又はそれらの組み合わせの塩であることを特徴とする請求項8に記載の工程。
【請求項11】
前記水酸化アルカリ金属が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項8に記載の工程。
【請求項12】
面に析出するための非アルカリ金属の水溶液を生成するための工程であって、
1)水0.5乃至1.5部対濃硫酸0.5乃至1.5部の溶液を形成するステップと;
2)ステップ1の溶液に、20乃至30%の水酸化アンモニウム0.5乃至1.5部を加えるステップと;
3)ステップ1及び2によって生成した溶液に、40%乃至60%の水中の水酸化アルカリ金属0.5乃至1.5部を加えるステップと;
4)ステップ1、2及び3によって生成された各80乃至100mlの溶液に、0.1乃至10グラムの非アルカリ金属塩を加えるステップと;
を含むことを特徴とする工程。
【請求項13】
前記非アルカリ金属塩が、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、すず、鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、ビスマス、5B族のバナジウム、ニオブ、タンタル、セレニウム、テルル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、又はロジウム、又はそれらの組み合わせの塩であることを特徴とする請求項12に記載の工程。
【請求項14】
前記水酸化アルカリ金属が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項13に記載の工程。
【請求項15】
非アルカリ金属塩の含水組成物であって、
水、鉱酸、水酸化アンモニウム、水酸化アルカリ金属、及び非アルカリ金属塩を具えることを特徴とする含水組成物。
【請求項16】
前記鉱酸が、オルトリン酸又は硫酸であることを特徴とする請求項15に記載の含水組成物。
【請求項17】
前記非アルカリ金属塩が、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、すず、鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、ビスマス、バナジウム、ニオブ、タンタル、セレニウム、テルル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、又はロジウム、又はそれらの組み合わせの塩であることを特徴とする請求項16に記載の含水組成物。
【請求項18】
前記水酸化アルカリ金属が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項17に記載の含水組成物。
【請求項19】
前記非アルカリ金属塩が、前記含水組成物を前記表面に塗布したときに、金属の前記表面に0.05乃至10ミクロン厚の永久コーティングを形成し、
前記コーティングが、前記金属の表面の摩耗を減らすことを特徴とする請求項18に記載の含水組成物。
【請求項20】
前記非アルカリ金属塩が、前記含水組成物を前記表面に塗布したときに、金属の前記表面に0.05乃至10ミクロン厚の永久コーティングを形成し、
前記含水組成物が請求項1の工程によって生成されることを特徴とする請求項15に記載の含水組成物。
【請求項21】
前記非アルカリ金属塩が、前記含水組成物を前記表面に塗布したときに、金属の前記表面に0.05乃至10ミクロン厚の永久コーティングを形成し、
前記含水組成物が請求項8の工程によって生成されることを特徴とする請求項15に記載の含水組成物。
【請求項1】
面に析出するための非アルカリ金属の水溶液を生成するための工程であって、
1)オルトリン酸を含む水溶液を形成するステップと;
2)ステップ1の溶液に水酸化アンモニウムを加えるステップと;
3)ステップ1及び2によって生成した溶液に水中の水酸化アルカリ金属を加えるステップと;
4)ステップ1、2及び3によって生成した溶液に非アルカリ金属塩を加えるステップと;
を含むことを特徴とする工程。
【請求項2】
ステップ1が、さらに、水0.5乃至1.5部対75%乃至85%のオルトリン酸0.5乃至1.5部の溶液を形成するステップを含んでおり;
ステップ2が、さらに、ステップ1の溶液に、20乃至30%の水酸化アンモニウム0.5乃至1.5部を加えるステップを含んでおり;
ステップ3が、さらに、ステップ1及び2によって生成した溶液に、40%乃至60%の水中の水酸化アルカリ金属0.5乃至1.5部を加えるステップを含んでおり;
ステップ4が、さらに、ステップ1、2及び3によって生成された各80乃至100mlの溶液に、0.1乃至10グラムの非アルカリ金属塩を加えるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の工程。
【請求項3】
前記非アルカリ金属塩が、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、すず、鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、ビスマス、バナジウム、ニオブ、タンタル、セレニウム、テルル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、又はロジウム、又はそれらの組み合わせの塩であることを特徴とする請求項1に記載の工程。
【請求項4】
前記水酸化アルカリ金属が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の工程。
【請求項5】
面に析出するための非アルカリ金属の水溶液を生成するための工程であって、
1)水0.5乃至1.5部対75%乃至85%のオルトリン酸0.5乃至1.5部の溶液を形成するステップと;
2)ステップ1の溶液に、20乃至30%の水酸化アンモニウム0.5乃至1.5部を加えるステップと;
3)ステップ1及び2によって生成した溶液に、40%乃至60%の水中の水酸化アルカリ金属0.5乃至1.5部を加えるステップと;
4)ステップ1、2及び3によって生成された各80乃至100mlの溶液に、0.1乃至10グラムの非アルカリ金属塩を加えるステップと;
を含むことを特徴とする工程。
【請求項6】
前記非アルカリ金属塩が、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、すず、鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、ビスマス、バナジウム、ニオブ、タンタル、セレニウム、テルル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、又はロジウム、又はそれらの組み合わせの塩であることを特徴とする請求項5に記載の工程。
【請求項7】
前記水酸化アルカリ金属が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項6に記載の工程。
【請求項8】
面に析出するための非アルカリ金属の水溶液を生成するための工程であって、
1)硫酸を含む水溶液を形成するステップと;
2)ステップ1の溶液に水酸化アンモニウムを加えるステップと;
3)ステップ1及び2によって生成した溶液に水中の水酸化アルカリ金属を加えるステップと;
4)ステップ1、2及び3によって生成した溶液に非アルカリ金属塩を加えるステップと;
を含むことを特徴とする工程。
【請求項9】
ステップ1が、さらに、水0.5乃至1.5部対濃硫酸0.5乃至1.5部の溶液を形成するステップを含んでおり;
ステップ2が、さらに、ステップ1の溶液に、20乃至30%の水酸化アンモニウム0.5乃至1.5部を加えるステップを含んでおり;
ステップ3が、さらに、ステップ1及び2によって生成した溶液に、40%乃至60%の水中の水酸化アルカリ金属0.5乃至1.5部を加えるステップを含んでおり;
ステップ4が、さらに、ステップ1、2及び3によって生成された各80乃至100mlの溶液に、0.1乃至10グラムの非アルカリ金属塩を加えるステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の工程。
【請求項10】
前記非アルカリ金属塩が、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、すず、鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、ビスマス、バナジウム、ニオブ、タンタル、セレニウム、テルル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、又はロジウム、又はそれらの組み合わせの塩であることを特徴とする請求項8に記載の工程。
【請求項11】
前記水酸化アルカリ金属が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項8に記載の工程。
【請求項12】
面に析出するための非アルカリ金属の水溶液を生成するための工程であって、
1)水0.5乃至1.5部対濃硫酸0.5乃至1.5部の溶液を形成するステップと;
2)ステップ1の溶液に、20乃至30%の水酸化アンモニウム0.5乃至1.5部を加えるステップと;
3)ステップ1及び2によって生成した溶液に、40%乃至60%の水中の水酸化アルカリ金属0.5乃至1.5部を加えるステップと;
4)ステップ1、2及び3によって生成された各80乃至100mlの溶液に、0.1乃至10グラムの非アルカリ金属塩を加えるステップと;
を含むことを特徴とする工程。
【請求項13】
前記非アルカリ金属塩が、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、すず、鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、ビスマス、5B族のバナジウム、ニオブ、タンタル、セレニウム、テルル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、又はロジウム、又はそれらの組み合わせの塩であることを特徴とする請求項12に記載の工程。
【請求項14】
前記水酸化アルカリ金属が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項13に記載の工程。
【請求項15】
非アルカリ金属塩の含水組成物であって、
水、鉱酸、水酸化アンモニウム、水酸化アルカリ金属、及び非アルカリ金属塩を具えることを特徴とする含水組成物。
【請求項16】
前記鉱酸が、オルトリン酸又は硫酸であることを特徴とする請求項15に記載の含水組成物。
【請求項17】
前記非アルカリ金属塩が、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、すず、鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、ビスマス、バナジウム、ニオブ、タンタル、セレニウム、テルル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、又はロジウム、又はそれらの組み合わせの塩であることを特徴とする請求項16に記載の含水組成物。
【請求項18】
前記水酸化アルカリ金属が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項17に記載の含水組成物。
【請求項19】
前記非アルカリ金属塩が、前記含水組成物を前記表面に塗布したときに、金属の前記表面に0.05乃至10ミクロン厚の永久コーティングを形成し、
前記コーティングが、前記金属の表面の摩耗を減らすことを特徴とする請求項18に記載の含水組成物。
【請求項20】
前記非アルカリ金属塩が、前記含水組成物を前記表面に塗布したときに、金属の前記表面に0.05乃至10ミクロン厚の永久コーティングを形成し、
前記含水組成物が請求項1の工程によって生成されることを特徴とする請求項15に記載の含水組成物。
【請求項21】
前記非アルカリ金属塩が、前記含水組成物を前記表面に塗布したときに、金属の前記表面に0.05乃至10ミクロン厚の永久コーティングを形成し、
前記含水組成物が請求項8の工程によって生成されることを特徴とする請求項15に記載の含水組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2010−529299(P2010−529299A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511270(P2010−511270)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/065602
【国際公開番号】WO2008/151173
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(509332006)ディーエフエイチエス,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/065602
【国際公開番号】WO2008/151173
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(509332006)ディーエフエイチエス,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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