説明

導電性接着部材および太陽電池モジュール

【課題】導電性および耐久性に優れる導電性接着部材および太陽電池モジュールを提供すること。
【解決手段】導電性接着テープ1は、前後方向に沿って連続的に露出する導体領域2と、導体領域2に沿って露出する接着領域3とを備える。導電性接着テープ1を、太陽電池モジュール18における太陽電池セル19で生成するキャリヤを集電する集電電極17として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、導電性接着部材および太陽電池モジュール、詳しくは、集電電極として好適に用いられる導電性接着部材およびそれを備える太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種電気機器の接続端子間の接続に、導電性および接着性を併有する導電性接着テープなどの導電性接着部材が用いられている。
【0003】
例えば、導電性裏材と、その表面を被覆する接着剤層とを有し、導電性裏材に突起が形成される、導電性を示す接着性テープが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1の接着性テープでは、突起の表面における接着剤層が、絶縁破壊を生ずる厚さで形成されており、接着剤層が基材に接着され、そして、基材に電流が流れると、上記した接着剤層が絶縁破壊を生じ、これによって、基材と導電性裏材とが、接着剤層を介して導通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭47−51798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、近年、導電性接着テープには、より一層優れた導電性が求められており、特許文献1の接着性テープでは、使用時に、導電性裏材と基材との間に接着剤層が介在することから、導電性が不十分であるという不具合がある。
【0007】
また、導電性接着テープには、導電性を長期にわたって維持することができる優れた耐久性も求められる。
【0008】
本発明の目的は、導電性および耐久性に優れる導電性接着部材および太陽電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の導電性接着部材は、一方向に沿って連続的に露出する導体領域と、前記導体領域に沿って露出する接着領域とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の導電性接着部材では、前記接着領域が、前記導体領域の両側に配置されていることが好適である。
【0011】
また、本発明の導電性接着部材では、前記導体領域は、複数の線条部を備えていることが好適である。
【0012】
また、本発明の導電性接着部材では、凹部を備える導体部と、前記凹部に充填される接着部とを備え、前記接着領域が、前記接着部であり、前記導体領域が、前記接着部から露出する前記導体部であることが好適である。
【0013】
また、本発明の導電性接着部材では、前記導体領域は、表面に形成される低融点金属層を備えることが好適である。
【0014】
また、本発明の導電性接着部材は、太陽電池セルで生成するキャリヤを集電する集電電極として用いられることが好適である。
【0015】
また、本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池セルと、前記太陽電池セルで生成するキャリヤを集電する集電電極として用いられる上記した導電性接着部材とを備えることを特徴している。
【発明の効果】
【0016】
本発明の導電性接着部材では、導体領域は、露出しているので、被着体と確実に接触することができ、しかも、一方向に沿って連続的に露出しているので、被着体との接触面積を十分に確保することができる。
【0017】
また、接着領域は、導体領域に沿って露出しているので、被着体に接着されることにより、導体領域を被着体に確実に接触させることができるとともに、その接触状態を長期にわたって維持することができる。
【0018】
さらに、接着領域が被着体に接着されると、導体領域と被着体とが直接接触されるので、接着領域が導体領域と被着体との間に浸入することを防止することができる。
【0019】
そのため、導体領域と被着体との優れた導電性、および、その導電性を長期にわたって維持することのできる優れた耐久性を確保することができ、本発明の導電性接着部材は、導電性および耐久性に優れている。
【0020】
そして、本発明の導電性接着部材を集電電極として用いることにより、太陽電池セルで生成するキャリヤを確実に集電することができ、太陽電池セルと導電性接着部材とを備える太陽電池モジュールは、発電効率が優れている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の導電性接着部材の一実施形態としての導電性接着テープの斜視図を示す。
【図2】図2は、図1に示す導電性接着テープを製造する方法を説明するための工程図であって、(a)は、導体板を用意する工程、(b)は、低融点金属層を形成する工程、(c)は、導体板を曲げ加工する工程、(d)は、接着部を形成する工程を示す。
【図3】図3は、図2(c)の導体板を曲げ加工する工程を説明する斜視図を示す。
【図4】図4は、図2(d)の接着部を形成する工程を説明する斜視図を示す。
【図5】図5は、本発明の太陽電池モジュールの一実施形態(光電変換部がアモルファスシリコン系である態様)の斜視図を示す。
【図6】図6は、端子および集電電極の接続構造(左側部分)を説明する拡大斜視図を示す。
【図7】図7は、図6の接続構造の側断面図を示す。
【図8】図8は、図6の接続構造の正断面図を示す。
【図9】図9は、本発明の導電性接着部材の他の実施形態としての導電性接着テープ(低融点金属層が形成されない態様)の斜視図を示す。
【図10】図10は、本発明の導電性接着部材の他の実施形態としての導電性接着テープ(導体部が断面略葛折り状に形成される態様)の斜視図を示す。
【図11】図11は、本発明の導電性接着部材の他の実施形態としての導電性接着テープ(導体部が断面略櫛形状に形成される態様)の斜視図を示す。
【図12】図12は、図11に示す導電性接着テープを製造する方法を説明するための工程図であって、(a)は、導体シートを用意する工程、(b)は、エッチングレジストを形成する工程、(c)は、導体シートをハーフエッチングする工程、(d)は、接着部を充填する工程を示す。
【図13】図13は、図11に示す導電性接着テープを製造する方法を説明するための工程図であって、(a)は、導体シートを用意する工程、(b)は、めっきレジストを形成する工程、(c)は、突出部を形成する工程、(d)は、接着部を充填する工程を示す。
【図14】図14は、本発明の導電性接着部材の他の実施形態としての導電性接着テープ(導体部が断面略楕円形状の導線を備える態様)の斜視図を示す。
【図15】図15は、図14に示す導電性接着テープを製造する方法を説明するための工程図であって、(a)は、接着部を形成する工程、(b)は、導線を用意する工程、(c)は、導線を接着部に圧入する工程を示す。
【図16】図16は、本発明の導電性接着部材の他の実施形態としての導電性接着テープ(導体部が断面略矩形状の導体を備える態様)の斜視図を示す。
【図17】図17は、図16に示す導電性接着テープを製造する方法を説明するための工程図であって、(a)は、離型シートの上に導体シートを積層する工程、(b)は、導体シートにおいて、接着部に対応する部分を除去する工程、(c)は、接着部を形成する工程を示す。
【図18】図18は、本発明の導電性接着部材の他の実施形態としての導電性接着テープ(接着部が導体部の上側および下側に形成される態様)の斜視図を示す。
【図19】図19は、本発明の太陽電池モジュールの他の実施形態(光電変換部が結晶シリコン系である態様)の斜視図を示す。
【図20】図20は、図19で示す太陽電池モジュールの平面図を示す。
【図21】図21は、図20で示す太陽電池モジュールの拡大図であり、A−A線に沿う側断面図を示す。
【図22】図22は、実施例の評価(接触抵抗試験)に用いられる試験片と端子との接続状態を説明する斜視図を示す。
【図23】図23は、接触抵抗試験における抵抗、および、導体領域と端子との接触面積の関係を示すグラフである。
【図24】図24は、実施例の評価(耐久試験)に用いられる評価用サンプルの平面図を示す。
【図25】図25は、図24に示す実施例の評価用サンプルのB−B線に沿う正断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の導電性接着部材の一実施形態としての導電性接着テープの斜視図、図2は、図1に示す導電性接着テープを製造する方法を説明するための工程図、図3は、図2(c)の導体板を曲げ加工する工程を説明する斜視図、図4は、図2(d)の接着部を形成する工程を説明する斜視図を示す。
【0023】
なお、図2において、紙面上下方向を上下方向、紙面左右方向を左右方向、紙面奥行き方向を前後方向として説明し、以下の各図面の方向は、図2に記載される方向に準拠する。
【0024】
図1および図2(d)において、この導電性接着テープ1は、前後方向に長い長尺テープ状に形成されており、導体部4と、接着部5とを備えている。
【0025】
導体部4は、断面(上下方向および左右方向に沿う断面)略S字波形状に成形された1つのシート(波板)として形成されている。具体的には、導体部4は、上側に向かって略円弧状(略半円弧状)に出張る複数の上部6と、各上部6の左右方向両端部から下側に向かって略円弧状(略半円弧状)に出張る複数の下部7とを一体的に備えている。従って、上部6の左右方向中央部は、上部6の最上部に位置する頂部8とされ、下部7の左右方向中央部は、下部7の最下部に位置する底部9とされる。
【0026】
各上部6および各下部7は、左右方向に沿って交互に設けられている。また、左右方向における各頂部8間の導体部4が、上方に向かって開放される凹部としての上側凹部11とされ、左右方向における各底部9間の導体部4が、下方に向かって開放される下側凹部12とされる。
【0027】
導体部4の寸法は、頂部8の上面と底部9の上面との間の長さL1が、例えば、10〜100μm、好ましくは、20〜50μmである。長さL1が上記した範囲を超えると、接着剤の充填量が多くなり、硬化時間が長くなる場合や、材料の使用量が多くなり、コストが高くなる場合がある。一方、長さL1が上記した範囲に満たないと、接着剤の充填量が少なくなり、十分な接着強度が得られない場合がある。
【0028】
左右方向における各頂部8間の長さL2、つまり、頂部8のピッチL2は、左右方向における各底部9間の長さL3、つまり、底部9のピッチL3と略同一であり、具体的には、例えば、0.5〜2.0mm、好ましくは、0.5〜1.0mmである。頂部8のピッチL2および底部9のピッチL3が上記した範囲を超えると、接着面積が減少し、幅の広い導電性接着テープ1が必要となる場合があり、頂部8のピッチL2および底部9のピッチL3が上記した範囲に満たないと、高精度の加工技術が必要となり、コストが高くなる場合がある。
【0029】
導体部4の厚みT1は、例えば、10〜100μm、好ましくは、20〜80μm、さらに好ましくは、30〜60μmである。導体部4の厚みT1が上記した範囲に満たないと、十分な強度を得ることができない場合があり、導体部4の厚みT1が上記した範囲を超えると、製造コストが増大する場合がある。
【0030】
また、導体部4の表面には、低融点金属層10が形成されている。
【0031】
低融点金属層10は、導体部4の上面全面および下面全面に積層される薄膜として形成されている。
【0032】
低融点金属層10の厚みT2は、例えば、0.5〜30μm、好ましくは、3〜20μmである。
【0033】
接着部5は、導体部4の上に形成されている。具体的には、接着部5は、上側凹部11内に充填されている。
【0034】
すなわち、接着部5は、導体部4の頂部8の上面(表面)に形成される低融点金属層10を露出する一方、導体部4の頂部8を除く部分の上面に形成される低融点金属層10を被覆している。つまり、接着部5は、導体部4の頂部8を除く部分の上面に形成される低融点金属層10の上面に形成されている。
【0035】
また、接着部5の上面は、導体部4の頂部8の上面に形成される低融点金属層10の上面に対して、わずかに下側に位置するように形成されている。
【0036】
そして、上記した形状に形成される導体部4の頂部8およびその上面に形成される低融点金属層10が導体領域2とされ、上記した形状に形成される接着部5が接着領域3とされる。
【0037】
つまり、導体領域2は、前後方向(一方向)に沿って連続的に接着部5から露出している。また、導体領域2は、左右方向に沿って複数形成される頂部8に対応して、左右方向に沿って間隔を隔てて配置される複数の線条部35を備えている。
【0038】
各線条部35は、前後方向に沿って線状に接着部5から露出する部分として形成されている。線条部35の幅(左右方向長さ)W1は、例えば、0.2〜1.7mm、好ましくは、0.2〜0.7mmである。
【0039】
接着領域3は、導体領域2に沿って露出しており、各線条部35の左右方向両側に配置されている。また、接着領域3の幅W2は、例えば、0.3〜1.8mm、好ましくは、0.3〜0.8mmである。
【0040】
従って、導電性接着テープ1の上面は、左右方向において、接着領域3および導体領域2が交互に繰り返されるパターンとして形成されている。
【0041】
次に、この導電性接着テープ1の製造方法について図2を参照して説明する。
【0042】
この方法は、例えば、ロール・トゥ・ロール方式によって実施される。
【0043】
すなわち、まず、図2(a)に示すように、導体板13を用意する。
【0044】
導体板13は、前後方向に長い長尺状のシート(テープ)であって、導体板13を形成する導体としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、鉄、鉛、または、それらの合金などが挙げられる。これらのうち、導電性、コスト、加工性の観点から、銅、アルミニウムが挙げられ、さらに好ましくは、銅が挙げられる。
【0045】
次に、この方法では、図2(b)に示すように、導体板13の上面および下面に低融点金属層10を形成する。
【0046】
低融点金属層10を形成する金属としては、例えば、錫、ビスマスおよびインジウムから選択される少なくとも2種の金属の合金が挙げられ、好ましくは、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金が挙げられる。
【0047】
なお、錫−ビスマス合金におけるビスマス濃度は、例えば、45〜70質量%であり、錫−インジウム合金におけるインジウム濃度は、例えば、40〜65質量%である。
【0048】
そして、上記した金属の融点は、金属が合金である場合には、合金を構成するそれぞれ金属の融点よりも低くなり、具体的には、120〜150℃である。
【0049】
低融点金属層10を形成する方法としては、例えば、上記した金属のめっきまたはスパッタリング、好ましくは、めっき、さらに好ましくは、電解めっきが挙げられる。
【0050】
次いで、この方法では、図2(c)に示すように、低融点金属層10が形成された導体板13を曲げ加工することにより、上記した形状の導体部4を形成する。
【0051】
曲げ加工としては、例えば、金型14を用いる曲げ加工が挙げられる。
【0052】
金型14は、図3に示すように、軸が左右方向に沿い、上下方向に隣接配置され、上記した断面(左右方向に沿う断面)略S字波形状に成形された2つのロール金型14(ロータリー金型)であり、各ロール金型14は、上下方向に互いに噛合している。また、ロール金型14は、導体板13を搬送方向下流側(図3における前側)に向けて搬送するように、回転する。
【0053】
曲げ加工では、2つのロール金型14の間に、導体板13を前後方向に沿って通過させながら、2つのロール金型14による挟持力(上下方向に挟む力)よって、導体板13を断面略S字波形状に成形する。
【0054】
次いで、この方法では、図2(d)に示すように、接着部5を導体部4の上に形成する。
【0055】
接着部5を形成する接着材料としては、例えば、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤などの接着剤が挙げられる。
【0056】
熱硬化性接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、熱硬化性ポリイミド系接着剤、フェノール系接着剤、ユリア系接着剤、メラミン系接着剤、不飽和ポリエステル系接着剤、ジアリルフタレート系接着剤、シリコーン系接着剤、熱硬化性ウレタン系接着剤などが挙げられる。
【0057】
熱可塑性接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、ポリオレフィン系接着剤などが挙げられる。
【0058】
接着剤として、好ましくは、熱硬化性接着剤が挙げられ、さらに好ましくは、エポキシ系接着剤が挙げられる。
【0059】
エポキシ系接着剤は、例えば、エポキシ樹脂および硬化剤を適宜の割合で含有している。
【0060】
具体的には、エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性ビスフェノール型エポキシ樹脂など)、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂など)、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂(例えば、ビスアリールフルオレン型エポキシ樹脂など)、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(例えば、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂など)などの芳香族系エポキシ樹脂、例えば、トリエポキシプロピルイソシアヌレート(トリグリシジルイソシアヌレート)、ヒダントインエポキシ樹脂などの含窒素環エポキシ樹脂、例えば、脂肪族型エポキシ樹脂、脂環族型エポキシ樹脂(例えば、ジシクロ環型エポキシ樹脂など)、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0061】
これらエポキシ樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0062】
硬化剤は、加熱によりエポキシ樹脂を硬化させることができる潜在性硬化剤(エポキシ樹脂硬化剤)であって、例えば、アミン化合物、酸無水物化合物、アミド化合物、ヒドラジド化合物、イミダゾリン化合物などが挙げられる。また、上記の他に、フェノール化合物、ユリア化合物、ポリスルフィド化合物なども挙げられる。
【0063】
アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアミン、または、これらのアミンアダクトなど、例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどが挙げられる。
【0064】
酸無水物化合物としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチル−ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ピロメリット酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ジクロロコハク酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、クロレンディック酸無水物などが挙げられる。
【0065】
アミド化合物としては、例えば、ジシアンジアミド、ポリアミドなどが挙げられる。
【0066】
ヒドラジド化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
【0067】
イミダゾリン化合物としては、例えば、メチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、エチルイミダゾリン、イソプロピルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、フェニルイミダゾリン、ウンデシルイミダゾリン、ヘプタデシルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリンなどが挙げられる。
【0068】
これら硬化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0069】
また、エポキシ系接着剤には、必要により、例えば、硬化促進剤などの公知の添加剤を適宜の割合で含有させることもできる。
【0070】
硬化促進剤としては、例えば、2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、例えば、トリエチレンジアミン、トリ−2,4,6−ジメチルアミノメチルフェノールなどの3級アミン化合物、例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエートなどのリン化合物、例えば、4級アンモニウム塩化合物、有機金属塩化合物、およびこれらの誘導体などが挙げられる。これら硬化促進剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0071】
また、接着剤として、好ましくは、熱可塑性接着剤も挙げられ、さらに好ましくは、アクリル系接着剤が挙げられる。
【0072】
アクリル系接着剤は、例えば、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含有し、さらに、(メタ)アクリル酸などの反応性官能基含有ビニルモノマーを必要により含有するビニルモノマーの重合体である。
【0073】
なお、上記した接着剤は、溶媒に溶解された溶液(ワニス)として調製することもできる。溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどケトン類、例えば、酢酸エチルなどのエステル類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類などの有機溶媒、例えば、水、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類など水系溶媒が挙げられる。好ましくは、有機溶媒、さらに好ましくは、ケトン類、アミド類が挙げられる。
【0074】
上記した接着剤を形成する方法としては、例えば、ブレードコータ法、グラビアコータ法などの塗布方法が挙げられ、好ましくは、ブレードコータ法が挙げられる。
【0075】
ブレードコータ法では、図4に示すように、塗布装置(コータ)として、ブレード15を備えるブレードコータ41が用いられる。
【0076】
ブレード15は、例えば、公知のエラストマー樹脂などの樹脂材料などからなるスキージである。ブレード15は、左右方向に沿って設けられ、下端部が、導体部4の頂部8の上面に形成される低融点金属層10の上面に接触し、かつ、搬送方向下流側(後側)に搬送される導体部4および低融点金属層10に対して相対的にスライド可能に設けられている。
【0077】
ブレードコータ法では、接着剤を、導体部4の上に、塗布量に応じて、塊状に配置して、塗布溜16を形成する。塗布溜16は、低融点金属層10の上面において、ブレード15の前側に、左右方向にわたって形成されるとともに、低融点金属層10の上面に厚く形成される。
【0078】
その後、例えば、ブレード15を、導体部4の頂部8の上面に形成される低融点金属層10に押圧しながら、導体部4および低融点金属層10に対して搬送方向上流側に相対的にスライドさせる。
【0079】
詳しくは、頂部8の上面に形成される低融点金属層10の上面を、ブレード15が相対的にスライドすることにより、頂部8の上面に形成される低融点金属層10の上面に形成されていた塗布溜16が、掻き(拭き)取られる。これによって、頂部8の上の低融点金属層10が露出されて、導体領域2が形成される。
【0080】
これと同時に、頂部8を除く低融点金属層10の上面に形成されていた塗布溜16が上側凹部11内に充填されるとともに、その充填された塗布溜16の上側部分が掻き取られて、接着部5が形成される。詳しくは、接着部5の上面が、頂部8の上面よりわずかに低い高さとなるように、塗布溜16が均(なら)される。
【0081】
その後、必要により、乾燥して、溶剤を留去させる。
【0082】
続いて、接着材料が熱硬化性接着剤である場合には、加熱により、接着材料をBステージ(半硬化)状態にする。加熱温度は、例えば、30〜80℃、好ましくは、40〜60℃である。
【0083】
これにより、接着部5が形成されて、接着領域3と導体領域2とを備える導電性接着テープ1を得る。
【0084】
図5は、本発明の太陽電池モジュールの一実施形態(光電変換部がアモルファスシリコン系である態様)の斜視図、図6は、端子および集電電極(左側部分)の接続構造を説明する拡大斜視図、図7は、図6の接続構造の側断面図、図8は、図6の接続構造の正断面図を示す。なお、図5〜図7において、保護部23は、太陽電池セル19および集電電極17の相対配置を明確に示すため、省略されている。
【0085】
次に、この導電性接着テープ1が集電電極17として用いられる、本発明の太陽電池モジュールの一実施形態(光電変換部がアモルファスシリコン系である態様)について、図5〜図8を参照して説明する。
【0086】
図5において、この太陽電池モジュール18は、太陽電池セル19と、集電電極17とを備えている。また、太陽電池モジュール18は、取出部21と保護部23(図8の仮想線参照)とを備えている。
【0087】
太陽電池セル19は、前後方向に複数並列配置されており、各太陽電池セル19は、左右方向に長い平面視略矩形状に形成されている。また、太陽電池セル19は、配線板53と、光電変換部22とを備えている。
【0088】
配線板53は、光電変換部22の下面に形成され、太陽電池セル19の外形形状をなし、具体的には、左右方向に長く延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0089】
光電変換部22は、配線板53の上面において、例えば、非晶質(アモルファス)シリコン系の太陽電池素子からなり、太陽電池素子は、左右方向に複数並列配置されている。光電変換部22は、太陽光を受光することにより、キャリヤ(電子または正孔)を生成する。光電変換部22は、配線板53の左右方向両端部が露出するように、配線板53の左右方向途中(中央)に配置されている。
【0090】
そして、光電変換部22から上面が露出する配線板53の左右方向両端部が、端子20とされている。
【0091】
集電電極17は、上記した導電性接着テープ1からなり、前後方向に沿って延びるように、各端子20を接続するように2つ配置されている。すなわち、一方(右側)の集電電極17は、各光電変換部22の右側端部に配置される端子20を電気的に接続するように設けられ、また、他方(左側)の集電電極17は、各光電変換部22の左側端部に配置される端子20を電気的に接続するように設けられている。
【0092】
図6および図8に示すように、集電電極17は、導体領域2および接着領域3が端子20の上面に対向配置されるように、配置されている。具体的には、導体領域2および接着領域3が下方を指向しており、導体領域2が、端子20の上面に接触するとともに、接着領域3が端子20の上面に接着している。
【0093】
導体領域2では、導体部4の頂部8が、低融点金属層10を介して、端子20と接合(金属接合)されている。
【0094】
そして、集電電極17は、図5〜図7に示すように、前後方向に並列する複数の端子20間にわたって配置(架設)されている。
【0095】
保護部23は、図8の仮想線で示すように、太陽電池セル19および集電電極17を保護するために設けられ、封止層24とガラス板25とを備えている。
【0096】
封止層24は、太陽電池セル19および集電電極17を埋設(封止)している。つまり、封止層24は、太陽電池セル19および集電電極17の上側、下側および周囲に形成されている。封止層24を形成する材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)などの封止樹脂が挙げられる。封止樹脂の溶融温度は、例えば、40〜70℃であり、硬化(架橋)温度は、例えば、120〜180℃である。
【0097】
ガラス板25は、封止層24の上面および下面を被覆するように、2つ形成されている。
【0098】
図5に示すように、取出部21は、2つの集電電極17に配線26を介して接続されている。
【0099】
この太陽電池モジュール18を製造するには、例えば、複数の太陽電池セル19を用意するとともに、導電性接着テープ1からなる集電電極17を用意する。
【0100】
そして、下側のガラス板25を用意し、その上に、封止層24の下側部分を形成し、次いで、その上に、複数の太陽電池セル19を配置する。次いで、集電電極17(図1に示す導電性接着テープ1)を上下反転した後、集電電極17の導体領域2および接着領域3を、端子20の上面に対向配置して、それらを端子20の上面に載置する。
【0101】
次いで、上側および周囲の封止層24で、各太陽電池セル19および各集電電極17を被覆し、続いて、上側のガラス板25で封止層24の上面を被覆する。これにより積層体を作製する。
【0102】
その後、積層体を、加熱する。
【0103】
加熱温度は、例えば、130〜200℃、好ましくは、120〜160℃であり、加熱時間は、例えば、5〜60分間、好ましくは、5〜40分間である。
【0104】
また、上記した加熱とともに、圧着(つまり加熱圧着)することもできる。圧力は、例えば、0.5〜10MPa、好ましくは、1〜5MPaである。
【0105】
この加熱により封止層24の封止樹脂が溶融および硬化(架橋)することにより、太陽電池セル19および集電電極17を封止する。
【0106】
また、この加熱により、集電電極17の導体領域2における低融点金属層10を形成する金属が溶融して、かかる金属を介して、導体部4の頂部8の下面と、端子20の上面とが接合されるとともに、接着領域3において、接着材料が熱硬化性接着剤である場合には、熱硬化性接着剤が硬化(完全硬化)して、接着部5が端子20の上面に接着する。
【0107】
これにより、集電電極17が端子20に強固に接着されつつ、集電電極17と端子20とが導通する。
【0108】
その後、集電電極17と取出部21とを、配線26を介してまたは直接接続する。
【0109】
これにより、太陽電池モジュール18を得る。
【0110】
この太陽電池モジュール18では、光電変換部22が太陽光を受光することにより、キャリヤが生成され、生成されたキャリヤが、複数の端子20を介して2つの集電電極17によって集電され、取出部21から電気として取り出される。
【0111】
そして、上記した導電性接着テープ1では、導体領域2は、露出しているので、端子20と確実に接触することができ、しかも、前後方向に沿って連続的に露出しているので、端子20との接触面積を十分に確保することができる。
【0112】
また、接着領域3は、導体領域2に沿って露出しているので、端子20に接着されることにより、導体領域2を端子20に確実に接触させることができるとともに、その接触状態を長期にわたって維持することができる。
【0113】
さらに、接着領域3が端子20に接着されると、導体領域2と端子20とが直接接触されるので、接着材料が導体領域2と端子20との間に浸入することを防止することができる。
【0114】
そのため、導体領域2と端子20との優れた導電性、および、その導電性を長期にわたって維持することのできる優れた耐久性を確保することができ、導電性接着テープ1は、導電性および耐久性に優れている。
【0115】
そして、この導電性接着テープ1が集電電極17として用いられると、太陽電池セル19で生成するキャリヤを確実に集電することができ、太陽電池セル19と集電電極17とを備える太陽電池モジュール18は、発電効率が優れている。
【0116】
なお、上記した説明では、接着領域3を、導体領域2(線条部35)の両側(左右方向両側)に配置しているが、例えば、図示しないが、導体領域2(線条部35)の片側(左右方向片側)に配置することができる。
【0117】
その場合には、線条部35が1つ、つまり、導体部4の上部6および下部7がそれぞれ1つ設けられ、接着部5が1つの上側凹部11内に充填される。これにより、接着領域3が、1つの線条部35に対応して形成される導体領域2の片側に、配置される。
【0118】
好ましくは、図1に示すように、接着領域3を導体領域2の両側に配置するとともに、線条部35を複数設ける。
【0119】
これにより、接着領域3と端子20との接着力を向上させることができながら、導体領域2と端子20との接触面積をより一層十分に確保することができる。
【0120】
図9は、本発明の導電性接着部材の他の実施形態としての導電性接着テープ(低融点金属層が形成されない態様)の斜視図、図10は、本発明の導電性接着部材の他の実施形態としての導電性接着テープ(導体部が断面略葛折り状に形成される態様)の斜視図、図11は、本発明の導電性接着部材の他の実施形態としての導電性接着テープ(導体部が断面略櫛形状に形成される態様)の斜視図、図12および図13は、図11に示す導電性接着テープを製造する方法を説明するための工程図、図14は、本発明の導電性接着部材の他の実施形態としての導電性接着テープ(導体部が断面略楕円形状の導線を備える態様)の斜視図、図15は、図14に示す導電性接着テープを製造する方法を説明するための工程図、図16は、本発明の導電性接着部材の他の実施形態としての導電性接着テープ(導体部が断面略矩形状の導体を備える態様)の斜視図、図17は、図16に示す導電性接着テープを製造する方法を説明するための工程図、図18は、本発明の導電性接着部材の他の実施形態としての導電性接着テープ(接着部が導体部の上側および下側に形成される態様)の斜視図を示す。
【0121】
なお、図10〜図18において、低融点金属層10は、導体部4および接着部5の相対配置を明確に示すため、省略されている。
【0122】
また、以降の各図面において、上記した各部に対応する部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0123】
上記した説明では、導体領域2において、表面に低融点金属層10を形成しているが、例えば、図9に示すように、表面に低融点金属層10を形成することなく、表面に導体部4を露出させることもできる。
【0124】
図9において、導体部4の頂部8は、接着部5から露出している。また、頂部8を除く導体部4の上面は、接着部5に接触している。
【0125】
そして、導体部4の頂部8が導体領域2とされる。
【0126】
この導電性接着テープ1が集電電極17として用いられる太陽電池モジュール18を製造する場合に、積層体の加熱によって、導体領域2が、低融点金属層10を介して端子20の上面と金属接合することなく、端子20の上面と接触(当接)する。
【0127】
好ましくは、図1に示すように、導体領域2において、表面に低融点金属層10を形成する。
【0128】
これにより、図8に示すように、低融点金属層10を形成する金属の溶融によって、導体部4および端子20間が強固に接合されるので、より一層優れた導電性および耐久性を確保することができる。
【0129】
また、上記した説明では、導体部4を、断面略S字波形状に形成しているが、例えば、図10に示すように、断面略葛折り(つづらおり)状に形成することもできる。
【0130】
図10において、導体部4は、平坦部27と、平坦部27の左右方向両端部に連続して、下側に凹み、上方に開放される断面略コ字状のコ字部28とを備えている。
【0131】
コ字部28は、互いに対向する2つの側壁51と、側壁51を連結する底壁52とを一体的に備えている。
【0132】
コ字部28は、凹部としての上側凹部11を形成するとともに、平坦部27と、コ字部28の側壁51とは、下側凹部12を形成する。
【0133】
接着部5は、上側凹部11内に充填されている。
【0134】
これにより、平坦部27の上面が露出し、平坦部27が導体領域2とされ、接着部5が接着領域3とされる。
【0135】
また、図11に示すように、導体部4を断面略櫛形状に形成することもできる。
【0136】
導体部4は、平板部29および平板部29から上側に突出する突出部40を一体的に備える。
【0137】
平板部29は、左右方向にわたって連続して形成されている。
【0138】
突出部40は、平板部29の上部から上側に向かって断面略矩形状に突出するように形成され、左右方向に間隔を隔てて複数配置されている。突出部40は、線条部35を形成する。
【0139】
また、突出部40と、突出部40から露出する平板部29とが、凹部としての上側凹部11を形成する。
【0140】
接着部5は、上側凹部11内に充填されている。
【0141】
これにより、突出部40の上面が露出し、突出部40が導体領域2とされ、接着部5が接着領域3とされる。
【0142】
次に、図11の導電性接着テープ1を製造する方法について、図12を参照して説明する。
【0143】
この方法では、まず、図12(a)に示すように、長尺平板状の導体シート39を用意する。
【0144】
導体シート39は、上記した導体板13と同様の導体から形成されている。導体シート39の厚みT3は、例えば、12〜50μm、好ましくは、25〜35μmである。
【0145】
次いで、図12(b)に示すように、エッチングレジスト30を、導体シート39の上面に、突出部40と同一パターンで形成する。
【0146】
次いで、図12(c)に示すように、エッチングレジスト30から露出する導体シート39を、上側から厚み方向途中までハーフエッチングする。これにより、突出部40および平板部29が形成される。
【0147】
その後、エッチングレジスト30を除去する。
【0148】
次いで、図12(d)に示すように、上側凹部11内に、接着部5を充填する。接着部5を充填する方法としては、上記と同様の塗布方法が挙げられる。なお、接着材料が熱硬化性接着剤である場合には、加熱により、接着材料をBステージ(半硬化)状態にする。
【0149】
これにより、図11の導電性接着テープ1を得る。
【0150】
また、上記した方法では、導体シート39のエッチングによって、突出部40を形成しているが、例えば、図13に示すように、めっきなどによって、突出部40を形成することもできる。
【0151】
すなわち、この方法では、まず、図13(a)に示すように、平板部29となる導体シート39を用意する。なお、図13(a)で示す導体シート39は、図12(a)で示す導体シート39に比べて、突出部40に対応する厚み分だけ、薄く形成されており、具体的には、その厚みT4が、例えば、1〜10μm、好ましくは、2〜5μmである。
【0152】
次いで、図13(b)に示すように、めっきレジスト31を、突出部40の反転パターンで、導体シート39の上面に形成する。なお、めっきレジスト31は、導体シート39の下面全面にも形成する。
【0153】
次いで、図13(c)に示すように、例えば、電解めっきまたは無電解めっきなどのめっきによって、突出部40を、導体シート39の上に形成する。
【0154】
その後、めっきレジスト31を除去する。
【0155】
次いで、図13(d)に示すように、上側凹部11内に、接着部5を充填する。なお、接着材料が熱硬化性接着剤である場合には、加熱により、接着材料をBステージ(半硬化)状態にする。
【0156】
また、上記した説明では、導体部4を、1つのシートから形成しているが、例えば、図14および図16に示すように、複数の導線32から形成することもできる。
【0157】
図14において、接着部5は、前後方向および左右方向に延びる1つのシート形状をなし、具体的には、平面視略矩形状に形成されている。
【0158】
導体部4は、複数の導線32からなり、かかる導線32は、左右方向に間隔を隔てて並列配置されている。各導線32は、前後方向に沿って延び、断面視において、左右方向に長い略楕円形状に形成されている。
【0159】
導線32の頂部8の上面は、接着部5から露出するとともに、頂部8を除く導線32(導線32の厚み方向中央部および下部7)の周面が、接着部5に被覆されている。
【0160】
そして、導線32の頂部8が、導体領域2を形成し、接着部5が接着領域3を形成する。
【0161】
次に、上記した導体領域2および接着領域3を備える導電性接着テープ1を製造する方法について、図15を参照して説明する。
【0162】
この方法では、まず、図15(a)に示すように、離型シート33の上面に、接着部5を形成する。接着部5は、接着材料を塗布する公知の塗布方法によって形成される。
【0163】
離型シート33は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)シートなどの公知の樹脂シートなどから形成されている。
【0164】
なお、接着材料が熱硬化性接着剤である場合には、加熱により、接着材料をBステージ(半硬化)状態にする。
【0165】
次いで、図15(b)に示すように、複数の導線32を用意し、続いて、図15(b)の矢印および図15(c)で示すように、各導線32を、接着部5に圧入する。導線32を、その頂部8が露出し、厚み方向中央部および下部7(底部9を含む下部7)が接着部5内に埋設されるように、圧入する。
【0166】
これにより、図14に示す導電性接着テープ1を得る。
【0167】
また、上記した説明では、導線32を断面略楕円形状に形成しているが、導線32の断面形状は特に限定されず、例えば、断面略円形状に形成することができ、さらには、断面略矩形状(図16)、断面三角形状などの断面略多角形に形成することもできる。
【0168】
図16において、各導線32は、左右方向に長い断面矩形状に形成されており、左右方向において、接着部5を分断するように、上下方向にわたって連続して形成されている。すなわち、導線32は、上下方向において接着部5を貫通するように形成されている。
【0169】
接着部5は、各導線32間に配置され、各導線32の両側面全面を被覆するように形成されている。
【0170】
導体部4では、導線32の上面および下面の両面が露出しており、導線32の上側および下側の両側が導体領域2とされる。また、接着部5の上面および下面の両面が露出しており、接着部5の上側および下側の両側が導体領域2とされる。
【0171】
なお、導線32の上面および下面は、接着部5の上面および下面と上下方向において略面一に形成されている。
【0172】
次に、上記した導体領域2および接着領域3を備える導電性接着テープ1を製造する方法について、図17を参照して説明する。
【0173】
この方法では、まず、図17(a)に示すように、上面に粘着剤層34が予め積層された離型シート33を用意し、次いで、離型シート33の上に、粘着剤層34を介して導体シート39を積層する。粘着剤層34は、例えば、エポキシ系粘着剤またはアクリル系粘着剤などの公知の粘着剤から形成されている。
【0174】
次いで、図17(b)に示すように、導体シート39において、接着部5に対応する部分をエッチングまたは剥離などによって、除去する。これにより、導線32からなる導体部4が形成される。
【0175】
その後、図17(c)に示すように、接着部5を、導体部4から露出する粘着剤層34の上面に形成する。なお、接着材料が熱硬化性接着剤である場合には、加熱により、接着材料をBステージ(半硬化)状態にする。
【0176】
これにより、図16に示す導電性接着テープ1を得る。
【0177】
また、上記した図1の説明では、接着部5を、導体部4の上側に形成しているが、例えば、図18で示すように、導体部4の上側および下側の両側に形成することもできる。
【0178】
図18において、接着部5は、導体部4の上側凹部11内および凹部としての下側凹部12内の両方に充填されている。
【0179】
下側凹部12内に充填される接着部5は、導体部4の底部9の下面を露出するように、導体部4の底部9を除く部分の下面を被覆している。下側凹部12内に充填される接着部5の下面は、導体部4の底部9の下面に対して、わずかに上側に位置するように形成されている。
【0180】
そして、導体部4の頂部8および底部9が、導体領域2とされ、上側凹部11内および下側凹部12内に充填される接着部5が接着領域3とされる。
【0181】
図19は、本発明の太陽電池モジュールの他の実施形態(光電変換部が結晶シリコン系である態様)の斜視図、図20は、図19で示す太陽電池モジュールの平面図、図21は、図20で示す太陽電池モジュールの拡大図であり、A−A線に沿う側断面図を示す。
【0182】
なお、図19および図20において、保護部23は、太陽電池セル19および集電電極17の相対配置を明確に示すため、省略されている。
【0183】
次に、図18で示す導電性接着テープ1が集電電極17として用いられる、本発明の太陽電池モジュールの他の実施形態(光電変換部が結晶シリコン系である態様)について、図19〜図21を参照して説明する。
【0184】
図19および図20において、この太陽電池モジュール18では、太陽電池セル19が、前後方向および左右方向に複数整列配置されている。各太陽電池セル19は、平面視略矩形状に形成されており、光電変換部42と、端子(図示せず)とを備えている。
【0185】
光電変換部42は、例えば、単結晶または多結晶の結晶シリコン系の太陽電池素子である。光電変換部42は、各太陽電池セル19のほぼ全面(端子を除く面)に形成される一方、光電変換部42の上面および下面に、2つの端子(図示せず)が設けられている。
【0186】
上側の端子は、上面が露出するとともに、下側の端子は、下面が露出している。
【0187】
集電電極17は、図18で示す導電性接着テープ1からなり、前後方向に沿って細長く延びるように、前後方向に並列配置される太陽電池セル19を電気的に接続している。詳しくは、集電電極17は、前後方向に隣接する光電変換部42を接続する。なお、集電電極17は、各光電変換部42につき、左右方向において、間隔を隔てて2列並列配置されている。
【0188】
次に、前後方向に隣接する2つの光電変換部42を例示して、それらの集電電極17による接続構造について、図21を参照して説明する。
【0189】
前後方向に隣接する2つの光電変換部42は、前部42aと、その後側に間隔を隔てて配置される後部42bとからなる。
【0190】
そして、集電電極17の前端部が、前部42aの上側に形成される端子に電気的に接続するとともに、集電電極17の後端部が、後部42bの下側に形成される端子に電気的に接続する。
【0191】
詳しくは、図18が参照されるように、集電電極17の前端部では、下側の導体領域2が、前部42aの上側に形成される端子(図示せず)の上面に接触するとともに、下側の接着領域3が、上記した端子(図示せず)の上面に接着している。
【0192】
一方、集電電極17の後端部では、上側の導体領域2が、後部42bの下側に形成される端子(図示せず)の下面に接触するとともに、上側の接着領域3が、上記した端子(図示せず)の下面に接着している。
【0193】
すなわち、集電電極17では、上側および下側の両側の導体領域2が、それぞれ、後部42bの下側および前部42aの上側に形成される端子(図示せず)に接触するとともに、上側および下側の両側の接着領域3が、それぞれ、後部42bの下側および前部42aの上側に形成される端子(図示せず)に接着する。
【0194】
各集電電極17は、互いに隣接する太陽電池セル19の光電変換部42を電気的に接続することにより、前後方向に並列配置される太陽電池セル19を直列接続する。
【0195】
なお、図19および図20において図示しないが、最前部の太陽電池セル19を接続する集電電極17は、取出部21(図5参照)に接続されるとともに、太陽電池セル19および集電電極17は、保護部23(図21の仮想線)によって保護される。
【0196】
そして、図18で示す導電性接着テープ1からなる集電電極17であれば、光電変換部42として結晶シリコン系の太陽電池素子を用いる太陽電池セル19を接続することもできる。
【0197】
なお、図16で示す導電性接着テープ1を集電電極17として、図21で示す太陽電池セル19の接続に用いることもできる。その場合には、図17(d)の仮想線で示すように、接着部5および導体部4の下側に形成される離型シート39を、粘着剤層34とともに引き剥がす。
【0198】
また、図1、図9、図10、図18で示す導電性接着テープ1は、接着部5が少なくとも上側凹部11内に充填されている。そのため、上記した導電性接着テープ1により、かかる接着部5を上側凹部11によって支持することができる。
【0199】
その結果、上記した導電性接着テープ1は、図14および図16で示し、接着部5が上側凹部11内に充填されず、接着部5の上面および下面の両方が露出する導電性接着テープ1に比べて、機械強度を向上させることができる。
【0200】
なお、上記した説明では、本発明の導電性接着部材を、導電性接着テープ1として説明しているが、例えば、導電性接着シートまたは導電性接着フィルムとして用いることもできる。
【0201】
また、上記した説明では、導電性接着テープ1を太陽電池モジュール18における集電電極17として用いているが、その用途は特に限定されず、例えば、太陽電池モジュール18を除く各種電気機器の接続端子間の接続に用いることもできる。
【実施例】
【0202】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何らそれらに限定されない。
【0203】
なお、図22は、実施例の評価(接触抵抗試験)に用いられる試験片と端子との接続状態を説明する斜視図、図23は、接触抵抗試験における抵抗、および、導体領域と端子との接触面積の関係を示すグラフ、図24は、実施例の評価(耐久試験)に用いられる評価用サンプルの平面図、図25は、図24に示す実施例の評価用サンプルのB−B線に沿う正断面図を示す。
【0204】
(導電性接着テープの製造)
実施例1
幅(左右方向長さ)250mm、厚み(T1)35μmの長尺状の銅からなる導体板を用意した(図2(a)参照)。
【0205】
次いで、錫−ビスマス合金(融点139℃)からなる厚み(T2)10μmの低融点金属層を、電解めっきにより導体板の上面および下面に形成した(図2(b)参照)。
【0206】
次いで、低融点金属層が形成された導体板を、上記したロール金型を用いる曲げ加工によって、断面S字波形状の導体部を成形した(図2(c)および図3参照)。
【0207】
導体部において、頂部の上面と底部の上面との間の長さ(L1)が35μmであり、ピッチ(L2およびL3)が1.0mmであった。
【0208】
その後、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量600〜700g/eqiv.)100質量部、硬化剤(フェノール化合物)4質量部、硬化促進剤(イミダゾール化合物)1質量部を含有するエポキシ系接着剤を、上記したエラストマー樹脂からなるブレード(スキージ)を用いるブレードコータ法によって、導体部の上に塗布し、その後、乾燥し、続いて、40〜60℃に加熱することにより、エポキシ系接着剤をBステージ状態(半硬化状態)して、接着部を形成した(図2(d)および図4参照)。
【0209】
これにより、幅0.6mm(W2)の接着領域と、幅0.4mm(W1)の導体領域とを備える導電性接着テープを得た(図1参照)。
【0210】
比較例1
特許文献1(特公昭47−51798号公報)の実施例2の記載に準拠して導電性接着テープを作製した。
【0211】
すなわち、導体板の加工において、平面視において点状の隆起部を形成した点、および、エポキシ系接着剤の塗布において、金属製ナイフを用いるナイフコータ法を用いた点以外は、実施例1と同様に処理して、導電性接着テープを得た。
【0212】
得られた導電性接着テープでは、導体部の隆起部の上面にも、接着部が形成されており、導体領域が形成されなかった。
【0213】
(評価)
1. 接触抵抗試験(JIS C2526、1994年版)
実施例1および比較例1で得られた導電性接着テープ1を、図22に示すように、長さ(前後方向長さ)50mm、幅(左右方向長さ)5mmのサイズに切り取って、試験片50を得、得られた試験片を、JIS C2526(1994年版、4端子法)の接触抵抗試験に供した。
【0214】
実施例1では、まず、試験片50の導体領域2および接着領域3と、端子45とを接触させ、その後、150℃、5分間、2MPaで加熱圧着することにより、試験片50と端子45とを接続および接着した。
【0215】
一方、比較例1では、接着領域と、端子とを接触させ、その後、150℃、5分間、2MPaで加熱圧着することにより、試験片50と端子とを接合した。
【0216】
その結果を、図23に示す。
【0217】
なお、図22に示すように、実施例1および比較例1の試験片50と、端子45との接触面積は、50mmであった。また、実施例1の導体領域2と、端子45との接触面積を、導体領域2の露出面積と見なして、光学顕微鏡の画像を用いて算出した。その結果、図23に示す。
【0218】
一方、比較例1では、上記した加熱圧着時に、接着領域から部分的に隆起部が導体領域として露出した。かかる導体領域と端子との接触面積を、剥離後において表面に露出する導体領域の面積と見なして、光学顕微鏡の画像を用いて算出した。その結果、図23に示す。
2. 耐久試験
図24および図25に示すように、評価用の端子基板45を用意した。
【0219】
端子基板45は、ガラス−エポキシ樹脂からなる基板43と、その上に所定パターンに形成される端子44とを備えている。端子44は、左右方向に間隔を隔てて4つ設けられており、各端子44(第1端子46、第2端子47、第3端子48および第4端子49)は、前後方向に延びている。なお、第1端子46、第2端子47、第3端子48および第4端子49は、右側から左側に向かって順次配置される。
【0220】
そして、各端子44の前端部と、上記した「1.接触抵抗試験」で作製した実施例1および比較例1の試験片50とを接続した。なお、接続は、上記した「1.接触抵抗試験」と同様の条件で実施した。
【0221】
また、第2端子47および第4端子49の後端部と、定電流電源36とを配線37を介して接続するとともに、第1端子46および第2端子47の後端部を、電位計38に配線37を介して接続することにより、電気回路を形成した。
【0222】
これにより、評価用サンプルを作製した。
【0223】
続いて、表1に記載の耐久条件(1〜4)にて、2Aの電流を電気回路に流して、評価用サンプルについて耐久試験を実施した。
【0224】
【表1】

【0225】
その結果、実施例1では、1〜4のいずれの耐久条件においても、抵抗が増大しないことを確認した。
【0226】
一方、比較例1では、1〜4のいずれの耐久条件において、抵抗が増大することを確認した。
【符号の説明】
【0227】
1 導電性接着テープ
2 導体領域
3 接着領域
10 低融点金属層
17 集電電極
18 太陽電池モジュール
19 太陽電池セル
35 線条部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に沿って連続的に露出する導体領域と、
前記導体領域に沿って露出する接着領域と
を備えることを特徴とする、導電性接着部材。
【請求項2】
前記接着領域が、前記導体領域の両側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の導電性接着部材。
【請求項3】
前記導体領域は、複数の線条部を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の導電性接着部材。
【請求項4】
凹部を備える導体部と、
前記凹部に充填される接着部とを備え、
前記接着領域が、前記接着部であり、
前記導体領域が、前記接着部から露出する前記導体部であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性接着部材。
【請求項5】
前記導体領域は、表面に形成される低融点金属層を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性接着部材。
【請求項6】
太陽電池セルで生成するキャリヤを集電する集電電極として用いられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性接着部材。
【請求項7】
太陽電池セルと、
前記太陽電池セルで生成するキャリヤを集電する集電電極として用いられる請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電性接着部材と
を備えることを特徴とする、太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−52049(P2012−52049A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196960(P2010−196960)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】