説明

導電性材料

【課題】主として金属伝導性且つ電気伝導性であり、並びにナノスケールの且つ一様に定義された構造を有する、熱及び腐食に対して高安定性の電極材料及び回路材料を提供する。
【解決手段】A群から選択された特定の金属又は金属混合物からのコア(1)を包含し、前記コア(1)は、B群から選択された特定の金属又は金属混合物の酸化物(2a、2b、2c)で少なくとも部分的に取り囲まれている導電性材料において、前記コア(1)が、100nm以下の平均粒径を有することを特徴とする導電性材料により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性材料、殊に電極材料及び/又は回路材料、及びそのような材料の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術的な適用において、熱及び腐食に対して高安定性の電極材料及び回路材料が必要とされ、該材料は、主として金属伝導性且つ電気伝導性であり、並びにナノスケールの且つ一様に定義された構造を有する。
【0003】
US2007/0251822A1は、化学クロミックなナノ粒子を記載し、それらは顔料、着色剤、コーティング及びインキとして使用されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US2007/0251822A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上記記載の欠点を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、導電性材料、殊に電極材料及び/又は回路材料及び又は導電性、化学的感受性、殊にガス感受性の材料であって、該材料は、
− 白金、ロジウム、金、パラジウム、銀、銅、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、レニウム及びそれらの混合物から成るA群から選択された金属又は金属混合物からのコアを包含し、
− その際、該コアは、ケイ素、ゲルマニウム、錫、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ベリリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ランタニド、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛及びそれらの混合物から成るB群から選択された金属又は金属混合物の酸化物により少なくとも部分的に取り囲まれており、且つ
該コアは、100nm以下の、殊に≧0.4nm〜≦100nmの、例えば≧0.5nm〜≦40nmの、例として挙げれば≧1nm〜≦7nmの平均粒径を有することを特徴としている。
【0007】
本発明の範囲内で、"導電性材料"とは、殊に、少なくとも10Sm-1の比導電率を有する材料と解される。
【0008】
本発明に従って、"ランタニド"とは、殊に元素:セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムと解される。
【0009】
本発明の範囲内で、半金属(ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム)は金属に含まれる。
【0010】
殊に該コアは、B群の金属又は金属混合物の酸化物により、本質的に完全に取り囲まれていてよい。その際、"本質的に完全に取り囲まれて"とは、殊に、下記:
− 該酸化物が、少なくともガス透過性である細孔、例えば≧0.1nm〜≦5nmの平均孔径を有すること、及び/又は
− 2つ以上のコアが互いに接触すること、及び/又は
− 1つ又は複数のコアが基体表面に接触すること
に拠る逸脱が包含されていると解される。
【0011】
殊に導電性材料は、後述の方法によって製造されることができる。
【0012】
殊に酸化環境に基づき、導電性材料は、好ましくは耐腐食性及び/又は温度安定性であり得る。その際、"耐腐蝕性"とは、該材料が、酸素10.00000体積パーセント、水蒸気10.00000体積パーセント、一酸化窒素0.00100パーセント、二酸化硫黄0.00005パーセント及び窒素79.99895パーセントからのガス混合物中で、10時間後に400℃にて、走査型電子顕微鏡法によって検出可能な程度にまで変化しないことと解される。その際、殊に、"温度安定性"とは、該材料が、空気中で10時間後に400℃にて、走査型電子顕微鏡法によって検出可能な程度にまで変化しないことと解される。更に該材料は多孔性であってよい。そのうえ該コアと酸化物は、該材料中で本質的に均一に分散して存在してよい。更になお該導電性材料は、ナノメートル領域の一様に定義された構造を有してよい。
【0013】
加えて本発明による導電性材料からの電極、回路もしくは層は、好ましくは低電圧傾向、高い耐腐食性及び/又は温度安定性並びに接触及び方法の利点を有し得る。殊に高い耐腐蝕性及び温度安定性に基づき、500℃を上回る温度で、化学的に攻撃性の、殊に酸化性の雰囲気における適用のために、これらの条件下で劣化し、殊に収縮し、且つ亀裂を生じる可能性のある、例えば純白金からのものより薄い電極、回路もしくは層を、本発明による導電性材料から製造することができる。そのうえ本発明による導電性材料は、殊に接触及び方法の利点を、本発明による導電性材料からの電極又は層が、本発明による導電性材料からの回路と接触される場合に有し得る。
【0014】
好ましくは、該材料は、10時間後にも、500℃にて、殊に600℃にて、酸素10.00000体積パーセント、水蒸気10.00000体積パーセント、一酸化窒素0.00100体積パーセント、二酸化硫黄0.00005体積パーセント及び窒素79.99895体積パーセントからのガス混合物中で、走査型電子顕微鏡法によって検出可能ではない。好ましくは、該材料の導電性は、酸素10.00000体積パーセント、水蒸気10.00000体積パーセント、一酸化窒素0.00100体積パーセント、二酸化硫黄0.00005体積パーセント及び窒素79.99895パーセントからのガス混合物中での処理に際して、2オーダーを超えて下がらず、又は空気中で2オーダーを超えて下がらず、好ましくは、1オーダーを超えて、殊に50%を超えて下がらない。
【0015】
殊に該材料は、そのつどA群の金属又は金属混合物からのコアを有する粒子を有してよく、該コアは、少なくとも部分的に、殊に本質的に完全に、B群の金属又は金属混合物の酸化物層で取り囲まれている。
【0016】
該酸化物層の範囲内でも、殊に、"本質的に完全に取り囲まれて"とは、下記:
− 該酸化物層が、少なくともガス透過性である細孔、例えば≧0.1nm〜≦5nmの平均孔径を有すること、及び/又は
− 2つ以上のコアが互いに接触すること、及び/又は
− 1つ又は複数のコアが基体表面に接触すること
に拠る逸脱が包含されていると解される。
【0017】
該材料の一実施形態の範囲内で、該材料は、粒子間に細孔を有する互いに結合された粒子から構成されており、その際、該粒子は、そのつどA群の金属又は金属混合物からのコアを有し、該コアは、少なくとも部分的に、殊に本質的に完全に、B群の金属又は金属混合物の酸化物層で取り囲まれている。これは、該コアが該酸化物層によって安定化されるという本質的な利点を有する。殊に該コアは、それによって本質的に、熱的に誘起された粗大化及び融着から保護される。更になお、該コアは、環境的影響、殊に腐食媒体から保護されることができる。この保護にも関わらず、該材料は多孔性に基づき触媒活性であり得て、このことは、例えばセンサー領域における相当数の適用のために好ましい。この実施形態の範囲内で、該材料は、一方では粒子間にある細孔と、且つ他方では少なくともガス透過性であり、例えば≧0.1nm〜≦5nmの平均孔径を有する酸化物層中の細孔を包含してよい。
【0018】
該粒子は、走査電子顕微鏡法によって測定して、110nm以下の平均粒径、例えば50nm以下の、殊に25nm以下の、例として挙げれば15nm以下の平均粒径を有してよい。
【0019】
該材料の更なる一実施形態の範囲内で、走査電子顕微鏡法によって測定して、該粒子は、≧0.5nm〜≦110nm、例えば≧1nm〜≦50nm、殊に≧1nm〜≦25nm、例として挙げれば≧2nm〜≦15nmの平均粒径を有する。
【0020】
粒子間にある細孔は、走査電子顕微鏡法によって測定して、50nm以下の平均孔径、例えば25nm以下の、殊に15nm以下の、例として挙げれば10nm以下の平均粒径を有してよい。
【0021】
該材料の更なる一実施形態の範囲内で、走査電子顕微鏡法によって測定して、粒子間にある細孔は、≧0.1nm〜≦50nm、例えば≧0,2nm〜≦20nm、殊に≧0.3nm〜≦10nm、例として挙げれば≧0.5nm〜≦5nmの平均孔径を有する。
【0022】
該材料は、103Sm-1以上の、殊に106Sm-1の伝導率を有し得る。そのうえ該材料は、10m2/g以上のBET表面積を有し得る。
【0023】
該材料の更なる一実施形態の範囲内で、該材料は、該材料中の金属原子の全体数に対して:
− A群の金属を、≧65原子パーセント〜≦97原子パーセント、殊に≧80原子パーセント〜≦95原子パーセント及び
− B群の金属を、≧3原子パーセント〜≦35原子パーセント、殊に≧5原子パーセント〜≦20原子パーセント
包含し、その際、A群及びB群を合わせた金属原子の合計は100原子パーセントになる。
【0024】
B群の酸化物を形成する金属が少数であることに基づき、該導電性材料は、好ましくは主として金属性である。
【0025】
好ましくは、A群は、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウム、金及びそれらの混合物から成る。例えば、A群の金属混合物は、金及びパラジウムを包含する、金属混合物、殊に金属合金であってよい。場合により、金−白金−金属混合物は、ロジウム、イリジウム、ルテニウム及びレニウムから選択された更に少なくとも1つの金属を包含してよい。しかしながら、A群は、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウム及びそれらの混合物からのみ成っていてもよい。例えば、A群の金属は、純粋な白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム又はレニウムであってよい。
【0026】
該材料の更なる一実施形態の範囲内で、A群は、白金、ロジウム、レニウム及びそれらの混合物、例えば白金及びロジウムからの混合物から成る。
【0027】
A群の金属又は金属混合物は、該A群の金属原子の全体数に対して、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウム、金又はそれらの混合物を、≧30原子パーセント〜≦100原子パーセント、及び銀、銅、オスミウム又はそれらの混合物を、≧0原子パーセント〜≦70原子パーセント包含してよく、その際、白金、ロジウム、金、パラジウム、銀、銅、イリジウム、ルテニウム、オスミウム及びレニウムを合わせた原子の合計は100原子パーセントになる。
【0028】
代替的に、A群の金属又は金属混合物は、該A群の金属原子の全体数に対して、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウム、金又はそれらの混合物を、≧30原子パーセント〜≦100原子パーセント、及び銀、銅、オスミウム又はそれらの混合物を、≧0原子パーセント〜≦70原子パーセント包含してよく、その際、白金、ロジウム、金、パラジウム、銀、銅、イリジウム、ルテニウム、オスミウム及びレニウムを合わせた原子の合計は100原子パーセントになる。
【0029】
好ましくは、A群の金属又は金属混合物は、該A群の金属原子の全体数に対して、白金を、≧40原子パーセント〜≦100原子パーセント、例えば≧65原子パーセント〜≦95原子パーセント、殊に≧65原子パーセント〜≦90原子パーセント及びロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウム又はそれらの混合物を、≧0原子パーセント〜≦60原子パーセント、例えば≧5原子パーセント〜≦35原子パーセント、殊に≧10原子パーセント〜≦35原子パーセント包含し、その際、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム及びレニウムを合わせた原子の合計は100原子パーセントになる。
【0030】
例として挙げれば、A群の金属又は金属混合物は、該A群の金属原子の全体数に対して、白金を、≧40原子パーセント〜≦100原子パーセント、例えば≧65原子パーセント〜≦95原子パーセント、殊に≧65原子パーセント〜≦90原子パーセント及びロジウム、パラジウム又はそれらの混合物、殊にロジウムを、≧0原子パーセント〜≦60原子パーセント、例えば≧5原子パーセント〜≦35原子パーセント、殊に≧10原子パーセント〜≦35原子パーセント包含してよく、その際、白金、ロジウム及びルテニウム、殊に白金及びロジウムを合わせた原子の合計は100原子パーセントになる。
【0031】
好ましくは、B群は、アルミニウム、ガリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ランタニド、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム、タングステン、マンガン、鉄又はそれらの混合物から成る。
【0032】
該材料の更なる一実施形態の範囲内で、B群は、アルミニウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム又はそれらの混合物から、殊にイットリウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、タンタル又はそれらの混合物から成る。
【0033】
例えば、B群の金属又は金属混合物及び/又はB群の金属又は金属混合物の化合物は、A群の金属原子の全体数に対して、アルミニウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム又はそれらの混合物を、≧70原子パーセント〜≦100原子パーセント、及びケイ素、ゲルマニウム、スズ、ホウ素、ガリウム、インジウム、ベリリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛又はそれらの混合物を、≧0原子パーセント〜≦30原子パーセント包含してよく、その際、アルミニウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、ホウ素、ガリウム、インジウム、ベリリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル及び亜鉛を合わせた原子の合計は100原子パーセントになる。
【0034】
コアを少なくとも部分的に取り囲んでいる酸化物は、金属の酸化物でも、2つ以上の金属の酸化物からの混合物もしくは混合酸化物であってもよい。例えば、酸化物は、例えばイットリウム、セリウム、チタン、ジルコニウム及びタンタルから成る群から選択されたB群の第一の金属の酸化物と、例えばイットリウム、セリウム、チタン、ジルコニウム及びタンタルから成る群から選択された、B群の第一の金属とは異なる第二の金属の酸化物とからの混合物であってよい。
【0035】
A群の金属原子の全体数に対して、B群の第一の金属の酸化物とB群の第二の金属の酸化物とからの混合物は、第一の金属、例えばジルコニウム又はタンタルを、≧1原子パーセント〜≦99原子パーセント、例えば≧45原子パーセント〜≦55原子パーセント、及び第二の金属、例えばセリウム又はイットリウムを、≧1原子パーセント〜≦99原子パーセント、例えば≧45原子パーセント〜≦55原子パーセント包含してよく、その際、第一の金属及び第二の金属を合わせた金属原子の合計は100原子パーセントになる。
【0036】
本発明による材料は、例えば、センサー、触媒又は燃料電池用の電極材料及び/又は回路材料及び/又は導電性、化学的感受性、殊にガス感受性の材料であってよい。殊に本発明による材料は、排ガスセンサー、例えばラムダセンサー、電解効果−化学センサーのような化学センサーにおいて、又は、例えば化学的感受性の電解効果トランジスター(−センサー)において、例えばゲート電極もしくはゲート電極材料として及び/又は回路もしくは回路材料として使用されることができる。
【0037】
本発明の更なる目的は、下記の方法工程を包含する、導電性材料、殊に本発明による導電性材料、例えば電極材料及び/又は回路材料及び/又は導電性、化学的感受性、殊にガス感受性の材料の製造法である:
a1)白金、ロジウム、金、パラジウム、銀、銅、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、レニウム及びそれらの混合物から成るA群から選択された金属又は金属混合物、例えば金属合金、及び
ケイ素、ゲルマニウム、錫、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ベリリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ランタニド、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛及びそれらの混合物から成るB群から選択された金属又は金属混合物、例えば金属合金
を包含する、ナノ粒子を準備する工程、及び/又は
a2) − 白金、ロジウム、金、パラジウム、銀、銅、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、レニウム及びそれらの混合物から成るA群から選択された金属又は金属混合物、例えば金属合金を包含する、ナノ粒子、及び
− ケイ素、ゲルマニウム、錫、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ベリリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ランタニド、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛及びそれらの混合物から成るB群から選択された金属又は金属混合物、例えば金属合金、及び/又は
ケイ素、ゲルマニウム、錫、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ベリリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ランタニド、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛及びそれらの混合物から成るB群から選択された金属又は金属混合物の少なくとも1つの化合物
からの均一な混合物を準備する工程、及び
b) 方法工程a1)又はa2)からの材料を、少なくとも200℃で10分間、例えば少なくとも500℃で少なくとも1時間、例として挙げれば少なくとも600℃で少なくとも2時間、酸化性のガス又はガス混合物で処理する工程。
【0038】
"ナノ粒子"と称されるのは、本発明の範囲内で、殊に、その平均粒径が100nm以下、殊に≧0.4nm〜≦100nm、例えば≧0.5nm〜≦40nm、例として挙げれば≧1nm〜≦7nmである原子又は分子の結合体である。
【0039】
"酸化性のガス又はガス混合物"とは、200℃以上の温度で、B群の金属又は金属混合物もしくはB群の金属又は金属混合物の化合物を酸化するガス又はガス混合物と解され得る。殊に、"酸化性のガス又はガス混合物"とは、500℃以上の、殊に600℃以上の温度で、B群の金属又は金属混合物もしくはB群の金属又は金属混合物の化合物を酸化するガス又はガス混合物と解され得る。殊に、B群の金属又は金属混合物もしくはB群の金属又は金属混合物の化合物は完全に酸化されてよい。酸化性のガス又はガス混合物は、例えば、酸素10体積パーセントと窒素90体積パーセントとからのガス混合物であってよい。
【0040】
方法工程a1)では、A群の金属又は金属混合物のみならず、B群の金属又は金属混合物も包含するナノ粒子が使用される。その際、該ナノ粒子は、溶媒中のナノ粒子の懸濁液の形でも使用されることができる。B群の金属又は金属混合物は、方法工程a1)で、金属混合物、殊に金属合金を、A群の金属又は金属混合物と形成してよい。殊に、方法工程a1)におけるナノ粒子は、A群の金属又は金属混合物とB群の金属又は金属混合物とから成る。
【0041】
方法工程a2)で、たしかにA群の金属又は金属混合物を包含するナノ粒子も使用されるが、しかしながら、B群の金属又は金属混合物は、その際、A群のナノ粒子中には含まれておらず、別個の成分として存在する。その際、B群の金属又は金属混合物は、方法工程a2)において、粒子、殊にナノ粒子の形で、又は粒子、殊にナノ粒子の懸濁液の形で、溶媒中で使用されることができる。B群の金属又は金属混合物の化合物は、方法工程a2)で、粒子、殊にナノ粒子の形で、又は粒子、殊にナノ粒子の懸濁液の形で、溶媒中で又は溶媒に溶解して使用されることができる。方法工程a2)でも、ナノ粒子はA群の金属又は金属混合物から成る。
【0042】
方法工程b)によって、好ましくは、A群の金属の周りに、B群の腐食−及び焼結安定性の金属酸化物が形成され得る。殊に、B群の金属酸化物で取り囲まれている、A群の金属からの金属骨格を有する材料を製造することができる。このようにして好ましくは、A群の金属又は金属混合物は、考えられる構造変化及び化学的な攻撃から保護されることができる。
【0043】
かかる方法によって、好ましくは、上記の特性を有する、上記の導電性材料、殊に電極材料及び/又は回路材料及び/又は導電性、化学的感受性、殊にガス感受性の材料を製造することができる。これは既に述べたように、導電性であるのみならず、主として金属性及び/又は耐腐食性及び/又は温度安定性及び/又は多孔性であってもよい。そのうえ、かかる方法によって製造された導電性材料、殊に電極材料及び/又は回路材料及び/又は導電性、化学的感受性、殊にガス感受性の材料は、ナノメートル領域の一様に定義された構造を有し得る。
【0044】
酸化性のガス又はガス混合物による処理は、殊に≧500℃〜≦1500℃、例えば≧550℃〜≦1000℃の温度で、且つ/又は1時間を上回る、例えば2時間を上回る処理時間中ずっと行ってよい。
【0045】
酸化性のガス又はガス混合物は、例えば、酸素を≧1体積パーセント〜≦100体積パーセント、例えば≧1体積パーセント〜≦20体積パーセント、殊に≧1体積パーセント〜≦15体積パーセント及び窒素又は1つ以上の希ガス、殊にアルゴン、又は窒素と1つ以上の希ガス、殊にアルゴンの混合物を、≧0体積パーセント〜≦99体積パーセント、例えば≧80体積パーセント〜≦99体積パーセント、殊に≧85体積パーセント〜≦99体積パーセント包含してよく、その際、酸素、窒素及び希ガスを合わせた体積パーセントの合計は100体積パーセントになる。
【0046】
該方法の一実態態様の範囲内で、方法工程a2)で、B群の金属又は金属混合物の化合物が溶媒に溶解されて(溶液として)準備される。このようにして、A群のナノ粒子は実質的に完全に酸化物層で取り囲まれることができる。
【0047】
しかしながら、方法工程a2)で、B群の金属又は金属混合物の化合物はナノ粒子の形でも準備されることができる。B群の金属又は金属混合物の化合物は、方法工程a2)で、同様にナノ粒子の形で準備されることができる。例として挙げれば、ナノ粒子はバルク材料として準備されることができる。
【0048】
該方法の更なる一実施形態の範囲内で、方法工程a1)で、B群の金属又は金属混合物は溶媒中のナノ粒子の懸濁液の形で、及び/又は方法工程a2)で、B群の金属又は金属混合物は溶媒中のナノ粒子の懸濁液の形で、及び/又は方法工程a2)で、B群の金属又は金属混合物の化合物は溶媒中のナノ粒子の懸濁液の形で準備される。このようにして導電性材料の高い均一性が得られる。
【0049】
有利には、極性プロトン性溶媒、例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド又はプロトン性溶媒、例えばエタノール、エチレングリコール、ヘキサン酸又はトリプロピルアミンが溶媒として使用される。
【0050】
方法工程a1)又はa2)の後、該方法は、方法工程b01):方法工程a1)及び/又はa2)からの材料を、担体部材、酸化ジルコニウムからの担体部材又はシリコンウェハの表面に施与する工程、を包含してよい。殊に、方法工程a1)及び/又はa2)からの材料は、方法工程b01)でまず溶媒中で表面に施与されることができる。次いで該溶媒は、方法工程b01)に続く方法工程b02)で除去/乾燥されることができる。
【0051】
該方法の更なる一実施形態の範囲内で、該方法は、方法工程a1)/a2)、b01)及び/又はb02)の後、及び/又は方法工程b)の前に方法工程b03):少なくとも350℃で少なくとも20分間、殊に少なくとも500℃で少なくとも1時間、例えば少なくとも550℃で少なくとも1.5時間、例として挙げれば少なくとも600℃で少なくとも2時間、非酸化性、殊に還元性のガス又はガス混合物で該材料を処理する工程、を包含する。このようにして、なかでもA群とB群の金属との間で合金形成が起こり得る。非酸化性、殊に還元性のガス又はガス混合物による処理は、例えば≧500℃〜≦1500℃、例えば≧550℃〜≦1000℃の温度で、且つ/又は1時間を上回る、例えば2時間を上回る処理時間中ずっと行われることができる。
【0052】
その際、"非酸化性のガス又はガス混合物"とは、350℃又はそれより高い温度で、A群の金属又は金属混合物及びB群の金属又は金属混合物及びB群の金属又は金属混合物の化合物が酸化されないガス混合物と解され得る。殊に、"非酸化性のガス又はガス混合物"とは、500℃又はそれより高い、例えば550℃又はそれより高い、例として挙げれば600℃又はそれより高い温度で、A群の金属又は金属混合物及びB群の金属又は金属混合物及びB群の金属又は金属混合物の化合物が酸化されないガス混合物と解され得る。例えば、"非酸化性のガス又はガス混合物"とは、水素5体積パーセントと窒素95体積パーセントとからのガス混合物と解され得る。
【0053】
その際、"還元性のガス又はガス混合物"とは、350℃又はそれより高い温度で、0より大きい酸化数を有するB群の金属又は金属混合物の化合物、例えば酸化物が少なくとも部分的に還元されるガス混合物と解され得る。殊に、"還元性のガス又はガス混合物"とは、500℃又はそれより高い、例えば550℃又はそれより高い、例として挙げれば600℃又はそれより高い温度で、0より大きい酸化数を有するB群の金属又は金属混合物の化合物、例えば酸化物が少なくとも部分的に還元されるガス混合物と解され得る。場合により、還元性のガス又はガス混合物は、場合により不純物としてナノ粒子中に生じてよく、部分的又は完全に還元する、0より大きい酸化数を有するA群の金属又は金属混合物の化合物であってよい。
【0054】
非酸化性、殊に還元性のガス又はガス混合物は、例えば、水素又は一酸化炭素又は水素と一酸化炭素とからの混合物を、≧0.001体積パーセント〜≦100体積パーセント、例えば≧0.01体積パーセント〜≦20体積パーセント、殊に≧0.1体積パーセント〜≦10体積パーセント、例として挙げれば≧1体積パーセント〜≦5体積パーセント及び窒素又は1つ以上の希ガス、殊にアルゴン、又は窒素と1つ以上の希ガス、殊にアルゴンとの混合物を、≧0体積パーセント〜≦99.999体積パーセント、例えば≧80体積パーセント〜≦99.99体積パーセント、殊に≧90体積パーセント〜≦99.9体積パーセント、例として挙げれば≧95体積パーセント〜≦99体積パーセント包含してよく、その際、水素、一酸化炭素、窒素及び希ガスを合わせた体積パーセントの合計は100体積パーセントになる。
【0055】
B群の金属又は金属混合物の化合物は、例えば、B群の金属又は金属混合物(すなわち2つ以上の金属)の無機塩又は有機塩及び/又は無機錯体又は有機錯体であってよい。
【0056】
該方法の更なる一実施形態の範囲内で、B群の金属又は金属混合物の化合物は、B群の金属又は金属混合物の酸化物、硝酸塩及び/又はハロゲン化物である。
【0057】
該方法の更なる一実施形態の範囲内で、B群の金属又は金属混合物の化合物は、B群の金属又は金属混合物のアルコレート、例えばメトキシレート、エトキシレート、n−プロポキシレート、イソプロポキシレート、n−ブトキシレート又はイソブトキシレート、殊にエトキシレート、イソプロポキシレート又はイソブチレート又は有機酸、例えばアセテートと、B群の金属又は金属混合物との塩である。例として挙げれば、B群の金属又は金属混合物の化合物は、タンタルペンタエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、チタンテトライソブトキシレート、セリウムアセテート又はイットリウムアセテートであってよい。
【0058】
好ましくは、A群は、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウム、金及びそれらの混合物から成る。例えば、A群の金属混合物は、金及びパラジウムを包含する、金属混合物、殊に金属合金であってよい。場合により、金−白金−金属混合物は、ロジウム、イリジウム、ルテニウム及びレニウムから選択された更に少なくとも1つの更なる金属を包含してよい。しかしながら、A群は、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウム及びそれらの混合物からのみ成っていてもよい。例えば、A群の金属は、純粋な白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム又はレニウムであってよい。
【0059】
該方法の更なる一実施形態の範囲内で、A群は、白金、ロジウム、レニウム及びそれらの混合物、例えば白金とロジウムからの混合物から成る。
【0060】
A群の金属又は金属混合物は、該A群の金属原子の全体数に対して、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウム、金又はそれらの混合物を、≧30原子パーセント〜≦100原子パーセント、及び銀、銅、オスミウム又はそれらの混合物を、≧0原子パーセント〜≦70原子パーセント包含してよく、その際、白金、ロジウム、金、パラジウム、銀、銅、イリジウム、ルテニウム、オスミウム及びレニウムを合わせた原子の合計は100原子パーセントになる。
【0061】
代替的に、A群の金属又は金属混合物は、該A群の金属原子の全体数に対して、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウム、金又はそれらの混合物を、≧30原子パーセント〜≦100原子パーセント、及び銀、銅、オスミウム又はそれらの混合物を、≧0原子パーセント〜≦70原子パーセント包含してよく、その際、白金、ロジウム、金、パラジウム、銀、銅、イリジウム、ルテニウム、オスミウム及びレニウムを合わせた原子の合計は100原子パーセントになる。
【0062】
好ましくは、A群の金属又は金属混合物は、該A群の金属原子の全体数に対して、白金を、≧40原子パーセント〜≦100原子パーセント、例えば≧65原子パーセント〜≦95原子パーセント、殊に≧65原子パーセント〜≦90原子パーセント及びロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウム又はそれらの混合物を、≧0原子パーセント〜≦60原子パーセント、例えば≧5原子パーセント〜≦35原子パーセント、殊に≧10原子パーセント〜≦35原子パーセント包含し、その際、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム及びレニウムを合わせた原子の合計は100原子パーセントになる。
【0063】
例として挙げれば、A群の金属又は金属混合物は、該A群の金属原子の全体数に対して、白金を、≧40原子パーセント〜≦100原子パーセント、例えば≧65原子パーセント〜≦95原子パーセント、殊に≧65原子パーセント〜≦90原子パーセント及びロジウム、レニウム又はそれらの混合物、殊にロジウムを、≧0原子パーセント〜≦60原子パーセント、例えば≧5原子パーセント〜≦35原子パーセント、殊に≧10原子パーセント〜≦35原子パーセント包含してよく、その際、白金、ロジウム及びルテニウム、殊に白金及びレニウムを合わせた原子の合計は100原子パーセントになる。
【0064】
場合により、B群の金属化合物は、ホウ素の一酸化物又は複数の酸化物から成る。
【0065】
好ましくは、B群は、アルミニウム、ガリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ランタニド、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム、タングステン、マンガン、鉄又はそれらの混合物から成る。
【0066】
該方法の更なる一実施形態の範囲内で、B群は、アルミニウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム又はそれらの混合物から、殊にイットリウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、タンタル又はそれらの混合物から成る。
【0067】
例えば、B群の金属又は金属混合物及び/又はB群の金属又は金属混合物の化合物は、A群の金属原子の全体数に対して、アルミニウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム又はそれらの混合物を、≧70原子パーセント〜≦100原子パーセント、及びケイ素、ゲルマニウム、スズ、ホウ素、ガリウム、インジウム、ベリリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛又はそれらの混合物を、0≧原子パーセント〜≦30原子パーセント包含してよく、その際、アルミニウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、ホウ素、ガリウム、インジウム、ベリリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル及び亜鉛を合わせた原子の合計は100原子パーセントになる。
【0068】
方法工程a2)で、金属又は金属混合物の2つ以上の化合物も準備されることができる。その際、該化合物は、金属の種類及び/又は結合する粒子、殊に塩形成剤もしくは錯化剤の種類が異なっていてよい。例えば、方法工程a2)で、例えばイットリウム、セリウム、チタン、ジルコニウム及びタンタルから成る群から選択された、B群の第一の金属の化合物、例えばエトキシレート、イソプロポキシレート又はイソブチレート、及び、例えばイットリウム、セリウム、チタン、ジルコニウム及びタンタルから成る群から選択された、B群の第一の金属と同じか又は異なる、殊に異なる第二の金属の、第一の化合物と同じか又は異なる第二の化合物、例えばエトキシレート、イソプロポキシレート又はイソブチレートが準備されることができる。
【0069】
第一及び第二の化合物のA群の金属原子の全体数に対して、第一の化合物、例として挙げればジルコニウムテトライソプロポキシド又はテトラペンタエトキシドを、≧1原子パーセント〜≦99原子パーセント、例えば≧45原子パーセント〜≦55原子パーセント、及び第二の化合物、例として挙げればセリウムアセテート又はイットリウムアセテートを、≧1原子パーセント〜≦99原子パーセント、例えば≧45原子パーセント〜≦55原子パーセント包含してよく、その際、第一及び第二の化合物を合わせた金属原子の合計は100原子パーセントになる。
【0070】
本発明の更なる目的は、本発明による方法によって製造された導電性材料、殊に電極材料及び/又は回路材料及び/又は導電性、化学的感受性、殊にガス感受性の材料、ならびにその使用である。例として挙げれば、本発明による方法によって製造された導電性材料は、センサー、触媒又は燃料電池用の電極材料及び/又は回路材料及び/又は導電性、化学的感受性、殊にガス感受性の材料であってよい。殊に、本発明による方法によって製造された導電性材料は、排ガスセンサー、例えばラムダセンサー、電解効果−化学センサーのような化学センサーにおいて、又は、例えば化学的感受性の電解効果トランジスター(−センサー)において、例えばゲート電極もしくはゲート電極材料として及び/又は回路もしくは回路材料として使用されることができる。
【0071】
本発明による目的の更なる利点及び好ましい実施形態は、図面によって具体的に示され、また下記記載において説明される。その際、図面は単に特性を説明するものに過ぎず、本発明を何らかの形で限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明による導電性材料の第一の実施形態による、はっきりと図式化された断面を示す図
【図2】本発明による導電性材料の第二の実施形態による、はっきりと図式化された断面を示す図
【図3a】本発明による導電性材料の第三の実施形態による、はっきりと図式化された断面を示す図
【図3b】本発明による導電性材料の第四の実施形態による、はっきりと図式化された断面を示す図
【図4】本発明による導電性材料の第五の実施形態による、はっきりと図式化された断面を示す図
【図5】実施例2において製造された材料の走査型電子顕微鏡写真を示す図
【図6】実施例3において製造された材料の走査型電子顕微鏡写真を示す図
【図7】実施例4において製造された材料の走査型電子顕微鏡写真を示す図
【0073】
図1は、第一の実施形態の導電性材料が、A群の金属又は金属混合物からのコア1を包含し、その際、該コアは、B群の金属又は金属混合物の酸化物2a/2bにより取り囲まれていることを示す。この種の材料は、例えば−方法工程a2)に従って−A群及びB群の同じ大きさのナノ粒子の使用によって製造されることができる。
【0074】
図2は、第二の実施形態の導電性材料が、方法工程a2)で、A群のナノ粒子より明らかに小さいB群のナノ粒子が使用されるという点で、第一の実施形態の導電性材料とは異なっていることを示す。
【0075】
図3aは−方法工程a1)に従って−ナノ粒子の酸化からA群の金属もB群の金属も結果生ずる粒子3を示す。図3aは、このようにして製造された粒子3が、B群の金属又は金属混合物の酸化物層2bで完全に取り囲まれている、A群の金属又は金属混合物からのコア1を有することを示す。図3aは更に、コア1から酸化物層2bへの移行が流動的であることを示す。
【0076】
図3bは−方法工程a2)に従って−A群のナノ粒子とB群の金属の化合物からの溶液との反応及び続く酸化から生じる粒子3を示す。図3bは、このようにして製造された粒子3が、B群の金属又は金属混合物の酸化物層2cで完全に取り囲まれている、A群の金属又は金属混合物からのコア1を有することを示す。
【0077】
図4は、第五の実施形態の導電性材料が、粒子間に細孔4を有する互いに結合された粒子3から構成されており、その際、該粒子3は、そのつどA群の金属又は金属混合物からのコア1を有し、該コアは、少なくとも部分的に、殊に本質的に完全に、B群の金属又は金属混合物の酸化物層2a、2bで取り囲まれていることを具体的に示す。この種の材料は−方法工程a1)に従って−A群の金属もB群の金属も包含するナノ粒子の酸化からも、方法工程a2)に従って−A群のナノ粒子とB群の金属の化合物からの溶液との反応及び続く酸化からも製造されることができる。
【実施例】
【0078】
実施例1:
白金80質量パーセント、ロジウム10質量%及びチタン10質量%から成るナノ粒子を、コロイド状で、溶媒に溶解した形で、二酸化ジルコニウム表面に施与し、且つ乾燥させる。結果生じる塗膜状の皮膜をまず、元素状水素を2.5体積パーセント包含する非酸化性雰囲気において650℃で5時間、第一の処理に供し、引き続き酸化性雰囲気としての空気中で同様に650℃で5時間、第二の処理に供する。
【0079】
実施例2:
白金94質量パーセント及びロジウム6質量%から成るナノ粒子、及びチタンテトライソブトキシレートのN−メチルピロリドン中での(コロイド状)溶液、その際、白金原子及びロジウム原子の合計に対するチタン原子の比率は1:9である、をシリコンウェハ表面に施与し、且つ乾燥させる。結果生じる塗膜状の皮膜をまず、元素状水素を2.5体積パーセント包含する非酸化性雰囲気において600℃で2時間、第一の処理に供し、引き続き窒素中の酸素10体積パーセントからの酸化性雰囲気において同様に600℃で2時間、第二の処理に供する。このようにして製造した材料の走査型電子顕微鏡写真は、図5に表されている。このようにして製造した材料は、106Sm-1を超える高い導電率を有し、且つ走査型電子顕微鏡によって測定して、5nm以下の平均粒径を有する粒子から成る。
【0080】
実施例3:
白金80質量パーセント及びロジウム20質量%から成るナノ粒子、及びジルコニウムテトライソプロポキシド及びセリウムアセテートのN−メチルピロリドン中での(コロイド状)溶液、その際、セリウム原子に対する及び白金原子及びロジウム原子の合計に対するジルコニウム原子の比率は9:10:81である、をシリコンウェハ表面に施与し、且つ乾燥させる。結果生じる塗膜状の皮膜をまず、元素状水素を2.5体積パーセント包含する非酸化性雰囲気において600℃で10時間、第一の処理に供し、引き続き酸化性雰囲気としての窒素中の酸素10体積パーセントにおいて同様に600℃で2時間、第二の処理に供する。このようにして製造した材料の走査型電子顕微鏡写真は、図6に表されている。このようにして製造した材料は、106Sm-1を超える高い導電率を有し、且つ走査型電子顕微鏡によって測定して、10nm以下の平均粒径を有する粒子から成る。
【0081】
実施例4:
白金81質量パーセント及びロジウム19質量%から成るナノ粒子、及びタンタルペンタエトキシド及びイットリウムアセテートのN−メチルピロリドン中での(コロイド状)溶液、その際、イットリウム原子に対する及び白金原子及びロジウム原子の合計に対するタンタル原子の比率は8:8:84である、をシリコンウェハ表面に施与し、且つ乾燥させる。結果生じる塗膜状の皮膜をまず、元素状水素を2.5体積パーセント包含する非酸化性雰囲気において600℃で10時間、第一の処理に供し、引き続き酸化性雰囲気としての窒素中の酸素10体積パーセントにおいて同様に600℃で2時間、第二の処理に供する。引き続き、該試験体を800℃で100h、窒素中の酸素10体積パーセントにおいて調温した。このようにして製造した材料の走査型電子顕微鏡写真は、図7に表されている。このようにして製造した材料は、106Sm-1を超える高い導電率を有し、且つ走査型電子顕微鏡によって測定して、25nm以下の平均粒径を有する粒子から成る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 白金、ロジウム、金、パラジウム、銀、銅、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、レニウム及びそれらの混合物から成るA群から選択された金属又は金属混合物からのコア(1)を包含し、
− その際、前記コアは、ケイ素、ゲルマニウム、錫、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ベリリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ランタニド、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛及びそれらの混合物から成るB群から選択された金属又は金属混合物の酸化物(2a、2b、2c)により少なくとも部分的に取り囲まれている導電性材料において、前記コア(1)が、100nm以下の平均粒径を有することを特徴とする導電性材料。

【請求項2】
前記材料が、互いに結合された粒子(3)と、前記粒子間にある細孔(4)とから構成されており、その際、前記粒子(3)が、そのつどA群の金属又は金属混合物からのコア(1)を有し、前記コアが、少なくとも部分的にB群の金属又は金属混合物の酸化物層(2b、2c)で取り囲まれていることを特徴とする、請求項1記載の材料。
【請求項3】
前記粒子(3)が、走査電子顕微鏡法によって測定して、≧0.5nm〜≦110nmの平均粒径を有することを特徴とする、請求項2記載の材料。
【請求項4】
前記粒子(3)間にある細孔(4)が、走査電子顕微鏡法によって測定して、≧0.1nm〜≦50nmの平均孔径を有することを特徴とする、請求項2又は3記載の材料。
【請求項5】
前記材料が、前記材料中の金属原子の全体数に対して:
− A群の金属を≧65原子パーセント〜≦97原子パーセント及び
− B群の金属を≧3原子パーセント〜≦35原子パーセント
包含し、その際、A群及びB群を合わせた金属原子の合計が100原子パーセントになることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の材料。
【請求項6】
− 前記A群が、白金、ロジウム、レニウム又はそれらの混合物から成り、及び/又は
− 前記B群が、アルミニウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム又はそれらの混合物、殊に、イットリウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、タンタル又はそれらの混合物から成ることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の材料。
【請求項7】
以下の方法工程
a1)
− 白金、ロジウム、金、パラジウム、銀、銅、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、レニウム及びそれらの混合物から成るA群から選択された金属又は金属混合物、及び
ケイ素、ゲルマニウム、錫、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ベリリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ランタニド、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛及びそれらの混合物から成るB群から選択された金属又は金属混合物
を包含する、ナノ粒子を準備する工程、及び/又は
a2)
− 白金、ロジウム、金、パラジウム、銀、銅、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、レニウム及びそれらの混合物から成るA群から選択された金属又は金属混合物を包含する、ナノ粒子及び
− ケイ素、ゲルマニウム、錫、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ベリリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ランタニド、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛及びそれらの混合物から成るB群から選択された金属又は金属混合物、及び/又は
− ケイ素、ゲルマニウム、錫、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ベリリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ランタニド、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛及びそれらの混合物から成るB群から選択された金属又は金属混合物の少なくとも1つの化合物
からの均一な混合物を準備する工程、及び
b)方法工程a1)又はa2)からの材料を、少なくとも200℃で10分間、酸化性のガス又はガス混合物で処理する工程を包含する、導電性材料の製造法。
【請求項8】
前記方法工程a2)で、前記B群の金属又は金属混合物の化合物を溶媒に溶解して準備することを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
− 前記方法工程a1)で、前記B群の金属又は金属混合物を溶媒中にナノ粒子の懸濁液の形で準備し、及び/又は
− 前記方法工程a2)で、前記B群の金属又は金属混合物を溶媒中にナノ粒子の懸濁液の形で準備し、及び/又は
− 前記方法工程a2)で、B群の金属又は金属混合物の化合物を溶媒中にナノ粒子の懸濁液の形で準備することを特徴とする、請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
前記方法工程b)の前に、方法工程b03):前記材料を少なくとも350℃で少なくとも20分間、非酸化性のガス又はガス混合物で処理する工程を包含することを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
− 前記A群が、白金、ロジウム、レニウム又はそれらの混合物から成り、及び/又は
− 前記B群が、アルミニウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、クロム又はそれらの混合物、殊に、イットリウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、タンタル又はそれらの混合物から成ることを特徴とする、請求項7から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記B群の金属又は金属混合物の化合物が
− 前記B群の金属又は金属混合物の酸化物、硝酸塩及び/又はハロゲン化物、及び/又は
− 前記B群の金属又は金属混合物のアルコレート又は有機酸と前記B群の金属又は金属混合物との塩であることを特徴とする、請求項7から11までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−162879(P2011−162879A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23259(P2011−23259)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】