説明

導電性薄膜と電極を備えた発熱基板およびその製造方法

【課題】導電性薄膜の抵抗を低くすることによって優れた導電性と発熱性能を有する導電性薄膜と電極を備えた発熱基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】透明基板100、透明基板100の一面に形成される複数の電極110,115,120、及び透明基板100の一面に形成されて、複数の電極110,115,120によって電気的に並列連結される複数の領域105a,105b,105cを含む。また、透明基板100上に導電性薄膜105を形成する導電性薄膜形成段階と、導電性薄膜105の周縁と隣接して透明基板100上に伸びてメイン電極110,115を形成するメイン電極形成段階と、メイン電極から伸びて導電性薄膜105に接して枝電極120を形成する枝電極形成段階と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性薄膜と電極を備えた発熱基板、およびその製造方法に関し、より詳しくは導電性薄膜に電極を形成し、この電極と導電性薄膜に電流が流れると共に熱が発生される導電性薄膜と電極を備えた発熱基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に透明な導電性薄膜に電流を印加することによって熱を発生させるが、この導電性薄膜の電気抵抗により発熱量が制限される。より多い発熱量を放出すべき発熱装置において、電気抵抗により発熱量が制限されるのは決定的な問題となる。
【0003】
実際、発熱装置はポリエステル(PET)基板上に導電性薄膜を塗布し両周縁に金属成分の電極を形成させて構成されるが、この時、導電性薄膜の抵抗が大きいため、発熱量を増加させるには限界がある。
【0004】
自動車のフロントガラスや後面ガラスのように広い面積に発熱装置を適用する場合は、発熱量が十分でなければ霜除去(Defrosting)効果を得ることができない。特に、一般に自動車は12Volt電圧を使用するが、このような大きさの電圧で発熱量を増加させるのは限界がある。
【0005】
代表的な導電性薄膜の材料である酸化インジウム錫(ITO)の場合には、表面抵抗が製造条件により数オーム(Ω)から数千オーム(Ω)まで変化させることができるが、数オーム(Ω)まで低くするためには高い費用と難しい工程を要する。
【0006】
また、炭素ナノチューブや導電性ポリマーで形成された薄膜の場合には、一般的に透明度を害せず表面抵抗を数百オーム(Ω)以下に下げるのはかなり難しい。
一部応用分野において抵抗の大きさは大きい問題にはならないが、低い抵抗が要求される製品にはその適用に大きい障害となる。従って、現在導電性薄膜の透明度を維持すると共に、抵抗を低くする研究が進められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記のような問題を解決するために案出されたもので、導電性薄膜の抵抗を低くすることによって優れた導電性と発熱性能を有する導電性薄膜と電極を備えた発熱基板およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による導電性薄膜と電極とを備えた発熱基板は、透明基板と、前記透明基板の一面に形成される複数の電極と、前記透明基板の一面に形成されて、前記複数の電極によって電気的に並列連結される複数の領域を含む導電性薄膜とを含む。
【0009】
この時、導電性薄膜において、複数の領域は、物理的に分離されて距離をおいて配置されることができる。または、前記複数の領域が互いに隣接して形成されて、一体の導電性薄膜をなすこともできるが、この場合に各領域は電極などを境界にして区分されることができる。
【0010】
また、前記電極は、前記導電性薄膜の第1周縁と隣接して前記基板上に伸びて形成される第1メイン電極と、前記第1周縁と対向する第2周縁と隣接して前記基板上に伸びて形成される第2メイン電極と、前記第1メイン電極から伸び、前記導電性薄膜に接して前記導電性薄膜の一側を横切って前記第2メイン電極方向に延長形成される第1枝電極と、前記第2メイン電極から伸び、前記導電性薄膜に接して前記第1枝電極と対応して形成される第2枝電極と、を含む。
【0011】
また、前記導電性薄膜は厚さが均一な長方形状に形成され、前記第1枝電極は複数に備えられ、前記第2枝電極は前記第1枝電極に対応して形成されるのが望ましい。また、前記第1枝電極と前記第2枝電極とが交互に繰り返し成されるのが望ましい。
【0012】
また、前記第1枝電極と前記第2枝電極とは互いに平行に配置されて、一つの前記第1枝電極とこれに対応する前記第2枝電極との間は第1幅だけ離隔され、他の一つの前記第1枝電極とこれに対応する前記第2枝電極との間は第2幅だけ離隔され、前記第1幅より前記第2幅が長く形成できる。また前記第1幅が形成された第1領域より前記第2幅が形成された第2領域の可視光透光率が大きい。
【0013】
また、前記導電性薄膜は、第1導電性薄膜および前記第1導電性薄膜と一定のギャップをおいて形成される第2導電性薄膜を含み、前記第1枝電極は前記第1導電性薄膜と前記第2導電性薄膜との一側周縁に接して形成され、前記第2枝電極は前記第1導電性薄膜と前記第2導電性薄膜との他側周縁に接して形成され、前記第1メイン電極と前記第2メイン電極とが電気的に並列連結される。
【0014】
また、前記第1導電性薄膜と前記第2導電性薄膜とは同じ形態を有し、前記導電性薄膜は可視光の透過率が10%乃至99.9%の範囲に属することができる。また前記導電性薄膜は、酸化インジウム錫(ITO)、ZnO、SnO、In、CdSnO、炭素ナノチューブを含む炭素基盤素材、フッ素が添加されること錫酸化物(FTO)およびアルミニウムが添加された亜鉛酸化物(AZO)から選択された一つ以上の成分を含むのが望ましい。
【0015】
また、前記メイン電極と前記枝電極は、導電性薄膜に比べて表面抵抗が低くなるように形成され、前記メイン電極と前記枝電極は、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)や銅(Cu)材質を含む金属で形成される。または、前記メイン電極および前記枝電極のうちの少なくともいずれか一つの電極が透明伝導性物質で構成される。
【0016】
また、前記基板上に透明誘電層が形成され、前記透明誘電層は前記導電性薄膜、および前記電極を覆うことができる。
【0017】
同時に、本発明による導電性薄膜と電極とを備えた発熱基板を製造する方法は、基板上に導電性薄膜を形成する導電性薄膜形成段階と、前記導電性薄膜の周縁と隣接して前記基板上に伸びてメイン電極を形成するメイン電極形成段階と、前記メイン電極から伸びて前記導電性薄膜に接して前記導電性薄膜の一側を横切って枝電極を形成する枝電極形成段階と、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明による導電性薄膜と電極を備えた発熱基板によると、基板上に形成されたメイン電極間に導電性薄膜が形成され、この導電性薄膜に枝電極が形成され、この導電性薄膜は電気的に並列連結される。従って、メイン電極間に導電性薄膜の電気的抵抗は減るようになる。結果的に、導電性薄膜を通してより多い電流が流れて導電性薄膜の発熱量が増加する。
【0019】
また、本発明による導電性薄膜と電極を備えた発熱装置において、導電性薄膜が多数に分けられて、このように分けられた導電性薄膜に各々枝電極が形成される。従って、導電性薄膜を通して電流がより容易に流れて導電性薄膜の発熱性能がより向上する。
【0020】
また、本発明による導電性薄膜と電極を備えた発熱装置において、導電性薄膜に形成された枝電極の間の幅を一定化することによって、導電性薄膜を通して流れる電流の分布が均一に形成される。従って、導電性薄膜全体積で均一な発熱性能を表すことができる。
【0021】
また、本発明による導電性薄膜と電極を備えた発熱装置において、導電性薄膜に形成された枝電極の間に幅が互いに異なり、幅が広い部分は視認性(可視光透過率)の高い部位に適用され、幅が狭い部分は視認性が高くない部位に適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図を参照して本発明の実施形態について本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は多様な形態に具現でき、ここで説明する実施形態に限られない。
図面で本発明を明確に説明するために説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同じ参照符号を付けた。
以下、添付図を参照して、本発明の実施形態による導電性薄膜と電極を備えた発熱基板について詳しく説明する。
【0023】
図1Aは本発明の第1実施形態による導電性薄膜と電極を備えた発熱基板の平面図である。
図1Aを参照して説明すると、本実施形態による導電性薄膜と電極を備えた発熱基板は、透明な基板100と、この基板100上に薄く形成される導電性薄膜105と、この導電性薄膜105の両側周縁に沿って隣接形成されるメイン電極110、115と、このメイン電極110、115から各々伸びて形成される枝電極(120a、120b、120c、120d)と、を含む。
本実施形態で、導電性薄膜105は長方形状で基板100上に形成される。また図1に示したように、第1メイン電極110は導電性薄膜105の左側周縁と隣接形成され、第2メイン電極115は導電性薄膜105の右側周縁に隣接形成される。
【0024】
また、枝電極は第1枝電極120a、第2枝電極120b、第3枝電極120cおよび第4枝電極120dを含み、第1枝電極120aと第3枝電極120cは第1メイン電極110から伸びて第2メイン電極115方向に延長されて導電性薄膜105の上に形成される。また第2枝電極120bと第4枝電極120dは、第2メイン電極115から伸びて第1メイン電極110方向に延長されて導電性薄膜105の上に形成される。
図1Aに示したように、枝電極(120a、120b、120c、120d)は互いに平行に配置され、第1メイン電極110から始まる枝電極(120a、120c)と第2メイン電極115から始まる枝電極(120b、120d)は交互に配置される。
【0025】
本実施形態において、電流は第1メイン電極110から枝電極(120a、120b、120c、120d)を経て第2メイン電極115に流れる。より詳細に説明すると、第1メイン電極110から第1枝電極120aと導電性薄膜105の上部105aを経て第2枝電極120bと第2メイン電極115に電流が流れる。
【0026】
同様に、第1メイン電極110から第3枝電極120cと導電性薄膜105の中間部分105bを経て第2枝電極120bと第2メイン電極115に電流が流れ、第1メイン電極110から第3枝電極120cと導電性薄膜105の下部105cを経て第4枝電極120dと第2メイン電極115に電流が流れる。
図1Bは図1Aの構造を概略的に示した回路図である。この時、本発明の計算では枝電極の抵抗が導電性薄膜の抵抗に比べて大変少ない値を有すると仮定して無視した。
【0027】
図1Aの構造は図1Bに示した回路図とも表示できる。この回路図についてより詳細に説明する。中間を通る枝電極120b、120cがない時、全体導電性薄膜(105a、105b、105c)の電気的な抵抗がRであると仮定すると、各導電性薄膜(105a、105b、105c)の抵抗はR/3に過ぎない。従って、図1Bに示した回路図によると、メイン電極110、115の間に電気的な抵抗(R')は略R/9に過ぎない(下記の数式1参照)。
【0028】
【数1】

【0029】
枝電極(120a、120b、120c、120d)によって3つの各導電性薄膜(105a、105b、105c)の各幅が減って各導電性薄膜の電気抵抗が1/3に減り、これらが再び並列連結されるため電気的な抵抗は1/9にさらに減るようになる。理論上このように導電性薄膜を分割する場合、抵抗は自乗に比例して減るようになる。
【0030】
本実施形態で、電圧(V)が一定の時に抵抗(R)が減少すると電流(I)の大きさは増加する。このように電流(I)の大きさが増加すると電力量(P)は増加する(下記の数式2参照)
【0031】
【数2】

【0032】
本実施形態において、枝電極(120a、120b、120c、120d)の数を増やすとメイン電極110、115の間に抵抗はさらに減少する。但し、枝電極(120a、120b、120c、120d)には銀(Ag)と銅(Cu)のように導電性は優れているが不透明な材質を用いるために本実施形態による発熱装置の可視光透過率は減少する。電極(110、115、120a、120b、120c、120d)の材料としては自動車ガラスの霜除去装置のように金属ワイヤーを直接的に使用することもできる。
【0033】
しかし、本発明はこれに限定されるのではなく、メイン電極110、115および/または枝電極(120a、120b、120c、120d)が透明導電性物質で構成できる。このような透明伝導性物質としては、酸化インジウム錫(ITO)、フッ素が添加された錫酸化物(FTO)、アルミニウムが添加された亜鉛酸化物(AZO)等の多様な物質が用いられる。メイン電極110、115および/または枝電極(120a、120b、120c、120d)が透明導電性物質で構成される場合には可視光透過率が高められる。本実施形態だけでなく後述する実施形態においてもメイン電極および/または枝電極が透明導電性物質で構成できることは当然である。
【0034】
図2は図1AのII-II線による導電性薄膜と電極を備えた発熱基板の断面図である。
図2に示したように、基板100上に導電性薄膜105、メイン電極110、115および枝電極(120a、120b、120c、120d)が形成される。また、このような基板100上には透明な誘電層200または絶縁層(図示せず)がさらに形成でき、このような誘電層200は導電性薄膜105、メイン電極110、115および枝電極(120a、120b、120c、120d)を覆うことによって、水分や異物などからこれらを保護する。
【0035】
本実施形態において導電性薄膜105の厚さは100μm以下に形成されるのが望ましいが、そのサイズにおいて特別な制限はない。また、導電性薄膜105は可視光の透過率が10%乃至99.9%の範囲に属するのが望ましい。また導電性薄膜105の表面抵抗が0.1Ω/□以上1012Ω/□以下であることが望ましい。
【0036】
透明導電性薄膜105としては多様な素材が活用されるが、最も多く用いられるのは酸化インジウム錫(ITO)である。特に本発明の実施形態においては導電性ポリマー、炭素ナノチューブを含む炭素基盤素材などが用いられる。
【0037】
透明導電性薄膜105としては、前述した材料以外にもZnO、SnO、InおよびCdSnOのような多様な素材が活用でき、金属(例えば、Au、Al、Agなど)やフッ素(Fluorine)等の機能性物質が一部含まれるようにして導電性が改善された薄膜を製造できる。
【0038】
透明導電性薄膜105としては、例えば、フッ素が添加された錫酸化物(FTO)、アルミニウムが添加された亜鉛酸化物(AZO)の薄膜などが適用される。
また他の透明な導電性薄膜として用いられる材料としては有機導電性ポリマーがある。有機導電性ポリマーの発達は1970年代以来進められてきた。このような努力でポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールおよびポリアセンチレンのようなポリマー類を基材にした導電性物質が開発された。
【0039】
また、本実施形態で、炭素基盤の素材(炭素ナノチューブとcarbon blackなど)を利用した導電性薄膜が製造できる。ここで炭素ナノチューブは単一壁炭素ナノチューブ、多重壁炭素ナノチューブおよび炭素ナノチューブに導電性改善のために多様な物質(金属またはポリマーなど)を添加したのを含む。
但し、導電性薄膜に用いられる材料は、一般に薄膜に製造および使用できる全ての物質を活用できる。また本実施形態による透明な導電性薄膜は、電界放出ディスプレイ、停電遮蔽、タッチスクリーン、LCD用電極、ヒーター、機能性光学フィルム、複合材料、化学およびバイオセンサー、太陽電池、エネルギー貯蔵物質、電子素子などに活用できる。
【0040】
特にポリマーや炭素ナノチューブは、柔軟で透明な導電性薄膜が必要なフレキシブルディスプレイやフレキシブルソーラーセル(Flexible solar cell)等の材料としても効果的に用いられる。
図3は本発明の第2実施形態による導電性薄膜と電極を備えた発熱基板の平面図である。
【0041】
図3を参照して説明すると、導電性薄膜は第1導電性薄膜305a、第2導電性薄膜305bおよび第3導電性薄膜305cを含む。本実施形態において、これら(305a、305b、305c)は全て同じ規格の長方形状で基板上に形成されている。また、第1導電性薄膜305aと第2導電性薄膜305bは第1ギャップ(G1)を有し、第2導電性薄膜305bと第3導電性薄膜305cは第2ギャップ(G2)を有している。各導電性薄膜(305a、305b、305c)は互いに物理的に離れていながら電気的にも絶縁される。この部分は図1Aを参照して説明した本発明の第1実施形態と異なる部分である。本実施形態において、第1ギャップ(G1)と第2ギャップ(G2)は同じ大きさを有するのは当然である。
【0042】
第1導電性薄膜305aの上部側周縁に沿って第1枝電極320aが第1メイン電極110から形成され、下部側周縁に沿って第2枝電極320bが第2メイン電極115から形成される。
【0043】
同様に第2導電性薄膜305bの上部側周縁に沿って第3枝電極320cが第1メイン電極110から形成され、下部側周縁に沿って第4枝電極320dが第2メイン電極115から形成される。また、第3導電性薄膜305cの上部側周縁に沿って第5枝電極320eが第1メイン電極110から形成され、下部側周縁に沿って第6枝電極320fが第2メイン電極115から形成される。
【0044】
図4Aは本発明の第3実施形態による導電性薄膜と電極を備えた発熱基板の平面図である。
図4Aを参照して説明すると、本実施形態による導電性薄膜と電極を備えた発熱基板は、透明な基板100、この基板100上に薄くフィルム状で形成される導電性薄膜405、この導電性薄膜405の両側周縁に沿って形成されるメイン電極110、115およびメイン電極110、115から各々伸びて形成される枝電極420を含む。
【0045】
枝電極は第1枝電極420a、第2枝電極420b、第3枝電極420c、第4枝電極420d、第5枝電極420eおよび第6枝電極420fを含む。また、第1枝電極420a、第3枝電極420cおよび第5枝電極420eは、第1メイン電極110から伸びて第2メイン電極115方向に延長されて導電性薄膜405の上に形成される。また、第2枝電極420b、第4枝電極420dおよび第6枝電極420fは、第2メイン電極115から伸びて第1メイン電極110方向に延長されて導電性薄膜405の上に形成される。
【0046】
図4Aに示したように、枝電極(420a、420b、420c、420d、420e、420f)は互いに平行配置され、第1メイン電極110から始まる枝電極(420a、420c、420e)と第2メイン電極115から始まる枝電極(420b、420d、420f)は交互に配置される。
本実施形態で、電流は第1メイン電極110から枝電極420と導電性薄膜405を経て第2メイン電極115に流れる。
【0047】
本実施形態による発熱基板についてより詳細に説明すると、導電性薄膜の横は第1長さ(L)を有し、縦は第1幅(W)を有する長方形状である。また、メイン電極110、115は導電性薄膜405の両側縦周縁に沿って形成され、メイン電極110、115の長さは導電性薄膜405の第1幅(W)よりは長い。
また、第1メイン電極110から第1枝電極420aと導電性薄膜405の第1部分405aを経て第2枝電極420bと第2メイン電極115に電流が流れ、第1メイン電極110から第3枝電極420cと導電性薄膜405の第2部分405bを経て第2枝電極420bと第2メイン電極115に電流が流れる。
【0048】
図4Aに示したように、本実施形態において第1枝電極420aと第2枝電極420bの距離はW/10であり、第2枝電極420bと第3枝電極420cの距離もW/10である。また第3枝電極420cと第4枝電極420dの距離は3W/5であり、第4枝電極420dと第5枝電極420eの距離はW/10であり、第5枝電極420eと第6枝電極420fの距離もW/10である。
【0049】
再び図面を参照して説明すると、本実施形態による導電性薄膜405は枝電極(420a、420b、420c)の間に幅が狭い第1領域450aおよび枝電極(420c、420d)の間に幅が相対的に広い第2領域450bを有する。
【0050】
第1領域450aは不透明の枝電極(420a、420b、420c)の影響で可視光の透過率が低く、第2領域450bは相対的に可視光の透過率が高い。
つまり、図4Aの構造において、第2領域450bは視認性(可視光透過率)が良く、第1領域450aは視認性が落ちる。このような構造は視認性が良く発熱性能が高い必要がある装置に応用できる。
【0051】
図4Bは図4Aの構造を概略的に示した回路図である。
図4Aの構造は図4Bに示した回路図で表示できる。この回路図について説明すると、一部枝電極(420b、420c、420d、420e)がない場合に全体導電性薄膜405の電気抵抗がRであると仮定して、本実施形態のように枝電極(420b、420c、420d、420e)が形成される場合、メイン電極110、115の間に抵抗(R")は略R/42に過ぎない(下記の数式3参照)。
【0052】
【数3】

【0053】
参考までに、各枝電極(420a、420b、420c、420d、420e、420f)の間に距離が全てW/5の場合にはメイン電極110、115の間に抵抗は略R/25である。
【0054】
図5は本発明の実施形態による導電性薄膜と電極を備えた発熱基板の製造フローチャートである。
図1Aと図5を参照して説明すると、本実施形態による導電性薄膜と電極を利用した発熱基板の製造形成段階は、透明基板100上に導電性薄膜105を形成する導電性薄膜形成段階(S1)、導電性薄膜105に隣接するようにメイン電極110、115を形成するメイン電極形成段階(S2)、メイン電極110、115から始まって導電性薄膜105の上に伸びて枝電極120を形成する枝電極形成段階(S3)を含む。
【0055】
図5では導電性薄膜形成段階(S1)、メイン電極形成段階(S2)および枝電極形成段階(S3)が順次に記載されているが、これらの順序は互いに変わってもよい。例えば、本実施形態による導電性薄膜と電極を利用した発熱装置の製造形成段階は、S1→S3→S2、S2→S3→S1、S2→S1→S3、S3→S1→S2およびS2→S3→S1のフローチャート(図示せず)を従うことができる。
【0056】
図6A乃至図6Cは本発明の実施形態による導電性薄膜と電極を利用した発熱装置の製造工程図である。
図6Aに示したように、透明な基板100上に透明な導電性薄膜105を薄く塗布して形成する。次の図6Bに示したように、導電性薄膜105と隣接するようにメイン電極110、115を形成する。次の図6Cに示したように、メイン電極110、115から始まって導電性薄膜105に沿って枝電極120a、120bを形成する。
【0057】
図6A乃至図6Cは図5で代表的に開示されたフローチャートを参照して説明した図面だが、図5で、S1→S3→S2、S2→S3→S1、S2→S1→S3、S→3→S1→S2およびS2→S3→S1のフローチャート(図示せず)により製造工程が変わってもよい。また上でS2→S3、S2→S3は同じ材質の金属で同時に製作できる。
【0058】
まず、導電性薄膜105は酸化インジウム錫(ITO)、炭素ナノチューブおよび導電性ポリマーのような材料をスパッタリング、スピンコーティング、グラビア印刷、スプレーコーティング、スリットコーティングおよびディップコーティングを含む多様な方法によって透明基板100上に形成できる。
【0059】
特に微細な電極(110、115、120a、120b)の材料として不透明な大部分の金属材質も用いることができ、透明性を考慮する場合には既存の酸化インジウム錫(ITO)をはじめとする多様な透明な導電性材料が用いられる。
電極(110、115、120a、120b)を形成する方法としては、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、グラビア印刷およびオプチカルリソグラフィがあって、電極の厚さ、幅により適切な方法を選択して利用することができる。特に枝電極の場合にはワイヤー状に形成された金属線を付着する方式で形成できる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付図の範囲内で多様に変形して実施可能であり、これらも本発明の範囲に属するのは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1A】本発明の第1実施形態による導電性薄膜と電極を備えた発熱基板の平面図
【図1B】図1Aの構造を概略的に示した回路図
【図2】図1AのII-II断面図
【図3】第2実施形態による導電性薄膜と電極を備えた発熱基板の平面図
【図4A】第3実施形態による導電性薄膜と電極を備えた発熱基板の平面図
【図4B】図4Aの構造を概略的に示した回路図
【図5】本発明の実施形態による導電性薄膜と電極を備えた発熱基板の製造フローチャート
【図6A】本発明の実施形態による導電性薄膜と電極を利用した発熱装置の製造工程図
【図6B】本発明の実施形態による導電性薄膜と電極を利用した発熱装置の製造工程図
【図6C】本発明の実施形態による導電性薄膜と電極を利用した発熱装置の製造工程図である。
【符号の説明】
【0062】
100 基板
105 導電性薄膜
305a 導電性薄膜
305b 導電性薄膜
305c 導電性薄膜
405 導電性薄膜
110 メイン電極
115 メイン電極
120a 第1枝電極
320a 第1枝電極
420a 第1枝電極
120b 第2枝電極
320b 第2枝電極
420b 第2枝電極
120c 第3枝電極
320c 第3枝電極
420c 第3枝電極
120d 第4枝電極
320d 第4枝電極
420d 第4枝電極
200 透明誘電層
320e 第5枝電極
420e 第5枝電極
320f 第6枝電極
420f 第6枝電極
450a 第1領域
450b 第2領域
G1 第1ギャップ
G2 第2ギャップ
S1 導電性薄膜形成段階
S2 メイン電極形成段階
S3 枝電極形成段階


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
前記透明基板の一面に形成される複数の電極と、
前記透明基板の一面に形成されて、前記複数の電極によって電気的に並列連結される複数の領域を含む導電性薄膜と、を含むことを特徴とする導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項2】
前記電極は、
前記導電性薄膜の第1周縁と隣接して前記基板上に伸びて形成される第1メイン電極と、
前記第1周縁と対向する第2周縁と隣接して前記基板上に伸びて形成される第2メイン電極と、
前記第1メイン電極から伸びて、前記導電性薄膜に接して前記導電性薄膜の一側を横切って前記第2メイン電極方向に延長形成される第1枝電極と、
前記第2メイン電極から伸びて、前記導電性薄膜に接して前記第1枝電極と対応して形成される第2枝電極と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項3】
前記導電性薄膜は厚さが均一な長方形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項4】
前記第1枝電極は複数備えられ、前記第2枝電極は前記第1枝電極に対応して形成されることを特徴とする請求項2に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項5】
前記第1枝電極と前記第2枝電極が交互に繰り返し形成されることを特徴とする請求項4に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項6】
前記第1枝電極と前記第2枝電極は互いに平行に配置されることを特徴とする請求項4に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項7】
一つの前記第1枝電極とこれに対応する前記第2枝電極との間の距離は第1幅だけ離隔され、
他の一つの前記第1枝電極とこれに対応する前記第2枝電極との間の距離は第2幅だけ離隔され、
前記第1幅より前記第2幅が長いことを特徴とする請求項4に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項8】
前記第1幅が形成された第1領域より前記第2幅が形成された第2領域の可視光透光率が大きいことを特徴とする請求項7に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項9】
前記導電性薄膜は、
第1導電性薄膜と、
前記第1導電性薄膜と一定のギャップをおいて形成される第2導電性薄膜を含み、
前記第1枝電極は前記第1導電性薄膜と前記第2導電性薄膜との一側周縁に接して形成され、
前記第2枝電極は前記第1導電性薄膜と前記第2導電性薄膜との他側周縁に接して形成され、
前記第1メイン電極と前記第2メイン電極とが並列連結されることを特徴とする請求項2に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項10】
前記第1導電性薄膜と前記第2導電性薄膜とは同じ形態を有することを特徴とする請求項9に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項11】
前記導電性薄膜は可視光の透過率が10%乃至99.9%の範囲に属することを特徴とする請求項1に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項12】
前記導電性薄膜は、
酸化インジウム錫(ITO)、ZnO、SnO、In2O、CdSnO、炭素ナノチューブを含む炭素基盤素材、フッ素が添加された錫酸化物(FTO)およびアルミニウムが添加された亜鉛酸化物(AZO)から選択された一つ以上の成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項13】
前記メイン電極と前記枝電極は、
導電性薄膜に比べて表面抵抗が低くなるように形成されたことを特徴とする請求項2に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項14】
前記メイン電極と前記枝電極は、
アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、及び、銅(Cu)の少なくとも何れか一つの材質を含む金属で構成されたことを特徴とする請求項13に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項15】
前記メイン電極および前記枝電極のうち少なくともいずれか一つの電極は、透明伝導性物質で構成されることを特徴とする請求項2に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項16】
前記基板上に透明誘電層が形成され、
前記透明誘電層は、
前記導電性薄膜および前記電極を覆うことを特徴とする請求項1に記載の導電性薄膜と電極を備えた発熱基板。
【請求項17】
基板上に導電性薄膜を形成する導電性薄膜形成段階と、
前記導電性薄膜の周縁と隣接して前記基板上に伸びてメイン電極を形成するメイン電極形成段階と、
前記メイン電極から伸びて前記導電性薄膜に接して前記導電性薄膜の一側を横切って枝電極を形成する枝電極形成段階と、を含むことを特徴とする導電性薄膜と電極を備えた発熱基板の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2009−57042(P2009−57042A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220738(P2008−220738)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(304059937)コリア・インスティテュート・オブ・マシナリー・アンド・マテリアルズ (27)
【Fターム(参考)】