説明

導電性部材画像形成装置

【課題】 近接する被帯電面と帯電面との間の間隙隙間が変化するのを防止して、(1)間隙寸法変化による異常放電の防止、(2)環境変動による間隙保持部材と電気抵抗調整層との間隙寸法変化の防止が可能な構成を備えた導電性支持部材を提供する。
【解決手段】 長尺状に構成され、外面側に電気抵抗調整層102Bを有した導電性支持基材102Aと、該電気抵抗調整層102Bの長手方向端部に形成された段差部102B1に対して挿入されて配置され、該電気抵抗調整層102Bの最外側とこれに対向する部材101との間に所定の間隙を設定可能な間隙保持部材102Cとを備え、前記段差部102B1には、前記間隙保持部材102Cの挿入方向上流側から下流側に向けて外形寸法が大きくなる傾斜面で構成されたエッジ部102Eが設けられ、前記間隙保持部材102Cは、該段差部102B1に挿入された際に上記所定の間隙を設定するための高低差が設けられる形状とされていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性部材および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置や印刷機などの画像形成装置に用いられる帯電ローラなどの導電性部材の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、潜像担持体に対し帯電装置による一様帯電後、書き込み装置などにより画像の書き込みが行われて画像に対応した静電潜像が形成され、静電潜像が現像装置から供給されるトナーにより可視像処理される。
可視像は転写装置により記録紙などに転写された後、定着装置によって定着される。
転写後の潜像担持体上には、転写されなかったトナーが残る場合があり、画像形成装置では残留トナーをクリーニング装置により除去するようになっている。
【0003】
クリーニング装置により大部分のトナーは除去されるが、そのうちのごく少量のトナーが除去されずに、そのままクリーニング装置を通過してしまうことがある。
クリーニングしきれなかった潜像担持体は再度帯電装置による一様帯電を受けることになるが、帯電装置の構成によっては一様な帯電ができなくなる場合がある。
【0004】
クリーニングされないで潜像担持体上に残ったトナーは、潜像担持体表面に堆積すると薄層化して、いわゆる、フィルミングが発生する。フィルミングは、潜像担持体に対して実施される帯電の形式によって顕著となる場合があり、帯電不良や画像流れなどを引き起こす原因となることがある。
【0005】
潜像担持体に対する帯電形式には、潜像担持体と非接触な形式であるコロナ帯電形式と潜像担持体表面に帯電部材を直接接触させる接触帯電形式とがある。
コロナ帯電形式の場合には、潜像担持体上に残っているトナーの影響を受けにくいことから比較的一様な帯電が可能である反面、オゾンの発生量が多いという問題がある。
接触帯電形式では、気中放電を行わない分、オゾンの発生量が少ないという利点がある反面、潜像担持体と直接接触しているために接触跡が残ったり、クリーニングされなかったトナーが帯電装置表面に付着して汚損されることにより帯電ムラが発生するという問題がある。
【0006】
潜像担持体に直接帯電部材を接触させる接触帯電形式における問題を解決するために、潜像担持体表面と帯電部材表面との間に僅かな隙間を形成して非接触な関係とした近接帯電形式がある。(例えば、特許文献1,2)。
【0007】
特許文献1,2には、潜像担持体と対向は位置されている帯電部材として帯電ローラが用いられ、帯電ローラの軸方向両側の外周面には潜像担持体との間に設定される間隙分の厚さを有したスペーサーリングを設けた構成が開示されている。
また、潜像担持体との間の間隙を設定する構成としては、上述したリングなどに代えて、テープなどのギャップ管理部材を用いたり(例えば、特許文献3)、あるいは間隙設定部材の特性として、デュロメータ硬さHDD30以上かるHDD70以下、テーパ摩耗試験機の摩耗質量が10mg/1000サイクル以下を持たせた特性とした間隙保持部材を帯電ローラの軸方向両端に圧入させたものが提案されている(例えば、特許文献4)。
【0008】
【特許文献1】特開平3−240076号公報(第2頁右下欄第16乃至20行)
【特許文献2】特開平4−358175号公報(段落「0030」欄)
【特許文献3】特開2001−296723号公報(段落「0032)欄)
【特許文献4】特開2004−354477号公報(段落「0024」欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
潜像担持体に対する帯電装置の対向間隙を設定する構成においては、帯電部材に対して別部材としてのスペーサーリング等の部材を用いる構成では、その間隙を一定に維持することが重要となる。
【0010】
つまり、潜像担持体と帯電部材との間の間隙は、帯電部材を構成する材料の一部が潜像担持体表面に付着することがなく、また、接触による潜像担持体表面での永久ひずみが生じないようにするために重要な要素である。
【0011】
しかし、帯電部材と潜像担持体との間隙を保持することは、部材の加工精度や組み立て精度などの原因による難しいのが現状である。このため、帯電部材と潜像担持体との間の間隙変化が生じると、帯電ムラが発生し、画像形成時において地肌部にトナーが付着するなどの画像不良が発生してしまう虞がある。特に画像不良を生じさせないようにするための間隙に関しては、設定された間隙に対して20μm程度の誤差範囲に抑えることが必要とされている。
【0012】
このような要求に対し、特許文献3に開示されているような構成、つまり、スペーサーリングを配置した構成では、スペーサーリングとして用いられる部材の材質がゴムなどの弾性体である場合、経時による劣化、例えば収縮変形などにより間隙を一定に維持することが困難となり、また、スペーサーリングの内面にトナーや塵などの異物が侵入することが原因して間隙が変化する虞もある。
【0013】
一方、特許文献4に開示されているように、帯電ローラの軸方向両端に間隙保持部材を圧入した構成では、帯電ローラの電気抵抗調整層に対して圧入された間隙保持部材が接触する関係となり、いわゆる、電気抵抗調整層と間隙保持部材とが一致化されやすくなることでスペーサーリングの場合のような経時的劣化や異物侵入による不具合は低減されるものの、両部材間での吸水率の違いにより環境変動による寸法変化が異なることが原因して間隙を変化が生じてしまう虞がある。特に、帯電ローラ側の電気抵抗調整層と間隙保持部材とは耐トナー固着性を考慮して異なった材質で形成されることが多く、電気抵抗調整層の電気抵抗調整剤としてイオン導電剤が用いられるために吸水率が高く、高温高湿時には電気抵抗調整層の吸水率が高まり、形状寸法が変化しやすくなる。また、間隙保持部材においても、絶縁性や耐トナー固着性を考慮してイオン導電剤よりも低吸水率を有するオレフィン系材料が用いられると、この材料が環境変動時での間隙変動において帯電ローラ側の材料との間で形状寸法の変化率が異なり、間隙を一定に維持することができないという不具合がある。
【0014】
本発明の目的は、前記従来の画像形成装置、特に、近接帯電形式を用いた場合の問題に鑑み、近接する被帯電面と帯電面との間の間隙隙間が変化するのを防止して、(1)間隙寸法変化による異常放電の防止、(2)環境変動による間隙保持部材と電気抵抗調整層との間隙寸法変化の防止が可能な構成を備えた導電性支持部材および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1記載の発明は、長尺状に構成され、外面側に電気抵抗調整層を有した導電性支持基材と、該電気抵抗調整層の長手方向端部に形成された段差部に対して挿入されて配置され、該電気抵抗調整層の最外側とこれに対向する部材との間に所定の間隙を設定可能な間隙保持部材とを備え、前記段差部には、前記間隙保持部材の挿入方向上流側から下流側に向けて外形寸法が大きくなる傾斜面で構成されたエッジ部が設けられ、前記間隙保持部材は、該段差部に挿入された際に上記所定の間隙を設定するための高低差が設けられる形状とされていることを特徴としている。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の導電性支持部材において、前記エッジ部の形成範囲は、前記導電性支持基材の長手方向における前記段差部で前記間隙保持部材が挿入される範囲の外側に設定されていることを特徴としている。
【0017】
請求項3記載の発明は、長尺状に構成され、外面側に電気抵抗調整層を有した導電性支持基材と、該電気抵抗調整層の長手方向端部に形成された段差部に対して挿入されて配置され、前記電気抵抗調整層の最外側とこれに対向する部材との間に所定の間隙を設定可能な間隙保持部材とを備え、前記段差部の外面には、前記間隙保持部材の挿入方向上流側から下流側に向けて拡径するテーパ面が設けられ、前記間隙保持部材は、該段差部に挿入された際に上記所定の間隙を設定するための高低差が設けられる形状とされていることを特徴としている。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の導電性支持部材において、前記テーパ面は、前記段差部内における前記間隙保持部材が挿入されて接触する面を含む外側に向けて設けられていることを特徴としている。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載の導電性支持部材において、前記間隙保持部材には、前記段差部に嵌合する面がテーパ面とされていることを特徴としている。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のうちの一つに記載の導電性支持部材において、前記電気抵抗調整層と前記間隙保持部材とは前記導電性支持基材に設置された後にその外面を相互に除去加工されて間隙保持部材側に高低差が設けられることを特徴としている。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のうちの一つに記載の導電性支持部材において、前記間隙保持部材が前記電気抵抗調整層に対して接着により固定されていることを特徴としている。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のうちの一つに記載の導電性支持部材において、前記間隙保持部材がプライマリーを介して前記電気抵抗調整層に対し接着固定されていることを特徴としている。
【0023】
請求項9記載の発明は、前記間隙保持部材は、前記電気抵抗調整層が対向する部材と当接する部分が絶縁層で構成されていることを特徴としている。
【0024】
請求項10記載の発明は、請求項1乃至9のうちの一つに記載の導電性支持部材において、前記電気抵抗調整層に異物付着防止用の表面層が形成されていることを特徴としている。
【0025】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の導電性支持部材において、前記表面層の抵抗が前記電気抵抗調整層の抵抗よりも大きくなる関係とされていることを特徴としている。
【0026】
請求項12記載の発明は、請求項1乃至11のうちの一つに記載の導電性支持部材において、前記導電性支持基材が円筒部材であることを特徴としている。
【0027】
請求項13記載の発明は、請求項1乃至12のうちの一つに記載の導電性支持部材を画像形成装置に用いることを特徴としている。
【0028】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の導電性支持部材において、前記導電性支持基材が画像形成装置における帯電部材として用いられることを特徴としている。
【0029】
請求項15記載の発明は、請求項13または14記載の画像形成装置において、前記導電性支持部材が用いられる帯電部材は、これと対向する部材として潜像担持体に近接配置されていることを特徴としている。
【0030】
請求項16記載の発明は、請求項13乃至15のうちの一つに記載の画像形成装置において、前記帯電部材、潜像担持体がプロセスカートリッジ内に収納されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0031】
請求項1記載の発明によれば、帯電部材における電気抵抗調整層と間隙保持部材とは電気抵抗調整層の長手方向端部に形成された段差部において市来召されて設けてあるので、両部間での変形度合いの違いを生じさせないようにできる、。しかも、電気抵抗層が環境変動により膨潤したような場合には間隙保持部材も膨潤するようにして電気抵抗調整層とこれに対向する部材との間の間隙が小さくなるのを防止することができる。この結果、環境変動に関係なく間隙を一定に辞することが可能となる。
【0032】
請求項2記載の発明によれば、エッジ部の形成位置が段差部に接触する間隙保持部材の位置よりも外側であるので、段差部に対する間隙保持部材の接触面の減少を防いで環境変動による電気抵抗調整層の変化に対して間隙保持部材が確実に追随して環境変動による間隙寸法の変化を抑えることが可能となる。
【0033】
請求項3記載の発明によれば、電気抵抗調整層における段差部が間隙保持部材の挿入方向上流側から下流側に向けて拡径するテーパー面で構成され、間隙保持部材の挿入を容易にすると共に、加工時に電気抵抗調整層、及び間隙保持部材の変形を発生させず、感光体との空隙を精度良く一定に保ち、かつ、間隙保持部材が配置されている電気抵抗調整層が環境変動で間隙寸法が変化しても、電気抵抗調整層の変化に追従することができるため、空隙変動を抑えることが可能となる。
【0034】
請求項4記載の発明によれば、接触面を減少させることが無く、間隙保持部材が配置されている電気抵抗調整層が環境変動で寸法変化しても、電気抵抗調整層の変化に確実に追従することができるため、間隙寸法の変動を抑えることが可能となる。
【0035】
請求項5記載の発明によれば、間隙保持部材が配置されている電気抵抗調整層が環境変動で寸法変化しても、電気抵抗調整層の変化に確実に追従することができるため、空隙変動を抑えることが可能となる。
【0036】
請求項6記載の発明によれば、間隙保持部材と抵抗調整層との高低差の形成を、除去加工による一体加工で行うことができることにより、空隙の精度をより高めることが可能となる。
【0037】
請求項7記載の発明によれば、間隙保持部材が電気抵抗調整層上へ接着固定されているので、樹脂同士の接着力により、長期に渡って間隙保持部材を確実に固定し、また除去加工時の間隙保持部材のずれを防止することで、高精度の空隙を維持することが可能となる。
【0038】
請求項8記載の発明によれば、間隙保持部材に施されたプライマーを介して、間隙保持部材が電気抵抗調整層上へ接着固定されるので、樹脂同士の接着をより強固にし、長期に渡って間隙保持部材を確実に固定し、また除去加工時の間隙保持部材のずれを防止することで、高精度の空隙を維持することが可能となる。
【0039】
請求項9記載の発明によれば、少なくとも間隙保持部材が電気抵抗調整層が対向する部材と当接する部分を絶縁性としているので、導電性部材に高電圧を印加したときに、空隙保持部材と上記対向する部材との基層との間に異常放電(リーク)の発生を防止することが可能となる。
【0040】
請求項10記載の発明によれば、電気抵抗調整層上に異物付着を防止する表面層を形成しているので、例えば、画像形成に用いられるトナーやトナーに添加されている添加剤が導電性支持部材表面に付着するのを長期にわたって防止することが可能となる。
【0041】
請求項11記載の発明によれば、表面層の抵抗を電気抵抗調整層の抵抗より大きくしているので、導電性部材へ高電圧を印加した際に例えば、画像形成に用いられる像担持体欠陥部への電圧集中及び異常放電の発生を防止することが可能となる。
【0042】
請求項12記載の発明によれば、導電性部材を円筒形状とすることにより、導電性部材を回転させることで同一箇所からの連続放電を防止して、長寿命化を図ることが可能となる。
【0043】
請求項13記載の発明によれば、電気抵抗調整層に対して高低差を持たせて挿入された間隙保持部材を備えた導電性支持部材を用いることで、環境変動による間隙寸法の変化を阻止して異常放電などにより画像不良が発生しない画像形成装置を得ることが可能となる。
【0044】
請求項14記載の発明によれば、導電性支持部材を帯電部材とすることにより、電気抵抗調整層に対向して配置されている部材、例えば、画像処理に用いられる潜像担持体の帯電を均一に行うことが可能となる。
【0045】
請求項15記載の発明によれば、帯電部材を帯電装置に組み込むことにより、交換容易な帯電装置を提供することが可能となる。
【0046】
請求項16記載の発明によれば、帯電部材をプロセスカートリッジに組み込むことができるようになっているので、交換容易なカートリッジを備えた画像形成装置を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下に本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明実施例による画像形成装置の要部構成を示す模式図である。
図1において画像形成装置100は、ドラム状部材で構成された潜像担持体としての感光体101を備えている。
感光体101の周囲には、感光体101の回転方向に沿って画像形成処理を実行するための帯電装置102,書込光を照射する光書込装置103(図1では、照射光のみが示されている),現像装置104,転写装置105,クリーニング装置106がそれぞれ配置されている。
【0048】
図1に示す画像形成装置100においては、帯電装置102により感光体101が一様帯電され、光書込装置102によって感光体101上に静電潜像が形成される。感光体101上の静電潜像は現像装置103から供給されるトナーにより可視像処理を行われ、給紙装置から給送されてくる記録材107に対して転写装置105を介して記録材にトナー像が転写される。トナー像を転写された記録材は図示しない定着装置により画像を定着されて図示しない排出部に向け排出される。
画像転写後の感光体101はクリーニング装置106により残留トナーを除去され、再度帯電装置102に向けて移動することで次の画像形成処理に用いられる。
【0049】
帯電装置102は、後で詳述するが、本実施例における要部に相当する導電性支持部材で構成されており、帯電電圧を印加するための電圧印加電源(パワーパック)108が接続されている。
【0050】
本実施例では、図2に示すように、画像形成装置100に装備されている少なくとも感光体101を含む帯電装置102、現像装置104およびクリーニング装置106が纏められてプロセスカートリッジ111内に収容配置されており、プロセスカートリッジ111は、画像形成装置100に対して着脱可能に設けられていることで、感光体101,帯電装置102の保守点検および交換作業を狭い画像形成装置内の空間で行うことなく外部に取り出して容易に行えるようになっている。なお、図1および2中、符号109は感光体101の表面電位を検知する表面電位計を示している。
【0051】
帯電装置102は、その構成が図3に示されているように、長尺状の円筒状部材からなる導電性支持基材102Aと、導電性支持基材102Aの外周面に設けられている円筒状の電気抵抗調整層102Bと、電気抵抗調整層102Bの長手方向端部に形成された段差部102B1に挿入されているリング状の間隙保持部材102Cとを備えた導電性支持部材で構成されている。
【0052】
電気抵抗調整層102Bに設けられている段差部102B1は、図4に示すように、感光体101における非画像領域に対応する位置に設けられており、段差部102B1に挿入される間隙支持部材102Cが電気抵抗調整層102Bに対して高低差を持たせてあることにより電気抵抗調整層102B対向する部材に相当する感光体101との間に所定の間隙(H)を設定できるようになっている。間隙寸法は100μm以下が望ましく、画像を形成した際に帯電ムラによる画像不良が生じないためには、帯電装置102における電気抵抗調整層102Bと感光体101との間の最接近部での距離のバラツキが20μm程度に抑えられることが必要である。
【0053】
間隙保持部材102Cは感光体101に対して当接し、そしてこれと高低差を有する電気抵抗調整層102Bが感光体101からわずかに離れた状態に位置することで、帯電装置102を構成する導電性支持部材を、感光体101に対する近接帯電が行える部材として用いることができるようになっている。
【0054】
感光体101はドラム状部材であり、またこれに近接帯電を行う帯電装置102も主要部が円筒状部材であり、両者が回転駆動されることにより、互いに対向する面を回転に伴って変化させるようになっている、これにより、通電ストレスによる表面の化学的劣化が生じにくくされ、製品寿命を延ばすことができる。なお、両者は共に断面円形状とすることに限らず、楕円形状とすることも可能である。
【0055】
図4において、間隙保持部材102Cは、電気抵抗調整層102Bの段差部102B1に対して圧入ではなく挿入され留用になっている。この理由は次のとおりである。
図9は、従来用いられている帯電装置を構成する導電性支持部材の構成を示しており、同図において導電性支持部材200は、導電性支持基材200aの外周面に装填された電気抵抗調整層201を備え、導電性支持基材201に対してその軸方向両端に間隙保持部材203が圧入されている。間隙保持部材203は電気抵抗調整層202の軸方向両端に向け導電性支持基材201に対して直接圧入される。このような構成において間隙保持部材203を圧入する際には、圧入の際に生じる摩擦抵抗、いわゆる反力によって電気抵抗調整層202の軸線と間隙保持部材203の軸線とが一致しなくなり、これによって所定の間隙を設定することができなくなる虞がある。
【0056】
図10は、圧入の際に生じる圧入力の変化を示す図であり、同図において、圧入開始時において挿入力を6Kgf程度に設定して圧入した場合、その力が一様な作用力とはならず、導電性支持基材201から受ける反力によって不安定となる。このため、間隙保持部材203の圧入状態が円滑ではなく、むしろ、軸線に対して傾く状態と軸線に平行する状態とが繰り返されて、いわゆる、がたつきながら圧入されることになり、圧入完了時での軸線に対する間隙保持部材203の向きが安定しないことになり、これにより、感光体に当接した際の電気抵抗調整層と感光体との間の間隙が軸方向で一様とならなくなる。
そこで、本実施の形態においては、導電性支持基材102Aへの直接圧入ではなく、図5および図6に示すように、電気抵抗調整層102Bに設けてある段差部102B1に挿入することで、挿入ストロークを小さくして挿入時での間隙保持部材102Cに不安定な挙動が生じないようにしてある。
【0057】
図5において、導電性支持基材102Aに装填されている電気抵抗調整層102Bに形成されている段差部102B1に対して間隙保持部材102Cが挿入され、図6に示すように、挿入された間隙保持部材102Cと共に電気抵抗調整層102Bの外周面を除去して間隙保持部材102Cに電気抵抗調整層102Bに対する高低差を生じさせるように外周面の一部を連続切削により除去する。このように、電気抵抗調整層102Bと間隙保持部材102Cとを連続的に切削加工できることにより別体で形成する場合と違って、高低差のバラツキを±10μm以下に抑えることが可能となる。
【0058】
一方、電気抵抗調整層102Bの軸方向端部は、図7および図8に示すように、間隙保持部材102Cの挿入を容易にするための構成とされている。
図7に示す構成では、段差部102B1における間隙保持部材102Cが接触する面の外側の端面の一部を除去したエッジ部102Eが形成され、図8に示す構成では、段差部102B1が間隙保持部材102Cの挿入方向(図8中、矢印で示す方向)の上流側から下流側に向けて拡径するテーパ面102Tが構成されている。図8に示す構成においては、間隙保持部材102C側の段差部102B1との接触面はテーパ面とされて嵌合可能とされている。
【0059】
図7および図8に示した段差部102B1の構成は、間隙保持部材102Cの挿入を容易化して電気抵抗調整層102Bおよび間隙保持部材102Cの変形を防止すると共に、挿入時での電気抵抗調整層102Bと間隙保持部材102Cとの接触を良好に行えるようにしている。これにより、変形が原因となる間隙寸法の変化を防止することができる。
【0060】
図7および図8に示した構成では、加工される位置が間隙保持部材102Cの接触面積を小さくする範囲ではなく、図7では接触面の外側であり、また図8では接触面積がそのままとなる接触面を含む外側であるので、接触面積が小さくなる場合と違って、電気抵抗調整層102Bの変形に追随させて間隙保持部材102Cを変形されることができる。これにより、環境変動により電気抵抗調整層102Bが膨潤した場合には、間隙保持部材102Cも追随して膨潤するので、電気抵抗調整層102Bと感光体101との間の間隙が変化しない状態を維持できることになる。つまり、膨潤した場合には間隙保持部材102Cも膨潤することで間隙保持部材102Cの外径が大きくなり、電気抵抗調整層102Bの外径が大きくなっても感光体101に対する間隙寸法が変化しないことにある。
【0061】
一方、電気抵抗調整層102Bの段差部102B1に挿入される間隙保持部材102Cは、挿入面が接着剤を塗布することで、長期間に渡って使用した際に空隙保持部材が脱離することを避けることが可能である。また、空隙保持部材の除去加工時に刃具の応力による空隙保持部材の端部剥がれ、むしれ等をより発生しにくくできる。
【0062】
さらに、接着前に空隙保持部材にプライマー処理を施すことで、極性部分と非極性部分を持つプライマー有効成分が空隙保持部材に浸透、配向することにより接着面の表面改質が起こるので、接着性が大幅に向上させることができるようになっている。
【0063】
間隙保持部材102Cは、感光体との当接時に基層との間にショート電流が発生することを防止するために電気絶縁性材料が用いられており、この場合、体積抵抗率で1013Ωcm以上であることが望ましい。また、間隙保持部材102Cの全部が絶縁性材料である必要は無く、少なくとも電気抵抗調整層102Cとの当接部分等が絶縁性を備えているものであるならば、ショート電流の発生を防止することが可能である。
【0064】
間隙保持部材102Cの材料としては、電気抵抗調整層102Bの寸法変動に追従可能な弾性を有し、かつ絶縁性材料である他は特に限定するものではないが、感光体101との摺動性に優れかつ感光体101を傷つけない程度に軟らかいこと、トナーが固着しにくいこと等の理由から、ポリエチレンやフッ素樹脂等が好ましい。
【0065】
電気抵抗調整層102Bは、高分子型イオン導電材料を含む熱可塑性樹脂組成物により形成されている。高分子型イオン導電材料として、ポリエーテルエステルアミド成分を含有する高分子化合物が用いられる。
ポリエーテルエステルアミドはイオン導電性の高分子材料であり、感光体101へのリークが起こり難く、また表面へのブリードアウトが生じ難いことを特徴とする材料である。
【0066】
電気抵抗調整層102Bの体積抵抗率は10〜10Ωcmであることが望ましい。10Ωcmを越えると帯電量の不足により、均一画像を得る為の十分な帯電電位を得ることができなくなる。体積抵抗率が10Ωcmよりも低いと、感光体101に生じている欠陥部への電圧集中(リーク)、異常放電が生じてしまう。
【0067】
このような観点から、絶縁性の熱可塑性樹脂と所定の割合でブレンドしてもよい。熱可塑性樹脂は特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンおよびその共重合体等の汎用樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール等のエンジニアリングプラスチック等があげられる。
配合量については、熱可塑性樹脂が0〜70重量%に対し、高分子型イオン導電材料が30〜100重量%とすることで所望の体積抵抗率を得ることができる。
【0068】
電気抵抗調整層102Bの厚みは、薄すぎるとリークによる異常放電が発生し、厚すぎると表面精度の維持が困難となる。好ましくは100μm以上、500μm以下である。
上述した熱可塑性樹脂組成物の製造方法には特に制限は無く、各材料の混合物を二軸混練機、ニーダー等で溶融混練することによって、容易に製造できる。
【0069】
電気抵抗調整層を導電性支持体の周面部に形成する工程は、押出成形や射出成形等の手段で導電性支持体に上記熱可塑性樹脂組成物を被覆することによって、容易に行うことができる。
【0070】
また、導電性支持基材102A上に電気抵抗調整層102Bのみを形成して導電性支持部材を構成すると、電気抵抗調整層102Bにトナー等が固着して性能低下する場合がある。このような不具合は、電気抵抗調整層102Bに表面層を形成することで、無くすことができる。
表面層の抵抗値は電気抵抗調整層102Bのそれよりも大きくなるように形成され、それによって感光体101の欠陥部への電圧集中、異常放電(リーク)を回避することができる。ただし、表面層の抵抗値を高くしすぎると帯電能力や転写能力が不足してしまうため、表面層と電気抵抗調整層102Bとの抵抗値の差を10Ωcm以下にすることが好ましい。
【0071】
表面層を形成する材料としては、製膜性が良好であるという点で熱可塑性樹脂組成物が好適である。樹脂材料としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が非粘着性に優れ、トナー固着防止の面で好ましい。また、樹脂材料は電気的に絶縁性であるため樹脂に対して各種導電材料を分散することによって表面層の抵抗を調整する。
【0072】
表面層の電気抵抗調整層102B上への形成は、上記表面層構成材料を有機溶媒に分散して塗料を作製し、スプレー塗装、ディッピング等によってコーティングすることによって行う。膜厚については、10〜30μm程度が望ましい。
【実施例】
【0073】
以下、本発明の実施例を挙げる。
(実施例1)
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)に、電気抵抗調整層としてABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)50重量%、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×10Ωcm)を、射出成形により被覆し、外径14mm、両端段差部外径11.3mmの電気抵抗調整層を形成した。ついで電気抵抗調整層の両端段差部に、間隙保持部材として高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の間隙保持部材を挿入接着した。
【0074】
次に、切削によって間隙保持部材の外径(最大径)を12.1mm、電気抵抗調整層の外径を12.0mmに同時仕上げを行い、図7に示す形状とした(間隙保持部材のA部厚み0.4mm、B部厚み2mm、C部幅8mm)。
次いで電気抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料製)、イソシアネート系硬化剤(川上塗料製)、及びカーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×1010Ω)をスプレーコーティングすることにより膜厚約10μmの表面層を形成した。
その後、オーブンで80℃、1時間、塗料樹脂を加熱硬化させ導電性部材を得た。
(実施例2)
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)に、電気抵抗調整層としてABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)50重量%、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×10Ωcm)を、射出成形により被覆し、外径14mm、両端段差部外径11.1mmの電気抵抗調整層を形成した。
次いで、電気抵抗調整層の両端段差部に、間隙保持部材として高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の間隙保持部材を挿入接着した。
次に切削によって間隙保持部材の外径(最大径)を12.1mm、電気抵抗調整層の外径を12.0mmに同時仕上げを行い、図7に示す形状とした(間隙保持部材のA部厚み0.5mm、B部厚み2mm、C部幅8mm)。
【0075】
次いで電気抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料製)、イソシアネート系硬化剤(川上塗料製)、及びカーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×1010Ω)をスプレーコーティングすることにより膜厚約10μmの表面層を形成した。 その後、オーブンで80℃、1時間、塗料樹脂を加熱硬化させ導電性部材を得た。
(実施例3)
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)に、電気抵抗調整層としてABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)50重量%、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×10Ωcm)を、射出成形により被覆し、外径14mm、両端段差部外径10.9mmの電気抵抗調整層を形成した。 ついで電気抵抗調整層の両端段差部に、間隙保持部材として高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の間隙保持部材を挿入接着した。
【0076】
次に切削によって間隙保持部材の外径(最大径)を12.1mm、電気抵抗調整層の外径を12.0mmに同時仕上げを行い、図7に示す形状とした(間隙保持部材のA部厚み0.6mm、B部厚み2mm、C部幅8mm)。 次いで電気抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料製)、イソシアネート系硬化剤(川上塗料製)、及びカーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×1010Ω)をスプレーコーティングすることにより膜厚約10μmの表面層を形成した。 その後、オーブンで80℃、1時間、塗料樹脂を加熱硬化させ導電性部材を得た。
(実施例4)
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)に、電気抵抗調整層としてABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)50重量%、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×10Ωcm)を、射出成形により被覆し、外径14mm、両端段差部外径10.9mmの電気抵抗調整層を形成した。次いで電気抵抗調整層の両端段差部に、間隙保持部材として高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の間隙保持部材を挿入接着した。
【0077】
次に切削によって間隙保持部材の外径(最大径)を12.1mm、電気抵抗調整層の外径を12.0mmに同時仕上げを行い、図7に示す形状とした(間隙保持部材のA部厚み0.5mm、B部厚み1mm、C部幅8mm)。次いで電気抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料製)、イソシアネート系硬化剤(川上塗料製)、及びカーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×1010Ω)をスプレーコーティングすることにより膜厚約10μmの表面層を形成した。 その後、オーブンで80℃、1時間、塗料樹脂を加熱硬化させ導電性部材を得た。
(比較例1)
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)に、電気抵抗調整層としてエピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG、ダイソー社製)100重量部に過塩素酸アンモニウム3重量部を配合したゴム組成物(体積抵抗率:4×10Ωcm)を、押出成形、加硫工程を経て被覆し、研削により外径12mmに仕上げた。 次いでこの表面に、ポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000−K、電気化学工業社製)、イソシアネート系硬化剤、及び酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×1010Ω)により膜厚10μmの表面層を形成した。次いでこの両端部に、ポリアミド樹脂(ノバミッド1010C2、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)からなるリング状の間隙保持部材(外径12.1mm)を挿入接着し、導電性部材を得た。
(比較例2)
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)に、電気抵抗調整層としてエピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG、ダイソー社製)100重量部に過塩素酸アンモニウム3重量部を配合したゴム組成物(体積抵抗率:4×10Ωcm)を、押出成形、加硫工程を経て被覆し、研削により外径12mmに仕上げた。次いでこの表面に、ポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000−K、電気化学工業社製)、イソシアネート系硬化剤、及び酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×1010Ω)により膜厚10μmの表面層を形成した。 次いでこの両端部周囲に、間隙保持部材としてテープ状部材(ダイタックPF025−H、大日本インキ社製)幅8mm、厚さ60μmを被覆し、導電性部材を得た。
(比較例3)
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)に、電気抵抗調整層としてABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)50重量%、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×10Ωcm)を、射出成形により被覆した。次いでこの両端部に、間隙保持部材としてポリアミド樹脂(ノバミッド1010C2、三菱エンジニアリングプラスチック社製)からなるリング状の間隙保持部材を挿入接着し、切削によって間隙保持部材の外径(最大径)を12.1mm、電気抵抗調整層の外径を12.0mmに同時仕上げを行い、図8に示す形状とした。次いでこの表面にポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000−K、電気化学工業社製)、イソシアネート系硬化剤、及び酸化スズ(全固形分に対して60重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×1010Ω)により膜厚10μmの表面層を形成し、導電性部材を得た。
(試験1)
以上の導電性部材を帯電部材として、図1に示した画像形成装置に搭載し、室温環境下(23℃、60%RH)で帯電部材と感光体間の空隙量を測定した。 次いでLL;10℃、65%RH、HH;30℃、90%RHの各環境下に24h放置し、各環境下での帯電部材と感光体間の空隙量を測定し、各環境間の空隙変化量を算出した。
【0078】
評価結果を表1に示す。
実施例のローラは空隙量のばらつき及び各環境間の変化量が小さい結果が得られた。
(試験2)
印加する電圧をDC=−800V、AC=2400Vpp(周波数=2kHz)に設定し、300,000枚通紙し、帯電部材と感光体間の空隙量、及びローラ表面の状態、及び画像について評価を行った。 評価環境は10,000枚ごとに23℃、60%RH、LL;10℃、65%RH、HH;30℃、90%の各環境を切り替えて行った。
【0079】
以上の評価結果を表1に示す。
実施例のローラは全項目で良好な結果が得られたが、比較例では不具合が見られた。
【0080】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明実施例による画像形成装置の構成を示す模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に用いられる装置を収納するプロセスカートリッジを示す図である。
【図3】導電性支持部材が用いられる帯電ローラの構成を示す図である。
【図4】感光体の画像形成領域および非画像形成領域に対する帯電ローラにおける電気抵抗調整層および間隙保持部材の位置関係を示す図である。
【図5】図3に示した帯電ローラの加工工程の一態様を示す図である。
【図6】図5に示した加工工程からさらに進行した状態を示す図である。
【図7】電気抵抗調整層に設けられている段差部の構成に関する一例を示す図である。
【図8】電気抵抗調整層に設けられている段差部の構成に関する他の例を示す図である。
【図9】従来の帯電ローラの構成を示す図である。
【図10】図9に示した帯電ローラを構成する間隙保持部材の挿入時の力配分を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
100 画像形成装置
101 感光体
102 帯電装置
102A 導電性支持基材
102B 電気抵抗調整層
102B1 段差部
102C 間隙保持部材
H 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状に構成され、外面側に電気抵抗調整層を有した導電性支持基材と、該電気抵抗調整層の長手方向端部に形成された段差部に対して挿入されて配置され、該電気抵抗調整層の最外側とこれに対向する部材との間に所定の間隙を設定可能な間隙保持部材とを備え、
前記段差部には、前記間隙保持部材の挿入方向上流側から下流側に向けて外形寸法が大きくなる傾斜面で構成されたエッジ部が設けられ、前記間隙保持部材は、該段差部に挿入された際に上記所定の間隙を設定するための高低差が設けられる形状とされていることを特徴とする導電性支持部材。
【請求項2】
請求項1記載の導電性支持部材において、
前記エッジ部の形成範囲は、前記導電性支持基材の長手方向における前記段差部で前記間隙保持部材が挿入される範囲の外側に設定されていることを特徴とする導電性支持部材。
【請求項3】
長尺状に構成され、外面側に電気抵抗調整層を有した導電性支持基材と、該電気抵抗調整層の長手方向端部に形成された段差部に対して挿入されて配置され、前記電気抵抗調整層の最外側とこれに対向する部材との間に所定の間隙を設定可能な間隙保持部材とを備え、
前記段差部の外面には、前記間隙保持部材の挿入方向上流側から下流側に向けて拡径するテーパ面が設けられ、前記間隙保持部材は、該段差部に挿入された際に上記所定の間隙を設定するための高低差が設けられる形状とされていることを特徴とする導電性支持部材。
【請求項4】
請求項3記載の導電性支持部材において、
前記テーパ面は、前記段差部内における前記間隙保持部材が挿入されて接触する面を含む外側に向けて設けられていることを特徴とする導電性支持部材。
【請求項5】
請求項3または4記載の導電性支持部材において、
前記間隙保持部材には、前記段差部に嵌合する面がテーパ面とされていることを特徴とする導電性支持部材。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちの一つに記載の導電性支持部材において、
前記電気抵抗調整層と前記間隙保持部材とは前記導電性支持基材に設置された後にその外面を相互に除去加工されて間隙保持部材側に高低差が設けられることを特徴とする導電性支持部材。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちの一つに記載の導電性支持部材において、
前記間隙保持部材が前記電気抵抗調整層に対して接着により固定されていることを特徴とする導電性支持部材。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちの一つに記載の導電性支持部材において、
前記間隙保持部材がプライマリーを介して前記電気抵抗調整層に対し接着固定されていることを特徴とする導電性支持部材。
【請求項9】
前記間隙保持部材は、前記電気抵抗調整層が対向する部材と当接する部分が絶縁層で構成されていることを特徴とする導電性支持部材。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちの一つに記載の導電性支持部材において、
前記電気抵抗調整層に異物付着防止用の表面層が形成されていることを特徴とする導電性支持部材。
【請求項11】
請求項10記載の導電性支持部材において、
前記表面層の抵抗が前記電気抵抗調整層の抵抗よりも大きくなる関係とされていることを特徴とする導電性支持部材。
【請求項12】
請求項1乃至11のうちの一つに記載の導電性支持部材において、
前記導電性支持基材が円筒部材であることを特徴とする導電性支持部材。
【請求項13】
請求項1乃至12のうちの一つに記載の導電性支持部材を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13記載の導電性支持部材において、
前記導電性支持基材が帯電部材として用いられることを特徴とする導電性支持部材。
【請求項15】
請求項13または14記載の画像形成装置において、
前記導電性支持部材が用いられる帯電部材は、これと対向する部材として潜像担持体に近接配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項13乃至15のうちの一つに記載の画像形成装置において、
前記帯電部材、潜像担持体がプロセスカートリッジ内に収納されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−284824(P2006−284824A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103508(P2005−103508)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】