説明

導電性金属ペースト用金属微粒子および導電性金属ペーストならびに金属膜

【課題】低温且つ短時間で焼成可能であり、且つ基材との密着性に優れた金属微粒子を提供する。
【解決手段】金属微粒子の表面が保護剤によって被覆された導電性金属ペースト用金属微粒子であって、外部からの熱源によって焼成した際に、外部熱源温度200℃〜300℃の範囲内において、金属微粒子の単位質量(g)あたり500J以上の熱量を発生するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路形成やはんだ材料用、めっき材料用、電線シールド層形成に使用される導電性金属ペースト用金属微粒子および導電性金属ペーストならびに金属膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属微粒子とは、粒径1〜100nm程度の金属粒子を意味し、この金属微粒子においては、粒子体積に対する表面積の急激な増加により、融点が降下する現象(以下、融点降下現象という)が知られている。そのため、金属微粒子はバルク金属の融点よりも低い温度で粒子界面における拡散が生じ、融着が進行することで金属結合を形成する(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
金属微粒子はそれ単体では非常に不安定であり、室温付近においても粒子同士の凝集や粒子の融着が進行する。そのため、金属微粒子の表面を、金属微粒子の表面に対して吸着性を示す保護剤と呼ばれる有機物で覆うことで、金属微粒子の凝集や融着を抑制することが必須となる。表面を保護剤によって被覆された導電性金属ペースト用金属微粒子と、溶剤組成物とから構成されるペースト状の組成物である導電性金属ペーストは、金属微粒子の融点降下現象を利用して低温で焼結可能であり、導電性を示す金属膜を形成できる。しかし、導電性金属ペーストを焼結した後の金属膜は、一般に基材への密着性が低いという問題がある。この密着性は基材の種類によって次のように変化する。
【0004】
基材が金属である場合、焼結した金属膜と基材の金属との界面では、金属結合もしくは合金層が形成されることもあり、密着性の問題は幾分改善される。しかし、金属結合や合金層が形成されない場合、蒸着法やめっき法などによって形成された金属膜よりも密着性が劣り、実用上必要とされる膜密着性を満足しないことが多い。
【0005】
また、基材がセラミックスの場合、金属膜とセラミックスの界面では、サーメット層と呼ばれる金属とセラミックスの固溶層が形成されることで密着性がとれることもある。しかし、サーメット層を形成しない金属とセラミックスの組み合わせでは、密着性は低いものとなる。
【0006】
基材が高分子の場合、焼結した金属膜と基材との界面は、異種の物質が物理接触しているだけであり、密着性はほとんど得られない。
【0007】
これら密着性の問題を解決するために、次に挙げる従来技術が存在する。従来技術の方法としては、導電性金属ペーストそれ自体を改善する方法と基材側を改善する方法に大別される。
【0008】
導電性金属ペーストを改善する方法としては、導電性金属ペーストの中に基材と密着性を有するような新たな別の金属微粒子やセラミックス粒子、バインダー樹脂などの化合物を微量に添加するという手法がある(以下、従来技術1という)。
【0009】
基材側を改善する方法としては、導電性金属ペーストを塗布する基材上に、別の金属ペーストやセラミックスペースト、有機ペーストなどを用いて、予め密着性を有する下地を形成しておくという方法がある(以下、従来技術2という)。また、基材表面の性状を変化させる方法があり、化学的処理によって表面改質を施す方法、基材表面を大気圧プラズマ法などにより物理的に荒らしてアンカー効果を得るという方法がある(以下、従来技術3という)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「金属ナノ粒子ペーストのインクジェット微細配線」シーエムシー出版、2006年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術1にかかる問題点は、必ずしも十分な高導電性が得られないということである。その理由は、セラミックス粒子やバインダーの存在下では、金属微粒子同士の融着が阻害され、焼成後も金属膜中にセラミックス粒子やバインダーが残存するためである。焼結に関与しないセラミックス粒子やバインダーが金属微粒子の周囲に存在することで、金属微粒子同士の接触する確率が低くなり、その結果、金属微粒子の融着が阻害されてしまう。セラミックス粒子やバインダーは、それら自体は絶縁体であるため、金属膜中に残存することで金属膜の導電性の低下を招く。つまり、基材との密着性を向上するために、導電性金属ペースト内に何らかの化合物を添加するという前記の方法は導電性の低下という新たな問題を発生させてしまうことになる。
【0012】
従来技術2にかかる問題点は、コストが拡大し、且つ生産性の低下を招くということである。その理由は、次の2点ある。1つ目は、下地層を形成するために新たな材料が増加することで、原料費が多くなることである。2つ目は、下地層を形成するための工程が増加し、製造速度が減少することである。また、基材に求められるコストや特性、構造などの制約条件から、下地層を形成する方法自体が使用できない場合もある。
【0013】
従来技術3にかかる問題点は、コストが拡大し、また、使用が制限されるということである。コスト拡大の理由は、表面を改質するための新たな化学的、物理的処理を施すため、使用する薬液や装置が増加することによる。使用が限定されるとは、基材側に求められる特性の都合から、表面改質処理できないことがあるということである。また、金属膜と基材の親和性が著しく低い組み合わせの場合、表面改質処理では密着性の問題を解決できないこともある。
【0014】
本発明は、これら従来の問題に鑑みなされたものであり、低温且つ短時間で焼成可能であり、且つ基材との密着性に優れた導電性金属ペースト用金属微粒子および導電性金属ペーストならびに金属膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、金属微粒子の表面が保護剤によって被覆された導電性金属ペースト用金属微粒子であって、外部からの熱源によって焼成した際に、外部熱源温度200℃〜300℃の範囲内において、前記金属微粒子の単位質量(g)あたり500J以上の熱量を発生する導電性金属ペースト用金属微粒子である。
【0016】
請求項2の発明は、前記保護剤が、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、ノナンチオール、デカンチオール、ウンデカンチオール、ドデカンチオールの群から少なくとも1種類以上選択される請求項1に記載の導電性金属ペースト用金属微粒子である。
【0017】
請求項3の発明は、前記保護剤の含有量が、前記金属微粒子の質量に対して0.1〜20質量%の範囲にある請求項1又は2に記載の導電性金属ペースト用金属微粒子である。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性金属ペースト用金属微粒子と、溶剤組成物とを含んでなる導電性金属ペーストである。
【0019】
請求項5の発明は、請求項4に記載の導電性金属ペーストによって形成された金属膜である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、低温且つ短時間で焼成可能であり、且つ基材との密着性に優れた導電性金属ペースト用金属微粒子および導電性金属ペーストならびに金属膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1におけるAg微粒子の粉末X線回折測定の結果を示す図である。
【図2】実施例1におけるAg微粒子のFE−SEM写真である。
【図3】実施例1におけるAg微粒子の示差走査熱量測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0023】
本発明者らは、ある焼成温度範囲において金属微粒子の発熱量(J/g)が500以上であるとき、この金属微粒子を含んでなる導電性金属ペーストによって形成される金属膜と基材との密着性が、従来の導電性金属ペーストと比較して高くなる新規な事実を見出し、鋭意研究を進捗し、以下の発明を完成させた。
【0024】
本発明における金属微粒子の発熱量は、外部加熱温度200℃〜300℃の範囲内において、金属微粒子の単位質量(g)あたりの発熱量が500J以上であることが望ましい。金属微粒子を導電性金属ペーストとして使用する場合、実用上300℃を超える温度では、基材の種類や性質にもよるが、基材の材質が高温により軟化や化学変化する虞がある。このため、300℃以下の温度範囲において金属微粒子が発熱し、焼結することが望ましい。金属微粒子の発熱量が500J未満である場合、導電性金属ペーストとしたときに十分な密着性が得られない虞がある。
【0025】
導電性金属ペースト内における金属微粒子の含有量は、導電性金属ペースト全質量に対して5〜90質量%の範囲にあることが望ましい。金属微粒子の含有量が90質量%よりも大きくなると、導電性金属ペーストの粘度が非常に高くなり、塗布性に支障をきたす虞がある。他方、金属微粒子が5質量%未満の含有量では、金属微粒子の発熱量も小さく、且つ、導電性金属ペーストを焼成した際に、割れや空孔の少ない平滑な金属膜を得るのが困難となる虞があることから好ましくない。含有量については、目的の金属膜厚さやペースト粘度に応じて適宜調整することが可能であるが、焼成した際の溶剤組成物や保護剤の除去に伴う体積収縮が少なく、平滑な金属膜を得やすい30〜80質量%の範囲であることがより望ましい。
【0026】
本発明に用いる金属微粒子の種類は、より具体的には、Au,Ag,Cu,Pt,Pd,Rh,Ru,Os,Ir,Al,Zn,Sn,Co,Ni,Fe,In,Mg,W,Ti,Ta,Mnのうち1種類以上の金属から選択することが可能であり、複数種類以上組み合わせた金属微粒子や合金の金属微粒子も使用可能である。
【0027】
金属微粒子の平均粒子径は1nm〜1000nmの範囲から選択できるが、より望ましくは1nm〜100nmの範囲にあることが望ましい。粒子径1nm〜100nm以下では金属微粒子の融点降下現象が特に顕著となり、導電性金属ペーストとして低温で焼成しやすくなる。他方、粒子径が1000nmを超えると、融点はバルク金属と同じ値であり、ある程度の凝集や焼結は起こるものの、原理的に低温での焼成が困難となるため、好ましくない。また、金属微粒子の形状に関しては特に制限はなく、球状、柱状、それら以外の形状であってもよい。先に記載の融点降下現象を考慮して、どのような形状の金属粒子であっても、その最大径は1000nmを超えない範囲にあることがより望ましい。
【0028】
本発明における導電性金属ペースト中の金属微粒子の発熱現象は、ミクロスケールでは次のように進行していると考えられる。導電性金属ペースト用金属微粒子の発熱は、金属微粒子表面に吸着している保護剤の燃焼熱によるものであり、保護剤の燃焼熱が発生すると、金属微粒子表面の雰囲気温度は外部熱源で設定された温度よりも高温となり、金属微粒子特有の融点降下現象も相まって金属微粒子同士は急速に融着し合う。金属微粒子単体だけでなく、溶剤組成物と混合した導電性金属ペーストにおいてもこの発熱現象は認められる。導電性金属ペーストの密着性の向上の効果は次のように説明される。導電性金属ペーストを焼成した際に、ある温度において金属微粒子表面の保護剤の燃焼が起こり、このとき発生する熱は金属微粒子を基材中へ拡散する効果があり、さらに融点の比較的低い基材であれば、基材表面を融かす効果もある。このため、金属微粒子が基材と接着層を形成しやすくなる。形成される接着層は基材の種類によって異なっており、基材が金属であれば金属結合層、合金層などが形成され、基材がセラミックスであればサーメット層、基材が高分子であれば高分子表面に金属膜が食い込んだアンカー効果を有する層などが形成されると考えられ、いずれの場合も層の形成によって金属膜と基材との密着性が向上する。導電性金属ペーストの高温は、導電性金属ペースト内に含有されている別の保護剤や溶剤や添加剤などの蒸発あるいは分解を促進するため、金属膜中に有機物が残存しない導電性に優れた金属膜を比較的、低温、短時間で得ることができる。
【0029】
金属微粒子表面を覆う保護剤としては、金属微粒子に対して配位的な吸着が可能な化合物を用いることが可能である。特に窒素あるいは硫黄あるいは酸素などの非共有電子対を有する原子を含む官能基を持つ化合物は、非共有電子対を利用して金属表面に対して配位的に吸着することが可能である。窒素、硫黄、酸素を含む官能基としてはアミン基(−NH2)、チオール基(−SH)、カルボキシル基(−COOH)などがその例である。
【0030】
本発明における金属微粒子表面の保護剤としての機能を有し、また金属微粒子を焼成した際に大きな燃焼熱を発生しやすい化合物として、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、ノナンチオール、デカンチオール、ウンデカンチオール、ドデカンチオールなどが挙げられ、好適に用いることができる。前記の保護剤は、金属微粒子の製造段階や表面改質の段階で添加し、金属微粒子表面に吸着させることが可能である。
【0031】
前記の群から選択される保護剤の含有量は、金属微粒子の質量に対して、0.1〜20質量%の範囲であることが望ましい。保護剤の含有量が、金属微粒子の質量に対して0.1質量%未満である場合、保護剤が燃焼しても、含有量の少なさから導電性金属ペースト全体が十分な高温雰囲気にはならず、その結果金属膜と基材との密着性も低いものとなる。他方、保護剤の含有量が、金属微粒子の質量に対して20質量%よりも過剰である場合、保護剤の燃焼に伴う発熱が激しすぎて、形成される金属膜の割れや空孔が生じやすくなり、その結果、導電性が低く、さらには基材との密着性も発現しない虞が高い。
【0032】
金属微粒子を被覆する保護剤の純度は、99%以上であることが望ましい。純度が99%未満である場合、不純物の影響によって保護剤の燃焼熱が弱まる虞がある。また、不純物の存在によって金属微粒子の融着が阻害される可能性が高く、その結果金属膜の導電性も低いものとなることから、好ましくない。
【0033】
本発明における金属微粒子表面の保護剤としては、以下に示す化合物についても利用することができる。アミン基を有するアミン化合物としては、例えば、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ベンジルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ジシクロヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジラウリルアミン、ジステアリルアミン、ジオレイルアミン、ジベンジルアミン、ステアリルモノエタノールアミン、デシルモノエタノールアミン、ヘキシルモノプロパノールアミン、ベンジルモノエタノールアミン、フェニルモノエタノールアミン、トリルモノプロパノール、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、トリステアリルアミン、トリオレイルアミン、トリベンジルアミン、ジオレイルモノエタノールアミン、ジラウリルモノプロパノールアミン、ジオクチルモノエタノールアミン、ジヘキシルモノプロパノールアミン、ジブチルモノプロパノールアミン、オレイルジエタノールアミン、ステアリルジプロパノールアミン、ラウリルジエタノールアミン、オクチルジプロパノールアミン、ブチルジエタノールアミン、ベンジルジエタノールアミン、フェニルジエタノールアミン、トリルジプロパノールアミン、キシリルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンなどがある。
【0034】
チオール基を有するチオール化合物としては、例えば、プロパンチオール、シクロヘキサンチオール、チオフェノール、4−クロロチオフェノール、2−アニリンチオール、1,2−エタンジチオール、2,2’−オキシジエタンチオール、2,2’−チオジエタンチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、ペンタエリスリチオール、1,4−シクロヘキサンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、2,4−トルエンジチオール、α,α’−o−キシリレンジチオール、α,α’−m−キシリレンジチオール、α,α’−p−キシリレンジチオール、1,2,6−ヘキサントリチオールなどがある。
【0035】
カルボキシル基を有するカルボキシル化合物としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、エナント酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フマール酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸などがある。
【0036】
前記の群の保護剤は、先に挙げた、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、ノナンチオール、デカンチオール、ウンデカンチオール、ドデカンチオールなどの保護剤と適宜組み合わせて用いることが可能であり、且つ、その添加量の割合は、先に挙げた保護剤に対する割合が50質量%以下であることが望ましい。組み合わせにもよるが、50質量%を超える割合の場合、十分な燃焼熱が得にくくなる可能性がある。
【0037】
本発明に利用可能な溶剤の種類としては、水、アルコール類、アルデヒド類、アミン類、チオール類、単糖類、多糖類、直鎖の炭化水素類、脂肪酸類、芳香族類の群から選択することが可能である。前記の群の中から、金属微粒子を覆う保護剤と親和性のある溶剤を選択することが望ましい。金属微粒子に対して、非共有電子対によって吸着した保護剤は、吸着に関わる原子以外の構造の効果によって溶剤中に分散する。このため、吸着に関わる原子以外の構造が疎水性の場合、有機溶剤、非極性溶剤に分散しやすい。これらを考慮し、適宜溶剤を選択することが可能である。また、保護剤と親和性の高すぎる溶剤の場合、金属微粒子の表面に吸着していた保護剤が溶剤中に溶解してしまうことがあり、その結果金属微粒子と溶剤が分離するため好ましくない。また、保護剤と溶剤が化学反応を示し、それぞれが別の化合物に変化してしまうような組み合わせも、金属微粒子の凝集の原因となるので避けるべきである。
【0038】
保護剤の燃焼によって発生する熱量は、導電性金属ペースト中の溶剤組成物によって少なからず吸収されるため、保護剤燃焼の際に溶剤組成物が過剰に存在すると、金属微粒子が受ける熱の割合が小さくなり、基材への拡散が進まずに密着性が乏しくなる虞がある。そのため、溶剤は、金属微粒子が発熱する際に、その多くが揮発あるいは蒸発していることが望ましい。200℃〜300℃の温度範囲において、金属微粒子が発熱することを考慮し、溶剤の沸点は発熱が顕著になる温度よりも低いか、あるいは金属微粒子の発熱が顕著になる温度において大部分の溶剤が揮発していることが望ましい。この他に、基材との親和性や要求される粘度などを考慮し、溶剤を選択可能である。室温付近でのハンドリングも考慮に入れると、沸点が100℃〜300℃の範囲にある低極性溶剤あるいは非極性溶剤が適している。
【0039】
また、導電性金属ペーストの成型性、粘度などの調整をする目的で、溶剤中にワックスや樹脂を添加剤として微量に加えることも可能である。添加剤の種類や量を制御することで、導電性金属ペーストの成型性を高め、粘度を適正なものに調整できるが、一般にこれらの添加剤の蒸発温度や分解温度は高い場合が多く、多量に加えると、発熱の効果によっても除去できない虞があるため、過剰に加えるのは好ましくない。
【0040】
以上説明してきたように、外部からの熱源によって焼成した際に、外部熱源温度200℃〜300℃の範囲内において、金属微粒子の単位質量(g)あたり500J以上の熱量を発生する本発明の導電性金属ペースト用金属微粒子を含有する導電性金属ペーストは、発熱の効果によって、金属微粒子を基材中へ拡散することが可能となり、その結果、金属膜と基材との密着性を向上させることができる。また、この発熱によって金属微粒子同士の融着速度は促進され、短時間での焼成も可能となる。また、この導電性金属ペーストの密着力は、導電性金属ペースト自体の自己発熱を特徴とするものであり、導電性金属ペースト中に他の添加剤を加える必要がないことから、金属膜の導電性を損なう虞がなく、また、基材側の改善をする必要も省けるため従来技術よりも製造コストを低減させ、さらに生産性を向上することが可能である。
【0041】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【実施例】
【0042】
以下に、具体例を示し、本発明を表1,2を用いてより具体的に説明する。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
各実施例、各比較例における各物性の測定は、次のようにして実施した。
【0046】
(1)定性分析
金属微粒子の相同定は、粉末X線回折装置「RINT2000」(株式会社リガク製)を用いた。
【0047】
(2)金属微粒子の平均粒子径
粒子観察には、FE−SEM(日立製S−5000)を使用した。
【0048】
(3)金属微粒子の発熱挙動
示差走査熱量計「Q200」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用い、金属微粒子の発熱量を測定した。
【0049】
(4)金属膜の膜厚および体積抵抗率(膜抵抗率)
膜厚測定にはFE−SEMを用いた。金属膜の抵抗率は、4深針電気抵抗測定装置を用いた。
【0050】
(5)金属膜の密着性
テープ引き剥がし試験(テープ試験)およびマイクロスクラッチ試験により、金属膜の密着性を評価した。なお、テープ試験における表中の記号の定義は以下の通りである。金属膜の剥がれが無い場合を○、金属膜の剥がれが一部あるものを△、金属膜が完全に剥離したものを×とした。
【0051】
(実施例1)
トリエチルアミンがおよそ15質量%吸着した粒子径9nmのAg微粒子の合成を行った。微粒子の粉末X線回折測定を行ったところ、図1に示す金属Agのfcc構造を示す回折ピークが得られ、微粒子が金属Agであることを確認した。このAg微粒子の粒子径は図2に示すFE−SEM観察結果から確認した。Ag微粒子のDSC測定の結果、図3に示す結果が得られ、DSCの加熱雰囲気温度200℃〜300℃の範囲内において、Ag微粒子の単位質量(g)あたり、2000J以上の発熱が確認された。Ag微粒子をトルエン溶剤中に金属含有率が65質量%となるように分散し、導電性金属ペーストを作製した。1%の希硫酸液で表面を洗浄したCu基板(1cm×1cm)に対してスピンコート法により導電性金属ペーストを塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.27μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、6μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Ag膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は31mNであった。
【0052】
(実施例2)
実施例1における導電性金属ペーストをガラス基板(2cm×2cm)に対してスピンコート法により塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.27μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、6μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Ag膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は27mNであった。
【0053】
(実施例3)
実施例1における導電性金属ペーストをポリイミド基板(2cm×2cm)に対してスピンコート法により塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.27μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、6μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Ag膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は20mNであった。
【0054】
(実施例4)
トリエチルアミンとドデシルアミンがおよそ8質量%吸着した粒子径9nmのAg微粒子をトルエン中に分散し、導電性金属ペーストを作製した。Ag微粒子のDSC測定の結果、DSCの加熱雰囲気温度200℃〜300℃の範囲内において、Ag微粒子の単位質量(g)あたり、1000J以上の発熱が確認された。この導電性金属ペースト全質量に対するAgの含有率は、およそ50質量%であった。1%の希硫酸液で表面を洗浄したCu基板(1cm×1cm)に対してスピンコート法により導電性金属ペーストを塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.25μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、8μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Ag膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は26mNであった。
【0055】
(実施例5)
実施例4における導電性金属ペーストをガラス基板(2cm×2cm)に対してスピンコート法により塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.25μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、8μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Ag膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は24mNであった。
【0056】
(実施例6)
実施例4における導電性金属ペーストをポリイミド基板(2cm×2cm)に対してスピンコート法により塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.25μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、8μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Ag膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は17mNであった。
【0057】
(実施例7)
オクタンチオールがおよそ15質量%吸着した粒子径9nmのAu微粒子をトルエン中に分散し、導電性金属ペーストを作製した。Au微粒子のDSC測定の結果、DSCの加熱雰囲気温度200℃〜300℃の範囲内において、Au微粒子の単位質量(g)あたり、1800J以上の発熱が確認された。この導電性金属ペースト全質量に対するAuの含有率は、およそ30質量%であった。1%の希硫酸液で表面を洗浄したCu基板(1cm×1cm)に対してスピンコート法により導電性金属ペーストを塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.15μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、8μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Au膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は33mNであった。
【0058】
(実施例8)
実施例7における導電性金属ペーストをガラス基板(2cm×2cm)に対してスピンコート法により塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.15μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、8μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Au膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は25mNであった。
【0059】
(実施例9)
実施例7における導電性金属ペーストをポリイミド基板(2cm×2cm)に対してスピンコート法により塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.15μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、8μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Au膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は18mNであった。
【0060】
(実施例10)
オクタンチオールおよびドデシルアミンがおよそ8質量%吸着した粒子径9nmのAu微粒子をトルエン中に分散し、導電性金属ペーストを作製した。Au微粒子のDSC測定の結果、DSCの加熱雰囲気温度200℃〜300℃の範囲内において、Au微粒子の単位質量(g)あたり、500J以上の発熱が確認された。この導電性金属ペースト全質量に対するAuの含有率は、およそ30質量%であった。1%の希硫酸液で表面を洗浄したCu基板(1cm×1cm)に対してスピンコート法により導電性金属ペーストを塗布し、270℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.20μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、12μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Au膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は20mNであった。
【0061】
(実施例11)
実施例10における導電性金属ペーストをガラス基板(2cm×2cm)に対してスピンコート法により塗布し、270℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.20μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、12μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Au膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は16mNであった。
【0062】
(実施例12)
実施例10における導電性金属ペーストをポリイミド基板(2cm×2cm)に対してスピンコート法により塗布し、270℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.20μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、12μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Au膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は10mNであった。
【0063】
(実施例13)
ドデカンチオールがおよそ15質量%吸着した粒子径9nmのAu微粒子をトルエン中に分散し、導電性金属ペーストを作製した。Au微粒子のDSC測定の結果、DSCの加熱雰囲気温度200℃〜300℃の範囲内において、Au微粒子の単位質量(g)あたり、1500J以上の発熱が確認された。この導電性金属ペースト全質量に対するAuの含有率は、およそ30質量%であった。1%の希硫酸液で表面を洗浄したCu基板(1cm×1cm)に対してスピンコート法により導電性金属ペーストを塗布し、300℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.18μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、10μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Au膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は33mNであった。
【0064】
(実施例14)
実施例13における導電性金属ペーストをガラス基板(2cm×2cm)に対してスピンコート法により塗布し、300℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.18μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、10μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Au膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は25mNであった。
【0065】
(実施例15)
実施例13における導電性金属ペーストをポリイミド基板(2cm×2cm)に対してスピンコート法により塗布し、300℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.18μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、10μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Au膜が引き剥がされない結果が得られた。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は15mNであった。
【0066】
(比較例1)
ドデシルアミンがおよそ15質量%吸着した粒子径9nmのAg微粒子を合成した。Ag微粒子の200℃〜300℃の温度範囲における発熱量は、400J/gであった。Ag微粒子をトルエン中に分散し、導電性金属ペーストを作製した。この導電性金属ペースト全質量に対するAgの含有率は、およそ50質量%であった。1%の希硫酸液で表面を洗浄したCu基板(1cm×1cm)に対してスピンコート法により導電性金属ペーストを塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.28μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、24μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Ag膜の一部が剥離した。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は7mNであった。
【0067】
(比較例2)
比較例1に記載の導電性金属ペーストをガラス基板(2cm×2cm)に対してスピンコート法により塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.28μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、24μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Ag膜の全てが剥離した。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は2mNであった。
【0068】
(比較例3)
比較例1に記載の導電性金属ペーストをポリイミド基板(2cm×2cm)に対してスピンコート法により塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.28μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、24μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Ag膜の全てが剥離した。マイクロスクラッチ試験を行ったところ、膜が剥がれてしまい、測定できなかった。
【0069】
(比較例4)
ドデシルアミンがおよそ8質量%吸着した粒子径9nmのAu微粒子を合成した。Au微粒子の200℃〜300℃の温度範囲における発熱量は、220J/gであった。Au微粒子をトルエン中に分散し、導電性金属ペーストを作製した。この導電性金属ペースト全質量に対するAuの含有率は、およそ30質量%であった。1%の希硫酸液で表面を洗浄したCu基板(1cm×1cm)に対してスピンコート法により導電性金属ペーストを塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.23μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、35μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Au膜の一部が剥離した。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は5mNであった。
【0070】
(比較例5)
比較例4に記載の導電性金属ペーストをガラス基板(2cm×2cm)に対してスピンコート法により塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.23μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、35μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Au膜の全てが剥離した。マイクロスクラッチ試験の結果、膜密着性は1mNであった。
【0071】
(比較例6)
比較例4に記載の導電性金属ペーストをポリイミド基板(2cm×2cm)に対してスピンコート法により塗布し、250℃、30分間電気炉にて焼成を行った。焼成後の金属膜厚は、約0.23μmであった。金属膜の導電率測定を行ったところ、35μΩcmであった。テープ試験により密着性評価を行ったところ、Au膜の全てが剥離した。マイクロスクラッチ試験を行ったところ、膜が剥がれてしまい、測定できなかった。
【0072】
以上の結果より、外部からの熱源によって焼成した際に、外部熱源温度200℃〜300℃の範囲内において、金属微粒子の単位質量(g)あたり500J以上の熱量を発生する導電性金属ペースト用金属微粒子を含有する導電性金属ペーストは、低温且つ短時間で焼成可能であり、且つ基材との密着性に優れていることが分かる。
【0073】
なお、比較例1〜6で保護剤として用いた「ドデシルアミン」は単体だと燃焼熱を発生しにくいが、「ドデシルアミン」自体は保護剤として機能するので、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、ノナンチオール、デカンチオール、ウンデカンチオール、ドデカンチオールなどの燃焼熱を発生しやすい化合物と組み合わせることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属微粒子の表面が保護剤によって被覆された導電性金属ペースト用金属微粒子であって、外部からの熱源によって焼成した際に、外部熱源温度200℃〜300℃の範囲内において、前記金属微粒子の単位質量(g)あたり500J以上の熱量を発生することを特徴とする導電性金属ペースト用金属微粒子。
【請求項2】
前記保護剤が、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、ノナンチオール、デカンチオール、ウンデカンチオール、ドデカンチオールの群から少なくとも1種類以上選択される請求項1に記載の導電性金属ペースト用金属微粒子。
【請求項3】
前記保護剤の含有量が、前記金属微粒子の質量に対して0.1〜20質量%の範囲にある請求項1又は2に記載の導電性金属ペースト用金属微粒子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の導電性金属ペースト用金属微粒子と、溶剤組成物とを含んでなることを特徴とする導電性金属ペースト。
【請求項5】
請求項4に記載の導電性金属ペーストによって形成されたことを特徴とする金属膜。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−222304(P2011−222304A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90357(P2010−90357)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】