説明

導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物、導電性非発泡ポリウレタン成型物、導電性部材

【課題】
カーボンブラックを用いることなく、静電気の発生を嫌う場所(例えば、半導体工場、医療機関等)で使用される機器類や道具類等に発生する静電気を除く除電性を持続的に保持し、且つ荷重に対して耐えうる硬さと反発性を有し、更に意匠性に優れる導電性部材を製造するための組成物を提供する。
【解決手段】
数平均分子量650〜3,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを反応させてなるジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物と、数平均分子量250〜2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールと他のポリオール化合物とを混合してなるポリオール混合体と、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンとを含有してなる導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物及び該導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物を反応させて得られる導電性非発泡ポリウレタン成型物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体技術の発達で、殆どあらゆる機器類の心臓部に半導体(例えばLSI、IC等)が広く使用されている。LSI等は極微弱な電気により機能するが、その一方で静電気等の影響を強く受けやすい。例えば、半導体工場等では静電気によりLSI等が破損する恐れが十分にあり、導電床等の静電対策を施したクリーンルームでLSI等の製造が行われている。
また、医療分野でも、静電気による着菌、高濃度の引火性気体雰囲気中での医療行為中の静電気によるスパーク、高精度機器類の静電気による誤動作等、静電気に起因する重大事故の危険性が指摘されている。
【0003】
従来、このような静電気の発生を特に嫌う場所では、床材に導電性部材を使用したり、着衣に非帯電性の性質を有した繊維を使用する等して、極力静電気の発生による障害を未然に防ぐ努力がなされている。
【0004】
従って、このような場所で使用される機器類や道具類等も、十分にその静電気対策が要求されている。例えば、該機器類や道具類を導電性部材を使用した床上に設置等する際に、導電性の金属部材を該床上に置き、該金属部材上に機器類等を設置する方法もあるが、金属部材により床面に傷が付く等の問題がある。
【0005】
また、導電性の金属部材に替わってカーボンブラック等の導電性物質を添加したウレタン製部材が使用される場合もあるが、カーボンブラックが導電性であるため除電効果は認められるが、ウレタン製部材の摩耗により、カーボンブラック粉体自体或いはカーボンブラック粉体を含んだウレタン製部材の飛散物が半導体(例えば、IC基板等)へ混入し、絶縁性を低下させたり、誤作動の原因になったりする虞或いはカーボンブラックが黒色であるため、ウレタン製部材を他の色に着色できないという問題を有している(特許文献1)。
【0006】
そのため、カーボンブラックを用いることなく、静電気の発生を嫌う場所(例えば、半導体工場、医療機関等)で使用される機器類や道具類等に発生する静電気を除く除電性を持続的に保持し、且つ荷重に対して耐えうる硬さと反発性を有し、更に意匠性に優れる導電性部材を製造するための組成物が要望されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−169001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題及び要望に鑑み、カーボンブラックを用いることなく、静電気の発生を嫌う場所(例えば、半導体工場、医療機関等)で使用される機器類や道具類等に発生する静電気を除く除電性を持続的に保持し、且つ荷重に対して耐えうる硬さと反発性を有し、更に意匠性に優れる導電性部材を製造するための組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者は、上記問題及び要望を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物と所定のポリオール混合体とリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンとを含むポリウレタン樹脂組成物により、上記課題を解決できることを見いだし本発明を解決するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、数平均分子量650〜3,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを反応させてなるジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物と、数平均分子量250〜2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールと他のポリオール化合物とを混合させてなるポリオール混合体と、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンとを含有させてなることを特徴とする導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物を提供する。
【0011】
ジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物と、ポリオール混合体と、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンとを含有させてなる導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物により、静電気を除く除電性を持続的に保持し、且つ荷重に対して耐えうる硬さと反発性を有し、更に意匠性に優れる導電性部材を製造できる。
【0012】
また、本発明においては、前記リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンの配合割合は、前記ジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物と前記ポリオール混合体との総和に対して0.1〜10重量%用いられてなることが好ましい。これにより、優れた導電性が保持される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物によれば、カーボンブラックを用いることなく、静電気の発生を嫌う場所等で使用される機器類や道具類等に発生する静電気を除く除電性を持続的に保持し、且つ荷重に対して耐えうる硬さと反発性を有し、更に意匠性に優れる導電性部材を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物は、ジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物と、ポリオール混合体と、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンとを含有してなるものである。
【0015】
前記ジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物は、数平均分子量650〜3,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを反応させてなるものである。
数平均分子量650〜3,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールが用いられることで、高反発弾性、高強度、高伸度、耐摩耗性の向上及び体積固有抵抗率の低下という効果が得られる。
尚、数平均分子量650〜3,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールであれば、1種単独が用いられてもよく、また、2種以上が併用して用いられていてもよい。
【0016】
前記4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとしては、特に制限なく、例えば、
高純度4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、粗4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びカルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートが使用できる。具体的には、日本ポリウレタン工業(株)製:「ミリオネートMT」、BASF INOACポリウレタン(株)製:「ルプラネートMM−103」、ダウ・ポリウレタン日本(株)製:「ISONATE 184J」等が挙げられる。
【0017】
前記ジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと、数平均分子量650〜3,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールとを配合し、反応温度80℃、反応時間2時間で反応させることで得られるプレポリマーである。
該プレポリマーは、該プレポリマー中の遊離イソシアネート基含有量が7〜13質量%、好ましくは8〜12質量%となるように前記4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと、前記数平均分子量650〜3,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールとが配合されるなる。
該遊離イソシアネート基含有量が、13質量%より高くなると物性(強度、伸度等)が低下する。
また、該遊離イソシアネート基含有量が、7質量%より低くなるとプレポリマーの粘度が高くなり取り扱いが困難となる。
【0018】
前記ポリオール混合体は、数平均分子量250〜2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールと他のポリオール化合物とが混合されてなるものである。
該ポリオール混合体を用いることで、ジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物との反応性が向上し、得られる成型物の硬度が向上する。
特に、数平均分子量650〜1,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールを用いることでジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物との反応性が更に向上し、得られる成型物の硬度が更に向上する。
【0019】
前記他のポリオール化合物としては、特に制限されず公知のものを用いることができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、水素添加ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖、ジグリセリン等が挙げられる。
該他のポリオール化合物としては、数平均分子量2,000以下のものが好ましい。
これらは、単独又は二種以上が混合して用いられてもよい。
尚、前記他のポリオール化合物には、数平均分子量250〜2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールは、含まれない。
【0020】
前記ポリオール混合体は、数平均分子量250〜2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール100重量部に対して、前記他のポリオール化合物が20重量部以下、好ましくは15重量部以下配合されてなる。
該他のポリオール化合物が20重量部を超える場合には、反応性が高く可使時間が短くなる。
【0021】
前記リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンは、前記導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物に必ず配合されるものである。
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、下記(1)式で表され、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンは、下記(2)式で表されるものである。
【化1】

該リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンが配合されることで、優れた導電性が保持される。
【0022】
前記リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンは、前記ジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物の使用量と前記ポリオール混合体の使用量との総和に対して、0.1〜10重量%、好ましくは1〜9重量%配合される。
該リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等の配合量が、0.1重量%未満の場合には、目的とする体積固有抵抗率が発現されない虞がある。
また、該リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等の配合量が、10重量%を超える場合には、体積固有抵抗率への効果が低く、成型物の機械物性が低下する虞がある。
【0023】
本発明において導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物は、前記ジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物と、前記ポリオール混合体と、前記リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンとを含有してなるものである。
該ジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物と該ポリオール混合体との配合比率は、イソシアネート基/活性水素基=0.90〜1.20(モル比)の割合であり、好ましくはイソシアネート基/活性水素基=1.00〜1.10(モル比)が好ましい。
配合比率がイソシアネート基/活性水素基=0.90(モル比)未満の場合には、成型物が硬化しない虞がある。
配合比率がイソシアネート基/活性水素基=1.20(モル比)を超える場合には、成型物の機械物性が低下する。
尚、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンの配合量については、上記で記載したようにジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物の使用量と前記ポリオール混合体の使用量との総和に対して、0.1〜10重量%である。
尚、イソシアネート基/活性水素基のモル比は、ジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物中に含まれるイソシアネート基のモル数と、ポリオール混合体中に含まれる活性水酸基のモル数とで算出されるものである。
【0024】
前記導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物には、更に、公知のウレタン化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色防止剤、蛍光染料、分散性染料、潤滑剤、界面活性剤等が配合されていてもよい。
【0025】
次に、本発明における導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物から得られる導電性非発泡ポリウレタン成型物について説明する。
【0026】
本発明における導電性非発泡ポリウレタン成型物は、ジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物と、ポリオール混合体と、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンとを各必要量含有してなる導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物を型に注入し、更に、公知の方法により脱泡処理を行い、60〜120℃の温度範囲にて30〜240分間、型内にて反応硬化させて得ることができる。
【0027】
本発明の導電性非発泡ポリウレタン成型物は、JIS K6255−1996に準拠して測定される温度23℃における反発弾性率が45%以上である。
反発弾性率が45%以上あれば、該成型物を台車のキャスター用ローラーとして用いた場合、運搬性が良好となる。
尚、反発弾性率は実施例記載の方法により測定される。
【0028】
本発明の導電性非発泡ポリウレタン成型物は、JIS K 7312に準拠して測定されるA硬度が60°以上である。
A硬度が60°以上あれば、負荷がかかった場合にも、変形する虞が少ない。
尚、A硬度は実施例記載の方法により測定される。
【0029】
また、本発明の導電性非発泡ポリウレタン成型物は、温度23℃且つ相対湿度15〜85%における体積固有抵抗率が500Vの電圧で5×108Ω・cm以下のものである。
体積固有抵抗率が、5×108Ω・cm以下であれば、静電気の蓄積を防止する効果が高い。
該成型物は、カーボンブラックを添加することなく、導電性能を呈するものである。
尚、体積固有抵抗率は実施例記載の方法により測定される。
【0030】
更に、本発明の導電性非発泡ポリウレタン成型物は、温度23℃における強度が100kgf/cm2以上、且つ温度23℃における伸度が500%以上であり、好ましくは温度23℃における強度が120〜180kgf/cm2、且つ温度23℃における伸度が600〜1000%である。
尚、強度は、実施例記載の方法により測定される。
【0031】
本発明の導電性非発泡ポリウレタン成型物は、導電性能を有しつつ、硬度、耐摩耗性等の機械的物性面でも高い耐久性能を有し、意匠性に優れた成型物である。また、カーボンブラックを用いていないため着色が可能である。
これら優れた性能から、本発明における導電性非発泡ポリウレタン成型物の用途としては導電性部材、例えば、機器類と床面との間に敷く導電性マット、精密部品(半導体部品等)を運搬する台車のキャスター用ローラー等、静電気を嫌う場所で使用する部材が挙げられる。
特に、台車のキャスター用ローラーに好適である。キャスター用ローラーでは、荷重のかかる条件下で使用されることからA硬度60°以上の硬さが必要であり、反発弾性が45%以上あれば運搬性が良くなる
【実施例】
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
(数平均分子量の測定方法)
数平均分子量は、GPC法で、標準ポリスチレンにより換算した値である。
具体的には、GPC本体として東ソー株式会社製(機種名:HLC−8020)を使用し、カラム温度40℃、ポンプ流量1.0ml/min、検出器としてRI(GPC本体に内蔵されている)を用いた。
データー処理は、予め分子量が既知の標準ポリスチレンの検量線(分子量266、578、994、5570、9100、43900の6点にて検量線を作成)を用いて標準ポリスチレン換算分子量より分子量を得た。
使用カラム:TSK GEL4000HXL+G3000HXL+G2500HXL+G2000HXL(東ソー(株)製)を直列につないで使用した。
移動相:テトラヒドロフラン
注入量:100μl
サンプル濃度:0.2%(w/v)
【0034】
(反発弾性率の測定方法)
JIS K6255−1996に準拠して、反発弾性率測定器(上島製作所製、VR−501)を用いて測定した。
【0035】
(硬度の測定方法)
硬度の測定は、JIS K7312に準拠して、硬度計(高分子計器(株)製、ASKER A型)を用いて測定した。
【0036】
(体積固有抵抗率の測定方法)
体積固有抵抗率の測定は、JIS C2105−1992に準拠して、ADVANTEST CORPORATION製、TR43C及びTR8601を用いて測定した。
【0037】
(伸度及び強度の測定方法)
伸度及び強度の測定は、JIS K7312−1996に準拠して、インストロン ジャパン カンパニイ リミテッド製 5581型を用いて測定した。
【0038】
(ジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物の合成)
(合成例1)
攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応器に表1に示す配合量でジフェニルメタンジイソシアネートとポリ(オキシテトラメチレン)グリコールとを仕込み、攪拌しながら窒素雰囲気下で80℃にて2時間反応させた。
表1に原料組成とジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物のイソシアネート基含有量(NCO含有量%)を示す。
【0039】
(合成例2〜合成例6)
表1に示す配合量でジフェニルメタンジイソシアネートとポリ(オキシテトラメチレン)グリコールとを仕込み、前記合成例1と同様の方法を用いてジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物を得た。
【0040】
【表1】

【0041】
(表1の補足説明)
*1)Isonate 184J:ジフェニルメタンジイソシアネート(ダウ・ポリウレタン日本(株)製)
*2)Pure−MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、「ミリオネートMT」)
*3)TDI−80:トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、「コロネートT−80」)
*4)PTMG−2000:ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(BASFジャパン(株)製、数平均分子量2000、水酸基価56mgKOH/g)
*5)PTMG−1000:ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(BASFジャパン(株)製、数平均分子量1000、水酸基価112mgKOH/g)
*6)PTMG−250:ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(BASFジャパン(株)製、数平均分子量250、水酸基価449mgKOH/g)
【0042】
(実施例1)
ポリオール混合体100重量部、イソシアネート変性化合物(合成例2)167.74重量部、リチウム化合物8重量部及び触媒0.01重量部を配合量し、ポリウレタン樹脂製造用組成物を得た。
該ポリウレタン樹脂製造用組成物が完全に均一になるまで充分に攪拌した後、真空ポンプを用いて10Torr以下の減圧度で発泡が収まるまで脱泡処理を行った。その後、該ポリウレタン樹脂製造用組成物を型枠に注入し、80℃にて3時間硬化反応させた後、脱型して板状の導電性非発泡ポリウレタン成型物を得た。
脱型後、72時間室温にて該成型物を養生させた後、該成型物について、成型物の強度、伸度、硬度、体積固有抵抗率及び反発弾性率を測定した。
その結果を表2に示した。
【0043】
(実施例2)〜(比較例6)
表2に記載されている配合量でポリウレタン樹脂製造用組成物を得た。
該ポリウレタン樹脂製造用組成物を用いて実施例1と同様の方法で導電性非発泡ポリウレタン成型物を作製し、該成型物について、成型物の強度、伸度、硬度、体積固有抵抗率及び反発弾性率を測定した。
その結果を表2に示した。
【0044】
【表2】

【0045】
(表2の補足説明)
*7)PTMG−650:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(デュポン(株)製、数平均分子量650、水酸基価173mgKOH/g)
*8)PTMG−250:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(デュポン(株)製、数平均分子量250、水酸基価449mgKOH/g)
*9)D−1000:ポリプロピレングリコール(第一工業製薬(株)製、数平均分子量1,000)
*10)P−1020:ポリエステルポリオール(クラレ(株)製、酸成分:アジピン酸、グリコール成分:3−メチル−1,5−ペンタンジオール、数平均分子量1,000)
*11)DPG:ジプロピレングリコール
*12)アデカGM(アデカポリオールGM−30):トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物(旭電化(株)製、数平均分子量300)
*13)ND−5:ポリエーテルポリオール(第一工業製薬(株)、数平均分子量1500、水酸基価112mgKOH/g)
*14)リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド系化合物とポリエーテルポリオールの混合物(三光化学工業(株)製)
*15)STANN−SNT−1F:有機スズ化合物(三共有機合成(株)製)
【0046】
実施例1〜実施例4においては、高い反発弾性率、高硬度の導電性非発泡ポリウレタン成型物を得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量650〜3,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを反応させてなるジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物と、
数平均分子量250〜2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールと他のポリオール化合物とを混合してなるポリオール混合体と、
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンとを含有してなることを特徴とする導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物。
【請求項2】
前記ジフェニルメタンジイソシアネート変性化合物と前記ポリオール混合体との総和に対するリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンの配合割合が0.1〜10重量%である請求項1記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物を反応させて得られる、JIS K6255−1996に準拠して測定される温度23℃における反発弾性率が45%以上の導電性非発泡ポリウレタン成型物。
【請求項4】
JIS C2105−1999に準拠して測定される、温度23℃且つ相対湿度15〜85%における体積固有抵抗率が500Vの電圧で5×108Ω・cm以下である請求項3に記載の導電性非発泡ポリウレタン成型物。
【請求項5】
JIS K7312に準拠して測定されるA硬度が60°以上である請求項3又は4に記載の導電性非発泡ポリウレタン成型物。
【請求項6】
JIS K7312−1996に準拠して測定される、温度23℃における強度が100kgf/cm2以上、且つ温度23℃における伸度が500%以上である請求項3〜5の何れか一項に記載の導電性非発泡ポリウレタン成型物。
【請求項7】
請求項3〜6の何れか一項に記載の導電性非発泡ポリウレタン成型物が用いられて形成されてなる導電性部材。

【公開番号】特開2006−282840(P2006−282840A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104412(P2005−104412)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【Fターム(参考)】