導電組成物およびプラズマディスプレイの背面基板の製造方法
【課題】 本発明の目的は、化学エッチングに対する耐久性が優れる導電組成物を提供することである。
【解決手段】 本発明は、平均粒径が1.0〜2.5μmの銀粉末、および鉛含有ガラスフリットを含む導電組成物に関する。本発明の導電組成物は、化学エッチングによりプラズマディスプレイのリブを形成する場合のアドレス電極に用いられる。本発明の導電組成物は、鉛含有ガラスフリットの含有量:前記銀粉末の含有量=0.75:99.25〜6.0:94.0であることが好ましい。本発明は、上記導電組成物から得られる電極、この電極を含むPDP背面基板、この背面基板を含むプラズマディスプレイを包含する。
【解決手段】 本発明は、平均粒径が1.0〜2.5μmの銀粉末、および鉛含有ガラスフリットを含む導電組成物に関する。本発明の導電組成物は、化学エッチングによりプラズマディスプレイのリブを形成する場合のアドレス電極に用いられる。本発明の導電組成物は、鉛含有ガラスフリットの含有量:前記銀粉末の含有量=0.75:99.25〜6.0:94.0であることが好ましい。本発明は、上記導電組成物から得られる電極、この電極を含むPDP背面基板、この背面基板を含むプラズマディスプレイを包含する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマディスプレイパネル(以下PDPとも称する)用導電組成物に関する。より詳しくは、本発明の導電組成物は、エッチング液に対する耐久性が高く、リブ材料からリブを化学エッチングにより形成する際に好適な導電組成物に関する。本発明は、この導電組成物を使用した電極、この電極を含むPDP用背面基板の製造方法、この背面基板を含むプラズマディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
PDPの背面基板は、一般的に、背面ガラス基板上に少なくともアドレス電極とリブが設けられ、リブ間に各蛍光体(RGB)を配した積層構造を有する。場合によっては、誘電体層または絶縁体層がアドレス電極とリブの中間に形成される。
【0003】
PDPの背面基板にリブを形成する方法には、印刷積層法、サンドブラスト法、化学エッチング法等がある。
【0004】
印刷積層法は、アドレス電極が形成されている背面ガラス基板上に、リブ材料を何度もプリントして、所定の厚みのリブを形成する方法である。
【0005】
サンドブラスト法は、アドレス電極が形成されている背面ガラス基板上に、まず、リブ材料からなる層を形成し、このリブ材料からなる層上にマスク層を形成する。次に、マスク層を利用して、サンドブラスト処理を施すことによって、マスク層が存在していない部位のリブ材料を除去する。そして、最後にマスク層を除去する。この手順でリブが完成する。
【0006】
化学エッチング法は、アドレス電極が形成されている背面ガラス基板上に、まず、リブ材料からなる層を形成する。次に、リブ材料からなる層上にマスク層を形成する。このマスク層を利用して、化学エッチングによりマスク層が存在していない部位のリブ材料を除去する。最後に、マスク層を除去する。この手順でリブが完成する。
【0007】
上記のリブ形成法のうち、化学エッチング法を用いてリブを形成する場合、アドレス電極が化学エッチングによって悪影響を受けることがある。具体的には、図1に示されるように、リブを形成する際、アドレス電極(102)の大部分は、基本的にリブ材料からなる層(104)またはリブ材料の下部に存在する誘電体層若しくは絶縁体層(106)よりも基板に近い側(すなわちこれらの層の下側)に存在しているが、アドレス電極に電圧を付与するために基板の端に存在する端子部分(108)の上部には、通常リブ材料からなる層、誘電体層または絶縁体層が形成されない。このため、化学エッチングの際に、エッチング液によってアドレス電極の端子部分(108)が損傷し、プラズマディスプレイにおける断線等の不良の原因となるおそれがあった。また、誘電体層または絶縁体層が形成されない場合には、化学エッチング中にアドレス電極がエッチング液に曝される可能性があり、やはりアドレス電極が損傷し、プラズマディスプレイにおける断線等の不良の原因となるおそれがあった。
【0008】
プラズマディスプレイパネルのアドレス電極用の導電組成物としては、例えば以下のようなものが開示されている。
【0009】
特開平11−339554号公報(特許文献1)には、導電性粉末を、平均粒径が0.5〜2μmで、かつタップ密度が3〜7g/cm3であるものとし、また該導電性粉末と有機成分とを必須成分とする導電ペーストが開示されている。この文献には、導電性粉末の粒径やタップ密度が規定されている。また、ガラスフリットとして、酸化ビスマス、酸化珪素、酸化ホウ素、酸化亜鉛および酸化アルミニウムからなるガラスフリットが開示されている。しかし、この文献には、化学エッチングに対する耐久性については、何ら開示されていない。
【0010】
特開2005−70079号公報(特許文献2)には、高精細パターンの形成性と、620℃以下の温度での焼成性が共に優れる感光性導電組成物とこれを用いたプラズマディスプレイパネルが開示されている。この感光性導電組成物は、(A)結晶化度の低い銀粉末(粒度0.1〜5μm、好ましくは0.4〜2.0μm)、(B)有機バインダー、(C)光重合性モノマー、(D)光重合開始剤、および(E)無鉛ガラス粉末を含有するものである。また、(A)結晶化度の低い銀粉末は、X線回折パターンにおけるAg(111)面ピークの半価幅で0.15°以上の値を示すものである。しかし、この文献には、化学エッチングに対する耐久性については、何ら開示されていない。
【0011】
特開2004−127529号公報(特許文献3)には、アンダーカットによるライン欠損を生じることなく、線幅20μm以下の細線パターンを形成しうるアドレス電極用の感光性導電ペーストが開示されている。この感光性導電ペーストは、(A)有機バインダー、(B)一次粒径が0.1〜0.8μmの銀粉末、(C)光重合性モノマー、(D)光重合開始剤、(E)有機溶剤を含有し、ペースト中の銀粉末の含有量は40〜60重量%、有機溶剤の含有量はペースト中の有機物に対して40重量%以上である。しかし、この文献には、化学エッチングに対する耐久性については、何ら開示されていない。
【0012】
特開2004−55402号公報(特許文献4)には、優れた導電性を有し、且つ良好な密着性を有する電極パターンを形成できる、PDP用導電性ペースト組成物が開示されている。この導電性ペースト組成物は、(A)比表面積が1.5〜5.0m2/g(粒径は好ましくは0.5〜5μm)である導電性粉体、(B)ガラスフリット、および(C)結着樹脂を含有する。しかし、この文献には、ガラスフリットとして無鉛ガラスフリットを使用した実施例しか示されておらず、所定の銀粒子と鉛含有ガラスフリットの組合せによる化学エッチングに対する耐久性についても、何ら開示されていない。
【0013】
特開平11−339554号公報(特許文献5)には、回路パターンやプラズマディスプレイ、プラズマディスプレイ用基板の電極に対して、微細パターンの形成が可能であり、電極の厚みを薄くでき、低抵抗にできる導電性粉末および導電ペーストが開示されている。この導電ペーストは、平均粒径が0.5〜2μmで、かつタップ密度が3〜7g/cm3である導電性粉末と、有機成分を必須成分とする。しかし、この文献には、化学エッチングに対する耐久性については、何ら開示されていない。
【0014】
特開平11−283508号公報(特許文献6)には、微細パターンの形成が可能であり、厚みが薄くかつ低抵抗な電極パターンが形成されたプラズマディスプレイ用基板が開示されている。この基板は、平均粒径が0.5〜2μmで、かつタップ密度が3〜5g/cm3である導電性粉末を含む導電性ペーストから形成された電極を含む。しかし、この文献には、化学エッチングに対する耐久性については、何ら開示されていない。
【0015】
特開平10−319580号公報(特許文献7)には、微細パターンの形成が可能で、かつ低抵抗な回路パターンを得るのに好適な感光性導電ペーストおよび電極の製造法が開示されている。この感光性導電ペーストは、平均粒径が0.7〜6μmの球状導電性粉末および感光性有機成分を含有する。しかし、この文献には、化学エッチングに対する耐久性については、何ら開示されていない。
【0016】
【特許文献1】特開平11−339554号公報
【特許文献2】特開2005−70079号公報
【特許文献3】特開2004−127529号公報
【特許文献4】特開2004−55402号公報
【特許文献5】特開平11−339554号公報
【特許文献6】特開平11−283508号公報
【特許文献7】特開平10−319580号公報
【特許文献8】米国特許第3,380,381号明細書
【特許文献9】米国特許第2,760,863号明細書
【特許文献10】米国特許第2,850,445号明細書
【特許文献11】米国特許第2,875,047号明細書
【特許文献12】米国特許第3,097,96号明細書
【特許文献13】米国特許第3,074,974号明細書
【特許文献14】米国特許第3,097,097号明細書
【特許文献15】米国特許第3,145,104号明細書
【特許文献16】米国特許第3,427,161号明細書
【特許文献17】米国特許第3,479,185号明細書
【特許文献18】米国特許第3,549,367号明細書
【特許文献19】米国特許第4,162,162号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述のように、種々の導電組成物が開示されているが、化学エッチングに対し耐久性を有するアドレス電極を形成できる導電組成物に対する要求が存在する。
【0018】
従って、本発明の目的は、化学エッチングに対する耐久性が優れる導電組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、平均粒径が1.0〜2.5μmの銀粉末、および鉛含有ガラスフリットを含む導電組成物に関する。本発明の導電組成物は、化学エッチングによりプラズマディスプレイのリブを形成する場合のアドレス電極に用いられる。本発明の導電組成物は、鉛含有ガラスフリットの含有量:前記銀粉末の含有量=0.75:99.25〜6.0:94.0であることが好ましい。また鉛含有ガラスフリットの軟化点は430〜510℃であることが好ましい。この鉛含有ガラスフリットは、好ましくは、PbO、B2O3、およびSiO2を含む。
【0020】
本発明は、上記導電組成物を用いて形成された電極を包含する。
【0021】
また本発明は、背面基板上に、上記の本発明の導電組成物を含むアドレス電極を形成する段階と、前記背面基板上に、リブ材料からなる層を形成する段階と、前記リブ材料からなる層を化学エッチングして、リブを形成する段階とを含む、プラズマディスプレイの背面基板の製造方法に関する。本発明の方法は、アドレス電極を形成する段階とリブ材料からなる層を形成する段階との間に、誘電体層または絶縁体層を前記背面基板上に形成する段階をさらに含んでいてもよい。
【0022】
本発明は、上記プラズマディスプレイの背面基板の製造方法によって得られる背面基板を有するプラズマディスプレイを包含する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の導電組成物は、化学エッチング耐久性に優れる。このため、リブを化学エッチングによって形成する際における、エッチング液によるアドレス電極の端子の損傷が抑制される。その結果として、プラズマディスプレイにおける、アドレス電極の端子の損傷に起因する欠陥が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、所定平均粒径の銀粉末、および鉛含有ガラスフリットを含む電極用組成物に関する。特に本発明の組成物は、PDPを化学エッチングにより形成する際に、化学エッチングの過程で、アドレス電極が損傷するのを防止できるアドレス電極用導電組成物である。従って、本発明の組成物は、PDPのリブを化学エッチングで形成する場合に好適に用いられる導電組成物である。本発明の組成物は、特定の粒径と、鉛含有ガラスフリットを所定の含有量で含有することにより、化学エッチングの過程で、アドレス電極が損傷するのを効果的に防止できる。
【0025】
本発明の導電組成物は、平均粒径が1.0〜2.5μmの銀粉末、および鉛含有ガラスフリットを含む。ここで鉛含有ガラスフリットの含有量と銀粉末の含有量の割合は、重量比で、鉛含有ガラスフリットの含有量:銀粉末の含有量=0.75:99.25〜6.0:94.0であることが好ましい。このような割合の範囲とすることにより、リブ形成時のエッチングに対して高いエッチング耐久性が発現する。鉛含有ガラスフリットの含有量:銀粉末の含有量は、重量比で、より好ましくは、1.5:98.5〜6.0:94.0であり、さらに好ましくは1.5:98.5〜3.0:97.0である。
【0026】
鉛含有ガラスフリットの軟化点は430〜510℃であることが好ましい。この範囲の軟化点を有する鉛含有ガラスフリットを用いると、より高いエッチング耐久性が発現する。鉛含有ガラスフリットの軟化点は、より好ましくは、470〜510℃である。
【0027】
ここで、ガラスフリットの軟化点(Ts)とは、示差熱分析DTAによる第二発熱ピークを意味する。ガラスフリットの軟化点(Ts)は、示差熱分析装置DTAによって測定することができる。具体的には、ガラスフリット粉末約50mgを用い、昇温レート20℃/分にて加熱し、測定することができる。
【0028】
本発明は、導電材料として添加される銀の平均粒径を小さめにし、かつ、ガラスフリットとして、鉛含有ガラスフリット(Pb系ガラスフリット)を用いることとした点に特徴を有する。
【0029】
本発明の効果を奏するメカニズムについては、現段階では不明である。特に、所定の平均粒径の銀粉末と、鉛を含有するガラスフリットを用いることで、なぜリブを化学エッチングで形成する際の、アドレス電極のエッチング耐久性が向上するかについては、不明である。
【0030】
特に理論に拘束されるつもりもないが、例えば、銀の平均粒径を小さくすることによって、膜が緻密になり、エッチング耐久性が向上しているのではないかと考えることができる。なお、銀の平均粒径が小さすぎると、凝集してしまう可能性があり、さらに、本発明の組成物を感光性導電組成物とする場合には、著しくその感光特性を損なう結果となることがわかっている。
【0031】
また、焼成体(Ag及び、Pb系ガラスフリットのみが残ったもの)である電極は、そのAg対ガラスフリット比率が高い場合に、エッチング耐久性が劣ることがわかっており、溶融したガラスフリット部がエッチング工程により侵食され易くそこを起点として電極が損傷を受けるものと考えられる。従って、本発明では、導電性粉末とガラスフリット含有比の関係を所定の範囲に制御することが好ましい。
【0032】
本発明の導電組成物は、感光性を有するものであってもよい。本発明の組成物を感光性組成物とする場合、後述するアルカリ現像型感放射線性レジスト組成物を構成する感放射線性成分を添加すればよい。導電組成物に感光性を付与した場合には、レジスト組成物を用いずに電極パターンを形成することもできる。
【0033】
導電組成物は、各成分を必要に応じて有機成分、溶剤等を用いててビヒクルを調製し、その後、銀粉体、およびガラスフリットを混合し、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミルなどの混練機を用いて混練することにより調製することができる。
【0034】
次に、導電組成物に含まれうる主な成分について説明する。
【0035】
(I)銀粉末
銀粉末は、本発明の組成物に導電性を付与するために添加される。平均粒径は、1.0〜2.5μm、好ましくは1.0〜2.0μm、より好ましくは1.0〜1.5μmである。平均粒径は、粒子径分布をレーザー回折散乱法によって測定され、d50として定義することができる。装置としては、例えば、Microtrac model X−100などの市販品を用いることができる。
【0036】
Agのタップ密度は、エッチング耐久性を高める観点から、4.0g/cm3以上であることが好ましい。タップ密度は、ASTM B−527に定められる方法により、測定することができる。その際には、例えば、Dual Autotap(Quantacrome corp.社)またはTap Pack Volumeter(Sahndon Southern Instruments Inc.社)のような装置が用いられる。具体的な測定方法の一例としては、サンプル量25g、10mLシリンダーを用い、8000回のタップ後の粉体充填密度として、タップ密度が評価される。
【0037】
Agの形状は特に限定されない。球状であっても、フレーク状であってもよい。但し、感光性の導電組成物においては、球状が好ましい。
【0038】
(II)ガラスフリット
ガラスフリットは、PDP背面基板に使用されるガラス基板との密着性を高めるために添加される。さらに、銀粒子の低温での焼結を可能にする作用もある。平均粒径は、一般的には0.1〜10μmである。鉛含有ガラスフリットは、PbO、B2O3、およびSiO2を含む鉛ホウケイ酸塩系の組成のものを例として挙げることができる。鉛ホウケイ酸系のガラスフリットには、さらに他の金属化合物が添加されていてもよい。他の金属化合物としては、例えば、Al2O3、ZnO、ZrO2、CaO、CuO、Bi2O3、BaO、MoO3、MgO、La2O3、Nb2O5、Na2O、Li2O、GeO2、P2O5、WO3、Li2SO4、K2O、TiO2、Ag2O、CeO2、Cs2O、CdO、Cr2O3、SnO2、NiO、FeO、CoO、RuO2、V2O5、Y2O3などが挙げられる。これらを、目的に応じて添加するとよい。導電組成物中における一般的なガラスフリットの含有量は、導電性粒子に対して0.01〜25重量%である。
【0039】
本発明の組成物におけるAg粒子とガラスフリットの合計量は、乾燥した導電組成物(すなわち有機媒体を除いた導電組成物)の全重量に基づいて60〜90重量%である。
【0040】
(III)有機ポリマーバインダー
有機ポリマーバインダーは、スクリーン印刷、その他の当分野で公知の手段により導電組成物を基板上に塗布する際の塗布性、塗布膜安定性などを向上させるために用いられる。有機ポリマーバインダーは、導電組成物を焼結して電極を形成する時に除去される。
【0041】
有機ポリマーバインダーの選択にあたっては、塗布乾燥後の導電組成物を水系現像液で現像し、パターン形成する場合には、水系現像液での現像可能性を考慮して、解像力の高いものを選ぶことが好ましい。このような要件を満たす有機ポリマーバインダーは、例えば、非酸性コモノマーおよび酸性コモノマーを含むものが挙げられる。以下のものから調製されるコポリマーまたはインターポリマー(混合重合体)が好適である。
【0042】
(1)C1〜C10アクリル酸アルキル、C1〜C10メタクリル酸アルキル、スチレン、置換スチレン、またはそれらの組み合わせを含有する非酸性コモノマー、ならびに
(2)エチレン性不飽和カルボン酸含有部分を含む酸性コモノマー。
【0043】
コポリマーまたはインターポリマー中に、上記(2)のような酸性コモノマー成分が存在することは、本発明の技術において好ましい。その酸性官能基によって、炭酸ナトリウムの0.8%水溶液のような水性塩基性溶液で、本発明の組成物からなる塗膜を現像できるようになる。
【0044】
酸性コモノマーの含有量は、有機ポリマーバインダーの全重量に対して少なくとも15重量%、好ましくは、15〜30重量%である。酸性コモノマーが15%未満の濃度で存在する場合、組成物が水性塩基によって洗い流されにくい。有機酸性コモノマーが30%を越える濃度で存在する場合、組成物は現像条件下で安定性が低く、画像形成部分で部分的な現像しか起こらない。適切な酸性コモノマーには、アクリル酸、メタクリル酸、またはクロトン酸のようなエチレン性不飽和モノカルボン酸、ならびに、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ビニルコハク酸、およびマレイン酸のようなエチレン性不飽和ジカルボン酸、それらの半エステル(hemiester)、ならびに、場合によってはそれらの無水物およびそれらの混合物、が含まれる。メタクリルポリマー類は、低酸素雰囲気下でより清浄に燃焼するため、アクリルポリマー類よりも好ましい。
【0045】
非酸性コモノマーが、上述したアクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルである場合、そのような非酸性コモノマーは、有機ポリマーバインダーの少なくとも50重量%、好ましくは70〜75重量%を構成していることが好ましい。
【0046】
非酸性コモノマーがスチレンまたは置換スチレンである場合、そのような非酸性コモノマーは、有機ポリマーバインダーの50重量%を構成し、残りの50重量%が無水マレイン酸の半エステルのような酸性コモノマーであることが好ましい。好ましい置換スチレンは、α−メチルスチレンである。
【0047】
有機ポリマーバインダーの非酸性部分が、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、スチレンまたは置換スチレンである場合、これらの部分を他のモノマーで置換することができる。置換モノマーの例には、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリルアミドが含まれる。このような置換モノマーは、非酸性成分の約50重量%以下の含有量とすることができる。しかし、このような置換モノマーを含む場合には、焼結時に、有機ポリマーバインダーを完全に燃焼除去させることがより困難なため、このようなモノマーは、有機ポリマーバインダー全量の約25重量%未満の量を用いるのが好ましい。
【0048】
有機ポリマーバインダーは、上述した現像性、燃焼性などの基準を満たすかぎり単一のコポリマーからなっていても、またはコポリマーを組み合わせたものであってもよい。コポリマーを組み合わせる場合、上記のコポリマーに加えて、その他の有機ポリマーバインダーを少量(例えば、上記コポリマー:追加の有機ポリマーバインダー=95:5)加えることができる。少量加える有機ポリマーバインダーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびエチレン−プロピレンコポリマーのようなポリオレフィン、ならびに、ポリエーテル、例えばポリエチレンオキシドのような低級アルキレンオキシドポリマーが挙げられる。
【0049】
本発明の導電組成物で使用可能な有機ポリマーバインダーは、上記の好ましい有機ポリマーバインダーの場合、アクリル酸エステル重合の分野で、一般に用いられている溶液重合技術によって、製造することができる。
【0050】
典型的には、上記のような酸性アクリル酸エステルポリマーは、α−またはβ−エチレン性不飽和酸(酸性コモノマー)を、比較的低沸点(75〜150℃)の有機溶媒中で、一種またはそれ以上の共重合可能なビニルモノマー(非酸性コモノマー)と混合し、10〜60%のモノマー混合物溶液を得、次いで得られたモノマーに重合触媒を加えることで重合を行ない、そして得られる混合物を常圧下、溶媒の還流温度に加熱することによって製造することができる。重合反応が実質的に完了した後、生成した酸性ポリマー溶液を室温まで冷却して、生成物を回収し、ポリマーの粘度、分子量、および酸当量を測定する。
【0051】
さらに、上記の酸含有有機ポリマーバインダーは、分子量を50,000未満、好ましくは25,000未満、更に好ましくは15,000未満に保つことが好ましい。
【0052】
導電組成物中における有機ポリマーバインダーの一般的な含有量は、乾燥した導電組成物(すなわち有機媒体を除いた導電組成物)の全重量に対して5〜50重量%である。
【0053】
本発明の導電組成物は、感光性組成物としても調製することができる。この場合、組成物は、上記成分に加え、少なくとも光重合性モノマーおよび光重合開始剤を含有する。例えば、本発明の組成物は、塗膜として形成された後、光照射(例えば紫外線照射)により、光重合性モノマーを光重合させることができる。重合体は、アドレス電極のバインダー樹脂としても機能する。
【0054】
光重合性モノマー:
光重合性モノマーは、単独で、または複数のモノマーの組み合わせとして用いることができる。このようなモノマーの好ましいものには、(メタ)アクリル酸t−ブチル、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、デカメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、米国特許第3,380,381号(特許文献8)に記載されているような化合物、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチル−1,2−ジ−(p−ヒドロキシエチル)プロパンジメタクリレート、ビスフェノールAジ−[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル]エーテル、ビスフェノールAジ−[2−(メタ)アクリロキシエチル]エーテル、1,4−ブタンジオールジ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタンジオールトリ(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1−フェニルエチレン−1,2−ジメタクリレート、フマル酸ジアリル、スチレン、1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、および1,3,5−トリイソプロペニルベンゼンなどが挙げられる。ここで、(メタ)アクリレート)は、アクリレートおよびメタクリレートの双方を表わすことを略記したものである。
【0055】
導電組成物中における光重合性モノマーの一般的な含有量は、乾燥した導電組成物(すなわち有機媒体を除いた導電組成物)の全重量に対して1〜25重量%であることが好ましい。
【0056】
光重合開始剤:
光重合開始剤は、光重合性モノマーを光重合させるために用いられる。光重合開始剤としては、185℃以下の温度では熱的には不活性であるが、化学線に露光した場合に遊離基を発生するものである。これらの光開始剤には、例えば、共役した炭素環系内に二つの分子内環(intramolecular ring)を有する化合物を挙げることができる。この化合物には、置換されているかまたは置換されていない多核キノンが包含される。具体的には、9,10−アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントレンキノン、ベンゾ[a]アントラセン−7,12−ジオン、2,3−ナフタセン−5,12−ジオン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、レテンキノン、7,8,9,10−テトラヒドロナフタセン−5,12−ジオン、および1,2,3,4−テトラヒドロベンゾ[a]アントラセン−7,12−ジオンが挙げられる。この他の有用な光開始剤は、米国特許第2,760,863号(特許文献9)に記載されている。この文献に記載の化合物のいくつかは、85℃のような低温でも熱的に活性である。このような化合物は、隣接(ビシナル)ケトアルドニル(ketaldonyl)アルコール、たとえば、ベンゾインまたはピバロイン;ベンゾインのメチルおよびエチルエーテルなどのアシロインエーテル;α−メチルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン、チオキサントンとその誘導体、および水素供与体を含む炭化水素置換芳香族アシロインがある。
【0057】
また、開始剤として、光還元性染料および還元剤を用いることができる。それらには、米国特許第2,850,445号、第2,875,047号、第3,097,96号、第3,074,974号、第3,097,097号、および第3,145,104号(特許文献10〜15)に記載されているもの、ならびに、フェナジン、オキサジン、およびキノン類、例えば、ミヒラーケトン、エチルミヒラーケトン、ベンゾフェノンなど、ロイコ染料を含む水素供与体との2,4,5−トリフェニルイミダゾリル二量体、ならびにそれらの混合物(米国特許第3,427,161号、第3,479,185号、および第3,549,367号(特許文献16〜18)に記載されている)がある。
【0058】
また、米国特許第4,162,162号(特許文献19)に記載されている増感剤は、光開始剤および光阻害剤とともに有用である。導電組成物中における光重合開始剤の一般的な含有量は、乾燥した導電組成物(すなわち有機媒体を除いた導電組成物)の全重量に対して、0.05〜15重量%である。
【0059】
有機媒体:
本発明の導電組成物は、有機媒体を含むことができる。有機媒体を用いる主な目的は、本発明の組成物の微細に粉砕された固形分の分散液を、ガラス、セラミック、またはその他の基板に容易に塗布できる形にすることにある。したがって、有機媒体は、第一に、固形分が適度な安定性を保ちつつ分散可能なものでなくてはならない。第二に、有機媒体のレオロジー特性は、良好な塗装特性を分散液に付与するものでなくてはならない。
【0060】
有機媒体は、一種類の溶媒であってもよく、または溶媒の混合物であってもよい。溶媒は、ポリマーおよびその他の有機成分がその中に完全に溶解するようなものを選択する。溶媒は、導電組成物の他の成分に対して不活性な(反応しない)ものを選ぶべきである。溶媒は、揮発性が十分に高いことが好ましい。溶媒は、大気圧下、比較的低い温度で塗布しても、組成物から容易に蒸発できるものを選ぶべきである。ペースト組成物に用いるのに好ましい溶媒は、常圧の沸点が300℃より低いもの、好ましくは250℃より低いものである。そのような溶媒には、脂肪族アルコール、酢酸エステルまたはプロピオン酸エステルのような、前記アルコールのエステル;松やに、α−またはβ−テルピネオール、もしくはそれらの混合物のようなテルペン;エチレングリコールや、エチレングリコールモノブチルエーテルおよびブチルセロソルブアセテートのようなエチレングリコールのエステル;ブチルカルビトールや、ブチルカルビトールアセテート、およびカルビトールアセテートのようなカルビトールエステル;ならびに、テキサノール(Texanol)(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)のようなその他の適当な溶媒がある。
【0061】
有機媒体の導電組成物中の含有量は、組成物全量に対して10〜20重量%であることが好ましい。
【0062】
追加の成分
当業界で知られている、分散剤、安定化剤、可塑剤、はく離剤、分散剤、はがし剤(stripping agent)、消泡剤、および湿潤剤といった追加の成分も、組成物中に存在していてよい。これらの物質については、従来公知の技術を参考にして、適切なものを選択すればよい。
【0063】
本発明の導電性組成物は、スクリーン印刷、コーティング、ラミネーティング、その他の当分野で公知の方法により基板上に塗布することができる。これらの方法は、基板全面に本発明の組成物を塗布するのに使用することができ、その場合には、本発明の組成物を上記の各成分を含む組成物とすることができる。また、スクリーン印刷などで、あらかじめパターンニングされた印刷物として基板上に印刷する場合には、露光などのパターンニングを省略することができるので、上記の感光性成分を除いた組成物とすることもできる。
【0064】
本発明の組成物は、PDP用アドレス電極の製造に使用することができる。本発明の組成物を用いると、リブを化学エッチングにより製造する際、電極がエッチング液に曝された場合であっても損傷を受け難い。従って、本発明の組成物は、プラズマディスプレイにおける断線等の不良の原因を抑えることができる。
【0065】
本発明は、上記導電組成物から形成される電極を包含する。本発明の電極は、PDP背面基板上のアドレス電極として用いることができる。電極は、例えば図3(E)に示されるような、ガラス基板上にストライプ形状に形成されたものであってもよい。本発明の電極は、PDPのアドレス電極として適切な膜厚、形状、ピッチ等を有する。
【0066】
本発明の電極は、PDP用アドレス電極として使用すると、リブを化学エッチングにより製造する際、エッチング液に曝された場合であっても損傷を受け難い。従って、本発明の電極は、例えば、エッチング溶液に常に曝されるアドレス電極の端子部分が損傷し難く、プラズマディスプレイにおける断線等の不良の原因を抑えることができる。
【0067】
本発明は、背面基板上に、粒径が1.0〜2.5μmの銀粉末、および鉛含有ガラスフリットを含むアドレス電極を形成する段階と、前記背面基板上に、リブ材料からなる層を形成する段階と、前記リブ材料からなる層を化学エッチングして、リブを形成する段階とを含む、プラズマディスプレイの背面基板の製造方法を包含する。
【0068】
本発明の方法を、図面を参照して説明する。
【0069】
第一段階は、上記本発明の導電組成物を用いてアドレス電極を形成する段階である。 図2および図3は、第一の工程を説明するための図である。図2は、フローチャートであり、図3は具体的な作成手順を示す図である。以下に図2および図3を適宜参照しながら第一段階を説明する。なお、図2および図3は、感光性導電組成物を用いてパターンニングを行う場合を説明するものである。
【0070】
まず、ガラス基板上に本発明の導電組成物を塗布する(図2:202)。塗布は、ガラス基板(302)上に、導電組成物(304)をスクリーン印刷による全面塗布、ディスペンサを用いた全面塗布などの塗布手段(306)を用いて全面塗布する(図3(A))。次に、塗布した導電組成物を乾燥する(図2:204)。乾燥の条件は、導電組成物層が乾燥できれば特に限定されないが、例えば100℃で18〜20分乾燥すればよい。また、乾燥はコンベアタイプの赤外線乾燥機などを用いて行うことができる。
【0071】
次に、乾燥した導電組成物をパターンニングする。パターンニングは、乾燥した導電組成物を露光し(図2:206)、現像する(図2:208)。露光は、乾燥した導電組成物(304)上に、電極パターンを有するフォトマスク(308)を置き、例えば紫外線(310)などを照射する(図3(B))。露光の条件は、使用する導電組成物、導電組成物層の膜厚等により異なるが、例えば200〜400μmのギャップを用いた露光では100mJ/cm2〜300mJ/cm2の紫外線を用いることが好ましい。照射時間は、好ましくは5〜30秒である。現像は、アルカリ溶液により行う。アルカリ溶液は、例えば0.4%炭酸ナトリウム水溶液のようなものを用いることができる。このようなアルカリ溶液(312)を基板(302)上の露光された導電組成物層(304)に噴霧する、露光された導電組成物層(304)を有する基板(302)をアルカリ溶液に浸漬する、などの手段により、現像を行うことができる(図3(C))。
【0072】
次に、パターンニングされた導電組成物を焼結する(図2:210;図3(D))。焼結は、所定の温度プロファイルを有する焼結炉中で行うことができる。焼結時の最高温度は、好ましくは400〜600℃、より好ましくは500〜600℃である。焼結時間は、好ましくは1〜3時間、より好ましくは1.5時間である。焼結後、冷却してアドレス電極(314)を有する基板(302)を得ることができる(図3(E))。アドレス電極の膜厚、ピッチなどは従来通りとすることができる。
【0073】
以上の説明は、パターンニングによりアドレス電極を形成する例であるが、第一段階はこのような手順に限定されない。別法として、例えば、基板(302)上に、あらかじめ電極パターンをスクリーン印刷により印刷し、乾燥して、焼結することによりアドレス電極(314)を形成することもできる。
【0074】
以下に第二段階および第三段階について、図4および図5を適宜参照して説明する。第二段階は、上記のようにしてアドレス電極を形成した背面基板上に、リブ材料からなる層を形成する段階である。第三段階は、前記リブ材料からなる層を化学エッチングして、リブを形成する段階である。
【0075】
まず、先の段階で得られた背面基板(302)上に、リブ材料をコーティングし、リブ材料層(504)を形成する(図4:402;図5(A))。本発明では、リブ材料をコーティングする前に、背面基板上に、アドレス電極を被うように全面に誘電体層または絶縁体層(502)を形成してもよい。誘電体層または絶縁体層(502)の形成は、アドレス電極が形成されたガラス基板(302)上に、必要に応じて、誘電体層または絶縁体層をスクリーン印刷による全面塗布、ディスペンサを用いた全面塗布などの塗布手段を用いて全面塗布する。リブ材料は、誘電体層または絶縁体層の形成に次いで、これらの層上にリブ材料を、スクリーン印刷による全面塗布、ディスペンサを用いた全面塗布などの塗布手段で塗布することができる(図5(A))。
【0076】
誘電体層または絶縁体層は、化学エッチングによりリブを形成する際にエッチング液に対して耐性である材料を用いる。例えば、Pb−B−Si系低軟化ガラスのような材料を用いることができる。また、リブ材料には、リブを形成する際にエッチング液で除去できる材料を用いる。例えばエッチングスピードを調節したPb−B−Si系低軟化ガラスのようなものを用いることができる。
【0077】
次に、形成した誘電体層または絶縁体層と、リブ材料層を焼結する(図4:404)。焼結の条件は、従来通りであり、特に限定されないが、例えば焼結の場合、温度400℃〜580℃で1.5〜3.0時間とすることができる。
【0078】
次に、焼結したリブ材料層上にドライフィルムレジスト(DFR)またはフォトレジスト(PR)をコーティングし、パターンニングする(図4:406、408;図5(B))。DFRまたはPRのコーティングは、リブ材料層(504)上に、DFRまたはPR材料をスクリーン印刷による全面塗布、ディスペンサを用いた全面塗布などの塗布手段を用いて全面塗布すればよい。次いで、定法に従って乾燥、露光および現像等を施し、パターンニングを行い、レジストパターン(506)を得ることができる。
【0079】
レジスト材料およびリブ材料は、PDPパネルの作成で化学エッチングによりリブを形成する場合に通常使用される材料である。例えば、レジスト材料は、一般的なサンドブラスト用のDFRを用いることができる。レジスト層のパターンニングの条件は、例えば、露光100mJ/cm2〜500mJ/cm2で5秒〜50秒、および、1%の炭酸ナトリウム水溶液の噴霧等による現像などを用いることができる。
【0080】
次に、第三段階であるリブ材料からなる層(504)を化学エッチングして、リブ(504’)を形成する段階である(図4:410;図5(C))。化学エッチングは、例えば酸溶液(508)を噴霧することにより、レジストパターンの形成されていない部分が溶解し、除去され、リブ(504')が形成される。
【0081】
酸溶液は、例えば、0.5〜1.0%塩酸水溶液などを用いることができる。噴霧によりエッチングを行う場合、噴霧の条件は、例えば1.0Kg/cm2〜3.0Kg/cm2の圧力とすることができる。
【0082】
本発明の製造方法では、本発明の導電組成物を用いているため、この化学エッチングで処理したとしても、露出しているアドレス電極の部分(510)は損傷を受け難い。
【0083】
次に、リブ上に残っているレジスト(DFRまたはPR)パターンを除去する(図4:412;図5(D))。レジストパターンの除去には、アルカリ水溶液(例えば1〜5%水酸化ナトリウム水溶液など)(512)を噴霧することにより実施される。噴霧によりレジストの除去を行う場合、噴霧の条件は、例えば1.0Kg/cm2〜3.0Kg/cm2の圧力とすることができる。
【0084】
本発明では、レジストのパターンを適宜選択することで、リブを平行に並列してストライプ状としたり、リブを井桁状としたり、所望の形状にすることができる。
【0085】
次に、リブ間に赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を発行する蛍光体(514、516、518)を充填する。蛍光体層は、リブ(504’)の間に赤(R)、緑(G)、青(B)の各色用の蛍光体ペーストを選択的に充填した後、乾燥させてから焼成することで形成することができる。蛍光体ペーストの充填には、従来から用いられている、例えば、スクリーン印刷法、フォトリソグラフィ法、インクジェット法、ディスペンス法、電界ジェット法など、様々な方法を用いることができる。本発明では、いずれの方法も用いることができる。
【0086】
スクリーン印刷法では、蛍光体ペーストをスクリーン印刷でリブ間に選択的に充填して乾燥させる工程を複数回繰り返し、その後焼成する。
【0087】
また、フォトリソグラフイ法では、感光性の蛍光体ペーストを塗布し、露光、現像し、乾燥させる工程を複数回繰り返し、その後焼成して蛍光体層を形成する。
【0088】
また、インクジェット法では、インクジェットノズルの先端から蛍光体ペーストを噴射してリブ間に蛍光体ペーストを充填する。
【0089】
ディスペンス法は、吐出孔を有するペースト塗布用ノズルを使用し、塗布ノズル内に圧力を印加して、蛍光体ペーストをリブ間に充填する方法である。
【0090】
電界ジェット法は、ディスペンス法を改良したもので、さらに、塗布ノズルのペースト吐出口近傍に設けた電極と被塗布物との間に電圧を印加しながらペーストを塗布する方法である。
【0091】
蛍光体ペーストは、従来から使用されるものを使用することができる。
【0092】
以上のようにして、リブを完成させ(図4:414;図5(E))、PDP用背面基板を得ることができる。
【0093】
本発明は、上記背面基板を使用したプラズマディスプレイパネルを包含する。本発明のプラズマディスプレイパネルは、例えば図11に示すように、上述のようにして得られた背面基板(1100)に、前面基板(1102)を貼り合わせた構造を有する。
【0094】
具体的には、図示されるように、前面基板は、前面基板用ガラス基板(1106)、表示電極(1104)、誘電体(MgO付)層(1108)などから構成されている。背面基板(1100)は、ガラス基板(302)と、その上に設けられている、アドレス電極(314)、誘電体層(502)、さらに誘電体層上に所定間隔で設けられたリブ(504’)が設けられている。また、前面基板の周辺部と背面基板の周辺部との間には、放電空間を封止するための封着部材(1110)が介在されている。この前面基板(1102)、背面基板(1100)及びリブ(504’)で隔成される微細空間が放電空間(1112)である。この放電空間内に、RGB各色の蛍光体層(514、516、518)が設けられ、ネオン、キセノン等を混合させた放電ガスが注入されている。
【0095】
このようなPDPでは、表示電極、アドレス電極間に電圧を印加して、放電空間内面に形成した蛍光体層を選択的に放電発光させることで、画像を表示している。図示した例では、リブを平行に並列してストライプ状の放電空間としたり、リブを井桁状に形成して、放電空間をマトリクス状に配置したりすることもできる。
【0096】
次に、上述のような構造を備えるプラズマディスプレイパネル(PDP)を製造する方法について簡単に説明する。この方法では、前面基板(1102)の片面に、表示電極及び誘電体層といったパネル構成要素を順次形成する前面パネル形成工程と、上述した本発明の背面基板の製造方法とにより、前面パネルと背面パネルを作成する。そして、前面基板(1102)と背面基板(1100)とをそれぞれパネル構成要素が対向するように重ねて、前面基板と背面基板の周辺部を封着部材(1110)により封止する。その後に貼り合わされた2枚の基板間に形成された放電空間(1112)に対して排気を行い、そこに放電ガスを封入した後、エージングを行う。
【0097】
ここで、前記の封止工程では、前面基板及び背面基板のいずれか一方又は両方の周辺部に、低融点フリットガラスからなる封着部材をスクリーン印刷法等によって枠状に塗布し、仮焼成して封着層を形成する。そして、前面基板及び背面基板を重ね合わせて、互いに押し当てた状態で熱処理(例えば400℃)を行う。これによって、前記の封着部材が軟化して潰れ、さらに融着して、両基板間の放電空間が封止される。
【実施例】
【0098】
実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、以下に示す実施例は本発明を制限することを意図したものではない。以下の実施例において、特に示さない場合には、パーセンテージ等は重量に基づく。
【0099】
(実施例1)
本実施例では、UV感光性厚膜導体組成物を用いた。
【0100】
(Agの平均粒径の測定方法)
平均粒径は、粒子径分布をレーザー回折散乱法によって測定されたもののd50として定義することができる。装置としては、例えば、Microtrac model X−100などの市販品を用いることができる。
【0101】
測定に用いる粉末0.5gをビーカーに計り取り、純水100ccに0.2%の分散剤Darvan Cを入れた分散媒を満たした。200Wの超音波攪拌装置を用い、5分間攪拌した。Microtrac model X−100を用いて75秒間測定し、d50値を求め、この値を平均粒径とした。
【0102】
(A)有機媒体の調製
溶媒としてテキサノール(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)と分子量30,000のアクリル系ポリマーバインダーとを混合し、攪拌しながら100℃まで加熱した。加熱攪拌は、すべてのバインダーポリマーが溶解するまで続けた。得られる溶液を75℃まで冷却し、光重合開始剤として、チバスペシャリティーケミカルズ社のIrgacure907及び651、安定化剤としてTAOBN:1,4,4−トリメチル−2,3−ジアザビシクロ[3.2.2]−ノン−2−エン−N,N’−ジオキシドを添加した。この混合物を、すべての固形分が溶解するまで75℃で攪拌した。この溶液を40ミクロンのフィルターに通し、冷却した。
【0103】
(B)ガラスフリットの調製
以下に示す組成で各成分を混合し、ガラスフリットを調製した。
ガラスフリットA(PbO:69重量%、B2O3:14重量%、SiO2:17重量%)、軟化点:499℃。
ガラスフリットB(PbO:77重量%、B2O3:12.5重量%、SiO2:9.1重量%、Al2O3:1.4重量%)、軟化点:438℃。
ガラスフリットC(BaO:0.5重量%、B2O3:7.5重量%、SiO2:0.5重量%、Al2O3:0.5重量%、ZnO:15重量%、Bi2O3:75重量%)、軟化点:425℃。
ガラスフリットD(PbO:11重量%、B2O3:3.5重量%、SiO2:3.5重量%、Bi2O3:82重量%)、軟化点:385℃。
【0104】
(C)ペーストの調製
ペーストは、黄色光下、混合槽内で、上記有機媒体24.19重量%に光重合性モノマーとしてTMPEOTA(トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート)2.12重量%、TMPPOTA(トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート)0.83重量%、BSAF社ラロマーLR8967(ポリエステルアクリレートオリゴマー)3.62重量%、そして他の有機成分として、ブチレーテッドヒドロキシトルエン0.12重量%、マロン酸0.11重量%、及びビックケミー社BYK085 0.12重量%を混合することによって調製した。次いで、この有機成分混合物に無機物質として平均粒径1.27μmの球型Ag粉とガラスフリットを加えた。Ag粉とガラスフリットは、残量として、重量比で1.5:98.5となるように加えた。組成物全体を、無機物質粒子が有機物質で湿潤するまで混合した。この混合物を、3段のロール・ミルを用いてロール・ミリングにかけた。得られたペーストは500メッシュのフィルタースクリーンに通した。この時点でのペースト粘度を前記溶媒テキサノールで調節して、印刷塗布に最適の粘度とすることができた。
【0105】
表1に使用した成分を示した。
【0106】
(実施例2〜6、比較例1〜5)
成分を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様の手順で導電組成物を調製した。
【0107】
【表1】
【0108】
(比較例1〜5)
成分を表2に示すものに変更した以外は、実施例1と同様の手順で導電組成物を調製した。
【0109】
【表2】
【0110】
(実施例9〜12、比較例6〜7)
これらの実施例および比較例では、本発明の導電組成物における銀粒子の粒径の影響を調査した。
【0111】
成分を表3に示すものに変更した以外は、実施例1と同様の手順で導電組成物を調製した。表3には、後述する評価方法によって評価したエッチング耐性および分解能をあわせて示した。
【0112】
【表3】
【0113】
実施例9〜12および比較例6〜7に示されるように、本発明の導電組成物は、Ag粒子の平均粒径(d50)は、1.0〜2.5μmの範囲が好適である。粒径は、好ましくは1.0〜2.0μm、より好ましくは1.0〜1.5μmである。
【0114】
(評価方法)
(i)アドレス電極のパターンの作成
上記実施例1〜12および比較例1〜7の導電組成物を用いて、電極パターンを調製した。基板には2インチ×3インチのPD200素ガラスを用いた。この基板上に、図6に示すようにアドレス電極を形成した(各線幅の電極の本数は、10本であった。)。基板上のアドレス電極(314〜314n)は、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μmの各線幅で作成した。図中、20μmおよび30μmの線幅のアドレス電極は、それぞれ314、314’で表し、120μmの線幅のアドレス電極は、314nで表し、その他の線幅のアドレス電極は点(・)で省略して示した(図6〜図10において同じ。また、n=8である。)。
【0115】
電極パターンの作成条件は以下の通りである。まず、基板上に、SUS#400のスクリーンマスクを用いて実施例1〜12および比較例1〜7の導電組成物を印刷した。導電組成物は、乾燥膜厚を8μm±0.5μm、焼結後の膜厚を3μm±0.1μmとなるように調節した。次に、導電組成物を以下の条件で、乾燥、露光、現像および焼結した。
【0116】
(a)乾燥
コンベアー型赤外線乾燥機
100℃/18〜20分間保持。トータル20分間のプロファイル
【0117】
(b)露光
20μmL/S〜120μmL/Sアートワーク(フォトマスク)を使用
200μm〜400μmの露光距離により、100mJ/cm2〜300mJ/cm2で露光
【0118】
(c)現像
0.4%NaCO3溶液を、1.5Kgf/cm2の圧力で25秒間噴霧して現像
液温:30℃
【0119】
(d)焼結
570℃/7.5分保持、トータル1.5時間のプロファイル、または600℃/7.5分保持、トータル1.5時間のプロファイル
【0120】
(ii)エッチング試験領域の作成
上記のようにして作成した電極パターンに、図7(B)に示すようなエッチング試験領域を作成した。具体的には、まず、図7(A)に示すように、電極パターンを全て被うような接着テープ(702)を電極パターン上に貼付した。なお、接着テープは、後のエッチング試験において、酸溶液で処理する際の酸溶液に耐久性を有するものである。次に、図7(B)に示されるように、接着テープ(702)を8つの領域に切断し、それぞれの領域部分の接着テープがはがせるようにした。
【0121】
(iii)エッチング試験
エッチング試験を図8により説明する。まず、上記(ii)で得られた試験片のエッチング試験を行う領域(第1領域(図7(B)の1の部分)の接着テープをはがし、各線幅のアドレス電極を露出させた。次に、試験片のアドレス電極が露出した部分に、酸溶液(0.6〜0.7%HCl)を噴霧した(エッチング時間10秒)(図8(A))。
【0122】
次に、試験片の第2領域(図7(B)の2の部分)の接着テープをはがし、領域1および2の各線幅のアドレス電極を露出させた。次に、試験片のアドレス電極が露出した部分に、酸溶液(0.6〜0.7%HCl)を噴霧した(エッチング時間10秒)(図8(B))。
【0123】
この操作を、領域8まで繰り返し、全ての領域が酸溶液に暴露されるようにする(図8(C)。この操作により、領域1〜8まで、10〜80秒間、10秒間隔で、各線幅のアドレス電極がエッチング液に曝されたことになる。すなわち、領域1はトータル80秒間、領域2はトータル70秒間、領域3〜7はそれぞれ10秒間隔で60秒〜20秒間、そして領域8はトータルで10秒間エッチング液に曝されたことになる。
【0124】
次に、水で基板を洗浄した。
【0125】
(iv)評価
評価の手順を図9および図10を参照して説明する。上記(iii)の手順で、エッチング処理が完了した試験片のアドレス電極が全て被われるように接着テープ(902)を貼付し、この接着テープをはがす(図9(B))。この際、損傷を受けている部分の電極パターンは、接着テープと共に、基板302上からはがれ、除去される。
【0126】
図9に示されるように、もっともエッチング時間の少ない領域から、Raw1からRaw8の番号を振り、各領域のアドレス電極のラインが欠落しているかどうかを、各線幅について評価した。各線幅の複数のラインのうち、一部でも欠落したものは欠損を受けたものと判断した。評価基準は表4に示した通りである。
【0127】
【表4】
【0128】
表に示した通り、全ての領域について剥離が見られなかった試験片を◎、60秒までの領域について剥離が見られなかった試験片を○、40秒までの領域について剥離が見られなかった試験片を△、20秒までの領域について剥離が見られなかった試験片を×、そして全ての領域について剥離が見られた試験片を××と評価した。本評価では、△の評価まで実用的であると判断した。
【0129】
(結果)
実施例1〜8で得られた導電ペーストを、上記評価基準に従って評価した結果を表5に示す。
【0130】
【表5】
【0131】
比較例1〜5で得られた導電ペーストを、上記評価基準に従って評価した結果を表6に示す。
【0132】
【表6】
【0133】
表5および表6から明らかなように、特定の粒径の銀粒子と鉛ガラスフリットを含む本発明の導電組成物は、リブを化学エッチングで形成する場合のエッチング条件において優れた耐久性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】従来のPDPのリブ部分を製造する際の問題点を説明するための図である。
【図2】本発明の導電組成物を用いたアドレス電極の製造工程のフローチャートである。
【図3】本発明の導電組成物を用いたアドレス電極の製造工程を説明するための図である。
【図4】PDPの背面基板を作成する際の製造工程のフローチャートである。
【図5】PDPの背面基板を作成する際の製造工程を説明するための図である。
【図6】本発明の導電組成物を評価する際の評価手順を説明するための図である。
【図7】本発明の導電組成物を評価する際の評価手順を説明するための図である。
【図8】本発明の導電組成物を評価する際の評価手順を説明するための図である。
【図9】本発明の導電組成物を評価する際の評価手順を説明するための図である。
【図10】本発明の導電組成物を評価する際の評価手順を説明するための図である。
【図11】本発明のプラズマディスプレイの概略を示す図である。
【符号の説明】
【0135】
102、302 背面基板用ガラス基板
104、504 リブ材料
106、502 誘電体層または絶縁体層
314、314’、314”、314n−1、314n アドレス電極
504’ リブ
514、516、518 蛍光体層
1100 背面基板
1102 前面基板
1104 表示電極
1106 前面基板用ガラス基板
1108 誘電体(MgO付)層
1110 封着部材
1112 放電空間
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマディスプレイパネル(以下PDPとも称する)用導電組成物に関する。より詳しくは、本発明の導電組成物は、エッチング液に対する耐久性が高く、リブ材料からリブを化学エッチングにより形成する際に好適な導電組成物に関する。本発明は、この導電組成物を使用した電極、この電極を含むPDP用背面基板の製造方法、この背面基板を含むプラズマディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
PDPの背面基板は、一般的に、背面ガラス基板上に少なくともアドレス電極とリブが設けられ、リブ間に各蛍光体(RGB)を配した積層構造を有する。場合によっては、誘電体層または絶縁体層がアドレス電極とリブの中間に形成される。
【0003】
PDPの背面基板にリブを形成する方法には、印刷積層法、サンドブラスト法、化学エッチング法等がある。
【0004】
印刷積層法は、アドレス電極が形成されている背面ガラス基板上に、リブ材料を何度もプリントして、所定の厚みのリブを形成する方法である。
【0005】
サンドブラスト法は、アドレス電極が形成されている背面ガラス基板上に、まず、リブ材料からなる層を形成し、このリブ材料からなる層上にマスク層を形成する。次に、マスク層を利用して、サンドブラスト処理を施すことによって、マスク層が存在していない部位のリブ材料を除去する。そして、最後にマスク層を除去する。この手順でリブが完成する。
【0006】
化学エッチング法は、アドレス電極が形成されている背面ガラス基板上に、まず、リブ材料からなる層を形成する。次に、リブ材料からなる層上にマスク層を形成する。このマスク層を利用して、化学エッチングによりマスク層が存在していない部位のリブ材料を除去する。最後に、マスク層を除去する。この手順でリブが完成する。
【0007】
上記のリブ形成法のうち、化学エッチング法を用いてリブを形成する場合、アドレス電極が化学エッチングによって悪影響を受けることがある。具体的には、図1に示されるように、リブを形成する際、アドレス電極(102)の大部分は、基本的にリブ材料からなる層(104)またはリブ材料の下部に存在する誘電体層若しくは絶縁体層(106)よりも基板に近い側(すなわちこれらの層の下側)に存在しているが、アドレス電極に電圧を付与するために基板の端に存在する端子部分(108)の上部には、通常リブ材料からなる層、誘電体層または絶縁体層が形成されない。このため、化学エッチングの際に、エッチング液によってアドレス電極の端子部分(108)が損傷し、プラズマディスプレイにおける断線等の不良の原因となるおそれがあった。また、誘電体層または絶縁体層が形成されない場合には、化学エッチング中にアドレス電極がエッチング液に曝される可能性があり、やはりアドレス電極が損傷し、プラズマディスプレイにおける断線等の不良の原因となるおそれがあった。
【0008】
プラズマディスプレイパネルのアドレス電極用の導電組成物としては、例えば以下のようなものが開示されている。
【0009】
特開平11−339554号公報(特許文献1)には、導電性粉末を、平均粒径が0.5〜2μmで、かつタップ密度が3〜7g/cm3であるものとし、また該導電性粉末と有機成分とを必須成分とする導電ペーストが開示されている。この文献には、導電性粉末の粒径やタップ密度が規定されている。また、ガラスフリットとして、酸化ビスマス、酸化珪素、酸化ホウ素、酸化亜鉛および酸化アルミニウムからなるガラスフリットが開示されている。しかし、この文献には、化学エッチングに対する耐久性については、何ら開示されていない。
【0010】
特開2005−70079号公報(特許文献2)には、高精細パターンの形成性と、620℃以下の温度での焼成性が共に優れる感光性導電組成物とこれを用いたプラズマディスプレイパネルが開示されている。この感光性導電組成物は、(A)結晶化度の低い銀粉末(粒度0.1〜5μm、好ましくは0.4〜2.0μm)、(B)有機バインダー、(C)光重合性モノマー、(D)光重合開始剤、および(E)無鉛ガラス粉末を含有するものである。また、(A)結晶化度の低い銀粉末は、X線回折パターンにおけるAg(111)面ピークの半価幅で0.15°以上の値を示すものである。しかし、この文献には、化学エッチングに対する耐久性については、何ら開示されていない。
【0011】
特開2004−127529号公報(特許文献3)には、アンダーカットによるライン欠損を生じることなく、線幅20μm以下の細線パターンを形成しうるアドレス電極用の感光性導電ペーストが開示されている。この感光性導電ペーストは、(A)有機バインダー、(B)一次粒径が0.1〜0.8μmの銀粉末、(C)光重合性モノマー、(D)光重合開始剤、(E)有機溶剤を含有し、ペースト中の銀粉末の含有量は40〜60重量%、有機溶剤の含有量はペースト中の有機物に対して40重量%以上である。しかし、この文献には、化学エッチングに対する耐久性については、何ら開示されていない。
【0012】
特開2004−55402号公報(特許文献4)には、優れた導電性を有し、且つ良好な密着性を有する電極パターンを形成できる、PDP用導電性ペースト組成物が開示されている。この導電性ペースト組成物は、(A)比表面積が1.5〜5.0m2/g(粒径は好ましくは0.5〜5μm)である導電性粉体、(B)ガラスフリット、および(C)結着樹脂を含有する。しかし、この文献には、ガラスフリットとして無鉛ガラスフリットを使用した実施例しか示されておらず、所定の銀粒子と鉛含有ガラスフリットの組合せによる化学エッチングに対する耐久性についても、何ら開示されていない。
【0013】
特開平11−339554号公報(特許文献5)には、回路パターンやプラズマディスプレイ、プラズマディスプレイ用基板の電極に対して、微細パターンの形成が可能であり、電極の厚みを薄くでき、低抵抗にできる導電性粉末および導電ペーストが開示されている。この導電ペーストは、平均粒径が0.5〜2μmで、かつタップ密度が3〜7g/cm3である導電性粉末と、有機成分を必須成分とする。しかし、この文献には、化学エッチングに対する耐久性については、何ら開示されていない。
【0014】
特開平11−283508号公報(特許文献6)には、微細パターンの形成が可能であり、厚みが薄くかつ低抵抗な電極パターンが形成されたプラズマディスプレイ用基板が開示されている。この基板は、平均粒径が0.5〜2μmで、かつタップ密度が3〜5g/cm3である導電性粉末を含む導電性ペーストから形成された電極を含む。しかし、この文献には、化学エッチングに対する耐久性については、何ら開示されていない。
【0015】
特開平10−319580号公報(特許文献7)には、微細パターンの形成が可能で、かつ低抵抗な回路パターンを得るのに好適な感光性導電ペーストおよび電極の製造法が開示されている。この感光性導電ペーストは、平均粒径が0.7〜6μmの球状導電性粉末および感光性有機成分を含有する。しかし、この文献には、化学エッチングに対する耐久性については、何ら開示されていない。
【0016】
【特許文献1】特開平11−339554号公報
【特許文献2】特開2005−70079号公報
【特許文献3】特開2004−127529号公報
【特許文献4】特開2004−55402号公報
【特許文献5】特開平11−339554号公報
【特許文献6】特開平11−283508号公報
【特許文献7】特開平10−319580号公報
【特許文献8】米国特許第3,380,381号明細書
【特許文献9】米国特許第2,760,863号明細書
【特許文献10】米国特許第2,850,445号明細書
【特許文献11】米国特許第2,875,047号明細書
【特許文献12】米国特許第3,097,96号明細書
【特許文献13】米国特許第3,074,974号明細書
【特許文献14】米国特許第3,097,097号明細書
【特許文献15】米国特許第3,145,104号明細書
【特許文献16】米国特許第3,427,161号明細書
【特許文献17】米国特許第3,479,185号明細書
【特許文献18】米国特許第3,549,367号明細書
【特許文献19】米国特許第4,162,162号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述のように、種々の導電組成物が開示されているが、化学エッチングに対し耐久性を有するアドレス電極を形成できる導電組成物に対する要求が存在する。
【0018】
従って、本発明の目的は、化学エッチングに対する耐久性が優れる導電組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、平均粒径が1.0〜2.5μmの銀粉末、および鉛含有ガラスフリットを含む導電組成物に関する。本発明の導電組成物は、化学エッチングによりプラズマディスプレイのリブを形成する場合のアドレス電極に用いられる。本発明の導電組成物は、鉛含有ガラスフリットの含有量:前記銀粉末の含有量=0.75:99.25〜6.0:94.0であることが好ましい。また鉛含有ガラスフリットの軟化点は430〜510℃であることが好ましい。この鉛含有ガラスフリットは、好ましくは、PbO、B2O3、およびSiO2を含む。
【0020】
本発明は、上記導電組成物を用いて形成された電極を包含する。
【0021】
また本発明は、背面基板上に、上記の本発明の導電組成物を含むアドレス電極を形成する段階と、前記背面基板上に、リブ材料からなる層を形成する段階と、前記リブ材料からなる層を化学エッチングして、リブを形成する段階とを含む、プラズマディスプレイの背面基板の製造方法に関する。本発明の方法は、アドレス電極を形成する段階とリブ材料からなる層を形成する段階との間に、誘電体層または絶縁体層を前記背面基板上に形成する段階をさらに含んでいてもよい。
【0022】
本発明は、上記プラズマディスプレイの背面基板の製造方法によって得られる背面基板を有するプラズマディスプレイを包含する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の導電組成物は、化学エッチング耐久性に優れる。このため、リブを化学エッチングによって形成する際における、エッチング液によるアドレス電極の端子の損傷が抑制される。その結果として、プラズマディスプレイにおける、アドレス電極の端子の損傷に起因する欠陥が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、所定平均粒径の銀粉末、および鉛含有ガラスフリットを含む電極用組成物に関する。特に本発明の組成物は、PDPを化学エッチングにより形成する際に、化学エッチングの過程で、アドレス電極が損傷するのを防止できるアドレス電極用導電組成物である。従って、本発明の組成物は、PDPのリブを化学エッチングで形成する場合に好適に用いられる導電組成物である。本発明の組成物は、特定の粒径と、鉛含有ガラスフリットを所定の含有量で含有することにより、化学エッチングの過程で、アドレス電極が損傷するのを効果的に防止できる。
【0025】
本発明の導電組成物は、平均粒径が1.0〜2.5μmの銀粉末、および鉛含有ガラスフリットを含む。ここで鉛含有ガラスフリットの含有量と銀粉末の含有量の割合は、重量比で、鉛含有ガラスフリットの含有量:銀粉末の含有量=0.75:99.25〜6.0:94.0であることが好ましい。このような割合の範囲とすることにより、リブ形成時のエッチングに対して高いエッチング耐久性が発現する。鉛含有ガラスフリットの含有量:銀粉末の含有量は、重量比で、より好ましくは、1.5:98.5〜6.0:94.0であり、さらに好ましくは1.5:98.5〜3.0:97.0である。
【0026】
鉛含有ガラスフリットの軟化点は430〜510℃であることが好ましい。この範囲の軟化点を有する鉛含有ガラスフリットを用いると、より高いエッチング耐久性が発現する。鉛含有ガラスフリットの軟化点は、より好ましくは、470〜510℃である。
【0027】
ここで、ガラスフリットの軟化点(Ts)とは、示差熱分析DTAによる第二発熱ピークを意味する。ガラスフリットの軟化点(Ts)は、示差熱分析装置DTAによって測定することができる。具体的には、ガラスフリット粉末約50mgを用い、昇温レート20℃/分にて加熱し、測定することができる。
【0028】
本発明は、導電材料として添加される銀の平均粒径を小さめにし、かつ、ガラスフリットとして、鉛含有ガラスフリット(Pb系ガラスフリット)を用いることとした点に特徴を有する。
【0029】
本発明の効果を奏するメカニズムについては、現段階では不明である。特に、所定の平均粒径の銀粉末と、鉛を含有するガラスフリットを用いることで、なぜリブを化学エッチングで形成する際の、アドレス電極のエッチング耐久性が向上するかについては、不明である。
【0030】
特に理論に拘束されるつもりもないが、例えば、銀の平均粒径を小さくすることによって、膜が緻密になり、エッチング耐久性が向上しているのではないかと考えることができる。なお、銀の平均粒径が小さすぎると、凝集してしまう可能性があり、さらに、本発明の組成物を感光性導電組成物とする場合には、著しくその感光特性を損なう結果となることがわかっている。
【0031】
また、焼成体(Ag及び、Pb系ガラスフリットのみが残ったもの)である電極は、そのAg対ガラスフリット比率が高い場合に、エッチング耐久性が劣ることがわかっており、溶融したガラスフリット部がエッチング工程により侵食され易くそこを起点として電極が損傷を受けるものと考えられる。従って、本発明では、導電性粉末とガラスフリット含有比の関係を所定の範囲に制御することが好ましい。
【0032】
本発明の導電組成物は、感光性を有するものであってもよい。本発明の組成物を感光性組成物とする場合、後述するアルカリ現像型感放射線性レジスト組成物を構成する感放射線性成分を添加すればよい。導電組成物に感光性を付与した場合には、レジスト組成物を用いずに電極パターンを形成することもできる。
【0033】
導電組成物は、各成分を必要に応じて有機成分、溶剤等を用いててビヒクルを調製し、その後、銀粉体、およびガラスフリットを混合し、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミルなどの混練機を用いて混練することにより調製することができる。
【0034】
次に、導電組成物に含まれうる主な成分について説明する。
【0035】
(I)銀粉末
銀粉末は、本発明の組成物に導電性を付与するために添加される。平均粒径は、1.0〜2.5μm、好ましくは1.0〜2.0μm、より好ましくは1.0〜1.5μmである。平均粒径は、粒子径分布をレーザー回折散乱法によって測定され、d50として定義することができる。装置としては、例えば、Microtrac model X−100などの市販品を用いることができる。
【0036】
Agのタップ密度は、エッチング耐久性を高める観点から、4.0g/cm3以上であることが好ましい。タップ密度は、ASTM B−527に定められる方法により、測定することができる。その際には、例えば、Dual Autotap(Quantacrome corp.社)またはTap Pack Volumeter(Sahndon Southern Instruments Inc.社)のような装置が用いられる。具体的な測定方法の一例としては、サンプル量25g、10mLシリンダーを用い、8000回のタップ後の粉体充填密度として、タップ密度が評価される。
【0037】
Agの形状は特に限定されない。球状であっても、フレーク状であってもよい。但し、感光性の導電組成物においては、球状が好ましい。
【0038】
(II)ガラスフリット
ガラスフリットは、PDP背面基板に使用されるガラス基板との密着性を高めるために添加される。さらに、銀粒子の低温での焼結を可能にする作用もある。平均粒径は、一般的には0.1〜10μmである。鉛含有ガラスフリットは、PbO、B2O3、およびSiO2を含む鉛ホウケイ酸塩系の組成のものを例として挙げることができる。鉛ホウケイ酸系のガラスフリットには、さらに他の金属化合物が添加されていてもよい。他の金属化合物としては、例えば、Al2O3、ZnO、ZrO2、CaO、CuO、Bi2O3、BaO、MoO3、MgO、La2O3、Nb2O5、Na2O、Li2O、GeO2、P2O5、WO3、Li2SO4、K2O、TiO2、Ag2O、CeO2、Cs2O、CdO、Cr2O3、SnO2、NiO、FeO、CoO、RuO2、V2O5、Y2O3などが挙げられる。これらを、目的に応じて添加するとよい。導電組成物中における一般的なガラスフリットの含有量は、導電性粒子に対して0.01〜25重量%である。
【0039】
本発明の組成物におけるAg粒子とガラスフリットの合計量は、乾燥した導電組成物(すなわち有機媒体を除いた導電組成物)の全重量に基づいて60〜90重量%である。
【0040】
(III)有機ポリマーバインダー
有機ポリマーバインダーは、スクリーン印刷、その他の当分野で公知の手段により導電組成物を基板上に塗布する際の塗布性、塗布膜安定性などを向上させるために用いられる。有機ポリマーバインダーは、導電組成物を焼結して電極を形成する時に除去される。
【0041】
有機ポリマーバインダーの選択にあたっては、塗布乾燥後の導電組成物を水系現像液で現像し、パターン形成する場合には、水系現像液での現像可能性を考慮して、解像力の高いものを選ぶことが好ましい。このような要件を満たす有機ポリマーバインダーは、例えば、非酸性コモノマーおよび酸性コモノマーを含むものが挙げられる。以下のものから調製されるコポリマーまたはインターポリマー(混合重合体)が好適である。
【0042】
(1)C1〜C10アクリル酸アルキル、C1〜C10メタクリル酸アルキル、スチレン、置換スチレン、またはそれらの組み合わせを含有する非酸性コモノマー、ならびに
(2)エチレン性不飽和カルボン酸含有部分を含む酸性コモノマー。
【0043】
コポリマーまたはインターポリマー中に、上記(2)のような酸性コモノマー成分が存在することは、本発明の技術において好ましい。その酸性官能基によって、炭酸ナトリウムの0.8%水溶液のような水性塩基性溶液で、本発明の組成物からなる塗膜を現像できるようになる。
【0044】
酸性コモノマーの含有量は、有機ポリマーバインダーの全重量に対して少なくとも15重量%、好ましくは、15〜30重量%である。酸性コモノマーが15%未満の濃度で存在する場合、組成物が水性塩基によって洗い流されにくい。有機酸性コモノマーが30%を越える濃度で存在する場合、組成物は現像条件下で安定性が低く、画像形成部分で部分的な現像しか起こらない。適切な酸性コモノマーには、アクリル酸、メタクリル酸、またはクロトン酸のようなエチレン性不飽和モノカルボン酸、ならびに、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ビニルコハク酸、およびマレイン酸のようなエチレン性不飽和ジカルボン酸、それらの半エステル(hemiester)、ならびに、場合によってはそれらの無水物およびそれらの混合物、が含まれる。メタクリルポリマー類は、低酸素雰囲気下でより清浄に燃焼するため、アクリルポリマー類よりも好ましい。
【0045】
非酸性コモノマーが、上述したアクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルである場合、そのような非酸性コモノマーは、有機ポリマーバインダーの少なくとも50重量%、好ましくは70〜75重量%を構成していることが好ましい。
【0046】
非酸性コモノマーがスチレンまたは置換スチレンである場合、そのような非酸性コモノマーは、有機ポリマーバインダーの50重量%を構成し、残りの50重量%が無水マレイン酸の半エステルのような酸性コモノマーであることが好ましい。好ましい置換スチレンは、α−メチルスチレンである。
【0047】
有機ポリマーバインダーの非酸性部分が、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、スチレンまたは置換スチレンである場合、これらの部分を他のモノマーで置換することができる。置換モノマーの例には、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリルアミドが含まれる。このような置換モノマーは、非酸性成分の約50重量%以下の含有量とすることができる。しかし、このような置換モノマーを含む場合には、焼結時に、有機ポリマーバインダーを完全に燃焼除去させることがより困難なため、このようなモノマーは、有機ポリマーバインダー全量の約25重量%未満の量を用いるのが好ましい。
【0048】
有機ポリマーバインダーは、上述した現像性、燃焼性などの基準を満たすかぎり単一のコポリマーからなっていても、またはコポリマーを組み合わせたものであってもよい。コポリマーを組み合わせる場合、上記のコポリマーに加えて、その他の有機ポリマーバインダーを少量(例えば、上記コポリマー:追加の有機ポリマーバインダー=95:5)加えることができる。少量加える有機ポリマーバインダーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびエチレン−プロピレンコポリマーのようなポリオレフィン、ならびに、ポリエーテル、例えばポリエチレンオキシドのような低級アルキレンオキシドポリマーが挙げられる。
【0049】
本発明の導電組成物で使用可能な有機ポリマーバインダーは、上記の好ましい有機ポリマーバインダーの場合、アクリル酸エステル重合の分野で、一般に用いられている溶液重合技術によって、製造することができる。
【0050】
典型的には、上記のような酸性アクリル酸エステルポリマーは、α−またはβ−エチレン性不飽和酸(酸性コモノマー)を、比較的低沸点(75〜150℃)の有機溶媒中で、一種またはそれ以上の共重合可能なビニルモノマー(非酸性コモノマー)と混合し、10〜60%のモノマー混合物溶液を得、次いで得られたモノマーに重合触媒を加えることで重合を行ない、そして得られる混合物を常圧下、溶媒の還流温度に加熱することによって製造することができる。重合反応が実質的に完了した後、生成した酸性ポリマー溶液を室温まで冷却して、生成物を回収し、ポリマーの粘度、分子量、および酸当量を測定する。
【0051】
さらに、上記の酸含有有機ポリマーバインダーは、分子量を50,000未満、好ましくは25,000未満、更に好ましくは15,000未満に保つことが好ましい。
【0052】
導電組成物中における有機ポリマーバインダーの一般的な含有量は、乾燥した導電組成物(すなわち有機媒体を除いた導電組成物)の全重量に対して5〜50重量%である。
【0053】
本発明の導電組成物は、感光性組成物としても調製することができる。この場合、組成物は、上記成分に加え、少なくとも光重合性モノマーおよび光重合開始剤を含有する。例えば、本発明の組成物は、塗膜として形成された後、光照射(例えば紫外線照射)により、光重合性モノマーを光重合させることができる。重合体は、アドレス電極のバインダー樹脂としても機能する。
【0054】
光重合性モノマー:
光重合性モノマーは、単独で、または複数のモノマーの組み合わせとして用いることができる。このようなモノマーの好ましいものには、(メタ)アクリル酸t−ブチル、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、デカメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、米国特許第3,380,381号(特許文献8)に記載されているような化合物、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチル−1,2−ジ−(p−ヒドロキシエチル)プロパンジメタクリレート、ビスフェノールAジ−[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル]エーテル、ビスフェノールAジ−[2−(メタ)アクリロキシエチル]エーテル、1,4−ブタンジオールジ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタンジオールトリ(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1−フェニルエチレン−1,2−ジメタクリレート、フマル酸ジアリル、スチレン、1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、および1,3,5−トリイソプロペニルベンゼンなどが挙げられる。ここで、(メタ)アクリレート)は、アクリレートおよびメタクリレートの双方を表わすことを略記したものである。
【0055】
導電組成物中における光重合性モノマーの一般的な含有量は、乾燥した導電組成物(すなわち有機媒体を除いた導電組成物)の全重量に対して1〜25重量%であることが好ましい。
【0056】
光重合開始剤:
光重合開始剤は、光重合性モノマーを光重合させるために用いられる。光重合開始剤としては、185℃以下の温度では熱的には不活性であるが、化学線に露光した場合に遊離基を発生するものである。これらの光開始剤には、例えば、共役した炭素環系内に二つの分子内環(intramolecular ring)を有する化合物を挙げることができる。この化合物には、置換されているかまたは置換されていない多核キノンが包含される。具体的には、9,10−アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントレンキノン、ベンゾ[a]アントラセン−7,12−ジオン、2,3−ナフタセン−5,12−ジオン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、レテンキノン、7,8,9,10−テトラヒドロナフタセン−5,12−ジオン、および1,2,3,4−テトラヒドロベンゾ[a]アントラセン−7,12−ジオンが挙げられる。この他の有用な光開始剤は、米国特許第2,760,863号(特許文献9)に記載されている。この文献に記載の化合物のいくつかは、85℃のような低温でも熱的に活性である。このような化合物は、隣接(ビシナル)ケトアルドニル(ketaldonyl)アルコール、たとえば、ベンゾインまたはピバロイン;ベンゾインのメチルおよびエチルエーテルなどのアシロインエーテル;α−メチルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン、チオキサントンとその誘導体、および水素供与体を含む炭化水素置換芳香族アシロインがある。
【0057】
また、開始剤として、光還元性染料および還元剤を用いることができる。それらには、米国特許第2,850,445号、第2,875,047号、第3,097,96号、第3,074,974号、第3,097,097号、および第3,145,104号(特許文献10〜15)に記載されているもの、ならびに、フェナジン、オキサジン、およびキノン類、例えば、ミヒラーケトン、エチルミヒラーケトン、ベンゾフェノンなど、ロイコ染料を含む水素供与体との2,4,5−トリフェニルイミダゾリル二量体、ならびにそれらの混合物(米国特許第3,427,161号、第3,479,185号、および第3,549,367号(特許文献16〜18)に記載されている)がある。
【0058】
また、米国特許第4,162,162号(特許文献19)に記載されている増感剤は、光開始剤および光阻害剤とともに有用である。導電組成物中における光重合開始剤の一般的な含有量は、乾燥した導電組成物(すなわち有機媒体を除いた導電組成物)の全重量に対して、0.05〜15重量%である。
【0059】
有機媒体:
本発明の導電組成物は、有機媒体を含むことができる。有機媒体を用いる主な目的は、本発明の組成物の微細に粉砕された固形分の分散液を、ガラス、セラミック、またはその他の基板に容易に塗布できる形にすることにある。したがって、有機媒体は、第一に、固形分が適度な安定性を保ちつつ分散可能なものでなくてはならない。第二に、有機媒体のレオロジー特性は、良好な塗装特性を分散液に付与するものでなくてはならない。
【0060】
有機媒体は、一種類の溶媒であってもよく、または溶媒の混合物であってもよい。溶媒は、ポリマーおよびその他の有機成分がその中に完全に溶解するようなものを選択する。溶媒は、導電組成物の他の成分に対して不活性な(反応しない)ものを選ぶべきである。溶媒は、揮発性が十分に高いことが好ましい。溶媒は、大気圧下、比較的低い温度で塗布しても、組成物から容易に蒸発できるものを選ぶべきである。ペースト組成物に用いるのに好ましい溶媒は、常圧の沸点が300℃より低いもの、好ましくは250℃より低いものである。そのような溶媒には、脂肪族アルコール、酢酸エステルまたはプロピオン酸エステルのような、前記アルコールのエステル;松やに、α−またはβ−テルピネオール、もしくはそれらの混合物のようなテルペン;エチレングリコールや、エチレングリコールモノブチルエーテルおよびブチルセロソルブアセテートのようなエチレングリコールのエステル;ブチルカルビトールや、ブチルカルビトールアセテート、およびカルビトールアセテートのようなカルビトールエステル;ならびに、テキサノール(Texanol)(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)のようなその他の適当な溶媒がある。
【0061】
有機媒体の導電組成物中の含有量は、組成物全量に対して10〜20重量%であることが好ましい。
【0062】
追加の成分
当業界で知られている、分散剤、安定化剤、可塑剤、はく離剤、分散剤、はがし剤(stripping agent)、消泡剤、および湿潤剤といった追加の成分も、組成物中に存在していてよい。これらの物質については、従来公知の技術を参考にして、適切なものを選択すればよい。
【0063】
本発明の導電性組成物は、スクリーン印刷、コーティング、ラミネーティング、その他の当分野で公知の方法により基板上に塗布することができる。これらの方法は、基板全面に本発明の組成物を塗布するのに使用することができ、その場合には、本発明の組成物を上記の各成分を含む組成物とすることができる。また、スクリーン印刷などで、あらかじめパターンニングされた印刷物として基板上に印刷する場合には、露光などのパターンニングを省略することができるので、上記の感光性成分を除いた組成物とすることもできる。
【0064】
本発明の組成物は、PDP用アドレス電極の製造に使用することができる。本発明の組成物を用いると、リブを化学エッチングにより製造する際、電極がエッチング液に曝された場合であっても損傷を受け難い。従って、本発明の組成物は、プラズマディスプレイにおける断線等の不良の原因を抑えることができる。
【0065】
本発明は、上記導電組成物から形成される電極を包含する。本発明の電極は、PDP背面基板上のアドレス電極として用いることができる。電極は、例えば図3(E)に示されるような、ガラス基板上にストライプ形状に形成されたものであってもよい。本発明の電極は、PDPのアドレス電極として適切な膜厚、形状、ピッチ等を有する。
【0066】
本発明の電極は、PDP用アドレス電極として使用すると、リブを化学エッチングにより製造する際、エッチング液に曝された場合であっても損傷を受け難い。従って、本発明の電極は、例えば、エッチング溶液に常に曝されるアドレス電極の端子部分が損傷し難く、プラズマディスプレイにおける断線等の不良の原因を抑えることができる。
【0067】
本発明は、背面基板上に、粒径が1.0〜2.5μmの銀粉末、および鉛含有ガラスフリットを含むアドレス電極を形成する段階と、前記背面基板上に、リブ材料からなる層を形成する段階と、前記リブ材料からなる層を化学エッチングして、リブを形成する段階とを含む、プラズマディスプレイの背面基板の製造方法を包含する。
【0068】
本発明の方法を、図面を参照して説明する。
【0069】
第一段階は、上記本発明の導電組成物を用いてアドレス電極を形成する段階である。 図2および図3は、第一の工程を説明するための図である。図2は、フローチャートであり、図3は具体的な作成手順を示す図である。以下に図2および図3を適宜参照しながら第一段階を説明する。なお、図2および図3は、感光性導電組成物を用いてパターンニングを行う場合を説明するものである。
【0070】
まず、ガラス基板上に本発明の導電組成物を塗布する(図2:202)。塗布は、ガラス基板(302)上に、導電組成物(304)をスクリーン印刷による全面塗布、ディスペンサを用いた全面塗布などの塗布手段(306)を用いて全面塗布する(図3(A))。次に、塗布した導電組成物を乾燥する(図2:204)。乾燥の条件は、導電組成物層が乾燥できれば特に限定されないが、例えば100℃で18〜20分乾燥すればよい。また、乾燥はコンベアタイプの赤外線乾燥機などを用いて行うことができる。
【0071】
次に、乾燥した導電組成物をパターンニングする。パターンニングは、乾燥した導電組成物を露光し(図2:206)、現像する(図2:208)。露光は、乾燥した導電組成物(304)上に、電極パターンを有するフォトマスク(308)を置き、例えば紫外線(310)などを照射する(図3(B))。露光の条件は、使用する導電組成物、導電組成物層の膜厚等により異なるが、例えば200〜400μmのギャップを用いた露光では100mJ/cm2〜300mJ/cm2の紫外線を用いることが好ましい。照射時間は、好ましくは5〜30秒である。現像は、アルカリ溶液により行う。アルカリ溶液は、例えば0.4%炭酸ナトリウム水溶液のようなものを用いることができる。このようなアルカリ溶液(312)を基板(302)上の露光された導電組成物層(304)に噴霧する、露光された導電組成物層(304)を有する基板(302)をアルカリ溶液に浸漬する、などの手段により、現像を行うことができる(図3(C))。
【0072】
次に、パターンニングされた導電組成物を焼結する(図2:210;図3(D))。焼結は、所定の温度プロファイルを有する焼結炉中で行うことができる。焼結時の最高温度は、好ましくは400〜600℃、より好ましくは500〜600℃である。焼結時間は、好ましくは1〜3時間、より好ましくは1.5時間である。焼結後、冷却してアドレス電極(314)を有する基板(302)を得ることができる(図3(E))。アドレス電極の膜厚、ピッチなどは従来通りとすることができる。
【0073】
以上の説明は、パターンニングによりアドレス電極を形成する例であるが、第一段階はこのような手順に限定されない。別法として、例えば、基板(302)上に、あらかじめ電極パターンをスクリーン印刷により印刷し、乾燥して、焼結することによりアドレス電極(314)を形成することもできる。
【0074】
以下に第二段階および第三段階について、図4および図5を適宜参照して説明する。第二段階は、上記のようにしてアドレス電極を形成した背面基板上に、リブ材料からなる層を形成する段階である。第三段階は、前記リブ材料からなる層を化学エッチングして、リブを形成する段階である。
【0075】
まず、先の段階で得られた背面基板(302)上に、リブ材料をコーティングし、リブ材料層(504)を形成する(図4:402;図5(A))。本発明では、リブ材料をコーティングする前に、背面基板上に、アドレス電極を被うように全面に誘電体層または絶縁体層(502)を形成してもよい。誘電体層または絶縁体層(502)の形成は、アドレス電極が形成されたガラス基板(302)上に、必要に応じて、誘電体層または絶縁体層をスクリーン印刷による全面塗布、ディスペンサを用いた全面塗布などの塗布手段を用いて全面塗布する。リブ材料は、誘電体層または絶縁体層の形成に次いで、これらの層上にリブ材料を、スクリーン印刷による全面塗布、ディスペンサを用いた全面塗布などの塗布手段で塗布することができる(図5(A))。
【0076】
誘電体層または絶縁体層は、化学エッチングによりリブを形成する際にエッチング液に対して耐性である材料を用いる。例えば、Pb−B−Si系低軟化ガラスのような材料を用いることができる。また、リブ材料には、リブを形成する際にエッチング液で除去できる材料を用いる。例えばエッチングスピードを調節したPb−B−Si系低軟化ガラスのようなものを用いることができる。
【0077】
次に、形成した誘電体層または絶縁体層と、リブ材料層を焼結する(図4:404)。焼結の条件は、従来通りであり、特に限定されないが、例えば焼結の場合、温度400℃〜580℃で1.5〜3.0時間とすることができる。
【0078】
次に、焼結したリブ材料層上にドライフィルムレジスト(DFR)またはフォトレジスト(PR)をコーティングし、パターンニングする(図4:406、408;図5(B))。DFRまたはPRのコーティングは、リブ材料層(504)上に、DFRまたはPR材料をスクリーン印刷による全面塗布、ディスペンサを用いた全面塗布などの塗布手段を用いて全面塗布すればよい。次いで、定法に従って乾燥、露光および現像等を施し、パターンニングを行い、レジストパターン(506)を得ることができる。
【0079】
レジスト材料およびリブ材料は、PDPパネルの作成で化学エッチングによりリブを形成する場合に通常使用される材料である。例えば、レジスト材料は、一般的なサンドブラスト用のDFRを用いることができる。レジスト層のパターンニングの条件は、例えば、露光100mJ/cm2〜500mJ/cm2で5秒〜50秒、および、1%の炭酸ナトリウム水溶液の噴霧等による現像などを用いることができる。
【0080】
次に、第三段階であるリブ材料からなる層(504)を化学エッチングして、リブ(504’)を形成する段階である(図4:410;図5(C))。化学エッチングは、例えば酸溶液(508)を噴霧することにより、レジストパターンの形成されていない部分が溶解し、除去され、リブ(504')が形成される。
【0081】
酸溶液は、例えば、0.5〜1.0%塩酸水溶液などを用いることができる。噴霧によりエッチングを行う場合、噴霧の条件は、例えば1.0Kg/cm2〜3.0Kg/cm2の圧力とすることができる。
【0082】
本発明の製造方法では、本発明の導電組成物を用いているため、この化学エッチングで処理したとしても、露出しているアドレス電極の部分(510)は損傷を受け難い。
【0083】
次に、リブ上に残っているレジスト(DFRまたはPR)パターンを除去する(図4:412;図5(D))。レジストパターンの除去には、アルカリ水溶液(例えば1〜5%水酸化ナトリウム水溶液など)(512)を噴霧することにより実施される。噴霧によりレジストの除去を行う場合、噴霧の条件は、例えば1.0Kg/cm2〜3.0Kg/cm2の圧力とすることができる。
【0084】
本発明では、レジストのパターンを適宜選択することで、リブを平行に並列してストライプ状としたり、リブを井桁状としたり、所望の形状にすることができる。
【0085】
次に、リブ間に赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を発行する蛍光体(514、516、518)を充填する。蛍光体層は、リブ(504’)の間に赤(R)、緑(G)、青(B)の各色用の蛍光体ペーストを選択的に充填した後、乾燥させてから焼成することで形成することができる。蛍光体ペーストの充填には、従来から用いられている、例えば、スクリーン印刷法、フォトリソグラフィ法、インクジェット法、ディスペンス法、電界ジェット法など、様々な方法を用いることができる。本発明では、いずれの方法も用いることができる。
【0086】
スクリーン印刷法では、蛍光体ペーストをスクリーン印刷でリブ間に選択的に充填して乾燥させる工程を複数回繰り返し、その後焼成する。
【0087】
また、フォトリソグラフイ法では、感光性の蛍光体ペーストを塗布し、露光、現像し、乾燥させる工程を複数回繰り返し、その後焼成して蛍光体層を形成する。
【0088】
また、インクジェット法では、インクジェットノズルの先端から蛍光体ペーストを噴射してリブ間に蛍光体ペーストを充填する。
【0089】
ディスペンス法は、吐出孔を有するペースト塗布用ノズルを使用し、塗布ノズル内に圧力を印加して、蛍光体ペーストをリブ間に充填する方法である。
【0090】
電界ジェット法は、ディスペンス法を改良したもので、さらに、塗布ノズルのペースト吐出口近傍に設けた電極と被塗布物との間に電圧を印加しながらペーストを塗布する方法である。
【0091】
蛍光体ペーストは、従来から使用されるものを使用することができる。
【0092】
以上のようにして、リブを完成させ(図4:414;図5(E))、PDP用背面基板を得ることができる。
【0093】
本発明は、上記背面基板を使用したプラズマディスプレイパネルを包含する。本発明のプラズマディスプレイパネルは、例えば図11に示すように、上述のようにして得られた背面基板(1100)に、前面基板(1102)を貼り合わせた構造を有する。
【0094】
具体的には、図示されるように、前面基板は、前面基板用ガラス基板(1106)、表示電極(1104)、誘電体(MgO付)層(1108)などから構成されている。背面基板(1100)は、ガラス基板(302)と、その上に設けられている、アドレス電極(314)、誘電体層(502)、さらに誘電体層上に所定間隔で設けられたリブ(504’)が設けられている。また、前面基板の周辺部と背面基板の周辺部との間には、放電空間を封止するための封着部材(1110)が介在されている。この前面基板(1102)、背面基板(1100)及びリブ(504’)で隔成される微細空間が放電空間(1112)である。この放電空間内に、RGB各色の蛍光体層(514、516、518)が設けられ、ネオン、キセノン等を混合させた放電ガスが注入されている。
【0095】
このようなPDPでは、表示電極、アドレス電極間に電圧を印加して、放電空間内面に形成した蛍光体層を選択的に放電発光させることで、画像を表示している。図示した例では、リブを平行に並列してストライプ状の放電空間としたり、リブを井桁状に形成して、放電空間をマトリクス状に配置したりすることもできる。
【0096】
次に、上述のような構造を備えるプラズマディスプレイパネル(PDP)を製造する方法について簡単に説明する。この方法では、前面基板(1102)の片面に、表示電極及び誘電体層といったパネル構成要素を順次形成する前面パネル形成工程と、上述した本発明の背面基板の製造方法とにより、前面パネルと背面パネルを作成する。そして、前面基板(1102)と背面基板(1100)とをそれぞれパネル構成要素が対向するように重ねて、前面基板と背面基板の周辺部を封着部材(1110)により封止する。その後に貼り合わされた2枚の基板間に形成された放電空間(1112)に対して排気を行い、そこに放電ガスを封入した後、エージングを行う。
【0097】
ここで、前記の封止工程では、前面基板及び背面基板のいずれか一方又は両方の周辺部に、低融点フリットガラスからなる封着部材をスクリーン印刷法等によって枠状に塗布し、仮焼成して封着層を形成する。そして、前面基板及び背面基板を重ね合わせて、互いに押し当てた状態で熱処理(例えば400℃)を行う。これによって、前記の封着部材が軟化して潰れ、さらに融着して、両基板間の放電空間が封止される。
【実施例】
【0098】
実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、以下に示す実施例は本発明を制限することを意図したものではない。以下の実施例において、特に示さない場合には、パーセンテージ等は重量に基づく。
【0099】
(実施例1)
本実施例では、UV感光性厚膜導体組成物を用いた。
【0100】
(Agの平均粒径の測定方法)
平均粒径は、粒子径分布をレーザー回折散乱法によって測定されたもののd50として定義することができる。装置としては、例えば、Microtrac model X−100などの市販品を用いることができる。
【0101】
測定に用いる粉末0.5gをビーカーに計り取り、純水100ccに0.2%の分散剤Darvan Cを入れた分散媒を満たした。200Wの超音波攪拌装置を用い、5分間攪拌した。Microtrac model X−100を用いて75秒間測定し、d50値を求め、この値を平均粒径とした。
【0102】
(A)有機媒体の調製
溶媒としてテキサノール(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)と分子量30,000のアクリル系ポリマーバインダーとを混合し、攪拌しながら100℃まで加熱した。加熱攪拌は、すべてのバインダーポリマーが溶解するまで続けた。得られる溶液を75℃まで冷却し、光重合開始剤として、チバスペシャリティーケミカルズ社のIrgacure907及び651、安定化剤としてTAOBN:1,4,4−トリメチル−2,3−ジアザビシクロ[3.2.2]−ノン−2−エン−N,N’−ジオキシドを添加した。この混合物を、すべての固形分が溶解するまで75℃で攪拌した。この溶液を40ミクロンのフィルターに通し、冷却した。
【0103】
(B)ガラスフリットの調製
以下に示す組成で各成分を混合し、ガラスフリットを調製した。
ガラスフリットA(PbO:69重量%、B2O3:14重量%、SiO2:17重量%)、軟化点:499℃。
ガラスフリットB(PbO:77重量%、B2O3:12.5重量%、SiO2:9.1重量%、Al2O3:1.4重量%)、軟化点:438℃。
ガラスフリットC(BaO:0.5重量%、B2O3:7.5重量%、SiO2:0.5重量%、Al2O3:0.5重量%、ZnO:15重量%、Bi2O3:75重量%)、軟化点:425℃。
ガラスフリットD(PbO:11重量%、B2O3:3.5重量%、SiO2:3.5重量%、Bi2O3:82重量%)、軟化点:385℃。
【0104】
(C)ペーストの調製
ペーストは、黄色光下、混合槽内で、上記有機媒体24.19重量%に光重合性モノマーとしてTMPEOTA(トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート)2.12重量%、TMPPOTA(トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート)0.83重量%、BSAF社ラロマーLR8967(ポリエステルアクリレートオリゴマー)3.62重量%、そして他の有機成分として、ブチレーテッドヒドロキシトルエン0.12重量%、マロン酸0.11重量%、及びビックケミー社BYK085 0.12重量%を混合することによって調製した。次いで、この有機成分混合物に無機物質として平均粒径1.27μmの球型Ag粉とガラスフリットを加えた。Ag粉とガラスフリットは、残量として、重量比で1.5:98.5となるように加えた。組成物全体を、無機物質粒子が有機物質で湿潤するまで混合した。この混合物を、3段のロール・ミルを用いてロール・ミリングにかけた。得られたペーストは500メッシュのフィルタースクリーンに通した。この時点でのペースト粘度を前記溶媒テキサノールで調節して、印刷塗布に最適の粘度とすることができた。
【0105】
表1に使用した成分を示した。
【0106】
(実施例2〜6、比較例1〜5)
成分を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様の手順で導電組成物を調製した。
【0107】
【表1】
【0108】
(比較例1〜5)
成分を表2に示すものに変更した以外は、実施例1と同様の手順で導電組成物を調製した。
【0109】
【表2】
【0110】
(実施例9〜12、比較例6〜7)
これらの実施例および比較例では、本発明の導電組成物における銀粒子の粒径の影響を調査した。
【0111】
成分を表3に示すものに変更した以外は、実施例1と同様の手順で導電組成物を調製した。表3には、後述する評価方法によって評価したエッチング耐性および分解能をあわせて示した。
【0112】
【表3】
【0113】
実施例9〜12および比較例6〜7に示されるように、本発明の導電組成物は、Ag粒子の平均粒径(d50)は、1.0〜2.5μmの範囲が好適である。粒径は、好ましくは1.0〜2.0μm、より好ましくは1.0〜1.5μmである。
【0114】
(評価方法)
(i)アドレス電極のパターンの作成
上記実施例1〜12および比較例1〜7の導電組成物を用いて、電極パターンを調製した。基板には2インチ×3インチのPD200素ガラスを用いた。この基板上に、図6に示すようにアドレス電極を形成した(各線幅の電極の本数は、10本であった。)。基板上のアドレス電極(314〜314n)は、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μmの各線幅で作成した。図中、20μmおよび30μmの線幅のアドレス電極は、それぞれ314、314’で表し、120μmの線幅のアドレス電極は、314nで表し、その他の線幅のアドレス電極は点(・)で省略して示した(図6〜図10において同じ。また、n=8である。)。
【0115】
電極パターンの作成条件は以下の通りである。まず、基板上に、SUS#400のスクリーンマスクを用いて実施例1〜12および比較例1〜7の導電組成物を印刷した。導電組成物は、乾燥膜厚を8μm±0.5μm、焼結後の膜厚を3μm±0.1μmとなるように調節した。次に、導電組成物を以下の条件で、乾燥、露光、現像および焼結した。
【0116】
(a)乾燥
コンベアー型赤外線乾燥機
100℃/18〜20分間保持。トータル20分間のプロファイル
【0117】
(b)露光
20μmL/S〜120μmL/Sアートワーク(フォトマスク)を使用
200μm〜400μmの露光距離により、100mJ/cm2〜300mJ/cm2で露光
【0118】
(c)現像
0.4%NaCO3溶液を、1.5Kgf/cm2の圧力で25秒間噴霧して現像
液温:30℃
【0119】
(d)焼結
570℃/7.5分保持、トータル1.5時間のプロファイル、または600℃/7.5分保持、トータル1.5時間のプロファイル
【0120】
(ii)エッチング試験領域の作成
上記のようにして作成した電極パターンに、図7(B)に示すようなエッチング試験領域を作成した。具体的には、まず、図7(A)に示すように、電極パターンを全て被うような接着テープ(702)を電極パターン上に貼付した。なお、接着テープは、後のエッチング試験において、酸溶液で処理する際の酸溶液に耐久性を有するものである。次に、図7(B)に示されるように、接着テープ(702)を8つの領域に切断し、それぞれの領域部分の接着テープがはがせるようにした。
【0121】
(iii)エッチング試験
エッチング試験を図8により説明する。まず、上記(ii)で得られた試験片のエッチング試験を行う領域(第1領域(図7(B)の1の部分)の接着テープをはがし、各線幅のアドレス電極を露出させた。次に、試験片のアドレス電極が露出した部分に、酸溶液(0.6〜0.7%HCl)を噴霧した(エッチング時間10秒)(図8(A))。
【0122】
次に、試験片の第2領域(図7(B)の2の部分)の接着テープをはがし、領域1および2の各線幅のアドレス電極を露出させた。次に、試験片のアドレス電極が露出した部分に、酸溶液(0.6〜0.7%HCl)を噴霧した(エッチング時間10秒)(図8(B))。
【0123】
この操作を、領域8まで繰り返し、全ての領域が酸溶液に暴露されるようにする(図8(C)。この操作により、領域1〜8まで、10〜80秒間、10秒間隔で、各線幅のアドレス電極がエッチング液に曝されたことになる。すなわち、領域1はトータル80秒間、領域2はトータル70秒間、領域3〜7はそれぞれ10秒間隔で60秒〜20秒間、そして領域8はトータルで10秒間エッチング液に曝されたことになる。
【0124】
次に、水で基板を洗浄した。
【0125】
(iv)評価
評価の手順を図9および図10を参照して説明する。上記(iii)の手順で、エッチング処理が完了した試験片のアドレス電極が全て被われるように接着テープ(902)を貼付し、この接着テープをはがす(図9(B))。この際、損傷を受けている部分の電極パターンは、接着テープと共に、基板302上からはがれ、除去される。
【0126】
図9に示されるように、もっともエッチング時間の少ない領域から、Raw1からRaw8の番号を振り、各領域のアドレス電極のラインが欠落しているかどうかを、各線幅について評価した。各線幅の複数のラインのうち、一部でも欠落したものは欠損を受けたものと判断した。評価基準は表4に示した通りである。
【0127】
【表4】
【0128】
表に示した通り、全ての領域について剥離が見られなかった試験片を◎、60秒までの領域について剥離が見られなかった試験片を○、40秒までの領域について剥離が見られなかった試験片を△、20秒までの領域について剥離が見られなかった試験片を×、そして全ての領域について剥離が見られた試験片を××と評価した。本評価では、△の評価まで実用的であると判断した。
【0129】
(結果)
実施例1〜8で得られた導電ペーストを、上記評価基準に従って評価した結果を表5に示す。
【0130】
【表5】
【0131】
比較例1〜5で得られた導電ペーストを、上記評価基準に従って評価した結果を表6に示す。
【0132】
【表6】
【0133】
表5および表6から明らかなように、特定の粒径の銀粒子と鉛ガラスフリットを含む本発明の導電組成物は、リブを化学エッチングで形成する場合のエッチング条件において優れた耐久性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】従来のPDPのリブ部分を製造する際の問題点を説明するための図である。
【図2】本発明の導電組成物を用いたアドレス電極の製造工程のフローチャートである。
【図3】本発明の導電組成物を用いたアドレス電極の製造工程を説明するための図である。
【図4】PDPの背面基板を作成する際の製造工程のフローチャートである。
【図5】PDPの背面基板を作成する際の製造工程を説明するための図である。
【図6】本発明の導電組成物を評価する際の評価手順を説明するための図である。
【図7】本発明の導電組成物を評価する際の評価手順を説明するための図である。
【図8】本発明の導電組成物を評価する際の評価手順を説明するための図である。
【図9】本発明の導電組成物を評価する際の評価手順を説明するための図である。
【図10】本発明の導電組成物を評価する際の評価手順を説明するための図である。
【図11】本発明のプラズマディスプレイの概略を示す図である。
【符号の説明】
【0135】
102、302 背面基板用ガラス基板
104、504 リブ材料
106、502 誘電体層または絶縁体層
314、314’、314”、314n−1、314n アドレス電極
504’ リブ
514、516、518 蛍光体層
1100 背面基板
1102 前面基板
1104 表示電極
1106 前面基板用ガラス基板
1108 誘電体(MgO付)層
1110 封着部材
1112 放電空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が1.0〜2.5μmの銀粉末、および
鉛含有ガラスフリット、
を含む導電組成物。
【請求項2】
前記鉛含有ガラスフリットの含有量:前記銀粉末の含有量=0.75:99.25〜6.0:94.0である、請求項1に記載の導電組成物。
【請求項3】
前記鉛含有ガラスフリットの軟化点が430〜510℃である、請求項1または2に記載の導電組成物。
【請求項4】
前記鉛含有ガラスフリットは、PbO、B2O3、およびSiO2を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の導電組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電組成物であって、化学エッチングによりプラズマディスプレイのリブを形成する場合のアドレス電極に用いられる導電組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電組成物を用いて形成された電極。
【請求項7】
背面基板用の基板上に、粒径が1.0〜2.5μmの銀粉末、および鉛含有ガラスフリットを含むアドレス電極を形成する段階と、
前記背面基板用の基板上に、リブ材料からなる層を形成する段階と、
前記リブ材料からなる層を化学エッチングして、リブを形成する段階と、
を少なくとも含む、プラズマディスプレイの背面基板の製造方法。
【請求項8】
前記アドレス電極を形成する段階と前記リブ材料からなる層を形成する段階との間に、誘電体層または絶縁体層を前記背面基板用の基板上に形成する段階をさらに含む、請求項7に記載のプラズマディスプレイの背面基板の製造方法。
【請求項9】
前記鉛含有ガラスフリットの含有量:前記銀粉末の含有量=0.75:99.25〜6.0:94.0である、請求項7または8に記載のプラズマディスプレイの背面基板の製造方法。
【請求項10】
前記鉛含有ガラスフリットの軟化点が430〜510℃である、請求項7から9のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイの背面基板の製造方法。
【請求項11】
前記鉛含有ガラスフリットは、PbO、B2O3、およびSiO2を含む、請求項7〜10のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイの背面基板の製造方法。
【請求項12】
請求項7〜11の製造方法によって得られる背面基板を有するプラズマディスプレイパネル。
【請求項1】
平均粒径が1.0〜2.5μmの銀粉末、および
鉛含有ガラスフリット、
を含む導電組成物。
【請求項2】
前記鉛含有ガラスフリットの含有量:前記銀粉末の含有量=0.75:99.25〜6.0:94.0である、請求項1に記載の導電組成物。
【請求項3】
前記鉛含有ガラスフリットの軟化点が430〜510℃である、請求項1または2に記載の導電組成物。
【請求項4】
前記鉛含有ガラスフリットは、PbO、B2O3、およびSiO2を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の導電組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電組成物であって、化学エッチングによりプラズマディスプレイのリブを形成する場合のアドレス電極に用いられる導電組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電組成物を用いて形成された電極。
【請求項7】
背面基板用の基板上に、粒径が1.0〜2.5μmの銀粉末、および鉛含有ガラスフリットを含むアドレス電極を形成する段階と、
前記背面基板用の基板上に、リブ材料からなる層を形成する段階と、
前記リブ材料からなる層を化学エッチングして、リブを形成する段階と、
を少なくとも含む、プラズマディスプレイの背面基板の製造方法。
【請求項8】
前記アドレス電極を形成する段階と前記リブ材料からなる層を形成する段階との間に、誘電体層または絶縁体層を前記背面基板用の基板上に形成する段階をさらに含む、請求項7に記載のプラズマディスプレイの背面基板の製造方法。
【請求項9】
前記鉛含有ガラスフリットの含有量:前記銀粉末の含有量=0.75:99.25〜6.0:94.0である、請求項7または8に記載のプラズマディスプレイの背面基板の製造方法。
【請求項10】
前記鉛含有ガラスフリットの軟化点が430〜510℃である、請求項7から9のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイの背面基板の製造方法。
【請求項11】
前記鉛含有ガラスフリットは、PbO、B2O3、およびSiO2を含む、請求項7〜10のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイの背面基板の製造方法。
【請求項12】
請求項7〜11の製造方法によって得られる背面基板を有するプラズマディスプレイパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−12371(P2007−12371A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−190106(P2005−190106)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】
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