小便器洗浄システム
【課題】複数のドップラーセンサから発信される電波同士が干渉して、自動洗浄機能が誤作動することを防止した小便器洗浄システムを提供する。
【解決手段】ドップラーセンサにより人体や尿を検知して使用後の便器を自動洗浄する自動洗浄機能を備えた複数の小便器を併設してなる小便器洗浄システムにおいて、複数の小便器のうちの一つに設けられた制御手段は、各小便器に設けた各ドップラーセンサを、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるべく、他の小便器の制御手段へ、通信手段を介してドップラーセンサの動作タイミングを指定する動作タイミング情報を送信する主制御機能を実行し、この動作タイミング情報を受信した各制御手段は、動作タイミング情報に基づいて、各ドップラーセンサをそれぞれ間欠動作させる従制御機能を実行することにした。
【解決手段】ドップラーセンサにより人体や尿を検知して使用後の便器を自動洗浄する自動洗浄機能を備えた複数の小便器を併設してなる小便器洗浄システムにおいて、複数の小便器のうちの一つに設けられた制御手段は、各小便器に設けた各ドップラーセンサを、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるべく、他の小便器の制御手段へ、通信手段を介してドップラーセンサの動作タイミングを指定する動作タイミング情報を送信する主制御機能を実行し、この動作タイミング情報を受信した各制御手段は、動作タイミング情報に基づいて、各ドップラーセンサをそれぞれ間欠動作させる従制御機能を実行することにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動洗浄機能を備えた小便器洗浄システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、公共施設等のトイレには、概ね1メートル以内の間隔を空けて連設された複数の小便器のそれぞれに、人体や尿を検知して自動的に小便器の洗浄を行う自動洗浄機能を持たせた小便器洗浄システムが導入されていた。
【0003】
ところが、この小便器洗浄システムは、自動洗浄機能を持たせた小便器が複数併設されることから、各小便器に設けられ人体や尿を検知するドップラーセンサを同時に動作させると、各ドップラーセンサから発信される電波同士が干渉して自動洗浄機能が誤作動を起こすおそれがあった。
【0004】
つまり、この小便器洗浄システムの場合、あるドップラーセンサから発信される電波の届く範囲内に、他のドップラーセンサが設けられることになるので、併設される小便器に設けられた各ドップラーセンサが発信する電波の周波数と人体や尿の検知に用いる電波の周波数同士が近いと、それぞれの電波同士が干渉するといった問題があった。
【0005】
このような問題を解消するため、電波同士の干渉が起こらないように周波数を所定間隔でずらした数種類のドップラーセンサを用意して、所定のエリアに周波数の近い小便器同士が配置されないように施工していた。そのために、施工時や故障時に、所定のエリアに周波数の近い小便器同士が配置されないように配慮しなければいけなかった。
【0006】
また、上記した小便器洗浄システムにおけるドップラーセンサの電波干渉について、ドップラーセンサの電源投入時に発生する電波同士の干渉を防止するものが考案されている(たとえば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2004−293046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来の小便器洗浄システムでは、ドップラーセンサの電源投入時における電波同士の干渉の発生は防止できるものの、所定のエリアに周波数の近い電波を発信するドップラーセンサを備えた小便器同士が配置されないように配慮しなければならないという点に変わりはなく、未だ改良の余地があった。
【0008】
すなわち、この小便器洗浄システムでは、ドップラーセンサの電波の到達距離が数メートルであり、この小便器洗浄システムでは、ドップラーセンサの電波到達距離よりも短い概ね1メートル以内の間隔で小便器が設置されるので、電波干渉防止のために、数種類の周波数の異なるドップラーセンサを設けて、近い周波数同士の小便器は所定の距離を離すように対応する必要があり、こうするためには、数種類の周波数の異なるドップラーセンサを準備しなければならず、ドップラーセンサを供えた小便器の製造コストに対する利益の還元率を低下させるおそれがあった。
【0009】
また、小便器洗浄システムの保守や点検を行ってドップラーセンサを取替える時には、取替える前と同じ周波数のドップラーセンサが必要になり、新たにトイレ内に小便器を増設する時には、既に設置されている小便器のドップラーセンサの周波数を確認して、その周波数とは異なるドップラーセンサを準備しなければならず、その作業が煩雑であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、請求項1に係る本発明では、複数の小便器と、複数の小便器にそれぞれ設けられ、小便器内のボール部へ向けて電波を発信する発信手段と、発信手段により発信した電波の反射を受信する受信手段と、発信した電波の周波数と受信した電波の周波数との差分信号を生成する差分信号生成手段とを備えたドップラーセンサと、複数の小便器にそれぞれ設けられ、差分信号に基づいて人体又は尿を検知する制御手段と、制御手段による検知結果に基づいて便器の洗浄を行う洗浄手段とを有する小便器洗浄システムにおいて、小便器にそれぞれ設けられ、制御手段の制御により他の制御手段との間で通信を行う通信手段を備え、複数の小便器のうちの一つに設けられた制御手段は、この制御手段を含む各制御手段によって制御される各ドップラーセンサを、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるべく、通信手段を介して他の小便器の制御手段へ、ドップラーセンサの動作タイミングを指定する動作タイミング情報を送信する主制御機能を実行し、動作タイミング情報を受信した各制御手段は、動作タイミング情報に基づいて、各ドップラーセンサをそれぞれ間欠動作させる従制御機能を実行することを特徴する。
【0011】
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に記載の小便器洗浄システムにおいて、動作タイミング情報は、他の小便器に設けられた各ドップラーセンサの間欠動作の開始タイミングを指定する情報、及び、間欠動作中における各ドップラーセンサの動作間隔を指定する情報、及び、各ドップラーセンサの間欠動作期間を指定する情報を含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る本発明では、請求項1又は請求項2に記載の小便器洗浄システムにおいて、動作タイミング情報は、他の小便器に設けられた制御手段に、ドップラーセンサの動作開始を許可する動作開始許可情報を含み、従制御機能を実行する制御手段は、通信手段を介して動作開始許可情報を受信する度に、ドップラーセンサを間欠動作させることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に係る本発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の小便器洗浄システムにおいて、主制御機能を実行している制御手段は、次に主制御機能を実行する他の制御手段を判定する判定手段を備え、判定手段により判定した制御手段へ、通信手段を介して、主制御機能の実行を許可する主制御機能開始許可情報を所定のタイミングで送信した後、従制御機能を実行することを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に係る本発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の小便器洗浄システムにおいて、各制御手段は、第1の間欠動作期間前記ドップラーセンサを間欠動作させて人体を検知した後、尿を検知するために第1の間欠動作期間よりも短い第2の間欠動作期間前記ドップラーセンサを動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、以下に記載するような効果を奏する。
【0016】
すなわち、請求項1に係る本発明では、複数の小便器と、複数の小便器にそれぞれ設けられ、小便器内のボール部へ向けて電波を発信する発信手段と、発信手段により発信した電波の反射を受信する受信手段と、発信した電波の周波数と受信した電波の周波数との差分信号を生成する差分信号生成手段とを備えたドップラーセンサと、複数の小便器にそれぞれ設けられ、差分信号に基づいて人体又は尿を検知する制御手段と、制御手段による検知結果に基づいて便器の洗浄を行う洗浄手段とを有する小便器洗浄システムにおいて、小便器にそれぞれ設けられ、制御手段の制御により他の制御手段との間で通信を行う通信手段を備え、複数の小便器のうちの一つに設けられた制御手段は、この制御手段を含む各制御手段によって制御される各ドップラーセンサを、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるべく、通信手段を介して他の小便器の制御手段へ、ドップラーセンサの動作タイミングを指定する動作タイミング情報を送信する主制御機能を実行し、動作タイミング情報を受信した各制御手段は、動作タイミング情報に基づいて、各ドップラーセンサをそれぞれ間欠動作させる従制御機能を実行することを特徴するため、自動洗浄機能を持たせた小便器を複数連設する際、設置する小便器の台数に関係なく、各小便器に同一周波数の電波を発信するドップラーセンサを流用することができるので、製造コストに対する利益の還元率を向上させることができ、しかも、小便器を増設する際や、小便器の保守点検を行う際に、各ドップラーセンサの仕様を確認するなどといった煩雑な作業を行う必要がないので、小便器の増設作業や保守点検作業を容易に行うことができる。
【0017】
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に記載の小便器洗浄システムにおいて、動作タイミング情報は、他の小便器に設けられた各ドップラーセンサの間欠動作の開始タイミングを指定する情報、及び、間欠動作中における各ドップラーセンサの動作間隔を指定する情報、及び、各ドップラーセンサの間欠動作期間を指定する情報を含むことを特徴とするため、主制御機能を実行する制御手段による動作タイミング情報の送信回数を可及的に低減することができ、通信手段の動作に要する消費電力を可及的に低減することができる。
【0018】
また、請求項3に係る本発明では、請求項1又は請求項2に記載の小便器洗浄システムにおいて、動作タイミング情報は、他の小便器に設けられた制御手段に、ドップラーセンサの動作開始を許可する動作開始許可情報を含み、従制御機能を実行する制御手段は、通信手段を介して動作開始許可情報を受信する度に、ドップラーセンサを間欠動作させることを特徴とするため、各ドップラーセンサの動作期間が重複することを確実に防止することができ、自動洗浄機能の誤動作を確実に防止することができる。
【0019】
また、請求項4に係る本発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の小便器洗浄システムにおいて、主制御機能を実行している制御手段は、次に主制御機能を実行する他の制御手段を判定する判定手段を備え、判定手段により判定した制御手段へ、通信手段を介して、主制御機能の実行を許可する主制御機能開始許可情報を所定のタイミングで送信した後、従制御機能を実行することを特徴とするため、複数の小便器に設けられている制御手段に、主制御機能を順番に実行させることができるので、制御手段毎の消費電力を均一化させることができる。
【0020】
また、請求項5に係る本発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の小便器洗浄システムにおいて、各制御手段は、第1の間欠動作期間前記ドップラーセンサを間欠動作させて人体を検知した後、尿を検知するために第1の間欠動作期間よりも短い第2の間欠動作期間前記ドップラーセンサを動作させることを特徴とするため、制御手段が尿を検知する際のドップラーセンサの間欠動作期間を短縮した分、ドップラーセンサの間欠動作周期を短くすることができるので、人体や尿の検知精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る小便器洗浄システムは、トイレの利用者(人体)や利用者の尿を検知して、利用後の便器を自動的に洗浄する自動洗浄機能を備えた小便器装置を複数併設してなるシステムであり、公共施設のトイレ等、複数の便器を設置するトイレに適用するシステムである。
【0022】
そして、この小便器洗浄システムは、併設した複数の小便器と、これら複数の小便器にそれぞれ設けられ、各小便器内のボール部へ向けてマイクロ波(以下、「電波」という。)を発信する発信手段と、この発信手段により発信した電波の反射を受信する受信手段と、発信手段が発信した電波の周波数と受信手段が受信した電波の周波数との差分を示す差分信号を生成する差分信号生成手段とを備えたドップラーセンサと、各小便器にそれぞれ設けられ、差分信号生成手段から出力される差分信号に基づいて人体又は尿を検知する制御手段と、この制御手段による検知結果に基づいて小便器の洗浄を自動的に行う洗浄手段とを備えている。
【0023】
特に、この小便器洗浄システムを構成している各小便器には、上記した制御手段の制御により他の小便器が備える制御手段との間で相互に通信を行う通信手段を備えており、各通信手段間で互いに通信することにより、近傍に配設された小便器が備えるドップラーセンサから発信及び受信される電波同士が干渉することによる自動洗浄機能の誤作動を防止するようにしている。
【0024】
すなわち、この小便器洗浄システムにおいて、複数の小便器のうちの一つに設けられた制御手段は、この制御手段を含む各制御手段によって制御される各ドップラーセンサを、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるべく、通信手段を介して他の小便器が備える制御手段へ、ドップラーセンサの動作タイミングを指定する動作タイミング情報を送信する主制御機能を実行し、動作タイミング情報を受信した各制御手段は、動作タイミング情報に基づいて、各ドップラーセンサをそれぞれ間欠動作させる従制御機能を実行するようにしている。
【0025】
これにより、複数の小便器にそれぞれ設けているドップラーセンサが同時に電波の発信・受信をすることがなくなるので、近傍に配設されたドップラーセンサから発信及び受信される電波同士が干渉して自動洗浄機能が誤作動を起こすといった問題を解消することができる。
【0026】
しかも、この小便器洗浄システムによれば、全てのドップラーセンサが同じ、又は、近い周波数の電波を用いて人体や尿の検知を行う場合であっても、電波同士の干渉が起こることがないので、複数種類の周波数の電波を発信及び受信するドップラーセンサを用意しておく必要がなく、自動洗浄機能を持たせた小便器を複数連設する際、設置する小便器の台数に関係なく、各小便器に同一周波数の電波を発信するドップラーセンサを流用することができるので、製造コストに対する利益の還元率を向上させることができ、しかも、小便器を増設する際や、小便器の保守点検を行う際に、各ドップラーセンサの仕様を確認するなどといった煩雑な作業を行う必要がないので、小便器の増設作業や保守点検作業を容易に行うことができる。
【0027】
また、主制御機能を実行する制御手段から従制御機能を実行する制御手段へ送信する動作タイミング情報は、従制御機能を実行する制御手段が設けられている他の小便器の各ドップラーセンサによる間欠動作の開始タイミングを指定する情報、間欠動作中における各ドップラーセンサの動作間隔を指定する情報と、各ドップラーセンサの間欠動作期間を指定する情報を含むようにしている。
【0028】
そのため、主制御機能を実行する制御手段による動作タイミング情報の送信回数を可及的に低減することができ、通信手段の動作に要する消費電力を可及的に低減することができる。
【0029】
また、この動作タイミング情報に換えて、他の小便器に設けられ従制御機能を実行する制御手段に、ドップラーセンサの動作開始を許可する動作開始許可情報を動作タイミング情報として用いることもでき、このとき、従制御機能を実行する制御手段は、通信手段を介して動作開始許可情報を受信する度に、ドップラーセンサを間欠動作させる。
【0030】
このような動作タイミング情報を用いた場合に、従制御機能を実行する制御手段は、所定期間ドップラーセンサを動作させた後にその動作を停止させるようにさせるか、若しくは、主制御機能を実行する制御手段が従制御機能を実行する制御手段へ、その動作を禁止させる情報を含む動作禁止信号を送信することにより、従制御機能を実行している制御手段にドップラーセンサの動作を停止させるようにする。
【0031】
これにより、従制御機能を実行する各制御手段は、主制御機能を実行する制御手段が決定した所定のタイミングに同期させてドップラーセンサを動作させることになるので、各ドップラーセンサの動作期間が重複することがなく、自動洗浄機能の誤動作を確実に防止することができる。
【0032】
また、主制御機能を実行する制御手段は、所定期間主制御機能を実行した後に、主制御機能を実行する権限を他の小便器に設けられている制御手段に譲渡するようにしている。
【0033】
これにより、主制御機能を実行する制御手段が処理する情報量や、その処理に伴う消費電力量を低減することができる。
【0034】
すなわち、主制御機能を実行している制御手段は、次に主制御機能を実行する他の制御手段を判定する判定手段を備えており、この判定手段により判定した制御手段へ、通信手段を介して、主制御機能の実行する権限を譲渡するための信号を所定のタイミングで送信した後、今度は従制御機能を実行するようにしている。
【0035】
これにより、複数の小便器に設けられている制御手段に、主制御機能を順番に実行させることができるので、制御手段毎の消費電力を均一化させることができる。
【0036】
また、ドップラーセンサにより人体や尿等の対象物を検知する場合には、検出しようとする対象物の動きの種類によって、その対象物から反射される電波に特有の周波数がある。
【0037】
そのため、シャノンの定理より、ドップラーセンサ動作中のサンプリング周波数は対象物特有の動きの周波数と比較して少なくとも2倍のサンプリング周波数が必要になる。
【0038】
一般に、人体に反射した反射波の周波数は、尿に反射した反射波の周波数より低い、従って、尿に反射した反射波の周期は、人体に反射した反射波の周期よりも短い。
【0039】
そのため、尿を検知する際のサンプリング周波数は、人体を検知する際のサンプリング周波数よりも高くする必要があるが、常に周波数の高い方のサンプリング周波数でサンプリングを行えば尿と人体との両方を検知することができため、本小便器洗浄システムでは、尿を検知する際に用いるサンプリング周波数でのサンプリングにより人体の検知も行うようにしている。
【0040】
そして、各制御手段は、この尿を検知可能なサンプリング周波数で第1の間欠動作期間前記ドップラーセンサを間欠動作させて人体を検知した後、尿を検知するために、同じサンプリング周波数で第1の間欠動作期間よりも短い第2の間欠動作期間前記ドップラーセンサを動作させるようにしている。
【0041】
すなわち、この小便器洗浄システムでは、1種類のサンプリング周波数でドップラーセンサを動作させて人体と尿とを検知するようにしているので、尿を検知する時間が人体を検知する時間よりも短くてすみ、その結果、制御手段が尿を検知する際のドップラーセンサの間欠動作期間が短縮され、その分ドップラーセンサの間欠動作周期を短くすることができ、これにより人体や尿の検知精度を向上させることができる。
【0042】
以下、本発明に係る小便器洗浄システムの第1実施形態〜第3実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明では、自動洗浄機能を備えた第1〜第3の3つの小便器装置を併設したトイレに、本発明の小便器洗浄システムを適用した場合を例に挙げて説明するが、併設する小便器装置の数はこれに限定されるものではない。
【0043】
また、以下の説明において、制御手段が主制御機能を実行する小便器装置をマスタとし、制御手段が従制御機能を実行する小便器装置をスレーブとして説明する。
【0044】
[第1実施形態]
第1実施形態において、図1は小便器洗浄システムを示す概略図であり、図2は小便器装置を示す断面模式図であり、図3は自動洗浄ユニットを示す機能ブロック図であり、図4は尿検知を行う際のドップラーセンサの動作タイミングを示すタイミングチャートであり、図5は人体検知を行う際のドップラーセンサの動作タイミングを示すタイミングチャートであり、図6は各小便器装置の間欠動作タイミングを示すタイミングチャートであり、図7及び図8は第1実施形態に係る小便器装置の制御手部における処理を示すフローチャートである。
【0045】
[第1実施形態における小便器洗浄システムの概要の説明]
第1実施形態に係る小便器洗浄システム1は、図1に示すように、トイレ内に併設された第1小便器装置A、第2小便器装置B、第3小便器装置Cという3つの小便器装置を備えている。以下、第1〜第3の各小便器装置A、B、Cを総称して小便器装置Zともいう。
【0046】
[小便器装置の説明]
これら各小便器装置Zは、図1及び図2に示すように、小便器2と、各小便器2の利用者、及び、その利用者の尿を検知して、利用後の小便器2を自動的に洗浄する自動洗浄ユニット3とを備えている。
【0047】
この自動洗浄ユニット3は、小便器2の上側内部に設けられており(図2参照)、その小便器の利用者と、その利用者の尿を検知するドップラーセンサ4と、小便器2への洗浄水の給水と止水とを切替えるバルブ5と、これらドップラーセンサ4及びバルブ5の動作を制御すると共に、他の小便器装置Zとの間で相互通信を行う制御手段として機能する制御部6とを備えている。なお、図2に示す符号7は小便器2へ洗浄水を供給する給水管であり、符号8は小便器2から洗浄水を排水する排水管である。
【0048】
ドップラーセンサ4は、図3に示すように、小便器2のボール部へ向けて所定周波数の電波Sig1を発信する発信手段として機能する発信部9と、この発信部9から発信した電波Sig1の反射波Sig2を受信する受信手段として機能する受信部10と、発信部9から発信した電波Sig1の周波数と受信部10が受信した反射波Sig2の周波数との差分を示す差分信号Sig3を生成する差分信号生成手段として機能する差分信号生成部11とを備えている。
【0049】
これら発信部9、受信部10、差分信号生成部11は、それぞれ制御部6から入力される制御信号Sig4に基づいて動作するものである。
【0050】
バルブ5は、制御部6から入力される制御信号Sig4に基づいて開閉する電磁弁である。
【0051】
制御部6は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)12と、このCPU12とバスにより接続されたROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、バルブ駆動部15と、ドップラーセンサ駆動部16と、通信部17とを備えている。
【0052】
CPU12は、自動洗浄ユニット3全体の動作制御を行う演算装置であり、バルブ駆動部15、ドップラーセンサ駆動部16、通信部17のそれぞれにバスを介してコマンドを送信して、バルブ駆動部15、ドップラーセンサ駆動部16、通信部17をそれぞれ動作させる制御を行う制御手段として機能するものである。
【0053】
すなわち、このCPU12は、ドップラーセンサ4を動作させるためのコマンドを所定のタイミングでドップラーセンサ駆動部16へ送信する他、ドップラーセンサ4から入力される差分信号Sig3に基づいて人体及び尿を検知し、その検知結果に基づいて利用者が排尿を終了したことを検知した場合には、バルブ5を開放させるためのコマンドをバルブ駆動部15へ送信し、その所定時間後に、バルブ5を閉塞させるためのコマンドをバルブ駆動部15へ送信する。
【0054】
また、このCPU12は、他の小便器装置Zとの間で相互通信を行う場合に通信部17へコマンドを送信する。
【0055】
ROM13は、CPU12の動作プログラムや、後述する動作タイミング情報等を記憶した記憶領域である。
【0056】
RAM14は、CPU12が処理を行う際に、ROM13から動作プログラムを読み出して作業を行う作業領域として機能する他、処理に用いる各種設定値等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。
【0057】
バルブ駆動部15は、CPU12からバスを介して送信されるコマンドに従って動作し、バルブ5の開放又は閉塞を指示する制御信号を生成してバルブ5へ入力する回路である。
【0058】
ドップラーセンサ駆動部16は、CPU12からバスを介して送信されるコマンドに従って動作し、ドップラーセンサ4が備える発信部9と受信部10と差分信号生成部11とにそれぞれ制御信号Sig4を入力すると共に、差分信号生成部11から入力される差分信号Sig3をCPU12へ送信する回路である。
【0059】
通信部17は、CPU12からバスを介して送信されるコマンドに従って動作し、他の小便器装置Zへ所定の情報を送信すると共に、他の小便器装置Zから所定の情報を受信する無線通信回路である。
【0060】
また、この通信部17では、Bluetoothと同種の技術を用いて、Bluetoothよりも通信距離は短いが、Bluetoothよりも消費電力が非常に小さく、一つのネットワークで最大255台の器機と通信可能であるといった利点からZigbeeと呼ばれる短距離無線通信規格を用いて無線通信を行うようにしている。
【0061】
そして、この通信部17が設けられている小便器装置Zがマスタである場合には、スレーブである他の小便器装置Zへスレーブが備えるドップラーセンサ4の動作タイミングを指定する動作タイミング情報を送信し、スレーブである他の小便器装置Zから後述する返信を受信する。
【0062】
一方、この通信部17が設けられている小便器装置Zがスレーブである場合には、マスタである他の小便器装置Zから動作タイミング情報を受信し、マスタの小便器装置Zへ動作タイミング情報を受信したことを示す返信を送信する。
【0063】
このように構成した小便器装置Zでは、尿を検知する場合、図4に示す発信タイミングでドップラーセンサ4の発信部9から電波Sig1を発信し、図4に示す取込タイミングで差分信号生成部11が電波Sig1と反射波Sig2とを取込む(サンプリングする)ようにしている。
【0064】
一般に、発信部9から発信した電波Sig1が尿に反射した反射波Sig2の周波数は、図4に示す180Hz近傍の値をとるため、その周期はほぼ5.5msとなる。
【0065】
そのため、この小便器装置Zでは、シャノンの定理に基づいて反射波Sig2の周期の2倍以上である2msのサンプリング周期で差分信号生成部11が電波Sig1と反射波Sig2とを取込むようにしている。
【0066】
また、この小便器装置Zでは、人体を検知する場合、図5に示す発信タイミングでドップラーセンサ4の発信部9から電波Sig1を発信し、図5に示す取込タイミングで差分信号生成部11が電波Sig1と反射波Sig2とを取込む(サンプリングする)ようにしている。
【0067】
一般的に、発信部9から発信した電波Sig1が人体に反射した反射波Sig2の周波数は、図5に示す20Hz近傍の値をとるため、その周期はほぼ50msとなる。
【0068】
そのため、この小便器装置Zでは、50msの周期の2倍以上であって、尿を検知する際に用いるサンプリング周波数と同じ2msのサンプリング周期で差分信号生成部11が電波Sig1と反射波Sig2とを取込むようにしている。
【0069】
[各小便器装置の動作タイミングの説明]
また、この小便器洗浄システム1では、各小便器装置Zに設けている制御部6が通信手段として機能して、他の小便器装置Zとの間で相互に無線通信を行い、各小便器装置Zに設けているドップラーセンサ4を、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるようにしている。
【0070】
すなわち、第1実施形態の小便器洗浄システム1では、図6に示すように、第1小便器装置Aが備えるドップラーセンサ4の発信部9から100msの期間電波Sig1を発信させた後電波Sig1の発信を停止させ、その後、第2小便器装置Bが備えるドップラーセンサ4の発信部9から100msの期間電波Sig1を発信させた後電波Sig1の発信を停止させ、その後、第3小便器装置Cが備えるドップラーセンサ4の発信部9から100msの期間電波Sig1を発信させた後電波Sig1の発信を停止させるようにしている。
【0071】
このとき、差分信号生成部11は、その差分信号生成部11が設けられているドップラーセンサ4の発信部9が電波Sig1を発信している期間だけ図4及び図5に示す取込タイミングで発信部9が発信した電波Sig1と受信部10が受信した反射波Sig2とを取込むようにしており、それ以外の期間は電波Sig1と反射波Sig2の取込みを行わないようにしている。
【0072】
このように各小便器装置Zのドップラーセンサ4を、それぞれその動作期間が重複しないように間欠動作させることによって、複数のドップラーセンサ4が同時期に電波Sig1の発信と反射波Sig2の受信とを行うことがなくなるので、電波Sig1や反射波Sig2同士が干渉することがなくなり、自動洗浄機能が誤作動を起こすことを防止することができる。
【0073】
また、この小便器洗浄システム1では、複数の小便器装置Zのうちの一つの小便器装置Zをマスタとして機能させると共に、その他の小便器装置Zをスレーブとして機能させるようにしている。
【0074】
そして、マスタの小便器装置Zの制御部6に主制御機能を実行させ、スレーブの小便器装置Zへ、スレーブの小便器装置Zに設けているドップラーセンサ4の動作タイミングを指定する動作タイミング情報を所定のタイミングで送信させるようにしている。
【0075】
この動作タイミング情報には、スレーブの小便器装置Zにドップラーセンサ4の動作開始を許可する動作許可信号Sig5と、スレーブの小便器装置Zにドップラーセンサ4の動作を禁止する動作禁止信号Sig6とがある。
【0076】
スレーブの小便器装置Zでは、これらの動作タイミング情報を受信したら、その都度制御部6が従制御機能を実行して、受信した動作タイミング情報に基づいてドップラーセンサ4を間欠動作させるようにしている。
【0077】
また、スレーブの小便器装置Zは、受信した動作タイミング情報の種類の応じてその動作タイミング情報を受信したことを示す第1返信Sig8、第2返信Sig9という2種類の返信をマスタの小便器装置Zへ送信するようにしている。
【0078】
このように、本実施形態の小便器洗浄システム1では、マスタの小便器装置Zの制御部6がスレーブの小便器装置Zのドップラーセンサ4の動作を管理するようにしているため、各ドップラーセンサ4の動作をそれぞれ同期させることができ、各ドップラーセンサ4の動作期間が重複することを確実に防止することができる。
【0079】
また、マスタの小便器装置Zが備える制御部6は、所定時間主制御機能を実行した後、マスタとしての権限を複数のスレーブの小便器装置Zのうちの一つに譲渡する処理を行って、その後はスレーブとして機能して従制御機能を実行する。
【0080】
一方、マスタとしての権限を譲渡されたスレーブの小便器装置Zは、マスタとして機能して所定時間主制御機能を実行し、その後、さらに他のスレーブの小便器装置Zへマスタとしての権限を譲渡するようにしている。
【0081】
[制御部における処理の説明]
ここで、上記のように小便器装置Zの動作制御を行う制御部6においてCPU12が行う処理について説明する。なお、ここでは、第1小便器装置Aの制御部6が行う処理を例に挙げて説明するが、第2小便器装置B及び第3小便器装置Cも同様の処理を行うため、その説明は省略する。
【0082】
[マスタとスレーブとの判断]
CPU12は、電源が投入されると、図7に示すように、先ずRAM14を参照して自身がマスタであるか否かの判断を行う(ステップS1)。
【0083】
このときCPU12は、RAM14内の特定領域に記憶しているマスタ情報を示す値を参照し、その値が1である場合に自身がマスタであると判断して処理をステップS2へ移し、マスタとして機能して主制御機能を実行する。
【0084】
一方、ステップS1においてCPU12は、マスタ情報を示す値が0である場合に自身がマスタでなくスレーブであると判断して、処理を図8に示すステップS34へ移してスレーブとして機能し、従制御機能を実行する。
【0085】
[マスタ制御]
ステップS2においてCPU12は、RAM14内部のマスタタイマをスタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS3へ移す。このマスタタイマは、自身がマスタとして機能している時間をカウントするためのタイマである。
【0086】
ステップS3においてCPU12は、マスタタイマを参照してマスタタイマをスタートさせてから30分が経過したか否かを判断し、30分が経過していないと判断した場合に処理をステップS4へ移し、30分が経過したと判断した場合に処理をステップS10へ移す。
【0087】
ステップS4においてCPU12は、RAM14内部の所定領域に格納している変数Iを1に設定する処理を行い、その後、処理をステップS5へ移す。ここで設定する変数Iは、各小便器装置Zにそれぞれ振り分けられた番号であり、この変数の値が自身に振り当てられた特定の値(ここでは1)となったときに、CPU12は自身がドップラーセンサ4を動作させる順番になったことを判断する。
【0088】
すなわち、本実施形態の小便器洗浄システム1では、第1小便器装置A、第2小便器装置B、第3小便器装置Cという3つの小便器装置Zを設けているので、第1小便器装置Aに対応する値を1、第2小便器装置Bに対応する値を2、第3小便器装置Cに対応する値を3としている。なお、N個の小便器装置Zを設ける場合には、変数Iを1〜Nとし、各小便器装置Zにそれぞれ対応した値を振り分けるようにする。
【0089】
ステップS5においてCPU12は、RAM14内部の動作タイマを一旦リセットした後スタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS6へ移す。この動作タイマは、ドップラーセンサ4を間欠動作させる100msの時間をカウントするためのタイマである。
【0090】
ステップS6においてCPU12は、RAM14を参照して変数Iの値が1であるか否かの判断を行う。
【0091】
ここで、CPU12は、変数Iが1であると判断した場合に、自身がドップラーセンサ4を動作させる順番であると判断して処理をステップS7へ移し、1でないと判断した場合に、自身がドップラーセンサ4を動作させる順番でないと判断して処理をステップS14へ移す。
【0092】
ステップS7においてCPU12は、電波送受信処理を行い、その後、処理をステップS20へ移す。
【0093】
この電波送受信処理においてCPU12は、ROM13からドップラーセンサ4を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介してドップラーセンサ駆動部16へドップラーセンサ4を動作させるためのコマンドを送信する。
【0094】
このコマンドを受信したドップラーセンサ駆動部16は、発信部9、受信部10、差分信号生成部11へ制御信号Sig4を出力することにより、図4及び図5に示すタイミングで発信部9に電波Sig1を送信させ、受信部10にその反射波Sig2を受信させ、差分信号生成部11に電波Sig1と反射波Sig2とを取込ませる。
【0095】
そして、差分信号生成部11は、電波Sig1の周波数と反射波Sig2の周波数との差分を示す差分信号Sig3を生成してドップラーセンサ駆動部16へ出力する。
【0096】
ドップラーセンサ駆動部16は、差分信号生成部11から入力された差分信号Sig3をバスを介してCPU12へ送信し、CPU12は受信した差分信号Sig3に基づいて人体や尿を検知する。
【0097】
ここでCPU12は、人体や尿の検知結果に応じて利用者の排尿が終了したと判断すると、バルブ駆動部15へバルブ5を開放させるためのコマンドを送信してバルブ5を開放させ、小便器2の洗浄を開始させる。
【0098】
そして、CPU12は、所定時間(たとえば5s)後に15へバルブ5を閉塞させるためのコマンドを送信してバルブ5を閉塞させ、小便器2の洗浄を終了する。
【0099】
ステップS20においてCPU12は、RAM14を参照して動作タイマをスタートさせてから100msが経過したか否かの判断を行い、100msが経過したと判断した場合に処理をステップS8へ移し、100ms経過していないと判断した場合には、100ms経過するまでの間ステップS20の処理を繰り返し行う。
【0100】
ステップS8においてCPU12は、RAM14を参照して変数Iに1を加算する処理を行い、その後、処理をステップS9へ移す。
【0101】
ステップS9においてCPU12は、RAM14を参照して変数Iが3(N個の小便器装置Zを設けた場合にはN)より大きいか否かの判断を行う。
【0102】
ここでCPU12は、変数Iが3よりも大きいと判断した場合に処理をステップS3へ移し、変数Iが3以下であると判断した場合に処理をステップS5へ戻す。
【0103】
また、ステップS6において変数Iの値が1でないと判断した場合にCPU12は、スレーブの小便器装置Z(第2小便器装置B又は第3小便器装置C)へ動作タイミング情報として、ドップラーセンサ4の動作開始を許可する動作許可信号Sig5を送信する処理を行い(ステップS14)、その後、処理をステップS15へ移す。
【0104】
このステップS14においてCPU12は、ROM13から通信部17を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介して通信部17へ動作許可信号Sig5を送信させるためのコマンドを送信する。
【0105】
そして、コマンドを受信した通信部17は、スレーブの小便器装置Zへ動作許可信号Sig5を送信する。
【0106】
ステップS15においてCPU12は、スレーブの小便器装置Zから動作許可信号Sig5を受信したことを示す第1返信Sig8を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS16へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS21へ移す。
【0107】
ステップS16においてCPU12は、RAM14を参照して動作タイマをスタートさせてから90msが経過したか否かの判断を行い、90msが経過したと判断した場合に処理をステップS18へ移し、90msが経過していないと判断した場合に処理をステップS17へ移す。
【0108】
ステップS17においてCPU12は、スレーブの小便器装置Zから後述する動作終了信号Sig11を受信したか否かの判断を行い、受信していないと判断した場合に処理をS16へ戻し、受信したと判断した場合に処理をステップS18へ移す。
【0109】
ステップS18においてCPU12は、タイミング情報として、ドップラーセンサ4の動作を禁止する動作禁止信号Sig6をスレーブの小便器装置Zへ送信する処理を行い、その後、処理をステップS19へ移す。
【0110】
このステップS18においてCPU12は、ROM13から通信部17を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介して通信部17へ動作禁止信号Sig6を送信させるためのコマンドを送信する。
【0111】
そして、コマンドを受信した通信部17は、スレーブの小便器装置Zへ動作禁止信号Sig6を送信する。
【0112】
ステップS19においてCPU12は、スレーブの小便器装置Zから動作禁止信号Sig6を受信したことを示す第2返信Sig9を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS20へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS23へ移す。
【0113】
また、ステップS15において、スレーブの小便器装置Zから第1返信Sig8を受信していないと判断した場合にCPU12は、RAM14を参照して動作タイマをスタートさせてから10msが経過したか否かの判断を行い(ステップS21)、10msが経過したと判断した場合に処理をステップS22へ移し、10msが経過していないと判断した場合に処理をステップS14へ戻す。
【0114】
ステップS22においてCPU12は、動作許可信号Sig5の送信先であるスレーブの小便器装置Zが通信不能と判断して、次回から通信しない設定を行い、その後、処理をステップS20へ移す。
【0115】
また、ステップS19においてスレーブの小便器装置Zから第2返信Sig9を受信していないと判断した場合にCPU12は、RAM14を参照して動作タイマをスタートさせてから100msが経過した否かの判断を行い(ステップS23)、100msが経過したと判断した場合に処理をステップS24へ移し、100msが経過していないと判断した場合に処理をステップS18へ戻す。
【0116】
ステップS24においてCPU12は、動作禁止信号Sig6の送信先であるスレーブの小便器装置Zが通信不能と判断して、次回から通信しない設定を行い、その後、処理をステップS8へ移す。
【0117】
また、ステップS3においてマスタタイマをスタートさせてから30分が経過していると判断した場合にCPU12は、ROM13内の所定領域を参照して、予め定めたマスタとしての権限を譲渡するスレーブの小便器装置Zを判定し、その小便器装置Zへマスタ譲渡信号Sig7を送信し(ステップS10)、その後、処理をステップS11へ移す。
【0118】
このように、CPU12は、次に主制御機能を実行する他の制御手段を判定する判定手段としても機能する。
【0119】
このステップS10においてCPU12は、先ず自身が備えるRAM14の特定領域に記憶している値を1から0へ変更すると共に、ROM13から通信部17を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介して通信部17へマスタ譲渡信号Sig7を送信させるためのコマンドを送信する。
【0120】
そして、コマンドを受信した通信部17は、マスタとしての権限を譲渡するスレーブの小便器装置Zへマスタ譲渡信号Sig7を送信する。
【0121】
このとき送信するマスタ譲渡信号Sig7は、マスタとしての権限を譲渡する小便器装置ZのCPU12に、RAM14の特定領域に記憶しているマスタ情報を示す値を1に設定させるための信号である。
【0122】
ステップS11においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を送信した小便器装置Zからマスタ譲渡信号Sig7を受信したことを示す第3返信Sig10を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS12へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS13へ移す。
【0123】
ステップS12においてCPU12は、マスタタイマをリセットする処理を行い、その後、処理を図8に示すステップS34へ移す。
【0124】
また、ステップS13においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を送信した小便器装置Zとの通信が不可能であると判断して、マスタ譲渡信号Sig7の送信先を変更する処理を行い、その後、処理をステップS10へ戻す。
【0125】
[スレーブ制御]
ステップS1において自身がマスタでないと判断した場合にスレーブとして機能して従制御機能を実行する。
【0126】
すなわちCPU12は、図8に示すように、マスタの小便器装置Zからマスタ譲渡信号Sig7を受信したか否かの判断を行い(ステップS34)、受信したと判断した場合に処理をステップS35へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS25へ移す。
【0127】
ステップS35においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を送信してきた小便器装置Zへマスタ譲渡信号Sig7を受信したことを示す第3返信Sig10を送信する処理を行い、その後、処理を図7に示すステップS2へ移し、マスタとして機能して主制御機能を実行する。
【0128】
このステップS35においてCPU12は、ROM13から通信部17を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介して通信部17へ第3返信Sig10を送信させるためのコマンドを送信する。
【0129】
そして、コマンドを受信した通信部17は、マスタ譲渡信号Sig7を送信してきた小便器装置Zへ第3返信Sig10を送信する。
【0130】
また、ステップS25においてCPU12は、動作許可信号Sig5を受信したか否かの判断を行い(ステップS25)、受信したと判断した場合に処理をステップS26へ移し、受信していないと判断した場合に、処理をステップS34へ戻す。
【0131】
ステップS26においてCPU12は、動作タイマを一旦リセットした後スタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS27へ移す。
【0132】
ステップS27においてCPU12は、マスタの小便器装置Zへ動作許可信号Sig5を受信したことを示す第1返信Sig8を送信する処理を行い、その後、処理をステップS28へ移す。
【0133】
このステップS27においてCPU12は、ROM13から通信部17を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介して通信部17へ第1返信Sig8を送信させるためのコマンドを送信する。
【0134】
そして、コマンドを受信した通信部17は、マスタの小便器装置Zへ第1返信Sig8を送信する。
【0135】
ステップS28においてCPU12は、電波送受信開始の処理を行い、その後、処理をステップS29へ移す。
【0136】
ステップS29においてCPU12は、マスタの小便器装置Zから動作禁止信号Sig6を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS36へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS30へ移す。
【0137】
ステップS30においてCPU12は、ステップS28で行った処理により既に人体又は尿の検知が完了して、現在既に電波送受信処理を終了しているか否かの判断を行い、終了していると判断した場合に処理をステップS31へ移し、終了していないと判断した場合に処理をステップS29へ戻す。
【0138】
ステップS31においてCPU12は、マスタの小便器装置Zへドップラーセンサ4の動作を終了させたことを示す動作終了信号Sig11を送信する処理を行い、その後、処理をステップS32へ移す。
【0139】
このステップS31においてCPU12は、ROM13から通信部17を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介して通信部17へ動作終了信号Sig11を送信させるためのコマンドを送信する。
【0140】
そして、コマンドを受信した通信部17は、マスタの小便器装置Zへ動作終了信号Sig11を送信する。
【0141】
ステップS32においてCPU12は、マスタの小便器装置Zから動作禁止信号Sig6を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS33へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS38へ移す。
【0142】
ステップS33においてCPU12は、マスタの小便器装置Zへ動作禁止信号Sig6を受信したことを示す第2返信Sig9を送信する処理を行い、その後、処理をステップS34へ戻す。
【0143】
このステップS33においてCPU12は、ROM13から通信部17を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介して通信部17へ第2返信Sig9を送信させるためのコマンドを送信する。
【0144】
そして、コマンドを受信した通信部17は、マスタの小便器装置Zへ第2返信Sig9を送信する。
【0145】
また、ステップS32において動作禁止信号Sig6を受信していないと判断した場合にCPU12は、RAM14を参照して動作タイマをスタートさせてから90msが経過したか否かの判断を行い(ステップS38)、90msが経過したと判断した場合に処理をステップS39へ移し、90msが経過していないと判断した場合に処理をステップS31へ戻す。
【0146】
ステップS39においてCPU12は、マスタの小便器装置Zが反応してくれなかったので、今回の処理データをRAM14から破棄する処理を行い、その後、処理をステップS34へ戻す。
【0147】
また、ステップS29において動作禁止信号Sig6を受信したと判断した場合にCPU12は、ドップラーセンサ4による電波の送受信処理を終了させ(ステップS36)、その後、マスタの小便器装置Zへ第2返信Sig9を送信する処理を行って(ステップS37)処理をステップS34へ戻す。
【0148】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る小便器洗浄システム1は、第1実施形態に係る小便器洗浄システム1と構成が同様であり、各小便器装置Zもその構成が第1実施形態の各小便器装置Zと同様であり、各制御部6による制御の内容だけが異なるため、ここでは、図1〜3に示す小便器洗浄システム1及び小便器装置Zに付した符号と同一の符号及び同一の用語を用いて説明することとする。
【0149】
ここで、図9は第2実施形態における各制御部6同士の通信タイミング及び、各ドップラーセンサ4の動作タイミングを示すタイミングチャートであり、図10〜図13は第2実施形態における小便器装置Zの制御部6で行う処理を示すフローチャートである。
【0150】
[第2実施形態における小便器洗浄システムの概要の説明]
この第2実施形態に係る小便器洗浄システム1において、各小便器装置Zの制御部6同士は、第1実施形態と同様に、互いに通信を行って各ドップラーセンサ4を、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるような制御を行う。
【0151】
また、第1実施形態と同様に、第1小便器装置A、第2小便器装置B、第3小便器装置Cの3つの小便器装置Zのうちの一つをマスタの小便器装置Zとし、その他の小便器装置Zをスレーブの小便器装置Zとして、マスタの小便器装置Zの制御部6がスレーブの小便器装置Zへ動作タイミング情報を送信し、スレーブの小便器装置Zの制御部6はこの動作タイミング情報を受信する度にドップラーセンサ4を間欠動作させるようにしている。
【0152】
そして、マスタの小便器装置Zの制御部6が所定時間マスタとして機能して主制御機能を実行し、その後スレーブの小便器装置Zへマスタとしての権限を譲渡する点についても第1実施形態と同様である。
【0153】
ただし、この第2実施形態の小便器洗浄システム1では、マスタの小便器装置Zからスレーブの小便器装置Zへ送信する動作タイミング情報の内容が第1実施形態の小便器洗浄システム1と異なる。
【0154】
すなわち、第1実施形態の小便器洗浄システム1では、一つの小便器装置Zに設けたドップラーセンサ4から所定期間(100ms)電波Sig1を送信させ、その所定期間内に電波Sig1を送信しているドップラーセンサ4に複数回反射波Sig2のサンプリングを行わせると共に、その間他の小便器装置Zに設けたドップラーセンサ4の動作を禁止させることにより、各ドップラーセンサ4の動作期間が他が互いに重複しないように各制御部6がドップラーセンサ4の動作制御を行っていたのに対し、第2実施形態では、一つの小便器装置Zに設けたドップラーセンサ4が反射波Sig2のサンプリングを1回行う期間だけ電波Sig1の送信と反射波Sig2の受信とを行わせ、このドップラーセンサ4が次回のサンプリングを行うまでの期間(2ms)に他の小便器装置Zに設けたドップラーセンサ4にそれぞれ1回ずつ反射波Sig2のサンプリングを行わせることにより、各ドップラーセンサ4の動作期間が互いに重複しないように各ドップラーセンサ4を間欠動作させるようにしている。
【0155】
[各小便器装置の動作タイミングの説明]
ここでは、第1小便器装置Aをマスタの小便器装置Zとし、第2小便器装置B及び第3小便器装置Cをスレーブの小便器装置Zとして説明する。
【0156】
図9に示すように、第1小便器装置Aの制御部6は、先ず自身が備えるドップラーセンサ4の発信部9と受信部10とを同時に動作させて反射波Sig2を1回サンプリングする処理を行った後、第2小便器装置Bの制御部6との間で通信を行う。
【0157】
そして、第1小便器装置Aの制御部6は、この第2小便器装置Bの制御部6との通信期間内に第2小便器装置Bの制御部6へ動作許可信号Sig5と動作禁止信号Sig6とを順次送信する。
【0158】
第2小便器装置Bの制御部6は、この動作許可信号Sig5と動作禁止信号Sig6とを受信する度にドップラーセンサ4を動作させて自身が送信した電波Sig1の反射波Sig2を1回サンプリングする。
【0159】
次に第1小便器装置Aの制御部6は、第3小便器装置Cの制御部6との間で通信を行い、この通信期間内に第3小便器装置Cの制御部6へ動作許可信号Sig5と動作禁止信号Sig6とを順次送信する。
【0160】
第3小便器装置Cの制御部6は、この動作許可信号Sig5と動作禁止信号Sig6とを受信する度にドップラーセンサ4を動作させて自身が送信した電波Sig1の反射波Sig2を1回サンプリングする。
【0161】
続いて、第1小便器装置Aの制御部6は、自身のドップラーセンサ4を動作させて次回のサンプリングを行い、この制御を所定期間(例えば30分間)繰り返し、その後、マスタとしての権限を予め定めたスレーブの小便器装置Z(例えば第2小便器装置B)へ譲渡する処理を行う。
【0162】
このように各ドップラーセンサ4の発信部9及び受信部10をその動作期間が互いに重複しないように間欠動作させることにより、各小便器装置Zに設けたドップラーセンサ4の動作周期を短くすることができるので、人体及び尿をより高精度に検知することができる。
【0163】
[制御部における処理の説明]
このように各ドップラーセンサ4の動作制御を行う際に、マスタの小便器装置Zの制御部6は、図10〜図12のフローチャートに従って処理を行い、スレーブの小便器装置Zの制御部6は、図13のフローチャートに従って処理を行う。
【0164】
[マスタとスレーブとの判断]
すなわち、マスタとして機能する第1小便器装置AのCPU12は、電源が投入されると、先ず図10に示すように、RAM14を参照して自身がマスタであるか否かの判断を行う(ステップS40)。
【0165】
このときCPU12は、RAM14内の特定領域に記憶しているマスタ情報を示す値を参照し、その値が1である場合に自身がマスタであると判断して処理をステップS41へ移し、マスタとして機能して主制御機能を実行する。
【0166】
ここで、仮にマスタ情報を示す値が0であった場合、CPU12は処理を図13に示すステップS75へ移してスレーブとして機能し、従制御機能を実行する。
【0167】
[マスタ制御]
ステップS41においてCPU12は、RAM14内部のマスタタイマをスタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS42へ移す。
【0168】
ステップS42においてCPU12は、マスタタイマをスタートさせてから30分が経過したか否かを判断し、30分が経過したと判断した場合に処理をステップS52へ移し、30分が経過していないと判断した場合に処理をステップS43へ移す。
【0169】
ステップS43においてCPU12は、図11に示す後述のA制御を行い、次に、図12に示す後述のB制御(ステップS44)とC制御(ステップS45)とを順次を行い、その後処理をステップS46へ移す。
【0170】
ステップS46においてCPU12は、RAM14内の所定領域に記憶された第2小便器装置Bとの通信失敗回数を示すBエラーの値を参照し、Bエラーの値が5であるか否かの判断を行う。
【0171】
ここでCPU12は、Bエラーの値が5であると判断した場合に第2小便器装置Bが故障中であるとして、その情報をRAM14の所定領域に記憶させ(ステップS47)、以後、第2小便器装置Bとの通信を行わないようにする設定を行い、その後、処理をステップS49へ移す。
【0172】
一方、CPU12は、Bエラーの値が5でないと判断した場合に第2小便器装置Bが正常であるとして、その情報をRAM14の所定領域に記憶させ(ステップS48)、その後、処理をステップS49へ移す。
【0173】
ステップS49においてCPU12は、RAM14内の所定領域に記憶された第3小便器装置Cとの通信失敗回数を示すCエラーの値を参照し、Cエラーの値が5であるか否かの判断を行う。
【0174】
ここでCPU12は、Cエラーの値が5であると判断した場合に第3小便器装置Cが故障中であるとして、その情報をRAM14の所定領域に記憶させ、以後、第3小便器装置Cとの通信を行わないようにする設定を行い(ステップS50)、その後、処理をステップS42へ戻す。
【0175】
一方、CPU12は、Cエラーの値が5でないと判断した場合に第3小便器装置Cが正常であるとして、その情報をRAM14の所定領域に記憶させ(ステップS51)、その後、処理をステップS42へ戻す。
【0176】
また、ステップS42においてマスタタイマをスタートさせてから30分が経過したと判断した場合にCPU12は、ROM13の所定領域を参照してマスタとしての権限を譲渡するスレーブの小便器装置Z(第2小便器装置B又は第3小便器装置C)を判定し、ここで判定した小便器装置Zへマスタ譲渡信号Sig7を送信し(ステップS52)、その後、処理をステップS53へ移す。
【0177】
ステップS53においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を送信した小便器装置Zからマスタ譲渡信号Sig7を受信したことを示す第3返信Sig10を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS54へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS55へ移す。
【0178】
ステップS54においてCPU12は、マスタタイマをリセットする処理を行い、その後、処理を図13に示すステップS75へ移す。
【0179】
また、ステップS55においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を送信した小便器装置Zとの通信が不可能であるとして、マスタ譲渡信号Sig7の送信先を変更する処理を行い、その後、処理をステップS52へ戻す。
【0180】
また、第1小便器装置AのCPU12は、図11に示すフローチャートに従ってA制御を行う。
【0181】
すなわちCPU12は、ステップS42においてマスタタイマをスタートさせてから30分が経過していないと判断した場合に、ドップラーセンサ4を動作させて、1回のサンプリングを行うために必要な時間電波Sig1の送信及び反射波Sig2の受信を行う電波送受信処理を行い(ステップS56)、その後、処理を図10に示すステップS44へ戻してB制御を行う。
【0182】
第1小便器装置AのCPU12は、図12に示すフローチャートに従ってB制御を行う。すなわち、CPU12は、先ずRAM14の所定領域に記憶している情報を参照して、第2小便器装置Bが故障中であるか否かの判断を行う(ステップS57)。
【0183】
ここで、CPU12は、第2小便器装置Bが故障中であると判断した場合に、このB制御を終了して図10に示すステップS45へ処理を戻す。
【0184】
一方、CPU12は、第2小便器装置Bが正常であると判断した場合に、第2小便器装置Bへドップラーセンサ4の動作開始を許可する動作タイミング情報として動作許可信号Sig5を送信し(ステップS58)、その後、処理をステップS59へ移す。
【0185】
ステップS59においてCPU12は、動作タイマをスタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS60へ移す。
【0186】
ステップS60においてCPU12は、第2小便器装置Bから動作許可信号Sig5を受信したことを示す第1返信Sig8を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS61へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS65へ移す。
【0187】
ステップS61においてCPU12は、動作タイマをスタートさせてから0.5msが経過したか否かの判断を行い、0.5msが経過したと判断した場合に処理をステップS62へ移し、0.5msが経過していないと判断した場合には、0.5msが経過するまでの間ステップS61の処理を繰り返し行う。
【0188】
ステップS62においてCPU12は、第2小便器装置Bにドップラーセンサ4の動作を禁止する動作タイミング情報として動作禁止信号Sig6を送信する処理を行い、その後、処理をステップS63へ移す。
【0189】
ステップS63においてCPU12は、第2小便器装置Bから動作禁止信号Sig6を受信したことを示す第2返信Sig9を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS64へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS67へ移す。
【0190】
ステップS64においてCPU12は、RAM14の所定領域に記憶しているBエラーの値を0にするリセット処理を行い、その後、処理を図10に示すステップS45へ移してC制御を行う。
【0191】
また、ステップS60において第2小便器装置Bから第1返信Sig8を受信していないと判断した場合にCPU12は、動作タイマをスタートさせてから0.3msが経過したか否かの判断を行う(ステップS65)。
【0192】
ここでCPU12は、0.3msが経過してないと判断した場合に処理をステップS60へ戻し、0.3msが経過したと判断した場合に処理をステップS66へ移す。
【0193】
ステップS66においてCPU12は、RAM14の所定領域に記憶しているBエラーの値に1を加算する処理を行い、その後、処理を図10に示すステップS45へ移してC制御を行う。
【0194】
また、ステップS63において第2小便器装置Bから第2返信Sig9を受信していないと判断した場合にCPU12は、動作タイマをスタートさせてから0.8msが経過したか否かの判断を行う(ステップS67)。
【0195】
ここでCPU12は、0.8msが経過していないと判断した場合に処理をステップS63へ戻し、0.8msが経過したと判断した場合に処理をステップS68へ移す。
【0196】
ステップS68においてCPU12は、RAM14の所定領域に記憶しているBエラーの値に1を加算する処理を行い、その後、処理を図10に示すステップS45へ移してC制御を行う。
【0197】
また、C制御を行う際にCPU12は、図12に示すB制御と同様の処理を第3小便器装置Cに対して行う。
【0198】
すなわち、第1小便器装置AのCPU12は、B制御を行った後、第3小便器装置Cに対し、所定のタイミングで動作許可信号Sig5と動作禁止信号Sig6とを順次送信して第3小便器装置Cのドップラーセンサ4を間欠動作させる。
【0199】
また、第1小便器装置AのCPU12は、所定時間内に第3小便器装置Cから第1返信Sig8及び第2返信Sig9を受信した場合にCエラーの値をリセットする処理を行い、第1返信Sig8又は第2返信Sig9を受信しなかった場合にCエラーの値に1を加算する処理を行ってC制御を終了する。
【0200】
[スレーブ制御]
ここでは、スレーブとして機能する第2小便器装置BのCPU12が行う処理について説明することとし、第3小便器装置CのCPU12は第2小便器装置BのCPU12と同様の処理を行うため、その説明を省略する。
【0201】
また、所定期間マスタとして機能した第1小便器装置AのCPU12も、所定期間マスタとして機能してマスタとしての権限を他の小便器装置Zへ譲渡した後は、第2小便器装置BのCPU12と同様の処理を行う。
【0202】
スレーブとして機能する第2小便器装置BのCPU12は、電源が投入されると、先ず図13に示すように、マスタの小便器装置Zである第1小便器装置Aからマスタ譲渡信号Sig7を受信したか否かの判断を行い(ステップS75)、受信したと判断した場合に処理をステップS76へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS69へ移す。
【0203】
また、ステップS76においてCPU12は、第1小便器装置Aへマスタ譲渡信号Sig7を受信したことを示す第3返信Sig10を送信する処理を行い、その後、処理を図10に示すステップS41へ移し、マスタとして機能して主制御機能を実行する。
【0204】
ステップS69においてCPU12は、動作許可信号Sig5を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS70へ移し、受信していないと判断した場合に、処理をステップS75へ戻す。
【0205】
ステップS70においてCPU12は、動作タイマを一旦リセットした後スタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS71へ移す。
【0206】
ステップS71においてCPU12は、第1小便器装置Aへ動作許可信号Sig5を受信したことを示す第1返信Sig8を送信する処理を行い、その後、処理をステップS72へ移す。
【0207】
このステップS72においてCPU12は、ドップラーセンサ4を動作させて、1回のサンプリングを行うために必要な時間電波Sig1の送信及び反射波Sig2の受信を行う電波送受信処理を行い、その後、処理をステップS73へ移す。
【0208】
ステップS73においてCPU12は、第1小便器装置Aから動作禁止信号Sig6を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS74へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS77へ移す。
【0209】
ステップS74においてCPU12は、第1小便器装置Aへ動作禁止信号Sig6を受信したことを示す第2返信Sig9を送信する処理を行い、その後、処理をステップS75へ戻す。
【0210】
また、ステップS73において動作禁止信号Sig6を受信していないと判断した場合にCPU12は、動作タイマをスタートさせてから0.5msが経過したか否かの判断を行い、0.5msが経過したと判断した場合に処理をステップS75へ戻し、0.5msが経過していないと判断した場合に処理をステップS73へ戻す。
【0211】
[第3実施形態]
以下に説明する第3実施形態に係る小便器洗浄システム1では、第1及び第2実施形態に係る小便器洗浄システム1と構成が同様であり、各小便器装置Zもその構成が第1及び第2実施形態の小便器洗浄システム1の各小便器装置Zと同様であり、各制御部6による制御の内容だけが異なるため、図1〜3に示す小便器洗浄システム1及び小便器装置Zに付した符号と同一の符号及び同一の用語を用いて説明することとする。
【0212】
[第3実施形態における小便器洗浄システムの概要の説明]
この第3実施形態に係る小便器洗浄システム1において、各小便器装置Zの制御部6同士は、第1及び第2実施形態と同様に、互いに相互通信を行って各ドップラーセンサ4を、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるような制御を行う。
【0213】
また、第1小便器装置A、第2小便器装置B、第3小便器装置Cの3つの小便器装置Zのうちの一つをマスタの小便器装置Zとし、その他の小便器装置Zをスレーブの小便器装置Zとして、マスタの小便器装置Zの制御部6がスレーブの小便器装置Zへ動作タイミング情報を送信し、スレーブの小便器装置Zの制御部6は、受信した動作タイミング情報に基づいてドップラーセンサ4を間欠動作させるようにしている。
【0214】
そして、マスタの小便器装置Zの制御部6が所定時間マスタとして機能して主制御機能を実行し、その後スレーブの小便器装置Zへマスタとしての権限を譲渡する点についても第1及び第2実施形態と同様である。
【0215】
ただし、第1及び第2実施形態の小便器洗浄システム1において、スレーブの小便器装置Zの制御部6は、マスタの小便器装置Zから動作許可信号Sig5を受信したときにだけドップラーセンサ4を動作させる制御を行っていたのに対して、この第3実施形態の小便器洗浄システム1では、スレーブの小便器装置Zの制御部6は、マスタの小便器装置Zから所定時間間隔で送信される動作タイミング情報に基づいて、自身でドップラーセンサ4を動作させるタイミングを判断するようにしている。
【0216】
そのため、マスタの小便器装置Zとスレーブの小便器装置Zとの間の通信回数を減少させることができ、小便器洗浄システム1全体としての消費電力を低減することができる。
【0217】
なお、第3実施形態において、各小便器装置Zが備えるドップラーセンサ4は、マスタの小便器装置Zによる制御内容と、マスタの小便器装置Zからスレーブの小便器装置Zへ送信する動作タイミング情報の内容とを変更することにより、図6に示す間欠動作タイミング、又は、図9に示す間欠動作タイミングのいずれか一方の間欠動作タイミングで動作させることができるので、ここではその説明を省略する。
【0218】
[制御部における処理の説明]
ここでは、第1小便器装置Aが備える制御部6のCPU12が行う処理について説明することとし、他の小便器装置ZのCPU12は同様の処理を行うため、その説明を省略することとする。
【0219】
図14は、第1小便器装置Aの制御部6がマスタとして機能する場合にCPU12が行う処理を示すフローチャートであり、このとき、第2小便器装置B及び第3小便器装置Cの各制御部6がスレーブとして機能する。
【0220】
また、図15は、第1小便器装置Aの制御部6がスレーブとして機能する場合にCPU12が行う処理を示すフローチャートであり、このとき、第2小便器装置B又は第3小便器装置Cのいずれか一方の制御部6がマスタとして機能する。
【0221】
[マスタとスレーブとの判断]
図14に示すように、第1小便器装置AのCPU12は、電源が投入されると、先ず、RAM14を参照して自身がマスタであるか否かの判断を行う(ステップS78)。
【0222】
このときCPU12は、RAM14内の特定領域に記憶しているマスタ情報を示す値を参照し、その値が1である場合に自身がマスタであると判断して処理をステップS79へ移し、マスタとして機能して主制御機能を実行する。
【0223】
ここで、仮にマスタ情報を示す値が0であった場合、CPU12は、処理を図15に示すステップS98へ移してスレーブとして機能し、従制御機能を実行する。
【0224】
[マスタ制御]
ステップS79においてCPU12は、RAM14内部のマスタタイマをスタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS80へ移す。
【0225】
ステップS80においてCPU12は、動作タイマをスタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS81へ移す。
【0226】
ステップS81においてCPU12は、マスタタイマをスタートさせてから30分が経過したか否かを判断する。
【0227】
ここで、マスタタイマをスタートさせてから30分が経過したと判断した場合にCPU12は、ROM13の所定領域を参照してマスタとしての権限を譲渡するスレーブの小便器装置Z(第2小便器装置B又は第3小便器装置C)を判定し、ここで判定した小便器装置Zへマスタ譲渡信号Sig7を送信し(ステップS88)、その後、処理をステップS89へ移す。
【0228】
このように、CPU12は、次に主制御機能を実行する他の制御手段を判定する判定手段としても機能する。
【0229】
ステップS89においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を送信した小便器装置Zからマスタ譲渡信号Sig7を受信したことを示す第3返信Sig10を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS90へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS91へ移す。
【0230】
ステップS90においてCPU12は、マスタタイマをリセットする処理を行い、その後、処理を図15に示すステップS98へ移す。
【0231】
また、ステップS91においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を送信した小便器装置Zとの通信が不可能であるとして、マスタ譲渡信号Sig7の送信先を変更する処理を行い、その後、処理をステップS88へ戻す。
【0232】
一方、ステップS81においてマスタタイマをスタートさせてから30分が経過していないと判断した場合にCPU12は、マスタタイマをスタートさせてからの時間が0分、又は、10分、又は、20分のいずれかに該当するか否かの判断を行い(ステップS82)、該当すると判断した場合に処理をステップS83へ移し、該当しないと判断した場合に処理をステップS92へ移す。
【0233】
ステップS92においてCPU12は、現在が自身(第1小便器装置A)のドップラーセンサ4の動作を開始させるタイミングであるか否かの判断を行い、ドップラーセンサ4の動作を開始させるタイミングであると判断した場合に処理をステップS93へ移し、ドップラーセンサ4の動作を開始させるタイミングではないと判断した場合に処理をステップS80へ戻す。
【0234】
ステップS93においてCPU12は、ドップラーセンサ4を動作させて、100ms間人体及び尿を検知する制御を行い、その後、処理をステップS80へ戻す。
【0235】
また、ステップS83においてCPU12は、第2小便器装置Bへドップラーセンサ4の間欠動作開始タイミング指定する情報と、間欠動作中におけるドップラーセンサ4の動作間隔を指定する情報と、ドップラーセンサ4の間欠動作期間を指定する情報とを含む動作タイミング情報を一度に送信する処理を行い、その後、処理をステップS84へ移す。
【0236】
ステップS84においてCPU12は、第2小便器装置Bから動作タイミング情報を受信したことを示す第1返信Sig8を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS85へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS94へ移す。
【0237】
ステップS94においてCPU12は、動作タイマを参照して動作タイマをスタートさせてから10msが経過したか否かの判断を行い、経過したと判断した場合に処理をステップS95へ移し、経過していないと判断した場合に処理をステップS83へ戻す。
【0238】
ステップS95においてCPU12は、第2小便器装置Bが通信不能状態であると判断して、以後、第2小便器装置Bとの通信を行わないようにする設定を行い、その後、処理をステップS85へ移す。
【0239】
ステップS85においてCPU12は、第3小便器装置Cへドップラーセンサ4の間欠動作開始タイミング指定する情報と、間欠動作中におけるドップラーセンサ4の動作間隔を指定する情報と、ドップラーセンサ4の間欠動作期間を指定する情報とを含む動作タイミング情報を一度に送信する処理を行い、その後、処理をステップS86へ移す。
【0240】
ステップS86においてCPU12は、第3小便器装置Cから動作タイミング情報を受信したことを示す第1返信Sig8を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS87へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS96へ移す。
【0241】
ステップS96においてCPU12は、動作タイマを参照して動作タイマをスタートさせてから20msが経過したか否かの判断を行い、経過したと判断した場合に処理をステップS97へ移し、経過していないと判断した場合に処理をステップS85へ戻す。
【0242】
ステップS97においてCPU12は、第1小便器装置Aが通信不能状態であると判断して、以後、第1小便器装置Aとの通信を行わないようにする設定を行い、その後、処理をステップS87へ移す。
【0243】
ステップS87においてCPU12は、自身(第1小便器装置A)の動作タイミングを調整する処理を行い、その後、処理をステップS80へ戻す。すなわち、CPU12は、ステップS95及びステップS97で行った処理に基づいて、第2小便器装置B及び第3小便器装置Cの通信可能状態を参照し、いずれかのスレーブの小便器装置Zが通信不能となっている場合に、これまで300ms間隔で自身のドップラーセンサ4の動作を開始させていた動作タイミングを、以後、ドップラーセンサ4を200ms間隔で動作開始させるように再調整する処理を行い、その後、処理をステップS80へ戻す。
【0244】
[スレーブ制御]
ここでは、第1小便器装置Aの制御部6がスレーブとして機能する場合に行う処理について説明する。
【0245】
30分間マスタとして機能した第1小便器装置Aの制御部6、又は、電源投入時にスレーブに設定されている第1小便器装置Aの制御部6は、図15に示すように、先ずマスタの小便器装置Z(ここでは、第2小便器装置B又は第3小便器装置Cの制御部6)からマスタ譲渡信号Sig7を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS99へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS100へ移す。
【0246】
ステップS99においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を受信したことを示す第3返信Sig10をマスタの小便器装置Zへ送信する処理を行い、その後、処理を図14に示すステップS79へ移す。
【0247】
一方、ステップS98において第3返信Sig10を受信していないと判断した場合にCPU12は、スレーブとして機能して、マスタの小便器装置Zから動作タイミング情報を受信したか否かの判断を行い(ステップS100)、受信したと判断した場合に処理をステップS101へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS103へ移す。
【0248】
ステップS101においてCPU12は、マスタの小便器装置Zへ動作タイミング情報を受信したことを示す第1返信Sig8を送信する処理を行い、その後、処理をステップS102へ移す。
【0249】
ステップS102においてCPU12は、動作タイミングを調整する処理を行い、その後、処理をステップS98へ戻す。すなわち、CPU12は、マスタの小便器装置Zから受信した動作タイミング情報を参照して、自身(第1小便器装置A)のドップラーセンサ4の間欠動作開始タイミング、間欠動作中におけるドップラーセンサ4の動作間隔、ドップラーセンサ4の間欠動作期間のうち、変更されているものがあれば、その変更に従ってドップラーセンサ4の動作タイミングを調整し、その後、処理をステップS98へ戻す。
【0250】
また、ステップS103においてCPU12は、現在が自身(第1小便器装置A)のドップラーセンサ4の動作を開始させるタイミングであるか否かの判断を行い、ドップラーセンサ4の動作を開始させるタイミングであると判断した場合に処理をステップS104へ移し、ドップラーセンサ4の動作を開始させるタイミングではないと判断した場合に処理をステップS98へ戻す。
【0251】
ステップS104においてCPU12は、ドップラーセンサ4を動作させて、100ms間人体及び尿を検知する制御を行い、その後、処理をステップS98へ戻す。
【0252】
なお、第3実施形態では、3個の小便器装置Zからなる小便器洗浄システム1を例に挙げて説明したが、4個以上の小便器装置Zによりこの小便器洗浄システム1を構成することもできる。
【0253】
ただし、その場合には、図14に示すマスタ制御のフローチャートに記載したステップS83、ステップS84、ステップS94、ステップS95と同様の処理フローを、スレーブの小便器装置Zの個数分追加する必要がある。
【0254】
そして、追加したステップS83に対応する各処理においては、動作タイミング情報の送信先が各スレーブの小便器装置Zとなり、ステップS95に対応する各処理においては、通信不能と判断される対象が第1返信Sig8を送信しなかった各小便器装置Zとなる。
【0255】
また、ステップS94に対応する各処理においては、複数のスレーブの小便器装置Zにおいて動作タイミング情報が送信される順番に10msを乗じた分の時間がそれぞれ代入されることとなる。
【0256】
以上、第1〜第3実施形態に記載したように、本実施形態に係る小便器洗浄システム1によれば、複数の小便器装置Zのうちの一つをマスタとし、その他の小便器装置Zをスレーブとして、マスタの小便器装置Zがドップラーセンサ4を動作させた後に、マスタの小便器装置Zからスレーブの小便器装置Zへ動作タイミング情報を送信し、この動作タイミング情報に基づいてスレーブの小便器装置Zに設けたドップラーセンサ4を動作させるようにしているので、スレーブの小便器装置Zに設けたドップラーセンサ4は、マスタの小便器装置Zの制御部6が決定した所定のタイミングで間欠動作することになり、複数のドップラーセンサ4が同時期に電波Sig1の発信及び反射波Sig2の受信を行うことがない。
【0257】
したがって、異なるドップラーセンサ4が発信する電波Sig1、及び、受信する反射波Sig2同士が干渉することがなく、小便器装置Zの自動洗浄機能が誤作動を起こすことがない。
【0258】
これにより、自動洗浄機能を持たせた小便器装置Zを複数連設する際に、周波数の異なる電波Sig1を発信する複数種類のドップラーセンサ4を用意しておく必要がなく、同一又は近い周波数の電波を発信するドップラーセンサ4を用意しておけばよいので、小便器装置Z及びドップラーセンサ4の製造コストに対する利益の還元率を向上させることができる。
【0259】
しかも、小便器装置Zを増設する際や、小便器装置Zの保守点検を行う際に、各ドップラーセンサ4の仕様を確認するなどといった煩雑な作業を行う必要がないので、小便器装置Zの増設作業や保守点検作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0260】
【図1】小便器洗浄システムを示す概略図である。
【図2】小便器装置を示す断面模式図である。
【図3】自動洗浄ユニットを示す機能ブロック図である。
【図4】尿検知を行う際のドップラーセンサの動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】人体検知を行う際のドップラーセンサの動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】各小便器装置の間欠動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】第1実施形態の小便器装置の制御部における処理を示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態の小便器装置の制御部における処理を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態における各制御部同士の通信タイミング及び、各ドップラーセンサの動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】第2実施形態における小便器装置の制御部で行う処理を示すフローチャートである。
【図11】第2実施形態における小便器装置の制御部で行う処理を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態における小便器装置の制御部で行う処理を示すフローチャートである。
【図13】第2実施形態における小便器装置の制御部で行う処理を示すフローチャートである。
【図14】第3実施形態における小便器装置の制御部で行う処理を示すフローチャートである。
【図15】第3実施形態における小便器装置の制御部で行う処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0261】
1 小便器洗浄システム
2 小便器
3 自動洗浄ユニット
4 ドップラーセンサ
5 バルブ
6 都度制御部
7 給水管
8 排水管
9 発信部
10 受信部
11 差分信号生成部
12 CPU
13 ROM
14 RAM
15 バルブ駆動部
16 ドップラーセンサ駆動部
17 通信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動洗浄機能を備えた小便器洗浄システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、公共施設等のトイレには、概ね1メートル以内の間隔を空けて連設された複数の小便器のそれぞれに、人体や尿を検知して自動的に小便器の洗浄を行う自動洗浄機能を持たせた小便器洗浄システムが導入されていた。
【0003】
ところが、この小便器洗浄システムは、自動洗浄機能を持たせた小便器が複数併設されることから、各小便器に設けられ人体や尿を検知するドップラーセンサを同時に動作させると、各ドップラーセンサから発信される電波同士が干渉して自動洗浄機能が誤作動を起こすおそれがあった。
【0004】
つまり、この小便器洗浄システムの場合、あるドップラーセンサから発信される電波の届く範囲内に、他のドップラーセンサが設けられることになるので、併設される小便器に設けられた各ドップラーセンサが発信する電波の周波数と人体や尿の検知に用いる電波の周波数同士が近いと、それぞれの電波同士が干渉するといった問題があった。
【0005】
このような問題を解消するため、電波同士の干渉が起こらないように周波数を所定間隔でずらした数種類のドップラーセンサを用意して、所定のエリアに周波数の近い小便器同士が配置されないように施工していた。そのために、施工時や故障時に、所定のエリアに周波数の近い小便器同士が配置されないように配慮しなければいけなかった。
【0006】
また、上記した小便器洗浄システムにおけるドップラーセンサの電波干渉について、ドップラーセンサの電源投入時に発生する電波同士の干渉を防止するものが考案されている(たとえば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2004−293046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来の小便器洗浄システムでは、ドップラーセンサの電源投入時における電波同士の干渉の発生は防止できるものの、所定のエリアに周波数の近い電波を発信するドップラーセンサを備えた小便器同士が配置されないように配慮しなければならないという点に変わりはなく、未だ改良の余地があった。
【0008】
すなわち、この小便器洗浄システムでは、ドップラーセンサの電波の到達距離が数メートルであり、この小便器洗浄システムでは、ドップラーセンサの電波到達距離よりも短い概ね1メートル以内の間隔で小便器が設置されるので、電波干渉防止のために、数種類の周波数の異なるドップラーセンサを設けて、近い周波数同士の小便器は所定の距離を離すように対応する必要があり、こうするためには、数種類の周波数の異なるドップラーセンサを準備しなければならず、ドップラーセンサを供えた小便器の製造コストに対する利益の還元率を低下させるおそれがあった。
【0009】
また、小便器洗浄システムの保守や点検を行ってドップラーセンサを取替える時には、取替える前と同じ周波数のドップラーセンサが必要になり、新たにトイレ内に小便器を増設する時には、既に設置されている小便器のドップラーセンサの周波数を確認して、その周波数とは異なるドップラーセンサを準備しなければならず、その作業が煩雑であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、請求項1に係る本発明では、複数の小便器と、複数の小便器にそれぞれ設けられ、小便器内のボール部へ向けて電波を発信する発信手段と、発信手段により発信した電波の反射を受信する受信手段と、発信した電波の周波数と受信した電波の周波数との差分信号を生成する差分信号生成手段とを備えたドップラーセンサと、複数の小便器にそれぞれ設けられ、差分信号に基づいて人体又は尿を検知する制御手段と、制御手段による検知結果に基づいて便器の洗浄を行う洗浄手段とを有する小便器洗浄システムにおいて、小便器にそれぞれ設けられ、制御手段の制御により他の制御手段との間で通信を行う通信手段を備え、複数の小便器のうちの一つに設けられた制御手段は、この制御手段を含む各制御手段によって制御される各ドップラーセンサを、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるべく、通信手段を介して他の小便器の制御手段へ、ドップラーセンサの動作タイミングを指定する動作タイミング情報を送信する主制御機能を実行し、動作タイミング情報を受信した各制御手段は、動作タイミング情報に基づいて、各ドップラーセンサをそれぞれ間欠動作させる従制御機能を実行することを特徴する。
【0011】
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に記載の小便器洗浄システムにおいて、動作タイミング情報は、他の小便器に設けられた各ドップラーセンサの間欠動作の開始タイミングを指定する情報、及び、間欠動作中における各ドップラーセンサの動作間隔を指定する情報、及び、各ドップラーセンサの間欠動作期間を指定する情報を含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る本発明では、請求項1又は請求項2に記載の小便器洗浄システムにおいて、動作タイミング情報は、他の小便器に設けられた制御手段に、ドップラーセンサの動作開始を許可する動作開始許可情報を含み、従制御機能を実行する制御手段は、通信手段を介して動作開始許可情報を受信する度に、ドップラーセンサを間欠動作させることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に係る本発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の小便器洗浄システムにおいて、主制御機能を実行している制御手段は、次に主制御機能を実行する他の制御手段を判定する判定手段を備え、判定手段により判定した制御手段へ、通信手段を介して、主制御機能の実行を許可する主制御機能開始許可情報を所定のタイミングで送信した後、従制御機能を実行することを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に係る本発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の小便器洗浄システムにおいて、各制御手段は、第1の間欠動作期間前記ドップラーセンサを間欠動作させて人体を検知した後、尿を検知するために第1の間欠動作期間よりも短い第2の間欠動作期間前記ドップラーセンサを動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、以下に記載するような効果を奏する。
【0016】
すなわち、請求項1に係る本発明では、複数の小便器と、複数の小便器にそれぞれ設けられ、小便器内のボール部へ向けて電波を発信する発信手段と、発信手段により発信した電波の反射を受信する受信手段と、発信した電波の周波数と受信した電波の周波数との差分信号を生成する差分信号生成手段とを備えたドップラーセンサと、複数の小便器にそれぞれ設けられ、差分信号に基づいて人体又は尿を検知する制御手段と、制御手段による検知結果に基づいて便器の洗浄を行う洗浄手段とを有する小便器洗浄システムにおいて、小便器にそれぞれ設けられ、制御手段の制御により他の制御手段との間で通信を行う通信手段を備え、複数の小便器のうちの一つに設けられた制御手段は、この制御手段を含む各制御手段によって制御される各ドップラーセンサを、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるべく、通信手段を介して他の小便器の制御手段へ、ドップラーセンサの動作タイミングを指定する動作タイミング情報を送信する主制御機能を実行し、動作タイミング情報を受信した各制御手段は、動作タイミング情報に基づいて、各ドップラーセンサをそれぞれ間欠動作させる従制御機能を実行することを特徴するため、自動洗浄機能を持たせた小便器を複数連設する際、設置する小便器の台数に関係なく、各小便器に同一周波数の電波を発信するドップラーセンサを流用することができるので、製造コストに対する利益の還元率を向上させることができ、しかも、小便器を増設する際や、小便器の保守点検を行う際に、各ドップラーセンサの仕様を確認するなどといった煩雑な作業を行う必要がないので、小便器の増設作業や保守点検作業を容易に行うことができる。
【0017】
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に記載の小便器洗浄システムにおいて、動作タイミング情報は、他の小便器に設けられた各ドップラーセンサの間欠動作の開始タイミングを指定する情報、及び、間欠動作中における各ドップラーセンサの動作間隔を指定する情報、及び、各ドップラーセンサの間欠動作期間を指定する情報を含むことを特徴とするため、主制御機能を実行する制御手段による動作タイミング情報の送信回数を可及的に低減することができ、通信手段の動作に要する消費電力を可及的に低減することができる。
【0018】
また、請求項3に係る本発明では、請求項1又は請求項2に記載の小便器洗浄システムにおいて、動作タイミング情報は、他の小便器に設けられた制御手段に、ドップラーセンサの動作開始を許可する動作開始許可情報を含み、従制御機能を実行する制御手段は、通信手段を介して動作開始許可情報を受信する度に、ドップラーセンサを間欠動作させることを特徴とするため、各ドップラーセンサの動作期間が重複することを確実に防止することができ、自動洗浄機能の誤動作を確実に防止することができる。
【0019】
また、請求項4に係る本発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の小便器洗浄システムにおいて、主制御機能を実行している制御手段は、次に主制御機能を実行する他の制御手段を判定する判定手段を備え、判定手段により判定した制御手段へ、通信手段を介して、主制御機能の実行を許可する主制御機能開始許可情報を所定のタイミングで送信した後、従制御機能を実行することを特徴とするため、複数の小便器に設けられている制御手段に、主制御機能を順番に実行させることができるので、制御手段毎の消費電力を均一化させることができる。
【0020】
また、請求項5に係る本発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の小便器洗浄システムにおいて、各制御手段は、第1の間欠動作期間前記ドップラーセンサを間欠動作させて人体を検知した後、尿を検知するために第1の間欠動作期間よりも短い第2の間欠動作期間前記ドップラーセンサを動作させることを特徴とするため、制御手段が尿を検知する際のドップラーセンサの間欠動作期間を短縮した分、ドップラーセンサの間欠動作周期を短くすることができるので、人体や尿の検知精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る小便器洗浄システムは、トイレの利用者(人体)や利用者の尿を検知して、利用後の便器を自動的に洗浄する自動洗浄機能を備えた小便器装置を複数併設してなるシステムであり、公共施設のトイレ等、複数の便器を設置するトイレに適用するシステムである。
【0022】
そして、この小便器洗浄システムは、併設した複数の小便器と、これら複数の小便器にそれぞれ設けられ、各小便器内のボール部へ向けてマイクロ波(以下、「電波」という。)を発信する発信手段と、この発信手段により発信した電波の反射を受信する受信手段と、発信手段が発信した電波の周波数と受信手段が受信した電波の周波数との差分を示す差分信号を生成する差分信号生成手段とを備えたドップラーセンサと、各小便器にそれぞれ設けられ、差分信号生成手段から出力される差分信号に基づいて人体又は尿を検知する制御手段と、この制御手段による検知結果に基づいて小便器の洗浄を自動的に行う洗浄手段とを備えている。
【0023】
特に、この小便器洗浄システムを構成している各小便器には、上記した制御手段の制御により他の小便器が備える制御手段との間で相互に通信を行う通信手段を備えており、各通信手段間で互いに通信することにより、近傍に配設された小便器が備えるドップラーセンサから発信及び受信される電波同士が干渉することによる自動洗浄機能の誤作動を防止するようにしている。
【0024】
すなわち、この小便器洗浄システムにおいて、複数の小便器のうちの一つに設けられた制御手段は、この制御手段を含む各制御手段によって制御される各ドップラーセンサを、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるべく、通信手段を介して他の小便器が備える制御手段へ、ドップラーセンサの動作タイミングを指定する動作タイミング情報を送信する主制御機能を実行し、動作タイミング情報を受信した各制御手段は、動作タイミング情報に基づいて、各ドップラーセンサをそれぞれ間欠動作させる従制御機能を実行するようにしている。
【0025】
これにより、複数の小便器にそれぞれ設けているドップラーセンサが同時に電波の発信・受信をすることがなくなるので、近傍に配設されたドップラーセンサから発信及び受信される電波同士が干渉して自動洗浄機能が誤作動を起こすといった問題を解消することができる。
【0026】
しかも、この小便器洗浄システムによれば、全てのドップラーセンサが同じ、又は、近い周波数の電波を用いて人体や尿の検知を行う場合であっても、電波同士の干渉が起こることがないので、複数種類の周波数の電波を発信及び受信するドップラーセンサを用意しておく必要がなく、自動洗浄機能を持たせた小便器を複数連設する際、設置する小便器の台数に関係なく、各小便器に同一周波数の電波を発信するドップラーセンサを流用することができるので、製造コストに対する利益の還元率を向上させることができ、しかも、小便器を増設する際や、小便器の保守点検を行う際に、各ドップラーセンサの仕様を確認するなどといった煩雑な作業を行う必要がないので、小便器の増設作業や保守点検作業を容易に行うことができる。
【0027】
また、主制御機能を実行する制御手段から従制御機能を実行する制御手段へ送信する動作タイミング情報は、従制御機能を実行する制御手段が設けられている他の小便器の各ドップラーセンサによる間欠動作の開始タイミングを指定する情報、間欠動作中における各ドップラーセンサの動作間隔を指定する情報と、各ドップラーセンサの間欠動作期間を指定する情報を含むようにしている。
【0028】
そのため、主制御機能を実行する制御手段による動作タイミング情報の送信回数を可及的に低減することができ、通信手段の動作に要する消費電力を可及的に低減することができる。
【0029】
また、この動作タイミング情報に換えて、他の小便器に設けられ従制御機能を実行する制御手段に、ドップラーセンサの動作開始を許可する動作開始許可情報を動作タイミング情報として用いることもでき、このとき、従制御機能を実行する制御手段は、通信手段を介して動作開始許可情報を受信する度に、ドップラーセンサを間欠動作させる。
【0030】
このような動作タイミング情報を用いた場合に、従制御機能を実行する制御手段は、所定期間ドップラーセンサを動作させた後にその動作を停止させるようにさせるか、若しくは、主制御機能を実行する制御手段が従制御機能を実行する制御手段へ、その動作を禁止させる情報を含む動作禁止信号を送信することにより、従制御機能を実行している制御手段にドップラーセンサの動作を停止させるようにする。
【0031】
これにより、従制御機能を実行する各制御手段は、主制御機能を実行する制御手段が決定した所定のタイミングに同期させてドップラーセンサを動作させることになるので、各ドップラーセンサの動作期間が重複することがなく、自動洗浄機能の誤動作を確実に防止することができる。
【0032】
また、主制御機能を実行する制御手段は、所定期間主制御機能を実行した後に、主制御機能を実行する権限を他の小便器に設けられている制御手段に譲渡するようにしている。
【0033】
これにより、主制御機能を実行する制御手段が処理する情報量や、その処理に伴う消費電力量を低減することができる。
【0034】
すなわち、主制御機能を実行している制御手段は、次に主制御機能を実行する他の制御手段を判定する判定手段を備えており、この判定手段により判定した制御手段へ、通信手段を介して、主制御機能の実行する権限を譲渡するための信号を所定のタイミングで送信した後、今度は従制御機能を実行するようにしている。
【0035】
これにより、複数の小便器に設けられている制御手段に、主制御機能を順番に実行させることができるので、制御手段毎の消費電力を均一化させることができる。
【0036】
また、ドップラーセンサにより人体や尿等の対象物を検知する場合には、検出しようとする対象物の動きの種類によって、その対象物から反射される電波に特有の周波数がある。
【0037】
そのため、シャノンの定理より、ドップラーセンサ動作中のサンプリング周波数は対象物特有の動きの周波数と比較して少なくとも2倍のサンプリング周波数が必要になる。
【0038】
一般に、人体に反射した反射波の周波数は、尿に反射した反射波の周波数より低い、従って、尿に反射した反射波の周期は、人体に反射した反射波の周期よりも短い。
【0039】
そのため、尿を検知する際のサンプリング周波数は、人体を検知する際のサンプリング周波数よりも高くする必要があるが、常に周波数の高い方のサンプリング周波数でサンプリングを行えば尿と人体との両方を検知することができため、本小便器洗浄システムでは、尿を検知する際に用いるサンプリング周波数でのサンプリングにより人体の検知も行うようにしている。
【0040】
そして、各制御手段は、この尿を検知可能なサンプリング周波数で第1の間欠動作期間前記ドップラーセンサを間欠動作させて人体を検知した後、尿を検知するために、同じサンプリング周波数で第1の間欠動作期間よりも短い第2の間欠動作期間前記ドップラーセンサを動作させるようにしている。
【0041】
すなわち、この小便器洗浄システムでは、1種類のサンプリング周波数でドップラーセンサを動作させて人体と尿とを検知するようにしているので、尿を検知する時間が人体を検知する時間よりも短くてすみ、その結果、制御手段が尿を検知する際のドップラーセンサの間欠動作期間が短縮され、その分ドップラーセンサの間欠動作周期を短くすることができ、これにより人体や尿の検知精度を向上させることができる。
【0042】
以下、本発明に係る小便器洗浄システムの第1実施形態〜第3実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明では、自動洗浄機能を備えた第1〜第3の3つの小便器装置を併設したトイレに、本発明の小便器洗浄システムを適用した場合を例に挙げて説明するが、併設する小便器装置の数はこれに限定されるものではない。
【0043】
また、以下の説明において、制御手段が主制御機能を実行する小便器装置をマスタとし、制御手段が従制御機能を実行する小便器装置をスレーブとして説明する。
【0044】
[第1実施形態]
第1実施形態において、図1は小便器洗浄システムを示す概略図であり、図2は小便器装置を示す断面模式図であり、図3は自動洗浄ユニットを示す機能ブロック図であり、図4は尿検知を行う際のドップラーセンサの動作タイミングを示すタイミングチャートであり、図5は人体検知を行う際のドップラーセンサの動作タイミングを示すタイミングチャートであり、図6は各小便器装置の間欠動作タイミングを示すタイミングチャートであり、図7及び図8は第1実施形態に係る小便器装置の制御手部における処理を示すフローチャートである。
【0045】
[第1実施形態における小便器洗浄システムの概要の説明]
第1実施形態に係る小便器洗浄システム1は、図1に示すように、トイレ内に併設された第1小便器装置A、第2小便器装置B、第3小便器装置Cという3つの小便器装置を備えている。以下、第1〜第3の各小便器装置A、B、Cを総称して小便器装置Zともいう。
【0046】
[小便器装置の説明]
これら各小便器装置Zは、図1及び図2に示すように、小便器2と、各小便器2の利用者、及び、その利用者の尿を検知して、利用後の小便器2を自動的に洗浄する自動洗浄ユニット3とを備えている。
【0047】
この自動洗浄ユニット3は、小便器2の上側内部に設けられており(図2参照)、その小便器の利用者と、その利用者の尿を検知するドップラーセンサ4と、小便器2への洗浄水の給水と止水とを切替えるバルブ5と、これらドップラーセンサ4及びバルブ5の動作を制御すると共に、他の小便器装置Zとの間で相互通信を行う制御手段として機能する制御部6とを備えている。なお、図2に示す符号7は小便器2へ洗浄水を供給する給水管であり、符号8は小便器2から洗浄水を排水する排水管である。
【0048】
ドップラーセンサ4は、図3に示すように、小便器2のボール部へ向けて所定周波数の電波Sig1を発信する発信手段として機能する発信部9と、この発信部9から発信した電波Sig1の反射波Sig2を受信する受信手段として機能する受信部10と、発信部9から発信した電波Sig1の周波数と受信部10が受信した反射波Sig2の周波数との差分を示す差分信号Sig3を生成する差分信号生成手段として機能する差分信号生成部11とを備えている。
【0049】
これら発信部9、受信部10、差分信号生成部11は、それぞれ制御部6から入力される制御信号Sig4に基づいて動作するものである。
【0050】
バルブ5は、制御部6から入力される制御信号Sig4に基づいて開閉する電磁弁である。
【0051】
制御部6は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)12と、このCPU12とバスにより接続されたROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、バルブ駆動部15と、ドップラーセンサ駆動部16と、通信部17とを備えている。
【0052】
CPU12は、自動洗浄ユニット3全体の動作制御を行う演算装置であり、バルブ駆動部15、ドップラーセンサ駆動部16、通信部17のそれぞれにバスを介してコマンドを送信して、バルブ駆動部15、ドップラーセンサ駆動部16、通信部17をそれぞれ動作させる制御を行う制御手段として機能するものである。
【0053】
すなわち、このCPU12は、ドップラーセンサ4を動作させるためのコマンドを所定のタイミングでドップラーセンサ駆動部16へ送信する他、ドップラーセンサ4から入力される差分信号Sig3に基づいて人体及び尿を検知し、その検知結果に基づいて利用者が排尿を終了したことを検知した場合には、バルブ5を開放させるためのコマンドをバルブ駆動部15へ送信し、その所定時間後に、バルブ5を閉塞させるためのコマンドをバルブ駆動部15へ送信する。
【0054】
また、このCPU12は、他の小便器装置Zとの間で相互通信を行う場合に通信部17へコマンドを送信する。
【0055】
ROM13は、CPU12の動作プログラムや、後述する動作タイミング情報等を記憶した記憶領域である。
【0056】
RAM14は、CPU12が処理を行う際に、ROM13から動作プログラムを読み出して作業を行う作業領域として機能する他、処理に用いる各種設定値等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。
【0057】
バルブ駆動部15は、CPU12からバスを介して送信されるコマンドに従って動作し、バルブ5の開放又は閉塞を指示する制御信号を生成してバルブ5へ入力する回路である。
【0058】
ドップラーセンサ駆動部16は、CPU12からバスを介して送信されるコマンドに従って動作し、ドップラーセンサ4が備える発信部9と受信部10と差分信号生成部11とにそれぞれ制御信号Sig4を入力すると共に、差分信号生成部11から入力される差分信号Sig3をCPU12へ送信する回路である。
【0059】
通信部17は、CPU12からバスを介して送信されるコマンドに従って動作し、他の小便器装置Zへ所定の情報を送信すると共に、他の小便器装置Zから所定の情報を受信する無線通信回路である。
【0060】
また、この通信部17では、Bluetoothと同種の技術を用いて、Bluetoothよりも通信距離は短いが、Bluetoothよりも消費電力が非常に小さく、一つのネットワークで最大255台の器機と通信可能であるといった利点からZigbeeと呼ばれる短距離無線通信規格を用いて無線通信を行うようにしている。
【0061】
そして、この通信部17が設けられている小便器装置Zがマスタである場合には、スレーブである他の小便器装置Zへスレーブが備えるドップラーセンサ4の動作タイミングを指定する動作タイミング情報を送信し、スレーブである他の小便器装置Zから後述する返信を受信する。
【0062】
一方、この通信部17が設けられている小便器装置Zがスレーブである場合には、マスタである他の小便器装置Zから動作タイミング情報を受信し、マスタの小便器装置Zへ動作タイミング情報を受信したことを示す返信を送信する。
【0063】
このように構成した小便器装置Zでは、尿を検知する場合、図4に示す発信タイミングでドップラーセンサ4の発信部9から電波Sig1を発信し、図4に示す取込タイミングで差分信号生成部11が電波Sig1と反射波Sig2とを取込む(サンプリングする)ようにしている。
【0064】
一般に、発信部9から発信した電波Sig1が尿に反射した反射波Sig2の周波数は、図4に示す180Hz近傍の値をとるため、その周期はほぼ5.5msとなる。
【0065】
そのため、この小便器装置Zでは、シャノンの定理に基づいて反射波Sig2の周期の2倍以上である2msのサンプリング周期で差分信号生成部11が電波Sig1と反射波Sig2とを取込むようにしている。
【0066】
また、この小便器装置Zでは、人体を検知する場合、図5に示す発信タイミングでドップラーセンサ4の発信部9から電波Sig1を発信し、図5に示す取込タイミングで差分信号生成部11が電波Sig1と反射波Sig2とを取込む(サンプリングする)ようにしている。
【0067】
一般的に、発信部9から発信した電波Sig1が人体に反射した反射波Sig2の周波数は、図5に示す20Hz近傍の値をとるため、その周期はほぼ50msとなる。
【0068】
そのため、この小便器装置Zでは、50msの周期の2倍以上であって、尿を検知する際に用いるサンプリング周波数と同じ2msのサンプリング周期で差分信号生成部11が電波Sig1と反射波Sig2とを取込むようにしている。
【0069】
[各小便器装置の動作タイミングの説明]
また、この小便器洗浄システム1では、各小便器装置Zに設けている制御部6が通信手段として機能して、他の小便器装置Zとの間で相互に無線通信を行い、各小便器装置Zに設けているドップラーセンサ4を、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるようにしている。
【0070】
すなわち、第1実施形態の小便器洗浄システム1では、図6に示すように、第1小便器装置Aが備えるドップラーセンサ4の発信部9から100msの期間電波Sig1を発信させた後電波Sig1の発信を停止させ、その後、第2小便器装置Bが備えるドップラーセンサ4の発信部9から100msの期間電波Sig1を発信させた後電波Sig1の発信を停止させ、その後、第3小便器装置Cが備えるドップラーセンサ4の発信部9から100msの期間電波Sig1を発信させた後電波Sig1の発信を停止させるようにしている。
【0071】
このとき、差分信号生成部11は、その差分信号生成部11が設けられているドップラーセンサ4の発信部9が電波Sig1を発信している期間だけ図4及び図5に示す取込タイミングで発信部9が発信した電波Sig1と受信部10が受信した反射波Sig2とを取込むようにしており、それ以外の期間は電波Sig1と反射波Sig2の取込みを行わないようにしている。
【0072】
このように各小便器装置Zのドップラーセンサ4を、それぞれその動作期間が重複しないように間欠動作させることによって、複数のドップラーセンサ4が同時期に電波Sig1の発信と反射波Sig2の受信とを行うことがなくなるので、電波Sig1や反射波Sig2同士が干渉することがなくなり、自動洗浄機能が誤作動を起こすことを防止することができる。
【0073】
また、この小便器洗浄システム1では、複数の小便器装置Zのうちの一つの小便器装置Zをマスタとして機能させると共に、その他の小便器装置Zをスレーブとして機能させるようにしている。
【0074】
そして、マスタの小便器装置Zの制御部6に主制御機能を実行させ、スレーブの小便器装置Zへ、スレーブの小便器装置Zに設けているドップラーセンサ4の動作タイミングを指定する動作タイミング情報を所定のタイミングで送信させるようにしている。
【0075】
この動作タイミング情報には、スレーブの小便器装置Zにドップラーセンサ4の動作開始を許可する動作許可信号Sig5と、スレーブの小便器装置Zにドップラーセンサ4の動作を禁止する動作禁止信号Sig6とがある。
【0076】
スレーブの小便器装置Zでは、これらの動作タイミング情報を受信したら、その都度制御部6が従制御機能を実行して、受信した動作タイミング情報に基づいてドップラーセンサ4を間欠動作させるようにしている。
【0077】
また、スレーブの小便器装置Zは、受信した動作タイミング情報の種類の応じてその動作タイミング情報を受信したことを示す第1返信Sig8、第2返信Sig9という2種類の返信をマスタの小便器装置Zへ送信するようにしている。
【0078】
このように、本実施形態の小便器洗浄システム1では、マスタの小便器装置Zの制御部6がスレーブの小便器装置Zのドップラーセンサ4の動作を管理するようにしているため、各ドップラーセンサ4の動作をそれぞれ同期させることができ、各ドップラーセンサ4の動作期間が重複することを確実に防止することができる。
【0079】
また、マスタの小便器装置Zが備える制御部6は、所定時間主制御機能を実行した後、マスタとしての権限を複数のスレーブの小便器装置Zのうちの一つに譲渡する処理を行って、その後はスレーブとして機能して従制御機能を実行する。
【0080】
一方、マスタとしての権限を譲渡されたスレーブの小便器装置Zは、マスタとして機能して所定時間主制御機能を実行し、その後、さらに他のスレーブの小便器装置Zへマスタとしての権限を譲渡するようにしている。
【0081】
[制御部における処理の説明]
ここで、上記のように小便器装置Zの動作制御を行う制御部6においてCPU12が行う処理について説明する。なお、ここでは、第1小便器装置Aの制御部6が行う処理を例に挙げて説明するが、第2小便器装置B及び第3小便器装置Cも同様の処理を行うため、その説明は省略する。
【0082】
[マスタとスレーブとの判断]
CPU12は、電源が投入されると、図7に示すように、先ずRAM14を参照して自身がマスタであるか否かの判断を行う(ステップS1)。
【0083】
このときCPU12は、RAM14内の特定領域に記憶しているマスタ情報を示す値を参照し、その値が1である場合に自身がマスタであると判断して処理をステップS2へ移し、マスタとして機能して主制御機能を実行する。
【0084】
一方、ステップS1においてCPU12は、マスタ情報を示す値が0である場合に自身がマスタでなくスレーブであると判断して、処理を図8に示すステップS34へ移してスレーブとして機能し、従制御機能を実行する。
【0085】
[マスタ制御]
ステップS2においてCPU12は、RAM14内部のマスタタイマをスタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS3へ移す。このマスタタイマは、自身がマスタとして機能している時間をカウントするためのタイマである。
【0086】
ステップS3においてCPU12は、マスタタイマを参照してマスタタイマをスタートさせてから30分が経過したか否かを判断し、30分が経過していないと判断した場合に処理をステップS4へ移し、30分が経過したと判断した場合に処理をステップS10へ移す。
【0087】
ステップS4においてCPU12は、RAM14内部の所定領域に格納している変数Iを1に設定する処理を行い、その後、処理をステップS5へ移す。ここで設定する変数Iは、各小便器装置Zにそれぞれ振り分けられた番号であり、この変数の値が自身に振り当てられた特定の値(ここでは1)となったときに、CPU12は自身がドップラーセンサ4を動作させる順番になったことを判断する。
【0088】
すなわち、本実施形態の小便器洗浄システム1では、第1小便器装置A、第2小便器装置B、第3小便器装置Cという3つの小便器装置Zを設けているので、第1小便器装置Aに対応する値を1、第2小便器装置Bに対応する値を2、第3小便器装置Cに対応する値を3としている。なお、N個の小便器装置Zを設ける場合には、変数Iを1〜Nとし、各小便器装置Zにそれぞれ対応した値を振り分けるようにする。
【0089】
ステップS5においてCPU12は、RAM14内部の動作タイマを一旦リセットした後スタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS6へ移す。この動作タイマは、ドップラーセンサ4を間欠動作させる100msの時間をカウントするためのタイマである。
【0090】
ステップS6においてCPU12は、RAM14を参照して変数Iの値が1であるか否かの判断を行う。
【0091】
ここで、CPU12は、変数Iが1であると判断した場合に、自身がドップラーセンサ4を動作させる順番であると判断して処理をステップS7へ移し、1でないと判断した場合に、自身がドップラーセンサ4を動作させる順番でないと判断して処理をステップS14へ移す。
【0092】
ステップS7においてCPU12は、電波送受信処理を行い、その後、処理をステップS20へ移す。
【0093】
この電波送受信処理においてCPU12は、ROM13からドップラーセンサ4を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介してドップラーセンサ駆動部16へドップラーセンサ4を動作させるためのコマンドを送信する。
【0094】
このコマンドを受信したドップラーセンサ駆動部16は、発信部9、受信部10、差分信号生成部11へ制御信号Sig4を出力することにより、図4及び図5に示すタイミングで発信部9に電波Sig1を送信させ、受信部10にその反射波Sig2を受信させ、差分信号生成部11に電波Sig1と反射波Sig2とを取込ませる。
【0095】
そして、差分信号生成部11は、電波Sig1の周波数と反射波Sig2の周波数との差分を示す差分信号Sig3を生成してドップラーセンサ駆動部16へ出力する。
【0096】
ドップラーセンサ駆動部16は、差分信号生成部11から入力された差分信号Sig3をバスを介してCPU12へ送信し、CPU12は受信した差分信号Sig3に基づいて人体や尿を検知する。
【0097】
ここでCPU12は、人体や尿の検知結果に応じて利用者の排尿が終了したと判断すると、バルブ駆動部15へバルブ5を開放させるためのコマンドを送信してバルブ5を開放させ、小便器2の洗浄を開始させる。
【0098】
そして、CPU12は、所定時間(たとえば5s)後に15へバルブ5を閉塞させるためのコマンドを送信してバルブ5を閉塞させ、小便器2の洗浄を終了する。
【0099】
ステップS20においてCPU12は、RAM14を参照して動作タイマをスタートさせてから100msが経過したか否かの判断を行い、100msが経過したと判断した場合に処理をステップS8へ移し、100ms経過していないと判断した場合には、100ms経過するまでの間ステップS20の処理を繰り返し行う。
【0100】
ステップS8においてCPU12は、RAM14を参照して変数Iに1を加算する処理を行い、その後、処理をステップS9へ移す。
【0101】
ステップS9においてCPU12は、RAM14を参照して変数Iが3(N個の小便器装置Zを設けた場合にはN)より大きいか否かの判断を行う。
【0102】
ここでCPU12は、変数Iが3よりも大きいと判断した場合に処理をステップS3へ移し、変数Iが3以下であると判断した場合に処理をステップS5へ戻す。
【0103】
また、ステップS6において変数Iの値が1でないと判断した場合にCPU12は、スレーブの小便器装置Z(第2小便器装置B又は第3小便器装置C)へ動作タイミング情報として、ドップラーセンサ4の動作開始を許可する動作許可信号Sig5を送信する処理を行い(ステップS14)、その後、処理をステップS15へ移す。
【0104】
このステップS14においてCPU12は、ROM13から通信部17を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介して通信部17へ動作許可信号Sig5を送信させるためのコマンドを送信する。
【0105】
そして、コマンドを受信した通信部17は、スレーブの小便器装置Zへ動作許可信号Sig5を送信する。
【0106】
ステップS15においてCPU12は、スレーブの小便器装置Zから動作許可信号Sig5を受信したことを示す第1返信Sig8を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS16へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS21へ移す。
【0107】
ステップS16においてCPU12は、RAM14を参照して動作タイマをスタートさせてから90msが経過したか否かの判断を行い、90msが経過したと判断した場合に処理をステップS18へ移し、90msが経過していないと判断した場合に処理をステップS17へ移す。
【0108】
ステップS17においてCPU12は、スレーブの小便器装置Zから後述する動作終了信号Sig11を受信したか否かの判断を行い、受信していないと判断した場合に処理をS16へ戻し、受信したと判断した場合に処理をステップS18へ移す。
【0109】
ステップS18においてCPU12は、タイミング情報として、ドップラーセンサ4の動作を禁止する動作禁止信号Sig6をスレーブの小便器装置Zへ送信する処理を行い、その後、処理をステップS19へ移す。
【0110】
このステップS18においてCPU12は、ROM13から通信部17を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介して通信部17へ動作禁止信号Sig6を送信させるためのコマンドを送信する。
【0111】
そして、コマンドを受信した通信部17は、スレーブの小便器装置Zへ動作禁止信号Sig6を送信する。
【0112】
ステップS19においてCPU12は、スレーブの小便器装置Zから動作禁止信号Sig6を受信したことを示す第2返信Sig9を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS20へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS23へ移す。
【0113】
また、ステップS15において、スレーブの小便器装置Zから第1返信Sig8を受信していないと判断した場合にCPU12は、RAM14を参照して動作タイマをスタートさせてから10msが経過したか否かの判断を行い(ステップS21)、10msが経過したと判断した場合に処理をステップS22へ移し、10msが経過していないと判断した場合に処理をステップS14へ戻す。
【0114】
ステップS22においてCPU12は、動作許可信号Sig5の送信先であるスレーブの小便器装置Zが通信不能と判断して、次回から通信しない設定を行い、その後、処理をステップS20へ移す。
【0115】
また、ステップS19においてスレーブの小便器装置Zから第2返信Sig9を受信していないと判断した場合にCPU12は、RAM14を参照して動作タイマをスタートさせてから100msが経過した否かの判断を行い(ステップS23)、100msが経過したと判断した場合に処理をステップS24へ移し、100msが経過していないと判断した場合に処理をステップS18へ戻す。
【0116】
ステップS24においてCPU12は、動作禁止信号Sig6の送信先であるスレーブの小便器装置Zが通信不能と判断して、次回から通信しない設定を行い、その後、処理をステップS8へ移す。
【0117】
また、ステップS3においてマスタタイマをスタートさせてから30分が経過していると判断した場合にCPU12は、ROM13内の所定領域を参照して、予め定めたマスタとしての権限を譲渡するスレーブの小便器装置Zを判定し、その小便器装置Zへマスタ譲渡信号Sig7を送信し(ステップS10)、その後、処理をステップS11へ移す。
【0118】
このように、CPU12は、次に主制御機能を実行する他の制御手段を判定する判定手段としても機能する。
【0119】
このステップS10においてCPU12は、先ず自身が備えるRAM14の特定領域に記憶している値を1から0へ変更すると共に、ROM13から通信部17を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介して通信部17へマスタ譲渡信号Sig7を送信させるためのコマンドを送信する。
【0120】
そして、コマンドを受信した通信部17は、マスタとしての権限を譲渡するスレーブの小便器装置Zへマスタ譲渡信号Sig7を送信する。
【0121】
このとき送信するマスタ譲渡信号Sig7は、マスタとしての権限を譲渡する小便器装置ZのCPU12に、RAM14の特定領域に記憶しているマスタ情報を示す値を1に設定させるための信号である。
【0122】
ステップS11においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を送信した小便器装置Zからマスタ譲渡信号Sig7を受信したことを示す第3返信Sig10を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS12へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS13へ移す。
【0123】
ステップS12においてCPU12は、マスタタイマをリセットする処理を行い、その後、処理を図8に示すステップS34へ移す。
【0124】
また、ステップS13においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を送信した小便器装置Zとの通信が不可能であると判断して、マスタ譲渡信号Sig7の送信先を変更する処理を行い、その後、処理をステップS10へ戻す。
【0125】
[スレーブ制御]
ステップS1において自身がマスタでないと判断した場合にスレーブとして機能して従制御機能を実行する。
【0126】
すなわちCPU12は、図8に示すように、マスタの小便器装置Zからマスタ譲渡信号Sig7を受信したか否かの判断を行い(ステップS34)、受信したと判断した場合に処理をステップS35へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS25へ移す。
【0127】
ステップS35においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を送信してきた小便器装置Zへマスタ譲渡信号Sig7を受信したことを示す第3返信Sig10を送信する処理を行い、その後、処理を図7に示すステップS2へ移し、マスタとして機能して主制御機能を実行する。
【0128】
このステップS35においてCPU12は、ROM13から通信部17を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介して通信部17へ第3返信Sig10を送信させるためのコマンドを送信する。
【0129】
そして、コマンドを受信した通信部17は、マスタ譲渡信号Sig7を送信してきた小便器装置Zへ第3返信Sig10を送信する。
【0130】
また、ステップS25においてCPU12は、動作許可信号Sig5を受信したか否かの判断を行い(ステップS25)、受信したと判断した場合に処理をステップS26へ移し、受信していないと判断した場合に、処理をステップS34へ戻す。
【0131】
ステップS26においてCPU12は、動作タイマを一旦リセットした後スタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS27へ移す。
【0132】
ステップS27においてCPU12は、マスタの小便器装置Zへ動作許可信号Sig5を受信したことを示す第1返信Sig8を送信する処理を行い、その後、処理をステップS28へ移す。
【0133】
このステップS27においてCPU12は、ROM13から通信部17を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介して通信部17へ第1返信Sig8を送信させるためのコマンドを送信する。
【0134】
そして、コマンドを受信した通信部17は、マスタの小便器装置Zへ第1返信Sig8を送信する。
【0135】
ステップS28においてCPU12は、電波送受信開始の処理を行い、その後、処理をステップS29へ移す。
【0136】
ステップS29においてCPU12は、マスタの小便器装置Zから動作禁止信号Sig6を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS36へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS30へ移す。
【0137】
ステップS30においてCPU12は、ステップS28で行った処理により既に人体又は尿の検知が完了して、現在既に電波送受信処理を終了しているか否かの判断を行い、終了していると判断した場合に処理をステップS31へ移し、終了していないと判断した場合に処理をステップS29へ戻す。
【0138】
ステップS31においてCPU12は、マスタの小便器装置Zへドップラーセンサ4の動作を終了させたことを示す動作終了信号Sig11を送信する処理を行い、その後、処理をステップS32へ移す。
【0139】
このステップS31においてCPU12は、ROM13から通信部17を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介して通信部17へ動作終了信号Sig11を送信させるためのコマンドを送信する。
【0140】
そして、コマンドを受信した通信部17は、マスタの小便器装置Zへ動作終了信号Sig11を送信する。
【0141】
ステップS32においてCPU12は、マスタの小便器装置Zから動作禁止信号Sig6を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS33へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS38へ移す。
【0142】
ステップS33においてCPU12は、マスタの小便器装置Zへ動作禁止信号Sig6を受信したことを示す第2返信Sig9を送信する処理を行い、その後、処理をステップS34へ戻す。
【0143】
このステップS33においてCPU12は、ROM13から通信部17を動作させるためのプログラムを読出し、作業領域であるRAM14で所定の処理を行い、バスを介して通信部17へ第2返信Sig9を送信させるためのコマンドを送信する。
【0144】
そして、コマンドを受信した通信部17は、マスタの小便器装置Zへ第2返信Sig9を送信する。
【0145】
また、ステップS32において動作禁止信号Sig6を受信していないと判断した場合にCPU12は、RAM14を参照して動作タイマをスタートさせてから90msが経過したか否かの判断を行い(ステップS38)、90msが経過したと判断した場合に処理をステップS39へ移し、90msが経過していないと判断した場合に処理をステップS31へ戻す。
【0146】
ステップS39においてCPU12は、マスタの小便器装置Zが反応してくれなかったので、今回の処理データをRAM14から破棄する処理を行い、その後、処理をステップS34へ戻す。
【0147】
また、ステップS29において動作禁止信号Sig6を受信したと判断した場合にCPU12は、ドップラーセンサ4による電波の送受信処理を終了させ(ステップS36)、その後、マスタの小便器装置Zへ第2返信Sig9を送信する処理を行って(ステップS37)処理をステップS34へ戻す。
【0148】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る小便器洗浄システム1は、第1実施形態に係る小便器洗浄システム1と構成が同様であり、各小便器装置Zもその構成が第1実施形態の各小便器装置Zと同様であり、各制御部6による制御の内容だけが異なるため、ここでは、図1〜3に示す小便器洗浄システム1及び小便器装置Zに付した符号と同一の符号及び同一の用語を用いて説明することとする。
【0149】
ここで、図9は第2実施形態における各制御部6同士の通信タイミング及び、各ドップラーセンサ4の動作タイミングを示すタイミングチャートであり、図10〜図13は第2実施形態における小便器装置Zの制御部6で行う処理を示すフローチャートである。
【0150】
[第2実施形態における小便器洗浄システムの概要の説明]
この第2実施形態に係る小便器洗浄システム1において、各小便器装置Zの制御部6同士は、第1実施形態と同様に、互いに通信を行って各ドップラーセンサ4を、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるような制御を行う。
【0151】
また、第1実施形態と同様に、第1小便器装置A、第2小便器装置B、第3小便器装置Cの3つの小便器装置Zのうちの一つをマスタの小便器装置Zとし、その他の小便器装置Zをスレーブの小便器装置Zとして、マスタの小便器装置Zの制御部6がスレーブの小便器装置Zへ動作タイミング情報を送信し、スレーブの小便器装置Zの制御部6はこの動作タイミング情報を受信する度にドップラーセンサ4を間欠動作させるようにしている。
【0152】
そして、マスタの小便器装置Zの制御部6が所定時間マスタとして機能して主制御機能を実行し、その後スレーブの小便器装置Zへマスタとしての権限を譲渡する点についても第1実施形態と同様である。
【0153】
ただし、この第2実施形態の小便器洗浄システム1では、マスタの小便器装置Zからスレーブの小便器装置Zへ送信する動作タイミング情報の内容が第1実施形態の小便器洗浄システム1と異なる。
【0154】
すなわち、第1実施形態の小便器洗浄システム1では、一つの小便器装置Zに設けたドップラーセンサ4から所定期間(100ms)電波Sig1を送信させ、その所定期間内に電波Sig1を送信しているドップラーセンサ4に複数回反射波Sig2のサンプリングを行わせると共に、その間他の小便器装置Zに設けたドップラーセンサ4の動作を禁止させることにより、各ドップラーセンサ4の動作期間が他が互いに重複しないように各制御部6がドップラーセンサ4の動作制御を行っていたのに対し、第2実施形態では、一つの小便器装置Zに設けたドップラーセンサ4が反射波Sig2のサンプリングを1回行う期間だけ電波Sig1の送信と反射波Sig2の受信とを行わせ、このドップラーセンサ4が次回のサンプリングを行うまでの期間(2ms)に他の小便器装置Zに設けたドップラーセンサ4にそれぞれ1回ずつ反射波Sig2のサンプリングを行わせることにより、各ドップラーセンサ4の動作期間が互いに重複しないように各ドップラーセンサ4を間欠動作させるようにしている。
【0155】
[各小便器装置の動作タイミングの説明]
ここでは、第1小便器装置Aをマスタの小便器装置Zとし、第2小便器装置B及び第3小便器装置Cをスレーブの小便器装置Zとして説明する。
【0156】
図9に示すように、第1小便器装置Aの制御部6は、先ず自身が備えるドップラーセンサ4の発信部9と受信部10とを同時に動作させて反射波Sig2を1回サンプリングする処理を行った後、第2小便器装置Bの制御部6との間で通信を行う。
【0157】
そして、第1小便器装置Aの制御部6は、この第2小便器装置Bの制御部6との通信期間内に第2小便器装置Bの制御部6へ動作許可信号Sig5と動作禁止信号Sig6とを順次送信する。
【0158】
第2小便器装置Bの制御部6は、この動作許可信号Sig5と動作禁止信号Sig6とを受信する度にドップラーセンサ4を動作させて自身が送信した電波Sig1の反射波Sig2を1回サンプリングする。
【0159】
次に第1小便器装置Aの制御部6は、第3小便器装置Cの制御部6との間で通信を行い、この通信期間内に第3小便器装置Cの制御部6へ動作許可信号Sig5と動作禁止信号Sig6とを順次送信する。
【0160】
第3小便器装置Cの制御部6は、この動作許可信号Sig5と動作禁止信号Sig6とを受信する度にドップラーセンサ4を動作させて自身が送信した電波Sig1の反射波Sig2を1回サンプリングする。
【0161】
続いて、第1小便器装置Aの制御部6は、自身のドップラーセンサ4を動作させて次回のサンプリングを行い、この制御を所定期間(例えば30分間)繰り返し、その後、マスタとしての権限を予め定めたスレーブの小便器装置Z(例えば第2小便器装置B)へ譲渡する処理を行う。
【0162】
このように各ドップラーセンサ4の発信部9及び受信部10をその動作期間が互いに重複しないように間欠動作させることにより、各小便器装置Zに設けたドップラーセンサ4の動作周期を短くすることができるので、人体及び尿をより高精度に検知することができる。
【0163】
[制御部における処理の説明]
このように各ドップラーセンサ4の動作制御を行う際に、マスタの小便器装置Zの制御部6は、図10〜図12のフローチャートに従って処理を行い、スレーブの小便器装置Zの制御部6は、図13のフローチャートに従って処理を行う。
【0164】
[マスタとスレーブとの判断]
すなわち、マスタとして機能する第1小便器装置AのCPU12は、電源が投入されると、先ず図10に示すように、RAM14を参照して自身がマスタであるか否かの判断を行う(ステップS40)。
【0165】
このときCPU12は、RAM14内の特定領域に記憶しているマスタ情報を示す値を参照し、その値が1である場合に自身がマスタであると判断して処理をステップS41へ移し、マスタとして機能して主制御機能を実行する。
【0166】
ここで、仮にマスタ情報を示す値が0であった場合、CPU12は処理を図13に示すステップS75へ移してスレーブとして機能し、従制御機能を実行する。
【0167】
[マスタ制御]
ステップS41においてCPU12は、RAM14内部のマスタタイマをスタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS42へ移す。
【0168】
ステップS42においてCPU12は、マスタタイマをスタートさせてから30分が経過したか否かを判断し、30分が経過したと判断した場合に処理をステップS52へ移し、30分が経過していないと判断した場合に処理をステップS43へ移す。
【0169】
ステップS43においてCPU12は、図11に示す後述のA制御を行い、次に、図12に示す後述のB制御(ステップS44)とC制御(ステップS45)とを順次を行い、その後処理をステップS46へ移す。
【0170】
ステップS46においてCPU12は、RAM14内の所定領域に記憶された第2小便器装置Bとの通信失敗回数を示すBエラーの値を参照し、Bエラーの値が5であるか否かの判断を行う。
【0171】
ここでCPU12は、Bエラーの値が5であると判断した場合に第2小便器装置Bが故障中であるとして、その情報をRAM14の所定領域に記憶させ(ステップS47)、以後、第2小便器装置Bとの通信を行わないようにする設定を行い、その後、処理をステップS49へ移す。
【0172】
一方、CPU12は、Bエラーの値が5でないと判断した場合に第2小便器装置Bが正常であるとして、その情報をRAM14の所定領域に記憶させ(ステップS48)、その後、処理をステップS49へ移す。
【0173】
ステップS49においてCPU12は、RAM14内の所定領域に記憶された第3小便器装置Cとの通信失敗回数を示すCエラーの値を参照し、Cエラーの値が5であるか否かの判断を行う。
【0174】
ここでCPU12は、Cエラーの値が5であると判断した場合に第3小便器装置Cが故障中であるとして、その情報をRAM14の所定領域に記憶させ、以後、第3小便器装置Cとの通信を行わないようにする設定を行い(ステップS50)、その後、処理をステップS42へ戻す。
【0175】
一方、CPU12は、Cエラーの値が5でないと判断した場合に第3小便器装置Cが正常であるとして、その情報をRAM14の所定領域に記憶させ(ステップS51)、その後、処理をステップS42へ戻す。
【0176】
また、ステップS42においてマスタタイマをスタートさせてから30分が経過したと判断した場合にCPU12は、ROM13の所定領域を参照してマスタとしての権限を譲渡するスレーブの小便器装置Z(第2小便器装置B又は第3小便器装置C)を判定し、ここで判定した小便器装置Zへマスタ譲渡信号Sig7を送信し(ステップS52)、その後、処理をステップS53へ移す。
【0177】
ステップS53においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を送信した小便器装置Zからマスタ譲渡信号Sig7を受信したことを示す第3返信Sig10を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS54へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS55へ移す。
【0178】
ステップS54においてCPU12は、マスタタイマをリセットする処理を行い、その後、処理を図13に示すステップS75へ移す。
【0179】
また、ステップS55においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を送信した小便器装置Zとの通信が不可能であるとして、マスタ譲渡信号Sig7の送信先を変更する処理を行い、その後、処理をステップS52へ戻す。
【0180】
また、第1小便器装置AのCPU12は、図11に示すフローチャートに従ってA制御を行う。
【0181】
すなわちCPU12は、ステップS42においてマスタタイマをスタートさせてから30分が経過していないと判断した場合に、ドップラーセンサ4を動作させて、1回のサンプリングを行うために必要な時間電波Sig1の送信及び反射波Sig2の受信を行う電波送受信処理を行い(ステップS56)、その後、処理を図10に示すステップS44へ戻してB制御を行う。
【0182】
第1小便器装置AのCPU12は、図12に示すフローチャートに従ってB制御を行う。すなわち、CPU12は、先ずRAM14の所定領域に記憶している情報を参照して、第2小便器装置Bが故障中であるか否かの判断を行う(ステップS57)。
【0183】
ここで、CPU12は、第2小便器装置Bが故障中であると判断した場合に、このB制御を終了して図10に示すステップS45へ処理を戻す。
【0184】
一方、CPU12は、第2小便器装置Bが正常であると判断した場合に、第2小便器装置Bへドップラーセンサ4の動作開始を許可する動作タイミング情報として動作許可信号Sig5を送信し(ステップS58)、その後、処理をステップS59へ移す。
【0185】
ステップS59においてCPU12は、動作タイマをスタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS60へ移す。
【0186】
ステップS60においてCPU12は、第2小便器装置Bから動作許可信号Sig5を受信したことを示す第1返信Sig8を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS61へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS65へ移す。
【0187】
ステップS61においてCPU12は、動作タイマをスタートさせてから0.5msが経過したか否かの判断を行い、0.5msが経過したと判断した場合に処理をステップS62へ移し、0.5msが経過していないと判断した場合には、0.5msが経過するまでの間ステップS61の処理を繰り返し行う。
【0188】
ステップS62においてCPU12は、第2小便器装置Bにドップラーセンサ4の動作を禁止する動作タイミング情報として動作禁止信号Sig6を送信する処理を行い、その後、処理をステップS63へ移す。
【0189】
ステップS63においてCPU12は、第2小便器装置Bから動作禁止信号Sig6を受信したことを示す第2返信Sig9を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS64へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS67へ移す。
【0190】
ステップS64においてCPU12は、RAM14の所定領域に記憶しているBエラーの値を0にするリセット処理を行い、その後、処理を図10に示すステップS45へ移してC制御を行う。
【0191】
また、ステップS60において第2小便器装置Bから第1返信Sig8を受信していないと判断した場合にCPU12は、動作タイマをスタートさせてから0.3msが経過したか否かの判断を行う(ステップS65)。
【0192】
ここでCPU12は、0.3msが経過してないと判断した場合に処理をステップS60へ戻し、0.3msが経過したと判断した場合に処理をステップS66へ移す。
【0193】
ステップS66においてCPU12は、RAM14の所定領域に記憶しているBエラーの値に1を加算する処理を行い、その後、処理を図10に示すステップS45へ移してC制御を行う。
【0194】
また、ステップS63において第2小便器装置Bから第2返信Sig9を受信していないと判断した場合にCPU12は、動作タイマをスタートさせてから0.8msが経過したか否かの判断を行う(ステップS67)。
【0195】
ここでCPU12は、0.8msが経過していないと判断した場合に処理をステップS63へ戻し、0.8msが経過したと判断した場合に処理をステップS68へ移す。
【0196】
ステップS68においてCPU12は、RAM14の所定領域に記憶しているBエラーの値に1を加算する処理を行い、その後、処理を図10に示すステップS45へ移してC制御を行う。
【0197】
また、C制御を行う際にCPU12は、図12に示すB制御と同様の処理を第3小便器装置Cに対して行う。
【0198】
すなわち、第1小便器装置AのCPU12は、B制御を行った後、第3小便器装置Cに対し、所定のタイミングで動作許可信号Sig5と動作禁止信号Sig6とを順次送信して第3小便器装置Cのドップラーセンサ4を間欠動作させる。
【0199】
また、第1小便器装置AのCPU12は、所定時間内に第3小便器装置Cから第1返信Sig8及び第2返信Sig9を受信した場合にCエラーの値をリセットする処理を行い、第1返信Sig8又は第2返信Sig9を受信しなかった場合にCエラーの値に1を加算する処理を行ってC制御を終了する。
【0200】
[スレーブ制御]
ここでは、スレーブとして機能する第2小便器装置BのCPU12が行う処理について説明することとし、第3小便器装置CのCPU12は第2小便器装置BのCPU12と同様の処理を行うため、その説明を省略する。
【0201】
また、所定期間マスタとして機能した第1小便器装置AのCPU12も、所定期間マスタとして機能してマスタとしての権限を他の小便器装置Zへ譲渡した後は、第2小便器装置BのCPU12と同様の処理を行う。
【0202】
スレーブとして機能する第2小便器装置BのCPU12は、電源が投入されると、先ず図13に示すように、マスタの小便器装置Zである第1小便器装置Aからマスタ譲渡信号Sig7を受信したか否かの判断を行い(ステップS75)、受信したと判断した場合に処理をステップS76へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS69へ移す。
【0203】
また、ステップS76においてCPU12は、第1小便器装置Aへマスタ譲渡信号Sig7を受信したことを示す第3返信Sig10を送信する処理を行い、その後、処理を図10に示すステップS41へ移し、マスタとして機能して主制御機能を実行する。
【0204】
ステップS69においてCPU12は、動作許可信号Sig5を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS70へ移し、受信していないと判断した場合に、処理をステップS75へ戻す。
【0205】
ステップS70においてCPU12は、動作タイマを一旦リセットした後スタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS71へ移す。
【0206】
ステップS71においてCPU12は、第1小便器装置Aへ動作許可信号Sig5を受信したことを示す第1返信Sig8を送信する処理を行い、その後、処理をステップS72へ移す。
【0207】
このステップS72においてCPU12は、ドップラーセンサ4を動作させて、1回のサンプリングを行うために必要な時間電波Sig1の送信及び反射波Sig2の受信を行う電波送受信処理を行い、その後、処理をステップS73へ移す。
【0208】
ステップS73においてCPU12は、第1小便器装置Aから動作禁止信号Sig6を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS74へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS77へ移す。
【0209】
ステップS74においてCPU12は、第1小便器装置Aへ動作禁止信号Sig6を受信したことを示す第2返信Sig9を送信する処理を行い、その後、処理をステップS75へ戻す。
【0210】
また、ステップS73において動作禁止信号Sig6を受信していないと判断した場合にCPU12は、動作タイマをスタートさせてから0.5msが経過したか否かの判断を行い、0.5msが経過したと判断した場合に処理をステップS75へ戻し、0.5msが経過していないと判断した場合に処理をステップS73へ戻す。
【0211】
[第3実施形態]
以下に説明する第3実施形態に係る小便器洗浄システム1では、第1及び第2実施形態に係る小便器洗浄システム1と構成が同様であり、各小便器装置Zもその構成が第1及び第2実施形態の小便器洗浄システム1の各小便器装置Zと同様であり、各制御部6による制御の内容だけが異なるため、図1〜3に示す小便器洗浄システム1及び小便器装置Zに付した符号と同一の符号及び同一の用語を用いて説明することとする。
【0212】
[第3実施形態における小便器洗浄システムの概要の説明]
この第3実施形態に係る小便器洗浄システム1において、各小便器装置Zの制御部6同士は、第1及び第2実施形態と同様に、互いに相互通信を行って各ドップラーセンサ4を、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるような制御を行う。
【0213】
また、第1小便器装置A、第2小便器装置B、第3小便器装置Cの3つの小便器装置Zのうちの一つをマスタの小便器装置Zとし、その他の小便器装置Zをスレーブの小便器装置Zとして、マスタの小便器装置Zの制御部6がスレーブの小便器装置Zへ動作タイミング情報を送信し、スレーブの小便器装置Zの制御部6は、受信した動作タイミング情報に基づいてドップラーセンサ4を間欠動作させるようにしている。
【0214】
そして、マスタの小便器装置Zの制御部6が所定時間マスタとして機能して主制御機能を実行し、その後スレーブの小便器装置Zへマスタとしての権限を譲渡する点についても第1及び第2実施形態と同様である。
【0215】
ただし、第1及び第2実施形態の小便器洗浄システム1において、スレーブの小便器装置Zの制御部6は、マスタの小便器装置Zから動作許可信号Sig5を受信したときにだけドップラーセンサ4を動作させる制御を行っていたのに対して、この第3実施形態の小便器洗浄システム1では、スレーブの小便器装置Zの制御部6は、マスタの小便器装置Zから所定時間間隔で送信される動作タイミング情報に基づいて、自身でドップラーセンサ4を動作させるタイミングを判断するようにしている。
【0216】
そのため、マスタの小便器装置Zとスレーブの小便器装置Zとの間の通信回数を減少させることができ、小便器洗浄システム1全体としての消費電力を低減することができる。
【0217】
なお、第3実施形態において、各小便器装置Zが備えるドップラーセンサ4は、マスタの小便器装置Zによる制御内容と、マスタの小便器装置Zからスレーブの小便器装置Zへ送信する動作タイミング情報の内容とを変更することにより、図6に示す間欠動作タイミング、又は、図9に示す間欠動作タイミングのいずれか一方の間欠動作タイミングで動作させることができるので、ここではその説明を省略する。
【0218】
[制御部における処理の説明]
ここでは、第1小便器装置Aが備える制御部6のCPU12が行う処理について説明することとし、他の小便器装置ZのCPU12は同様の処理を行うため、その説明を省略することとする。
【0219】
図14は、第1小便器装置Aの制御部6がマスタとして機能する場合にCPU12が行う処理を示すフローチャートであり、このとき、第2小便器装置B及び第3小便器装置Cの各制御部6がスレーブとして機能する。
【0220】
また、図15は、第1小便器装置Aの制御部6がスレーブとして機能する場合にCPU12が行う処理を示すフローチャートであり、このとき、第2小便器装置B又は第3小便器装置Cのいずれか一方の制御部6がマスタとして機能する。
【0221】
[マスタとスレーブとの判断]
図14に示すように、第1小便器装置AのCPU12は、電源が投入されると、先ず、RAM14を参照して自身がマスタであるか否かの判断を行う(ステップS78)。
【0222】
このときCPU12は、RAM14内の特定領域に記憶しているマスタ情報を示す値を参照し、その値が1である場合に自身がマスタであると判断して処理をステップS79へ移し、マスタとして機能して主制御機能を実行する。
【0223】
ここで、仮にマスタ情報を示す値が0であった場合、CPU12は、処理を図15に示すステップS98へ移してスレーブとして機能し、従制御機能を実行する。
【0224】
[マスタ制御]
ステップS79においてCPU12は、RAM14内部のマスタタイマをスタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS80へ移す。
【0225】
ステップS80においてCPU12は、動作タイマをスタートさせる処理を行い、その後、処理をステップS81へ移す。
【0226】
ステップS81においてCPU12は、マスタタイマをスタートさせてから30分が経過したか否かを判断する。
【0227】
ここで、マスタタイマをスタートさせてから30分が経過したと判断した場合にCPU12は、ROM13の所定領域を参照してマスタとしての権限を譲渡するスレーブの小便器装置Z(第2小便器装置B又は第3小便器装置C)を判定し、ここで判定した小便器装置Zへマスタ譲渡信号Sig7を送信し(ステップS88)、その後、処理をステップS89へ移す。
【0228】
このように、CPU12は、次に主制御機能を実行する他の制御手段を判定する判定手段としても機能する。
【0229】
ステップS89においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を送信した小便器装置Zからマスタ譲渡信号Sig7を受信したことを示す第3返信Sig10を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS90へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS91へ移す。
【0230】
ステップS90においてCPU12は、マスタタイマをリセットする処理を行い、その後、処理を図15に示すステップS98へ移す。
【0231】
また、ステップS91においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を送信した小便器装置Zとの通信が不可能であるとして、マスタ譲渡信号Sig7の送信先を変更する処理を行い、その後、処理をステップS88へ戻す。
【0232】
一方、ステップS81においてマスタタイマをスタートさせてから30分が経過していないと判断した場合にCPU12は、マスタタイマをスタートさせてからの時間が0分、又は、10分、又は、20分のいずれかに該当するか否かの判断を行い(ステップS82)、該当すると判断した場合に処理をステップS83へ移し、該当しないと判断した場合に処理をステップS92へ移す。
【0233】
ステップS92においてCPU12は、現在が自身(第1小便器装置A)のドップラーセンサ4の動作を開始させるタイミングであるか否かの判断を行い、ドップラーセンサ4の動作を開始させるタイミングであると判断した場合に処理をステップS93へ移し、ドップラーセンサ4の動作を開始させるタイミングではないと判断した場合に処理をステップS80へ戻す。
【0234】
ステップS93においてCPU12は、ドップラーセンサ4を動作させて、100ms間人体及び尿を検知する制御を行い、その後、処理をステップS80へ戻す。
【0235】
また、ステップS83においてCPU12は、第2小便器装置Bへドップラーセンサ4の間欠動作開始タイミング指定する情報と、間欠動作中におけるドップラーセンサ4の動作間隔を指定する情報と、ドップラーセンサ4の間欠動作期間を指定する情報とを含む動作タイミング情報を一度に送信する処理を行い、その後、処理をステップS84へ移す。
【0236】
ステップS84においてCPU12は、第2小便器装置Bから動作タイミング情報を受信したことを示す第1返信Sig8を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS85へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS94へ移す。
【0237】
ステップS94においてCPU12は、動作タイマを参照して動作タイマをスタートさせてから10msが経過したか否かの判断を行い、経過したと判断した場合に処理をステップS95へ移し、経過していないと判断した場合に処理をステップS83へ戻す。
【0238】
ステップS95においてCPU12は、第2小便器装置Bが通信不能状態であると判断して、以後、第2小便器装置Bとの通信を行わないようにする設定を行い、その後、処理をステップS85へ移す。
【0239】
ステップS85においてCPU12は、第3小便器装置Cへドップラーセンサ4の間欠動作開始タイミング指定する情報と、間欠動作中におけるドップラーセンサ4の動作間隔を指定する情報と、ドップラーセンサ4の間欠動作期間を指定する情報とを含む動作タイミング情報を一度に送信する処理を行い、その後、処理をステップS86へ移す。
【0240】
ステップS86においてCPU12は、第3小便器装置Cから動作タイミング情報を受信したことを示す第1返信Sig8を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS87へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS96へ移す。
【0241】
ステップS96においてCPU12は、動作タイマを参照して動作タイマをスタートさせてから20msが経過したか否かの判断を行い、経過したと判断した場合に処理をステップS97へ移し、経過していないと判断した場合に処理をステップS85へ戻す。
【0242】
ステップS97においてCPU12は、第1小便器装置Aが通信不能状態であると判断して、以後、第1小便器装置Aとの通信を行わないようにする設定を行い、その後、処理をステップS87へ移す。
【0243】
ステップS87においてCPU12は、自身(第1小便器装置A)の動作タイミングを調整する処理を行い、その後、処理をステップS80へ戻す。すなわち、CPU12は、ステップS95及びステップS97で行った処理に基づいて、第2小便器装置B及び第3小便器装置Cの通信可能状態を参照し、いずれかのスレーブの小便器装置Zが通信不能となっている場合に、これまで300ms間隔で自身のドップラーセンサ4の動作を開始させていた動作タイミングを、以後、ドップラーセンサ4を200ms間隔で動作開始させるように再調整する処理を行い、その後、処理をステップS80へ戻す。
【0244】
[スレーブ制御]
ここでは、第1小便器装置Aの制御部6がスレーブとして機能する場合に行う処理について説明する。
【0245】
30分間マスタとして機能した第1小便器装置Aの制御部6、又は、電源投入時にスレーブに設定されている第1小便器装置Aの制御部6は、図15に示すように、先ずマスタの小便器装置Z(ここでは、第2小便器装置B又は第3小便器装置Cの制御部6)からマスタ譲渡信号Sig7を受信したか否かの判断を行い、受信したと判断した場合に処理をステップS99へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS100へ移す。
【0246】
ステップS99においてCPU12は、マスタ譲渡信号Sig7を受信したことを示す第3返信Sig10をマスタの小便器装置Zへ送信する処理を行い、その後、処理を図14に示すステップS79へ移す。
【0247】
一方、ステップS98において第3返信Sig10を受信していないと判断した場合にCPU12は、スレーブとして機能して、マスタの小便器装置Zから動作タイミング情報を受信したか否かの判断を行い(ステップS100)、受信したと判断した場合に処理をステップS101へ移し、受信していないと判断した場合に処理をステップS103へ移す。
【0248】
ステップS101においてCPU12は、マスタの小便器装置Zへ動作タイミング情報を受信したことを示す第1返信Sig8を送信する処理を行い、その後、処理をステップS102へ移す。
【0249】
ステップS102においてCPU12は、動作タイミングを調整する処理を行い、その後、処理をステップS98へ戻す。すなわち、CPU12は、マスタの小便器装置Zから受信した動作タイミング情報を参照して、自身(第1小便器装置A)のドップラーセンサ4の間欠動作開始タイミング、間欠動作中におけるドップラーセンサ4の動作間隔、ドップラーセンサ4の間欠動作期間のうち、変更されているものがあれば、その変更に従ってドップラーセンサ4の動作タイミングを調整し、その後、処理をステップS98へ戻す。
【0250】
また、ステップS103においてCPU12は、現在が自身(第1小便器装置A)のドップラーセンサ4の動作を開始させるタイミングであるか否かの判断を行い、ドップラーセンサ4の動作を開始させるタイミングであると判断した場合に処理をステップS104へ移し、ドップラーセンサ4の動作を開始させるタイミングではないと判断した場合に処理をステップS98へ戻す。
【0251】
ステップS104においてCPU12は、ドップラーセンサ4を動作させて、100ms間人体及び尿を検知する制御を行い、その後、処理をステップS98へ戻す。
【0252】
なお、第3実施形態では、3個の小便器装置Zからなる小便器洗浄システム1を例に挙げて説明したが、4個以上の小便器装置Zによりこの小便器洗浄システム1を構成することもできる。
【0253】
ただし、その場合には、図14に示すマスタ制御のフローチャートに記載したステップS83、ステップS84、ステップS94、ステップS95と同様の処理フローを、スレーブの小便器装置Zの個数分追加する必要がある。
【0254】
そして、追加したステップS83に対応する各処理においては、動作タイミング情報の送信先が各スレーブの小便器装置Zとなり、ステップS95に対応する各処理においては、通信不能と判断される対象が第1返信Sig8を送信しなかった各小便器装置Zとなる。
【0255】
また、ステップS94に対応する各処理においては、複数のスレーブの小便器装置Zにおいて動作タイミング情報が送信される順番に10msを乗じた分の時間がそれぞれ代入されることとなる。
【0256】
以上、第1〜第3実施形態に記載したように、本実施形態に係る小便器洗浄システム1によれば、複数の小便器装置Zのうちの一つをマスタとし、その他の小便器装置Zをスレーブとして、マスタの小便器装置Zがドップラーセンサ4を動作させた後に、マスタの小便器装置Zからスレーブの小便器装置Zへ動作タイミング情報を送信し、この動作タイミング情報に基づいてスレーブの小便器装置Zに設けたドップラーセンサ4を動作させるようにしているので、スレーブの小便器装置Zに設けたドップラーセンサ4は、マスタの小便器装置Zの制御部6が決定した所定のタイミングで間欠動作することになり、複数のドップラーセンサ4が同時期に電波Sig1の発信及び反射波Sig2の受信を行うことがない。
【0257】
したがって、異なるドップラーセンサ4が発信する電波Sig1、及び、受信する反射波Sig2同士が干渉することがなく、小便器装置Zの自動洗浄機能が誤作動を起こすことがない。
【0258】
これにより、自動洗浄機能を持たせた小便器装置Zを複数連設する際に、周波数の異なる電波Sig1を発信する複数種類のドップラーセンサ4を用意しておく必要がなく、同一又は近い周波数の電波を発信するドップラーセンサ4を用意しておけばよいので、小便器装置Z及びドップラーセンサ4の製造コストに対する利益の還元率を向上させることができる。
【0259】
しかも、小便器装置Zを増設する際や、小便器装置Zの保守点検を行う際に、各ドップラーセンサ4の仕様を確認するなどといった煩雑な作業を行う必要がないので、小便器装置Zの増設作業や保守点検作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0260】
【図1】小便器洗浄システムを示す概略図である。
【図2】小便器装置を示す断面模式図である。
【図3】自動洗浄ユニットを示す機能ブロック図である。
【図4】尿検知を行う際のドップラーセンサの動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】人体検知を行う際のドップラーセンサの動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】各小便器装置の間欠動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】第1実施形態の小便器装置の制御部における処理を示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態の小便器装置の制御部における処理を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態における各制御部同士の通信タイミング及び、各ドップラーセンサの動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】第2実施形態における小便器装置の制御部で行う処理を示すフローチャートである。
【図11】第2実施形態における小便器装置の制御部で行う処理を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態における小便器装置の制御部で行う処理を示すフローチャートである。
【図13】第2実施形態における小便器装置の制御部で行う処理を示すフローチャートである。
【図14】第3実施形態における小便器装置の制御部で行う処理を示すフローチャートである。
【図15】第3実施形態における小便器装置の制御部で行う処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0261】
1 小便器洗浄システム
2 小便器
3 自動洗浄ユニット
4 ドップラーセンサ
5 バルブ
6 都度制御部
7 給水管
8 排水管
9 発信部
10 受信部
11 差分信号生成部
12 CPU
13 ROM
14 RAM
15 バルブ駆動部
16 ドップラーセンサ駆動部
17 通信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の小便器と、
前記複数の小便器にそれぞれ設けられ、前記小便器内のボール部へ向けて電波を発信する発信手段と、前記発信手段により発信した電波の反射を受信する受信手段と、発信した電波の周波数と受信した電波の周波数との差分信号を生成する差分信号生成手段とを備えたドップラーセンサと、
前記複数の小便器にそれぞれ設けられ、前記差分信号に基づいて人体又は尿を検知する制御手段と、
前記制御手段による検知結果に基づいて前記便器の洗浄を行う洗浄手段と、
を有する小便器洗浄システムにおいて、
前記小便器にそれぞれ設けられ、前記制御手段の制御により他の前記制御手段との間で通信を行う通信手段を備え、
前記複数の小便器のうちの一つに設けられた前記制御手段は、この制御手段を含む各制御手段によって制御される各ドップラーセンサを、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるべく、前記通信手段を介して他の前記小便器の制御手段へ、ドップラーセンサの動作タイミングを指定する動作タイミング情報を送信する主制御機能を実行し、
前記動作タイミング情報を受信した各制御手段は、前記動作タイミング情報に基づいて、各ドップラーセンサをそれぞれ間欠動作させる従制御機能を実行することを特徴する小便器洗浄システム。
【請求項2】
前記動作タイミング情報は、前記他の小便器に設けられた各ドップラーセンサの間欠動作の開始タイミングを指定する情報、及び、前記間欠動作中における各ドップラーセンサの動作間隔を指定する情報、及び、各ドップラーセンサの間欠動作期間を指定する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の小便器洗浄システム。
【請求項3】
前記動作タイミング情報は、前記他の小便器に設けられた制御手段に、ドップラーセンサの動作開始を許可する動作開始許可情報を含み、
前記従制御機能を実行する制御手段は、前記通信手段を介して前記動作開始許可情報を受信する度に、前記ドップラーセンサを間欠動作させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の小便器洗浄システム。
【請求項4】
前記主制御機能を実行している制御手段は、次に主制御機能を実行する他の制御手段を判定する判定手段を備え、
前記判定手段により判定した制御手段へ、通信手段を介して、前記主制御機能の実行を許可する主制御機能開始許可情報を所定のタイミングで送信した後、前記従制御機能を実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の小便器洗浄システム。
【請求項5】
各制御手段は、第1の間欠動作期間前記ドップラーセンサを間欠動作させて人体を検知した後、尿を検知するために前記第1の間欠動作期間よりも短い第2の間欠動作期間前記ドップラーセンサを動作させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の小便器洗浄システム。
【請求項1】
複数の小便器と、
前記複数の小便器にそれぞれ設けられ、前記小便器内のボール部へ向けて電波を発信する発信手段と、前記発信手段により発信した電波の反射を受信する受信手段と、発信した電波の周波数と受信した電波の周波数との差分信号を生成する差分信号生成手段とを備えたドップラーセンサと、
前記複数の小便器にそれぞれ設けられ、前記差分信号に基づいて人体又は尿を検知する制御手段と、
前記制御手段による検知結果に基づいて前記便器の洗浄を行う洗浄手段と、
を有する小便器洗浄システムにおいて、
前記小便器にそれぞれ設けられ、前記制御手段の制御により他の前記制御手段との間で通信を行う通信手段を備え、
前記複数の小便器のうちの一つに設けられた前記制御手段は、この制御手段を含む各制御手段によって制御される各ドップラーセンサを、その動作期間が互いに重複しないように間欠動作させるべく、前記通信手段を介して他の前記小便器の制御手段へ、ドップラーセンサの動作タイミングを指定する動作タイミング情報を送信する主制御機能を実行し、
前記動作タイミング情報を受信した各制御手段は、前記動作タイミング情報に基づいて、各ドップラーセンサをそれぞれ間欠動作させる従制御機能を実行することを特徴する小便器洗浄システム。
【請求項2】
前記動作タイミング情報は、前記他の小便器に設けられた各ドップラーセンサの間欠動作の開始タイミングを指定する情報、及び、前記間欠動作中における各ドップラーセンサの動作間隔を指定する情報、及び、各ドップラーセンサの間欠動作期間を指定する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の小便器洗浄システム。
【請求項3】
前記動作タイミング情報は、前記他の小便器に設けられた制御手段に、ドップラーセンサの動作開始を許可する動作開始許可情報を含み、
前記従制御機能を実行する制御手段は、前記通信手段を介して前記動作開始許可情報を受信する度に、前記ドップラーセンサを間欠動作させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の小便器洗浄システム。
【請求項4】
前記主制御機能を実行している制御手段は、次に主制御機能を実行する他の制御手段を判定する判定手段を備え、
前記判定手段により判定した制御手段へ、通信手段を介して、前記主制御機能の実行を許可する主制御機能開始許可情報を所定のタイミングで送信した後、前記従制御機能を実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の小便器洗浄システム。
【請求項5】
各制御手段は、第1の間欠動作期間前記ドップラーセンサを間欠動作させて人体を検知した後、尿を検知するために前記第1の間欠動作期間よりも短い第2の間欠動作期間前記ドップラーセンサを動作させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の小便器洗浄システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−247158(P2007−247158A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68371(P2006−68371)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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