説明

小剛性部材をインサートする成形方法

【課題】水様性便であっても一定量を容易、確実に採取できる、吸水性部材を備えた便採取具を製造する方法、およびそのような採便器具の提供。
【解決手段】吸水性部材25を予め金型に挿入し、次に熱可塑性樹脂を注入し、一体成形をおこなうインサート成形方法であって、ゲートから注入される該熱可塑性樹脂の流れ方向の制御、具体的にはゲートの形状及び設置位置を、挿入部材の形状及び位置に合わせて変えることによりおこない、該吸水性部材25の剛性が小さい場合にも、該樹脂の流動圧力による該部材の変形及び位置ずれを引き起こさない上記成形方法を用いて行う便採取具2の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小剛性部材をインサートする成形方法、特に臨床検査用便を採取するために使用される採便器具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
採便器具は、大腸癌などのスクリーニングのための便潜血検査等のために、検査用の便を採取・保持するために広く使用されている。例えば特許文献1では、採便器具は、便採取具(採取棒)と保持ケースの2つの部分から構成されている。便採取具の先端部に便を付着させて採取し、そして該便採取具を保持ケースに挿入し保持ケースと嵌合させて、採取便の運搬・保存等に用いる。なお、このとき該便採取具の先端部分が、保持ケース内の保存液を密封している膜を貫通し、該便採取具の先端部分が保存液内に浸り採取した便を保存液内に溶解させる。該膜は弾性を持ったエラストマー、ゴム等であり、該便採取具の周上に圧接して液漏れを防止している。
【0003】
便採取具は、ツマミ部および相対的に小径のスティック部を備えており、ツマミ部を持って採便操作を行い、スティック部の先端付近に便を付着させる。便採取具は通常、プラスチックで形成され、固形便の場合には採取に特に問題はない。しかし下痢時などの水様性便の場合には、プラスチックの表面は撥水性を有するために水をはじき、水様性便の採取が困難であるという問題点がある。この問題に対処するための種々の工夫、例えば、特許文献1ではスティック部を吸水性繊維(ファイバー)束で作り水様性の便を吸着する工夫、特許文献2では溝を付ける工夫、特許文献3では採取部の先端に小孔をあけ表面張力により水様便を保持する工夫、さらに特許文献4では吸水性部材である綿球を採取部に付ける工夫が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−148177号公報
【特許文献2】特開2009−276311号公報
【特許文献3】特開2002−148257号公報
【特許文献4】特開2009−133704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1と4に記載された発明は便採取具に吸水性部材を備える構造により水様性便の採取の問題を解決しようとしている。しかし、特許文献1に記載の発明は、スティック部全体が吸水性繊維(ファイバー)束で作られているため、便に差し込む深さ及び時間により採取量にバラツキが生じるという不具合がある。この解決のためにはスティック先端部以外を吸水性の無い部材で被覆しなければならない。また、特許文献4に記載の綿球は、便質により便が付き過ぎて保持ケースからはみ出すこと、および採取量が一定しないという不具合がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、水様性便であっても一定量を容易、確実に採取できる、吸水性部材を備えた便採取具を製造する方法、およびそのような採便器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点の解決及び製造時間・コストを考慮すると、スティック部の先端部分にのみ吸水性部材をインサートするインサート成形により便採取具を作成することを考えた。しかし、吸水性部材は紙、繊維など一般に軟らかく剛性の小さな材質であることが多く、注入される成型用樹脂材料の流動圧力に小剛性のインサート部材は押し潰されたり、位置ずれを起したりしてインサート時の形状・位置を維持できないという問題点があることが判った。そこで、本発明は、
部材を予め金型に挿入し、次に金型に熱可塑性樹脂を注入して、一体成形をおこなうインサート成形方法であって、ゲートから注入された該熱可塑性樹脂の流れ方向の制御をおこなうことによって、前記樹脂の流動圧力による前記部材の変形及び位置ずれを防止する。
また、本発明において、前記流れ方向の制御は、前記部材の形状及び挿入位置に依存して前記ゲートの位置、形状を変えることによって行う。
さらに、本発明において、前記部材がシート状部材であり、前記ゲートは該シート状部材の端に向く方向に設けられ、ゲートから注入された該熱可塑性樹脂を該金型の壁面に沿って流して、該樹脂の流動圧力が該シート状部材の両面に均等にかかるようにする。
また、前記部材が中空円筒形状であり、前記ゲートは該中空円筒形状部材の開口に向く方向に設けられ、ゲートから注入された該熱可塑性樹脂を該金型の中心軸に沿って流して、該樹脂の流動圧力が上記中空円筒形状部材を該金型の壁面に押し付けるようにする。
さらに、本発明において、前記部材は剛性が小さく及び/又は吸水性であってもよい。
また、成形品は少なくとも便採取具の一部を構成するスティック部であり、前記吸水性部材はシート状であり、該スティック部の先端で樹脂により挟み込まれている、又は前記吸水性部材は円筒形状であり、該スティック部の一部を周回して囲むように備えられる。
さらに、本発明において、部材を予め金型に挿入し、次に金型に熱可塑性樹脂を注入して、便採取具の一部を構成するスティック部を一体成形する製造方法であって、
前記部材は吸水性部材であり、前記吸水性部材の形状は略円錐形で、該略円錐形の底面は平面状でありまたは突起若しくは溝を備え、該底面が熱可塑性樹脂中にあり、略円錐形の先端部が便と接触されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本願発明は、樹脂部材による便採取具の成形において剛性の小さな吸水性部材であってもインサート成形することにより、水様状便であっても容易、確実に一定量を採取できると共に、効率的かつ低コストの製造が可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る便採取具の構成を示す斜視図。
【図2】便採取具と保持ケースからなる採便器具の断面図。
【図3】本発明に係る剛性の小さな部材のインサート成形法における樹脂の流れを示す概念図。
【図4】本発明の便採取具のスティック部の第1の形態の構成を示す斜視図(A)および断面図(B)ならびに複数の便採取具を示す斜視図(C)。
【図5】本発明の便採取具のスティック部の第2の構成を示す斜視図(A)および断面図(B)。
【図6】本発明の便採取具のスティックの第3の構成を示す斜視図(A)および断面図(B、C、D)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、採便器具(1)の一要素である便採取具(2)の構造を示す。便採取具(2)は、スティック部(21)、把持部(22)、ツマミ部(23)を具備し、さらにスティック部(21)は先端又は先端近傍に吸水性部材(25)を備えている。便採取具(2)の使用は、ツマミ部(23)を持ってスティック部(21)の先端付近を便に刺通または接触させて便を採取する。
【0011】
採取に際し、固形便はもちろん水様性便の場合もはじかれることなく吸水性部材(25)に吸収されて容易に採取することが可能になる。吸水性部材(25)の具体的形態は、後ほど製造方法の実施形態の説明の中で詳しく述べる。また、スティック部(21)は相対的に小径の円柱形状であって、先端部分は丸みを帯びた略円錐形状をしている。採便後にスティック部(21)を保持ケース(3)(図2)の保存液内に挿入するために、保存液を密封している薄膜を破って挿入し易くするためである。
【0012】
把持部(22)は、採便後、便採取具(2)が保持ケース(3)に挿入されて(図2)保持ケース内壁に嵌合する嵌合部と便採取具(2)を持ちやすいように相対的に大径に形成された部分を備える。ツマミ部(23)は、採取時においてはこれを持ってスティック部(21)を操作して便を採取し、採取後はこの便採取具(2)のスティック部(21)を保持ケース(3)内の嵌合的に収納するときにも使用する。
【0013】
図2は、便採取具(2)と保持ケース(3)から構成されるに採便器具(1)の断面図を示す。採便後は、この図2に示すように、便採取具(2)は保持ケース(3)に挿入・嵌合されて便の運搬・保存が行われる。このとき便採取具(2)のスティック部(21)が、保持ケース(3)内の保存液(31)を密封している膜(32)を貫通し、便採取具(2)の先端部分が保存液(31)内に浸り採取した便が保存液内に溶解される。膜(32)は弾性を持った材料、例えばエラストマー、ゴムであり、便採取具(2)のスティック部の周上に圧接して液漏れを防止する。保持ケース(3)の材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル等を用いることができる。なお、保持ケース(3)の詳細については特許文献1を参照されたい。
【0014】
次に本発明に係るインサート成形方法について説明する。
本製造方法は、部材を予め金型に挿入し、次に熱可塑性樹脂を注入し、一体成形をおこなうインサート成形方法であって、金型に設けられたゲートから注入される熱可塑性樹脂の流れ方向の制御をおこなうことによって、樹脂の流動圧力による部材の変形及び/又は位置ずれを引き起こさないことを特徴とする。具体的な流れ方向の制御は、ゲートの形状及び設置位置を、金型に挿入される部材の形状及び挿入位置に合わせて、変えることによりおこなわれる。この樹脂の流れの制御によって、金型に挿入された例えばティッシュペーパーなど軟質で剛性の小さな部材であっても、樹脂の流動圧力によって「くしゃくしゃ」に押し潰されてしまう形態変形、位置ずれを起こさずに注入樹脂と一体成形が可能になる。なお、部材は剛性が小さいのみならず、吸水性部材であってもよい。
【0015】
次に、図を参照して金型に挿入される部材がシート状、及び中空円筒形状のケースについて樹脂の流れの制御を説明する。図3は、本願に係るインサート成形法における樹脂の流れを示す図である。
図3Aは、シート状部材が金型に挿入された場合の樹脂の流れを示す断面図である。斜線部は金型(5)に挟み込まれたシート状部材の断面を示す。矢印は金型(5)内への注入樹脂の流れを示す。左方にあるゲート(6)から注入される樹脂は、矢印のように金型(5)の主として上下壁面に沿って流れて右方の先端部に到達し、先端部から左方へ向けて挿入部材を上下から挟み込んで、樹脂が満たされていくように制御される。この流れ制御のための機構であるゲート(6)は、その位置を中央から側壁方向にずらして複数個設け、射出方向も中心軸から外向きにする。このようにすることによって、金型(5)の中心軸に沿う右方への流れがなくシート状部材に流動圧力を与えないのでシート状部材は潰れることはなく、また位置ずれも生じない。また、シート状部材の上下で樹脂の流動圧力の不均衡がないので、シート状部材は中央からずれて垂れ下がったりせず、安定して中央に形成される。
【0016】
また、図3Bは、中空円筒形状部材が金型に挿入された場合の樹脂の流れを示す断面図である。斜線部は金型(5)に接して挿入された中空円筒形状部材(中心軸は金型(5)の中心軸と略一致している)の断面を示す。矢印は金型(5)内への注入樹脂の流れを示す。左方にあるゲート(6)から注入される樹脂は、矢印のように金型(5)の中心軸から側壁に均等に流れるようにされ、挿入部材が内側から金型(5)側壁へ押し付けられる圧力を受けるよう制御される。この流れ制御のための機構であるゲート(6)は、金型(5)の中心軸上に設けられ、軸方向も金型中心軸に略一致している。注入樹脂の流れが金型(5)の側壁を伝って直接的に中空円筒形状部材に当たらないので、位置ずれや押し潰されることはない。
【0017】
なお、上述した注入樹脂の流れ方向の制御を伴ったインサート成形法は、以下で詳しく説明する便採取具の製造のみならず、例えば、紙のタグを樹脂成形品に一体化する場合等、一般的に軟らかく剛性の小さな部材を樹脂と一体成形する場合の製造にも使える。
【0018】
また、上記の挿入部材は吸水性部材でありうる。吸水性部材としては、例えば、紙、繊維、フィラー、ファイバーまたは焼結材を使用することができる。
また、成形材料である熱可塑性樹脂成としては、例えばポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP))またはオレフィン共重合体を使用することができる。
【0019】
次に、上記の製造方法を使った便採取具(2)の製造方法について説明する。
便採取具(2)は、ツマミ部を含む便採取具の全体を一体成形するための金型を使用して、一体成形されてもよく、また少なくともスティック部を成形する金型を用いて作り、その他の部分を個別に作り組み立ててもよい。
【0020】
図4は、本発明の第1の実施態様における便採取具(2)のスティック部(21)の構成を示した図である。図4Aは、スティック部(21)の先端付近の斜視図を示し、図4Bは、スティック部(21)先端付近の断面図を示す。ここで斜線を施した部分は吸水性部材(25)を示す。スティック部(21)は、先端が丸みを帯びた略円錐形状の先端部分にシート状の吸水性部材(25)を挟み込むように形成されている。また、図4Cは、複数の金型に対して1枚のシート状吸水性部材を用意して試作製造した結果の写真である。
【0021】
本第1の実施態様における製造方法においては、先ず、(A)シート状の吸水性部材が、先端部が略円錐形状の成形用金型内に挿入される。そして、(B)金型に挿入されたシート状吸水性部材の両側に便採取具成形材料が注入される。この注入においては、図3Aで説明したように、注入樹脂の流れの制御をおこなう。すなわち、成形材料のスティック軸方向の注入圧力が直接にシート状の吸水性部材にかかり、「しわ」が寄るのを防止するために、金型に沿って成形材料を注入し、シートの両側から成形材料が充填されるようにしている。したがって、シート状吸水性部材は成形材料の注入圧力に耐えうる剛性を備える必要はない。溶融した成形材料は、吸水性部材の表面の凸凹に入り込み、冷却して固化するとき吸水性部材と固着する。以下に説明する第2および第3の実施態様と異なり、予め吸水性部材の成形が不要な点、および(A)の挿入工程において多数の金型に共通に1枚の吸水性部材シートを設定してもよく(図4C参照)、この場合は吸水性部材の金型への挿入が効率的におこなえるという利点がある。
【0022】
図5は、本発明の第2の実施態様における便採取具(2)のスティック部(21)の構成を示した図である。図5Aは、スティック部(21)の先端付近の斜視図を示し、図5Bは、スティック部(21)先端付近の断面図を示す。ここで斜線を施した部分は吸水性部材(25)を示す。スティック部(21)は、その先端部近傍に円筒(リング)状の吸水性部材(25)を備えている。円筒形状の吸水性部材(25)の外径とスティック部の外径は略同一で、スティック部は吸水性部材(25)の孔を貫通して、吸水性部材(25)の近傍ではこの略外径に等しく先端部が丸みを帯びた略円錐形のスティック先端部が形成されて、円筒形状の吸水性部材(25)を保持している。
【0023】
第2の実施態様における製造方法においては、先ず、(A)予め成形された円筒形状の吸水性部材が成形用金型の略円錐形状の先端部分の後方部分に挿入される。そして、(B)円筒形状の吸水性部材の孔を通して便採取具成形材料が先端部まで注入される。流れの制御については、図3Bを用いて上述した。溶融した成形材料は、吸水性部材の表面の凸凹に入り込み、冷却して固化するとき吸水性部材と固着する。下記の円錐形状(第3の実施態様)の場合と異なり、円筒形状は軸方向にも幾何学的対称性を有しているので、吸水性部材を金型へ挿入する際、挿入方向を考慮する必要がなく挿入が効率的に行えるというメリットがある。
【0024】
図6は、本発明の第3の実施態様における便採取具(2)のスティック部(21)の構成を示した図である。図6Aはスティック部(21)の先端付近の斜視図を示し、図6B〜Dは、スティック部(21)の先端部分の各種断面図を示す。斜線を施した部分は吸水性部材(25)を示す。
図6Bでは、吸水性部材(25)は先端部が丸みを帯びた略円錐形状であって、この略円錐形状部材の底面に突起を備えている吸水性部材(25)が、スティック部(21)の先端部分に備えられている。突起を備えているのはスティック部分との接触面積を増やして両者の接合を強固にするためである。
図6Cは、吸水性部材(25)が突起の代わりに溝を備えている場合である。その狙いは図4Bの場合と同じである。
図6Dは吸水性部材(25)の円錐形の底面が平面の場合を示す。吸水性部材(25)はその表面に凸凹を有しているので、樹脂と固着する。図4B、Cのように吸水性部材(25)の突起または溝によってスティック部材の樹脂との接合面積を増大させなくとも必要な固着強度が得られる場合に使用してもよい。
スティック部(21)とその先端の吸水性部材(25)とは材質、色が異なるためスティック部を便に差す深さの目印にもなり便利である。
【0025】
第3の実施態様における製造方法においては、先ず、(A)予め成形された先端部が丸みを帯びた略円錐形状であって、この底面が平面状または突起若しくは溝を備えている吸水性部材が成形用金型内の先端部に挿入される。そして、(B)吸水性部材の底面部分まで便採取具成形材料が注入される。溶融した成形材料は、吸水性部材の表面の凸凹に入り込み、冷却して固化するとき吸水性部材と固着する。
【符号の説明】
【0026】
1 採便器具
2 便採取具
3 保持ケース
5 金型
6 ゲート
21 スティック部
22 把持部
23 ツマミ部
25 吸水性部材
31 保存液
32 膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材を予め金型に挿入し、次に金型に熱可塑性樹脂を注入して、一体成形をおこなうインサート成形方法であって、
ゲートから注入された該熱可塑性樹脂の流れ方向の制御をおこなうことによって、前記樹脂の流動圧力による前記部材の変形及び位置ずれを防止することを特徴とする、インサート成形方法。
【請求項2】
前記流れ方向の制御は、前記部材の形状及び挿入位置に依存して前記ゲートの位置、形状を変えることによって行う、請求項1に記載のインサート成形方法。
【請求項3】
前記部材がシート状部材であり、前記ゲートは該シート状部材の端に向く方向に設けられ、ゲートから注入された該熱可塑性樹脂を該金型の壁面に沿って流して、該樹脂の流動圧力が該シート状部材の両面に均等にかかるようにする、請求項1又は2に記載のインサート成形方法。
【請求項4】
1枚の前記シート状部材を複数の金型に挿入し、複数の成形品を同時に得る請求項3に記載のインサート成形方法。
【請求項5】
上記シート状部材が該金型からはみ出しており、成形品から該はみ出したシート部分を切除する工程を更に有する、請求項3又は4に記載のインサート成形方法。
【請求項6】
前記部材が中空円筒形状であり、前記ゲートは該中空円筒形状部材の開口に向く方向に設けられ、ゲートから注入された該熱可塑性樹脂を該金型の中心軸に沿って流して、該樹脂の流動圧力が上記中空円筒形状部材を該金型の壁面に押し付けるようにする、請求項1又は2に記載のインサート成形方法。
【請求項7】
前記部材は剛性が小さい部材である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインサート成形方法。
【請求項8】
前記部材は吸水性部材である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインサート成形方法。
【請求項9】
成形品は少なくとも便採取具の一部を構成するスティック部であり、前記吸水性部材はシート状であり、該スティック部の先端で樹脂により挟み込まれている、又は前記吸水性部材は円筒形状であり、該スティック部の一部を周回して囲む、前請求項8に記載のインサート成形方法。
【請求項10】
前記成形品は、ツマミ部及び把持部を含む便採取具である、請求項9に記載のインサート成形方法。
【請求項11】
前記吸水性部材は、紙、繊維、フィラー、ファイバーまたは焼結材から形成される、請求項8〜10のいずれか1項に記載のインサート成形方法。
【請求項12】
前記熱可塑性樹脂材は、ポリオレフィンまたはオレフィン共重合体である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインサート成形方法。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載のインサート成形方法によって作られた便採取具を含む採便器具。
【請求項14】
部材を予め金型に挿入し、次に金型に熱可塑性樹脂を注入して、便採取具の一部を構成するスティック部を一体成形する製造方法であって、
前記部材は吸水性部材であり、前記吸水性部材の形状は略円錐形で、該略円錐形の底面は平面状でありまたは突起若しくは溝を備え、該底面が熱可塑性樹脂中にあり、略円錐形の先端部が便と接触されるものであるところの、製造方法。
【請求項15】
前記吸水性部材は、紙、繊維、フィラー、ファイバーまたは焼結材から形成される、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記熱可塑性樹脂材は、ポリオレフィンまたはオレフィン共重合体である、請求項14または15に記載の製造方法。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれか1項に記載の製造方法によって作られた便採取具を含む製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−171344(P2012−171344A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38847(P2011−38847)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(592212641)トルク精密工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】