小型エアゾールジェット流及びエアゾールジェット流配列構造
様々なエアゾール物質の直接印刷のための小型エアゾールジェット流又は小型エアゾールジェット流配列構造に関する。最も多用される実施態様ではエアゾールストリームが焦点処理され、平面または非平面である標的上に堆積され、対応バルク物質のものに近い物性、光学特性及び/又は電気特性を提供するように熱的あるいは光化学的に処理されるパターンを形成する。この装置は、外側シースガスフローと内側エアゾール含有キャリアフローとで成る環状拡散ジェット流を形成するエアゾールジェット流堆積ヘッドを使用する。堆積ヘッドの小型化は配列された堆積ヘッドの組み立て並びに操作を容易にし、エアゾールジェット流配列構造の構築と操作を独立したものとすることができる。配列エアゾールジェット流は堆積速度、堆積配列構造及び多重物質堆積性能を向上させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2004年12月13日出願の米国仮特許願60/635847「小型エアゾールジェット流及びエアゾールジェット流配列構造」並びに2005年4月8日出願の米国仮特許願60/669748「噴化チャンバ及びエアゾールジェット流配列構造」の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は小型エアゾールジェット流を利用した様々なエアゾール噴射物質の直接印刷あるいは小型エアゾールジェット流配列構造に関する。さらに一般的には本発明は平面または非平面への無マスク式非接触印刷に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は感熱タイプ標的上への物質印刷にも利用でき、大気条件で実行でき、ミクロサイズの特徴部を堆積(あるいは印刷)することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は標的に物質を堆積(印刷)させる堆積ヘッド構造体を提供する。この堆積ヘッド構造体は堆積ヘッドを含んでおり、その堆積ヘッドは、堆積物質を含んだエアゾールを搬送する導通路と、堆積ヘッドにシースガス(外側ガス)を導入する1以上の注入口と、その注入口に連通した第1チャンバと、導通路出口に近接し、エアゾールをシースガスと組み合わせるための領域とを含み、内側エアゾールフロー(流)を包囲する外側シースガスフローを含んだ環状ジェット流を形成する。堆積ヘッド構造体はさらに延伸ノズルを含んでいる。この堆積ヘッド構造体は好適には約1cm以下の直径を有する。それら注入口は好適には導通路周囲に配置されている。導通路に近接する領域はオプションで第2チャンバを含んでいる。
【0005】
第1チャンバはオプションで堆積ヘッドの外側に提供することもでき、シースガスがエアゾールと組み合わされる前に導通路周囲にシースガス圧の筒対称分布を提供する。第1チャンバは好適には充分に長く、シースガスがエアゾールと組み合わされる前に導通路周囲にシースガス圧の筒対称分布を提供する。堆積ヘッド構造体はオプションでさらに第3チャンバを含み、第1チャンバからシースガスを受領することもできる。第3チャンバはシースガスがエアゾールと組み合わされる前に導通路周囲にシースガス圧の筒対称分布を提供する第1チャンバを補助する。好適には第3チャンバは、導通路に平行で、導通路周囲に配列された複数通路によって第1チャンバに連通されている。堆積ヘッド構造体は好適には標的に対して堆積ヘッドを平行移動または傾斜させるためのアクチュエータを含む。
【0006】
本発明は標的上に物質を堆積させる装置をも提供する。この装置は堆積物質を含むエアゾールを搬送する複数の導通路と、それら導通路を包囲するシースガスチャンバと、それぞれ導通路の出口に近接し、エアゾールとシースガスとを組み合わせて各導通路のための環状ジェット流を形成する領域とを含んでいる。そのジェット流は内側エアゾールフローを包囲する外側シースガスフロー含んでいる。この堆積装置はさらに各導通路に対応する延伸ノズルを含んでいる。それら複数の導通路は好適には配列構造物を形成する。エアゾールはオプションで共通チャンバから各導通路に進入することもできる。しかし、エアゾールは好適には個別に少なくとも1本の導通路に供給される。オプションで第2エアゾール化物質が少なくとも1本の導通路に供給される。少なくとも1本の導通路内のエアゾール質量流量は好適には個別に制御できる。堆積装置は好適には標的に対して1以上の導通路及び延伸ノズルを平行移動あるいは傾斜させる1以上のアクチュエータを含む。
【0007】
堆積装置は好適には物質を保留する筒状チャンバと、チャンバ底部に堆積された薄樹脂膜と、チャンバを受領し、薄樹脂膜を通過させて超音波エネルギーを方向付ける超音波槽と、チャンバ内にキャリア(運搬)ガスを導入するためのキャリア管と、複数の導通路にエアゾールを搬送する1以上の撮像管とを含んだ噴化器をさらに含む。キャリア管は好適には1以上の開口部を含む。堆積装置は好適には堆積物質の大形液滴をリサイクルするためにキャリア管に取り付けられた漏斗をさらに含む。オプションで追加堆積物質が継続的に噴化器に供給され、複数の導通路に搬送される物質を補充する。
【0008】
本発明の1目的は標的上に物質を堆積するための小型堆積ヘッドの提供である。
【0009】
本発明の1利点は小型堆積ヘッドを小型配列構造体内に容易に組み込むことができ、同時的に複数の堆積作業を実行させ、堆積作業時間を大幅に短縮させることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の他の目的、利点及び新規な特徴並びに利用範囲は添付図面を利用して以下で詳細に解説する。
【0011】
本発明は一般的に高解像度であってマスクを利用しない、空気力学焦点技術を利用した液体及び液体・粒子縣濁物の堆積(印刷)に関する。最も多用される実施態様ではエアゾールストリーム(フロー)が焦点処理され、平面または非平面である標的上に堆積され、対応バルク物質のものに近い物性、光学特性及び/又は電気特性を提供するように熱的あるいは光化学的に処理されるパターンを形成する。この処理はM3D無マスクメソスケール物質堆積技術と呼称され、従来式厚膜加工技術で堆積される線幅よりも細い線幅でエアゾール化物質を堆積させるのに利用される。この堆積はマスクを使用せずに実施される。メソスケールとは約1ミクロンから1ミリのサイズであり、従来式薄膜加工並びに厚膜加工で堆積される図形範囲をカバーするものである。さらに、加工後レーザ処理を組み合わせるとM3D加工技術は1ミクロン程度の幅の線を印刷できる。
【0012】
M3D装置は好適には、外側シースガスフローと内側エアゾール含有キャリアフローとで成る環状拡散ジェット流を形成するエアゾールジェット流堆積ヘッドを使用する。この環状エアゾールジェット噴射加工では、エアゾールフローは好適にはエアゾール化ステップ直後あるいは加熱構造体通過直後に堆積ヘッドに導入され、堆積ヘッド排出口方向に堆積装置の縦軸に沿って方向付けられる。質量処理量は好適にはエアゾールキャリアガスマスフローコントローラでコントロールされる。好適には堆積ヘッド内部でエアゾールフローはミリサイズ排出口を通過することで当初に平行処理される。創出粒子フローは好適には環状シースガスと組み合わされる。このキャリアガスとシースガスは大抵は圧縮空気あるいは不活性ガスを含有しており、一方または両方は改質溶剤蒸気を含む。例えば、エアゾールが水溶液から形成されると、水蒸気がキャリアガスまたはシースガスに加えられ、液滴蒸発が防止される。
【0013】
シースガスは好適にはエアゾール入口下方のシースガス入口から進入し、エアゾールフローを含んだ環状フローを形成する。エアゾールキャリアガスの場合と同様に、シースガス流量は好適にはマスフローコントローラでコントロールされる。組み合わされたガスフローは標的に向かって方向付けられた排出口を通って延伸ノズルから排出される。この環状フローはエアゾールストリームを標的上に焦点させ、約5ミクロン程度の寸法で特徴部を堆積させる。
【0014】
M3D法では、シースガスフローがエアゾールフローと組み合わされると、その組み合わせフローはミリ以下の線幅を堆積するために2以上の排出口を通過する必要はない。10ミクロン線幅の堆積ではM3D法は典型的には約250のフロー径狭窄を達成し、この“1段階”堆積処理では1000以上の狭窄を達成できよう。軸方向の狭窄は利用されず、ガスフローは典型的には超音速には到達しない。よって乱流の形成は阻止される。これでガスフローの完全狭窄を達成する可能性がある。
【0015】
増強堆積特性が延伸ノズルを堆積ヘッドに取り付けることで得られる。ノズルは堆積ヘッドの下方チャンバに、好適には空圧固定具と締付ナットを使用して取り付けられ、好適には約0.95から1.9cmの長さである。ノズルは創出ストリーム径を減少させ、ノズル排出口を約3mmから5mm越えた距離で創出ストリームをノズル排出口径の一部に平行加工する。ノズルの排出口径は堆積物質の所望線幅範囲に従って選択する。排出口は約50ミクロンから500ミクロンの直径を有することができる。堆積線幅は排出口径の約20分の1のサイズでも可能であり、あるいは排出口と同サイズであってもよい。着脱式延伸ノズルの利用は同一堆積装置を使用して堆積構造物のサイズを数ミクロンから1ミリ程度にまで変化させることができる。創出ストリーム径(すなわち堆積線幅)は排出口サイズ、シースガス流量とキャリアガス流量の割合、及び排出口と標的との距離によってコントロールされる。増強堆積は堆積ヘッド本体に加工された延伸ノズルを使用しても得ることができる。そのような延伸ノズルのさらに詳細な説明は2004年12月13日出願の米国特許願11/011366「延伸ノズルを使用した環状エアゾールジェット流堆積」に記載されている。
【0016】
多くの利用形態では多重堆積ヘッドを使用して堆積を実施するのが有利である。直接印刷のために多重堆積ヘッドを使用する場合には、小型堆積ヘッドを使用して単位面積あたりのノズル数を増加させることができる。小型堆積ヘッドは好適には標準ヘッドと同一の基本的内部構造を有する。ここでの環状フローは標準型堆積ヘッドの場合と類似した形態でエアゾールガスとシースガスとの間で形成される。堆積ヘッドの小型化は直接的書込みプロセスを可能にする。堆積ヘッドは移動式ガントリに取り付けられ、固定標的上に物質を堆積させる。
小型エアゾールジェット流堆積ヘッド及びジェット流配列構造
M3D堆積ヘッドの小型化は装置重量を1桁以上減少させ、可動ガントリ上での取り付けや平行移動を容易にさせる。小型化は配列された堆積ヘッドの組み立て並びに操作をも容易にし、エアゾールジェット流配列構造の構築と操作を独立したものとすることができる。配列エアゾールジェット流は堆積速度、堆積配列構造及び多重物質堆積性能を向上させる。配列エアゾールジェット流はさらに高解像度直接印刷利用形態のためのノズル密度を向上させ、特殊な堆積利用形態のためのカスタマイズされたジェット間隔並びに形態で製造可能である。ノズル形態には直線、長方形、円形、多角形及び多様な非直線形状が含まれるがこれらに限定されない。
【0017】
小型堆積ヘッド機能は標準型堆積ヘッドと同様に機能するが、大型ユニットの約5分の1の直径である。従って小型堆積ヘッドの直径又は幅は好適には約1cmであるが、これよりも大きくても小さくてもよい。本願で詳述されている数々の実施例は、堆積ヘッド内でシースガスを導入及び分配する多様な方法と、シースガスフローをエアゾールフローと組み合わせる方法について開示している。堆積ヘッド内でのシースガスフローの提供はシステムの堆積特性にとって重要であり、ジェットエアゾールストリームの最終幅と主要堆積の境界を超えて堆積されるサテライト液滴の量を決定し、排出口壁とエアゾール含有キャリアガスとの間にバリヤを形成することで排出口の詰まりを最小限化させる。
【0018】
小型堆積ヘッドの断面を図1aに示す。エアゾール含有キャリアガスはエアゾールポート102を通過して堆積ヘッドへ進入し、装置の縦軸に沿って方向付けられる。不活性シースガスは上方プレナムチャンバ104に連結されたポートを通って堆積ヘッドに横方向に進入する。プレナムチャンバは堆積ヘッド周囲でシースガス圧の筒対称分布を創出する。シースガスは円錐形下方プレナムチャンバ106へ流入し、組み合せチャンバ108内でエアゾールストリームと組み合わされ、内側エアゾール含有キャリアガスフローと外側不活性シースガスフローとで成る環状フローを形成する。環状フローは延伸ノズル110を通って拡散し、ノズル排出口112から排出される。
【0019】
図1bは別実施例を示しており、シースガスは均等間隔の6個の導通路から導入される。この形態は図1aに示す堆積ヘッドの内側プレナムチャンバを組み込んでいない。シースガス導通路114は装置の軸周囲で好適には均等間隔で提供されている。この設計は堆積ヘッド124のサイズを減少させることができ、装置の組み立てを容易にさせる。シースガスは堆積ヘッドの組み合せチャンバ108内でエアゾールキャリアガスと組み合わされる。前述の設計のごとく、組み合わされたフローは延伸ノズル110へ進入し、ノズル排出口112から排出される。堆積ヘッドはプレナムチャンバを含んでいないため、シースガス圧の筒対称分布は、好適にはシースガスが堆積ヘッド内へ射出される前に確立される。図1cは外側プレナムチャンバ116を用いてシースガス圧分布を提供するための形態を示している。この形態ではシースガスはチャンバ側部に配置されたポート118からプレナムチャンバへ進入し、シースガス導通路114を上方へ流れる。
【0020】
図1dは堆積ヘッドの縦軸に沿った管体からエアゾール並びにシースガスを導入する堆積ヘッド形態の斜視図と断面図である。この形態では、筒対称圧力分布は、ヘッド軸中央のディスク122に提供された好適には均等間隔である穴120を通してシースガスを通過させることで得られる。シースガスはその後組み合せチャンバ108内でエアゾールキャリアガスと組み合わされる。
【0021】
図1eは内側プレナムチャンバを使用し、ヘッドを取付構造体に接続するポート118を介してシースガスを導入する堆積ヘッド形態の斜視図及び断面図である。図1aで示す形態のごとく、シースガスは組み合せチャンバ108へ流れる前に、上方プレナムチャンバ104へ進入し、その後下方プレナムチャンバ106へ流入する。この場合、上方と下方プレナムチャンバ間の距離は堆積ヘッドをさらに小型化させるために減少されている。
【0022】
図1fは極限にまで小型化させるため、プレナムチャンバを使用しない堆積ヘッドの斜視図及び断面図である。エアゾールはエアゾール管102上部の開口部を通過してシースガスチャンバ210へ進入する。シースガスはポート118(オプションでエアゾール管102に対して垂直)を通過してヘッドへ進入し、エアゾール管102の底部でエアゾールフローと組み合わされる。エアゾール管102を部分的又は全体的にシースガスチャンバ210の底部へ延長させることもできる。シースガスチャンバ210はシースガスフローがエアゾールフローと組み合わされる前に、エアゾールフローと実質的に平行となるよう充分に長くなければならない。これにより好適にはシースガス圧の筒対称分布が創出される。シースガスはその後にシースガスチャンバ210底部あるいはこの付近でエアゾールキャリアガスと組み合わされ、組み合せガスフローは収束ノズル220によって延伸ノズル230内へ方向付けられる
図2は可動ガントリ126に取り付けられた1体の小型堆積ヘッド124の概略図である。このシステムは好適には整合カメラ128と処理レーザ130を含んでいる。処理レーザはファイバーベースレーザでよい。この形態では認識と整合、堆積、及びレーザ処理は連続して実行される。この形態は堆積重量とM3Dシステムの処理モジュールを大幅に減少させ、メソスケール構造のマスクを利用しない、非接触印刷を安価に提供させる。
【0023】
図3では標準型M3D堆積ヘッド132を小型堆積ヘッド124と並べて示している。小型堆積ヘッド124の直径は標準型堆積ヘッドの直径の約5分の1である。
【0024】
堆積ヘッドを小型化することで多重型ヘッド設計の組み立てが容易になる。この形態の概略を図4aに示している。この形態では装置は一体式であり、エアゾールフローはエアゾールガスポート102を通過してエアゾールプレナムチャンバ103へ進入し、10体ヘッド配列構造へ進入するが、ヘッドの数はいくつでもよい。シースガスフローは少なくとも1つのシースガスポート118を通過してシースプレナムチャンバ105へ進入する。この一体式形態では、ヘッドは1物質を同時的に配列形態で堆積する。この一体式形態は固定標的と共に2軸ガントリへ搭載できる。あるいは標的をガントリの移動方向に対して直交する方向へ供給してシステムを1軸ガントリへ搭載することもできる。
【0025】
図4bは多次元ヘッド用の第2形態を示している。この図は10本の直線配列ノズル(1次元又は2次元パターンのいずれかで何本のノズルを配列してもよい)を示しており、それぞれは個別のエアゾールポート134によって供給される。この形態は各ノズル間での均一量フローを可能にする。均一間隔の噴化源であれば各ノズルに搬送されるエアゾール量は流量コントローラの質量流速度によって定まり、配列構造内のノズル位置とは無関係である。図4bの形態では1堆積ヘッドからの複数の物質の堆積も考慮している。異なる物質はオプションで同時的又は連続式にいかなる所望パターンにでも堆積できる。このような利用形態では、異なる物質は各ノズルへ搬送され、各物質は同一の噴化器とコントローラ、あるいは個別の噴化器とコントローラによって噴化及び搬送される。
【0026】
図5aは2本の直交軸周囲でヘッドを傾斜させる形態の小型エアゾールジェット流を示す。図5bは圧電駆動小型エアゾールジェット流の配列構造体を示す。この配列構造は軸に沿った平行移動を可能にさせる。エアゾールジェット流は好適には屈曲性取り付け台によってブラケットに取り付けられる。圧電式アクチュエータを用いた横方向の力を適用してヘッドを傾斜させるか、あるいは1以上の(好適には2)の検流計を用いて傾斜させる。エアゾールプレナムはそれぞれが個別の堆積ヘッドに供給する管体の束に代えることができる。この形態ではエアゾールジェットは独立した堆積が可能である。
エアゾールジェット流配列構造用の噴化器チャンバ
エアゾールジェット流配列構造は、標準型M3Dシステムで使用されるものとは大幅に異なる噴化器を必要とする。 図6は10体以上の数の配列式又は非配列式ノズルに噴化霧を供給するために充分な容量を有する噴化器構造体の切欠き図である。噴化器構造体は噴化器チャンバ136(好適にはガラス筒体)を含んでおり、底部には好適にはカプトンを含んだ好適には薄樹脂膜が提供されている。噴化器構造体は好適には超音波噴化器槽内に提供されており、超音波エネルギーはフィルムを通過して上方に向かう。膜は超音波エネルギーを機能インクへ送り、機能インクはエアゾールを発生させるように噴化処理される。
【0027】
格納漏斗138は好適には噴化器チャンバ136の中央に位置しており、好適には噴化器チャンバ136の上部から延伸する空洞管体を含んだキャリアガスポート140へ連結されている。ポート140は漏斗138真上に好適には1以上のスロット又はノッチ200を含んでおり、キャリアガスをチャンバ138へ進入させる。漏斗138は噴化処理中に形成される大形液滴を含んでおり、これらをリサイクルするために管体に沿って槽へ降下させる。小形液滴はキャリアガス内に混入され、好適には漏斗138周囲に取り付けられた1以上の撮像管142を介して噴化器構造体からエアゾール又は霧として搬送される。
【0028】
噴化器構造体用のエアゾール出口の数は好適には可変であり、複数ノズル配列構造のサイズによって定められる。ガスケット物質が好適には密封体として噴化器チャンバ136の上部に配置され、好適には2体の金属体間に挟まれている。ガスケット物質は撮像管142とキャリアガスポート140周囲で密封体を形成する。バッチオペレーションのため、噴化される物質の所望量が噴化器構造体内に提供される。物質は継続的に噴化器構造体内へ、好適にはシリンジポンプ等の装置によって、好適にはガスケット物質内の1以上の穴を通って提供された1以上の物質注入口を通って供給される。供給量は好適には物質が噴化器構造体から排出される量と同じである。このようにして噴化器チャンバ内でのインク又は他の物質の量を一定に維持している。
停止及びエアゾール排出均衡化
小型ジェット流又は小型ジェット流配列構造の停止はエアゾールガス入力管に取り付けられたピンチバルブを用いて達成できる。作用されるとピンチバルブが管体を締め付け、堆積ヘッドへのエアゾールフローを停止させる。バルブが開けられると、ヘッドへのエアゾールフローは再開される。ピンチバルブ停止はノズルを凹部へ下降させ、停止能力を維持しながら凹部への堆積を可能にする。
【0029】
さらに複数ノズル配列構造の操作では、個別のノズルからのエアゾール排出の均衡化が必要である。エアゾール排出均衡化は個別のノズルへ通じるエアゾール出力管体を締め付けることで達成でき、ノズルの相対的エアゾール排出の調整によって各ノズルからの均一質量流を得ることができる。
【0030】
小型エアゾールジェット流又はエアゾールジェット流配列構造が関与する利用形態には広域印刷、配列堆積、複数物質堆積及び4/5軸モーションを用いた3次元物体へのコンフォーマル印刷が含まれるがこれらに限定されない。
【0031】
本発明を特定の好適実施例について詳説したが、当業者であれば請求の範囲内で本発明の範囲を逸脱することなく本発明を変更することができる。前述の多様な形態は好適実施例について説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。当業者にとって本発明の変更は容易であり、本発明にはこのような変更も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1a】図1aは本発明の小型堆積ヘッドの断面図である。
【図1b】図1bは6本の等間隔導通路からのシースガスを導入する別例小型堆積ヘッドの斜視図及び断面図である。
【図1c】図1cは外側シースプレナムチャンバを備えた図1bの堆積ヘッドの斜視図及び断面図である。
【図1d】図1dは堆積ヘッドの縦軸に沿った管体からのエアゾール並びにシースガスを導入する堆積ヘッド形態の斜視図と断面図である。
【図1e】図1eは内側プレナムチャンバを使用し、堆積ヘッドを取付構造体に接続するポートを介してシースガスを導入する堆積ヘッド形態の斜視図及び断面図である。
【図1f】図1fは極限にまで小型化させるため、プレナムチャンバを使用しない堆積ヘッドの斜視図及び断面図である。
【図2】図2は可動ガントリに取り付けられた1体の小型堆積ヘッドの概略図である。
【図3】図3は標準型M3D堆積ヘッドと比較された小型堆積ヘッドを図示する。
【図4a】図4aは多重型ヘッド形態の概略図である。
【図4b】図4bは個別に供給されたノズルを備えた多重型ヘッド形態の概略図である。
【図5a】図5aは2本の直交軸周囲でヘッドを傾斜させる形態の小型エアゾールジェット流を示す。
【図5b】図5bは圧電駆動小型エアゾールジェット流の配列構造体を示す。
【図6】図6は小型エアゾールジェット流配列構造体が使用された噴化器構造体の斜視切欠き図である。
【技術分野】
【0001】
本願は2004年12月13日出願の米国仮特許願60/635847「小型エアゾールジェット流及びエアゾールジェット流配列構造」並びに2005年4月8日出願の米国仮特許願60/669748「噴化チャンバ及びエアゾールジェット流配列構造」の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は小型エアゾールジェット流を利用した様々なエアゾール噴射物質の直接印刷あるいは小型エアゾールジェット流配列構造に関する。さらに一般的には本発明は平面または非平面への無マスク式非接触印刷に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は感熱タイプ標的上への物質印刷にも利用でき、大気条件で実行でき、ミクロサイズの特徴部を堆積(あるいは印刷)することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は標的に物質を堆積(印刷)させる堆積ヘッド構造体を提供する。この堆積ヘッド構造体は堆積ヘッドを含んでおり、その堆積ヘッドは、堆積物質を含んだエアゾールを搬送する導通路と、堆積ヘッドにシースガス(外側ガス)を導入する1以上の注入口と、その注入口に連通した第1チャンバと、導通路出口に近接し、エアゾールをシースガスと組み合わせるための領域とを含み、内側エアゾールフロー(流)を包囲する外側シースガスフローを含んだ環状ジェット流を形成する。堆積ヘッド構造体はさらに延伸ノズルを含んでいる。この堆積ヘッド構造体は好適には約1cm以下の直径を有する。それら注入口は好適には導通路周囲に配置されている。導通路に近接する領域はオプションで第2チャンバを含んでいる。
【0005】
第1チャンバはオプションで堆積ヘッドの外側に提供することもでき、シースガスがエアゾールと組み合わされる前に導通路周囲にシースガス圧の筒対称分布を提供する。第1チャンバは好適には充分に長く、シースガスがエアゾールと組み合わされる前に導通路周囲にシースガス圧の筒対称分布を提供する。堆積ヘッド構造体はオプションでさらに第3チャンバを含み、第1チャンバからシースガスを受領することもできる。第3チャンバはシースガスがエアゾールと組み合わされる前に導通路周囲にシースガス圧の筒対称分布を提供する第1チャンバを補助する。好適には第3チャンバは、導通路に平行で、導通路周囲に配列された複数通路によって第1チャンバに連通されている。堆積ヘッド構造体は好適には標的に対して堆積ヘッドを平行移動または傾斜させるためのアクチュエータを含む。
【0006】
本発明は標的上に物質を堆積させる装置をも提供する。この装置は堆積物質を含むエアゾールを搬送する複数の導通路と、それら導通路を包囲するシースガスチャンバと、それぞれ導通路の出口に近接し、エアゾールとシースガスとを組み合わせて各導通路のための環状ジェット流を形成する領域とを含んでいる。そのジェット流は内側エアゾールフローを包囲する外側シースガスフロー含んでいる。この堆積装置はさらに各導通路に対応する延伸ノズルを含んでいる。それら複数の導通路は好適には配列構造物を形成する。エアゾールはオプションで共通チャンバから各導通路に進入することもできる。しかし、エアゾールは好適には個別に少なくとも1本の導通路に供給される。オプションで第2エアゾール化物質が少なくとも1本の導通路に供給される。少なくとも1本の導通路内のエアゾール質量流量は好適には個別に制御できる。堆積装置は好適には標的に対して1以上の導通路及び延伸ノズルを平行移動あるいは傾斜させる1以上のアクチュエータを含む。
【0007】
堆積装置は好適には物質を保留する筒状チャンバと、チャンバ底部に堆積された薄樹脂膜と、チャンバを受領し、薄樹脂膜を通過させて超音波エネルギーを方向付ける超音波槽と、チャンバ内にキャリア(運搬)ガスを導入するためのキャリア管と、複数の導通路にエアゾールを搬送する1以上の撮像管とを含んだ噴化器をさらに含む。キャリア管は好適には1以上の開口部を含む。堆積装置は好適には堆積物質の大形液滴をリサイクルするためにキャリア管に取り付けられた漏斗をさらに含む。オプションで追加堆積物質が継続的に噴化器に供給され、複数の導通路に搬送される物質を補充する。
【0008】
本発明の1目的は標的上に物質を堆積するための小型堆積ヘッドの提供である。
【0009】
本発明の1利点は小型堆積ヘッドを小型配列構造体内に容易に組み込むことができ、同時的に複数の堆積作業を実行させ、堆積作業時間を大幅に短縮させることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の他の目的、利点及び新規な特徴並びに利用範囲は添付図面を利用して以下で詳細に解説する。
【0011】
本発明は一般的に高解像度であってマスクを利用しない、空気力学焦点技術を利用した液体及び液体・粒子縣濁物の堆積(印刷)に関する。最も多用される実施態様ではエアゾールストリーム(フロー)が焦点処理され、平面または非平面である標的上に堆積され、対応バルク物質のものに近い物性、光学特性及び/又は電気特性を提供するように熱的あるいは光化学的に処理されるパターンを形成する。この処理はM3D無マスクメソスケール物質堆積技術と呼称され、従来式厚膜加工技術で堆積される線幅よりも細い線幅でエアゾール化物質を堆積させるのに利用される。この堆積はマスクを使用せずに実施される。メソスケールとは約1ミクロンから1ミリのサイズであり、従来式薄膜加工並びに厚膜加工で堆積される図形範囲をカバーするものである。さらに、加工後レーザ処理を組み合わせるとM3D加工技術は1ミクロン程度の幅の線を印刷できる。
【0012】
M3D装置は好適には、外側シースガスフローと内側エアゾール含有キャリアフローとで成る環状拡散ジェット流を形成するエアゾールジェット流堆積ヘッドを使用する。この環状エアゾールジェット噴射加工では、エアゾールフローは好適にはエアゾール化ステップ直後あるいは加熱構造体通過直後に堆積ヘッドに導入され、堆積ヘッド排出口方向に堆積装置の縦軸に沿って方向付けられる。質量処理量は好適にはエアゾールキャリアガスマスフローコントローラでコントロールされる。好適には堆積ヘッド内部でエアゾールフローはミリサイズ排出口を通過することで当初に平行処理される。創出粒子フローは好適には環状シースガスと組み合わされる。このキャリアガスとシースガスは大抵は圧縮空気あるいは不活性ガスを含有しており、一方または両方は改質溶剤蒸気を含む。例えば、エアゾールが水溶液から形成されると、水蒸気がキャリアガスまたはシースガスに加えられ、液滴蒸発が防止される。
【0013】
シースガスは好適にはエアゾール入口下方のシースガス入口から進入し、エアゾールフローを含んだ環状フローを形成する。エアゾールキャリアガスの場合と同様に、シースガス流量は好適にはマスフローコントローラでコントロールされる。組み合わされたガスフローは標的に向かって方向付けられた排出口を通って延伸ノズルから排出される。この環状フローはエアゾールストリームを標的上に焦点させ、約5ミクロン程度の寸法で特徴部を堆積させる。
【0014】
M3D法では、シースガスフローがエアゾールフローと組み合わされると、その組み合わせフローはミリ以下の線幅を堆積するために2以上の排出口を通過する必要はない。10ミクロン線幅の堆積ではM3D法は典型的には約250のフロー径狭窄を達成し、この“1段階”堆積処理では1000以上の狭窄を達成できよう。軸方向の狭窄は利用されず、ガスフローは典型的には超音速には到達しない。よって乱流の形成は阻止される。これでガスフローの完全狭窄を達成する可能性がある。
【0015】
増強堆積特性が延伸ノズルを堆積ヘッドに取り付けることで得られる。ノズルは堆積ヘッドの下方チャンバに、好適には空圧固定具と締付ナットを使用して取り付けられ、好適には約0.95から1.9cmの長さである。ノズルは創出ストリーム径を減少させ、ノズル排出口を約3mmから5mm越えた距離で創出ストリームをノズル排出口径の一部に平行加工する。ノズルの排出口径は堆積物質の所望線幅範囲に従って選択する。排出口は約50ミクロンから500ミクロンの直径を有することができる。堆積線幅は排出口径の約20分の1のサイズでも可能であり、あるいは排出口と同サイズであってもよい。着脱式延伸ノズルの利用は同一堆積装置を使用して堆積構造物のサイズを数ミクロンから1ミリ程度にまで変化させることができる。創出ストリーム径(すなわち堆積線幅)は排出口サイズ、シースガス流量とキャリアガス流量の割合、及び排出口と標的との距離によってコントロールされる。増強堆積は堆積ヘッド本体に加工された延伸ノズルを使用しても得ることができる。そのような延伸ノズルのさらに詳細な説明は2004年12月13日出願の米国特許願11/011366「延伸ノズルを使用した環状エアゾールジェット流堆積」に記載されている。
【0016】
多くの利用形態では多重堆積ヘッドを使用して堆積を実施するのが有利である。直接印刷のために多重堆積ヘッドを使用する場合には、小型堆積ヘッドを使用して単位面積あたりのノズル数を増加させることができる。小型堆積ヘッドは好適には標準ヘッドと同一の基本的内部構造を有する。ここでの環状フローは標準型堆積ヘッドの場合と類似した形態でエアゾールガスとシースガスとの間で形成される。堆積ヘッドの小型化は直接的書込みプロセスを可能にする。堆積ヘッドは移動式ガントリに取り付けられ、固定標的上に物質を堆積させる。
小型エアゾールジェット流堆積ヘッド及びジェット流配列構造
M3D堆積ヘッドの小型化は装置重量を1桁以上減少させ、可動ガントリ上での取り付けや平行移動を容易にさせる。小型化は配列された堆積ヘッドの組み立て並びに操作をも容易にし、エアゾールジェット流配列構造の構築と操作を独立したものとすることができる。配列エアゾールジェット流は堆積速度、堆積配列構造及び多重物質堆積性能を向上させる。配列エアゾールジェット流はさらに高解像度直接印刷利用形態のためのノズル密度を向上させ、特殊な堆積利用形態のためのカスタマイズされたジェット間隔並びに形態で製造可能である。ノズル形態には直線、長方形、円形、多角形及び多様な非直線形状が含まれるがこれらに限定されない。
【0017】
小型堆積ヘッド機能は標準型堆積ヘッドと同様に機能するが、大型ユニットの約5分の1の直径である。従って小型堆積ヘッドの直径又は幅は好適には約1cmであるが、これよりも大きくても小さくてもよい。本願で詳述されている数々の実施例は、堆積ヘッド内でシースガスを導入及び分配する多様な方法と、シースガスフローをエアゾールフローと組み合わせる方法について開示している。堆積ヘッド内でのシースガスフローの提供はシステムの堆積特性にとって重要であり、ジェットエアゾールストリームの最終幅と主要堆積の境界を超えて堆積されるサテライト液滴の量を決定し、排出口壁とエアゾール含有キャリアガスとの間にバリヤを形成することで排出口の詰まりを最小限化させる。
【0018】
小型堆積ヘッドの断面を図1aに示す。エアゾール含有キャリアガスはエアゾールポート102を通過して堆積ヘッドへ進入し、装置の縦軸に沿って方向付けられる。不活性シースガスは上方プレナムチャンバ104に連結されたポートを通って堆積ヘッドに横方向に進入する。プレナムチャンバは堆積ヘッド周囲でシースガス圧の筒対称分布を創出する。シースガスは円錐形下方プレナムチャンバ106へ流入し、組み合せチャンバ108内でエアゾールストリームと組み合わされ、内側エアゾール含有キャリアガスフローと外側不活性シースガスフローとで成る環状フローを形成する。環状フローは延伸ノズル110を通って拡散し、ノズル排出口112から排出される。
【0019】
図1bは別実施例を示しており、シースガスは均等間隔の6個の導通路から導入される。この形態は図1aに示す堆積ヘッドの内側プレナムチャンバを組み込んでいない。シースガス導通路114は装置の軸周囲で好適には均等間隔で提供されている。この設計は堆積ヘッド124のサイズを減少させることができ、装置の組み立てを容易にさせる。シースガスは堆積ヘッドの組み合せチャンバ108内でエアゾールキャリアガスと組み合わされる。前述の設計のごとく、組み合わされたフローは延伸ノズル110へ進入し、ノズル排出口112から排出される。堆積ヘッドはプレナムチャンバを含んでいないため、シースガス圧の筒対称分布は、好適にはシースガスが堆積ヘッド内へ射出される前に確立される。図1cは外側プレナムチャンバ116を用いてシースガス圧分布を提供するための形態を示している。この形態ではシースガスはチャンバ側部に配置されたポート118からプレナムチャンバへ進入し、シースガス導通路114を上方へ流れる。
【0020】
図1dは堆積ヘッドの縦軸に沿った管体からエアゾール並びにシースガスを導入する堆積ヘッド形態の斜視図と断面図である。この形態では、筒対称圧力分布は、ヘッド軸中央のディスク122に提供された好適には均等間隔である穴120を通してシースガスを通過させることで得られる。シースガスはその後組み合せチャンバ108内でエアゾールキャリアガスと組み合わされる。
【0021】
図1eは内側プレナムチャンバを使用し、ヘッドを取付構造体に接続するポート118を介してシースガスを導入する堆積ヘッド形態の斜視図及び断面図である。図1aで示す形態のごとく、シースガスは組み合せチャンバ108へ流れる前に、上方プレナムチャンバ104へ進入し、その後下方プレナムチャンバ106へ流入する。この場合、上方と下方プレナムチャンバ間の距離は堆積ヘッドをさらに小型化させるために減少されている。
【0022】
図1fは極限にまで小型化させるため、プレナムチャンバを使用しない堆積ヘッドの斜視図及び断面図である。エアゾールはエアゾール管102上部の開口部を通過してシースガスチャンバ210へ進入する。シースガスはポート118(オプションでエアゾール管102に対して垂直)を通過してヘッドへ進入し、エアゾール管102の底部でエアゾールフローと組み合わされる。エアゾール管102を部分的又は全体的にシースガスチャンバ210の底部へ延長させることもできる。シースガスチャンバ210はシースガスフローがエアゾールフローと組み合わされる前に、エアゾールフローと実質的に平行となるよう充分に長くなければならない。これにより好適にはシースガス圧の筒対称分布が創出される。シースガスはその後にシースガスチャンバ210底部あるいはこの付近でエアゾールキャリアガスと組み合わされ、組み合せガスフローは収束ノズル220によって延伸ノズル230内へ方向付けられる
図2は可動ガントリ126に取り付けられた1体の小型堆積ヘッド124の概略図である。このシステムは好適には整合カメラ128と処理レーザ130を含んでいる。処理レーザはファイバーベースレーザでよい。この形態では認識と整合、堆積、及びレーザ処理は連続して実行される。この形態は堆積重量とM3Dシステムの処理モジュールを大幅に減少させ、メソスケール構造のマスクを利用しない、非接触印刷を安価に提供させる。
【0023】
図3では標準型M3D堆積ヘッド132を小型堆積ヘッド124と並べて示している。小型堆積ヘッド124の直径は標準型堆積ヘッドの直径の約5分の1である。
【0024】
堆積ヘッドを小型化することで多重型ヘッド設計の組み立てが容易になる。この形態の概略を図4aに示している。この形態では装置は一体式であり、エアゾールフローはエアゾールガスポート102を通過してエアゾールプレナムチャンバ103へ進入し、10体ヘッド配列構造へ進入するが、ヘッドの数はいくつでもよい。シースガスフローは少なくとも1つのシースガスポート118を通過してシースプレナムチャンバ105へ進入する。この一体式形態では、ヘッドは1物質を同時的に配列形態で堆積する。この一体式形態は固定標的と共に2軸ガントリへ搭載できる。あるいは標的をガントリの移動方向に対して直交する方向へ供給してシステムを1軸ガントリへ搭載することもできる。
【0025】
図4bは多次元ヘッド用の第2形態を示している。この図は10本の直線配列ノズル(1次元又は2次元パターンのいずれかで何本のノズルを配列してもよい)を示しており、それぞれは個別のエアゾールポート134によって供給される。この形態は各ノズル間での均一量フローを可能にする。均一間隔の噴化源であれば各ノズルに搬送されるエアゾール量は流量コントローラの質量流速度によって定まり、配列構造内のノズル位置とは無関係である。図4bの形態では1堆積ヘッドからの複数の物質の堆積も考慮している。異なる物質はオプションで同時的又は連続式にいかなる所望パターンにでも堆積できる。このような利用形態では、異なる物質は各ノズルへ搬送され、各物質は同一の噴化器とコントローラ、あるいは個別の噴化器とコントローラによって噴化及び搬送される。
【0026】
図5aは2本の直交軸周囲でヘッドを傾斜させる形態の小型エアゾールジェット流を示す。図5bは圧電駆動小型エアゾールジェット流の配列構造体を示す。この配列構造は軸に沿った平行移動を可能にさせる。エアゾールジェット流は好適には屈曲性取り付け台によってブラケットに取り付けられる。圧電式アクチュエータを用いた横方向の力を適用してヘッドを傾斜させるか、あるいは1以上の(好適には2)の検流計を用いて傾斜させる。エアゾールプレナムはそれぞれが個別の堆積ヘッドに供給する管体の束に代えることができる。この形態ではエアゾールジェットは独立した堆積が可能である。
エアゾールジェット流配列構造用の噴化器チャンバ
エアゾールジェット流配列構造は、標準型M3Dシステムで使用されるものとは大幅に異なる噴化器を必要とする。 図6は10体以上の数の配列式又は非配列式ノズルに噴化霧を供給するために充分な容量を有する噴化器構造体の切欠き図である。噴化器構造体は噴化器チャンバ136(好適にはガラス筒体)を含んでおり、底部には好適にはカプトンを含んだ好適には薄樹脂膜が提供されている。噴化器構造体は好適には超音波噴化器槽内に提供されており、超音波エネルギーはフィルムを通過して上方に向かう。膜は超音波エネルギーを機能インクへ送り、機能インクはエアゾールを発生させるように噴化処理される。
【0027】
格納漏斗138は好適には噴化器チャンバ136の中央に位置しており、好適には噴化器チャンバ136の上部から延伸する空洞管体を含んだキャリアガスポート140へ連結されている。ポート140は漏斗138真上に好適には1以上のスロット又はノッチ200を含んでおり、キャリアガスをチャンバ138へ進入させる。漏斗138は噴化処理中に形成される大形液滴を含んでおり、これらをリサイクルするために管体に沿って槽へ降下させる。小形液滴はキャリアガス内に混入され、好適には漏斗138周囲に取り付けられた1以上の撮像管142を介して噴化器構造体からエアゾール又は霧として搬送される。
【0028】
噴化器構造体用のエアゾール出口の数は好適には可変であり、複数ノズル配列構造のサイズによって定められる。ガスケット物質が好適には密封体として噴化器チャンバ136の上部に配置され、好適には2体の金属体間に挟まれている。ガスケット物質は撮像管142とキャリアガスポート140周囲で密封体を形成する。バッチオペレーションのため、噴化される物質の所望量が噴化器構造体内に提供される。物質は継続的に噴化器構造体内へ、好適にはシリンジポンプ等の装置によって、好適にはガスケット物質内の1以上の穴を通って提供された1以上の物質注入口を通って供給される。供給量は好適には物質が噴化器構造体から排出される量と同じである。このようにして噴化器チャンバ内でのインク又は他の物質の量を一定に維持している。
停止及びエアゾール排出均衡化
小型ジェット流又は小型ジェット流配列構造の停止はエアゾールガス入力管に取り付けられたピンチバルブを用いて達成できる。作用されるとピンチバルブが管体を締め付け、堆積ヘッドへのエアゾールフローを停止させる。バルブが開けられると、ヘッドへのエアゾールフローは再開される。ピンチバルブ停止はノズルを凹部へ下降させ、停止能力を維持しながら凹部への堆積を可能にする。
【0029】
さらに複数ノズル配列構造の操作では、個別のノズルからのエアゾール排出の均衡化が必要である。エアゾール排出均衡化は個別のノズルへ通じるエアゾール出力管体を締め付けることで達成でき、ノズルの相対的エアゾール排出の調整によって各ノズルからの均一質量流を得ることができる。
【0030】
小型エアゾールジェット流又はエアゾールジェット流配列構造が関与する利用形態には広域印刷、配列堆積、複数物質堆積及び4/5軸モーションを用いた3次元物体へのコンフォーマル印刷が含まれるがこれらに限定されない。
【0031】
本発明を特定の好適実施例について詳説したが、当業者であれば請求の範囲内で本発明の範囲を逸脱することなく本発明を変更することができる。前述の多様な形態は好適実施例について説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。当業者にとって本発明の変更は容易であり、本発明にはこのような変更も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1a】図1aは本発明の小型堆積ヘッドの断面図である。
【図1b】図1bは6本の等間隔導通路からのシースガスを導入する別例小型堆積ヘッドの斜視図及び断面図である。
【図1c】図1cは外側シースプレナムチャンバを備えた図1bの堆積ヘッドの斜視図及び断面図である。
【図1d】図1dは堆積ヘッドの縦軸に沿った管体からのエアゾール並びにシースガスを導入する堆積ヘッド形態の斜視図と断面図である。
【図1e】図1eは内側プレナムチャンバを使用し、堆積ヘッドを取付構造体に接続するポートを介してシースガスを導入する堆積ヘッド形態の斜視図及び断面図である。
【図1f】図1fは極限にまで小型化させるため、プレナムチャンバを使用しない堆積ヘッドの斜視図及び断面図である。
【図2】図2は可動ガントリに取り付けられた1体の小型堆積ヘッドの概略図である。
【図3】図3は標準型M3D堆積ヘッドと比較された小型堆積ヘッドを図示する。
【図4a】図4aは多重型ヘッド形態の概略図である。
【図4b】図4bは個別に供給されたノズルを備えた多重型ヘッド形態の概略図である。
【図5a】図5aは2本の直交軸周囲でヘッドを傾斜させる形態の小型エアゾールジェット流を示す。
【図5b】図5bは圧電駆動小型エアゾールジェット流の配列構造体を示す。
【図6】図6は小型エアゾールジェット流配列構造体が使用された噴化器構造体の斜視切欠き図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的に物質を堆積させる堆積ヘッド構造体であって、本堆積ヘッド構造体は堆積ヘッドを含んでおり、該堆積ヘッドは、
堆積物質を含んだエアゾールを搬送する導通路と、
前記堆積ヘッドにシースガスを導入する1以上の注入口と、
前記注入口に連通した第1チャンバと、
前記導通路出口に近接し、エアゾールをシースガスと組み合わせるための領域であって、内側エアゾールフローを包囲する外側シースガスフローを含んだ環状ジェット流を形成する領域と、
延伸ノズルと、
を含んでいることを特徴とする堆積ヘッド構造体。
【請求項2】
略1cm以下の直径を有することを特徴とする請求項1記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項3】
注入口は導通路周囲に配置されていることを特徴とする請求項1記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項4】
導通路に近接する領域は第2チャンバを含んでいることを特徴とする請求項1記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項5】
第1チャンバは堆積ヘッドの外側に提供されており、シースガスがエアゾールと組み合わされる前に導通路周囲にシースガス圧の筒対称分布を提供することを特徴とする請求項1記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項6】
第1チャンバは充分に長く、シースガスがエアゾールと組み合わされる前に導通路周囲にシースガス圧の筒対称分布を提供することを特徴とする請求項1記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項7】
堆積ヘッド構造体はさらに第1チャンバからシースガスを受領する第3チャンバをさらに含んでおり、前記第3チャンバはシースガスがエアゾールと組み合わされる前に導通路周囲にシースガス圧の筒対称分布を提供する前記第1チャンバを補助することを特徴とする請求項1記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項8】
第3チャンバは、導通路に平行で、該導通路周囲に配列された複数通路によって第1チャンバに連通されていることを特徴とする請求項7記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項9】
標的に対して堆積ヘッドを平行移動または傾斜させるためのアクチュエータを1以上含んでいることを特徴とする請求項1記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項10】
標的上に物質を堆積させる装置であって、本装置は、
堆積物質を含むエアゾールを搬送する複数の導通路と、
前記導通路を包囲するシースガスチャンバと、
前記各導通路の出口に近接し、エアゾールとシースガスとを組み合わせて前記各導通路のための環状ジェット流を形成する領域とを含み、該ジェット流は内側エアゾールフローを包囲する外側シースガスフロー含んでおり、本装置は、
前記各導通路に対応する延伸ノズルをさらに含んでいることを特徴とする装置。
【請求項11】
複数の導通路は配列構造物を形成することを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項12】
エアゾールは共通チャンバから各導通路に進入することを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項13】
エアゾールは個別に少なくとも1本の導通路に供給されることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項14】
第2エアゾール化物質が少なくとも1本の導通路に供給されることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1本の導通路内のエアゾール質量流量は個別に制御できることを特徴とする請求項15記載の装置。
【請求項16】
標的に対して1以上の導通路及び延伸ノズルを平行移動あるいは傾斜させる1以上のアクチュエータを含んでいることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項17】
物質を保留する筒状チャンバと、
チャンバ底部に堆積された薄樹脂膜と、
前記チャンバを受領し、前記薄樹脂膜を通過させて超音波エネルギーを方向付ける超音波槽と、
前記チャンバ内にキャリアガスを導入するためのキャリア管と、
複数の導通路にエアゾールを搬送する1以上の撮像管と、
を含んだ噴化器をさらに含んでいることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項18】
キャリア管は1以上の開口部を含んでいることを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項19】
堆積物質の大形液滴をリサイクルするためにキャリア管に取り付けられた漏斗をさらに含んでいることを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項20】
追加堆積物質が継続的に噴化器に供給され、複数の導通路に搬送された物質を補充することを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項1】
標的に物質を堆積させる堆積ヘッド構造体であって、本堆積ヘッド構造体は堆積ヘッドを含んでおり、該堆積ヘッドは、
堆積物質を含んだエアゾールを搬送する導通路と、
前記堆積ヘッドにシースガスを導入する1以上の注入口と、
前記注入口に連通した第1チャンバと、
前記導通路出口に近接し、エアゾールをシースガスと組み合わせるための領域であって、内側エアゾールフローを包囲する外側シースガスフローを含んだ環状ジェット流を形成する領域と、
延伸ノズルと、
を含んでいることを特徴とする堆積ヘッド構造体。
【請求項2】
略1cm以下の直径を有することを特徴とする請求項1記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項3】
注入口は導通路周囲に配置されていることを特徴とする請求項1記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項4】
導通路に近接する領域は第2チャンバを含んでいることを特徴とする請求項1記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項5】
第1チャンバは堆積ヘッドの外側に提供されており、シースガスがエアゾールと組み合わされる前に導通路周囲にシースガス圧の筒対称分布を提供することを特徴とする請求項1記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項6】
第1チャンバは充分に長く、シースガスがエアゾールと組み合わされる前に導通路周囲にシースガス圧の筒対称分布を提供することを特徴とする請求項1記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項7】
堆積ヘッド構造体はさらに第1チャンバからシースガスを受領する第3チャンバをさらに含んでおり、前記第3チャンバはシースガスがエアゾールと組み合わされる前に導通路周囲にシースガス圧の筒対称分布を提供する前記第1チャンバを補助することを特徴とする請求項1記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項8】
第3チャンバは、導通路に平行で、該導通路周囲に配列された複数通路によって第1チャンバに連通されていることを特徴とする請求項7記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項9】
標的に対して堆積ヘッドを平行移動または傾斜させるためのアクチュエータを1以上含んでいることを特徴とする請求項1記載の堆積ヘッド構造体。
【請求項10】
標的上に物質を堆積させる装置であって、本装置は、
堆積物質を含むエアゾールを搬送する複数の導通路と、
前記導通路を包囲するシースガスチャンバと、
前記各導通路の出口に近接し、エアゾールとシースガスとを組み合わせて前記各導通路のための環状ジェット流を形成する領域とを含み、該ジェット流は内側エアゾールフローを包囲する外側シースガスフロー含んでおり、本装置は、
前記各導通路に対応する延伸ノズルをさらに含んでいることを特徴とする装置。
【請求項11】
複数の導通路は配列構造物を形成することを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項12】
エアゾールは共通チャンバから各導通路に進入することを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項13】
エアゾールは個別に少なくとも1本の導通路に供給されることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項14】
第2エアゾール化物質が少なくとも1本の導通路に供給されることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1本の導通路内のエアゾール質量流量は個別に制御できることを特徴とする請求項15記載の装置。
【請求項16】
標的に対して1以上の導通路及び延伸ノズルを平行移動あるいは傾斜させる1以上のアクチュエータを含んでいることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項17】
物質を保留する筒状チャンバと、
チャンバ底部に堆積された薄樹脂膜と、
前記チャンバを受領し、前記薄樹脂膜を通過させて超音波エネルギーを方向付ける超音波槽と、
前記チャンバ内にキャリアガスを導入するためのキャリア管と、
複数の導通路にエアゾールを搬送する1以上の撮像管と、
を含んだ噴化器をさらに含んでいることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項18】
キャリア管は1以上の開口部を含んでいることを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項19】
堆積物質の大形液滴をリサイクルするためにキャリア管に取り付けられた漏斗をさらに含んでいることを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項20】
追加堆積物質が継続的に噴化器に供給され、複数の導通路に搬送された物質を補充することを特徴とする請求項17記載の装置。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【公表番号】特表2008−522814(P2008−522814A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545734(P2007−545734)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/045394
【国際公開番号】WO2006/065978
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(507194062)オプトメック デザイン カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/045394
【国際公開番号】WO2006/065978
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(507194062)オプトメック デザイン カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
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