説明

小型サーバー内蔵型電源装置

【課題】パーソナルコンピューター、サーバーに使用する電源装置を起動、停止を遠隔より操作する場合には、電源装置とは独立したコンピューター及び両者を接続する専用のインターフェース回路が必要とされていた。
【解決手段】WEBサーバー、メールサーバー、ファイアウォール機能を有する小型サーバーを電源装置に内蔵する事で、電源装置のスペースのみで電源装置の起動、停止の遠隔操作及びパーソナルコンピューター、サーバーのフリーズ状態の監視、及びフリーズ状態からの自動での復旧又は外部からの指示による復旧、電源装置自身の状態の監視及び通知を行なうことを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピューターやサーバーに使用している電源装置に小型サーバーを内蔵させる事で、インターネット環境を通じて外部から電源装置の遠隔操作を可能にすると共に、電源装置自身の状態の監視及び提供を可能とした電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より電源装置に遠隔からの電源制御を可能とした例えば特許文献1のようなシステムが考案されているが、電源装置とは完全に独立したサーバー装置を必要とするシステムの構成となっています。
【特許文献1】特開2007−233596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電源装置の状態を監視及び、インターネット環境を通して電源装置を遠隔操作する為には、コンピューター又はサーバーが必要であり従来は電源装置とコンピュータ又はサーバーがそれぞれ独立した状態である為に、両者を接続するインターフェース回路が必要であると共に、設置も複雑になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
パーソナルコンピュータ、サーバーに用いる主電源装置に、WEBサーバー、メールサーバー、ファイアウォールの機能を持たせた小型サーバーを内蔵させることで、電源装置単独でもインターネット環境を通して外部から前記主電源装置の起動、停止の操作を可能とした。
したがって、電源装置以外のスペースを取る事無く又外部で配線を行って設置するといった煩わしさも無くサーバー機能を有する電源装置を実現する事ができる。
【0005】
また、小型サーバーを内蔵した主電源装置で動作する主のパーソナルコンピュータ、サーバーのフリーズ状態を確認する為に前記パーソナルコンピュータ、サーバーに対して当該小型サーバーから確認信号又はコマンドを送出し、その応答状態にてフリーズ状態を判断し自動的に前記主電源装置を停止させる事によってフリーズ状態を解除させ、その後に再起動させて復旧させてもよい。
【0006】
また、上述のフリーズ状態の判断後の処置を、自動的ではなく外部の判断者もしくは判断手段に基づいて前記主電源装置の停止、再起動を行わせてもよい。
【0007】
また、主電源装置自身の内部の温度、出力状態、入力電源の状態、各種警報信号の状態、構成部品の経年劣化の状態のうち一つ、又は複数の組合せ、又は全ての状態を前記主電源装置に内蔵させた当該小型サーバーの入力ポートに受け、当該小型サーバー内で演算処理を行うと共に、当該小型サーバーの出力ポートを通じ前記主電源装置の状態をインターネット環境を通じて予め設定した所へ通知してもよい。
【発明の効果】
【0008】
以上にしてなる本発明に係る小型サーバー内蔵型電源装置は、パーソナルコンピューター、サーバーが行なう機能の一部であるWEBサーバー、メールサーバー、ファイアウォール機能を持たせた小型サーバーを電源装置に内蔵する事で、パーソナルコンピューター、サーバーの起動とは関係なく前述の機能を使用することができるものである。前述の機能を使用することで当該小型サーバー内蔵型電源装置の起動及び停止の操作をインターネット環境を通じて外部より行う事ができる。
【0009】
また、外部から監視をする事無く、確認信号又はコマンドを用いてパーソナルコンピューター、サーバーのフリーズ状態を判断し、自動的あるいは外部からの指示によって当該小型サーバー内蔵型電源装置自身を停止させる事でフリーズ状態を解除した後に再起動を行い復旧させる事ができる為、管理者がフリーズ状態の判断、及び解除、復旧を都度行なう煩わしさから解消されるだけでなく、遠隔地にコンピューターやサーバーが設置されていたとしても、そこに出向く事無く遠隔操作にて処置を行う事が出来、速やかな復旧が可能となるだけでなくシステム管理費用を低減させる事が可能となる。自動的な復旧が可能となる事で、本小型サーバー内蔵型電源装置を使用したパーソナルコンピューター、サーバーを搭載した機械では、無人での運転が可能な上に生産を止めない利点を有する。
【0010】
また、当該小型サーバー内蔵型電源装置自身の状態をパーソナルコンピューター、サーバーの起動とは関係なくインターネット環境を通じて知ることができるので、パーソナルコンピューター、サーバーを停止させる事でセキュリティは高めたままでも、電源装置の状態を常時知ることが可能となる。また、予め設定した所へ通知を行う事も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る小型サーバー内蔵型電源装置は、図1に示すように例えばパーソナルコンピューター1組み込まれ、同様に組み込まれたCPU、メモリ、HDD、マザーボード等の部品へ電力の供給を行なう電源装置2に小型サーバー3を内蔵したものであり、小型サーバー3に備えられたLANポート4によってインターネット環境11と接続されている。
パーソナルコンピューター1及び電源装置2の形状はこの図に限るものではない。
また、LANポートと外部との接続方法についても無線、有線は問わない。
【0012】
小型サーバー3は図2に示すように、LANポート4、入力ポート5、出力ポート6、プロセッサ7を備え電源装置2に内蔵されており、インターネット環境11を通しての指令がLANポート4、プロセッサ7、出力ポート6を通じて電源装置のON/OFF信号8の操作を行い、外部からの電源装置2の起動、停止が行なえる。
【0013】
パーソナルコンピューター、サーバーのセキュリティの為には、必要時以外はパーソナルコンピューター、サーバーが停止している事が望ましく、小型サーバー3にWEBサーバー、メールサーバー、ファイアウォール機能を持たせた本発明による小型サーバー内蔵型電源装置を使用することで必要に迫られた時のみ遠隔地からでもインターネット環境を通じて必要なパーソナルコンピューター、サーバーの電源装置2の起動をすることができ、また不要となった時には同様に停止を行う事ができるのでパーソナルコンピューター、サーバーに安全度の高い物理的なファイアウォールを備える事ができる。
【0014】
本発明によるパーソナルコンピューター、サーバーの動作監視を図3にて示す。
小型サーバー3のLANポート4はパーソナルコンピューター1のマザーボード12に備えられたパーソナルコンピューターのLANポート14とルーター又はHUB13を通じて接続されており、小型サーバー3のLANポート4より任意の一定間隔で確認信号又はコマンド9(一般にPINGコマンド)をルーター又はHUB13を通じてパーソナルコンピューターのLANポート14へ送出し、その応答が同経路を逆方向に返信されLANポート4を通じてプロセッサ7に入力される状態によってパーソナルコンピューター1がフリーズ状態にあることの検知を行なう。
【0015】
フリーズ状態を検知した小型サーバー3はプロセッサ7より出力ポート6を通じてON/OFF信号8を操作し電源装置2を停止させる事でフリーズ状態の解除を行い、その後に電源装置2を再起動させることでパーソナルコンピューター1の復旧を行なう。
【0016】
または、WEBサーバー、メールサーバー、ファイアウォール機能を持たせた小型サーバー3にてパーソナルコンピューター1のフリーズ状態を検知した後にプロセッサ7からLANポート4を通じてインターネット環境11にて外部の判断者または判断手段へ通知を行い、その判断をインターネット環境からLANポート4を通じてプロセッサ7へ入力し、出力ポート6よりON/OFF信号8を操作し電源装置2を停止させる事でフリーズ状態の解除を行い、その後に電源装置2を再起動させることでパーソナルコンピューター1の復旧を行なうようにすることもできる。
【0017】
電源装置2にWEBサーバー、メールサーバー、ファイアウォール機能を持たせた小型サーバー3を内蔵する事で図2に示すように電源装置2の出力、入力電源、内部温度、各種警報、部品の経年劣化といった各種の状態を入力ポート5を通じてプロセッサ7へ入力を行い、プロセッサ7にて演算処理を行ったデータをLANポート4よりインターネット環境11を通じて外部へ提供する事で電源装置2の状態の監視及び状態の閲覧を可能とする。
【0018】
入力ポート5より得た各種の状態を提供するだけではなく、各種の状態を基に演算を行う事で得られる電源装置2の寿命を通知することにしても良い。
寿命を通知する事で使用者に故障前の予防保全を促す事ができる効果を有する。
【実施例】
【0019】
図4に接続の一例を示す。パーソナルコンピューター1のマザーボード12上にパーソナルコンピューターのLANポート14が2ヶ所以上あるものでは、パーソナルコンピューターのLANポート14の1ヶ所を小型サーバー3のLANポート4との接続とし、他方でインターネット環境との接続を行なえば、図3で示したルーター又はHUB13を必要とせずに同じ環境を構築する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パーソナルコンピューターの筐体内に設置された小型サーバー内蔵型電源装置の説明図である。
【図2】 電源装置に内蔵された小型サーバーが持つ機能の説明図である。
【図3】 小型サーバー内蔵型電源装置によってパーソナルコンピューターの動作状態を監視することの説明図である。
【図4】 小型サーバー内蔵型電源装置とパーソナルコンピューター、インターネット環境との接続の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 パーソナルコンピューター
2 電源装置
3 小型サーバー
4 LANポート
5 入力ポート
6 出力ポート
7 プロセッサ
8 ON/OFF信号
9 確認信号又はコマンド
10 電源装置の状態
11 インターネット環境
12 パーソナルコンピューターのマザーボード
13 ルーター又はHUB
14 パーソナルコンピューターのLANポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルコンピュータ、サーバーに用いる主電源装置に小型サーバーを内蔵させ、当該小型サーバーにWEBサーバー、メールサーバー、ファイアウォールの機能を持たせ、インターネット環境を通して外部から前記主電源装置の起動、停止の操作を行なえるようにしたことを特徴とする小型サーバー内蔵型電源装置。
【請求項2】
小型サーバーを内蔵した主電源装置で動作する主のパーソナルコンピュータ、サーバーのフリーズ状態を確認する為に前記パーソナルコンピュータ、サーバーに対して当該小型サーバーから確認信号又はコマンドを送出し、その応答状態にてフリーズ状態を判断し自動的に前記主電源装置を停止させる事によってフリーズ状態を解除させ、その後に再起動させて復旧する事を特徴とする小型サーバー内蔵型電源装置。
【請求項3】
請求項2で述べたフリーズ状態の判断後の処置を、自動的ではなく外部の判断者もしくは判断手段に基づいて前記主電源装置の停止、再起動を行わせる為当該小型サーバーにWEBサーバー、メールサーバー、ファイアウォール機能を持たせることによって、インターネット環境を通し主パーソナルコンピュータ、サーバーのフリーズ状態を解除する為の制御を可能とした請求項1記載の小型サーバー内蔵型電源装置。
【請求項4】
パーソナルコンピューター、サーバーに用いる主電源装置自身の内部の温度、出力状態、入力電源の状態、各種警報信号の状態、構成部品の経年劣化の状態のうち一つ、又は複数の組合せ、又は全ての状態を前記主電源装置に内蔵させた当該小型サーバーの入力ポートに受け、当該小型サーバー内で演算処理を行うと共に、当該小型サーバーにWEBサーバー、メールサーバー、ファイアウォール機能を持たせることにより当該小型サーバーの出力ポートを通じ前記主電源装置の状態をインターネット環境を通じて予め設定した所へ通知する事を可能とした請求項1記載の小型サーバー内蔵型電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−277204(P2009−277204A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151070(P2008−151070)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(592001296)株式会社ニプロン (5)
【Fターム(参考)】