説明

小型チョッパの伝動装置

【課題】メーカ標準仕様のギヤ減速機構が一体的に組み込まれた平行軸フランジ取付形ギヤドモータの欠点を補いながらこれを利用し準備費を必要としないでしかも製造コストの低い小型チョッパの伝動装置を提供する。
【解決手段】駆動機構の出力軸41とスクリュ3とを、インラインに結合するカップリング5と、 カップリング5が受けるスクリュ3による圧送反力を、カップリング5の後端面に当接して受け止めるスラストベアリング6を保持し、後面には前記駆動機構が駆動機構に形成された取付面とインロによって中心孔と出力軸41との軸心を合わせてボルト締めされ、反駆動機構側にはシリンダ2を着脱可能に支持する固定手段を具備する連結具8と、連結具8が固着される縦壁101からL字状に延設されて底枠を形成する機枠10とからなり、駆動機構が、ギヤ減速機構が一体的に組み込まれたメーカ標準仕様の平行軸フランジ取付形ギヤドモータ4とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食肉をミンチに加工する小型チョッパにおけるモータを使用した伝動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、挽肉機におけるスクリュの伝動装置として、モータの出力軸からベルト伝動されたギヤ減速装置からの出力軸にスクリュが連結された伝動装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、モータケースの前面に歯車伝動機構収納ケースを一体にネジ止めし、減速歯車支持軸端に穿孔された嵌合部にスクリュを密嵌入させる伝動装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−39843号公報
【特許文献2】実公昭40−20946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記いずれの特許文献においても、減速装置が専用に準備されており生産準備費を必要とするが生産規模が限られるので製造コストの抑制が困難であるなどの問題があった。特に小型チョッパにおいてより広く普及を図るためには製品価格を下げることは至上の命題とされている。
本発明は、広く普及しているメーカ標準仕様のギヤ減速機構が一体的に組み込まれた平行軸フランジ取付形ギヤドモータの欠点を補いながらこれを利用し準備費を必要としないでしかも製造コストの低い小型チョッパの伝動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を解決するために、本発明に係る小型チョッパの伝動装置は、駆動機構の出力軸とスクリュとを、両端に開口された契合孔にそれぞれ契合させてインラインに結合するカップリングと、
該カップリングが中心孔に挿通され、且つ、カップリングの前端面がスクリュの始端部に形成された鍔に当接して受けるスクリュによる圧送反力を、カップリングの後端面に当接して受け止めるスラストベアリングを保持し、後面には前記駆動機構が駆動機構に形成された取付面とインロによって中心孔と出力軸との軸心を合わせてボルト締めされ、反駆動機構側には前記シリンダを着脱可能に支持する固定手段を具備する連結具と、
該連結具が固着される縦壁からL字状に延設されて底枠を形成する機枠とからなり、
前記駆動機構が、ギヤ減速機構が一体的に組み込まれたメーカ標準仕様の平行軸フランジ取付形ギヤドモータとされている。
【発明の効果】
【0007】
本発明における小型チョッパの伝動装置は、汎用性の高い、ギヤ減速機構が一体的に組み込まれたメーカ標準仕様の平行軸フランジ取付形ギヤドモータが利用できるので、構成が簡単になる上、準備費を必要とせずしかもモータが量販品であるからいつでも安価に購入できるので製造コストの低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】小型チョッパの伝動装置を示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を実施するための形態について説明する。図1は本発明の伝動装置を実施した小型チョッパの一部断面側面図である。
【0010】
本発明における小型チョッパは、ホッパ1の底部に連通して食肉を受入れるシリンダ2と、シリンダ2内に横置されたスクリュ3と、スクリュ3で食肉を圧送し、先端部に設けられた図示しないナイフと固定された多孔プレートとによってミンチに加工する周知の構成であって、作業終了後の洗浄に際してスクリュ3は軸端が駆動部分から前方に抜き出し可能とされ、シリンダ2も支持部が適宜な固定装置15によって着脱自在に構成されている。
【0011】
スクリュ3を回転駆動する駆動機構としては、従来からモータが用いられているがモータは減速機構を具備しない汎用モータと呼ばれる単体が多く、減速機構は専用に造られていた。
本発明は、駆動機構に汎用性の高い、ギヤ減速機構が一体的に組み込まれたメーカ標準仕様のギヤドモータを利用できるようにしたものであって、その構成は、このギヤドモータ4の出力軸41およびスクリュ3との契合孔をそれぞれ両端に開口して出力軸41とスクリュ3とをインラインに結合するカップリング5と、中心孔に挿通されるカップリング5の前端面(モータ4側の端面)がスクリュ3の始端部(スクリュの圧送始端部)に形成された鍔に当接して受けるスクリュ3による圧送反力を、カップリング5の後端面(モータ側端面)に当接して受け止めるスラストベアリング6を保持し、後面(モータ側)には駆動機構である前記モータ4が、モータ4のフランジに形成された取付面と後面の接合面に形成されたインロによって軸心を合わせてボルト7によって締め付けられ、反モータ側にはシリンダ2の支持端部を挿入し着脱可能に支持する固定装置4を具備する連結具8と、この連結具8がボルト9で固着される縦壁101からL字状に延設されて底枠を形成する機枠10から構成されている。
尚、本例における連結具8は、製作上の理由から図1に示すように内外に2分割されたものを一体的にねじ止めされた構成としているが一体構成であっても良い。
【0012】
本発明に実施される前記のモータ4は、各メーカから標準仕様として量販されているものから選定される。従って徹底した品質管理のもとに安定した高品質なモータが量産効果による低価格で供給されている。
本発明において最適なモータとして選定されたのは、ギヤ減速機構が一体的に込み込まれた平行軸フランジ取付形ギヤドモータと呼ばれるもので、例えば住友重機械工業株式会社製CNVM型のサイクロ(登録商標)減速機と呼ばれる内接式遊星歯車機構が内蔵されたギヤモータ(同社の呼び方であってギヤドモータのこと)である。
このギヤモータは、モータ軸と出力軸がインラインに配置されているのでコンパクトな機体構成とするには有利である。
このモータの細部仕様の選定に際して所望するチョッパ部の処理能力に近いモータ容量と減速比から決定するが、これらは標準仕様であるから選定したモータ仕様に合致するようにチョッパ部の諸元例えばスクリュのピッチなどを調整する。
さらに、この種ギヤドモータの構成上の弱点として出力軸に対するスラスト荷重の許容量に限界があり、本発明においてはスクリュが食肉を圧送する際に発生する反力が大きいのでこのスラスト荷重を出力軸が受けないように、しかも構成を簡単にするために出力軸とスクリュとをインラインに直結するための工夫が必要とされる。
【0013】
そこで本発明では、ギヤドモータ4の出力軸41とスクリュ3の軸端とをカップリン5で連結する。このカップリング5は、両端に契合孔を開口した筒体であって、一方の契合孔にギヤドモータの出力軸41がキーを介在させて嵌合されて中間の仕切り壁の中心に開けられた孔を通して皿ネジで出力軸41に取り付けられる。反対側の契合孔は内周が多角形に成形され、外形が同様の多角形に成形されたスクリュ3の軸端に緩く嵌合されて、出力軸41とスクリュ3とはインラインに結合され動力が伝達される構成である。
【0014】
このカップリング5が挿通される中心孔と、後面にモータ4のフランジ面との接合面を有する連結具8には、この接合面に形成されたインロにモータ4のフランジ面から突設したインロが嵌め込まれて軸心が合わせされ、ボルト7でモータ4が固着される。
連結具8のモータ4が固着された反対側には、シリンダ2の支持部が挿入されて適宜な固定装置15で着脱可能なように支持孔が開けられている。
【0015】
カップリング5は、カップリング5の前端面がスクリュ3の始端部に形成された鍔に当接してスクリュ3の圧送反力により発生するスラスト荷重を受けるが、カップリング5の反対側の端面(後端面)に当接するスラストベアリング6が連結具8に取り付けられていて、スクリュ3の食肉圧送時の反力(圧送反力)がモータ4の出力軸41にまで及ばないようになっている。
従って、出力軸41およびスクリュ3のカップリング5との契合部においては、スラスト荷重は全く作用せずまた、ベルト掛け伝動のような横引き荷重(曲げ荷重)もない単なる回転のみを伝えればよい構成となる。
このことによってスラスト荷重や横引き荷重に対して限界がある標準仕様のギヤドモータの使用を可能としている。
【0016】
尚、スラストベアリング6のスクリュ3側にはオイルシール12が嵌着されてシリンダ2から滲み出る肉汁のスラストベアリング6やギヤドモータ4への流入を阻止する。
このオイルシール12で止められた肉汁は連結具8に開けられた逃がし孔13から機外に排出される。
【0017】
このように出力軸41からカップリング5、そしてスクリュ3がインラインに結合されているので構成が簡潔であり、チョッパ部の反対位置にモータが延設されるのでバランスがよく、しかも機体の高さおよび幅寸法が小さくなりコンパクトにまとめることができる。
【0018】
連結具8は機枠10を構成する縦壁101にボルト締めされ、この縦壁101からL字状に底枠102が延設されるが、実施例においては比較的厚板からなる縦壁101の下部からアングル材を組み合わせて延設し底枠102として機枠10が構成されている。この底枠102から適宜据置用脚14が突設され作業卓上に安定して据え置かれる。
【0019】
機枠10には、ギヤドモータ4を覆うカバー11が取り付けられる。カバー11の一部にはモータ4の冷却風の逃がし口として適宜換気孔を開口する。
このカバー11は、図1に示すようにトンネル状とし前縁を縦壁101に全周溶着して後端を開閉可能なカバーとして、この後縁の開口部からモータ4、連結具8の締付用のボルト7,9の締付けを行うようにすると機密性が良くなり作業中に肉汁のカバー内部への浸み込みがなく、また、取り付け用ねじの頭部が表面に出ないので清掃が行い易くなる。
【符号の説明】
【0020】
2.シリンダ
3.スクリュ
4.ギヤドモータ
5.カップリング
6.スラストベアリング
8.連結具
10.機枠
101.縦壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構の出力軸とスクリュとを、両端に開口された契合孔にそれぞれ契合させてインラインに結合するカップリングと、
該カップリングが中心孔に挿通され、且つ、カップリングの前端面がスクリュの始端部に形成された鍔に当接して受けるスクリュによる圧送反力を、カップリングの後端面に当接して受け止めるスラストベアリングを保持し、後面には前記駆動機構が駆動機構に形成された取付面とインロによって中心孔と出力軸との軸心を合わせてボルト締めされ、反駆動機構側には前記シリンダを着脱可能に支持する固定手段を具備する連結具と、
該連結具が固着される縦壁からL字状に延設されて底枠を形成する機枠とからなり、
前記駆動機構が、ギヤ減速機構が一体的に組み込まれたメーカ標準仕様の平行軸フランジ取付形ギヤドモータとされた小型チョッパの伝動装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−152205(P2012−152205A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27823(P2011−27823)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000152815)株式会社日本キャリア工業 (61)
【Fターム(参考)】