説明

小型医療廃棄物処理電気炉

断熱・耐熱材からなる炉5の長方形の炉内部空間5Aの両端の任意位置に、カーボン電極1、2を設け、このカーボン電極1、2の下部底面に耐熱材からなるセラミック材6を炉内部空間5A
の底面に設け、炉5の上面の空間部5B上にセラミック開閉板11を設け、廃棄物の投入口の任意位置にセラミック開閉板12、12Aを設け、カーボン電極1,2間の電流値を手動・自動的に加減するための電流センサー27を変圧器25の2次巻線の一回路に設け、電流比較用の調整器28Aを設けた電流比較装置28と変圧器25の一次巻線電圧を加減するための電圧調整装置29と電圧調整器26とを設け、ドア4Aの開閉により、セラミック開閉板12、12Aが開閉する開閉器30、31とセラミック開閉板12、12Aの開閉用のアクチュエータ20、21を設けた事と排気管18の先端の炉5の内部の排気口を長方形にした事である。又、炉5の炉内部空間5Aを監視する石英材からなる光ファイバー管33Aと炉総体4の外部の任意位置に監視装置33を設けた事である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は小型医療廃棄物処理電気炉に関する。
【背景技術】
従来の医療廃棄物の処理に、種々の装置、炉が使用されていたが、特に小型処理装置、炉では温度が800℃〜1000℃以内のため、金属製の注射針、メス、ハサミ、ピンセット類の溶融が出来ない欠点があった。
【発明の開示】
少なくとも2本のカーボン電極を断熱、耐熱レンガで構成された炉の内部に設け、この2本のカーボン電極間に、任意量のカーボン粒体を敷き、この2本のカーボン電極間に電圧を加えて、カーボン電極間に電流を流す事により、ジュール熱を発生させ、炉内の温度を1500℃から2000℃近くまで上昇させ、炉内に設けたセラミック板の開閉を自動・手動でする事である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の外観斜視図である。
第2図は、本発明の炉の正面断面図である。
第3図は、本発明の炉の側面断面図である。
第4図は、本発明の炉の上面断面図である。
第5図は、本発明の炉の上面断面図である。
第6図は、本発明の電源制御用ブロックダイアグラムである。
第7図は、本発明のセラミック開閉板の作動電気回路図である。
第8図は、本発明のセラミック開閉板の作動表示図である。
発明の実施するための最良の形態
発明の実施の形態について図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7を参照して説明する。
図1に示す炉本体4の内部である図2、図3及び図4に於いて、炉5は、断熱、耐熱材からなるレンガの構築により構成した炉であり、炉の発生温度1500℃以上2000℃近くまでに耐えられると共に、炉5の内部5Aの下面部に2000℃以上の温度に耐えられるセラミック材から成るセラミック台座6の両端部の任意位置上にカーボン電極1及び2の底面が密着する様に置かれる。
この時、炉5の上面部に耐熱性で電気的に絶縁性を有する円筒形絶縁体3を取り付け、この円筒形絶縁体3の中心空間にカーボン電極1および2を挿入する事で、カーボン電極1及び2がセラミック台座6上に固定される。
この場合、円筒形絶縁体3の下部の炉5の所をカーボン電極1及び2が通過できる様円形の通し用穴部5Cを設けてある。
炉5の上面開口部5Bの上部に、断熱材から成るセラミック開閉板11を設けて、図3、図4及び図8に示す様に、モーター15を開閉器32により右回転、左回転させて、回転軸15Bの両端に設けてあるスプロケット15Aを回転させチェーン17を回転させる事により、セラミック開閉板11に付随している回転軸の両端に設けたスプロケット16が回転して、回転軸16Aの回転によりセラミック開閉板11が左右に移動する事により、炉5の上面の開口部5Bの開閉をする事が出来る。
ドア4Aを開いて、廃棄物を炉5の炉内空間部5Aに投入する時、図7に示すドア4Aに付随している開閉器30及び31が作動して、これらの開閉器30、31に電気的接続しているアクチュエータ21、22が作動して、断熱材からなるセラミック開閉板12、12Aが左右に開くので、投入部10から廃棄物を炉5の炉内空間部5Aに投入される事になる。
したがって、廃棄物を投入する時は、ドア4Aを開ける事によりセラミック開閉板12、12Aが開き、次に廃棄物を投入部10からセラミック板11上に投入して、ドア4Aを閉めると、セラミック開閉板12、12Aが左右から閉められ、次に開閉器32を開き方向にセットすると、セラミック開閉板11が開かれて、このセラミック開閉板11の上部にあった廃棄物が炉5の炉内空間部5Aに投下され、カーボン電極1、2間にある発熱されたカーボン粒体8の上部に落下して、廃棄物が熱により燃焼又は溶融、気体化及びスラグ化される。
カーボン電極1、2間にあるカーボン粒体8が電流により発熱されるが、この時の発熱温度は約1500℃及至1800℃の高温度を有する事により、廃棄物中の合成樹脂系材はすばやく燃焼、気体化し、金属製である注射針、ナイフ、ハサミ、ピンセット類は溶融して、金属スラグとして炉5の一側面に設けてあるスラグ排出口7より炉外に取り出される。
カーボン電極1、2に設けてある接続環1A、2Aに電源の変圧器25の2次巻線より電流を流すことにカーボン粒体8が発熱されるが、この時カーボン粒体8に流れる電流が任意の値より多く流れる時は、図6に示す変圧器25の2次巻線の一端に設けてある電流センサー27からの電流値を電流比較装置28の比較回路で比較させ、規定した2次巻線電流値より大きい場合は、電流比較装置28より電圧調整装置29に指令が行き、この電圧調整装置29により電圧調整器26の電圧調整部の電圧調整回路を作動させてカーボン電極1、2間の電流を減少させ、電流センサー27の電流値と電流比較装置28の規定値と同一になると電圧調整装置29の作動が停止する。
この様にして、カーボン電極1、2間のカーボン粒体8に流れる電流を加減する事が出来る。
又、電流比較装置28に設けてある調整器28Aの加減操作で、電圧調整器26の作動を変更して、変圧器25の一次巻線に加えられる電圧を加減して、2次巻線の電圧を加減する事により、カーボン電極間の電圧を加減する事が出来るので、流れる電流も加減される。
したがって、カーボン粒体8の発熱温度を加減する事が出来ると共に、過電流による変圧器25の損傷が防止される。
カーボン電極1、2の使用中、カーボン電極1、2の下部の方が焼失していくと、カーボン電極1、2の自重で下へ下がる様になり、常時、カーボン電極1、2の下部底面がセラミック台座6に接触している事になる。
図1、図2、図3、図4等に示す、排気管18は炉5の炉内空間部5Aで燃焼又は気化した気体を排気処理装置に送り出す排気管を示し、排気管19は、セラミック板11を開いた時に、炉5の炉内空間5A内の排気を投入口10の方へ流れないようにするためのものであり、ドア4Aより外部へ排出しないために使用され、排気処理装置へ流入するように接続されている。
又、排気管18の先端部が炉5の所で長方形の計状をしている事により、炉内空間5Aからの排気吸入を良好にする事と、炉総体4の内部の空気圧より、炉内部空間5Aの空気圧を低くする事により、炉総体4の内部にもれ排気が出ないようになる事である。
したがって、外部からの空気が炉総体4内に入り、自然に炉内部空間5Aの中に入って廃棄物の燃焼に寄与する事になる。
炉総体4の側面に設けたドア4Bは、炉5に設けたスラグの排出口7からのスラグを外部に取り出し用で、石英材からなる光ファイバ管33Aにより炉内部空間5Aのスラグ状態を監視装置33で見ながら、スラグの状態と取り出しする事が出来る。
【産業上の利用可能性】
以上の様な構成により、炉内温度を1500℃以上にする事で塩素系合成樹脂廃棄物の燃焼でのダイオキシンの発生を微小化する事と、金属材の溶融も出来る利点を有する事と、排気体の無害化をいっそう進展させる事が出来る。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉外周(4)の内部に、断熱と耐熱材とからなる炉(5)の内部(5A)の底部に耐熱材からなるセラミック台座(6)の両端部の表面上にカーボン電極(1、2)の端部面を密着させ、炉(5)の内部(5A)の上部の開口部(5B)上に断熱材からなるセラミック開閉板(11)を設けてある小型医療廃棄物処理電気炉。
【請求項2】
炉(5)の上部の複数箇所に、電気的絶縁材からなるカーボン電極(1、2)のホルダーとして円筒形絶縁体(3)を設け、この円筒形絶縁体(3)の中にカーボン電極(1、2)を入れて、カーボン電極(1、2)を保持する小型医療廃棄物処理電気炉。
【請求項3】
炉(5)の上部の開口部(5B)の上部に設けてあるセラミック開閉板(11)の一側面に回転軸(16A)を取り付け、この回転軸(16A)の両端部にスプロケット(16)を取り付け、この両端に設けたスプロケット(16)を回転させるチェーン(17)を取り付け、このチェーン(17)の片側に、モーター(15)に直結した回転軸(15B)の両端にも設けたスプロケット(15A)に取り付けて、モーター(15)の右回転、左回転により、セラミック板(11)を開閉する事を特徴とした小型医療廃棄物処理電気炉。
【請求項4】
炉(5)の一上面部に台座(24)を設け、この台座(24)上の両端にアクチュエータ(20、21)を設け、これらのアクチュエータ(20、21)のシリンダー(20B、21B)の先端にセラミック開閉板(12、12A)を取り付け、炉外周面の一面に設けたドア(4A)の開閉によりドア(4A)に設けたスイッチ(30、31)の作動により、アクチュエータ(20、21)が作動し、廃棄物の投入路に設けたセラミックの開閉板(12、12A)が開閉する事を特徴とした小型医療廃棄物処理電気炉。
【請求項5】
カーボン電極(1、2)間に流れる電流値を変圧器(25)の単相回路の一回路に電流センサー(27)を設け、任意電流値以上に流れた電流値とを電流比較装置(28)で比較した数値により、電流調整装置(29)を作動させて、電圧調整装置(26)を作動させて変圧器(25)の一次電圧を加減してカーボン電極(1、2)間の電圧を加減することを特徴とした小型医療廃棄物処理電気炉。
【請求項6】
調整器(28A)の手動で電流比較装置(28)の比較電流値を任意に変えて、電流調整装置(29)を作動させて、電圧調整装置(26)の電圧を加減出来る小型医療廃棄物処理電気炉。
【請求項7】
炉(5)の任意位置に石英材から成る光ファイバ管(33A)を設け、炉総体(4)の外周の任意位置に監視装置(33)を設けた事を特徴とする小型医療廃棄物処理電気炉。

【国際公開番号】WO2005/036056
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【発行日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−509458(P2005−509458)
【国際出願番号】PCT/JP2003/013004
【国際出願日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【出願人】(598083614)
【Fターム(参考)】