小型磁場センサ
本発明は、少なくとも1つの励磁コイルおよび1つの検出コイルと協働する磁気コアを備える、小型磁場センサ10に関する。本発明は、前述のコアが、開いており、かつテーパのついた両端部を有する少なくとも1つのバー11、12を備えることを特徴とする。この発明のセンサは、超小型電子工学技術を使用して製造することが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型磁場センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の製品は、時には「マイクロフラックスゲートセンサ(microflux gate sensor)」と呼ばれる。
【0003】
図1は、閉磁気回路2の細長いブランチ(branch)3上に、励磁コイル4および検出コイル5が巻かれた閉磁気回路2を有する、この種のセンサ1の図である。
【0004】
このセンサは、標準の超小型電子工学技術を使用して製造される。したがって、磁気回路は、薄い層に堆積された(特に、パーマロイ(登録商標)、アモルファス、または他の材料など)軟磁性材料を備える。励磁および検出コイルは、アルミニウム、銅、金などの導電性材料の薄い層である。これらのコイルは、特にソレノイド状のまたは平面状の螺旋とすることができる。
【0005】
検出回路は、励磁回路を流れる電流によって励磁されるとき、軟磁性材料によって生じる磁束を収集する。
【0006】
これらのコイルは、交互配置されることができる。
【0007】
測定すべきDCまたは低周波数の磁場を補償するために、磁場を印加する補助コイルを存在させることができる。しかしながら、この検出コイルを、この目的で使用することもできる。
【0008】
実際には、信号は、磁気材料の飽和する領域を必要とし、飽和が達成された状態では、少なくとも部分的に、検出コイルによって収集される磁束は、最早測定すべきDC磁場が存在する場合と同じ交番を有していない。検出信号は、この磁束の導関数である。
【0009】
この非対称(dissymmetry)は、測定すべきDC磁場と関連する検出信号の2次高調波の出現に反映される。
【0010】
測定信号を増大するために、2つの検出回路を、差動モードで結合することができる。その場合は、検出信号は、励磁信号の2倍の周波数を持つ。
【0011】
「マイクロフラックスゲート」として知られている小型センサは通常、現時点では数ナノテスラ程度であり、かつ約±100マイクロテスラの範囲内のDCまたは低周波数磁場(または磁場変動)を測定することを目的としている。それらセンサは、特に、地磁界の非常に小さな変動を検出するために使用される。
【0012】
マイクロフラックスゲートが小さいという事実は、非常に軽量、小さな容積(それは航空宇宙空間および医療用途で、様々な工業的な応用分野で、クランプ式電流計などで有益である)、および磁気の超小型電子技術を使用する集合的製造技術の使用を仮定すれば、低製造コストという利点を有する。
【0013】
マイクロフラックスゲート組み込み構成部品の例は、以下の文献に詳細に説明されている。
【0014】
RAHMAN A. RUB, SUKIRTI GUPTA and CHONG H. AHN-University of Cincinnati, Ohio, 45221-003-USA, Transducers ’01 EUROSENSORS XV-2001による「High directional sensitivity of micromachined magnetic fluxgate sensors」
H. GRUEGER, R. GOTTFRIED-GOTTFRIED - Fraunhofer Institute for microelectronics circuits and systems IMS Dresden, Germany-Sensors and Actuators A 91 (2001) 61-64による「Performance and applications of a two axes fluxgate magnetic field sensor fabricated by a CMOS process」
Shuji KOGA, Akira YAMASAWA, Shoji KAWAHITO-Toyohashi Univ. of Technology-TIEE Japan, vol 117-E, N°2, (1997) による「Micro fluxgate magnetic sensor interface circuits using deltaS Modulation」
R. GOTTFRIED-GOTTFRIED, W. BUDDE, R. JAHNE, H. KUCK-Fraunhofer Institute for microelectronic circuits and systems IMS Dresden, Germany-Sensor and Actuators A54 (1996) 443-447による「A miniaturized magnetic - field sensor system consisting of a planar fluxgate sensor and a CMOS readout circuitry」
【0015】
これらに説明されている回路は、平行6面体形状のバーを有する、閉じられているか(ループの)、または開らかれているかのどちらかである。
【0016】
しかしながら、非常に弱い磁場の検出は、実際のところ不安定性またはオフセット(表現「オフセットジャンプ」が時には使用される)の問題によって、妨げられる。測定時間信号は、理論的に1ナノテスラ程度のノイズレベルを有する可能性があるが、実際には100ナノテスラから1000ナノテスラ程度になり得る不安定性またはジャンプの存在によって大きく低下する。これらのジャンプは、数ヘルツの周波数で起きるが、1秒当り1回、1分当り1回、1時間当り1回、または1日当り1回の周波数でさえも起きる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の主題は、超小型電子工学技術を使用して実装することができ、その構成によって地磁界などの弱磁界の測定ができ、同時に不安定性およびジャンプを最小にすることができる磁場センサである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的のために、本発明は、少なくとも1つの励磁コイルおよび1つの検出コイルと協働する磁気コアを備える小型磁場センサであって、この磁気コアは開いており、かつテーパのついた両端部を有する少なくとも1つのバーを含むことを特徴とする小型磁場センサを提案する。
【0019】
好ましい、かつ組合せて適用可能な特徴によれば、
コアは、テーパのついた両端部を有する少なくとも1本の第2のバーを含む。
【0020】
コアは、それらを分離する線に対して互いに対称な2本のバーで形成される。
【0021】
少なくともこのバーの両端部は、互いに対称である。
【0022】
このバーの両端部の少なくとも1つは、このバーの長手方向正中線に対して対称である。
【0023】
このバーの両端部の少なくとも1つは、このバーの正中線に対して非対称である。
【0024】
両端部の少なくとも1つは、互いに向かって近付く直線的縁部によって区切られる。
【0025】
両端部の少なくとも1つは、尖った先端で終端する。
【0026】
この先端は、45°未満の、好ましくは30°未満の角度を形成する。
【0027】
両端部の少なくとも1つは、丸くした先端で終端する。
【0028】
両端部の少なくとも1つは、バーの幅より大きな長さを有する。
【0029】
このセンサは、検出コイルの両側に1つずつ配置された2つの励磁コイルを備える。
【0030】
このセンサは、層の積み重ねから形成される。
【0031】
本発明の態様、特徴、および利点は、例示的であり非限定的な例として、かつ添付の図面を参照して示される以下の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図2は、本発明のセンサを示す。
【0033】
このセンサ10は、磁性材料の2本の平行なバー11および12で形成され、励磁コイル13および検出コイル14と協働する開磁気コア、およびこれらのコイルに接続された金属トラック15を含む。この回路は、コイルの巻線のいくつかと接触し、したがって、コイル13および14を区切るトラック16を含む。
【0034】
本発明によれば、平行バー11および12は、テーパのついたまたは先の尖った両端部を有する。本発明の文脈では、テーパのついたまたは先の尖った端部は、一定ではない幅の端部であり、この幅は、狭い、尖った、または丸くした端部へと減少する。図2では、2本のバーのテーパのついた端部は、コイルから突き出ている。しかしながら、図示しない変形形態では、それら端部は、完全にまたは部分的にコイル内にあることができる。
【0035】
先端の角度は、鋭角(すなわち、90°未満)であることが有利である。
【0036】
図3Aは、図2に示されたバーと同様な(一部分、その左手端部のみ示す)バー20を示す。この端部20Aの形状は、極めて鋭い角度(45°未満、この角度は図2では30°未満でさえある)を有する対称的な形状に対応し、このテーパのついた端部の長さLは、バーの幅より実質的に大きい。
【0037】
しかしながら、多くの他の先端形状が使用可能である。
【0038】
したがって、図3Bは、先端がバーの幅より短いテーパのついた端部21Aを有するバー21を示す。この先端の端部は、バーの正中軸(median axis)に対して下側に少しオフセットもしている。この先端は、対称的ではない。
【0039】
図3Cは、図3Aにおけるような、ただし、その非対称性は、先端が事実上バーの上側面と整列しているような、別の細長い先端22Aを有する別のバー22を示す。
【0040】
最後に図3Dは、端部の側面が直線的でなく、広げられ鈍くされた「先端」に合流する前に近付き始めている、テーパのついた端部23Aを有する別のバー23を示す。
【0041】
図2で、バーの各々は、互いに対称形である端部を有する。それにもかかわらず、同じバーが、異なる幾何形状を有する2つの端部を有することができることを理解されなければならない。2本のバーを、それら2本のバーを分離する線に対して互いに対称的にすることは、必須ではないが有利である。図3Bおよび図3Cでのように、端部が非対称であるときは、これらの端部の(尖ったまたは丸くした)先端を互いにより近接して、またはより遠く離して移動させることが好ましいこともありうる。
【0042】
特に簡単なバージョンでは、ただ1つのバー(11または12)が存在する。その場合は、例えば図3Aまたは図3Dでのように、両端部が、バーの正中線に対して対称的な形状を選択するのが有利である。
【0043】
驚いたことに、バーの両端部がテーパのついた図2の構成部品が、考えられてきた他のいくつかの形状、およびそれより多くの従来の形状よりも、良い結果を生じさせることが見出された。開回路では、閉回路の場合よりも高い電流消費を予想することができる。さらに、バーの端部にテーパをつけることは、何にも寄与しないように見えるかも知れない。しかしながら、それは、従来の他の解決方法より低い電流消費量につながり、一方、ずっとより安定になることが明らかとなった。さらにそれは、他の知られた形状と同じ程度の大きさの、信号/雑音比を有する。
【0044】
開回路を提案する、本明細書(上記参照)で開示されたセンサのいくつかの例は、全て平行6面体の形状のバーを提案していることに留意されたい。
【0045】
先端は、磁区を生成させる効果を有するとしばしば見なされることは、磁気現象の分野で極めて一般的な事実である。問題は、磁区の形状を観測することが困難であるということである。
【0046】
図4Aから図4Dは、例として本発明のセンサの製造の段階を示す。
【0047】
これらの段階は、超小型電子工学技術を使用して既に製造されているいくつかの小型センサ、ただし、閉磁気回路または直角の端部を有する開磁気回路を有するセンサ用に使用される段階と比較してほとんど変更されていない。
【0048】
図4Aで、例えば、シリコン(ただし、別法としてガラス、石英、セラミックなど)の基板25から始めて、その基板上に、一種の「コイルボックス」を形成するように、(例えば、SiO2)の電気的絶縁材料の層26が形成されるべきであり、銅、アルミニウム、金、タングステン、AuTaなどの導電性材料のトラック30が、電解で堆積され、その後この材料は平坦化される。最後に絶縁層31(例えば、通常は4ミクロンの厚さのSiO2)が、(例えば、1ミクロンより良い平坦度にまで)平坦化されるる前に堆積される。
【0049】
次いで(図4B)、(例えば、FeNiまたはアモルファス材料の)磁気材料33が、1ミクロン程度の厚さに堆積される。この磁気材料の堆積物は、次いで幾何形状を画定するようにエッチングされ、その後その磁気材料の堆積物は、新しい絶縁層34(通常は、例えば、1ミクロン程度の、所与の厚さまで平坦化されるSiO2)で覆われる。したがって、磁気材料のこの局所的な層は、絶縁層31の上、別の絶縁層34の下で、かつ(実際には、層34で磁気材料を被覆する間に堆積される)絶縁物に取り囲まれて局在化される。
【0050】
図4Cは、将来の巻線を形成する始めとなる、下側トラックへの接続部35を生成させる動作の開始を示す。これらの接続部は、トラック30までトレンチを掘るように局所的にエッチングし、続いてそのトレンチの中に導電性材料を堆積させることによって生成することができる。
【0051】
図4Dで、前に考慮した厚さより厚い、通常は1.5ミクロンより厚い導電性材料の堆積物36が形成される。これは、続いてこの導電層内の上側導電体を区切るためにエッチングされ、その結果、トラック30および結合部35と結合して巻線を形成する。これは続いて、例えば、SiO2の絶縁物の堆積37が行われ、その後外側との接点を提供するために開口部38が形成される。
【0052】
2つの電流(20mAおよび40mA)での性能を評価するために、上記で述べた幾何形状の複数のチップが、試験目的で製造された。図5は、これらのチップの測定結果を提示する(このチップを指定する番号は、任意的なものである)。
【0053】
この図から、20mAに対する平均信号値は、−41dBであることが分かる。20mAのこの電流が、最適な電流であると思われる。
【0054】
これらのチップは、スペクトルから分かるように、(他の知られた構成では不安定性がしばしば見られる、数10分の1Hzから50Hzまでの)低周波数で、不安定性なしに、完全に平らなスペクトルを有する。本発明の構成は、低減された電流消費量を兼ね備え、これらの他の構成より良くないまでも、同じ程度の大きさの信号/雑音比を有し、より大きな安定性をもたらすことも明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】標準的な磁場センサの図である。
【図2】本発明の磁場センサの図である。
【図3A】図2のセンサに組み込むことができるバーの図である。
【図3B】図2のセンサに組み込むことができるバーの図である。
【図3C】図2のセンサに組み込むことができるバーの図である。
【図3D】図2のセンサに組み込むことができるバーの図である。
【図4A】本発明のセンサを製造する4つの連続する段階の第1の段階を示す図である。
【図4B】本発明のセンサを製造する4つの連続する段階の第2の段階を示す図である。
【図4C】本発明のセンサを製造する4つの連続する段階の第3の段階を示す図である。
【図4D】本発明のセンサを製造する4つの連続する段階の第4の段階を示す図である。
【図5】本発明のセンサの1バッチ(batch)で解析されたチップ数に対する、(dBV/√Hzでの)雑音と(dBVでの)信号の間の相関関係を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型磁場センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の製品は、時には「マイクロフラックスゲートセンサ(microflux gate sensor)」と呼ばれる。
【0003】
図1は、閉磁気回路2の細長いブランチ(branch)3上に、励磁コイル4および検出コイル5が巻かれた閉磁気回路2を有する、この種のセンサ1の図である。
【0004】
このセンサは、標準の超小型電子工学技術を使用して製造される。したがって、磁気回路は、薄い層に堆積された(特に、パーマロイ(登録商標)、アモルファス、または他の材料など)軟磁性材料を備える。励磁および検出コイルは、アルミニウム、銅、金などの導電性材料の薄い層である。これらのコイルは、特にソレノイド状のまたは平面状の螺旋とすることができる。
【0005】
検出回路は、励磁回路を流れる電流によって励磁されるとき、軟磁性材料によって生じる磁束を収集する。
【0006】
これらのコイルは、交互配置されることができる。
【0007】
測定すべきDCまたは低周波数の磁場を補償するために、磁場を印加する補助コイルを存在させることができる。しかしながら、この検出コイルを、この目的で使用することもできる。
【0008】
実際には、信号は、磁気材料の飽和する領域を必要とし、飽和が達成された状態では、少なくとも部分的に、検出コイルによって収集される磁束は、最早測定すべきDC磁場が存在する場合と同じ交番を有していない。検出信号は、この磁束の導関数である。
【0009】
この非対称(dissymmetry)は、測定すべきDC磁場と関連する検出信号の2次高調波の出現に反映される。
【0010】
測定信号を増大するために、2つの検出回路を、差動モードで結合することができる。その場合は、検出信号は、励磁信号の2倍の周波数を持つ。
【0011】
「マイクロフラックスゲート」として知られている小型センサは通常、現時点では数ナノテスラ程度であり、かつ約±100マイクロテスラの範囲内のDCまたは低周波数磁場(または磁場変動)を測定することを目的としている。それらセンサは、特に、地磁界の非常に小さな変動を検出するために使用される。
【0012】
マイクロフラックスゲートが小さいという事実は、非常に軽量、小さな容積(それは航空宇宙空間および医療用途で、様々な工業的な応用分野で、クランプ式電流計などで有益である)、および磁気の超小型電子技術を使用する集合的製造技術の使用を仮定すれば、低製造コストという利点を有する。
【0013】
マイクロフラックスゲート組み込み構成部品の例は、以下の文献に詳細に説明されている。
【0014】
RAHMAN A. RUB, SUKIRTI GUPTA and CHONG H. AHN-University of Cincinnati, Ohio, 45221-003-USA, Transducers ’01 EUROSENSORS XV-2001による「High directional sensitivity of micromachined magnetic fluxgate sensors」
H. GRUEGER, R. GOTTFRIED-GOTTFRIED - Fraunhofer Institute for microelectronics circuits and systems IMS Dresden, Germany-Sensors and Actuators A 91 (2001) 61-64による「Performance and applications of a two axes fluxgate magnetic field sensor fabricated by a CMOS process」
Shuji KOGA, Akira YAMASAWA, Shoji KAWAHITO-Toyohashi Univ. of Technology-TIEE Japan, vol 117-E, N°2, (1997) による「Micro fluxgate magnetic sensor interface circuits using deltaS Modulation」
R. GOTTFRIED-GOTTFRIED, W. BUDDE, R. JAHNE, H. KUCK-Fraunhofer Institute for microelectronic circuits and systems IMS Dresden, Germany-Sensor and Actuators A54 (1996) 443-447による「A miniaturized magnetic - field sensor system consisting of a planar fluxgate sensor and a CMOS readout circuitry」
【0015】
これらに説明されている回路は、平行6面体形状のバーを有する、閉じられているか(ループの)、または開らかれているかのどちらかである。
【0016】
しかしながら、非常に弱い磁場の検出は、実際のところ不安定性またはオフセット(表現「オフセットジャンプ」が時には使用される)の問題によって、妨げられる。測定時間信号は、理論的に1ナノテスラ程度のノイズレベルを有する可能性があるが、実際には100ナノテスラから1000ナノテスラ程度になり得る不安定性またはジャンプの存在によって大きく低下する。これらのジャンプは、数ヘルツの周波数で起きるが、1秒当り1回、1分当り1回、1時間当り1回、または1日当り1回の周波数でさえも起きる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の主題は、超小型電子工学技術を使用して実装することができ、その構成によって地磁界などの弱磁界の測定ができ、同時に不安定性およびジャンプを最小にすることができる磁場センサである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的のために、本発明は、少なくとも1つの励磁コイルおよび1つの検出コイルと協働する磁気コアを備える小型磁場センサであって、この磁気コアは開いており、かつテーパのついた両端部を有する少なくとも1つのバーを含むことを特徴とする小型磁場センサを提案する。
【0019】
好ましい、かつ組合せて適用可能な特徴によれば、
コアは、テーパのついた両端部を有する少なくとも1本の第2のバーを含む。
【0020】
コアは、それらを分離する線に対して互いに対称な2本のバーで形成される。
【0021】
少なくともこのバーの両端部は、互いに対称である。
【0022】
このバーの両端部の少なくとも1つは、このバーの長手方向正中線に対して対称である。
【0023】
このバーの両端部の少なくとも1つは、このバーの正中線に対して非対称である。
【0024】
両端部の少なくとも1つは、互いに向かって近付く直線的縁部によって区切られる。
【0025】
両端部の少なくとも1つは、尖った先端で終端する。
【0026】
この先端は、45°未満の、好ましくは30°未満の角度を形成する。
【0027】
両端部の少なくとも1つは、丸くした先端で終端する。
【0028】
両端部の少なくとも1つは、バーの幅より大きな長さを有する。
【0029】
このセンサは、検出コイルの両側に1つずつ配置された2つの励磁コイルを備える。
【0030】
このセンサは、層の積み重ねから形成される。
【0031】
本発明の態様、特徴、および利点は、例示的であり非限定的な例として、かつ添付の図面を参照して示される以下の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図2は、本発明のセンサを示す。
【0033】
このセンサ10は、磁性材料の2本の平行なバー11および12で形成され、励磁コイル13および検出コイル14と協働する開磁気コア、およびこれらのコイルに接続された金属トラック15を含む。この回路は、コイルの巻線のいくつかと接触し、したがって、コイル13および14を区切るトラック16を含む。
【0034】
本発明によれば、平行バー11および12は、テーパのついたまたは先の尖った両端部を有する。本発明の文脈では、テーパのついたまたは先の尖った端部は、一定ではない幅の端部であり、この幅は、狭い、尖った、または丸くした端部へと減少する。図2では、2本のバーのテーパのついた端部は、コイルから突き出ている。しかしながら、図示しない変形形態では、それら端部は、完全にまたは部分的にコイル内にあることができる。
【0035】
先端の角度は、鋭角(すなわち、90°未満)であることが有利である。
【0036】
図3Aは、図2に示されたバーと同様な(一部分、その左手端部のみ示す)バー20を示す。この端部20Aの形状は、極めて鋭い角度(45°未満、この角度は図2では30°未満でさえある)を有する対称的な形状に対応し、このテーパのついた端部の長さLは、バーの幅より実質的に大きい。
【0037】
しかしながら、多くの他の先端形状が使用可能である。
【0038】
したがって、図3Bは、先端がバーの幅より短いテーパのついた端部21Aを有するバー21を示す。この先端の端部は、バーの正中軸(median axis)に対して下側に少しオフセットもしている。この先端は、対称的ではない。
【0039】
図3Cは、図3Aにおけるような、ただし、その非対称性は、先端が事実上バーの上側面と整列しているような、別の細長い先端22Aを有する別のバー22を示す。
【0040】
最後に図3Dは、端部の側面が直線的でなく、広げられ鈍くされた「先端」に合流する前に近付き始めている、テーパのついた端部23Aを有する別のバー23を示す。
【0041】
図2で、バーの各々は、互いに対称形である端部を有する。それにもかかわらず、同じバーが、異なる幾何形状を有する2つの端部を有することができることを理解されなければならない。2本のバーを、それら2本のバーを分離する線に対して互いに対称的にすることは、必須ではないが有利である。図3Bおよび図3Cでのように、端部が非対称であるときは、これらの端部の(尖ったまたは丸くした)先端を互いにより近接して、またはより遠く離して移動させることが好ましいこともありうる。
【0042】
特に簡単なバージョンでは、ただ1つのバー(11または12)が存在する。その場合は、例えば図3Aまたは図3Dでのように、両端部が、バーの正中線に対して対称的な形状を選択するのが有利である。
【0043】
驚いたことに、バーの両端部がテーパのついた図2の構成部品が、考えられてきた他のいくつかの形状、およびそれより多くの従来の形状よりも、良い結果を生じさせることが見出された。開回路では、閉回路の場合よりも高い電流消費を予想することができる。さらに、バーの端部にテーパをつけることは、何にも寄与しないように見えるかも知れない。しかしながら、それは、従来の他の解決方法より低い電流消費量につながり、一方、ずっとより安定になることが明らかとなった。さらにそれは、他の知られた形状と同じ程度の大きさの、信号/雑音比を有する。
【0044】
開回路を提案する、本明細書(上記参照)で開示されたセンサのいくつかの例は、全て平行6面体の形状のバーを提案していることに留意されたい。
【0045】
先端は、磁区を生成させる効果を有するとしばしば見なされることは、磁気現象の分野で極めて一般的な事実である。問題は、磁区の形状を観測することが困難であるということである。
【0046】
図4Aから図4Dは、例として本発明のセンサの製造の段階を示す。
【0047】
これらの段階は、超小型電子工学技術を使用して既に製造されているいくつかの小型センサ、ただし、閉磁気回路または直角の端部を有する開磁気回路を有するセンサ用に使用される段階と比較してほとんど変更されていない。
【0048】
図4Aで、例えば、シリコン(ただし、別法としてガラス、石英、セラミックなど)の基板25から始めて、その基板上に、一種の「コイルボックス」を形成するように、(例えば、SiO2)の電気的絶縁材料の層26が形成されるべきであり、銅、アルミニウム、金、タングステン、AuTaなどの導電性材料のトラック30が、電解で堆積され、その後この材料は平坦化される。最後に絶縁層31(例えば、通常は4ミクロンの厚さのSiO2)が、(例えば、1ミクロンより良い平坦度にまで)平坦化されるる前に堆積される。
【0049】
次いで(図4B)、(例えば、FeNiまたはアモルファス材料の)磁気材料33が、1ミクロン程度の厚さに堆積される。この磁気材料の堆積物は、次いで幾何形状を画定するようにエッチングされ、その後その磁気材料の堆積物は、新しい絶縁層34(通常は、例えば、1ミクロン程度の、所与の厚さまで平坦化されるSiO2)で覆われる。したがって、磁気材料のこの局所的な層は、絶縁層31の上、別の絶縁層34の下で、かつ(実際には、層34で磁気材料を被覆する間に堆積される)絶縁物に取り囲まれて局在化される。
【0050】
図4Cは、将来の巻線を形成する始めとなる、下側トラックへの接続部35を生成させる動作の開始を示す。これらの接続部は、トラック30までトレンチを掘るように局所的にエッチングし、続いてそのトレンチの中に導電性材料を堆積させることによって生成することができる。
【0051】
図4Dで、前に考慮した厚さより厚い、通常は1.5ミクロンより厚い導電性材料の堆積物36が形成される。これは、続いてこの導電層内の上側導電体を区切るためにエッチングされ、その結果、トラック30および結合部35と結合して巻線を形成する。これは続いて、例えば、SiO2の絶縁物の堆積37が行われ、その後外側との接点を提供するために開口部38が形成される。
【0052】
2つの電流(20mAおよび40mA)での性能を評価するために、上記で述べた幾何形状の複数のチップが、試験目的で製造された。図5は、これらのチップの測定結果を提示する(このチップを指定する番号は、任意的なものである)。
【0053】
この図から、20mAに対する平均信号値は、−41dBであることが分かる。20mAのこの電流が、最適な電流であると思われる。
【0054】
これらのチップは、スペクトルから分かるように、(他の知られた構成では不安定性がしばしば見られる、数10分の1Hzから50Hzまでの)低周波数で、不安定性なしに、完全に平らなスペクトルを有する。本発明の構成は、低減された電流消費量を兼ね備え、これらの他の構成より良くないまでも、同じ程度の大きさの信号/雑音比を有し、より大きな安定性をもたらすことも明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】標準的な磁場センサの図である。
【図2】本発明の磁場センサの図である。
【図3A】図2のセンサに組み込むことができるバーの図である。
【図3B】図2のセンサに組み込むことができるバーの図である。
【図3C】図2のセンサに組み込むことができるバーの図である。
【図3D】図2のセンサに組み込むことができるバーの図である。
【図4A】本発明のセンサを製造する4つの連続する段階の第1の段階を示す図である。
【図4B】本発明のセンサを製造する4つの連続する段階の第2の段階を示す図である。
【図4C】本発明のセンサを製造する4つの連続する段階の第3の段階を示す図である。
【図4D】本発明のセンサを製造する4つの連続する段階の第4の段階を示す図である。
【図5】本発明のセンサの1バッチ(batch)で解析されたチップ数に対する、(dBV/√Hzでの)雑音と(dBVでの)信号の間の相関関係を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの励磁コイルおよび1つの検出コイルと協働する磁気コア(11、12、20、21、22、23)を備える小型磁場センサ(10)であって、前記磁気コアが、開いており、かつテーパのついた両端部(20A、21A、22A、23A)を有する少なくとも1本のバーを含むことを特徴とするセンサ。
【請求項2】
磁気コアが、テーパのついた両端部を有する少なくとも1本の第2のバー(11、12)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記コアが、2本のバーを分離する線に対して互いに対称な2本のバーから形成されることを特徴とする、請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
少なくともバー(11、12)の両端部が、互いに対称であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項5】
バー(11、12、20、23)の両端部の少なくとも1つが、バーの長手方向正中線に対して対称であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項6】
バー(21、22)の両端部の少なくとも1つが、バーの長手方向正中線に対して非対称であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項7】
両端部(20A、21A、22A)の少なくとも1つが、互いに向かって近付く直線的縁部によって区切られることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項8】
両端部(20A、21A、22A)の少なくとも1つが、尖った先端で終端することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項9】
先端が、45°未満の角度を形成することを特徴とする、請求項8に記載のセンサ。
【請求項10】
両端部(23A)の少なくとも1つが、丸くした先端で終端することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項11】
両端部の少なくとも1つが、バーの幅より大きい長さを有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項12】
両端部が、励磁および検出コイルの外側に位置していることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項13】
両端部が、少なくとも一部分はコイルの内側にあることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項14】
前記コイルが、励磁コイルであることを特徴とする、請求項13に記載のセンサ。
【請求項15】
センサが、検出コイルの両側に1つずつ配置された2つの励磁コイルを備えることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項16】
センサが、層の積み重ね(26、30、31、35、33、34、36、37)から形成されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項1】
少なくとも1つの励磁コイルおよび1つの検出コイルと協働する磁気コア(11、12、20、21、22、23)を備える小型磁場センサ(10)であって、前記磁気コアが、開いており、かつテーパのついた両端部(20A、21A、22A、23A)を有する少なくとも1本のバーを含むことを特徴とするセンサ。
【請求項2】
磁気コアが、テーパのついた両端部を有する少なくとも1本の第2のバー(11、12)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記コアが、2本のバーを分離する線に対して互いに対称な2本のバーから形成されることを特徴とする、請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
少なくともバー(11、12)の両端部が、互いに対称であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項5】
バー(11、12、20、23)の両端部の少なくとも1つが、バーの長手方向正中線に対して対称であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項6】
バー(21、22)の両端部の少なくとも1つが、バーの長手方向正中線に対して非対称であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項7】
両端部(20A、21A、22A)の少なくとも1つが、互いに向かって近付く直線的縁部によって区切られることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項8】
両端部(20A、21A、22A)の少なくとも1つが、尖った先端で終端することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項9】
先端が、45°未満の角度を形成することを特徴とする、請求項8に記載のセンサ。
【請求項10】
両端部(23A)の少なくとも1つが、丸くした先端で終端することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項11】
両端部の少なくとも1つが、バーの幅より大きい長さを有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項12】
両端部が、励磁および検出コイルの外側に位置していることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項13】
両端部が、少なくとも一部分はコイルの内側にあることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項14】
前記コイルが、励磁コイルであることを特徴とする、請求項13に記載のセンサ。
【請求項15】
センサが、検出コイルの両側に1つずつ配置された2つの励磁コイルを備えることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項16】
センサが、層の積み重ね(26、30、31、35、33、34、36、37)から形成されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載のセンサ。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【公表番号】特表2006−518845(P2006−518845A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502158(P2006−502158)
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000389
【国際公開番号】WO2004/077074
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(596048569)コミサリヤ・ア・レネルジ・アトミク (53)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000389
【国際公開番号】WO2004/077074
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(596048569)コミサリヤ・ア・レネルジ・アトミク (53)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]