説明

小型電子機器の2軸ヒンジ並びにこの2軸ヒンジを用いた小型電子機器

【課題】 小型電子機器の第1の筐体と第2の筐体を開いた際にヒンジのヒンジシャフトやヒンジカバーの部分が外部へ突出しないように構成した2軸ヒンジ並びにこの2軸ヒンジを用いた小型電子機器を提供する。
【解決手段】 第1の筐体と第2の筐体を互いに開閉可能に連結し、前記第1の筐体と前記第2の筐体を互いに重ね合わせて前記操作部の上面を覆う閉成状態と、前記第1の筐体と前記第2の筐体を互いに縦方向へ開いて前記操作部の上面を露出させる開成状態を作り出す小型電子機器の2軸ヒンジであって、この2軸ヒンジを、ベース部材と、このベース部材の第1取付部に取り付けられ前記第1の筐体に取り付けられた第1ブラケットに作用させた吸い込みヒンジ部と、前記ベース部材の第2取付部に取り付けられ前記第2の筐体に取り付けられたところの第2ブラケットに作用させたチルトヒンジ部と、前記吸い込みヒンジ部と前記チルトヒンジ部の間に設けられ、当該吸い込みヒンジ部とチルトヒンジ部の動作の順序を決める動作制御手段とで解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型電子機器を構成するところの操作部を設けた第1の筐体とディスプレイ部を設けた第2の筐体を相対的に縦方向へ開閉させる際に用いて好適な2軸ヒンジ並びにこの2軸ヒンジを用いた小型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型電子機器を構成するところの、上面に操作部を設けた第1の筐体と、下面にディスプレイ部を設けた第2の筐体と、を縦方向へ開閉可能となるように連結し、第2の筐体で第1の筐体の操作部の上面を覆う閉成状態と、第1の筐体の操作部を露出させてディスプレイ部を見易くする開成状態とを形成させるヒンジとして、下記特許文献1に記載した構成のものが公知である。
【0003】
この特許文献1に記載されたヒンジは、ヒンジシャフトが1本であり、カム機構を設けることにより、吸い込み機能とチルト機能を合わせ持っている。しかしながら、ヒンジシャフトが1本のため、図43と図44に示したように、第1の筐体60と第2の筐体65の開成時にヒンジ本体70(ヒンジシャフトやヒンジカバー或はカム機構や弾性手段等の部分)の部分が、表側へ突出してしまい、開いた状態の第1の筐体60と第2の筐体65の間が面一なフラット状態にならず、外観上不細工であり、デザイン上も制約を受ける、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−140152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、上述した小型電子機器の第1の筐体と第2の筐体の各端部を互いに縦方向へ開閉可能に連結するヒンジであるが、第1の筐体と第2の筐体を開いた際にヒンジのヒンジシャフトやヒンジカバーの部分が表側へ突出しないように構成した、小型電子機器の2軸ヒンジ並びにこの2軸ヒンジを用いた小型電子機器を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、上面に操作部を設けた第1の筐体と下面にディスプレイ部を設けた第2の筐体を互いに開閉可能に連結し、前記第1の筐体と前記第2の筐体を互いに重ね合わせて前記操作部の上面を覆う閉成状態と、前記第1の筐体と前記第2の筐体を互いに縦方向へ開いて前記操作部の上面を露出させる開成状態を作り出す小型電子機器の2軸ヒンジであって、この2軸ヒンジを、ベース部材と、このベース部材の第1取付部に取り付けられ前記第1の筐体に取り付けられた第1ブラケットに作用させた吸い込みヒンジ部と、前記ベース部材の第2取付部に取り付けられ前記第2の筐体に取り付けられたところの第2ブラケットに作用させたチルトヒンジ部と、前記吸い込みヒンジ部と前記チルトヒンジ部の間に設けられ、当該吸い込みヒンジ部とチルトヒンジ部の動作の順序を決める動作制御手段とで構成したことを特徴とする。
【0007】
その際に本発明は、前記ベース部材を扁平なプレート状とし、前記第1取付部と第2取付部を当該ベース部材の平面部に併設させることができる。
【0008】
本発明はまた、前記動作制御手段を、前記第1の筐体と第2の筐体の開成操作時に、まず、前記吸い込みヒンジ部を動作させ、次いで、前記チルトヒンジ部を動作させ、閉成時にはまず前記チルトヒンジ部を動作させ、次いで前記吸い込みヒンジ部を動作させるものである。
【0009】
本発明はさらに、前記動作制御手段を、前記ベース部材へ回転可能に挿通させたところの一端部にフランジ部を有するストッパー部と、このストッパー部の他端部に同軸に取り付けたところのストッパー片と従動歯部を有する従動ギアと、前記ストッパー部のフランジ部と前記ベース部材の回転角度によって当接して当該ストッパー部の回転を阻止して前記第2ブラケットの回転を阻止するために前記第1ブラケットの第1軸受部の縁部に設けた当接部と、前記ベース部材の回転角度によって前記フランジ部と係合する係合凹部と、前記従動ギアの従動歯部とその回転角度によって噛み合う前記第2ブラケットに設けた駆動歯部とで構成することができる。
【0010】
本発明はまた、前記2軸ヒンジを、ベース部材と、このベース部材の第3取付部に取り付けられ前記第1の筐体に取り付けられた第3ブラケットに作用させた吸い込みヒンジ部と、前記ベース部材の第4取付部に取り付けられ前記第2の筐体に取り付けられたところの第4ブラケットに作用させたチルトヒンジ部と、前記吸い込みヒンジ部と前記チルトヒンジ部の間に設けられ、当該吸い込みヒンジ部とチルトヒンジ部の動作の順序を決める動作制御手段とで構成したことを特徴とする。
【0011】
その際の本発明は、前記ベース部材を、基板部とこの基板部より折り曲げた側板に前記第3取付部と第4取付部をそれぞれ設けることができる。この側板は、基板部に別々に設けることができることを特徴とする。
【0012】
その際に本発明は、前記動作制御手段を、尖頭部を有し第2ベース部材に第1ヒンジシャフトの回転方向と同一方向へスライド可能に取り付けたガイドプレートと、外周の軸方向へ位置をずらせて半径方向に設けた切欠部とガイド溝とを有し、前記第4取付部に設けた支持部との間に一方向へスライド付勢させて取り付けられたガイドシャフトと、第2ベース部材の前記第3取付部に設けたガイド長孔に上下動作可能に取り付けられて、その一端部側を前記第3ブラケットの第3軸受部の縁部に設けたストッパー部と対向させ、他端部を前記ガイドプレートの傾斜部側に臨ませた制御ピンと、前記第4ブラケットの第4軸受部の縁部に設けた係合縁部とで構成することができる。
【0013】
そして、本発明は、上記に記載の2軸ヒンジを、第1の筐体と第2の筐体の連結手段として用いて小型電子機器を構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上面に操作部を設けた第1の筐体と下面にディスプレイ部を設けた第2の筐体を互いに開閉可能に連結し、前記第1の筐体と前記第2の筐体を互いに重ね合わせて前記操作部の上面を覆う閉成状態と、前記第1の筐体と前記第2の筐体を互いに縦方向へ開いて前記操作部の上面を露出させる開成状態を作り出す小型電子機器の2軸ヒンジを、ベース部材と、このベース部材の第1取付部に取り付けられ前記第1の筐体に取り付けられた第1ブラケットに作用させた吸い込みヒンジ部と、前記ベース部材の第2取付部に取り付けられ前記第2の筐体に取り付けられたところの第2ブラケットに作用させたチルトヒンジ部と、前記吸い込みヒンジ部と前記チルトヒンジ部の間に設けられ、当該吸い込みヒンジ部とチルトヒンジ部の動作の順序を決める動作制御手段とで構成したので、第1の筐体と第2の筐体を開いたときに2軸ヒンジが第1の筐体の操作部側と第2の筐体のディスプレイ部側(つまり表側9)へ突出するのを防止でき、また、そのような構成の小型電子機器を提供できるものである。
【0015】
また、上記2軸ヒンジを、ベース部材と、このベース部材の第3取付部に取り付けられ前記第1の筐体に取り付けられた第3ブラケットに作用させた吸い込みヒンジ部と、前記ベース部材の第4取付部に取り付けられ前記第2の筐体に取り付けられたところの第4ブラケットに作用させたチルトヒンジ部と、前記吸い込みヒンジ部と前記チルトヒンジ部の間に設けられ、当該吸い込みヒンジ部とチルトヒンジ部の動作の順序を決める動作制御手段とで構成したので、上記効果の他に、180度に開いた第1の筐体と第2の筐体の連結端部に隙間が生ずるのを防止でき、また、そのように構成した小型電子機器を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る2軸ヒンジを用いた小型電子機器の第1の筐体と第2の筐体の中間開状態の斜視図である。
【図2】本発明に係る2軸ヒンジを用いた小型電子機器の第1の筐体と第2の筐体の全開状態の斜視図である。
【図3】図1と図2に示した小型電子機器の第1の筐体と第2の筐体の閉成状態における2軸ヒンジを右後方の側から見た斜視図である。
【図4】図3に示した2軸ヒンジを左後方の側から見た斜視図である。
【図5】図3と図4に示した2軸ヒンジの分解斜視図である。
【図6】図1と図2に示した小型電子機器の第1の筐体と第2の筐体の60度の開成状態における2軸ヒンジを右後方の側から見た斜視図である。
【図7】図6に示した2軸ヒンジを左後方の側から見た斜視図である。
【図8】図1と図2に示した小型電子機器の第1の筐体と第2の筐体の90度の開成状態における2軸ヒンジを右後方の側から見た斜視図である。
【図9】図8に示した2軸ヒンジを左後方の側から見た斜視図である。
【図10】図1と図2に示した小型電子機器の第1の筐体と第2の筐体の150度の開閉成状態における2軸ヒンジを一方の側から見た側面図である。
【図11】図10に示した2軸ヒンジを他方の側から見た斜視図である。
【図12】図1と図2に示した小型電子機器の第1の筐体と第2の筐体の180度の開閉成状態における2軸ヒンジを一方の側から見た側面図である。
【図13】図12に示した2軸ヒンジを他方の側から見た斜視図である。
【図14】本発明に係る2軸ヒンジを小型電子機器へ組み込んだ状態における閉成状態における斜視図である。
【図15】本発明に係る2軸ヒンジを小型電子機器へ組み込んだ状態における全開成状態の斜視図である。
【図16】本発明に係る2軸ヒンジのベース部材の斜視図である。
【図17】本発明に係る2軸ヒンジの第1ブラケットの斜視図である。
【図18】本発明に係る2軸ヒンジの第2ブラケットの斜視図である。
【図19】本発明に係る2軸ヒンジの第1シャフトの斜視図である。
【図20】本発明に係る2軸ヒンジの第2シャフトの斜視図である。
【図21】本発明に係る2軸ヒンジの従動ギアの斜視図である。
【図22】本発明に係る2軸ヒンジのストッパー部の斜視図である。
【図23】本発明に係る2軸ヒンジの規制ストッパーの斜視図である。
【図24】本発明に係る2軸ヒンジの他の実施例を右前方から見た斜視図である。
【図25】図24に示した2軸ヒンジを左前方から見た斜視図である。
【図26】図24と図25に示した2軸ヒンジの分解斜視図である。
【図27】図24と図25に示した2軸ヒンジの開成途中(90度)状態における斜視図である。
【図28】図24と図25に示した2軸ヒンジの全開成(180度)状態における斜視図である。
【図29】図24と図25に示した2軸ヒンジの動作制御手段の動作を説明するための斜視図である。
【図30】図24と図25に示した2軸ヒンジの動作制御手段の動作を説明するための斜視図である。
【図31】図24と図25に示した2軸ヒンジの動作制御手段の動作を説明するための斜視図である。
【図32】図24と図25に示した2軸ヒンジの動作制御手段の動作を説明するための斜視図である。
【図33】図24と図25に示した2軸ヒンジのベース部材の斜視図である。
【図34】図24と図25に示した2軸ヒンジの第3ブラケットの斜視図である。
【図35】図24と図25に示した2軸ヒンジの第4ブラケットの斜視図である。
【図36】図24と図25に示した2軸ヒンジの制御ピンの斜視図である。
【図37】図24と図25に示した2軸ヒンジのガイドピンの斜視図である。
【図38】図24と図25に示した2軸ヒンジのガイドプレートの斜視図である。
【図39】図24と図25に示した2軸ヒンジの係止リングの斜視図である。
【図40】図24と図25に示した2軸ヒンジのガイドシャフトの斜視図である。
【図41】図24と図25に示した2軸ヒンジのガイドシャフトの側面図である。
【図42】図24と図25に示した2軸ヒンジを小型電子機器へ組み込んだ状態における全開成状態の斜視図である。
【図43】従来の1軸ヒンジを用いた小型電子機器の中間開成状態の斜視図である。
【図44】従来の1軸ヒンジを用いた小型電子機器の全開成状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1乃至図23は、本発明に係る2軸ヒンジ1とこの2軸ヒンジ1を用いた小型電子機器2を示す。この小型電子機器2としては、ノート型パソコンを例示してあるが、このものに限定されるものではない。携帯電話機、PDA、その他の小型電子機器が含まれる。
【0019】
とくに図1乃至図2において、小型電子機器2の1例としてのノート型パソコンは、その上面に例えばキーボードから成る操作部3aを設けた第1の筐体3と、その下面に例えば液晶表示装置のようなディスプレイ部4aを設けた第2の筐体4とで構成されており、この第1の筐体3と第2の筐体4の各端部を連結する手段として、図1と図2のA視で示した部分に、図3以下に示す2軸ヒンジ1が用いられている。尚、第1の筐体3の操作部3aは、これをタッチパネル式のディスプレイ部としても良く、ディスプレイ部としては、液晶表示装置以外のプラズマディスプレイ、EL、その他の表示手段を用いることができる。
【0020】
図面によれば、2軸ヒンジ1を構成するベース部材5は、とくに図16に示したように、1枚の扁平なプレート状のもので、中央部のくびれ部5aを挟んで変形第1取付孔5bを設けた第1取付部5cと、変形第2取付孔5dを設けた第2取付部5eとを有すると共に、第1取付部5c側の一側にストッパー片5fを設け、変形第1取付孔5bと変形第2取付孔5dの近くにそれぞれ係止孔5g、5hを設けてある。さらに後述する大小の取付孔5i、5jが設けられている。
【0021】
吸い込みヒンジ部6は、第1ヒンジシャフト7を有するもので、この第1ヒンジシャフト7は、とくに図19に示したように、フランジ部7aと、このフランジ部7aに続いて設けられた変形大径部7bと、この変形大径部7bに続いて設けられた円形軸部7cと、この円形軸部7cに続いて設けられた変形中径部7dと、この変形中径部7dに続いて設けられた変形小径部7eと、から構成されている。
【0022】
この第1ヒンジシャフト7は、その変形大径部7bをベース部材5の第1取付部5cに設けた変形第1取付孔5bへ挿通係止させ、この変形大径部7bに続いて設けた円形軸部7cには、その中心部軸方向に設けた挿通孔9aを貫通させると共にその縁部に設けた係止片9bをベース部材5の係止孔5gへ挿入係止させて、第1フリクションワッシャー9が取り付けられている。続いて第1ヒンジシャフト7は、その変形中径部7dを第1ブラケット8の第1軸受部8bに軸支させている。
【0023】
第1ブラケット8は、とくに図17に示したように、取付板部8aと、この取付板部8aの一側部より立ち上げた第1軸受部8bと、この第1軸受部8bに設けた第1軸受孔8cと、第1軸受部8bの縁部に設けた係合凹部8dと当接部8eとから成り、第1軸受孔8cへ第1ヒンジシャフト7の円形軸部7cを回転可能に貫通させている。尚、図17において、指示記号8fで示したものは、第1の筐体3へ取り付ける際の取付孔である。第1ヒンジシャフト7は変形中径部7dをスライドカム11に設けた変形挿通孔11aへ挿通させ、当該スライドカム11をその回転を拘束させつつ軸方向へスライド可能になるように取り付けてある。このスライドカム11には第1ブラケット8の第1軸受部8bの側に第2カム部12が形成させてあり、この第2カム部12は第1軸受部8bの第1軸受孔8cの周囲に設けた第1カム部10と対向している。スライドカム11に続いて、変形中径部7dには、複数枚(実施例では5枚)の皿バネからなる弾性手段13が、その各中心部軸方向に設けた挿通孔13aへ当該変形中径部7dを挿通させて取り付けられており、さらに変形小径部7eにその中心部軸方向に設けた変形挿通孔14aを挿通係合させて押え用ワッシャー14が取り付けられている。そして、変形小径部7eが押え用ワッシャー14より露出した板には、該押え用ワッシャー14が抜け出ないようにかしめることによりかしめ部7fが設けられている。
【0024】
即ち、上記実施例に係る吸い込みヒンジ部6は、ベース部材5に設けた第1取付部5cの変形第1取付孔5bにその変形大径部7bを挿通係合させて成る第1ヒンジシャフト7と、取付板部8aとこの取付板部8aの一側より立ち上げた第1軸受部8bに設けた第1軸受孔8cを有し、この第1軸受孔8cに第1ヒンジシャフト7の変形中径部7dを回転可能に挿通させて成る第1ブラケット8と、ベース部材5に設けた係止孔5gへその係止片9bを係止させ、第1ヒンジシャフト7の円形軸部7cにその中心部軸方向に設けた円形の挿通孔9aを挿通させて、ベース部材5と第1ブラケット8の第1軸受部8bとの間に設けた第1フリクションワッシャー9と、第1軸受孔8cの第1フリクションワッシャー9を設けた側とは反対面にその第1軸受孔8cを囲んで設けられた第1カム部10と、第1ヒンジシャフト7の変形中径部7dをその中心部軸方向に設けた変形挿通孔11aへ挿通係合させて設けたスライドカム11と、このスライドカム11が第1カム部10と対向する側の設けた第2カム部12と、スライドカム11に隣接して、その各々に設けた挿通孔13aへ第1ヒンジシャフト7の変形中径部7d挿通させることによって設けた複数枚の皿バネから成る弾性手段13と、その中心部軸方向に設けた変形挿通孔14aにその変形小径部7eを挿通させて設けた押え用ワッシャー14と、この押え用ワッシャー14から露出した変形小径部7eの端部をかしめることによって押え用ワッシャー14が抜け出てこないように設けたかしめ部7fとで構成されている。
【0025】
そして、第1軸受部8bの端面に90度間隔で設けた凹部10aから成る第1カム部10と、スライドカム11の端面に90度間隔で設けた凸部12aから成る第2カム部12と、弾性手段13とで吸い込み機構15を構成している。
【0026】
次に、チルトヒンジ部20は、上述したように第2ヒンジシャフト21を有するもので、この第2ヒンジシャフト21は、とくに図20に示したように、フランジ部21aと、このフランジ部21aに続いて設けられた変形大径部21bとこの変形大径部21bに続いて設けられた円形軸部21cとから成るものである。そして、変形大径部21bをベース部材5に設けた変形第2取付孔5dへ挿入係止させている。この第2ヒンジシャフト21の円形軸部21cには、その中心部軸方向に設けた挿通孔23aを貫通させると共に、その縁部に設けた係止片23bを係止孔5hへ挿入係止させて、第2フリクションワッシャー23が取り付けられている。続いて第2ヒンジシャフト21は、その円形軸部21cを第2ブラケット22の第2軸受部22bに回転可能に軸支させている。この第2ブラケット22は、とくに図18に示したように、取付板部22aと、この取付板部22aより垂下させた第2軸受部22bと、この第2軸受部22bに設けた第2軸受孔22cと、第2軸受部22bの縁部に設けた駆動歯部22dと、第2軸受部22bに設けた係止孔22eとから成り、第2軸受孔22cへ第2ヒンジシャフト21の円形軸部21cを回転可能に貫通させており、貫通した側にその中心部軸方向に設けた挿通孔24aへ挿通させて第3フリクションワッシャー24が設けられると共に、その縁部に設けた係止片24bをベース部材5の係止孔22eへ係止させている。尚、支持記号22fは第2ブラケット22を第2の筐体4へ取り付ける際の取付孔である。円形軸部21cには、それぞれに設けた挿通孔25aと変形挿通孔26aヘ挿通させてスプリングワッシャーなどの弾性手段25と押え用ワッシャー26が、取り付けられており、円形軸部21cが押え用ワッシャー26から突出した側をかしめてかしめ部21dを設けることにより、第2ブラケット22の回転時に第2軸受部22bが、第2フリクションワッシャー23と第3フリクションワッシャー24と圧接する部分にフリクショントルクが発生するように構成されている。
【0027】
即ち、上記実施例に係るチルトヒンジ部20は、ベース部材5に設けた第2取付部5eの変形第2取付孔5dにその変形大径部21bを挿通係合させて成る第2ヒンジシャフト21と、取付板部22aとこの取付板部22aの一側より立ち上げた第2軸受部22bに設けた第2軸受孔22cに第2ヒンジシャフト21の円形軸部21cを回転可能に挿通させて成る第2ブラケット22と、ベース部材5に設けた係止孔5hへその係止片23bを係止させ、第2ヒンジシャフト21の円形軸部21cにその中心部軸方向に設けた円形の挿通孔23aを挿通させて、ベース部材5と第2ブラケット22の第2軸受部22bとの間に設けた第2フリクションワッシャー23と、第2ヒンジシャフト21の円形軸部21cをその中心部軸方向に設けた円形の挿通孔24aへ挿通係合させ、その縁部より突設した係止片24bを第2ブラケット22に設けた係止孔22eに係止させて設けた第3フリクションワッシャー24と、この第3フリクションワッシャー24に隣接してその挿通孔25aへ円形軸部21cを挿通させて設けたスプリングワッシャーなどの弾性手段25と、この弾性手段25に隣接してその中心部軸方向に設けた挿通孔26aに円形軸部21cを挿通させて設けた押え用ワッシャー26と、この押え用ワッシャー26から露出した円形軸部21cの端部をかしめることによって押え用ワッシャー26が抜け出てこないように設けたかしめ部21dとで構成されている。
【0028】
そして、第2ブラケット22の第2軸受部22bの両側に配置した第2フリクションワッシャー23と、第3フリクションワッシャー24と、弾性手段25とでチルト機構34を構成している。
【0029】
次に、吸い込みヒンジ部6とチルトヒンジ部20の動作順序を決める動作制御手段30は、ベース部材5のくびれ部5aの部分に設けた大きな取付孔5iへその軸部31aを回転可能に挿通させた、とくに図22に示したようなフランジ部31bを有する規制ストッパー31と、この規制ストッパー31の軸部31aに固定させたところの、とくに図21に示したような、変形挿通孔32aとストッパー片32bと従動歯部32cを有する従動ギア32と、前記規制ストッパー31のフランジ部31bをそのベース部材5の回転角度によって受け入れるために、第1ブラケット8の第1軸受部8bの縁部に設けた係合凹部8dと、従動ギア32の従動歯部32cとその回転角度によって噛み合う第2ブラケット22の第2軸受部22bの縁部に設けた駆動歯部22dとで構成されている。尚、ベース部材5に設けた小さな取付孔5jに取り付けられている指示記号33のものは、第2ブラケット22の回転角度を規制するストッパー部であり、とくに図23に示したように、軸部33aとフランジ部33bとで構成されている。
【0030】
次に、上述した小型電子機器2の2軸ヒンジ1の動作について説明する。
【0031】
この発明に係る2軸ヒンジ1は、取り付けるものによっては1個であってもよい場合もあるが、本実施例では小型電子機器2に対して図1と図2に示したA視の部分に1組(2個)用いられ、図14に示したように、その第1ブラケット8を第1の筐体3の後部に外からは見えないように取り付け、第2ブラケット22を第2の筐体4の後部に外からは見えないように取り付けることによって小型電子機器2に対する取り付けが完了し、ベース部材5の背中の部分が第1の筐体3と第2の筐体4に設けた図示してないスリットから外部へ露出することになる。以下の動作の説明ではそのうちの1個の2軸ヒンジ1についてその動作を説明するが、左右共に同じ動作をするものである。以下に説明する吸い込みトルクもチルトトルクも左右一対の2軸ヒンジによって創出できるものであることは言うまでもない。
【0032】
そこでまず、第1の筐体3と第2の筐体4が閉成状態になって互いが重なり合っている状態において、チルトヒンジ部20の動作は、動作制御手段30の規制ストッパー31のフランジ部31bが、第1ブラケット8の当接部8eに当接していることによって従動ギア32を介して第2ブラケット22の回転が阻止されており、吸い込みヒンジ部6は吸い込み機構15よって、安定した閉成状態を維持している。
【0033】
この閉成状態から、第2の筐体4を第1の筐体3に対して縦方向へ開き始めると、チルトヒンジ部20は上述したように第1ブラケット8に対してロックされていることから回転せず、ベース部材5が第1ブラケット8に対して吸い込みヒンジ部6の第1ヒンジシャフト7と共に回動を始めて、図6と図7に示したように、開かれて行き、90度の開成角度において、ベース部材5に設けたストッパー片5fが、図8と図9に示したように、第1ブラケット8の取付板部8aの端部に当接することによって、ベース部材5はその回動を停止させられる。この時には、とくに図1に示したように、2軸ヒンジ1の部分は、外部へ突出することがない。さらに第2の筐体4を第1の筐体3に対して開いてゆくと、今度はチルトヒンジ部20の第2ブラケット22の回転を阻止していた規制ストッパー33の第1ブラケット8の当接部8eに対する回転規制を解かれるので、このチルトヒンジ部20に対する回転規制がが解除されて、第2ブラケット22がベース部材5に対して開かれて行き、第2の筐体4の90度以上の開成を許容することになる。
【0034】
第2の筐体4が第1の筐体3に対して開かれて行く90度以上の開成角度においては、チルトヒンジ部20のチルト機構34が動作して、第2の筐体4はフリーストップに開かれる。
【0035】
第2の筐体4が、図12と図13に示したように、第1の筐体3に対して180度まで開かれると、第2ブラケット22の第2軸受部22bの縁部がストッパー部31に当接して、それ以上の開成動作は阻止される。この時には、とくに図2に示したように、2軸ヒンジ1の部分は、外部へ突出することなく、第1の筐体3と第2の筐体4は面一にフラットな状態となる。
【0036】
同時に、第2ブラケット22に設けた駆動歯部22dによって回転させられる従動ギア32を介して規制ストッパー31が第1ブラケット8の係合凹部8dへ嵌入してベース部材5の第1ブラケット8に対する回転を阻止することになる。したがって、180度開かれた状態から第2の筐体4を閉じようとする場合に、まず、第2ブラケット22がベース部材5に対して反対方向へ回転することによって第2の筐体4と共に閉じられてベース部材5の起き上がり回転が可能となり、第2の筐体4は第1の筐体3に対して閉じられることになる。90度まで閉じられてくると、回転する第2ブラケット22により従動ギア32を介して規制ストッパー31が回転して第1ブラケット8の係合凹部8dより離脱するので、今度はベース部材5の回転が可能となり吸い込みヒンジ部6を介して第2の筐体4の第1の筐体3に対する閉成操作が可能とない、閉成位置に近くなって吸い込みヒンジ部6の吸い込み機構15が動作して、第2の筐体4は自動的に閉じられ、閉成状態でロックされる。
【実施例2】
【0037】
図24〜図42は、本発明に係る2軸ヒンジ並びにこの2軸ヒンジを用いた小型電子機器の他の実施例を示す。吸い込みヒンジ部49とチルトヒンジ部48の構成は、そのほとんどが先の実施例1のものと同じであるので、実施例1と同じ指示記号のものは同じ部材を表している。したがって、その構成の説明を省略し、動作の説明の中で必要に応じて記述することにする。
【0038】
この実施例2の2軸ヒンジ35は、ベース部材の構成と、動作制御手段の構成が実施例1のものと異なる。図面によれば、第2ベース部材36は、とくに図33に示したように、基板部36aと、この基板部36aの一側部より位置をずらせて折り曲げた各側板に設けた一対の第3取付部36b及び第4取付部36cと、基板部36aの他側部の、第4取付部36cの対向面に立ち上げた支持部37とで構成されており、第3取付部36bには変形取付孔36dと係止孔36eが、第4取付部36cには変形取付孔36fと係止孔36gがそれぞれ設けられている。支持部37には変形挿通孔37aが設けられている。さらに、第3取付部36bにはガイド長孔36hが、第4取付部36cには、円形挿通孔36iが設けられており、基板部36aには取付孔36jが設けられている。尚、第3取付部36bと第4取付部36cは、図示したように別々の側板ではなく、1枚の側板に設けてもよい。
【0039】
吸い込みヒンジ部49とチルトヒンジ部48の各構成は、上述したように実施例1のものと同じであるので、指示記号を実施例1と同じ番号のものを付してあるものは、同じ部材であるが、吸い込みヒンジ部49の第3ブラケット46は、取付板部46aと、この取付板部46aの一側より立ち上げた第3軸受部46bと、この第3軸受部46bに設けた第1カム部10と、取付孔46eを有するのは、先の実施例のものと同じであるが、第3軸受部46bの縁部にストッパー部46dを設けた点が、先の実施例1の第1ブラケット8と異なる。また、第4ブラケットの構成は、とくに図35に示したように、取付板部47a、第4軸受部47bと、取付孔47fを有する点では、先の実施例1の第2ブラケット22と同じであるが、第4軸受部47bに係合縁部47dと係合部47eを有する点が先の実施例1の第2ブラケット22と異なる。この実施例のスライドカム11には第2カム部12が設けられている。
【0040】
動作制御手段40は、この実施例2のものは、とくに図38に示したように、尖頭部41aとガイド長孔41bと傾斜部41cを有し、ガイド長孔41bに挿通させたガイドピン52を介して第2ベース部材36に第1ヒンジシャフト7の回転方向と同一方向へスライド可能に取り付けたガイドプレート41と、とくに図40と図41に示したように、外周に軸方向へ位置をずらせて設けた切欠部42bとガイド溝42cとを有し、第4取付部36cに設けた円形挿通孔36iと支持部37に設けた変形挿通孔37aとの間に例えばコンプレッションスプリングから成る弾性手段43を作用させて一方向へスライド付勢されて取り付けられたガイドシャフト42と、第2ベース部材36の第3取付部36bに設けたガイド長孔36hに上下動作可能に取り付けられて、その一端部側を第3ブラケット46の第3軸受部46bの縁部に設けたストッパー部46dと対向させ、他端部をガイドプレート41の傾斜部41c側に臨ませた制御ピン44と、第4ブラケット47の第4軸受部47bの縁部に設けた係合縁部47dとで構成されている。
【0041】
尚、ガイドピン52は、とくに図37に示したように、フランジ部52aと変形部52bと取付軸部52cとで構成されており、変形部52bをガイドプレート41のガイド長孔41bに嵌入させながら第2ベース部材36の基板部36aに設けた取付孔36jヘ取り付けられている。また、ガイドシャフト42は、とくに図40に示したように、上記切欠部42bとガイド溝42cの他にフランジ部42aと変形小径部42dを有し、フランジ部42aを設けた側を第2ベース部材36の第4取付部36cに設けた円形挿通孔36iに挿通させ、変形小径部42dを支持部37に設けた変形挿通孔37aへ挿通させると共に、フランジ部42aと第4取付部36cの間に弾性手段43を弾設させ、変形小径部42dが支持部37の変形挿通孔37aより突出した側の端部に、とくに図39に示したように、変形取付孔45aを有する係止リング45をかしめて取り付けてある。また、制御ピン44には、とくに図36に示したように、一対のフランジ部44a、44bが設けられ、ガイド長孔36hの拡径部36kより挿入して、挟径部36mと係合することにより、外へ抜け出ないように工夫されている。
【0042】
次に、この第2実施例の2軸ヒンジ35の動作について説明する。
【0043】
まず、第2の筐体4を第1の筐体3に対して閉じている閉成状態のときには、動作制御手段40のガイドシャフト42は、弾性手段43の弾力によりフランジ部42a側へ摺動付勢されて移動しており、さらにガイドプレート41の尖頭部41aをガイド溝42cでガイドして当該ガイドシャフト42側へ移動させている。
【0044】
したがって、この状態で第2の筐体4を第1の筐体3に対して開成させようとすると、チルトヒンジ部48の第4ブラケット47の第4軸受部47bに設けた係合縁部47dがガイドシャフト42の外周に当ることから、第4ブラケット47しかしてこの第4ブラケット47へ取り付けた第2の筐体4は、回転することができない。したがって、吸い込みヒンジ部49が動作して第2ベース部材36と一緒に第2の筐体4が第1の筐体3に対して開かれることになる。
【0045】
第2の筐体4が第1の筐体3に対して、90度まで開かれると、この位置で吸い込みヒンジ部49の吸い込み機構50が動作して第2の筐体4は第1の筐体3に対して自動的に開かれて90度の開成角度で停止する。
【0046】
第2の筐体4が第1の筐体3に対して90度まで開かれると、回転する第2ベース部材36へスライド可能に取り付けてあるガイドプレート41が第3ブラケット46の取付板部46aの縁部へ当接して押されることから、スライドして、その尖頭部41aがガイドシャフト42のガイド溝42cへ嵌入して該ガイドシャフト42を弾性手段43の弾力に抗してスライドさせるので、傾斜部41cによって制御ピン44がガイド長孔36h内を摺動してガイドプレート41の上面に持ち上げられ、制御ピン44が第3ブラケット46の第3軸受部46bに設けたストッパー部46dと係合して第2ベース部材36の回転を係止させてロックし、同時に吸い込みヒンジ部49の動作を停止させる。この90度の開成角度において2軸ヒンジ35は第1の筐体3と第2の筐体4の連結部分より外部へ突出しない。
【0047】
同時にガイドプレート41を介してスライドしたガイドシャフト42の切欠部42bが、第4ブラケット47の第4軸受部47bに設けた係合縁部47dの位置にくることから、第4ブラケット47の回転が可能となり、第2の筐体4はチルトヒンジ部48によって、第2ヒンジシャフト21を支点に開成可能となる。
【0048】
このようにして、第2の筐体4は第1の筐体3に対して開成角度90度からフリーストップに開成可能となり、180度まで開かれると、第4ブラケット47の取付板部47aが第2ベース部材36の取付板部36aに当接して、180度以上の開成動作は阻止される。この180度の開成角度において、2軸ヒンジ35は、第1の筐体3と第2の筐体4の連結部分より外部へ突出せず、第1の筐体3と第2の筐体4の連結部分はフラットな状態になる。この90度から180度の開閉範囲においては、チルトヒンジ部48のチルト機構51により、任意の開閉角度でフリーストップに停止できる。
【0049】
以上のように第2の筐体4を第1の筐体3に対して180度開いた状態から、第2の筐体4を第1の筐体3に対して閉じて行くと、第2ベース部材36の回動は、阻止されたままであるので、チルトヒンジ部48が動作して第2の筐体4は閉じられ90度の角度になると、第4ブラケット47の第4軸受部47bに設けた係合縁部47dがガイドシャフト42に当るので第4ブラケット47の回動は阻止される。すると制御ピン44は第2ベース部材36の閉成方向への回動を阻止しなくなるので、第2ベース部材36が吸い込みヒンジ部49の第1ヒンジシャフト7と共に第3ブラケット46に対して回動して、第2の筐体4の閉成動作が可能になる。
【0050】
このようにして第2の筐体4は第1の筐体3に対して吸い込みヒンジ部49を介して閉じられて行き、第2ベース部材36の回動動作と共に、ガイドプレート41に対する当接を解除して行くので、該ガイドプレート41が摺動して元位置に戻り、同時にガイドシャフト42が弾性手段43の弾力によりスライドして元位置に戻る。同時にガイドプレート41が元位置に戻る動作に伴って制御ピン44が傾斜部41cを降下して元位置に戻るものである。第2の筐体4が第1の筐体3に対して閉じられると、その直前において吸い込みヒンジ部49の吸い込み機構50が動作してスライドカム11の第2カム部12の凸部12aが第1カム部10の凹部10aに嵌まり込む吸い込みトルクが発生して、第2の筐体4は第1の筐体3に対して自動的に閉じられることになる。
【0051】
この第2の実施例のように構成すると、実施例1の図15に示した場合に比較して、180度開いた第2の筐体4と第1の筐体3との間の隙間が、図42に示したように、狭くて済むという利点がある。
【0052】
次に、以上の第1と第2の実施例において、吸い込みヒンジ部とチルトヒンジ部の構成は、各実施例のものに限定されない。まず、例えば吸い込みであるが、第2カム部には、これを第1ブラケット8と第3ブラケット46の第1軸受部8bや第3軸受部46b以外の独立した単体のカム部とすることができ、弾性手段はこれを皿バネ以外のスプリングワッシャー、コンプレッションスプリング等に変えることができる。皿バネの枚数も必要に応じて増減できる。押え用ワッシャーはこれを締付ナットとすることもできる。
【0053】
次に、チルトヒンジ部の構成であるが、フリクションワッシャーの数とその構成に限定はなく、弾性手段の皿バネもこれをスプリングワッシャー、コンプレッションスプリングその他のものにすることができ、押え用ワッシャーはこれを締付ナットとすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上詳細に説明したように、本発明は、小型電子機器を構成する第1の筐体と第2の筐体を縦方向へ開閉可能に連結するヒンジとして用いることができ、また、このようなヒンジを第1の筐体と第2の筐体から成る小型電子機器に用いることができる。
【符号の説明】
【0055】
1、35 2軸ヒンジ
2 小型電子機器
3 第1の筺体
3a 操作部
4 第2の筺体
4a ディスプレイ部
5 ベース部材
5c 第1取付部
5e 第2取付部
5f、32b ストッパー片
6、49 吸い込みヒンジ部
7 第1ヒンジシャフト
7a、21a、31b、33b、42a、44a、44b、52a フランジ部
8 第1ブラケット
8b 第1軸受部
8e 当接部
8d 係合凹部
20、48 チルトヒンジ部
22 第2ブラケット
22d 駆動歯部
30、40 動作制御手段
36h、41b ガイド長孔
31、46d ストッパー部
32 従動ギア
32c 従動歯部
36 第2ベース部材
36a 基板部
36b 第3取付部
36c 第4取付部
37 支持部
41 ガイドプレート
41a 尖頭部
41c 傾斜部
42 ガイドシャフト
42b 切欠部
42c ガイド溝
44 制御ピン
46 第3ブラケット
46b 第3軸受部
47 第4ブラケット
47b 第4軸受部
47d 係合縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に操作部を設けた第1の筐体と下面にディスプレイ部を設けた第2の筐体を互いに開閉可能に連結し、前記第1の筐体と前記第2の筐体を互いに重ね合わせて前記操作部の上面を覆う閉成状態と、前記第1の筐体と前記第2の筐体を互いに縦方向へ開いて前記操作部の上面を露出させる開成状態を作り出す小型電子機器の2軸ヒンジであって、
この2軸ヒンジを、ベース部材と、このベース部材の第1取付部に取り付けられ前記第1の筐体に取り付けられた第1ブラケットに作用させた吸い込みヒンジ部と、前記ベース部材の第2取付部に取り付けられ前記第2の筐体に取り付けられたところの第2ブラケットに作用させたチルトヒンジ部と、前記吸い込みヒンジ部と前記チルトヒンジ部の間に設けられ、当該吸い込みヒンジ部とチルトヒンジ部の動作の順序を決める動作制御手段とで構成したことを特徴とする、小型電子機器の2軸ヒンジ。
【請求項2】
前記ベース部材が扁平なプレート状であり、前記第1取付部と第2取付部が当該ベース部材の平面部に併設されていることを特徴とする、請求項1に記載の小型電子機器の2軸ヒンジ。
【請求項3】
前記動作制御手段は、前記第1の筐体と第2の筐体の開成操作時に、まず、前記吸い込みヒンジ部を動作させ、次いで、前記チルトヒンジ部を動作させ、閉成操作時にはまず前記チルトヒンジ部を動作させ、次いで前記吸い込みヒンジ部を動作させるものであることを特徴とする、請求項1に記載の小型電子機器の2軸ヒンジ。
【請求項4】
前記動作制御手段は、前記ベース部材へ回転可能に挿通させたところの一端部にフランジ部を有するストッパー部と、このストッパー部の他端部に同軸に取り付けたところのストッパー片と従動歯部を有する従動ギアと、前記ストッパー部のフランジ部と前記ベース部材の回転角度によって当接して当該ストッパー部の回転を阻止して前記第2ブラケットの回転を阻止するために前記第1ブラケットの第1軸受部の縁部に設けた当接部と、前記ベース部材の回転角度によって前記フランジ部と係合する係合凹部と、前記従動ギアの従動歯部とその回転角度によって噛み合う前記第2ブラケットに設けた駆動歯部とで構成したことを特徴とする、請求項1に記載の小型電子機器の2軸ヒンジ。
【請求項5】
前記2軸ヒンジを、ベース部材と、このベース部材の第3取付部に取り付けられ前記第1の筐体に取り付けられた第3ブラケットに作用させた吸い込みヒンジ部と、前記ベース部材の第4取付部に取り付けられ前記第2の筐体に取り付けられたところの第4ブラケットに作用させたチルトヒンジ部と、前記吸い込みヒンジ部と前記チルトヒンジ部の間に設けられ、当該吸い込みヒンジ部とチルトヒンジ部の動作の順序を決める動作制御手段とで構成したことを特徴とする、小型電子機器の2軸ヒンジ。
【請求項6】
前記ベース部材が、基板部とこの基板部より折り曲げた他側板に前記第3取付部と第4取付部がそれぞれ設けられていることを特徴とする、請求項5に記載の小型電子機器の2軸ヒンジ。
【請求項7】
前記側板は、別々に設けられていることを特徴とする、請求項6に記載の小型電子機器の2軸ヒンジ。
【請求項8】
前記動作制御手段は、さらに、尖頭部を有し第2ベース部材に第1ヒンジシャフトの回転方向と同一方向へスライド可能に取り付けたガイドプレートと、外周の軸方向へ位置をずらせて半径方向に設けた切欠部とガイド溝とを有し、前記第4取付部に設けた支持部との間に一方向へスライド付勢させて取り付けられたガイドシャフトと、第2ベース部材の前記第3取付部に設けたガイド長孔に上下動作可能に取り付けられて、その一端部側を前記第3ブラケットの第3軸受部の縁部に設けたストッパー部と対向させ、他端部を前記ガイドプレートの傾斜部側に臨ませた制御ピンと、前記第4ブラケットの第4軸受部の縁部に設けた係合縁部とで構成したことを特徴とする、請求項5に記載の小型電子機器の2軸ヒンジ。
【請求項9】
請求項1乃至8に各記載の2軸ヒンジを、第1の筐体と第2の筐体の連結手段として用いたことを特徴とする、小型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2010−249209(P2010−249209A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98380(P2009−98380)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000124085)加藤電機株式会社 (117)
【Fターム(参考)】